JP6020395B2 - クロマトグラフ質量分析を用いた薬物分析方法 - Google Patents

クロマトグラフ質量分析を用いた薬物分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、MS/MS測定が可能である質量分析装置を用いたガスクロマトグラフ質量分析装置又は液体クロマトグラフ質量分析装置を用いて薬物を同定する薬物分析方法に関する。
麻薬や覚醒剤等の違法薬物の蔓延は世界的な問題となっている。我が国を始め、各国において、覚醒剤や***に類似した作用を有する違法薬物は個別に、つまり化合物毎に規制されているが、近年、その化学構造の骨格の一部を変えたり官能基の種類を変えたりしたアナログ体が次々と出回っており、化合物を個別に規制することは困難な状況となっている。こうした状況から、日本、英国、米国の一部の州などでは、違法薬物を個別に規制するのではなく、化合物の主要骨格について規制を行う、いわゆる包括規制が実施されるようになっている。
例えば日本では、***類似性化合物である合成カンナビノイド系の化合物を薬事法において包括的に規制するための厚生労働省省令が平成25年3月に施行されている(非特許文献1参照)。この省令は、ナフタレン環及びインドール環を含む(1H−インドール−3−イル)(ナフタレン−1−イル)メタノンを基本骨格とする772種(ただし、すでに麻薬として規制対象であった3種の化合物は除外)の化合物を包括的に規制するものである。
従来一般に、こうした違法薬物や毒物などの同定は、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)や液体クロマトグラフ質量分析装置(LC-MS)を用いて実施されている。具体的には、GC-MSやLC-MSを用いて目的試料を測定することで得られたマススペクトルを、既知の標準試料を実測することにより得られたマススペクトル或いは一般に入手可能なデータベースに収録されているマススペクトルと照合し、スペクトルパターンが一致する又は類似する化合物を探索することにより、目的試料中で検出された化合物を同定するのが一般的である(非特許文献2など参照)。
しかしながら、上述したような化学構造の一部の改変によって新たに出回り始めた違法薬物は、標準試料を入手することが困難である場合が多い。また、そうした薬物に対応するマススペクトルは既存のデータベースには収録されておらず、包括規制の対象となっている多数の化合物全てのマススペクトルを収録したデータベースを作成することも容易ではない。そのため、GC-MSやLC-MSを用いた上記従来方法によって、包括規制の対象となっている違法薬物全てを同定したりその構造を推定したりすることは、かなり困難である。
また、別の方法として、核磁気共鳴(NMR)装置や液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析装置(LC-TOFMS)などにより求まる高精度の質量情報を組み合わせることによって違法薬物の構造推定を行う試みもなされているものの、こうした方法は複数の装置を用意する必要がある上に装置自体も高価であり、また測定作業やデータ解析作業もかなり面倒である。
「薬事法第2条第14項に規定する指定薬物及び同法第76条の4に規定する医療等の用途を定める省令の一部改正について(施行通知)」、厚生労働省、[検索日:平成25年8月14日]、インターネット<URL : http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/kanren-tuchi/yakuji/dl/H24-04.pdf> 土橋均、「SHIMADZU GC/MS Technical Report No.6 「GC/MS法薬毒物データベース」を利用した血清中向精神薬の自動同定と半定量分析」、株式会社島津製作所、[検索日:平成25年8月14日]、インターネット<URL : http://www.an.shimadzu.co.jp/gcms/support/lib/pdf/c146-0279.pdf>
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、入手が容易で且つ比較的安価である装置を用いて、標準試料が存在しない或いはデータベースに情報が収録されていないナフトイルインドール系(即ち、(1H−インドール−3−イル)(ナフタレン−1−イル)メタノンを基本骨格として有する)の特定の薬物を的確に同定することができる薬物分析方法を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、MS/MS測定が可能であるクロマトグラフ質量分析装置を用い(1H−インドール−3−イル)(ナフタレン−1−イル)メタノンを基本骨格とする特定の化合物を包括的に同定する薬物分析方法であって、
a)クロマトグラフ質量分析装置により、同定対象の化合物を含む試料に対し、
a1)イオン化の際の開裂によって生じるナフトイルをプリカーサイオン、該ナフトイルからカルボニル基が脱離したナフタレンをプロダクトイオンとし、ナフタレン環に結合している第3官能基の質量の相違に応じた複数のMRMトランジションを測定条件とした第1のMRM測定、又は、前記第3官能基の質量の相違に応じたナフトイルをプリカーサイオンとした第1のプロダクトイオンスキャン測定、
a2)イオン化の際の開裂によって生じるインドールカルボニルをプリカーサイオン、該インドールカルボニルからカルボニル基が脱離したインドールをプロダクトイオンとし、インドール環に結合している第2官能基の質量の相違に応じた複数のMRMトランジションを測定条件とした第2のMRM測定、又は、前記第2官能基の質量の相違に応じたインドルカルボニルをプリカーサイオンとした第2のプロダクトイオンスキャン測定、及び、
a3)インドール環の窒素に結合している第1官能基が脱離する一方、前記第2官能基が付加している状態のインドールカルボニルをプロダクトイオンとしたプリカーサイオンスキャン測定、
という3種類のMS/MS測定を繰り返し実行する測定実行ステップと、
b)第1のMRM測定又は第1のプロダクトイオンスキャン測定、第2のMRM測定又は第2のプロダクトイオンスキャン測定、及びプリカーサイオンスキャン測定によりそれぞれ得られたデータに基づいて作成される、その3種類の測定にそれぞれ対応したクロマトグラム上の同一保持時間にピークが共通に存在するか否かを判定することにより、前記基本骨格を有する特定化合物の存在を判断する化合物存在確認ステップと、
c)前記第1のMRM測定又は第1のプロダクトイオンスキャン測定により得られたデータに基づいて第3官能基の種類を、前記第2のMRM測定又は第2のプロダクトイオンスキャン測定により得られたデータに基づいて第2官能基の種類を、前記プリカーサイオンスキャン測定により得られたデータに基づいて第1官能基の種類を、それぞれ推定し、それら推定結果に基づいて、前記化合物存在確認ステップにおいて存在が確認された特定化合物の化学構造を推定する構造推定ステップと、
を有することを特徴としている。
なお、MS/MS測定が可能であるクロマトグラフ質量分析装置としては、例えば、ガスクロマトグラフ又は液体クロマトグラフとタンデム四重極型質量分析装置(三連四重極型質量分析装置とも呼ばれる)とを組み合わせた装置を用いることができる。
本発明に係る薬物分析方法において、上記第2及び第3官能基は水素も含むものとする。第1、第2及び第3官能基は少なくとも非特許文献1に記載の省令で指定されている官能基(置換基)を含む。具体的には、第1官能基は、少なくとも、炭素数(n)が3から8までである直鎖状アルキル基(-CnH2n+1)、炭素数が5である直鎖状アルケニル基(-C5H9)、及び、炭素数が3から5までの直鎖状アルキル基の末端の炭素に、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、シアノ基(-CN)、水酸基(-OH)、又はアセトキシ基(-OCOCH3)のいずれか1種類が1つ結合した基、の28種類を含む。また第2官能基は、少なくとも、水素及びメチル基(-CH3)の2種類を含む。また第3官能基は、少なくとも、炭素数が1から6までである直鎖状アルキル基(-CnH2n+1)、炭素数が1又は2であるアルコキシ基(-OCnH2n+1)、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、及び、ヨウ素(I)の13種類を含む。
本発明に係る薬物分析方法では、試料中の化合物が質量分析装置に導入されてイオン化される際に、分子イオンが開裂を生じて生成された各種イオンをMS/MS測定のプリカーサイオンとしている。そのため、質量分析装置のイオン源としては、いわゆるソフトなイオン化を行うものでなく開裂を生じ易いイオン化法、典型的には電子イオン化法によるイオン源を用いることが好ましい。また、液体クロマトグラフと質量分析装置とを組み合わせる場合には、電子イオン化法を利用できないが、その代わりにインソース分解の機能を有するイオン源を用いればよい。
(1H−インドール−3−イル)(ナフタレン−1−イル)メタノンを基本骨格として有する化合物が質量分析装置に導入されると、イオン化の際に一部結合が切れて、ナフタレン環を含むナフトイルのイオンや、インドール環を含むインドールカルボニルのイオンが生成される。このうちナフトイルは、第1乃至第3なる3種類の官能基のうち第3官能基のみを含む。したがって、第3官能基を含むナフトイルをプリカーサイオンとし、同じく第3官能基を含むナフタレンをプロダクトイオンとして、第3官能基の質量の相違に応じた複数のMRMトランジションを測定条件としたMRM(多重反応イオンモニタリング)測定を実施すると、ナフトイル及びナフタレンに含まれる第3官能基の種類に応じたMRMトランジションにおいて元の化合物由来のイオンが検出されることになる。
一方、インドールカルボニルは第1官能基、第2官能基を含むが、イオン化の際に第1官能基は脱離する。第2官能基を含むインドールカルボニルをプリカーサイオンとし、同じく第2官能基を含むインドールをプロダクトイオンとして、第2官能基の質量の相違に応じた複数のMRMトランジションを測定条件としたMRM測定を実施すると、上記インドールカルボニル及びインドールに含まれる第2官能基の種類に応じたMRMトランジションにおいて元の化合物由来のイオンが検出される。
また、イオン化の際に第1官能基が脱離せずに、第2官能基、第1官能基がともに付加した状態のインドールカルボニルのイオンもイオン化の際に生成されるが、こうしたイオンを衝突誘起解離等により開裂させると、第1官能基が優先的に脱離する。第1官能基が脱離したあとのインドールカルボニルの質量は第2官能基の種類に依存するが、第2官能基の種類はたかだか2種類であるので、第1官能基が脱離したあとのインドールカルボニルのイオン、つまりプロダクトイオンの質量電荷比は2つのいずれかである。したがって、この2つの質量電荷比をそれぞれプロダクトイオンに定めたプリカーサイオンスキャン測定を実行すると、そのプリカーサイオンスペクトルには、第1官能基が脱離する前のインドールカルボニルの質量に対応する位置にピークが現れる。検出された質量とプロダクトイオンに設定した質量との差から、第1官能基の種類を特定することができる。
本発明に係る薬物分析方法において測定実行ステップでは、例えば試料に対し上記のように予め定められた3種類のMS/MS測定を実行する。目的とする化合物が試料に含まれる場合、第1のMRM測定における1つのMRMトランジションに対応して得られるクロマトグラム、第2のMRM測定における1つのMRMトランジションに対応して得られるクロマトグラム、及び、プリカーサイオンスキャン測定における1つのプロダクトイオンに対応して得られるクロマトグラムの同一保持時間にピークが現れる。そこで、化合物存在確認ステップでは、クロマトグラム上で同じ保持時間にこの3種類の共通のピークが存在するか否かを判定することにより、上記基本骨格を有する特定化合物が存在するか否かを判断する。もし、同一保持時間にピークが揃わなければ、少なくともいずれかの官能基が欠けていることを意味するから、特定化合物ではないと判断する。
特定化合物である場合には、構造推定ステップでは、第1のMRM測定におけるいずれのMRMトランジションでピークが検出されたのかによって第3官能基の種類を推定し、第2のMRM測定におけるいずれのMRMトランジションでピークが検出されたのかによって第2官能基の種類を推定し、さらにプリカーサイオンスキャン測定により得られたマプリカーサイオンスペクトル上でピークが検出されている位置(質量電荷比)に基づいて第1官能基の種類を推定する。そして、それら推定結果を合わせて、存在が確認された特定化合物の化学構造を推定し、目的化合物を同定する。
上記第1及び第2のMRM測定はいずれもプロダクトイオンスキャン測定でも構わない。即ち、第1のMRM測定に代えて、第3官能基の質量の相違に応じたナフトイルをプリカーサイオンとした第1のプロダクトイオンスキャン測定を実行すればよく、第2のMRM測定に代えて、第2官能基の質量の相違に応じたインドールカルボニルをプリカーサイオンとした第2のプロダクトイオンスキャン測定を実行すればよい。
なお、本発明に係る薬物分析方法では、3種類の官能基の組み合わせが異なる多数の化合物の同定が可能であるものの、一部の薬物については既存の薬物データベースにマススペクトルが収録されており、そうした薬物はデータベース検索によって同定するほうが効率的である。また、データベース検索を用いることで、ナフトイルインドール系以外の薬物の同定も可能である。
そこで、本発明に係る薬物分析方法において、好ましくは、
上記測定実行ステップでは、試料由来のイオンを意図的に開裂させない通常のスキャン測定を前記3種類のMS/MS測定と併せて繰り返し実行し、
上記通常のスキャン測定により得られたデータに基づいて作成されるマススペクトルを薬物データベースと照合することにより、既知の化合物を同定するデータベース利用同定ステップをさらに有し、
上記構造推定ステップでは、上記薬物データベースに収録されていない未知の化合物についての構造推定を実施するとよい。
ここで「試料由来のイオンを意図的に開裂させない通常のスキャン測定」とは、例えば電子イオン化法によるイオン源でのイオンの意図的でない開裂は許容し、コリジョンセル内等での意図的な開裂操作は行わずに実行されるスキャン測定のことである。例えばタンデム四重極型質量分析装置では、コリジョンセルに電圧を印加せず、また1段目の四重極マスフィルタでは質量分離を行わずに、2段目の四重極マスフィルタでのみ質量走査を行うスキャン測定を実施すればよい。
上記好ましい方法によれば、薬物データベースに収録されている化合物についてはマススペクトルに基づくデータベース検索によって同定されるので、ナフトイルインドール系薬物の同定を効率的に行うことができるとともに、データベースに収録されているナフトイルインドール系以外の薬物も同定することができる。
本発明に係る薬物分析方法によれば、標準試料が入手できず、またマススペクトル等を照合するためのデータベースが整備されていない場合であっても、ガスクロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置のような比較的廉価な装置のみを利用し、包括規制の対象であるナフトイルインドール系薬物の化学構造を推定することができる。また、装置自体は入手が容易であり、測定のための各種設定や操作なども簡便であるので、コストを抑えつつ幅広く利用するのに都合がよい。
本発明に係る薬物分析方法を実施するGC-MS/MSシステムの一実施例の概略構成図。 本実施例のGC-MS/MSシステムにおいて包括的薬物同定処理を実施する手順を示すフローチャート。 同定対象であるナフトルインドール系薬物の化学構造を示す図。 ナフトイルインドール系薬物(JWH-020)に対して得られたマススペクトルの一例を示す図。 第1のMRM測定における検出対象断片の説明図。 第1のMRM測定におけるMRMトランジションと推定対象の官能基R3との対応関係を示す図。 第2のMRM測定における検出対象断片の説明図。 第2のMRM測定におけるMRMトランジションと推定対象の官能基R2との対応関係を示す図。 プリカーサイオンスキャン測定における検出対象断片の説明図。 プリカーサイオンスキャン測定におけるプリカーサイオンと推定対象の官能基R1との対応関係を示す図。 測定結果であるクロマトグラム及び該クロマトグラム上でのピーク検出結果の一例を示す図。 20種類のナフトイルインドール系薬物の標準試料に対する検証結果を示す図。
本発明に係る薬物分析方法の一実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係る薬物分析方法を実施するGC-MS/MSシステムの一実施例の概略構成図である。
図1に示すように、このGC-MS/MSシステムは、GC部1と、MS/MS部2とを含む。GC部1は、微量の液体試料を気化させる試料気化室10と、試料成分を時間方向に分離するカラム12と、カラム12を温調するカラムオーブン11とを備える。一方、MS/MS部2は、図示しない真空ポンプにより真空排気される分析室20の内部に、測定対象である試料を電子イオン化(EI)法によりイオン化するイオン源21と、それぞれ4本のロッド電極から成る前段四重極マスフィルタ22及び後段四重極マスフィルタ25と、内部に多重極型イオンガイド24が配設されたコリジョンセル23と、イオンを検出してイオン量に応じた検出信号を出力する検出器26と、を備える。
分析制御部33は中央制御部34の指示の下に、GC部1及びMS/MS部2の動作をそれぞれ制御する機能を有する。入力部36及び表示部37が接続された中央制御部34は、これらを通したユーザインタフェイスのほか、システム全体の統括的な制御を担う。この中央制御部34に含まれる記憶装置には、後述する包括的な薬物同定処理を行うための特徴的な制御を実施する包括的薬物同定用制御プログラム35が格納されており、CPU等がこのプログラム35に従って分析制御部33を通して各部を制御することで、包括的に薬物を同定するために必要な測定やデータ処理が実行される。また、その際に、検出器26による検出信号(イオン強度信号)はデータ処理部30に入力され、このデータ処理部30に含まれる包括的薬物同定用データ処理部31は、薬物データベース32に保存されている情報を利用したデータ処理を実行することにより、試料に含まれる各種薬物を包括的に同定する。
なお、中央制御部34やデータ処理部30はパーソナルコンピュータをハードウエアとして、該コンピュータにインストールされた専用の制御・処理ソフトウエアを実行することにより具現化されるものとすることができる。この場合、入力部36はキーボードやポインティングデバイス(マウス等)であり、表示部37はディスプレイモニタである。
本実施例のGC-MS/MSシステムにおける基本的なMS/MS測定動作を概略的に説明する。
試料気化室10内に少量の試料液が滴下されると、試料液は短時間で気化し、該試料中の化合物はヘリウム等のキャリアガスに乗ってカラム12中に送り込まれる。カラム12を通過する間に、試料中の各化合物はそれぞれ異なる時間だけ遅れてカラム12出口に達する。カラムオーブン11は予め決められた温度プロファイルに従って加熱される。イオン源21は、カラム12出口から供給されるガス中の化合物を順次イオン化する。なお、イオン源21はEIイオン源であるため、イオン化の際に化合物の結合の一部が切断され(つまりは開裂が生じ)、1つの化合物由来の様々な断片のイオンが生成される。
分析制御部33により、前段四重極マスフィルタ22及び後段四重極マスフィルタ25の各ロッド電極にはそれぞれ、特定の質量電荷比を有するイオンを通過させるような電圧が印加される。これにより、化合物由来の各種イオンの中で特定の質量電荷比を有するイオンが前段四重極マスフィルタ22を通り抜けてコリジョンセル23に導入される。コリジョンセル23内には衝突誘起解離ガスが導入されており、コリジョンセル23内に導入されたイオンはこのガスに接触して開裂する。
この開裂により生じた各種プロダクトイオンはイオンガイド24により収束されつつ後段四重極マスフィルタ25に導入され、特定の質量電荷比を有するプロダクトイオンが後段四重極マスフィルタ25を通り抜けて検出器26に到達する。検出器26による検出信号はデータ処理部30に入力され、データ処理部30ではマススペクトルやマスクロマトグラム等が作成されるとともに、後述するような化合物同定などが実施される。
一般的なGC-MS/MSと同様に、本実施例のシステムでも、MS/MS測定のモードとして、MRM測定、プロダクトイオンスキャン測定、プリカーサイオンスキャン測定、ニュートラルロススキャン測定が用意されている。また、コリジョンセル23内でのイオンの開裂を伴わない通常の測定として、Q1スキャン測定、Q3スキャン測定、Q1-SIM測定、Q3-SIM測定が用意されている。以下に説明する包括的薬物同定処理では、MS/MS測定としてMRM測定及びプリカーサイオンスキャン測定を使用し、通常の測定としてQ3スキャン測定を使用する。
以下、本実施例のシステムを用いて実施される包括的なナフトイルインドール系薬物同定処理について説明する。図2はこの同定の手順を示すフローチャートである。
図3は同定対象であるナフトイルインドール系薬物の化学構造である。図示するように、この化合物は、(1H−インドール−3−イル)(ナフタレン−1−イル)メタノンを基本骨格として有する。インドール環の1位には官能基R1(第1官能基)が結合し、インドール環の2位には官能基R2(第2官能基)が結合し、さらにナフタレン環の4位には官能基R3(第3官能基)が結合している。非特許文献1に記載の省令では、指定薬物に包含される化合物における官能基R1、R3の種類が示され、また官能基R2が水素ではなくメチル基に置換された化合物も指定薬物に含まれている。
そのため、このナフトイルインドール系薬物を包括的に同定するには、次の2つが必要である。
[A](1H−インドール−3−イル)(ナフタレン−1−イル)メタノンを基本骨格として有することの確認。
[B]3種類の官能基R1、R2、R3が上記省令で指定されているものに相当するか否かの判断。
図4は、官能基R1:C7H15、R2:H、R3:Hであるナフトイルインドール系化合物をスキャン(Q3スキャン)測定して得られたマススペクトルの一例である。電子イオン化法でイオン化した場合、熱電子から与えられる過剰なエネルギによって、分子イオン中の一部結合が切断され、分子イオンよりも質量電荷比が小さな多様な断片由来のピークが観測される。イオン源において意図しない開裂を生じることで生成されたイオンの幾つかは官能基を1種類のみ含むので、そうしたイオンをプリカーサイオンとしたMS/MS測定を利用することで、官能基の種類の特定が可能である。そこで、ここでは、以下のような3種類のMS/MS測定を実施する。
[第1のMRM測定]
図4、図5(a)に示すように、イオン化の際に生成されるナフトイルは3種類の官能基のうち官能基R3のみを含み、また、図5(b)に示すように、ナフトイルをターゲットとした衝突誘起解離を行うと、官能基R3は残ったままカルボニル基が脱離したナフタレンが観測される。この場合、ナフトイルとナフタレンはいずれも官能基R3を含み、その官能基R3の種類によってナフトイル、ナフタレンともに質量電荷比が相違する。そこで、ナフトイルをプリカーサイオン、ナフタレンをプロダクトイオンとし、ナフタレンに付加している13種類の官能基R3の質量にそれぞれ対応するようにMRMトランジションを設定したMRM測定を第1のMS/MS測定とした。
この第1のMRM測定におけるMRMトランジションと官能基R3の種類との関係を図6に示す。即ち、このような13種類のMRMトランジションのいずれかにおいてイオンが観測されれば、そのMRMトランジションに対応する官能基が官能基R3である可能性が高いといえる。
[第2のMRM測定]
3種類の官能基のうち官能基R1がイオン化の際に脱離し、官能基R2のみを含むインドールカルボニルをターゲットとした衝突誘起解離を行うと、図7に示すように、官能基R2は残ったままカルボニル基が脱離したインドールが観測される。この場合、インドールカルボニルとカルボニル基が脱離したインドールはいずれも官能基R2を含み、その官能基R2の種類によってインドールカルボニル、インドールともに質量電荷比が相違する。そこで、官能基R1が脱離したインドールカルボニルをプリカーサイオン、官能基R1が脱離したインドールをプロダクトイオンとし、インドール環の2位に付加している2種類の官能基R2の質量にそれぞれ対応するようにMRMトランジションを設定したMRM測定を第2のMS/MS測定とした。
このMRM測定モードにおけるMRMトランジションと官能基R2の種類との関係を図8に示す。即ち、このような2種類のMRMトランジションのいずれかにおいてイオンが観測されれば、そのMRMトランジションに対応する官能基が官能基R2である可能性が高いといえる。
[プリカーサイオンスキャン測定]
上述したようにインドール環の窒素を修飾している官能基R1はイオン化の際に比較的脱離し易いものの、マススペクトル上には、官能基R1が脱離しない(つまり付加したままの)インドールカルボニルも観測される。このインドールカルボニルを衝突誘起解離により開裂させると、官能基R1が脱離する(図9参照)。そのため、その衝突誘起解離前のプリカーサイオンの質量電荷比と衝突誘起解離後のプロダクトイオンの質量電荷比との差は官能基R1に対応する。このとき、インドールカルボニルは官能基R2も含むが、官能基R2は2種類(水素又はメチル基)のみが分かりさえすればよいので、官能基R1が脱離したインドールカルボニルの質量電荷比は官能基R2の種類に応じてたかだか2種類である。そこで、R1官能基が脱離したインドールカルボニルにおいて官能基R2の位置に水素又はメチル基のいずれかが付加した2種類の質量電荷比をそれぞれプロダクトイオンに設定したプリカーサイオンスキャン測定を第3のMS/MS測定とした。
上述したように、プリカーサイオンスキャン測定によって観測されるイオンの質量電荷比とプロダクトイオンの質量電荷比との差は官能基R1の種類に対応する筈であるから、プリカーサイオンスペクトル上でピークが観測されるイオンの質量電荷比と設定したプロダクトイオンの質量電荷比との差から官能基R1の種類を推定することができる。プリカーサイオンの質量電荷比と官能基R1との関係を図10に示す。
上述した3種類のMS/MS測定の測定条件(測定モードや検出対象の質量電荷比など)は予め決まっているので、そうした測定条件は包括的薬物同定用制御プログラム35に格納しておくことができる。
或る試料中の違法薬物の同定を行う際に、測定者はまず入力部36から測定条件を設定する(ステップS1)。MS/MS測定の基本的な測定条件は決まっているので、それ以外の測定条件、例えば、GC分離条件やスキャン測定の際のスキャンスピード、コリジョンエネルギなどを必要に応じて設定すればよい。こうした測定条件の設定は全てデフォルト値を用いる或いは決まったメソッドファイルを用いることにより省略することができる。
測定者の指示により測定が開始されると、中央制御部34からの指示に基づき分析制御部33はGC部1及びMS/MS部2を制御し、測定開始時間から測定終了時間までの間、上述した13種類のMRMトランジションを含む第1のMRM測定、2種類のMRMトランジションを含む第2のMRM測定、及び、2種類のプロダクトイオンに対するプリカーサイオンスキャン測定、を繰り返しデータを収集する(ステップS2)。それぞれの測定によって得られたデータはデータ処理部30内のメモリに格納される。測定終了時間になると(ステップS3でYes)、測定を終了し、引き続いて包括的薬物同定用データ処理部31がデータ処理を実行する(ステップS4)。
包括的薬物同定用データ処理部31ではまず、MRM測定のMRMトランジション毎にマスクロマトグラムを作成し、プリカーサイオンスキャン測定のプロダクトイオン毎にトータルイオンクロマトグラムを作成する(ステップS5)。そして、それらクロマトグラム上でそれぞれピーク検出を行い、第1のMRM測定で得られる13のマスクロマトグラムのうちのいずれか1つ、第2のMRM測定で得られる2つのマスクロマトグラムのうちのいずれか1つ、及び、プリカーサイオンスキャン測定で得られる2つのトータルイオンクロマトグラムのうちのいずれか1つ、の3つのクロマトグラムにおいて、同じ保持時間に現れるピークを探索する(ステップS6)。
その3つのクロマトグラムにおいて同じ保持時間に出現するピークが存在するということは、その保持時間に現れた化合物がナフトイルとインドールカルボニルをその化学構造中に有することを意味し、これは(1H−インドール−3−イル)(ナフタレン−1−イル)メタノンを基本骨格として有することを意味している。そこで、同一保持時間に共通のピークの存在が確認されなかった(ステップS7でNoである)場合には、少なくともナフトイルインドール系の薬物ではないと判断する(ステップS8)。
一方、同一保持時間に共通のピークの存在が確認された(ステップS7でYesである)場合には、ナフトイルインドール系薬物ではあると推定できるから、第1のMRM測定で得られた13のマスクロマトグラムのうち上記共通のピークが観測されたMRMトランジションから官能基R3の種類を、第2のMRM測定で得られた2つのマスクロマトグラムのうち上記共通のピークが観測されたMRMトランジションから官能基R2の種類を、そして、プリカーサイオンスキャン測定で得られた2つのトータルイオンクロマトグラムのうち上記共通のピークが観測されたクロマトグラム上のピークの位置、つまり検出されたプリカーサイオンの質量電荷比から官能基R1の種類を、それぞれ推定する(ステップS9)。そうして推定された官能基R1、R2、R3から、検出されたナフトイルインドール系薬物の化学構造を推定し、該化合物を同定する(ステップS10)。そして、薬物が同定された場合にはその同定結果を、同定されなかった場合にはその旨を表示部37に表示して測定者に提示する(ステップS11)。
なお、上記説明した処理では、試料中の化合物を同定する際に薬物データベース32を使用していないが、薬物データベース32にマススペクトルが収録されているナフトイルインドール系薬物については従来行われているような単純なデータベース検索により化合物を同定するほうが効率的である。そこで、上述したMRM測定やプリカーサイオンスキャン測定とともに通常のスキャン測定(例えばQ3スキャン測定)を繰り返し実行してマススペクトルを順次取得し、そのスキャン測定で得られたデータに基づくトータルイオンクロマトグラム上で検出されたピークの出現位置のマススペクトルを薬物データベース32中のマススペクトルと照合することで、第1段階の化合物の同定を実行し、引き続き、上述したステップS5以降の同定処理を実施することで、第1段階の化合物の同定で見つからなかった(データベース検索から漏れた)ナフトイルインドール系薬物を同定するようにしてもよい。これにより、ナフトイルインドール系薬物の同定効率が上がるのみならず、ナフトイルインドール系以外の薬物や毒物も同定することができる。
また、上記説明における第1及び第2のMRM測定はいずれもプロダクトスキャン測定でも構わない。即ち、第1のMRM測定に代えて、官能基R3の質量の相違に応じたナフトイルをプリカーサイオンとしたプロダクトイオンスキャン測定を実行すればよく、第2のMRM測定に代えて、官能基R2の質量の相違に応じたインドールカルボニルをプリカーサイオンとしたプロダクトイオンスキャン測定を実行すればよい。ただし、官能基R3は13種類、官能基R2は2種類あり、合計15種類のプロダクトイオンスキャン測定を実行してデータを取得しようとすると感度面ではMRM測定に劣る。そこで、上記例では、より高い感度でイオン検出が可能なMRM測定を利用している。
上述した包括的薬物同定処理の適用例を具体的に説明する。
測定に使用した装置は以下のとおりである。
GC-MS/MS :島津製作所製 GCMS-TQ8030
カラム:レステック(Restek)社製 Rxi-5Sil MS(長さ30m、内径0.25mm、df=0.25μm)
官能基R1、R2、R3の組み合わせが異なる20種類の(1H−インドール−3−イル)(ナフタレン−1−イル)メタノンを基本骨格として有する違法薬物である化合物の標準試料を測定した。その化合物の種類と官能基R1、R2、R3は図12に示すとおりである。
代表的な例として、R1:C4H8CN、R2:H、R3:Hである通称AM2232(5−[3−(1−ナフトイル)1−1H−インドール−1−イル]ペンタンニトリル)の測定結果であるクロマトグラムとピーク検出結果の一部を図11に示す。第2のMRM測定におけるm/z 144>m/z 116のMRMトランジションに対応するマスクロマトグラムで観測されるピークと、第1のMRM測定におけるm/z 155>m/z 127のMRMトランジションに対応するマスクロマトグラムで観測されるピークと、プロダクトイオンがm/z 144でありプリカーサイオンがm/z 225であるクロマトグラムで観測されるピークとが、同じ保持時間となっている。したがって、このピークの保持時間が一致していることから、該保持時間において検出されている化合物は(1H−インドール−3−イル)(ナフタレン−1−イル)メタノンを基本骨格として有していることが確認できる。
また、上記共通のピークが検出される第1のMRM測定のMRMトランジションがm/z 155>m/z 127であることから官能基R3はHであると推定でき(図6参照)、同じ共通のピークが検出される第2のMRM測定のMRMトランジションがm/z 144>m/z 116であることから官能基R2もHであると推定でき(図8参照)、さらに同じ共通のピークが検出されるプリカーサイオンスキャン測定のプリカーサイオンがm/z 225であることから官能基R1はHでC4H8CNであると推定できる。これはAM2232の化学構造と一致しており、AM2232の同定が可能であると結論付けることができる。
図12には、AM2232を含めた20種類の(1H−インドール−3−イル)(ナフタレン−1−イル)メタノンを基本骨格として有する違法薬物を測定したときに検出されたイオンの質量電荷比を示す。これら全ての化合物について、実際の官能基に対応したイオンが検出されており、逆に、検出されたイオンの質量電荷比から3種類の官能基R1、R2、R3の種類の特定が可能であることが確認できる。
以上の結果から、本発明に係る薬物分析装置によれば、GC-MS/MSを用いた測定結果から、(1H−インドール−3−イル)(ナフタレン−1−イル)メタノンを基本骨格とするナフトイルインドール系違法薬物の包括的な同定が可能であることが検証できた。
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で、適宜変更や修正を行えることは明らかである。
例えば上記実施例では、試料中の化合物を分離するためにガスクロマトグラフを用いたが、液体クロマトグラフを用いてもよい。ただし、液体クロマトグラフのカラムから溶出する試料液中の化合物をイオン化するためには一般的に大気圧イオン化法が用いられ、大気圧イオン化法ではイオン化の段階でイオンが開裂しにくい。そこで、電子イオン化法による開裂と同様のフラグメントイオンが得られるようにインソース分解の機能を有するイオン源を用いるとよい。
1…GC部
10…試料気化室
11…カラムオーブン
12…カラム
2…MS/MS部
20…分析室
21…イオン源
22…前段四重極マスフィルタ
23…コリジョンセル
24…多重極型イオンガイド
25…後段四重極マスフィルタ
26…検出器
30…データ処理部
31…包括的薬物同定用データ処理部
32…薬物データベース
33…分析制御部
34…中央制御部
35…包括的薬物同定用制御プログラム
36…入力部
37…表示部

Claims (2)

  1. MS/MS測定が可能であるクロマトグラフ質量分析装置を用い(1H−インドール−3−イル)(ナフタレン−1−イル)メタノンを基本骨格とする特定の化合物を包括的に同定する薬物分析方法であって、
    a)クロマトグラフ質量分析装置により、同定対象の化合物を含む試料に対し、
    a1)イオン化の際の開裂によって生じるナフトイルをプリカーサイオン、該ナフトイルからカルボニル基が脱離したナフタレンをプロダクトイオンとし、ナフタレン環に結合している第3官能基の質量の相違に応じた複数のMRMトランジションを測定条件とした第1のMRM測定、又は、前記第3官能基の質量の相違に応じたナフトイルをプリカーサイオンとした第1のプロダクトイオンスキャン測定、
    a2)イオン化の際の開裂によって生じるインドールカルボニルをプリカーサイオン、該インドールカルボニルからカルボニル基が脱離したインドールをプロダクトイオンとし、インドール環に結合している第2官能基の質量の相違に応じた複数のMRMトランジションを測定条件とした第2のMRM測定、又は、前記第2官能基の質量の相違に応じたインドルカルボニルをプリカーサイオンとした第2のプロダクトイオンスキャン測定、及び、
    a3)インドール環の窒素に結合している第1官能基が脱離する一方、前記第2官能基が付加している状態のインドールカルボニルをプロダクトイオンとしたプリカーサイオンスキャン測定、
    という3種類のMS/MS測定を繰り返し実行する測定実行ステップと、
    b)第1のMRM測定又は第1のプロダクトイオンスキャン測定、第2のMRM測定又は第2のプロダクトイオンスキャン測定、及びプリカーサイオンスキャン測定によりそれぞれ得られたデータに基づいて作成される、その3種類の測定にそれぞれ対応したクロマトグラム上の同一保持時間にピークが共通に存在するか否かを判定することにより、前記基本骨格を有する特定化合物の存在を判断する化合物存在確認ステップと、
    c)前記第1のMRM測定又は第1のプロダクトイオンスキャン測定により得られたデータに基づいて第3官能基の種類を、前記第2のMRM測定又は第2のプロダクトイオンスキャン測定により得られたデータに基づいて第2官能基の種類を、前記プリカーサイオンスキャン測定により得られたデータに基づいて第1官能基の種類を、それぞれ推定し、それら推定結果に基づいて、前記化合物存在確認ステップにおいて存在が確認された特定化合物の化学構造を推定する構造推定ステップと、
    を有することを特徴とする、クロマトグラフ質量分析を用いた薬物分析方法。
  2. 請求項1に記載の薬物分析方法であって、
    前記測定実行ステップでは、試料由来のイオンを意図的に開裂させない通常のスキャン測定を前記3種類のMS/MS測定と併せて繰り返し実行し、
    前記通常のスキャン測定により得られたデータに基づいて作成されるマススペクトルを薬物データベースと照合することにより、既知の化合物を同定するデータベース利用同定ステップをさらに有し、
    前記構造推定ステップでは、前記薬物データベースに収録されていない未知の化合物についての構造推定を実施することを特徴とする、クロマトグラフ質量分析を用いた薬物分析方法。
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