JP6016742B2 - 溶射膜又は肉盛溶接層の材料選定方法及び装置 - Google Patents

溶射膜又は肉盛溶接層の材料選定方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、エロージョン及びコロージョンの環境下に置かれる部材に施工される溶射膜又は肉盛溶接層の主要元素を選定する場合に好適な材料選定方法及び装置に関する。
陸用ボイラや石炭ガス化複合発電設備、あるいはごみ発電ボイラ等に使用されるボイラ管は、燃焼灰などによるエロージョン(機械的な浸食作用)や、燃焼ガスに含まれる硫化水素、硫酸塩や塩化物等によるコロージョン(電気化学的な腐食作用)を重畳して受ける環境下に置かれる。このような環境下で使用される部材には、耐摩耗性及び耐食性の両方の性質を兼ね備える必要があり、どちらか一方が欠けても摩耗や腐食による減肉が進行する。
かかる環境下に置かれる部材の減肉対策として、部材の表面に溶射膜や肉盛溶接層を被覆する方法がある。しかし、耐摩耗性及び耐食性を念頭において材料を選定しても、実際のエロージョン・コロージョン環境下でどの程度の耐減肉効果があるのかを事前に確認することは容易にはない。
特許文献1には、実際に施工された溶射膜の膜質が健全であるか否かを現場で評価可能にした膜質評価方法が開示されている。この評価方法は、溶射膜の電気抵抗率と非破壊硬さと膜厚との相関関係から、溶射膜の所定の機能を満たすために必要とされる要求領域を設定する設定工程と、実際に施工された溶射膜の電気抵抗率、非破壊硬さ及び膜厚を計測する計測工程と、各計測値が要求領域内にあるとき、施工された溶射膜が健全であると判断する判断工程とからなるものである。
特開2011−106922号公報
特許文献1に開示された膜質評価方法は、施工された後の溶射膜の膜質を評価する評価方法であり、溶射膜の施工前に、溶射膜が要求仕様通りの耐摩耗性や耐食性を有するかどうかを予測可能にするものではない。施工された溶射膜が要求された耐摩耗性や耐食性を満たさず、減肉速度が見込み値より大きいことが判明したとき、溶射膜の取替えや保守点検スケジュールを見直す必要が生じる。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、エロージョン及びコロージョン環境下に置かれる部材の表面に溶射膜や肉盛溶接を施工する場合に、要求仕様通りの耐エロージョン・コロージョン特性を確実に発揮できる溶射膜や肉盛溶接層を製造可能とすることを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明の溶射膜又は肉盛溶接層の材料選定方法は、以下の各工程を行うことで、溶射膜又は肉盛溶接層(以下「溶射膜等」と言う)に含まれる元素のうち溶射膜等の耐エロージョン・コロージョン特性を左右する主要元素及びその含有量を選定し、要求仕様通りの耐エロージョン・コロージョン特性を発揮できる溶射膜等を製造可能にしたものである。
まず、溶射膜等に含まれる元素のうち溶射膜等の耐エロージョン・コロージョン特性を左右する主要元素を選定する。次に、選定された主要元素を成分として含み、エロージョン及びコロージョン環境下に置かれた既存の溶射膜等、又は試験片として作成され、エロージョン及びコロージョン環境下に置かれた溶射膜等のサンプルから、該主要元素の含有量、硬さ、膜厚及び減肉速度を計測し、これら計測値のデータ収集を行う。
次に、収集した計測データから、主要元素の含有量、溶射膜等の膜厚及び硬さを夫々座標軸とした3次元マップを作成し、この3次元マップに計測データをプロットする。さらに溶射膜等の要求減肉速度を設定し、計測データがプロットされた3次元マップから、要求減肉速度を満たす要求領域を算出する。こうして算出された要求領域の中から、溶射膜等の主要元素の含有量を選定する。主要元素の含有量を選定した後、他の必要な元素及びその含有量を決め、溶射膜等の成分元素及びそれらの含有量を決定する。
溶射膜の硬さは溶射膜の緻密性と相関し、耐摩耗性を評価する指標となる。そのため、硬さが大きいほど優れた耐摩耗性(耐エロージョン特性)を有する。肉盛溶接層についても、同様に溶接層内に溶接欠陥などの無い健全なミクロ組織で硬さの大きいものほど優れた耐摩耗性(耐エロージョン特性)を有する。
廃棄物焚き循環流動床ボイラでは、燃料として用いられる高カロリーのゴミ固形化燃料(RDF)中にHClが多く含まれている。そのため、運転中にHClガスやHClガスから生じたKClやNaCl等が気相凝縮し、気孔内に腐食性ガスや溶融塩が侵入し、溶射膜を内部から、そして被溶射基材となる伝熱管金属などを腐食させてしまう。緻密性が低い溶射膜では気孔が多く存在するため、耐食性が低い溶射膜となる。
また、溶射膜等の膜厚を用途に応じて適切な膜厚とすることで、優れた耐エロージョン・コロージョン特性を得ることができる。溶射膜等の膜厚が一定以上であれば、硬さ計測の精度を高めることができる。また、溶射膜等の膜厚が厚ければ、溶射膜等の耐摩耗性及び耐食性は向上するが、膜厚が厚すぎると、割れや剥離などの問題が生じる。
従って、これらのパラメータを評価指標として選定し、これらのパラメータの相関関係から、要求減肉速度を満たす要求領域を選定することで、耐エロージョン・コロージョン特性を有する溶射膜等を製造できる。
溶射膜等の膜質は、施工の際の条件(溶射ガンと被溶射面との間の溶射距離や溶射角度など、あるいは肉盛溶接方法など)によっても左右される。これに対し、本発明方法においては、主要元素の種々の含有量に対して、エロージョン及びコロージョンの環境下に置かれた既存の溶射膜等、又は試験片として作成され同様の環境下に置かれた溶射膜等のサンプルを用い、これらから計測された溶射膜等の硬さ、膜厚及び減肉速度の相関関係から、溶射膜の要求減肉速度を満たす主要元素の含有量を選定しているので、本発明方法により製造された溶射膜等は、要求仕様通りの耐エロージョン・コロージョン特性を発揮できる。
本発明方法の一実施態様として、前記3次元マップから、主要元素の異なる含有量毎に溶射膜等の硬さ及び膜厚を座標軸に取った複数の2次元マップを作成する。この2次元マップに溶射膜等の硬さ、膜厚及び減肉速度をプロットすると共に、2次元マップから溶射膜等の要求減肉速度を満たす要求仕様領域を算出するようにすることができる。
これによって、溶射膜等の要求減肉速度を満たす要求仕様領域を、2次元マップ上で明瞭に把握することができる。
エロージョン及びコロージョン環境として、例えば、硫黄成分を含む環境がある。これは、石炭、石油、ごみ等に含まれる硫黄分が硫酸塩灰やHSガスとなって排ガス中に含まれるためである。これらの物質によって溶射膜等の摩耗や腐食が起る。
図8は、高温HS環境下による0.13mm/年の等腐食度曲線を示す(出典:A.S.Couper and J. W. Gorman:Mater.Prot.Perform., 10,No.1 31 (1971))。この図から、Cr含有量が高い合金ほど硫化腐食環境下で優れた耐食性を示すことがわかる。従って、硫黄成分を含む環境下ではCrを主要元素として選定することができる。
また、エロージョン・コロージョン環境として、例えば、塩素成分を含む環境が考えられる。ごみの燃焼ガスにはプラスチック分の中の塩化ビニールの燃焼により生じたHClガスが存在する。また、ごみの中の無機物質や海塩粒子からもClが混入するため、燃焼灰が堆積したボイラ管の伝熱面には通常塩化物が存在している。これらの塩化物によって溶射膜の摩耗や腐食が起る。
図9は、オーステナイト系耐熱材料の高温腐食特性(400℃、20hr加熱、塩化物灰環境下、*は高Cr高Ni合金)を示す(住友金属 Vol.46 No.2 (1994))。図から、高Ni合金ほど耐食性が良好であることがわかる。
本発明者等は、塩素成分、例えば塩化物を含む環境下では、Ni及びMoが溶射膜等の耐エロージョン・コロージョン特性を左右する主要元素であることを見い出した。従って、塩素成分を含む環境下では、溶射膜等の要求減肉速度を満たす要求仕様領域の中から(Ni+Mo)含有量を選定するとよい。
本発明方法の一実施態様として、計測データの収集時に、溶射膜の硬さに関する計測値として、非破壊硬さ試験で得られた計測値を採用し、かつ計測対象とする溶射膜の膜厚が少なくとも1,00〜5,000μm(5mm)を含むようにすることができる。
非破壊硬さとは非計測対象物である溶射膜を変形させずに計測した硬さを言う。本発明では膜厚が比較的薄い溶射膜を対象とするため、ビッカース硬さ試験を非破壊硬さ試験として位置付ける。非破壊硬さを計測する場合、少なからず母材の硬さの影響を受けるために、事前に母材を含んだ溶射膜等の硬さを把握し、硬さと減肉速度との相関関係の評価を進める必要がある。
前記本発明方法を直接実施するために用いられる本発明の溶射膜又は肉盛溶接層の材料選定装置は、エロージョン及びコロージョン環境下に置かれる部材の表面に施工される溶射膜等の主要元素の含有量を選定する材料選定装置であって、耐エロージョン・コロージョン特性を左右する主要元素を含み、前記部材の表面に施工され、エロージョン及びコロージョン環境下に置かれた溶射膜等から主要元素の含有量、硬さ、膜厚及び減肉速度を計測する計測器と、主要元素の含有量、溶射膜の膜厚及び硬さを夫々座標軸とする3次元マップを作成し、該3次元マップに前記計測器で計測された主要元素の含有量、溶射膜等の硬さ、膜厚及び減肉速度をプロットする3次元マップ作成手段と、溶射膜等の要求減肉速度を設定する設定手段と、該3次元マップから、溶射膜等の要求減肉速度を満たす要求領域を算出する算出手段と、要求領域の中から溶射膜等の主要元素の含有量を選定する含有量選定手段とを備えたものである。
前記構成により、本発明方法の実施が可能になる。即ち、エロージョン及びコロージョンの環境下に置かれた既存の溶射膜等、又は試験片として作成され、前記環境下に置かれた溶射膜等のサンプルから、前記計測器によって溶射膜等から主要元素の含有量、硬さ、膜厚及び減肉速度を計測し、予め計測データを収集する。そして、3次元マップ作成手段によって、これらの計測データがプロットされた3次元マップが作成される。
算出手段では、前記3次元マップと前記設定手段で設定された溶射膜等の要求減肉速度とから要求領域を算出する。算出された要求領域から主要元素の含有量を選定することにより、設定された要求減肉速度を満足する耐エロージョン・コロージョン特性を正確に再現できる溶射膜等を製造できる。
本発明装置の一実施態様として、3次元マップから、主要元素の異なる含有量毎に溶射膜等の膜厚及び硬さを夫々座標軸に取った複数の2次元マップを作成すると共に、各2次元マップに溶射膜等の硬さ、膜厚及び減肉速度をプロットする2次元マップ作成手段をさらに備えるようにすることができる。そして、算出手段によって、2次元マップから溶射膜等の要求減肉速度を満たす要求領域を算出するようにする。
このように、主要元素の含有量毎に複数の2次元マップを作成することで、溶射膜等の要求減肉速度を満たす要求仕様領域を、マップ上で明瞭に把握できる。
なお、本発明は、施工後の溶射膜等が要求仕様通りの性状を有するかどうかを評価する場合にも適用可能である。
本発明によれば、エロージョン・コロージョン環境下に置かれた溶射膜等から計測した計測値で作成した3次元マップから、溶射膜等の主要元素の含有量を選定するので、試行錯誤することなく、所望の耐エロージョン・コロージョン特性を有する溶射膜等を正確に製造できる。
本発明の第1実施形態に係る作業工程のフロー図である。 前記第1実施形態で用いられる材料選定装置のブロック線図である。 前記材料選定装置でエロージョン・コロージョン試験結果をプロットした3次元マップである。 前記3次元マップから作成された2次元マップである。 前記3次元マップから作成された2次元マップである。 前記3次元マップから作成された2次元マップである。 前記3次元マップから作成された2次元マップである。 高温HS環境下による等腐食度曲線を示す線図である。 オーステナイト系耐熱材料の高温腐食特性を示す線図である。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
(実施形態1)
次に、本発明の第1実施形態を図1〜図7により説明する。本実施形態は、HS環境下に置かれるボイラ管に施工される溶射膜等の例である。図1は本実施形態の作業工程を示している。図1において、まず、主要元素を選定する(S10)。本実施形態では、溶射膜等の耐エロージョン・コロージョン特性を左右する主要元素としてCrを選定する。次に、計測データ収集工程に移行する(S12)。
計測データ収集工程(S12)では、種々のCr含有量を有する溶射膜等の計測用サンプルを用意する。この計測用サンプルは、非破壊硬さ、膜厚及び減肉速度を実際に計測するために用いられる溶射膜等である。この計測用サンプルはHS環境下で実際に用いられた既存の溶射膜等であってもよく、あるいは試験片として新たに作成し、所定期間HS環境下に置かれた溶射膜等であってもよい。
次に、Cr含有量、非破壊硬さ(ビッカース硬さHV)及び膜厚を夫々座標軸とする3次元マップを作成する。そして、この3次元マップに計測データ収集工程(S12)で収集した計測データをプロットする(S14)。そして、この3次元マップから、主要元素であるCrの異なる含有量毎に、溶射膜等の非破壊硬さ及び膜厚を座標軸に取った複数の2次元マップを作成する(S16)。次に、要求減肉速度を設定した後(S18)、複数の2次元マップから設定された要求減肉速度を満たす要求領域を算出する(S20)。
最後に、算出された要求領域の中から、溶射膜等の主要元素であるCrの含有量を選定する(S22)。その後、他の必要な元素及びその含有量を決め、溶射膜等の成分及びそれらの含有量を決定する。
次に、本実施形態で用いられる材料選定装置10の構成を図2に基づいて説明する。
材料選定装置10は、Cr含有量計測器12、非破壊硬さ計14、膜厚計16及び減肉度計18で構成されるデータ取得部19を有している。用意した計測用サンプルのCr含有量、非破壊硬さ(ビッカース硬さHV)、膜厚及び減肉速度をCr含有量計測器12、非破壊硬さ計14、膜厚計16及び減肉度計18を用いて計測する。Cr含有量計測器12として、例えば簡易蛍光X線装置などを用いて計測する。非破壊硬さ計14として、ビッカース硬さ計測器を用いて非破壊的に計測する。膜厚計16として、例えば、電磁膜厚計や超音波膜厚計等の膜厚計を用いて溶射膜の膜厚を計測する。減肉度計18として、例えば超音波肉厚計や膜厚計16と同様の計測器を用いる。
これらの計測値を制御装置20に内蔵された記憶部22に一旦記憶させる。そして、記憶部22に記憶させた前記4種の計測値を3次元マップ作成部20に送り、3次元マップを作成する。3次元マップ作成部24では、減肉度計18で計測した減肉度を各計測用サンプルがHS環境下で置かれた期間で割算し、減肉速度を算出すると共に、図3に示す3次元マップを作成する。
図3において、3次元マップのx軸はCr含有量(w%)であり、y軸は非破壊硬さ(ビッカース硬さHV)であり、z軸は膜厚(μm)である。この3次元マップに、計測用サンプルから得られた計測値をプロットすると共に、演算した減肉速度(mm/年)をプロットする。次に、この3次元マップから、異なるCr含有量毎に、溶射膜の膜厚をx軸とし、非破壊硬さをy軸とした複数の2次元マップを作成する。
図4〜図7は、こうして作成した4個の2次元マップである。図4は、Cr含有量が10w%(A点)の場合の2次元マップであり、図5はCr含有量が22w%(B点)の場合の2次元マップであり、図6はCr含有量が30w%(C点)の場合の2次元マップであり、図7はCr含有量が40w%(D点)の場合の2次元マップである。これらの図において、斜線部は要求減肉速度(0.2mm/年以下)を満たした減肉速度の領域を示している。また、図5中、E点は、減肉速度が0.2mm/年以下の領域にあり、本実施形態の要求仕様を満たしている。一方、F点は、減肉速度が0.3mm/年以上であり、本実施形態の要求仕様を満たしていない。
本実施形態では、計測用サンプルの膜厚(z軸)は100〜5,000μm(5mm)及びその周辺の膜厚領域で計測値がプロットされている。非破壊硬さを計測する場合、少なからず母材の硬さの影響を受けるため、事前に母材を含んだ溶射膜または肉盛溶接層の硬さを把握し、硬さと減肉速度の相関関係の評価を進める。
なお、非破壊硬さを計測する場合、計測用サンプルの膜厚を一定以上厚くすることで、即ち、1,000〜3,000μm及びその周辺領域を含むようにすることで、母材の硬さの影響を受けることなく、高い精度で非破壊硬さ(ビッカース硬さ)を計測できる。
3次元マップ作成部24で作成された3次元マップ、及び2次元マップ作成部26で作成された2次元マップは、夫々記憶部22に記憶される。また、要求領域算出部28には2次元マップが入力されると共に、要求減肉速度設定部28で設定された要求減肉速度が入力される。要求領域算出部30では、2次元マップ及び要求減肉速度からこの要求減肉速度を満たす要求領域を算出する。Cr含有量選定部32では、要求領域算出部30で算出された要求領域の中から、この要求領域を満たすCr含有量を選定する。
こうして主要元素であるCr含有量が選定された後で、他の含有元素の含有量が選定され、溶射膜等を構成する成分が決定される。
本実施形態によれば、溶射膜等の主要元素となるCrの含有量を、HS環境下に置かれた溶射膜の計測用サンプルを用い、Cr含有量、非破壊硬さ及び膜厚を座標軸とした3次元マップに計測した減肉速度をプロットすることで、要求減肉速度を把握できる。そのため、所望の耐エロージョン・コロージョン特性を有する溶射膜等を正確に製造できる。
さらに、3次元マップから、異なるCr含有量毎に複数の2次元マップを作成することで、溶射膜等の要求減肉速度をマップ上に明瞭に表すことができるので、Cr含有量の選定を正確に行うことができる。
非破壊硬さを計測する場合、少なからず母材の硬さの影響を受けるため、事前に母材を含んだ溶射膜または肉盛溶接層の硬さを計測し、当該硬さと減肉速度の相関関係の評価を把握しておくことで、正確に減肉速度評価を実施することができる。
(実施形態2)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態は、ごみ発電ボイラのように、HClガスなどの塩化物が存在する環境下に置かれたボイラ管に施工される溶射膜等の材料選定例である。この例では、主要元素としてNi及びMoを選定する。その後の工程は、図2の材料選定装置10を用いて、図1に示された第1実施形態と同様の工程を行う。
即ち、計測データ収集工程では、種々の(Ni+Mo)含有量を有する溶射膜等の計測用サンプルを用意する(S12)。この計測用サンプルは、非破壊硬さ、膜厚及び減肉速度を実際に計測するために用いられる溶射膜等であり、塩化物環境下で実際に用いられた既存の溶射膜等であってもよく、あるいは試験片として新たに作成し、所定期間塩化物環境下に置かれた溶射膜等であってもよい。
次に、(Ni+Mo)含有量、非破壊硬さ(ビッカース硬さHV)及び膜厚を夫々座標軸とする3次元マップを作成する。そして、この3次元マップに計測データ収集工程(S12)で収集した計測データをプロットする(S14)。
さらに、この3次元マップから、異なる(Ni+Mo)含有量毎に、溶射膜等の非破壊硬さ及び膜厚を座標軸に取った複数の2次元マップを作成する(S16)。
次に、要求減肉速度を設定した後(S18)、複数の2次元マップから設定された要求減肉速度を満たす要求領域を算出する(S20)。
最後に、算出された要求領域の中から、溶射膜等の主要元素であるCrの含有量を選定する(S22)。その後、他の必要な元素及びその含有量を決め、溶射膜等の成分及びそれらの含有量を決定する。
本実施形態においても、塩化物環境下で所望の耐エロージョン・コロージョン特性を有する溶射膜等を正確に製造できる。さらに、3次元マップから、異なる(Ni+Mo)含有量毎に複数の2次元マップを作成することで、溶射膜等の要求減肉速度をマップ上に明瞭に表すことができるので、(Ni+Mo)含有量の選定を正確に行うことができる。
本発明によれば、例えばボイラ管のように、エロージョン及びコロージョンの環境下に置かれる部材の表面に溶射膜等を施工する場合に、要求仕様通りの耐エロージョン・コロージョン特性を確実に発揮できる溶射膜等を製造することができる。
10 材料選定装置
12 Cr含有量計測器
14 非破壊硬さ計
16 膜厚計
18 減肉度計
19 データ取得部
20 制御装置
22 記憶部
24 3次元マップ作成部
26 2次元マップ作成部
28 要求減肉速度設定部
30 要求領域算出部
32 Cr含有量選定部

Claims (7)

  1. エロージョン及びコロージョン環境下に置かれる部材の表面に施工される溶射膜又は肉盛溶接層の主要元素の含有量を選定する溶射膜又は肉盛溶接層の材料選定方法であって、
    溶射膜又は肉盛溶接層に含まれる元素のうち該溶射膜又は該肉盛溶接層の耐エロージョン・コロージョン特性を左右する主要元素を選定する主要元素選定工程と、
    選定された主要元素を含み、前記部材の表面に施工され、エロージョン及びコロージョン環境下に置かれた溶射膜又は肉盛溶接層から、前記主要元素の含有量、硬さ、膜厚及び減肉速度を計測し、これらの計測データを予め収集するデータ収集工程と、
    前記主要元素の含有量、前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の膜厚及び硬さを夫々座標軸とした3次元マップに前記計測データをプロットする3次元マップ作成工程と、
    前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の要求減肉速度を設定する要求減肉速度設定工程と、
    前記3次元マップから、前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の要求減肉速度を満たす要求領域を算出する算出工程と、
    前記要求領域の中から前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の主要元素の含有量を選定する含有量選定工程とを含むことを特徴とする溶射膜又は肉盛溶接層の材料選定方法。
  2. 前記3次元マップから、前記主要元素の異なる含有量毎に前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の硬さ及び膜厚を夫々座標軸とした複数の2次元マップを作成し、該2次元マップに前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の硬さ、膜厚及び減肉速度をプロットする2次元マップ作成工程をさらに含み、
    前記算出工程は、前記2次元マップから前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の要求減肉速度を満たす要求領域を算出するものであることを特徴とする請求項1に記載の溶射膜又は肉盛溶接層の材料選定方法。
  3. 前記溶射膜又は前記肉盛溶接層は硫黄成分を含むエロージョン及びコロージョン環境下で用いられ、前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の主要元素はCrであることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶射膜又は肉盛溶接層の材料選定方法。
  4. 前記溶射膜又は前記肉盛溶接層は塩素成分を含むエロージョン及びコロージョン環境下で用いられ、前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の主要元素はNi及びMoであり、
    前記含有量選定工程は、(Ni+Mo)含有量を選定するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶射膜又は肉盛溶接層の材料選定方法。
  5. 前記データ収集工程において、前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の硬さに関する計測値は非破壊硬さ試験で得られた計測値であり、かつ計測対象とする溶射膜又は肉盛溶接層の膜厚が少なくとも100〜5,000μmを含むことを特徴とする請求項1に記載の溶射膜又は肉盛溶接層の材料選定方法。
  6. エロージョン及びコロージョン環境下に置かれる部材の表面に施工される溶射膜や肉盛溶接層の主要元素の含有量を選定する溶射膜又は肉盛溶接層の材料選定装置であって、
    耐エロージョン・コロージョン特性を左右する主要元素を含み、前記部材の表面に施工され、エロージョン及びコロージョン環境下に置かれた溶射膜又は肉盛溶接層から前記主要元素の含有量、硬さ、膜厚及び減肉速度を計測する計測器と、
    前記主要元素の含有量、前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の膜厚及び硬さを夫々座標軸とする3次元マップを作成し、該3次元マップに前記計測器で計測された前記主要元素の含有量、前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の硬さ、膜厚及び減肉速度をプロットする3次元マップ作成手段と、
    前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の要求減肉速度を設定する要求減肉速度設定手段と、
    前記3次元マップから、前記溶射膜の要求減肉速度を満たす要求領域を算出する算出手段と、
    前記要求領域の中から前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の主要元素の含有量を選定する含有量選定手段とを備えていることを特徴とする溶射膜又は肉盛溶接層の材料選定装置。
  7. 前記3次元マップから、前記主要元素の含有量毎に前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の膜厚及び硬さを夫々座標軸に取った複数の2次元マップを作成すると共に、前記複数の2次元マップに前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の硬さ、膜厚及び減肉速度をプロットする2次元マップ作成手段をさらに備え、
    前記算出手段は、前記2次元マップから前記溶射膜又は前記肉盛溶接層の要求減肉速度を満たす要求領域を算出するものであることを特徴とする請求項6に記載の溶射膜又は肉盛溶接層の材料選定装置。
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