下記用語が本願明細書で使用される際、下記用語は以下の定義で用いている。
本明細書中、「含む(含有する)」(“comprising”)、「有する」(“having”)及び「含む(包含する)」(“including”)という用語は、オープンの、非限定的な意味で用いている。
“Me”という語はメチル(基)を意味し、“Et”はエチル(基)を意味し、“Ac”はアセチル(基)を意味する。
本明細書中、「アルキル(基)」という用語は、特に断りがない限り、直鎖又は分枝部分を有する、炭素数1〜6の一価の飽和炭化水素基(radical)を包含する。
本明細書中、「シクロアルキル(基)」という用語は、特に断りがない限り、本願明細書で言及される、全体で3〜10個の炭素原子、好ましくは5〜8個の環内炭素原子を含んでいる、非芳香族の飽和又は部分飽和の、単環、又は、縮合環、スピロ環若しくは非縮合環である二環若しくは三環の炭化水素を指す。シクロアルキルの例としては、3〜7個、好ましくは3〜6個の炭素原子を有する単環、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。シクロアルキルの具体例としては、限定されないが、以下のものに由来する基が挙げられる。
本明細書中、「アリール(基)」という用語は、特に断りがない限り、芳香族炭化水素から一つの水素を取り除いて得られる有機基(radical)であって、環構造全体で6〜14の炭素原子を含む基を包含し、例えばフェニル基又はナフチル基である。
「予防(する)」(preventing)という用語は、本願明細書で特定する疾患を有していると診断された患者又は患畜、あるいは当該疾患を発症する危険性がある患者又は患畜において、当該疾患を予防する本発明の化合物又は組成物の作用をいう。「予防(する)」という用語はまた、上記疾患を既に罹患している、あるいは上記疾患の症状を有している患者又は患畜において、疾患が更に進行しないよう防ぐことも包含している。
「患者・患畜(patient)」又は「対象(subject)」という用語は、動物(例えばウシ、ウマ、羊、豚、鶏、七面鳥、ウズラ、猫、犬、マウス、ラット、ウサギ、モルモット等)又は哺乳動物を意味し、キメラ動物及びキメラ哺乳動物、並びに形質転換動物及び形質転換哺乳動物も包含する。例えば痛風又は高尿酸血症の治療又は予防において、「患者・患畜(patient)」又は「対象(subject)」という用語は、好ましくはサル、チンパンジー、又はヒトであり、最も好ましくはヒトを意味する。
「治療上有効な量」という用語は、本発明の化合物の、痛風若しくは高尿酸血症等の治療若しくは予防における利益をもたらすのに充分な量、又は、痛風若しくは高尿酸血症の予防に関連する症状を遅延若しくは最小化するのに充分な量、又は、疾患若しくは感染症、若しくはその原因を治療若しくは改善するのに充分な量をいう。特に、治療上有効な量は、in vivoで治療上の効能をもたらすのに充分な量を意味する。本発明の化合物の量に関して用いる場合には、上記用語は好ましくは、治療全体(overall therapy)を向上させる無毒性量、疾患の症状や原因を減少又は回避する無毒性量、あるいは、他の治療剤の治療効能又は他の治療剤との相乗効果を高める無毒性量を包含する。
「痛風」という用語は、炎症性関節炎、関節部での尿酸塩結晶の沈着、腎実質での尿酸塩結晶の沈着、尿路結石、及び、腎結石症を含む疾患のグループを意味する。
「組み合わせ(て)(in combination)」という語は、それぞれの効能が相加的又は相乗的になるよう、同時に又は逐次的に2種以上の予防剤及び/又は治療剤を使用することをいう。
「治療(する)(treating)」という用語は、
(i)疾患、不調及び/又は症状が生じ易い傾向があるが、未だ発症しているとは診断されていない動物において、該疾患、不調又は症状を発症させないようにすること、
(ii)該疾患、不調又は症状を抑止する、すなわち、その発症を阻止すること、並びに、
(iii)該疾患、不調又は症状を和らげる、すなわち、該疾患、不調及び/又は症状を軽減させることをいう。
“R”及び“S”という用語は、描かれた化学構造中の不斉炭素原子における置換基の特定の立体化学的配置を示すものである。
“rac”という用語は、化合物がラセミ化合物であることを示したものである。ラセミ化合物とは、一対のエナンチオマーの等モル混合物として定義される。“rac”化合物は光学活性を示さない。ラセミ化合物の化学名又は式は、(±)−若しくはrac−(若しくはracem−)という接頭辞、又は、RS及びSRという符号によりエナンチオマーと区別される。
「エンド(endo)」及び「エキソ(exo)」という用語は、ビシクロ[x.y.z]アルカン(x≧y>z>0)中の橋頭原子ではない原子に結合した置換基の相対的な配向を表す言葉である。
「シン(syn)」及び「アンチ(anti)」という用語は、ビシクロ[x.y.z]アルカン(x≧y>z>0)中の橋頭原子に結合した置換基の相対的な配向を表す言葉である。
“exo”という言葉は、最も大きな番号のついた橋(z橋、例えば下記例のC−7)側に配向した置換基(例えば下記に示す例において、C−2に結合したBr基)に付される。もしその置換基が最も大きな番号のついた橋から離れる側に配向している場合には、その置換基には“endo”という言葉が付される。
“syn”という言葉は、最も大きな番号のついた橋(z橋)に結合した置換基(例えば下記に示す例において、C−7に結合したF)に付され、最も小さな番号のついた橋(x橋、例えば下記例のC−2やC−3)側に配向している。もしその置換基が最も小さな番号のついた橋から離れる側に配向している場合には、その置換基には“anti”という言葉が付される。
「シス(cis)」及び「トランス(trans)」という言葉は、二重結合によって結ばれている異なる原子、又は環構造に含まれている異なる原子に結合した2つの配位子の関係を示す言葉である。2つの配位子が面の同じ側にある場合には、その2つの配位子は互いにシスの位置にあると言われる。2つの配位子が相対する側にある場合、その相対的な位置はトランスであるとされる。二重結合の適切な基準面は、関連するσ結合の面に垂直で、二重結合を通る面である。環の場合、基準面は環の中間面である。
本発明の方法に用いる化合物は、互変異性現象を示すものであってもよい。式Iは、すべての可能な互変異性形態を明確に描くことはできないが、描かれた化合物のあらゆる互変異性形態を表すことを意図しているものと解されるべきであって、式に描かれた特定の化合物の形態に単に限定されるものではない。
上記化合物は、単一の立体異性体(すなわち、本質的に他の立体異性体を含まないもの)であってもよく、ラセミ化合物であってもよく、且つ/又は、エナンチオマー及び/又はジアステレオマーの混合物であってもよい。そのような単一の立体異性体、ラセミ化合物及び、その混合物は全て、本発明の範囲に含まれることを意図している。好ましくは光学活性を有する化合物は、光学的に純粋な形態で使用される。
当業者によって一般的に理解されるように、1つの不斉中心(すなわち1つの不斉炭素原子)を有する光学的に純粋な化合物は、2つの可能なエナンチオマーのうちの1つから本質的に成る〔すなわち、鏡像異性的に純粋(enantiomerically pure)である〕。また2つ以上の不斉中心を有する光学的に純粋な化合物はジアステレオマー的に純粋で、且つ、鏡像異性的にも純粋である。好ましくは、本発明の方法に用いる化合物は、本化合物の他のエナンチオマー又はジアステレオマーを10%以上は含んでいない形態、すなわち90%以上単一の異性体を含む形態〔80%鏡像体過剰率(“e.e.”)又はジアステレオマー過剰率(“d.e.”)〕で使用され、より好ましくは95%(90%e.e.又はd.e.)以上、更に好ましくは97.5%(95%e.e.又はd.e.)以上、最も好ましくは99%(98%e.e.又はd.e.)以上単一の異性体を含む形態で使用される。
さらに式Iは、同定された構造の溶媒和された形態、さらに、溶媒和されていない形態も含むものである。例えば、式Iは、示された構造の化合物が水和された形態と非水和の形態の両方を含む。他の溶媒和物として、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸ペンチル、酢酸、又は、エタノールアミンと結合した構造を含む。
式Iの化合物に加え、本発明は薬学的に許容されるプロドラッグ、薬学的に活性のある代謝物、並びに、該化合物及び代謝物の薬学的に許容される塩を包含する。
「薬学的に許容されるプロドラッグ」は、生理学的条件下で又は加溶媒分解によって特定の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩へと変換された後に薬理学的効果を発揮しうる化合物である。典型的には、プロドラッグは化学的安定性の向上、患者又は患畜の受容性(acceptance)及び服薬率(コンプライアンス)の向上、バイオアベイラビィリティの向上、作用持続時間の延長、器官選択性の向上、処方の改善(例えば水溶解性の向上等)及び/又は副作用(例えば毒性等)の低減等を目的として調剤される。プロドラッグは、式Iの化合物から当該技術分野において公知の方法、例えば、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Chemistry,1,172−178、949−982(1995)に記載された方法等を用いて容易に調製できる。公知の方法としては、さらにBertoliniら,J.Med.Chem.,40,2011−2016(1997);Shanら,J.Pharm.Sci.,86(7),765−767;Bagshawe,Drug Dev.Res.,34,220−230(1995);Bodor,Advances in Drug Res.,13,224−331(1984);Bundgaard,Design of Prodrugs(Elsevier Press 1985);Larsen,Design and Application of Prodrugs,Drug Design and Development(Krogsgaard−Larsenら編集,Harwood Academic Publishers,1991);Dearら,J.Chromatogr.B,748,281−293(2000);Spraulら,J.Pharmaceutical&Biomedical Analysis,10,601−605(1992);及び、Proxら,Xenobiol.,3,103−112(1992)も参照されたい。
「薬学的に活性な代謝物」とは、特定の化合物又はその塩の体内での代謝を通して作られる、薬理学的に活性な物質を意味することを意図している。体内に摂取された後、ほとんどの薬は化学反応の基質となり、その際に物性や生物学的な効果が変わり得る。これらの代謝による変換は、通常、式Iの化合物の極性に影響するため、薬の体内での分配方法や体外への排出方法を変える。しかしながら、薬の代謝が、治療上の効果を与える上で必要な場合もある。例えば、代謝拮抗型抗がん剤の場合には、癌細胞に送達された後、活性型に変換されなければならない。
ほとんどの薬はある種の代謝による変換を受けることから、薬物代謝において役割を果たす生化学反応は非常に多く且つ多岐に渡るものであろう。他の組織も関与するものの、薬物代謝の主要部位は肝臓である。
これら多くの変換の特徴は、代謝生成物又は「代謝物」が、親薬剤よりも極性が高くなっていることである。但し、極性が高い薬がより極性の低い物質を生成することもある。脂質/水分配係数が高い物質は細胞膜を容易に通過するが、尿細管から腎尿細管細胞を通って血漿へと向かう逆方向への拡散もしやすい。従って、そのような物質は腎クリアランスが低く、体内滞留時間が長い傾向がある。薬がより極性の高い化合物、すなわち、より低い分配係数を有するものへと代謝された場合、管でのその再吸収は大幅に減少するであろう。さらに、近位尿細管及び肝実質細胞でのアニオンとカチオンに対する特定の分泌機構は、極性の高い物質に対して働く。
具体例としては、フェナセチン(アセトフェネチジン)やアセトアニリドは、効き目が穏やかな鎮痛剤でもありかつ解熱剤でもあるが、体内で、より極性が高く、より効能の高い代謝物であるp−ヒドロキシアセトアニリド(アセトアミノフェン)に変換される。p−ヒドロキシアセトアニリド(アセトアミノフェン)は、今日広く使われているものである。ある処方量のアセトアニリドがヒトに投与されたとき、血漿中ではその後発生する代謝物の極大化と減少が連続して起こる。初めの1時間は、アセトアニリドが血漿の主成分である。次の1時間は、アセトアニリドの濃度が減少するにつれて、代謝物であるアセトアミノフェンの濃度が極大に達する。最終的に、数時間が経過すると、不活性で体外に排出され得る、さらに代謝が進んだ物質が血漿の主成分となる。このように、1つ又は複数の代謝物の血漿中濃度は、薬剤そのものの濃度と同様に、薬理学的に重要な場合がある。
「薬学的に許容される塩」は、特定の化合物の遊離の酸及び塩基の生物学的効果を保持しつつ、生物学的に、あるいは他の理由から不適合ではない塩を意味することを意図している。本発明の方法に用いる化合物は、充分に酸性な官能基、充分に塩基性な官能基、あるいはその両方を有していてもよく、従って、多くの任意の無機塩基や有機塩基、及び無機酸や有機酸と反応して薬学的に許容される塩を形成できる。薬学的に許容される塩の例としては、本発明の化合物と、鉱酸又は有機酸、あるいは無機塩基との反応により調製される塩、例えば硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩(モノハイドロジェンホスフェート)、二水素リン酸塩(ジハイドロジェンホスフェート)、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタン−スルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、及びマンデル酸塩等が挙げられる。
上記化合物が塩基の場合、所望の薬学的に許容される塩は、当該技術分野で利用できるいかなる好適な方法により調製してもよい。例えば、無機酸〔例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等〕、又は有機酸〔例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸(例えばグルクロン酸又はガラクツロン酸等)、α−ヒドロキシ酸(例えばクエン酸又は酒石酸等)、アミノ酸(例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸等)、芳香族酸(例えば安息香酸又は桂皮酸等)、スルホン酸(例えばp−トルエンスルホン酸又はエタンスルホン酸等)等〕を用いた遊離塩基の処理により上記塩を調製することができる。
上記化合物が酸の場合、所望の薬学的に許容される塩はいかなる好適な方法により調製してもよい。例えば無機又は有機の塩基〔例えばアミン(1級、2級又は3級)、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物等〕を用いた遊離酸の処理により上記塩を調製することができる。好適な塩の具体例としては、アミノ酸(例えばグリシン及びアルギニン等)、アンモニア、1級、2級及び3級アミン、並びに環状アミン(例えばピペリジン、モルホリン及びピベラジン等)由来の有機塩や、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウム由来の無機塩等が挙げられる。
固形剤の場合、該化合物及び塩は異なる結晶形態、共結晶形態、又は多形形態で存在していてもよいことは当業者に理解されることであり、これら全てが本発明及び本明細書で特定された式の範囲内に含まれることが意図される。
高尿酸血症等の治療及び予防方法
本発明は、必要とする患者又は患畜において、血漿尿酸を低下させ、高尿酸血症、痛風、炎症性疾患、尿路結石、再灌流疾患、腎機能障害、腫瘍崩壊症候群、高血圧症、又は、心血管疾患を治療又は予防する方法であって、治療上有効な量の式Iの化合物、及び、薬学的に許容される賦形剤、基剤、又は、ビヒクルを該患者又は患畜に投与することを含む方法を提供する。
高尿酸値の急性期又は慢性期での治療や予防における、本発明の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物の予防上又は治療上の投与量は様々である。投与量や、場合によっては投与頻度も、治療対象の疾患や症状、個々の患者又は患畜の年齢、体重、反応性によって変動する。好適な投薬計画は、これらの要素を充分に考慮しながら当業者により容易に選択される。
投与量
本発明の方法に用いる化合物の毒性と効能は、細胞培養又は実験動物における標準的な薬学的手順により決定することができ、例えばLD50(母集団の50%が死亡する投与量)及びED50(母集団の50%において治療上有効な投与量)の測定等が挙げられる。毒性のある投与量と治療上効果のある投与量の比(投与量比)は治療上の指標であり、LD50/ED50比として表すことができる。
細胞培養アッセイや動物実験から得られるデータを、ヒトに使用する際の化合物の投与量範囲を定式化するのに用いることができる。上記化合物の投与量は、毒性がほとんどないか、毒性が全くなく、且つ、ED50を含む血中濃度の範囲内であるのが好ましい。用いる投与形態や利用する投与経路に応じて、投与量はこの範囲内で変わり得る。本発明の方法に用いる化合物いずれに対しても、まず初めに細胞培養アッセイから治療上有効な投与量を見積もることができる。投与量は、細胞培養で決定したEC50(すなわち、最低値及び最大反応の中間の反応を誘発する試験化合物濃度)を含む体内血漿中濃度範囲に達するよう動物モデルにおいて定式化してもよい。別の方法としては、式Iの化合物の投与量は、動物モデルにおいて、化合物の体内血漿中濃度が、反応が所定の大きさに達するのに必要な濃度に相当する濃度範囲になるよう定式化してもよい。そのような情報は、ヒトにおいて有用な投与量をより正確に決定するのに用いることができる。血漿中濃度は、例えば高速液体クロマトグラフィによって測定してもよい。
本発明の方法に用いるプロトコルや組成物をヒトに使用する前に、in vitro(試験管内)で、次にin vivo(生体内)で所望の治療活性又は予防活性をテストすることが好ましい。例えば、特定の治療プロトコルの適用を指示すべきかどうか決定するのに使用することができるin vitroでのアッセイには、in vitroでの細胞培養アッセイが含まれる。この細胞培養アッセイでは、式Iの化合物の作用に対して反応性の高い細胞をリガンドに曝露し、適切な技術によって反応の大きさが測定される。次に式Iの化合物のアセスメントは、式Iの化合物の効能、さらに、試験する化合物がプロドラッグである場合には、式Iの化合物のプロドラッグの変換率から評価される。本発明の方法において使用される化合物は、ヒトで試験する前に適当な動物モデル系においてテストすることができる。そのような動物モデル系には、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、チンパンジー、ウサギ、ハムスター等が含まれるが、これらに限定されない。上記化合物は、その後適当な臨床試験に用いることができる。
好適な投薬計画は、これらの要素を充分に考慮しながら当業者により容易に選択される。ある実施形態においては、投与量は、使用する特定の化合物、及び患者又は患畜の体重や健康状態に応じたものである。また、投与量は、種々の個別の式Iの化合物によって変わりうる。好適な投与量は上述のインヴィトロでの測定や動物実験に基づき予測することができる。例えば、上述した系又は本願明細書中に引用する系において測定した場合に、他の式Iの化合物よりも低い濃度で効果を示す式Iの化合物に対してはより少ない投与量が好適である、といったように予測することができる。概ね、一日当たりの投与量は約0.001〜100mg/kg、好ましくは約1〜25mg/kg、より好ましくは約5〜15mg/kgである。
さらに、推奨される一日当たりの投与量を、単一薬剤として、又は他の治療剤と組み合わせて周期的に投与することができる。ある実施形態においては、一日当たりの投与量は単回投与又はいくつかに同量ずつ分割した投与形態で投与される。関連する実施形態においては、推奨される一日当たりの投与量を一週間に1回、一週間に2回、一週間に3回、一週間に4回、又は一週間に5回投与することができる。
ある実施形態においては、本発明の方法に用いる化合物は、投与されて、患者又は患畜の全身へ分配される。関連する実施形態においては、本発明の化合物は、投与されて、全身で効果を発揮する。
他の実施形態においては、本発明の方法に用いる化合物は経口、経粘膜(舌下、又は口腔等)、非経口(皮下、筋肉内、ボーラス注入、動脈内、又は静脈内投与等)、経皮、又は局所での各投与を介して投与される。特定の実施形態においては、本発明の化合物は経粘膜(舌下、口腔等)、非経口(皮下、筋肉内、ボーラス注入、動脈内、又は静脈内投与等)、経皮、又は局所での各投与を介して投与される。さらに特定のある実施形態においては、本発明の化合物は経口投与によって投与される。さらに特定のある実施形態においては、本発明の化合物は経口投与によって投与されない。
併用(組み合わせ)治療
本発明の特定の方法は、さらに追加の治療剤(すなわち本発明の化合物以外の治療剤)を投与することを含む。本発明のある実施形態において、本発明の化合物は少なくとも一つの他の治療剤と組み合わせて使用することができる。治療剤としては、以下に限定されないが、コルヒチン、抗炎症剤、関節内グルココルチコイド、IL−bアンタゴニスト(例えばリロナセプト、カナキヌマブ)、キサンチンオキシダーゼ阻害剤等の尿酸生成阻害剤、又は、これらの阻害剤のプロドラッグ(フェブキソスタット、オキシプリノール、アロプリノール等)、ペグロチカーゼや他のウリカーゼ等の尿酸を分解する薬剤、並びに、尿酸***剤(プロベネシド、スルフィンピラゾン等)が挙げられる。本発明の化合物及び他の治療剤は相加的に、あるいは、より好ましくは相乗的に作用し得る。ある実施形態においては、本発明の化合物を含有する組成物を、他の治療剤の投与と同時に投与する。この場合、他の治療剤は同一組成物の一部であってもよく、あるいは本発明の化合物を含有する組成物とは別の組成物として投与してもよい。他の実施形態においては、本発明の化合物は、他の治療剤の投与の前に、又は他の治療剤の投与後に投与する。別の実施形態においては、過去に他の治療剤を用いた治療を受けたことがない患者若しくは患畜、又は他の治療剤を用いた治療を現在受けていない患者若しくは患畜に本発明の化合物を投与する。
ある実施形態においては、本発明の方法は、他の治療剤を用いずに本発明の化合物を1種以上投与することを含む。
医薬組成物及び投与形態
本発明の方法に用いる化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を含有する医薬組成物及びシングルユニット型投与形態も本発明に包含される。本発明の各投与形態は、経口投与、経粘膜投与(舌下又は口腔投与を含む)、非経口投与(皮下、筋肉内、ボーラス注入、動脈内、又は静脈内投与を含む)、経皮投与、又は、局所投与に好適である。また、本発明の医薬組成物及び投与形態は、典型的には、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含有する。無菌的投与形態も考えられる。
別の実施形態において、本実施形態に包含される医薬組成物は、本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物と、少なくとも1つの追加の治療剤とを含有する。追加の治療剤としては特に限定されず、上記のものが例として挙げられる。
本発明の投与形態の組成、形状及び種類は、通常、その用途に応じて異なるものである。例えば、ある疾病又は関連疾病の急性期治療で用いる投与形態は、1つ以上の有効成分を、同一疾病の慢性期治療で用いる投与形態よりも多く含有してもよい。同様に、非経口投与形態では、1つ以上の有効成分を、同一の疾病又は疾患を治療する経口投与形態よりも少なく含有してもよい。本発明に包含される特定の投与形態が、このように変動するものであること、又は別の態様で変動するものであることは、当業者には容易に明らかであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Mack Publishing,ペンシルベニア州イーストン(1990)を参照されたい。投与形態は限定されないが、例えば錠剤;カプレット;ソフト弾性ゼラチンカプセル等のカプセル;カシェ剤;トローチ;菱形錠剤;分散剤;軟膏;パップ剤(湿布);ペースト;粉末;包帯;クリーム;硬膏;溶液;パッチ;ゲル;懸濁液(例えば、水性若しくは非水性の懸濁液、水中油型エマルジョン、又は、油中水型液体エマルジョン)、溶液及びエリキシル剤等の、患者又は患畜への経口又は粘膜投与に好適な液状の投与形態;患者又は患畜への非経口投与に好適な液状の投与形態;並びに、液体に溶かすことにより、患者又は患畜への非経口投与に好適な液状の投与形態になり得る無菌固体(例えば、結晶性又は非晶質固体)等が挙げられる。
典型的な医薬組成物及び投与形態は、基剤、賦形剤又は希釈剤を1つ以上含有する。好適な賦形剤は、薬学分野の当業者には周知である。好適な賦形剤の例を本明細書に記載するが、それに限定されるものではない。ある賦形剤が医薬組成物又は投与形態に好適に配合されるか否かは、当該技術分野において従来から周知の様々な要因に依存する。上記要因として、投与形態を患者又は患畜に投与する方法が挙げられるが、これに限定されない。例えば、錠剤等の経口投与形態は、非経口投与形態には不適な賦形剤を含有してもよい。また、ある賦形剤が好適か否かは、投与形態中の特定の有効成分に依存することもある。
水によって化合物が容易に分解されてしまう場合があるので、本発明は有効成分を含有する無水の医薬組成物及び投与形態をさらに包含する。医薬技術において、保存期間又は製剤の経時安定性等の特性を測定するために、例えば、水(例えば5%)の添加が長期保存の模擬手段として薬学分野で広く認められている。例えば、Carstensen,Drug Stability:Principles&Practice,2d.Ed.,Marcel Dekker,ニューヨーク州ニューヨーク市,1995,pp.379−80を参照されたい。実際に、水や熱により分解が加速する化合物がある。このように、製剤は製造、取扱、包装、保存、輸送及び使用時において、一般に水分及び/又は湿気に曝されるので、製剤に及ぼす水の影響は非常に重要となる。
本発明の無水の医薬組成物及び投与形態は、無水の原料又は低水分含有原料を用い、低水分又は低湿条件で調製可能である。
無水の医薬組成物は、無水性を維持したまま調製され、保存される必要がある。従って、無水組成物は、水への曝露を防止する公知の材料を用いて包装され、好適な処方キット内に収められることが好ましい。好適な包装は限定されないが、例えば、密閉フォイル、プラスチック、単位投与量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、及び、ストリップパックが含まれる。
本発明は、有効成分の分解速度を低減する1つ以上の化合物を含有する医薬組成物及び投与形態をさらに包含する。このような化合物(本明細書では「安定剤」という)は限定されないが、アスコルビン酸等の酸化防止剤、pHバッファー又は塩バッファーが含まれる。
賦形剤の量及び種類と同様に、投与形態中の有効成分の量及び具体的な種類は、要因に応じて異なっていてもよい。上記要因は限定されないが、患者又は患畜への投与経路等が挙げられる。一方、本発明の典型的な投与形態は、本発明の式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を、1単位当たり0.1mg〜1500mg含有しており、1日当たり約0.01〜200mg/kgの服用を可能にする。
経口投与形態
本発明の方法に用いる、経口投与に好適な医薬組成物は、個別の投与形態とすることができ、限定されないが、錠剤(例えば、チュアブル錠)、カプレット、カプセル及び液体(例えば、味付シロップ)等が挙げられる。このような投与形態は、所定量の有効成分を含有しており、当業者に周知の薬学的方法によって調製可能である。概して、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Mack Publishing,ペンシルベニア州イーストン(1990)を参照されたい。
本発明の典型的な経口投与形態は、従来の薬剤調合技術に従って、有効成分を少なくとも1つの賦形剤と完全に混合することにより調製される。賦形剤は、投与に適した製剤の形態に応じて、様々の形態を取り得る。例えば、経口用液状投与形態に用いるのに好適な賦形剤には、以下に限定されないが、水、グリコール類、油類、アルコール類、香料、防腐剤及び着色剤が含まれる。固体状の経口投与形態(例えば、粉末、錠剤、カプセル及びカプレット)に用いるのに好適な賦形剤には、以下に限定されないが、例えばデンプン、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤が含まれる。
その投与が容易であることから、経口投与単位形態として最も有利であるのは錠剤及びカプセルであり、これらには固体賦形剤を使用している。必要であれば、水性又は非水性の標準技術により錠剤をコーティングしてもよい。このような投与形態は、任意の薬学的方法により調製可能である。医薬組成物及び投与形態は一般に、有効成分を、液状の基剤又は微細化した固体基剤、又はその両方と均質かつ十分に混合し、必要であれば得られた混合物を所望の形状に成形することにより調製される。
例えば、打錠又は成形することにより、錠剤を調製することができる。打錠剤は、粉末又は顆粒等の自由流動する有効成分を、必要により賦形剤と混合し、好適な機械中で打錠することにより調製可能である。成形錠は、不活性希釈液で湿潤させた粉末状の化合物の混合物を好適な機械で成形することにより調製可能である。
本発明の経口投与形態に使用可能な賦形剤には、以下に限定されないが、例えば結合剤、増量剤、崩壊剤及び滑沢剤が含まれる。医薬組成物及び投与形態に好適に用いられる結合剤には、以下に限定されないが、コーンスターチ、ジャガイモデンプン若しくは他のデンプン、ゼラチン、アラビアゴム等の天然及び合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガカント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、品番2208、2906、2910)、微結晶性セルロース、及びこれらの混合物が含まれる。
本明細書に開示された医薬組成物及び投与形態で好適に用いられる増量剤には、以下に限定されないが、例えばタルク、炭酸カルシウム(例えば顆粒又は粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、及びこれらの混合物が含まれる。典型的には、本発明の医薬組成物中の結合剤又は増量剤の含有量は、医薬組成物又は投与形態の約50〜約99重量%である。
好適な微結晶性セルロースの形態には、以下に限定されないが、AVICEL−PH−101、AVICEL−PH−103、AVICEL RC−581、AVICEL−PH−105〔FMC Corporation、アメリカンビスコ−ス部門、Avicel販売部(ペンシルベニア州マーカスフック)から入手可能〕として市販のもの、及びこれらの混合物が含まれる。結合剤の具体例としては、AVICEL RC−581として市販されている微結晶性セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの混合物等が挙げられる。好適な無水若しくは低水分賦形剤又は添加物としては、AVICEL−PH−103(登録商標)及びStarch 1500LM等が挙げられる。
崩壊剤を本発明の組成物に用いることによって、水性環境に曝露された際に崩壊する錠剤を得ることができる。崩壊剤の含有量が過剰である錠剤は、保存中に分解することがあり、一方、含有量が少なすぎると、所望の速度で、又は所望の条件下で分解しないことがある。従って、有効成分の放出に変化をきたす不都合がないように過不足ない十分な量の崩壊剤を用いて、本発明の固体状の経口投与形態を調製するべきである。崩壊剤の使用量は、製剤の種類に応じて異なり、当業者には容易に認識できる。典型的な医薬組成物は、崩壊剤を約0.5〜約15重量%、特に約1〜約5重量%含有する。
本発明の医薬組成物及び投与形態で使用可能な崩壊剤には、以下に限定されないが、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、α化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース及びゴム、並びにこれらの混合物が含まれる。
本発明の医薬組成物及び投与形態で使用可能な滑沢剤には、以下に限定されないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、軽鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、胡麻油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル(ethyl laureate)、寒天、及びこれらの混合物が含まれる。さらに滑沢剤としては、例えば、シロイド(syloid)シリカゲル〔AEROSIL 200、W.R.Grace社(メリ−ランド州ボルティモア)製造〕、合成シリカの凝結エアゾール〔デグサ社(テキサス州プレーノー)販売〕、CAB−O−SIL〔火成二酸化ケイ素製品、Cabot社(マサチューセッツ州ボストン)販売〕、及びこれらの混合物が挙げられる。滑沢剤を使用する場合、典型的には医薬組成物又は投与形態の約1重量%未満の量で配合する。
放出遅延投与形態
本発明の方法に用いる有効成分は、当業者に周知の制御放出手段又は送達デバイスにより投与可能である。その例としては、以下に限定されないが、米国特許第3,845,770号明細書;米国特許第3,916,899号明細書;米国特許第3,536,809号明細書;米国特許第3,598,123号明細書;及び米国特許第4,008,719号明細書、米国特許第5,674,533号明細書、米国特許第5,059,595号明細書、米国特許第5,591,767号明細書、米国特許第5,120,548号明細書、米国特許第5,073,543号明細書、米国特許第5,639,476号明細書、米国特許第5,354,556号明細書、及び米国特許第5,733,566号明細書に記載のものが挙げられる(上記文献の各々を本明細書に引用して援用する)。このような投与形態においては、例えばヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、ゲル、浸透膜、浸透系、多層被膜、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、又はこれらの組み合わせを用いることによって、1つ以上の有効成分の放出を遅延又は制御することを可能にし、様々な割合での所望の放出様式を可能にする。本明細書に記載されたものを含む当業者に公知の好適な制御放出製剤は、本発明の有効成分と共に使用する上で容易に選択できる。従って、本発明は、以下に限定されないが、例えば錠剤、カプセル、ジェルカプセル及びカプレットといった放出制御に適応した、経口投与に好適なシングルユニット型投与形態を包含する。
制御放出医薬品は全て、制御していない医薬品の場合よりも得られる薬物治療効果を向上させることを共通の目的としている。最適設計された制御放出製剤を治療に用いることによって、必要最低限の製剤原料を使用し、最短期間で症状を治療又は制御することが理想である。制御放出製剤の利点としては、薬剤活性の延長、投与頻度の低減、及び、患者又は患畜のコンプライアンスの向上等が挙げられる。また、薬剤の作用開始時間、又は他の特性(血中薬剤濃度等)に影響を及ぼすために制御放出製剤を使用することができ、従って、副作用(例えば有害な副作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
制御放出製剤の大部分は、まず、所望の治療効果を迅速にもたらす量の薬剤(有効成分)を放出し、徐々にかつ断続的に残りの薬剤を放出し、長期間にわたって治療効果又は予防効果のレベルが維持されるように設計されている。体内薬剤濃度をこの継続したレベルに維持するためには、代謝され、体外に排出される薬剤の量を補充する速度で、投与形態から薬剤が放出されなければならない。有効成分の制御放出は、例えば、以下に限定されないが、pH、温度、酵素、水又は他の生理的条件又は化合物等の様々な条件の影響を受け得る。
非経口投与形態
非経口投与形態は、様々な経路により患者又は患畜に投与することができる。以下に限定されないが、上記経路には、皮下、静脈内(ボーラス注入を含む)、筋肉内及び動脈内が含まれる。通常、このような投与を行う場合、患者又は患畜が生来有する、汚染物質への防御系を通らないことから、非経口投与形態は無菌であること、又は、患者若しくは患畜への投与前に滅菌可能であることが好ましい。非経口投与形態の例としては、以下に限定されないが、注射用溶液、薬学的に許容されるビヒクルに溶解又は懸濁させて注射可能な調剤にできる乾燥物及び/又は凍結乾燥物(液体に溶いて再構成することが可能な粉末)、注射用懸濁液、並びにエマルジョン等が挙げられる。
本発明の非経口投与形態を可能にする好適なビヒクルは、当業者に周知である。以下に限定されないが、その例としては、米国薬局方(USP)注射液用水;水性ビヒクル(以下に限定されないが、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、並びに乳酸加リンガー注射液等);水混和性ビヒクル(以下に限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等);並びに、非水性ビヒクル(以下に限定されないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、胡麻油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジル等)が挙げられる。
また、本明細書中に開示された1つ以上の有効成分の可溶性を向上させる化合物も、本発明の非経口投与形態に配合してもよい。
経皮投与形態
経皮投与形態には、皮膚に貼り付け、所望量の有効成分が浸透するように、特定期間付着可能な「リザーバー式」又は「マトリクス式」パッチが含まれる。
本発明に包含される経皮及び局所投与形態を可能にする好適な賦形剤(例えば基剤及び希釈剤)及び他の材料は、薬学分野の当業者に公知であり、所定の医薬組成物又は投与形態を塗布する具体的な組織に応じて決定される。このことを考慮しつつ、代表的な賦形剤には、以下に限定されないが、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びこれらの混合物が含まれる。
治療対象である具体的な組織次第では、本発明の有効成分を用いた治療の前に、治療と同時に、又は、治療後に、追加の成分を使用してもよい。例えば浸透促進剤を用いることによって、有効成分の組織への送達を促進することができる。好適な浸透促進剤には、以下に限定されないが、アセトン;種々のアルコール(エタノール、オレイルアルコール、及びテトラヒドロフリルアルコール等);アルキルスルホキシド(ジメチルスルホキシド等);ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ピロリドン(ポリビニルピロリドン等);Kollidonの各グレード(ポビドン、ポリビドン);尿素;及び、種々の水溶性又は不溶性糖エステル〔Tween80(ポリソルベート80)及びSpan60(ソルビタンモノステアレート)等〕が含まれる。
1つ以上の有効成分の送達性を改善するために、医薬組成物若しくは投与形態のpH、又は、医薬組成物若しくは投与形態を投与する組織のpHを調整してもよい。同様に、送達性を改善するために、溶媒基剤の極性、そのイオン強度又は張性を調整してもよい。1つ以上の有効成分の親水性又は親油性を有利に変化させて、送達性を改善するために、ステアリン酸塩等の化合物を医薬組成物又は投与形態に添加してもよい。この点において、ステアリン酸塩は、製剤の脂質ビヒクルとして、乳化剤又は界面活性剤として、さらには送達促進剤又は浸透促進剤としての役割を果たし得る。得られる組成物の特性をさらに調整するため、有効成分の種々の塩、水和物又は溶媒和物を用いることもできる。
局所投与形態
本発明の局所投与形態には、以下に限定されないが、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、エマルジョン、懸濁液、又は当業者に公知の他の投与形態が含まれる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th eds.,Mack Publishing,ペンシルベニア州イーストン(1990)、及び、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,4th ed.,Lea&Febiger,フィラデルフィア(1985)などを参照されたい。
本発明に包含される経皮及び局所投与形態を可能にする好適な賦形剤(例えば基剤及び希釈剤)及び他の材料は、薬学分野の当業者に周知であり、所定の医薬組成物又は投与形態を投与する具体的な組織に応じて決定される。このことを考慮しつつ、代表的な賦形剤には、以下に限定されないが、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びこれらの混合物が含まれる。
治療対象である具体的な組織次第では、本発明の有効成分を用いた治療の前に、治療と同時に、又は、治療後に、追加の成分を使用してもよい。例えば、有効成分の組織への送達を促進するために浸透促進剤を用いることができる。浸透促進剤としては、以下に限定されないが、アセトン;種々のアルコール(エタノール、オレイルアルコール、及びテトラヒドロフリルアルコール等);アルキルスルホキシド(ジメチルスルホキシド等);ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ピロリドン(ポリビニルピロリドン等);Kollidonの各グレード(ポビドン、ポリビドン);尿素;及び種々の水溶性又は不溶性糖エステル〔Tween80(ポリソルベート80)及びSpan60(ソルビタンモノステアレート)等〕が好ましい。
粘膜投与形態
本発明の粘膜投与形態には、以下に限定されないが、点眼液、点眼スプレー、又は当業者に公知の他の投与形態等が含まれる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th eds.,Mack Publishing,ペンシルベニア州イーストン(1990);及び、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,4th ed.,Lea&Febiger,フィラデルフィア(1985)を参照されたい。
本発明の方法に用いる化合物は、すでに記載した製剤の他に、デポー剤としても調剤することができる。このような長期間作用が持続する製剤は、植え込み(例えば、皮下若しくは筋肉内)又は筋肉注射により投与可能である。従って、例えば、上記化合物を好適なポリマー性材料若しくは疎水性材料と共に(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)、又はイオン交換樹脂と共に、あるいは難溶性誘導体(例えば難溶性塩)として調剤可能である。
また、他の薬剤送達システムを用いてもよい。本発明の組成物の送達を可能にする送達ビヒクルの周知の例としては、リポソーム、エマルジョン、及び、自己乳化/自己マイクロ乳化型薬物送達システム(SEDDS/SMEDDS)等が挙げられる。また、起こり得る食事の影響を改善するために、このようなシステムには、脂肪酸、胆汁塩、モノ−、ジ−、トリグリセリドの混合物が含まれていてもよい。他の機能的脂質賦形剤としては、グリセロールエステル、PEG−エステル、プロピレングリコールエステル、及び、ポリグリセロールエステルが挙げられる。ジメチルスルホキシド等の特定の有機溶媒も使用することができる(但し毒性の高さを代償とする場合が多い)。本発明の化合物は、制御放出システムによっても送達可能である。ある実施形態においては、ポンプを用いることができる(Sefton,CRC Crit.Ref Biomed Eng.,1987,14,201;Buchwaldら,Surgery,1980,88,507;Saudekら,N.Engl.J.Med.,1989,321,574)。他の実施形態においては、高分子材料を用いることができる(Medical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(eds.),CRC Pres.,フロリダ州ボカラトン(1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance,Smolen and Ball(eds.),Wiley,ニューヨーク(1984);Ranger and Peppas,J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.,1983,23,61;並びに、Levyら,Science,1985,228,190;Duringら,Ann.Neurol.,1989,25,351;Howardら,J.Neurosurg.,71,105(1989)を参照されたい)。更に他の実施形態においては、本発明の化合物の標的の近傍に制御放出システムを配置することができるので、全身投与量のごくわずかしか必要としない(例えば、Goodson,in Medical Applications of Controlled Release(上述),vol.2,pp.115(1984)を参照されたい)。他の制御放出システムを用いることもできる(例えば、Langer,Science,1990,249,1527を参照)。
本発明に包含される粘膜投与形態を可能にする好適な賦形剤(例えば基剤及び希釈剤)及び他の材料は、薬学分野の当業者に周知であり、所定の医薬組成物又は投与形態を投与する具体的な部位又は方法に応じて決定される。このことを考慮しつつ、代表的な賦形剤としては、以下に限定されないが、水、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びこれらの混合物等が挙げられる。これらは無毒で、薬学的に許容されるものである。このような追加の成分の例は、当業界において周知である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th eds.,Mack Publishing,ペンシルベニア州イーストン(1990)を参照されたい。
1つ以上の有効成分の送達性を改善するために、医薬組成物若しくは投与形態のpH、又は、医薬組成物若しくは投与形態を投与する組織のpHを調整してもよい。同様に、送達性を改善するために、溶媒基剤の極性、そのイオン強度又は張性を調整してもよい。ステアリン酸塩等の化合物を医薬組成物又は投与形態に添加することで、1つ以上の有効成分の親水性又は親油性を有利に変化させて、送達性を改善することもできる。この点において、ステアリン酸塩は、製剤の脂質ビヒクルとして、乳化剤又は界面活性剤として、さらには送達促進剤又は浸透促進剤として作用し得る。有効成分の種々の塩、水和物又は溶媒和物を用いることにより、生成する組成物の特性をさらに調整することができる。
キット
本発明は、血清尿酸を低下させ、例えば痛風又は高尿酸血症を治療又は予防するのに有用な本発明の化合物が入った1つ以上の容器を含む医薬用パック又はキットを提供する。別の実施形態において、本発明は、血清尿酸の低下、及び、痛風又は高尿酸血症の治療又は予防に有用な本発明の化合物が入った1つ以上の容器と、追加の治療剤が入った1つ以上の容器とを含む医薬用パック又はキットを提供する。
本発明はまた、本発明の医薬組成物の成分が1種以上入った1つ以上の容器を含む医薬用パック又はキットを提供する。このような容器には、医薬品又は生物学的商品の製造、使用又は販売を規制する政府機関により規定された形式の注意書が任意で添付されていてもよい。この注意書は人体への投与を目的とした製造、使用又は販売に関する機関の承認を意味する。
本発明の薬剤は、当業界にて公知の一般的な技術を用いて、容易に入手可能な出発原料から、下記の反応経路及び合成スキームにより調製可能である。例示されていない本発明に係る化合物は、当業者には明白な変更、例えば、妨害基を適切に保護したり、先行技術において公知の他の好適な試薬へ変更したり、又は、反応条件を慣例的に変更したりすることによって、成功裏に合成可能である。また、本明細書に開示されている、又は当業界において広く知られている他の反応が、本発明の別の化合物を調製する際に適用可能であることは明らかであろう。
化合物の調製
下記に示す合成スキームにおいては、特に断りがない限り、温度は全て摂氏度(℃)であり、部は全て重量部、百分率は全て重量百分率で示してある。試薬はAldrich Chemical Company又はAlfa Aesar等の民間の供給元から購入し、特に断りがない限り、購入したものをさらに精製することなく使用した。溶媒は全てAldrich、EMD Chemicals又はFisher等の民間の供給元から購入し、購入した状態で使用した。以下に述べる反応は、概ね、無水溶媒中、(特に断りのない限り)周囲温度で、アルゴン又は窒素の正圧下で行った。反応フラスコにはゴム製のセプタムをつけて、シリンジで基質や試薬を投入できるようにした。ガラス器具はオーブン乾燥及び/又は熱乾燥させた。
反応はTLCでアッセイするか、及び/又は、LC−MS若しくはHPLCで分析した。出発物質の消費を判定して反応を終了させた。分析用薄層クロマトグラフィ(TLC)は、シリカゲル60 F254でプレコートされたガラスプレートの0.25mmプレート(EMD Chemicals)上で行い、紫外線(254nm)、及び/又は、シリカゲル上のヨウ素、及び/又は、エタノール性リンモリブデン酸、ニンヒドリン溶液、過マンガン酸カリウム溶液若しくは硫酸セリウム溶液等のTLC染色の加熱を使用することにより可視化した。分取薄層クロマトグラフィ(prepTLC)は、シリカゲル60 F254でプレコートされたガラスプレートの0.5mmプレート(20×20cm、Thomson Instrument Companyより入手)上で行い、紫外線(254nm)で可視化した。
ワークアップは、特に断りのない限り、典型的には、反応溶媒か抽出溶媒で反応系の体積を2倍にし、次に、抽出体積の25%の体積の指定の水性溶液で洗滌することによって行った。生成物溶液は、無水硫酸ナトリウム及び/又は硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、減圧下ロータリーエバポレーターで溶媒を留去して、溶媒が減圧下で除去されたことを確認した。カラムクロマトグラフィは、Merck silica gel 60,230〜400メッシュ若しくは50〜200メッシュ中性アルミナ、TeledyneISCOフラッシュ−クロマトグラフィ〔プレパック(prepacked)RediSepシリカゲルカラムを使用〕、又はAnalogixフラッシュカラムクロマトグラフィ〔プレパック(prepacked)SuperFlashシリカゲルカラムを使用〕を用いて正圧下で行った。水素添加分解は、実施例に示されている圧力又は周囲圧力で行った。
1H NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルは、Varian Mercury−VX400機器(400MHzで操作)で記録した。NMRスペクトル(ppmで示す)は、適宜、クロロホルムの参照標準(プロトン:7.27ppm、カーボン:77.00ppm)を用いるCDCl3溶液、CD3OD(プロトン:3.4及び4.8ppm、カーボン:49.3ppm)、DMSO−d6(プロトン:2.49ppm)、又は、内部標準であるテトラメチルシラン(0.00ppm)を用いて得た。必要に応じて他のNMR溶媒も使用した。多様なピークが報告されている場合には、以下の略号:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、br(ブロード)、bs(ブロードな一重線)、dd(二重線の二重線)、dt(三重線の二重線)を用いる。カップリング定数が示されている場合は、ヘルツ(Hz)で表されている。
赤外(IR)スペクトルはATR FT−IR分光計で、ニート(neat)の油状液体又は固体として記録した。示されている場合は波数(cm−1)で表されている。報告されるマススペクトルはAnadys Pharmaceuticals,Inc.の分析化学部門で行った(+)−ES又はAPCI(+)LC/MSである。元素分析は、ジョージア州ノークロスにあるAtlantic Microlab,Inc.で行った。融点(mp)はオープンキャピラリー装置で測定したものであり、値の補正はしていない。
鏡像体過剰率(ee)の値は、キラルパック(Chiralpak)(Chiral Technologies Inc.)カラムのAS−RH,2.1×150mm,5ミクロン,λ=312nm又はAS−RH,4.6×250mm,5ミクロン,λ=310nmを用いたHPLC分析によって決定した。AS−RH,2.1×150mm,5ミクロン:二種の溶媒を混合した勾配(binary gradient)HPLC分離。溶媒A:0.1%ギ酸水溶液、溶媒B:0.1%ギ酸アセトニトリル溶液。サンプルを50%メタノール−50%水に溶解[0.1mg/mL]させたものを10μL注入した。
時間(分) %B Flow(mL/分)
0.0 55 0.3
5.0 95 0.3
5.5 95 0.3
6.0 55 0.3
12.0 55 0.3
AS−RH,4.6×250mm,5ミクロン:二種の溶媒を混合した勾配HPLC分離。溶媒A:0.05%TFA水溶液、溶媒B:0.05%TFAアセトニトリル溶液。サンプルをアセトニトリルに溶解[1mg/mL]させたものを3〜5μl注入した。
時間(分) %B Flow(mL/分)
0.0 50 0.8
8.0 95 0.8
10.0 95 0.8
11.0 50 0.8
13.0 50 0.8
記載した合成経路及び実験手順には、多くの一般的な化学略号を用いている。例えば、2,2−DMP(2,2−ジメトキシプロパン)、Ac(アセチル)、ACN(アセトニトリル)、Bn(ベンジル)、BnOH(ベンジルアルコール)、Boc(tert−ブトキシカルボニル)、Boc2O(ジ−tert−ブチルジカーボネート)、Bz(ベンゾイル)、CSA(カンファースルホン酸)、CSI(クロロスルホニルイソシアネート)、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、DCC(N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド)、DCE(1,2−ジクロロエタン)、DCM(ジクロロメタン)、DEAD(ジエチルアゾジカルボキシレート)、DIBAL(水素化ジイソブチルアルミニウム)、DIEA(ジイソプロピルエチルアミン)、DMA(N,N−ジメチルアセトアミド)、DMAP〔4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン〕、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、EDC〔1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩〕、Et(エチル)、EtOAc(酢酸エチル)、EtOH(エタノール)、HATU〔O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート〕、HBTU(O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、HF(フッ化水素)、HOAc(酢酸)、HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物)、HPLC(高圧液体クロマトグラフィ)、IPA(イソプロピルアルコール)、KHMDS〔カリウムビス(トリメチルシリル)アミド〕、KN(TMS)2〔カリウムビス(トリメチルシリル)アミド〕、KOtBu(カリウムtert−ブトキシド)、LDA(リチウムジイソプロピルアミン)、MCPBA(3−クロロ過安息香酸)、Me(メチル)、MeCN(アセトニトリル)、MeOH(メタノール)、NaCNBH3(シアノ水素化ホウ素ナトリウム)、NaH(水素化ナトリウム)、NaN(TMS)2〔ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド〕、NaOAc(酢酸ナトリウム)、NaOEt(ナトリウムエトキシド),NEt3(トリエチルアミン),NMM(N−メチルモルフォリン)、Phe(フェニルアラニン)、PPTS(ピリジニウムp−トルエンスルホネート)、PS(ポリマーに担持された)、Py(ピリジン)、pyBOP〔(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート〕、TEA(トリエチルアミン)、TFA(トリフルオロ酢酸)、TFAA(無水トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン)、TLC(薄層クロマトグラフィ)、Tol(トルオイル)、Val(バリン)等である。
スキーム1は、実施例1の化合物,N−メチレンメタンスルホンアミド[1,2,4]チアジアジン1,1−ジオキサイド誘導体の調製に用いた具体的な手順を示したものである
O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)及びN−メチルモルホリンの存在下で、上記に示したN−置換環状β−アミノ酸エステル中間体を、(7−ヨード−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−酢酸(WO2007150001A1の記載に従って調製したもの)と結合させ、アミド中間体を得た。このアミド中間体をトリエチルアミンの存在下で環化し、所望の環状中間体を得た。シアン化銅(I)によってヨード部分を置換し、所望のニトリル中間体を得た。このニトリルを標準水素化条件で還元し、所望のベンジルアミン誘導体を得た。その後、このベンジルアミン誘導体をメタンスルホニルクロリドで処理することにより、所望の[1,2,4]チアジアジン1,1−ジオキサイド化合物を得た。
実施例1:N−{3−[(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.0
2,7
]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ
6
−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イルメチル}−メタンスルホンアミド
a)(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−5−(7−ヨード−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン
(7−ヨード−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−酢酸(米国特許出願公開第2008/0031852号の記載に従って調製したもの;2.51g,6.86mmol)、(1S,2R,3S,4R)−3−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル(β−アミノ酸中間体の調整については、下記実施例2f−lを参照のこと)(2g,6.86mmol)、及び、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N、N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(2.74g,7.2mmol)を混合し、無水N,N−ジメチルホルムアミド(18mL)に溶解させた。N−メチルモルホリン(3mL,27.44mmol)を添加し、混合物を25℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン(3.82mL,27.44mmol)を添加し、混合物を60℃で16時間攪拌した。この混合物を冷却し、攪拌しながら1.0M塩酸水溶液(200mL)に添加した。生成物が即座に析出した。攪拌は5分間続けた。真空濾過によって固体を回収し、水で洗滌し(2×60mL)、減圧下で16時間乾燥して、所望の生成物である、(1S,2R,3S,4R)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−5−(7−ヨード−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン(1.94g,3.27mmol,48%)を白色の脆さのあるフォームとして得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.20−1.23(1H,m),1.38−1.61(5H,m),2.50−2.53(1H,m),2.62(1H,d,J=3.2Hz),2.98(1H,d,J=9.3Hz),3.52(1H,d,J=9.4Hz),4.40(1H,d,J=15.7Hz),4.95(1H,d,J=14.9Hz),7.12−7.16(2H,m),7.30−7.34(3H,m),7.97(1H,dd,J1=8.6Hz,J2=1.4Hz),8.07(1H,d,J=1.7Hz)。
b)(1R,2S,7R,8S)−3−[3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−カルボニトリル
(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−5−(7−ヨード−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン(0.5g,0.84mmol)、及び、シアン化銅(I)(0.151g,1.7mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(4mL)に懸濁した。この混合物を120℃、窒素下で24時間攪拌した。混合物を冷却し、酢酸エチル(20mL)で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液(3×15mL)で洗滌した。有機相を、セライト〔Celite(登録商標)〕のショートプラグに続いてシリカゲルのショートプラグ(Merck silica gel 60,40−63μm)に通液し、酢酸エチルで溶出した。減圧化で濾液を濃縮し、黄色の固体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(Teledyne Isco RediSep column;25−100%酢酸エチルinヘキサン)で精製した後、減圧下で濃縮し、所望の生成物である、(1R,2S,7R,8S)−3−[3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−カルボニトリル(0.398g,0.808mmol,96%)を、白色の脆さのあるフォームとして得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.15−1.15(1H,m),1.34−1.61(5H,m),2.48−2.48(1H,m),2.60(1H,d,J=3.3Hz),2.90(1H,d,J=9.4Hz),3.48(1H,d,J=9.4Hz),4.38(1H,d,J=15.6Hz),4.96(1H,d,J=15.4Hz),7.11−7.16(2H,m),7.31(2H,dd,J1=8.6Hz,J2=5.4Hz),7.60(1H,d,J=8.6Hz),8.02(1H,dd,J1=8.6Hz,J2=2.5Hz),8.37(1H,s)。LC−MS (ESI) C25H21FN4O4Sに対する計算値492.13,実測値493.1[M+H+]。
c)(1R,2S,7R,8S)−5−(7−アミノメチル−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン塩酸塩
(1R,2S,7R,8S)−3−[3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−カルボニトリル(0.38g,0.77mmol)をメタノールに溶解させた(ヒートガンによる穏やかな加熱を要した)。濃縮した塩酸(5mL)に続いて、10%パラジウム炭素(〜150mg)を添加した。この混合物を脱気し、バルーンを介して水素ガスを充填した。混合物を25℃で3時間、攪拌した。混合物をセライト〔Celite(登録商標)〕のプラグに通液し、追加のメタノール(200mL)で溶出した。濾液を減圧下で濃縮して所望の生成物である、(1R,2S,7R,8S)−5−(7−アミノメチル−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン塩酸塩(〜0.77mmol)を、淡黄色の固体として得た。該固体を、精製や特性決定することなく、直接次の工程で用いた。LC−MS (ESI) C25H25FN4O4Sに対する計算値496.16,実測値497.3[M+H+]。
d)N−{3−[(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イルメチル}−メタンスルホンアミド
(1R,2S,7R,8S)−5−(7−アミノメチル−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン塩酸塩(前工程の粗生成物、〜0.77mmol)を塩化メチレン(10mL)に溶解させた。トリエチルアミン(2mL)及びピリジン(2mL)を添加した。メタンスルホニルクロリド(2mL)を添加し、混合物を25℃で20分間攪拌した。水(50mL)を添加し、混合物を5分間攪拌した。この溶液を酢酸エチル(200mL)で希釈し、1.0M塩酸水溶液(3×300mL)、飽和塩化アンモニウム水溶液(2×200mL)、及び、飽和ブライン水溶液(200mL)で洗滌した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、透明の油状液体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(Teledyne Isco RediSep column;25−100%酢酸エチルinヘキサン)で精製した後、減圧下で濃縮し、所望の生成物である、N−{3−[(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イルメチル}−メタンスルホンアミド(0.139g,0.238mmol、31%)を白色の脆さのあるフォームとして得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.19−1.25(1H,m),1.40−1.64(5H,m),2.50−2.54(1H,m),2.64(1H,d,J=2.5Hz),2.92(3H,s),3.04(1H,d,J=8.8Hz),3.53(1H,d,J=9.5Hz),4.25(2H,d,J=6.2Hz),4.42(1H,d,J=15.8Hz),4.97(1H,d,J=14.7Hz),7.12−7.17(2H,m),7.33(2H,dd,J1=7.7Hz,J2=5.4Hz),7.52(1H,d,J=8.7Hz),7.63−7.70(2H,m),7.81(1H,s)。LC−MS (ESI) C26H27FN4O6S2に対する計算値574.14,実測値575.3[M+H+]。
スキーム2は、実施例2、3、5,6、7、9、10及び11の飽和5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン化合物を調製するために用いることができる概括的な手順を示したものである。
飽和環状N−置換−β−アミノ酸エステル中間体は、スキーム2a−eに記載のいずれかの方法によって得られるものであるが、アミド結合を形成するのに用いられる標準のペプチドカップリング条件、例えばDCCなどを用いて、カルボン酸中間体と縮合させることにより、スキームに示すアミドを得ることができる。その中間体を、単離するか、単離することなく、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で環化させることにより、所望の飽和5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン化合物を得ることができる。
市販の飽和環状メソ−酸無水物は、文献で述べられているような、酵素、あるいは、キナ・アルカロイド(例えばキニン又はキニジン等)のようなキラル剤を用いて、光学活性飽和環状ジカルボン酸モノエステルへと非対称化することができる。J.Org.Chem.,65,6984−6991(2000);Synthesis,11,1719−1730(2001)や、その中で引用されている参照文献を参照されたい。これらの中間体から、クルツィウス転移(Curtius rearrangement;スキーム中に示す)やホフマン分解(Hofmann degradation)などの転移反応を介して、さらに保護−光学活性飽和環状β−アミノ酸エステル類(例えば、Cbz−保護体)を合成することができる。標準条件における保護−飽和環状β−アミノ酸エステルの水素添加は、保護基を除去して、光学活性飽和環状β−アミノ酸エステルとするのに用いることができる。当該光学活性飽和環状β−アミノ酸エステルは、遊離塩基、又はそれに対応する塩として単離(及び使用)できる。光学活性飽和環状β−アミノ酸エステル(又はその塩)を、次に還元剤(シアノ水素化ホウ素ナトリウムなど)の存在下、アルデヒド又はケトンで処理することにより、所望の光学活性飽和環状N−置換−β−アミノ酸エステル中間体を得ることができる。なおスキーム中、RxとRwは独立に、C1−C5アルキル、C3−C8シクロアルキル、−C1−C5アルキレン(C3−C8シクロアルキル)、−C1−C5アルキレン(アリール)、−C1−C5アルキレン(ヘテロサイクリル)、アリール、若しくはヘテロサイクリルであるか、又は、RwはRxと結合して3〜8員環を形成していても良い。あるいは、上記反応シーケンスは、酵素又はキラル剤を用いずに行って、対応するアキラルな中間体や生成物としてもよい。
スキーム2bは、不飽和酸無水物から環状N−置換−β−アミノ酸エステル中間体を調製するのに用いることができる概括的な手順を示している。
市販の不飽和環状メソ−酸無水物は上述(スキーム2b)のように非対称化して、光学活性不飽和環状ジカルボン酸モノエステルとすることができる。これらの中間体から、クルツィウス転移(スキーム中に示す)やホフマン分解などの転移反応を介して、保護−光学活性不飽和環状β−アミノ酸エステル(例えば、CBz−保護体)をさらに合成することができる。その後、CBz保護基を除去し、オレフィンが接触水添により還元されて、光学活性不飽和環状β−アミノ酸エステル中間体とすることができる。この光学活性不飽和環状β−アミノ酸エステル中間体は、塩又はそれに相当する遊離塩基として単離(及び使用)することができる。
スキーム2cは飽和環状N−置換−β−アミノ酸エステル中間体を調製するのに用いることができる別の概括的な手順を示している。
二環式オレフィン(例えばノルボルネン)は、クロロスルホニルイソシアネートと反応させてスキームに示すβ−ラクタムとすることができる。これらの中間体は、強酸(例えば塩酸)の存在下、加水分解して、飽和環状β−アミノ酸(又はその塩)とすることができる。次に、この飽和環状β−アミノ酸(又はその塩)から、標準条件を用いて、対応するエステルを合成することができる。その飽和環状β−アミノ酸エステルを、次に還元剤(シアノ水素化ホウ素ナトリウム等)の存在下、アルデヒド又はケトンで処理して、所望の飽和環状N−置換−β−アミノ酸エステル中間体とすることができる。
スキーム2dは、ジアステレオマー法による晶析によって、ジ−exoエナンチオマーを光学分割するのに用いることができる方法を述べた概括的なスキームを示している。
上述のようにしてノルボルネンから得られたラセミ体のジ−exo−β−アミノ酸エステル誘導体は、光学的に純粋な酸、例えば(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸などを用いてジアステレオマー塩を形成させることにより光学分割することができる。(1R,2R,3S,4S)−β−アミノ酸エステル誘導体は、(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸と結晶状の塩を形成し、この結晶塩を好適な溶媒(例えば酢酸エチル)を用いた濾過によって選択的に単離することができる。次にその塩を炭酸ナトリウムなどの塩基で処理すると、遊離の、エナンチオマー的に純粋な環状(1R,2R,3S,4S)−β−アミノ酸エステルが得られる。光学的に純粋な環状(1R,2R,3S,4S)−β−アミノ酸エステル(又はその塩)を、次に還元剤(シアノ水素化ホウ素ナトリウム等)の存在下、アルデヒド又はケトンで処理することにより、所望の光学的に純粋な飽和環状N−置換−(1R,2R,3S,4S)−β−アミノ酸エステル中間体が得られる。
スキーム2eは、エナンチオマー的に純粋な飽和環状N−置換−β−アミノ酸エステル中間体を調製するのに用いることができる別の手順を示したものである。
β−ラクタム(スキーム2c記載の方法で調製されたもの)を、アルコール(例えば、エタノール)の存在下、光学的に純粋な酸、例えば(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸(スキーム2dに記載のもの)などを用いてジアステレオマー塩を形成させることにより、開環させて光学分割することによって、ジアステレオマー的に純粋な(1R,2R,3S,4S)−β−アミノ酸エステルを、(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸との塩として直接得ることができる。炭酸カリウムなどの塩基で処理し、還元剤(シアノ水素化ホウ素ナトリウム等)の存在下、アルデヒド又はケトンを用いて還元的アルキル化を行うことにより、所望のエナンチオマー的に純粋な飽和環状N−置換−(1R,2R,3S,4S)−β−アミノ酸エステル中間体が得られる。
実施例2:N−{3−[(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.0
2,7
]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ
6
−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド
a)(1S,2S,3R,4R)−3−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2−カルボン酸
表題の化合物をJ.Org.Chem.2000,65,6984−6991の記載に従って調製した。cis−5−ノルボルネン−endo−2,3−ジカルボン酸無水物(5g,30.45mmol)を、トルエンと四塩化炭素(610mL)の1:1混合物に懸濁した。混合物を10分間攪拌した。キニン(10.87g,33.5mmol)を加え、フラスコを脱気し、窒素を充填した。溶液を−55℃まで冷却した。攪拌しながら、メタノール(3.7mL,91.35mmol)を加えた。この混合物を−55℃で16時間攪拌した。混合物を25℃に昇温して、減圧下で濃縮することにより、フォームとした。そのフォームを酢酸エチル(400mL)と1.0M塩酸(400mL)との混合物に溶解させた。分液を行い、有機相をさらに1.0M塩酸(2×200mL)、飽和ブライン水溶液(100mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、所望の生成物である、(1S,2S,3R,4R)−3−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2−カルボン酸(5.95g,30.3mmol、収率99%)を透明な油状液体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.31(1H,d,J=8.5Hz),1.98(1H,d,J=8.6Hz),2.51(2H,d,J=1.6Hz),2.95(2H,bs),3.52(3H,s),6.17−6.21(2H,m),12.16(1H,s)。
b)メチル(1R,2R,3S,4S)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2−カルボキシレート
(1S,2S,3R,4R)−3−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(5.9g,30mmol)を、無水テトラヒドロフラン(133mL)に溶解させた。フラスコを脱気し、窒素を充填し、混合物を0℃まで冷却した。トリエチルアミン(12.64mL,90mmol)を添加し、次に、激しく攪拌しながら、クロロギ酸エチル(5.72mL,60mmol)を滴下した。すぐに沈殿が形成されるのが確認された。この混合物を0℃で1時間攪拌した。アジ化ナトリウム(5.86g,90mmol)を水(40mL)に溶解させ、0℃で反応混合物に加えた。混合物を0℃で5分間攪拌した。氷浴を取り除いた。混合物を25℃まで昇温し、2時間攪拌を続けた。混合物を水(300mL)中に注ぎ込み、生成物を酢酸エチル(300mL)中に抽出した。有機相をさらに半飽和重曹水溶液(2×100mL)、飽和ブライン水溶液(100mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、薄茶色の油状液体を得た。その油状液体を無水ベンゼン(66mL)に溶解させ、窒素下で2時間攪拌しながら還流させた。この溶液を25℃に冷却し、減圧下で濃縮することにより、薄茶色の油状液体を得た。この油状液体をジクロロメタン(40mL)に溶解し、ベンジルアルコール(3.41mL,33mmol)を添加し、次にトリエチルアミン(8.44mL,60mmol)を添加した。この混合物を窒素下で16時間還流させた。25℃に冷却し、溶液を減圧下で濃縮することにより、粘稠な油状液体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(Merck silica gel 60,40〜63μm;column1:3:1ヘキサン/酢酸エチル;column2:2:4:1ジクロロメタン/ペンタン/ジエチルエーテル)による精製により、所望の生成物である、メチル(1R,2R,3S,4S)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボキシレート(6.95g,23.09mmol,収率77%)を淡黄色油状液体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.59(1H,d,J=9.3Hz),1.96(1H,d,J=9.3Hz),2.66(1H,d,J=7.9Hz),2.75(1H,s),2.96(1H,s),3.59(3H,s),4.01(1H,t,J=8.5Hz),5.09(2H,q,J=10.4Hz),5.46(1H,d,J=9.4Hz),6.17−6.22(2H,m),7.29−7.36(5H,m)。LC−MS (ESI) C17H19NO4に対する計算値301.13,実測値258.1(100%),302.2[M+H+](70%),603.5[2M+H+](20%)。
c)メチル(1S,2R,3S,4R)−3−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート塩酸塩
メチル(1R,2R,3S,4S)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボキシレート(1g,3.32mmol)を酢酸エチル(15mL)に溶解させた。5%パラジウム炭素(120mg)を加えた。フラスコを脱気し、バルーンを介して水素ガスを充填した。混合物を25℃で16時間攪拌した。混合物をセライト〔Celite(登録商標)〕のプラグに通し、濾液を減圧下で濃縮することにより、粘稠な透明油状液体を得た。その油状液体をジエチルエーテル(10mL)に溶解し、塩化水素酸の4.0M 1,4−ジオキサン溶液(1.8mL)をジエチルエーテル(18mL)中に添加して得た混合物に、激しく攪拌しながら滴下した。所望の生成物が白色固体として析出し始めた。さらにジエチルエーテル(10mL)を加え、混合物を10分間攪拌した。沈殿物を減圧濾過で回収し、追加のジエチルエーテル(2×8mL)で洗滌した。固体をさらに1時間減圧下で乾燥させることにより、所望の生成物である、メチル(1S,2R,3S,4R)−3−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート塩酸塩(0.64g,3.11mmol,収率94%)を白色粉末として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.17−1.27(3H,m),1.40−1.61(2H,m),1.91(1H,d,J=10.7Hz),2.36(1H,d,J=4.1Hz),2.44(1H,d,J=3.1Hz),2.75(1H,d,J=7.8Hz),3.30−3.38(1H,m),3.61(3H,s),8.05(3H,bs)。LC−MS (ESI) C9H15NO2(遊離アミン)に対する計算値169.11,実測値170.3[M+H+](100%),339.3[2M+H+](50%)。
d)メチル(1S,2R,3S,4R)−3−[(4−フルオロベンジル)アミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート
メチル(1S,2R,3S,4R)−3−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート塩酸塩(0.5g,2.43mmol)をメタノール(12mL)に溶解させた。酢酸ナトリウム(0.4g,4.86mmol)を添加し、次に4Å粉末モレキュラーシーブ(0.5g)及び4−フルオロ−ベンズアルデヒド(0.302g,2.43mmol)を添加した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.305g,4.86mmol)を加え、混合物を25℃で16時間攪拌した。混合物を飽和重曹水溶液(200mL)と酢酸エチル(300mL)の混合物中に注ぎ込んだ。振盪後、両方の相をセライト〔Celite(登録商標)〕のプラグに通した。有機相をさらに飽和重曹水溶液(100mL)、飽和ブライン水溶液(100mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、粗生成物である、メチル(1S,2R,3S,4R)−3−[(4−フルオロベンジル)アミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート(0.663g,2.39mmol,収率98%)を透明油状液体として得た。LC−MS (ESI) C16H20FNO2に対する計算値277.15,実測値278.2[M+H+](100%)。
e)N−{3−[(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド
メチル(1S,2R,3S,4R)−3−[(4−フルオロベンジル)アミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート(0.6g,2.16mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解させた。(7−メタンスルホニルアミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−酢酸(米国特許第7,939,524号,0.72g,2.16mmol)を添加し、次にN−メチルモルホリン(0.5mL,4.54mmol)を添加した。全成分が溶解するまで混合物を約5分間攪拌した。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.435g,2.27mmol)を加え、混合物を25℃で45分間攪拌した。トリエチルアミン(0.91mL,6.48mmol)を加え、混合物を50℃で16時間攪拌した。
25℃に冷却して、溶液を酢酸エチル(300mL)で希釈し、1.0M塩酸(3×300mL)、飽和ブライン水溶液(100mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、金色の油状液体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(Merck silica gel 60,40〜63μm,0〜0.75%メタノールinジクロロメタン)によって精製することにより、生成物を白色フォームとして得た。そのフォームをメタノール(10mL)に溶解し、攪拌しながら1.0M塩酸(20mL)を添加することにより生成物が沈殿した。固体を減圧濾過で回収し、減圧下でさらに乾燥させることにより、所望の生成物である、N−{3−[(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド(0.573g,1.02mmol,収率47%)を白色粉末として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.16−1.22(2H,m),1.37−1.65(4H,m),2.49−2.53(1H,m),2.63(1H,d,J=2.3Hz),3.02(1H,d,J=8.5Hz),3.05(3H,s),3.52(1H,d,J=9.4Hz),4.41(1H,d,J=15.6Hz),4.95(1H,d,J=15.6Hz),7.14(2H,t,J=9.0Hz),7.32(2H,dd,J1=8.1Hz,J2=5.7Hz),7.50(1H,dd,J1=9.5Hz,J2=2.3Hz),7.55−7.57(2H,m),10.17(1H,s)。LC−MS (ESI) C25H25FN4O6S2に対する計算値560.12,実測値561.3[M+H+](100%)。ee=90%[HPLC分析:Chiralpak AS−RH 2.1×150mm,5ミクロン,室温,溶媒A−溶媒B(勾配は表を参照),0.3mL/分,312nm,t1=4.3分(主成分),t2=6.0分]。
あるいは、N−{3−[(1S,2S,7R,8R)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミドは、以下の方法でも調製することができる。
f)(rac−ジ−exo)−3−アザ−トリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−4−オン
ビシクロ[2.2.1]へプト−2−エン(21.29g,223.8mmol)のジエチルエーテル(100mL)溶液に、クロロスルホニルイソシアネート(20.0mL,225.7mmol)のジエチルエーテル(40mL)溶液を、0℃で10分間滴下した。この混合物を12時間、25℃に穏やかに昇温した。この反応混合物を0℃に冷却し、攪拌しながら、亜硫酸ナトリウム(39.16g,301.4mmol)の水(300mL)溶液を滴下した。この混合物を25℃に昇温した。この混合物に10%水酸化カリウム水溶液を、pHが7〜8に達するまで添加した。有機相を分離して、水相をジエチルエーテル(2×100mL)で抽出した。有機相を集めて、飽和ブライン水溶液(100mL)で洗滌し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、高減圧下で乾燥させて、粗製の(rac−ジ−exo)−3−アザ−トリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−4−オン(23.37g,170.4mmol,収率76%)を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.02−1.11(2H,m),1.24(1H,dt,J1=10.9Hz,J2=1.6Hz),1.51−1.72(3H,m),2.37−2.37(1H,m),2.43−2.44(1H,m),2.99−3.00(1H,m),3.40(1H,d,J=3.4Hz),5.73(1H,bs)。
g)(rac−ジ−exo)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸塩酸塩
(rac−ジ−exo)−3−アザ−トリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−4−オン(23.37g,170.4mmol)に、12.0M塩酸(150mL)を添加した。混合物を25℃で12時間攪拌した。溶媒を減圧下で留去し、粗製の化合物を0.5時間、高減圧下で乾燥した。粗製の化合物をアセトンと共に摩砕し、濾過することにより、(rac−ジ−exo)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸塩酸塩(28.43g,148.3mmol,収率87%)を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.15−1.26(3H,m),1.42−1.59(2H,m),1.87(1H,d,J=10.3Hz),2.33(1H,d,J=3.4Hz),2.45(1H,d,J=2.3Hz),2.67(1H,d,J=7.6Hz),3.23−3.26(1H,m),7.93(3H,bs),12.73(1H,bs)。
h)(rac−ジ−exo)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル塩酸塩
−10℃の無水エタノール(75mL)に塩化チオニル(4.1mL,54.5mmol)を滴下して加え、次に(rac−ジ−exo)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸塩酸塩(9.60g,50.1mmol)を加えた。その混合物を0℃で1時間攪拌し、25℃で4時間攪拌し、還流下で0.5時間加熱した。その溶液を減圧下で濃縮し、高減圧下で乾燥させることにより、粗製の(rac−ジ−exo)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル塩酸塩(11.01g,50.1mmol,収率100%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.17−1.27(3H,m),1.21(3H,t,J=7.0Hz),1.43−1.57(2H,m),1.91(1H,d,J=10.0Hz),2.36(1H,d,J=3.9Hz),2.42(1H,d,J=3.0Hz),2.72(1H,d,J=7.6Hz),3.28(1H,d,J=8.3Hz),4.00−4.13(2H,m),8.06(3H,bs)。
i)(rac−ジ−exo)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル
(rac−ジ−exo)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル塩酸塩(11.01g,50.1mmol)に飽和重曹水溶液(50mL)を添加し、その混合物を25℃で0.5時間攪拌した。粗生成物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、高減圧下で2時間乾燥させることにより、粗製の(rac−ジ−exo)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル(8.17g,44.6mmol,収率89%)を茶色の油状液体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.10−1.26(3H,m),1.29(3H,t,J=7.0Hz),1.45−1.62(2H,m),1.86(2H,bs),1.95(1H,dt,J1=10.3Hz,J2=1.9Hz),2.09(1H,d,J=4.5Hz),2.49(1H,d,J=4.2Hz),2.56(1H,d,J=9.0Hz),3.24(1H,d,J=7.7Hz),4.09−4.21(2H,m)。
j)(1R,2S,3R,4S)−3−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−アンモニウム(1’S)−(+)−10−カンファースルホネート
(rac−ジ−exo)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル(4.00g,21.8mmol)の酢酸エチル(120mL)溶液に、(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸(2.57g,11.0mol)を添加した。その混合物を25℃で0.5時間、激しく攪拌した。固体(3.23g,7.77mmol)を濾過して、酢酸エチル(360mL)中で再結晶させ、(1R,2S,3R,4S)−3−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−アンモニウム(1’S)−(+)−10−カンファースルホネートを白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:0.84(3H,s),1.08(3H,s),1.30(3H,t,J=6.9Hz),1.32−1.43(4H,m),1.58−1.75(3H,m),1.89(1H,d,J=17.7Hz),1.95−2.07(3H,m),2.33(1H,dt,J1=18.4Hz,J2=3.9Hz),2.53(1H,s),2.58−2.65(1H,m),2.69(1H,d,J=2.9Hz),2.76−2.79(2H,m),3.26(1H,d,J=14.1Hz),3.60(1H,d,J=7.4Hz),4.14−4.27(2H,m),7.80(3H,bs)。
k)(1S,2R,3S,4R)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル
(1R,2S,3R,4S)−3−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−アンモニウム(1’S)−(+)−10−カンファースルホネート(2.76g,6.64mmol)に、酢酸エチル(28mL)と飽和炭酸ナトリウム水溶液(28mL)を添加し、その混合物を25℃で0.5時間攪拌した。有機相を分離し、水相を酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。その溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、高減圧下で1時間乾燥させることにより、(1S,2R,3S,4R)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル(1.15g,6.28mmol,収率95%)を無色の油状液体として得た。1H NMR(400MHz, CDCl3) δ:1.10−1.26(3H,m),1.29(3H,t,J=7.0Hz),1.45−1.62(2H,m),1.86(2H,bs),1.95(1H,dt,J1=10.3Hz,J2=1.9Hz),2.09(1H,d,J=4.5Hz),2.49(1H,d,J=4.2Hz),2.56(1H,d,J=9.0Hz),3.24(1H,d,J=7.7Hz),4.09−4.21(2H,m)。
鏡像体過剰率を決定するために、(1S,2R,3S,4R)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステルを、以下のようにして(S)−マンデル酸塩へと誘導体化した。(1S,2R,3S,4R)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル(34.2mg,0.187mmol)の酢酸エチル(1mL)溶液に、(S)−α−ヒドロキシフェニル酢酸(28.7mg,0.187mmol)を添加し、その混合物を25℃で0.5時間攪拌した。固体を濾過し、高減圧下で乾燥させることにより、(1R,2S,3R,4S)−3−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−アンモニウム(S)−α−ヒドロキシフェニルアセテート(11.4mg,0.034mmol,収率18%,de=97%)を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.08−1.20(3H,m),1.28(3H,t,J=7.1Hz),1.50−1.59(2H,m),1.79(1H,d,J=10.9Hz),2.23(1H,s),2.46−2.48(2H,m),3.04(1H,d,J=7.8Hz),4.05−4.18(2H,m),4.89(1H,s),5.49(3H,bs),7.22−7.31(3H,m),7.43(2H,d,J=6.9Hz)。
l)(1S,2R,3S,4R)−3−(4−フルオロベンジルアミノ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル
(1S,2R,3S,4R)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル(1.15g,6.28mmol)のエタノール(30mL)溶液に、4−フルオロベンズアルデヒド(0.68mL,6.31mmol)、氷酢酸(0.4mL,6.99mmol)、及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.04g,15.7mmol)を25℃で添加した。3時間攪拌した後、混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、飽和重曹水溶液(50mL)を用いて0.5時間で反応を停止させた。セライト〔Celite(登録商標)〕を通して混合物を濾過した。有機相を分離し、水相を酢酸エチル(50mL×2)で抽出した。全溶媒を除去すると、固体が形成した。固体を濾過し、水で洗滌し、減圧下で乾燥させることにより、(1S,2R,3S,4R)−3−(4−フルオロベンジルアミノ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル(1.74g,5.97mmol,収率95%)を白色固体として得た。1H NMR(400MHz, CDCl3) δ:1.05−1.16(2H,m),1.21(1H,dt,J1=8.0Hz,J2=1.6Hz),1.27(3H,t,J=7.4Hz),1.45−1.61(2H,m),1.94(1H,dt,J1=10.1Hz,J2=1.9Hz),2.28(1H,d,J=3.9Hz),2.43(1H,d,J=3.3Hz),2.60(1H,dd,J1=8.8Hz,J2=1.5Hz),2.94(1H,d,J=7.8Hz),3.66(1H,d,J=13.2Hz),3.80(1H,d,J=13.5Hz),4.13(2H,q,J=7.0Hz),6.97(2H,t,J=8.5Hz),7.26(2H,t,J=7.1Hz)。
m)(1S,2R,3S,4R)−3−{(4−フルオロベンジル)−[2−(7−メタンスルホニルアミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−アセチル]−アミノ}−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル
(1S,2R,3S,4R)−3−(4−フルオロベンジルアミノ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル(100.6mg,0.345mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(3.0mL)溶液に、(7−メタンスルホニルアミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−酢酸(米国特許第7,939,524号)(120.8mg,0.362mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(10.6mg,0.086mmol)、及び1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(70.9mg,0.362mmol)を添加した。25℃で12時間攪拌した後、混合物を酢酸エチルで希釈し、1.0M塩酸でpH1にまで酸性化した。有機相を分離し、水相を酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。集めた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、高減圧下で乾燥させることにより、粗製の(1S,2R,3S,4R)−3−{(4−フルオロベンジル)−[2−(7−メタンスルホニルアミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−アセチル]−アミノ}−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステルをほのかに黄色の油状液体として得た。この粗生成物はさらに精製することなく次のステップで用いた。LC−MS (ESI) C27H31FN4O7S2に対する計算値607.17,実測値607.2(M+H+)。
n)N−{3−[(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド
粗製の(1S,2R,3S,4R)−3−{(4−フルオロベンジル)−[2−(7−メタンスルホニルアミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−アセチル]−アミノ}−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル(209.3mg,0.345mmol)の無水エタノール(3mL)溶液に、ナトリウムエトキシドの21wt.%エタノール溶液(0.51mL,1.37mmol)を加えた。60℃で2時間攪拌した後、混合物を酢酸エチルで希釈し、1.0M塩酸でpH1にまで酸性化した。有機相を分離し、水相を酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。集めた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製の混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(Teledyne Isco RediSep column;0−100%酢酸エチルinヘキサン)で精製することにより、N−{3−[(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド(131.5mg,0.235mmol,収率68%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR(400MHz,MeOH−d4) δ:1.28(2H,d,J=11.0Hz),1.47(1H,t,J=10.8Hz),1.57−1.74(3H,m),2.56(1H,d,J=3.2Hz),2.75(1H,d,J=2.3Hz),2.96(1H,d,J=9.2Hz),3.02(3H,s),3.58(1H,d,J=9.2Hz),4.42(1H,d,J=15.5Hz),5.03(1H,d,J=15.7Hz),7.04(2H,t,J=8.5Hz),7.31(2H,dd,J1=7.9Hz,J2=5.5Hz),7.37(1H,d,J=8.8Hz),7.54(1H,dd,J1=8.3Hz,J2=2.3Hz),7.69(1H,d,J=2.3Hz)。LC−MS (ESI) C25H25FN4O6S2561.13に対する計算値,実測値561.4(M+H+)。ee=98.5%[HPLC分析:Chiralpak AS−RH 2.1×150mm,5ミクロン,室温,溶媒A−溶媒B(勾配は上記の表を参照),0.3mL/分,312nm,t1=7.58分(主成分),t2=8.95分]。
実施例3:(1R,2S,7R,8S)−5−(1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ
6
−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.0
2,7
]ウンデカ−5−エン−4−オン
a)N−(2−スルファモイル−フェニル)−マロンアミド酸エチルエステル
2−アミノ−ベンゼンスルホンアミド(5g,29mmol)を、N,N−ジメチルアセトアミド(25mL)及びジエチルエーテル(25mL)に溶解させた。3−クロロ−3−オキソ−プロピオン酸エチル(4.6g,30.45mmol)を上記反応溶液に添加した。その反応混合液を25℃で3時間攪拌した。生成物が沈殿し始め、その生成物を減圧濾過で回収した。固体を酢酸エチル(200mL)に溶解し、水(200mL)で抽出した。水相を酢酸エチル(200mL)で逆抽出した。集めた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、粗生成物である、N−(2−スルファモイル−フェニル)−マロンアミド酸エチルエステルを白色固体として得た。この粗生成物はさらに精製することなく次のステップで用いた。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.23 (3H,t,J=7.0Hz),3.61(2H,s),4.14(2H,quartet,J=7.0Hz),7.29−7.33(1H,m),7.53(2H,bs),7.56−7.60(1H,m),7.84−7.86(1H,m),7.97−7.99(1H,m),9.54(1H,bs)。LC−MS (ESI) C11H14N2O5Sに対する計算値,286.06,実測値287.1[M+H+]。
b)(1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−酢酸
固体の水酸化ナトリウム(3.48g,87mmol)を水に溶解させて飽和溶液を調製した。粗製のN−(2−スルファモイル−フェニル)−マロンアミド酸エチルエステルをその水酸化ナトリウム溶液に添加した。反応混合液を110℃で2.5時間加熱し、その後25℃に冷却した。氷水浴中で冷却しながら、反応混合液に12.0M塩酸(9.67g,116mmol)をゆっくりと加えて酸性化した。生成物が沈殿し、その生成物を減圧濾過で回収した。固体を冷水で洗滌し、高減圧下で乾燥させることにより、粗生成物である、(1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−酢酸(5g,20.8mmol,2つのステップを通して71.7%)を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:3.58(2H,s),7.31(1H,d,J=8.0Hz),7.44(1H,dd,J1=7.8Hz,J2=7.8Hz),7.67(1H,dd,J1=7.8Hz,J2=7.8Hz),7.79(1H,d,J=7.9Hz),12.18(1H,bs),13.03(1H,bs)。LC−MS (ESI) C9H8N2O4Sに対する計算値240.02,実測値241.1[M+H+]。
c)(1S,2R,3S,4R)−3−[[2−(1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−アセチル]−(4−フルオロ−ベンジル)−アミノ]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル
(1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−酢酸(0.2g,0.833mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(8mL)に溶解させた。(1S,2R,3S,4R)−3−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル(実施例2lの記載に従って調製したもの,0.244g,0.833mmol)を添加し、次に1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.168g,0.875mmol)を添加した。その後、N−メチルモルホリン(0.177g,1.75mmol)を上述の反応混合物に添加した。混合物を25℃で16時間攪拌した。溶液を1.0M塩酸(100mL)に注ぎ込んだ。水相を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、粗生成物である、(1S,2R,3S,4R)−3−[[2−(1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−アセチル]−(4−フルオロ−ベンジル)−アミノ]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステルを橙色の油状液体として得た。この油状液体はさらに精製することなく次のステップで用いた。LC−MS (ESI) C26H28FN3O5Sに対する計算値513.58,実測値514.4[M+H+]。
d)(1R,2S,7R,8S)−5−(1,1−ジオキソ−1,2−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン
粗製の(1S,2R,3S,4R)−3−[[2−(1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−アセチル]−(4−フルオロ−ベンジル)−アミノ]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステルをエタノール(8mL)に溶解させ、ナトリウムエトキシドの21wt.%エタノール溶液(1.6mL,4.2mmol)を上記溶液に添加した。混合物を60℃で4時間攪拌し、25℃まで放冷した。その混合物を0.5M塩酸(100mL)に注ぎ込んだ。生成物が沈殿し始め、その生成物を減圧濾過で回収した。沈殿物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(Teledyne Isco RediSep column;100%酢酸エチル)で精製することにより、所望の生成物である、(1R,2S,7R,8S)−5−(1,1−ジオキソ−1,2−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン(0.242g,0.517mmol,2つのステップを通して62.1%)を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.16−1.22(2H,m),1.40−1.60 (4H,m),2.51(1H,bs),2.64(1H,d,J=2.1Hz),3.03(1H,d,J=8.0Hz),3.54(1H,d,J=9.3Hz),4.42(1H,d,J=15.6Hz),4.97(1H,d,J=15.7Hz),7.15(2H,t,J=8.8Hz),7.33(2H,dd,J1=8.0Hz,J2=5.9Hz),7.45−7.53(2H,m),7.67−7.71(1H,m),7.85(1H,d,J=7.9Hz)。LC−MS (ESI) C24H22FN3O4Sに対する計算値467.13,実測値468.2[M+H+]。分析 C24H22FN3O4Sに対する計算値:C,61.66;H,4.74;N,8.99;実測値 C,61.96;H,4.88;N,8.99。
スキーム3は、実施例4の5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン化合物を調製するのに使用した具体的な手順を示すものである。
実施例4:(4aR,7aS)−N−{3−[1−(4−フルオロ−ベンジル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−[1]ピリジン−3−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ
6
−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド
a)(1R,2S)−2−アミノ−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル塩酸塩
(1R,2S)−2−アミノ−シクロペンタンカルボン酸塩酸塩(96mg,0.58mmol)をベンゼンとメタノールの1:1混合物(6mL)に溶解させた。この混合物を0℃に冷却した。(トリメチルシリル)ジアゾメタンの2.0Mヘキサン溶液(0.44mL,0.87mmol)を添加し、反応系を25℃で30分間攪拌した。この混合物を濃縮し、減圧下で乾燥させた。粗生成物を直接次の工程で使用した。
b)(1R,2S)−2−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル
(1R,2S)−2−アミノ−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル塩酸塩(104mg,0.58mmol)のテトラヒドロフラン(6mL)溶液に、硫酸マグネシウム(200mg)、トリエチルアミン(0.085mL,0.61mmol)、及び、4−フルオロベンズアルデヒド(0.13mL,1.19mmol)を25℃で連続して添加した。反応系を25℃で16時間攪拌した。この混合物をセライト〔Celite(登録商標)〕のショートパッドに通液し、濾液を濃縮し、減圧下で乾燥した。残渣を25℃でメタノール(10mL)に再溶解した。この溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(45mg,1.19mmol)を徐々に添加した。この混合物を25℃で1時間攪拌し、その後、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(10mL)に加えた。この混合物を酢酸エチル(20mL)に抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、透明の油状液体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(Merck silica gel 60,40−63μm;0−15%酢酸エチルinヘキサン)で精製することにより、所望の生成物である、(1R,2S)−2−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル(116mg,0.46mmol,79%)を透明な油状液体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.55−1.73(2H,m),1.83−1.93(3H,m),1.99−2.08(1H,m),2.97(1H,dd,J1=14.4Hz,J2=8.0Hz),3.31(1H,dd,J1=14.4Hz,J2=7.2Hz),3.70(3H,s),3.77(2H,dd,J1=19.6Hz,J2=12.0Hz),4.67(1H,s),6.96−7.06(2H,m),7.26−7.35(2H,m)。LC−MS (ESI) C14H18FNO2に対する計算値251.30,実測値252.1[M+H+]。
c)(1R,2S)−2−{(4−フルオロ−ベンジル)−[2−(7−メタンスルホニルアミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−アセチル]−アミノ}−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル
(1R,2S)−2−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル(106mg,0.42mmol)、及び、(7−メタンスルホニルアミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−酢酸(米国特許第7,939,524号の記載に従って調製したもの,140mg,0.42mmol)を、ジクロロメタン及びN,N’−ジメチルホルムアミドの1:1混合物(6mL)に溶解させた。N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドの1.0Mジクロロメタン溶液(0.46mL,0.46mmol)を添加した。反応系を25℃で16時間攪拌した。この混合物を減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィ(Merck silica gel 60,40−63μm;0−85%酢酸エチルinヘキサン)で精製することにより、所望の生成物である、(1R,2S)−2−{(4−フルオロ−ベンジル)−[2−(7−メタンスルホニルアミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−アセチル]−アミノ}−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル(127mg,0.22mmol,52%)を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.80−2.22(6H,m),3.07(3H,s),3.24(1H,dd,J1=18.8Hz,J2=8.0Hz),3.32(1H,dd,J1=15.6Hz,J2=8.0Hz),3.69(1H,s),4.63(2H,d,J=4.8Hz),4.67−4.74(1H,m),4.82−4.89(1H,m),6.99−7.14(5H,m),7.51−7.64(2H,m)。LC−MS (ESI) C24H27FN4O7S2に対する計算値566.62,実測値567.1[M+H+]。
d)(4aR,7aS)−N−{3−[1−(4−フルオロ−ベンジル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−[1]ピリジン−3−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド
(1R,2S)−2−{(4−フルオロ−ベンジル)−[2−(7−メタンスルホニルアミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−アセチル]−アミノ}−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル(117mg,0.21mmol)をエタノール(10mL)に溶解させた。ナトリウムエトキシドの21%w/wエタノール溶液(0.17mL,0.46mmol)を添加し、この混合物を60℃で4時間攪拌した。反応系を25℃まで冷却し、1.0M塩酸水溶液(10mL)で反応を停止させた。この混合物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機相を集め、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(Merck silica gel 60,40−63μm;0−5%メタノールinジクロロメタン)で精製し、所望の生成物である、(4aR,7aS)−N−{3−[1−(4−フルオロ−ベンジル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−[1]ピリジン−3−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド(80mg,0.15mmol,71%)を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.46−1.61(4H,m),1.95−2.12(2H,m),3.07(3H,s),3.85(1H,bs),4.48(1H,bs),4.91(1H,d,J=14.8Hz),7.16(2H,t,J=8.4Hz),7.40(2H,bs),7.50−7.61(3H,m),10.18(1H,s)。LC−MS (ESI) C23H23FN4O6S2に対する計算値534.58,実測値535.1[M+H+]。e.e.=98%[HPLC分析:Chiralpak AS−RH 4.6×250mm,5ミクロン,25℃,0.7mL/分,310nm,t1=14.89分,t2=22.20分(主成分)]。αD=−40.76(c=0.92,ジクロロメタン/メタノール 1:1)。分析 C23H23FN4O6S2・0.3H2O・0.3EtOAc・0.2Et2Oに対する計算値:C,51.66;H,4.86;N,9.64,実測値C,51.64;H,4.90;N,9.56。
実施例5:N−[3−(1R,2S,7R,8S)−3−シクロペンチル−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.0
2,7
]ウンデカ−5−エン−5−イル)−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ
6
−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル]−メタンスルホンアミド
a)(1S,2R,3S,4R)−3−シクロペンチルアミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル
窒素雰囲気下、シクロペンタノン(0.12mL,1.38mmol)を、(1S,2R,3S,4R)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル(実施例2kの記載に従って調製したもの,230mg,1.26mmol)の無水メタノール(10mL)溶液に25℃で添加した。10分間攪拌した後、氷酢酸(0.5mL)とシアノ水素化ホウ素ナトリウム(260mg,3.15mmol)を順次添加し、得られた混合物を50℃で30分間攪拌した。反応混合液を飽和重曹水溶液に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。集めた有機相を飽和ブライン水溶液で洗滌し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮することにより、所望の生成物である、(1S,2R,3S,4R)−3−シクロペンチルアミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル(237mg,0.94mmol,75%)を黄色油状液体として得た。LC−MS (ESI) C15H25NO2に対する計算値251.19,実測値252.0[M+H+]。
b)N−[3−(1R,2S,7R,8S)−3−シクロペンチル−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル)−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル]−メタンスルホンアミド
窒素雰囲気下で攪拌しながら、(1S,2R,3S,4R)−3−シクロペンチルアミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル(150mg,0.60mmol)及び(7−メタンスルホニルアミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−酢酸(米国特許第7,939,524号の記載に従って調製したもの,181mg,0.54mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)溶液に、N−メチルモルホリン(0.12mL,1.08mmol)及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(104mg,0.54mmol)を順次添加した。混合物を25℃で45分間攪拌し、トリエチルアミン(0.25mL,1.76mmol)を添加し、得られた混合物を50℃で60時間攪拌した。反応混合液を25℃に放冷し、酢酸エチルで希釈し、1.0M塩酸と飽和ブライン水溶液で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物を分取HPLC[Column Luna 5μ C18(2) 100Å AXIA 150×21.2mm,5ミクロン,30%〜95%in7分@流速30mL/分,0.05%トリフルオロ酢酸inアセトニトリル/0.05%トリフルオロ酢酸in水]で精製することにより、所望の生成物である、N−[3−(1R,2S,7R,8S)−3−シクロペンチル−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル)−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル]−メタンスルホンアミド(80mg,0.15mmol,26%)を黄色の固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.20−1.65(8H,m),1.75−1.95(6H,m),2.42(1H,s),2.60(1H,s),2.99(1H,d,J=9.2Hz),3.05(3H,s),3.60(1H,d,J=9.2Hz),3.93(1H,m),7.48−7.58(3H,m),10.17(1H,s)。LC−MS (ESI) C23H28N4O6S2に対する計算値520.15,実測値521.4[M+H+]。
実施例6:(1R,2S,7R,8S)−5−(7−アミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ
6
−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.0
2,7
]ウンデカ−5−エン−4−オン
a)(1R,2S,7R,8S)−5−(7−アジド−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン
(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−5−(7−ヨード−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン(実施例1aの記載に従って調製したもの,0.513g,0.864mmol)、アジ化ナトリウム(1.12g,17.2mmol)、アスコルビン酸ナトリウム(0.086g,0.43mmol)、ヨウ化銅(I)(0.16g,0.84mmol)、及び、trans−N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.20mL,1.27mmol)を、ジメチルスルホキシドと水(10mL)の5:1混合物に25℃で溶解させた。反応フラスコを脱気し、窒素を充填した(5×)。25℃で14時間攪拌した後、反応混合物を水(150mL)と酢酸エチル(2×150mL)とで分離した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(Teledyne Isco RediSep column;0−60%酢酸エチルinヘキサン)で精製して、所望の生成物である、(1R,2S,7R,8S)−5−(7−アジド−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン(0.348g,0.684mmol,79%)を濃茶色のフォームとして得た。このフォームをさらに精製することなく次の工程に用いた。
b)(1R,2S,7R,8S)−5−(7−アミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン
(1R,2S,7R,8S)−5−(7−アジド−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン(0.348g,0.684mmol)をメタノールと酢酸エチルの1:1混合物(15mL)に25℃で溶解させた。パラジウム炭素(0.40g,5%,「湿潤」)を加えると、黒色の懸濁液が得られた。反応系を25℃で6時間、水素雰囲気下(バルーン)に保持した後、セライト〔Celite(登録商標)〕を通して濾過した。そのセライト〔Celite(登録商標)〕を酢酸エチル(2×30mL)で洗滌し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(Teledyne Isco RediSep column;50−100%酢酸エチルinヘキサン)で精製することにより、所望の生成物である、(1R,2S,7R,8S)−5−(7−アミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン(0.159g,0.330mmol,48%)を淡黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.08−1.19(3H,m),1.40−1.57(3H,m),2.99(1H,d,J=7.2Hz),3.31(3H,s),3.36−3.37(1H,m),3.50(1H,d,J=7.8Hz),4.39(1H,d,J=14.6Hz),4.93(1H,d,J=14.5Hz),6.86−6.91(3H,m),7.13−7.15(2H,m),7.21(1H,d,J=8.8Hz),7.30(2H,bs),13.79(1H,s)。LC−MS (ESI) C24H23FN4O4Sに対する計算値482.14,実測値483.4[M+H+]。
実施例7:N−{3−[(1S,2R,7S,8R)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.0
2,7
]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ
6
−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド
a)(1R,2R,3S,4S)−3−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸
この化合物をJ.Org.Chem.2000,65,6984−6991の記載に従って調製した。cis−5−ノルボルネン−exo−2,3−ジカルボン酸無水物(5g,30.45mmol)をトルエンと四塩化炭素の1:1混合物(150mL)に懸濁した。この混合物を10分間攪拌した。キニジン(10.9g,33.5mmol)を加え、フラスコを脱気し、窒素を充填した。溶液を−55℃に冷却した。攪拌しながら、メタノール(3.7mL,91.35mmol)を加えた。混合物を−55℃で16時間攪拌した。25℃まで昇温し、混合物を減圧下で濃縮してフォームとした。そのフォームを酢酸エチル(400mL)と1.0M塩酸(400mL)の混合物に溶解させた。分液を行い、有機相をさらに1.0M塩酸(2×100mL)、飽和ブライン水溶液(100mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、所望の生成物である、(1R,2R,3S,4S)−3−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(5.92g,30.2mmol,99%)を透明油状液体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.29(1H,d,J=10.2Hz),1.96(1H,d,J=8.6Hz),2.47−2.49(2H,m),2.93−2.94(2H,m),3.51(3H,s),6.15−6.20(2H,m),12.15(1H,s)。
b)メチル(1S,2S,3R,4R)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボキシレート
この中間体を、Synthesis 2001,11,1719−1730に記載の方法に従って調製した。(1R,2R,3S,4S)−3−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(5.9g,30mmol)を無水テトラヒドロフラン(133mL)に溶解させた。フラスコを脱気し、窒素を充填し、混合物を0℃まで冷却した。トリエチルアミン(12.64mL,90mmol)を添加し、その後、激しく攪拌しながらクロロギ酸エチル(5.72mL,60mmol)を滴下した。すぐに沈殿が形成されるのが確認された。混合物を0℃で1時間攪拌した。アジ化ナトリウム(5.86g,90mmol)を水(40mL)に溶解させ、0℃で反応混合物に加えた。この混合物を0℃で5分間攪拌した。氷浴を取り除いた。混合物を25℃まで昇温し、2時間攪拌を続けた。混合物を水(300mL)に注ぎ込み、生成物を酢酸エチル(350mL)中に抽出した。有機相をさらに半飽和重曹水溶液(2×100mL)、飽和ブライン水溶液(100mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、薄茶色の油状液体を得た。
その油状液体を無水ベンゼン(66mL)に溶解させ、窒素下で2時間攪拌しながら還流させた。25℃に冷却し、溶液を減圧下で濃縮することにより、薄黄色の油状液体を得た。その油状液体をジクロロメタン(40mL)に溶解させ、ベンジルアルコール(3.41mL,33mmol)を添加し、次にトリエチルアミン(8.44mL,60mmol)を添加した。この混合物を窒素下で16時間還流させた。25℃に冷却し、溶液を減圧下で濃縮することにより、粘稠な油状液体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(Merck silica gel 60,40〜63μm;1st column:3:1ヘキサン/酢酸エチル;2nd column:2:4:1ジクロロメタン/ペンタン/ジエチルエーテル)で精製することにより、所望の生成物である、メチル(1S,2S,3R,4R)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボキシレート(6.195g,20.58mmol,69%)をほのかに黄色の油状液体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.60(1H,d,J=9.4Hz),1.97(1H,d,J=9.3Hz),2.66(1H,d,J=7.5Hz),2.75(1H,s),2.96(1H,s),3.60(3H,s),4.02(1H,t,J=8.9Hz),5.09(2H,q,J=10.5Hz),5.47(1H,d,J=8.8Hz),6.18−6.23(2H,m),7.29−7.37(5H,m)。LC−MS (ESI) C17H19NO4に対する計算値301.13,実測値258.1(100%),302.2[M+H+](70%),603.4[2M+H+](20%)。
c)メチル(1R,2S,3R,4S)−3−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート塩酸塩
メチル(1S,2S,3R,4R)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボキシレート(1g,3.32mmol)を酢酸エチル(15mL)に溶解させた。5%パラジウム炭素(120mg)を加えた。フラスコを脱気し、バルーンを介して水素ガスを充填した。混合物を25℃で16時間攪拌した。混合物をセライト〔Celite(登録商標)〕のプラグに通し、濾液を減圧下で濃縮することにより、粘稠な透明油状液体を得た。その油状液体をジエチルエーテル(10mL)に溶解させ、塩化水素酸の4.0M 1,4−ジオキサン溶液(1.8mL、7.2mmol)をジエチルエーテル(18mL)中に添加して得た混合物に、激しく攪拌しながら滴下した。所望の生成物が白色固体として析出し始めた。さらにジエチルエーテル(10mL)を加え、混合物を10分間攪拌した。沈殿物を減圧濾過で回収し、追加のジエチルエーテル(2×8mL)で洗滌した。固体をさらに1時間減圧下で乾燥させることにより、所望の生成物である、メチル(1R,2S,3R,4S)−3−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート塩酸塩(0.554g,2.7mmol,81%)を白色粉末として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.18−1.27(3H,m),1.37−1.61(2H,m),1.90(1H,d,J=11.0Hz),2.35(1H,d,J=3.8Hz),2.44(1H,d,J=3.1Hz),2.75(1H,d,J=8.7Hz),3.29−3.34(1H,m),3.61(3H,s),8.03(3H,bs)。LC−MS (ESI) C9H15NO2(遊離アミン)に対する計算値169.11,実測値170.3[M+H+](100%),339.3[2M+H+](50%)。
d)メチル(1R,2S,3R,4S)−3−[(4−フルオロベンジル)アミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート
メチル(1R,2S,3R,4S)−3−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート塩酸塩(0.5g,2.43mmol)をメタノール(12mL)に溶解させた。酢酸ナトリウム(0.4g,4.86mmol)を添加し、次に4Å粉末モレキュラーシーブ(0.5g)及び4−フルオロ−ベンズアルデヒド(0.302g,2.43mmol)を添加した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.305g,4.86mmol)を加え、混合物を25℃で3時間攪拌した。混合物を酢酸エチル(300mL)中に注ぎ込み、飽和重曹水溶液(200mL)と共に振盪した。両方の相をセライト〔Celite(登録商標)〕のプラグに通した。有機相をさらに飽和重曹水溶液(100mL)、飽和ブライン水溶液(100mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、粗生成物である、メチル(1R,2S,3R,4S)−3−[(4−フルオロベンジル)アミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート(0.675g,2.43mmol,99%)を透明油状液体として得た。LC−MS (ESI) C16H20FNO2に対する計算値277.15,実測値278.2[M+H+]。
e)N−{3−[(1S,2R,7S,8R)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド
メチル(1R,2S,3R,4S)−3−[(4−フルオロベンジル)アミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート(0.6g,2.16mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解させた。(7−メタンスルホニルアミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−酢酸(米国特許第7,939,524号の記載に従って調製したもの,0.72g,2.16mmol)を添加し、次にN−メチルモルホリン(0.5mL,4.54mmol)を添加した。全成分が溶解するまで混合物を約5分間攪拌した。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.435g,2.27mmol)を加え、混合物を25℃で45分間攪拌した。トリエチルアミン(0.91mL,6.48mmol)を加え、混合物を50℃で16時間攪拌した。25℃に冷却して、溶液を酢酸エチル(300mL)で希釈し、1.0M塩酸(3×300mL)、飽和ブライン水溶液(100mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、金色の油状液体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(Merck silica gel 60,40〜63μm,0〜0.75%メタノールinジクロロメタン)で精製することにより、生成物を白色のフォームとして得た。そのフォームをメタノール(10mL)に溶解させ、攪拌しながら1.0M塩酸(20mL)を加えることにより生成物を沈殿させた。固体を減圧濾過で回収し、減圧下でさらに乾燥させることにより、所望の生成物である、N−{3−[(1S,2R,7S,8R)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド(0.592g,1.06mmol,49%)を白色粉末として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.15−1.22(2H,m),1.39−1.61(4H,m),2.49−2.55(1H,m),2.62−2.63(1H,m),3.02(1H,d,J=9.8Hz),3.05(3H,s),3.52(1H,d,J=9.3Hz),4.41(1H,d,J=15.5Hz),4.95(1H,d,J=15.5Hz),7.14(2H,t,J=8.7Hz),7.32(2H,dd,J1=8.2Hz,J2=5.7Hz),7.50(1H,dd,J1=8.4Hz,J2=2.4Hz),7.55−7.57(2H,m),10.17(1H,s)。LC−MS (ESI) C25H25FN4O6S2に対する計算値560.12,実測値561.3[M+H+]。ee=96%[HPLC分析:Chiralpak AS−RH 2.1×150mm,5ミクロン,室温,溶媒A−溶媒B(勾配は上記表を参照),0.3mL/分,312nm,t1=4.3分,t2=6.0分(主成分)]。
スキーム4aは、2−アミノ−4−(メタンスルホニルアミノ−メチル)−チオフェン−3−スルホン酸アミド中間体を調製するのに使用した具体的な手順を示すものである。
スキーム4bは、実施例8の5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン化合物を調製するのに使用した具体的な手順を示すものである。
実施例8:(1R,2S,7R,8S)−N−{3−[3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.0
2,7
]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ
6
−チエノ[2,3−e][1,2,4]チアジアジン−7−イルメチル}−メタンスルホンアミド
a)4−ブロモ−チオフェン−3−カルボン酸エチルエステル
塩化イソプロピルマグネシウム(2.0Mテトラヒドロフラン溶液263mL,0.527mol)を3,4−ジブロモ−チオフェン(102g,0.421mol)のテトラヒドロフラン(600mL)溶液に、0℃で35分かけてカニューレで添加した。この混合物を25℃に昇温し、この温度で18時間攪拌した。水(25mL)を添加し、混合物を25℃で15分間攪拌し、減圧下で約200mLに濃縮した。濃縮物を1.0M塩酸水溶液(400mL)と酢酸エチル(2×350mL)とで分離した。集めた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物である、4−ブロモ−チオフェン−3−カルボン酸エチルエステル(91.9g,0.391mol,93%)を、黄/茶色油状液体として得た。1H NMR(400MHz, CDCl3) δ:1.40(3H,t,J=7.5Hz),4.36(2H,q,J=7.3Hz),7.31(1H,d,J=3.9Hz),8.10(1H,d,J=3.0Hz)。
b)4−ブロモ−5−ニトロ−チオフェン−3−カルボン酸エチルエステル
4−ブロモ−チオフェン−3−カルボン酸エチルエステル(97.6g,0.415mol)を18.0M硫酸(660mL)に、0℃で10分かけてピペットで添加した。0℃で5分間攪拌した後、18.0M硫酸(130mL)に溶解した発煙硝酸(18mL)を滴下漏斗で30分かけて添加した。添加が終了した後、反応混合物を0℃で5分間攪拌し、氷(3.5kg)の上に注いだ。得られた析出物を濾過で回収し、水(300mL)、10%重炭酸ナトリウム水溶液(400mL)、及び、水(300mL)で連続して洗滌した。こうして得られた茶/黄色固体を、40℃の減圧オーブンで一晩乾燥させ、粗生成物である、4−ブロモ−5−ニトロ−チオフェン−3−カルボン酸エチルエステル(97.9g,0.350mol,84%)を得た。次の工程で用いる前に、この物質20gずつをフラッシュカラムクロマトグラフィ(Merck silica gel 60,40−63μm;25%ヘキサンinジクロロメタン)でさらに精製した(回収率=80−90%)。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.31(3H,t,J=7.0Hz),4.30(4H,q,J=7.0Hz),8.68(1H,s)。
c)4−ベンジルスルファニル−5−ニトロ−チオフェン−3−カルボン酸エチルエステル
炭酸カリウム水溶液(9.90g,71.6mmol,40mLの水に溶解)を、25℃で4−ブロモ−5−ニトロ−チオフェン−3−カルボン酸エチルエステル(20.06g,71.6mmol)のエタノール懸濁液に添加した。ベンジルメルカプタン(8.41mL,71.6mmol)をピペットで添加し、濃赤色の反応混合物を25℃で4時間攪拌し、減圧下でほぼ乾燥するまで濃縮した。残された橙茶色固体を、水(200mL)と共に粉砕し、濾過で回収した。水(200mL)で洗滌した後、得られた固体を一晩空気乾燥し、所望の生成物である、4−ベンジルスルファニル−5−ニトロ−チオフェン−3−カルボン酸エチルエステル(22.63g,70.0mmol,98%)を黄/茶色固体として得た。1H NMR(400MHz, CDCl3) δ:1.41 (3H,t,J=7.1Hz),4.25(2H,s),4.39(2H,q,J=7.0Hz),7.18−7.23 (5H,m),8.07(1H,s)。
d)(4−ベンジルスルファニル−5−ニトロ−チオフェン−3−イル)−メタノール
水素化ジイソブチルアルミニウム(1.0Mジクロロタン溶液を154mL,154mmol)を、カニューレで25分かけて−50℃の4−ベンジルスルファニル−5−ニトロ−チオフェン−3−カルボン酸エチルエステル溶液(22.63g,70.0mmol)に添加した。反応混合物を−50℃で2時間攪拌し、0℃に昇温し、この温度で35分間保持した。滴下漏斗によって15分かけて水(200mL)を添加し、得られた懸濁液を25℃に昇温し、追加の水(200mL)とD/L−酒石酸(20g)とを添加した。25℃で30分間激しく攪拌した後、反応混合物を1.0M塩酸(300mL)とジクロロメタン(2×400mL)とで分離した。集めた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(Merck silica gel 60,40−63μm;10−50%酢酸エチルinヘキサン)で精製し、所望の生成物である、(4−ベンジルスルファニル−5−ニトロ−チオフェン−3−イル)−メタノール(10.52g,37.4mmol,53%)を、濃茶色の油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:4.21(2H,s),4.40(2H,s),7.09−7.12(1H,m),7.21−7.24(4H,m),7.39(1H,s)。
e)Boc−N−(4−ベンジルスルファニル−5−ニトロ−チオフェン−3−イルメチル)−メタンスルホンアミド
トリエチルアミン(22.0mL,158mmol)、ジ−tert−ブチルジカーボネート(27.5g,126mmol)、及び、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(1.28g,10.5mmol)を、25℃で連続してメタンスルホンアミド(10.0g,105mmol)のジクロロメタン(300mL)溶液に添加した。この混合物を25℃で2時間攪拌し、減圧下で約40mLまで濃縮した。酢酸エチル(350mL)を添加し、この混合物を1.0M塩酸水溶液(300mL)で洗滌した。水相を酢酸エチル(250mL)で抽出し、集めた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮することにより、Boc−N−メタンスルホンアミド(17.1g,87.6mmol,83%)を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.53(9H,s),3.27(3H,s)。
Boc−N−メタンスルホンアミド(11.0g,56.3mmol)、トリメチルホスフィン(1.0Mテトラヒドロフラン溶液56.1mL,56.1mmol)、及び、ジエチルアゾジカルボキシレートの40wt.%トルエン溶液(25.6mL,56.0mmol)を、25℃で連続して(4−ベンジルスルファニル−5−ニトロ−チオフェン−3−イル)−メタノール(10.52g,37.4mmol)のテトラヒドロフラン(300mL)溶液に添加した。この混合物を25℃で3.5時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(Merck silica gel 60,40−63μm;20%酢酸エチルinヘキサン)で精製することにより、所望の生成物である、Boc−N−(4−ベンジルスルファニル−5−ニトロ−チオフェン−3−イルメチル)−メタンスルホンアミド(9.79g,21.3 mmol,57%)を濃茶色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.50(9H,s),3.29(3H,s),4.19(2H,s),4.68(2H,s),7.15−7.18(2H,m),7.22−7.25(3H,m),7.40(1H,s)。
f)Boc−4−(メタンスルホニルアミノ−メチル)−2−ニトロ−チオフェン−3−スルホン酸アミド
Boc−N−(4−ベンジルスルファニル−5−ニトロ−チオフェン−3−イルメチル)−メタンスルホンアミド(4.90g,10.7mmol)をジクロロメタン(65mL)に溶解し、この濃茶色溶液を0℃に冷却した。氷酢酸(15mL)と水(20mL)との混合物を徐々に添加し、2層混合物を得た。この混合物を、ピペットを用いて0℃で5分間、塩素ガスで泡立てた。得られた黄色の2層混合物を0℃でさらに35分間攪拌し、分液漏斗に流し入れ、分液した。水層をジクロロメタン(1×50mL)で抽出し、集めた有機相を水(1×50mL)で洗滌し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で約25mLまで濃縮した。次いで、この溶液に、滴下漏斗で30分かけてヘプタン(80mL)を添加した。得られた橙色の析出物を濾過で回収し、ヘプタン(2×20mL)で洗滌し、空気乾燥してBoc−4−(メタンスルホニルアミノ−メチル)−2−ニトロ−チオフェン−3−スルホニルクロリド(2.45g,5.63mmol,53%)を得た。
濃縮水酸化アンモニウム水溶液(3mL)を、0℃でBoc−4−(メタンスルホニルアミノ−メチル)−2−ニトロ−チオフェン−3−スルホニルクロリド(3.30g,7.59mmol)のアセトニトリル(90mL)溶液に添加した。この混合物を0℃で45分間攪拌し、半飽和重炭酸ナトリウム水溶液(150mL)と酢酸エチル(2×150mL)とで分離した。集めた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(Teledyne Isco RediSep column;20−90%酢酸エチルinヘキサン)で精製することにより、所望の生成物である、Boc−4−(メタンスルホニルアミノ−メチル)−2−ニトロ−チオフェン−3−スルホン酸アミド(2.64g,6.35mmol,84%)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.54(9H,s),3.35(3H,s),5.12(2H,s),5.81(2H,bs),7.61(1H,s)。
g)4−(メタンスルホニルアミノ−メチル)−2−ニトロ−チオフェン−3−スルホン酸アミド
塩化水素(4.0M1,4−ジオキサン溶液を20mL)を、25℃でBoc−4−(メタンスルホニルアミノ−メチル)−2−ニトロ−チオフェン−3−スルホン酸アミド(0.600g,1.44mmol)の1,4−ジオキサン(10mL)溶液に添加した。この混合物を25℃で18時間攪拌し、半飽和重曹水溶液(150mL)と酢酸エチル(2×150mL)とで分離した。集めた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(Teledyne Isco RediSep column;60−100%酢酸エチルinヘキサン)で精製することにより、黄色油状物を得た。この物質をジクロロメタンと共に粉砕し、黄色固体を得た。この黄色の固体を濾過で回収し、所望の生成物である、4−(メタンスルホニルアミノ−メチル)−2−ニトロ−チオフェン−3−スルホン酸アミド(0.400g,1.27mmol,88%)を得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:2.96(3H,s),3.31(2H,s),4.35(1H,d,J=5.4Hz),7.61(1H,t,J=6.2Hz),7.85(1H,s),7.87(2H,bs)。
h)2−アミノ−4−(メタンスルホニルアミノ−メチル)−チオフェン−3−スルホン酸アミド
パラジウム炭素(10%,0.150g,乾燥)を4−(メタンスルホニルアミノ−メチル)−2−ニトロ−チオフェン−3−スルホン酸アミド(0.156g,0.495mmol)のテトラヒドロフラン(12mL)溶液に25℃で添加した。フラスコを脱気し、バルーンを介して水素ガスを充填し、混合物を水素ガスの正圧下(2バルーン)で17時間攪拌した。セライト〔Celite(登録商標)〕を通して混合物を濾過し、セライト〔Celite(登録商標)〕をテトラヒドロフラン(3×20mL)で洗滌した。集めた濾液及び洗浄液を、減圧下で濃縮し、粗生成物である、2−アミノ−4−(メタンスルホニルアミノ−メチル)−チオフェン−3−スルホン酸アミドを黄色油状物として得た。この物質をさらに生成することなく、次の合成変換に用いた。
i)(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−カルボン酸エチルエステル
トリエチルアミン(4.22mL,30.3mmol)及びエチルマロニルクロリド(1.91mL,15.2mmol)を、25℃で連続して(1S,2R,3S,4R)−3−(4−フルオロベンジルアミノ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸エチルエステル(実施例2lの記載に従って調製したもの,4.21g,14.4mmol)のジクロロメタン溶液に添加した。この混合物を25℃で1時間攪拌し、1.0M塩酸(150mL)と酢酸エチル(2×150mL)とで分離した。集めた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮することにより、黄/橙色油状物を得た。
この物質を25℃で無水エタノール(80mL)に溶解し、ナトリウムエトキシドの21wt.%エタノール溶液(14.0mL,43.2mmol)を添加した。この混合物を45分間、60℃に加熱した後、25℃まで放冷した。そして、混合物を減圧下で濃縮し、得られた橙/茶色固体を1.0M塩酸(150mL)と酢酸エチル(2×150mL)とで分離した。集めた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(Teledyne Isco RediSep column;10−80%酢酸エチルinヘキサン)で精製することにより、所望の生成物である、(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−カルボン酸エチルエステルを淡黄色油状物として得た。この物質を次の合成工程に直接用いた。
q)(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン
(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−カルボン酸エチルエステルを、1,4−ジオキサンと1.0M硫酸水溶液の1/1混合物(200mL)に懸濁した。この混合物を40分間、110℃に加熱した後、25℃まで放冷した。冷却した混合物を分液漏斗に注ぎ入れ、酢酸エチル(2×150mL)で抽出した。集めた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、白色固体を得た。この物質をヘキサンと共に粉砕し、濾過で回収し、ヘキサン(2×15mL)で洗滌し、空気乾燥することにより、所望の生成物である、(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン(2.24g,7.80mmol,3ステップを通して54%)を白色固体として得た。1H NMR(主要互変異性体,400MHz,CDCl3) δ:1.11−1.16(1H,m),1.20−1.39(3H,m),1.57−1.69(2H,m),2.53(1H,d,J=8.4Hz),2.63(1H,bs),2.73(1H,bs),3.39(1H,d,J=4.1Hz),3.51(1H,d,J=9.5Hz),4.29(1H,d,J=14.9Hz),5.20(1H,d,J=14.9Hz),6.98−7.04(2H,m),7.19−7.24(2H,m)。
r)(1R,2S,7R,8S)−N−{3−[3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−チエノ[2,3−e][1,2,4]チアジアジン−7−イルメチル}−メタンスルホンアミド
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.974mL,5.59mL)及び(bis−メチルスルファニル−メチレン)−メチル−スルフォニウムテトラフルオロボレート塩(WO2008/011337の記載に従って調製したもの,0.466g,1.94mmol)を、25℃で連続して(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−4−オン(0.197g,0.686mmol)の1,4−ジオキサン(50mL)溶液に添加した。橙色混合物を25℃で2時間攪拌し、水(100mL)と酢酸エチル(2×100mL)とで分離した。集めた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、橙色油状物を得た。
この物質をアセトニトリル(8mL)に溶解させ、粗製の2−アミノ−4−(メタンスルホニルアミノ−メチル)−チオフェン−3−スルホン酸アミド(上記実施例8h,0.495mmol)のアセトニトリル(4mL)溶液に85℃で添加した。この混合物を85℃で4日間保持した後、25℃に放冷して、減圧下で濃縮した。残渣をprep−HPLC[Column Thomson ODS−A 100Å 5μ,150×21.2mm,30%−100%in11.5分@流速22mL/分,トリフルオロ酢酸の0.05%アセトニトリル溶液/トリフルオロ酢酸の0.05%水溶液]で精製し、粗生成物を得た。この物質をフラッシュカラムクロマトグラフィ(Teledyne Isco RediSep column;50−100%酢酸エチルinヘキサン)で精製することにより、所望の生成物である、(1R,2S,7R,8S)−N−{3−[3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−チエノ[2,3−e][1,2,4]チアジアジン−7−イルメチル}−メタンスルホンアミド(0.060g,0.103mmol,21%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:0.84−0.90(1H,m),1.08−1.60(5H,m),1.99(1H,s),2.61(1H,bs),2.96(3H,s),3.50(1H,d,J=9.4Hz),3.96−3.99(1H,m),4.24(1H,d,J=5.7Hz),4.38(1H,d,J=14.8Hz),4.93(1H,d,J=15.7Hz),7.11−7.16(2H,m),7.27(1H,s),7.29−7.33(2H,m),7.65(1H,t,J=5.9Hz)。LC−MS (ESI) C24H25FN4O6S3に対する計算値として580.09,実測値581.1[M+H+]。
実施例9:N−{3−[(2S,7R)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.2.0
2,7
]ドデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ
6
−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド
a)4−オキサ−トリシクロ[5.2.2.02,6]ウンデカン−3,5−ジオン
4−オキサ−トリシクロ[5.2.2.02,6]ウンデカ−8−エン−3,5−ジオン(4.00g,22.45mmol)を酢酸エチル(100mL)に溶解させた。10%パラジウム炭素(400mg)を加えた。フラスコを脱気し、バルーンを介して水素ガスを充填した。混合物を25℃で16時間攪拌した。混合物をセライト〔Celite(登録商標)〕のプラグに通し、濾液を減圧下で濃縮することにより、粘稠な透明油状液体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(Teledyne Isco RediSep column;0−30%酢酸エチルinヘキサン)で精製することにより、所望の生成物である、4−オキサ−トリシクロ[5.2.2.02,6]ウンデカン−3,5−ジオン(2.92g,16.20mmol,72%)を白色粉末として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.55−1.64(6H,m),1.76(2H,d,J=9.2Hz),2.25(2H,s),3.11(2H,s)。LC−MS (ESI) C10H12O3に対する計算値180.20,実測値181.0[M+H+]。
b)(2S,3R)−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジカルボン酸モノメチルエステル
4−オキサ−トリシクロ[5.2.2.02,6]ウンデカ−3,5−ジオン(0.90g,4.99mmol)をトルエン(50mL)及び四塩化炭素(50mL)に溶解させた。キニン(1.78g,5.49mmol)を加え、混合物を−55℃に冷却した。メタノール(0.61mL,14.97mmol)を上述の混合物に滴下した。反応系を−55℃で18時間攪拌した。反応系を25℃まで昇温し、減圧下で濃縮した。粗製物質を酢酸エチル(50mL)に溶解させ、1.0M塩酸(2×40mL)で洗滌した。有機相をさらに飽和ブライン水溶液(20mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、透明油状液体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(Teledyne Isco RediSep column;0−50%酢酸エチルinヘキサン)で精製することにより、所望の生成物である、(2S,3R)−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジカルボン酸モノメチルエステル(1.10g,5.18mmol,92%)を透明油状液体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.31(2H,dd,J1=20.0Hz,J2=12.4Hz),1.52−1.54(4H,m),1.63(1H,t,J=10.4Hz),1.75(1H,t,J=9.6Hz),1.87(2H,bs),2.84(2H,dd,J1=29.6Hz,J2=10.8Hz),3.52(3H,s),12.01(1H,s)。LC−MS (ESI) C11H16O4に対する計算値として212.24,実測値213.1[M+H+]。
c)(2R,3S)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸メチルエステル
(2S,3R)−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジカルボン酸モノメチルエステル(1.01g,4.76mmol)を無水テトラヒドロフラン(20mL)に溶解させた。フラスコを脱気し、窒素を充填し、混合物を0℃まで冷却した。トリエチルアミン(1.99mL,14.28mmol)を添加した後、激しく攪拌しながら、クロロギ酸エチル(0.91mL,9.52mmol)を滴下した。混合物を0℃で1時間攪拌した。アジ化ナトリウム(0.93g,14.28mmol)を水(5mL)に溶解させ、0℃で反応混合物に添加した。混合物を0℃で5分間攪拌した。氷浴を除去した。混合物を25℃まで昇温し、2時間攪拌した。混合物を水(50mL)に注ぎ込み、生成物を酢酸エチル(50mL)中に抽出した。有機相をさらに半飽和重曹水溶液(2×20mL)、飽和ブライン水溶液(20mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、透明油状液体を得た。その油状液体を無水ベンゼン(10mL)に溶解させ、窒素下、攪拌しながら2時間還流させた。℃に冷却し、溶液を25減圧下で濃縮することにより、かすかに黄色の油状液体を得た。その油状液体をジクロロメタン(10mL)に溶解させ、ベンジルアルコール(0.54mL,5.24mmol)を添加した後、トリエチルアミン(1.33mL,9.52mmol)を添加した。混合物を窒素下で16時間還流させた。25℃に冷却し、溶液を減圧下で濃縮することにより、金色の油状液体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(Teledyne Isco RediSep column;0−20%酢酸エチルinヘキサン)で精製することにより、所望の生成物である、(2R,3S)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸メチルエステル(0.58g,1.83mmol,38%)を透明油状液体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.18−1.28(2H,m),1.42−1.50(5H,m),1.73−1.96(3H,m),2.88(1H,d,J1=5.6Hz),3.27(1H,s),3.42(3H,s),4.00−4.04(1H,m),4.97(2H,dd,J1=46.4Hz,J2=12.8Hz),7.06(1H,d,J=9.6Hz),7.24−7.34(4H,m)。LC−MS(ESI) C18H23NO4に対する計算値317.38,実測値317.9[M+H+]。
d)(2R,3S)−3−アミノ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸メチルエステル塩酸塩
(2R,3S)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸メチルエステル(0.57g,1.79mmol)を酢酸エチル(20mL)に溶解させた。10%パラジウム炭素(60mg)を加えた。フラスコを脱気し、バルーンを介して水素ガスを充填した。混合物を25℃で16時間攪拌した。混合物をセライト〔Celite(登録商標)〕のプラグに通し、濾液を減圧下で濃縮することにより、粘稠な透明油状液体を得た。その油状液体をジエチルエーテル(6mL)に溶解させ、激しく攪拌しながら、塩化水素酸の4.0M 1,4−ジオキサン溶液(1.02mL)とジエチルエーテル(10mL)との混合物に滴下した。所望の生成物が白色固体として析出し始めた。混合物を20分間攪拌した。沈殿物を減圧濾過で回収し、さらにジエチルエーテル(5mL)で洗滌した。固体をさらに1時間減圧下で乾燥させることにより、所望の生成物である、(2R,3S)−3−アミノ−ビシクロ[2,2,2]オクタン−2−カルボン酸メチルエステル塩酸塩(0.33g,1.50mmol,84%)を白色粉末として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.38(2H,dd,J1=21.2Hz,J2=13.6Hz),1.55−1.63(5H,m),1.76−1.89(3H,m),3.02(1H,dd,J1=10.0Hz,J2=2.4Hz),3.47(1H,bs),3.65(3H,s),7.97(3H,s)。LC−MS (ESI) C10H17NO2(遊離アミン)に対する計算値として183.25,実測値184.2[M+H+]。
e)(2R,3S)−3−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸メチルエステル
(2R,3S)−3−アミノ−ビシクロ[2,2,2]オクタン−2−カルボン酸メチルエステル塩酸塩(0.34g,1.54mmol)をメタノール(10mL)に溶解させた。酢酸ナトリウム(0.25g,3.08mmol)を添加し、次に4Å粉末モレキュラーシーブ(0.34g)と4−フルオロ−ベンズアルデヒド(0.16mL,1.54mmol)を添加した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.19g,3.08mmol)を加え、混合物を25℃で16時間攪拌した。混合物を飽和重曹水溶液(20mL)と酢酸エチル(30mL)との混合物に注ぎ込んだ。振盪後、両方の相をセライト〔Celite(登録商標)〕のプラグに通した。有機相をさらに飽和重曹水溶液(10mL)、飽和ブライン水溶液(10mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、粗生成物である、(2R,3S)−3−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−ビシクロ[2,2,2]オクタン−2−カルボン酸メチルエステル(0.32g,1.11mmol,72%)を透明油状液体として得た。LC−MS(ESI) C17H22FNO2に対する計算値として291.36,実測値292.2[M+H+]。
f)N−{3−[(2S,7R)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.2.02,7]ドデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド
(2R,3S)−3−(4−フルオロ−ベンジルアミノ)−ビシクロ[2,2,2]オクタン−2−カルボン酸メチルエステル(93mg,0.32mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(4mL)に溶解させた。(7−メタンスルホニルアミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−酢酸(米国特許第7,939,524号の記載に従って調製したもの,107mg,0.32mmol)を添加し、次にN−メチルモルホリン(74μL,0.67mmol)を添加した。全成分が溶解するまで混合物を約5分間攪拌した。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(65mg,0.34mmol)を加え、混合物を25℃で16時間攪拌した。飽和重曹水溶液(20mL)を添加することにより反応を停止させた。混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。集めた有機相を飽和ブライン水溶液(20mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、金色の油状液体を得た。その油状液体をエタノール(5mL)に溶解させた。ナトリウムエトキシドの21wt.%エタノール溶液(0.36mL,0.96mmol)を加えた。反応系を16時間還流させた。1.0M塩酸(10mL)を添加することにより、反応を停止させた。混合物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機相をさらに飽和重曹溶液(2×20mL)、飽和ブライン水溶液(20mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、透明油状液体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(Teledyne Isco RediSep column;0−20%酢酸エチルinジクロロメタン)で精製することにより、所望の生成物である、N−{3−[(2S,7R)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.2.02,7]ドデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド(0.11g,0.19mmol,59%)を白色粉末として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.39(2H,d,J=8.0Hz),1.54−1.59(8H,m),1.91(1H,s),2.14(1H,s),3.06(3H,s),3.75(1H,d,J=11.6Hz),4.28(1H,d,J=15.2Hz),5.03(1H,d,J=15.6Hz),7.13−7.17(2H,m),7.34−7.37(2H,m),7.50−7.60(3H,m),10.18(1H,s)。LC−MS(ESI) C26H27FN4O6S2に対する計算値574.64,実測値575.1[M+H+]。m.p.:203.8−205.7℃。ee=94.4%[HPLC分析:Chiralpak AS−RH 4.6×250mm,5ミクロン,0.8mL/分,310nm]。
実施例10:N−{3−[(1S,2S,7R,8R)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.0
2,7
]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ
6
−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド
a)(1R,2S,3R,4S)−3−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸
出発物質(a)をJ.Org.Chem.2000,65,6984−6991の記載に従って調製した。cis−5−ノルボルネン−endo−2,3−ジカルボン酸無水物(4.104g,25mmol)を、トルエンと四塩化炭素(500mL)の1:1混合物中に懸濁させた。混合物を20分間攪拌した。キニン(8.92g,27.5mmol)を加え、フラスコを脱気し、窒素を充填した。溶液を−55℃まで冷却した。攪拌しながら、メタノール(3.04mL,75mmol)を加えた。混合物を−55℃で20時間攪拌した。25℃に昇温して、混合物を減圧下で濃縮することにより、粘稠な油状物とした。その油状物を酢酸エチル(400mL)に溶解させ、1.0M塩酸(2×400mL)、飽和ブライン水溶液(100mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、所望の生成物である、(1R,2S,3R,4S)−3−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(4.8g,24.5mmol,98%)を透明なワックス状の固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.26(1H,d,J=8.5Hz),1.33(1H,d,J=8.8Hz),3.00(1H,s),3.03(1H,s),3.21−3.30(2H,m),3.45(3H,s),6.02−6.04(1H,m),6.14−6.16(1H,m),11.86(1H,s)。
b)メチル(1S,2R,3S,4R)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボキシレート
(1R,2S,3R,4S)−3−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(4.61g,23.5mmol)を無水テトラヒドロフラン(40mL)に溶解させた。フラスコを脱気し、窒素を充填し、混合物を0℃まで冷却した。トリエチルアミン(9.9mL,70.5mmol)を添加し、次に、激しく攪拌しながら、クロロギ酸エチル(4.48mL,47mmol)を滴下した。すぐに沈殿が形成されるのが確認された。さらにテトラヒドロフラン(60mL)を加えた。混合物を0℃で1時間攪拌した。アジ化ナトリウム(4.58g,70.5mmol)を水(30mL)に溶解させ、0℃で反応混合物に加えた。混合物を0℃で5分間攪拌した。氷浴を取り除いた。混合物を25℃まで昇温した後、2時間攪拌した。混合物を水(300mL)中へ注ぎ込み、生成物を酢酸エチル(300mL)中に抽出した。有機相をさらに半飽和重曹水溶液(2×100mL)、飽和ブライン水溶液(100mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、透明油状物を得た。その油状物を無水ベンゼン(50mL)に溶解させ、窒素下で2時間攪拌しながら還流させた。25℃に冷却し、溶液を減圧下で濃縮することにより、かすかに黄色の油状物を得た。その油状物をジクロロメタン(30mL)に溶解させ、ベンジルアルコール(2.68mL,25.9mmol)を添加し、次にトリエチルアミン(6.61mL,47mmol)を添加した。この混合物を窒素下で16時間還流した。25℃に冷却し、溶液を減圧下で濃縮することにより、金色の油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(Merck silica gel 60,40−63μm,15%酢酸エチルinヘキサン)で精製することにより、所望の生成物である、メチル(1S,2R,3S,4R)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボキシレート(5.51g,18.31mmol,78%)を透明油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.38(1H,d,J=9.1Hz),1.50(1H,d,J=9.4Hz),3.10(2H,s),3.21(1H,dd,J1=9.2Hz,J2=2.3Hz),3.53(3H,s),4.62(1H,dt,J1=9.4Hz,J2=2.9Hz),5.07(2H,q,J=13.0Hz),5.29(1H,d,J=8.6Hz),6.15−6.17(1H,m),6.37−6.38(1H,m),7.29−7.35(5H,m)。LC−MS(ESI) C17H19NO4に対する計算値301.13,実測値258.1(100%),302.2[M+H+](70%),603.5[2M+H+](20%)。
c)メチル(1R,2R,3S,4S)−3−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート塩酸塩
メチル(1S,2R,3S,4R)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボキシレート(5.5g,18.27mmol)を酢酸エチル(75mL)に溶解させた。5%パラジウム炭素(650mg)を加えた。フラスコを脱気し、バルーンを介して水素ガスを充填した。混合物を25℃で16時間攪拌した。混合物をセライト〔Celite(登録商標)〕のプラグに通し、濾液を減圧下で濃縮することにより、粘稠な透明油状物を得た。その油状物を酢酸エチル(15mL)に溶解させ、塩化水素酸の4.0M 1,4−ジオキサン溶液(10mL,40mmol)をジエチルエーテル(90mL)中に添加して得た混合物に、激しく攪拌しながら滴下した。所望の生成物が白色固体として析出し始めた。混合物を20分間攪拌した。沈殿物を減圧濾過で回収し、追加のジエチルエーテル(15mL)で洗滌した。固体を減圧下でさらに1時間乾燥させることにより、所望の生成物である、メチル(1R,2R,3S,4S)−3−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート塩酸塩(2.61g,12.69mmol,69%)を白色粉末として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.34−1.43(4H,m),1.54(1H,d,J=9.5Hz),1.68(1H,d,J=11.4Hz),2.47−2.48(2H,m),3.03(1H,dd,J1=11.0Hz,J2=4.0Hz),3.49−3.53(1H,m),3.62(3H,s),8.07(3H,bs)。LC−MS (ESI) C9H15NO2(遊離アミン)に対する計算値169.11,実測値170.1[M+H+](100%),339.2[2M+H+](50%)。
d)メチル(1R,2R,3S,4S)−3−[(4−フルオロベンジル)アミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート
メチル(1R,2R,3S,4S)−3−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート塩酸塩(1g,4.86mmol)をメタノール(23mL)に溶解させた。酢酸ナトリウム(0.755g,9.2mmol)を添加し、次に4Å粉末モレキュラーシーブ(1g)及び4−フルオロ−ベンズアルデヒド(0.571g,4.6mmol)を加えた。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.578g,9.2mmol)を加え、混合物を25℃で16時間攪拌した。混合物を飽和重曹水溶液(200mL)と酢酸エチル(300mL)の混合物中に注ぎ込んだ。振盪後、両方の相をセライト〔Celite(登録商標)〕のプラグに通した。さらに、有機相を飽和重曹水溶液(100mL)、飽和ブライン水溶液(100mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、粗生成物である、メチル(1R,2R,3S,4S)−3−[(4−フルオロベンジル)アミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート(1.172g,4.23mmol,92%)を透明油状液体として得た。LC−MS (ESI) C16H20FNO2に対する計算値として277.15,実測値278.2[M+H+]。
e)N−{3−[(1S,2S,7R,8R)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド
メチル(1R,2R,3S,4S)−3−[(4−フルオロベンジル)アミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート(0.087g,0.3mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(2.8mL)に溶解させた。(7−メタンスルホニルアミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−酢酸(米国特許第7,939,524号の記載に従って調製したもの,0.1g,0.3mmol)を添加し、次にN−メチルモルホリン(0.07mL,0.63mmol)を添加した。全成分が溶解するまで混合物を約5分間攪拌した。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.061g,0.315mmol)を加え、混合物を25℃で4時間攪拌した。トリエチルアミン(0.126mL,0.9mmol)を加え、混合物を50℃で16時間攪拌した。25℃に冷却して、溶液を酢酸エチル(25mL)で希釈し、1.0M塩酸(2×25mL)、飽和ブライン水溶液(10mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、金色の油状液体を得た。その油状液体をメタノール(4mL)に溶解させ、攪拌しながら1.0M塩酸(4mL)を添加することにより生成物が沈殿した。固体を減圧濾過で回収し、減圧下でさらに乾燥させることにより、所望の生成物である、N−{3−[(1S,2S,7R,8R)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド(0.0805g,0.144mmol,48%)を白色粉末として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.23−1.48(6H,m),2.67−2.68(2H,m),3.06(3H,s),3.24(1H,d,J=15.0Hz),3.72(1H,d,J=11.9Hz),4.07(1H,d,J=15.6Hz),5.12(1H,d,J=15.7Hz),7.14(2H,t,J=8.4Hz),7.39(2H,dd,J1=8.2Hz,J2=5.8Hz),7.51(1H,dd,J1=8.4Hz,J2=2.3Hz),7.57−7.60(2H,m),10.18(1H,s)。LC−MS (ESI) C25H25FN4O6S2に対する計算値560.12,実測値561.3[M+H+]。ee=99%[HPLC分析:Chiralpak AS−RH 4.6×250mm,5ミクロン,室温,溶媒A−溶媒B(勾配は表を参照),0.8mL/分,310nm,t1=7.58分(主成分)t2=10.08分]。
実施例11:N−{3−[(1R,2R,7S,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.0
2,7
]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ
6
−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド
a)(1S,2R,3S,4R)−3−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸
出発物質(a)をJ.Org.Chem.2000,65,6984−6991の記載に従って調製した。cis−5−ノルボルネン−endo−2,3−ジカルボン酸無水物(8.21g,50mmol)を、トルエンと四塩化炭素の1:1混合物(250mL)中に懸濁させた。混合物を10分間攪拌した。キニジン(17.84g,55mmol)を加え、フラスコを脱気し、窒素を充填した。溶液を−55℃まで冷却した。攪拌しながら、メタノール(6.08mL,150mmol)を加えた。混合物を−55℃で18時間攪拌した。25℃まで昇温し、混合物を減圧下で濃縮することにより、粘稠な油状物とした。その油状物を酢酸エチル(400mL)と1.0M塩酸(300mL)の混合物に溶解させた。振盪後、分液を行い、有機相をさらに1.0M塩酸(2×100mL)、飽和ブライン水溶液(100mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、所望の生成物である、(1S,2R,3S,4R)−3−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(9.15g,46.6mmol,94%)を透明油状液体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.26(1H,d,J=8.4Hz),1.33(1H,d,J=8.4Hz),3.00(1H,s),3.03(1H,s),3.21−3.29(2H,m),3.45(3H,s),6.02−6.04(1H,m),6.14−6.16(1H,m),11.86(1H,s)。
b)メチル(1R,2S,3R,4S)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボキシレート
この中間体をSynthesis 2001,11,1719−1730の記載に従って調製した。(1S,2R,3S,4R)−3−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(8.94g,45.57mmol)を無水テトラヒドロフラン(200mL)に溶解させた。フラスコを脱気し、窒素を充填し、混合物を0℃まで冷却した。トリエチルアミン(19.2mL,136.7mmol)を添加し、次に、激しく攪拌しながら、クロロギ酸エチル(8.69mL,91.1mmol)を滴下した。すぐに沈殿が形成されるのが確認された。混合物を0℃で1時間攪拌した。アジ化ナトリウム(8.89g,136.7mmol)を水(60mL)に溶解させ、0℃で反応混合物に加えた。混合物を0℃で1時間攪拌した。氷浴を取り除いた。混合物を25℃まで昇温した後、2時間攪拌した。混合物を水(400mL)中へ注ぎ込み、生成物を酢酸エチル(400mL)中に抽出した。有機相をさらに半飽和重曹水溶液(2×200mL)、飽和ブライン水溶液(2×200mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、かすかに茶色の油状液体を得た。その油状液体を無水ベンゼン(100mL)に溶解させ、窒素下で2時間、攪拌しながら還流させた。25℃に冷却し、溶液を減圧下で濃縮することにより、かすかに茶色の油状液体を得た。その油状液体をジクロロメタン(60mL)に溶解させ、ベンジルアルコール(5.19mL,50.13mmol)を添加し、次にトリエチルアミン(12.81mL,91.14mmol)を添加した。混合物を窒素下で16時間還流させた。25℃に冷却し、溶液を減圧下で濃縮することにより、金色の油状液体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(Merck silica gel 60,40−63μm,10%酢酸エチルinヘキサン)による精製を行うことにより、所望の生成物である、メチル(1R,2S,3R,4S)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボキシレート(10.1g,33.55mmol,74%)を透明油状液体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.38(1H,d,J=8.7Hz),1.50(1H,d,J=8.4Hz),3.10(2H,s),3.21(1H,d,J=8.8Hz),3.53(3H,s),4.59−4.64(1H,m),5.07(2H,q,J=13.0Hz),5.29(1H,d,J=8.3Hz),6.15−6.17(1H,m),6.37−6.38(1H,m),7.27−7.36(5H,m)。LC−MS (ESI) C17H19NO4に対する計算値301.13,実測値258.1(100%),302.2[M+H+](70%),603.5[2M+H+](20%)。
c)メチル(1S,2S,3R,4R)−3−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート塩酸塩
メチル(1R,2S,3R,4S)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボキシレート(10g,33.22mmol)を酢酸エチル(150mL)に溶解させた。5%パラジウム炭素(1.5mg)を加えた。フラスコを脱気し、バルーンを介して水素ガスを充填した。混合物を25℃で2時間攪拌した。混合物をセライト〔Celite(登録商標)〕のプラグに通した。濾液を、体積が50mLになるまで減圧下で濃縮した。塩化水素酸の4.0M 1,4−ジオキサン溶液(20mL)をジエチルエーテル(200mL)中に添加して得た混合物に、溶液を激しく攪拌しながら滴下した。所望の生成物が白色固体として析出し始めた。混合物を10分間攪拌した。沈殿物を減圧濾過で回収し、追加のジエチルエーテル(15mL)で洗滌した。固体をさらに1時間減圧下で乾燥させることにより、所望の生成物である、メチル(1S,2S,3R,4R)−3−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート塩酸塩(5.21g,25.33mmol,76.3%)を白色粉末として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.33−1.42(4H,m),1.54(1H,d,J=10.3Hz),1.69(1H,d,J=11.5Hz),2.46−2.48(2H,m),3.03(1H,dd,J1=10.8Hz,J2=4.1Hz),3.46−3.55(1H,m),3.62(3H,s),8.09(3H,bs)。LC−MS (ESI) C9H15NO2(遊離アミン)に対する計算値169.11,実測値170.1[M+H+](100%),339.2[2M+H+](50%)。
d)メチル(1S,2S,3R,4R)−3−[(4−フルオロベンジル)アミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート
メチル(1S,2S,3R,4R)−3−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート塩酸塩(1g,4.86mmol)をメタノール(23mL)に溶解させた。酢酸ナトリウム(0.755g,9.2mmol)を添加し、次に4Å粉末モレキュラーシーブ(1g)と4−フルオロ−ベンズアルデヒド(0.571g,4.6mmol)を添加した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.578g,9.2mmol)を加え、混合物を25℃で16時間攪拌した。混合物を飽和重曹水溶液(200mL)と酢酸エチル(300mL)の混合物中に注ぎ込んだ。振盪後、両方の相をセライト〔Celite(登録商標)〕のプラグに通した。有機相をさらに飽和重曹水溶液(100mL)、飽和ブライン水溶液(100mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、粗生成物である、メチル(1S,2S,3R,4R)−3−[(4−フルオロベンジル)アミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート(1.11g,4.0mmol,87%)を透明油状液体として得た。LC−MS (ESI) C16H20FNO2に対する計算値277.15,実測値278.2[M+H+]。
e)N−{3−[(1R,2R,7S,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド
メチル(1S,2S,3R,4R)−3−[(4−フルオロベンジル)アミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレート(0.087g,0.3mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(2.8mL)に溶解させた。(7−メタンスルホニルアミノ−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−3−イル)−酢酸(米国特許第7,939,524号の記載に従って調製したもの,0.1g,0.3mmol)を添加し、次にN−メチルモルホリン(0.07mL,0.63mmol)を添加した。全成分が溶解するまで混合物を約5分攪拌した。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.061g,0.315mmol)を加え、混合物を25℃で4時間攪拌した。トリエチルアミン(0.126mL,0.9mmol)を加え、混合物を50℃で16時間攪拌した。25℃に冷却し、溶液を酢酸エチル(25mL)で希釈し、1.0M塩酸(2×25mL)、飽和ブライン水溶液(10mL)で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、金色の油状液体を得た。その油状液体をメタノール(4mL)に溶解させ、攪拌しながら1.0M塩酸(4mL)を加えることにより生成物を沈殿させた。固体を減圧濾過で回収し、減圧下でさらに乾燥させることにより、所望の生成物である、N−{3−[(1R,2R,7S,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド(0.0781g,0.139mmol,46%)を白色粉末として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.23−1.48(6H,m),2.67−2.68(2H,m),3.06(3H,s),3.24(1H,d,J=15.0Hz),3.72(1H,d,J=11.9Hz),4.07(1H,d,J=15.6Hz),5.12(1H,d,J=15.7Hz),7.14(2H,t,J=8.4Hz),7.39(2H,dd,J1=8.2Hz,J2=5.8Hz),7.51(1H,dd,J1=8.4Hz,J2=2.3Hz),7.57−7.60(2H,m),10.18(1H,s)。LC−MS (ESI) C25H25FN4O6S2に対する計算値560.12,実測値561.3[M+H+]。ee=99% HPLC分析:Chiralpak AS−RH 4.6×250mm,5ミクロン,室温,溶媒A−溶媒B(勾配は表を参照),0.8mL/分,310nm,t1=7.58分,t2=10.08分(主成分)]。
生物学的試験
式Iの化合物の患者の血清尿酸値を低下させる作用を、健常者の第I相試験によって示した。6人の患者に経口投与形態のN−{3−[(1R,2S,7R,8S)−3−(4−フルオロ−ベンジル)−6−ヒドロキシ−4−オキソ−3−アザ−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−5−エン−5−イル]−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1λ6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル}−メタンスルホンアミド(実施例2の化合物)800mgを1回投与し、2人の患者に対しては対応するプラシーボを与えた。該化合物を与えられたすべての患者において、基準値から試験終了時において、予想していなかった有意な尿酸の減少(24−40%)が認められた(表1参照)。
尿酸の吸収阻害
尿酸(UA)は、ヒトにおける、プリン代謝の最終生成物である。尿中に分泌され、尿酸の90%は血流に再吸収される。URAT1を阻害する主要な化合物の選定では、ある患者集団にとって有益であると思われる、UAの再吸収を低下させ、血中のUA濃度を低下させる効果を評価する。
尿酸吸収阻害のEC50値を計測した。URAT1発現ヒト胚腎細胞(HEK293)(ヒトURAT1cDNAを有するベクターをトランスフェクトしたHEK293細胞)とコントロール細胞(ベクターのみをトランスフェクトしたHEK293細胞)を用いた。実験に先駆けて、細胞を75cm2底フラスコで培養し、3日又は4日おきに継代した。コントロール細胞とURAT1発現細胞をCollagen Iでコートされた24ウェルプレートに1〜4×105細胞/ウェルで播種し、CO2インキュベーター(37℃,5%CO2)で1〜3日間培養し、細胞輸送活性(cleared volume)測定用の細胞単層を得た。
細胞に発現したURAT1によるHEK293細胞へのUA吸収の阻害を表すEC50値は、試験した実施例1〜11の化合物について、約0.5μM〜14.8μMである。同じ条件で、URAT1阻害剤のポジティブコントロールであるベンズブロマロンのEC50は<0.1μMである。