JP6010588B2 - 遠心ポンプ - Google Patents
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Description
この遠心ポンプを駆動する際には、自吸運転の呼び流体作用(いわゆる、呼び水作用)でボリュート内に負圧を発生させ、発生させた負圧でボリュート内に水などの流体(以下、「流体」という)を吸い込む。
ここで、自吸運転の際に、ボリュートケースの内部の気体(空気)が気泡状態で呼び流体に混合される(含まれる)。呼び流体に気泡が含まれることにより、呼び流体の粘度や密度が抑えられ、呼び流体を流路凹部の内部に導きやすくできる。
これにより、呼び流体からの気泡発生が促進され、呼び流体から気泡を良好に分離させることができる。呼び流体から気泡を分離させることにより、ボリュートの内部から気体を好適に外部に排出でき、自吸性能を向上させることができる。
さらに、流路凹部は底部が閉塞されているため、流路凹部は袋状に形成されている。よって、定常運転中には流路凹部の内部に流体が充満された状態に保たれる。これにより、流路凹部の内部に流体を流入し難くでき、流体を流路に沿わせて円滑に導くことができる。
このように、羽根の先端を定常運転に適した形状に形成し、かつ、定常運転中において流体を円滑に流すことにより、定常運転中のポンプ効率を好適に確保できる。
さらに本発明では、流路凹部の一部を流路より羽根車の径方向外側にはみ出して配置した。よって、流路凹部は、流路に対応する部位(以下、路内凹部という)と、羽根車の径方向外側にはみ出して配置された一部(以下、路外凹部という)とを有する。
ここで、流路を流れる呼び流体には遠心力が作用する。この状態で、呼び流体が開口部から路内凹部の内部に導かれることにより、導かれた呼び流体が遠心力で路外凹部の内部に渦流の状態で導かれる。これにより、呼び流体による渦流の発生を促進でき、呼び流体からの気泡発生を一層促進できる。
開口幅を広範囲において十分に確保することにより、呼び流体を開口部から流路凹部の内部に良好に導くことができ、さらに、導いた呼び流体を流路凹部の内部で渦流に良好に発生させることができる。
これにより、呼び流体からの気泡発生が促進され、呼び流体から気泡を良好に分離させることができる。呼び流体から気泡を分離させることにより、ボリュートの内部から気体を好適に外部に排出でき、自吸性能を向上させることができる。
開口縁の上流側と下流側との両方に直線部を設けることにより、開口幅を広範囲において十分に確保できる。これにより、呼び流体を開口部から流路凹部の内部に良好に導いて、流路凹部の内部で渦流を一層良好に発生させることができる。
すなわち、上流側を湾曲状に形成した場合、呼び流体を流路凹部の内部へ同時に流入させることができない。このため、流路凹部の内部へ早く流入しようとする呼び流体は、流路凹部の内部へ遅く流入しようとする呼び流体の粘性などで、流路凹部の内部への流入が抑えられる。よって、呼び流体を開口部から流路凹部の内部に良好に導き難くなる。
ここで、流路を流れる呼び流体には遠心力が作用する。この状態で、呼び流体が開口部から路内凹部の内部に導かれることにより、導かれた呼び流体が遠心力で路外凹部の内部に渦流の状態で導かれる。これにより、呼び流体による渦流の発生を促進でき、呼び流体からの気泡発生を一層促進できる。
流路の基端側で流路凹部の一部を十分に確保することにより、呼び流体による渦流の発生(すなわち、呼び流体の攪拌)を促進させて、呼び流体からの気泡発生を十分に促進できる。
このように、流路の基端側で呼び流体からの気泡発生を十分に促進し、さらに、流路の先端側で呼び流体の吐出性能を良好に確保することにより、ボリュートケースの内部から気体を良好に外部に排出でき、自吸性能を一層向上させることができる。
図1に示すように、遠心ポンプユニット10は、遠心ポンプユニット10を支持する基台(図示せず)と、この基台にシリンダブロック13が設けられたエンジン12と、エンジン12のシリンダブロック13に設けられた遠心ポンプ20とを備えている。
第1〜第4のボルト22〜25および仕切部材38(具体的には、仕切部材38のボリュート支持壁61)間にシーリングワッシャ26がそれぞれ介在されている。
また、遠心ポンプ20は、ケース部材27のケース吸込口31に連通された吸込ノズル32と、ケース部材27および吸込ノズル32間に上端部33aが挟持された開閉弁33と、ケース部材27のケース吐出口34に連通された吐出ノズル35とを備えている。
ケース本体37のケース開口部39が仕切部材38で閉塞され、仕切部材38にボリュートケース29が設けられている。これにより、ケース部材27、仕切部材38およびボリュートケース29でケース内流路41が形成されている。
このケース内流路41は、ケース部材27の内部においてケース部材27およびボリュートケース29間に略環状に形成されている。
また、周壁部45の上部45aにケース吐出口34が設けられ、ケース吐出口34に吐出ノズル35が連通されている。吐出ノズル35の上部35aに流体供給口47が設けられ、流体供給口47が供給プラグ48で閉塞されている。流体供給口47は、ボリュートケース29の上方に配置されている。
このメカニカルシール16が羽根車28のメカニカルシール17に接触することにより、メカニカルシール16およびメカニカルシール17間が機械的に密閉(シール)される。
第1〜第4の流路凹部56〜59は、第1〜第4のシリンダ取付部52〜55に対応する位置で、かつ、ボリュート支持壁61に第1〜第4の開口部(開口部)71〜74が開口されている。
第3開口部73は、ボリュート内流路84に臨む第3路内開口73aと、ボリュート内流路84の外部に臨む第3路外開口73bとを有する。第4開口部74は、ボリュート内流路84に臨む第4路内開口74aと、ボリュート内流路84の外部に臨む第4路外開口74bとを有する。
第1〜第4の流路凹部56〜59および第1〜第4の開口部71〜74については後で詳しく説明する。
また、第2シリンダ取付部53の貫通孔67に第2流路凹部57から第2ボルト23が差し込まれ、シリンダブロック13の第2取付ねじ77に第2ボルト23がねじ結合されている。
また、第4シリンダ取付部55の貫通孔69に第4流路凹部59から第4ボルト25が差し込まれ、シリンダブロック13の第4取付ねじ79に第4ボルト25がねじ結合されている。
これにより、第1〜第4のシリンダ取付部52〜55がシリンダブロック13に第1〜第4のボルト22〜25で取り付けられている。この状態において、ボリュートケース29の内部63にクランク軸14の先端14bが突出され、先端14bに羽根車28が設けられている。
また、第1〜第4の流路凹部56〜59は、第1〜第4のボルト22〜25によるボルト止め部を利用して形成されている。これにより、第1〜第4の流路凹部56〜59を形成するための部位を新たに確保する必要がなく、遠心ポンプ20のコンパクト化に寄与できる。
ハブ81の裏面(すなわち、エンジン12側の面)81bにメカニカルシール17が設けられ、ハブ81の表面81cに複数の羽根82が設けられている。羽根車28がボリュートケース29で覆われることにより、ボリュートケース29の内部63に羽根車28が収納されている。
ボリュートケース29およびボリュート支持壁61でボリュート内流路84がボリュートケース29の内部63に形成されている。
具体的には、ボリュートケース29のボリュート本体88、およびボリュート支持壁61のうちボリュート本体88に対向する壁部(以下、ボリュート壁部という)61aでボリュート内流路84が中空状に形成されている。ボリュート壁部61aは、ボリュート本体88に対向するように螺旋状に形成されている。
よって、ボリュートケース29の内部63に導かれた流体(呼び流体を含む)がボリュート吐出口95からボリュートケース29の外部(すなわち、ケース内流路41)に吐出される。
また、定常運転において、ボリュート吸込口86からボリュート内流路84に導かれた流体が、ボリュート吐出口95からケース内流路41に吐出される。
さらに、第3張出部93で第3開口部73の第3路外開口73bが閉塞するように覆われている。また、第4張出部94で第4開口部74の第4路外開口74bが閉塞するように覆われている。
閉位置は吸込ノズル32を閉じる位置であり、開位置は吸込ノズル32を開ける位置である。
流体供給口47から供給プラグ48が外されることにより流体供給口47が開口される。
流体供給口47を開口した状態で、流体供給口47からケース内流路41に呼び流体が供給される。
呼び流体とは、遠心ポンプ20の自吸運転の際に呼び水作用を奏する流体である。
図7、図8に示すように、仕切部材38の第1シリンダ取付部52に対応して第1流路凹部56が形成されている。第1流路凹部56は、第1開口部71の第1路内開口71aがボリュート内流路84内に開口され、流体や呼び流体の流れ方向(矢印B方向)に対して略直交方向(矢印C方向)で、かつ、シリンダブロック13に向けて窪むように形成されている。
底部98は、平面視において第1開口部71の第1開口縁103より一回り小さく外形が形成されている。すなわち、第1流路凹部56は、底部98で閉塞され、第1開口部71が開口されることにより袋状に形成されている。
底部98および第1シリンダ取付部52の貫通孔66に第1ボルト22が差し込まれ、シリンダブロック13の第1取付ねじ76に第1ボルト22がねじ結合されている。
この第1開口縁103は、流体の流れ方向(矢印B方向)に対して上流側に設けられた上流側直線部(直線部)103aと、上流側直線部103aの下流側に設けられた下流側直線部(直線部)103bと、上流側直線部103aの内端103cおよび下流側直線部103bの内端103dを連結する内側連結部103eと、上流側直線部103aの外端および下流側直線部103bの外端を連結する外側連結部103fとを有する。
内側周壁部99cは、内側連結部103eと同様に、ハブ81の外周81aに沿って第1開口部71の内側に凹む円弧状に形成されている。
外側周壁部99dは、外側連結部103fと同様に、外側に膨らむように湾曲状に形成されている。
第1路内開口71aがボリュート内流路84に臨むことにより、第1路内凹部56aが第1路内開口71aを介してボリュート内流路84に連通されている。
第1路内凹部56aおよび第1路外凹部56bが連通され、第1路内凹部56aおよび第1路外凹部56bで第1流路凹部56が形成されている。よって、第1流路凹部56が第1路内開口71aを介してボリュート内流路84に連通されている。
さらに、第1〜第4の流路凹部56〜59は同一円弧上に形成され、第1〜第4の流路凹部56〜59の各内側連結部103e,105〜107がボリュート本体88の内周壁88cに対して一定の間隔L1をおいて配置されている。
ここで、ボリュート本体88の基端88a側に第1流路凹部56が形成されている。よって、第1流路凹部56においてボリュート幅W1が小さく抑えられている。
これにより、図7に示すように、第1路外開口71bの面積S1が大きく確保され、かつ、第1路外凹部56bが大きく確保されている。
よって、第1路内開口71aの開口幅W2がボリュート内流路84の略全幅に亘る広範囲H2において確保されている。
ここで、ボリュート内流路84の呼び流体には気体が気泡状態で含まれている。よって、呼び流体の粘度や密度が抑えられている。これにより、呼び流体を第1路内凹部56aに良好に導くことができる。
よって、呼び流体を第1路内開口71aから第1流路凹部56の内部101に良好に導き難くなる。
よって、呼び流体を第1路内開口71aから第1流路凹部56の内部101に良好に導くことができる。これにより、第1流路凹部56の内部101で呼び流体の渦流を良好に発生させることができる。
ここで、ボリュート内流路84を流れる呼び流体には遠心力が作用している。
この状態で、呼び流体が第1路内開口71aから第1路内凹部56aに導かれることにより、導かれた呼び流体が遠心力で第1路外凹部56bに渦流の状態で導かれる。これにより、呼び流体による渦流の発生を促進でき、呼び流体からの気泡発生を一層促進できる。
これにより、呼び流体を第2路内開口72aから第2流路凹部57の内部に良好に導くことができ、導いた呼び流体を渦流に良好に発生させることができる。
これにより、呼び流体を第3路内開口73aから第3流路凹部58の内部に良好に導くことができ、導いた呼び流体を渦流に良好に発生させることができる。
これにより、呼び流体を第4路内開口74aから第4流路凹部59の内部に良好に導くことができ、導いた呼び流体を渦流に良好に発生させることができる。
なお、第2〜第4の流路凹部57〜59は第1流路凹部56と類似形状に形成されており、以下、第2〜第4の流路凹部57〜59の詳しい説明を省略する。
これにより、第4路外開口74bの面積S1が小さく抑えられ、第4路外凹部59bが小さく抑えられている。
すなわち、第2流路凹部57の第2路外凹部(流路凹部の一部)57bが第1路外凹部56bより小さく抑えられている。
すなわち、第3流路凹部58の第3路外凹部(流路凹部の一部)58bが第2路外凹部57bより小さく抑えられ、かつ、第4路外凹部59bより大きく確保されている。
ボリュート本体88の基端88a側で第1路外凹部56bを十分に確保することにより、第1路外凹部56bに呼び流体が遠心力で導かれる。これにより、呼び流体による渦流の発生(すなわち、呼び流体の攪拌)を促進させて、呼び流体からの気泡発生を十分に促進できる。
これにより、ボリュート本体88の内部(すなわち、ボリュート内流路84)から気体を良好に外部(すなわち、ケース内流路41)に矢印Eの如く排出でき、自吸性能を一層向上させることができる。
さらに、第3流路凹部58は、第3路外凹部58bが第2路外凹部57bより小さく抑えられている。よって、第3路外凹部58bによる渦流の発生(すなわち、呼び流体の攪拌)が第2路外凹部57bより好適に抑えられる。
これにより、羽根82の先端82aを定常運転中の流体の吐出量に適した形状に形成することができる。
このように、羽根82の先端82aを定常運転に適した形状に形成し、かつ、定常運転中において流体を円滑に流すことができるので、定常運転中のポンプ効率を好適に確保できる。
図10(a)に示すように、遠心ポンプ20の羽根車28を停止させた状態で、ボリュートケース29の内部63に気体(一例として、空気)が蓄えられている。
この状態において、流体供給口47から供給プラグ48を矢印Fの如く外して流体供給口47を開口する。流体供給口47を開口した状態で、流体供給口47からケース部材27の内部(すなわち、ケース内流路41)に呼び流体112を矢印Gの如く供給する。
羽根車28が回転することにより、呼び流体112をボリュート内流路84で矢印Iの如く流動する。呼び流体112が流動することにより、呼び流体112にボリュート内流路84の気体が気泡状態で含まれる。
よって、呼び流体112を第1〜第4の流路凹部56〜59の各路内凹部56a〜59a(第2〜第4の路内凹部57a〜59aは図10(b)参照)に矢印Jの如く良好に導くことができる。
この状態で、呼び流体112が第1路内開口71aから第1路内凹部56aに導かれることにより、導かれた呼び流体112が遠心力で第1路外凹部56bに矢印Kの如く渦流の状態で導かれる。これにより、第1流路凹部56において、呼び流体112による渦流の発生を促進でき、呼び流体112からの気泡発生が促進される。
気泡発生が促進された呼び流体112が第1流路凹部56からボリュート内流路84に導かれる。
これにより、第2〜第4の流路凹部57〜59において、呼び流体112による渦流の発生を促進でき、呼び流体112からの気泡発生が促進される。
よって、第4路内凹部59aに導かれた呼び流体112が遠心力で第4路外凹部59bに導かれ難くなる。これにより、第4流路凹部59の内部において、呼び流体112による渦流の発生(すなわち、呼び流体の攪拌)が好適に抑えられる。
気泡発生が促進された呼び流体112が第4流路凹部59からボリュート内流路84に矢印Mの如く導かれる。
これにより、ボリュート本体88の先端88b側に導かれた呼び流体112や気泡(すなわち、気体)をボリュート吐出口95から矢印Nの如く良好に吐出させることができる。
よって、ボリュートケース29の内部63に負圧を発生させて、発生させた負圧で開閉弁33を矢印Pの如く開放する。
すなわち、遠心ポンプ20において、流体113の吸込性を確保でき、自吸運転が完了する。
図14(a)に示すように、自吸運転が完了した状態で、羽根車28が継続して矢印Hの如く回転する。
ここで、羽根車28(具体的には、羽根82の先端82a)が定常運転に適した形状に形成されている。また、ボリュートケース29の内部63が、ボリュート吸込口86、吸込通路部44およびケース吸込口31を経て吸込ノズル32に連通されている。
ボリュート吸込口86に吸い込まれた流体113がボリュート吸込口86を経てボリュートケース29のボリュート内流路84に導かれる。
これにより、第1流路凹部56の内部101にボリュート内流路84から流体113を流入し難くできる。
このように、羽根82の先端82aを定常運転に適した形状に形成し、かつ、ボリュート内流路84において流体113を円滑に流すことにより、定常運転中のポンプ効率を好適に確保できる。
例えば、前記実施例では、第1〜第4の開口縁103(第1開口縁のみを示す)に上流側直線部103aおよび下流側直線部103bの両方を設ける例について説明したが、これに限らないで、上流側直線部103a、下流側直線部103bの一方のみを設けることも可能である。
これにより、第1〜第4の流路凹部56〜59の各内部で呼び流体112の渦流を良好に発生させることができる。
20 遠心ポンプ
28 羽根車
29 ボリュートケース
56〜59 第1〜第4の流路凹部(流路凹部)
56b〜59b 第1〜第4の路外凹部(流路凹部の一部)
63 ボリュートケースの内部
71〜74 第1〜第4の開口部(開口部)
84 ボリュート内流路(流路)
88 ボリュート本体
101 第1流路凹部の内部
103 第1開口縁(開口縁)
103a 上流側直線部(直線部)
103b 下流側直線部(直線部)
112 呼び流体
113 流体
Claims (3)
- ボリュートケースの内部に設けられた羽根車の回転により、前記ボリュートケースの内部に形成された流路に流体を流動させる遠心ポンプであって、
前記流路内に開口され、前記流体の流れ方向に対して略直交方向に窪むように形成された流路凹部を設け、
前記流路凹部は、該流路凹部の一部が前記流路より前記羽根車の径方向外側にはみ出して配置される、
ことを特徴とする遠心ポンプ。 - 前記流路凹部は、前記流路内に開口する開口部を有し、
該開口部の開口縁には、前記流体の流れ方向に略直交する直線部が設けられることを特徴とする請求項1記載の遠心ポンプ。 - 前記流路凹部は、前記一部が前記流体の流れ方向に沿って順次小さく設定されることを特徴とする請求項1記載の遠心ポンプ。
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