以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。図1において、600は画像形成装置、602は画像形成装置本体(以下、装置本体という)、650は装置本体602の上部に設けられた原稿読み取り部(イメージリーダ)、651は複数の原稿を自動的に読み取るための原稿搬送装置である。
装置本体602は、画像形成するための通常のシートSを積載する給紙カセット909a,909b、電子写真プロセスを用いてシート上にトナー画像を形成する画像形成部603、シートに形成されたトナー画像を定着させる定着部904等を備えている。また、装置本体602の上面にはユーザが装置本体602に対して各種入力/設定を行うため操作部601が、また装置本体602の側方には、シート処理装置であるフィニッシャ100が接続されている。なお、630は装置本体602及びフィニッシャ100の制御を司る制御部であるCPU回路部である。
そして、このような画像形成装置600において、不図示の原稿の画像をシートに形成する際には、まず原稿搬送装置651により搬送された原稿の画像を、原稿読み取り部650に設けられたイメージセンサ650aにより読み取る。この後、読み取られたデジタルデータを露光手段604に入力し、露光手段604は、このデジタルデータに応じた光を画像形成部603に設けられた感光体ドラム914(914a〜914d)に照射する。このように光が照射されると、感光体ドラム表面に静電潜像が形成され、この静電潜像を現像することにより、感光体ドラム表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー画像が形成される。
次に、この4色のトナー画像を給紙カセット909a,909bから給送されたシート上に転写し、この後、シート上に転写されたトナー像を、定着部904により永久定着する。なお、このようにトナー画像を定着した後、シートの片面に画像を形成するモードであれば、そのまま、シートを搬送ローラ対907からフィニッシャ100に搬送する。
また、シートの両面に画像を形成するモードであれば、シートを定着部904から反転ローラ905に受け渡しし、この後、所定のタイミングで反転ローラ905を反転させ、シートを両面搬送ローラ906a〜906fの方向へ搬送する。そして、この後、再度、シートを画像形成部603に搬送し、裏面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像を転写する。なお、このように裏面に4色のトナー像が転写されたシートは、再度定着部904に搬送されてトナー画像が定着され、この後、搬送ローラ対907から搬送され、装置本体602の側部に接続されたフィニッシャ100に搬送される。
フィニッシャ100は、装置本体602から搬送されたシートを順に取り込み、取り込んだ複数のシートを整合して1つの束に束ねる処理、取り込んだシートの後端付近に孔をあけるパンチ処理を行うようになっている。また、フィニッシャ100は、シート束の後端側をステイプルするステイプル処理(綴じ処理)、製本処理等の処理を行うようになっており、シートをステイプルするステイプル部100A及びシート束を二つ折りにして製本するサドルユニット135を備えている。
そして、フィニッシャ100は、図2に示すように、シートを装置内部に取り込むための入口ローラ対102を備えており、装置本体602から排紙されたシートは、入口ローラ対102に受け渡される。なお、この時、入口センサ101によりシートの受渡しタイミングも同時に検知される。この後、入口ローラ対102により搬送されたシートは搬送パス103を通過しながら、シートの端部位置を横レジ検知センサ104により検知され、フィニッシャ100のセンター(中央)位置に対してどの程度、幅方向のずれが生じているかが検知される。また、このように幅方向のずれ(以下、横レジ誤差という)が検知された後、シートはシフトローラ対105,106に搬送されている途中でシフトユニット108が手前方向、或は奥方向に所定量移動することにより、シートのシフト動作が実施される。
次に、シートは搬送ローラ110及び離間ローラ111により搬送され、バッファローラ対115に達する。この後、上トレイ136に排紙される場合は、上パス切換部材118が不図示のソレノイド等の駆動手段により、時計回りに移動する。これにより、シートは上パス搬送路117に導かれ、上排紙ローラ120により上トレイ136に搬送される。上トレイ136に搬送されない場合は、バッファローラ対115により搬送されたシートは、実線に示す状態の上パス切換部材118により束搬送パス121に導かれる。この後、搬送ローラ122、束搬送ローラ対124により順次搬送パス内を通過していく。
次に、搬送されてきたシートをシート積載部としての下方の積載トレイ137に搬送する場合は、実線に示す状態のサドルパス切換部材125により下パス126に搬送される。この後、下排紙ローラ対128により中間処理トレイ138に搬送される。そして、搬送されたシートは、パドル131やベルトローラ158等の戻し手段により、シートを順次積載しながら整合し、整合積載されたシート束に対して処理を施すための中間処理トレイ上(シート積載部上)で所定枚数整合処理される。
次に、このように中間処理トレイ上で整合処理されたシート束は、必要に応じて綴じ部を構成するステイプラ132により綴じ処理が施され、この後、束搬送ローラ対130により下方の積載トレイ137に排紙される。なお、このステイプラ132は、シート搬送方向と直交する方向(以下、奥行き方向という)に移動自在であり、シート束の後端部の一箇所、あるいは二箇所以上を綴じ処理することができる。
一方、シートをサドル(中綴じ)処理する場合には、不図示のソレノイド等の駆動手段によりサドルパス切換部材125を反時計回りに移動させる。これにより、シートはサドルパス133に搬送され、サドル入口ローラ対134によりサドルユニット135に導かれ、サドル処理(中綴じ処理)される。
ここで、綴じ部であるステイプラ132は、後述する図6に示すクリンチモータM132によって、シート束の端部を綴じ処理するものであり、図3に示すスライド支台303上に固定されている。なお、図4に示すように、スライド支台303の下部には転動コロ304,305が設けられている。そして、スライド支台303は、転動コロ304,305とステイプラ移動台上のガイドレール溝307に案内されて、後述する図6に示すステイプラ移動モータM303により、中間処理トレイ138に積載されたシートの後端縁に沿って矢印Y方向に移動する。
ステイプラ132は、中間処理トレイ138に積載されたシートSのコーナーにおいて、シートの後端縁に対して所定角度αだけ傾斜された姿勢に維持されるようになっている。なお、この傾斜角度αは、約30度に設定されているが、ガイドレール溝307の形状を変えることによって、変更することができる。また、ステイプラ移動台306には、ステイプラ132のホームポジションを検知する後述する図6に示すステイプラホームセンサS303が設けられている。通常、ステイプラ132は、装置手前側のホームポジションに待機している。なお、本実施の形態において、ステイプラ132による綴じモードとしては、シート束の一箇所を綴じる一箇所綴じモードと、シート束の二箇所を綴じる二箇所綴じモードとを備えている。
図5は、画像形成装置600の制御ブロック図であり、図5において、630は図1に示すように装置本体602の所定の位置に配置されたCPU回路部である。このCPU回路部630は、CPU629、制御プログラム等を格納したROM631、制御データを一時的に保持するための領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられるRAM660を有している。
また、図5において、637は画像形成装置600と外部PC(コンピュータ)620との外部インターフェイスである。この外部インターフェイス637は外部PC620からのプリントデータを受信すると、このデータをビットマップ画像に展開し、画像データとして画像信号制御部634へ出力する。
そして、この画像信号制御部634は、このデータをプリンタ制御部635へ出力し、プリンタ制御部635は、画像信号制御部634からのデータを不図示の露光制御部へ出力する。なお、イメージリーダ制御部633から画像信号制御部634へは、イメージセンサ650a(図1参照)で読み取った原稿の画像が出力され、画像信号制御部634は、この画像出力をプリンタ制御部635へ出力する。
また、操作部601は、画像形成に関する各種機能を設定するための複数のキー及び設定状態を表示するための表示部等を有している。そして、ユーザによる各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部630に出力すると共に、CPU回路部630からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。
CPU回路部630は、ROM631に格納された制御プログラム及び操作部601の設定に従い、画像信号制御部634を制御すると共に、原稿搬送装置制御部632を介して原稿搬送装置651(図1参照)を制御する。また、イメージリーダ制御部633を介して原稿読み取り部650(図1参照)を、プリンタ制御部635を介して画像形成部603(図1参照)を、フィニッシャ制御部636を介してフィニッシャ100をそれぞれ制御する。
なお、本実施の形態において、フィニッシャ制御部636はフィニッシャ100に搭載され、CPU回路部630と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ100の駆動制御を行う。また、フィニッシャ制御部636をCPU回路部630と一体的に装置本体側に配設し、装置本体側から直接、フィニッシャ100を制御するようにしてもよい。
図6は本実施の形態に係るフィニッシャ100の制御ブロック図である。フィニッシャ制御部636は、CPU(マイコン)701、RAM702、ROM703、入出力部(I/O)705、通信インターフェイス706、ネットワークインターフェイス704等で構成されている。
また入出力部(I/O)705には、搬送制御部707、中間処理トレイ制御部708及び綴じ制御部709が接続されている。ここで、搬送制御部707は、シートの横レジ検知処理、シートバッファリング処理、搬送処理の制御を行うものである。中間処理トレイ制御部708は、後述する前整合板モータM340、奥整合板モータM341、パドル駆動モータM155、束排紙駆動モータM130等の駆動制御を行う。
また、この中間処理トレイ制御部708には、後述する前整合板ホームセンサS340、奥整合板ホームセンサS341、パドル駆動ホームセンサS155等が接続されている。そして、この中間処理トレイ制御部708により、後述する整合板の動作制御、引き込みパドルの動作制御、揺動ガイドの開閉制御がそれぞれ、ホームポジション検知センサと移動モータによって行われる。また、綴じ制御部709は、クリンチモータM132、第2駆動部であるステイプラ移動モータM303等の駆動制御を行うと共に、綴じ制御部709には、針有無センサS7、ステイプラホームセンサS303等が接続されている。
次に、中間処理トレイ138を備えたステイプル部100Aの構成について説明する。中間処理トレイ138は、図3に示すようにシート束の搬送方向に対して下流側(図3の左側)を上方に、上流側(図3の右側)を下方に傾斜して配設されており、中間処理トレイ138の上流側である下方端部には後端ストッパ150が配置されている。なお、中間処理トレイ138は、水平であってもよい。
中間処理トレイ138の中間部には図7に示すような前及び奥整合部340A,341Aを備え、中間処理トレイ138に搬送されたシートの幅方向の両側端位置を規制する側端規制部が設けられている。ここで、前及び奥整合部340A,341Aは、整合面を構成する整合部340a,341aを有する前及び奥整合板340,341と、前及び奥整合板340,341を夫々独立して駆動する前及び奥整合板モータM340,M341とを備えている。
そして、シートの両側端位置を規制する際は、第1駆動部である前及び奥整合板モータM340,M341の駆動を、タイミングベルトB340,B341を介して前及び奥整合板340,341に伝達する。これにより、前及び奥整合板340,341は、中間処理トレイ138に対して幅方向に沿って独立して移動し、中間処理トレイ138上に積載されたシートの両側端に当接してシートを整合する。
すなわち、第2整合板である前整合板340と、第1整合板である奥整合板341は中間処理トレイ138上に、各整合部(整合面)340a,341aを対向させて配置され、かつ整合方向に正逆移動可能なように組み付けられている。この結果、シート(あるいはシート束)が幅方向にシフトして搬送されてきた場合でも、この前及び奥整合板340,341により、中間処理トレイ138上のシートの位置を整合することができる。
ところで、一方の整合板、例えば前整合板340の整合面を構成する整合部340aは幅方向に移動可能に設けられている。また、この整合部340aと前整合板340の本体340bとの間には、弾性的に変形するバネ345が設けられている。そして、このバネ345とともに圧接部を構成する移動リンク346,347により、整合部340aは所定量Lだけシート側、すなわち整合の際の基準となる奥整合板341側に突出するようになっている。
なお、後述するように、シートの側端位置を規制する際、整合部340aがシートに圧接すると、整合面である整合部340aはバネ345に抗しながら本体340b側に移動する。また、整合部340aが、圧接したシートから離間する際は、本体340bが移動してもバネ345の長さが元に戻るまで、圧接したシートの撓みを解消しながら徐々に整合面が移動するようになる。このように構成することで、シートの撓みが急激に解消されることにより復元力で整合位置がずれるといったことも防止される。
なお、図7において、S340、S341は前及び奥整合板位置センサであり、この前及び奥整合板位置センサS340,S341により、前及び奥整合板340,341の、それぞれのホームポジション(HP)を検知する。そして、このような前及び奥整合板位置センサS340,S341を備えることにより、動作しない時、前及び奥整合板340,341を、それぞれ両端部に位置するところに設定された各ホームポジションに待機させることができる。ここで、この前及び奥整合板340,341のホームポジションは、シートの中間処理トレイ138上への搬送を妨げない位置である。
また、図3に示すように中間処理トレイ138の引き込み方向下流側である上方端部には引き込みパドル131と揺動ガイド149が配置されている。ここで、引き込みパドル131は、中間処理トレイ138の上方に配設され、図8に示すパドル駆動モータM155によって回転する駆動軸157上に沿って複数固定されている。そして、パドル駆動モータM155により、適切なタイミングで図3において反時計方向に回転するようになっている。
なお、図3において、100Cは、シートの搬送方向の位置を整合する搬送方向整合部であるシート後端整合部である。このシート後端整合部100Cは、ベルトローラ158と、図8に示すように、後端レバー159と、シートの搬送方向上流側端と当接する規制部材である後端ストッパ150(150a〜150c)を備えている。
そして、下排紙ローラ対128から中間処理トレイ上へ搬送されたシートは、中間処理トレイ138の傾斜及び引き込みパドル131の作用によって、中間処理トレイ138の積載面上、又は中間処理トレイ138に積載されたシート上を滑降する。このように滑降したシートは、この後、ベルトローラ158の反時計方向回転によって、後端レバー159にガイドされながら、後端(搬送方向上流端)がストッパである後端ストッパ150(150a〜150c)に突き当てられて停止する。
これにより、シートの搬送方向の位置が整合される。なお、本実施の形態において、幅方向の両側に位置している後端ストッパ150a,150bは不図示の駆動部により幅方向に移動可能となっており、中央に位置している中央後端ストッパ150cは幅方向には移動しないようになっている。
ここで、無端状のベルトであるベルトローラ158は、中間処理トレイ138の上方に昇降可能(移動可能)可能に設けられると共に、図3に示す下排紙ローラ対128を構成する第1搬送ローラ128aの外周に巻き掛けられている。そして、その下方部が中間処理トレイ138上に積載された最上シートと接するような位置関係で第1搬送ローラ128aの回転に従動して反時計方向に回転する。これにより、中間処理トレイ138上に搬送されたシートは、搬送方向と逆方向に搬送されて後端ストッパ150に当接する。
なお、ベルトローラ158は、その下方部が中間処理トレイ138上に積載された最上シートと接するような位置関係で中間処理トレイ138の上方に設けられている。また、ベルトローラ158は、下排紙ローラ対128を構成する第1排紙ローラ128aの外周に掛けられ、第1排紙ローラ128aの回転に従動して反時計方向に回転する。
一方、シート搬送部を構成する揺動ガイド149は、中間処理トレイ138の下流側端部に設けられた下部搬送ローラ130aと共に束搬送ローラ対130を構成する上部搬送ローラ130bを回転自在に保持している。そして、この揺動ガイド149の揺動に伴って上部搬送ローラ130bは、下部搬送ローラ130aに対して離接するようになっている。なお、搬送ローラ対である束搬送ローラ対130(例えば、下部搬送ローラ130a)は、束排紙駆動モータM130(図6参照)によって正逆回転するようになっている。
また、この束搬送ローラ対130の一方のローラである上部搬送ローラ130bを保持する保持部材である揺動ガイド149は、揺動ガイド開閉モータ180からの駆動により、支持軸154を支点として上下方向に揺動するようになっている。そして、通常、シートが中間処理トレイ138上に搬送されるとき、上方へ揺動し、これに伴い上部搬送ローラ130bが、束搬送ローラ対130の他方のローラである下部搬送ローラ130aから離れた開口状態となる。
また、中間処理トレイ138上でのシートの処理が終了したとき、揺動ガイド149は下方に揺動し、上部搬送ローラ130bと下部搬送ローラ130aとでシート束を挟むようになっている。そして、この後、このように上部搬送ローラ130bと下部搬送ローラ130aとによりシート束を挟持した状態で束搬送ローラ対130が回転することにより、シート束は下方の積載トレイ137に搬送される。
さらに、揺動ガイド149には、上部搬送ローラ130bの上流部に位置し、シートを上部搬送ローラ130bのローラニップ部へ案内する案内ガイド151が設けられている。また、この揺動ガイド149には、下排紙ローラ対128から中間処理トレイ138内へシートを排紙する際のシートの表面電荷を除去する第1除電針152が軸方向に渡って配置されている。さらに、この揺動ガイド149には、上部搬送ローラ130bの下流部に位置し、束搬送ローラ対130により搬送されるシートの表面電荷を除去する第2除電針153が軸方向に渡って配置されている。
次に、このように構成されたフィニッシャ100の未綴じソートモード時及びステイプルソートモード時の動作について説明する。まず、未綴じソートモード時における動作について図9を用いて説明する。
未綴じソートモードのジョブが選択されると、装置本体602からのシートを入口ローラ対102、シフトローラ対105,106、搬送ローラ110及び離間ローラ111、バッファローラ対115を経て図2に示す下排紙ローラ対128に搬送する。次に、下排紙ローラ対128(128a,128b)によりシートを中間処理トレイ138上に搬送した後、図9の(a)に示すように、引き込みパドル131及びベルトローラ158によって後端を後端ストッパ150に突き当てて停止させる。これにより、シートS1の搬送方向の位置を整合する。
次に、搬送方向の位置が整合されたシートS1を、図9の(b)に示すように前整合板340、奥整合板341により、シートS1の幅方向の中心が中間処理トレイ138の幅方向の中心(以下、搬送中心位置という)から15mmずれた位置へシフト移動する。以後、シートが搬送される毎に、中間処理トレイ138上で、このシフト整合動作を繰り返して複数枚重ね、重なった状態の1部目のシート束を束搬送ローラ対130(130a,130b)により、図9の(c)のように積載トレイ137へ搬送する。以後、同様の動作を指定ソート枚数分繰り返し、2部目では1部目のシフト方向と反対側(奥側)に所定量(15mm)シフトさせながら、2部目のシート束を、1部目同様に複数枚重なった状態で束搬送ローラ対130によって、積載トレイ137へ搬送する。
このように、例えば1回のシフト量を搬送中心位置から片側15mmと定めることで、束間のソートオフセット量を30mmとした状態でシート束を積載トレイ137上に積載することができる。なお、本実施の形態では、積載トレイ137への搬送積載性を考慮して、1部目のシートを中間処理トレイ138上で複数枚重ねた状態で搬送しているが、1枚ずつシフト整合動作を行った後、その都度、シートを積載トレイ137へ搬送するようにしても良い。
なお、ソート無しのモードが指定された場合には、上流部において斜送等でずれて搬送されてきたシートをシフトユニット108で搬送中心位置へ戻す横レジ補正動作を行った後、搬送中心位置で束搬送ローラ対130を経て、積載トレイ137へ搬送する。このように、綴じ処理を行わない未綴じのジョブにおいては、シートSを1枚ずつ積載トレイ137に搬送するようにしている。
次に、ステイプル綴じモードについて説明する。なお、既述したように、フィニッシャ100は、一箇所綴じモードと二箇所綴じモードとを備えており、ステイプル綴じモードとして、まず一箇所綴じモード時における動作について図10及び図11、図12に示フローチャートを用いて説明する。
図12に示すように、ステイプルジョブが選択され(S710)、画像形成装置600のプリントが開始(Start)されると(S711のY)、この後、フィニッシャ100の中間処理トレイ138へのシート搬送が開始される。そして、図10の(a)に示すように、シートS1の後端が下排紙ローラ対128のニップを抜け、シートS1の中間処理トレイ138上への搬送が完了すると(S712のY)、引き込みパドル131を反時計方向に回転させる。
これにより、シートS1の後端部を後端ストッパ150の方向に搬送する戻し処理が行われる(S713)。なお、このように後端ストッパ150の方向に搬送されたシートS1は、この後、反時計方向に回転するベルトローラ158によって更に後端ストッパ150に引き寄せられ、後端ストッパ150に突き当てながら整合される。
次に、シートS1の搬送方向(後端)の整合が終了すると、前整合板340,奥整合板341により、図10の(b)に示すように、シートを搬送中心位置から10mmずらした位置へシフト移動させながら、シートS1の整合処理が行われる(S714)。そして、この一連のシフト整合動作を後続の搬送シートに対して繰り返し、ステイプル束の最終シート(束内最終搬送シート)Snが下排紙ローラ対128から搬送されるまで繰り返す。
この後、搬送されたシートが束内最終搬送シートSnかを判断する(S715)。そして、搬送されたシートが束内最終搬送シートSnでなければ(S715のN)、次のシートの処理トレイへの搬送動作が行われる。一方、搬送されたシートが束内最終搬送シートSnであれば(S715のY)、ステイプラ132による綴じ処理を行う(S716)。ここで、本実施の形態においては、ステイプラ132によってシート束Saの片側コーナーの一箇所、すなわち既述した図4に示すAもしくは、D位置において、ステイプル綴じ処理を行う。この後、図11の(a)に示すように揺動ガイド149を降下させ、シート束Saを上部搬送ローラ130bと下部搬送ローラ130aで挟持し、束搬送ローラ対130により図11の(b)に示すように積載トレイ137に搬送する(S717)。
次に、このように搬送したシート束が最終束かを判断する(S718)。そして、最終束でない場合には(S718のN)、2部目以降のシート束を、直前の先行処理束のシフト方向と反対側(奥側)に10mmシフトさせた後、同様の整合処理、綴じ処理を行い、束搬送ローラ対130により積載トレイ137に搬送する。このような一連の動作を指定束部数繰り返し行い、この後、最終束が搬送されると(S718のY)、ジョブが終了する。
このように、シート束を、直前の先行処理束のシフト方向と反対側に搬送中心から片側10mm分を交互にずらすことで、ステイプル綴じ束間のソートオフセット量を20mmとした状態でシート束Saが積載トレイ137上に積載される。そして、このようにシート束Saの搬送位置を、先行処理束の搬送位置とずらすことにより、積載トレイ上でのステイプル綴じ針同士の重なりを回避し、積層された綴じシート束Saのトータル高さを低く抑えることができる。
なお、束部数が少ない場合や、ステイプル束同士を揃えて積載したい場合は、先行処理束と搬送位置を合わせるように整合処理を実施しても良い。また、本実施の形態においては、未綴じソートモード時の積載トレイ上でのオフセット量が30mmに対して、ステイプル綴じ束のオフセット量を20mmとしている。ここで、各オフセット量は、未綴じシートの仕分け視認性とステイプル綴じ針の重なり回避可能な最低ズラシ量やシフト移動量分の処理時間短縮等から決定されているものであり、この量に限ったものではない。
次に、二箇所綴じモード時における動作について図13、図14及び図15に示すフローチャートを用いて説明する。二箇所綴じのジョブが操作部601で選択されると、まず前整合板340を、シートをシートの幅方向の中心が搬送中心位置と一致した位置で整合させるための搬送中心待機位置に位置させるよう前整合板モータを起動する(S801)。この後、前整合板340が搬送中心待機位置で待機するようになると(S802のY)、次に奥整合板341を搬送中心待機位置で待機させるよう奥整合板モータを起動する(S803)。そして、奥整合板341が搬送中心待機位置で待機するようになると(S804のY)、ステイプラ移動モータM303を起動する(S805)。
次に、シート束を搬送する際、積載トレイの手前側にシフトした状態で搬送するか、すなわちシート束の搬送が手前シフト位置搬送かを判断する(S806)。そして、綴じシート束の搬送が手前シフト位置搬送の場合は(S806のY)、ステイプラ移動モータM303によりステイプラを、例えば図4のC位置である二箇所綴じの奥側位置に向けて移動させる。この後、ステイプラが、二箇所綴じの奥側位置で待機すると(S807のY)、シートの受け入れ準備が完了する(S809)。
また、綴じシート束の搬送が手前シフト位置搬送でない場合は(S806のY)、すなわち奥シフト位置搬送の場合は、ステイプラ移動モータM303によりステイプラを、例えば図4のB位置である二箇所綴じの手前位置に向けて移動させる。そして、ステイプラが二箇所綴じの手前位置で待機すると(S808のY)、シートの受け入れ準備が完了する(S809)。
次に、このようにステイプラを綴じシート束のシフト搬送位置に応じて移動させることにより、シートの受け入れ準備が完了した後、一箇所綴じのジョブと同様に、下排紙ローラ対128から搬送されたシートS1を中間処理トレイ138上に搬送する。この後、引き込みパドル131とベルトローラ158によって後端ストッパ150に突き当てながらシートの搬送方向の整合を行う。
次に、搬送中心待機位置に待機していた前整合部340,奥整合部341を幅方向中央に向かって移動させることにより、図13の(a)に示すように、シートSを、シートSの中心が搬送中心位置と一致する位置へシフトさせながら整合する。そして、このシフト整合動作を後続の搬送シートに対して繰り返し、ステイプル束の最終シートSnが下排紙ローラ対128から搬送されるまで繰り返す。
次に、このようなシートの受け入れが開始され、図15に示すように、最終シートSnが中間処理トレイ138に搬送されると(S811のY)、この最終シートSnに対しても整合動作が行われる。この後、ステイプラ132によってシート束Saの後端縁に沿った一箇所目の位置に対して綴じ処理を行う(S812)。この時、綴じシート束が手前シフト位置搬送の場合、ステイプラ132は図4に示すC位置で一箇所目を綴じ処理した後、スライド支台303と共にガイドレール溝307に沿って二箇所目の綴じ位置へ移動する。
ここで、本実施の形態においては、このように一箇所目を綴じ処理した後、綴じシート束が手前シフト位置搬送かを判断する(S813)。そして、綴じシート束が手前シフト位置搬送の場合は(S813のY)、前整合板340が手前基準位置に到達するまで、すなわち前整合板340を装置手前に10mm移動させるよう前整合板モータを起動する(S814)。
次に、前整合板340が手前基準位置に到達すると(S815のY)、奥整合板341によりシート束を装置手前側に10mm移動させるよう奥整合板モータを起動する(S816)。さらに、ステイプラ132を図4のC位置から二箇所目の綴じ処理を行う位置であるB位置に移動させるようステイプラ移動モータM303を起動する(S817)。
そして、装置手前側へ移動する奥整合板341によるシート束の装置手前側への10mm移動が完了し(S818のY)、この後、ステイプラ132の二箇所目の綴じ位置への移動が完了すると(S819のY)、二箇所目に対する綴じ処理を行う(S820)。
このように、本実施の形態においては、図13の(a)に示すように、一箇所目を綴じ処理した後、図13の(b)に示すように、一箇所目の綴じ処理が終了したステイプラ132を図4のC位置から二箇所目の綴じ処理を行う位置であるB位置に移動させる。そして、この間に、前整合部340と奥整合部341を移動させ、一箇所綴じされたシート束を搬送中心位置から、手前側に10mmずらした位置へシフト移動させる。この時、ステイプラ132の二箇所目の綴じ位置への移動方向SAと、シート束のシフト移動方向BAは同じ方向である。また、このシート束のシフト移動は、ステイプラ132のB位置への移動が完了する前、もしくは同時に完了するようにしている。そして、この後、B位置に移動したステイプラ132により、装置手前側に10mm移動したシート束に対して二箇所目の綴じ処理を行う。
また、綴じシート束が手前シフト位置搬送でない場合(S813のY)、すなわち奥シフト位置排紙の場合は、奥整合板341が奥側基準位置に到達するまで、すなわち奥整合板341を装置奥側に10mm移動させるよう奥側整合板モータを起動する(S823)。そして、奥整合板341が10mm奥側基準位置に達すると(S824のY)、次に手前整合板340によりシート束を装置奥側に10mm移動させるよう手前整合板モータを起動する(S825)。
さらに、ステイプラ132を図4のB位置から二箇所目の綴じ処理を行う位置であるC位置に移動させるようステイプラ移動モータM303を起動する(S826)。そして、装置奥側へ移動する手前整合板340により押されるシート束の装置奥側への10mm移動が完了し(S827のY)、この後、ステイプラ132の二箇所目の綴じ位置への移動が完了すると(S828のY)、C位置に移動したステイプラ132により、装置奥側に10mm移動したシート束に対して二箇所目に対する綴じ処理を行う(S820)。
次に、二箇所目に対する綴じ処理が終わると、束搬送駆動モータを起動し(S829)、束搬送ローラ対130を回転させることにより、図13の(c)のように積載トレイ137上にシート束を搬送する。そして、シート束の搬送が完了すると(S830のY)、二箇所綴じジョブが完了する。
ここで、このように直前の先行処理束のシフト方向と反対側に搬送中心位置から片側10mm分を交互にずらすことで、一箇所綴じ処理同様、綴じシート束間のソートオフセット量を20mmとした状態で、シート束が積載トレイ137上に積載される。この結果、積載トレイ上でのステイプル綴じ針同士の重なりを回避して積層された綴じシート束のトータル高さを低く抑えることができ、積載部数の向上を図ることができる。つまり、シート束毎に、ステイプラ132を、先に搬送中心位置から10mmずらして綴じ処理を行ったシート束の二箇所目の綴じ位置に移動させて綴じ処理を行った後、先に10mmずらす前に綴じ処理を行ったシート束の一箇所目の綴じ位置に移動させることにより、積載部数の向上を図ることができる。
また、本実施の形態においては、ステイプラ132が二箇所目の綴じ位置への移動する際、シート束をステイプラ132と同じ方向にシフトさせるようにしている。つまり、本実施の形態においては、ステイプラ132が二箇所目の綴じ位置への移動する際の移動方向と、シート束のシフト移動方向を同じ方向としている。なお、前整合部340、もしくは奥整合部341によるシート束の二箇所綴じ位置への移動開始タイミングはステイプラ132の移動タイミングと同時か、直前であることが望ましい。
これにより、図16に示すように、シート束Saの一箇所目の綴じ部に該当するシート束Saの拘束点から、シート束Saを移動するために発生する押圧力Pを作用させる奥整合部341までの距離(=自由長距離)を小さくすることができる。この結果、シートの厚み(坪量)、すき目方向(剛性)、密度(透気度)、表面性、使用環境等によらず、シート束Saを幅方向に移動させる際のシート束Saの座屈や、撓みの発生を抑制することができ、安定した高精度の成果物を生産することができる。
また、本実施の形態では、一箇所目の綴じ処理をシート束の幅方向の中心が搬送中心位置にあるときに行い、二箇所目の綴じ処理は、搬送中心位置から片側10mm分オフセットした位置で行っている。これは、先に10mm分オフセットさせた後、一箇所目の綴じ処理を行おうとすると、ステイプラ132と、既述した図8等に示す中央の固定式後端ストッパ150cとが干渉関係になる場合があるからである。
このことから、本実施の形態においては、二箇所綴じ時の綴じ順序として、先ず、シート束を搬送中心位置に整合積載し、後ほど10mm束シフト移動する反対方向側のステイプル綴じ位置で一箇所目の綴じ処理を実施している。そして、この後、二箇所目の綴じ位置にステイプラを移動させるのと同時に、シート束を搬送中心から片側10mm分オフセットした(中央の固定式後端ストッパ150cから離れる)位置に移動させる。なお、シート束の移動する側に位置する後端ストッパ150a,150bは、既述した図8の矢印のようにシート幅サイズに合わせてそれぞれが移動可能に構成されている。このため、綴じ処理中のステイプラ132と干渉関係になることはなく、シートの後端を突き当てることが可能となる。
また、本実施の形態のシート処理装置では、一箇所目の綴じ処理終了後に、シート束を搬送中心位置から片側10mm分ずらした位置に移動させている。この場合、二箇所綴じが終了してから、シート束を10mm束移動させる場合に比べて、シート束移動時間分がステイプル移動時間内で並行処理されるため、シート処理時間を短縮することが可能である。
以上説明したように、本実施の形態においては、ステイプラ132が一箇所目の綴じ処理を終了した後、二箇所目の綴じ位置に移動して綴じ処理を行うまでに一箇所目の綴じ位置に近い側の整合板によりシート束を幅方向に移動させるようにしている。これにより、成果物の品質を低下させることなく、綴じ処理時間を短縮することができる。