JP6000083B2 - 排ガス脱硝システム - Google Patents
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Description
ガスを吸引して測定用の配管に導く際、測定の高速化が困難である。
ガスを測定用の配管に引き込んだ後に濃度測定を行うことから、配管を流通しているガスと測定管に引き込まれたガスの状態(例えば、温度等)が異なってしまい、測定精度が低下する。
流通ガスを局所的に採取して濃度測定を行うため、局所的なガス濃度測定はできても、濃度分布を取得することができない。また、サンプリング箇所を逐次変えて濃度測定を行えば、濃度分布を取得することは可能であるが、位置毎にガスの吸引、排出が必要となり、作業が煩雑であるとともに時間がかかる。
図1に示すように、実施例1に係る排ガス脱硝システムを備えたボイラ装置100は、ボイラ101からの燃焼排ガス(以下「排ガス」という)102中に還元剤(例えばアンモニア:NH3)を供給する還元剤供給手段であるアンモニア注入装置104と、還元剤が含まれた排ガス102中のNOxを脱硝する脱硝触媒106を備えた脱硝装置105と、前記脱硝装置105の入口側と出口側とに各々設けられ、前記脱硝装置105のガスの流れに直交する区画された面領域における排ガス中のNOx濃度分布を計測する複数のプローブ手段を有し、レーザ計測手段により測定するNOx濃度分布測定装置110と、前記NOx濃度分布測定装置110の計測結果より、NOx濃度分布を求め、求めたNOx濃度分布より、NOx濃度が所定値以上の脱硝不十分な区画を求め、この脱硝不十分な区画に対応する還元剤供給手段からの還元剤供給量を調節する調節手段である開度設定部109とを具備するものである。
ここで、レーザ計測手段は単分子計測法を用いる場合には、窒素酸化物(NOx)の内、NO(一酸化窒素)、NO2(二酸化窒素)のいずれかを計測して、判断している。
以下、本実施例では、NOx濃度分布測定装置110を用いてNO(一酸化窒素)を計測して脱硝不十分でるか否かを判断するようにしているが、NO2(二酸化窒素)を計測して、またはNO(一酸化窒素)、NO2(二酸化窒素)の両方を計測して判断するようにしてもよい。
図1中、符号107は空気予熱器、108は煙突を図示する。
この際、脱硝装置105の入口側と出口側とでNO濃度を計測しているので、脱硝率を同時に求めることができる。
この脱硝装置105の内部空間には、濃度測定領域Sが仮想的に設定されている。濃度測定領域Sは内部空間内に任意に設定される領域である。本実施例では、図5に示すように、脱硝装置105の煙道の壁面の面内方向に対して平行方向に5列に分割され、第1壁部103aから第2壁部103bにわたって3行に分割される場合、濃度測定領域Sには、仮想的に15個の区画された分割領域が形成される。この区画された分割領域ごとに、測定対象の平均濃度を測定することで、濃度測定領域Sにおける測定対象の濃度分布を得ることができる。
図6に示すように、NOx濃度分布測定装置110Aは、区画された分割領域を計測する複数の送光筒112A(112B、112C)を有するプローブ手段が設けられている。
図7に示すように、基本の1セットを構成する3種類の異なる計測領域Lを形成するプローブ手段は、レーザ光を通過する中空の送光筒112A(112B、112C)と、該送光筒112A(112B、112C)の一部が所定距離112a、112bの間区切られ、計測場に晒される計測領域Lを有している。
この区切られた計測領域Lに排ガス102が通過することとなるので、排ガス中のNOを計測することができる。
この計測領域Lは、1mの間途切れており、レーザ光路長を1mとしている。
また、送光筒112Bは、第1列I、第2列II、第3列III、第4列IV、第5列Vの分割領域(P2、P5、P8、P11、P14)に対応するように、所定距離112a、112bの間区切られた計測場に晒される計測領域Lが設けられている。
また、送光筒112Cは、第1列I、第2列II、第3列III、第4列IV、第5列Vの分割領域(P3、P6、P9、P12、P15)に対応するように、所定距離112a、112bの間区切られた計測場に晒される計測領域Lが設けられている。
なお、図6では、計測領域Lの図示は省略している。
レーザ光の光強度と測定対象の濃度との関係を示す関係式として、ランベルト・ベール(Lambert−Beer)の法則が知られている。
I(L)=I0exp(−kC0L) ……(1)
ここで、kは測定対象の吸光度に応じて設定される比例係数である。
I(L)=I0exp(−kC1L1) ……(2)
図17は、排ガス中の煤塵濃度とレーザ光透過率との関係を示す図である。
図17では、波長が1.5μmの場合、煤塵濃度が6g/Nm3程度の石炭灰中に2mの光路長で計測が可能であることを確認している。
よって、煤塵濃度がそれ以上の場合には、1.5m、より好適には1m前後の光路長で計測することが良好である。
このようにして得られた濃度測定領域Sの濃度分布は、例えば、制御装置20と接続された表示装置(図示略)に表示されることによって、ユーザに提示される。
よって、脱硝装置の出口側において、例えばリークアンモニアを計測する場合には、この脱硝に寄与しないアンモニアを計測することとなり、適切な脱硝がなされたかの否かの判断の指標とはならない。
これに対して、本発明のように、脱硝装置105の入口側と出口側とでNO濃度を、NOx濃度分布測定装置110により直接計測することにより、確実に脱硝がなされていることを確認することができる。
図1に示す脱硝装置105においては、その入口側と出口側とにNOx濃度分布測定装置110を各々設置しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、脱硝装置105の脱硝触媒が層状に複数段(2段以上)設置される場合には、この層の間にNOx濃度分布測定装置110を設置するようにしてもよい。
本実施例では、上流側脱硝触媒層106Aの入口側にNOx濃度分布測定装置(入口)110を設置し、上流側脱硝触媒層106Aと下流側脱硝触媒層106Bとの間にNOx濃度分布測定装置(中間)110を設置し、下流側脱硝触媒層106Bの出口側にNOx濃度分布測定装置(出口)110を設置し、それぞれの層の間における空間のNOの濃度分布を計測し、このNOの濃度分布の計測結果に基づき、アンモニア注入を調整するようにしている。
実施例1のNOx濃度分布測定装置の構成と同一部材については、同一符号を付してその説明は省略する。
図6に示す実施例1に係る脱硝装置に設置するNOx濃度分布測定装置100Aでは、プローブ手段の各々に送光器11と受光器12とを設置しているが、本実施例では、全てのプローブ手段に窓部15A(15B)を設け、この窓部に対応する反射部である反射ミラー13A(13B)を設け、一台の送光器11と受光器12とでレーザ光の送光及び受光を行うようにしている。
まず、測定を行うレーザ経路に対応するように、ガイドレール14上にて反射ミラー13が載置された可動台14aを移動させ、反射ミラー13の角度を調整する。そして、制御装置20によって送光器11が起動され、更に、レーザ光の出力が安定した後に、レーザ経路における測定が行われる。
煙道の外壁回りにおける複数のレーザビーム窓15A、15Bや、プローブ手段における送光筒112の配置位置は、上述した実施例と同様である。また、濃度分布測定方法も上述した実施例と同様であり、詳細な説明は省略する。
図11は、実施例2係る他の脱硝装置に設置するNOx濃度分布測定装置の全体構成を示す概略図である。
図10を用いて説明した濃度分布測定装置100Bは、送光器11及び受光器12が固定されており、第1及び第2の反射ミラー13A、13Bが、第1及び第2の可動台14a、14bに各々載置され、第1及び第2の反射ミラー13A、13Bがガイドレール14上を移動するとしたが、本発明はこの例に限定されない。例えば、図11に示す濃度分布測定装置100Cのように、送光器11及び受光器12が第1及び第2の可動台14a、14bに載置され、送光器11及び受光器12がガイドレール14上を移動するとしてもよい。
図12に示すように、本実施例に係るNOx濃度分布測定装置のプローブ手段は、レーザ光を通過する送光筒121と、該送光筒121を回転する回転手段122と、回転する送光筒121の長手方向に沿って全体を覆う固定外枠123と、該送光筒121に形成され、その長手方向の一部に所定距離をもって且つ時計方向で長手方向に異なる箇所で複数個所(本実施例では3箇所)開口される第1の長孔124a、124b、124cと、前記固定外枠123に形成され、その長手方向の一部が所定距離をもって複数開口される第2の長孔125a、125b、125cと、前記送光筒が回転した際、送光筒の第1の長孔124aと、固定外枠の第2の長孔125aとが一致し、計測場に晒される計測領域Lを形成する。
なお、回転手段122の内部に、受光器12は配設されているので、図示は省略する。
この第1の長孔124a、124b、124cは、その周方向の対向する同一箇所(180度位相がずれた箇所)にも同様な孔が形成され、ガスの流通を可能としている。
この第2の長孔125a、125b、125cは、図14に示すように、その周方向の対向する同一箇所にも形成され、図中上下方向でのガスの流通を可能としている。
12 受光器
13 反射ミラー
14 移動部
15 窓部
19 シールエア
20 制御装置
21 制御ケーブル
S 濃度測定領域
100 ボイラ装置
101 ボイラ
102 燃焼排ガス(排ガス)
103 煙道
104 アンモニア注入装置
105 脱硝装置
106 脱硝触媒
110、110A〜110C NOx濃度分布測定装置
Claims (7)
- 燃焼排ガスを流す煙道の内部に格子状に配置され、前記燃焼排ガス中に還元剤を供給する複数の還元剤供給手段と、
還元剤が含まれた前記燃焼排ガス中のNOxを脱硝する脱硝触媒を備えた脱硝装置と、
前記脱硝装置の出口側に設けられ、前記脱硝装置のガス流れに直交する区画された面領域における前記燃焼排ガス中のNOx濃度分布をレーザ光によって計測する複数のプローブ手段を有するNOx濃度分布測定装置と、
前記NOx濃度分布測定装置の計測結果より求めたNOx濃度分布に基づいて、NOx濃度が所定値以上の脱硝不十分な区画に対応する前記還元剤供給手段からの還元剤供給量を調節する調節手段とを具備し、
前記複数のプローブ手段は、前記レーザ光を前記面領域に向けて送光し、長手方向の一部が所定区間区切られてなり、前記燃焼排ガスが通過する計測領域を有する送光筒を備え、前記計測領域が、隣接する前記複数のプローブ手段間で前記送光筒の長手方向の相互に異なる位置に設けられたことを特徴とする排ガス脱硝システム。 - 請求項1において、
前記脱硝装置の入口側に、前記NOx濃度分布測定装置を設け、脱硝率を求めることを特徴とする排ガス脱硝システム。 - 請求項1又は2において、
前記脱硝装置の脱硝触媒が複数の層から構成され、
前記NOx濃度分布測定装置は、各脱硝触媒層の間に設けられ、各脱硝触媒層ごとにNOx濃度分布を計測し、
前記調節手段は、前記NOx濃度分布測定装置の計測結果より、各脱硝触媒層ごとに求めたNOx濃度分布に基づいて、NOx濃度が所定値以上の脱硝不十分な区画に対応する還元剤供給手段からの還元剤供給量を調節することを特徴とする排ガス脱硝システム。 - 燃焼排ガスを流す煙道の内部に格子状に配置され、前記燃焼排ガス中に還元剤を供給する複数の還元剤供給手段と、
還元剤が含まれた前記燃焼排ガス中のNOxを脱硝する脱硝触媒を備えた脱硝装置と、
前記脱硝装置の出口側に設けられ、前記脱硝装置のガス流れに直交する区画された面領域における前記燃焼排ガス中のNOx濃度分布をレーザ光によって計測する複数のプローブ手段を有するNOx濃度分布測定装置と、
前記NOx濃度分布測定装置の計測結果より求めたNOx濃度分布に基づいて、NOx濃度が所定値以上の脱硝不十分な区画に対応する前記還元剤供給手段からの還元剤供給量を調節する調節手段とを具備し、
前記複数のプローブ手段は、前記レーザ光を前記面領域に向けて送光し、前記燃焼排ガスが通過する計測領域を有する送光筒を備え、
前記送光筒を周方向に回転する回転手段と、
前記送光筒の長手方向に沿って設けられ、前記送光筒を覆う固定外枠と、
前記送光筒の長手方向に沿って所定距離をもって複数設けられると共に、前記送光筒の周方向において互いに異なる位置に設けられた第1の長孔と、
前記固定外枠の長手方向における前記送光筒の前記第1の長穴に対応する位置に所定距離をもって複数設けられた第2の長孔と、を有し、
前記送光筒が回転した際、前記送光筒の前記第1の長孔と、前記固定外枠の前記第2の長孔との周方向における位置が一致し、前記燃焼排ガスが前記送光筒を通過する前記計測領域を形成することを特徴とする排ガス脱硝システム。 - 請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
前記複数のプローブ手段の一端側の各々に、計測場の外部からレーザ光を出射させるレーザ送光器と、
前記複数のプローブ手段の他端側の各々に、計測場の外部で計測領域を通過したレーザ光を受光し、前記レーザ光の光強度を検出するレーザ受光器と、を具備することを特徴とする排ガス脱硝システム。 - 請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
NOx濃度分布測定装置が、
レーザ光を前記プローブ手段内に出射させる一台のレーザ送光器と、
前記プローブ手段の計測領域を通過したレーザ光を受光し、前記レーザ光の光強度を検出する一台のレーザ受光器と、
前記レーザ送光器からのレーザ光を反射する第1の反射部と、
前記プローブ手段内の計測領域を通過したレーザ光を反射する第2の反射部と、
前記複数のプローブ手段の一端側の各々に設けられ、計測場の外部からレーザ光が通過する送光用窓部と、
前記複数のプローブ手段の他端側の各々に設けられ、計測場の外部で計測領域を通過したレーザ光が通過する受光用窓部と、
前記第1の反射部が載置され、計測場の外部において前記第1の反射部を移動する第1の移動部と、
前記第2の反射部が載置され、計測場の外部において前記第2の反射部を移動する第2の移動部と、
前記プローブ手段の内部におけるレーザ経路に基づいて、前記送光用窓部及び前記受光用窓部から一対の窓部が選択され、選択された一対の前記送光用窓部から前記受光用窓部に向けて前記レーザ光が照射されて前記レーザ光がプローブ手段を通過するように、前記第1及び第2の移動部によって前記第1及び第2の反射部を移動させる制御部と、を具備することを特徴とする排ガス脱硝システム。 - 請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
NOx濃度分布測定装置が、
レーザ光を前記プローブ手段内に出射させる一台のレーザ送光器と、
前記プローブ手段の計測領域を通過したレーザ光を受光し、前記レーザ光の光強度を検出する一台のレーザ受光器と、
前記複数のプローブ手段の一端側の各々に設けられ、計測場の外部からレーザ光が通過する送光用窓部と、
前記複数のプローブ手段の他端側の各々に設けられ、計測場の外部で計測領域を通過したレーザ光が通過する受光用窓部と、
前記レーザ送光器が載置され、計測場の外部において前記レーザ送光器を移動する第1の移動部と、
前記レーザ受光器が載置され、計測場の外部において前記レーザ受光器を移動する第2の移動部と、
前記プローブ手段の内部におけるレーザ経路に基づいて、前記送光用窓部及び前記受光用窓部から一対の窓部が選択され、選択された一対の前記送光用窓部から前記受光用窓部に向けて前記レーザ光が照射されて前記レーザ光がプローブ手段を通過するように、前記第1及び第2の移動部によって前記レーザ送光器及びレーザ受光器を移動させる制御部と、を具備することを特徴とする排ガス脱硝システム。
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