以下、本発明の実施形態について図2乃至図13を参照して説明する。なお、以下の例では、基板表面に一連のめっき処理を施すめっき装置の基板乾燥装置に本発明の基板乾燥装置を適用した例を示している。基板を洗浄し液切り乾燥させる他の基板処理装置の基板乾燥装置に本発明の基板乾燥装置を適用しても良いことは勿論である。
図2は、本発明の基板乾燥装置を備えためっき装置の全体配置図を示す。図2に示すように、このめっき装置には、半導体ウエハ等の基板Wを収納したカセット10を搭載する2台のカセットテーブル12と、基板Wのオリフラやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるアライナ14と、めっき処理後の基板Wを高速回転させて乾燥させるスピンドライヤ16が備えられている。更に、この近くには、基板ホルダ18を載置して基板Wの該基板ホルダ18との着脱を行う基板着脱部20が設けられ、これらのユニットの中央には、これらの間で基板Wを搬送する搬送用ロボットからなる基板搬送装置22が配置されている。
そして、基板着脱部20側から順に、基板ホルダ18の保管及び一時仮置きを行うストッカ24、基板Wを純水に浸漬させるプリウェット槽26、基板Wの表面に形成したシード層等の表面の酸化膜をエッチング除去するプリソーク槽28、基板Wの表面を純水で水洗する第1の水洗槽30a、洗浄後の基板Wの液切り乾燥を行う、本発明の実施形態の基板乾燥装置32、第2の水洗槽30b及びめっき槽34が順に配置されている。このめっき槽34は、オーバーフロー槽36の内部に複数のめっきユニット38を収納して構成され、各めっきユニット38は、内部に1個の基板Wを収納して、銅めっき等のめっきを施すようになっている。なお、この例では、銅めっきについて説明するが、ニッケルやはんだ、銀、更には金めっきにおいても同様であることは勿論である。
更に、これらの各機器の側方に位置して、これらの各機器の間で基板ホルダ18を基板Wとともに搬送する、例えばリニアモータ方式を採用した基板ホルダ搬送装置40が備えられている。この基板ホルダ搬送装置40は、基板着脱部20とストッカ24との間で基板Wを搬送する第1のトランスポータ42と、ストッカ24、プリウェット槽26、プリソーク槽28、水洗槽30a,30b、基板乾燥装置32及びめっき槽34との間で基板Wを搬送する第2のトランスポータ44を有している。なお、第2のトランスポータ44を備えることなく、第1のトランスポータ42のみを備えるようにしてもよい。
また、この基板ホルダ搬送装置40のオーバーフロー槽36を挟んだ反対側には、各めっきユニット38の内部に位置してめっき液を攪拌する掻き混ぜ棒としてのパドル(図示せず)を駆動するパドル駆動装置46が配置されている。
基板着脱部20は、レール50に沿って横方向にスライド自在な平板状の載置プレート52を備えており、この載置プレート52に2個の基板ホルダ18を水平状態で並列に載置して、この一方の基板ホルダ18と基板搬送装置22との間で基板Wの受渡しを行った後、載置プレート52を横方向にスライドさせて、他方の基板ホルダ18と基板搬送装置22との間で基板Wの受渡しを行うようになっている。
基板ホルダ18は、図3乃至図6に示すように、例えば塩化ビニル製で矩形平板状の第1保持部材(固定保持部材)54と、この第1保持部材54にヒンジ56を介して開閉自在に取付けた第2保持部材(可動保持部材)58とを有している。なお、この例では、第2保持部材58を、ヒンジ56を介して開閉自在に構成した例を示しているが、例えば第2保持部材58を第1保持部材54に対峙した位置に配置し、この第2保持部材58を第1保持部材54に向けて前進させて開閉するようにしてもよい。
第2保持部材58は、基部60とリング状のシールホルダ62とを有し、例えば塩化ビニル製で、下記の押えリング64との滑りを良くしている。シールホルダ62の第1保持部材54と対向する面には、基板ホルダ18で基板Wを保持した時、基板Wの表面外周部に圧接してここをシールする内側シール部材66が内方に突出して取付けられている。更に、シールホルダ62の第1保持部材54と対向する面には、内側シール部材66の外方位置で第1保持部材54に圧接してここをシールする外側シール部材68が取付けられている。
図6に示すように、内側シール部材66は、シールホルダ62と、該シールホルダ62にボルト等の締結具69aを介して取付けられる第1固定リング70aとの間に挟持されてシールホルダ62に取付けられ、外側シール部材68は、シールホルダ62と、該シールホルダ62にボルト等の締結具69bを介して取付けられる第2固定リング70bとの間に挟持されてシールホルダ62に取付けられている。
第2保持部材58のシールホルダ62の外周部には、段部が設けられ、この段部に、押えリング64がスペーサ65を介して回転自在に装着されている。なお、押えリング64は、シールホルダ62の側面に外方に突出ように取付けられた押え板72(図4参照)により、脱出不能に装着されている。この押えリング64は、酸に対して耐食性に優れ、十分な剛性を有する、例えばチタンから構成され、スペーサ65は、押えリング64がスムーズに回転できるように、摩擦係数の低い材料、例えばPTFEで構成されている。
押えリング64の外側方に位置して、第1保持部材54には、内方に突出する突出部を有する逆L字状のクランパ74が円周方向に沿って等間隔で立設されている。一方、押えリング64の円周方向に沿ったクランパ74と対向する位置には、外方に突出する突起部64bが設けられている。そして、クランパ74の内方突出部の下面及び押えリング64の突起部64aの上面は、回転方向に沿って互いに逆方向に傾斜するテーパ面となっている。押えリング64の円周方向に沿った複数箇所(例えば4箇所)には、上方に突出するポッチ64aが設けられている。これにより、回転ピン(図示せず)を回転させてポッチ64aを横から押し回すことにより、押えリング64を回転させることができる。
これにより、第2保持部材58を開いた状態で、第1保持部材54の中央部に基板Wを挿入し、ヒンジ56を介して第2保持部材58を閉じ、押えリング64を時計回りに回転させて、押えリング64の突起部64bをクランパ74の内方突出部の内部に滑り込ませることで、押えリング64とクランパ74にそれそれぞれ設けたテーパ面を介して、第1保持部材54と第2保持部材58とを互いに締付けてロックし、押えリング64を反時計回りに回転させて逆L字状のクランパ74の押えリング64の突起部64bから引き抜くことで、このロックを解くようになっている。そして、このようにして第2保持部材58をロックした時、内側シール部材66の内周面側の下方突出部下端が基板ホルダ18で保持した基板Wの表面外周部に、外側シール部材68にあっては、その外周側の下方突出部下端が第1保持部材54の表面にそれぞれ圧接し、シール部材66,68を均一に押圧して、ここをシールする。このように、基板Wの表面外周部を内側シール部材66で押圧してシールすると、基板Wの表面と内側シール部材66の内周面との間に、基板Wの表面外周部の内側シール部材66との接触部に沿ってリング状に連続して延びる段差Dが形成される。
第1保持部材54の周縁部には、基板Wの大きさに合わせてリング状に突出し、表面が基板Wの周縁部に当接して該基板Wを支持する支持面80となる突条部82が設けられており、この突条部82の円周方向に沿った所定位置に凹部84が設けられている。
そして、図4に示すように、この各凹部84内に、ハンド90に設けた外部接点から延びる複数の配線にそれぞれ接続した複数(図示では12個)の導電体(電気接点)86が配置されて、第1保持部材54の支持面80上に基板Wを載置した際、この導電体86の端部が基板Wの側方で第1保持部材54の表面にばね性を有した状態で露出して、図6に示す電気接点88の下部に接触するようになっている。
導電体86に電気的に接続される電気接点88は、ボルト等の締結具89を介して第2保持部材58のシールホルダ62に固着されている。この電気接点88は、板ばね形状に形成され、内側シール部材66の外方に位置して、内方に板ばね状に突出する接点部を有しており、この接点部において、その弾性力によるばね性を有して容易に屈曲し、しかも第1保持部材54と第2保持部材58で基板Wを保持した時に、電気接点88の接点部が、第1保持部材54の支持面80上に支持された基板Wの外周面に弾性的に接触するように構成されている。
第2保持部材58の開閉は、図示しないシリンダと第2保持部材58の自重によって行われる。つまり、第1保持部材54には通孔54aが設けられ、載置プレート52の上に基板ホルダ18を載置した時に該通孔54aに対向する位置にシリンダが設けられている。これにより、シリンダロッドを伸展させ、通孔54aを通じて押圧棒で第2保持部材58のシールホルダ62を上方に押上げることで第2保持部材58を開き、シリンダロッドを収縮させることで、第2保持部材58をその自重で閉じるようになっている。
基板ホルダ18の第1保持部材54の端部には、基板ホルダ18を搬送したり、吊下げ支持したりする際の支持部となる一対の略T字状のハンド90が連接されている。そして、ストッカ24内においては、この周壁上面にハンド90の突出端部を引っ掛けることで、これを垂直に吊下げ保持し、この吊下げ保持した基板ホルダ18のハンド90を基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ42で把持して基板ホルダ18を搬送するようになっている。なお、プリウェット槽26、プリソーク槽28、水洗槽30a,30b、基板乾燥装置32及びめっき槽34内においても、基板ホルダ18は、ハンド90を介してそれらの周壁に吊下げ保持される。
図7は、本発明の実施形態の基板乾燥装置32の概要を、基板Wを保持した基板ホルダ18の概要と共に示す縦断正面図である。図7に示すように、基板乾燥装置32は、上方に開放した乾燥槽100を有し、基板ホルダ18は、この乾燥槽100の周壁に吊下げ支持されて、乾燥槽100内の所定位置に鉛直に配置される。乾燥槽100の内部には、基板Wと対向する位置に位置して、基板Wの表面に向けてN2ガスやエア等の乾燥ガスを吹付ける複数の吹付けノズルを鉛直方向に沿って複数段に設置したノズルプレート102が配置されている。このノズルプレート102の上端には、図8に示すように、外方に突出する取付けアーム102aが一体に連接され、このアーム102aを介して、ノズルプレート102は、乾燥槽100内の所定の位置に固定されている。
この例では、乾燥槽100の内部の処置位置にノズルプレート102を配置するようにしているが、ノズルプレート102を乾燥槽100の周壁に直接接着あるいは溶接しても良い。また、ノズルプレート102を備えることなく、複数の吹付けノズル104a〜104dを、例えば乾燥槽100の周壁に直接取付けても、あるいは個々の吹付けノズル104a〜104dがそれぞれブラケットによって乾燥槽100に支持されるようにしても良い。乾燥槽100の底面には排水口100aが繋がっている。また、乾燥槽100を構成する側板には貫通穴100bが設けられており、この貫通穴100bには、乾燥槽100内を排気するダクトが接続されている。
この例では、ノズルプレート102には、最上段に位置する1個の第1段吹付けノズル104a、第1段吹付けノズル104aより下方に位置する一対の第2段吹付けノズル104b、第2段吹付けノズル104bより下方に位置する一対の第3段吹付けノズル104c、及び第3段吹付けノズル104cより下方の最下段に位置する一対の第4段吹付けノズル104dの合計4段の吹付けノズルが設置されている。
第1段吹付けノズル104aは、外部ガス供給源106から延び、内部に減圧弁108及び流量計110を介装したメインガス供給ライン112から分岐した第1分岐ライン114aに接続され、この第1分岐ライン114aには、該ライン114aを開閉する開閉バルブ116aが介装されている。同様に、第2段吹付けノズル104bは、メインガス供給ライン112から分岐した第2分岐ライン114bに接続され、この第2分岐ライン114bには開閉バルブ116bが介装されている。第3段吹付けノズル104cは、メインガス供給ライン112から分岐した第3分岐ライン114cに接続され、この第3分岐ライン114cには開閉バルブ116cが介装されている。第4段吹付けノズル104dは、メインガス供給ライン112から分岐した第4分岐ライン114dに接続され、この第4分岐ライン114dには開閉バルブ116dが介装されている。
更に、基板乾燥装置32には、流量計110からの信号に基づいて減圧弁108を制御するとともに、開閉バルブ116a〜116dを開閉制御する制御部118が備えられている。
図8は、ノズルプレート102を、基板ホルダ18で保持されて乾燥槽100内の所定の位置に配置された基板Wとの位置関係と共に示す正面図である。図8に示すように、第1段吹付けノズル104aは、基板Wの中心Oを通って鉛直方向に延びる基板対称軸Y1−Y1に対応する位置に位置する吹付けノズル対称軸Y2−Y2の軸上に位置して、基板Wの上部に対応する位置に配置されている。基板Wの最上端から第1段吹付けノズル104aまでの距離Lは、50mm以下であることが好ましい。
一対の第2段吹付けノズル104bは、吹付けノズル対称軸Y2−Y2に対して左右対称位置にそれぞれ位置して、基板Wの上半分における高さ方向に沿ったやや下方で、基板Wの外周部寄りに対応した位置に配置されている。一対の第3段吹付けノズル104cは、吹付けノズル対称軸Y2−Y2に対して左右対称位置にそれぞれ位置して、基板Wの下半分における高さ方向に沿ったやや上方で、基板Wのやや中心部寄りに対応した位置に配置されている。一対の第4段吹付けノズル104dは、吹付けノズル対称軸Y2−Y2に対して左右対称位置にそれぞれ位置して、基板Wの下部に対応する位置に配置されている。
この例では、吹付けノズル104a〜104dをノズルプレート102に取付けて乾燥槽100の所定位置に配置するようにしており、吹付けノズル対称軸Y2−Y2は、ノズルプレート102の中心を鉛直方向に延びるノズルプレート対称軸と一致している。
次に、図7に示すように、基板乾燥装置32の乾燥槽100の内部の所定位置に配置した基板ホルダ18で保持した基板Wの表面に向けて、各段吹付けノズル104a〜104dからN2等の乾燥ガスを吹付けて乾燥させる時の概要を、図9乃至図13を参照して説明する。
先ず、図9に示すように、最上段に位置する第1段吹付けノズル104aのみからN2ガス等の乾燥ガスを基板Wの表面に向けて吹付け、これによって、円弧状に延びる乾燥ライン120aの上方に基板Wの表面を液切り乾燥させた乾燥エリア122aを形成し、この乾燥エリア122aを徐々に下方に拡大する。この時、第1段吹付けノズル104aから吹付けられて基板ホルダ18の内側シール部材66の内周面と基板Wとの間に形成された段差D(図6参照)に衝突する乾燥ガスは、リング状に連続して延びる段差Dに沿って、淀むことなく下方にスムーズに流れ、この段差Dに残留する液体を下方に押し流して除去するか、或いは段差Dを乾燥させる。これにより、特に基板Wの表面の上端及びその周辺に液体が残ることが防止され、乾燥エリア122aは、液体が残存することなく、均一に液切り乾燥される。
そして、図10に示すように、基板Wの表面の乾燥ライン120aが第2段吹付けノズル104bの取付け位置と対応する位置の下方に達した直後に、第1段吹付けノズル104aからの乾燥ガスの吹付けを停止する。この時に第1段吹付けノズル104aから基板Wに向けて吹付けられるN2ガスの流量は、例えば150L/min(ntp)で、吹付け時間は30秒である。
次に、図11に示すように、一対の第2段吹付けノズル104bのみからのN2ガス等の乾燥ガスの基板Wの表面に向けた吹付けを開始し、これによって、基板対称軸Y1−Y1に対して左右対称に円弧状に延びる乾燥ライン120bの上方に基板Wの表面を液切り乾燥させた乾燥エリア122bを形成し、この乾燥エリア122bを徐々に下方に拡大する。この時、基板Wの表面に向けて吹付けられた乾燥ガスは、リング状に連続して延びる段差D(図6参照)に沿って、淀むことなく下方にスムーズに流れ、この段差Dに残留する液体を下方に押し流して除去するか、或いは段部Dを乾燥させる。
このように、基板Wの表面の乾燥ライン120aが第2段吹付けノズル104bの取付け位置と対応する位置の下方に達した直後に、第2段吹付けノズル104bからの乾燥ガスの吹付けを開始することで、第2段吹付けノズル104bからの乾燥ガスの吹付けによって基板Wの表面から飛ばされた水滴が第1段吹付けノズル104aからの乾燥ガスの吹付けで形成された乾燥エリア122aに付着することを防止しつつ、該乾燥エリア122aから連続的に拡がる乾燥エリア122bを形成することができる。このことは、以下同様である。
そして、基板Wの表面の乾燥ライン120bが第3段吹付けノズル104cの取付け位置と対応する位置の下方に達した直後に、第2段吹付けノズル104bからの乾燥ガスの吹付けを停止する。この時に第2段吹付けノズル104bから基板Wに向けて吹付けられるN2ガスの総流量は、例えば300L/min(ntp)で、吹付け時間は25秒である。
次に、図12に示すように、一対の第3段吹付けノズル104cのみからのN2ガス等の乾燥ガスの基板Wの表面に向けた吹付けを開始し、これによって、基板対称軸Y1−Y1に対して左右対称に円弧状に延びる乾燥ライン120cの上方に基板Wの表面を液切り乾燥させた乾燥エリア122cを形成し、この乾燥エリア122cを徐々に下方に拡大する。
そして、基板Wの表面の乾燥ライン120cが第4段吹付けノズル104dの取付け位置と対応する位置の下方に達した直後に、第3段吹付けノズル104cからの乾燥ガスの吹付けを停止する。この時に第3段吹付けノズル104cから基板Wに向けて吹付けられるN2ガスの総流量は、例えば300L/min(ntp)で、吹付け時間は25秒である。
次に、図13に示すように、一対の第4吹付けノズル104dのみからN2ガス等の乾燥ガスの基板Wの表面に向けた吹付けを開始し、これによって、基板Wの全表面を液切り乾燥させた乾燥エリア122dとする。この時、基板ホルダ18の第2保持部材54と基板Wとの間に形成された段差D(図6参照)の下端に溜まった液体は、左右から吹付けられる乾燥ガスによって、効率的に外部に掻き出される。しかも、この掻き出される液体は、上記段差Dに沿って移動するため、第3段吹付けノズル104cからの乾燥ガスの吹付けで形成された乾燥エリア122cに付着することはない。これによって、基板Wの表面の下端及びその周辺に集まった液体を効果的に掻き出して該下端及びその周辺を確実に液切り乾燥させることができる。
そして、基板Wの表面を完全に液切り乾燥させた後、第4段吹付けノズル104dからの乾燥ガスの吹付けを停止する。この時に第4段吹付けノズル104dから基板Wに向けて吹付けられるN2ガスの総流量は、例えば300L/min(ntp)で、吹付け時間は10秒である。
この例の基板乾燥装置32によれば、表面Wの外周部を内側シール部材66でシールして基板ホルダ18で保持した基板Wであっても、2次汚染を防止しつつ、基板Wの全表面を均一に液切り乾燥させることができる。
なお、上記の例では、基板Wの表面の乾燥ライン120aが第2段吹付けノズル104bの取付け位置と対応する位置の下方に達した直後に、第1段吹付けノズル104aからの乾燥ガスの吹付けを停止するようにしているが、基板Wの表面の乾燥ライン120aが第2段吹付けノズル104bの取付け位置と対応する位置の下方に達する直前に、第1段吹付けノズル104aからの乾燥ガスの吹付けを停止するようにしても良い。
第1段吹付けノズル104aからの乾燥ガスの吹付けを停止するタイミングが、基板Wの表面の乾燥ライン120aが第2段吹付けノズル104bの取付け位置と対応する位置の下方に達する直前であれば、第2段吹付けノズル104bの取付け位置と対応する位置に位置する基板Wの表面の液膜の厚さは薄くなっており、液膜が薄くなった部分の液体は第2段吹付けノズル104bからの乾燥ガスの吹付けにより蒸発し基板Wに再付着することはない。
これによっても、第2段吹付けノズル104bからの乾燥ガスの吹付けによって基板Wの表面から飛ばされた水滴が第1段吹付けノズル104aからの乾燥ガスの吹付けで形成された乾燥エリア122aに付着することを防止しつつ、該乾燥エリア122aから連続的に拡がる乾燥エリア122bを形成することができる。このことは、第3段吹付けノズル104c及び第4段吹付けノズル104dにあっても同様である。
この例では、最上段に位置する第1段吹付けノズル104aと最下段に位置する第4段吹付けノズル104dとの間に、2段の吹付けノズル104b,104cを設置しているが、最上段に位置する吹付けノズルと最下段に位置する吹付けノズルとの間に設置される吹付けノズルの段数は、基板の大きさ等に合わせて、1段以上の任意に設定される。
また、各中段の吹付けノズルは、1個である必要はなく、また各中段の吹付けノズルの配置位置は、ノズル対称軸Y2−Y2に対して対称位置である必要はない。例えば吹付けノズル対称軸Y2−Y2の軸上に設置した1個の吹付けノズルで1段の吹付けノズルを構成しても良く、また吹付けノズル対称軸Y2−Y2の軸上に設置した1個の吹付けノズルと、ノズル対称軸Y2−Y2に対して対称位置に設置した一対の吹付けノズルの合計3個の吹付けノズルで、同じ段の吹付けノズルを構成しても良い。
また、最下段に位置する吹付けノズルにあっては、吹付けノズル対称軸Y2−Y2に対して左右対称位置に位置する一対の吹付けノズルに加えて、吹付けノズル対称軸Y2−Y2の軸上に位置する他の1つの吹付けノズルを更に含むようにしても良い。
なお、上記の例では、複数の吹付けノズルから乾燥ガスを基板に向けて垂直に吹付けるようにしているが、吹付けノズルを基板の法線に対して僅かな角度(例えば5°)で傾け、これによって、吹付けノズルから乾燥ガスを基板に向けて僅かに傾斜させて吹付けるようにしても良い。特に最上段に位置する吹付けノズルは僅かに上向きに、最下段に位置する吹付けノズルは僅かに下向きに傾けることが望ましい。
上記のように構成しためっき装置による一連のめっき処理を説明する。先ず、カセットテーブル12に搭載したカセット10から、基板搬送装置22で基板を1枚取出し、アライナ14に載せてオリフラやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。このアライナ14で方向を合わせた基板を基板搬送装置22で基板着脱部20まで搬送する。
基板着脱部20においては、ストッカ24内に収容されていた基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ42で2基同時に把持して、基板着脱部20まで搬送する。そして、基板ホルダ18を水平な状態として下降させ、これによって、2基の基板ホルダ18を基板着脱部20の載置プレート52の上に同時に載置し、シリンダを作動させて基板ホルダ18の第2保持部材58を開いた状態にしておく。
この状態で、中央側に位置する基板ホルダ18に基板搬送装置22で搬送した基板を挿入し、シリンダを逆作動させて第2保持部材58を閉じ、しかる後、ロック・アンロック機構で第2保持部材58をロックする。そして、一方の基板ホルダ18への基板の装着が完了した後、載置プレート52を横方向にスライドさせて、同様にして、他方の基板ホルダ18に基板を装着し、しかる後、載置プレート52を元の位置に戻す。
これにより、基板Wは、そのめっき処理を行う面を基板ホルダ18の開口部から露出させた状態で、周囲をシール部材66,68でめっき液が浸入しないようにシールされ、シール部材66,68によってめっき液に触れない部分において複数の電気接点88と電気的に導通するように固定される。ここで、電気接点88からは基板ホルダ18のハンド90まで配線が繋がっており、ハンド90の部分に電源を接続することにより基板のシード層等に給電することができる。なお、基板着脱部20は、基板ホルダ18に装着された基板Wと電気接点88との接触状態を確認するセンサを有している。このセンサは、基板Wと電気接点88の接触状態が不良であると判断した時に、その信号をコントローラ(図示せず)に入力する。
次に、基板Wを装着した基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ42で2基同時に把持し、ストッカ24まで搬送する。そして、基板ホルダ18を垂直な状態となして下降させ、これによって、2基の基板ホルダ18をストッカ24に吊下げ保持(仮置き)する。これらの基板搬送装置22、基板着脱部20及び基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ42においては、前記作業を順次繰り返して、ストッカ24内に収容された基板ホルダ18に順次基板を装着し、ストッカ24の所定の位置に順次吊り下げ保持(仮置き)する。
なお、図示しないが、2基の基板ホルダ18を水平に載置する基板着脱部20の代わりに、トランスポータ42で搬送された2基の基板ホルダを鉛直に支持するフィキシングステーションを備え、基板ホルダを鉛直に保持したフィキシングステーションを90°回転させて基板ホルダを水平な状態となすようにしてもよい。
また、この例では、1つのロック・アンロック機構を備えた例を示しているが、2つのロック・アンロック機構を備え、互いに隣接した位置に配置される2基の基板ホルダのロック・アンロック機構によりロック・アンロックを同時に行うようにしてもよい。
一方、基板ホルダ搬送装置40の他方のトランスポータ44にあっては、基板を装着しストッカ24に仮置きした基板ホルダ18を2基同時に把持し、プリウェット槽26まで搬送して下降させ、これによって、2基の基板ホルダ18をプリウェット槽26内に入れる。
なお、この時、基板着脱部20に備えられていた基板と電気接点88との接触状態を確認するセンサで、この接触状態が不良であると判断した基板を収納した基板ホルダ18は、ストッカ24に仮置きしたままにしておく。これにより、基板ホルダ18に基板を装着した時に該基板と電気接点88との間に接触不良が生じても、装置を停止させることなく、めっき作業を継続することができる。この接触不良を生じた基板にはめっき処理が施されないが、この場合には、カセットを戻した後にめっき未処理の基板をカセットから排除することで、これに対処することができる。
次に、この基板を装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、プリソーク槽28に搬送し、プリソーク槽28で酸化膜をエッチングし、清浄な金属面を露出させる。更に、この基板を装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、水洗槽30aに搬送し、この水洗槽30aに入れた純水で基板の表面を水洗する。
水洗が終了した基板を装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、めっき液を満たしためっき槽34に搬送し、めっきユニット38に吊り下げ保持する。基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ44は、上記作業を順次繰り返し行って、基板を装着した基板ホルダ18を順次めっき槽34のめっきユニット38に搬送して所定の位置に吊下げ保持する。
全ての基板ホルダ18の吊下げ保持が完了した後、オーバーフロー槽36のめっき液を循環させ、かつ、オーバーフローさせながら、めっき槽34内のアノード(図示せず)と基板Wとの間にめっき電圧を印加し、同時にパドル駆動装置46によりパドルを基板の表面と平行に往復移動させることで、基板の表面にめっきを施す。この時、基板ホルダ18は、めっきユニット38の上部でハンド90により吊り下げられて固定され、めっき電源から導電体86及び電気接点88を通して、シード層等に給電される。
めっきが終了した後、めっき電源の印加、めっき液の供給及びパドル往復運動を停止し、めっき後の基板Wを装着した基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ44で2基同時に把持し、前述と同様にして、水洗槽30bまで搬送し、この水洗槽30bに入れた純水に浸漬させて基板の表面を純水洗浄する。
次に、この洗浄後の基板Wを装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、基板乾燥装置32の乾燥槽100に搬送して乾燥槽100内の所定の位置に配置し、しかる後、前述のように、乾燥槽100の内部に配置したノズルプレート102に設置された吹付けノズル104a〜104dからN2ガスやエア等の乾燥ガスを基板Wの表面に向けて順次吹付け、これによって、基板ホルダ18で保持した基板Wの表面に付着した水滴を除去し乾燥させる。しかる後、この基板Wを装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、ストッカ24の所定の位置に戻して吊下げ保持する。
基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ44は、上記作業を順次繰り返し、めっきが終了した基板を装着した基板ホルダ18を順次ストッカ24の所定の位置に戻して吊下げ保持する。
一方、基板ホルダ搬送装置40の他方のトランスポータ42にあっては、めっき処理後の基板Wを装着しストッカ24に戻した基板ホルダ18を2基同時に把持し、前記と同様にして、基板着脱部20の載置プレート52の上に載置する。この時、基板着脱部20に備えられていた基板と電気接点88との接触状態を確認するセンサで、この接触状態が不良であると判断した基板を装着しストッカ24に仮置きしたままの基板ホルダ18も同時に搬送して載置プレート52の上に載置する。
そして、中央側に位置する基板ホルダ18の第2保持部材58のロックを、ロック・アンロック機構を介して解き、シリンダを作動させて第2保持部材58を開く。この時、基板Wが第2保持部材58にくっついたまま第2保持部材58が開くことが防止される。この状態で、基板ホルダ18内のめっき処理後の基板Wを基板搬送装置22で取出して、スピンドライヤ16に運び、このスピンドライヤ16の高速回転によってスピンドライ(水切り)した基板を基板搬送装置22でカセット10に戻す。
そして、一方の基板ホルダ18に装着した基板をカセット10に戻した後、或いはこれと並行して、載置プレート52を横方向にスライドさせて、同様にして、他方の基板ホルダ18に装着した基板をスピンドライしてカセット10に戻す。
載置プレート52を元の状態に戻した後、基板を取出した基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ42で2基同時に把持し、前記と同様にして、これをストッカ24の所定の場所に戻す。しかる後、めっき処理後の基板を装着しストッカ24に戻した基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40で2基同時に把持し、前記と同様にして、基板着脱部20の載置プレート52の上に載置して、前記と同様な作業を繰り返す。
そして、めっき処理後の基板を装着しストッカ24に戻した基板ホルダ18から全ての基板を取出し、スピンドライしてカセット10に戻して作業を完了する。
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことはいうまでもない。