以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
[電子ペンシステムのシステム構成]
図1は、本実施形態における電子ペンシステム10のシステム構成図である。図1に示すように、電子ペンシステム10は、各受講者(利用者)それぞれに配布される解答用紙(記入用紙)5A,5B,…(5)と、解答用紙5に解答(筆跡)を記入し、記入した情報を外部へBluetooth(登録商標)等の無線通信方式で送信するための電子ペン1A,1B,…(1)と、各電子ペン1から送信される記入情報を受信してディスプレイ(表示手段)に記入内容等を表示する集約装置(端末装置)2とを備える。
なお、図1では、集約装置2は、電子ペン1A〜1Cから直接、記入情報を受信しているが、記入される解答用紙5が多いために記入情報を送信する電子ペン1の本数が多い場合や、受講者が解答する会場が離れている等により無線通信の範囲外となるような場合は、他の電子ペン1D、1E、…から送信される記入情報を中継して集約装置2へ転送するための転送装置3を設ける。このとき、転送装置3から集約装置2へのデータの送信は、例えばLAN経由でTCP/IPの通信方式で行うとよい。各電子ペン1には、アノトペンを利用することができ、集約装置2には、ラップトップパソコンなどを利用することができ、転送装置3には、ラップトップパソコンやデータ転送専用のコンピュータなどを利用することができる。プロジェクタ4は、集約装置2から表示情報を受信して、集約装置2の画面をスクリーン6へ投影表示する装置である。
[解答用紙]
図2を参照して解答用紙5A、5B(5)について説明する。図2(A)、(B)にそれぞれ示すように、受講者ごとに2種類の解答用紙5A、5Bが用意される。図2(A)に示すように、解答用紙5Aには、受講者が電子ペン1により解答を記入するための解答欄501A〜501C(501)が設けられ、図2(B)に示すように、解答用紙5Bには、受講者が電子ペン1により意見等を記入するための記入欄502A、502B(502)が設けられている。そして、解答欄501及び記入欄502を含む範囲には、後述する位置座標を示すドットパターン(コード化パターン)が印刷される。解答用紙5Aと解答用紙5Bには、それぞれ異なる座標範囲のドットパターンが印刷される。また、解答用紙5には、ドットパターンに加え、問題や、解答欄501又は記入欄502の外枠などが印刷される。ドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷され、問題等は、赤外域に吸収性を持たないインキにより印刷される。
[ドットパターン]
続いて、解答用紙5に印刷されたアノト方式のドットパターン(コード化パターン)について図3及び図4を用いて説明する。図3は、解答用紙5に印刷されたドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図3に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を仮想格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、解答用紙5上の位置座標が決定されるよう構成されている。
図4(a)は、あるドットパターンの配列を示している。図4(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、解答用紙5上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンが解答用紙5上のどの位置にあるのか)を保持している。図4(b)は、図4(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図3に示す規則性に基づいて対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
[電子ペン]
次に、電子ペン1の構造について図5〜図7を用いて説明する。図5は、電子ペン1の分解斜視図である。また、図6は、図5の矢印「AA」、「AB」の方向に電子ペン1を切断した場合の断面図を示し、図7は、図5の矢印「BA」、「BB」の方向に電子ペン1を切断した場合の断面図を示す。電子ペン1は、記入を行うためのインキを出力する書込み用電子ペン部104と、書込み用電子ペン部104により出力されたインキを消去する消去用電子ペン部114とを備える。そして、電子ペン1は、ノック操作により、書込み用電子ペン部104のペン先部103と、消去用電子ペン部114のペン先部113とのいずれかを開口部102から突出させることが可能な複合式のペンである。
ペン部側筺体101A及びノック操作側筺体101Bは、基板100、書込み用電子ペン部104、消去用電子ペン部114、ノック操作部129、139などを収納する。そして、ペン部側筺体101Aはスレッド部115と螺合し、ノック操作側筺体101Bはガイド部116と螺合することで、ペン部側筺体101Aとノック操作側筺体101Bとが一体に固定される。
図5に示すように書込み用電子ペン部104は、ペン先部103と反対に位置する端部と嵌合するバネ120を介してノック操作部129と接続する。同様に、消去用電子ペン部114は、ペン先部113と反対に位置する端部と嵌合するバネ130を介してノック操作部139と接続する。また、ノック操作部129の突出部121は、電子ペン1の長手方向に延在するスリット部122から突出する。同様に、ノック操作部139の突出部131は、電子ペン1の長手方向に延在するスリット部132から突出する。
また、ノック操作側筺体101Bには、図6に示すようにストッパ125が設けられている。ストッパ125は、操作により突出部121が開口部102の方向(単に「ペン先方向」とも呼ぶ。)に押し出された場合に、ノック操作部129の溝部128に端部が嵌め込まれ、ノック操作部129を固定する。この場合、ペン先部103は、開口部102に対して突出した状態(単に「突出状態」とも呼ぶ。)となる。同様に、ストッパ125は、操作により突出部131がペン先方向に押し出された場合に、ノック操作部139の溝部138に端部が嵌め込まれ、ノック操作部139を固定する。この場合、ペン先部113は、突出状態となる。
また、図6に示すように、ペン先部103が突出状態の場合に、突出部131をペン先方向に押し出す操作(ノック操作)が行われた場合、ノック操作部139の***部133、134がノック操作部129をスリット部122の方向に押し出す。これにより、溝部128からストッパ125の端部が外れる。従って、この場合には、バネ120の復元力により、ノック操作部129は、ペン先方向と逆方向に付勢されてストッパ125に沿って移動し、ペン先部103がペン部側筺体101A内に収納された状態(単に、「収納状態」とも呼ぶ。)となる。同様に、ペン先部113が突出状態の場合に、突出部121をペン先方向に押し出す操作(ノック操作)が行われた場合、ノック操作部129の***部123、124がノック操作部139をスリット部132の方向に押し出す。これにより、溝部138からストッパ125の端部が外れる。従って、この場合には、バネ130の復元力により、ノック操作部139は、ペン先方向と逆方向に付勢されてストッパ125に沿って移動し、ペン先部113は収納状態となる。
以上のように、電子ペン1は、ノック操作により、書込み用電子ペン部104のペン先部103が突出状態かつ消去用電子ペン部114のペン先部113が収納状態となる状態(第1の状態)、ペン先部103が収納状態かつペン先部113が突出状態となる状態(第2の状態)、又は、ペン先部103が収納状態かつペン先部113が収納状態となる状態(第3の状態)のいずれかの状態に切り替わる。
次に、書込み用電子ペン部104について具体的に説明する。書込み用電子ペン部104の先端は、プラスチックやステンレスなどの素材により形成されたペン先部103となっており、ユーザは、書込み用電子ペン部104のペン先部103を解答用紙5上に当接させて、ストローク(手書きストローク)を記入する。ここで、ペン先部103が解答用紙5に最初に接触することをペンダウンと呼び、接触している(当接している)状態からペン先部103が離れることをペンアップと呼ぶ。ペン先部103のペンダウンからペンアップまでの間に記入される軌跡が1つのストロークとなり、文字や図形等は、1つ又は複数個のストロークからなる。また、書込み用電子ペン部104の内部には、インクカートリッジが装填されている。これにより、書込み用電子ペン部104は、ボールペンとしても機能し、解答用紙5への書き込み後、記入内容が解答用紙5上でユーザに視認可能となる。
ここで、インクカートリッジとして用いられるインキは、摩擦熱(加熱)で消色するインキである。インキ中に配合される着色剤は、例えば、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物、及びこれらの呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた顔料である。
さらに、書込み用電子ペン部104には、圧力センサ107が設けられている。圧力センサ107は、ユーザがペン先部103を開口部102から突出させて、解答用紙5等に文字やマークを書いたりタップしたりする際にペン先部103から伝達される圧力、即ち筆圧を検出し、その値を後述するプロセッサ108へ伝送する。
次に、消去用電子ペン部114について説明する。消去用電子ペン部114の先端は、シリコンゴムやSEBS樹脂などの摩擦熱を発生させる素材により形成されたペン先部113となっている。そして、書込み用電子ペン部104により解答用紙5上に記入されたストロークのうち、消去したい箇所に消去用電子ペン部114のペン先部113を擦過させることで、当該箇所に対応するインキが消去される。
さらに、消去用電子ペン部114には、圧力センサ117が設けられている。圧力センサ117は、ユーザがペン先部113を開口部102から突出させて、解答用紙5等に文字やマークを書いたりタップしたりする際にペン先部113から伝達される圧力、即ち筆圧を検出し、その値を後述するプロセッサ108へ伝送する。
次に、基板100に載置される各要素について図7を参照して説明する。基板部100には、主に、LED105、CMOSカメラ106、CPU等により構成されるプロセッサ108、ROMやRAMといったメモリ109、リアルタイムクロック110、アンテナ等により構成される通信ユニット111、ノック検知部140が設けられている。
リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105及びCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切替える。即ち、ユーザが書込み用電子ペン部104のペン先部103を突出状態にして解答用紙5上に文字などを書くと、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、ユーザが記入を開始したと判定して、LED105及びCMOSカメラ106を作動させる。同様に、ユーザが消去用電子ペン部114のペン先部113を突出状態にして解答用紙5上に文字などを記入する(なぞる)と、ペン先部113に筆圧がかかり、圧力センサ117によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、ユーザが記入を開始したと判定して、LED105及びCMOSカメラ106を作動させる。そして、通信ユニット111が、圧力センサ117により検出されたペンダウン情報と、後述する電子ペン1の識別情報(以後、「ペンID」と呼ぶ。)とを関連付けて、記入情報として集約装置2へ送信する。また、ユーザが1つのストロークを記入し終えて書込み用電子ペン部104のペン先部103を解答用紙5から離すと、圧力センサ107は、所定値以上の筆圧が検出されなくなることでペンアップを検出する。同様に、ユーザが1つのストロークを記入し終えて消去用電子ペン部114のペン先部113を解答用紙5から離すと、圧力センサ117は、所定値以上の筆圧が検出されなくなることでペンアップを検出する。すると、通信ユニット111が、圧力センサ107又は圧力センサ117により検出されたペンアップ情報とペンIDとを関連付けて、記入情報として集約装置2へ送信する。
また、プロセッサ108は、ノック検知センサ140の検知信号に応じて、書込み用電子ペン部104のペン先部103と、消去用電子ペン部114のペン先部113とのいずれが突出状態であるか判定し、その判定結果を記入情報に付加する。言い換えると、プロセッサ108は、書込み用電子ペン部104による記入操作、又は、消去用電子ペン部114によるインキの消去操作のいずれに関する記入情報であるかの判定情報(単に、「判定情報Ij」とも呼ぶ。)を記入情報に付加する。
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103及びペン先部113付近に取り付けられており、ペン部側筐体101AにおけるLED105及びCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、解答用紙5上のペン先部103又はペン先部113近傍に向けて赤外線を照明する。その領域は、ペン先部103又はペン先部113が解答用紙5に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106には、赤外線を透過し赤外線以外を遮断する赤外線透過フィルタが設けられており、CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。ここで、解答用紙5のドットのインキ素材は、赤外線を吸収するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が比較的少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が比較的多い。CMOSカメラ106の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、ドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。なお、CMOSカメラ106による撮影領域は、図4(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ106の撮影は毎秒50〜100回程度の定間隔で行われる。また、CMOSカメラ106は、ドットを鮮明に撮影するため、十分な被写界深度を有している。
プロセッサ108は、ユーザの記入が行われる間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、ユーザが記入するストローク(筆跡)の解答用紙5におけるX、Y座標(以後、単に「座標データ」または「座標情報」とも呼ぶ。)を連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給される、図4(a)に示されるようなドットパターンの画像データを図4(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX、Y座標データを演算する。なお、プロセッサ108は、ドットパターンに対向する電子ペン1の角度に起因するドットの画像上における配列を補正する回転補正処理機能を備えており、座標演算に利用されている。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)、筆圧データ及びX、Y座標データを関連付ける。以後、これらの関連付けたデータを、まとめて「座標属性情報」と呼ぶ。なお、解答用紙5における6×6のドットパターンは、解答用紙5内でそれぞれ重複することはないため、ユーザが電子ペン1で文字等を記入すると、記入された位置が解答用紙5内のどの位置に当たるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。
メモリ109には、電子ペン1を識別するための「pen01」といったペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン等のプロパティ情報が記憶されている。そして、通信ユニット111は、ペンIDと、時刻情報(タイムスタンプ)と、筆圧データと、X、Y座標データとを関連付けて、記入情報として集約装置2へ送信する。通信ユニット111による集約装置2への送信は、Bluetooth(登録商標)などの無線送信によって、即時的かつ逐次的に行われる。ここで、電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に生成されて集約装置2に送信された1個又は複数個の座標属性情報は、集約装置2によりストローク情報として記憶される。換言すると、1つのストロークは、1個又は複数個のX、Y座標(座標点)からなり、集約装置2は、ペンダウン情報及びペンアップ情報によって、1つのストロークを構成する1個又は複数個の座標属性情報を認識する。
ノック検知部140は、ノック操作部129、139へのノック操作により消去用電子ペン部114のペン先部113が突出状態又は収納状態のいずれに遷移したかを検知する。例えば、ノック検知部140は、ペン先部113の状態を遷移させるノック操作が行われた場合、圧力センサ117の移動を検知することで、ペン先部113が突出状態又は収納状態のいずれに遷移したかを検知する。そして、ノック検知部140は、ペン先部113が突出状態であるか否かを示す検知信号(「ペン先状態検知信号Sd」とも呼ぶ。)をプロセッサ108へ伝送する。
そして、書込み用電子ペン部104及び基板100上のCMOSカメラ106、プロセッサ108、メモリ109、リアルタイムクロック110、通信ユニット111は、本発明の「書込み用電子ペン処理部」の一例であり、消去用電子ペン部114及び基板100上のCMOSカメラ106、プロセッサ108、メモリ109、リアルタイムクロック110、通信ユニット111は、本発明の「消去用電子ペン処理部」の一例である。
[転送装置]
図8を参照して転送装置3について説明する。図8に、転送装置3の機能ブロック図と集約装置2の機能ブロック図とを含む電子ペンシステム10のシステム構成図を示す。
図8に示すように、転送装置3は、転送受信手段31と転送送信手段32とを備える。転送受信手段31は、電子ペン1からBluetooth(登録商標)の無線通信方式で送信される記入情報等のデータを受信する手段である。転送送信手段32は、転送受信手段31によって受信した記入情報等のデータを集約装置2に送信する手段である。転送送信手段32による集約装置2へのデータの送信は、例えばLAN経由でTCP/IPの通信方式により行うと良い。
[集約装置]
続いて、集約装置2について説明する。図8に示すように、集約装置2は、範囲指定手段20、入力手段21、集約個別受信手段(受信手段)22、集約転送受信手段(受信手段)23、集約処理手段(処理手段)24、記憶手段25、表示手段26、及び送信手段27を備える。集約装置2は、ハードウェアとして、電子ペン1やプロジェクタ4とのデータ通信が可能な通信装置と、CPU等のプロセッサと、ROMやRAM、ハードディスクなどのメモリと、ディスプレイと、マウスやキーボード等で構成されているパーソナルコンピュータ等である。また、集約装置2は、集約処理手段24による描画アプリケーション(プログラム)の実行により、電子ペン1から受信した記入情報を処理して、表示手段26に記入内容を再現する。
集約個別受信手段22は、電子ペン1から送信された記入情報等のデータを受信する手段である。集約転送受信手段23は、転送装置3から転送された記入情報等のデータを受信する手段である。集約個別受信手段22及び集約転送受信手段23は、アンテナや受信回路等により構成される。
範囲指定手段20は、マウス等のポインティング・デバイスとその操作を検知する手段によって構成され、マウスによって、表示手段26の画面におけるボタンのクリック操作や任意の位置・大きさの長方形状の画面範囲を指定するドラッグ操作が可能である。入力手段21は、処理や表示の種別を含む処理態様を指示する手段であり、キーボードやマウスとその操作を検知する手段によって構成される。このように、マウスは、その操作によって範囲指定手段20と入力手段21とを兼ねる。送信手段27は、表示手段26に表示される内容と同じ内容をプロジェクタ4からスクリーン6へ投影表示させるため、表示手段26への表示信号を同期してプロジェクタ4へ送信する手段である。
集約処理手段24は、電子ペン1からのデータを集約して処理する手段であり、アプリケーションプログラムの実行により機能を発揮するCPU等のプロセッサによって構成されている。集約処理手段24は、表示制御手段240と、記憶制御手段241とを備える。集約処理手段24の記憶制御手段241は、電子ペン1から記入情報を受信すると、記入情報に含まれる判定情報Ijに基づき、当該記入情報が、書込み用電子ペン部104のペン先部103が突出状態の時に生成された記入情報(「書込み用記入情報」とも呼ぶ。)、又は、消去用電子ペン部114のペン先部113が突出状態の時に生成された記入情報(「消去用記入情報」とも呼ぶ。)のいずれであるか判定する。そして、受信した記入情報が書込み用記入情報である場合には、集約処理手段24の記憶制御手段241は、ペンIDごとに当該書込み用記入情報をユーザストローク情報として記憶手段25に記憶させる。ユーザストローク情報は、電子ペン1が演算した位置座標(XY座標)情報、記入された時の時刻情報、及び筆圧情報が含まれる。ユーザストローク情報は、本発明における「ストローク情報」の一例である。
一方、受信した記入情報が消去用記入情報である場合には、集約処理手段24の記憶制御手段241は、消去用記入情報に含まれる位置座標情報に基づき、消去対象となるストロークを構成するユーザストローク情報を特定する。そして、記憶制御手段241は、特定したユーザストローク情報に対し、消去対象である旨の情報及び記入された時の時刻情報を含む消去情報を関連付けて記憶手段25に記憶させる。即ち、集約処理手段24は、消去対象となるストロークを構成するユーザストローク情報を消去用記入情報に基づき特定した場合、当該ユーザストローク情報を記憶手段25から消去する処理を行う代わりに、消去用記入情報に基づき消去情報を生成し、特定したユーザストローク情報に当該消去情報を関連付けて記憶手段25に記憶させる。
ここで、消去用記入情報に基づき消去対象となるストロークを特定する方法の一例について説明する。例えば、集約処理手段24は、消去用記入情報を受信した場合、当該消去用記入情報の位置座標情報から特定されるストローク(「消去用ストローク」とも呼ぶ。)と、記憶手段25に記憶されたユーザストローク情報の位置座標情報から特定される各ストローク(「書込み用ストローク」とも呼ぶ。)とがX,Y座標上で交わる点(交点)を演算する。そして、集約処理手段24は、当該交点の数が所定個数以上存在する書込みストロークに対応するユーザストローク情報に対して、消去情報を付加する。他の例では、集約処理手段24は、書込み用ストロークを構成する位置座標情報のうち、上述の交点から所定距離以内の位置を示す位置座標情報が所定の割合(例えば8割)以上存在する場合には、当該書込みストロークに対応するユーザストローク情報に対して消去情報を付加する。
また、集約処理手段24の表示制御手段240は、ペンIDごとに関連付けられた書込み用記入情報を筆跡として再現した画像(「ストローク画像」とも呼ぶ。)を各解答欄501又は記入欄502ごとに生成し、表示手段26に表示させる。より詳しくは、集約処理手段24の表示制御手段240は、解答用紙5についての記入情報を含む学習データに基づいて、記入内容とともにペンIDに対応するユーザIDに対応するユーザ名等を表示した描画アプリケーションに基づくウィンドウ(「描画アプリケーションウィンドウ」とも呼ぶ。)を表示手段26に表示させる。描画アプリケーションウィンドウについては、[描画アプリケーションによる画面表示]のセクションで詳しく説明する。表示手段26上の描画アプリケーションウィンドウには、電子ペン1による記入内容とユーザ名とが表示されるため、操作者である講師「花子」は、受講者(記入者)とその者による記入内容とを合わせて認識することができる。
また、集約処理手段24の表示制御手段240は、解答用紙5についての記入情報を含む学習データに基づいて、表示手段26に記入内容を表示させるとともに電子ペンIDに対応するユーザIDに対応するユーザ名を表示させる。表示手段26に電子ペン1による記入内容とユーザ名とが表示されるため、操作者である講師「花子」は、受講者(記入者)とその者による記入内容とを合わせて認識することができる。また、集約処理手段24の表示制御手段240は、表示手段26と同じ内容を同期させて、プロジェクタ4からスクリーン6へ投影表示させるため、表示手段26に対する表示信号と同じ信号を送信手段27に対してプロジェクタ4へ向けて送信させる。すると、各受講者も、プロジェクタ4からスクリーン6へ投影表示された記入内容とその記入者とを合わせて認識することができる。
記憶手段25は、ROMやRAM、ハードディスクなどのメモリによって構成され、解答用紙5における各ユーザエリアと位置座標とを関連付けて記憶する。また、図9に示すように、記憶手段25は、電子ペン1が保持する固有のペンIDに対して、ユーザIDとユーザ名とをユーザ定義情報として関連付けて記憶する。図9において、例えば、ペンID「pen01」には、ユーザID「U01」とユーザ名「太郎」とが予め関連付けられて記憶されている。さらに、記憶手段25は、各電子ペン1によって送信されてきた記入情報を、ペンIDごとに記憶する。
記憶手段25には、記入情報およびユーザ定義情報に基づいて、集約処理手段24による描画アプリケーション(プログラム)の実行により、ファイル形式で学習データが保存される。図10は、データのファイル形式の概略的な構造を示している。図10に示すように、学習データは、ファイル属性情報と、ユーザID別の個人学習データとを有する。ファイル属性情報には、作成日時情報が含まれている。また、個人学習データには、ユーザIDと、電子ペン1から送信された書込み用記入情報の位置座標情報等を含むユーザストローク情報と、ユーザストローク情報に適宜関連付けて記憶される消去情報と、解答内容等に応じてカテゴライズのために操作者によって設定されるユーザ色(分類)情報やキーワード情報等が含まれている。ユーザIDは、集約処理手段24により、記入情報に含まれるペンIDに基づいて、記憶手段25に予め記憶されたユーザ定義情報を参照することで特定され、書込み用記入情報に基づくユーザストローク情報と対応付けられる。ファイルデータを読み込む際には、操作者が、入力手段21によって、ユーザID、ユーザ色情報、キーワード情報などを所定の入力エリアに入力することで、集約処理手段24によって特定のデータを検索させ、ユーザストローク情報に基づくストロークを表示手段26に再現させることができる。
[描画アプリケーションによる画面表示]
次に、描画アプリケーションの実行による集約処理手段24の表示手段26への表示処理について図11を参照しつつ説明する。図11は、表示手段26の表示画面に表示された描画アプリケーションに基づくウィンドウ(「描画アプリケーションウィンドウ」とも呼ぶ。)の一例を示す。
図11に示すように、電子ペン1で解答用紙5に記入された際に生成された記入情報に基づいて、集約装置2で記憶手段25に個別学習データとして記憶したユーザストローク情報は、集約処理手段24の表示制御手段240によって、表示手段26のユーザストローク情報表示領域50に描画される。描画するユーザストローク情報が、拡大表示などでユーザストローク情報表示領域50よりも大きい場合、集約処理手段24の表示制御手段240は、横スクロールバー51及び縦スクロールバー52を有効とし、利用者のマウス操作によってユーザストローク情報表示領域50をスクロールして、ユーザストローク情報全体を複数回に分けて表示できるようにする。
また、集約処理手段24は、描画アプリケーションウィンドウ上部に、機能ボタンとして、選択ユーザ表示ボタン53、比較一覧表示ボタン54、再生表示ボタン56、選択画像出力ボタン57、表示サイズ変更リスト58、縮小表示ボタン59、拡大表示ボタン60、ページ送りボタン61,62、回転表示ボタン63,64、ユーザコントロール表示ボタン65、及び表示切替ボタン66などを表示し、マウスによる機能ボタンの選択により、それぞれの処理を実行する。
選択ユーザ表示ボタン53は、後述するユーザ選択リスト69から選択した1つのユーザ名に対応するユーザストローク情報及び消去情報に基づくストローク画像を表示するためのボタンである。以後、選択ユーザ表示ボタン53が選択された際の描画アプリケーションウィンドウの表示を「選択ユーザ表示」と呼ぶ。比較一覧表示ボタン54は、複数のユーザ名に対応するユーザストローク情報を同時に並べて一覧表示するためのボタンである。以後、比較一覧表示ボタン54が選択された際の描画アプリケーションウィンドウの表示を「比較一覧表示」と呼ぶ。再生表示ボタン56は、ユーザストローク情報を1ストロークずつ再生表示するためのボタンである。選択画像出力ボタン57は、任意選択範囲がある場合にその範囲内のユーザストローク情報に基づくストロークを、画像データとして出力するためのボタンである。この機能を設けることで、各受講生の記入情報から、参考となる模範解答集などを容易に作成できるようになる。
表示サイズ変更リスト58は、現在、ユーザストローク情報表示領域50に描画するユーザストローク情報の表示サイズを示すリストである。また、ユーザがマウスを用いてプルダウンメニューの中から表示サイズを任意に選択し、変更できる。縮小表示ボタン59は、ユーザストローク情報表示領域50に描画するユーザストローク情報の表示サイズを、現在設定されている表示サイズから所定の割合で縮小する機能である。拡大表示ボタン60は、ユーザストローク情報表示領域50に描画するユーザストローク情報の表示サイズを、現在設定されている表示サイズから所定の割合で拡大する機能である。ページ送りボタン61,62は、解答用紙5のセットが複数枚に及ぶ場合に、異なるページアドレス(用紙ドットパターン)の解答用紙5を表示するためのボタンである。回転表示ボタン63,64は、ユーザストローク情報表示領域50に描画するユーザストローク情報を90度ずつ回転させるためのボタンである。このような機能を設けることで、表示上の用紙向きを簡単に変更できる。ユーザコントロール表示ボタン65は、ユーザコントロールリスト68の表示・非表示を切り替える機能である。非表示にすることで、ユーザストローク情報表示領域50を拡大できる。
図11に示すように、ユーザコントロールリスト68には、ユーザ選択リスト69、色分類ボタン71〜76、名簿順ソートボタン78、色順ソートボタン79、分類グラフ表示ボタン81、リロードボタン82などが表示される。
ユーザ選択リスト69は、ユーザストローク情報表示領域50に表示するユーザストローク情報を、ユーザ名で選択するためのリストである。ユーザ選択リスト69は、ユーザ色(分類)情報表示欄691と、ユーザ名表示欄692と、キーワード表示欄693とを備える。集約処理手段24は、電子ペン1から取得して個別学習データとして記憶手段25に記憶したユーザストローク情報ごとに関連付けられているユーザIDに対応するユーザ名をユーザ名表示欄692に表示し、色分類ボタン71〜76によって選択されたユーザ色(分類)情報をユーザ色(分類)情報表示欄691に表示し、キーワード等の各ユーザの情報をキーワード表示欄693に表示する。ユーザ選択リスト69のユーザ名表示欄692には、集約処理手段24により、記憶手段25に記憶した個別学習データのユーザIDに対応するユーザ名が表示される。
そして、操作者がマウスによって、ユーザ選択リスト69から所望のユーザを選択したうえで選択ユーザ表示ボタン53をクリックすると、集約処理手段24の表示制御手段240は、選択されたユーザのストローク情報を解答用紙5の画像とともに、ユーザストローク情報表示領域50に表示させる。なお、集約装置2の操作者は、ユーザ選択リスト69のキーワードの欄に、入力手段21のキーボードを用いて直接文字を入力することができ、集約処理手段24は、入力された文字を個人学習データファイルのキーワード情報として記憶手段25におけるユーザID別の格納領域に記憶させる(参照図10)。
色分類ボタン71〜76は、ユーザ選択リスト69に表示されているユーザごとにユーザ色(分類)情報を設定するためのボタンである。ボタン71は赤色に、ボタン72は青色に、ボタン73は黄色に、ボタン74は緑色に、ボタン75は茶色に、ボタン76は白色にユーザ色(分類)情報を設定するためのボタンである。集約装置2の操作者は、マウスによって、ユーザ選択リスト69内の特定のユーザ名を選択し、色分類ボタン71〜76のうち所望のボタンを選択すると、集約処理手段24は、ユーザ選択リスト69内の選択されたユーザ名のユーザ色(分類)情報表示欄691を指定された色で表示する。この機能により、操作者である講師が、ユーザストローク情報表示領域50に表示される受講者の解答内容を見て、その考え方などをカテゴリー分けして色をつけ、見易くすることができる。なお、ユーザ色(分類)情報は、未設定時は、白色に設定しておくとよい。
名簿順ソートボタン78は、ユーザ選択リスト69に表示されているユーザ一覧を、名簿番号順に並べ替えるためのボタンである。本第実施形態では、図9に示すユーザID順を名簿番号順としている。色順ソートボタン79は、ユーザ選択リスト69に表示されているユーザ一覧を、色分類ボタン71〜76の操作によって付された色情報が同じユーザ同士を連続して配列されるように、ユーザ色情報順に並べ替えるためのボタンである。分類グラフ表示ボタン81は、色分類ボタン71〜76の操作によって付されたユーザ色情報別のユーザ数を、ユーザストローク情報表示領域50に棒グラフ等で表示するためのボタンである。
リロードボタン82は、ユーザ選択リスト69において選択されているユーザのユーザストローク情報を、学習データファイル保存時の状態まで戻すためのボタンである。この機能により、操作者である講師が、リロードボタン82をマウスで選択すると、集約処理手段24は、選択されているユーザに関連付けられているユーザIDに基づいて、前回のファイル保存以降に電子ペン1より受信して記憶手段25のユーザID別の格納領域に記憶したユーザストローク情報をクリアして、前回ファイル保存した時点までのユーザストローク情報を読み出し、ユーザストローク情報表示領域50に表示する。この機能により、個々のユーザが解答をやり直したい場合などに対応できる。
また、図12に示すように、ファイルデータの保存やアプリケーションの設定などは、一般的なアプリケーションと同様に、機能メニューとして用意しておくと良い。図12(A)に示すように、ファイルメニュー90のプルダウンメニューとして、ファイルデータの読み込み・保存を実行するメニュー90A、90B、画像形式で保存するメニュー90C、90D、書換えの遷移がわかるようにストローク画像の遷移を表示する書換え遷移モードメニュー90E、アプリケーションの終了を実行するメニュー90Fなど、アプリケーションの全般的な管理に関する実行機能を一覧で用意しておくと便利である。ここで、書込み遷移モードメニュー90Eが選択された場合、集約処理手段24の表示制御手段240は、書換えの遷移がわかるように、ユーザストローク情報及び消去情報に基づいて、各解答欄501又は記入欄502に記入された筆跡に対応するストローク画像の遷移を時系列に並べて表示する。以後、書換え遷移モードメニュー90Eが選択された際の描画アプリケーションウィンドウの表示を、「書換え遷移表示」とも呼ぶ。書換え遷移表示の具体的な内容については、[書換え遷移表示機能]のセクションで詳しく説明する。
また、ファイルデータの保存に関するファイル形式を、ユーザ別のユーザストローク情報と設定情報を関連付けた構造としているので、ファイルデータを読み込む際、ユーザIDやユーザ色情報などから特定のデータを検索し、検索されたユーザストローク情報をユーザストローク情報表示領域50に表示することができる。
表示メニュー91のプルダウンメニューとして、ウィンドウ枠を隠しアプリケーションの表示領域を最大限拡大する全画面表示メニュー91Aやプロジェクタ4によるスクリーン6への描画アプリケーションウィンドウの表示及び非表示を設定するためのプロジェクタ投影/非投影メニュー91Bなど、アプリケーションの表示に関する実行機能を一覧で用意しておくと便利である。ここで、プロジェクタ投影/非投影メニュー91Bが選択された場合、さらに描画アプリケーションウィンドウの全体をプロジェクタ4によりスクリーン6へ投影させるための全投影メニュー91Ba、描画アプリケーションウィンドウの全体をスクリーン6に投影させないためのウィンドウ全体非投影メニュー91Bb、及びユーザストローク情報表示領域50内の表示のみをスクリーン6に投影させないためのユーザストローク情報表示領域非投影メニュー91Bcが表示される。これにより、例えば、集約装置2の操作者である講師「花子」は、書換え遷移モードメニュー90Eを選択して書換え遷移表示を行う際、ウィンドウ全体非投影メニュー91Bb又はユーザストローク情報表示領域非投影メニュー91Bcを選択することで、書換え遷移表示の内容をスクリーン6に投影させることなく集約装置2の画面上で確認することができる。
またツールメニュー92のプルダウンメニューとして、電子ペン1の接続経由状況(例えば転送装置3のIPアドレスなど)を表示するペン管理メニュー、ユーザストローク情報を表示する背景となる解答用紙5の画像を設定する用紙管理メニュー、アプリケーションのバージョンやプロパティ情報などを表示するメニューなど、アプリケーションの設定に関する実行機能を一覧で用意しておくと便利である。これらのボタンやメニューが選択されると、集約処理手段24により各機能が実行される。
[書換え遷移表示機能]
次に、書換え遷移表示について、解答用紙5Aの解答欄501に記入がなされた場合と、解答用紙5Bの記入欄502に記入がなされた場合とを例にして、図13〜図15を参照しそれぞれ説明する。
(1)解答用紙5Aの解答欄501に記入がなされた場合
図13(A)は、あるユーザ(ここでは「四郎」とする。)が解答用紙5Aの解答欄501A(図2(A)参照)に解答を記入した場合の当該解答欄501Aの記入内容を再現した記入内容の遷移及びこれらの記入内容に対応する仮想的な時間軸を示す。なお、図13(A)中の「書込みモード」とは、書込み用電子ペン部104のペン先部103を突出状態にしてユーザが解答用紙5へ書込みを行っている状態、言い換えると、書込み用記入情報を集約装置2が受信している状態を示し、「消去モード」とは、消去用電子ペン部114のペン先部113を突出状態にしてユーザが解答用紙5上のインキを消去している状態、言い換えると、消去用記入情報を集約装置2が受信している状態を示す。また、図13(A)の時刻「t1」は、解答欄501Aに関する書込み用記入情報が初めて生成された時刻(「記入開始時刻」とも呼ぶ。)を示し、時刻「t6」は、解答欄501Aに関する書込み用記入情報又は消去用記入情報を集約装置2が最後に受信した後の任意の時刻(「記入終了時刻」とも呼ぶ。)を示す。
図13(A)に示す例では、ユーザ「太郎」に配布された解答用紙5Aの解答欄501Aに一旦「異議」と記入された後、「意義」に書換えられている。具体的には、まず、解答欄501Aでは、書込み用電子ペン部104により、記入開始時刻t1から時刻「t2」までの間に「異議」と記入される。次に、時刻t2から時刻「t3」までの間に、解答欄501A内の「異」の文字が消去用電子ペン部114により消去され、時刻t3から時刻「t4」までの間に、「異」が記載されていた場所に「意」の文字が書込み用電子ペン部104により記入される。さらに、時刻t4から時刻「t5」までの間に、解答欄501A内の「議」の文字が消去用電子ペン部114により消去され、時刻t5から記入終了時刻t6までの間に、「議」が記載されていた場所に「義」の文字が書込み用電子ペン部104により記入される。
そして、図13(A)に示す例では、記入開始時刻t1から記入終了時刻t6までの間に、集約装置2は、電子ペン1から、解答欄501Aに関する書込み用記入情報と消去用記入情報とを交互に受信する。具体的には、集約装置2は、記入開始時刻t1から時刻t2までの間に、「異議」を構成するストロークに関する書込み用記入情報を電子ペン1から受信する。次に、時刻t2において、電子ペン1から集約装置2に送信される記入情報が書込み用記入情報から消去用記入情報に切り替わり、集約装置2は、時刻t2から時刻t3までの間に、「異」を構成する各ストロークを消去対象に指定する消去用記入情報を電子ペン1から受信する。さらに、時刻t3において、電子ペン1から集約装置2に送信される記入情報が消去用記入情報から書込み用記入情報に切り替わり、集約装置2は、時刻t3から時刻t4までの間に、「意」を構成するストロークに関する書込み用記入情報を電子ペン1から受信する。その後、時刻t4において、電子ペン1から集約装置2に送信される記入情報が書込み用記入情報から消去用記入情報に切り替わり、集約装置2は、時刻t4から時刻t5までの間に、「議」を構成する各ストロークを消去対象に指定する消去用記入情報を受信する。そして、時刻t5において、電子ペン1から集約装置2に送信される記入情報が消去用記入情報から書込み用記入情報に切り替わり、集約装置2は、時刻t5から記入終了時刻t6までの間に、「義」を構成するストロークに関する書込み用記入情報を受信する。
図14は、電子ペン1による当該解答欄501Aへの書込みが終了した記入終了時刻t6での選択ユーザ表示ボタン53及び書換え遷移モードメニュー90Eが選択された場合の描画アプリケーションウィンドウの表示を示す。図14では、操作者によって選択された受講者(図14に示す例では「四郎」)に対応するユーザ選択リスト69の番号が、赤色などの枠99により囲まれて強調表示されると共に、当該受講者による解答欄501Aへの所定の各時点での記入内容を再現したストローク画像201Aa〜201Acがユーザストローク情報表示領域50上に並べて表示されている。なお、図14では、表現の便宜上、取消し線付き文字(ストローク画像201Aaの「異議」及びストローク画像201Abの「議」)は青色により表示され、下線文字(ストローク画像201Abの「意」及びストローク画像201Acの「意義」)は赤色により表示されているものとする。また、ここでは、ツールメニュー92等により、解答欄501Aを再現したストローク画像を表示すべき旨の指定があったものとする。
図14に示すように、この場合、ユーザストローク情報表示領域50には書込みモードから消去モードに切り替わる時刻t2及び時刻t4でのストローク画像201Aa、201Abと、最後に解答欄501Aに関する記入情報を受信した後の記入終了時刻t6でのストローク画像201Acとが時系列に並べて表示されている。また、各ストローク画像201Aa〜201Acの間には、時系列の遷移方向を示す矢印「Y1」、「Y2」がそれぞれ表示されている。これにより、集約装置2の操作者「花子」は、ユーザ「太郎」の解答欄501Aに関する記入内容の遷移を、容易に把握することができる。
さらに、集約処理手段24の表示制御手段240は、各ストローク画像201Aa〜201Acの文字を構成する各ストロークのうち、消去モード時に消去対象となったストローク(「消去ストロークSe」とも呼ぶ。)を「青色」により表示し、消去モードから書込みモードへ切り替え以降(即ち時刻t3以降)に記入され、消去されずに記入終了時刻t6まで残っていたストローク(「書換えストロークSr」とも呼ぶ。)を「赤色」により表示する。このように、表示制御手段240が消去ストロークSeと書換えストロークSrとをそれぞれ特定の色に着色することで、集約装置2の操作者「花子」は、ユーザ「太郎」の解答欄501Aに関する記入内容のうち、消去した文字や書換えた文字を容易に把握することができる。
なお、集約装置2の操作者「花子」は、表示メニュー91からウィンドウ全体非投影メニュー91Bb又はユーザストローク情報表示領域非投影メニュー91Bcのいずれかを選択することで、スクリーン6上では書換え遷移表示を非表示にすることができる。
(2)解答用紙5Bの記入欄502Aに記入がなされた場合
図13(B)は、ユーザ「四郎」が解答用紙5Bの記入欄502A(図2(B)参照)に解答を記入した場合の当該記入欄502Aの記入内容を再現した記入内容の遷移及びこれらの記入内容に対応する仮想的な時間軸を示す。図13(B)の時刻「t11」は、記入欄502Aに関する書込み用記入情報が初めて生成された記入開始時刻を示し、時刻「t14」は、記入欄502Aに関する書込み用記入情報又は消去用記入情報を集約装置2が最後に受信した後の記入終了時刻を示す。
図13(B)に示す例では、ユーザ「太郎」に配布された解答用紙5Bの記入欄502Aでは、文章が記入された後、その一部の記載が消去されて書換えが行われている。具体的には、まず、書込み用電子ペン部104により、記入開始時刻t11から時刻t12までの間に、「他の都市もゴミ分別しているからといっても、コストがかかるようだと、税金がもったいない。」と記入欄502Aに記入される。次に、時刻t12から時刻t13までの間に、「いるからといっても、コストがかかるようだと、税金がもったいない。」の記載が消去用電子ペン部114により記入欄502Aから消去され、代わりに、時刻t13から記入終了時刻t14までの間に、「この市でもゴミ分別して同じ分類のゴミを合わせてリサイクルすれば効果的!」と書込み用電子ペン部104により記入されている。
また、図13(B)に示す例では、記入開始時刻t11から記入終了時刻t14までの間に、集約装置2は、電子ペン1から、記入欄502Aに関する書込み用記入情報と消去用記入情報とを交互に受信する。具体的には、集約装置2は、記入開始時刻t11から時刻t12までの間に、「他の都市もゴミ分別しているからといっても、コストがかかるようだと、税金がもったいない。」を構成するストロークに関する書込み用記入情報を電子ペン1から受信する。次に、時刻t12において、電子ペン1から集約装置2に送信される記入情報が書込み用記入情報から消去用記入情報に切り替わり、集約装置2は、時刻t12から時刻t13までの間に、「いるからといっても、コストがかかるようだと、税金がもったいない。」を構成する各ストロークを消去対象とする消去用記入情報を電子ペン1から受信する。さらに、時刻t13において、電子ペン1から集約装置2に送信される記入情報が消去用記入情報から書込み用記入情報に切り替わり、集約装置2は、時刻t13から記入終了時刻t14までの間に、「この市でもゴミ分別して同じ分類のゴミを合わせてリサイクルすれば効果的!」を構成するストロークに関する書込み用記入情報を電子ペン1から受信する。
図15は、電子ペン1による記入欄502Aへの書込みが終了した記入終了時刻t14において、ファイルメニュー90の書換え遷移モードメニュー90Eが選択された際の描画アプリケーションウィンドウの表示を示す。図15では、操作者によって選択された受講者(図15に示す例では「四郎」)に対応するユーザ選択リスト69の番号が、赤色などの枠99により囲まれて強調表示されると共に、当該受講者による記入欄502Aへの所定の各時点での記入内容を再現したストローク画像202Aa、202Abがユーザストローク情報表示領域50上に並べて表示されている。なお、図15では、図14と同様に、表現の便宜上、取消し線付き文字は青色により表示され、下線文字は赤色により表示されているものとする。また、ここでは、ツールメニュー92等により、記入欄502Aを再現したストローク画像を表示すべき旨の指定があったものとする。
図15に示すように、この場合、ユーザストローク情報表示領域50には、書込みモードから消去モードに切り替わる時刻t12でのストローク画像202Aaと、記入終了時刻t14でのストローク画像202Abとが時系列に並べて表示されている。また、ストローク画像202Aa、202Abの間には、遷移する方向を示す矢印「Y3」が表示されている。これにより、集約装置2の操作者「花子」は、ユーザ「太郎」の記入欄502Aに関する記入内容の遷移を、容易に把握することができる。
さらに、表示制御手段240は、各ストローク画像202Aa、202Abの文字を構成する各ストロークのうち、消去ストロークSeを「青色」により表示し、書換えストロークSrを「赤色」により表示し、それ以外のストローク(「修正なしストロークSn」とも呼ぶ。)を通常の色(ここでは「黒色」とする)により表示する。このようにすることで、集約装置2の操作者「花子」は、ユーザ「太郎」の記入欄502Aに関する記入内容のうち、消去した文字や書換えた文字を容易に把握することができる。
(3)応用例
次に、(1)、(2)で説明した書換え遷移表示の応用例について補足説明する。
図14、図15に示すように、選択ユーザ表示かつ書換え遷移表示がなされていた場合において、複数の受講者に対応するユーザ選択リスト69が操作者によって選択されたときには、集約処理手段24の表示制御手段240は、選択されたユーザの各々に対応する解答欄501又は記入欄502を再現した時系列のストローク画像をそれぞれ並べてユーザストローク情報表示領域50に表示させる。
また、一人の受講者に対応するユーザ選択リスト69が操作者によって選択されていた場合であっても、当該受講者が複数の解答欄501又は記入欄502に解答を記入していた場合には、集約処理手段24の表示制御手段240は、これらの解答欄501又は記入欄502を再現した時系列のストローク画像をそれぞれ並べてユーザストローク情報表示領域50に表示させる。また、この場合には、表示制御手段240は、ストローク画像の遷移を表示させる解答欄501又は記入欄502を操作者が選択できるように、例えばツールメニュー92のプルダウンメニューに解答欄501又は記入欄502を選択するための専用のメニューを設けてもよい。
また、比較一覧表示ボタン54及び書換え遷移モードメニュー90Eが選択された場合には、表示制御手段240は、全ての受講者に対応する解答欄501又は記入欄502を再現したストローク画像の遷移を並べてユーザストローク情報表示領域50に表示させる。
なお、これらの場合において、集約処理手段24は、ユーザストローク情報表示領域50内に全てのストローク画像の全体が表示できないときには、横スクロールバー51及び縦スクロールバー52を適宜有効とし、利用者のマウス操作によってユーザストローク情報表示領域50をスクロールして、表示すべきストローク画像の全体を複数回に分けて表示できるようにする。
[本実施形態のシステムによる作用効果]
本実施形態の電子ペンシステムによれば、集約装置2は、書込み用電子ペン部104の使用時に生成される書込み用記入情報に基づきユーザストローク情報を記憶手段25に記憶し、かつ、消去用電子ペン部114の使用時に生成される消去用記入情報に基づき消去情報を生成し、対応するユーザストローク情報に関連付けて記憶手段25に記憶する。そして、集約装置2は、記憶手段25に記憶されたユーザストローク情報及び消去情報に基づき、所定の各時点での手書きストロークを再現したストローク画像を時系列に並べて表示手段26に表示する。これにより、集約装置2は、書換えの遷移を操作者が容易に把握できるように、記入内容の遷移を時系列に並べて表示することができる。
また、集約装置2は、書換え遷移表示では、書込みモードから消去モードに切り替わる時点での手書きストロークを再現したストローク画像と、記入終了時刻での手書きストロークを再現したストローク画像とを並べて表示する。これにより、集約装置2は、書換え前後の記入内容を操作者に把握させることができる。
さらに、集約装置2は、書換え遷移表示では、消去ストロークSeと、書換えストロークSrと、修正なしストロークSnとをそれぞれ別の色により表示する。これにより、集約装置2は、消去した部分や書き換えた部分を操作者に容易に把握させることができる。
また、集約装置2は、描画アプリケーションウィンドウにプロジェクタ投影/非投影メニュー91Bを設けている。これにより、書換え遷移表示時において、操作者は、受講者が閲覧するスクリーン6上では非表示にしつつ、集約装置2の表示手段26上でのみ記入内容の遷移を表示させることができる。
[変形例]
次に、本実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施形態に適用してもよい。
(変形例1)
図14及び図15に示す書換え遷移表示では、集約処理手段24は、書込みモードから消去モードに切り替わる際のストローク画像及び記入終了時刻でのストローク画像を時系列に並べてユーザストローク情報表示領域50に表示した。しかし、本発明が適用可能な書換え遷移表示の態様はこれに限定されない。これに加えて、集約処理手段24は、消去モードから書込みモードへ切り替わる際のストローク画像についてもユーザストローク情報表示領域50に並べて表示してもよい。これについて、図16及び図17を参照して説明する。
図16は、解答欄501Aに図13(A)に示すような書換えの遷移があった場合に、選択ユーザ表示ボタン53及び書換え遷移モードメニュー90Eが選択された際の変形例に係る描画アプリケーションウィンドウを示す。図16に示すように、ユーザストローク情報表示領域50には、図13(A)の書込みモードと消去モードとの切り替え時である時刻t2〜t5でのストローク画像203Aa〜203Adと、記入終了時刻t6でのストローク画像203Aeとが時系列に並べて表示されている。また、図14と同様に、消去ストロークSeは「青色」(取消し線付き文字)により表示され、消去モードから書込みモードへ切り替え以降に記入され、消去されずに記入終了時刻t6(現時刻)まで残っていた書換えストロークSrは「赤色」(下線文字)により表示されている。
図17は、記入欄502Aに図13(B)に示すような書換えの遷移があった場合に、選択ユーザ表示ボタン53及び書換え遷移モードメニュー90Eが選択された際の変形例に係る描画アプリケーションウィンドウを示す。図17に示すように、ユーザストローク情報表示領域50には、図13(B)の書込みモードと消去モードとの切り替え時である時刻t12、t13でのストローク画像204Aa、204Abと、記入終了時刻t14でのストローク画像204Acとが時系列に並べて表示されている。また、図17では、消去ストロークSeは「青色」(取消し線付き文字)により表示され、書換えストロークSrは「赤色」(下線文字)により表示されて、修正なしストロークSnは「黒色」により表示されている。また、図17では、ストローク画像204Aa〜204Acは、ユーザストローク情報表示領域50に全体が表示されるように、図16等と異なり、縦並びにして表示されている。
これらの表示態様であっても、好適に、集約装置2の操作者「花子」は、特定のユーザの解答欄501Aに関する記入内容の遷移を容易に把握することができる。また、集約装置2の操作者「花子」は、表示メニュー91からウィンドウ全体非投影メニュー91Bb又はユーザストローク情報表示領域非投影メニュー91Bcのいずれかを選択することで、本実施形態と同様、スクリーン6では書換え遷移表示を非表示にしつつ、集約装置2の画面上で記入内容の遷移を把握することができる。
なお、表示制御手段240は、本変形例1(図16、図17参照)による表示と、本実施形態(図14、図15参照)による表示とのいずれを書換え遷移表示とするかを指定するためのメニューを表示メニュー91のプルダウンメニューに表示し、いずれを表示するか操作者に選択させてもよい。
(変形例2)
電子ペン1は、書込み用の書込み用電子ペン部104と、消去用の消去用電子ペン部114とを備える複合式のペンであった。これに代えて、電子ペンシステムは、書込み用の電子ペンとは別体の消去用の電子ペンを備えてもよい。この場合の書込み用の電子ペンは、書込み用電子ペン部104に加え、圧力センサ、LED、CMOSカメラ、プロセッサ等を備え、消去用の電子ペンは、消去用電子ペン部114に加え、圧力センサ、LED、CMOSカメラ、及びプロセッサ等を備える。
また、後述する変形例3等のように、解答用紙5に代えてドットパターンが付されたスクリーン6上又はボード上に電子ペン1の書込みが行われる場合には、電子ペンシステムは、上述の消去用の電子ペンに代えて、電子イレイサーを備えてもよい。この場合、電子イレイサーは、使用する表面の圧力を検知する圧力センサが内蔵された直方体状のイレイサーと、圧力センサにより圧力を検知した場合にイレイサーの位置に関するドットパターンを読み取る光感性検出器と、読み取ったドットパターンに関する消去用記入情報を集約装置2へ送信するための通信手段とを備える。
なお、書込み用の電子ペンと消去用の電子ペンとを別体とした場合、これらが同時に操作された際に、書込み用記入情報と消去用記入情報とが同時に生成される可能性がある。この場合、集約装置2は、書込みモードと消去モードとが明確に区別できず、図14〜図16に示すような書換え遷移表示を好適に実行することができない可能性がある。この場合については、集約装置2は、後述する変形例4に基づく表示を行うとよい。
(変形例3)
電子ペン1により書き込む対象は、ドットパターンが表面に付されたスクリーン6であってもよい。このとき、電子ペン1の書込み用電子ペン部104は、インクカートリッジが充填されていなくともよい。この場合であっても、スクリーン6上に書込み用電子ペン部104によりストロークが描かれた場合には、当該ストロークに関する書込み用記入情報を集約装置2が受信し、集約装置2の表示制御手段240は、表示手段26上に当該ストロークを描画すると共に、表示手段26の表示に相当する画像信号をプロジェクタ4に送信し、スクリーン6上に上述のストロークを投影表示させる。
(変形例4)
書換え遷移モードメニュー90Eが選択された場合、集約装置2は、図14〜図17に示すように、ストローク画像の遷移を時系列に並べてユーザストローク情報表示領域50に表示した。これに代えて、集約装置2は、各解答欄501又は記入欄502に対し一つのストローク画像のみを表示し、かつ、書換えの前後の表示が色により識別できるように表示してもよい。これについて図18を参照して説明する。
図18(A)は、書換え遷移モードメニュー90Eが選択されていない場合に、ユーザストローク情報表示領域50上に表示された、あるユーザの解答用紙5Bの記入欄502Aを再現したストローク画像205Aaを示す。なお、ここでは、前提として、当該ユーザは、記入欄502Aに「分別をすべきである」と書込み用電子ペン部104により記入した後、「ある」の部分を消去用電子ペン部114により消去し、さらに消去した部分に書込み用電子ペン部104により「ない」と記入したものとする。その結果、図18(A)では、「分別をすべきでない」と表示された最終記入時刻でのストローク画像205Aaが表示されている。
図18(B)は、書換え遷移モードメニュー90Eが選択された際の記入欄502Aを再現したストローク画像205Abを示す。図18(B)に示すように、ストローク画像205Ab上では、消去ストロークSeに相当する「ある」の文字が青色(取消し線付き文字)に表示されていると共に、書換えストロークSrに相当する「ない」の文字が赤色(下線文字)により表示されている。この場合であっても、操作者は、書換えの前後の状態を色により識別して把握することが可能となる。
なお、集約装置2は、操作者の入力に基づき、消去ストロークSeと、消去モードから書込みモードへ切り替え以降に記入されて消されずに残っている書換えストロークSrとのいずれか一方のみを表示させてもよい。この場合、例えば、集約装置2の表示制御手段240は、描画アプリケーションウィンドウのツールメニュー92のプルダウンメニューに消去ストロークSeと書換えストロークSrとのいずれの文字のみを表示させるかを指示するためのメニューをさらに設ける。そして、集約装置2の表示制御手段240は、消去ストロークSeのみを表示させる旨の入力があった場合には、図18(C)に示すように、書換えストロークSrを消去して表示し、書換えストロークSrのみを表示させる旨の入力があった場合には、図18(D)に示すように、消去ストロークSeを消去して表示する。これにより、集約装置2は、書換えの前後の状態をより明確に操作者に把握させることが可能となる。
(変形例5)
図14〜図17等の書換え遷移表示では、集約装置2は、消去用電子ペン部114により消去されたストローク(消去ストロークSe)を「青色」に着色し、消去モードから書込みモードへ切り替え以降に記入されて消されずに残っているストローク(書換えストロークSr)を「赤色」に着色した。しかし、本発明が適用可能な色の組み合わせはこれに限定されず、集約装置2は、消去ストロークSeと書換えストロークSrとその他のストローク(修正なしストロークSn)とを、操作者が識別できるようにそれぞれ異なる色に着色すればよい。
また、消去ストロークSe、書換えストロークSr、及び修正なしストロークSnとをそれぞれ異なる色で表示する場合に限らず、集約装置2は、これらを異なる表示態様によりユーザストローク情報表示領域50に表示してもよい。例えば、集約装置2は、書換えストロークSr、消去ストロークSe、修正ストロークSnをそれぞれ異なる色に着色するのに代えて、又はこれに加えて、これらのストロークを斜字、下線又は取消し線付き文字、囲み付き文字、又は太字により表示したり、それぞれ異なるフォントタイプ又は/及びフォントサイズにより表示したりすることにより、視認上区別させてもよい。
(変形例6)
図10の説明では、集約装置2の記憶制御手段241は、ストロークを構成するユーザストローク情報ごとに、消去情報を関連付けて記憶手段25に記憶させた。これに代えて、記憶制御手段241は、ユーザストローク情報の位置座標(XY座標)情報ごとに、消去情報を関連付けて記憶手段25に記憶させてもよい。例えば、この場合、集約装置2は、消去用記入情報を受信した際、当該消去用記入情報の位置座標情報が示す位置から所定距離以内を示すユーザストローク情報の位置座標情報を演算により特定し、当該位置座標情報に対して当該消去用記入情報から生成した消去情報を関連付ける。
このようにすることで、例えばユーザが書込み用電子ペン部104により文字「ね」を解答用紙5に記入した後、その一部を消去用電子ペン部114により消去して文字「わ」に直した場合など、ストロークの一部を消去する場合であっても、集約装置2は、適切にユーザストローク情報及び消去情報を記憶し、記入内容の遷移をユーザストローク情報表示領域50に表示することができる。なお、ストロークの一部を消去した場合、集約装置2の表示制御手段240は、当該ストロークのうち、消去情報が対応付けられたユーザストローク情報に基づく部分を消去ストロークSeとして青字で表示し、消去情報が対応付けられていないユーザストローク情報に基づく部分を修正なしストロークSnとして黒字で表示する。
(変形例7)
図5〜図7に示す電子ペン1は、ノック操作により、書込み用電子ペン部104及び消去用電子ペン部114の突出状態と収納状態とを切り替え可能なノック式の複合ペンであった。しかし、本発明が適用可能な構成は、これに限定されない。
図19は、変形例7に係る電子ペン1の概略構成図である。図19に示すように、ペン部側筺体101Aがノック操作側筺体101Bに対して、両矢印「Yx」の方向に回転することにより、電子ペン1は、第1の状態と、第2の状態と、第3の状態との間で遷移する。このように、ペン部側筺体101Aの回転動作により、開口部102から突出するペン先部103、113が切り替わる態様であっても、ユーザは、書込み用電子ペン部104と消去用電子ペン部114との両方を好適に使用することができる。
(変形例8)
上述の説明では、ノック検知部140は、圧力センサ117の移動を検出することで、ペン先部113が突出状態か収納状態かを検出した。しかし、本発明が適用可能な構成は、これに限定されない。
図20は、変形例8に係る書込み用電子ペン部104及び消去用電子ペン部114に設けられた構造を示す。図20に示すように、書込み用電子ペン部104は、8字型回動部151の孔152を通る位置に延在し、かつ、孔152よりも大きなナット状の形状を有するナット状部材155が、孔152よりもバネ120側の書込み用電子ペン部104に固定されている。同様に、消去用電子ペン部114は、8字型回動部151に設けられた孔153を通る位置に延在し、かつ、孔153よりも大きなナット状の形状を有するナット状部材156が、孔153よりもバネ130側の消去用電子ペン部114に固定されている。また、8字型回動部151は、基板100に設けられたロータリースイッチに相当するノック検出部140と連通した軸部150を回動軸として、軸部150と共に回動する。
そして、ノック操作により、書込み用電子ペン部104がペン先方向へ移動した場合、8字型回動部151の孔152の形成部分がナット状部材155によりペン先方向へ押し出され、8字型回動部151は、矢印「Y1」の方向に軸部150と共に回動する。この場合、ロータリースイッチであるノック検知部140は、軸部150の状態(位相)に基づき、書込み用電子ペン部104が突出状態であることを検知する。一方、ノック操作により、消去用電子ペン部114がペン先方向へ移動した場合、8字型回動部151の孔153の形成部分がナット状部材156によりペン先方向へ押し出され、8字型回動部151は、矢印「Y2」の方向に軸部150と共に回動する。この場合、ノック検知部140は、軸部150の状態(位相)に基づき、消去用電子ペン部114が突出状態であり、書込み用電子ペン部104が収納状態であることを検知する。なお、書込み用電子ペン部104及び消去用電子ペン部114が共に収納状態の場合には、8字型回動部151及び軸部150は、矢印Y1及び矢印Y2のいずれの方向にも傾いていない平衡状態となる。この場合、ノック検知部140は、軸部150の位相に基づき、消去用電子ペン部114のペン先部113及び書込み用電子ペン部104のペン先部103が共に収納状態であることを検知する。
他の例では、ノック検知部140は、歪ゲージであってもよい。この場合、ノック検知部140は、圧力センサ117と基板100のプロセッサ108とを接続する図示しない導線に設けられる。そして、ノック検知部140は、消去用電子ペン部114のペン先方向及びその反対方向への移動に基づく導線の歪み(伸縮)の変化を検出し、消去用電子ペン部114のペン先部113の突出状態及び収納状態を検知する。
さらに別の例では、集約処理手段24は、ノック検知部140から送信されるペン先状態検知信号Sdに代えて、圧力センサ107、117のいずれが筆圧を検知しているか否かに基づいて、ペン先部103又はペン先部113のいずれが突出状態となって解答用紙5に接触しているかを判定してもよい。
(変形例9)
ノック検知部140は、ペン先部113が突出状態か収納状態かを検出したが、これに代えて、ペン先部103が突出状態か収納状態かを検知してもよい。この場合、例えば、ノック検知部140は、消去用電子ペン部114の長手方向での圧力センサ117の移動を検出する代わりに、書込み用電子ペン部104の長手方向での圧力センサ107の移動を検出することで、ペン先部103が突出状態か収納状態かを検知し、プロセッサ108へペン先状態検知信号Sdを送信する。
(変形例10)
解答用紙5は、ドットパターンのみが印刷されてもよい。図21は、変形例に係る解答用紙5の上面図を示す。図21に示すように、この場合では、受講者ごとに複数枚の解答用紙5が一組用意され、同じ組の解答用紙5には、それぞれ異なる座標範囲のドットパターンが印刷される。この場合、集約処理手段24は、各受講者によって記入されたストロークが少なくとも含まれるような範囲を切り出して、その切り出した範囲に対応するストローク画像を生成し、ユーザストローク情報表示領域50に表示させる。
(変形例11)
集約装置2は、電子ペン1からBluetooth(登録商標)等の無線通信方式により記入情報を受信し、当該記入情報に基づくユーザストローク情報を用いて所定の表示を行った。しかし、本発明が適用可能な方法は、これに限定されない。
これに代えて、例えば、電子ペンシステムは、スクリーン6に代えて、圧力を検知することが可能に構成された感圧式ボードを備え、さらに、電子ペン1に代えて、電子的機能がない書込み用のペン及び消去用の直方体状のイレイサーを備えてもよい。
この態様では、所定のペンにより感圧式ボードにストロークが描かれた場合には、集約装置2は、感圧式ボードの検知信号を受信し、感圧式ボードの上部等に付設されたプロジェクタに検知信号に基づく画像信号を送信し、感圧式ボード上に上述のペンにより描かれたストロークを表示させる。加えて、集約装置2は、当該ストロークの情報をユーザストローク情報として記憶する。また、イレイサーの表面が感圧式ボード上を摺動するようにイレイサーが操作された場合には、集約装置2は、例えば、感圧式ボードの検知信号に基づき、感圧ボード上で所定面積以上の接触があったと判断し、検知した範囲に存在するストロークに対応するユーザストローク情報に消去情報を関連付けて記憶する。従って、この態様であっても、集約装置2は、好適に書換え遷移表示を行うことができる。
他の例では、各受講者には、iPad(登録商標)などのタッチパネルを備えるタブレットPCが配布され、当該タブレットPCのタッチパネル上で描かれたストロークの情報をタブレットPCが集約装置2へ送信してもよい。この場合、集約装置2は、タブレットPCから受信したストロークの情報に基づきユーザストローク情報を生成及び保存し、当該ユーザストローク情報に基づき表示を行う。また、タブレットPCのタッチパネル操作により、タッチパネル上で描かれたストロークを消去する操作をタブレットPCが検知した場合には、集約装置2は、消去の対象となるストロークの情報又は消去範囲の情報をタブレットPCから受信し、対応するユーザストローク情報に消去情報を付して記憶する。そして、集約装置2は、記憶手段25に記憶されたユーザストローク情報及び消去情報に基づき、図14〜図17に示すような書換え遷移表示等を表示手段26に表示させる。この態様によっても、好適に、集約装置2の操作者は、受講生が記入した記入内容の遷移を集約装置2の画面上で容易に把握することができる。
(変形例12)
上記実施形態において、電子ペン、ドットパターン(コード化パターン)、記入情報に、アノト方式を用いたが、アノト方式に限られなくともよい。