JP5992962B2 - インクジェット用硬化性組成物及び電子部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット方式により塗工されるインクジェット用硬化性組成物に関し、基板上にレジストパターンなどの硬化物層を形成するために好適に用いられるインクジェット用硬化性組成物に関する。また、本発明は、上記インクジェット用硬化性組成物により形成された硬化物層を有する電子部品の製造方法に関する。
従来、配線が上面に設けられた基板上に、パターン状のソルダーレジスト膜であるソルダーレジストパターンが形成されたプリント配線板が多く用いられている。電子機器の小型化及び高密度化に伴い、プリント配線板では、より一層微細なソルダーレジストパターンが求められている。
微細なソルダーレジストパターンを形成する方法として、インクジェット方式によりソルダーレジスト用組成物を塗工する方法が提案されている。インクジェット方式では、スクリーン印刷方式によりソルダーレジストパターンを形成する場合よりも、工程数が少なくなる。このため、インクジェット方式では、ソルダーレジストパターンを容易にかつ効率的に形成することができる。
インクジェット方式によりソルダーレジスト用組成物を塗工する場合、塗工時の粘度がある程度低いことが要求される。一方で、近年、50℃以上に加温して印刷することが可能なインクジェット装置が開発されている。インクジェット装置内でソルダーレジスト用組成物を50℃以上に加温することにより、ソルダーレジスト用組成物の粘度が比較的低くなり、インクジェット装置を用いたソルダーレジスト用組成物の吐出性をより一層高めることができる。
また、インクジェット方式により塗工可能なソルダーレジスト用組成物が、下記の特許文献1に開示されている。下記の特許文献1には、(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有するモノマーと、重量平均分子量が700以下である光反応性希釈剤と、光重合開始剤とを含むインクジェット用硬化性組成物が開示されている。このインクジェット用硬化性組成物の25℃での粘度は、150mPa・s以下である。また、特許文献1では、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール及びフェノチアジン等の公知慣用の重合禁止剤を用いてもよいことが記載されている。
また、基板上に半導体チップが硬化物層を介して積層された半導体装置が知られている。また、複数の半導体チップが、硬化物層を介して積層された半導体装置が広く知られている。
上記半導体装置は、半導体チップの下面に硬化性組成物層(接着剤層)を積層した状態で、基板又は半導体チップ上に、硬化性組成物層付き半導体チップを、硬化性組成物層側から積層し、かつ硬化性組成物層を硬化させることにより製造されている。このような半導体装置の製造方法の一例は、例えば、下記の特許文献2に開示されている。
また、半導体装置は、例えば、基板又は半導体チップ上に、ディスペンサー又はスクリーン印刷などにより硬化性組成物を塗布して硬化性組成物層を形成した後、硬化性組成物層上に半導体チップを積層し、かつ硬化性組成物層を硬化させることにより形成されることもある。
WO2004/099272A1 WO2011/058996A1
特許文献1に記載のインクジェット用硬化性組成物の粘度は比較的低い。このため、特許文献1に記載のインクジェット用硬化性組成物は、インクジェット方式にて基板上に塗工することが可能である。
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット用硬化性組成物では、50℃以上の環境下でのポットライフが短いという問題がある。
さらに、特許文献1に記載のインクジェット用硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有するモノマーを含むので、50℃以上の環境下でのポットライフが短く、ゲル化が進行することがある。すなわち、インクジェット用硬化性組成物の保存安定性が低いことがある。
例えば、インクジェット用硬化性組成物をインクジェット装置により吐出する場合には、一般に、インクジェット用硬化性組成物は、インクジェット装置内に供給された後、インクジェット装置内で一定時間留まる。一方で、吐出性を高めるために、インクジェット装置内の温度は50℃以上に加温されることがある。特許文献1に記載のインクジェット用硬化性組成物では、50℃以上に加温されたインクジェット装置内で組成物の硬化が進行したりして、組成物の粘度が高くなり、組成物の吐出が困難になることがある。
さらに、従来のインクジェット用硬化性組成物を硬化させた硬化物では、耐熱性が低いことがある。
本発明の目的は、保存安定性を高めることができ、かつ硬化物の耐熱性を高めることができるインクジェット用硬化性組成物を提供すること、並びに該インクジェット用硬化性組成物を用いた電子部品の製造方法を提供することである。
本発明の限定的な目的は、環状エーテル基を有する化合物を含むにも関わらず、50℃以上に加温されるインクジェット装置内の環境下でもポットライフが長いインクジェット用硬化性組成物、並びに該インクジェット用硬化性組成物を用いた電子部品の製造方法を提供することである。
本発明の広い局面によれば、インクジェット方式により塗工され、かつ光の照射と熱の付与とにより硬化可能であるインクジェット用硬化性組成物であって、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物と、環状エーテル基を有する化合物と、光重合開始剤と、熱硬化剤と、フェノール重合禁止剤とは異なる重合禁止剤とを含み、JIS K2283に準拠して測定された25℃及び1rpmでの粘度測定において、酸素に接触しない環境下で80℃で24時間加熱した後の粘度の、加熱前の粘度に対する比が、1.2以下である、インクジェット用硬化性組成物が提供される。この場合に、本発明に係るインクジェット用硬化性組成物のある特定の局面では、前記フェノール重合禁止剤とは異なる重合禁止剤が、ニトロソアミン重合禁止剤である。
本発明の広い局面によれば、インクジェット方式により塗工され、かつ光の照射と熱の付与とにより硬化可能であるインクジェット用硬化性組成物であって、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物と、環状エーテル基を有する化合物と、光重合開始剤と、熱硬化剤と、フェノール重合禁止剤とは異なるニトロソアミン重合禁止剤とを含む、インクジェット用硬化性組成物が提供される。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物のある特定の局面では、JIS K2283に準拠して測定された25℃及び1rpmでの加熱前の粘度が160mPa・s以上、1200mPa・s以下である。
本発明の広い局面によれば、上述したインクジェット用硬化性組成物を、インクジェット方式にて塗工し、パターン状に描画する工程と、パターン状に描画された前記インクジェット用硬化性組成物に光を照射及び熱を付与し、硬化させて、硬化物層を形成する工程とを備える、電子部品の製造方法が提供される。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物と、環状エーテル基を有する化合物と、光重合開始剤と、熱硬化剤と、フェノール重合禁止剤とは異なる重合禁止剤とを含み、更にJIS K2283に準拠して測定された25℃及び1rpmでの粘度測定において、酸素に接触しない環境下で80℃で24時間加熱した後の粘度の、加熱前の粘度に対する比が、1.2以下であるので、上記硬化性組成物の保存安定性を高めることができ、かつ硬化物の耐熱性を高めることができる。
また、本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物と、環状エーテル基を有する化合物と、光重合開始剤と、熱硬化剤と、フェノール重合禁止剤とは異なるニトロソアミン重合禁止剤とを含むので、上記硬化性組成物の保存安定性を高めることができ、かつ硬化物の耐熱性を高めることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット用硬化性組成物を用いた半導体装置の製造方法により得られる電子部品を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係るインクジェット用硬化性組成物を用いた半導体装置の製造方法により得られる半導体装置を模式的に示す断面図である。 図3は、図2に示す半導体装置の変形例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
(インクジェット用硬化性組成物)
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物(A)と、光重合開始剤(B)と、環状エーテル基を有する化合物(C)と、熱硬化剤(D)と、フェノール重合禁止剤とは異なる重合禁止剤(E)とを含む。なお、上記フェノール重合禁止剤は、一般にフェノール系重合禁止剤と呼ばれている。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物では、JIS K2283に準拠して測定された25℃及び1rpmでの粘度測定において、酸素に接触しない環境下で80℃で24時間加熱した後の粘度η2の、加熱前の粘度η1に対する比(η2/η1)が、1.2以下であることが好ましい。また、本発明に係るインクジェット用硬化性組成物では、フェノール重合禁止剤とは異なる重合禁止剤(E)が、フェノール重合禁止剤とは異なるニトロソアミン重合禁止剤(E1)であることが好ましい。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、上述した構成を備えるため、インクジェット用硬化性組成物において、保存安定性を高めることができ、さらに、インクジェット用硬化性組成物を硬化させた硬化物の耐熱性を高めることができる。
さらに、本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、上述した構成を備えるため、50℃以上に加温されるインクジェット装置内の環境下でもポットライフを十分に長くすることができる。また、インクジェット方式による塗工前のインクジェット用硬化性組成物は、50℃以上に加温されても、粘度が上昇し難くなり、熱硬化が進行し難くなる。このため、インクジェット用硬化性組成物は、高温下での安定性に優れており、インクジェットノズルから安定して吐出することができる。
ところで、従来、重合禁止剤として、フェノール重合禁止剤が汎用されていた。フェノール重合禁止剤とは異なる重合禁止剤は、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物の重合を阻害するように作用する。(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物と、環状エーテル基を有する化合物とが共存している配合物中で、フェノール重合禁止剤を用いると問題が生じる。
すなわち、本発明者らは、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物の重合を阻害することを目的として、フェノール系重合禁止剤を配合した場合には、配合物中に環状エーテル基を有する化合物がさらに含まれていると、フェノール系重合禁止剤が環状エーテル基を有する化合物と反応して、配合物の粘度が高くなり、更には配合物がゲル化することもあることを見出した。
さらに、本発明者らは、フェノール重合禁止剤とは異なる重合禁止剤(E)を用いて、かつそれによって上記比(η2/η1)を上記上限以下にすることで、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物(A)と環状エーテル基を有する化合物(C)とが共存していても、上記硬化性組成物の保存安定性を高めることができ、かつ硬化物の耐熱性を高めることができることを見出した。フェノール重合禁止剤とは異なる重合禁止剤(E)がニトロソアミン重合禁止剤(E1)とは異なる重合禁止剤である場合には、上記比(η2/η1)を上記上限以下となるように、重合禁止剤(E)が適宜選択して用いられる。
さらに、本発明者らは、フェノール重合禁止剤とは異なる重合禁止剤(E)としてニトロソアミン重合禁止剤(E1)を用いることで、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物(A)と環状エーテル基を有する化合物(C)とが共存していても、上記硬化性組成物の保存安定性を高めることができ、かつ硬化物の耐熱性を高めることができることを見出した。ニトロソアミン重合禁止剤(E1)の使用により、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物(A)の重合を阻害することができるだけでなく、重合禁止剤(E1)と環状エーテル基を有する化合物(C)との反応を効果的に抑えることができる。この結果、上記硬化性組成物の粘度上昇を効果的に抑えることができ、上記硬化性組成物のゲル化を効果的に抑えることができる。
上記比(η2/η1)は、1以上であってもよく、1.05以上であってもよい。上記比(η2/η1)は一般的に1以上であるが、0.95以上であってもよい。上記比(η2/η1)は、好ましくは1.2以下であり、より好ましくは1.1以下である。上記比(η2/η1)が1に近いほど、上記硬化性組成物の保存安定性がより一層高くなり、かつポットライフがより一層良好になる。
上記粘度η1及び上記粘度η2はそれぞれ、JIS K2283に準拠して測定される。上記粘度η1及び上記粘度η2はそれぞれ、粘度計(東機産業社製「TVE22L」)を用いて測定可能である。
本明細書において、酸素に接触しない環境下は、スクリュー型のサンプル瓶にインクジェット用硬化性組成物を完全に充填し、蓋をした状態にて達成することができる。酸素に接触しない環境下は、酸素との接触が遮断された環境下である。このような状態では、一般に、インクジェット用硬化性組成物の大気との接触が妨げられ、インクジェット用硬化性組成物の周囲に、酸素が実質的に存在しない状態になる。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物が、多官能化合物(A)と光重合開始剤(B)とを含むので、光の照射により硬化可能である。本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、環状エーテル基を有する化合物(C)と熱硬化剤(D)とを含むので、熱の付与により硬化可能である。従って、本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、光の照射と熱の付与とにより硬化可能であり、インクジェット用光及び熱硬化性組成物である。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物では、光の照射により一次硬化物を得た後、一次硬化物に熱を付与することにより本硬化させ、硬化物であるレジストパターンなどの硬化物層を得ることができる。このように、光の照射により一次硬化を行うことで、基板等の塗工対象部材上に塗工されたインクジェット用硬化性組成物の濡れ拡がりを抑制することができる。従って、微細なレジストパターンなどの硬化物層を高精度に形成することができる。
また、本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、特に環状エーテル基を有する化合物(C)を含むため、更に環状エーテル基を有する化合物(C)を硬化させて用いることで、硬化後の硬化物の耐熱性を高めることができる。
熱硬化剤(D)は、粒子などの固体ではなく、粘稠物であることが好ましい。例えば、熱硬化剤(D)は、ジシアンジアミド又はヒドラジド化合物と、ジシアンジアミド又はヒドラジド化合物と反応しうる官能基を有する官能基含有化合物とを反応させた反応粘稠物であることが好ましい。上記反応粘稠物を用いた場合には、インクジェット吐出性がより一層高くなる。
以下、本発明に係るインクジェット用硬化性組成物に含まれている各成分の詳細を説明する。
[多官能化合物(A)]
光の照射により硬化性組成物を硬化させるために、上記インクジェット用硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物(A)を含む。多官能化合物(A)は、(メタ)アクリロイル基を2個以上有していれば特に限定されない。多官能化合物(A)として、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する従来公知の多官能化合物を用いることができる。多官能化合物(A)は、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するため、光の照射により重合が進行し、硬化する。このため、硬化性組成物を塗工した後に光を照射することにより硬化を進行させることができ、塗工された形状を保持することができ、光が照射された硬化性組成物の一次硬化物及び硬化物が過度に濡れ拡がるのを効果的に抑制することができる。多官能化合物(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
多官能化合物(A)としては、多価アルコールの(メタ)アクリル酸付加物、多価アルコールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリル酸付加物、ウレタン(メタ)アクリレート類、及びポリエステル(メタ)アクリレート類等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、及びペンタエリスリトール等が挙げられる。上記「(メタ)アクリレート」の用語は、アクリレートとメタクリレートとを示す。上記「(メタ)アクリル」の用語は、アクリルとメタクリルとを示す。
多官能化合物(A)は、多環骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物(A1)であることが好ましい。多官能化合物(A1)の使用により、上記インクジェット用硬化性組成物の硬化物の耐湿熱性を高くすることができる。従って、上記インクジェット用硬化性組成物を用いたプリント配線板を長期間使用でき、かつ該プリント配線板の信頼性を高めることができる。
多官能化合物(A1)は、多環骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有していれば特に限定されない。多官能化合物(A1)として、多環骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有する従来公知の多官能化合物を用いることができる。多官能化合物(A1)は、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するため、光の照射により重合が進行し、硬化する。多官能化合物(A1)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
多官能化合物(A1)としては、多価アルコールの(メタ)アクリル酸付加物、多価アルコールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリル酸付加物、ウレタン(メタ)アクリレート類、及びポリエステル(メタ)アクリレート類等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール等が挙げられる。
多官能化合物(A1)の具体例としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、イソボルニルジメタノールジ(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルジメタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、硬化物の耐湿熱性をより一層高める観点からは、多官能化合物(A1)は、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートであることが好ましい。上記「(メタ)アクリレート」の用語は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
多官能化合物(A1)及び後述する単官能化合物(F)における上記「多環骨格」とは、複数の環状骨格を連続して有する構造を示す。多官能化合物(A1)及び単官能化合物(F)における上記多環骨格としてはそれぞれ、多環脂環式骨格及び多環芳香族骨格等が挙げられる。
上記多環脂環式骨格としては、ビシクロアルカン骨格、トリシクロアルカン骨格、テトラシクロアルカン骨格及びイソボルニル骨格等が挙げられる。
上記多環芳香族骨格としては、ナフタレン環骨格、アントラセン環骨格、フェナントレン環骨格、テトラセン環骨格、クリセン環骨格、トリフェニレン環骨格、テトラフェン環骨格、ピレン環骨格、ペンタセン環骨格、ピセン環骨格及びペリレン環骨格等が挙げられる。
多官能化合物(A)は、環状エーテル基を有する多官能化合物であってもよく、また、環状エーテル基を有さない多官能化合物であってもよく、これらのいずれも好適に用いることができる。本発明では、環状エーテル基を有さない多官能化合物が好ましい。なお、環状エーテル基としては、エポキシ基及びオキセタニル基等が挙げられる。
多官能化合物(A)の配合量は、光の照射により適度に硬化するように適宜調整され、特に限定されない。インクジェット用硬化性組成物100重量%中、多官能化合物(A)の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは60重量%以上、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。インクジェット用硬化性組成物100重量%中、多官能化合物(A)の含有量の上限は、成分(B)〜(F)及び他の成分の含有量などにより適宜調整される。
多官能化合物(A1)と後述する単官能化合物(F)とを併用する場合に、多官能化合物(A1)と単官能化合物(F)と光重合開始剤(B)との合計100重量%中、多官能化合物(A1)の含有量は20重量%以上、70重量%以下であることが好ましい。インクジェット用硬化性組成物100重量%中、多官能化合物(A1)の含有量は、より好ましくは40重量%以上、より好ましくは60重量%以下である。多官能化合物(A1)の含有量が上記下限以上であると、光の照射により硬化性組成物をより一層効果的に硬化させることができる。多官能化合物(A1)の含有量が上記上限以下であると、硬化物の耐湿熱性がより一層高くなる。
[光重合開始剤(B)]
光の照射により硬化性組成物を硬化させるために、上記インクジェット用硬化性組成物は、多官能化合物(A)とともに、光重合開始剤(B)を含むことが好ましい。光重合開始剤(B)としては、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤等が挙げられる。光重合開始剤(B)は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光ラジカル重合開始剤は特に限定されない。上記光ラジカル重合開始剤は、光の照射によりラジカルを発生し、ラジカル重合反応を開始するための化合物である。上記光ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル類、アセトフェノン類、アミノアセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、リボフラビンテトラブチレート、チオール化合物、2,4,6−トリス−s−トリアジン、有機ハロゲン化合物、ベンゾフェノン類、キサントン類及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。上記光ラジカル重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ベンゾインアルキルエーテル類としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。上記アセトフェノン類としては、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン及び1,1−ジクロロアセトフェノン等が挙げられる。上記アミノアセトフェノン類としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン及びN,N−ジメチルアミノアセトフェン等が挙げられる。上記アントラキノン類としては、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン及び1−クロロアントラキノン等が挙げられる。上記チオキサントン類としては、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。上記ケタール類としては、アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等が挙げられる。上記チオール化合物としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール及び2−メルカプトベンゾチアゾール等が挙げられる。上記有機ハロゲン化合物としては、2,2,2−トリブロモエタノール及びトリブロモメチルフェニルスルホン等が挙げられる。上記ベンゾフェノン類としては、ベンゾフェノン及び4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤は、α−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ジメチルアミノ基を有するα−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤であることがより好ましい。この特定の光ラジカル重合開始剤の使用により、露光量が少なくても、インクジェット用硬化性組成物を効率的に光硬化させることが可能になる。このため、光の照射によって、塗工されたインクジェット用硬化性組成物が濡れ拡がるのを効果的に抑制でき、微細なレジストパターンを高精度に形成することができる。さらに、上記光ラジカル重合開始剤がジメチルアミノ基を有するα−アミノアルキルフェノン型光重合開始剤である場合には、熱硬化速度を速くすることができ、組成物の光照射物の熱硬化性を良好にすることができる。
上記α−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤の具体例としては、BASF社製のIRGACURE907、IRGACURE369、IRGACURE379及びIRGACURE379EG等が挙げられる。これら以外のα−アミノアルキルフェノン型光重合開始剤を用いてもよい。中でも、インクジェット用硬化性組成物の光硬化性と硬化物による絶縁信頼性とをより一層良好にする観点からは、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(IRGACURE369)又は2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(IRGACURE379又はIRGACURE379EG)が好ましい。これらはジメチルアミノ基を有するα−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤である。
上記光ラジカル重合開始剤とともに、光重合開始助剤を用いてもよい。該光重合開始助剤としては、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられる。これら以外の光重合開始助剤を用いてもよい。上記光重合開始助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、可視光領域に吸収があるCGI−784等(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)のチタノセン化合物などを、光反応を促進するために用いてもよい。
上記光カチオン重合開始剤としては特に限定されず、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、メタロセン化合物及びベンゾイントシレート等が挙げられる。上記光カチオン重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
多官能化合物(A)100重量部に対して、光重合開始剤(B)の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは3重量部以上、好ましくは30重量部以下、より好ましくは15重量部以下、更に好ましくは10重量部以下である。光重合開始剤(B)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、光の照射により硬化性組成物がより一層効果的に硬化する。
[環状エーテル基を有する化合物(C)]
上記インクジェット用硬化性組成物は、熱の付与によって硬化可能であるように、環状エーテル基を有する化合物(C)を含む。化合物(C)の使用により、熱の付与により硬化性組成物又は該硬化性組成物の一次硬化物をさらに硬化させることができる。このため、化合物(C)の使用により、レジストパターンを効率的にかつ精度よく形成することができ、更に硬化物の耐熱性及び絶縁信頼性を高めることができる。環状エーテル基を有する化合物(C)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
環状エーテル基を有する化合物(C)は、環状エーテル基を有していれば特に限定されない。化合物(C)における環状エーテル基としては、エポキシ基及びオキセタニル基等が挙げられる。なかでも、硬化性を高め、かつ耐熱性及び絶縁信頼性により一層優れた硬化物を得る観点からは、上記環状エーテル基はエポキシ基であることが好ましい。環状エーテル基を有する化合物(C)は、環状エーテル基を2個以上有することが好ましい。
エポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ジグリシジルフタレート化合物、トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ化合物、ビキシレノール型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、テトラグリシジルキシレノイルエタン化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ化合物、キレート型エポキシ化合物、グリオキザール型エポキシ化合物、アミノ基含有エポキシ化合物、ゴム変性エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ化合物、シリコーン変性エポキシ化合物及びε−カプロラクトン変性エポキシ化合物等が挙げられる。
オキセタニル基を有する化合物は、例えば、特許第3074086号公報に例示されている。
環状エーテル基を有する化合物(C)は、芳香族骨格を有することが好ましい。芳香族骨格及び環状エーテル基を有する化合物の使用により、上記硬化性組成物の保管時及び吐出時の熱安定性がより一層良好になり、上記硬化性組成物の保管時にゲル化が生じ難くなる。また、芳香族骨格及び環状エーテル基を有する化合物は、芳香族骨格を有さずかつ環状エーテル基を有する化合物と比べて、多官能化合物(A)、単官能化合物(F)及び熱硬化剤(D)との相溶性に優れているので、絶縁信頼性がより一層良好になる。
環状エーテル基を有する化合物(C)は25℃で液状であることが好ましい。環状エーテル基を有する化合物(C)の25℃での粘度は、300mPa・sを超えることが好ましい。環状エーテル基を有する化合物(C)の25℃での粘度は、80Pa・s以下であることが好ましい。環状エーテル基を有する化合物(C)の粘度が上記下限以上であると、硬化物層を形成する際の解像度がより一層良好になる。環状エーテル基を有する化合物(C)の粘度が上記上限以下であると、上記硬化性組成物の吐出性がより一層良好になるとともに、環状エーテル基を有する化合物(C)と他の成分との相溶性がより一層高くなり、絶縁信頼性がより一層向上する。
環状エーテル基を有する化合物(C)の配合量は、熱の付与により適度に硬化するように適宜調整され、特に限定されない。インクジェット用硬化性組成物100重量%中、環状エーテル基を有する化合物(C)の含有量は好ましくは3重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。化合物(C)の含有量が上記下限以上であると、熱の付与により硬化性組成物をより一層効果的に硬化させることができる。化合物(C)の含有量が上記上限以下であると、硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
[熱硬化剤(D)]
上記インクジェット用硬化性組成物は、熱の付与によって効率的に硬化可能にするために、熱硬化剤(D)を含む。熱硬化剤(D)は、環状エーテル基を有する化合物(C)を硬化させる。熱硬化剤(D)は特に限定されない。熱硬化剤(D)として、従来公知の熱硬化剤を用いることができる。熱硬化剤(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。インクジェット用硬化性組成物のポットライフを長くする観点からは、熱硬化剤(D)は、潜在性熱硬化剤であることが好ましい。
熱硬化剤(D)としては、有機酸、アミン化合物、アミド化合物、ヒドラジド化合物、イミダゾール化合物、イミダゾリン化合物、フェノール化合物、ユリア化合物、ポリスルフィッド化合物及び酸無水物等が挙げられる。熱硬化剤(D)として、アミン−エポキシアダクトなどの変性ポリアミン化合物を用いてもよい。これら以外の熱硬化剤(D)を用いてもよい。
熱硬化剤(D)の具体例としては、ジシアンジアミド、ヒドラジド化合物、イミダゾール化合物、トリアジン環を有する化合物、メチル(メタ)アクリレート樹脂又はスチレン樹脂等により形成されたシェルにより、トリフェニルホスフィン(熱硬化剤)が被覆されている潜在性熱硬化剤(例えば、日本化薬社製「EPCAT−P」及び「EPCAT−PS」)、ポリウレア系重合体又はラジカル重合体により形成されたシェルにより、アミンなどの熱硬化剤が被覆されている潜在性熱硬化剤、変性イミダゾールなどの熱硬化剤をエポキシ樹脂中に分散させて閉じ込め、粉砕することにより得られた潜在性熱硬化剤、熱可塑性高分子内に熱硬化剤を分散させ、含有させた潜在性熱硬化剤、並びにテトラキスフェノール類化合物などにより被覆されたイミダゾール潜在性熱硬化剤(例えば、日本曹達社製「TEP−2E4MZ」及び「HIPA−2E4MZ」)等が挙げられる。
加温された際の粘度変化をより一層小さくし、ポットライフをより一層長くする観点からは、熱硬化剤(D)はジシアンジアミド、ヒドラジド化合物、イミダゾール化合物及びトリアジン環を有する化合物からなる群から選択された少なくとも1種であるであることが好ましい。
上記イミダゾール化合物の具体例としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記トリアジン環を有する化合物の具体例としては、メラミン、メラミンシアヌレート、TEPIC−S(日産化学工業社製)及び2,4,6−トリ(6’−ヒドロキシ−1’−ヘキシルアミノ)トリアジン等が挙げられる。
ジシアンジアミド粒子やヒドラジド化合物粒子の沈降やノズル詰まりを防止するため、ジシアンジアミド又はヒドラジド化合物粒子をあらかじめ、ジシアンジアミド又はヒドラジド化合物と反応しうる官能基を有する官能基含有化合物(環状エーテル基を有する化合物など)と反応させ、組成物中に溶解させてもよい。この場合でも、組成物のポットライフは良好である。
ジシアンジアミド又は上記ヒドラジン化合物と反応させる環状エーテル基を有する化合物は、環状エーテル基を1個有する化合物であることが好ましい。
上記ジシアンジアミド又は上記ヒドラジン化合物と反応させる環状エーテル基を有する化合物の具体例としては、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、オルトクレジルグリシジルエーテル、メタクレジルグリシジルエーテル、パラクレジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、パラt−ブチルフェニルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類や、グリシジル(メタ)アクリレート、及び3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ジシアンジアミドと上記官能基含有化合物との反応において、ジシアンジアミド1モルに対し、上記官能基含有化合物を0.2モル以上、4モル以下反応させることが好ましい。上記ヒドラジド化合物と上記官能基含有化合物との反応において、上記ヒドラジド化合物1モルに対し、上記官能基含有化合物を好ましくは0.2モル以上、より好ましくは2モル以上、好ましくは6モル以下、より好ましくは5モル以下反応させることが好ましい。上記官能基含有化合物の使用量が上記下限未満であると、未反応のジシアンジアミド又はヒドラジド化合物が析出するおそれがある。上記官能基含有化合物の使用量が上記上限を超えると、上記反応粘稠物の活性水素がすべて失活し、環状エーテル基を有する化合物(C)を硬化させることができなくなるおそれがある。なお、この反応では、必要に応じて溶媒又は反応促進剤の存在下、60℃〜140℃で反応させることが好ましい。
ジシアンジアミド又は上記ヒドラジド化合物と上記官能基含有化合物との反応時に、ジシアンジアミド又は上記ヒドラジド化合物を溶解させるために溶剤を用いてもよい。該溶剤は、ジシアンジアミド又はヒドラジド化合物を溶解させることが可能な溶剤であればよい。使用可能な溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド及びメチルセロソルブ等が挙げられる。
ジシアンジアミド又は上記ヒドラジド化合物と上記官能基含有化合物との反応を促進するため、反応促進剤を用いてもよい。反応促進剤として、フェノール類、アミン類、イミダゾール類及びトリフェニルフォスフィンなどの公知慣用の反応促進剤を使用できる。
インクジェット吐出性をより一層高める観点からは、上記反応粘稠物は、固体ではないことが好ましく、結晶ではないことが好ましく、結晶性固体ではないことが好ましい。上記反応粘稠物は、液状又は半固形状であることが好ましい。
上記反応粘稠物は、透明又は半透明であることが好ましい。上記反応粘稠物が透明又は半透明であるか否かは、厚み5mmの上記反応粘稠物を介して物体を見たときに、該物体が視認可能であるか否かで判断できる。
環状エーテル基を有する化合物(C)と熱硬化剤(D)との配合比率は特に限定されない。熱硬化剤(D)の配合量は、熱の付与により適度に硬化するように適宜調整され、特に限定されない。環状エーテル基を有する化合物(C)100重量部に対して、熱硬化剤(D)の含有量は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、好ましくは60重量部以下、より好ましくは50重量部以下である。
[重合禁止剤(E)]
上記重合禁止剤(E)はフェノール重合禁止剤とは異なる。重合禁止剤(E)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン、フェノール系重合禁止剤及びニトロソアミン重合禁止剤等がある。
本発明では、フェノール重合禁止剤とは異なる重合禁止剤を用い、かつ上記比(η2/η1)を上記上限以下にするか、又は、フェノール重合禁止剤とは異なる重合禁止剤(E)として、ニトロソアミン重合禁止剤(E1)を用いる。フェノール重合禁止剤とは異なる重合禁止剤を用い、かつ上記比(η2/η1)を上記上限以下にする場合に、フェノール重合禁止剤とは異なる重合禁止剤(E)として、ニトロソアミン重合禁止剤(E1)を用いてもよい。ニトロソアミン重合禁止剤は、一般的にフェノール系重合禁止剤とは異なる。ニトロソアミン重合禁止剤(E1)を用いる場合に、上記比(η2/η1)は、上記上限以下でなくてもよいが、上記上限以下であることが好ましい。
保存安定性を効果的に高める観点からは、フェノール系重合禁止剤とは異なる重合禁止剤(E)は、ニトロソアミン重合禁止剤(E1)であることが好ましい。
上記ニトロソアミン重合禁止剤(E1)としては、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンの塩、及びN−ニトロソフェニルヒドロキシアミンの錯体等が挙げられる。上記N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンの塩としては、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が挙げられる。上記N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンの錯体としては、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアンモニウム錯体等が挙げられる。
重合禁止剤(E)及びニトロソアミン重合禁止剤(E1)の各配合量は、多官能化合物(A)の反応性を考慮して適宜調整され、特に限定されない。インクジェット用硬化性組成物100重量%中、重合禁止剤(E)及びニトロソアミン重合禁止剤(E1)の含有量はそれぞれ、好ましくは0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以下である。
(単官能化合物(F))
上記インクジェット用硬化性組成物は、多環骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能化合物(F)を含むことが好ましい。さらに、上記インクジェット用硬化性組成物は、多環骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物(A1)と、多環骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能化合物(F)とを含むことがより好ましい。これらの場合には、上記インクジェット用硬化性組成物の硬化物の耐湿熱性がかなり高くなる。従って、上記インクジェット用硬化性組成物を用いたプリント配線板などの電子部品をより一層長期間使用でき、かつ該電子部品の信頼性がより一層高くなる。また、単官能化合物(F)の使用により、硬化物の耐湿熱性が高くなるだけでなく、硬化性組成物の吐出性も高くなる。なお、多環骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能化合物(F)を用いた場合には、多環骨格を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能化合物を用いた場合と比べて、硬化物の耐湿熱性が高くなる。
単官能化合物(F)は、多環骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を1個有していれば特に限定されない。単官能化合物(F)として、多環骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を1個有する従来公知の単官能化合物を用いることができる。単官能化合物(F)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
単官能化合物(F)の具体例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート及びナフチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、硬化物の耐湿熱性をより一層高める観点からは、単官能化合物(F)は、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
インクジェット用硬化性組成物100重量%中、単官能化合物(F)の含有量は好ましくは5重量%以上、より好ましくは15重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは45重量%以下である。
多官能化合物(A1)と単官能化合物(F)と光重合開始剤(B)との合計100重量%中、単官能化合物(F)の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは15重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは45重量%以下、更に好ましくは42重量%以下である。単官能化合物(F)の含有量が上記下限以上であると、硬化物の耐湿熱性がより一層高くなる。単官能化合物(F)の含有量が上記上限以下であると、光の照射により硬化性組成物をより一層効果的に硬化させることができる。
インクジェット用硬化性組成物100重量%中、多官能化合物(A1)と単官能化合物(F)との合計の含有量の上限は、光重合開始剤(B)の含有量により適宜調整される。
[他の成分]
上記インクジェット用硬化性組成物は、硬化促進剤を含んでいてもよい。
上記硬化促進剤としては、第三級アミン、イミダゾール、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、有機金属塩、リン化合物及び尿素系化合物等が挙げられる。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で種々の添加剤を配合してもよい。該添加剤としては特に限定されず、消泡剤、レベリング剤及び密着性付与剤等が挙げられる。また、本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、少量であれば有機溶剤を含んでいてもよい。
上記消泡剤としては、シリコーン系消泡剤、フッ素系消泡剤及び高分子系消泡剤等が挙げられる。上記レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤及び高分子系レベリング剤等が挙げられる。上記密着性付与剤としては、イミダゾール系密着性付与剤、チアゾール系密着性付与剤、トリアゾール系密着性付与剤及びシランカップリング剤が挙げられる。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物においては、JIS K2283に準拠して測定された25℃及び1rpmでの粘度η1(加熱前の粘度)が160mPa・s以上、1200mPa・s以下であることが好ましい。インクジェット用硬化性組成物の粘度η1が上記下限以上及び上記上限以下であると、インクジェット用硬化性組成物をインクジェットヘッドから容易にかつ精度よく吐出できる。さらに、インクジェット用硬化性組成物が50℃以上に加温されても、該組成物をインクジェットヘッドから容易にかつ精度よく吐出できる。
上記粘度η1は、より好ましくは1000mPa・s以下、更に好ましくは500mPa・s以下である。上記粘度が好ましい上記上限を満足すると、上記硬化性組成物をヘッドから連続吐出したときに、吐出性がより一層良好になる。また、上記硬化性組成物の濡れ拡がりをより一層抑制し、硬化物層を形成する際の解像度をより一層高める観点からは、上記粘度は500mPa・sを超えることが好ましい。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、有機溶剤を含まないか、又は有機溶剤を含みかつ上記硬化性組成物100重量%中の上記有機溶剤の含有量は50重量%以下であることが好ましい。上記硬化性組成物100重量%中、上記有機溶剤の含有量はより好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。上記有機溶剤の含有量が少ないほど、硬化物層を形成する際の解像度がより一層良好になる。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、有機溶剤を含まないか、又は有機溶剤を含みかつ熱硬化剤(D)100重量部に対して上記有機溶剤の含有量は50重量部以下であることが好ましい。熱硬化剤(D)100重量部に対して、上記有機溶剤の含有量はより好ましくは20重量部以下、更に好ましくは10重量部以下、特に好ましくは1重量部以下である。上記有機溶剤の含有量が少ないほど、硬化物層を形成する際の解像度がより一層良好になる。
(電子部品の製造方法)
次に、本発明に係る電子部品の製造方法について説明する。
本発明に係る電子部品の製造方法では、上述のインクジェット用硬化性組成物が用いられる。すなわち、本発明に係る電子部品の製造方法では、先ず、上記インクジェット用硬化性組成物を、インクジェット方式にて塗工し、パターンを描画する。このとき、上記インクジェット用硬化性組成物を直接描画することが特に好ましい。「直接描画する」とは、マスクを用いずに描画することを意味する。上記電子部品としては、プリント配線板及びタッチパネル部品等が挙げられる。上記電子部品は、配線板であることが好ましく、プリント配線板であることがより好ましい。
上記インクジェット用硬化性組成物の塗工には、インクジェットプリンタが用いられる。該インクジェットプリンタは、インクジェットヘッドを有する。インクジェットヘッドはノズルを有する。インクジェット装置は、インクジェット装置内又はインクジェットヘッド内の温度を50℃以上に加温するための加温部を備えることが好ましい。上記インクジェット用硬化性組成物は、塗工対象部材上に塗工されることが好ましい。上記塗工対象部材としては、基板等が挙げられる。該基板としては、配線等が上面に設けられた基板等が挙げられる。上記インクジェット用硬化性組成物は、プリント基板上に塗工されることが好ましい。
また、本発明に係る電子部品の製造方法により、基板をガラスを主体とする部材に変え、液晶表示装置等の表示装置用のガラス基板を作製することも可能である。具体的には、ガラスの上に、蒸着等の方法によりITO等の導電パターンを設け、この導電パターン上に本発明に係る電子部品の製造方法により、インクジェット方式で硬化物層を形成してもよい。この硬化物層上に、導電インク等でパターンを設ければ、硬化物層が絶縁膜となり、ガラス上の導電パターンの中で、所定のパターン間にて電気的接続が得られる。
次に、パターン状に描画されたインクジェット用硬化性組成物に光を照射及び熱を付与し、硬化させて、硬化物層を形成する。このようにして、硬化物層を有する電子部品を得ることができる。該硬化物層は、絶縁膜であってもよく、レジストパターンであってもよい。該絶縁膜は、パターン状の絶縁膜であってもよい。該硬化物層はレジストパターンであることが好ましい。上記レジストパターンはソルダーレジストパターンであることが好ましい。
本発明に係る電子部品の製造方法は、レジストパターンを有するプリント配線板の製造方法であることが好ましい。上記インクジェット用硬化性組成物を、インクジェット方式にて塗工し、パターン状に描画し、パターン状に描画された上記インクジェット用硬化性組成物に光を照射及び熱を付与し、硬化させて、レジストパターンを形成することが好ましい。
パターン状に描画された上記インクジェット用硬化性組成物に、光を照射することにより一次硬化させ、一次硬化物を得てもよい。これにより描画されたインクジェット用硬化性組成物の濡れ拡がりを抑制することができ、高精度なレジストパターンが形成可能となる。また、光の照射により一次硬化物を得た場合には、一次硬化物に熱を付与することにより本硬化させ、硬化物を得て、レジストパターンなどの硬化物層を形成してもよい。本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、光の照射及び熱の付与により硬化可能である。光硬化と熱硬化とを併用した場合には、耐熱性により一層優れたレジストパターンなどの硬化物層を形成することができる。熱の付与により硬化させる際の加熱温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。
上記光の照射は、描画の後に行われてもよく、描画と同時に行われてもよい。例えば、硬化性組成物の吐出と同時又は吐出の直後に光を照射してもよい。このように、描画と同時に光を照射するために、インクジェットヘッドによる描画位置に光照射部分が位置するように光源を配置してもよい。
光を照射するための光源は、照射する光に応じて適宜選択される。該光源としては、UV−LED、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ及びメタルハライドランプ等が挙げられる。照射される光は、一般に紫外線であり、電子線、α線、β線、γ線、X線及び中性子線等であってもよい。
インクジェット用硬化性組成物の塗工時における温度は、インクジェット用硬化性組成物がインクジェットヘッドから吐出できる粘度となる温度であれば特に限定されない。インクジェット用硬化性組成物の塗工時における温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、好ましくは100℃以下である。塗工時におけるインクジェット用硬化性組成物の粘度は、インクジェットヘッドから吐出できる範囲であれば特に限定されない。
また、印刷時に、基板を冷却するという方法もある。基板を冷却すると、着弾時に硬化性組成物の粘度が上がり、解像度が良くなる。この際には、結露しない程度に冷却をとどめるか、結露しないよう雰囲気の空気を除湿することが好ましい。また、冷却することで、基板が収縮するので、寸法精度を補正してもよい。
熱硬化剤(D)として上記反応粘稠物などの粘稠物を用いる場合には、例えば、インクジェットヘッドにおいてインクジェット用硬化性組成物を加熱する場合であっても、インクジェット用硬化性組成物のポットライフが十分に長く、安定した吐出が可能である。さらに、インクジェット用硬化性組成物をインクジェット方式による塗工に適した粘度となるまで加熱できるため、本発明に係るインクジェット用硬化性組成物の使用により、プリント配線板などの電子部品を好適に製造することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット用硬化性組成物を用いた半導体装置の製造方法により得られる電子部品を模式的に示す断面図である。
図1に示す電子部品1は、第1の電子部品本体2と、第1の電子部品本体2の表面上に配置された接着剤層3と、接着剤層3の表面上に配置された第2の電子部品本体4とを備える。第2の電子部品本体4は、接着剤層3の第1の電子部品本体2側とは反対側に配置されている。接着剤層3の第1の表面上に、第1の電子部品本体2が配置されている。接着剤層3の第1の表面とは反対側の第2の表面上に、第2の電子部品本体4が配置されている。接着剤層3は光及び熱硬化後の接着剤層であり、硬化した接着剤層である。接着剤層3を形成するために、本発明の一実施形態に係るインクジェット用硬化性組成物が用いられている。このインクジェット用硬化性組成物が、インクジェット装置を用いて塗布され、かつ光の照射により硬化が進行された後に加熱により硬化されて、接着剤層3が形成されている。
上記電子部品本体としては、具体的には、半導体ウェハ、ダイシング後の半導体ウェハ(分割された半導体ウェハ、半導体素子)、カバーガラス、コンデンサ、ダイオード、プリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等が挙げられる。上記電子部品本体は、半導体素子搭載用の支持部材であってもよい。
半導体素子搭載用の支持部材としては、回路基板及びリードフレーム等が挙げられる。
高精度に形成された接着剤層が特に求められることから、上記電子部品本体は、半導体素子を搭載する支持部材、カバーガラス、半導体ウェハ又は、ダイシング後の半導体ウェハであることが好ましい。
高精度に形成された接着剤層が特に求められることから、上記第1の電子部品本体が、半導体素子搭載用の支持部材又は半導体素子であることが好ましく、回路基板、リードフレーム又は半導体素子であることがより好ましく、回路基板、リードフレーム又はダイシング後の半導体ウェハであることが更に好ましい。高精度に形成された接着剤層が特に求められることから、上記第2の電子部品本体が、半導体素子であることが好ましく、ダイシング後の半導体ウェハであることがより好ましい。
高精度に形成された接着剤層が特に求められることから、上記第1の電子部品本体が回路基板又はダイシング後の半導体ウェハであり、かつ上記第2の電子部品本体が、ダイシング後の半導体ウェハであることが好ましく、更に、上記第1の電子部品本体が回路基板であり、かつ上記第2の電子部品本体が、ダイシング後の半導体ウェハであることがより好ましい。上記電子部品は半導体装置用電子部品であることが好ましい。
上記第1の電子部品本体が半導体ウェハであり、上記第2の電子部品本体がカバーガラスであることも好ましい。
上記電子部品は、半導体素子を備えていることが好ましく、半導体装置であることが好ましい。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット用硬化性組成物を用いた半導体装置の製造方法により得られる半導体装置を模式的に示す断面図である。
図2に示す半導体装置11は、積層構造体12を備える。積層構造体12は、基板13と、硬化物層14と、基板13上に硬化物層14を介して積層された第2の半導体チップ15とを有する。基板13上に、第2の半導体チップ15が配置されている。基板13上に、第2の半導体チップ15は間接に積層されている。平面視において、基板13は、第2の半導体チップ15よりも大きい。基板13は、第2の半導体チップ15よりも側方に張り出している領域を有する。
硬化物層14は、例えば、硬化性組成物を硬化させることにより形成されている。硬化前の硬化性組成物を用いた硬化性組成物層は、粘着性を有していてもよい。硬化前の硬化性組成物層を形成するために、硬化性組成物シートを用いてもよい。
基板13は上面に、第1の接続端子13aを有する。第2の半導体チップ15は上面に、接続端子15aを有する。接続端子15aから配線16が引き出されている。配線16の一端は、第2の半導体チップ15上に設けられた接続端子15aに接続されている。配線16の他端は、基板13上に設けられた第1の接続端子13aに接続されている。配線16により、接続端子15aと第1の接続端子13aとが電気的に接続されている。配線16の他端は、第1の接続端子13a以外の他の接続端子に接続されていてもよい。配線16は、ボンディングワイヤーであることが好ましい。
積層構造体12における第2の半導体チップ15上に、硬化物層21を介して、第1の半導体チップ22が積層されている。硬化物層21は、上記インクジェット用硬化性組成物を光硬化及び熱硬化させることにより形成されている。
基板13は上面に、第2の接続端子13bを有する。第1の半導体チップ22は上面に、接続端子22aを有する。接続端子22aから配線23が引き出されている。配線23の一端は、第1の半導体チップ22上に設けられた接続端子22aに接続されている。配線23の他端は、基板13上に設けられた第2の接続端子13bに接続されている。配線23により、接続端子22aと第2の接続端子13bとが電気的に接続されている。配線23の他端は、第2の接続端子13b以外の他の接続端子に接続されていてもよい。配線23は、ボンディングワイヤーであることが好ましい。
図3は、図2に示す半導体装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図3に示す半導体装置31は、基板13Aと、硬化物層41と、第1の半導体チップ42とを備える。基板13Aは、第2の接続端子13bが設けられていないことを除いては、基板13と同様に形成されている。
基板13A上に、硬化物層41を介して、第1の半導体チップ42が積層されている。硬化物層41は、上記インクジェット用硬化性組成物を光硬化及び熱硬化させることにより形成されている。
第1の半導体チップ42は上面に、接続端子42aを有する。接続端子42aから配線43が引き出されている。配線43により、接続端子42aと第1の接続端子13aとが電気的に接続されている。
半導体装置11では、第2の半導体チップ15上に、上記硬化性組成物を、インクジェット装置から吐出して、硬化性組成物層を形成することで得ることができる。これに対して、半導体装置31は、基板13A上に、上記硬化性組成物を、インクジェット装置から吐出して、硬化性組成物層を形成することで得ることができる。
上記基板(金属層を有する場合は金属層を除く基板部分)は、絶縁性を有することが好ましく、絶縁基板であることが好ましい。上記基板は、適宜の絶縁性材料により形成される。上記基板は、合成樹脂などの有機材料により形成されていてもよく、ガラス又は絶縁性セラミックスなどの無機材料により形成されていてもよい。上記基板の具体例としては、ガラスエポキシ基板等が挙げられる。
上記半導体装置の製造方法において、上記第2の半導体チップを用いる場合に、上記硬化性組成物層を形成する前の上記第2の半導体チップが、硬化物層を介して他の基板又は他の半導体チップ上に積層されていることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(合成例1)
攪拌器、温度計、滴下ロートを備えた3つ口フラスコに、メチルセロソルブ50g、ジシアンジアミド15g、及び2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン1gを加え、100℃に加熱してジシアンジアミドを溶解させた。溶解後、ブチルグリシジルエーテル130gを滴下ロートから20分かけて滴下し、1時間反応させた。その後60℃に温度を下げ、減圧にして溶媒を除去し、黄色及び半透明の反応粘稠物を得た。得られた反応粘稠物は溶媒を含んでいなかった。
(合成例2)
攪拌器、温度計、滴下ロートを備えた3つ口フラスコに、メチルセロソルブ50g、ジシアンジアミド15g、及び2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン1gを加え、100℃に加熱してジシアンジアミドを溶解させた。溶解後、オルソクレジルグリシジルエーテル40gを滴下ロートから20分かけて滴下し、1時間反応させた。その後60℃に温度を下げ、減圧にして溶媒を除去し、黄色及び半透明の反応粘稠物を得た。得られた反応粘稠物は溶媒を含んでいなかった。
(合成例3)
オルソクレジルグリシジルエーテルの滴下量を40gから95gに変更したこと以外は合成例2と同様にして、黄色及び半透明の反応粘稠物を得た。得られた反応粘稠物は溶媒を含んでいなかった。
(実施例1)
多官能化合物(A)に相当するトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセル・オルネクス社製「IRR214−K」)85重量部と、光重合開始剤(B)に相当するα−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤(BASF社製「Irgacure 907」)5重量部と、環状エーテル基を有する化合物(C)に相当するビスフェノールA型エポキシ樹脂(新日鐵住金化学社製「YD−127」)15重量部と、合成例1で得られた反応粘稠物10重量部と、フェノール重合禁止剤とは異なる重合禁止剤(E)に相当するN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩(和光純薬工業社製「Q1300」)0.05重量部とを混合し、インクジェット用硬化性組成物を得た。
(実施例2〜22及び比較例1〜7)
配合成分の種類及び配合量を下記の表1〜3に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、インクジェット用硬化性組成物を得た。
(実施例及び比較例の評価)
(1)粘度
JIS K2283に準拠して、粘度計(東機産業社製「TVE22L」)を用いて、作製直後のインクジェット用硬化性組成物の25℃及び1rpmでの粘度η1を測定した。インクジェット用硬化性組成物の粘度η1を下記の判定基準で判定した。
[粘度の判定基準]
A:粘度η1が1200mPa・sを超える
B:粘度η1が1000mPa・sを超え、1200mPa・s以下
C:粘度η1が500mPa・sを超え、1000mPa・s以下
D:粘度η1が160mPa・s以上、500mPa・s以下
E:粘度η1が160mPa・s未満
(2)粘度上昇(保存安定性及びポットライフの長さ)
JIS K2283に準拠して、粘度計(東機産業社製「TVE22L」)を用いて、作製直後のインクジェット用硬化性組成物の25℃及び1rpmでの粘度η1を測定した。次に、作製直後のインクジェット用硬化性組成物をスクリュー型のサンプル瓶(マルエム社製、No.2)に完全に充填し、蓋をして、インクジェット用硬化性組成物が酸素に接触しない環境下で、80℃で24時間加熱した。加熱後のインクジェット用硬化性組成物の粘度η2を粘度η1と同様にして測定した。粘度上昇を下記の判定基準で判定した。
[粘度上昇の判定基準]
○○:比(η2/η1)が1以上、1.1以下
○:比(η2/η1)が1.1を超え、1.2以下
△:比(η2/η1)が1.2を超え、1.3以下
×:比(η2/η1)が1.3を超える
(3)インクジェット吐出性
紫外線照射装置付きピエゾ方式インクジェットプリンタのインクジェットヘッドから、得られたインクジェット用硬化性組成物の吐出試験を行い、下記の判断基準で評価した。なお、粘度が500mPa・s以下である硬化性組成物の吐出試験時には、ヘッド温度を80℃とし、粘度が500mPa・sを超える硬化性組成物の吐出試験時には、ヘッド温度を95℃とした。
[インクジェット吐出性の判断基準]
○○:硬化性組成物をヘッドから10時間以上連続して吐出可能であった
○:硬化性組成物をヘッドから10時間以上連続して吐出可能であるが、10時間の連続吐出の間にわずかに吐出むらが生じる
△:硬化性組成物をヘッドから連続して吐出可能であるが、10時間以上連続して吐出不可能であった
×:硬化性組成物をヘッドから吐出の初期段階で吐出不可能であった
(4)濡れ拡がり
銅箔が上面に貼り付けられている銅箔付きFR−4基板を用意した。この基板上に銅箔の表面の全体を覆うようにインクジェット用硬化性組成物を、紫外線照射装置付きピエゾ方式インクジェットプリンタのインクジェットヘッドから、ラインの幅80μmでライン間の間隔が80μmとなるように吐出して塗工し、パターン状に描画した。なお、粘度が500mPa・s以下であるインクジェット用硬化性組成物の吐出試験時には、ヘッド温度を80℃とし、粘度が500mPa・sを超えるインクジェット用硬化性組成物の吐出試験時には、ヘッド温度を95℃とした。
基板上に塗工されたインクジェット用硬化性組成物(厚み20μm)に波長365nmの紫外線を、照射エネルギーが1000mJ/cmとなるように照射した。
紫外線を照射して5分後に、パターンの濡れ拡がりを目視により観察し、濡れ拡がりを下記の基準で判定した。
[濡れ拡がりの判定基準]
○:濡れ拡がりの状態が、狙いのライン幅+75μm以下
×:描画部分から組成物層が濡れ拡がっており、ライン間の間隔が無くなっているか、又は濡れ拡がりの状態が、狙いのライン幅+75μmを超える
(5)ポットライフの長さ
5μmのメンブレンフィルターを用いて、得られたインクジェット用硬化性組成物をろ過し、ろ過したインクジェット用硬化性組成物を80℃で12時間加熱した。
銅箔が上面に貼り付けられている銅箔付きFR−4基板を用意した。基板上の銅箔上に、インクジェット用硬化性組成物を、紫外線照射装置付きピエゾ方式インクジェットプリンタのインクジェットヘッドから、ラインの幅80μmでライン間の間隔が80μmとなるように吐出して塗工し、パターン状に描画しようと試みた。このときのインクジェットヘッドからの吐出性から、ポットライフの長さを下記の判定基準で判定した。なお、粘度が500mPa・s以下である硬化性組成物の吐出試験時には、ヘッド温度を80℃とし、粘度が500mPa・sを超える硬化性組成物の吐出試験時には、ヘッド温度を95℃とした。
[ポットライフの長さの判定基準]
○○:インクジェットヘッドから組成物を吐出できた
○:吐出前に組成物の硬化がわずかに進行しているか、又は組成物の粘度がわずかに上昇しているが、インクジェットヘッドから組成物を吐出できた
△:吐出前に組成物が硬化しているか、又は組成物の粘度が上昇しており、インクジェットヘッドから組成物を吐出できなかった
×:組成物がかなり硬化している
(6)ゲル化
スクリュー型のサンプル瓶(マルエム社製、No.2)に完全に充填し、蓋をして、インクジェット用硬化性組成物が酸素に接触しない環境下で、90℃で24時間加熱することにより、ゲル化を評価した。ゲル化を下記の基準で判定した。
[ゲル化の判定基準]
○:ゲルが発生しない
×:ゲルが発生している
(7)耐熱性
銅箔が上面に貼り付けられている銅箔付きFR−4基板を用意した。基板上の銅箔上に、インクジェット用硬化性組成物を、紫外線照射装置付きピエゾ方式インクジェットプリンタのインクジェットヘッドから、ラインの幅80μmでライン間の間隔が80μmとなるように吐出して塗工し、パターン状に描画した。なお、粘度が500mPa・s以下である硬化性組成物の吐出試験時には、ヘッド温度を80℃とし、粘度が500mPa・sを超える硬化性組成物の吐出試験時には、ヘッド温度を95℃とした。
パターン状に描画されたインクジェット用硬化性組成物(厚み20μm)に波長365nmの紫外線を、照射エネルギーが1000mJ/cmとなるように照射し、一次硬化物を得た。次に、一次硬化物を150℃で60分間加熱し、本硬化させ、硬化物であるレジストパターンを得た。
得られた基板とレジストパターンとの積層体を270℃のオーブン内で5分間加熱した後、加熱後のレジストパターンの外観を目視で検査した。さらに、加熱後のレジストパターンにセロハンテープを貼り付けて、90度方向にセロハンテープを剥離した。外観検査及び剥離試験により、耐熱性を下記の基準で判定した。
[耐熱性の判定基準]
○:外観検査において加熱前後でレジストパターンに変化がなく、かつ剥離試験においてレジストパターンが基板から剥離しなかった
×:外観検査においてレジストパターンにクラック、剥離及び膨れの内の少なくとも1つがあるか、又は剥離試験においてレジストパターンが基板から剥離した
(8)絶縁信頼性(耐マイグレーション性)
IPC−B−25のくし型テストパターンBを用意した。このくし型テストパターンBを80℃に加温して、くし型テストパターンBの表面の全体を覆うようにインクジェット用硬化性組成物を、紫外線照射装置付きピエゾ方式インクジェットプリンタのインクジェットヘッドから、吐出して塗工した。なお、粘度が500mPa・s以下であるインクジェット用硬化性組成物の吐出試験時には、ヘッド温度を80℃とし、粘度が500mPa・sを超えるインクジェット用硬化性組成物の吐出試験時には、ヘッド温度を95℃とした。
塗工されたインクジェット用硬化性組成物(厚み20μm)に、高圧水銀灯を用いて、波長365nmの紫外線を、照射エネルギーが1000mJ/cmとなるように照射した。次に、一次硬化物を150℃で60分間加熱し、本硬化させ、硬化物であるレジストパターンを形成し、テストピースを得た。
得られたテストピースを、85℃及び相対湿度85%及び直流50Vを印加した条件で、500時間加湿試験を行った。加湿試験後の絶縁抵抗を測定した。
(9)長期信頼性(冷熱サイクル評価)
銅箔が上面に貼り付けられている銅箔付きFR−4基板を用意した。基板上の銅箔上に、インクジェット用硬化性組成物を、紫外線照射装置付きピエゾ方式インクジェットプリンタのインクジェットヘッドから、ラインの幅80μmでライン間の間隔が80μmとなるように吐出して塗工し、パターン状に描画した。なお、粘度が500mPa・s以下である硬化性組成物の吐出試験時には、ヘッド温度を80℃とし、粘度が500mPa・sを超える硬化性組成物の吐出試験時には、ヘッド温度を95℃とした。
パターン状に描画されたインクジェット用硬化性組成物(厚み20μm)に波長365nmの紫外線を、照射エネルギーが1000mJ/cmとなるように照射し、一次硬化物を得た。次に、一次硬化物を160℃で60分間加熱し、本硬化させ、硬化物であるレジストパターンを得た。
得られた基板とレジストパターンとの積層体を液槽式熱衝撃試験機(ESPEC社製「TSB−51」)を用いて、−40℃で5分間保持した後、120℃まで昇温し、120℃で5分間保持した後−40℃まで降温する過程を1サイクルとする冷熱サイクル試験を実施した。500サイクル後、1000サイクル後にそれぞれサンプルを取り出した。
実体顕微鏡(ニコン社製「SMZ−10」)にてサンプルを観察した。レジストパターンにクラックが生じているか否か、又はレジストパターンが基板から剥離しているか否かを観察した。長期信頼性を下記の基準で判定した。
[長期信頼性の判定基準]
○:レジストパターンにクラックが生じておらず、かつレジストパターンが基板から剥離していない
△:レジストパターンにわずかなクラックが生じているか、又はレジストパターンが基板からわずかに剥離しているが、使用上問題がない
×:レジストパターンに大きなクラックが生じているか、又はレジストパターンが基板から大きく剥離しており、使用上問題がある
(10)半導体装置のボイドの確認
FR4ガラスエポキシ基板(厚み0.3mm、市販のソルダーレジストが塗布されている、縦10mm×横10mmの半導体チップが置かれる場所が3行×9列で27か所設けられている)を用意した。半導体チップ上に、上記インクジェット用硬化性組成物を用いて、接着剤層を形成した。上記インクジェット用硬化性組成物を70℃で循環させながら、塗布する塗布工程と、第1の光照射工程(365nmを主波長とするUV−LEDランプ、100mW/cm×0.1秒)とを繰り返して30μmの接着剤層を形成し、第2の光照射工程(超高圧水銀ランプ、100mW/cm×10秒)で光硬化させた。その後、接着剤層上に、ダイボンド装置を用いて、半導体チップ(縦10mm×横10mm×厚み80μm)に見立てたシリコンベアチップを110℃で0.1MPaの条件で積層して、積層体を得た。シリコンベアチップを積層した後、光学顕微鏡(キーエンス社製「デジタルマイクロスコープVH―Z100」)を用いて、接着剤層のはみ出しが100μm未満であることを確認した。得られた積層体を160℃のオーブン内に入れ、3時間加熱することで、熱硬化させることにより、27個の半導体装置(積層構造体)を得た。
超音波探査映像装置(日立建機ファインテック社製「mi−scope hyper II」)を用いて、得られた半導体装置の接着剤層のボイドを観察し、下記の基準で評価した。
[ボイドの判定基準]
○○:ボイドがほとんど観察されなかった
○:ボイドがわずかに観察された(使用上問題がない)
×:ボイドが観察された(使用上問題あり)
(11)半導体装置の冷熱サイクル試験(接着信頼性/長期信頼性:冷熱サイクル評価)
得られた半導体装置について、液槽式熱衝撃試験機(ESPEC社製「TSB−51」)を用いて、−55℃で10分間保持した後、150℃まで昇温し、150℃で10分間保持した後−50℃まで降温する過程を1サイクルとする冷熱サイクル試験を実施した。250サイクル及び500サイクル後に半導体装置を取り出し、超音波探査映像装置(日立建機ファインテック社製「mi−scope hyper II」)を用いて、半導体装置の接着剤層の剥離を観察した。冷熱サイクル試験を下記の基準で評価した。
[冷熱サイクル試験の判定基準]
○○:剥離していない
○:わずかに剥離している(使用上問題がない)
×:大きく剥離している(使用上問題あり)
詳細及び結果を下記の表1〜3に示す。なお、(1)粘度及び(2)粘度上昇(保存安定性及びポットライフの長さ)の評価以外の評価では、加熱していないインクジェット用硬化性組成物を用いた。
Figure 0005992962
Figure 0005992962
Figure 0005992962
1…電子部品
2…第1の電子部品本体
3…接着剤層(加熱後)
4…第2の電子部品本体
11…半導体装置
12…積層構造体
13,13A…基板
13a…第1の接続端子
13b…第2の接続端子
14…硬化物層
15…第2の半導体チップ
15a…接続端子
16…配線
21…硬化物層
21A…硬化性組成物層
21B…Bステージ化硬化性組成物層
22…第1の半導体チップ
22a…接続端子
23…配線
31…半導体装置
41…硬化物層
42…第1の半導体チップ
42a…接続端子
43…配線

Claims (4)

  1. インクジェット方式により塗工され、かつ光の照射と熱の付与とにより硬化可能であるインクジェット用硬化性組成物であって、
    (メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物と、
    環状エーテル基を有する化合物と、
    ラジカル重合開始剤と、
    熱硬化剤と、
    フェノール重合禁止剤とは異なるニトロソアミン重合禁止剤とを含む、インクジェット用硬化性組成物。
  2. JIS K2283に準拠して測定された25℃及び1rpmでの粘度測定において、酸素に接触しない環境下で80℃で24時間加熱した後の粘度の、加熱前の粘度に対する比が、1.2以下である、請求項1に記載のインクジェット用硬化性組成物。
  3. JIS K2283に準拠して測定された25℃及び1rpmでの加熱前の粘度が160mPa・s以上、1200mPa・s以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット用硬化性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット用硬化性組成物を、インクジェット方式にて塗工し、パターン状に描画する工程と、
    パターン状に描画された前記インクジェット用硬化性組成物に光を照射及び熱を付与し、硬化させて、硬化物層を形成する工程とを備える、電子部品の製造方法。
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