以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(1).DPFの全体構造
まず、図1〜図3を参照しながら、排気ガス浄化装置の全体構造を説明する。図1〜図3に示す如く、排気ガス浄化装置としての連続再生式のディーゼルパティキュレートフィルタ1(以下、DPFという)を備えている。DPF1は、排気ガス中の粒子状物質(PM)等を物理的に捕集するためのものである。実施形態のDPF1は、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒2と、捕集した粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ3とを、排気ガスの移動方向(図1の左側から右側方向)に直列に並べた構造になっている。DPF1は、スートフィルタ3が連続的に再生されるように構成している。DPF1によって、排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減できる。
(2).ディーゼル酸化触媒の取付け構造
図1〜図3を参照して、ディーゼル酸化触媒2の取付け構造を説明する。図1〜図3に示す如く、後述するディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化フィルタとしてのディーゼル酸化触媒2は、耐熱金属材料製で略筒型の触媒内側ケース4内に設けられている。触媒内側ケース4は、耐熱金属材料製で略筒型の触媒外側ケース5内に設けられている。即ち、ディーゼル酸化触媒2の外側にマット状のセラミックファイバー製触媒断熱材6を介して触媒内側ケース4を被嵌させている。また、触媒内側ケース4の外側に端面I字状の薄板製支持体7を介して触媒外側ケース5を被嵌させている。なお、触媒断熱材6によってディーゼル酸化触媒2が保護される。触媒内側ケース4に伝わる触媒外側ケース5の応力(変形力)を薄板製支持体7にて低減させる。
図1〜図3に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5の一側端部に円板状の側蓋体8を溶接にて固着している。側蓋体8に座板体9を介してセンサ接続プラグ10を固着している。ディーゼル酸化触媒2の一側端面2aと左側蓋体8とをガス流入空間用一定距離L1だけ離間させて対向させる。ディーゼル酸化触媒2の左側端面2aと左側蓋体8との間に排気ガス流入空間11を形成している。触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5における排気ガス流入空間11の部位にはセンサ接続プラグ10が固着されている。なお、センサ接続プラグ10には、図示しない入口側排気ガス圧力センサや入口側排気ガス温度センサ等が接続される。
図1及び図3に示す如く、排気ガス流入空間11が形成された触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5の一側端部に楕円形状の排気ガス流入口12を開口させている。楕円形状の排気ガス流入口12は、排気ガス移動方向(前記ケース4,5の中心線方向)を短尺直
径とし、排気ガス移動方向(前記ケース4,5の円周方向)に直交する方向を長尺直径に形
成している。触媒内側ケース4の開口縁13と触媒外側ケース5の開口縁14の間に閉塞リング体15を挟持状に固着している。触媒内側ケース4の開口縁13と触媒外側ケース5の開口縁14の間の隙間が閉塞リング体15によって閉鎖される。触媒内側ケース4と触媒外側ケース5の間に排気ガスが流入するのを、閉塞リング体15によって防止している。
図1及び図3に示す如く、排気ガス流入口12が形成された触媒外側ケース5の外側面に排気ガス入口管16を配置している。排気ガス入口管16における小径側の真円形の開口端部16aに排気接続フランジ体17を溶接している。詳細は後述するが、排気接続フランジ体17は、剛体構造の連結部材86を介して、ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71に締結されている。排気ガス入口管16における大径側の真円形の開口端部16bは、触媒外側ケース5の外側面に溶接されている。排気ガス入口管16は、小径側の真円形の開口端部16aから大径側の真円形の開口端部16bに向けて末広がり形状(ラッパ状)に形成されている。
図1及び図3に示す如く、触媒外側ケース5における外側面の一側端部には、真円形に形成された大径側の開口端部16bが、排気ガス入口管16にて開口縁14を覆うように溶接されている。この場合、楕円形状の排気ガス流入口12に対して、排気ガス入口管16(大径側の開口端部16b)は、排気ガス移動下流側(触媒外側ケース5の右側)にオフセットして配置されている。すなわち、楕円形状の排気ガス流入口12は、排気ガス入口管16(大径側の開口端部16b)に対して、排気ガス移動上流側(触媒外側ケース5の左側)にオフセットされている。
上記の構成により、ディーゼルエンジン70の排気ガスが、排気マニホールド71から排気ガス入口管16に入り込み、排気ガス入口管16から排気ガス流入口12を介して排気ガス流入空間11に入り込み、ディーゼル酸化触媒2にこの左側端面2aから供給される。ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって、二酸化窒素(NO2)が生成される。
(3).スートフィルタの取付け構造
図1及び図3を参照して、スートフィルタ3の取付け構造を説明する。図1及び図3に示す如く、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化フィルタとしてのスートフィルタ3は、耐熱金属材料製で略筒型のフィルタ内側ケース20内に設けられている。内側ケース4は、耐熱金属材料製で略筒型のフィルタ外側ケース21内に設けられている。すなわち、スートフィルタ3の外側にマット状のセラミックファイバー製フィルタ断熱材22を介してフィルタ内側ケース20を被嵌させている。なお、フィルタ断熱材22によってスートフィルタ3が保護される。
図1及び図3に示す如く、触媒外側ケース5の排気ガス移動下流側(右側)の端部に触媒側フランジ25を溶接する。フィルタ内側ケース20の排気ガス移動方向の中間と、フィルタ外側ケース21の排気ガス移動上流側(左側)の端部にフィルタ側フランジ26を溶接する。触媒側フランジ25と、フィルタ側フランジ26とを、ボルト27及びナット28によって着脱可能に締結している。なお、円筒形の触媒内側ケース4の直径寸法と、円筒形のフィルタ内側ケース20の直径寸法とが略同一寸法である。また、円筒形の触媒外側ケース5の直径寸法と、円筒形のフィルタ外側ケース21の直径寸法とが略同一寸法である。
図1に示す如く、触媒側フランジ25とフィルタ側フランジ26を介して、触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21が連結された状態では、触媒内側ケース4の排気ガス移動下流側(他側)の端部に、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(一側)の端部が、センサ取付け用一定間隔L2だけ離間して対峙する。即ち、触媒内側ケース4の排気ガス移動下流側(他側)の端部と、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(一側)の端部との間に、センサ取付け空間29が形成される。センサ取付け空間29位置の触媒外側ケース5に、センサ接続プラグ50を固着している。センサ接続プラグ50には、図示しないフィルタ入口側排気ガス圧力センサやフィルタ入口側排気ガス温度センサ(サーミスタ)等が接続される。
図3に示す如く、触媒内側ケース4の排気ガス移動方向の円筒長さL3よりも、触媒外側ケース5の排気ガス移動方向の円筒長さL4を長く形成している。フィルタ内側ケース20の排気ガス移動方向の円筒長さL5よりも、フィルタ外側ケース21の排気ガス移動方向の円筒長さL6を短く形成している。センサ取付け空間29の一定間隔L2と、触媒内側ケース4の円筒長さL3と、フィルタ内側ケース20の円筒長さL5とを加算した長さ(L2+L3+L5)が、触媒外側ケース5の円筒長さL4と、フィルタ外側ケース21の円筒長さL6とを加算した長さ(L4+L6)に略等しくなるように構成している。
フィルタ外側ケース21の排気ガス移動上流側(一側)の端部から、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(一側)の端部が、それらの長さの差(L7=L5−L6)だけ突出する。即ち、触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21を連結した場合、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(一側)の端部が、オーバーラップ寸法L7だけ、触媒外側ケース5の排気ガス移動下流側(他側)に内挿される。
上記の構成により、ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)が、スートフィルタ3に一側端面3a側から供給される。スートフィルタ3に捕集されたディーゼルエンジン70の排気ガス中の捕集粒状物質(PM)が、二酸化窒素(NO2)によって、比較的低温で連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン70の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)が低減される。
なお、上記のように、エンジンが排出した排気ガスを浄化するガス浄化フィルタとして、ディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3を設けたが、ディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3に代えて、尿素(還元剤)の添加にて発生したアンモニア(NH3)によってエンジン70の排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元するNOx選択還元触媒(NOx除去触媒)と、NOx選択還元触媒から排出される残留アンモニアを取り除くアンモニア除去触媒とを設けてもよい。
上記のように、ガス浄化フィルタとして、触媒内側ケース4にNOx選択還元触媒(NOx除去触媒)を設け、フィルタ内側ケース20にアンモニア除去触媒を設けた場合、エンジンが排出した排気ガス中の窒素酸化物(NOx)が還元され、無害な窒素ガス(N2)として排出できる。
(4).消音器の取付け構造
図1〜図3を参照して、消音器30の取付け構造を説明する。図1〜図3に示す如く、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガス音を減衰させる消音器30は、耐熱金属材料製で略筒型の消音内側ケース31と、耐熱金属材料製で略筒型の消音外側ケース32と、消音内側ケース31及び消音外側ケース32の右側端部に溶接にて固着した円板状の側蓋体33とを有する。消音外側ケース32内に消音内側ケース31を設けている。なお、円筒形の触媒外側ケース5の直径寸法と、円筒形のフィルタ外側ケース21の直径寸法と、円筒形の消音外側ケース32とが略同一寸法である。
消音内側ケース31及び消音外側ケース32には、排気ガス出口管34を貫通させている。排気ガス出口管34の一端側が出口蓋体35によって閉塞されている。消音内側ケース31の内部における排気ガス出口管34の全体に多数の排気孔(図示省略)が開設されている。消音内側ケース31の内部が、前述した多数の排気孔を介して、排気ガス出口管34に連通されている。テールパイプや既設の消音部材(共に図示省略)が排気ガス出口管34の他端側に接続される。
なお、消音内側ケース31の内部は、多数の消音孔(図示省略)を介して、消音内側ケース31と消音外側ケース32との間に連通されている。消音内側ケース31と消音外側ケース32との間の空間は、側蓋体33等によって閉塞されている。消音内側ケース31の排気ガス移動上流側(一側)の端部が、薄板製支持体(図示省略)を介して、消音外側ケース32の排気ガス移動上流側(一側)の端部に連結されている。上記の構成により、消音内側ケース31内から排気ガス出口管34を介して排気ガスが排出される。
図1及び図3に示す如く、フィルタ内側ケース20とフィルタ外側ケース21の排気ガス移動下流側(他側)の端部にフィルタ側出口フランジ40を溶接する。消音外側ケース32の排気ガス移動上流側(一側)の端部に、消音側フランジ41を溶接する。フィルタ側出口フランジ40と、消音側フランジ41とを、ボルト42及びナット43によって着脱可能に締結している。なお、フィルタ内側ケース20とフィルタ外側ケース21とにセンサ接続プラグ44を固着している。センサ接続プラグ44には、図示しない出口側排気ガス圧力センサや出口側排気ガス温度センサ(サーミスタ)等が接続される。
(5).ディーゼルエンジンの吸排気構造
次に、図4〜図14を参照しながら、ディーゼルエンジン70の吸排気構造について説明する。ここで、以下の説明では、ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71側を「正面」、吸気マニホールド73側を「背面」として、これらを便宜的に、ディーゼルエンジン70における四方及び上下の位置関係の基準としている。
(5−1).第1実施形態
図4〜図9は、DPF1を排気マニホールド71の前方に配置した第1実施形態を示している。図4及び図6〜図8に示す如く、ディーゼルエンジン70におけるシリンダヘッド72の正面側に排気マニホールド71が配置されている。シリンダヘッド72の背面側には吸気マニホールド73が配置されている。シリンダヘッド72は、エンジン出力軸74(クランク軸、図7及び図8参照)とピストン(図示省略)を有するシリンダブロック75に上載されている。シリンダブロック75の左右両側面からエンジン出力軸74の左右先端部をそれぞれ突出させている。
図4〜図7に示す如く、シリンダブロック75の左側面にフライホイールハウジング78を固着している。フライホイールハウジング78内にフライホイール79を設ける。エンジン出力軸74の左先端側にフライホイール79を軸支させている。作業車両(バックホウ100やフォークリフト120等)の作動部に、フライホイール79を介してディーゼルエンジン70の動力を取り出すように構成している。
また、シリンダブロック75の下面にはオイルパン95が配置されている。オイルパン95内には潤滑油が貯留されている。オイルパン95内の潤滑油は、シリンダブロック75内における背面寄りの部位に配置されたオイルポンプ156にて吸引され、シリンダブロック75の背面に配置されたオイルクーラ163(図5及び図8参照)並びにオイルフィルタ157を介して、ディーゼルエンジン70の各潤滑部に供給される。各潤滑部に供給された潤滑油は、その後オイルパン95に戻される。オイルポンプ156はエンジン出力軸74の回転にて駆動するように構成されている。オイルクーラ163は冷却水にて潤滑油を冷却するためのものである。シリンダブロック75の背面に、オイルクーラ163を介してオイルフィルタ157が取り付けられている(シリンダブロック75の背面とオイルフィルタ157との間にオイルクーラ163が介設されている)。第1実施形態では、エンジン出力軸74を挟んで吸気マニホールド73側にオイルクーラ163が、排気マニホールド71側に後述するEGRクーラ147が配置されている。
シリンダブロック75の背面のうちオイルフィルタ157の上方(吸気マニホールド73の下方)には、シリンダブロック75内の燃焼室内に燃料を供給するための燃料噴射ポンプ158が取り付けられている。燃料噴射ポンプ158は、燃料噴射量を調整するための電子ガバナと燃料フィードポンプとを備えている。燃料フィードポンプの駆動にて、燃料タンク内の燃料が燃料フィルタを介して燃料噴射ポンプ158に送り込まれる。
シリンダブロック75の左側面前寄りの部位には、冷却水循環用の冷却水ポンプ159が配置されている。冷却水ポンプ159はエンジン出力軸74の回転にて駆動するように構成されている。作業車両に搭載されるラジエータ(図示省略)内の冷却水が、冷却水ポンプ159の上部に設けられたサーモスタットケース160を介して、冷却水ポンプ159に供給される。そして、冷却水ポンプ159の駆動にて、冷却水がシリンダヘッド72及びシリンダブロック75に形成された水冷ジャケット(図示省略)に供給され、ディーゼルエンジン70を冷却する。ディーゼルエンジン70の冷却に寄与した冷却水はラジエータ(図示省略)に戻される。
シリンダブロック75の前後両側面とフライホイールハウジング78の前後両側面とには、機関脚取付け部96がそれぞれ設けられている。各機関脚取付け部96には、防振ゴムを有する機関脚体97がボルト締結されている。ディーゼルエンジン70は、各機関脚体97を介して、作業車両(バックホウ100、フォークリフトカー120)等のエンジン取付けシャーシ81に防振支持されている。
吸気マニホールド73の入口部は、当該吸気マニホールド73の略中央部から上向きに突出している。そして、吸気マニホールド73の入口部は、後述するEGR装置91のコレクタ145を介してエアクリーナ(図示省略)に連結されている。エアクリーナに吸い込まれた新気(外部空気)は、当該エアクリーナにて除塵・浄化されたのち、コレクタ145を介して吸気マニホールド73に送られ、そして、ディーゼルエンジン70の各気筒に供給される。
図5及び図6に示すように、EGR装置91(排気ガス再循環装置)は、ディーゼルエンジン70の排気ガスの一部(排気マニホールド71からのEGRガス)と新気(エアクリーナ88からの外部空気)とを混合させて吸気マニホールド73に供給するコレクタ(EGR本体ケース)145と、エアクリーナにコレクタ145を連通させる吸気スロットル部材146と、排気マニホールド71にEGRクーラ147を介して接続される還流管路としての再循環排気ガス管148と、再循環排気ガス管148にコレクタ145を連通させるEGRバルブ部材149とを備えている。
すなわち、吸気マニホールド73と新気導入用の吸気スロットル部材146とがコレクタ145を介して接続されている。そして、コレクタ145には、排気マニホールド71から延びる再循環排気ガス管148の出口側が連通している。図6に示すように、コレクタ145は長筒状に形成されている。吸気スロットル部材146は、コレクタ145の長手方向の一端部にボルト締結されている。コレクタ145のうち吸気スロットル部材146と反対側の部位に形成された下向きの開口端部が、吸気マニホールド73の入口部に着脱可能にボルト締結されている。
第1実施形態では、再循環排気ガス管148の出口側が、EGRバルブ部材149を介してコレクタ145に連結されている。EGRバルブ部材149は、その内部にあるEGRバルブ(図示省略)の開度を調節することにより、コレクタ145へのEGRガスの供給量を調節するものである。EGRバルブ部材149の外周面から斜め下向きに突出した開口端部がコレクタ145の長手中途部に連結されている。再循環排気ガス管148の入口側は、EGRクーラ147を介して排気マニホールド71に連結されている。
図5及び図6に示すように、吸気スロットル部材146とEGRバルブ部材149とは、共通のコレクタ145に組み付けられている。換言すると、吸気スロットル部材146、コレクタ145及びEGRバルブ部材149は1つの部材としてユニット化されている。また、吸気スロットル部材146とコレクタ145とEGRバルブ部材149とは、吸気マニホールド73上に位置(露出)している。
上記の構成により、エアクリーナから吸気スロットル部材146を介してコレクタ145内に新気(外部空気)を供給する一方、排気マニホールド71からEGRバルブ149を介してコレクタ145内にEGRガス(排気マニホールド71から排出される排気ガスの一部)を供給する。エアクリーナからの新気と、排気マニホールド71からのEGRガスとが、コレクタ145内で混合された後、コレクタ145内の混合ガスが吸気マニホールド73に供給される。すなわち、ディーゼルエンジン70から排気マニホールド71に排出された排気ガスの一部が、吸気マニホールド73からディーゼルエンジン70に還流されることによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、ディーゼルエンジン70からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減される。
図4及び図6〜図8に示すように、排気マニホールド71の前方にDPF1が配置されている。この場合、排気マニホールド71の出口部はその左端部側から前向き(横向き)に突出している。DPF1における長手方向一端側と長手方向他端側とには、排気ガス入口管16と排気ガス出口管34とがそれぞれ振り分けて突設されている。排気マニホールド71における前向き突出状の出口部が、剛体構造の連結部材86を介して、DPF1の長手方向一端側にある排気ガス入口管16に着脱可能に連結されている。第1実施形態では、排気マニホールド71の出口部、連結部材86及び排気ガス入口管16の排気接続フランジ体17の三者がボルトにて共締めされている。従って、上記したDPF1は、剛体構造の連結部材86を介して高剛性の排気マニホールド71に支持される。
図4及び図6に示すように、第1実施形態のDPF1は、エンジン出力軸74と平行な方向に延びた姿勢で配置されていて、排気マニホールド71の前方において、排気ガス移動方向がエンジン出力軸74と平行な方向になるように、ディーゼルエンジン70の正面から適宜離して排気マニホールド71と対峙するように配置されている。従って、シリンダヘッド72、排気マニホールド71及び吸気マニホールド73の上面側は露出していて、メンテナンス作業をし易い状態になっている。
前述の通り、排気マニホールド71の左端部側にある出口部に、連結部材86を介して、DPF1の長手方向一端側にある排気ガス入口管16が連結することによって、DPF1は、ディーゼルエンジン70のエンジン出力軸74方向の左右幅内に収めて配置されている。その結果、ディーゼルエンジン70を吸気マニホールド73側から見ると(図5参照)、DPF1のほとんどがディーゼルエンジン70にて隠れることになる。
図6及び図7に示すように、DPF1の長手方向一端側に位置する座板体9に、支持脚体としての第1脚ブラケット19aの先端側がボルトにて着脱可能に締結されている。第1脚ブラケット19aの基端側は、シリンダヘッド72におけるフライホイールハウジング78上の左側面にボルトにて着脱可能に締結されている。また、図6及び図8に示すように、DPF1の長手方向他端寄りにあるフィルタ側出口フランジ40に、同じく支持脚体としての第2脚ブラケット19bの先端側がボルトにて着脱可能に締結されている。第2脚ブラケット19bの基端側は、シリンダヘッド72における排気マニホールド71側の正面にボルトにて着脱可能に締結されている。
排気マニホールド71の出口部とDPF1の排気ガス入口管16との間に介在させた剛体構造の連結部材86は、単に内部に排気ガスの通路を有するだけのものでもよいが、第1実施形態の連結部材86には、ディーゼルエンジン70の排気圧を調節するための排気絞り弁87(図9参照)を内蔵している。スート(すす)がスートフィルタ3に堆積したときに、連結部材86内の排気絞り弁87の作動制御にてディーゼルエンジン70の排気圧を高くして、ディーゼルエンジン70からの排気ガス温度を高温にすることによって、スートフィルタ3に堆積したスート(すす)を燃焼させることができる。その結果、スートが消失し、スートフィルタ3が再生することになる。
従って、連結部材86に排気絞り弁87を内蔵すると、負荷が小さく排気ガスの温度が低くなり易い作業(スートが堆積し易い作業)を継続して行った場合でも、排気絞り弁87による排気圧の強制上昇にてスートフィルタ3を再生でき、DPF1の排気ガス浄化能力を適正に維持できる。また、スートフィルタ3に堆積したスートを燃やすためのバーナー等も不要になる。更に、ディーゼルエンジン70始動時も、排気絞り弁87の作動制御にてディーゼルエンジン70の排気圧を高くして、ディーゼルエンジン70からの排気ガス温度を高温にすれば、ディーゼルエンジン70の暖機を促進できる。
また、連結部材86はDPF1よりも排気ガス移動方向上流側に位置するので、連結部材86に、排気絞り弁87に代えて、入口側排気ガス圧力センサや入口側排気ガス温度センサ等(いずれも図示省略)を接続するようにしてもよい。DPF1に送られる排気ガス温度を直接高めるためのヒータを、連結部材86に内蔵してもよい。なお、連結部材86の排気ガス移動方向の長さは、排気マニホールド71の出口部とDPF1の排気ガス入口管16との間の距離ができるだけ短くなるように極力短く設定するのが好ましい。
排気マニホールド71の出口部から、排気ガス入口管16を介してDPF1内に移動した排気ガスは、DPF1にて浄化されたのち、排気ガス出口管34からテールパイプ(図示省略)に移動して、最終的に機外に排出されることになる。
上記の記載並びに図6から明らかなように、エンジン70からの排気ガスを浄化する複数のガス浄化フィルタ2,3及び前記各ガス浄化フィルタ2,3を収容する複数のケース5,21,32を有する排気ガス浄化装置1と、前記エンジン70に前記排気ガス浄化装置1を支持させる支持脚体19a,19bとを備えているエンジン装置であって、前記排気ガス浄化装置1において隣り合う前記ケース21,32同士は、ボルトによって着脱可能に締結するフランジ体25,26,40,41を介して連結されており、前記フランジ体40は、前記支持脚体19bを介して前記エンジンに連結されているから、フランジ体40や支持脚体19bをケース21,32に溶接することなく別体に構成することになる。このため、溶接起因の応力集中や歪の問題を回避できる。ケース21,32に対するフランジ体40及び支持脚体19bの組付け作業性が高い。
上記の記載並びに図6から明らかなように、前記排気ガス浄化装置1は、その長手方向一端側に設けられた排気ガス入口管16から、前記エンジンの排気ガスを取り込むように構成されており、前記排気ガス浄化装置1の前記排気ガス入口管16が前記エンジン70の排気マニホールド71に連結されている一方、前記排気ガス浄化装置1の長手方向他端側にある前記フランジ体40が、前記エンジン70のシリンダヘッド72に取り付けられた前記支持脚体19bに連結されているから、排気マニホールド71と支持脚体19bとで排気ガス浄化装置1の重心を長手方向両側から挟むようにして、排気ガス浄化装置1を安定支持できる。エンジン70の高剛性部品であるシリンダヘッド72と支持脚体19bとを利用して、排気ガス浄化装置1を高剛性で且つ安定的に支持でき、振動等による排気ガス浄化装置1の損傷を抑制できる。
さて、図4及び図6〜図9に示すように、シリンダヘッド73の正面のうち排気マニホールド71の上方には、ディーゼルエンジン70の冷却水を冷媒としてEGRガスを冷却するEGRクーラ147が配置されている。詳細は省略するが、EGRクーラ147は、円筒形の外ケースと、当該外ケース内に設けられた熱交換チューブの複数個とからなる周知の構造である。各熱交換チューブの内部空間がEGRクーラ147(外ケース)のEGRガス入口部168及び出口部169に連通している。
図6〜図9に示すように、EGRクーラ147のEGRガス入口部168は、筒状のEGRガス取出し管177を介して、排気マニホールド71に連通接続されている。EGRガス出口部169は、再循環排気ガス管148の入口側に連通接続されている。再循環排気ガス管148はシリンダヘッド72の上面側に取り回されていて、その出口側がEGRバルブ部材149を介してコレクタ145に連結されている。EGRクーラ147を通過して適宜冷却されたEGRガスは、EGRガス出口部169から筒状部182内のEGRガス排出管路183を経て再循環排気ガス管148に送り込まれ、吸気マニホールド73側に供給される。
EGRクーラ147(外ケース)には、各熱交換チューブの周囲空間に連通する冷却水入口部170と冷却水出口部171とが設けられている。冷却水入口部170から外ケース内に供給された冷却水にて、各熱交換チューブの周囲を満たすことによって、各熱交換チューブ内を流通するEGRガスが熱交換され、EGRガス温度が低下する。その結果、燃焼時の黒煙(スモーク)の発生を抑制しながら燃焼温度が低く抑えられ、排気ガス中のNOx量低減効果を高めることになる。EGRクーラ147内に供給された冷却水は、冷却水出口部171から排出される。
図9に詳細に示すように、ディーゼルエンジン70の正面側(排気マニホールド71側)には、冷却水ポンプ159からEGRクーラ147に向かう冷却水流通経路172が設けられている。冷却水ポンプ159からの冷却水はディーゼルエンジン70の水冷ジャケット(図示省略)に供給されるだけでなく、一部を冷却水流通経路172に供給するように構成されている。すなわち、冷却水流通経路172は、ディーゼルエンジン70自体への冷却水系統(水冷ジャケットに向かう経路)とは別系統に構成されている。
この場合、冷却水ポンプ159から排気マニホールド71側(前面側)に突出する冷却水吐出部173(吐出ポートといってもよい)が送りパイプ174を介してEGRクーラ147の冷却水入口部170に連通接続されている。EGRクーラ147の冷却水出口部171は、戻しパイプ176を介してサーモスタットケース160に連通接続されている。従って、冷却水ポンプ159からの冷却水の一部は、EGRクーラ147からサーモスタットケース160に供給され、循環することになる。
上記の記載並びに図4及び図6〜図8から明らかなように、吸気マニホールド73及び排気マニホールド71を有するディーゼルエンジン70と、ディーゼルエンジン70からの排気ガスを浄化するためのDPF1とを備えている作業車両搭載用のエンジン装置であって、排気マニホールド71の出口部は前方(横向き)に突出しており、DPF1における長手方向一端側と長手方向他端側とに、排気ガス入口管16と排気ガス出口管34とがそれぞれ振り分けて突設されており、排気マニホールド71の出口部に排気ガス入口管16を連結して、DPF1をディーゼルエンジン70の前方(側方)に位置させている。
このため、排気マニホールド71にDPF1が至近距離で連通することになり、ディーゼルエンジン70からの排気ガスを、あまり温度低下させることなくDPF1に供給できる。従って、DPF1を適正温度に維持し易く、排気ガス浄化性能が向上する。排気ガス浄化性能が高まることから、ディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3のサイズを小さくすることが可能になり、DPF1の小型化・コンパクト化も図れる。また、排気マニホールド71の出口部に排気ガス入口管16を連結して、DPF1をディーゼルエンジン70の前方(側方)に位置させているから、ディーゼルエンジン70の高剛性部品である排気マニホールド71を利用してDPF1を高剛性に支持でき、振動等によるDPF1の損傷を抑制できる。
上記の記載並びに図6から明らかなように、排気マニホールド71の出口部とDPF1の排気ガス入口管16との間に、剛体構造の連結部材86を介在させているから、連結部材86の存在にて、排気マニホールド71とDPF1との連結強度を向上できる。従って、排気マニホールド71(連結部材86を含む)にてDPF1を強固に支持できる。
上記の記載並びに図6〜図8から明らかなように、ディーゼルエンジン70のシリンダヘッド72に、DPF1を支持する第1及び第2脚ブラケット19a,19bを備えており、DPF1は、第1及び第2脚ブラケット19a,19bを介してシリンダヘッド72に連結されていて、排気マニホールド71の前方(側方)に位置しているから、排気マニホールド71並びに第1及び第2脚ブラケット19a,19bを用いた支持によって、DPF1を排気マニホールド71の前方(側方)に高剛性で且つ安定的に連結できる。従って、振動等によるDPF1の損傷防止に高い効果を発揮する。
また、ディーゼルエンジン70の製造場所でディーゼルエンジン70にDPF1を組み込んで出荷することが可能になるから、ディーゼルエンジン70とDPF1をまとめてコンパクトに構成できるという利点もある。作業車両(バックホウ100、フォークリフトカー120)等のエンジンルームにディーゼルエンジン70を搭載するに当たって、エンジンルーム内で排気マニホールド71の前方側に余裕がある場合に、第1実施形態の構成を採用すれば好適である。
上記の記載並びに図6及び図9から明らかなように、吸気マニホールド73及び排気マニホールド71を有するディーゼルエンジン70と、冷却水循環用の冷却水ポンプ159と、排気マニホールド71から吸気マニホールド73に還流させるEGRガスを冷却するためのEGRクーラ147とを備えている作業車両搭載用のエンジン装置であって、ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71側に、冷却水ポンプ159及びEGRクーラ147が配置されており、冷却水ポンプ159とEGRクーラ147とをつなぐ冷却水流通経路172が、ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71側に配管されているから、EGRクーラ147に対する冷却水流通経路172が冷却水ポンプ159及びEGRクーラ147のある排気マニホールド71側にまとまることになる。従って、冷却水流通経路172の取り回しが容易になり、組付け作業性の向上に寄与できる。
上記の記載並びに図6及び図9から明らかなように、EGRクーラ147に対する冷却水流通経路172は、ディーゼルエンジン70自体への冷却水系統(水冷ジャケットに向かう経路)とは別系統に構成されているから、ディーゼルエンジン70の冷却に寄与した(温度が上昇した)後の高温になった冷却水がEGRクーラ147に供給されることがない。従って、冷却水の温度上昇に伴う不具合を防止でき、EGRクーラ147の冷却性能の向上を図れる。その上、平面視において、ディーゼルエンジン70のエンジン出力軸74を挟んで吸気マニホールド73側にオイルクーラ163が配置されており、排気マニホールド71側にEGRクーラ147が配置されているから、EGRクーラ147用の冷却水流通系統とオイルクーラ163用の冷却水流通系統とが、エンジン出力軸74を挟んで前後両側に振り分けられることになる。このため、それぞれの冷却水流通系統の配置が分かり易く、組付け作業性やメンテナンス性を向上できる。
上記の記載並びに図6及び図9から明らかなように、ディーゼルエンジン70からの排気ガスを浄化するためのDPF1がディーゼルエンジン70の前方(側方)に配置されており、EGRクーラ147が排気マニホールド71の上面側に配置されているから、EGR装置91関連の部材(再循環排気ガス管148やEGRクーラ147等)に対して、DPF1の搭載位置が邪魔にならず、ディーゼルエンジン70(シリンダヘッド72)の上方空間を利用して、コレクタ145やEGRクーラ147等を配置したり、再循環排気ガス管148をコンパクトに取り回したりできる。従って、更なる組付け作業性やメンテナンス性の向上を図れる。
(5−2).第2実施形態
図10及び図11は、DPF1をフライホイールハウジング78の上方に配置した第2実施形態を示している。第2実施形態は、DPF1をフライホイールハウジング78の上方に配置したという点において、第1実施形態と相違しているだけであり、その他の構成は第1実施形態と同じである。
すなわち、第2実施形態では、排気マニホールド71の出口部がその左端部側から左向き(横向き)に突出している。排気マニホールド71における左向き突出状の出口部が、剛体構造の連結部材86を介して、DPF1の長手方向一端側にある排気ガス入口管16に着脱可能に連結されている。排気マニホールド71の出口部、連結部材86及び排気ガス入口管16の排気接続フランジ体17の三者はボルトにて共締めされている。
図10及び図11に示すように、第2実施形態のDPF1は、エンジン出力軸74と直交する方向に延びた姿勢で配置されていて、フライホイールハウジング78の上方において、排気ガス移動方向がエンジン出力軸74と直交する方向になるように、ディーゼルエンジン70の左側面から適宜離してシリンダヘッド72と対峙するように配置されている。従って、第2実施形態の場合も、シリンダヘッド72、排気マニホールド71及び吸気マニホールド73の上面側は露出していて、メンテナンス作業をし易い状態になっている。
図10及び図11に示すように、DPF1の長手方向中央部に、支持脚体としての第3脚ブラケット19cの先端側が溶接等にて固定されている。第3脚ブラケット19cの基端側は、フライホイールハウジング78のDPF取付け部82に上方からのボルトにて着脱可能に締結されている。
第2実施形態のように構成した場合も、排気マニホールド71にDPF1が至近距離で連通することになるから、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。特に第2実施形態では、ディーゼルエンジン70におけるフライホイールハウジング78の上部に、DPF1を支持する支持脚体としての第3脚ブラケット19cを備えており、DPF1は、第3脚ブラケット19cを介してフライホイールハウジング78に連結されていて、フライホイールハウジング78の上方に位置しているから、排気マニホールド71(連結部材86を含む)並びに第3脚ブラケット19cbを用いた支持によって、DPF1をフライホイールハウジング78の上方(ディーゼルエンジン70の側方)に高剛性で且つ安定的に連結できる。従って、第2実施形態の構成でも、振動等によるDPF1の損傷防止に高い効果を発揮する。作業車両(バックホウ100、フォークリフトカー120)等のエンジンルームにディーゼルエンジン70を搭載するに当たって、エンジンルーム内でフライホイールハウジング78の上方側に余裕がある場合に、第2実施形態の構成を採用すれば好適である。
(5−3).第3実施形態
図12は、DPF1の排気ガス入口管16を排気マニホールド71の出口部に直結した第3実施形態を示している。第3実施形態は、DPF1をフライホイールハウジング78の上方に配置したという点において、第2実施形態と同様であるが、連結部材86を省いて、DPF1の排気ガス入口管16を排気マニホールド71の出口部に直結した点において、第2実施形態と相違している。それ以外構成は第1及び第2実施形態と同じである。第3実施形態のように構成した場合も、排気マニホールド71にDPF1が至近距離で連通することになるから、第1及び第2実施形態と同様の作用効果が得られるのである。なお、第1実施形態の構成において、連結部材86を省略してDPF1の排気ガス入口管16を排気マニホールド71の出口部に直結してもよいことは言うまでもない。
(5−4).参考例
図13及び図14は、DPF200を排気マニホールド71の上方に配置した参考例を示している。参考例は、DPF200を排気マニホールド71の上方に配置した点、EGRクーラ147を排気マニホールド71の下方に配置した点、及び、DPF200における排気ガス入口管225の形状の点において、第1〜第3実施形態と相違している。その他の構成は第1〜第3実施形態と基本的に同じである。
すなわち、参考例では、排気マニホールド71の出口部がその中央部から上向きに突出している。排気マニホールド71における上向き突出状の出口部が、剛体構造の連結部材86を介して、DPF200の長手方向中途部にある排気ガス入口管225の下向き開口端部225aに着脱可能に連結されている。排気マニホールド71の出口部、連結部材86及び排気ガス入口管225の連結フランジ体227の三者はボルトにて共締めされている。
図13に示すように、参考例のDPF200は、エンジン出力軸74と平行な方向に延びた姿勢で配置されていて、排気マニホールド71の上方において排気ガス移動方向がエンジン出力軸74と平行な方向になるように、ディーゼルエンジン70の上部から適宜離してシリンダヘッド72と対峙させて配置されている。DPF200の長手方向一端側に、第4脚ブラケット19dの先端側がボルトにて着脱可能に締結されている。第4脚ブラケット19dの基端側は、シリンダヘッド72におけるフライホイールハウジング78上の左側面にボルトにて着脱可能に締結されている。また、DPF1の長手方向他端側に、第5脚ブラケット19eの先端側がボルトにて着脱可能に締結されている。第5脚ブラケット19eの基端側は、シリンダヘッド72における排気マニホールド71側の正面にボルトにて着脱可能に締結されている。
図14に示すように、DPF200は、耐熱金属材料製のDPFケーシング201に内蔵した略筒型のフィルタケース202,203に、例えば白金等のディーゼル酸化触媒204とハニカム構造のフィルタ体であるスートフィルタ205とを直列に並べて収容した構造になっている。
DPFケーシング201の長手方向一端側には、ディーゼル酸化触媒103より排気ガス移動上流側の空間に臨む円形の排気ガス取入れ開口226が形成されている。そして、DPFケーシング201の外側面のうち長手方向一端側には、排気ガス取入れ開口226に連通する排気ガス入口管225が溶接固定されている。図14に詳細に示すように、排気ガス入口管225は上向きに開口した半割筒型に形成されている。矩形状の上向き開口端部225bは、排気ガス取入れ開口226を覆い且つDPFケーシング201の長手(前後)方向に延びるようにしてDPFケーシング201の外側面に溶接固定されている。
排気ガス入口管225のうちDPFケーシング201の長手方向中途部に当たる前端側には、排気ガス流入口である下向き開口端部225aが形成されている。下向き開口端部225aの外周部に連結フランジ体227が溶接固定されている。連結フランジ体227は、剛体構造の連結部材86を介して、排気マニホールド71における上向き突出状の出口部に締結されている。排気ガス入口管225の下向き開口端部225aは、DPFケーシング201における長手方向のほぼ中央部に位置している。このため、DPF201の排気ガス移動方向の長さは、排気ガス入口管225の下向き開口端部225aを挟んでほぼ等分される寸法になっている。
DPFケーシング201の長手方向他端側には、スートフィルタ205より排気ガス移動下流側の空間に臨む円形の排気ガス排出開口229が形成されている。そして、DPFケーシング201の外側面には、排気ガス排出開口229に連通する排気ガス出口管228が設けられている。排気ガス出口管228はテールパイプや既設の消音部材(共に図示省略)等に接続される。
(6).ディーゼルエンジンのバックホウへの搭載構造
図15及び図16を参照して、第1実施形態のディーゼルエンジン70をバックホウ100に搭載した構造を説明する。なお、第2及び第3実施形態並びに参考例のディーゼルエンジン70も、エンジンルームの大きさ・形状が許せば、バックホウ100に搭載可能であることは言うまでもない。
図15及び図16に示す如く、バックホウ100は、左右一対の走行クローラ103を有する履帯式の走行装置102と、走行装置102上に設けられた旋回機体104とを備えている。旋回機体104は、旋回用油圧モータ(図示省略)によって、360°の全方位にわたって水平旋回可能に構成されている。走行装置102の後部には、対地作業用の土工板105が昇降動可能に装着されている。旋回機体104の左側部には、操縦部106とディーゼルエンジン70とが搭載されている。旋回機体104の右側部には、掘削作業のためのブーム111及びバケット113を有する作業部110が設けられている。
操縦部106には、オペレータが着座する操縦座席108と、ディーゼルエンジン70等を出力操作する操作手段や、作業部110用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。作業部110の構成要素であるブーム111には、ブームシリンダ112とバケットシリンダ114とが配置されている。ブーム111の先端部には、掘削用アタッチメントとしてのバケット113が、掬い込み回動可能に枢着されている。ブームシリンダ112又はバケットシリンダ114を作動させて、バケット113によって土工作業(作溝等の対地作業)を実行するように構成している。
(7).ディーゼルエンジンのフォークリフトカーへの搭載構造
図17及び図18を参照して、第1実施形態のディーゼルエンジン70をフォークリフトカー120に搭載した構造を説明する。なお、第2及び第3実施形態並びに参考例のディーゼルエンジン70も、エンジンルームの大きさ・形状が許せば、フォークリフトカー120に搭載可能であることは言うまでもない。
図17及び図18に示す如く、フォークリフトカー120は、左右一対の前輪122及び後輪123を有する走行機体124を備えている。走行機体124には、操縦部125とディーゼルエンジン70とが搭載されている。ディーゼルエンジン70はカバー体133にて上方から覆われており、カバー体133上に操縦部125が設けられることになる。
走行機体124の前部側には、荷役作業のためのフォーク126を有する作業部127が設けられている。走行機体124の後部側には、作業部127との重量バランスを取るためのカウンタウェイト131が設けられている。操縦部125には、オペレータが着座する操縦座席128と、操縦ハンドル129と、ディーゼルエンジン70や作業部127用の操作手段としてのレバー及びスイッチ等が配置されている。
作業部127の構成要素であるマスト130には、フォーク126が昇降可能に装着されている。フォーク126を昇降動させて、荷物を積んだパレット(図示省略)をフォーク126に上載させ、走行機体124を前後進移動させて、前記パレットの運搬等の荷役作業を実行するように構成している。
ディーゼルエンジン70は、フライホイールハウジング78が走行機体124の前部側に位置するように配置されている。すなわち、エンジン出力軸74の向きが作業部127とカウンタウェイト131とが並ぶ前後方向に沿うように、ディーゼルエンジン70が配置されている。走行機体124を構成するエンジン取付けシャーシ81に、機関脚体97を介してディーゼルエンジン70が防振支持されている。フライホイールハウジング78の前面側にはミッションケース132が連結されている。ディーゼルエンジン70からフライホイール79を経由した動力は、ミッションケース132にて適宜変速され、前輪122及び後輪123やフォーク126の油圧駆動源に伝達されることになる。
なお、本願発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、様々な態様に具体化できる。例えば本願発明に係るエンジン装置は、前述のようなバックホウ100及びフォークリフトカー120に限らず、コンバイン、トラクタ等の農作業機やクレーン車等の特殊作業用車両のような各種作業車両に対して広く適用できる。また、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。