JP5988695B2 - 電池外装用積層体 - Google Patents
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Description
ところで、リチウムイオン電池の電解液は、水分や光に弱いという性質を有している。そのため、リチウムイオン電池用の外装材料には、ポリアミドやポリエステルからなる基材層とアルミ箔とが積層され、更に、アルミ箔の内側には、ヒートシール性の高いポリオレフィン樹脂フィルムが、熱接着性樹脂として、熱ラミネート方式により積層されている。これにより、従来の、フィルム積層体の製造方法である、ウレタン系接着剤を用いたドライラミネート方式よりも、防水性や遮光性に優れた電池外装用積層体が得られる。
また、リチウムイオン電池の内部に水分が侵入した場合、電解液が水分で分解して、強酸が発生する。この場合、電池外装用積層体の内側から発生した強酸が、積層体の部材に浸透し、その結果としてアルミ箔が強酸で腐食して劣化してしまい、電解液の液漏れが発生し、電池性能が低下するだけでなく、リチウムイオン電池が発火する恐れがある。
また、従来のアルミラミネートフィルムで深絞りに成形すると、アルミラミネートフィルムを折り重ねた際に、コーナー部(Corner)が引き伸ばされ、ついには伸びの限界に達し、最後には破断してピンホールや破れが発生することがあった。よって、アルミ箔と基材層との接着面が、引き延ばしの際の応力に屈して剥離することがあった。このような成形時の不良が発生するため、生産歩留まりが低く、リチウムイオン電池などの収納容器の生産効率が低かった。
また、前記基材層と、前記アルミ箔とは、ウレタン系接着剤などの塗布型接着剤で接着させることが望ましい。また、表面に塗布型クロメート処理を塗布された前記アルミ箔と前記最内層のポリオレフィンシーラント層とは、そのポリオレフィンシーラント層が単層又は多層となっており、アルミ箔界面側に、エポキシ基を有する熱接着性ポリオレフィン樹脂を含有するポリオレフィンシーラント最内層となっており、熱ラミネートにより接着されており、その熱ラミネート加工速度が50m/分以上であることが好ましい。
なお、N/inchは、N/25.4mmに相当する。
また、本発明の電池外装用積層体を用いて、絞り成形や張出成形によりトレーを成形した際に、ピンホールの発生が防止されると共に、基材層とアルミ箔との剥離を防止できる。そのため、収納容器の成形の際の不良発生が減少する。
また、同様の理由により、本発明の電池外装用積層体は、耐圧強度が高いので、最内層であるポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリオレフィンに極性基を導入したポリオレフィン系樹脂からなる樹脂群の中から選択された少なくとも1種のポリオレフィンシーラント層の厚みを薄くしても耐圧強度が保持できるため、エッジ部分からリチウムイオン電池内部への水分の浸入が少なくなり、リチウムイオン電池の電解液の経時劣化が減少するので電池の製品寿命が長くなる。
また、基材層が、少なくとも、アルミ箔とポリアミド樹脂フィルムとを、ウレタン系接着剤を用いてドライラミネート工法でラミネートした層であり、厚みが10〜50μmのポリアミド樹脂フィルムを使用すると、絞り成形した場合においても、ピンホールやデラミが発生しない。
図1に示すように、本発明の電池外装用積層体を用いて作成した電池外装用容器20は、電池外装用積層体10を折り重ねてリチウムイオン電池17および電極18を内包し、さらに電池外装用容器20の三方の側縁部19をヒートシールして袋状に製袋されたものである。なお、本発明に係わる電池外装用積層体を用いて製造した電池用収納容器におけるリチウムイオン電池の収納方法は、図3に示した。
また、アルミ箔12の少なくとも片面は、ポリビニルアルコール系樹脂又はポリビニルエーテル系樹脂と、フッ素化合物とを含有した溶液を塗付・乾燥して保護層14が形成されている。また、保護層14には、ポリビニルアルコール系樹脂又はポリビニルエーテル系樹脂を架橋して耐水性、防湿性、耐熱性を向上させ、更にアルミニウムの表面を不動態化する物質が含まれている。
また、この電池外装用積層体10は、JIS K7127に規定された測定方法により測定し、前記積層体の引張破断伸度が50%以上である。
ここで、引張破断伸度とは、JIS K7127に準拠し、引張速度50mm/分で測定した際に求められた引張破断伸度である。電池外装用積層体10の引張破断伸度がMD方向、TD方向のいずれも50%以上であると、電池外装用積層体10を折り重ねてもコーナー部が十分に引き伸ばされ、破断することがないので、ピンホールが発生しない。
また、基材層11とアルミ箔12とは、ウレタン系接着剤層15を介して接着され、アルミ箔12とポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリオレフィンに極性基を導入したポリオレフィン系樹脂からなる樹脂群の中から選択された少なくとも1種のポリオレフィンシーラント層からなる最内層13のポリオレフィンシーラント層のアルミ箔の界面側の面に、エポキシ基を有する熱接着性ポリオレフィン樹脂を含有するポリオレフィンシーラント層が積層されているため、熱ラミネートで接着できる。
また、アルミ箔12と前記ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリオレフィンに極性基を導入したポリオレフィン系樹脂からなる樹脂群の中から選択された少なくとも1種のポリオレフィンシーラント層からなる最内層13との接着強度が、JIS C6471に規定された測定方法により測定し、10N/inch以上である。
基材層11の厚さは、全体で18〜60μmであることが好ましく、ポリアミド樹脂フィルムの厚みが10〜50μmであること、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムの厚みが3〜16μmであることがさらに好ましい。
また本発明の電池外装用積層体は、最外層にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムを使用することで、耐熱性や耐水性、及びヒートシール時の生産性が高く、仮に生産時に最外層のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムに電解液が付着しても白化現象が起こらず、拭き取れば製品品質に影響が無いなどの優れた効果がある。
厚みが3〜16μmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムを使用すると、絞り成形性が良く、製袋時のヒートシール工程において、基材とアルミ箔との間がデラミするのを防止できる。
ポリビニルアルコール系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で製造することができる。例えば、ビニルエステル系モノマーの重合体又はその共重合体をケン化してポリビニルアルコール系樹脂を製造することができる。本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂とは、ポリビニルアルコール樹脂、及び変性ポリビニルアルコール樹脂から選ばれる少なくとも1種の水溶性樹脂のことである。ここで、ビニルエステル系モノマーの重合体又はその共重合体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステルや、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等のビニルエステル系モノマーの単独重合体又は共重合体、及びこれと共重合可能な他のモノマーの共重合体などが挙げられる。共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、アルキルビニルエーテル等のエーテル基含有モノマー、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセト酢酸アリル、アセト酢酸エステル等のカルボニル基(ケトン基)含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸類、塩化ビニルや塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、及び不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常90〜100モル%が好ましく、95モル%以上がより好ましい。
一般に入手可能な、ポリビニルアルコール系樹脂の市販品としては、日本合成化学(株)製のGポリマー樹脂(商品名)、日本酢ビ・ポパール(株)製のJ−ポバールDF−20(商品名)、日本カーバイド工業(株)製のクロスマーHシリーズ(商品名)などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂は、1種又は2種以上の混合物を用いてもよい。
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、その他、各種グリコールや多価アルコールのモノビニルエーテル等の、水酸基を有する脂肪族ビニルエーテルをモノマーに含むポリビニルエーテル系樹脂は、水溶性を有し、かつ水酸基に対する架橋反応が可能なので、本発明に好適に用いることができる。
これらのポリビニルエーテル系樹脂は、ビニルエーテルモノマーが樹脂の製造(重合)工程に利用可能であることから、ビニルエステル系ポリマーを経由して製造されるポリビニルアルコール系樹脂とは異なり、ケン化処理を経ることなく、製造可能である。また、ビニルエステル系モノマーとビニルエーテル系モノマーを含む共重合体、又はこれをケン化して得られる、ビニルアルコール−ビニルエーテル共重合体を用いることもできる。ポリビニルエーテル系樹脂以外のポリビニルアルコール系樹脂と、ポリビニルエーテル系樹脂の混合物を用いることもできる。
このアルミ箔12の表面に、保護層14を形成するには、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂(日本合成化学(株)製、商品名:Gポリマー樹脂、日本酢ビ・ポパール(株)製、商品名:J−ポバールDF−20、日本カーバイド工業(株)製、商品名:クロスマーHシリーズなど)を0.2〜6wt%、及びフッ化クロム(III)を0.1〜3wt%溶解した水溶液を用いて、乾燥後の厚みが0.01〜5μm程度となるように塗布した後、更にオーブンにて加熱乾燥及び焼き付け接着及び架橋化を行うことにより、保護層14を形成することができる。
また、本発明の電池外装用積層体によれば、アルミ箔12の少なくとも片面にポリビニルアルコール系樹脂又はポリビニルエーテル系樹脂からなる保護層14を積層しているため、アルミ箔12と最内層13とを熱ラミネートした際には、層間接着強度が非常に強いので、電池外装用積層体を用いて絞り成形や張出成形によりトレーを成形した際に、ピンホールの発生が防止されると共に、基材層11とアルミ箔12との剥離を防止できる。そのため、収納容器の成形の際の不良発生が減少する。
更に、微量の水分が、電池内部に浸入し、電解液が分解することによりフッ酸が発生したとしても、ポリビニルアルコール系樹脂又はポリビニルエーテル系樹脂は空隙が少ないので、ガスバリア性が高く、シーラント層13に沿って、発生したフッ酸を、電池の外部へ拡散させることができる。また、微量のフッ酸が、アルミ箔の表面に接触しても、アルミ箔の表面に形成されている不動態化膜により腐食が防止されて、アルミ箔とシーラント層13との層間接着の強度が保たれ、耐圧強度の保持がなされるので、電池の液漏れが発生しない。
最内層13が、ポリプロピレン樹脂(極性基を導入していないもの)を主として含む場合、最内層13に使用される極性基を導入したポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレンに極性基を導入したポリプロピレン系樹脂が好ましい。少なくとも、ポリプロピレンの分子の一部をエポキシ基に変性した重合体単独であってもよいし、さらに、最内層のアルミ箔との界面側の面に、エポキシ基を分子の一部に変性したポリプロピレンが積層されているのが好ましい。また、ポリプロピレン樹脂は、ホモポリマーでも、エチレンとの共重合体でも良く、共重合タイプとしては、ランダム共重合体でもよいし、ブロック共重合体でもよい。最内層13が、ポリエチレン樹脂(極性基を導入していないもの)を主として含む場合、少なくとも、最内層13に使用される極性基を導入したポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレンに極性基を導入したポリエチレン系樹脂が好ましく、エポキシ基変性したポリエチレンが望ましい。但し、最内層のアルミ箔との界面側の面にエポキシ基を分子の一部に変性したポリエチレンがあれば、多層構造でも構わない。
ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリオレフィンに極性基を導入したポリオレフィン系樹脂からなる樹脂群の中から選択された、少なくとも1種のポリオレフィンシーラント層からなる最内層13の厚みとしては、20〜150μmであることが好ましい。ポリプロピレン樹脂又は極性基を導入したポリプロピレン系樹脂を主として含む最内層13であると、厚みを150μm以上とするなどの過剰に厚くしなくても、電解液に対する耐食性およびヒートシール性、さらに十分な耐圧強度を保つことができるので、好ましい。特に、ヒートシールした断面からの水分の浸入を防止することにより、非水系電池やキャパシタの劣化を防止できるため、非常に有効な方法である。
接着剤層15の厚みは、3〜16μmであることが好ましい。接着剤層15の厚みが2〜10μmであると、基材層11とアルミ箔12とを十分高い接着力で接着させるのでさらに好ましく、電池外装用積層体10を絞り成形または張出成形しても、稜線部や変形部での接着が維持され、基材層11とアルミ箔12とが層間剥離することがない。
また、アルミ箔12の最内層13側の面に積層された保護層14は、ポリビニルエーテル系樹脂又はポリビニルエーテル系樹脂からなるのが好ましい。この場合、エポキシ基を含有するポリオレフィンは、特に接着強度が高く、しかも熱量が少なくてよいので、押出ラミネートや熱ラミネートにより、アルミ箔12の保護層14と最内層13とを接着させることができる。この場合、アルミ箔12またはその保護層14と、最内層13とを、その間に接着剤層を介しないで、積層させることもできる。接着剤やアンカーコート剤を介しない熱ラミネートが好ましい。
・積層体の引張破断伸度の測定方法:JIS K7127「プラスチック−引張特性の試験方法−第3部:フィルム及びシートの試験条件」に規定された測定方法により測定した。
・アルミ箔と最内層との接着強度の測定方法:JIS C6471「フレキシブルプリント配線板用銅張積層板試験方法」に規定された引き剥がし測定方法A(90°方向引き剥がし)により測定した。
・ピンホール破断発生率の測定方法:電池外装用積層体を50×50mmサイズで深さ6ないし10mmの範囲内の所定の深さの冷間成形による絞り成形品を50個成形し、目視によりピンホールの有無を確認した。
・ヒートシール時のデラミ発生数:電池外装用積層体を50×50mmサイズで深さ8mmの範囲内の所定の深さの冷間成形による絞り成形品を50個成形し、ヒートシール後に、60℃×90RH%の恒温恒湿度オープンに48時間放置して、その後、目視により、基材層とアルミ箔とのデラミの有無を確認した。
・電解液強度保持率の測定方法:作製した電池外装用積層体を用いて、50×50mm(ヒートシール幅が5mm)の4方袋に製袋して、その中にLiPF6を1mol/リットル添加したプロピレンカーボネート(PC)/ジエチルカーボネート(DEC)電解液に純水を0.5wt%添加して、それを2cc計量し、充填して包装した。この4方袋を60℃のオーブンに100時間保管後、アルミ箔とポリプロピレン(PP)樹脂フィルムとの層間接着強度(k2)を測定する。
ここで、事前に測定しておいた、電解液に暴露する前のアルミ箔とポリプロピレン(PP)樹脂フィルムとの層間接着強度(k1)と、電解液に暴露した後の層間接着強度(k2)との比率を電解液強度保持率K=(k2/k1)×100(%)とした。
(測定装置)
・引張破断伸度の測定装置:メーカ名:島津製作所、型式:AUTOGRAPH AGS‐100A引張試験装置
・接着強度の測定装置:メーカ名:島津製作所、型式:AUTOGRAPH AGS‐100A引張試験装置
厚みが12μmの延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムと、厚みが25μmの延伸ポリアミド樹脂フィルムとを、厚みが4μmのウレタン系接着剤層を用いてドライラミネートにより積層させた基材層を用意した。この基材層と、厚みが40μmのアルミ箔とを(エポキシ系接着剤を含有する)ウレタン系接着剤からなる接着剤層(厚み3μm)を介して積層した。
このアルミ箔の最内層側の面に、ポリビニルアルコール系樹脂(日本合成化学(株)製、商品名:Gポリマー樹脂)を1重量%と、フッ化クロム(III)を2重量%とを溶かした水溶液を用いて、乾燥後の厚みが0.5μmとなるように塗布し、保護層を積層した。その後、200℃のオーブンにて加熱乾燥し、保護層の樹脂を、焼き付けるのと同時に架橋反応させた。
さらに、アルミ箔に積層した保護層の上に、各々の厚みが50μmのエポキシ基変性ポリエチレン(住友化学(株)製、商品名:ボンドファースト)とLLDPEとを共押出により製膜して、2層にしたポリエチレンシーラントとを、50m/分の加工速度で熱ラミネート加工して、順に積層して最内層を形成し、実施例1の電池外装用積層体10を得た。さらに、接着強度を上げるために、この電池外装用積層体10を、50℃の熱風オーブン内に48時間保管した。
得られた実施例1の電池外装用積層体10から試験片を採取し、MD方向およびTD方向の引張破断伸度を測定した。また、この電池外装用積層体10を用いて、深さ8mmの絞り成形を50回行って、ヒートシール時のデラミ発生数を測定した。また、この実施例1の電池外装用積層体10からアルミ箔と最内層との接着強度の測定用の試験片を採取し、アルミ箔と最内層との接着強度を測定した。それらの測定結果を、表1に示す。
厚みが25μmの延伸ポリアミド樹脂フィルムと、厚みが40μmのアルミ箔とを(エポキシ系接着剤を含有する)ウレタン系接着剤からなる接着剤層(厚み3μm)を介して積層した。また、アルミ箔の最内層側の面に、ポリビニルアルコール系樹脂(日本合成化学(株)製、商品名:Gポリマー樹脂)を1重量%と、フッ化クロム(III)を2重量%とを溶かした水溶液を用いて、乾燥後の厚みが0.5μmとなるように塗布し、保護層を積層した。その後、200℃のオーブンにて加熱乾燥し、保護層の樹脂を、焼き付けるのと同時に架橋反応させた。
さらに、アルミ箔に積層した保護層の上に、厚みが50μmのエポキシ基変性ポリプロピレンを含む単層のポリオレフィンシーラントフィルム〔無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)製、品名/アドマー樹脂)に、水酸基含有エポキシ化合物(三菱化学製、品名/エピコート1001)を1.5wt%ブレンドコンパウンドして、ポリプロピレン樹脂の無水マレイン酸官能基に反応させてエポキシ基を導入したポリプロピレン樹脂を作製した後、フィルム製膜機にて、100μmに製膜したフィルムを使用〕を80m/分の加工速度で熱ラミネートした以外は実施例1と同様にして、実施例2の電池外装用積層体10を得た。得られた実施例2の電池外装用積層体について、引張破断伸度、ヒートシール時のデラミ発生数およびアルミ箔と最内層との接着強度を測定し、その結果を表1に示す。
厚みが12μmの延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムと、厚みが25μmの延伸ポリアミド樹脂フィルムとを、ウレタン系接着剤でドライラミネートした基材層を用意した。この基材層と、厚みが40μmのアルミ箔とを、(エポキシ系接着剤を含有する)ウレタン系接着剤からなる接着剤層(厚み4μm)を介して積層した。さらに、アルミ箔に積層した保護層の上に、エポキシ基変性ポリエチレン樹脂を押出しラミネート方式で押出し、ボイル用ポリエチレンシーラントを50m/分の加工速度でサンドラミした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の電池外装用積層体10を得た。得られた実施例3の電池外装用積層体について、引張破断伸度、ヒートシール時のデラミ発生数およびアルミ箔と最内層との接着強度を測定し、その結果を表1に示す。
厚みが5μmの延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムと、厚みが25μmの延伸ポリアミド樹脂フィルムと、厚みが40μmのアルミ箔とを、(エポキシ系接着剤を含有する)ウレタン系接着剤からなる接着剤層(厚み3μm)を介して積層した。また、アルミ箔の最内層側の面に、ポリビニルアルコール系樹脂(日本酢ビ・ポバール(株)製、商品名:DF−20)を3重量%と、フッ化クロム(III)を1重量%とを溶かした水溶液を、乾燥後の厚みが0.8μmとなるように塗布・乾燥し、保護層を積層した。その後、200℃のオーブンにて加熱し架橋反応させた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の電池外装用積層体を得た。得られた実施例4の電池外装用積層体について、引張破断伸度、ヒートシール時のデラミ発生数およびアルミ箔と最内層との接着強度を測定し、その結果を表1に示す。
アルミ箔に保護層を積層するための塗布液として、ポリビニルエーテル系樹脂(日本カーバイド工業(株)製、商品名:クロスマーHタイプ)を2重量%と、フッ化クロム(III)を2重量%とを溶かした水溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして、実施例5の電池外装用積層体を得た。得られた実施例5の電池外装用積層体について、引張破断伸度、ヒートシール時のデラミ発生数およびアルミ箔と最内層との接着強度を測定し、その結果を表1に示す。
厚みが12μmの延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムと、厚みが25μmの延伸ポリアミド樹脂フィルムとを、ウレタン系接着剤でドライラミネートした基材層を用意した。この基材層と、厚みが40μmのアルミ箔とを、(エポキシ系接着剤を含有する)ウレタン系接着剤からなる接着剤層(厚み4μm)を介して積層した。次に、保護層が積層されていないアルミ箔の最内層側の面に、ウレタン接着剤でポリエチレンシーラントフィルムをドライラミネートした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の電池外装用積層体10を得て、引張破断伸度、ヒートシール時のデラミ発生数およびアルミ箔と最内層との接着強度を測定した。それらの結果を表1に示す。
厚みが12μmの延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムと、厚みが25μmの延伸ポリアミド樹脂フィルムとを、ウレタン系接着剤でドライラミネートした基材層を用意した。この基材層と、厚みが40μmのアルミ箔とを、(エポキシ系接着剤を含有する)ウレタン系接着剤からなる接着剤層(厚み4μm)を介して積層した。次に、保護層が積層されていないアルミ箔の最内層側の面に、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂を押出し50m/分の加工速度で押出ラミネートし、ボイル用ポリエチレンシーラントをサンドラミした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の電池外装用積層体10を得て、引張破断伸度、ヒートシール時のデラミ発生数およびアルミ箔と最内層との接着強度を測定した。それらの結果を表1に示す。
実施例1〜5は、いずれも、アルミ箔と最内層との接着強度が10N/inch以上であるので、引張破断伸度がMD方向、TD方向のいずれも50%を超えており、ヒートシール時のデラミ発生の頻度がゼロであった。
また、実施例1〜5の電池外装用積層体を用いて、電解液強度保持率を測定した。試験結果は、実施例1の電池外装用積層体における電解液強度保持率が82%であり、実施例2の電池外装用積層体における電解液強度保持率が84%であり、実施例3の電池外装用積層体における電解液強度保持率が80%であり、実施例4の電池外装用積層体における電解液強度保持率が80%であり、実施例5の電池外装用積層体における電解液強度保持率が82%であった。つまり、実施例1〜5は、いずれも、リチウムイオン電池の電解液に対しても耐食性があった。
一方、比較例1の電池外装用積層体では、保護層が積層されていないアルミ箔と最内層シーラントとの接着が、ウレタン接着剤によるドライラミネートであるため、熱接着強度は十分で、層間強度が10N/inch以上であったが、電解液処理後において、デラミが発生した。
また、比較例2の電池外装用積層体では、保護層が積層されていないアルミ箔と最内層との接着強度が、加工速度を30m/分以上で加工すると、層間接着強度が10N/inch以下であり、接着強度が足らず、加工速度を下げなければならず、コスト的にメリットが無いことがわかった。また、保護層が積層されていないアルミ箔と最内層との接着が、無水マレイン酸変性ポリオレフィンを用いたサンドラミであるため、加工速度が低い条件で、接着強度を10N/inchにしたサンプルは、絞り成形時及び電解液処理後でも品質上の問題は無い。
厚みが25μmのポリアミド樹脂フィルム層が、3g/m2で塗布されたウレタン系接着剤層を介してアルミ箔に積層してなるアルミラミネートフィルムを用意した。このアルミラミネートフィルムのアルミ箔が表出された面に、ポリビニルアルコール系樹脂(日本合成化学(株)製、商品名:Gポリマー樹脂)を1重量%と、フッ化クロム(III)を2重量%とを溶かした水溶液を用いて、乾燥後の厚みが0.5μmとなるように塗布・乾燥し保護層を積層した。保護層の上に、エポキシ基変性ポリエチレンフィルムを60m/分の加工速度で熱ラミネーターして、その後、60℃の熱風オープンに48時間保管し、3層構成からなる実施例6の電池外装用積層体10を得た。
この実施例6の電池外装用積層体10から試験片を採取し、アルミ箔と最内層との接着強度を測定した。また、この実施例6の電池外装用積層体10を用いて、深さ8mmの絞り成形を50回行って、ピンホール破断の発生数を計測し、ピンホール破断発生率を求めた。また、この実施例6の電池外装用積層体10を用いて、深さ8mmの絞り成形を50回行って、ヒートシール時のデラミ発生数を測定した。それらの結果を表2に示す。
最内層のポリエチレン層の厚みを30μmにした以外は、実施例6と同様にして、実施例7の電池外装用積層体10を得て、アルミ箔と最内層との接着強度、ヒートシール時のデラミ発生数およびピンホール破断発生率を測定した。それらの結果を表2に示す。
厚みが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムと、厚みが25μmのポリアミド樹脂フィルム層とが、3g/m2で塗布されたウレタン系接着剤層を介して積層してなる基材層を用意した。この基材層と、アルミ箔とを、エポキシ系接着剤を含有するウレタン系接着剤層3μmを介して積層した。このアルミ箔の、接着剤層との接着面とは反対側の面に、ポリビニルアルコール系樹脂(日本合成化学(株)製、商品名:Gポリマー樹脂)を1重量%と、フッ化クロム(III)を2重量%とを溶かした水溶液を用いて、乾燥後の厚みが0.5μmとなるように塗布・乾燥し保護層を積層した。保護層の上に、酸変性ポリプロピレン系ヒートシール剤を3g/m2で塗布し、その後にポリプロピレン層40μmを50m/分の加工速度で熱ラミネートされた、4層構成からなる比較例3の電池外装用積層体10を得た。
この比較例3の電池外装用積層体10から試験片を採取し、アルミ箔と最内層との接着強度を測定した。また、この比較例3の電池外装用積層体10を用いて、深さ8mmの絞り成形を50回行って、ピンホール破断の発生数を計測し、ピンホール破断発生率を求めた。また、この比較例3の電池外装用積層体10を用いて、深さ8mmの絞り成形を50回行って、ヒートシール時のデラミ発生数を測定した。それらの結果を表2に示す。
一方、比較例3では、アルミ箔の最内層側の面に保護層を積層しているが、シーラント層(最内層)と、アルミ箔の表面に積層された保護層との界面に酸変性ポリプロピレン系ヒートシール剤を使用したため、加工速度が50m/分以上の場合、アルミ箔と最内層との接着強度が十分でなかった。
Claims (5)
- アルミ箔及び樹脂層を順に積層してなる電池外装用の積層体において、基材層と、アルミ箔と、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリオレフィンに極性基を導入したポリオレフィン系樹脂からなる樹脂群の中から選択された少なくとも1種のポリオレフィンシーラント層からなる最内層とが順に積層され、前記アルミ箔の少なくとも最内層側の面には、保護層が積層されてなり、前記保護層が、水酸基を含有するポリビニルエーテル系樹脂と、フッ素化合物とを含有し、前記フッ素化合物が、前記水酸基を含有するポリビニルエーテル系樹脂を架橋させ、且つ、アルミニウムの表面を不動態化する物質であるフッ化金属又はその誘導体であることを特徴とする電池外装用積層体。
- 前記ポリオレフィンシーラント層が単層又は多層であって、前記ポリオレフィンシーラント層の前記アルミ箔との界面側に、エポキシ基を有する熱接着性ポリオレフィン樹脂を含有するポリオレフィンシーラント層が積層されてなり、前記アルミ箔の外面に、前記基材層として、厚みが10〜50μmのポリアミド樹脂フィルム層が積層されてなる積層フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の電池外装用積層体。
- 前記フッ素化合物が、水溶性であることを特徴とする請求項1または2に記載の電池外装用積層体。
- JIS K7127に規定された測定方法により測定し、前記積層体の引張破断伸度がMD方向、TD方向のいずれも50%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電池外装用積層体。
- 前記最内層の厚みが、20〜150μmであり、かつ、前記アルミ箔と前記最内層との接着強度が、JIS C6471に規定された引き剥がし測定方法Aにより測定し、10N/inch以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電池外装用積層体。
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