JP5987364B2 - 光学ガラス - Google Patents

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Description

本発明は光学ガラスに関するものである。詳細には、各種光ディスクシステムの光ピックアップレンズ、ビデオカメラ、一般のカメラの撮影用レンズ等に好適な光学ガラスに関する。
CD、MD、DVD、その他各種光ディスクシステムの光ピックアップレンズ、ビデオカメラ、一般のカメラの撮影用レンズは、一般に以下のようにして作製される。
まず、溶融ガラスをノズルの先端から滴下して、液滴状ガラスを作製し(液滴成形)、研削、研磨、洗浄してプリフォームガラスを作製する。または、溶融ガラスを急冷鋳造して、一旦、ガラスインゴットを作製し、研削、研磨、洗浄してプリフォームガラスを作製する。続いて、プリフォームガラスを加熱して軟化し、精密加工を施した金型によって加圧成形し、金型の表面形状をガラスに転写してレンズを作製する。このような成形方法は、一般にモールドプレス成形法と呼ばれている。
モールドプレス成形法を採用する場合、金型の劣化を抑制しつつ、レンズを精密にモールドプレス成形するために、できるだけ低いガラス転移点(例えば、650℃以下)を有するガラスが求められており、種々のガラスが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
プリフォームガラスを作製する際に失透が生じると、レンズとしての基本性能が得られないことから、耐失透性に優れたガラスであることが重要である。また、環境問題への意識の高まりから、ガラス成分に鉛等の有害な物質を使用しない光学ガラスが望まれている。さらに、近年は、各種光ディスクシステムの光ピックアップレンズや、撮影用レンズといった光学レンズについて、コスト削減を目的として、レンズを薄くしたり、レンズの枚数を少なくしたりすることが検討されており、これを実現するために、高屈折率で低分散の(アッベ数の大きい)ガラス材質が求められている。
特開2003−267748号公報 特開2003−248897号公報 特開2006−16295号公報
一般に、高屈折率の光学ガラスを作製しようとすると、アッベ数が小さくなる、即ち、高分散になる傾向があり、高屈折率かつ低分散のガラスを作製することは難しいとされている。また、高屈折率かつ低分散のガラスを作製しようとすると、耐失透性が低下する傾向にある。
そこで、本発明は、(1)環境上好ましくない成分を実質的に含有しない、(2)低ガラス転移点を有する、(3)高屈折率かつ低分散である、(4)プリフォームガラス作製時の耐失透性に優れる、といった要求をすべて満足することが可能な光学ガラスを提供することを目的とする。
本発明は、ガラス組成として、質量%で、SiO 0〜21%、B 6.5〜30%、ZnO 0〜15.5%、ZrO 0〜8%、La 36.6〜65%、Gd 0〜16%、Ta 1〜18%、Nb 0〜8%未満、WO 0.1〜25%、LiO 0.1〜5%を含有し、屈折率が1.86以上であり、かつ、鉛成分、砒素成分およびF成分を実質的に含有しないことを特徴とする光学ガラスに関する。
本発明者は、種々調査を行った結果、当該ガラス組成を有する光学ガラスであれば、前記課題を解決できることを見出した。
具体的には、本発明の光学ガラスは、容易にガラス転移点を低くすることができ、低温でプレス成形可能であるため、モールドプレス成形を行った際の金型の劣化を抑制することができる。
また、前記組成範囲を有する光学ガラスであれば、屈折率が従来のガラスと同等である場合には、より低分散を達成することが可能であり、アッベ数が従来のガラスと同等である場合には、より高屈折率を達成することが可能である。このため、レンズの薄肉化や光学デバイスにおいて必要なレンズ枚数の削減が可能になり、光学デバイスの部品コストを低減することが可能になる。
さらに、本発明の光学ガラスは、プリフォームガラス作製時に透明性を阻害する失透物が生じにくいため、レンズとしての基本性能を損なうこともない。また、有害物質である鉛成分、砒素成分およびF成分を実質的に含有しないため、環境上好ましいガラスである。
なお、本発明において、「鉛成分、砒素成分およびF成分を実質的に含有しない」とは、これらの成分を意図的にガラス中に含有しないこと意味をし、不可避的不純物まで完全に排除することを意味するものではない。客観的には、不純物を含めたこれらの成分の含有量が、質量%で、各々0.1%未満であることを意味する。
第二に、本発明の光学ガラスは、さらに、ガラス組成として、質量%で、TiO 0〜10%、Y 0〜10%、Yb 0〜10%を含有することが好ましい。
第三に、本発明の光学ガラスは、La+WOが37〜80%であることが好ましい。
第四に、本発明の光学ガラスは、質量比で、La/ZrOが5以上であることが好ましい。
第五に、本発明の光学ガラスは、質量比で、(SiO+B+La)/ZrOが7以上であることが好ましい。
第六に、本発明の光学ガラスは、質量比で、La/Taが2以上であることが好ましい。
第七に、本発明の光学ガラスは、質量比で、La/Gdが3以上であることが好ましい。
第八に、本発明の光学ガラスは、質量比で、La/ZnOが3以上であることが好ましい。
第九に、本発明の光学ガラスは、質量比で、(La+Gd)/(WO+TiO+Nb)が2以上であることが好ましい。
第十に、本発明の光学ガラスは、ZrO+ZnOが15%以下であることが好ましい。
第十一に、本発明の光学ガラスは、TiO+Nbが10%未満であることが好ましい。
第十二に、本発明の光学ガラスは、モールドプレス成形用であることが好ましい。
本発明の光学ガラスは、ガラス組成として、質量%で、SiO 0〜21%、B 6.5〜30%、ZnO 0〜15.5%、ZrO 0〜8%、La 36.6〜65%、Gd 0〜16%、Ta 1〜18%、Nb 0〜8%未満、WO 0.1〜25%、LiO 0.1〜5%を含有し、屈折率が1.86以上であり、かつ、鉛成分、砒素成分およびF成分を実質的に含有しないことを特徴とする。
以下に、各成分の含有量を上記のように特定した理由を説明する。なお、特に断りがない限り、以下の説明において、「%」は「質量%」を意味する。
SiOは、ガラスの骨格を構成する成分であり、失透を抑制するとともに耐候性を向上させる効果がある。また、アッベ数を高める効果がある。SiOの含有量は0〜21%、0.5〜20%、1〜16%、特に1.5〜10%であることが好ましい。SiOの含有量が多すぎると、屈折率が低下したり、軟化点が高くなる傾向がある。一方、SiOの含有量が少なすぎると、ガラスが不安定になって耐失透性が低下する傾向がある。また、分相して、耐酸性や耐水性等の耐候性が低下する傾向がある。
は、ガラスの骨格を構成する成分であり、アッベ数を高める効果が大きい。Bの含有量は6.5〜30%、7.5〜25%、特に8.5〜20%であることが好ましい。Bの含有量が多すぎると、屈折率が低下するとともに耐候性が低下する傾向がある。一方、Bの含有量が少なすぎると、高いアッベ数が得られにくい。また、ガラスが不安定になって耐失透性が低下したり、着色度が低下する傾向がある。
SiO+Bは8〜25%以下、特に10〜20%であることが好ましい。SiO+Bが少なすぎると、液相温度が高くなりやすく、高分散特性が得られにくい。また、耐侯性も低下しやすくなる。一方、SiO+Bが多すぎると、屈折率が低下したり、軟化点が高くなる傾向がある。
なお、BはSiOに比べて、ガラス転移点を上昇させにくい。よって、B/SiOは0.5以上であることが好ましい。当該比率が小さすぎると、高屈折率かつ低軟化点の特性を達成しにくくなる。
ZnOは、屈折率やアッベ数を大きく変化させることなく、ガラス粘度を低下させる成分である。よって、ZnOを添加することにより、ガラス転移点を低下でき、モールドプレス成形温度を低下させることが可能となる。また、モールドプレス成形時に、金型と融着しにくいガラスを得ることができる。なお、ZnOは、アルカリ土類金属成分(CaO、SrO、BaO、MgO)に比べ、失透傾向が強くないため、多量に含有させても均質なガラスを得ることができる。ZnOの含有量は0〜15.5%、0.5〜12.5%、1〜10%、2〜7.5%、特に2.5〜5%であることが好ましい。ZnOの含有量が多すぎると、耐候性が低下する傾向がある。また、モールドプレス成形時の揮発が多くなり、脈理が発生しやすくなる。一方、ZnOの含有量が少なすぎると、低ガラス転移点や高屈折率が達成しにくくなる。また、モールドプレス成形時に、金型と融着しやすくなる。
ZrOは、アッベ数をほとんど低下させることなく、屈折率を高めることが可能な成分である。また、中間酸化物としてガラスの骨格を形成するため、化学的耐久性を向上させる効果もある。ZrOの含有量は0〜10%、0.1〜8%、0.5〜6%、特に1〜5%であることが好ましい。ZrOの含有量が多すぎると、ガラス転移点が上昇し、モールドプレス成形性が低下する傾向がある。また、ZrOおよびLaを主成分とする失透物、または、ZrO、GdおよびTaを主成分とする失透物が析出しやすくなる。
Laは、アッベ数をほとんど低下させることなく、屈折率を高めることができる成分である。Laは、同じく屈折率を高める効果を有するZrO、Gd、TaおよびNbに比べ、失透傾向が強くないため、多量に含有させても均質なガラスを得ることができる。Laの含有量は36.6〜65%、37〜60%、37.5〜55%、38〜50%、38.5〜45%、特に39〜42.5%であることが好ましい。Laの含有量が少なすぎると、所望の屈折率が得られにくい。一方、Laの含有量が多すぎると、ガラス成形時にBおよびLaを主成分とする失透物が生成しやすくなる。
Gdは、屈折率を高める成分である。また、耐失透性(BおよびLaで形成される失透物の抑制)を向上させる効果があり、作業温度範囲を拡大することができる成分である。Gdの含有量は0〜16%、2〜15%、特に4〜12%であることが好ましい。Gdの含有量が多すぎると、分相傾向が強くなり、均質なガラスが得られにくくなる。また、液相温度が上昇して、Gd、を主成分とする失透物が表面に析出(表面失透)しやすくなる。さらに、アッベ数が低下しやすくなる。ただし、Gdは、アッベ数を低下させる他の成分(例えば、Ta、WO、TiO等)に比べると、アッベ数の低下割合は低いと言える。
Taは、屈折率、化学的耐久性および耐失透性(BおよびLaで形成される失透物の抑制)を高める効果がある成分である。Taは、アッベ数の低下に対して、屈折率を上昇させる割合の大きい成分であり、高屈折かつ低分散の特性を得るために有効な成分である。Taの含有量は1〜18%、4〜17%、7〜17.5%、特に10〜17%であることが好ましい。Taの含有量が多すぎると、アッベ数が低下し、所望の光学特性が得られにくくなる。また、液相温度が上昇して、Taを主成分とする失透物が析出しやすくなる。さらに、コストも高くなるため、経済的観点からも好ましくない。
Nbは、屈折率を高める効果が大きい成分である。また、Taを比較的多く含有するガラスにおいては、耐失透性(La、TaおよびBで形成される失透物の抑制)を改善する働きがある。さらに、アッベ数の低下に対して、屈折率を上昇させる割合の大きい成分であり、高屈折率および低分散の特性を得るために有効な成分である。Nbの含有量は0〜8%未満、特に0.1〜5%であることが好ましい。Nbの含有量が多すぎると、NbとLaを主成分とする失透物が溶融容器等(特に白金製の部材)と溶融ガラスとの界面に析出しやすくなったり、モールドプレス成形時に、金型と融着しやすくなる。
WOは、屈折率を高める効果を有する。また、中間酸化物としてガラスの骨格を形成するため、耐失透性(BおよびLaで形成される失透物の抑制)を向上させる効果もある。さらに、アッベ数の低下に対して、屈折率を上昇させる割合の大きい成分であり、高屈折および低分散の特性を得るために有効な成分である。なお、WOは、TaおよびNbに比べ失透傾向が強くないため、多量に含有させても均質なガラスを得ることができる。WOの含有量は0.1〜25%、1〜25%、1.5〜20%、2〜17.5%、特に2〜15%であることが好ましい。WOの含有量が少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、WOの含有量が多すぎると、アッベ数が低下してしまい、所望の光学特性が得られにくくなる。また、透過率曲線の吸収端が長波長側にシフトし、短波長域における透過率が低下する傾向がある。さらに、モールドプレス成形時に、金型と融着しやすくなる傾向がある。
LiOは、アルカリ金属酸化物(R’O)のなかで、最も軟化点を低下させる効果が大きい成分である。LiOの含有量は0.1〜5%、0.2〜3%、特に0.5〜2%以下であることが好ましい。LiOは分相性が強いため、その添加量が多すぎると、液相温度が高くなり、BおよびLaを主成分とする失透物が析出しやすくなる。結果として、作業性が低下する傾向がある。また、モールドプレス成形の際に発生する揮発物が増加したり、ガラスが金型と融着しやすくなる傾向がある。
本発明の光学ガラスにおいて、高屈折率かつ低分散の特性を達成し、しかも耐失透性を向上させるためは、下記のように、各成分の合量または比率を適宜調整することが好ましい。
La+WOは37〜80%、37.5〜70%、特に38〜60%であることが好ましい。La+WOが少なすぎると、耐失透性を向上させる効果が得られにくくなり、多すぎると高屈折率特性を達成しにくくなる。
質量比で、La/ZrOは5以上、7以上、特に10以上であることが好ましい。当該比率が小さすぎると、耐失透性を向上させる効果が得られにくくなる。
SiO+B+Laは35〜75%、37.5〜70%、特に38〜65%であることが好ましい。SiO+B+Laが少なすぎると、耐失透性を向上させる効果が得られにくく、低分散かつ高透過率の特性を達成しにくくなる。また、モールドプレス成形の際に発生する揮発物が多くなったり、ガラスが金型と融着しやすくなる傾向がある。一方、SiO+B+Laが多すぎると、低ガラス転移点を達成しにくくなる。
質量比で、(SiO+B+La)/ZrOは7以上、特に10以上であることが好ましい。当該比率が小さすぎると、耐失透性を向上させる効果が得られにくくなる。
質量比で、La/Taは2以上、2.1以上、2.3以上、特に2.5以上であることが好ましい。当該比率が小さすぎると、高いアッベ数が得られにくくなったり、耐失透性を向上させる効果が得られにくくなる。
質量比で、La/Gdは3以上、特に3.5以上であることが好ましい。当該比率が小さすぎると、耐失透性を向上させる効果が得られにくくなる。
質量比で、La/ZnOは3以上、特に3.5以上であることが好ましい。当該比率が小さすぎると、耐失透性を向上させる効果が得られにくくなる。
質量比で、(La+Gd)/(Ta+WO+TiO+Nb)は2以上、特に2.5以上であることが好ましい。当該比率が大きすぎると、高いアッベ数が得られにくくなったり、耐失透性を向上させる効果が得られにくくなる。また、モールドプレス成形時に金型と融着しやすくなる。
ZnO+ZrOは1〜20%、2〜15%、特に3〜12.5%であることが好ましい。ZnO+ZrOが多すぎると、耐失透性を向上させる効果が得られにくくなり、少なすぎると、高屈折率特性を達成しにくくなる。
TiO+Nbは10%未満、7.5%以下、特に5%以下であることが好ましい。TiO+Nbが多すぎると、高いアッベ数が得られにくくなる。また、紫外域での吸収が大きくなり、透過率曲線における吸収端が長波長側にシフトするため、短波長域の透過率が低下する傾向がある。さらに、モールドプレス成形時に金型と融着しやすくなる傾向がある。
また、本発明の光学ガラスは、上記成分に加えて、TiO、YまたはYbを含有することができる。
TiOは、屈折率を高める成分である。また、液相温度を低下させ、耐失透性(BおよびLaで形成される失透物の抑制)を向上させる効果もある。さらにガラスの耐水性や耐酸性を向上させる効果がある。TiOの含有量は0〜10%、0.1〜5%、特に1〜2.5%であることが好ましい。TiOの含有量が多すぎると、アッベ数が低下しやすくなる。また、透過率曲線における吸収端が長波長側にシフトし、短波長域における透過率が低下しやすくなる。具体的には、波長390〜440nmにおける透過率が低下し、短波長用レンズとしての使用に支障をきたすおそれがある。さらに、モールドプレス成形時に、金型と融着しやすくなる。
およびYbは、アッベ数をほとんど低下させることなく、屈折率を高めることができる成分である。このため、Laとの置換により、耐失透性を改善することができる。また、分相を抑制する効果もある。YおよびYbの含有量はそれぞれ10%以下、特に8%以下であることが好ましい。YまたはYbの含有量が多すぎると、失透しやすくなり、作業温度範囲が狭くなる傾向がある。また、ガラス中に脈理が発生しやすくなる。なお、上記効果を十分に得るためには、YまたはYbを0.1%以上、特に1%以上含有することが好ましい。
さらに、上記成分以外にも、本発明の光学ガラスの特性を損なわない範囲で種々の成分を添加することができる。このような成分としては、例えば、Al、CaO、BaO、SrO、NaO、KO、清澄剤などが挙げられる。
Alは、SiOやBとともにガラスの骨格を構成する成分である。また、耐候性を向上させる効果があり、特に、ガラス中の成分が水中へ選択的に溶出することを抑制する効果が顕著である。Alの含有量は0〜10%、特に0.1〜5%であることが好ましい。Alの含有量が多すぎると、失透しやすくなる。また、溶融性が低下して、脈理や泡がガラス中に残存し、レンズ用ガラスとしての要求品位を満たさなくなるおそれがある。
CaO、BaOおよびSrOといったアルカリ土類金属酸化物(RO)は、融剤として作用するとともに、アッベ数をほとんど低下させずに屈折率を高める効果がある。ROが多くなりすぎると、溶融または成形工程中に、BおよびLaを主成分とする失透物が析出しやすくなり、液相温度が上昇して作業範囲が狭くなりやすい。その結果、量産化が困難となる傾向がある。また、耐候性が低下しやすくなり、研磨洗浄水等の各種洗浄溶液中へのガラス成分溶出量が増大したり、高温多湿状態でのガラス表面の変質が顕著になる傾向がある。よって、ROは、合量で0〜20%、0.1〜10%、特に1〜5%であることが好ましい。
なお、ROの各成分の好ましい含有量は以下の通りである。
CaOの含有量は、0〜10%、特に0.1〜5%であることが好ましい。
BaOの含有量は0〜20%、特に0.1〜5%であることが好ましい。
SrOの含有量は0〜20%、0.1〜10%、特に1〜5%であることが好ましい。
なお、屈折率を高めるために、RO成分としてMgOを添加してもよい。MgOの含有量は0〜10%、特に0.1〜5%であることが好ましい。MgOの含有量が多すぎると、失透しやすくなる。
NaOは、LiOと同様に軟化点を低下させる効果を有する成分である。NaOの含有量は0〜10%、特に0.1〜5%であることが好ましい。NaOの含有量が多すぎると、溶融時にBおよびNaOを主成分とする揮発物が多くなり、脈理の生成を助長してしまう傾向がある。また、液相温度が高くなって、BおよびLaを主成分とする失透物が析出しやすくなる。さらに、モールドプレス成形時に、揮発物の発生量が多くなったり、金型と融着しやすくなる傾向がある。
Oも、LiOと同様に軟化点を低下させる効果を有する成分である。KOの含有量は0〜10%、特に0.1〜5%であることが好ましい。KOの含有量が多すぎると、耐候性が低下しやすくなる。また、液相温度が高くなって、BおよびLaを主成分とする失透物が析出しやすくなる。さらに、モールドプレス成形時に、揮発物の発生量が多くなったり、金型と融着しやすくなる傾向がある。
清澄剤として、例えばSbやSnOを添加することができる。SbおよびSnOの含有量はそれぞれ0〜1%、0.001〜0.5%、0.01〜0.1%、特に0.01〜0.05%であることが好ましい。SbまたはSnOの含有量が多すぎると、着色したり、失透が生じたりする傾向がある。
鉛成分(例えば、PbO)、砒素成分(例えば、As)およびF成分(例えば、F)は、環境上の理由から、実質的なガラスへの導入は避けるべきである。したがって、本発明の光学ガラスは、これらの成分を実質的に含有しない。
本発明の光学ガラスの屈折率(nd)は、1.86〜1.95、特に1.87〜1.9であることが好ましい。また、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は、30〜50、32〜45、特に34〜42であることが好ましい。これらの光学定数を満たすことにより、高屈折率であり、かつ、色分散が少なく、高機能で小型の光学デバイス用の光学レンズとして好適となる。
本発明の光学ガラスのガラス転移点は650℃以下、640℃以下、特に630℃以下であることが好ましい。ガラス転移点が高すぎると、モールドプレス成形温度が高くなり、金型の酸化、ガラス成分の揮発による金型の汚染、ガラスと金型との融着等の問題が生じやすくなる。
本発明の光学ガラスの液相温度は1200℃以下、特に1150℃以下であることが好ましい。液相温度が1200℃を超えると、100.5dPa・s以上の液相粘度を達成しにくく、例えば液滴成形を行った際に失透が生じやすくなる。
本発明の光学ガラスの着色度λ70は450nm未満、440nm以下、430nm以下、特に420nm以下であることが好ましい。着色度λ70が450nm以上になると、可視域または近紫外域における透過率に劣り、各種光学レンズ等に使用することが困難となる。なお、「着色度λ70」とは、透過率曲線において、透過率が70%となる波長をいう。
着色度λ70を上記範囲に調整するためには、着色成分であるFe、Ni、Cr、Cu等の不純物の混入を抑制する、または、Nb、WO、TiO等の透過率を低下させる成分の含有量を低減することが効果的である。
次に、本発明の光学ガラス、および、当該光学ガラスを用いた光ピックアップレンズや撮影用レンズ等を製造する方法を説明する。
まず、所望の組成になるようにガラス原料を調合した後、ガラス溶融炉中で溶融する。次に、溶融ガラスをノズルの先端から滴下して、冷却しながら成形し、プリフォームガラスを得る。または、溶融ガラスを急冷鋳造して、一旦、ガラスブロックを作製し、研削、研磨、洗浄して、プリフォームガラスを得る。
続いて、精密加工を施した金型中にプリフォームガラスを投入し、軟化状態となるまで加熱しながら加圧成形し、金型の表面形状をガラスに転写させる(モールドプレス成形)。このようにして、光ピックアップレンズや撮影用レンズを得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1〜6は、本発明の実施例(No.1〜42、46〜53)および比較例(No.43〜45)をそれぞれ示している。
各試料は次のようにして調製した。
まず、表に示す各組成になるようにガラス原料を調合し、白金ルツボを用いて1300〜1450℃で3時間溶融した。溶融後、ガラス融液をカーボン板上に流し出し、さらにアニール後、各測定に適した試料を作製した。
得られた試料について、屈折率(nd)、アッベ数(νd)、ガラス転移点(Tg)、液相温度(Tl)、着色度λ70を測定した。結果を表1〜6に示す。
なお、屈折率は、ヘリウムランプのd線(587.6nm)に対する測定値で示した。
アッベ数は上記したd線の屈折率と水素ランプのF線(486.1nm)、同じく水素ランプのC線(656.3nm)の屈折率の値を用い、アッベ数(νd)=[(nd−1)/(nF−nC)]式から算出した。
ガラス転移点は、熱膨張測定装置(dilato meter)にて測定される値によって評価した。
液相温度は、電気炉で1350℃−0.5時間の条件でガラスを再溶融後、温度勾配を有する電気炉で16時間保持した後、電気炉から取り出して空気中で放冷し、光学顕微鏡で失透物の析出位置を求めることで測定した。
着色度λ70は、厚さ10mm±0.1mmの光学研磨されたガラス試料について、分光光度計を用いて、200〜800nmの波長域での透過率を0.5nm間隔で測定し、透過率70%を示す波長により評価した。
耐水性及び耐酸性は、JOGIS(日本光学ガラス工業会規格:粉末法)06−1999に準拠した耐水性及び耐酸性試験後のガラスの重量減により評価した。耐水性については0.10%以下、耐酸性については0.35%以下であれば、良好と判断できる。
表1〜6から明らかなように、実施例である試料No.1〜42、46〜53のガラスは、屈折率が1.8527〜1.9267、アッベ数が33.9〜43.2と所望の光学特性を有しており、ガラス転移点が648℃以下と低く、モールドプレス成形に適したものであった。また、液相温度が1200℃以下と低いため、液滴成形にも好適である(失透が生じにくい)と考えられる。さらに、着色度λ70が415nm以下であり、可視域および近紫外域の透過特性に優れていることがわかる。
一方、比較例である試料No.43のガラスは、屈折率が1.7910と低く、所望の光学特性を満たしていなかった。試料No.44のガラスは、ガラス転移点が690℃と高く、モールドプレス成形に適していなかった。また、着色度λ70が450nmと高く、可視域および近紫外域の透過特性に劣っていた。試料No.45のガラスは、液相温度が1260℃と高いため、耐失透性に劣り、液滴成形に適さない(失透が生じやすい)と考えられる。
本発明の光学ガラスは、CD、MD、DVD、その他各種光ディスクシステムの光ピックアップレンズ、ビデオカメラ、一般のカメラの撮影用レンズ等に使用されるモールドプレス成形用硝材として好適である。また、モールドプレス成形以外の方法で成形される硝材として使用することも可能である。

Claims (13)

  1. ガラス組成として、質量%で、SiO 0〜21%、B 6.5〜30%、ZnO 0.5〜12.5%、ZrO 0〜8%、La 36.6〜65%、Gd 0〜16%、Ta 1〜16.6%、Nb 0〜8%未満、WO 0.1〜16%、LiO 0.1〜5%、Y 0〜2.7%、ZrO+ZnO 14.6%以下を含有し、屈折率が1.86以上、アッベ数(νd)が30〜50、ガラス転移点が650℃以下であり、かつ、鉛成分、砒素成分およびF成分を実質的に含有しないことを特徴とする光学ガラス。
  2. 液相温度が1200℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学ガラス。
  3. 着色度λ70が450nm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学ガラス。
  4. さらに、ガラス組成として、質量%で、TiO 0〜10%、Yb 0〜10%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学ガラス。
  5. La+WOが37〜80%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学ガラス。
  6. 質量比で、La/ZrOが5以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学ガラス。
  7. 質量比で、(SiO+B+La)/ZrOが7以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学ガラス。
  8. 質量比で、La/Ta2.3以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学ガラス。
  9. 質量比で、La/Gdが3以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学ガラス。
  10. 質量比で、La/ZnOが3以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光学ガラス。
  11. 質量比で、(La+Gd)/(WO+TiO+Nb)が20以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光学ガラス。
  12. TiO+Nbが10%未満であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の光学ガラス。
  13. モールドプレス成形用であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の光学ガラス。
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