JP5986685B2 - タッチパネルシステム及び電子情報機器 - Google Patents
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Description
本発明は、投影型の静電容量方式等のタッチパネルを備えたタッチパネルシステムや、当該タッチパネルシステムを備えた電子情報機器、タッチパネルシステムの動作方法に関する。
近年、タッチパネルの検出面に接触または近接する指示体(例えば、ユーザの指やスタイラスペンなど、以下同じ)の位置を検出することによって、ユーザの指示を受け付けるタッチパネルシステムが、携帯電話やパソコンなどの電子情報機器に搭載されることが多くなってきている。特に、マルチタッチが可能な投影型の静電容量方式のタッチパネルが、電子情報機器に搭載されることが多くなってきている。
投影型の静電容量方式のタッチパネルシステムは、検出面に沿って設けられた電極間または配線間の静電容量(以下、単に「容量」と称する)を電気信号として出力するタッチパネルを備え、当該電気信号の処理により容量の変化を認識することで、検出面上に接触または近接する指示体の有無及び位置を検出する。そのため、容量を変化させ得る指示体以外の物体(例えば、水)が検出面上に存在したり、電磁波を生じるノイズ源(例えば、電子情報機器が備える表示装置や電源)がタッチパネルの付近に存在したりすることで、タッチパネルが出力する電気信号にノイズが混入すると、指示体を精度良く検出することができなくなってしまう。
特に、タッチパネルシステムが、電気信号のノイズによる変動を、指示体による容量の変化であると誤認識すると、ユーザが意図しない指示がタッチパネルシステムを介して電子情報機器に入力され、電子情報機器が意図せずON/OFFするなど、暴走することがあり得る。そして、この電子情報機器の暴走は、雨や霧の中で電子情報機器が使用されたり、電子情報機器の操作中にユーザがくしゃみや咳をしたりするなど、日常的な場面でも発生し得る。
そこで、特許文献1では、予め設定した数よりも多い指示体が検出される場合や、予め設定した大きさよりも大きい領域内で指示体の接触が検出される場合に、タッチパネルが水濡れしていると判定して、タッチパネルを無効化するタッチパネルシステムが提案されている。
しかしながら、特許文献1で提案されているタッチパネルシステムでは、タッチパネルの検出面に対して多量の水が付着しない限り、水濡れした状態であることを検出することができない。そのため、このタッチパネルシステムでは、例えば1個または少数の水滴がタッチパネルの検出面に付着するなど、日常的に生じる蓋然性が高い状況におけるノイズについては、検出することができない。
さらに、このタッチパネルシステムでは、タッチパネルが水濡れした状態であることが検出されると、その後はタッチパネルからの入力を受け付けない。そのため、ユーザは、タッチパネル以外の操作手段によって電子機器を操作しなければならず、タッチパネルシステム及び当該タッチパネルシステムを備えた電子機器の使い勝手が悪いものとなる。
そこで、本発明は、液体の付着等に起因したノイズによって誤って検出される位置と、指示体の位置と、を精度良く区別することで、当該ノイズが発生する状況であってもユーザによるタッチパネルの操作を受け付けることが可能なタッチパネルシステムと、当該タッチパネルシステムを備えた電子情報機器と、液体の付着等に起因したノイズによって誤って検出される位置と、指示体の位置と、を精度良く区別することで、当該ノイズが発生する状況であってもユーザによるタッチパネルの操作を受け付けることが可能なタッチパネルシステムの動作方法と、を提供する。
上記目的を達成するため、本発明は、検出面に沿って互いに平行に設けられる複数のドライブラインと、前記検出面に沿って互いに平行に設けられるとともに前記ドライブラインと立体交差する複数のセンスラインと、を備えるタッチパネルと、前記ドライブラインにドライブ信号を与えて駆動するドライブライン駆動部と、前記ドライブラインの駆動により前記センスラインに表れる、前記検出面の各位置に接触または近接する指示体の有無に対応した強度のセンス信号を取得して処理することで、前記検出面の各位置に接触または近接する前記指示体の有無を、前記検出面の各位置に対応する各信号値の大きさでそれぞれ表した検出対象信号を生成するセンス信号処理部と、前記検出対象信号の前記各信号値に基づいて、前記検出面に接触または近接する指示体の位置である指示***置を検出する指示***置検出部と、を備え、前記指示***置検出部は、第1閾値を超える前記検出対象信号の信号値に対応する前記検出面の位置である選択候補位置の中から、前記第1閾値を超えるが第2閾値は超えない前記検出対象信号の信号値に対応する前記検出面の位置である除外候補位置であって周囲の第1範囲内に他の前記除外候補位置が存在する位置である非指示***置を、除外して、前記指示***置を検出することを特徴とするタッチパネルシステムを提供する。
さらに、上記特徴のタッチパネルシステムにおいて、前記検出面に液体が付着したとき、当該液体の周縁部となる前記検出面の位置の少なくとも一部に対応する前記検出対象信号の信号値が、前記第1閾値を超えるが前記第2閾値を超えないように、前記第1閾値及び前記第2閾値がそれぞれ設定されていると、好ましい。
さらに、上記特徴のタッチパネルシステムにおいて、前記検出面に指が接触したとき、当該指が接触した前記検出面の位置に対応する前記検出対象信号の信号値が、前記第2閾値を超えるように、前記第2閾値が設定されていると、好ましい。
さらに、上記特徴のタッチパネルシステムにおいて、前記検出面にスタイラスペンが接触したとき、当該スタイラスペンが接触した前記検出面の位置に対応する前記検出対象信号の信号値が、前記第1閾値を超えるが前記第2閾値を超えなくてもよい。
さらに、上記特徴のタッチパネルシステムにおいて、前記第1範囲が、前記除外候補位置から第1距離以内となる範囲であると、好ましい。
さらに、上記特徴のタッチパネルシステムにおいて、前記ドライブラインがX方向に沿って延びるとともに、前記センスラインがY方向に沿って延び、前記第1範囲が、前記除外候補位置から前記X方向について第1X距離以内かつ前記Y方向について第1Y距離以内となる範囲であり、前記第1X距離が前記第1Y距離よりも短くてもよい。
さらに、上記特徴のタッチパネルシステムにおいて、前記センス信号処理部が、前記検出面の各位置に対応する前記各信号値を一通り含む前記検出対象信号を生成する期間を、1フレームとするとき、前記指示***置検出部は、前記指示***置の中で、連続する前後の2フレームで第2距離以内に収まる状態が所定数のフレーム以上継続している位置を残し、それ以外の位置を前記指示***置から除外すると、好ましい。
また、本発明は、上記のタッチパネルシステムを備えたことを特徴とする電子情報機器を提供する。
また、本発明は、検出面に沿って互いに平行に設けられる複数のドライブラインと、前記検出面に沿って互いに平行に設けられるとともに前記ドライブラインと立体交差する複数のセンスラインと、を備えるタッチパネルを有するタッチパネルシステムの動作方法であって、前記ドライブラインにドライブ信号を与えて駆動することで前記センスラインに表れる、前記検出面の各位置に接触または近接する指示体の有無に対応した強度のセンス信号を取得して処理することで、前記検出面の各位置に接触または近接する前記指示体の有無を、前記検出面の各位置に対応する各信号値の大きさでそれぞれ表した検出対象信号を生成する検出対象信号生成動作と、第1閾値を超える前記検出対象信号の信号値に対応する前記検出面の位置である選択候補位置を検出する選択候補位置検出動作と、前記第1閾値を超えるが第2閾値は超えない前記検出対象信号の信号値に対応する前記検出面の位置である除外候補位置を検出する除外候補位置検出動作と、前記除外候補位置であって周囲の第1範囲内に他の前記除外候補位置が存在する位置である非指示***置を検出する非指示***置検出動作と、前記選択候補位置の中から前記非指示***置を除外して、前記検出面に接触または近接する指示体の位置である指示***置を検出する指示***置検出動作と、が実行されることを特徴とするタッチパネルシステムの動作方法を提供する。
上記特徴のタッチパネルシステムによれば、非指示***置と指示***置とを精度良く区別することが可能であるため、液体の付着等に起因したノイズが発生する状況であっても、ユーザによるタッチパネルの操作を受け付けることが可能となる。
<<タッチパネルシステム>>
<全体構造例及び全体動作例>
以下、本発明の実施形態に係るタッチパネルシステムについて、図面を参照して説明する。最初に、本発明の実施形態に係るタッチパネルシステムの全体的な構造及び動作の一例について、図面を参照して説明する。
<全体構造例及び全体動作例>
以下、本発明の実施形態に係るタッチパネルシステムについて、図面を参照して説明する。最初に、本発明の実施形態に係るタッチパネルシステムの全体的な構造及び動作の一例について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るタッチパネルシステムの全体的な構造の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、タッチパネルシステム1は、タッチパネル10と、ドライブライン駆動部20と、センス信号処理部30と、指示***置検出部40と、制御部50と、記憶部60と、を備える。
タッチパネル10は、検出面Pに沿って互いに平行に設けられる複数のドライブラインDLと、検出面Pに沿って互いに平行に設けられるとともにドライブラインDLと交差する複数のセンスラインSLと、を備える。ドライブラインDLは、X方向(図中上下方向)に沿って延びるように設けられている。一方、センスラインSLは、X方向に対して垂直なY方向(図中左右方向)に沿って延びるように設けられている。即ち、図1に示すタッチパネルシステム1では、ドライブラインDL及びセンスラインSLが、垂直に交差する。なお、ドライブラインDL及びセンスラインSLは、垂直以外の角度で交差してもよい。
図2は、図1のタッチパネルが備えるドライブライン及びセンスラインの構造の一例について示す平面図及び回路図である。図2(a)は、タッチパネル10が備えるドライブラインDL及びセンスラインSLの構造について示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)の等価回路を示す回路図である。
図2(a)及び図2(b)に示すように、ドライブラインDLは、センスラインSLと交差する部分を除いて局所的に面積が大きくなるドライブラインパッド部DLPを備える。同様に、センスラインSLは、ドライブラインDLと交差する部分を除いて局所的に面積が大きくなるセンスラインパッド部SLPを備える。
ドライブラインDL及びセンスラインSLが交差する部分では、ドライブラインDLとセンスラインSLとの間に容量Cが形成される。なお、図2(a)に例示する構造では、主として隣接するドライブラインパッド部DLP及びセンスラインパッド部SLPの間(即ち、交差するドライブラインDL及びセンスラインSLの間)で、容量Cが形成される。なお、ドライブラインDLにドライブラインパッド部DLPが設けられず、センスラインSLにセンスラインパッド部SLPが設けられなくてもよい。この場合でも、ドライブラインDL及びセンスラインSLの交差部分において、容量Cが形成される。
図3は、タッチパネルの電界の状態を示す模式図である。図3(a)は、検出面P上に指示体が存在しない場合の模式図であり、図3(b)は、検出面P上に指示体(指F)が存在する場合の模式図である。なお、図3(a)及び図3(b)のそれぞれにおいて、電気力線(静電力線)を矢印で示している。また、図3(a)及び図3(b)では、図示の簡略化のため、ドライブラインパッド部DLP及びセンスラインパッド部SLPが、同一平面に存在するように図示しているが、これらは異なる平面に存在していてもよい。
図3(b)に示すように、検出面Pに指Fを接触または近接させると、指Fを含む人体は、接地された物体(即ち、シールド)として振る舞う。そのため、図3(b)に示すように、検出面P上に指Fを接触または近接させると、図3(a)に示すような検出面P上に指Fが存在しない場合と比較して、ドライブラインDL及びセンスラインSLが形成する容量が小さくなる。なお、ドライブラインDLにドライブラインパッド部DLPが設けられず、センスラインSLにセンスラインパッド部SLPが設けられない場合であっても、容量Cは同様に変化する。
ドライブライン駆動部20は、複数のドライブラインDLに対して、信号電圧の組み合わせが所定の順番で変動するドライブ信号Diを、繰り返し与えて駆動する。これにより、センスラインSLに、ドライブラインDL及びセンスラインSLが形成する容量に対応した強度のセンス信号Siが表れる。
センス信号処理部30は、センスラインSLに表れるセンス信号Siを取得して処理することで、検出対象信号Biを生成する。検出対象信号Biは、検出面Pの各位置に接触または近接する指示体の有無を、検出面Pの各位置に対応する各信号値の大きさでそれぞれ表した信号である。具体的に、図1に例示するタッチパネルシステム1において生成される検出対象信号Biは、ドライブラインDLとセンスラインSLとが形成する容量の面内分布を示す信号となる。
指示***置検出部40は、検出対象信号Biに基づいて、検出面Pに接触または近接する指示体の位置(以下、「指示***置」という)を検出し、その検出結果を示す検出結果信号Tiを生成する。具体的に、指示***置検出部40は、検出対象信号Biの各信号値によって表される容量の面内分布について、容量が変動している検出面P内の位置を検出することによって、指示***置を検出する。
検出結果信号Tiには、検出された指示体の数や、それぞれの指示***置、それぞれの指示体の検出面Pに対する接触または近接の程度を示すデータ、指示***置の動き(前に検出された指示***置との関連性)を示すデータなどが含まれ得る。そして、この検出結果信号Tiは、例えばタッチパネルシステム1を備える電子情報機器において、ユーザの指示を示す信号として利用される。
制御部50は、ドライブライン駆動部20と、センス信号処理部30と、指示***置検出部40と、の動作をそれぞれ制御する。なお、図1において、指示***置検出部40と制御部50とを別体として表しているが、指示***置検出部40は、制御部50の一部を成すものであってもよい。
記憶部60は、センス信号処理部30、指示***置検出部40及び制御部50が演算処理をする際に必要となるデータを、一時的に記憶する。例えば、指示***置検出部40が、検出対象信号Biの他に過去の指示***置を利用して現在の指示体の位置を検出する場合や、指示***置の動き(前に検出された指示***置との関連性)を示すデータを検出結果信号Tiに含める場合、記憶部60が、過去(例えば、直近)に指示***置検出部40が検出した指示体の位置を示すデータを一時的に記憶するとともに、当該データを指示***置検出部40に対して与えてもよい。なお、図1において、1つの記憶部60が、センス信号処理部30、指示***置検出部40及び制御部50のそれぞれのデータを記憶するものとして表しているが、センス信号処理部30、指示***置検出部40及び制御部50の少なくとも1つが、独立した記憶部を備えてもよい。
<タッチパネルの駆動方法とセンス信号の処理方法>
次に、上述したタッチパネルシステム1の各部の具体的な動作例について、図面を参照して説明する。最初に、ドライブライン駆動部20によるタッチパネル10の駆動方法のと、センス信号処理部30によるセンス信号の処理方法について、図面を参照して説明する。なお、以下では説明の具体化のため、ドライブライン駆動部20が、タッチパネル10を直交並列駆動する場合について例示する。
次に、上述したタッチパネルシステム1の各部の具体的な動作例について、図面を参照して説明する。最初に、ドライブライン駆動部20によるタッチパネル10の駆動方法のと、センス信号処理部30によるセンス信号の処理方法について、図面を参照して説明する。なお、以下では説明の具体化のため、ドライブライン駆動部20が、タッチパネル10を直交並列駆動する場合について例示する。
図4及び図5を参照して、タッチパネル10の直交並列駆動について説明する。図4は、タッチパネルの直交並列駆動について説明する図である。また、図5は、タッチパネルを直交並列駆動する場合における容量分布信号の復号方法について説明する図である。なお、図4では説明の簡略化のために、1本のセンスラインSL1と、4本のドライブラインDL1〜DL4のみを示している。また、センスラインSL1とドライブラインDL1〜DL4のそれぞれとが成すそれぞれの容量を、C11〜C41とする。
図4の上側のブロック図に示すように、センス信号処理部30は、増幅部31と、容量信号生成部32と、検出対象信号生成部33と、を備える。増幅部31は、センスラインSL1が接続される反転入力端子(−)と出力端子とが増幅容量Cintを介して接続されるとともに、非反転入力端子(+)が接地電圧(GND)となるオペアンプによって構成されている。また、容量信号生成部32は、増幅部31の出力端子の電圧値VoutをAD(Analog to Digital)変換した上で所定の演算を行うことにより容量C11〜C41に対応した変換値Ctを得て、当該変換値Ctを復号して容量分布信号Aiを生成するように構成されている。
また、図4の下側の表に示すように、タッチパネル10の直交並列駆動では、ドライブラインDL1〜DL4に対して、信号電圧「1」(正の電圧、+V)及び「−1」(負の電圧、−V)を成分として有するドライブ信号Diが与えられる。本例では、ドライブラインDL1〜DL4に対して与えられるドライブ信号Diは、「1」及び「−1」の組み合わせが、図4の下側の表に示す順番で変動するとともに、繰り返されるものとなる(例えば、1回目、2回目、3回目、4回目、1回目、2回目、・・・)。
直交並列駆動では、ドライブラインDL1〜DL4の駆動によって、ドライブラインDL1〜DL4のそれぞれに正または負の電荷が蓄積される。そのため、センスラインSL1には、全ての容量C11〜C41を加算または減算して組み合わせた値に対応した電圧値のセンス信号Siが表れ、増幅部31の出力端子の電圧値Voutも、容量C11〜C41を加算または減算して組み合わせた値に対応した値となる。
具体的に、1回目の駆動では、ドライブラインDL1〜DL4の全てに対して「1」が与えられるため、増幅部31の出力端子の電圧値Voutは、Vout=(C11+C21+C31+C41)・V/Cintとなる。このとき、電圧V及び増幅容量Cintが既知であるため、容量信号生成部32は、電圧値Voutに対して簡単な演算を行う(Cint/Vを乗じる)だけで、容量C11〜C41を加算または減算して組み合わせた変換値Ctを得ることができる。この1回目の駆動では、容量信号生成部32が演算を行うと、C11+C21+C31+C41を示す変換値Ctが得られる。
また、2回目の駆動では、ドライブラインDL1,DL3に対して「1」が与えられ、ドライブラインDL2,DL4に対しては「−1」が与えられるため、増幅部31の出力端子の電圧値Voutは、Vout=(C11−C21+C31−C41)・V/Cintとなる。そして、容量信号生成部32の演算によって、C11−C21+C31−C41を示す変換値Ctが得られる。
また、3回目の駆動では、ドライブラインDL1,DL2に対して「1」が与えられ、ドライブラインDL3,DL4に対しては「−1」が与えられるため、増幅部31の出力端子の電圧値Voutは、Vout=(C11+C21−C31−C41)・V/Cintとなる。そして、容量信号生成部32の演算によって、C11+C21−C31−C41を示す変換値Ctが得られる。
また、4回目の駆動では、ドライブラインDL1,DL4に対して「1」が与えられ、ドライブラインDL2,DL3に対しては「−1」が与えられるため、増幅部31の出力端子の電圧値Voutは、Vout=(C11−C21−C31+C41)・V/Cintとなる。そして、容量信号生成部32の演算によって、C11−C21−C31+C41を示す変換値Ctが得られる。
上記のようにして得られた変換値Ctから、それぞれの容量C11〜C41を求めるためには、図5に示すような変換値Ctの復号が必要となる。なお、図5では、4本のセンスラインSL1〜SL4と、ドライブラインDL1〜DL4と、が形成する容量C11〜C44をそれぞれ求める場合について説明するが、ドライブラインDL1〜DL4に与えられるドライブ信号Diは、図4と同様である。
また、図5(a)に示すように、センスラインSL1とドライブラインDL1〜DL4とが形成する容量をC11〜C41、センスラインSL2とドライブラインDL1〜DL4とが形成する容量をC12〜C42、センスラインSL3とドライブラインDL1〜DL4とが形成する容量をC13〜C43、センスラインSL4とドライブラインDL1〜DL4とが形成する容量をC14〜C44とする。さらに、1回目〜4回目の駆動時におけるセンスラインSL1の変換値をCt11〜Ct41、1回目〜4回目の駆動時におけるセンスラインSL2の変換値をCt12〜Ct42、1回目〜4回目の駆動時におけるセンスラインSL3の変換値をCt13〜Ct43、1回目〜4回目の駆動時におけるセンスラインSL4の変換値をCt14〜Ct44とする。
この場合、図5(b)に示すように、変換値Ct11〜Ct44の行列「Ct」は、ドライブ信号Diの行列「H」と容量C11〜C44の行列「C」との内積になる。なお、行列「Ct」は、変換値が得られるセンスラインSL1〜SL4を行、変換値が得られる順番を列としたものである。また、行列「H」は、ドライブ信号Diの成分(信号電圧)を与えるドライブラインDL1〜DL4を行、ドライブ信号Diの成分を与える順番を列としたものである。また、行列「C」は、ドライブラインDL1〜DL4が延びる方向(X方向)に沿った容量を行、センスラインSL1〜SL4が延びる方向(Y方向)に沿った容量を列としたものである。
ここで、説明の具体化のために、図4に示したセンスラインSL1及び容量C11〜C41に着目する。なお、以下の説明は、これ以外のセンスラインSL2〜SL4及び容量C12〜C42,C13〜C43,C14〜C44についても、同様に妥当するものである。
図5(b)における内積「H」・「C」の第1行第1列の成分であるCt11は、下記式(1)となる。同様に、内積「H」・「C」の第2行第1列の成分であるCt21は下記式(2)、内積「H」・「C」の第3行第1列の成分であるCt31は下記式(3)、内積「H」・「C」の第4行第1列の成分であるCt41は下記式(4)となる。
Ct11=C11+C21+C31+C41 ・・・(1)
Ct21=C11−C21+C31−C41 ・・・(2)
Ct31=C11+C21−C31−C41 ・・・(3)
Ct41=C11−C21−C31+C41 ・・・(4)
Ct21=C11−C21+C31−C41 ・・・(2)
Ct31=C11+C21−C31−C41 ・・・(3)
Ct41=C11−C21−C31+C41 ・・・(4)
直交並列駆動では、ドライブラインDL1〜DL4に対して与えられるドライブ信号Diの成分「1」及び「−1」が直交系列となるため、行列「H」が直交行列になる。そのため、図5(c)に示すように、ドライブ信号の行列「H」の転置行列(行の成分と列の成分を入れ替えた行列)「HT」と行列「Ct」との内積を求めるのみで、行列「C」(即ち、容量の面内分布)を求めることができる。なお、本例では、行列「HT」が行列「H」と等しくなる。
具体的に、内積「HT」・「Ct」の第1行第1列の演算結果は、下記式(5)となる。同様に、内積「HT」・「Ct」の第2行第1列の演算結果は下記式(6)となり、内積「HT」・「Ct」の第3行第1列の演算結果は下記式(7)となり、内積「HT」・「Ct」の第4行第1列の演算結果は下記式(8)となる。なお、下記式(5)〜(8)の右辺は、下記式(5)〜(8)の左辺に対して上記式(1)〜(4)をそれぞれ代入することで求められる。
Ct11+Ct21+Ct31+Ct41=4・C11 ・・・(5)
Ct11−Ct21+Ct31−Ct41=4・C21 ・・・(6)
Ct11+Ct21−Ct31−Ct41=4・C31 ・・・(7)
Ct11−Ct21−Ct31+Ct41=4・C41 ・・・(8)
Ct11−Ct21+Ct31−Ct41=4・C21 ・・・(6)
Ct11+Ct21−Ct31−Ct41=4・C31 ・・・(7)
Ct11−Ct21−Ct31+Ct41=4・C41 ・・・(8)
直交並列駆動では、容量信号生成部32における復号処理(行列の演算)によって、t倍(図5の例では4)の容量C11〜C41が求められるため、ノイズの影響がt1/2倍に低減される。
そして、以上のようにして生成される容量分布信号Aiは、検出面Pの各位置における容量の大きさを、各信号値の大きさで表したものとなる。特に、上記の方法で生成される容量分布信号Aiは、検出面Pに形成される容量が大きくなるほど、対応する信号値が小さくなる。これは、容量分布信号Aiを調整して生成される検出対象信号Biにおいても同様である。
ところで、タッチパネル10が生成するセンス信号Siは、タッチパネル10の構造上のばらつきや、検出面Pに付着した汚れ、経年劣化、使用環境(特に、温度)などの様々な影響を受ける。センス信号Siを処理して得られる容量分布信号Aiも同様であり、これらの影響を受ける。そのため、容量分布信号Aiの各信号値は、検出面Pに接触または近接する指示体が存在しない状態(以下、「無指示状態」という)であってもばらついてしまい、不均一となる。
そこで、本発明の実施形態に係るタッチパネルシステム1では、検出対象信号生成部33が、以下において説明するキャリブレーションを実行することで、容量分布信号Aiの信号値の調整方法を決定する。そして、検出対象信号生成部33は、この決定した整方法に基づいて容量分布信号Aiの信号値を調整することで、検出対象信号Biを生成する。
検出対象信号生成部33によるキャリブレーションについて、図面を参照して説明する。図6は、容量分布信号とキャリブレーションデータと検出対象信号とのそれぞれについて示すグラフである。図6(a)は、容量分布信号Aiについて示すグラフである。図6(b)は、キャリブレーションデータについて示すグラフである。図6(c)は、検出対象信号Biについて示すグラフである。また、図6(a)〜図6(c)に示す容量分布信号Ai、キャリブレーションデータ及び検出対象信号Biは、それぞれ無指示状態で生成されたものである。
図6(a)に示すように、容量分布信号Aiの各信号値は、上述したように無指示状態であってもばらつくため、不均一となる。そこで、検出対象信号生成部33は、無指示状態において生成する検出対象信号Biの各信号値が、所定の値である基準値となるような、容量分布信号Aiの信号値の調整方法(キャリブレーションデータ)を決定する。なお、以下では説明の具体化のため、基準値が「0」である場合について例示する。
例えば、検出対象信号生成部33は、図6(b)に示すように、図6(a)の容量分布信号Aiの各信号値を基準値について反転させた値(即ち、基準値−信号値)を有するキャリブレーションデータを生成して、記憶部60に記憶させる。そして、検出対象信号生成部33は、容量分布信号Aiの各信号値に対して、記憶部60から読み出したキャリブレーションデータの対応する各値を加算することで、検出対象信号Biの各信号値を算出する。このようにして算出される検出対象信号Biの各信号値は、無指示状態において、図6(c)に示すように基準値(または、基準値に近似した値)となるため、均一となる。
ここで、検出面Pに指示体が接触した場合に生成される検出対象信号Biについて、図面を参照して説明する。図7は、検出面に指示体が接触した場合に生成される検出対象信号を示すグラフである。図7(a)は、検出面Pに指が接触した場合に生成される検出対象信号Biを示すグラフである。図7(b)は、検出面Pにスタイラスペンが接触した場合に生成される検出対象信号Biを示すグラフである。
図7(a)に示すように、検出面Pに指が接触すると、その接触位置QFに対応する検出対象信号Biの信号値が、基準値と比較して著しく大きくなる。同様に、図7(b)に示すように、検出面Pにスタイラスペンが接触すると、その接触位置QUに対応する検出対象信号Biの信号値が、基準値と比較して著しく大きくなる。これに対して、検出面Pの他の位置に対応する検出対象信号Biの信号値は、基準値(または、基準値に近似した値)のままである。
このように、キャリブレーションを実行すると、検出面Pに指示体が接触または近接した場合において、その接触位置QF,QUまたは近接位置に対応する信号値が、他の位置に対応する信号値とは顕著に異なる検出対象信号Biを、生成することが可能となる。そのため、指示***置検出部40が、この検出対象信号Biを利用して指示***置の検出を行うことで、指示***置を精度良く検出することが可能になる。
ところで、図7(a)及び図7(b)に示すように、検出面Pにスタイラスペンが接触した場合における検出対象信号Biの信号値の増大量(容量の減少量)は、検出面Pに指が接触した場合における検出対象信号Biの信号値の増大量(容量の減少量)よりも、小さくなる。具体的に、検出面Pにスタイラスペンが接触した場合における検出対象信号Biの信号値の増大量(容量の減少量)は、検出面Pに指が接触した場合における検出対象信号Biの信号値の増大量(容量の減少量)の、3分の1から10分の1程度まで小さくなる。
これは、スタイラスペンが、一般的に細かい作業をする際に使用されるものであり、その先端が指よりも十分に細くなる(接触面積が小さくなる)ように設計されているため、スタイラスペンが検出面Pに接触した場合における容量Cの変化量(減少量)が、指が検出面Pに接触した場合における変化量(減少量)と比較して、小さくなるからである。
<液体の付着>
以下、検出面Pに液体が付着した場合について説明する。なお、本願における「液体」は、必ずしも水(純水)に限定されるものではなく、お茶、ジュース、化粧水、唾液、汗なども当然に含まれ得る。特に、本願における「液体」には、比誘電率が高い液体が含まれ得る。ただし、以下では説明の具体化のため、「液体」が水(純水)である場合を例に挙げて説明する。
以下、検出面Pに液体が付着した場合について説明する。なお、本願における「液体」は、必ずしも水(純水)に限定されるものではなく、お茶、ジュース、化粧水、唾液、汗なども当然に含まれ得る。特に、本願における「液体」には、比誘電率が高い液体が含まれ得る。ただし、以下では説明の具体化のため、「液体」が水(純水)である場合を例に挙げて説明する。
検出面Pに水滴が付着した場合におけるタッチパネルの電界の状態について、図面を参照して説明する。図8は、検出面に水滴が付着した場合におけるタッチパネルの電界の状態を示す模式図である。
図8に示すように、検出面Pに水滴Wが付着すると、指やスタイラスペンなどの指示体が検出面Pに近接または接触した場合(図3(b)参照)とは反対の現象が生じる。即ち、検出面Pに水滴Wが付着した場合、水滴Wは接地されておらず比誘電率が高いため、検出面P上に物体が存在しない場合(図3(a)参照)と比較して、電界及び容量が大きくなる。
ここで、検出面Pに水滴Wが付着した場合に生成される検出対象信号Biについて、図面を参照して説明する。図9は、検出面に水滴が付着した場合に生成される検出対象信号を示すグラフである。
図9に示すように、検出面Pに水滴Wが付着すると、上述のように電界及び容量が大きくなる。そのため、検出面Pにおける水滴Wの付着位置RW(図中、白塗りの矢印で示した位置)に対応する検出対象信号Biの信号値は、基準値よりも小さくなる。
ただし、検出面Pに水滴Wが付着する場合において、水滴Wの周縁部の一部の位置(図中、黒塗りの矢印で示した位置、以下、「偽検出位置QW」とする)に対応する検出対象信号Biの信号値は、基準値よりも大きくなり得る。即ち、偽検出位置QWでは、指示体が検出面Pに接触または近接する場合と、同様の信号値の変化が生じる。
さらに、この偽検出位置QWに対応する検出対象信号Biの信号値は、検出面Pにスタイラスペンが接触した場合における接触位置QUに対応する検出対象信号Biの信号値(図7(b)参照)と、同程度の大きさとなる。また、検出面Pに指が接触せずに近接した場合における、指の接触時よりも変動量が小さい状態検出対象信号Biの信号値と、同程度の大きさとなることも想定される。そのため、指示***置検出部40が、単に検出対象信号Biの信号値に基づいて指示***置を検出すると、偽検出位置QWを指示***置として誤検出する可能性がある。
そこで、本発明の実施形態に係るタッチパネルシステム1では、以下に説明するように、指示***置検出部40が、このような偽検出位置QWを除外して指示***置を検出する。
<指示***置の検出方法>
最初に、偽検出位置QWの検出原理について、図面を参照して説明する。図10及び図11は、水滴と偽検出位置との位置関係について示した模式図である。なお、図10(a)は、大粒の水滴W(本例では0.6cm3)が検出面Pに付着した場合について示す図であり、図10(b)は、図10(a)に示す場合における付着位置RW及び偽検出位置QWを示す図である。一方、図11(a)は、霧吹き状に複数の小粒の水滴が検出面Pに付着した場合について示す図であり、図11(b)は、図11(a)に示す場合における付着位置RW及び偽検出位置QWを示す図である。また、図10(b)及び図11(b)では、付着位置RWを白塗りの丸印で示し、偽検出位置QWを黒塗りの丸印で示している。
最初に、偽検出位置QWの検出原理について、図面を参照して説明する。図10及び図11は、水滴と偽検出位置との位置関係について示した模式図である。なお、図10(a)は、大粒の水滴W(本例では0.6cm3)が検出面Pに付着した場合について示す図であり、図10(b)は、図10(a)に示す場合における付着位置RW及び偽検出位置QWを示す図である。一方、図11(a)は、霧吹き状に複数の小粒の水滴が検出面Pに付着した場合について示す図であり、図11(b)は、図11(a)に示す場合における付着位置RW及び偽検出位置QWを示す図である。また、図10(b)及び図11(b)では、付着位置RWを白塗りの丸印で示し、偽検出位置QWを黒塗りの丸印で示している。
図10(b)及び図11(b)に示すように、偽検出位置QWは、水滴Wの周縁部に複数(例えば、2つ)現れる。特に、偽検出位置QWは、Y方向(センスラインSLが延びる方向)に沿って並ぶように、複数現れる。即ち、偽検出位置QWは、検出面P内の比較的狭い範囲内で、複数現れるという特徴を有していると言える。
そこで、指示***置検出部40は、上記の特徴に基づいて偽検出位置QWを選択的に除外して、指示***置を検出する。
指示***置検出部40による指示***置を検出する一連の動作について、図面を参照して説明する。図12は、指示***置検出部の動作例について示すフローチャートである。図13は、指示***置を検出するために用いられる閾値を示すグラフである。なお、図12に示すフローチャートは、あるタイミング(例えば、検出面Pの各位置に対応する各信号値を一通り含む検出対象信号Biが生成される期間、以下「フレーム」という)における指示体の位置を検出するものであり、指示***置検出部40によって繰り返し行われるものである。
図12に示すように、指示***置検出部40は、最初に、1フレーム分の検出対象信号Bi(検出面Pの各位置に対応する各信号値を一通り含む検出対象信号Bi)を取得する(ステップ#1)。
次に、指示***置検出部40は、図13に示す第1閾値Th1を上回った(第1閾値Th1を超えた)検出対象信号Biの信号値に対応する位置を、「選択候補位置」として検出する(ステップ#2)。このとき、第1閾値Th1は、上述した指の接触位置QFやスタイラスペンの接触位置QUの他、偽検出位置QWが選択候補位置に含まれるように、設定される。
ところで、指が検出面Pに対して広範囲に接触する場合など、検出面P内のある領域を形成する連続した複数の位置に対応する検出対象信号Biの複数の信号値が、それぞれ第1閾値Th1を上回っている場合がある。例えばこの場合、指示***置検出部40は、当該領域の重心位置や、当該領域の中で対応する検出対象信号Biの信号値が最大となる位置を、当該ある領域を代表させて選択候補位置として選択する。
次に、指示***置検出部40は、図13に示す第1閾値Th1を上回るが第2閾値Th2を下回る(第1閾値Th1を超えるが第2閾値Th2は超えない)検出対象信号Biの信号値に対応する位置を、「除外候補位置」として検出する(ステップ#3)。このとき、第2閾値Th2は、上述した偽検出位置QWが含まれるように、設定される。なお、除外候補位置は、選択候補位置の条件に対して「第2閾値Th2を下回る(第2閾値Th2は超えない)」という条件を加重したものであるため、選択候補位置の一部(または全部)となる。
ただし、上述のように、偽検出位置QWに対応する検出対象信号Biの信号値は、例えば検出面Pにスタイラスペンが接触した場合における接触位置QUに対応する検出対象信号Biの信号値(図7(b)参照)と同程度の大きさとなる。そこで、指示***置検出部40は、除外候補位置の中から、偽検出位置QWを非指示***置として選択的に検出する(ステップ#4)。なお、偽検出位置QWを非指示***置として検出する具体的な方法については、後述する。
次に、指示***置検出部40は、ステップ#2で検出した選択候補位置から、ステップ#4で検出した非指示***置を除外して、指示***置を検出する(ステップ#5)。そして、指示***置検出部40が、指示***置の検出結果を示す検出結果信号Tiを生成して出力することで(ステップ#6)、1フレーム分の動作が終了する。
ここで、非指示***置の具体的な検出方法(図12のステップ#4)について、図面を参照して説明する。図14及び図15は、非指示***置の検出方法の一例を示す模式図である。なお、図14(a)は、水滴Wが検出面Pに付着するとともに指Fが検出面Pに接触する場合について示す図であり、図14(b)は、図14(a)に示す場合における非指示***置の検出方法の一例を示す図である。一方、図15(a)は、水滴Wが検出面Pに付着するとともにスタイラスペンUが検出面Pに接触する場合について示す図であり、図15(b)は、図15(a)に示す場合における非指示***置の検出方法の一例を示す図である。また、図14(b)では、指Fの接触位置QFを黒塗りの三角形で示し、図15(b)では、スタイラスペンUの接触位置QUを黒塗りの四角形で示している。また、図14(b)及び図15(b)では、付着位置RWを白塗りの丸印で示し、偽検出位置QWを黒塗りの丸印で示している。
図14(a)及び図14(b)に示す例の場合、選択候補位置として、指Fの接触位置QF及び偽検出位置QWが検出される(図12のステップ#2及び図13参照)。また、除外候補位置として、偽検出位置QWが検出される(図12のステップ#3及び図13参照)。
ここで、指示***置検出部40は、除外候補位置(本例では偽検出位置QW)の周囲に、第1範囲(図14(b)中の破線で示す範囲)を設定する。上述のように、偽検出位置QWは、水滴Wの周縁部に複数現れるため、比較的狭い範囲内に複数現れるものと言える(図9、図10(b)及び図11(b)参照)。そこで、指示***置検出部40は、ある除外候補位置の周囲に設定した第1範囲内に、他の除外候補位置が存在する場合、当該ある除外候補位置を偽検出位置QWであると判断し、非指示***置として検出する。例えばこのとき、指示***置検出部40は、非指示***置として検出した選択候補位置(除外候補位置)について、データ処理の過程でフラグを付けるなどの処理を行う。
本例では、第1範囲を、除外候補位置を中心とした半径が第1距離L1である円としている。このように、第1範囲を、除外候補位置から第1距離L1以内となる範囲とすると、ある除外候補位置に対して設定した第1範囲内に他の除外候補位置が存在する場合、当該ある除外候補位置だけでなく他の除外候補位置も同時に偽検出位置QWであると判断して、非指示***置として検出することが可能である。また、本例における非指示***置の検出方法は、第1距離L1以内に収まる除外候補位置を非指示***置として検出する検出方法、としても解釈され得る。
本例では、2つの偽検出位置QWのうち、一方の第1範囲内に他方が存在している(両者の距離が第1距離L1以内である)。したがって、指示***置検出部40は、この2つの偽検出位置QWを、非指示***置として検出する(図12のステップ#4参照)。よって、本例では、選択候補位置である指Fの接触位置QF及び偽検出位置QWから、非指示***置である偽検出位置QWを除外して得られる指Fの接触位置QFが、指示***置として検出される(図12のステップ#5参照)。
図15(a)及び図15(b)に示す例も、図14(a)及び図14(b)に示す例と同様の方法で、非指示***置を検出するものである。ただし、図15(a)及び図15(b)に示す例の場合、選択候補位置として、指Fの接触位置QF及び偽検出位置QWが検出されるが(図12のステップ#2及び図13参照)、除外候補位置として、偽検出位置QWに加えてスタイラスペンUの接触位置QUも検出される(図12のステップ#3及び図13参照)。
本例でも、指示***置検出部40は、除外候補位置(本例では偽検出位置QW及びスタイラスペンUの接触位置QU)の周囲に、第1範囲(図15(b)中の破線で示す範囲)を設定する。さらに、本例でも、2つの偽検出位置QWのうち、一方の第1範囲内に他方が存在している(両者の距離が第1距離L1以内である)。したがって、指示***置検出部40は、この2つの偽検出位置QWを、非指示***置として検出する(図12のステップ#4参照)。
一方、本例では、除外候補位置であるスタイラスペンUの接触位置QUの周囲の第1範囲内に、他の除外候補位置が存在しない。したがって、指示***置検出部40は、スタイラスペンUの接触位置QUについては、非指示***置として検出しない(図12のステップ#4参照)。よって、本例では、選択候補位置であるスタイラスペンUの接触位置QU及び偽検出位置QWから、非指示***置である偽検出位置QWを除外して得られるスタイラスペンUの接触位置QUが、指示***置として検出される(図12のステップ#5参照)。
以上のように、本発明の実施形態に係るタッチパネルシステム1は、検出対象信号Biの各信号値と、検出面P上における位置関係と、の双方に基づいて、検出した選択候補位置が非指示***置であるか指示***置であるかを区別する。これにより、非指示***置と指示***置とを精度良く区別することが可能となるため、液体の付着等に起因したノイズが発生する状況であっても、ユーザによるタッチパネル10の操作を受け付けることが可能となる。
なお、第1距離L1を大きくするほど、偽検出位置QWが除外される可能性を高めることができるが、近接した指示体の接触位置(特に、容量の変動が小さいスタイラスペンUなどの接触位置QU)が誤って除外される可能性が高くなってしまう。反対に、第1距離L1を小さくするほど、近接した指示体の接触位置が誤って除外される可能性を低くすることができるが、偽検出位置QWが除外される確率も低くなってしまう。そこで、これらの点を踏まえて、第1距離L1を設定すると、好ましい。
具体的には、複数の指示体(特に、容量の変動が小さいスタイラスペンUなど)が使用される場合に想定され得る、接触位置の距離の最小値を、第1距離L1として設定すると、好ましい。例えば、1人のユーザが2つのスタイラスペンUを使用する場合や、大型の検出面Pに対して複数のユーザのそれぞれがスタイラスペンUを使用する場合において、複数のスタイラスペンUの接触位置QUの距離が1cm以下になることは、想定され難い。そこで、例えば第1距離L1を1cm程度に設定すると、好ましい。
また、ユーザの指示に応じて第1距離L1の大きさが設定されるように構成してもよいし、ユーザによるタッチパネルシステム1の操作態様(特に、どの指示体を使用するか)に応じた第1距離L1が設定されるように構成してもよい。例えば、ユーザが、容量の変動が大きい指Fを検出面Pに接触させて操作することが多い場合は、第1距離L1を大きくしても、指示体の接触位置が非指示対位置として検出されて指示対位置から除外されることは、生じ難い(図14(b)参照)。そこで、例えば、ユーザが指Fを指示対として使用することをタッチパネルシステム1に対して入力した場合や、検出対称信号Biの各信号値の中に第2閾値Th2を上回る信号値が含まれていることを指示体検出部40が検出した場合は、これ以外の場合と比較して大きい第1距離L1が設定されるように構成してもよい。
また、第1範囲は、必ずしも除外候補位置から第1距離L1以内の範囲とする必要はない。例えば、偽検出位置QWが、Y方向(センスラインSLが延びる方向)に沿って並ぶように複数現れることを考慮して、X方向の長さよりもY方向の長さが長くなる第1範囲(即ち、X方向については非指示***置の検出感度が低いが、Y方向については非指示***置の検出感度が高い第1範囲)を設定してもよい。このような第1範囲を設定すると、非指示位置及び指示***置の検出精度を高くすることが可能となるため、好ましい。
具体的に、例えば、除外候補位置からX方向について第1X距離以内かつY方向について第1Y距離以内となる範囲となるような第1範囲を設定して、第1Y距離が第1X距離よりも長くなるようにすると、好ましい。
<突発的に発生するノイズの除去>
次に、上述のようにして検出された指示***置から、突発的に発生したノイズに起因する位置(以下、「突発ノイズ発生位置」という)を除外する方法について、図面を参照して説明する。図16は、指示***置の関連付け方法の一例について示す模式図である。また、図17は、図16に示す指示***置の関連付け方法を利用した突発ノイズ発生位置の除外方法の一例について示す模式図である。なお、図16(a)は、4つの連続するフレーム1〜4の間に指Fが検出面Pに接触する場合について示す図であり、図16(b)は、図16(a)に示す場合における指示***置の関連付け方法の一例を示す図である。一方、図17(a)は、4つの連続するフレーム1〜4の間に指Fが検出面Pに接触するとともに突発的なノイズが発生する場合について示す図であり、図17(b)は、図17(a)に示す場合における突発ノイズ発生位置の除外方法の一例を示す図である。また、図16(b)及び図17(b)では、指Fの接触位置QFを黒塗りの三角形で示し、1つ前のフレームにおける指Fの接触位置QBFを破線の白塗りの三角形で示している。さらに図17(b)では、突発的なノイズによって変動した検出対象信号Biの信号値に対応する検出面P内の位置(突発ノイズ発生位置)QNを実線のバツ印で示し、1つ前のフレームにおける突発ノイズ発生位置QBNを破線のバツ印で示している。また、図16(b)及び図17(b)に示す指Fの接触位置QF,QBF及び突発ノイズ発生位置QNは、いずれも上述した検出方法(図12〜15参照)によって検出された指示***置であるものとする。
次に、上述のようにして検出された指示***置から、突発的に発生したノイズに起因する位置(以下、「突発ノイズ発生位置」という)を除外する方法について、図面を参照して説明する。図16は、指示***置の関連付け方法の一例について示す模式図である。また、図17は、図16に示す指示***置の関連付け方法を利用した突発ノイズ発生位置の除外方法の一例について示す模式図である。なお、図16(a)は、4つの連続するフレーム1〜4の間に指Fが検出面Pに接触する場合について示す図であり、図16(b)は、図16(a)に示す場合における指示***置の関連付け方法の一例を示す図である。一方、図17(a)は、4つの連続するフレーム1〜4の間に指Fが検出面Pに接触するとともに突発的なノイズが発生する場合について示す図であり、図17(b)は、図17(a)に示す場合における突発ノイズ発生位置の除外方法の一例を示す図である。また、図16(b)及び図17(b)では、指Fの接触位置QFを黒塗りの三角形で示し、1つ前のフレームにおける指Fの接触位置QBFを破線の白塗りの三角形で示している。さらに図17(b)では、突発的なノイズによって変動した検出対象信号Biの信号値に対応する検出面P内の位置(突発ノイズ発生位置)QNを実線のバツ印で示し、1つ前のフレームにおける突発ノイズ発生位置QBNを破線のバツ印で示している。また、図16(b)及び図17(b)に示す指Fの接触位置QF,QBF及び突発ノイズ発生位置QNは、いずれも上述した検出方法(図12〜15参照)によって検出された指示***置であるものとする。
図16(a)及び図16(b)に示す例では、指示***置検出部40が、上述のように検出した指示***置の中で、連続する前後の2フレームで第2距離L2以内に収まる状態が所定数(本例では、2つ)のフレーム以上継続する位置を関連付ける関連付け方法について示している。
このようにして関連付けられた指示***置は、共通した1つの指示体の指示***置を示すものとなる。そのため、例えば、検出結果信号Tiを利用する電子情報機器において、関連付けられた指示***置の動きが小さければ、ユーザが通常のタップを行ったものと判断し、関連付けられた指示***置の動きが大きければ、ユーザがフリックやスワイプを行ったものと判断することができる。なお、指示***置検出部40が、このようなユーザが行ったアクション(タップ、フリック、スワイプなど)の種類を判断して、その判断結果を示すデータを検出結果信号Tiに含めてもよい。また、例えば、第2距離L2は、通常想定され得る指示体の移動速度(連続するフレーム間における指示体の移動可能距離)を考慮して設定すると、好ましい。
本例のフレーム2では、1フレーム前の指Fの接触位置QBFから第2距離L2以内に、指Fの接触位置QFが存在する。この場合、指示***置検出部40は、フレーム1及びフレーム2におけるそれぞれの指Fの接触位置QFを関連付ける。また、指示***置検出部40は、フレーム2と同様の処理をフレーム4でも行うことで、フレーム3及びフレーム4における指Fの接触位置QFを関連付ける(即ち、これらの接触位置QFが、同一のアクションを示すものとなる)。
一方、本例のフレーム3では、1フレーム前の指Fの接触位置QBFから第2距離L2以内に、指Fの接触位置QFが存在しない。この場合、指示***置検出部40は、フレーム2及びフレーム3におけるそれぞれの指Fの接触位置QFを関連付けない(即ち、これらの接触位置QFが、異なるアクションを示すものとなる)。
次に、指示***置検出部40が、上述した指示***置の関連付け方法を利用して、突発ノイズ発生位置を指示***置から除外する方法について説明する。
図17(a)及び図17(b)に示す例では、指示***置検出部40が、上述のように検出した指示***置の中で、連続する前後の2フレームで第2距離L2以内に収まる状態が所定数(本例では、2つ)のフレーム以上継続する位置を指示***置に残し、それ以外の位置を指示***置から除外することで、突発ノイズ発生位置を除外する方法について示している。
図17(a)及び図17(b)に示す例において、フレーム1では、指Fの接触位置QFの他に、突発ノイズ発生位置QNが存在している。しかし、フレーム2では、指Fの接触位置QFは依然として存在するが、突発的に発生したノイズNに起因する突発ノイズ発生位置QNは存在しない。
本例のフレーム2では、1フレーム前の指Fの接触位置QBFから第2距離L2以内に、指Fの接触位置QFが存在する。この場合、指示***置検出部40は、フレーム1及びフレーム2におけるそれぞれの指Fの接触位置QFを、指示***置として残すことを決定する。また、指示***置検出部40は、このフレーム2と同様の処理をフレーム3でも行うことで、指Fの接触位置QFを指示***置として残すことを決定する。なお、フレーム4では、1フレーム前の指Fの接触位置QBFから第2距離L2以内に、指示***置が何ら存在しない。しかし、フレーム3における指Fの接触位置QFは、フレーム3の段階で指示***置として残すことが決定されている。そのため、フレーム4の段階で、フレーム3における指Fの接触位置QFが指示***置から除外されることはない。
一方、本例のフレーム2では、1フレーム前の突発ノイズ発生位置QBNから第2距離L2以内に、指示***置が何ら存在しない。この場合、指示***置検出部40は、フレーム1における突発ノイズ発生位置QNを、指示***置から除外することを決定する。また、指示***置検出部40は、このフレーム2と同様の処理をフレーム4でも行うことで、フレーム3における突発ノイズ発生位置QNを指示***置から除外することを決定する。
本例のように、指示***置検出部40が処理を行うことで、突発的に現れるノイズNに起因する検出面P内の突発ノイズ発生位置QNを、指示***置から除外することが可能になる。そのため、指示***置の検出精度を向上させることが可能となる。
なお、図17(a)及び図17(b)に示す例において、指示***置検出部40が、突発ノイズ発生位置QNを指示***置から除外するだけでなく、図16(a)及び図16(b)に示したように指Fの接触位置QFを関連付けてもよい。
また、図17(a)及び図17(b)に示す例では、指示***置検出部40が、指示***置の中で、連続する前後の2フレームで第2距離L2以内に収まる状態が2フレーム以上継続する位置を指示***置に残し、他の位置を指示***置から除外するものとしたが、第2距離L2以内に収まる状態を監視するフレームの数は、3以上としてもよい。
図17(a)及び図17(b)に示す例において、指示***置検出部40が、指示***置の中で、連続する前後の2フレームで第2距離L2以内に収まる状態が3フレーム以上継続する位置を指示***置に残し、他の位置を指示***置から除外する場合、フレーム3の段階で、フレーム1〜3における指Fの接触位置QFが指示***置として残ることが決定される。また、図17(a)及び図17(b)に示す例において、指示***置検出部40が、指示***置の中で、連続する前後の2フレームで第2距離L2以内に収まる状態が4フレーム以上継続する位置を指示***置に残し、他の位置を指示***置から除外する場合は、フレーム4の段階で、フレーム1〜3における指Fの接触位置QFが指示***置から除外されることが決定される。
このように、第2距離L2以内に収まる状態を監視するフレームの数を増大させるほど、指示***置に残す位置を決定するまでの遅れが大きくなる。即ち、指示***置検出部40が、指示***置を出力するタイミングが遅れることになるため、ユーザの操作に対する反応が悪くなる。そのため、第2距離L2以内に収まる状態を監視するフレームの数については、2つまたは3つ程度に抑えると、好ましい。
<<電子情報機器>>
上述のタッチパネルシステム1を備えた、本発明の実施形態に係る電子情報機器の構成例について、図18を参照して説明する。図18は、本発明の実施形態に係る電子情報機器の構成例を示すブロック図である。
上述のタッチパネルシステム1を備えた、本発明の実施形態に係る電子情報機器の構成例について、図18を参照して説明する。図18は、本発明の実施形態に係る電子情報機器の構成例を示すブロック図である。
図18に示すように、本発明の実施形態に係る電子情報機器100は、表示装置101と、表示装置101を制御する表示装置制御部102と、上述のタッチパネル10に相当するタッチパネル103と、上述のタッチパネルシステム1におけるタッチパネル10を除いた各部(ドライブライン駆動部20、センス信号処理部30、指示***置検出部40、制御部50及び記憶部60)に相当するタッチパネルコントローラ104と、ユーザに押下されることでユーザの指示を受け付けるボタンスイッチ部105と、撮像により画像データを生成する撮像部106と、入力される音声データを音声として出力する音声出力部107と、集音により音声データを生成する集音部108と、音声出力部107に与える音声データの処理や集音部108から与えられる音声データの処理を行う音声処理部109と、電子情報機器100の外部の機器と無線により通信データを通信する無線通信部110と、無線通信部110が無線により通信する通信データを電磁波として放射するとともに電子情報機器100の外部の機器から放射された電磁波を受信するアンテナ111と、電子情報機器100の外部の機器と有線により通信データを通信する有線通信部112と、各種データを記憶するメモリ113と、電子情報機器100の全体の動作を制御する本体制御部114と、を備える。
なお、上述の指示***置検出部40及び制御部50の一部または全部を、タッチパネルコントローラ104ではなく、本体制御部114の一部としてもよい。同様に、上述の記憶部60を、タッチパネルコントローラ104ではなく、メモリ113の一部としてもよい。
また、図18に示す電子情報機器100は、タッチパネルシステム1の適用例の1つに過ぎない。上述タッチパネルシステム1は、図18に示す電子情報機器100とは異なる構成の電子情報機器に対しても、当然に適用可能である。
<<変形等>>
[1] 上述の実施形態では、容量分布信号Ai及び検出対象信号Biについて、検出面Pに形成される容量が大きくなるほど、対応する信号値が小さくなるものとして説明している。しかし、容量分布信号Ai及び検出対象信号Biは、必ずしもこのような信号である必要はない。例えば、容量分布信号Ai及び検出対象信号Biが、検出面Pに形成される容量が大きくなるほど、対応する信号値が大きくなるものであってもよい。
[1] 上述の実施形態では、容量分布信号Ai及び検出対象信号Biについて、検出面Pに形成される容量が大きくなるほど、対応する信号値が小さくなるものとして説明している。しかし、容量分布信号Ai及び検出対象信号Biは、必ずしもこのような信号である必要はない。例えば、容量分布信号Ai及び検出対象信号Biが、検出面Pに形成される容量が大きくなるほど、対応する信号値が大きくなるものであってもよい。
[2] 例えば、携帯電話やタブレット型端末などに代表される携帯端末等(即ち、小型の電子情報機器100)に、上述のタッチパネルシステム1が搭載される場合、複数のスタイラスペンUが検出面Pに対して同時に接触することは、生じ難いと考えられる。
そこで、携帯端末等にタッチパネルシステム1を搭載する場合、指示***置検出部40が、除外候補位置(第1閾値Th1を超えるが第2閾値Th2は超えない検出対象信号Biの信号値に対応する検出面Pの位置、例えば、図15の偽検出位置QW及びスタイラスペンUの接触位置QU)を複数検出した時点で、即座に全ての除外候補位置を非指示***置としてもよい(即ち、第2閾値を超える検出対象信号Biの信号値が対応する検出面Pの位置のみを、指示***置として検出してもよい。
なお、例えば、電子黒板やデジタルサイネージ等のような、複数人が同時に操作し得る電子情報機器100にタッチパネルシステム1を搭載する場合は、検出面Pの複数の場所でスタイラスペンUが接触することが生じ得るため、本変形例を適用せず、上述した実施形態に係るタッチパネルシステム1をそのまま適用した方が、好ましい。
[3] また、上述の実施形態に係るタッチパネルシステム1では、主として液体の付着等に起因したノイズによって生じる偽検出位置QWと、スタイラスペンUの接触位置QUと、を区別する指示***置の検出方法について説明した。しかし、区別する対象はこの例の限りではない。検出対象信号Biの信号値が同程度であり、非指示***置とすべき位置が検出面Pの比較的狭い範囲内に複数現れる全ての場合において、上述した実施形態に係るタッチパネルシステム1を好適に利用することが可能である。
[4] また、上述の実施形態に係るタッチパネルシステム1では、容量分布信号Aiをキャリブレーションデータに基づいて調整することで、無指示状態における各信号値が基準値となる検出対象信号Biを生成するものとした。しかし、無指示状態における容量分布信号Aiの各信号値が過大にばらつかない場合は、キャリブレーション及び信号値の調整を行うことなく、容量分布信号Aiをそのまま検出対象信号Biとしてもよい。
[5] 図4及び図5において、ドライブ信号Diの成分として直交系列を用いる場合について例示したが、擬似直交系列であるM系列を用いてもよい。即ち、ドライブ信号Diの成分である行列「H」を、1行目に符号長N(=2n−1)のM系列符号を当てはめ、2行目以降にはそれを順次1bit毎巡回シフトした符号を当てはめたものとしてもよい。この場合も、「H」の転置行列「HT」と行列「Ct」との内積を求めるのみで、行列「C」(即ち、容量の面内分布)を求めることができる。但し直交系列を用いた場合と異なり、M系列を用いた場合は内積演算結果に誤差を含むが、N=63または127のように符号長Nを大きくすることで、SN比の劣化を抑制することが可能である。
<<まとめ>>
本発明の実施形態に係るタッチパネルシステム1及び電子情報機器100、タッチパネルシステム1の動作方法は、例えば以下のように把握され得る。
本発明の実施形態に係るタッチパネルシステム1及び電子情報機器100、タッチパネルシステム1の動作方法は、例えば以下のように把握され得る。
本発明の実施形態に係るタッチパネルシステム1は、検出面Pに沿って互いに平行に設けられる複数のドライブラインDLと、前記検出面Pに沿って互いに平行に設けられるとともに前記ドライブラインDLと立体交差する複数のセンスラインSLと、を備えるタッチパネル10と、前記ドライブラインDLにドライブ信号Diを与えて駆動するドライブライン駆動部20と、前記ドライブラインDLの駆動により前記センスラインSLに表れる、前記検出面Pの各位置に接触または近接する指示体の有無に対応した強度のセンス信号Siを取得して処理することで、前記検出面Pの各位置に接触または近接する前記指示体の有無を、前記検出面Pの各位置に対応する各信号値の大きさでそれぞれ表した検出対象信号Biを生成するセンス信号処理部30と、前記検出対象信号Biの前記各信号値に基づいて、前記検出面Pに接触または近接する指示体の位置である指示***置を検出する指示***置検出部と、を備え、前記指示***置検出部は、第1閾値Th1を超える前記検出対象信号Biの信号値に対応する前記検出面Pの位置である選択候補位置の中から、前記第1閾値Th1を超えるが第2閾値Th2は超えない前記検出対象信号Biの信号値に対応する前記検出面Pの位置である除外候補位置であって周囲の第1範囲内に他の前記除外候補位置が存在する位置である非指示***置を、除外して、前記指示***置を検出する。
このタッチパネルシステム1によれば、検出対象信号Biの各信号値と、検出面P上における位置関係と、の双方に基づいて、検出した選択候補位置が非指示***置であるか指示***置であるかを区別する。そのため、非指示***置と指示***置とを精度良く区別することが可能となる。
さらに、上記のタッチパネルシステム1において、前記検出面Pに液体が付着したとき、当該液体の周縁部となる前記検出面Pの位置の少なくとも一部に対応する前記検出対象信号Biの信号値が、前記第1閾値Th1を超えるが前記第2閾値Th2を超えないように、前記第1閾値Th1及び前記第2閾値Th2がそれぞれ設定されている。
このタッチパネルシステム1によれば、検出面Pに液体(例えば、水滴W)が付着することによって生じる偽検出位置QWを、精度良く除外候補位置(さらには、非指示***置)として検出することが可能となる。
さらに、上記のタッチパネルシステム1において、前記検出面Pに指が接触したとき、当該指が接触した前記検出面Pの位置に対応する前記検出対象信号Biの信号値が、前記第2閾値Th2を超えるように、前記第2閾値Th2が設定されている。
このタッチパネルシステム1によれば、指Fの接触位置QFを、除外候補位置として検出されないようにすることで、精度良く指示***置として検出することが可能となる。
また、上記のタッチパネルシステム1において、前記検出面PにスタイラスペンUが接触したとき、当該スタイラスペンUが接触した前記検出面Pの位置に対応する前記検出対象信号Biの信号値が、前記第1閾値Th1を超えるが前記第2閾値Th2を超えなくてもよい。
この場合、上記のタッチパネルシステム1において、スタイラスペンUの接触位置QUが、除外候補位置として検出され得る。しかし、スタイラスペンUの接触位置QUは、検出面P上における位置関係からは、非指示***置として判定され難いため、最終的には指示***置として検出することが可能である。
さらに、上記のタッチパネルシステム1において、前記第1範囲が、前記除外候補位置から第1距離L1以内となる範囲である。
このタッチパネルシステム1によれば、ある除外候補位置に対して設定した第1範囲内に他の除外候補位置が存在する場合、当該ある除外候補位置だけでなく他の除外候補位置も同時に非指示***置として検出することが可能となる。
または、上記のタッチパネルシステム1において、前記ドライブラインDLがX方向に沿って延びるとともに、前記センスラインSLがY方向に沿って延び、前記第1範囲が、前記除外候補位置から前記X方向について第1X距離以内かつ前記Y方向について第1Y距離以内となる範囲であり、前記第1Y距離が前記第1X距離よりも長い。
このタッチパネルシステム1によれば、非指示***置がY方向に沿って発生する特性を有する場合、非指示位置及び指示***置の検出精度を高くすることが可能となる。
さらに、上記のタッチパネルシステム1において、前記センス信号処理部30が、前記検出面Pの各位置に対応する前記各信号値を一通り含む前記検出対象信号Biを生成する期間を、1フレームとするとき、前記指示***置検出部40は、前記指示***置の中で、連続する前後の2フレームで第2距離以内に収まる状態が所定数のフレーム以上継続している位置を残し、それ以外の位置を前記指示***置から除外する。
このタッチパネルシステム1によれば、突発的に現れるノイズNに起因する検出面P内の突発ノイズ発生位置QNを、指示***置から除外することが可能になる。そのため、指示***置の検出精度を向上させることが可能となる。
また、本発明の実施形態に係る電子情報機器100は、上記のタッチパネルシステム1を備える。
また、本発明の実施形態に係るタッチパネルシステム1の動作方法は、検出面Pに沿って互いに平行に設けられる複数のドライブラインDLと、前記検出面Pに沿って互いに平行に設けられるとともに前記ドライブラインDLと立体交差する複数のセンスラインSLと、を備えるタッチパネル10を有するタッチパネルシステムの動作方法であって、前記ドライブラインDLにドライブ信号Diを与えて駆動することで前記センスラインSLに表れる、前記検出面Pの各位置に接触または近接する指示体の有無に対応した強度のセンス信号Siを取得して処理することで、前記検出面Pの各位置に接触または近接する前記指示体の有無を、前記検出面Pの各位置に対応する各信号値の大きさでそれぞれ表した検出対象信号Biを生成する検出対象信号生成動作と、第1閾値Th1を超える前記検出対象信号Biの信号値に対応する前記検出面Pの位置である選択候補位置を検出する選択候補位置検出動作と、前記第1閾値Th1を超えるが第2閾値Th2は超えない前記検出対象信号Biの信号値に対応する前記検出面Pの位置である除外候補位置を検出する除外候補位置検出動作と、前記除外候補位置であって周囲の第1範囲内に他の前記除外候補位置が存在する位置である非指示***置を検出する非指示***置検出動作と、前記選択候補位置の中から前記非指示***置を除外して、前記検出面Pに接触または近接する指示体の位置である指示***置を検出する指示***置検出動作と、が実行される。
本発明は、投影型のタッチパネルを備えたタッチパネルシステムや、当該タッチパネルシステムを備えた電子情報機器、当該タッチパネルシステムの動作方法に対して、好適に利用され得る。
1 : タッチパネルシステム
10 : タッチパネル
20 : ドライブライン駆動部
30 : センス信号処理部
40 : 指示***置検出部
50 : 制御部
60 : 記憶部
100 : 電子情報機器
DL : ドライブライン
SL : センスライン
P : 検出面
F : 指
U : スタイラスペン
W : 水滴
Di : ドライブ信号
Si : センス信号
Ai : 容量分布信号
Bi : 検出対象信号
L1 : 第1距離
L2 : 第2距離
QF,QU : 接触位置
QW : 偽検出位置
RW : 付着位置
10 : タッチパネル
20 : ドライブライン駆動部
30 : センス信号処理部
40 : 指示***置検出部
50 : 制御部
60 : 記憶部
100 : 電子情報機器
DL : ドライブライン
SL : センスライン
P : 検出面
F : 指
U : スタイラスペン
W : 水滴
Di : ドライブ信号
Si : センス信号
Ai : 容量分布信号
Bi : 検出対象信号
L1 : 第1距離
L2 : 第2距離
QF,QU : 接触位置
QW : 偽検出位置
RW : 付着位置
Claims (4)
- 検出面に沿って互いに平行に設けられる複数のドライブラインと、前記検出面に沿って互いに平行に設けられるとともに前記ドライブラインと立体交差する複数のセンスラインと、を備えるタッチパネルと、
前記ドライブラインにドライブ信号を与えて駆動するドライブライン駆動部と、
前記ドライブラインの駆動により前記センスラインに表れる、前記検出面の各位置に接触または近接する指示体の有無に対応した強度のセンス信号を取得して処理することで、前記検出面の各位置に接触または近接する前記指示体の有無を、前記検出面の各位置に対応する各信号値の大きさでそれぞれ表した検出対象信号を生成するセンス信号処理部と、
前記検出対象信号の前記各信号値に基づいて、前記検出面に接触または近接する指示体の位置である指示***置を検出する指示***置検出部と、を備え、
前記指示***置検出部は、第1閾値を超える前記検出対象信号の信号値に対応する前記検出面の位置である選択候補位置の中から、前記第1閾値を超えるが第2閾値は超えない前記検出対象信号の信号値に対応する前記検出面の位置である除外候補位置であって周囲の第1範囲内に他の前記除外候補位置が存在する位置である非指示***置を、除外して、前記指示***置を検出し、
前記検出面に液体が付着したとき、当該液体の周縁部となる前記検出面の位置の少なくとも一部に対応する前記検出対象信号の信号値が、前記第1閾値を超えるが前記第2閾値を超えないように、前記第1閾値及び前記第2閾値がそれぞれ設定されていることを特徴とするタッチパネルシステム。 - 前記検出面に指が接触したとき、当該指が接触した前記検出面の位置に対応する前記検出対象信号の信号値が、前記第2閾値を超えるように、前記第2閾値が設定されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルシステム。
- 前記センス信号処理部が、前記検出面の各位置に対応する前記各信号値を一通り含む前記検出対象信号を生成する期間を、1フレームとするとき、
前記指示***置検出部は、前記指示***置の中で、連続する前後の2フレームで第2距離以内に収まる状態が所定数のフレーム以上継続している位置を残し、それ以外の位置を前記指示***置から除外することを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネルシステム。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のタッチパネルシステムを備えることを特徴とする電子情報機器。
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