JP5986498B2 - コーテッドサンドの製造方法及び鋳型の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コーテッドサンドの製造方法及びそれによって得られたコーテッドサンド、並びに鋳型の製造方法に係り、特に、常温下において流動性を有する乾態のコーテッドサンドを有利に製造する方法と、それによって得られた優れた特性を有するコーテッドサンド、更にはそのようなコーテッドサンドを用いた特性の良好な鋳造用鋳型の製造方法に関するものである。
従来から、金属溶湯の鋳造に用いられる鋳型の一つとして、耐火性骨材からなる鋳型砂を所定の粘結材にて被覆してなるコーテッドサンドを用いて、成形型により、目的とする形状に造型して得られたものが、用いられてきている。例えば、日本鋳造工学会編の「鋳造工学便覧」、第78〜90頁には、そのような粘結材として、水ガラスの如き無機系粘結材の他、フェノール樹脂やフラン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を用いた有機系粘結材が明らかにされており、また、それら粘結材を用いて自硬性鋳型を造型する手法も、明らかにされている。
そして、それら粘結材のうちの有機系粘結材である、フェノール樹脂の如き熱硬化性樹脂にて鋳型砂を被覆せしめてなるレジンコーテッドサンドを用いた鋳型の製造方法の一つが、特開2009−90334号公報に明らかにされている。そこに明らかにされた製造方法によれば、レジンコーテッドサンドを成形型内に充填した後、その型内に水蒸気を吹き込むことにより、レジンコーテッドサンドの温度を上昇せしめ、次いで加熱した気体を型内に吹き込んで、型内の凝縮水を蒸発させると共に、レジンコーテッドサンドの粘結材を固化乃至硬化する温度以上に加熱することにより、目的とする鋳型が、製造されているのである。しかしながら、そこでは、レジンコーテッドサンドの粘結材としてフェノール樹脂等の樹脂が用いられているために、鋳型を造型する際や金属溶湯を鋳込む際に、高熱が作用したりすると、そのような樹脂粘結材が分解して、フェノールやアルデヒド等の分解ガスが発生する問題があり、そしてその臭気や刺激は完全には除去することが出来ないところから、そのような臭気や刺激を嫌う用途には、適していない。
一方、無機系粘結材として水ガラスを用いる場合にあっては、かかる水ガラスの硬化のために、一般に、CO2 ガスの如き硬化剤が用いられることとなるのであるが、そのような水ガラス/CO2 ガスプロセスに係る従来の手法にあっては、鋳型砂(耐火性骨材)と粘結材としての水ガラス水溶液とを混練してなるものが、鋳型の造型に用いられてきている。そして、そこでは、鋳型砂の表面に湿潤な水ガラスが付着してなる湿潤形態(湿態)において用いられるものであるところから、そのような粘結材にて鋳型砂を被覆してなるコーテッドサンドは、流動性が悪く、そのため、その型充填作業が困難となる他、充填不良が発生し易く、また生産性も悪い等という問題を内在している。
そこで、特開2012−76115号公報においては、流動性が良好な粘結材コーテッド耐火物(コーテッドサンド)を得るべく、粘結材として、水ガラス、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、バナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酸化アルミニウムナトリウム、塩化カリウム、及び炭酸カリウムからなる群より選ばれる水溶性無機化合物を用い、この水溶性無機化合物を含有する固形のコーティング層にて、耐火性骨材の表面を被覆してなる粘結材コーテッド耐火物が、提案されている。また、そのような粘結材コーテッド耐火物を型内に充填した後、かかる型内に水蒸気を吹き込んで、粘結材コーテッド耐火物を加熱し、コーティング層の粘結材を湿らせた後に固化させることにより、鋳型を製造する方法も、明らかにされている。
しかしながら、そのような粘結材コーテッド耐火物において、水ガラスや塩化ナトリウム等の水溶性無機化合物からなる粘結材の被覆層を、固形のコーティング層として、耐火性骨材の表面に形成しても、流動性が充分に確保され得ない場合があり、またそれを用いて得られる鋳型の吸湿による経時変化が大きく、強度等の特性においても、充分ではないことが、本発明者等の検討により明らかとなった。また、そのような水溶性無機化合物(粘結材)にて耐火性骨材を被覆する場合には、水溶性無機化合物は、水に溶かした状態において、水溶液として適用されることとなるのであるが、その水溶液に含まれる水分量によって被覆の状態は異なるようになり、そのため、粘結材コーテッド耐火物の物性も変化することが、明らかとなったのである。即ち、かかる水分量が少ないと均一な被覆が行なえず、また水分量が多いと充分に乾燥され得なくなるのであり、そのため、そのような状態の粘結材コーテッド耐火物を用いると、成形性や物性が低下したり、不均一となったりする等という問題を生じ、また水溶性無機化合物に応じて形成される粘結材コーテッド耐火物の特性も大きく異なり、同じ条件で粘結材コーテッド耐火物を製造しようとしても、その物性にバラツキが生じて、製造条件の最適化が困難である等という問題も内在している。
特開2009−90334号公報 特開2012−76115号公報
「鋳造工学便覧」第78〜90頁
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、優れた常温流動性を有する乾態のコーテッドサンドの製造方法及びそれによって得られたコーテッドサンド、更には、そのようなコーテッドサンドを用いて、特性に優れた鋳型を製造する方法を提供することにあり、また他の課題とするところは、鋳型造型のために用いられる成形型の成形キャビティ内への充填性が著しく向上せしめられ得ると共に、得られる鋳型の吸湿による劣化を抑制乃至は阻止して、長期保管による経時変化の問題を有利に解消し得る、強度等の特性に優れたコーテッドサンドを製造する方法と、それによって得られた優れた特性を有するコーテッドサンド、並びに、そのようなコーテッドサンドを用いた鋳造用鋳型の製造方法を提供することにある。
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいて採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載から把握され得る発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) 加熱した耐火性骨材に対して、粘結材として水ガラス水溶液を混和せしめ、水分を蒸発させることにより、かかる耐火性骨材の表面に粘結材の被覆層を形成してなる、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンドを製造するに際して、前記水ガラス水溶液として、SiO2 /Na2 Oのモル比が3.0〜4.0であるケイ酸ナトリウムの水溶液を用いると共に、かかる水溶液の25℃での粘度を10〜50cPの範囲内に調整して、前記耐火性骨材に混和せしめるようにしたことを特徴とするコーテッドサンドの製造方法。
(2) 前記耐火性骨材の100質量部に対して、前記ケイ酸ナトリウムの水溶液が、固形分換算で0.1〜2.5質量部の割合で用いられることを特徴とする前記態様(1)に記載のコーテッドサンドの製造方法。
(3) 加熱した耐火性骨材に対して、粘結材として水ガラス水溶液を混和せしめ、水分を蒸発させることにより、かかる耐火性骨材の表面に粘結材の被覆層を形成してなる、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンドを製造するに際して、前記水ガラス水溶液として、SiO2 /Na2 Oのモル比が3.0〜4.0であるケイ酸ナトリウムの水溶液であって、且つ25℃での粘度が30cP以上であるケイ酸ナトリウム水溶液を用い、かかるケイ酸ナトリウム水溶液と、水とを、同時に又は10秒以内の時間差をもって、前記耐火性骨材に混和せしめるようにしたことを特徴とするコーテッドサンドの製造方法。
(4) 前記耐火性骨材の100質量部に対して、前記ケイ酸ナトリウムの水溶液が、固形分換算で0.1〜2.5質量部の割合で用いられ、且つ水が、0.1〜3.0質量部の割合で用いられることを特徴とする前記態様(3)に記載のコーテッドサンドの製造方法。
(5) 前記ケイ酸ナトリウムのSiO2 /Na2 Oのモル比が、3.0〜3.5であることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(4)の何れか1つに記載のコーテッドサンドの製造方法。
(6) 前記ケイ酸ナトリウム水溶液の混和開始から5分以内に、水分を蒸発させることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(5)の何れか1つに記載のコーテッドサンドの製造方法。
(7) 前記ケイ酸ナトリウム水溶液の混和に際して、二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、炭酸亜鉛、メタホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム、及び四ホウ酸カリウムのうちの少なくとも1種以上が、更に添加せしめられることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(6)の何れか1つに記載のコーテッドサンドの製造方法。
(8) 前記態様(1)乃至前記態様(7)の何れか1つに記載の製造方法によって得られたコーテッドサンドであって、水分率が0.5質量%以下であり、且つダマ量が3質量%以下であることを特徴とするコーテッドサンド。
(9) 前記態様(8)に記載のコーテッドサンドを用い、それを、目的とする鋳型を与える成形型の成形キャビティ内に充填した後、水蒸気を通気させて、かかる成形型内で固化乃至は硬化せしめることにより、目的とする鋳型を得ることを特徴とする鋳型の製造方法。
(10) 前記水蒸気の通気の後、さらに、乾燥空気、加熱乾燥空気又は窒素ガスが、前記成形型の成形キャビティ内に通気せしめられることを特徴とする前記態様(9)に記載の鋳型の製造方法。
(11) 前記コーテッドサンドを30℃以上に予熱した後、前記成形型の成形キャビティ内に充填せしめることを特徴とする前記態様(9)又は前記態様(10)に記載の鋳型の製造方法。
(12) 前記成形型が予熱されて、保温されている前記態様(9)乃至前記態様(11)の何れか1つに記載の鋳型の製造方法。
(13) 前記態様(8)に記載のコーテッドサンドを用いて積層造形して、目的とする鋳型を形成することを特徴とする鋳型の製造方法。
このように、本発明にあっては、粘結材として、特定のSiO2 /Na2 Oモル比を有するケイ酸ナトリウムの水溶液を用いると共に、そのような水溶液の粘度を調整して、耐火性骨材の表面を被覆するようにしたことにより、かかる耐火性骨材に対して、特定のケイ酸ナトリウムからなる被覆層が効率よく且つ均一に形成せしめられ得ることとなるのであり、これによって、得られるコーテッドサンドの流動性をより一層高め得ることとなって、鋳型造形のための成形型の成形キャビティ内へのコーテッドサンドの充填性を著しく向上せしめ得たのであり、以て、鋳型強度に優れた、健全な鋳型を有利に製造することが可能と為し得たことに加えて、そのようなコーテッドサンドを用いて造型された鋳型の吸湿による劣化が少ないため、長期保管による鋳型の経時劣化が効果的に阻止され得て、良好な鋳型特性を長期に亘って維持することが出来る特徴も有しているのである。
また、本発明によれば、粘結材として用いられる特定のケイ酸ナトリウムの水溶液を所定の粘度に調整して、そのような水溶液中の不揮発分(固形分)の濃度を低下せしめ得るようにすることにより、ダマ量の少ないコーテッドサンドを有利に得ることが出来ると共に、そのようなコーテッドサンドを用いて得られる鋳型の強度等の特性も、より一層有利に高められ得ることとなるのである。
なお、そのような本発明に従って得られるコーテッドサンドにあっては、粘結材にケイ酸ナトリウムが用いられているところから、従来のフェノール樹脂やフラン樹脂等の有機系粘結材を用いて得られたレジンコーテッドサンドとは異なり、鋳型の造型や金属溶湯の鋳造時において、臭気性の低分子ガス成分の発生を抑制乃至は阻止することが出来るところから、ガスやヤニ、臭気等が発生することがなく、作業環境を悪化せしめるような問題を惹起することがないことも、その特徴の一つとなっている。
ところで、かかる本発明に従うコーテッドサンドの製造方法において、用いられる耐火性骨材としては、鋳型の基材として機能する耐火性物質であって、従来から鋳型用として用いられている各種の耐火性粒状材料が何れも用いられ得、具体的には、ケイ砂や再生ケイ砂をはじめ、アルミナサンド、オリビンサンド、ジルコンサンド、クロマイトサンド等の特殊砂や、フェロクロム系スラグ、フェロニッケル系スラグ、転炉スラグ等のスラグ系粒子、アルミナ系粒子、ムライト系粒子等の多孔質粒子及びこれらの再生粒子;アルミナボール、マグネシアクリンカー等を挙げることが出来る。なお、これらの耐火性骨材は、新砂であっても、或いは、鋳物砂として鋳型の造型に一回或いは複数回使用された再生砂又は回収砂であっても、更には、そのような再生砂や回収砂に新砂を加えて混合せしめてなる混合砂であっても、何等差支えない。そして、そのような耐火性骨材は、一般に、AFS指数で40〜80程度の粒度のものとして、好ましくは、鋳型造型時に水蒸気の通気と乾燥をし易くするために、60程度以下の粒度のものとして、用いられることとなる。
そして、そのような耐火性骨材は、予め加熱されて、所定のケイ酸ナトリウム水溶液との混和に供されることとなる。この予め加熱された耐火性骨材に、所定のケイ酸ナトリウム水溶液を混練乃至は混合して混和せしめるようにすることによって、ケイ酸ナトリウム水溶液中の水分は、そのような耐火性骨材の熱にて、極めて迅速に蒸散せしめられ得ることとなるのであり、以て、得られるコーテッドサンドの水分率を効果的に低下せしめ得て、常温流動性を有する乾態の粉体が、有利に得られることとなるのである。なお、この耐火性骨材の予熱温度としては、ケイ酸ナトリウム水溶液の含有水分量やその配合量等に応じて、適宜に選定されることとなるが、一般に、100〜150℃程度、より好ましくは100〜120℃程度の温度に、耐火性骨材を加熱しておくことが望ましい。なお、この予熱温度が低くなり過ぎると、水分の蒸散を効果的に行なうことが出来ず、乾燥に時間がかかるようになるところから、100℃以上の温度とすることが望ましいのであり、また予熱温度が150℃よりも高くなり過ぎると、得られるコーテッドサンドの冷却時にケイ酸ナトリウムの硬化が進み、加えて複合粒子化が進行するようになるところから、コーテッドサンドとしての機能、特に強度の如き物性に問題を生じるようになる。
また、本発明にあっては、上記した耐火性骨材の表面を被覆する粘結材として、水ガラス水溶液が用いられると共に、その中でも、特に、得られるコーテッドサンドがブロックし難く、成形性がよいところから、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)の水溶液が、その対象とされるのである。なお、そのようなケイ酸ナトリウムは、通常、SiO2 /Na2 Oのモル比により、1号〜5号の種類に分類されて、用いられている。具体的には、ケイ酸ナトリウム1号は、SiO2 /Na2 Oのモル比が2.0〜2.3であるものであり、またケイ酸ナトリウム2号は、SiO2 /Na2 Oのモル比が2.4〜2.5であるものであり、更にケイ酸ナトリウム3号は、SiO2 /Na2 Oのモル比が3.1〜3.3であるものである。加えて、ケイ酸ナトリウム4号は、SiO2 /Na2 Oのモル比が3.3〜3.5であるものであり、またケイ酸ナトリウム5号は、SiO2 /Na2 Oのモル比が3.6〜3.8であるものである。これらの中で、ケイ酸ナトリウム1号〜3号は、JIS K1408にても規定されているものである。そして、これらのケイ酸ナトリウムを混合することで、そのモル比を調整することが可能である。
そして、本発明にあっては、それらケイ酸ナトリウムの中でも、耐湿性に優れた鋳型を与え、また鋳型の吸湿劣化を抑制乃至は防止することによって、鋳型の長期保存を可能ならしめると共に、抗折強度等の特性に優れた鋳型を与え得る、高い充填密度を実現するコーテッドサンドを得るべく、SiO2 /Na2 Oのモル比が3.0以上、4.0以下の範囲内にあるケイ酸ナトリウムが用いられるのである。従って、上記したケイ酸ナトリウムの分類においては、3号乃至5号に相当するケイ酸ナトリウムが、有利に用いられることとなる。また、その中でも、SiO2 /Na2 Oのモル比が3.0〜3.5の範囲のものが、より望ましく、そしてそれにはケイ酸ナトリウム3号〜4号が該当し、特に、ケイ酸ナトリウム3号が有利に用いられることとなる。
さらに、本発明に従って目的とするコーテッドサンドを製造するに際しては、(A)上記したケイ酸ナトリウム水溶液として、市場において購入されたままのケイ酸ナトリウム水溶液(原液)を更に水で希釈して、その25℃での粘度を10〜50cP(センチポアズ)に調整したケイ酸ナトリウム水溶液を用いて、これを、耐火性骨材に混和せしめる手法や、(B)粘度が30cP以上であるケイ酸ナトリウム水溶液と希釈用の水とを、個別に、ミキサー等の混合手段に投入して、混練・混合せしめて、混和する手法が、採用される。尤も、市場において入手されるケイ酸ナトリウム水溶液(原液)の粘度が、上記の規定範囲内のものであれば、希釈用の水の添加は任意である。また、希釈用の水を添加して、上記の規定範囲内において更に低粘度のケイ酸ナトリウム水溶液とすることが出来る他、そのような希釈用の水を添加することなく、原液のままで使用することも可能である。ここでケイ酸ナトリウム水溶液(原液)は、水や溶剤等の揮発する物質と、揮発する物質を除いた固形分からなり、各種のケイ酸ナトリウム水溶液の粘度は、固形分に対する水(原液の水分+希釈用の水)の割合で決まり、固形分の割合が高いと高粘度となり、低いと低粘度になる。
そこにおいて、手法(A)に従って、ケイ酸ナトリウム水溶液の25℃における粘度を、10〜50cPの範囲内に、特に10〜40cPの範囲内に調整することにより、混練の如き混和操作にて耐火性骨材をケイ酸ナトリウムで被覆する際に、ケイ酸ナトリウム水溶液がべたつかずに、適度なぬめりを保持させることによって、ムラなく、均一に、耐火性骨材をケイ酸ナトリウムで被覆させることが出来ると共に、コーテッドサンドの粒子同士をくっつき難くさせることが出来るところから、混和作業時においてダマが発生することを効果的に抑制することが出来ることとなる。そして、コーテッドサンド中のダマの存在量を少なくすることによって、そのようなコーテッドサンドから得られる鋳型の抗折強度や引っかき硬度が著しく低下するような問題が、効果的に防止され得ることとなるのである。また、ケイ酸ナトリウムを適度に水溶液中に分散させることで、混和時に、耐火性骨材に対して、ムラなく、均一に、ケイ酸ナトリウムが被覆せしめられ得るようにすべく、ケイ酸ナトリウム水溶液の粘度は50cP以下とする必要があるのである。また、ケイ酸ナトリウム水溶液の粘度は、低ければ低いほど、ダマの発生を抑えることが出来ることとなるが、その粘度を下げるために、水の割合が大きくなり過ぎると、コーテッドサンドが乾燥し難くなるところから、乾燥効率をよくする上においても、ケイ酸ナトリウム水溶液の粘度は、10cP以上となるように調整されるのである。
また、そのような10〜50cPの粘度を有するケイ酸ナトリウム水溶液は、耐火性骨材の100質量部に対して、固形分換算で0.1〜2.5質量部の割合において用いられることが望ましく、中でも、0.2〜2.0質量部の割合が特に有利に採用されて、耐火性骨材の表面にケイ酸ナトリウムの被覆層が形成されることとなる。ここで、固形分の測定は、アルミ箔製皿(縦:90mm、横:90mm、高さ:15mm)内に、試料10gを秤量して収容し、180±1℃に保持した加熱板上に置き、20分間放置した後、かかる試料皿を、反転させて、更に20分間、上記加熱板上に放置した。そして、その試料皿を加熱板上から取り出して、デシケーター中で放冷した後、秤量を行なって、次式により求めた。
固形分(%)=[乾燥後の重量(g)/乾燥前の重量(g)]×100
なお、このケイ酸ナトリウム水溶液の使用量が少なくなり過ぎると、耐火性骨材の表面にケイ酸ナトリウムの有効な被覆層が形成され難くなって、コーテッドサンドの固化乃至は硬化が充分に行なわれ難くなるからであり、またケイ酸ナトリウム水溶液の使用量が多くなり過ぎても、耐火性骨材の表面に余分なケイ酸ナトリウム水溶液が付着して、均一な被覆層が形成され難くなると共に、ダマの発生量が多くなる恐れもあり、ひいては、鋳型物性に悪影響をもたらすと共に、金属を鋳込んだ後の中子の砂落としも難しくなるからである。
一方、上記した手法(B)に従って、25℃における粘度が30cP以上であるケイ酸ナトリウム水溶液を、水と一緒に用いる場合において、かかるケイ酸ナトリウム水溶液の25℃での粘度は、30cP以上であればよく、その上限は特に限定されないが、一般に、2000cP程度である。その望ましい粘度範囲としては、SiO2 /Na2 Oのモル比が3.0〜4.0であるケイ酸ナトリウムにおいて、30〜250cPの範囲である。そのような粘度範囲内のケイ酸ナトリウム水溶液であれば、市場において入手し得る原液の状態のものであっても、そのまま使用可能である。
また、かかる粘度が30cP以上のケイ酸ナトリウム水溶液と共に用いられる希釈用の水の量としては、ケイ酸ナトリウム水溶液と希釈用の水とを直接混ぜて、得られるケイ酸ナトリウム水溶液(混合液)の粘度が、25℃において10〜30cPとなる程度の量とされ、これによって、高い粘度のケイ酸ナトリウム水溶液でも、相応の水を併用するようにすれば、前述せる、粘度が10〜50cPのケイ酸ナトリウム水溶液を用いた場合と同様な特性のコーテッドサンドを得ることが出来るのである。なお、そこで用いられるケイ酸ナトリウム水溶液の粘度が30〜50cP程度の場合にあっては、前記せるように、そのまま添加しても、また、水と一緒に添加してもよいが、ケイ酸ナトリウム水溶液の粘度は低い方が好ましいものであるところから、粘度が30〜50cPのケイ酸ナトリウム水溶液であっても、それは、水と一緒に添加する形態において、用いることが望ましいのである。
さらに、かくの如き粘度が30cP以上のケイ酸ナトリウム水溶液と水とを、耐火性骨材に対して、一緒に混練・混合せしめて、混和する際に、それら両成分の添加のタイミングとしては、それらの添加の時間差が大きくなると、水分の蒸発が進んで、ケイ酸ナトリウムによる耐火性骨材表面の均一な被覆が行ない難くなるところから、その時間差は10秒以内、望ましくは5秒以内で行なうのがよく、特に、同時添加が有利に採用されることとなる。なお、ケイ酸ナトリウム水溶液と水とを時間差をもって混和する際には、ケイ酸ナトリウム水溶液と水との添加の順序は問わず、何れが先に添加、配合されても、何等差支えない。
なお、このように、耐火性骨材に対して、粘度が30cP以上のケイ酸ナトリウム水溶液と水とを一緒に添加して、混和せしめるに際して、それらの添加割合としては、耐火性骨材の100質量部に対して、かかるケイ酸ナトリウム水溶液が固形分換算で0.1〜2.5質量部の割合で用いられ、また、水が0.1〜3.0質量部の割合において用いられることが望ましい。そして、このような範囲内の添加量を採用することにより、耐火性骨材の表面をケイ酸ナトリウムにて効果的に被覆させてなるコーテッドサンドとして、それを有利に硬化せしめ得ると共に、耐火性骨材に対して余分なケイ酸ナトリウムが付着して、被覆層が形成されるようなことがないようにして、ムラのない、均一な被覆層を、有利に形成せしめ得るのである。
また、それら一緒に添加するケイ酸ナトリウム水溶液と水との割合は、ケイ酸ナトリウム水溶液の原液の粘度の如何により、水の添加量は異なることとなる。そして、ケイ酸ナトリウム水溶液の原液の粘度は、ケイ酸ナトリウムのSiO2 /Na2 Oのモル比によっても異なっているが、SiO2 /Na2 Oのモル比が3.0〜4.0であるケイ酸ナトリウムの水溶液(原液)に対しては、質量基準にて、ケイ酸ナトリウム水溶液:水=1:1〜40:1の範囲内となるような割合が、有利に採用されるのである。
そして、本発明にあっては、上記したケイ酸ナトリウム水溶液を用いて、耐火性骨材の表面に被覆層が形成されてなるコーテッドサンドが、その対象とされるものであるが、そのような被覆層には、必要に応じて、所定の添加剤を含有せしめることも可能である。なお、そのような添加剤を被覆層に含有せしめるには、ケイ酸ナトリウム水溶液に、所定の添加剤を予め配合した後、耐火性骨材と混練又は混合せしめる方法や、ケイ酸ナトリウム水溶液とは別個に、所定の添加剤を、耐火性骨材に対して添加して、全体を均一に混練乃至は混合せしめる方法等が、採用されることとなる。
ここにおいて、そのような添加剤の一つとして、固形酸化物や塩が、有利に用いられることとなる。それら固形酸化物や塩の含有によって、コーテッドサンドの耐湿性が有利に向上せしめられ得るのである。なお、それらの中で、固形酸化物としては、例えば、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、鉛、ホウ素の酸化物の使用が有効である。特に、その中でも、二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ホウ素の使用が望ましい。また、二酸化ケイ素の中では、沈殿ケイ酸、発熱性ケイ酸が好ましく用いられる。一方、塩としては、ケイフッ化塩、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、炭酸塩等があり、その中でも、炭酸亜鉛、メタホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウムの使用が、望ましい。そして、これら固形酸化物や塩は、ケイ酸ナトリウム水溶液中の不揮発分に対して、100質量%以下、好ましくは0.5〜5質量%程度の割合において、用いられることとなる。
また、その他の添加剤として、耐火性骨材とケイ酸ナトリウム(バインダー)との結合を強化するカップリング剤を含有せしめることも有効であり、例えば、シランカップリング剤、ジルコンカップリング剤、チタンカップリング剤等を用いることが出来る。また、コーテッドサンドの流動性の向上に寄与する滑剤の含有も有効であり、例えば、、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックス、モンタン酸ワックス等のワックス類;ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド等の脂肪酸アマイド類;メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等のアルキレン脂肪酸アマイド類;ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリルステアレート、硬化油等を使用することが可能である。更に、離型剤として、パラフィン、ワックス、軽油、マシン油、スピンドル油、絶縁油、廃油、植物油、脂肪酸エステル、有機酸、黒鉛微粒子、雲母、蛭石、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤等も使用可能である。そして、これらその他の添加剤は、それぞれ、ケイ酸ナトリウム水溶液中の不揮発分に対して、一般に、5質量%以下、好ましくは3質量%以下の割合において、含有せしめられることとなる。
ところで、かくの如き本発明に従うコーテッドサンドを製造するに際しては、加熱した耐火性骨材に対して、粘結材としての所定のケイ酸ナトリウム水溶液を、単独で、又は水と一緒に、更に必要に応じて添加剤と共に、混練乃至は混合せしめて均一に混和し、かかる耐火性骨材の表面をケイ酸ナトリウム水溶液にて被覆するようにすると共に、そのようなケイ酸ナトリウム水溶液の水分を蒸散せしめることによって、常温流動性を有する乾態の粉末状コーテッドサンドを得る手法が、採用されることとなる。そして、その際におけるケイ酸ナトリウム水溶液(被覆層)の水分の蒸散は、ケイ酸ナトリウムの固化乃至は硬化が進む前に迅速に行なわれる必要があり、そのために、本発明にあっては、耐火性骨材に対してケイ酸ナトリウム水溶液を投入(混合)してから、5分以内に、より好ましくは3分以内に、含有水分を飛ばして、乾態の粉末状コーテッドサンドとすることが望ましい。かかる蒸散の時間が長くなると、混和(混練)サイクルが長くなり、生産性が低下する他、ケイ酸ナトリウム水溶液が空気中のCO2 に触れる時間が長くなって、失活する等の問題を生じる恐れが高くなるからである。
なお、このような工程に従って得られたコーテッドサンドにおいては、複数の粒子が結合した複合粒子である、所謂ダマの存在が効果的に低減せしめられており、それを20メッシュの篩にてふるい分けしたとき、その篩上に残った、20メッシュよりも大きな粒径のダマ量が、コーテッドサンドの総量に対して3質量%以下、好ましくは1質量%以下となるコーテッドサンドが、有利に得られることとなるのである。そして、そのようなダマ量の低減によって、鋳型を造型するための成形型の成形キャビティ内への充填性が、効果的に向上せしめられ得ることに加えて、鋳型強度のより一層の向上が有利に実現され得ることとなるのである。
そして、このようにして得られるコーテッドサンドにおいては、その水分率が0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下となるものであって、これにより、鋳型造型のための成形型の成形キャビティ内への充填性が、より一層優れたものとなるのであり、またそのようなコーテッドサンドを用いて造型された鋳型においても、優れた特性が付与されたものとなるのである。
また、かくして得られた、本発明に従うコーテッドサンドを用いて鋳型を造型するに際しては、先ず、かかるコーテッドサンドを、目的とする鋳型を与える成形型の成形キャビティ内に充填し、次いで水蒸気を吹き込み、コーテッドサンドの充填相内を通過せしめ、そして乾燥するまで、成形型内で保持することにより、充填されたコーテッドサンドの固化乃至は硬化が行なわれるのである。
その際、乾態のコーテッドサンドが充填せしめられる、金型や木型等の成形型は、予め加熱により保温されていることが望ましく、それによって、水蒸気によって湿らされたコーテッドサンドの乾燥が、有利に進行せしめられ得るのである。なお、その予熱による保温温度としては、一般に、90〜140℃程度、特に100〜130℃程度の温度が、望ましい。この保温温度が高くなると、成形型の表面にまで蒸気が通り難くなるのであり、また温度が低くなり過ぎると、造型された鋳型の乾燥に時間を要するようになる。加えて、かかる成形型内に充填せしめられる乾態のコーテッドサンドも、有利には、予熱されていることが望ましい。一般に、30℃以上の温度に加温されたコーテッドサンドを、成形型に充填せしめるようにすることによって、得られる鋳型の抗折強度がより有利に高められ得ることとなるのである。このようなコーテッドサンドの加温温度としては、好ましくは30〜100℃程度とされ、特に、40〜80℃程度の温度に加温されたコーテッドサンドが、有利に用いられることとなる。
そして、上記の如く加熱された成形型内に、具体的には、その成形キャビティ内に、乾態のコーテッドサンドを充填せしめた後、そこに形成される充填相内に、成形型に設けられた通気口を通じて、水蒸気を加圧下に通気させて、かかる充填相を構成するコーテッドサンドを湿らせて、相互に結合させて連結せしめ、一体的な鋳型形状のコーテッドサンド集合体(結合物)が形成されるのである。なお、ケイ酸ナトリウムは、通常、何の添加剤も加えられていなければ、水の蒸発乾固により固化し、また硬化剤として、酸化物や塩が加えられている場合には、硬化することとなる。本発明では、実用的には、硬化剤が添加されることとなるところから、充填相は硬化されたものとなるが、単に、固化されたものであっても、何等差支えない。
なお、そのような成形型の通気口を通じて吹き込まれて、コーテッドサンドの充填相内を通気せしめられる水蒸気の温度としては、一般に、80〜150℃程度、より望ましくは95〜120℃程度とされる。高温の水蒸気温度を採用すると、その生産のために、多量のエネルギーが必要となるところから、特に100℃付近の水蒸気温度が有利に採用されることとなる。また、本発明に従って通気せしめられる水蒸気の圧力としては、ゲージ圧で、0.01〜0.3MPa程度、より好ましくは0.01〜0.1MPa程度の値が有利に採用されるのである。コーテッドサンドの通気性が良い場合において、水蒸気を通気させるための圧力が、前記したゲージ圧程度であれば、成形型内に形成される鋳型に、満遍なく、水蒸気を通気させることが出来るのであり、しかも水蒸気の通気時間及び鋳型の乾燥時間が短時間で済み、造型速度を短縮することが出来る特徴がある。また、そのようなゲージ圧であれば、コーテッドサンドの通気性が悪い場合においても、造型が可能となる利点がある。なお、ゲージ圧が高すぎると、通気口付近でしみつきが発生し、低すぎると、全体に通気せず、コーテッドサンドを充分に湿らせることが出来ない恐れがある。
また、かくの如く水蒸気を通気させる方法としては、成形型に設けた通気口から水蒸気を吹き込み、成形型の成形キャビティ内に充填されたコーテッドサンド(相)内を通気せしめる手法が採用され、更にその通気時間としては、かかる充填されたコーテッドサンドの表面に水蒸気を供給して、その表面の粘結材であるケイ酸ナトリウムを充分に湿らせ、コーテッドサンドを相互に結合(接合)し得るような時間が、成形型の大きさや通気口の数等によって、適宜に選定されることとなるが、一般に、2秒程度から60秒程度までの通気時間が、採用されることとなる。この水蒸気の通気時間が短くなり過ぎると、コーテッドサンド表面を充分に湿らせることが困難となるからであり、また通気時間が長くなり過ぎると、コーテッドサンド表面の粘結材が溶解、流出する恐れ等が生じるからである。なお、この成形型内に充填されたコーテッドサンド内における水蒸気の通気性の向上は、かかる成形型の排気口から型内の雰囲気を吸引しつつ、水蒸気の通気を行なうことによって、更に高めることが可能である。また、本発明においては、水蒸気を通気すること以外に、コーテッドサンドを湿らせることが出来るのであれば、その方法は特に限定されないが、成形時間や成形工程が簡易なことから、上記の水蒸気を通気する手法が、有利に採用されることとなる。
さらに、本発明にあっては、水蒸気による通気の後に、かかる水蒸気によって湿ったコーテッドサンドの充填相を積極的に乾燥させるべく、乾燥空気、加熱乾燥空気又は窒素ガスを吹き込み、かかる充填相に通気せしめるようにする手法が、好適に採用される。このような乾燥空気、加熱乾燥空気又は窒素ガスの通気によって、コーテッドサンドの充填相の内部まで、迅速に乾燥させて、かかる充填相の固化乃至は硬化をより一層有利に促進せしめ、以て、硬化速度を有利に高めると共に、得られる鋳型の抗折強度等の特性をも、有利に高め得ることとなる他、鋳型の造型時間の短縮にも、有利に寄与し得るのである。
また、上述の如き、水蒸気の通気と乾燥空気の通気との間に、二酸化炭素(CO2 ガス)、エステル、カーボネートのガスを通気しても良く、この二酸化炭素、エステル、カーボネートのガスで粘結材を中和することで、その固化をより促進させることが可能である。なお、二酸化炭素、エステル、カーボネートのガスの通気は、水蒸気の通気と同時に、又は乾燥空気の通気と同時に行なっても、何等差支えない。
さらに、上記の如く造型される鋳型を、マイクロ波によって加熱するようにすることも出来る。これにより、選択的に水分のみを蒸発させ得る利点がある。もし、鋳型内部に水が存在すると、鋳型内の水分により、再び粘結材(バインダー)が溶解されて、抗折強度の低下が惹起される恐れがあり、また鋳型内の水が、金属溶湯の注湯時の熱によって分解されて、水素ガスを発生し、得られる鋳物にガス欠陥を生じさせる等の問題も内在するのである。このため、鋳型内の水分を取り除くべく、造型された鋳型をマイクロ波によって加熱する手法は、鋳型の保存と鋳物品質の向上に有効な手段であると考えることが出来る。
なお、本発明に従うコーテッドサンドを用いた鋳型の造型方法としては、上述の如く、成形型内にコーテッドサンドを充填して、成形する手法の他、公知の各種の造型手法が適宜に採用され得るところであり、例えば、特表平7−507508号公報や特開平9−141386号公報等に明らかにされている如き積層造形手法、具体的には、コーテッドサンドの層を順次積層せしめる一方、目的とする鋳型に対応する部分を硬化せしめて、三次元の鋳型を直接に造型する手法も、採用可能である。
以下に、幾つかの実施例を用いて、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明は、そのような実施例の記載によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。なお、以下の実施例や比較例において、部及び百分率は、特に断りのない限りにおいて、何れも、質量基準にて示されている。また、実施例や比較例における、ケイ酸ナトリウム水溶液の25℃における粘度の測定や、それら実施例や比較例で得られたコーテッドサンド(CS)の水分率、ダマ量、かさ密度、充填率、砂の状態の測定、及びそれぞれのCSを用いて得られる鋳型の抗折強度、引っかき硬度、吸湿劣化後の強度の測定、そして混練時の釜付着状態の観察は、それぞれ、以下のようにして行った。
−25℃での粘度(cP)の測定−
JIS Z 8803(2011)「液体の粘度測定方法」において規定された「9.単一円筒形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、そこに記載された装置と同等原理の装置を用いて、実施例や比較例で用いられるケイ酸ナトリウム水溶液の25℃の温度における粘度(cP)を測定する。
−水分率(%)の測定−
得られたコーテッドサンド(CS)の2.0gを、脱水溶剤であるアクアミクロンML(三菱化学株式会社製)の100mLが入った、カールフィッシャー水分測定機(平沼産業株式会社製;AQV−7 HIRANUMA AQUACOUNTER)のフラスコ[予め、カールフィッシャー試薬(Sigma-Aldrich Laborchemikalien Gmbh 社製;ハイドラナールコンポジット5)を滴下して、水分を0にしておく]内に投入した後、マグネチックスターラーを用いて数分間撹拌し、その後、前記ハイドラナールコンポジット5を滴下して、投入されたCSの水分量を定量し、その得られた値から、水分率を算出する。
−ダマ量(%)の測定−
それぞれの製造例で得られたCSを、20メッシュの篩でふるい分け、その篩上の20メッシュ以上の粒径の複合粒子(ダマ)を取り出す。ダマ量は、混練に使用した砂の質量に対するダマの質量の質量%として、算出する。
ダマ量(%)=ダマ質量/(ダマ質量+20メッシュ以下の砂の質量)×100
−かさ密度の測定−
それぞれの製造例で得られたCSを用いて、JACT試験法S−10:鋳物砂の充填性(かさ密度)試験法に準じて、測定する。
−抗折強度(kgf/cm2 )の測定−
各CSを用いて得られた幅:25.4mm×高さ:25.4mm×長さ:200mmの大きさの試験片について、その破壊荷重を、測定器(高千穂精機株式会社製:デジタル鋳物砂強度試験機)を用いて、測定する。そして、この測定された破壊荷重を用いて、抗折強度を、下記の式により、算出する。
抗折強度=1.5×LW/ab2
[但し、L:支点間距離(cm)、W:破壊荷重(kgf)、a:試験片の幅(cm) 、b:試験片の厚み(cm)]
−引っかき硬度(mm)の測定−
各CSを用いて得られた幅:25.4mm×高さ:25.4mm×長さ:200mmの大きさの試験片について、その引っかき硬度を、引っかき硬度計(GF式)を用いて、測定する。引っかき硬度は、先ず、試験片表面に引っかき硬度計の先端の歯を押し当てて、上部の黒いレバーを時計回りに1周、そして反時計回りに1周回し、更にその回転作業を5回繰り返すことで、徐々に歯がめり込んでいくところから、かかる歯のめり込んだ深さを、側面の目盛(mm)から読み取る。引っかき硬度は、その値が小さいほど強く、また大きいほど弱い。
−充填率(%)の測定−
骨材の真比重に対する、上記で用いられた各試験片の比重(質量を試験片の体積で除して算出する)の割合を、百分率で算出する。
充填率(%)={各試験片の質量(g)/体積(cm3 )}
/骨材の真比重(g/cm3 )×100
−吸湿劣化後強度の測定−
容器内に湿度調整用水・グリセロール混合溶液と金網を入れ、上記で得られた各試験片を金網で浮かせて、水・グリセロール混合溶液に触れないようにして、かかる容器内において所定時間保存し、各試験片を吸湿劣化させる。その吸湿劣化した後の各試験片の強度を、上記抗折強度測定法に従って、測定する。
−強度劣化率の算出−
上記で得られた各試験片についての、上記測定法に従ってそれぞれ得られた抗折強度及び吸湿劣化後強度を、それぞれ通常強度及び劣化強度として、下式に基づいて強度劣化率(%)を、算出する。
強度劣化率=(通常強度−劣化強度)/通常強度×100
−混練時の釜付着砂の観察−
混練後、釜に付着した砂の様子を、目視及び擦ることにより、確認する。そして、砂が付着していない場合を○、砂は付着しているが、擦ることで、容易に砂を落とせる場合を△、砂が付着しており、容易に砂を落とせない場合を×として、評価する。
−CSの製造例1(実施例1)−
耐火性骨材として、市販の鋳造用球状人工砂であるルナモス#50(商品名:花王株式会社製)を準備すると共に、粘結材として、市販のケイ酸ナトリウム3号(商品名:富士化学株式会社製)を水で希釈して、25℃での粘度が46.1cPとしたケイ酸ナトリウム水溶液を準備した。
次いで、約120℃の温度に加熱した上記のルナモス#50を、品川式万能攪拌機(5DM−r型)(株式会社ダルトン製)に投入した後、更に、前記ケイ酸ナトリウム水溶液を、ルナモス#50の100部に対して、不揮発分のみとして考えた場合の固形分換算にて、0.5部の割合で添加して、3分間の混練を行ない、水分を蒸発せしめる一方、砂粒塊が崩壊するまで攪拌混合せしめた後に、取り出すことにより、常温で自由流動性のある乾態のコーテッドサンド(CS)1を得た。そして、混練して得られたCS中に発生したダマの量の測定と、かかるCSの水分量と、混練時の釜付着の状態を観察した。その結果を、下表に示す。
−CSの製造例2〜4(実施例2〜4)−
粘結材として、市販のケイ酸ナトリウム3号(商品名:富士化学株式会社製)を水で希釈して、25℃での粘度を、それぞれ、36.3cP、17.3cP、又は11.1cPとしたケイ酸ナトリウム水溶液を準備したこと以外は、製造例1と同様の手順に従って、CS2〜4を、それぞれ得た。
−CSの製造例5〜7(実施例5〜7)−
粘結材として、市販のケイ酸ナトリウム5号(商品名:富士化学株式会社製)を水で希釈して、25℃での粘度を、それぞれ、36.3cP、17.3cP、又は11.1cPとしたケイ酸ナトリウム水溶液を準備したこと以外は、製造例1と同様の手順に従って、CS5〜7を、それぞれ得た。
−CSの製造例8(実施例8)−
耐火性骨材として、市販のアルミナ系球状人工骨材であるエスパール#60(商品名:山川産業株式会社製)を使用し、25℃での粘度を11.1cPとしたケイ酸ナトリウム水溶液を準備したこと以外は、製造例1と同様の手順に従って、CS8を得た。
−CSの製造例9(実施例9)−
耐火性骨材として、三河硅砂7号(商品名:三河珪石株式会社製)を使用すること、及び25℃での粘度を11.1cPとしたケイ酸ナトリウム水溶液を、三河硅砂7号の100部に対して、不揮発分のみとして考えた場合の固形分換算で、1.0部の割合において添加したこと以外は、製造例1と同様の手順に従って、CS9を得た。
−CSの製造例10〜13(比較例1〜4)−
粘結材として、市販のケイ酸ナトリウム3号(商品名:富士化学株式会社製)を水で希釈して、25℃での粘度を、それぞれ、72.5cP、55.8cP、6.9cP、又は6.0cPとしたケイ酸ナトリウム水溶液を準備したこと以外は、製造例1と同様の手順に従って、CS10〜13を得た。
−CSの製造例14〜15(比較例5〜6)−
粘結材として、市販のケイ酸ナトリウム5号(商品名:富士化学株式会社製)を水で希釈して、25℃での粘度を、6.9cP又は6.0cPとしたケイ酸ナトリウム水溶液を準備したこと以外は、製造例1と同様の手順に従って、CS14〜15を得た。
−CSの製造例16〜19(比較例7〜10)−
粘結材として、市販のケイ酸ナトリウム1号(商品名:富士化学株式会社製)を水で希釈して、25℃での粘度が、それぞれ、121cP、36.3cP、11.1cP、又は6.0cPであるケイ酸ナトリウム水溶液を準備したこと以外は、製造例1と同様の手順に従って、CS16〜19を得た。
−CSの製造例20〜23(比較例11〜14)−
粘結材として、市販のケイ酸ナトリウム2号(商品名:富士化学株式会社製)を水で希釈して、25℃での粘度が、各々、121cP、36.3cP、11.1cP、又は6.0cPであるケイ酸ナトリウム水溶液を準備したこと以外は、製造例1と同様の手順に従って、CS20〜23を得た。
−CSの製造例24(比較例15)−
水ガラスとして、市販のケイ酸カリウム1号(商品名:富士化学株式会社製)を水で希釈して、25℃での粘度が8cPであるケイ酸カリウム水溶液を準備したこと以外は、製造例1と同様の手順に従って、CS24を得た。
−CSの製造例25(比較例16)−
水ガラスとして、市販のケイ酸カリウム2号(商品名:富士化学株式会社製)を水で希釈して、25℃での粘度が、10cPであるケイ酸カリウム水溶液を準備したこと以外は、製造例1と同様の手順に従って、CS25を得た。
−鋳型の造型例−
上記の各CSの製造例にて得られた、20℃の温度のCS1〜25を、それぞれ、110℃に加熱した成形金型内に、圧力:0.3MPaのゲージ圧にて吹き込み、充填した後、更に0.05MPaのゲージ圧力の下で、温度:99℃の水蒸気を5秒間吹き込み、成形金型内に充填したコーテッドサンド相に通気せしめた。次いで、そのような水蒸気の通気が終了した後、0.03MPaのゲージ圧力の下で温度150℃の熱風を2分間吹き込み、成形金型内に充填されたCS1〜25をそれぞれ硬化させることにより、試験片[25.4mm×25.4mm×200mm]として用いられる鋳型を、それぞれ作製した。
−鋳型の測定−
上記で得られたCS1〜25に対応する各々の試験片について、前述した試験法に従って、かさ密度、充填率、抗折強度、吸湿劣化後強度、強度劣化率、引っかき硬度を、それぞれ測定し、その結果を、下記表1〜表4に示した。
Figure 0005986498
Figure 0005986498
Figure 0005986498
Figure 0005986498
かかる表1〜表4の結果より明らかなように、粘結材として用いたケイ酸ナトリウム水溶液が、SiO2 /Na2 Oのモル比が3.0〜4.0の範囲にあるケイ酸ナトリウム3号又は5号を用い、25℃での粘度が10〜50cPの範囲内にある水溶液とされた実施例1〜9の場合において、充填率や抗折強度が良好であり、更には、吸湿劣化後の強度や強度劣化率において優れていることが認められる。また、実施例1〜4で得られたCS1〜4は、実施例5〜7において得られたCS5〜7よりも、引っかき硬度が更に良好であり、特に、SiO2 /Na2 Oのモル比が3.0〜3.5の範囲内にあるケイ酸ナトリウム3号の使用が、有効であることが認められる。なお、ここでは、市販のケイ酸ナトリウム3号(原液)の粘度の上限は70〜75cP程度であり、また市販のケイ酸ナトリウム5号(原液)の粘度の上限は35〜40cP程度であるところから、それらの粘度よりも高粘度なケイ酸ナトリウム水溶液については実験されておらず、それら原液に水を添加して得られた、低粘度なケイ酸ナトリウム水溶液についての実施例が示されている。
また、比較例4、6、10、14の結果から明らかなように、水分率が0.5%以上となる、CS13、15、19、23が相当する湿態の状態のCSは、充填性が悪く、かさ密度もブロック状態となって測定不可となるのに対して、水分率が0.5%以下とされた、実施例1〜9に係るCS1〜9は、何れも、良好な流動性を有していることが認められる。また、比較例15、16において、ケイ酸カリウム1号及び2号を用いて得られたCS24、25にあっては、水分率を低くしても流動性が充分でなく、また、砂特性や鋳型特性においても、本発明に従うケイ酸ナトリウム3号や5号を用いて得られたCS1〜9と比較して、特性の劣るものであることが認められる。
次に、コーテッドサンドの製造に際して、粘結材として、ケイ酸ナトリウム原液を水で希釈して、ケイ酸ナトリウム水溶液としたものを用いた実施例4の場合(内添)と対比すべく、ケイ酸ナトリウム原液と水とを同時に添加して用いた場合(外添)の実験を行ない、それぞれ得られたコーテッドサンドの評価を行なった。
−CSの製造例26(実施例10)−
耐火性骨材として、市販の鋳造用球状人工砂であるルナモス#50(商品名:花王株式会社製)を準備すると共に、粘結材として、市販のケイ酸ナトリウム3号(商品名:富士化学株式会社製)の原液を準備し、更に、かかるケイ酸ナトリウム原液を希釈して、25℃での粘度が11.1cPとなるケイ酸ナトリウム水溶液を与えるに等しい量の希釈水を準備した。
次いで、約120℃の温度に加熱した上記のルナモス#50を、品川式万能攪拌機(5DM−r型)(株式会社ダルトン製)に投入した後、更に、上記市販のケイ酸ナトリウムの原液を、ルナモス#50の100部に対して、不揮発分のみとして考えた場合の固形分換算で、0.5部の割合で添加すると同時に、準備した希釈水を添加して、3分間の混練を行ない、水分を蒸発せしめる一方、砂粒塊が崩壊するまで攪拌混合せしめた後に取り出すことにより、常温で自由流動性のある乾態のCS26を得た。そして、かかる混練して得られたCS中に発生したダマの量の測定と、そのようなCSにおける水分量の測定とを行ない、更に、混練時の釜付着の状態を観察した。また、この得られたCS26を用い、前記と同様にして鋳型の造型を行ない、得られた鋳型試験片について、前述せる測定法に従って、かさ密度、充填率、抗折強度、吸湿劣化後強度、強度劣化率、及び引っかき硬度をそれぞれ測定し、その得られた結果を、先の実施例4において得られたCS4についての評価と共に、下記表5に併せ示した。
Figure 0005986498
かかる表5の結果より明らかな如く、先の実施例4において、ケイ酸ナトリウムの原液を水で希釈して、ケイ酸ナトリウム水溶液として用いた場合(内添)に対して、実施例10において、ケイ酸ナトリウムの原液と希釈水とを同時添加した場合(外添)において、それぞれ得られたCS4及びCS26は、ほぼ同等の性能を有していることが認められるのである。従って、耐火性骨材との混練時において、ケイ酸ナトリウムの原液と希釈水とが蒸発するより前に混練可能であれば、ケイ酸ナトリウム原液と希釈水とは、内添でも外添でも、ほぼ同様な特性を有するコーテッドサンドを形成することが出来ることが認められるのである。
また、耐火性骨材に対して、粘結材としてのケイ酸ナトリウム水溶液を混練せしめるに際し、硬化剤である固形酸化物や塩を同時に混練せしめて得られるコーテッドサンドについて、以下の如くして評価した。
−CSの製造例27〜29(実施例11〜13)−
耐火性骨材として、市販の鋳造用球状人工砂であるルナモス#50(商品名:花王株式会社製)を準備すると共に、粘結材として、市販のケイ酸ナトリウム3号(商品名:富士化学株式会社製)の原液を水で希釈して、25℃での粘度が17.3cPであるケイ酸ナトリウム水溶液を準備した。また、硬化剤である添加剤として、炭酸亜鉛(キシダ化学株式会社製)を準備した。
そして、かかる添加剤である炭酸亜鉛を、上記したルナモス#50の100質量部に対して、0.005、0.015、又は0.025質量部の割合で添加したこと以外は、製造例1と同様の手順に従って、CS27〜29を、それぞれ得た。また、その混練して得られたCS中に発生したダマの量の測定と、かかるCSの水分量の測定とを実施し、更に混練時のCSの釜付着の状態を観察した。また、それら得られたCS27〜29を用いて、上記と同様な鋳型の造型を行ない、その得られた各々の試験片(鋳型)について、前述せる測定法に従って、かさ密度、充填率、抗折強度、吸湿劣化後強度、及び強度劣化率を、それぞれ測定し、それらの結果を、下記表6に併せ示した。
−CSの製造例30〜32(実施例14〜16)−
添加剤(硬化剤)として、炭酸亜鉛の代わりに、四ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸カリウム、又は酸化亜鉛を用いること、及び各添加剤を、ルナモス#50の100質量部に対して、0.015質量部の割合で添加したこと以外は、上記の製造例27〜29と同様の手順に従って、CS30〜32を得た。そして、それら得られたCS30〜32についても、上記製造例27〜29と同様にして特性評価を行ない、その結果を、下記表6に併せ示した。
Figure 0005986498
かかる表6の結果から明らかなように、実施例3において得られたCS3に対して、実施例11〜16の如く、添加剤(硬化剤)として固形酸化物や塩を添加して得られたCS27〜32は、何れも、その吸湿劣化後強度が向上して、強度劣化率が低下する結果が得られ、これにより、それらCS27〜32においては、その吸湿劣化がより有効に抑制乃至は防止され得ることが認められるのである。

Claims (13)

  1. 加熱した耐火性骨材に対して、粘結材として水ガラス水溶液を混和せしめ、水分を蒸発させることにより、かかる耐火性骨材の表面に粘結材の被覆層を形成してなる、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンドを製造するに際して、
    前記水ガラス水溶液として、SiO2 /Na2 Oのモル比が3.0〜4.0であるケイ酸ナトリウムの水溶液を用いると共に、かかる水溶液の25℃での粘度を10〜50cPの範囲内に調整して、前記耐火性骨材に混和せしめるようにしたことを特徴とするコーテッドサンドの製造方法。
  2. 前記耐火性骨材の100質量部に対して、前記ケイ酸ナトリウムの水溶液が、固形分換算で0.1〜2.5質量部の割合で用いられることを特徴とする請求項1に記載のコーテッドサンドの製造方法。
  3. 加熱した耐火性骨材に対して、粘結材として水ガラス水溶液を混和せしめ、水分を蒸発させることにより、かかる耐火性骨材の表面に粘結材の被覆層を形成してなる、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンドを製造するに際して、
    前記水ガラス水溶液として、SiO2 /Na2 Oのモル比が3.0〜4.0であるケイ酸ナトリウムの水溶液であって、且つ25℃での粘度が30cP以上であるケイ酸ナトリウム水溶液を用い、かかるケイ酸ナトリウム水溶液と、該ケイ酸ナトリウム水溶液の25℃での粘度を10〜30cPの範囲内とする量の水とを、同時に又は10秒以内の時間差をもって、前記耐火性骨材に混和せしめるようにしたことを特徴とするコーテッドサンドの製造方法。
  4. 前記耐火性骨材の100質量部に対して、前記ケイ酸ナトリウムの水溶液が、固形分換算で0.1〜2.5質量部の割合で用いられ、且つ水が、0.1〜3.0質量部の割合で用いられることを特徴とする請求項3に記載のコーテッドサンドの製造方法。
  5. 前記ケイ酸ナトリウムのSiO2 /Na2 Oのモル比が、3.0〜3.5であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のコーテッドサンドの製造方法。
  6. 前記ケイ酸ナトリウム水溶液の混和開始から5分以内に、水分を蒸発させることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のコーテッドサンドの製造方法。
  7. 前記ケイ酸ナトリウム水溶液の混和に際して、二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、炭酸亜鉛、メタホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム、及び四ホウ酸カリウムのうちの少なくとも1種以上が、更に添加せしめられることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のコーテッドサンドの製造方法。
  8. 水分率が0.5質量%以下であり、且つ複数の粒子が結合した複合粒子であるダマ量が3質量%以下であるコーテッドサンドを得ることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のコーテッドサンドの製造方法
  9. 請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の製造方法によって得られたコーテッドサンドを用い、それを、目的とする鋳型を与える成形型の成形キャビティ内に充填した後、水蒸気を通気させて、かかる成形型内で固化乃至は硬化せしめることにより、目的とする鋳型を得ることを特徴とする鋳型の製造方法。
  10. 前記水蒸気の通気の後、さらに、乾燥空気、加熱乾燥空気又は窒素ガスが、前記成形型の成形キャビティ内に通気せしめられることを特徴とする請求項9に記載の鋳型の製造方法。
  11. 前記コーテッドサンドを30℃以上に予熱した後、前記成形型の成形キャビティ内に充填せしめることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の鋳型の製造方法。
  12. 前記成形型が予熱されて、保温されている請求項9乃至請求項11の何れか1項に記載の鋳型の製造方法。
  13. 請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の製造方法によって得られたコーテッドサンドを用いて積層造形して、目的とする鋳型を形成することを特徴とする鋳型の製造方法。
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