本発明は、本明細書において「デザイナーBMP」、「デザイナー骨形成タンパク質」、および「デザイナータンパク質」と呼ばれる、「デザイナー」骨形態形成タンパク質に関する。本発明のデザイナーBMPは、野生型の未修飾BMP、例えば限定はしないが、BMP2、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8、およびBMP9のアミノ酸配列に対応し得る。特定の実施形態において、デザイナーBMPは、その対応する野生型BMPと比較して、I型および/またはII型BMP受容体に対する結合の変化を示す。さらなる実施形態において、デザイナーBMPは、その対応するBMPと比較して、変化した半減期、免疫原性、または任意の薬物動態学的/薬力学的(PK/PD)パラメータを有するよう修飾され得る。
定義
本明細書において別段の定義がない限り、本発明に関して用いられる科学用語および技術用語は、当業者によって一般に理解されている意味を有するものとする。さらに、文脈により別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。通常、本明細書において記載される細胞および組織の培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸の化学、ならびにハイブリダイゼーションに関して用いられる専門用語、および前記のものの技術は、当技術分野において周知であり一般的に用いられるものである。
本発明の方法および技術は、通常、別段の指示がない限り、当技術分野において周知の、ならびに本明細書の全体を通して引用および議論される様々な一般的なおよびさらに具体的な参考文献において記載されているような方法に従って行われる。このような参考文献には、例えば、参照することによって本明細書に組み込まれる、SambrookおよびRussell、Molecular Cloning、A Laboratory Approach、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NY(2001);Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、NY(2002);ならびにHarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY(1990)が含まれる。酵素反応および精製技術は、当技術分野において一般的に行われるように、または本明細書において記載されるように、製造者の説明書に従って行われる。本明細書において記載される、分析化学、合成有機化学、ならびに医薬化学および薬化学に関して用いられる専門用語、ならびに前記のものの実験手順および実験技術は、当技術分野において周知であり一般的に用いられるものである。標準的な技術が、化学合成、化学分析、医薬の調製、製剤、および送達、ならびに患者の治療に用いられる。
本明細書において用いられる場合、以下の用語のそれぞれは、この節におけるそれに関連する意味を有する。
冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法的対象の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を言うために本明細書において用いられる。例えば、「エレメント」は、1つのエレメントまたは2つ以上のエレメントを言う。
本願において、「または」の使用は、別段の記載が無い限り、「および/または」を意味する。
従来の表記が、ポリペプチド配列を表現するために本明細書において用いられ、すなわち、ポリペプチド配列の左端がアミノ末端であり、ポリペプチド配列の右端がカルボキシル末端である。本明細書において用いられる場合、20個の従来のアミノ酸およびそれらの略記は、従来の使用法に従う。参照することによって本明細書に組み込まれる、Immunology−−A Synthesis(第2版、E.S.GolubおよびD.R.Gren編、Sinauer Associates、Sunderland、Mass.(1991))を参照されたい。本明細書において用いられる場合、アミノ酸は、以下に示す、その正式名称、それに対応する3文字コード、またはそれに対応する1文字コードによって表される。
「保存的なアミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖R基を有する別のアミノ酸残基によって置換されるものである。通常、保存的なアミノ酸置換は、タンパク質の機能的特性を実質的には変化させない。2つ以上のアミノ酸配列が保存的な置換によって互いに異なるケースでは、配列同一性パーセントまたは類似性の程度が、置換の保存的性質を補正するように上方に調整され得る。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。例えば、Pearson、Methods Mol.Biol.243:307〜31(1994)を参照されたい。
類似の化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸のグループの例には、1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン、2)脂肪族ヒドロキシル側鎖:セリンおよびスレオニン、3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン、4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン、5)塩基性側鎖:リジン、アルギニン、およびヒスチジン、6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに7)硫黄含有側鎖:システインおよびメチオニンが含まれる。好ましい保存的なアミノ酸置換基は、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、グルタメート−アスパルテート、およびアスパラギン−グルタミンである。
あるいは、保存的な置き換えは、参照することによって本明細書に組み込まれる、Gonnetら、Science 256:1443〜1445(1992)において開示されているPAM250対数尤度マトリクスにおいて正の値を有する任意の変化である。「中程度に保存的な」置き換えは、PAM250対数尤度マトリクスにおいて負ではない値を有する任意の変化である。
好ましいアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低減させる、(2)酸化に対する感受性を低減させる、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させる、(4)このような類似体の他の物理化学的または機能的特性を付与するかまたは修飾するものである。置換、欠失、および/または挿入を含む類似体は、特定のペプチド配列以外の配列の様々な突然変異タンパク質を含み得る。例えば、単一または複数のアミノ酸置換(好ましくは保存的なアミノ酸置換)を、特定の配列(好ましくは、ポリペプチドの、分子間接触を形成する1つまたは複数のドメインの外側の部分、例えば、CDRまたはI型もしくはII型受容体結合部位の外側)において生じさせることができる。保存的なアミノ酸置換は、親配列の構造的特徴を実質的には変化させないはずである(例えば、置き換えアミノ酸は、親配列において生じるらせんを破壊しないか、または親配列を特徴付けする他のタイプの二次構造を妨害しない傾向にあるはずである)。当技術分野において認識されているポリペプチドの二次構造および三次構造の例は、参照することによって本明細書に組み込まれる、Proteins、Structures and Molecular Principles(Creighton編、W.H.Freeman and Company、New York(1984));Introduction to Protein Structure(C.BrandenおよびJ.Tooze編、Garland Publishing、New York、N.Y.(1991));およびThorntonら、Nature 354:105(1991)において記載されている。
「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は、DNAおよびRNA状の一連のヌクレオチド塩基(「ヌクレオチド」とも呼ばれる)を言い、2つ以上のヌクレオチドからなる任意の鎖を意味する。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖の、キメラ混合物もしくは誘導体またはその修飾型であり得る。オリゴヌクレオチドは、例えば分子の安定性、そのハイブリダイゼーションパラメータなどを向上させるために、塩基部分、糖部分、またはホスフェート骨格で修飾され得る。ヌクレオチド配列は、典型的には、タンパク質および酵素を作製するために細胞機構によって用いられる情報を含む、遺伝情報を担持する。これらの用語には、二本鎖または一本鎖の、ゲノムのおよびcDNAの、RNAの、任意の合成の、ならびに遺伝子操作されたポリヌクレオチドが含まれ、センスポリヌクレオチドおよびアンチセンスポリヌクレオチドの両方が含まれる。これにはまた、修飾された塩基、例えばチオウラシル、チオグアニン、およびフルオロウラシルを含有する核酸、または糖質もしくは脂質を含有する核酸が含まれる。
ヌクレオチド配列の文脈では、「実質的に同一」という用語は、本明細書において、第1および第2のヌクレオチド配列が、共通の機能的活性を有するポリペプチドをコードするように、または共通の構造的ポリペプチドドメインもしくは共通の機能的ポリペプチド活性をコードするように、第2の核酸配列においてアラインされたヌクレオチドに同一の十分なまたは最少の数のヌクレオチドを含有する、第1の核酸配列を言うために用いられる。例えば、参照配列に対して少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するヌクレオチド配列。
本明細書における「デザイナーBMP核酸」および文法的同等物は、デザイナーBMPをコードする核酸を意味する。
「タンパク質」および「ポリペプチド」という用語は、本明細書において区別せずに用いられる。これらの用語は、ペプチド結合を介して互いに連結している連続的なアミノ酸鎖を言う。この用語は、個別の単位として機能する1つまたは複数のタンパク質を含む。単一のポリペプチドが個別の機能単位であり、個別の機能単位を形成するために他のポリペプチドとの永続的または一時的な物理的関連を要しない場合、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、区別せずに用いられ得る。個別の機能単位が、互いに物理的に関連する複数のポリペプチドからなる場合、本明細書において用いられる「タンパク質」という用語は、物理的に結合し個別の単位として共に機能する、複数のポリペプチドを言う。本発明に従った発現されるタンパク質は、タンパク質治療薬であり得る。タンパク質治療薬は、それが作用する身体における一領域、またはそれが中間体を介して間接的に作用する身体の一領域に対する生物学的影響を有するタンパク質である。タンパク質治療薬の例は、以下でさらに詳細に論じられる。
本明細書において用いられる「デザイナーBMP」という用語は、突然変異を有さない対応する野生型BMPと比較して少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含むBMPタンパク質に関し、デザイナーBMPは、I型および/またはII型受容体への対応する野生型BMPの結合と比較して、少なくともI型受容体および/または少なくとも1つのII型受容体への結合が検出可能に変化している。
「対応する野生型タンパク質」は、任意の突然変異を導入する前のデザイナーBMPの野生型を意味する。例えば、デザイナーBMPがデザイナーBMP2である場合、対応する野生型BMPは野生型BMP2である。したがって、1つの実施形態において、デザイナーBMPの設計は、必ずしもそうではないが、野生型BMP配列で開始し得、突然変異(例えば、アミノ酸の置換、欠失、および/または挿入)が前記野生型配列内に導入されている。したがって、デザイナーBMPは野生型BMPと対応し得、突然変異の位置は、例えば、野生型の対応するまたは「参照」BMP配列のアミノ酸配列と対応し、前記配列に関連があり、かつ/または前記配列と関連すると言うことができる。
本発明のタンパク質は、本明細書において記載されるポリペプチドの断片、誘導体、類似体、または変異体、およびその任意の組み合わせを含む。「断片」、「変異体」、「誘導体」、および「類似体」という用語は、本発明のタンパク質を言う場合、それが由来した元であるタンパク質の機能的特性の少なくとも一部を保持する、任意のタンパク質を含む。
本明細書において用いられる用語「断片」は、ポリペプチドを言い、そのポリペプチドに固有の、またはそのポリペプチドの特徴である、所与のポリペプチドの任意の個別の部分と定義される。本明細書において用いられるこの用語はまた、完全長ポリペプチドの活性の少なくとも一部を保持する、所与のポリペプチドの任意の個別の部分を言う。特定の実施形態において、保持される活性の一部は、完全長ポリペプチドの活性の少なくとも10%である。特定の実施形態において、保持される活性の一部は、完全長ポリペプチドの活性の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%である。特定の実施形態において、保持される活性の一部は、完全長ポリペプチドの活性の少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%である。特定の実施形態において、保持される活性の一部は、完全長ポリペプチドの活性の100%以上である。あるいは、またはさらに、本明細書において用いられるこの用語はまた、完全長ポリペプチドにおいて見られる確立された配列エレメントを少なくとも含む、所与のポリペプチドの任意の部分を言う。一部の実施形態において、配列エレメントは、完全長ポリペプチドの少なくとも約4〜5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、またはそれを超えるアミノ酸の長さである。本発明のタンパク質の断片には、タンパク質分解性の断片、ならびに欠失断片が含まれる。
本発明のタンパク質の変異体には、上記の断片、およびまたアミノ酸の置換、欠失、または挿入によってアミノ酸配列が変化したポリペプチドが含まれる。変異体は、天然または非天然であり得る。非天然の変異体は、当技術分野において知られている突然変異生成技術を用いて産生され得る。変異タンパク質は、保存的なまたは非保存的なアミノ酸の置換、欠失、または挿入を含み得る。
本発明のタンパク質には、機能的側基の反応によって化学的に誘導体化された1つまたは複数の残基を有するタンパク質が含まれる。本発明のタンパク質として同様に含まれるものは、20個の標準的なアミノ酸の1つまたは複数の天然アミノ酸誘導体を含有するポリペプチドである。例えば、4−ヒドロキシプロリンはプロリンの代わりに置換され得、5−ヒドロキシリジンはリジンの代わりに置換され得、3−メチルヒスチジンはヒスチジンの代わりに置換され得、ホモセリンはセリンの代わりに置換され得、オルニチンはリジンの代わりに置換され得る。
本明細書において用いられる「組換えによって発現されるポリペプチド」および「組換えポリペプチド」は、そのポリペプチドを発現するように操作された宿主細胞から発現されるポリペプチドを言う。特定の実施形態において、宿主細胞は哺乳動物細胞である。特定の実施形態において、この操作は、1つまたは複数の遺伝子修飾を含み得る。例えば、宿主細胞は、発現されるポリペプチドをコードする1つまたは複数の異種遺伝子の導入によって遺伝子修飾され得る。非相同組換えによって発現されるポリペプチドは、宿主細胞において通常発現されるポリペプチドに同一または類似であり得る。非相同組換えによって発現されるポリペプチドはまた、宿主細胞に対して外来であり得、例えば、宿主細胞において通常発現されるポリペプチドに対して異種であり得る。特定の実施形態において、非相同組換えによって発現されるポリペプチドは、キメラである。例えば、ポリペプチドの一部は、宿主細胞において通常発現されるポリペプチドに同一または類似のアミノ酸配列を含有し得、一方、他の部分は、宿主細胞に対して外来のアミノ酸配列を含有する。さらに、またはあるいは、ポリペプチドは、共に宿主細胞において通常発現される2つ以上の異なるポリペプチドから得られるアミノ酸配列を含有し得る。さらに、ポリペプチドは、共に宿主細胞に対して外来の2つ以上のポリペプチドから得られるアミノ酸配列を含有し得る。一部の実施形態において、宿主細胞は、1つまたは複数の内因性遺伝子の活性化または上方調節によって遺伝子修飾される。
配列間の相同性または配列同一性(これらの用語は、本明細書において区別せずに用いられる)の計算は、以下のように行われる。2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するために、配列を、最適な比較の目的でアラインする(例えば、ギャップを、最適なアラインメントのために、第1および第2のアミノ酸配列または核酸配列の一方または両方の中に導入することができ、非相同配列を、比較の目的で、無視することができる)。典型的な実施形態において、比較の目的でアラインされる参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%もしくは60%、または少なくとも70%、80%、90%、もしくは100%である。対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置にあるアミノ酸残基またはヌクレオチドを次に比較する。第1の配列における位置が、第2の配列における対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められている場合、分子は、その位置で同一である(本明細書において用いられる場合、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と同一である)。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸の同一性パーセントを決定するために、配列を、最適な比較の目的でアラインする(例えば、ギャップを、第2のアミノ酸配列または核酸配列との最適なアラインメントのために、第1のアミノ酸配列または核酸配列の配列内に導入することができる)。2つの配列の間の同一性パーセントは、配列が共有する同一な位置の数に応じる(すなわち、相同性%=同一な位置の数/位置の総数×100)。2つの配列の間の相同性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlinら、Proc Natl Acad Sci USA 90:5873〜7(1993)におけるように修正された、Karlinら、Proc Natl Acad Sci USA 87:2264〜8(1990)のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、Altschulら、J Mol Biol 215:403〜10(1990)のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラム内に組み込まれる。BLASTヌクレオチドサーチは、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で行うことができる。
BLASTタンパク質サーチは、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で行うことができる。比較の目的でギャップアラインメントを得るために、Gapped BLASTを、Altschulら、Nucleic Acids Res 25:3389〜402(1997)において記載されているように利用することができる。BLASTプログラムおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを用いることができる。
2つの配列の間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮して、配列が共有する同一な位置の数に応じる。
配列の比較および2つの配列の間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。1つの実施形態において、2つのアミノ酸配列の間の同一性パーセントは、Blossum 62マトリクスまたはPAM250マトリクスのいずれか、ならびにギャップの重み16、14、12、10、8、6、または4、および長さの重み1、2、3、4、5、または6を用いて、GCGソフトウェアパッケージ(gcg.comで入手可能である)におけるGAPプログラム内に組み込まれているNeedleman−Wunschアルゴリズム(Needlemanら、J Mol Biol 48:443〜53(1970))を用いて決定される。さらに別の実施形態において、2つのヌクレオチド配列の間の同一性パーセントは、NWSgapdna.CMPマトリクス、ならびにギャップの重み40、50、60、70、または80、および長さの重み1、2、3、4、5、または6を用いて、GCGソフトウェアパッケージ(gcg.comのインターネットで入手可能である)におけるGAPプログラムを用いて決定される。1つの典型的なパラメータセット(および別段の特定がない限り用いられるべきもの)は、ギャップペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ4、およびフレームシフトギャップペナルティ5を有するBlossum 62スコアリングマトリクスである。
2つのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列の間の同一性パーセントは、PAM120の重み残基表、ギャップ長ペナルティ12、およびギャップペナルティ4を用いて、ALIGNプログラム(バージョン2.0)内に組み込まれている、E.MyersおよびW.Miller(Myersら、Comput Appl Biosci 4:11〜7(1988))のアルゴリズムを用いて決定することができる。
本明細書において用いられる「教材」という用語には、本明細書において列挙される様々な疾患または障害に作用する、前記疾患または障害を軽減する、または治療するためのキット内の本発明の化合物、組み合わせ、および/または組成物の有用性を伝えるために用いられ得る、刊行物、記録、図、または任意の他の発表媒体が含まれる。場合によって、またはあるいは、教材は、本明細書のあらゆる箇所で開示されているものを含む、細胞、組織、または哺乳動物における疾患または障害を軽減する1つまたは複数の方法を記載し得る。
キットの教材は、例えば、本発明の化合物および/もしくは組成物を含有する容器に固定され得るか、または化合物および/もしくは組成物を含有する容器と共に出荷され得る。あるいは、教材は、レシピエントが教材および化合物を協調的に用いることを意図して、容器とは別に出荷され得る。
注釈がある場合を除き、「患者」または「対象」という用語は、区別せずに用いられ、ヒト患者および非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびに獣医学的対象、例えばウサギ、ラット、およびマウス、ならびに他の動物を言う。好ましくは、患者は、ヒトを言う。
本明細書において区別せずに用いられる「有効量」または「治療有効量」という用語は、組織または哺乳動物、好ましくはヒトに投与されると、化合物の不存在下で検出される応答と比較して検出可能な治療応答を仲介する量である。治療応答、例えば、限定はしないが、線維症の阻害および/または減少、骨量または骨密度の増大などは、例えば本明細書において開示されている方法などを含む、当技術分野において認識されている多くの方法によって容易に評価することができる。
当業者には、本明細書において投与される化合物または組成物の有効量が、治療される疾患または症状、疾患の段階、治療される哺乳動物の年齢および健康および身体状態、疾患の重症度、投与される特定の化合物などの多くの因子に基づいて、変化し、容易に決定され得ることが理解されよう。
本明細書において用いられる場合、「治療する」は、患者が疾患の症候(例えば、骨密度の低下、骨折、線維症など)を経験する頻度を低減させることを意味する。この用語には、本発明の化合物または作用物質を投与して、疾患の症候、合併症、または生化学的兆候の発病を予防するかまたは遅延させて、症候を軽減するか、または疾患、症状、もしくは障害のさらなる進行を阻止もしくは阻害することが含まれる。治療は、予防的なもの(疾患の発病を予防するかもしくは遅延させるため、またはその臨床的なもしくは準臨床的な症候の兆候を予防するため)、または治療的な、疾患の兆候後の、症候の抑制もしくは軽減であり得る。
本明細書において用いられる「特異的に結合する」という語句は、特異的分子に認識および結合するが、試料内の他の分子は実質的に認識または結合しない化合物、例えば、タンパク質、核酸、抗体などを意味する。例えば、試料内の同族受容体(例えば、BMPのI型またはII型受容体、その同族抗原と結合する抗体など)を認識および結合するが、試料内の他の分子は実質的に認識または結合しない、BMPタンパク質、抗体、またはペプチド阻害剤である。したがって、指定されたアッセイ条件下では、特定の結合部分(例えば、BMPまたはその受容体結合断片)は、特定の標的分子に優先的に結合し、試験試料内に存在する他の成分には有意な量では結合しない。様々なアッセイフォーマットを、目的の分子に特異的に結合する抗体を選択するために用いることができる。例えば、固相ELISA免疫アッセイ、免疫沈降、BIAcore、FACS、Octet、およびウェスタンブロット分析は、BMP受容体と特異的に反応するBMPを同定するために用いることができる多くのアッセイの一部である。典型的には、特異的なまたは選択的な反応は、バックグラウンドシグナルまたはバックグラウンドノイズの少なくとも2倍であり、さらに好ましくはバックグラウンドシグナルまたはバックグラウンドノイズよりも少なくとも5倍大きく、さらに典型的にはバックグラウンドの10倍超であり、さらに具体的には、BMPは、平衡解離定数(KD)が≦100μMである場合、さらに好ましくは≦10μM、さらに好ましくは≦1μM、さらに好ましくは≦100nM、最も好ましくは≦10nMである場合に、BMP受容体を「特異的に結合する」と言われる。
「KD」という用語は、特定のリガンド−受容体相互作用の平衡解離定数を言う。
「結合親和性」は通常、分子(例えばBMPリガンド)の結合部位とその結合パートナー(例えば、BMPのI型またはII型受容体)との間の非共有結合的な相互作用を合わせた強度を言う。別段の指示がない限り、本明細書において用いられる場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、BMPおよびその同族受容体)の間の1:1の相互作用を反映する、固有の結合親和性を言う。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は、通常、解離定数(Kd)によって表すことができる。
親和性は、本明細書において記載されるものを含む、当技術分野において知られている一般的な方法によって測定することができる。低親和性BMPは通常、受容体にゆっくりと結合し、すぐに解離する傾向があるが、一方、高親和性BMPは通常、受容体にさらに速く結合し、さらに長く結合したままである傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が、当技術分野において知られており、これらのいずれも、本発明の目的のために用いることができる。具体的な例示的な実施形態は、本明細書のあらゆる箇所で記載されている。
「kon」という用語は、本明細書において用いられる場合、単位:M−1秒−1で測定される、会合定数または会合速度定数、すなわち正反応または複合体形成反応の特異的反応速度を言うものである。
「koff」という用語は、本明細書において用いられる場合、単位:秒−1で測定される、解離定数または解離速度定数、すなわち抗体/抗原複合体からの抗体の解離についての特異的反応速度を言うものである。
「Kd」という用語は、本明細書において用いられる場合、特定の抗体−抗原相互作用の解離定数を言うものである。これは、式:
koff/kon=Kd
によって計算される。
本明細書において用いられる「結合の変化」という用語は、デザイナーBMPが、同一のI型および/またはII型受容体に対する対応する野生型BMPの結合と比較した場合、少なくともI型受容体および/またはII型受容体に対する異なる結合特異性を含むことを意味する。デザイナーBMPは、受容体に対する野生型BMPの結合と比較して、その受容体とさらに大きなまたはさらに小さな親和性で結合し得る。例えば、野生型BMPが特定のI型受容体に特定の結合親和性で結合した場合、対応するデザイナーBMPは、その受容体に、野生型BMPと比較してさらに大きなまたはさらに小さな親和性で結合する。さらに、おそらく、デザイナーBMPが、野生型BMPが結合する受容体にもはや検出可能に結合しない場合、デザイナーBMPは、野生型BMPが検出可能に結合しなかった受容体に特異的に結合し、またその逆も同様である。したがって、結合の変化は、対応する野生型BMPによるその受容体の結合と比較した、I型またはII型受容体に対するデザイナーBMPによる結合における任意の検出可能な変化を包含する。おそらく、デザイナーBMPは、対応する野生型BMPについてのkon値と比較してさらに大きなもしくはさらに小さなkon値を有し、かつ/またはデザイナーBMPは、対応する野生型BMPのkoff値と比較してさらに大きなもしくはさらに小さなkoff値を有し、その結果、デザイナーBMPのKdは、同一のBMP受容体への対応する野生型BMPのKdよりも大きいまたは小さい。したがって、デザイナーBMPと対応する野生型BMPとの間の結合の特徴および/または親和性値における任意の差は、本明細書において用いられる「結合の変化」という用語に包含される。
「表面プラズモン共鳴」という用語は、本明細書において用いられる場合、例えばBIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor AB、Uppsala、Sweden、およびPiscataway、N.J.)を用いる、バイオセンサーマトリクス内のタンパク質濃度の変化の検出によるリアルタイムの生体特異性相互作用の分析を可能にする、光学的現象を言う。さらなる説明については、例えば、Johnssonら、Ann.Biol.Clin.51:19〜26(1993);Johnssonら、Biotechniques 11:620〜627(1991);Johnssonら、J.Mol.Recognit.8:125〜131(1995);およびJohnnsonら、Anal.Biochem.198:268〜277(1991)を参照されたい。
本明細書において用いられる場合、「実質的に純粋」は、目的の種が、存在する主要な種であること(すなわち、モル濃度ベースで、それが組成物内の任意の他の個別の種よりも豊富であること)を意味し、好ましくは、実質的に精製された画分は、目的の種(例えば、デザイナーBMP)が、存在する全ての高分子種の少なくとも約50パーセント(モル濃度ベースで)を占める、組成物である。通常、実質的に純粋な組成物は、組成物内に存在する全ての高分子種の約80パーセント超、さらに好ましくは約85%、90%、95%、および99%超を占める。最も好ましくは、目的の種は、組成物が単一の高分子種から基本的になる、本質的な均質性(汚染物質種が、従来の検出方法によって組成物内に検出され得ない)まで精製される。
説明
骨形態形成タンパク質(BMP)
本明細書のあらゆる箇所で先に述べたように、BMPは、TGF−βタンパク質スーパーファミリーのメンバーであり、その全ては、6つの保存されたシステイン残基によって特徴付けされる(Landerら、(2001)Nature、409:860〜921)。BMP/GDFサブファミリーには、限定はしないが、BMP2、BMP3(オステオゲニン)(例えば、米国特許第6,177,406号を参照されたい)、BMP3b(GDF−10)(例えば、米国特許第6,204,047号を参照されたい)、BMP4(BMP2b)(例えば、米国特許第6,245,889号を参照されたい)、BMP5(例えば、米国特許第5,543,394号を参照されたい)、BMP6(例えば、米国特許第6,613,744号を参照されたい)、BMP7(骨形成タンパク質−1またはOP1)(例えば、米国特許第5,141,905号を参照されたい)、BMP8(OP2)(例えば、米国特許第5,688,678号を参照されたい)、BMP8B(OP3)(例えば、米国特許第5,854,071号を参照されたい)、BMP9(GDF2)(例えば、米国特許第6,287,816号を参照されたい)、BMP10(例えば、米国特許第5,703,043号を参照されたい)、BMP11(GDF11)(例えば、米国特許第6,437,111号を参照されたい)、BMP12(GDF7)(例えば、米国特許第6,027,919号を参照されたい)、BMP13(GDF6、CDMP2)(例えば、米国特許第6,027,919号を参照されたい)、BMP15(GDF9)(例えば、米国特許第6,034,229号を参照されたい)、BMP16(例えば、米国特許第6,331,612号を参照されたい)、GDF1(例えば、米国特許出願第2004/0039162号を参照されたい)、GDF3(例えば、米国特許第6,025,475号を参照されたい)、GDF5(CDMP1、MP52)(例えば、米国特許第5,994,094号を参照されたい)、およびGDF8(ミオスタチン)(例えば、米国特許第5,827,733号を参照されたい)が含まれる。
BMPは、その同族受容体に特異的に結合し、前記受容体には、I型受容体:ALK−I、ALK−2(ActRIaまたはActRIとも呼ばれる)、ALK−3(BMPRIaとも呼ばれる)、およびALK−6(BMPRIbとも呼ばれる)、ならびにII型受容体:ActRIIa(ActRIIとも呼ばれる)、ActRIIb、およびBMPRIIが含まれる。BMP−受容体の結合相互作用は、広く研究されており、I型および/またはII型受容体それぞれへの各野生型BMPの結合特異性は、通常、当技術分野において知られており、表1に示される。例えば、Nickelら、Cytokine Growth Factor Rev 20:367〜77(2009);Heineckeら、BMC Biol 7:59(2009)を参照されたい。
骨形成活性が向上したデザイナー骨形態形成タンパク質
本願は、一部には、各BMP二量体が4つのBMP受容体、すなわち2つのI型受容体および2つのII型受容体に結合するという理解に基づいている。各受容体への各BMPの特異性は、表1において上記に示すように、当技術分野において知られている。また、各受容体へのBMPの結合を仲介する様々なBMPの受容体結合領域は、マッピングされており、表2に示される。例えば、野生型BMP2およびBMP4がI型BMP受容体Alk−3およびALK−6に高い親和性で結合し、II型BMP受容体に低い親和性で結合することが良く明らかにされている。他方で、野生型BMP6およびBMP7は、II型受容体ActrIIA、ActrIIB、およびBMPRIIに高い親和性で結合するが、それらがII型に結合するよりも低い親和性でI型受容体に結合することが知られている。およそ12の受容体との相互作用を介してシグナル伝達するおよそ43のTGFβスーパーファミリーメンバーから生じる異なる細胞応答は、各リガンドが、異なる親和性でそれが結合する受容体の特異的レパートリーを利用することに起因すると考えられている。I型およびII型の結合ドメインを、表2に記載する。
デザイナーBMPの受容体結合を変化させるための合理的なアミノ酸置換
1つの実施形態において、本発明は、アミノ酸突然変異を少なくとも1つの受容体結合部位に導入し、それによって、それらの受容体に対する対応する野生型BMPの結合と比較して、デザイナーBMPによるI型およびII型BMP受容体に対する結合を変化させることを含む。すなわち、野生型BMP2はI型受容体に対する比較的高い親和性を示し、一方、野生型BMP6はII型受容体に対する高い親和性を示すことが、当技術分野において周知である。野生型BMP2およびBMP6のヘテロ二量体が、I型受容体およびII型受容体の両方に比較的高い親和性で結合することが、当技術分野においてさらに知られており、各BMPは、各受容体に対するさらに高い親和性結合部位を提供すると考えられる。以下の表3を参照されたい。BMP2/6ヘテロ二量体は、インビトロおよびインビボの両方での骨形成アッセイにおいて、BMP2もしくはBMP6単独またはホモ二量体よりも活性であることが知られている。表3は、I型およびII型受容体に対するBMP2およびBMP6の結合親和性の例を示す。
したがって、I型および/またはII型受容体に対する結合が向上したデザイナーBMPを提供することが本発明の目的である。図1Aおよび表2において示されるように、各BMPは、受容体の結合に寄与する3つの結合部位を含む。N末端からC末端に向かって、各BMPは、II型受容体結合部位A、I型受容体結合部位、および第2のII型受容体結合部位Bを含む。野生型BMP2、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8、およびBMP9の典型的なアラインメントが図1において説明されているが、当業者には、TGBβスーパーファミリーのメンバーの間の様々なアミノ酸の相対的な位置付けを提供する周知のアラインメントが存在することが理解されよう。このようなアラインメントは、とりわけ、国際公開公報第WO2009/086131(例えば、図15〜17、図31A)、WO2008/051526(図9〜12)、WO2005/118636(図6)、WO2005/118635、WO2005/113585(図3)、WO2001/92298(図6A〜6C)、Kirschら、EMBO J.19:3314〜3324(2000)(図1)、米国特許出願公開第2007/0293425号(図6)、Groppeら、Nature 420:636〜642(2002)、Nickelら、J.Bone Joint Surg.Am.83:7〜14(2001)、およびWeberら、BMC Structural Biol.7:6(2007)において提供されている。したがって、様々なTGFβスーパーファミリーメンバーのアミノ酸配列のアラインメントを含む、当技術分野において周知のタンパク質配列アラインメントアルゴリズムおよびツール、ならびに本明細書において提供される開示を用いて、別のBMP/GDFタンパク質における任意の位置のアミノ酸に対する、1つのBMP/GDFタンパク質における対応するアミノ酸を決定することができる。1つの実施形態において、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、およびBMP−9における対応するアミノ酸残基が示されている(例えば、図1Aを参照されたい)。
本発明の一部の実施形態において、デザイナーBMPは、I型結合ドメインまたはII型結合ドメインにおいて突然変異を含み、突然変異は、I型またはII型BMP受容体に対する結合の変化を付与する。一部の実施形態において、デザイナーBMPは、I型結合ドメインおよび第1の(結合ドメインA)または第2の(結合ドメインB)II型結合ドメインの両方において1つまたは複数の突然変異を含む。他の実施形態において、デザイナーBMPは、両II型結合ドメインにおいて1つまたは複数の突然変異を含む。他の実施形態において、デザイナーBMPは、第1のII型結合ドメイン、第2のII型結合ドメイン、およびI型結合ドメインにおいて1つまたは複数の突然変異を含む。一部の実施形態において、デザイナーBMPは、I型結合ドメインにおいて1つまたは複数の突然変異を含む。
一部の実施形態において、突然変異は、I型受容体に対する結合を向上させる。他の実施形態において、突然変異は、II型受容体に対する結合を向上させる。他の実施形態において、突然変異は、I型またはII型受容体に対する結合を減少させる。一部の実施形態において、突然変異は、以下でさらに完全に説明されるように、グリカンテザーを生成または破壊する。一部の実施形態において、突然変異は、以下でさらに完全に説明されるように、Hisドアストップを生成または破壊する。
BMPは当技術分野において良く特徴付けされ理解されているため、当然のことながら、本明細書において提供される開示が提供されれば、デザイナーBMPの活性にさらに影響しない、生成され得る考えられる突然変異の位置が理解される。したがって、本発明のデザイナーBMPは、変異BMPの受容体結合親和性に影響しない、さらなる挿入、欠失、または置換を含有するという点で、対応する野生型BMPまたはデザイナーBMPと異なる変異BMPを包含する。一部の非限定的な実施形態において、当業者には、システインノットの形成に関与するシステインおよび受容体の相互作用に関与するアミノ酸は、突然変異していないか、または保存的な置換で変化していないが、他のアミノ酸は、デザイナーBMPの生物学的活性に悪影響を及ぼすことなく、さらに自由に置換、挿入、または欠失され得ることが理解されよう。
別段の記載が無い限り、設計または修飾されたBMPの全ての位置的番号付けは、成熟天然BMPの配列に基づくことに留意されたい。デザイナーBMPは、変異の所定の性質、すなわち、BMP配列の天然の対立遺伝子変異または種間変異からそれらを区別する特徴によって特徴付けされる。デザイナーBMPの変異体は、以下に記載される適切なアッセイを用いて決定されるように、1つまたは複数の細胞型における対応する野生型BMPまたはデザイナーBMPの活性の少なくとも50%を保持していなくてはならない。野生型の活性の少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%を保持する変異体がさらに好ましく、野生型よりも活性な変異体が特に好ましい。デザイナーBMPは、N末端、C末端、または内部に、挿入、欠失、および/または置換を含有し得る。好ましい実施形態において、設計または修飾されたBMPは、最も類似したヒトBMP配列と異なる少なくとも1つの残基を有し、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の異なる残基がさらに好ましい。
本発明のデザイナーBMPは、対応する野生型BMPタンパク質配列と、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を維持する。
本発明のデザイナーBMPは、対応する野生型BMPタンパク質配列のC末端領域の保存されたシステインドメインと少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を維持し得る。
デザイナーBMPは、さらなる修飾、例えば、安定性もしくは免疫原性などのさらなるタンパク質特性を変化させる、またはペグ化もしくはグリコシル化などの翻訳後修飾を可能にするかもしくは防止する突然変異を含み得る。デザイナーBMPは、限定はしないが、1つまたは複数の側鎖または末端の合成誘導体化、グリコシル化、ペグ化、循環置換、環化、タンパク質またはタンパク質ドメインへの融合、およびペプチドタグまたは標識の付加を含む、共翻訳時修飾または翻訳後修飾を受け得る。
遺伝子コードの縮重に起因して、非常に多くの核酸が作製され得、その全ては、デザイナーBMPのアミノ酸配列を変化させない方法で1つまたは複数のコドンの配列を単純に修飾することによって、本発明のデザイナーBMPをコードする。本発明のデザイナーBMPは、WO2008/051526またはWO2009/086131において記載されているこれらの配列を含まない。
上記のように、BMPは、長いプロドメイン、1つまたは複数の切断部位、および成熟ドメインを含む前駆タンパク質として天然に発現される。この前駆タンパク質はその後、細胞の機構によってプロセシングされて、二量体の成熟BMP分子をもたらす。好ましい実施形態において、本発明のデザイナーBMPは、類似の様式で産生される。プロドメインは、BMPの正確なフォールディングおよびプロセシングに役立つと考えられている。さらに、全てではないが一部のBMPにおいて、プロドメインは、成熟ドメインに非共有結合し得、シャペロンおよび阻害剤として作用し得る(例えば、Thiesら(2001)Growth Factors、18:251〜259)。好ましくは、本発明の修飾されたBMPは、この形態で、産生されかつ/または治療的に投与される。あるいは、BMPは、限定はしないが、成熟ドメインが直接的に産生されるかもしくは封入体から再フォールディングされる、または完全長の無傷の前駆タンパク質を含むものを含む、他の形態で産生され得る。本発明のデザイナーBMPは、これらのおよび他の形態で有用である。
特定の実施形態において、本発明のデザイナーBMPは、骨格BMP、すなわち、デザイナーBMPが対応する野生型BMPを含む。特定の実施形態において、この骨格BMPは、野生型BMP2、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8、またはBMP9骨格であり得る。
本発明の一部の実施形態において、デザイナーBMPは、I型結合ドメインおよび/またはII型結合ドメインにおいて少なくとも1つの突然変異を含み、突然変異は、突然変異を含まない対応する野生型BMPの結合と比較して、I型またはII型BMP受容体に対する結合の変化を付与する。一部の実施形態において、デザイナーBMPは、I型結合ドメインにおいて少なくとも1つの突然変異を含み、II型結合ドメインにおいて少なくとも1つの突然変異を含む。他の実施形態において、デザイナーBMPは、II型結合ドメインAおよびII型結合ドメインB内に少なくとも1つの突然変異を含む。他の実施形態において、デザイナーBMPは、II型結合ドメインA、II型結合ドメインB、およびI型結合ドメインにおいて少なくとも1つの突然変異を含む。
特定の実施形態において、突然変異は、アミノまたは核酸の置換、欠失、および/または挿入を含み得る。好ましい実施形態において、突然変異は、アミノ酸置換を含む。
一部の実施形態において、骨格BMPは野生型BMPであり、突然変異は、表4〜6において列挙される突然変異の1つまたは複数である。デザイナーBMPは、これらの表において列挙される突然変異の任意の組み合わせおよび任意の数を含有し得る。
一部の実施形態において、骨格BMPは野生型BMPであり、突然変異は、表4〜6において列挙される突然変異の1つまたは複数である。デザイナーBMPは、これらの表において列挙される、または本明細書のあらゆる箇所において開示される突然変異の、順列ならびにいずれかおよび全てを含有し得る。
一部の実施形態において、突然変異は、I型受容体に対する結合を向上させる。他の実施形態において、突然変異は、II型受容体への結合を向上させる。他の実施形態において、突然変異は、I型またはII型受容体に対する結合を減少させる。
上記の表4〜6は、本発明の例示的な突然変異の非限定的な編集を提供し、突然変異の位置は、対応する野生型BMPのアミノ酸配列に関して提供されている。したがって、一部の実施形態において、デザイナーBMPは、突然変異の以下の好ましい組み合わせを含む。
特定の実施形態において、デザイナーBMPに対する対応する野生型BMPは、BMP2である。さらに、II型受容体結合ドメインA内の少なくとも1つの突然変異は、V33、P36、G37、H39、F41、Y42、およびH44からなる群から選択される突然変異である。
他の実施形態において、デザイナーBMPは、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含む。I型受容体結合ドメイン内の突然変異は、配列番号1の配列に関してP48、F49、A52、D53、H54、L55、N56、S57、N59、V63、T65、N68、S69、V70、N71、S72、K73、I74、およびP75での少なくとも1つの突然変異である。
さらなる実施形態において、デザイナーBMPは、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つの突然変異を含み、IIB型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含む。II型受容体結合ドメインB内の突然変異は、配列番号1の配列に関してE83、S85、A86、M89、L92、E94、N95、E96、K97、V98、およびV99での少なくとも1つの突然変異である。
一部の実施形態において、デザイナーBMPは、配列番号1の配列に関してアミノ酸H44、P48、A52、D53、L55、S57、N68、S69、V70、N71の後でのPの挿入、S72、K73、I74、A77、およびV80のそれぞれでの突然変異を含む。
1つの実施形態において、デザイナーBMPは、以下の突然変異:配列番号1の配列に関してH44D、P48S、A52N、D53A、L55M、S57A、N68H、S69L、V70M、N71の後でのPの挿入、S72E、K73Y、I74V、A77P、およびV80Aを含む。
一部の実施形態において、デザイナーBMPは、配列番号1の配列に関してアミノ酸V33、P36、H39、S85、M89、L92、E94、E96、K97、およびV99のそれぞれでの突然変異を含む。
一部の実施形態において、デザイナーBMPは、配列番号1の配列に関してアミノ酸V33I、P36K、H39A、S85N、M89、L92F、E94D、E96S、K97N、およびV99Iのそれぞれでの突然変異を含む。
他の実施形態において、デザイナーBMPは、以下の突然変異:配列番号1の配列に関してV33I、P36K、H39A、H44D、P48S、A52N、L54M、S56M、N68H、V70M、S72E、K73E、K73の後でのYの挿入、I74V、77AP、S85N、M89V、L92F、E94D、E96S、K97N、およびV99Iを含む。
さらに他の実施形態において、デザイナーBMPは、以下の突然変異:配列番号1の配列に関してV33I、P36R、H39A、H44D、P48S、A52N、L54M、S56M、N68H、V70M、S72E、K73E、K73の後でのYの挿入、I74V、77AP、S85N、M89V、L92F、E94D、E96S、K97N、およびV99Iを含む。
特定の実施形態において、デザイナーBMPに対する対応する野生型BMPは、BMP4である。特定の実施形態において、II型受容体結合ドメインA内の少なくとも1つの突然変異は、配列番号2のV35、P38、G39、Q41、F43、Y44、およびH46である。
他の実施形態において、デザイナーBMP4は、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含む。I型受容体結合ドメイン内の突然変異は、配列番号2のP50、A54、D55、H56、L57、N58、S59、N61、V65、T67、N70、S71、V72、N73、S74、S75、I76、およびP77での少なくとも1つの突然変異である。
さらなる実施形態において、デザイナーBMP4は、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つの突然変異を含み、IIB型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含む。II型受容体結合ドメインB内の突然変異は、配列番号2のE85、S87、A88、M91、L94、E96、K97、V98、およびV99での少なくとも1つの突然変異である。
特定の実施形態において、デザイナーBMPに対する対応する野生型BMPは、BMP5である。特定の実施形態において、II型受容体結合ドメインA内の突然変異は、配列番号3のI56、E59、G60、A62、F64、Y65、またはD67での少なくとも1つの突然変異である。
他の実施形態において、デザイナーBMPは、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含む。I型受容体結合ドメイン内の突然変異は、配列番号3のS71、F72、N75、A76、H77、M78、N79、A80、N82、V86、T88、H91、L92、M93、F94、P95、D96、H97、V98、またはP99での少なくとも1つの突然変異である。
さらなる実施形態において、デザイナーBMPは、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つの突然変異を含み、IIB型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含む。II型受容体結合ドメインB内の突然変異は、配列番号3のK107、N109、A110、V113、F116、D118、S119、S120、N121、V122、またはI123での少なくとも1つの突然変異である。
特定の実施形態において、デザイナーBMPに対する対応する野生型BMPは、BMP6である。特定の実施形態において、II型受容体結合ドメインA内の突然変異は、配列番号4のI57、K60、G61、A63、N65、Y66、またはD68での少なくとも1つの突然変異である。
他の実施形態において、デザイナーBMP6は、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含む。I型受容体結合ドメイン内の突然変異は、配列番号4のS72、N76、A77、H78、M79、N80、A81、N83、V87、T89、H92、L93、M94、N95、P96、E97、Y98、V99、またはP100での少なくとも1つの突然変異である。
さらなる実施形態において、デザイナーBMP6は、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つの突然変異を含み、IIB型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含む。II型受容体結合ドメインB内の突然変異は、配列番号4のK108、N110、A111、V114、F117、D119、N120、S121、N122、V123、またはI124での少なくとも1つの突然変異である。
特定の実施形態において、デザイナーBMPに対する対応する野生型BMPは、BMP7である。特定の実施形態において、II型受容体結合ドメインA内の突然変異は、配列番号5のI57、E60、G61、A63、Y65、Y66、またはE68での少なくとも1つの突然変異である。
他の実施形態において、デザイナーBMP7は、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含む。I型受容体結合ドメイン内の突然変異は、配列番号5のA72、F73、N76、S77、Y78、M79、N80、A81、N83、V87、T89、H92、F93、I94、N95、P96、E97、T98、V99、またはP100での少なくとも1つの突然変異である。
さらなる実施形態において、デザイナーBMP7は、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つの突然変異を含み、IIB型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含む。II型受容体結合ドメインB内の突然変異は、配列番号5のQ108、N110、A111、V114、F117、D119、S120、S121、N122、V123、またはI124での少なくとも1つの突然変異である。
特定の実施形態において、デザイナーBMPに対する対応する野生型BMPは、BMP8である。特定の実施形態において、II型受容体結合ドメインA内の突然変異は、配列番号6のI57、Q60、G61、S63、Y65、Y66、またはE68での少なくとも1つの突然変異である。
他の実施形態において、デザイナーBMP8は、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含む。I型受容体結合ドメイン内の突然変異は、配列番号6のS72、F73、D76、S77、C78、M79、N80、A82、N83、L87、S89、H92、L93、M94、M95、P96、D97、A98、V99、またはP100での少なくとも1つの突然変異である。
さらなる実施形態において、デザイナーBMP8は、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つの突然変異を含み、IIB型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含む。II型受容体結合ドメインB内の突然変異は、配列番号6のK108、S110、A111、V114、Y117、D118、S119、S120、N121、N122、V123、またはI124での少なくとも1つの突然変異である。
特定の実施形態において、II型受容体結合ドメインA内の突然変異は、配列番号7のI27、K30、E31、E33、Y35、またはE36での少なくとも1つの突然変異である。
他の実施形態において、デザイナーBMP9は、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含む。I型受容体結合ドメイン内の突然変異は、配列番号7のF42、F43、A46、D47、D48、V49、T50、P51、K53、V57、T59、H62、L63、K64、F65、P66、T67、K68、V69、またはG70での少なくとも1つの突然変異である。
さらなる実施形態において、デザイナーBMP9は、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つの突然変異を含み、IIB型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含む。II型受容体結合ドメインB内の突然変異は、配列番号7のK78、S80、P81、V84、K87、D89、M90、G91、V92、P93、またはT94での少なくとも1つの突然変異である。
デザイナーBMPの典型的なアミノ酸配列を、以下の表7に示す。表7は、設計された分子の名称および配列を示す。
上記に列挙されたデザイナーBMPは本発明の実施形態を含むが、本発明は、いかなる特定の分子にも全く限定されない。その代わりに、本発明は、受容体結合の変化を含む任意のデザイナーBMPを包含し、前記デザイナーBMPは、II型受容体結合ドメインA内に少なくとも1つの突然変異を含み、さらに好ましくは、デザイナーBMPは、I型受容体結合ドメイン内に少なくとも1つのさらなる突然変異を含み、最も好ましくは、デザイナーBMPは、II型受容体結合ドメインB内にさらに別の少なくとも1つのさらなる突然変異を含む。
他の実施形態において、本発明のデザイナーBMPは、上記の配列の1つに少なくとも約70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%同一なアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、デザイナーBMPは、配列番号8〜73の配列に少なくとも約70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%同一なアミノ酸配列を含む。
さらに別の実施形態において、デザイナーBMPは、配列番号8〜73のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、デザイナーBMPのアミノ酸配列は、配列番号8〜73の配列の1つからなる。
さらに、1つの実施形態において、デザイナーBMPは、配列番号12の配列に少なくとも約70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%同一なアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号12の配列である。さらに別の実施形態において、デザイナーBMPはBMPEである。
さらなる実施形態において、デザイナーBMPは、配列番号14の配列に少なくとも約70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%同一なアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号14の配列である。さらに別の実施形態において、デザイナーBMPはBMPGである。
別の実施形態において、デザイナーBMPは、配列番号36の配列に少なくとも約70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%同一なアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号36の配列である。さらに別の実施形態において、デザイナーBMPはBMPGEである。
別の実施形態において、デザイナーBMPは、配列番号37の配列に少なくとも約70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%同一なアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号37の配列である。さらに別の実施形態において、デザイナーBMPはBMPGERである。
本発明のデザイナーBMPは、上記の配列のいずれか1つの断片を含み得る。1つの実施形態において、デザイナーBMPの断片は、配列番号8〜73の配列のいずれか1つの配列に由来する、少なくとも連続した20、22、24、25、26、27、28、30、32、33、34、35、36、37、38、40、41、43、44、45、47、50、53、54、56、58、60、62、66、68、70、71、74、77、80、83、85、88、90、91、93、95、97、99、100、102、105、108、110、112、115、117、119、120、121、122、または125個のアミノ酸からなる配列の断片を含み得る。
BMPが、タンパク質のアミノ末端および/またはカルボキシル末端に関して異種であることが多いことは、当技術分野において周知である。すなわち、本発明は、デザイナーBMPのC末端およびまたはN末端からの少なくとも10個のアミノ酸残基、好ましくは9個のアミノ酸残基、さらに好ましくは8個のアミノ酸残基、さらに好ましくは7個のアミノ酸残基、好ましくは6個のアミノ酸残基、さらに好ましくは5個のアミノ酸残基、好ましくは4個のアミノ酸残基、さらに好ましくは3個のアミノ酸残基、さらに好ましくは2個のアミノ酸残基、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の欠失を含む、アミノ末端および/またはカルボキシル末端でのアミノ酸の欠失/トランケーションを含む、デザイナーBMPを含む。
別の実施形態において、本発明は、配列番号8〜73の配列のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、かつタンパク質のアミノ末端および/またはカルボキシル末端からの欠失/トランケーションをさらに含む、デザイナーBMPタンパク質を含む。別の実施形態において、本発明は、配列番号8〜73の配列のいずれかのアミノ酸配列を含むBMPタンパク質に由来するデザイナーBMPタンパク質を含み、前記タンパク質は、デザイナーBMPタンパク質のアミノ酸配列のC末端およびまたはN末端からの少なくとも10個のアミノ酸残基、好ましくは9個のアミノ酸残基、さらに好ましくは8個のアミノ酸残基、さらに好ましくは7個のアミノ酸残基、好ましくは6個のアミノ酸残基、さらに好ましくは5個のアミノ酸残基、好ましくは4個のアミノ酸残基、さらに好ましくは3個のアミノ酸残基、さらに好ましくは2個のアミノ酸残基、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の欠失を含む、アミノ末端および/またはカルボキシル末端でのアミノ酸の欠失/トランケーションを含む。
グリコシル化によって仲介される受容体親和性の変化を有するBMPの構造設計
本明細書において開示されているデータは、グリコシル化されていない、大腸菌において産生されたBMP2ホモ二量体(本明細書において「大腸菌BMP2」と呼ばれる)が、CHO細胞などの哺乳動物細胞において産生された、グリコシル化されたBMP2(本明細書において「CHO BMP2」と呼ばれる)ほど活性ではないことを実証する。さらに、本明細書において開示されているデータは、大腸菌が産生したBMP6ホモ二量体が、哺乳動物細胞の培養において産生されたBMP6ホモ二量体と比較して基本的に非機能的であることをさらに実証する。
本明細書において開示されているデータは、I型受容体結合領域において、CHO BMP2と比較して大腸菌BMP2の結晶構造に有意な変異が存在することを実証する。
1つの実施形態において、デザイナーBMPは、グリコシル化によって仲介される変化した立体構造を含み、それによって結合モチーフに影響し、前記結合モチーフは同様に、I型受容体に対する結合の変化を仲介する。これは、哺乳動物(例えばCHO)細胞が産生した野生型BMP2において、D53は受容体界面の方を向き、一方、H54は受容体と反対の方を向くという、本発見に基づく。これは、D53残基が受容体界面と反対の方を向き、H54残基が受容体に向かって並んで、図3に示されるようにプロリン残基に重なり、「ドアストップ」として明らかに作用する、大腸菌が産生したBMP2と対照的である。さらに、本明細書において開示されているデータは、完全にグリコシル化され、かつ活性な、CHOが産生したBMP6がまた、入り込んできている受容体の方を向くヒスチジン残基、すなわち、ヒスチジン「ドアストップ」を含むことを、初めて実証する。
いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、本明細書において開示されているデータは、「ドアストップ」残基を受容体界面から離れるように動かすことが、BMPリガンドとその受容体との間の結合の増大を仲介し得ることを、初めて示唆する。データはさらに、ドアストップ残基が、ドアストップを除去するようにそれ自体が突然変異し得るか、または他の残基が、ドアストップ残基の位置を移動させるように突然変異し得ることを実証する。さらに、本明細書において開示されているデータはさらに、他の残基が「グリカンテザー」を生じさせるように突然変異され得、このグリカンテザーが同様に、グリカンのテザリングがドアストップ残基を再方向付けするように、グリカンを方向付けし得ることを実証する。
したがって、一部の実施形態において、デザイナーBMPは、グリカンテザーに影響する、かつ/またはヒスチジンドアストップ構造を除去する、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を組み込むことによって産生され得、それによって、受容体結合が変化したデザイナーBMPが提供される。
要するに、一部の実施形態において、本発明のデザイナーBMPは、I型および/またはII型受容体結合を変化させる、BMPのI型および/またはII型結合ドメインにおける少なくとも1つの突然変異を含み得る。1つの実施形態において、BMP配列は、操作されたBMPまたは「デザイナー」BMPの受容体結合および/または骨形成活性を変化および向上させるために、BMPの受容体親和性を変化させるように操作される。1つの実施形態において、この操作は、とりわけ、デザイナーが由来する元である親BMPよりもI型受容体およびII型受容体の両方に対する高い親和性を示すデザイナーBMP分子を生じさせるために、I型およびII型受容体結合に関与する残基を同定すること、ならびに前記残基を置き換えることを伴う。
他の実施形態において、本発明のデザイナーBMPは、新たなアルギニン「グリカンテザー」を生じさせる、または既存のものを破壊してI型受容体結合ドメインを再成形する突然変異を含む。すなわち、BMP2のR16に等しい、最初のシステインから2残基C末端側の位置にあるアルギニンに対する突然変異は、BMPの表面上に「テザリングされる」グリカン鎖を生じさせ、結果的に、突然変異を有さない野生型BMPと比較して、前らせんループ領域の立体構造を変化させると考えられる。他の実施形態において、本発明のデザイナーBMPは、I型受容体をBMPとのさらなる係合から阻止する「ドアストップ」残基を変化させる、生成する、または破壊する(消失させる)少なくとも1つの突然変異を含み得る。すなわち、デザイナーBMPとI型受容体との相互作用を妨げる、または増大させるように方向付けされている、デザイナーBMPにおけるH54またはその対応する同等な残基の突然変異。
一部の実施形態において、アミノ酸突然変異は、デザイナーBMPの立体構造に影響して、その結果、突然変異は、さもなければ対応する野生型BMPにおいて存在する、アルギニン「グリカンテザー」の生成およびまたは消失を仲介する。一部の実施形態において、突然変異は、デザイナーBMPにおけるヒスチジンドアストップ立体構造を生成するかまたは除去する/消失させる、立体構造の変化を仲介し、ここで、このようなドアストップ立体構造は、対応する野生型BMPにおいてそれぞれ存在しないかまたは活性ではない。
したがって、本明細書において提供される教示に触れた当業者には、TGFβスーパーファミリーメンバーにおけるアルギニン「グリカンテザー」および/またはヒスチジン「ドアストップ」の存在または不存在が、限定はしないが本明細書において例示される方法を含む、タンパク質の構造分析のための当技術分野において知られている任意の方法を用いて評価され得ることが理解されよう。「ドアストップ」残基の存在が同定されれば、少なくとも1つの突然変異を分子内に導入して、ヒスチジンを受容体結合界面と反対の方に再方向付けすることができる。あるいは、「グリカンテザー」を生成または増強させる突然変異を導入して、ヒスチジン「ドアストップ」の阻害的影響を、もし存在する場合には低減し、またはさらに好ましくはなくすことができる。
TGFβスーパーファミリーメンバーがBMP2である1つの実施形態において、ヒスチジンドアストップを除去する突然変異は、H54の別のアミノ酸での置換である。一部の実施形態において、H54は、アラニン、グリシン、セリン、またはスレオニンで置き換えられる。
本発明は、BMP2についてのこのような「ドアストップ」を除去する突然変異を開示するが、当業者には、当技術分野における知識に基づいて、いかにして他のTGFβスーパーファミリーメンバーについての対応する突然変異を同定するか、および「ドアストップ」を有さない突然変異体、すなわち、さもなければ結合界面に面するかまたは結合界面内に突き出ることによって受容体結合を妨げる残基を除去または再方向付けする突然変異体を容易に産生するかが理解されよう。タンパク質の立体構造に対する突然変異の影響は、限定はしないが本明細書において開示されているものなどの、タンパク質の構造分析のための当技術分野において認識されている任意の方法を用いて決定することができる。あるいは、ドアストップを除去し、I型受容体に対するリガンドの結合を増大させ得る突然変異は、当技術分野において利用可能なコンピュータモデリング方法を用いてインシリコで同定することができる。したがって、本発明は、さもなければ受容体界面内に存在するヒスチジン「ドアストップ」残基を有さないという点でI型受容体との結合が向上している、TGFβスーパーファミリーメンバーの設計を包含する。
本発明はさらに、いかにしてアルギニングリカンテザーを生成または破壊する他のTGFβファミリーメンバーについての突然変異を同定するかの理解を、当業者に提供する。テザーを有さないタンパク質にアルギニングリカンテザーを付加する突然変異は、本発明によって考慮される。したがって、本発明は、I型受容体結合ドメインの立体構造を変化させるアルギニングリカンテザーを含有するという点でI型受容体との結合が向上している、TGFβスーパーファミリーメンバーの設計を包含する。
一部の実施形態において、グリカンテザーが不要になる、ヒスチジンドアストップの除去は、グリコシル化を伴わずに産生され得るが生物学的活性は維持しているデザイナーBMPを提供する。例えば、デザイナーBMPは、哺乳動物細胞とは異なるグリコシル化活性を有する、またはグリコシル化活性が存在しない細胞、例えば、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、または粘菌細胞において産生され得る。特定の実施形態において、デザイナーBMPは、大腸菌において産生され得、生物学的活性を維持する。
したがって、一部の実施形態において、本発明は、グリコシル化を有さないかまたは変化したグリコシル化を含む細胞において産生され得るBMPを設計および産生するための方法を提供し、その結果、哺乳動物細胞によって産生されるものと異なる変化したグリカンが産生される。すなわち、本発明は、さもなければ受容体結合を損なうまたは阻害するドアストップ残基を除去する突然変異を導入するための方法を包含する。本発明の教示を提供された当業者には、受容体−リガンド界面に影響するドアストップ残基が、残基を完全に除去するように突然変異され得るか、または他の突然変異が、残基が界面と反対の方に方向付けされるように導入され得ることが理解されよう。このような他の突然変異には、限定はしないが、グリカンの立体構造を変化させ、それによってドアストップ残基が結合界面と反対の方に方向付けされるようにリガンドの立体構造を変化させる、グリカンテザーの提供が含まれる。
デザイナーBMPをコードする核酸
本発明はまた、本明細書において記載されるデザイナーBMPをコードする核酸を含む。本明細書において記載されるデザイナーBMPをコードする核酸は、当技術分野において知られている多くの方法に従って調製することができる。
1つにおいて、デザイナーBMPをコードする核酸は、全遺伝子合成によって、または野生型BMPもしくは修飾されたBMPをコードする核酸の部位特異的突然変異生成によって調製される。鋳型特異的ライゲーション、反復PCR、カセット突然変異生成、部位特異的突然変異生成、または当技術分野において周知の他の技術を含む方法を利用することができる(例えば、Strizhovら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:15012〜15017(1996);ProdromouおよびPerl、Prot.Eng.5:827〜829(1992);JayaramanおよびPuccini、Biotechniques 12:392〜398(1992);ならびにChalmersら、Biotechniques 30:249〜252(2001)を参照されたい)。
したがって、本発明の実施形態は、本発明のデザイナーBMPをコードする核酸分子を含み得る。特定の実施形態において、本発明は、配列番号8〜66のアミノ酸配列の1つをコードする核酸分子を提供する。
他の実施形態において、核酸分子は、配列番号12のアミノ酸配列に少なくとも70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一なアミノ酸配列を含むデザイナーBMPタンパク質をコードする。一部の実施形態において、核酸分子は、配列番号12のアミノ酸配列を含むデザイナーBMPタンパク質をコードする。別の実施形態において、核酸分子は、表8に示されるBMPEのアミノ酸配列をコードする。
他の実施形態において、核酸分子は、配列番号14のアミノ酸配列に少なくとも70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一なアミノ酸配列を含むデザイナーBMPタンパク質をコードする。一部の実施形態において、核酸分子は、配列番号14のアミノ酸配列を含むデザイナーBMPタンパク質をコードする。別の実施形態において、核酸分子は、表8に示されるBMPGのアミノ酸配列をコードする。
他の実施形態において、核酸分子は、配列番号36のアミノ酸配列に少なくとも70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一なアミノ酸配列を含むデザイナーBMPタンパク質をコードする。一部の実施形態において、核酸分子は、配列番号36のアミノ酸配列を含むデザイナーBMPタンパク質をコードする。別の実施形態において、核酸分子は、表8に示されるBMPGEのアミノ酸配列をコードする。
他の実施形態において、核酸分子は、配列番号37のアミノ酸配列に少なくとも70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一なアミノ酸配列を含むデザイナーBMPタンパク質をコードする。一部の実施形態において、核酸分子は、配列番号37のアミノ酸配列を含むデザイナーBMPタンパク質をコードする。別の実施形態において、核酸分子は、表8に示されるBMPGERのアミノ酸配列をコードする。
デザイナーBMPをコードする典型的なヌクレオチド配列を、以下の表8に示す。表8は、コードされるタンパク質の名称およびそのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。通常、成熟タンパク質をコードする配列は、以下に列挙される配列のヌクレオチド847で開始する。
他の実施形態において、デザイナーBMPをコードする核酸分子は、配列番号74〜139で示される核酸配列の1つに少なくとも40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一な核酸配列、またはその断片を含む。他の実施形態において、デザイナーBMPをコードする核酸分子は、表8で示される核酸配列の1つに少なくとも40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一な核酸配列、またはその断片を含む。別の実施形態において、デザイナーBMPをコードする核酸分子は、配列番号74〜139で示される任意の配列の核酸配列を含む。さらに別の実施形態において、核酸分子は、配列番号74〜139の核酸配列のいずれか1つの核酸配列からなる。
別の実施形態において、デザイナーBMPをコードする核酸分子は、配列番号78の核酸配列に少なくとも40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一な核酸配列、またはその断片を含む。別の実施形態において、デザイナーBMPをコードする核酸分子は、配列番号78の核酸配列を含む。さらに別の実施形態において、核酸分子は、BMPEをコードする配列番号78の核酸配列からなる。
別の実施形態において、デザイナーBMPをコードする核酸分子は、配列番号80の核酸配列に少なくとも40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一な核酸配列、またはその断片を含む。別の実施形態において、デザイナーBMPをコードする核酸分子は、配列番号80の核酸配列を含む。さらに別の実施形態において、核酸分子は、BMPGをコードする配列番号80の核酸配列からなる。
別の実施形態において、デザイナーBMPをコードする核酸分子は、配列番号102の核酸配列に少なくとも40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一な核酸配列、またはその断片を含む。別の実施形態において、デザイナーBMPをコードする核酸分子は、配列番号102の核酸配列を含む。さらに別の実施形態において、核酸分子は、BMPGEをコードする配列番号102の核酸配列からなる。
別の実施形態において、デザイナーBMPをコードする核酸分子は、配列番号103の核酸配列に少なくとも40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、87%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一な核酸配列、またはその断片を含む。別の実施形態において、デザイナーBMPをコードする核酸分子は、配列番号103の核酸配列を含む。さらに別の実施形態において、核酸分子は、BMPGERをコードする配列番号103の核酸配列からなる。
デザイナーBMPを産生する方法
BMPは、長いプロドメイン、1つまたは複数の切断部位、および成熟ドメインを含む前駆タンパク質として、天然に発現する。この前駆タンパク質はその後、細胞の機構によってプロセシングされて、典型的には、二量体の成熟BMP分子をもたらす。一部の実施形態において、デザイナーBMPは、類似の様式で産生される。プロドメインは、BMPのフォールディングおよびプロセシングにおいて役割を有すると考えられている。さらに、一部のBMPにおいて、プロドメインは、成熟ドメインに非共有結合し得、溶解度増強剤、シャペロン、または阻害剤として作用し得る。一部の実施形態において、BMPは、封入体から直接的に産生されるかまたは封入体から再フォールディングされる、成熟ドメインとして産生され得る。他の実施形態において、BMPは、化学合成またはタンパク質産生のための任意の他の既知の方法を介して産生される。
1つの実施形態において、デザイナーBMPは、限定はしないが当技術分野において周知の合成方法などの、化学合成方法を用いて産生される。
一部の実施形態において、デザイナーBMPをコードする核酸は、全遺伝子合成によって、または、野生型BMP、デザイナーBMP、もしくは変異BMPをコードする核酸の部位特異的突然変異生成によって調製される。方法には、鋳型特異的ライゲーション、PCR、カセット突然変異生成、部位特異的突然変異生成、制限酵素消化およびライゲーション、または当技術分野において周知の他の技術が含まれる(例えば、Prodromouら、Protein Eng 5:827〜9(1992);Jayaramanら、Biotechniques 12:392〜8(1992);Chalmersら、Biotechniques 30:249〜52(2001);ならびにSambrookおよびRussell、In:Molecular Cloning、A Laboratory Approach、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NY(2001)を参照されたい)。
一部の実施形態において、デザイナーBMPをコードする遺伝子を含む発現ベクターが調製される。様々な宿主細胞のための多くのタイプの適切な発現ベクターおよび適切な調節配列が、当技術分野において知られている。発現ベクターは、限定はしないがプロモーター配列、リボソーム結合部位、転写ターミネーターシグナル、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサー配列またはアクチベーター配列を含む、転写および翻訳の調節配列を含有し得る。一部の実施形態において、調節配列は、プロモーター配列ならびに転写開始配列および転写停止配列を含む。さらに、発現ベクターは、発現ベクターを2つの生物内に維持することを可能にする2つの複製系などの、さらなるエレメントを含み得る。発現ベクターは、染色体外ベクター、または宿主細胞ゲノム内に組み込まれるベクターであり得る。いくつかの実施形態において、発現ベクターは、ゲノム内への組み込みを促進するための、宿主細胞ゲノムに相同な少なくとも1つの配列を含有する。ベクターを組み込むための構築物は、当技術分野において周知である。一部の実施形態において、発現ベクターは、安定的に形質転換された宿主細胞の選択を可能にするための選択マーカー遺伝子を含む。選択マーカー遺伝子は、当技術分野において周知であり、用いられる宿主細胞によって変化する。
発現ベクターは、宿主細胞からデザイナーBMPを分泌させるための分泌リーダー配列またはシグナルペプチド配列を含み得る。適切な分泌リーダー配列およびシグナルペプチドは、当技術分野において知られている。
デザイナーBMPをコードする核酸は、デザイナーBMPが核酸から発現されるように、単独でまたは発現ベクターと組み合わせて宿主細胞内に導入することができる。導入の方法は主に、宿主細胞のタイプによって決定される。典型的なトランスフェクション/形質転換方法には、CaPO4沈殿、リポソーム融合、エレクトロポレーション、ウイルス感染、デキストランを利用したトランスフェクション、ポリブレンを利用したトランスフェクション、プロトプラスト融合、直接的なマイクロインジェクション、および他の当技術分野において知られている方法が含まれる。デザイナーBMPをコードする核酸は、宿主細胞ゲノム内に安定的に組み込まれ得るか、または細胞質内に一時的にもしくは安定的に存在し得る。
デザイナーBMPを発現させるための適切な宿主細胞には、限定はしないが酵母細胞、細菌細胞、古細菌細胞、真菌細胞、昆虫細胞、および動物細胞を含む、野生型BMPまたは天然BMPを発現させるために適切な任意の細胞が含まれる。一部の実施形態において、宿主細胞は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)または大腸菌である。一部の実施形態において、宿主細胞は、293(例えば、293−Tおよび293−EBNA)細胞、BHK細胞、CHO(例えば、CHOK1およびDG44)細胞、COS細胞、Jurkat細胞、NIH3T3細胞、またはC2C12細胞などの、哺乳動物細胞である。他の適切な細胞は、ATCCカタログにおいて見ることができる。デザイナーBMPは、限定はしないが植物および動物を含む、さらに複雑な生物において産生され得る。1つの実施形態において、細胞は、デザイナーBMPの核酸を含む発現ベクター以外の外因性の核酸を含有するように、さらに遺伝子操作され得る。
一部の実施形態において、デザイナーBMPは、デザイナーBMPをコードする核酸を含有する発現ベクターで形質転換された宿主細胞を、デザイナーBMPの発現を誘発するかまたは生じさせるための適切な条件下で培養することによって産生される。デザイナーBMPの発現に適切な条件は、天然BMPまたは野生型BMPを発現させるために適切であることが知られている、同一の条件である。これらの条件は、発現ベクターおよび宿主細胞の選択によって変化し、通常の実験を通して当業者によって容易に確認され得る。
一部の実施形態において、デザイナーBMPは、発現後に精製または単離され得る。標準的な精製方法には、電気泳動技術、分子的技術、免疫学的技術、ならびに、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、および逆相HPLCクロマトグラフィーを含むクロマトグラフィー技術、ならびにクロマトフォーカシングが含まれる。適切な精製技術における全体的なガイダンスは、Scopes、In:Protein Purification、Springer−Verlag、NY、第3版(1994)において見ることができる。必要な精製の程度は、所望の使用に応じて変化し、場合によっては、精製は不要である。
細菌細胞からの精製の結果、封入体におけるBMPの発現、および次の、CHAPS/High塩系における再フォールディングのステップが生じる。哺乳動物細胞からの精製は、セルファインスルフェートカラムおよび逆相クロマトグラフィーカラムを介する2ステップの精製を伴い得る。
一部の実施形態において、デザイナーBMPは、共有結合的にまたは非共有結合的に修飾され得る。共有結合的な修飾は、タンパク質の標的化されたアミノ酸残基と、選択された側鎖残基または末端残基との反応が可能な有機誘導体化剤とを反応させることによって、タンパク質に導入され得る。修飾のための最適な部位は、限定はしないが、目視検査、構造分析、配列分析、および分子シミュレーションを含む、様々な基準を用いて選択することができる。
一部の実施形態において、デザイナーBMPは、少なくとも1つのエレメント、同位体、または化学的化合物で標識され得る。標識は、同位体標識、例えば放射性同位体または重同位体であり得る。一部の実施形態において、標識は、免疫標識、例えば抗体または抗原であり得る。一部の実施形態において、標識は、着色標識または蛍光標識、例えばフルオレセインであり得る。一部の実施形態において、標識は、ビオチン、タグ(例えば、FLAG、Myc、His)であり得る。
デザイナーBMPは、デザイナーBMPを、タンパク質に結合する抗体もしくはタンパク質の精製において用いるための支持マトリクスまたは表面に架橋するため、またはスクリーニングアッセイにおける結合を検出するための、二官能性の作用物質で誘導体化され得る。一般的に用いられる架橋剤には、限定はしないが、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4−アジドサリチル酸とのエステル、3,3'−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)などのジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性のイミドエステル、ビス−N−マレイミド−1,8−オクタンなどの二官能性のマレイミドが含まれる。他の修飾には、グルタミニル残基およびアスパラギニル残基の、それぞれ対応するグルタミル残基およびアスパルチル残基への脱アミド化、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリル残基またはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン側鎖、アルギニン側鎖、およびヒスチジン側鎖のアミノ基のメチル化(T.E.Creighton、Proteins:Structure and Molecular Properties、W.H.Freeman & Co.、San Francisco、pp.79〜86(1983))、N末端アミンのアセチル化、および任意のC末端カルボキシル基のアミド化が含まれる。このような誘導体化によって、溶解度、吸収、血液脳関門を通る輸送、血清半減期などが向上し得る。デザイナーBMPの修飾は、あるいは、タンパク質の任意の考えられる望ましくない副作用をなくすかまたは弱め得る。このような影響を仲介し得る部分は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Mack Publishing Co.、Easton、PA(1980)において開示されている。
デザイナーBMPの別のタイプの共有結合的な修飾は、米国特許第4,640,835号、米国特許第4,496,689号、米国特許第4,301,144号、米国特許第4,670,417号、米国特許第4,791,192号、または米国特許第4,179,337号において記載されている様式での、タンパク質の、様々な非タンパク性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレンの1つへの連結を含む。当技術分野において周知のように、様々な結合化学を、PEGの付着を行うために用いることができる。
別の実施形態において、デザイナーBMPは、タンパク質の、CovX体リンカーを介する、限定はしないが、米国特許第5,733,757号および米国特許公開US2009/0098130において記載されているCovX体などの、CovX体抗体への連結を含む。このようなCovX体は、限定はしないが向上した安定性および延長した血清半減期を含む、向上した特徴を示し得る。
デザイナーBMPの受容体結合活性をアッセイする方法
デザイナーBMPの受容体結合活性は、野生型BMPの活性を評価するために用いられる任意の方法を用いて評価することができる。
1つまたは複数のBMP受容体に対するデザイナーBMPの親和性は、受容体結合アッセイによって決定することができる。例えば、ALK−2、ALK−3、ALK−6、ActRII、ActRIIb、またはBMPRIIに対する親和性を決定することができる。適切な結合アッセイには、限定はしないが、ELISA、蛍光の異方性および強度、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、Biacore(Pearceら、Biochemistry 38:81〜89(1999))、DELFIAアッセイ、ならびにAlphaScreen(商標)(PerkinElmer;Bosse R.、Illy CおよびChelsky D(2002)から市販されている)が含まれる。
一部の実施形態において、Biacoreまたは表面プラズモン共鳴アッセイが用いられる。例えば、McDonnell、Curr.Opin.Chem.Biol.5:572〜577(2001)を参照されたい。Biacore実験は、TGF−βアイソフォームの、その受容体に対する結合を特徴付けするために、これまでに用いられている(De Crescenzoら、J.Biol.Chem.、276:29632〜29643(2001);De Crescenzoら、J.Mol.Biol.328:1173〜1183)(2003)。
他の実施形態において、プレートベースの直接的な結合アッセイを用いて、1つまたは複数のBMP受容体に対する1つまたは複数の修飾されたBMPの親和性を決定する。この方法は、BMPが抗BMPモノクローナル抗体を用いて捕捉され、次にBMP受容体−Fc融合タンパク質を用いて検出される、修正されたサンドイッチELISAである。
他の実施形態において、AlphaScreen(商標)アッセイ(Bosse R.ら、Principles of AlphaScreen(商標)、PerkinElmer Literature Application Note Ref #4069、http://lifesciences.perkinelmer.com/Notes/S4069−0802.pdf(2002))を用いて、受容体および阻害剤の結合を特徴付けすることができる。蛍光アッセイもまた、受容体および阻害剤の結合を特徴付けするために用いることができる。例えば、BMP2またはBMP2の受容体もしくは阻害剤を、蛍光染料(適切な染料の例については、Molecular Probesのカタログを参照されたい)で標識することができる。さらに、シンチレーション近接アッセイ(SPA)を用いて、受容体の結合親和性を決定することができる。例えば、BMP受容体−Fc融合体は、タンパク質Aで被覆されたSPAビーズまたはフラッシュプレートに結合し得、S35で標識されたBMPで処理され得る。結合事象の結果、光が生じる。
特定の実施形態において、I型またはII型受容体に対する特定のBMP突然変異体のKDは、ヒトIgG−Fcに対する受容体細胞外ドメインの融合を用いて決定することができる。受容体は、抗ヒトIgG−Fcセンサーを用いてオクテットセンサーに結合させることができ、BMPを溶液内で受容体細胞外ドメインに結合させて、Kon速度およびKoff速度を決定することができる。Octetシステムは、生体分子の相互作用のリアルタイムな無標識分析を可能にするため、ならびに親和性、動態、および濃度についての情報を提供するための、特許を取得しているBioLayer干渉法(BLI)を利用する。タンパク質がOctetセンサーに結合すると、センサーを通過する光は波長がシフトし、これは、分光光度計で測定することができる。変化の比率は、分析物がセンサーに結合すると、また分析物が結合を失うと、測定される。
デザイナーBMPの骨形成活性をアッセイする方法
デザイナーBMPの骨形成活性は、野生型BMPの活性を評価するために用いられる任意の方法を用いて評価することができる。
BMPは、多くのタイプの細胞の成長および分化を促進する。分化は、例えば、アルカリホスファターゼのための発光レポーター、またはアルシアンブルーもしくはPNPPなどの熱量測定試薬を用いて、モニタリングすることができる(Asahinaら(1996)Exp.Cell Res、222:38〜47;Inadaら(1996)Biochem.Biophvs.Res.Commun.222:317〜322;Jortikkaら(1998)Life ScL 62:2359〜2368;Chengら(2003)J.Bone Joint Surgery 95A:1544〜1552)。
ラットの肢芽軟骨の分化アッセイもまた、一次細胞における活性をモニタリングするために用いることができる。代替的な実施形態において、レポーター遺伝子またはキナーゼアッセイを用いることができる。BMPはJAK−STATシグナル伝達経路を活性化するため、GFPまたはルシフェラーゼなどのSTAT応答性のレポーターを含有するBMP応答性細胞系を用いることができる(Kusanagiら(2000)Mol Biol.Cell.、11:555〜565)。例えば、腎臓細胞におけるBMP活性を、細胞ベースのアッセイを用いて決定することができる。例えば、WangおよびHirschberg(2004)J.Biol.Chem.、279:23200〜23206を参照されたい。
骨形成活性は、全てIsaacsら、Mol.Endocrinol.24:1469〜1477(2010)において記載されている、アルカリホスファターゼ、BRE−ルシフェラーゼ、またはアリザリンレッド石灰化などの、細胞ベースのアッセイにおいて測定することができる。
骨形成活性はまた、ラットの異所性骨アッセイまたは哺乳動物の骨成長モデルを介して、インビボで測定することができる。一部の実施形態において、骨形成活性は、非ヒト霊長類モデルにおいて測定される。これらのモデルは、Isaacsら、Mol.Endocrinol.24:1469〜1477(2010)において記載されている。
骨量および骨の質を評価するための方法は、当技術分野において知られており、これには、限定はしないが、例えば、Laneら、J.Bone Min.Res.18:2105〜2115(2003)において記載されている、X線回折、DXA、DEQCT、pQCT、化学分析、密度分画、組織測光法、組織形態計測、および組織化学分析が含まれる。皮質骨密度を決定するための1つのアッセイは、MicroCTアッセイである。pQCT測定の後、例えば大腿骨でScanco mCT40(Scanco Medical AG)を用いて、microCT評価を行うことができる。
骨の成長/密度/強度を評価するための、任意の既知のまたは後に開発されたインビトロ方法またはインビボ方法を用いて、本発明のデザイナーBMPの骨形成活性を評価することができる。
医薬組成物
本発明のデザイナーBMPは、その必要がある哺乳動物、好ましくはヒトに、医薬組成物の一部として投与するために製剤され得る。組成物は、任意の適切な手段によって、例えば、非経口的に、経口的に、または局所的に投与することができる。設計されたBMPが、注入によるように局所的に所望の組織部位に投与される場合、または例えば静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、眼窩内投与、眼投与、脳室内投与、頭蓋内投与、嚢内投与、髄腔内投与、脳槽内投与、腹腔内投与、口腔内投与、直腸投与、膣投与、鼻腔内投与、もしくはエアロゾル投与などによって全身的に投与される場合、組成物は、好ましくは、水溶液を含む。溶液は、好ましくは、哺乳動物へのその投与が哺乳動物の正常な電解質および体液の容積バランスに悪影響を及ぼさないように、生理学的に許容できる。水性溶液は、したがって、例えば、正常な生理食塩水(0.9%NaCl、0.15M)、pH7〜7.4を含み得る。
経口的または非経口的な全身投与に有用な溶液は、例えば「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(参照することによってその開示が本明細書に組み込まれる、Gennaro,A.編、Mack Pub.、1990)において記載されている、薬学分野において周知の任意の方法によって調製することができる。製剤は、例えば、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物由来の油、水素化されたナフタレンなどを含み得る。直接的な投与のための製剤は、特に、グリセロールおよび他の高粘度の組成物を含み得る。
例えば、ヒアルロン酸、コラーゲン、リン酸三カルシウム、ポリブチレート、ポリラクチド、ポリグリコリド、およびラクチド/グリコリドコポリマーを含む、生体適合性の、好ましくは生体吸収性のポリマーは、インビボでのデザイナーBMPの放出を制御するための有用な賦形剤であり得る。本発明のデザイナーBMPのための他の潜在的に有用な非経口送達系には、エチレン酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、移植可能な注入系、およびリポソームが含まれ得る。吸入投与のための製剤は、賦形剤として例えばラクトースを含有し得るか、または、例えばポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリココレート、もしくはデオキシコレートを含有する水性溶液であり得るか、または点鼻薬の形態でもしくは鼻腔内に塗布されるゲルとして投与するための油性溶液であり得る。
あるいは、本明細書において記載されるように同定される、デザイナーBMP2およびBMP6を含む本発明のデザイナーBMPは、経口的に投与することができる。例えば、デザイナーBMPの液体製剤は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(上記)において記載されているような標準的な実施に従って調製することができる。このような液体製剤は、次に、投与のために飲料または別の栄養補助食品に添加することができる。経口投与はまた、これらの液体製剤のエアロゾルを用いて行うことができる。あるいは、当技術分野において認識されている乳化剤を用いて調製された固体製剤は、経口投与に適した錠剤、カプセル、またはトローチに加工することができる。
場合によって、デザイナーBMPは、所望の組織によるタンパク質の取り込みを増強するための手段を含む組成物に製剤することができる。例えば、テトラサイクリンおよびジホスホネート(ビスホスホネート)は、哺乳動物において全身的に提供されると、特に骨のリモデリングの区域で、骨塩に結合することが知られている。したがって、このような成分は、本発明のデザイナーBMPの骨組織への送達を増強させるために用いることができる。あるいは、細胞表面抗原などの所望の標的組織と特異的に会合しているアクセス可能な物質に特異的に結合する抗体またはその部分もまた、用いることができる。必要に応じて、このような特異的な標的化分子は、例えば、化学的架橋によって、または例えばAsp−Pro連結などの酸に不安定な結合を生じさせるための標準的な遺伝子操作技術を用いることによって、本発明のデザイナーBMPに共有結合し得る。有用な標的化分子は、例えば、米国特許第5,091,513号の教示に従って、設計することができる。
また、デザイナーBMPの一部が、担体マトリクス、すなわち不溶性のポリマーマトリクスと組み合わせられると、最も高いレベルのインビボでの活性を示し得ることが考えられる。例えば、参照することによってその開示が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,266,683号を参照されたい。現在好ましい担体マトリクスは、本質的に、異種、同種、または自源性である。しかし、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ酪酸、その誘導体およびコポリマーを含む合成材料もまた、適切な担体マトリクスを生成するために用いることができると考えられる。好ましい合成のおよび天然由来のマトリクス材料、その調製物、それを本発明のデザイナーBMPと製剤するための方法、ならびに投与方法は、当技術分野において周知であり、したがって、本明細書において詳述しない。例えば、米国特許第5,266,683号を参照されたい。
特定の実施形態において、デザイナーBMPは、その必要がある哺乳動物に、単独で、または組織の形態形成に対して有利な影響を有することが知られている別の物質と組み合わせて、投与することができる。このような物質(ここでは補因子)の例には、組織の修復および再生を促進する、ならびに/または炎症もしくは線維症を阻害する物質が含まれる。骨粗しょう症の個体における骨組織の成長を刺激するための有用な補因子の例には、例えば、限定はしないが、ビタミンD3、カルシトニン、プロスタグランジン、副甲状腺ホルモン、デキサメタゾン、エストロゲン、およびIGF−IまたはIGF−IIが含まれる。神経組織の修復および再生に有用な補因子には、神経成長因子が含まれ得る。他の有用な補因子には、消毒剤、抗生物質、抗ウイルス剤および抗真菌剤、鎮痛剤、ならびに麻酔薬を含む、症候を軽減する補因子が含まれる。
デザイナーBMPは、好ましくは、薬学的に許容できる無毒の賦形剤および担体と混合することによって、医薬組成物内に製剤される。上記のように、このような組成物は、特に液体溶液もしくは懸濁液の形態での、全身投与、例えば非経口投与;特に錠剤もしくはカプセルの形態での経口投与;または特に粉末、点鼻薬、もしくはエアロゾルの形態での鼻腔内投与のために調製され得る。組織表面への接着が望ましい場合、組成物は、参照することによってその開示が本明細書に組み込まれる、PCT US91/09275において開示されているような、フィブリノーゲン−トロンビン分散剤または他の生体接着剤を含み得る。組成物はしたがって、所望の組織表面に塗られ得るか、噴霧され得るか、または別の方法で塗布され得る。
投与されると、本発明の医薬組成物は、典型的には、発熱性物質を有さない生理学的に許容可能な形態で送達される。さらに、組成物は、骨の軟骨または組織の損傷の部位への送達のために、望ましくカプセル化され得るかまたは粘性形態で注入され得る。局所投与は、創傷の治癒および組織の修復に適切であり得る。骨および/または軟骨の形成にとって好ましくは、組成物は、骨および軟骨の発生のための構造を提供し、また体内に最適に再吸収され得る、BMPタンパク質を骨および/または軟骨の損傷の部位に送達し得るマトリクスを含む。このようなマトリクスは、他の移植型の医学的用途に現在用いられている材料で形成され得る。
マトリクス材料の選択は、生体適合性、生分解性、機械的特性、美容的外観、および界面特性に基づく。デザイナーBMP組成物の特定の用途は、適切な製剤を規定する。組成物のための考えられるマトリクスは、生分解性で化学的に規定されたカルシウムスルフェート、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸、およびポリ無水物であり得る。他の考えられる材料は、骨または真皮コラーゲンなどのように、生分解性であり、生物学的に良く規定されている。さらなるマトリクスは、純粋なタンパク質または細胞外マトリクス成分を含む。他の考えられるマトリクスは、焼結されたヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミネート、または他のセラミックなどのように、生分解不可能であり化学的に規定されている。マトリクスは、ポリ乳酸およびヒドロキシアパタイト、またはコラーゲンおよびリン酸三カルシウムなどの、上記のタイプの材料のいずれかの組み合わせを含み得る。バイオセラミックは、組成、例えばカルシウム−アルミネート−ホスフェートにおいて変化し得、孔サイズ、粒子サイズ、粒子形状、および生分解性が変化するように処理される。
投与レジメンは、デザイナーBMPタンパク質の作用を変化させる様々な因子を考慮して、担当医師によって決定される。これらの因子には、限定はしないが、形成させたい骨重量、骨の損傷の部位、損傷した骨の状態、創傷のサイズ、損傷した組織のタイプ、患者の年齢、性別、および食餌、任意の感染の重症度、投与時間、ならびに他の臨床的因子が含まれる。投与量は、再構成において用いられるマトリクスのタイプで変化し得る。IGFI(インスリン様成長因子I)などの他の既知の成長因子の、最終組成物への添加もまた、投与量に影響し得る。進行は、骨の成長および/または修復の断続的な評価によってモニタリングすることができる。骨の成長または修復を評価する1つの方法は、当技術分野において認識されている多くの方法の中で、x線イメージングおよび/またはCTスキャンによる。
組成物は、治療有効量、例えば、所望の効果を誘発するために十分な時間にわたり適切な濃度のデザイナーBMPを標的組織に提供する量で、ヒトまたは他の哺乳動物に非経口投与または経口投与するために、製剤することができる。好ましくは、本発明の組成物は、老化した組織(例えば、骨減少性の骨組織)に対する組織特異的な機能の維持もしくは組織特異的な表現型の回復、または組織における線維性の応答の阻害もしくは逆転などの、モルフォゲンに関連する生物学的応答に対する、哺乳動物の要求を軽減するかまたは和らげる。
当業者には理解されるであろうが、治療用組成物における記載される化合物の濃度は、投与される薬剤の投与量、採用される化合物の化学的特徴(例えば疎水性)、および投与経路を含む、多くの因子に応じて変化する。投与される薬剤の好ましい投与量はまた、疾患のタイプおよび程度、組織の喪失または欠損、特定の患者の全体的な健康状態、選択された化合物の相対的な生物学的有効性、化合物の製剤、製剤における賦形剤の存在およびタイプ、ならびに投与経路などの変数に依存する可能性が高い。
大まかに言うと、本発明の化合物は、非経口投与では約0.1〜10%w/vの化合物を含有する水性の生理学的緩衝溶液で提供され得る。典型的な用量範囲は、1日当たり体重1kg当たり約10ng〜約1gであり、好ましい用量範囲は、体重1kg当たり約0.1mg〜100mgである。
治療的使用
デザイナーBMPは、野生型BMPが有用な任意の適応に、またはTGFβスーパーファミリーメンバーを用いることができる任意の方法に、用いることができる。デザイナーBMPは、骨および軟骨の形態形成の発生カスケードを誘発し得、Smadシグナル伝達経路を誘発または仲介し得る。デザイナーBMPは、限定はしないが、対応する野生型BMPよりも優れた骨量、骨の剛性、および骨密度の生成を含む、骨のより優れた増生および修復を誘発する。したがって、デザイナーBMPは、組織における骨形成を誘発するために用いることができる。また、デザイナーBMPは、体内の様々な位置における骨および軟骨の増殖を誘発するために用いることができる。例えば、デザイナーBMPは、膝、肘、くるぶし、および指などの関節を修復するために用いることができる。例えば、デザイナーBMPは、関節炎または他の軟骨変性疾患に罹患している患者における軟骨の再生に有用であり得る。さらに、デザイナーBMPは、損傷に起因する軟骨の破断の治療に用いられる。さらに、デザイナーBMPは、患者における骨の成長の誘発に有用である。例えば、デザイナーBMPは、骨折もしくは骨の破損、骨粗しょう症に罹患している患者、または脊椎固定術が必要な患者の治療に、あるいは脊椎、脊椎骨などの修復に用いられる。
別の実施形態において、本発明は、骨の増生および/または修復の方法を含む。したがって、本発明は、治療有効量のデザイナーBMPを、検出可能な骨の増生または修復をそれが仲介する部位に投与することを包含する。
別の実施形態において、本発明は、Smadの発現を誘発または増大する方法を含む。本方法は、Smad介在性の発現経路を含む細胞を本発明のデザイナーBMPと接触させることを含む。
デザイナーBMPは、骨または骨の軟骨と異なる、哺乳動物における様々な組織についての、骨の形態形成および組織の形態形成の発生カスケードを誘発し得る。このモルフォゲン活性は、前駆細胞の増殖および分化を誘発する能力、ならびに、骨、軟骨、石灰化されていない骨格組織または結合組織、および他の成体組織の形成をもたらす事象の進行を通して、分化した表現型を支持および維持する能力を含む。
例えば、デザイナーBMPは、代謝性骨疾患において骨量の減少を予防するためおよび/または骨量を増大させるための治療に用いることができる。骨形成タンパク質を用いて代謝性骨疾患における骨量の減少を予防するためおよび/または骨量を増大させるための治療の一般的な方法は、参照することによってその開示が本明細書に組み込まれる米国特許第5,674,844号において開示されている。デザイナーBMPはまた、骨の破損、骨折、および軟骨の破断などの損傷部位での骨または軟骨を置き換えるかまたは修復するために投与することができる。本発明のデザイナーBMPは、歯周組織の再生に用いることができる。骨形成タンパク質を用いる歯周組織の再生のための一般的な方法は、参照することによってその開示が本明細書に組み込まれる米国特許第5,733,878号において開示されている。
デザイナーBMPは、肝臓の再生に用いることができる。骨形成タンパク質を用いる肝臓の再生のための一般的な方法は、参照することによってその開示が本明細書に組み込まれる米国特許第5,849,686号において開示されている。デザイナーBMPは、慢性腎不全の治療に用いることができる。骨形成タンパク質を用いる慢性腎不全の治療のための一般的な方法は、参照することによってその開示が本明細書に組み込まれる米国特許第6,861,404号において開示されている。デザイナーBMPは、中枢神経系の虚血または外傷の後の機能的回復を増強させるために用いることができる。骨形成タンパク質を用いる、中枢神経系の虚血または外傷の後の機能的回復を増強させるための一般的な方法は、参照することによってその開示が本明細書に組み込まれる米国特許第6,407,060号において開示されている。
デザイナーBMPは、樹状細胞の成長を誘発するために用いることができる。骨形成タンパク質を用いる、樹状細胞の成長を誘発するための一般的な方法は、参照することによってその開示が本明細書に組み込まれる米国特許第6,949,505号において開示されている。
デザイナーBMPは、神経細胞の接着を誘発するために用いることができる。骨形成タンパク質を用いる、神経細胞の接着を誘発するための一般的な方法は、参照することによってその開示が本明細書に組み込まれる米国特許第6,800,603号において開示されている。
デザイナーBMPは、パーキンソン病を治療および阻止するために用いることができる。骨形成タンパク質を用いる、パーキンソン病を治療および阻止するための一般的な方法は、参照することによってその開示が本明細書に組み込まれる米国特許第6,506,729号において開示されている。
上記の様々な治療的使用のために、本発明の修飾されたBMPを用いる一般的な方法を修正することは、当業者の技術の範囲内である。本発明の修飾されたBMPの治療用途の典型的な実施形態は、以下にさらに記載される。
デザイナーBMPは、罹患しているかまたは損傷している哺乳動物組織を修復するために用いることができる。修復される組織は、好ましくは評価され、過剰な壊死性のまたは干渉性の瘢痕組織は、外科的方法、化学的方法、切除方法、または医療分野において知られている他の方法によって、必要に応じて除去される。デザイナーBMPが次に、外科的移植または注入によって、無菌の生体適合組成物の一部として、組織部位に直接的に提供され得る。あるいは、修飾されたBMPによって刺激された前駆細胞を含有する無菌の生体適合組成物が、組織部位に提供され得る。罹患しているかまたは損傷している、その部位で既存の組織は、前駆細胞の増殖および組織特異的な分化を可能にするための適切なマトリクスを提供する。さらに、損傷しているかまたは罹患している組織部位、特に外科的手段によってさらに傷んでいる組織部位は、モルフォゲン許容状態の環境を提供する。一部の組織では、修飾されたBMPの全身的な提供が十分であろうことが予想される。
デザイナーBMPは、損傷後の瘢痕組織の形成を予防するかまたは実質的に阻害するために用いることができる。デザイナーBMPが新たに損傷した組織部位に提供されると、デザイナーBMPは、その部位で組織の形態形成を誘発し得、未分化結合組織への移動性線維芽細胞の凝集を予防する。デザイナーBMPは、好ましくは、損傷の5時間以内に無菌の医薬調製物として組織部位内に注入される。
例えば、デザイナーBMPは、部分的な肝切除の後の実質的に損傷した肝臓組織のタンパク質誘発性の形態形成のために用いることができる。この一般的なプロトコルの変型を、他の組織に用いることができる。一般的な方法は、組織の基本的に再生しない部分を切除し、修飾されたBMPを好ましくは可溶性医薬調製物として、切除された組織部位に提供し、創傷を閉じ、後にその部位を試験することを伴う。骨のように、肝臓は、胎児後の損傷の際に再生する能力を有する。
別の実施例として、デザイナーBMPはまた、象牙質形成を誘発するために用いることができる。これまで、損傷に対する歯髄組織の予測不可能な応答は、歯科における基本的な臨床的問題である。標準的な歯科的外科的手順を用いて、小さい領域(例えば2mm)の歯髄を、試料歯の髄質の真上のエナメルおよび象牙質を除去することによって(穿孔によって)外科的に露出させ、歯冠歯髄組織の部分的な切断を行い、止血を誘発し、髄質治療を行い、標準的な手順によって虫歯を密封し詰め物を行うことができる。
本発明のデザイナーBMPは、線維症を治療するために用いることができる。線維症は、身体の様々な部分に位置し得、また特定の種類のものであり得、例えば、線維症は、腎臓、例えば、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、同種移植拒絶反応、およびHIV腎症において観察されるような線維症において位置し得、肝臓、例えば、肝硬変および静脈閉塞性疾患において位置し得、肺、例えば、特発性線維症(および自己免疫線維症)において位置し得、皮膚、例えば、全身性硬化症、ケロイド、瘢痕、および好酸球増加症筋痛症候群において位置し得、中枢神経系、例えば眼内線維症において位置し得、心血管系、例えば血管再狭窄において位置し得、鼻、例えば鼻ポリープにおいて位置し得、骨または骨髄において位置し得、内分泌器官において位置し得、また胃腸系において位置し得る、
1つの実施形態において、BMP7の結合特徴を有するデザイナーBMP、またはその有用な修飾(半減期の延長、野生型BMP7と比較して同一のまたは異なる受容体に対する結合親和性の増大、限定はしないがNogginなどのBMP7アンタゴニストによる阻害に対する耐性)は、線維症を治療、改善、または解消させるために有用であり得る。すなわち、Weiskirchenら、2009、Frontiers in Biosci.14:4992〜5012において最近概説されているように、TGFβ1は、限定はしないが上皮から間葉への移行を含む、線維症の増大をもたらすカスケードを仲介する。TGFβ1の線維症誘発性の影響は、BMP7によって阻害または逆転され得る。同様に、Loureiroら、2010、Nephrol.Dial.Transplant.25:1098〜1108を参照されたい。さらに、特定の線維性症状はまた、BMP4の投与によって治療または改善され得る(Pegorierら、2010、Resp.Res.11:85を参照されたい)。したがって、本発明は、受容体の結合を変化させて、その必要がある患者における線維症を治療するための潜在的な有用な治療薬を提供するために、BMP7フレームワーク、ならびに/または本明細書のあらゆる箇所で開示されているI型およびII型突然変異を組み込むことに基づく、デザイナーBMPを包含する。
線維性障害は、多くの原因によって誘発され得、これらの原因には、化学療法、例えば、ブレオマイシン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メトトレキサート、ムスチン、またはプロカルバジン治療の結果生じる肺の線維症;偶発的なまたは放射線照射療法におけるように目的のある、放射線照射への曝露、例えば、放射線照射の結果生じる間質性肺疾患(ILD);環境因子もしくは産業因子、または化学物質、煙、金属、蒸気、ガスなどの汚染物質、例えば、アスベストまたは炭塵から生じるILD;薬剤または薬剤の組み合わせ(例えば、抗生物質(例えば、ペニシリン、スルホンアミドなど)、心血管薬(例えば、ヒドララジン、ベータ遮断薬など)、CNS薬(フェニトイン、クロルプロマジンなど)、抗炎症薬(例えば、金塩、フェニルブタゾンなど)などがILDを生じさせ得る);免疫反応障害、例えば、真皮線維症を伴う慢性的な移植片対宿主疾患;ILDの既知の原因である誤嚥性肺炎などの病状、および寄生体誘発性の線維症;ならびに創傷、例えば、CNSの穿通性損傷におけるものなどの、鈍的外傷、外科的切開、戦場での創傷などが含まれる。
特定の実施形態において、BMPEなどの、I型受容体ALK2への結合が向上しているデザイナーBMPを、ALK2に関連する疾患を治療するために用いることができる。
キット
本発明は、治療有効量の本発明のデザイナーBMPを、アプリケーターおよび本発明の方法を実施するためのデザイナーBMPの使用を説明する教材と共に含む、様々なキットを含む。典型的なキットが以下に記載されるが、他の有用なキットの内容物は、本開示に照らして当業者に明らかとなろう。これらのキットのそれぞれは、本発明に含まれる。
本発明は、その必要がある患者における代謝性骨疾患における骨量の減少を予防するためおよび/または骨量を増大させるための治療のためのキットを含む。キットは、本発明のデザイナーBMPを含む。キットはさらに、キットの成分を患者に投与するための、限定はしないがシリンジ、骨セメント混合装置などを含む、アプリケーターを含む。さらに、キットは、患者における骨量を治療もしくは予防するためおよび/または骨量を増大させるためのキットの使用のための情報を患者に説明する教材を含む。
さらに好ましくは、キットは、配列番号8〜73のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する抗体から選択される少なくとも1つのデザイナーBMPを含み、さらに好ましくは、デザイナーBMPは、配列番号12、配列番号14、配列番号36、および配列番号37のアミノ酸配列を含む。好ましくは、デザイナーBMPは、BMPE、BMPG、BMPGE、およびBMPGERである。
キットは、骨量減少を予防するためおよび/または骨量を増大させるための治療のための任意の数のさらなる治療物質を含み得る。このような物質は、先に記載されており、その他多数のなかでも、治療用化合物、サイトカイン、ビタミン、TGFβスーパーファミリーの他のメンバーを含む。
本発明はまた、骨量減少を予防するためおよび/または骨量を増大させるために有効な量(例えば、10mg/kg超、少なくとも15mg/kg、または15mg/kg)のデザイナーBMPを含む製品(例えば、i.v.投与または経口投与に適合した投与形態)に関する。特定の実施形態において、製品は、デザイナーBMPを含む1つまたは複数の容器、ならびに骨量減少を治療もしくは予防するためおよび/または骨量を増大させるために用いるためのラベルおよび/または指示を含む。
本発明はまた、その必要がある患者における組織または器官における線維症を治療または予防するためのキットを含む。キットは、本発明のデザイナーBMPを含む。キットはさらに、キットの成分を患者に投与するための、限定はしないがシリンジまたはタンパク質を送達するための装置、混合装置などを含む、アプリケーターを含む。さらに、キットは、患者における線維症を治療または予防するためのキットの使用のための情報を患者に説明する教材を含む。
さらに好ましくは、キットは、配列番号8〜73のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質から選択される少なくとも1つのデザイナーBMPを含み、さらに好ましくは、デザイナーBMPは、配列番号12、配列番号14、配列番号36、および配列番号37のアミノ酸配列を含む。好ましくは、デザイナーBMPは、BMPE、BMPG、BMPGE、またはBMPGERである。
キットは、骨量減少を予防するためおよび/もしくは骨量を増大させるため、または線維症を治療もしくは予防するための治療のための任意の数のさらなる治療物質を含み得る。このような物質は、先に記載されており、その他多数のなかでも、治療用化合物、サイトカイン、ビタミン、TGFβスーパーファミリーの他のメンバーを含む。
本発明はまた、骨量減少を予防するためおよび/もしくは骨量を増大させるため、または線維症を治療もしくは予防するために有効な量(例えば、1mg/kg超、少なくとも10mg/kg、少なくとも15mg/kg、または15mg/kg)のデザイナーBMPを含む製品(例えば、i.v.投与または経口投与に適合した投与形態)に関する。特定の実施形態において、製品は、デザイナーBMPを含む1つまたは複数の容器、ならびに骨量減少を治療もしくは予防するためおよび/または骨量を増大させるため、あるいは線維症を治療または予防するために用いるためのラベルおよび/または指示を含む。
本発明は、以下の実験的実施例を参照することによって、さらに詳細に記載される。これらの実施例は、説明のみを目的として提供されており、別段の特定がない限り、限定するためものものではない。したがって、本発明は、以下の実施例に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書において提供される教示の結果明らかとなる、任意のおよび全ての変型を包含すると解釈されるべきである。
(実施例1)
デザイナーBMPタンパク質の産生および精製
哺乳動物細胞培養物を用いる産生
野生型BMPおよびデザイナーBMPを産生および分泌する組換え宿主CHO細胞を、標準的な組換えDNA手順を用いて生成した。馴化培地を、接着細胞培養物から生成した。簡潔に述べると、CHO細胞を、10%dFBSを含有する培地に播種し、3〜4日間にわたりコンフルエンスに近くなるまで成長させた。この成長相の後、成長培地を廃棄し、細胞をPBS−CMFで1回すすぎ、その後、200ug/mlの硫酸デキストラン、2mMの酪酸ナトリウム、および10mMのHEPESを補った無血清培地に交換した。細胞を次に、31℃の温度で7日間にわたり培養した。馴化培地を採取し、0.2uMの滅菌濾過を用いて澄明化した。馴化培地を、精製まで−20℃で保管した。
デザイナーBMPの精製
CHO細胞馴化培地から新たなデザイナーBMP分子を精製するために、BMPを、2つのステップからなる従来のクロマトグラフィーによって捕捉し、結果を、パネルA〜Dを含む図5に示す。他の新たなデザイナーBMPの全てが基本的に類似の様式で精製されたため、BMPEの精製の詳細のみをここに示す。
CHO馴化培地(CHO CM)(pHは、1.0MのTris(pH8.0)で8.0にpH調整された)を、20mMのMES(pH8.0)で平衡させたセルファインスルフェートカラム(65ml、2.6×12.3cm)にロードした。カラムを、10カラム容積(CV)の20mMのTris(pH8.0)、10CVの50mMのMES(pH5.6)、および10CVの緩衝液A(6.0Mの尿素、50mMのMES、pH5.6)で洗浄した。BMPを、5CVを超える0〜1.0MのNaCl線形勾配で溶出した(緩衝液B=6.0Mの尿素、50mMのMES、1.0MのNaCl、pH5.6)。塩化ナトリウム勾配を適用すると、BMP2の特徴である伝導率30と45mS/cmとの間の広いピークが観察された(図5A)。画分を、クマシー染色されたSDS−PAGEゲルによって分析し、BMP含有画分をプールした。画分内のBMPを、SDS−PAGE非還元ゲル上の還元性二量体として同定した(図5Bの左側のパネル)。セルファインスルフェートクロマトグラフィーステップから得られたBMPプールをさらに、10×250mmのVydac15μm C8カラム上で分取逆相HPLCによって精製し(溶媒A=0.1%TFA、溶媒B=90%アセトニトリル、0.1%TFA)、BMPを、およそ32%のアセトニトリルで溶出した。逆相クロマトグラフィーステップの軌跡を図5Cに示す。タンパク質を濃縮し、アセトニトリルを、speedvacを用いて除去し、濃縮物を、透析を介してMFR−169緩衝液内に製剤した。精製されたBMPを、SDS−PAGE、A280、およびLALアッセイによって特徴付けした(エンドトキシン)。同一のゲル画分(F13〜F18)を示す非還元型SDS−PAGEゲル(図5Dの左側)および還元型SDS−PAGEゲル(図5Dの右側)の写真を示す。全部で16個のBMPデザイナータンパク質を、基本的に同一のレベルの純度、およびCM1L当たり0.3〜1.4mgの発現/精製の収量まで精製し、結果を、写真を示す図6に示す(図6)。簡潔に述べると、野生型BMP2(WT)、ならびにデザイナーBMPであるBMPSE、BMPE、E109R、BMPD、BMP S85R、BMP SNE、BMPB、およびBMP−ENを、非還元型ゲル(図6A)および還元型SDS−PAGE(図6B)の写真に示し、デザイナーBMP ai(BMPAの変異体)、aii(BMPAの変異体)、c(BMPC)、hi(BMPIの変異体)、hii、i、f、およびgを、非還元型SDS−PAGE(図6C)および還元型SDS−PAGE(図6D)の写真に示す。
(実施例2)
インビトロおよびインビボでのアッセイを用いて実証されたデザイナーBMPの骨形成活性
アルカリホスファターゼアッセイ
96ウェルプレート内のウェル当たりおよそ8000個のC2C12細胞を、示されたBMPおよび示された用量で処理した。処理の24時間後、プレートを、アルカリホスファターゼを測定するために処理し、これは、骨形成活性についての当技術分野において認識されているアッセイである。培養培地を除去し、プレートを、カルシウム/マグネシウムを有さないPBSで2回洗浄した。50μlの4−リン酸メチルウンベリフェリル(4−MUP液体アルカリホスファターゼ基質;Sigmaカタログ番号M3168)を各ウェルに添加し、プレートを、暗所で、37℃で15分間にわたりインキュベートした。蛍光を、Victorルミノメーター(設定:355nMでの励起、460nMでの発光、1120のCWランプエネルギー)で、ウェル当たり1秒測定した。読み取りが完了した後、50μlの2×タンパク質アッセイ溶解緩衝液(200mMのTris−HCl(pH9.8)/0.4%トリトンX−100)を各ウェルに添加し、タンパク質濃度を、BCA Proteinアッセイ(Pierce)を製造者のマイクロプレート手順に従って用いて決定した。アルカリホスファターゼの測定値を次に、全タンパク質濃度に対して正規化した(すなわち、タンパク質1マイクログラム当たりの蛍光分析単位)。図7におけるグラフによって示されるように、複数のデザイナーBMP分子で処理されたC2C12の筋肉の前筋芽細胞は、野生型BMP2(小さい丸を有する太線)での処理と比較して、骨芽細胞の分化のマーカーであるアルカリホスファターゼ活性の有意な増大を示した。WT BMP2と比較して増大したAP活性を示すデザイナーBMPには、デザイナーBMPA、デザイナーBMPF、デザイナーBMPG、およびデザイナーBMPEが含まれた。驚くべきことに、デザイナーBMPEは、BMP2のI型受容体およびBMP6のII型受容体の両方と高い親和性で結合することが知られている野生型BMP2/6ヘテロ二量体(四角を有する太線)のものと同等の活性を実証した。デザイナーBMPEは、BMP2への、低い親和性のBMP6のI型結合領域の導入の結果である。BMPEはI型受容体およびII型受容体の両方に対して低い親和性の結合を有すると予測されたため、デザイナーBMPE分子の非常に高い活性は、非常に驚くべきことであった。興味深いことに、他のデザイナーBMP分子、すなわちデザイナーBMPA、デザイナーBMPF、およびデザイナーBMPGは、BMP2に導入された、BMP6のII型(高親和性)受容体に結合する野生型BMP6の領域を有し(図1Bを参照されたい)、これらのデザイナーBMPは、BMP2と比較して増大した活性を示したが、野生型BMP2/6ヘテロ二量体ほど高くはなかった(図7)。
BRE−ルシフェラーゼアッセイ
BMP応答エレメントであるルシフェラーゼレポーター(エレメントは、Id1プロモーターに由来する)を安定的に発現するC2C12細胞を、96ウェルのウェル当たり8000個細胞で平板培養し、示されたBMPおよび用量で処理した。処理の48時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を、Promega Dual−Gloアッセイキットを用いて読み取った。
本明細書において開示されているデータは、BMPEの活性が、アルカリホスファターゼアッセイにおいてBMP−2/6の活性に同等なだけではなく、図8において示されるように、C2C12細胞におけるBRE−ルシフェラーゼアッセイにおいても同等であることを実証した。さらに、BMPEは、BRE−ルシフェラーゼアッセイにおいて、野生型BMP−2と比較しておよそ10〜20倍優れた活性を実証した(図8)。したがって、BRE−ルシフェラーゼ(BRE−luc)アッセイにおいて観察された結果は、この同一の細胞型におけるアルカリホスファターゼ(Alk−phos)活性アッセイにおいて得られた結果と強く相関した(図7および図8を比較されたい)。Alk−phosアッセイおよびBRE−lucアッセイの両方から得られた結果はまた、野生型BMP2および示されたデザイナーBMPについて、表10に示す。
いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、これらのデータは、BMPEに対する高親和性受容体としてのALK−2の付加が、その骨形成活性の増大の理由であり得ることを示唆する。これは、ALK−2突然変異が、幼児が不適切な異所性骨形成を発症する疾患である進行性骨化性線維形成異常症(FOP)の原因であることが明らかにされているためである。したがって、ALK−2の結合の突然変異は、骨形成の増大と関連し、BMPEの骨形成活性の増大と相関し得る。したがって、BMPEは、I型受容体ALK−2、3、および6に対する高い親和性を有する、新たなクラスのBMP分子である。
細胞の石灰化についてのアリザリンレッド染色
C2C12細胞を、6ウェル組織培養プレート内で4×104個細胞/cm2の密度で平板培養し、5%CO2/95%加湿空気のインキュベーター内で37℃で一晩インキュベートした。回収期間の後、培養培地を、新たに調製した骨形成分化培地、すなわち、50ug/mlのL−アスコルビン酸リン酸エステル(L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩のn水和物、和光純薬工業株式会社、カタログ番号013−12061)、β−グリセロールリン酸(β−グリセロールリン酸二ナトリウム塩、10mMの五水和物、Fluka BioChemicaカタログ番号50020)、および100nMのメナジオン亜硫酸水素ナトリウム(ビタミンK3、Sigmaカタログ番号M2518)を含有する成長培地で置き換えた。示されたBMPを所望の濃度で適切なウェルに添加した。プレートを、2〜3日ごとに培地を置き換えながら、37℃でおよそ15日間にわたりインキュベートした。細胞を、標準的な公開されたプロトコルに従って、アリザリンレッド染色で染色した。
以下の表9において示されるように、デザイナーBMPEは、アリザリンレッド染色によって示されるように、対応する野生型BMP2よりもかなり大きな程度で、C3H10T−1/2マウス間葉系幹細胞の石灰化を誘発した。すなわち、以下でさらに完全に論じられるように、全て表9において示されるように、野生型BMP−2がC3H10T−1/2細胞の石灰化を誘発し得なかった用量(5、25、50、および100ng/ml)で、BMPEホモ二量体は、BMP−2/6ヘテロ二量体の石灰化に類似した強力な石灰化を誘発した。したがって、アリザリンレッド染色アッセイの結果はさらに、本明細書において先に開示された、Alk−phosアッセイおよびBRE−lucアッセイにおいて得られた結果と相関する。
ラットの筋肉内の異所性骨アッセイ
デザイナーBMPによるインビトロで観察されたさらに強力な骨形成活性が、インビボでの同様の増大した活性に対応したかどうかを決定するために、ラットの異所性骨形成アッセイを行った。簡潔に述べると、160マイクロリットルの緩衝液内の示された総量のデザイナーBMPを含浸させたACS(吸収可能なコラーゲンスポンジ)を、8週齢のオスのLong Evansラットのハムストリング筋内に移植した。さらに具体的には、3つの8mmの生検パンチしたACSディスクを、再吸収不可能な絹の縫合糸で共に縫合した。スポンジを、図9のチャートにおいて示されるBMPの量(すなわち、0.1μgまたは0.5μg)を含有する160マイクロリットルのBMP溶液で湿らせた。湿らせたスポンジを、室温で20分間にわたり平衡させた。スポンジを次に、各ラットのハムストリング筋内に左右対称に外科的に置いた。各BMP(野生型分子およびデザイナー分子)を、4頭のラットの両肢内に置いた。移植の2週間後、動物を屠殺し、ハムストリング筋を解剖し、10%ホルマリン内に置き、μCT(Scanco Inc.)によってスキャンして、存在する異所性の骨の量を決定した。処理された動物の肢内に存在する、ミリグラム表示のヒドロキシアパタイトの量(mgHA)を、図9に示す。図9Aは、BMP2、BMPE、およびBMP2/6ヘテロ二量体の結果を示す。図9Bは、BMP2、BMPG、BMPA、およびBMPFの結果を示す。デザイナーBMPのそれぞれについて、異所性の骨は、野生型BMP2が検出可能な骨量を形成し得なかった用量で、形成された。野生型BMP2とデザイナーとの1対1の比較において、BMPEは、野生型BMP2/6ヘテロ二量体と同程度まで異所性の骨を誘発し得、これは、先に開示されたインビトロでの実験で得られた結果をほぼ適合している。デザイナーBMPであるBMPG、BMPA、およびBMPFはまた、野生型BMP2と比較して有意に高い異所性骨形成を実証した(図9B)。このアッセイから得られる結果を図9に示し、また表10に示す。
(実施例3)
BMP受容体の結合
デザイナーBMPの骨形成活性の増大のメカニズムをさらに解明するために、BMP受容体のパネルでの各デザイナーBMPの結合動態分析を、Octetシステム(ForteBio、Menlo Park、CA)を用いて行った。Octet QK分析を、0.1%Tween−20を有するTBS内で度で行った。試料を、1000rpmで撹拌した。抗ヒトIgGのOctetチップを、10ug/mLの各受容体−ヒトIgG1−Fc融合タンパク質で20分間にわたり飽和させ、この結果、典型的には、一列に並んだ8個のチップ内で飽和した、受容体の捕捉レベルとなった。各BMPを、7倍連続希釈物(典型的には200〜3nMを1組ずつ)および緩衝液ブランクとして調製した。各受容体/BMP結合対を、少なくとも2組ずつランした。会合を10分間にわたりモニタリングし、解離を、緩衝液単独内で30にわたって追跡した。動態パラメータ(konおよびkoff)および親和性(KD)を、部分的結合1:1モデルを用いるOctetデータ分析ソフトウェア6.0を製造者の指示に従って用いて計算した。
表12において示されるデータは、野生型BMP2タンパク質およびBMP6タンパク質がそれぞれ、それぞれI型受容体(ALK−3およびALK−6)およびII型受容体(ActRIIA、ActRIIB、およびBMPRII)に対する予想される高い親和性の結合を実証したことを示す。野生型BMP2/6ヘテロ二量体は、BMP2のII型結合ドメインAおよびBが野生型BMP6のドメインで置き換えられているデザイナーBMPGがそうであったように、I型およびII型受容体の両グループに対する高い親和性の結合を示した。デザイナーBMPEは、II型結合領域において突然変異が生じなかったため、予想通り、II型受容体に対する、野生型BMP2と同様の親和性を示した。予想外に、デザイナーBMPEは、BMP6のI型結合ドメインがBMP2のI型結合ドメインで置換されたI型受容体ALK−3およびALK−6に対する、高い親和性の結合を維持し、一方、同様に予想外に、2nmのKDでI型受容体ALK−2に結合した。したがって、BMPEは、驚くべきことに、WT BMP2でもWT BMP6でも観察されなかった、ALK−2に対する非常に高い親和性の結合を獲得した。
表13において示されるように、配列番号1で示される野生型BMP2のアミノ酸配列に関してアミノ酸残基36(P36R)でプロリンまたはアルギニンを含むBMPGおよびBMPEの突然変異を組み合わせて、それぞれBMP−GEP(BMPGE P36とも呼ばれる)およびBMP−GER(BMPGE P36Rとも呼ばれる)を生じさせると、ALK−2を含む全てのI型およびII型BMP受容体で高い親和性、低いnMのKDを実証する、デザイナーBMPが生じた。
したがって、本明細書において開示されているデータは、BMP−GおよびBMP−Eの特質を組み合わせており、その結果、限定はしないがALK2、ALK3、ALK6、ActRIIA、ActRIIB、およびBMPRIIAを含む、I型受容体およびII型受容体の両方の広範なレパートリーに対する高い親和性の結合を実証する、限定はしないがBMP−GERおよびBMP−GEPなどの、新たなデザイナーBMPを実証する。データはさらに、WT BMP2のアミノ酸配列(配列番号1)の残基番号36にあるプロリンをアルギニンに置き換えることによって、アミノ酸が置き換えられていないそれ以外は同一なBMPと同程度に有効なデザイナーBMPが生じることを実証した。BMP−GERによって例示されるこれらの新たな骨形成BMPによって、高レベルの生物学的活性がもたらされ、したがって、さらに低い投与、および一部のケースにおいてはさらに迅速な骨形成応答が可能になり、このことは、これらの分子が非常に有効な治療薬を提供することを強く示唆する。
(実施例4)
非ヒト霊長類におけるインビボでの骨形成活性
NHP腓骨の骨切りモデル
本発明の新たなデザイナーBMPの潜在的な治療的能力をさらに評価するために、デザイナーBMPEおよびBMPGの活性を、NHP(非ヒト霊長類)腓骨の骨切りモデルにおいて、野生型BMP2の活性と比較した。
腓骨の骨幹中央部の骨切りを、7.5±0.2kgの平均体重(および標準偏差)および7〜10歳の範囲の年齢を有する成体のオスのカニクイザル(Macaca fascicularis)において、1mmの刃を有する振動ノコギリで左右対称に行った。髄内の小さなキルシュナー鋼線を、先に記載された腓骨の骨切りモデルに加えて、さらに均一な捻転性の生体力学的試験のために、近位および遠位の骨端の整列を維持した。このモデルの2つの主要な利点は、この手順による罹患率が低いことから左右対称の研究設計を利用し得ること、ならびに、動物を屠殺することなく、その後の生体力学的および組織学的な評価を行うために、骨切り部位を含む腓骨の6〜8cmのセグメントを除去し得ることである。0.5mg/mlの野生型BMPまたはデザイナーBMPの500μLの溶液を、30mm×15mmのACSスポンジに添加した。外科手術の後に、スポンジで欠損箇所の周りを覆った。骨格的に成熟したNHPの各肢の腓骨のおよそ2mmの骨折を、対側肢において、0.5mg/ml用量のデザイナーBMP分子(全部で250μgが送達される)または同量の野生型BMP2を含むACSスポンジで覆った。したがって、各動物には、一方の肢に野生型BMPを、対側肢にデザイナーBMPを投与した。
このモデルにおいて、デザイナーBMPEおよびBMPGを選択したが、それは、それぞれが、異なるクラスのデザイナー分子に相当するためである。デザイナーBMPGは、I型受容体およびII型受容体の両方に対して高い親和性を示し、一方、BMPEは、高い親和性でのI型受容体ALK−3およびALK−6の結合に加えて、I型受容体ALK−2に高い親和性で結合する。X線写真を2週間ごとに得て、各動物における、デザイナーBMP分子で処理された肢の治癒を、野生型BMP2で処理された対側肢の治癒と比較した。図10A〜10Cにおいて示されるように、各群から7頭の動物を含むデータは、野生型BMP2で処理された肢において観察される骨形成と比較して、各デザイナーBMP(BMPEは図10Aにおいて示され、BMPGは図10B〜10Cにおいて示される)分子で処理された肢においてさらに早く、かつさらに確実に仮骨が形成されることを実証した。
以下の表14および15は、野生型BMP2で処理された肢とデザイナーBMPEで処理された肢との間で観察された骨量および骨容積の差の定量的評価を提供するデータを記載する。図11において示されるように、BMPEの投与によって、野生型BMP2で処理された肢における骨容積の増大と比較すると、骨容積(mm3)が平均33%増大した。このμCT分析は、仮骨が存在する天然の骨の全てを含み、したがって、BMP−Eは、同一の動物においてBMP−2よりもさらに堅固であった。
野生型BMP2に関してP36のアルギニンでの置き換えは、BMPGEの活性に影響しなかった
配列番号1で示される野生型BMP2のアミノ酸配列に関して位置36にあるプロリンは、野生型BMP2へのNoggin耐性の付与および骨形成活性の増大の提供において重要であると考えられている(例えば、WO2009/086131を参照されたい)。したがって、BMPGEの新たな活性に対する、保存されていないアミノ酸置換でのP36の置き換えの影響を評価するために、BMPGEPのP36をアルギニンに突然変異させて、BMPGERを生じさせ、2つのデザイナー分子の骨形成活性をインビトロで評価した。図12における本明細書において開示されているデータは、アルギニンでのP36の置き換え(P36R)が新たなBMP−GEデザイナーBMPの結合親和性に影響せず、BMPGEPおよびBMPGERの両方がBMP2/6ヘテロ二量体として活性であったことを実証する。
BMP−GERは、BMP2/6ヘテロ二量体に匹敵するインビボでの活性を有する
図13および14において示されるように、ラットの異所性実験は、全ての分子がACSスポンジ上に送達されると、非常に低い用量の0.25ugの全BMPで、異所性の骨の形成の促進について、BMP−GERがBMP−2/6と同程度に有効であることを示す。図13は、異所性で形成されたHAのミリグラム数をμCT分析によって定量した場合、BMP−2/6およびBMP−GERのみが、この低い用量でBMP−2よりも有意に活性であったが、BMPEまたはBMPGではそうではなかったことを示す。
同一の試料を脱塩し、骨形成について組織学によってスコア付けし(骨スコア)、これらの結果を図14に示す。このスコアリング方法によって、0.25ugという低用量では、送達されたBMP−2は骨形成を有さず、BMP−GERおよび2/6は最高のスコアを有していた。BMP−GおよびBMP−Eはまた、BMP−2よりも有意に有効であったが、BMP−GERほどには活性ではなかった。
骨形成および組織修復のインビボモデルにおけるBMP−GERとBMP−2との比較
図15および16は、BMP−2およびBMP−GERの活性を比較する重篤なNHP腓骨切除モデルの結果を示す。このモデルにおいて、およそ4〜6mmの幅を有する楔状をNHPの各腓骨で除去し、その場所に戻し、チタン製のピンで留めた。欠損箇所を次に、0.5mg/mlの用量の全部で250ugのBMPを含有するACSスポンジで覆った。各NHPにおいて、BMP−2を一方の肢の中に置き、BMP−GERを対側肢の中に置いた。図15Aは、5週目に撮ったX線写真を示し、これは、6頭の動物のうち4頭における欠損を示している。BMP−GERの肢は、BMP−2よりも有意に堅固な骨形成を示した。図15B(図の下部のパネル)は、10週目に屠殺した後の、同一の4頭の動物の腓骨のμCT画像を示す。確認できるように、形成された骨の量は、BMP2で処理された対側肢におけるよりもBMP−GERの肢において非常に堅固である。
図16A〜Cは、各動物の、BMP−2で処理された肢とBMP−GERで処理された肢とを比較する、強度、剛性、および仮骨の骨容積を比較する、これらの肢の分析を示す。平均で、BMP−GERで処理された肢は、反対側のBMP−2で処理された肢よりも、破損に21%さらにトルクを要し(図16A)、24%さらに剛性であり(図16B)、仮骨は平均55%大きかった(図16C)。これらの比較の全ては、ペアワイズ分析によって0.01未満のp値を有していた。これらのデータは、BMP−GERが同一の動物においてBMP−2よりも有意に早くかつ堅固に骨折の修復および骨形成を誘発したことを示す。
BMP−GERは、3倍低い用量で、BMP−2と同等にNHPモデルにおいて骨形成を誘発した
NHPにおけるBMPEの骨形成の有効性をさらに評価するために、楔状欠損アッセイにおいて骨形成を誘発するBMPEの能力を、BMP2の能力と比較した。図17A〜Cは、3頭の非ヒト霊長類における楔状欠損モデルを追跡した骨形成のX線写真を示し、ここで、リン酸カルシウムセメントベースの担体を用いて、1.5mg/mlのBMP−2が一方の肢において用いられ、わずか0.5mg/mlのBMP−GERが他方の肢において用いられた。X線写真では、治癒および骨形成は、治療が高用量のBMP−2を用いるものであっても低容量のBMP−GERを用いるものであっても、それぞれの動物で同等であった。したがって、用量の3分の1でも、BMPEは骨形成の誘発においてBMP2に同等であり、このことは、このデザイナーBMPの活性が野生型BMP2と比較して大きく増大したことを実証する。
(実施例5)
BMPの構造分析
BMP−2およびBMP−6の結晶化
それぞれ哺乳動物細胞において産生された、精製された、完全にグリコシル化された野生型BMP2/6ヘテロ二量体、野生型BMP2/2ホモ二量体、および野生型BMP6/6ホモ二量体を、10mMの酢酸ナトリウム(pH3.5)内で6〜10mg/mlまで濃縮し、結晶化を、18℃で「mosquito」自動ロボットセットアップを用いて試みた(TTP LabTech Inc.、Cambridge、MA)。最初の結晶化のヒットは各二量体で得られ、条件を、その後、回折の質が良好な結晶を得るために最適化した。
野生型BMP2/6、BMP2/2、およびBMP6/6の結晶を、一時的に凍結防止し、液体窒素内で凍結し、その後、X線回折のデータをシンクロトロン源(Advanced Photon Source SER−CATのIDビームライン)で回収した。データを処理し、プログラムMosflm/Scalaを用いてスケーリングして、正確な結晶格子のタイプを推定し、データを組み込んだ/スケーリングした。分解能および単位格子パラメータを以下に列挙する:BMP2/6は、非対称単位当たりヘテロ二量体のコピーを2つ有するP43212の空間群に属し、これは、一方向に2.8Åまで回折し、他の2つの方向に3.0Åまで回折し、単位格子は、a=b=105.23Å、c=188.73Å、α=β=γ=90°であった。BMP2/2は、非対称単位当たりホモ二量体のコピーを2つ有するP31の空間群に属し、これは2.7Åまで回折し、単位格子は、a=b=62.74Å、c=126.35Å、α=β=90°、γ=120°であった。BMP6/6は、非対称単位当たりホモ二量体のコピーを1つ有するP3121の空間群に属し、これは、2.6Åまで回折し、単位格子は、a=b=97.40Å、c=85.64Å、α=β=90°、γ=120°であった。BMP2/6結晶の異方性回折の性質に起因して、データは、高分解能データの寄与を保つために、楕円状にトランケートされ、異方的にスケーリングされた。
CHOのBMP2/6、BMP2/2、およびBMP6/6の構造を、大腸菌BMP2(PDB受託:1REW)および大腸菌BMP6(PDB受託:2R52)をサーチモデルとして用いて、プログラムPhaserを用いる分子置き換え方法によって決定した。正確な分子置き換えの解を得、空間群を確認した後、Phaserで計算された電子密度マップを用いて、サーチモデルの質を評価し、問題の領域(特に、I型およびII型受容体の結合を伴う区域)を、モデルのバイアスを避けるための再構築のために、オリジナルモデルから切り取った。
構造モデルには、剛体としての精密化を行い、その後、模擬アニーリング、位置因子および温度因子の精密化を行った。切り取られた区域を、オミットマップを用いて再構築し、プロセスを、精密化が安定化するまで、TLS精密化と共に反復した。最終的な精密化統計値は以下の通りである:BMP2/6では、Rw/Rf=0.2231/0.2775、結合のrmsd=0.008、角度のrmsd=1.545;BMP2/2では、Rw/Rf=0.2114/0.2659、結合のrmsd=0.005、角度のrmsd=0.982;BMP6/6では、Rw/Rf=0.2170/0.2510、結合のrmsd=0.006、角度のrmsd=1.182。3つの構造全ては、Procheckの結果に基づいて、非常に良好な幾何学にある。
CHOのBMP2/6の結晶構造は、広範なグリコシル化を明らかにした。特に、I型受容体の重要な結合モチーフである、CHOにより生産されるBMP2の前らせんループは、大腸菌により生産され再フォールディングされたBMP2の対応する領域と異なる。グリコシル化の存在下において、CHOのBMP2のループは、さらにらせん状である、細菌によって再フォールディングされたBMP2における同一の領域と比較した場合、固有に「ループ状の」立体構造を有する(Kellerら、Nat Struct Mol Biol 11:481〜488(2004))。データは、図3Aにおいて示されるように、CHOにより産生されるBMP2のD53が受容体界面の方を指し、一方、H54が受容体と反対の方を指すことを示した。大腸菌のBMP2において、D53は受容体と反対の方を指し、H54は受容体に向かって並んで(本明細書において「ヒスチジンドアストップ」と呼ばれる)、図3Bに示されるようにBMP2のI型受容体Alk3上のプロリン残基(P45)に重なっている(H54は、あるいは、標識されたH336である)。いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、この重なりは、I型受容体が、大腸菌の再フォールディングしたBMP2に完全に結合することを防ぎ得、このことは、CHOのBMP2と比較して、大腸菌BMP2の結合活性が低減していることを説明する。この構造的特徴は、図3A〜Bにおいて記載されている。この図において、ヒスチジン54(H54)はH336と番号付けされており、アスパラギン56(N56)は標識されたN338であり、ALK3のP45は濃い灰色で示されている。
図4において記載されているように、完全にグリコシル化されたCHOのBMP6はまた、受容体結合部位を指すこの「ドアストップ」ヒスチジン残基を有する。このドアストップHis構造モチーフは、BMPの間の共通の構造的特徴である(CHOのBMP2を除く)(例えば、Kellerら、Nat Struct Mol Biol 11:481〜8(2004);Kotzschら、EMBO J 28:937〜47(2009)を参照されたい)。いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、おそらく、CHOのBMP2の特定のグリカンは、アルギニン16との広範な水素結合を介して連結している(「グリカンテザー」はまたR298とも呼ばれる)。このグリカンテザーは、図4Aにおいて記載されており、グリカンとのその相互作用は、グリカンと本明細書においてR16とも呼ばれるこのテザーR298との間の点線を用いて示されている。したがって、いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、グリカンテザーは、BMP2分子の前らせんループの立体構造を安定化させるために役立ち得、その結果、ヒスチジンドアストップは、もし他の形で存在する場合、その代わりにI型受容体界面と反対の方に方向付けされ、それによって、リガンドが、ヒスチジンドアストップの存在下よりも優れた程度で受容体と接触することが可能になる。言い換えると、CHOのBMP2において観察されるようなヒスチジンドアストップの再方向付けは、グリカンテザリングの結果である可能性が最も高い。いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、本明細書において開示されているデータは、ヒスチジンドアストップが存在する場合、グリコシル化の不存在下でのドアストップの除去(すなわち、Hisの方向を受容体界面と反対の方に変化させる突然変異を導入することによる)によって、I型受容体とのBMPリガンドの結合が増大することを示唆する。
BMP2の低親和性のII型結合ドメインとBMP6のI型結合ドメインに類似している低親和性のI型結合ドメインとを含有するデザイナーBMPEは、(1)インビトロおよびインビボの両方でのアッセイにおける骨形成活性の増大、ならびに(2)低親和性のI型受容体結合ドメインの存在にも関わらず、I型受容体であるAlk2に結合する機能の予想外の獲得を有すること、を示す。いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、おそらく、この驚くべき発見は、BMPEのI型受容体結合ドメインにおけるグリカン部分とR16(「グリカンテザー」)との間で形成される複数の水素結合によって仲介される。このテザリング相互作用は、H54(「ドアストップ」)を界面と離して置くことによってAlk2への適正な結合表面を有する、BMPE分子の前らせん領域での構造的再配置を仲介し得、それによって、BMPと受容体とのさらに密接な相互作用を可能にする。逆に、図4Bにおいて記載されるように、BMPEのI型結合ドメインに類似している低親和性のI型結合ドメインも有するBMP6は、そのグリカン部分をテザリングするために必要なその「グリカンテザー」(R413)が、BMPEテザー(R298/R16)と比較して位置が変化しているため、Alk2に結合しない。したがって、BMP6において、グリカンはテザリングされておらず、ドアストップ(H454)は、リガンド−受容体の界面と離れて位置していない。「グリカンテザー」は、野生型のグリコシル化されたBMP2に固有の現象であることが分かり(CHO細胞において生産されるBMP2によって例示されるように)、「グリカンテザー」を導入(または除去)することによるBMPの前らせんループの構造的リモデリングを初めてここで用いて、他のBMPのI型受容体結合能力を調節することができる。したがって、本明細書において提供される教示を今や有している当業者は、H54を遠ざける突然変異を導入することによって、またはテザリングがH54の移動を仲介するようにグリカンテザーに影響を与えることによって、ドアストップを受容体界面から離れて位置させるためにいかにしてBMPを突然変異させるかを理解しており、また、これらの教示が、その受容体への結合が増大している(または、突然変異が、H54をドアストップ位置に向かって動かすように導入されている場合には、低下している)BMPを設計するため、または機能獲得型突然変異を有するデザイナーBMPを生成させて、それらが以前には結合しなかった新たな受容体にそれらが結合するようにするために用いられ得ることをさらに理解するであろう。以下にさらに完全に説明されるように、本発明は、改良された骨形成タンパク質を設計するためにいかにしてこの新たなドアストップ/テザー設計方法を用いるかを実証する。したがって、本発明は、変化した受容体結合を含む改良された骨形成タンパク質の合理的な設計のための新たな方法を提供する。
何がALK−2へのBMP−EおよびBMP−GERの結合を推進するかをさらに完全に理解するために、ならびにドアストップ/グリカンテザーを用いて受容体結合に影響を与えることのこの新たなメカニズムをさらに解明するために、BMP−Eの結晶構造を明らかにし、BMP−2およびBMP−6の結晶構造と比較した。鍵となる構造的所見を図18および19に示す。図18において記載されるように、BMP−Eは、BMP−6の中央らせん構造を維持しながら、BMP−2の規則的な糖を維持する。図18において示される構造は、BMP−E、およびおそらくBMP−GERが、I型受容体結合の重要な領域においてBMP−2およびBMP−6の両方と異なることを実証する。図19は、BMPE(薄い灰色)およびBMP6(濃い灰色)の潜在的なHisドアストップを囲む領域を比較する拡大図である。この図は、両分子におけるヒスチジンおよびアスパラギンのアラインメントの類似性を実証し、またグリカンの位置付けの違いを示し、R16(テザー)によるBMPEグリカンのテザリングを実証し、このテザリングによって、グリカンのさらに堅固な立体構造が生じ、その結果、分析によると、BMP6(濃い灰色)に付与されるさらに短いグリカンと比較して、さらに長いグリカンがBMPEに付与される。
BMP−Eのグリカンが、ALK−2との相互作用およびそのさらに高い活性を推進するかどうかを決定するために、BMP−2、BMP−6、およびBMP−EをEndo Hで処理して、糖を2つのGlcNac単位に切断した。Alk−2に対するBMP−Eの結合親和性は400nMまで低下したが、ALK−3およびALK−6に対するその親和性は依然として3〜6nMの範囲であり、このことは、無傷の炭水化物がこの相互作用に非常に重要であることを示す。この脱グリコシル化された突然変異体の活性もまた有意に低下した。図20において示されているように、この実験において、Endo Hで処理された脱グリコシル化されたBMP−Eの活性は右にシフトし、BMP−6WTにほとんど同等である。EC−50は、3nMからおよそ50nMにシフトする。これらのデータは、BMP−Eの炭水化物がその活性に必須であり、これがBMP−GERに変換されることを示し、それは、これが、フィンガードメインのみが異なるBMP−2に置換されたBMP−6の完全に同一の領域を有するためである。炭水化物は受容体結合および骨形成活性の増大に必須であるため、これらの結果は、大腸菌における、またはグリコシル化を欠く任意の他の系におけるBMP−EまたはBMP−GERの産生が、BMP−2WTよりも優れた活性を有するBMPを生じさせないことを示す。
BMP−EおよびBMP−GERの結晶化
精製された、完全にグリコシル化されたBMP−Eを、25mMの酢酸ナトリウム(pH3.5)内で8.7mg/mlまで濃縮し、結晶化を、18℃で「mosquito」自動ロボットセットアップを用いて試みた(TTP LabTech Inc.、Cambridge、MA)。最初の結晶化のヒットは各二量体で得られ、条件を、その後、回折の質が良好な結晶を得るために最適化した。
BMP−Eの結晶を、一時的に凍結防止し、液体窒素内で凍結し、その後、X線回折のデータをシンクロトロン源(Advanced Photon Source SER−CATのIDビームライン)で回収した。データを処理し、CCP4パッケージにおけるプログラムMosflm/Scalaを用いてスケーリングして、正確な結晶格子のタイプを推定し、データを組み込んだ/スケーリングした。分解能および単位格子パラメータを以下に列挙する:BMPEは、各非対称単位においてBMPEのコピーを2つ有するP43212の空間群に属し、これは、2.7Åまで回折し、単位格子は、a=b=67.78Å、c=148.01Å、α=β=γ=90°であった。
BMPEの構造を、共にPfizerで決定された、完全にグリコシル化されたCHOのBMP2およびBMP6をサーチモデルとして用いて、プログラムPhaserを用いる分子置き換え方法によって決定した。正確な分子置き換えの解を得、空間群を確認した後、Phaserで計算された電子密度マップを用いて、サーチモデルの質を評価し、問題の領域(特に、I型受容体の結合およびグリコシル化の周りの区域)を、モデルのバイアスを避けるための再構築のために、オリジナルモデルから切り取った。
BMPEの構造モデルは、剛体としての精密化を行い、その後、プログラムPhenixを用いて、模擬アニーリング、位置因子および温度因子の精密化を行った。切り取られた区域を、オミットマップを用いて再構築し、プロセスを、精密化が安定化するまで、TLS精密化と共に反復した。最終的な精密化統計値は以下の通りである:Rw/Rf=0.2252/0.2840、結合のrmsd=0.006、角度のrmsd=0.935。構造は、Procheckの結果に基づいて、非常に良好な幾何学にある。
BMP2の残基44〜80がBMP6の対応する領域によって置き換えられているデザイナー分子であるBMPEは、BMP6のI型受容体結合セグメントを有しながら、BMP2の全体的なフレームワークを維持している。図21において示されるように、結晶構造は、移植されたセグメントがBMP6におけるものと類似の立体構造を依然として保持し、前らせんループにおける小さならせんを形成し、その中で「ドアストップ」H54が受容体の方を指していることを明らかにした。しかし、いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、おそらく、その両方ともが第3および第4のグリカン部分(それぞれ、β−マンノースおよびα−マンノース)との複数の水素結合を形成する、R16およびE110*(BMP−2のE109)での「グリカンテザー」の存在に起因して、CHOのBMP2においてまさに見られるように、伸長したグリコシル化鎖がタンパク質表面に付着している。グリカン鎖のテザリングはまた、前らせんループを、フレームワーク全体に関して約2Å移動させた。いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、おそらく、驚くべきことに、BMP2様のグリコシル化と組み合わされたBMP6様の前らせんループは、BMP2またはBMP6と通常は相互作用しない、Alk2受容体に対する結合エピトープを有する。脱グリコシル化によって、BMPEは、Alk2への結合が不可能になり、これは、BMPEについてのAlk2認識の仲介におけるグリコシル化の重要性を浮き彫りにする。
(実施例6)
Noggin耐性
分泌されたBMP阻害剤Nogginに対する耐性がBMP−GERまたはBMP−Eの活性を増大させるかどうかを調べるために、これらの潜在的な治療分子を、Nogginに対するそれらの耐性を潜在的に増大させるようにさらに修飾した。最近、大腸菌が産生したタンパク質において、野生型BMP2へのアクチビン−AのC末端部分の組み込みが、Noggin阻害に対する耐性を増大させることが実証された。WO2010/099219の例えば図15および16を参照されたい。したがって、本明細書において開示される新たなデザイナータンパク質が、アクチビン−A配列の組み込みによってさらに改良され得るかどうかを決定するために、Noggin耐性(NR)アミノ酸配列を、BMP−E(配列番号12)およびBMP−GER(配列番号37)内に置換して、BMP−E−NR(配列番号70)およびBMP−GER−NR(配列番号71)を生じさせた。図22において示されるように、BMP−E−NRおよびBMP−GER−NRは、BMP−EおよびBMP−GERと比較して、アルカリホスフェート活性アッセイにおいて同等のインビトロ活性を有し、Nogginに対して完全に耐性であるが、BMP−EおよびBMP−GERはNogginに対して感受性である。
BMPE−NRおよびBMP−GER−NRによってインビトロで実証されたNoggin耐性についての潜在的な基礎を理解するために、II型アクチビン受容体ActRIIBに対するこれらの分子の結合親和性を評価した。以下の表16において示されるように、アクチビン−Aは、Nogginに結合し得ず、しかし、Noggin耐性のBMP−E−NRおよびBMP−GER−NRはNogginに結合するが、BMP−2、BMP−E、またはBMP−GERほどには強力ではない。これらのデータはまた、Noggin耐性のBMPが、BMP−GERよりもさらに高い非常に高い親和性で、II型BMP受容体ActRIIBに結合することを示す。いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、これらのデータは、BMP−GER−NRおよびBMP−E−NRが、NogginよりもBMPのII型受容体に対する親和性が非常に高いことに起因して、Nogginに対して耐性であり、したがって、大量のNogginの存在下でさえもBMP受容体に結合し得ることを示唆する。
アクチビン−AのNoggin耐性部分を含むBMP−E分子およびBMP−GER分子はインビトロでのNoggin耐性を実証したが、これらの結果は、インビボでの活性の向上に相関しなかった。すなわち、これらのBMP−E−NRおよびBMP−GER−NRの骨形成活性をラットの異所性アッセイにおけるBMP−EおよびBMP−GERの骨形成活性と比較した場合、NR分子はあまり強力ではなかった。このデータを図23および24に示す。さらに具体的には、BMP−GERおよびBMP−GER−NRについての骨スコアを比較し、試験した全ての濃度(0.125μg、0.25μg、0.5μg、および1.0μg)で、BMP−GERは、図23において示されるように、BMP−GER−NRよりも非常に優れていた。同様に、図24は、BMP−Eが、このインビボアッセイにおいて、BMP−E−NRと比較して非常に高い骨スコアを生じさせたことを実証する。したがって、BMP−EおよびBMP−GERの両方で、Noggin耐性であると考えられている型は、そのNR(Noggin耐性)対応物よりもインビボであまり強力ではなく、BMP−Eのケースでは、ほぼ全てのインビボ活性は、アクチビン−Aの配列の組み込みに起因して失われた(BMP−E−NRとBMP−Eとを比較する図24を参照されたい)。
これらのデータは、Noggin耐性を付与する可能性のある配列の組み込みを実証するが、特定のII型受容体(例えば、ActRIIB)への結合の増大は、デザイナーBMPのインビボでの骨形成活性を増大させなかった。
さらに、Nogginの付加はインビボでのデザイナーBMPの骨形成活性を向上させなかったが、実際は、それはそのインビボ活性を低下させると考えられ、本発明の新たなデザイナーBMPは、野生型BMPと比較して骨形成の特徴の大きな増大を実証し、インビトロでのNoggin耐性を実証しなくても、広範な用途のための潜在的な新たな治療方法を提供する。したがって、本発明のデザイナーBMPは、他の使用の中でも骨の増生および修復のための、非常に向上した臨床的プロフィールを実証する、顕著な新たな潜在的治療薬を提供する。
本明細書において引用されるそれぞれのおよび全ての特許、特許出願、および刊行物の開示は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は具体的な実施形態を参照して開示されているが、当然のことながら、本発明の他の実施形態および変形形態が、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって考えられ得る。添付の特許請求の範囲は、全てのこのような実施形態および同等の変形形態を含むと解釈されるものである。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕少なくとも1つのI型またはII型受容体結合ドメインにおいて少なくとも1つの突然変異を含むデザイナーBMPタンパク質であって、突然変異が、対応する野生型BMPによるI型またはII型受容体に対する結合と比較してI型またはII型BMP受容体に対する結合の変化を付与するデザイナーBMPタンパク質。
〔2〕BMP2、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8、およびBMP9からなる群から選択される、前記〔1〕に記載のタンパク質。
〔3〕a.II型結合ドメインA、
b.II型結合ドメインB、
c.I型結合ドメイン、および
d.上記の任意の組み合わせ
の中に、少なくとも1つの突然変異を含む、前記〔1〕に記載のタンパク質。
〔4〕少なくとも1つのI型またはII型受容体結合ドメインにおいて少なくとも1つの突然変異を含むアミノ酸配列を含むデザイナー骨形成タンパク質であって、突然変異が、野生型BMP2によるI型またはII型受容体に対する結合と比較してI型またはII型BMP受容体に対する結合の変化を付与するタンパク質。
〔5〕突然変異が、
a.配列番号1の配列に関してV33、P36、H39、およびF41での突然変異からなる群から選択される少なくとも1つの突然変異である、II型結合ドメインA内の突然変異、
b.配列番号1に関してV33I、P36K、P36R、H39A、およびF41Nからなる群から選択される少なくとも1つの突然変異である、II型結合ドメインA内の突然変異、
c.配列番号1の配列に関してE83、S85、M89、L92、E94、E96、K97、およびV99での突然変異からなる群から選択される少なくとも1つの突然変異である、II型結合ドメインB内の突然変異、
d.配列番号1に関してE83K、S85N、M89V、L92F、E94D、E96S、K97N、およびV99Iからなる群から選択される少なくとも1つの突然変異である、II型結合ドメインB内の突然変異、
e.配列番号1の配列に関してH44、P48、A52、D53、L55、S57、N68、S69、V70、N71の後での単一アミノ酸の挿入、S72、K73、I74、A77、およびV80での突然変異からなる群から選択される少なくとも1つの突然変異である、I型結合ドメイン内の突然変異、ならびに
f.配列番号1の配列に関してH44D、P48S、A52N、D53A、L55M、S57A、N68H、S69L、V70M、N71の後でのPの挿入、S72E、K73Y、I74V、A77P、およびV80Aからなる群から選択される少なくとも1つの突然変異である、I型結合ドメイン内の突然変異
からなる群から選択される、前記〔4〕に記載のタンパク質。
〔6〕a.配列番号1の配列に関してアミノ酸H44、P48、A52、D53、L55、S57、N68、S69、V70、N71の後での単一アミノ酸の挿入、S72、K73、I74、A77、およびV80のそれぞれでの突然変異、
b.突然変異が、H44D、P48S、A52N、D53A、L55M、S57A、N68H、S69L、V70M、N71の後でのPの挿入、S72E、K73Y、I74V、A77P、およびV80Aである、(a)のタンパク質、
c.配列番号1の配列に関してアミノ酸V33、P36、H39、S85、M89、L92、E94、E96、K97、およびV99のそれぞれでの突然変異、
d.突然変異が、V33I、P36K、H39A、S85N、M89、L92F、E94D、E96S、K97N、およびV99Iである、(c)のタンパク質、
e.配列番号1の配列に関してアミノ酸V33、P36、H39、H44、P48、A52、D53、L55、S57、N68、S69、V70、N71の後での単一アミノ酸の挿入、S72、K73、I74、A77、およびV80、S85、M89、L92、E94、E96、K97、およびV99のそれぞれでの突然変異、ならびに
f.突然変異が、V33I、P36K、H39A、H44D、P48S、A52N、D53A、L55M、S57A、N68H、S69L、V70M、N71の後でのPの挿入、S72E、K73Y、I74V、A77P、およびV80A、S85N、M89、L92F、E94D、E96S、K97N、およびV99Iである、(e)のタンパク質、ならびに
g.突然変異が、V33I、P36R、H39A、H44D、P48S、A52N、D53A、L55M、S57A、N68H、S69L、V70M、N71の後でのPの挿入、S72E、K73Y、I74V、A77P、およびV80A、S85N、M89、L92F、E94D、E96S、K97N、およびV99Iである、(e)のタンパク質
からなる群から選択される突然変異を含む、前記〔4〕に記載のタンパク質。
〔7〕ALK2受容体に約2nM以下のK D で結合し、ALK3受容体に約2nM以下のK D で結合し、ALK6受容体に約1nM以下のK D で結合し、ActRIIA受容体に約2nM以下のK D で結合し、ActRIIB受容体に約0.5nM以下のK D で結合し、BMPRIIA受容体に約3.5nM以下のK D で結合する、前記〔1〕に記載のタンパク質。
〔8〕I型またはII型の結合領域内に位置しない、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸突然変異をさらに含む、前記〔1〕に記載のタンパク質。
〔9〕配列番号8〜73のいずれか1つのアミノ酸配列を含むタンパク質から選択されるデザイナー骨形成タンパク質。
〔10〕配列番号12のアミノ酸配列を含む、デザイナー骨形成タンパク質。
〔11〕配列番号14のアミノ酸配列を含む、デザイナー骨形成タンパク質。
〔12〕配列番号36のアミノ酸配列を含む、デザイナー骨形成タンパク質。
〔13〕配列番号37のアミノ酸配列を含む、デザイナー骨形成タンパク質。
〔14〕前記〔1〕に記載のタンパク質を産生する方法であって、タンパク質をコードする核酸を宿主細胞内に導入すること、細胞をタンパク質が産生される条件下で培養すること、およびタンパク質を精製することを含む方法。
〔15〕前記核酸が、配列番号74〜139のいずれか1つの核酸配列からなる群から選択される配列を含む、前記〔14〕に記載の方法。
〔16〕少なくとも1つのI型またはII型受容体結合ドメインにおいて少なくとも1つの突然変異を含むアミノ酸配列を含むデザイナーBMP6タンパク質であって、突然変異が、野生型BMP6によるI型またはII型受容体に対する結合と比較してI型またはII型BMP受容体に対する結合の変化を付与するデザイナーBMP6タンパク質。
〔17〕突然変異が、
a.配列番号4の配列に関してI57、K60、G61、A63、N65、Y66、およびD68での突然変異からなる群から選択される少なくとも1つの突然変異である、II型結合ドメインA内の突然変異、
b.配列番号4の配列に関してK108、N110、A111、V114、F117、D119、N120、S121、N122、V123、およびI124からなる群から選択される少なくとも1つの突然変異である、II型結合ドメインB内の突然変異、
c.配列番号4の配列に関してS72、N76、A77、H78、M79、N80、A81、N83、V87、T89、H92、L93、M94、N95、P96、E97、Y98、V99、およびP100での突然変異からなる群から選択される少なくとも1つの突然変異である、I型結合ドメイン内の突然変異、
d.配列番号4の配列に関してアミノ酸残基I57、K60、G61、A63、N65、Y66、およびD68のそれぞれでの突然変異、
e.配列番号4のアミノ酸配列に関してアミノ酸残基K108、N110、A111、V114、F117、D119、N120、S121、N122、V123、およびI124のそれぞれでの突然変異、ならびに
f.配列番号4のアミノ酸配列に関してアミノ酸残基S72、N76、A77、H78、M79、N80、A81、N83、V87、T89、H92、L93、M94、N95、P96、E97、Y98、V99、またはP100のそれぞれでの突然変異、
からなる群から選択される、前記〔16〕に記載のタンパク質。
〔18〕I型またはII型の結合ドメイン内に位置しない、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸突然変異をさらに含む、前記〔16〕に記載のタンパク質。
〔19〕配列番号8〜73からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
〔20〕配列番号12、配列番号14、配列番号36、および配列番号37の配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする、前記〔19〕に記載の核酸。
〔21〕配列番号74〜139からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
〔22〕配列番号78、配列番号80、配列番号102、および配列番号103の配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、前記〔21〕に記載の核酸。
〔23〕前記〔16〕に記載のタンパク質を産生する方法であって、前記タンパク質をコードする核酸を宿主細胞内に導入すること、前記細胞を前記タンパク質が産生される条件下で培養すること、および前記タンパク質を精製することを含む方法。
〔24〕その必要がある患者における骨量減少を伴う骨疾患を治療する方法であって、有効量の、前記〔1〕に記載のデザイナー骨形成タンパク質を前記患者に投与し、それによって前記患者における骨疾患を治療することを含む方法。
〔25〕その必要がある患者における線維症を治療する方法であって、有効量の、前記〔1〕に記載のデザイナー骨形成タンパク質を前記患者に投与し、それによって線維症を治療することを含む方法。
〔26〕組織における骨形成を誘発する方法であって、前記組織を、前記〔1〕に記載のデザイナー骨形成タンパク質と接触させ、それによって前記組織における骨形成を誘発することを含む方法。