JP5982828B2 - 光学補償用積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、光学補償用積層フィルムに関するものであり、より詳しくは、薄膜においても高い面外位相差を有するフマル酸エステル系樹脂を用いたフィルムと一軸延伸フィルムが積層されており、NZ係数が0.3〜0.7となる光学補償用積層フィルムに関するものである。
液晶ディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、携帯電話、コンピュータ用モニター、ノートパソコン、テレビまで幅広く使用されている。液晶ディスプレイには表示特性向上のため多くの光学フィルムが用いられており、特に位相差フィルムは正面や斜めから見た場合のコントラストの向上、色調の補償など大きな役割を果たしている。従来の位相差フィルムとしては、ポリカーボネートや環状ポリオレフィンが使用されており、これらの高分子はいずれも正の複屈折を有する高分子である。ここで、複屈折の正負は下記に示すように定義される。
延伸等で分子配向した高分子フィルムの光学異方性は、図1に示す屈折率楕円体で表すことができる。ここで、フィルムを延伸した場合のフィルム面内の進相軸方向の屈折率をnx、それと直行するフィルム面内方向の屈折率をny、フィルムの厚み方向の屈折率をnzと示す。なお、進相軸とはフィルム面内における屈折率の低い軸方向を指す。
そして、負の複屈折とは延伸方向が進相軸方向となるものであり、正の複屈折とは延伸方向と垂直方向が進相軸方向となるものである。
つまり、負の複屈折を有する高分子の一軸延伸では延伸軸方向の屈折率が小さく(進相軸:延伸方向)、正の複屈折を有する高分子の一軸延伸では延伸軸と直交する軸方向の屈折率が小さい(進相軸:延伸方向と垂直方向)。
多くの高分子は正の複屈折を有する。負の複屈折を有する高分子としてはアクリル樹脂やポリスチレンがあるが、アクリル樹脂は位相差が小さく、位相差フィルムとしての特性は十分でない。ポリスチレンは、定温領域での光弾性係数が大きいためにわずかな応力で位相差が変化するなど位相差の安定性の課題、位相差の波長依存性が大きいといった光学特性上の課題、さらに耐熱性が低いという実用上の課題があり、現状用いられていない。
ここで、位相差の波長依存性とは、位相差が測定波長に依存して変化することを意味し、波長450nmで測定した位相差(R450)と波長550nmで測定した位相差(R550)の比、R450/R550として表すことができる。一般に、芳香族構造の高分子ではこのR450/R550が大きくなる傾向が強く、低波長領域でのコントラストや視野角特性が低下する。
さらに、一般に、正の複屈折を示す高分子の一軸延伸フィルムの、屈折率の大小関係は、ny>nx=nz、二軸延伸フィルムの屈折率の大小関係は、ny≧nx>nzとなり、負の複屈折を示す高分子の一軸延伸フィルムの、屈折率の大小関係は、ny=nz>nx、二軸延伸フィルムの屈折率の大小関係は、nz>ny≧nzとなる。スーパーツイストネマチック型液晶ディスプレイ(STN−LCD)や面内配向型液晶ディスプレイ(IPS−LCD)などの液晶ディスプレイの視角特性の補償や有機ELディスプレイの反射防止フィルムには、フィルムの屈折率の大小関係がny>nz>nxとなるフィルムが求められているが上記のように一般の延伸フィルムでは達成困難である。
正の複屈折を有する高分子を用いてフィルムの厚み方向の屈折率を高めたフィルムの製造方法が提案されている。ひとつは高分子フィルムの片面または両面に熱収縮性フィルムを接着し、その積層体を加熱延伸処理して、高分子フィルムのフィルム厚み方向に収縮力をかける処理方法(例えば特許文献1〜3参照)である。また、高分子フィルムに電場を印加しながら面内に一軸延伸する方法が提案されている(例えば特許文献4参照)。
それ以外にも負の光学異方性を有する微粒子と透明性高分子からなる位相差フィルムが提案されている(例えば特許文献5参照)。
しかし、特許文献1〜4において提案された方法は、製造工程が非常に複雑になるために生産性が劣る課題がある。また位相差の均一性などの制御も従来の延伸による制御と比べると著しく難しくなる。
ベースフィルムとしてポリカーボネートを使用した場合には室温での光弾性係数が大きくわずかな応力によって位相差が変化することから、位相差の安定性に課題がある。さらに位相差の波長依存性が大きい課題も抱えている。
特許文献5で得られる位相差フィルムは、負の光学異方性を有する微粒子を添加することによって屈折率を制御した位相差フィルムであるが、光学異方性微粒子の調整や分散安定性、高分子との複合化など製造が複雑であり、位相差の発現安定性や均一性に課題があり、微粒子を添加する必要のない位相差フィルムが求められている。
また、フマル酸ジエステル系樹脂からなる負の複屈折を示すフィルムが提案されている(例えば特許文献6参照)。特許文献6で得られる光学補償フィルムは、ある程度の面外位相差を有しているものの、フィルム膜厚が厚くなるため、フィルム生産性に劣る、積層すると光学補償フィルムの膜厚が厚くなる、積層したフィルムが反りやすくなるなどの課題があり、より薄膜においても高い面外位相差を有する積層フィルムが求められている。
特許文献7には200℃で周波数10Hzにおける動的粘弾性測定から求められる貯蔵弾性率(E’)が2.0×10Pa以上であるフマル酸ジエステル共重合体が開示されており、フマル酸ジイソプロピルとフマル酸ジ−n−ブチルまたはフマル酸ビス(2−エチルヘキシル)との共重合体が例示されている。特許文献7は優れた透明性、耐熱性及び機械特性を有するフマル酸ジエステル共重合体及び該共重合体よりなる光学フィルム、特にプラスチックフィルム基板に関する出願であり、位相差に関する記載はなく、位相差フィルム用樹脂としては、より位相差発現性の高い樹脂が求められている。
特許2818983号公報 特開平5−297223号公報 特開平5−323120号公報 特開平6−88909号公報 特開2005−156862号公報 特開2008−112141号公報 特開2008−120851号公報
本発明の目的は、NZ係数が0.3〜0.7となり、光線透過率が高く、ヘーズが小さいなど光学補償特性に優れる光学補償用積層フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のフマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムと一軸延伸フィルムが積層されている光学補償用積層フィルムが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、フマル酸ジイソプロピル残基単位及び炭素数1または2のアルキル基を有するフマル酸ジエステル残基単位を含むフマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムと一軸延伸フィルムが積層されている光学補償用積層フィルムであって、該フィルム層の膜厚と所定の式にて示される波長550nmで測定した面外位相差(Rth)の関係が絶対値で4.0nm/フィルム膜厚(μm)以上であり、該一軸延伸フィルム層の所定の式にて示される波長550nmで測定した面内位相差(Re)が50〜300nmであり、光学補償用積層フィルムの所定の式にて示されるNZ係数が0.3〜0.7であることを特徴とする光学補償用積層フィルムである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光学補償用積層フィルムは、特定のフマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムと一軸延伸フィルムが積層されているものである。
本発明の光学補償用積層フィルムに積層されているフィルムに用いられた特定のフマル酸ジエステル系樹脂とは、フマル酸ジイソプロピル残基単位及び炭素数1または2のアルキル基を有するフマル酸ジエステル残基単位を含むフマル酸ジエステル系樹脂である。
ここで、炭素数1または2のアルキル基を有するフマル酸ジエステル残基単位における炭素数1または2のアルキル基は、それぞれ独立しており、メチル基、エチル基が挙げられる。また、これらはフッ素、塩素などのハロゲン基;エーテル基;エステル基もしくはアミノ基で置換されていてもよい。炭素数1または2のアルキル基を有するフマル酸ジエステル残基単位としては、例えばフマル酸ジメチル残基単位、フマル酸ジエチル残基単位が挙げられる。また、これらは1種または2種以上含まれていてもよい。
該フマル酸ジエステル系樹脂としては、例えば、フマル酸ジイソプロピル/フマル酸ジメチル共重合体樹脂、フマル酸ジイソプロピル/フマル酸ジエチル共重合体樹脂等が挙げられる。
該フマル酸ジエステル系樹脂は、本発明の範囲を超えない限り、他の単量体残基単位を含有していてもよく、他の単量体残基単位としては、例えばスチレン残基単位、α−メチルスチレン残基単位等のスチレン類残基単位;(メタ)アクリル酸残基単位;(メタ)アクリル酸メチル残基単位、(メタ)アクリル酸エチル残基単位、(メタ)アクリル酸ブチル残基単位等の(メタ)アクリル酸エステル残基単位;酢酸ビニル残基単位、プロピオン酸ビニル残基単位等のビニルエステル類残基単位;アクリロニトリル残基単位;メタクリロニロリル残基単位;メチルビニルエーテル残基単位、エチルビニルエーテル残基単位、ブチルビニルエーテル残基単位等のビニルエーテル類残基単位;N−メチルマレイミド残基単位、N−シクロヘキシルマレイミド残基単位、N−フェニルマレイミド残基単位等のN−置換マレイミド類残基単位;エチレン残基単位、プロピレン残基単位等のオレフィン類残基単位;あるいはフマル酸ジn−ブチル残基単位、フマル酸ビス(2−エチルヘキシル)残基単位等の前記フマル酸ジエステル残基単位以外のフマル酸ジエステル類残基単位より選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。
該フマル酸ジエステル系樹脂の配合割合はフマル酸ジイソプロピル残基単位50〜99モル%及び炭素数1または2のアルキル基を有するフマル酸ジエステル残基単位1〜50モル%が好ましく、フィルムとした時の位相差特性や強度が優れたものとなることからフマル酸ジイソプロピル残基単位60〜95モル%及び炭素数1または2のアルキル基を有するフマル酸ジエステル残基単位5〜40モル%からなるフマル酸ジエステル系樹脂が特に好ましい。
該フマル酸ジエステル系樹脂は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(以下、GPC)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量が10,000〜250,000であることが好ましい。
該フマル酸ジエステル系樹脂の製造方法としては、該フマル酸ジエステル系樹脂が得られる限りにおいて如何なる方法により製造してもよく、例えば、フマル酸ジイソプロピルと炭素数1または2のアルキル基を有するフマル酸ジエステルをラジカル重合を行うことにより製造することができる。
前記ラジカル重合は公知の重合方法、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法のいずれも採用可能である。
ラジカル重合法を行う際の重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2、2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤が挙げられる。
そして、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法において使用可能な溶媒として特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;シクロヘキサン;ジオキサン;テトラヒドロフラン;アセトン;メチルエチルケトン;ジメチルホルムアミド;酢酸イソプロピル;水等が挙げられ、これらの混合溶媒も挙げられる。
また、ラジカル重合を行う際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には30〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
該フマル酸ジエステル系樹脂をフィルムとしたときに、塗工するだけで薄膜においても高い面外位相差を有し、かつ波長依存性等の光学特性に優れるフィルムとなる。なお、該フィルムは微粒子を添加することなく位相差発現性を有するフィルムである。
該フマル酸エステル系樹脂を用いたフィルムは、薄膜においても高い面外位相差を有することから、フマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルム層の膜厚と下記式(a)にて示される波長550nmで測定した面外位相差(Rth)の関係が絶対値で4.0nm/フィルム膜厚(μm)以上であり、4.5nm/フィルム膜厚(μm)以上が好ましい。また、該フマル酸エステル系樹脂を用いたフィルムの膜厚は、5〜25μmが好ましく、さらに好ましくは8〜20μm、最も好ましくは10〜15μmである。
Rth=((nx1+ny1)/2−nz1)×d1 (a)
(式中、nx1はフマル酸エステル系樹脂を用いたフィルム層のフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、ny1はnx1と直行方向の屈折率を示し、nz1はフィルムの厚み方向の屈折率を示し、d1はフィルムの厚みを示す。)
膜厚と式(a)にて示される波長550nmで測定した面外位相差(Rth)の関係が絶対値で4.0nm/フィルム膜厚(μm)未満の場合は、フィルム厚みが厚くなり、フィルム生産性が悪く、また積層フィルムが反ったりムラができたりする。
また、本発明の光学補償用積層フィルムがより光学特性に優れた光学補償用積層フィルムとなることから、上記式(a)にて示される波長550nmで測定した面外位相差(Rth)が−50〜−300nmであることが好ましく、特に−70〜−150nmが好ましい。
該フマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムは、フィルム成形時又はフィルム自体の熱安定性を高めるために酸化防止剤が配合されていることが好ましい。該酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独又は併用して用いても良い。そして、相乗的に酸化防止作用が向上することからヒンダード系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用して用いることが好ましく、その際には例えばヒンダード系酸化防止剤100重量部に対して、リン系酸化防止剤を100〜500重量部で混合して使用することが特に好ましい。また、酸化防止剤の含有量としては、該フマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムを構成するフマル酸ジエステル系樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、特に0.5〜1重量部が好ましい。
さらに、該フマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムは、紫外線吸収剤として、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエートなどの紫外線吸収剤を必要に応じて配合してもよい。
該フマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムは、発明の主旨を超えない範囲で、その他高分子、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、顔料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等を配合していてもよい。
該フマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムの製造方法としては、特に制限はなく、例えば、溶液キャスト法、溶融キャスト法等の方法により製造することができる。
溶液キャスト法は、フマル酸ジエステル系樹脂を溶媒に溶解した溶液(以下、ドープと称する。)を支持基板上に流延した後、加熱等により溶媒を除去してフィルムを得る方法である。その際ドープを支持基板上に流延する方法としては、例えば、Tダイ法、ドクターブレード法、バーコーター法、ロールコーター法、リップコーター法等が用いられる。特に、工業的にはダイからドープをベルト状又はドラム状の支持基板に連続的に押し出す方法が最も一般的である。用いられる支持基板としては、例えば、ガラス基板、ステンレスやフェロタイプ等の金属基板、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム等がある。溶液キャスト法において、高い透明性を有し、かつ厚み精度、表面平滑性に優れたフィルムを製膜する際には、ドープの溶液粘度は極めて重要な因子であり、10〜20000cPsが好ましく、特に100〜10000cPsであることが好ましい。
このフィルムの製造方法で得られるフマル酸ジエステル系樹脂の塗布厚(フィルムの厚さ)は、上記したように、乾燥後5〜25μmが好ましく、さらに好ましくは8〜20μm、特に好ましくは10〜15μmである。
また、溶融キャスト法は、フマル酸ジエステル系樹脂を押出機内で溶融し、Tダイのスリットからフィルム状に押出した後、ロールやエアーなどで冷却しつつ引き取る成形法である。
本発明の光学補償用積層フィルムに積層されている一軸延伸フィルムとは、正の複屈折を示す高分子を少なくともフィルム長さ方向またはフィルム幅方向に延伸したフィルムであり、正の複屈折を示す高分子としては、例えば、セルロース系樹脂、環状ポリオレフィン、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド等が例示される。このうち位相差の安定性や波長依存性が小さいことからセルロース系樹脂、環状ポリオレフィンが好ましい。セルロース系樹脂としては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等が挙げられる。環状ポリオレフィンとしては、例えば、ノルボルネン類とエチレンの共重合体、ノルボルネン類の開環重合体の水添物等が挙げられる。これら樹脂には可塑剤、紫外線吸収剤などを添加してもよい。一軸延伸フィルムは、上記正の複屈折を示す高分子を溶液キャストや溶融押し出しによりフィルム化した後、ロールやテンター等により少なくとも一軸に延伸することで製造することができる。一軸延伸フィルムの膜厚は、10〜200μm、20〜150μmが好ましい。延伸倍率は目標とする位相差等により設定されるが、1.1〜5倍、1.2〜2倍が好ましい。延伸温度は高分子のガラス転移温度−30〜+30℃が好ましく、特に−20〜+20℃が好ましい。
本発明における一軸延伸フィルム層の下記式(b)にて示される波長550nmで測定した面内位相差(Re)が50〜300nmであり、特に80〜260nmが好ましい。
Re=(ny2−nx2)×d2 (b)
(式中、nx2は一軸延伸フィルム層のフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、ny2はnx2と直行方向の屈折率を示し、d2は一軸延伸フィルムの厚みを示す。)
面内位相差(Re)が50nm未満の場合は、光学補償性能が不十分であり、300nmを超える場合は、色ずれなどが大きくなる。
本発明の光学補償用積層フィルムは、下記式(c)にて示されるNZ係数が0.3〜0.7であり、0.4〜0.6が好ましい。
NZ係数=(ny3−nz3)/(ny3−nx3) (c)
(式中、nx3は光学補償用積層フィルムのフィルム面内の進相軸方向の平均屈折率を示し、ny3はnx3と直行方向の平均屈折率を示し、nz3は光学補償用積層フィルムの厚み方向の平均屈折率を示す。)
前記NZ係数が0.3〜0.7を満たすことによりSTN−LCD、IPS−LCD等の視野角補償性能、有機ELディスプレイ等の反射防止特性に優れた光学補償用積層フィルムとなるものである。
位相差の波長依存性は、波長450nmで測定した位相差(R450)と波長550nmで測定した位相差(R550)の比R450/R550として表すことができる。本発明の光学補償用積層フィルムでは、ディスプレイの画質、特に色変化が小さく、コントラストが向上するため、該R450/R550は、1.1以下が好ましく、さらに1.08以下が好ましく、特に1.05以下が好ましい。
本発明の光学補償用積層フィルムは、液晶表示素子に用いた際に画質の特性が良好なものとなることから、光線透過率が85%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。また、光学補償用積層フィルムのヘーズ(曇り度)は2%以下であることが好ましく、特に1%以下であることが好ましい。
本発明の光学補償用積層フィルムは、上記したフマル酸エステル系樹脂を用いたフィルム、一軸延伸フィルム以外に、基材のガラス基板や他の光学フィルムが積層されていてもよい。
また、本発明の光学補償用積層フィルムは、偏光板と積層して円または楕円偏光板として用いることが可能であり、ポリビニルアルコール/ヨウ素等からなる偏光子と積層して偏光板とすることも可能である。さらに、本発明の光学補償用積層フィルム同士又は他の位相差フィルムと積層することもできる。
本発明の光学補償用積層フィルムは、上記フマル酸エステル系樹脂を用いたフィルムと一軸延伸フィルムを貼合して製造することもできるし、一軸延伸フィルム上にフマル酸エステル系樹脂をキャストすることにより製造することもできる。
本発明は、光学補償用積層フィルムに関するものであり、より詳しくは、薄膜においても高い面外位相差を有するフマル酸エステル系樹脂を用いたフィルムと一軸延伸フィルムが積層されており、NZ係数が0.3〜0.7となる光学補償用積層フィルムに関するものである。
本発明の光学補償用積層フィルムは、薄膜においても高い面外位相差を有するフマル酸エステル系樹脂を用いたフィルムと一軸延伸フィルムが積層されている光学補償用積層フィルムであり、NZ係数が0.3〜0.7となり、光線透過率が高く、ヘーズが小さいなど光学補償特性に優れるものである。
延伸による屈折率楕円体の変化を示す図である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例により示す諸物性は、以下の方法により測定した。
〜フマル酸ジエステル系樹脂の組成〜
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析より求めた。
〜数平均分子量の測定〜
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー製、商品名CO−8011(カラムGMHHR―Hを装着))を用い、テトラヒドロフランを溶媒として、40℃で測定し、標準ポリスチレン換算値として求めた。
〜透明性の評価方法〜
ヘーズメーター(日本電色工業製、商品名NDH5000)を使用して、フィルムの全光線透過率およびヘーズを測定した。
〜屈折率,平均屈折率の測定〜
屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ製)を用い、JIS K 7142(1981年版)に準拠して測定した。平均屈折率は、各フィルムの屈折率および膜厚から算出した。
〜フィルムの面外位相差(Rth)、一軸延伸フィルムの面内位相差(Re)および光学補償用積層フィルムのNZ係数の測定〜
全自動複屈折計(王子計測機器製、商品名KOBRA−WR)を用いて測定した。
製造例1(フマル酸ジエステル系樹脂(フマル酸ジイソプロピル/フマル酸ジエチル共重合体樹脂)の製造)
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた1Lのオートクレーブに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)2g、蒸留水600g、フマル酸ジイソプロピル365g、フマル酸ジエチル35g、および重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート3gを入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、400rpmで攪拌しながら45℃で24時間保持することによりラジカル懸濁重合を行なった。室温まで冷却し、生成したポリマー粒子を含む懸濁液をろ別し、蒸留水およびメタノールで洗浄することによりフマル酸ジエステル系樹脂を得た(収率:65%)。
得られたフマル酸ジエステル系樹脂の数平均分子量は132,000であった。また、H−NMR測定により、樹脂組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/フマル酸ジエチル残基単位=91/9(モル%)であることを確認した。
製造例2(フマル酸ジエステル系樹脂(フマル酸ジイソプロピル/フマル酸ジエチル共重合体樹脂)の製造)
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた1Lのオートクレーブに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)2g、蒸留水600g、フマル酸ジイソプロピル330g、フマル酸ジエチル70g、および重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート3gを入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、400rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することによりラジカル懸濁重合を行なった。室温まで冷却し、生成したポリマー粒子を含む懸濁液をろ別し、蒸留水およびメタノールで洗浄することによりフマル酸ジエステル系樹脂を得た(収率:75%)。
得られたフマル酸ジエステル系樹脂の数平均分子量は120,000であった。また、H−NMR測定により、樹脂組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/フマル酸ジエチル残基単位=84/16(モル%)であることを確認した。
製造例3(フマル酸ジエステル系樹脂(フマル酸ジイソプロピル/フマル酸ジエチル共重合体樹脂)の製造)
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた1Lのオートクレーブに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)2g、蒸留水600g、フマル酸ジイソプロピル255g、フマル酸ジエチル145g、および重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート3gを入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、400rpmで攪拌しながら45℃で36時間保持することによりラジカル懸濁重合を行なった。室温まで冷却し、生成したポリマー粒子を含む懸濁液をろ別し、蒸留水およびメタノールで洗浄することによりフマル酸ジエステル系樹脂を得た(収率:60%)。
得られたフマル酸ジエステル系樹脂の数平均分子量は100,000であった。また、H−NMR測定により、樹脂組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/フマル酸ジエチル残基単位=70/30(モル%)であることを確認した。
製造例4(フマル酸ジエステル系樹脂(フマル酸ジイソプロピル/フマル酸ジメチル共重合体樹脂)の製造)
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた1Lのオートクレーブに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)3g、蒸留水600g、フマル酸ジイソプロピル380g、フマル酸ジメチル20g、および重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート3gを入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、400rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することによりラジカル懸濁重合を行なった。室温まで冷却し、生成したポリマー粒子を含む懸濁液をろ別し、蒸留水およびメタノールで洗浄することによりフマル酸ジエステル系樹脂を得た(収率:76%)。
得られたフマル酸ジエステル系樹脂の数平均分子量は120,000であった。また、H−NMR測定により、樹脂組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/フマル酸ジメチル残基単位=94/6(モル%)であることを確認した。
製造例5(フマル酸ジエステル系樹脂(フマル酸ジイソプロピル/フマル酸ジn−ブチル共重合体樹脂)の製造)
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた1Lのオートクレーブに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)1.6g、蒸留水520g、フマル酸ジイソプロピル230g、フマル酸ジn−ブチル50g、および重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート2.1gを入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、400rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することによりラジカル懸濁重合を行なった。室温まで冷却し、生成したポリマー粒子を含む懸濁液をろ別し、蒸留水およびメタノールで洗浄することによりフマル酸ジエステル系樹脂を得た(収率:80%)。
得られたフマル酸ジエステル系樹脂の数平均分子量は150,000であった。また、H−NMR測定により、樹脂組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/フマル酸ジn−ブチル残基単位=87/13(モル%)であることを確認した。
製造例6(フマル酸ジエステル系樹脂(フマル酸ジイソプロピル/フマル酸ビス2−エチルヘキシル共重合体樹脂)の製造)
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた1Lのオートクレーブに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)1.6g、蒸留水520g、フマル酸ジイソプロピル196g、フマル酸ビス2−エチルヘキシル84g、および重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート1.9gを入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、400rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することによりラジカル懸濁重合を行なった。室温まで冷却し、生成したポリマー粒子を含む懸濁液をろ別し、蒸留水およびメタノールで洗浄することによりフマル酸ジエステル系樹脂を得た(収率:66%)。
得られたフマル酸ジエステル系樹脂の数平均分子量は86,000であった。また、H−NMR測定により、樹脂組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/フマル酸ビス2−エチルヘキシル残基単位=84/16(モル%)であることを確認した。
製造例7(一軸延伸フィルム(セルロースアセテートプロピオネート)の製造)
セルロース系樹脂として、セルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製)50gを塩化メチレン250gに溶解し、得られた溶液をバーコーターを用いてPETフィルム基板上に流延し乾燥温度40℃で5分、60℃で5分、120℃で5分乾燥し、厚み110μmのフィルムを得た。得られたフィルムをPETフィルム基板より剥離し、延伸機を用いて、130℃で1.8倍に一軸延伸した(厚み82μm)。得られた一軸延伸フィルムの面内位相差(Re)は、139nmであった(nx2=1.4803、ny2=1.4820)。
製造例8(一軸延伸フィルム(セルロースアセテートブチレート)の製造)
セルロース系樹脂として、セルロースアセテートブチレート(イーストマンケミカル製)50gを塩化メチレン250gに溶解し、得られた溶液をバーコーターを用いてPETフィルム基板上に流延し乾燥温度40℃で5分、60℃で5分、120℃で5分乾燥し、厚み160μmのフィルムを得た。得られたフィルムをPETフィルム基板より剥離し、延伸機を用いて、125℃で2.0倍に一軸延伸した(厚み113μm)。得られた一軸延伸フィルムの面内位相差(Re)は、215nmであった(nx2=1.4720、ny2=1.4739)。
製造例9(一軸延伸フィルム(環状ポリオレフィン)の製造)
環状ポリオレフィンとして、窒素置換した反応器内に8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ−3−ドデセン100gと1,2−ジクロロエタン400mLと分子量調整剤である1−ヘキセン0.76gと触媒であるWCl6の濃度0.05M/Lのクロロベンゼン溶液18.32mLとパラアルデヒドの濃度0.1M/Lの1,2−ジクロルエタン溶液13.74mLとトリイソブチルアルミニウムの濃度0.5M/Lのトルエン溶液7.4mLとを加え60℃で10時間反応させポリマー90gを得た。このポリマー80gを1600mLのトルエンに溶解し、ナフテン酸ニッケル100gとトリエチルアルミニウムの濃度1M/Lのトルエン溶液256mLを加え水素ガス圧50kg/cm2仕込んで60℃で15時間水素添加反応させた。得られたポリマーを塩酸酸性の大過剰のメタノールに注ぎ、触媒を分解除去しポリマーを回収し乾燥し、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ−3−ドデセン開環重合体の水添体を得た。得られたポリマー50gを塩化メチレン250gに溶解し、得られた溶液をバーコーターを用いてPETフィルム基板上に流延し乾燥温度40℃で5分、60℃で5分、120℃で5分乾燥し、厚み100μmのフィルムを得た。得られたフィルムをPETフィルム基板より剥離し、延伸機を用いて、160℃で1.6倍に一軸延伸した(厚み79μm)。得られた一軸延伸フィルムの面内位相差(Re)は、119nmであった(nx2=1.5087、ny2=1.5102)。
実施例1
製造例1で得られたフマル酸ジエステル系樹脂をメチルイソブチルケトンに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、130℃で10分乾燥することにより、厚み15μmのフマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムを得た。
得られたフィルムは、面外位相差(Rth)は−81nmであり(nx1=1.4688、ny1=1.4688、nz1=1.4742)、膜厚と面外位相差の関係の絶対値は5.4nm/フィルム膜厚(μm)であった。
得られたフィルムを製造例7で製造した一軸延伸フィルムにアクリル系接着剤で貼合することにより積層フィルムを作製し、特性を評価した。得られた結果を表1に示す。
Figure 0005982828
これらの結果より、得られた積層フィルムは目標のNZ係数を持ち、光線透過率が高く、ヘーズが小さく、位相差の波長依存性が小さいなど優れた光学特性を有することから、光学補償用積層フィルムとして適したものであった。
実施例2
実施例1で得たフマル酸ジエステル系樹脂のメチルイソブチルケトン溶液をコーターにより製造例7で製造した一軸延伸フィルム上に流延し、130℃で10分乾燥することにより積層フィルムを作製した。積層フィルムのフマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルム層の厚みは15μmであり、面外位相差(Rth)は−81nmであり(nx1=1.4688、ny1=1.4688、nz1=1.4742)、膜厚と面外位相差の関係の絶対値は5.4nm/フィルム膜厚(μm)であった。
得られた積層フィルムの特性を評価した。得られた結果を表1に示す。得られた積層フィルムは、フマル酸ジエステル系樹脂からなるフィルムと一軸延伸フィルムの接着性も良好で反りなども認められなかった。
これらの結果より、得られた積層フィルムは目標のNZ係数を持ち、光線透過率が高く、ヘーズが小さく、位相差の波長依存性が小さいなど優れた光学特性を有することから、光学補償用積層フィルムとして適したものであった。
実施例3
製造例2で得られたフマル酸ジエステル系樹脂をメチルイソブチルケトンに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、130℃で10分乾燥することにより、厚み14μmのフマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムを得た。
得られたフィルムは、面外位相差(Rth)は−71nmであり(nx1=1.4694、ny1=1.4694、nz1=1.4745)、膜厚と面外位相差の関係の絶対値は5.1nm/フィルム膜厚(μm)であった。
得られたフィルムを製造例7で製造した一軸延伸フィルムにアクリル系接着剤で貼合することにより積層フィルムを作製し、特性を評価した。得られた結果を表1に示す。
これらの結果より、得られた積層フィルムは目標のNZ係数を持ち、光線透過率が高く、ヘーズが小さく、位相差の波長依存性が小さいなど優れた光学特性を有することから、光学補償用積層フィルムとして適したものであった。
実施例4
製造例3で得られたフマル酸ジエステル系樹脂をメチルイソブチルケトン溶剤に溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、130℃で10分乾燥することにより、厚み15μmのフマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムを得た。
得られたフィルムは、面外位相差(Rth)は−68nmであり(nx1=1.4720、ny1=1.4720、nz1=1.4765)、膜厚と面外位相差の関係の絶対値は4.5nm/フィルム膜厚(μm)であった。
得られたフィルムを製造例7で製造した一軸延伸フィルムにアクリル系接着剤で貼合することにより積層フィルムを作製し、特性を評価した。得られた結果を表1に示す。
これらの結果より、得られた積層フィルムは目標のNZ係数を持ち、光線透過率が高く、ヘーズが小さく、位相差の波長依存性が小さいなど優れた光学特性を有することから、光学補償用積層フィルムとして適したものであった。
実施例5
製造例4で得られたフマル酸ジエステル系樹脂をメチルイソブチルケトンに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、130℃で10分乾燥することにより、厚み15μmのフマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムを得た。
得られたフィルムは、面外位相差(Rth)は−86nmであり(nx1=1.4696、ny1=1.4696、nz1=1.4753)、膜厚と面外位相差の関係の絶対値は5.7nm/フィルム膜厚(μm)であった。
得られたフィルムを製造例8で製造した一軸延伸フィルムにアクリル系接着剤で貼合することにより積層フィルムを作製し、特性を評価した。得られた結果を表1に示す。
これらの結果より、得られた積層フィルムは目標のNZ係数を持ち、光線透過率が高く、ヘーズが小さく、位相差の波長依存性が小さいなど優れた光学特性を有することから、光学補償用積層フィルムとして適したものであった。
実施例6
製造例4で得られたフマル酸ジエステル系樹脂をメチルイソブチルケトンに溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、130℃で10分乾燥することにより、厚み11μmのフマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムを得た。
得られたフィルムは、面外位相差(Rth)は−63nmであり(nx1=1.4696、ny1=1.4696、nz1=1.4753)、膜厚と面外位相差の関係の絶対値は5.7nm/フィルム膜厚(μm)であった。
得られたフィルムを製造例9で製造した一軸延伸フィルムにアクリル系接着剤で貼合することにより積層フィルムを作製し、特性を評価した。得られた結果を表1に示す。
これらの結果より、得られた積層フィルムは目標のNZ係数を持ち、光線透過率が高く、ヘーズが小さく、位相差の波長依存性が小さいなど優れた光学特性を有することから、光学補償用積層フィルムとして適したものであった。
比較例1
製造例5で得られたフマル酸ジエステル系樹脂をメチルイソブチルケトン溶剤に溶解して20重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、70℃で10分、130℃で10分乾燥することにより、厚み15μmのフィルムを得た。
得られたフィルムは、フマル酸ジイソプロピル残基単位及び炭素数1または2のアルキル基を有するフマル酸ジエステル残基単位を含むフマル酸ジエステル系樹脂を用いなかったことから面外位相差(Rth)は−35nmであり(nx1=1.4693、ny1=1.4693、nz1=1.4716)、膜厚と面外位相差の関係の絶対値は2.3nm/フィルム膜厚(μm)と小さいものであった。
得られたフィルムを製造例7で製造した一軸延伸フィルムにアクリル系接着剤で貼合することにより積層フィルムを作製し、特性を評価した。得られた結果を表1に示す。
これらの結果より、得られた積層フィルムは、目標のNZ係数を持たないことから、光学補償用積層フィルムとして不適なものであった。
比較例2
製造例6で得られたフマル酸ジエステル系樹脂をトルエン/メチルエチルケトン=50/50混合溶剤に溶解して20重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、70℃で15分乾燥することにより、厚み15μmのフィルムを得た。
得られたフィルムは、フマル酸ジイソプロピル残基単位及び炭素数1または2のアルキル基を有するフマル酸ジエステル残基単位を含むフマル酸ジエステル系樹脂を用いなかったことから面外位相差(Rth)は−23nmであり(nx1=1.4689、ny1=1.4689、nz1=1.4704)、膜厚と面外位相差の関係の絶対値は1.5nm/フィルム膜厚(μm)と小さいものであった。
得られたフィルムを製造例7で製造した一軸延伸フィルムにアクリル系接着剤で貼合することにより積層フィルムを作製し、特性を評価した。得られた結果を表1に示す。
これらの結果より、得られた積層フィルムは、目標のNZ係数を持たないことから、光学補償用積層フィルムとして不適なものであった。
nx;フィルム面内の進相軸方向の屈折率を示す。
ny;nxと直交するフィルム面内方向の屈折率を示す。
nz;フィルムの厚み方向の屈折率を示す。

Claims (4)

  1. フマル酸ジイソプロピル残基単位84〜99モル%及び炭素数1または2のアルキル基を有するフマル酸ジエステル残基単位1〜16モル%を含むフマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルムと一軸延伸フィルムが積層されている光学補償用積層フィルムであって、該フィルム層の膜厚と下記式(a)にて示される波長550nmで測定した面外位相差(Rth)の関係が絶対値で5.1nm/フィルム膜厚(μm)以上であり、該一軸延伸フィルム層の下記式(b)にて示される波長550nmで測定した面内位相差(Re)が50〜300nmであり、光学補償用積層フィルムの下記式(c)にて示されるNZ係数が0.3〜0.7であることを特徴とする光学補償用積層フィルム。
    Rth=((nx1+ny1)/2−nz1)×d1 (a)
    (式中、nx1はフマル酸エステル系樹脂を用いたフィルム層のフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、ny1はnx1と直行方向の屈折率を示し、nz1はフィルムの厚み方向の屈折率を示し、d1はフィルムの厚みを示す。)
    Re=(ny2−nx2)×d2 (b)
    (式中、nx2は一軸延伸フィルム層のフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、ny2はnx2と直行方向の屈折率を示し、d2は一軸延伸フィルムの厚みを示す。)
    NZ係数=(ny3−nz3)/(ny3−nx3) (c)
    (式中、nx3は光学補償用積層フィルムのフィルム面内の進相軸方向の平均屈折率を示し、ny3はnx3と直行方向の平均屈折率を示し、nz3は光学補償用積層フィルムの厚み方向の平均屈折率を示す。)
  2. フマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルム層の厚さが5〜25μmであることを特徴とする請求項1に記載の光学補償用積層フィルム。
  3. フマル酸ジエステル系樹脂を用いたフィルム層の下記式(a)にて示される波長550nmで測定した面外位相差(Rth)が−50〜−300nmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学補償用積層フィルム。
    Rth=((nx1+ny1)/2−nz1)×d1 (a)
    (式中、nx1はフマル酸エステル系樹脂を用いたフィルム層のフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、ny1はnx1と直行方向の屈折率を示し、nz1はフィルム厚み方向の屈折率を示し、d1はフィルムの厚みを示す。)
  4. 波長450nmで測定した光学補償用積層フィルム面内の位相差(R450)と550nmで測定した光学補償用積層フィルム面内の位相差(R550)の比(R450/R550)が1.1以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載の光学補償用積層フィルム。
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