JP5976137B2 - 移動通信システムにおけるドップラースペクトルを用いた移動局速度推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、移動局の速度推定方法に関し、特に、ドップラースペクトルを用いた移動局の速度推定方法に関する。
現在、無線通信システムは、無線通信の多様な利用を想定して、様々な形態による無線通信サービスを提供している。例えば、低データレートのテキスト通信や音声通話通信から高データレートのデータ通信や動画ストリーミング伝送、静止状態や歩行状態での利用から車両内など高速移動状態での利用、あるいは屋内での使用から屋外での使用などである。
このような利用形態に加え、無線通信システムでは、都市部や農村部などサービスを提供する場所、サービスを利用するユーザの人口やデータ量(トラフィック密度)など、様々な条件を考慮してシステムを構築する必要がある。無線通信システムを提供する事業者は、どのような場所や時間においても、ユーザが遅滞なく無線通信システムに接続することができ、満足するサービスの提供を受けられるように、利用形態やトラフィック密度を考慮したサイズ及び形状のセルの配置設計を行う。
しかし、利用形態の更なる多様化やトラフィック量の増加に伴い、平面的なセル配置では、十分なサービスを提供することは困難となる。このため、複数の種類のセルを組み合わせることにより、多様な利用形態やトラフィック特性に合致したサービスを提供する階層セル構成が検討されている。このようなセル構成方法の例として、セルサイズの大きいマクロセル内にセルサイズの小さい極小セルを重畳(オーバーレイ)させる階層セル構成がある。極小セルは、マイクロセル、ピコセル、フェムトセルなどである。このような極小セルは、マクロセル内のトラフィック密度が高い場所、高データレート通信が想定される場所、マクロセル基地局からの電波受信が困難な場所等に設置される。
移動局の基地局間のハンドオーバは、通常、基地局からの参照信号を測定して参照信号電力の最も強い基地局と接続することで行われる。このため、階層セル構成にて、極小セル内を高速度の移動局が通過する場合においても、移動局は極小セルにハンドオーバする可能性がある。このような移動局が極小セルにハンドオーバした場合、セル内滞在時間は非常に短く、このため、ハンドオーバ制御が頻繁に生じて、ハンドオーバのシグナリングに伴うユーザデータの通信断が頻発するという問題がある。
このため、階層セル構成において、階層選択制御を適用することが検討されている。階層選択制御では、移動局がサービスの利用形態に応じて、適切なセルに接続されるように制御する。例えば、高速度で移動する移動局に対しては、マクロセルの基地局が接続し、静止状態又は低速度移動の移動局に対しては、極小セルが接続するよう制御される。
階層選択制御を適切に実行するためには、移動局の移動速度を正確に測定し、移動速度に基づいて、マクロセル又は極小セルに接続させることが重要である。移動速度が速い移動局は、マクロセルのみに接続し、極小セルには接続されないようにする。一方、移動速度の遅い移動局は、極小セル内にある場合は極小セルと接続し、極小セルが重畳されていない場所では、マクロセルと接続する。このような階層選択制御により、高速移動の移動局が極小セルに頻繁にハンドオーバすることを防止して、ハンドオーバの制御シグナリングに伴う通信断を減らすことにより周波数利用効率を向上させることができる。
移動速度を推定する方法の1つとして、ドップラースペクトルを利用する方法がある(非特許文献1)。ここでドップラースペクトルとは、伝搬路応答の振幅値の時間変動をフーリエ変換した結果得られる周波数軸(ドップラー周波数シフト)上の電力波形である。移動局と基地局間の無線伝搬環境が電波の到来方向分布が一様である全周散乱モデルと見なせる場合、ドップラースペクトルは、最大ドップラー周波数においてピークを示す。このため、スペクトルのピークを検出することにより、最大ドップラー周波数を測定することができる。
G-H. Park, D. Hong and C-E. Kang, 「A New Doppler Spread Estimation Using FFT」 IEICE Trans. Commun., vol.E86-B, No.9, pp.2799-2803, Sept. 2003. 大渡 他, "LTE-Advancedにおける下りリンクチャネル品質測定用参照信号構成の検討," 電子情報通信学会技術報告,RCS2009-279,March 2014.
しかし、通常、無線伝搬環境は、周囲の建造物等が必ずしも一様に存在しないときの影響を受け、全周散乱モデルと見なすことができず、ドップラースペクトルから最大ドップラー周波数を検出することが困難になる。
例えば、基地局と移動局との間に主なる障害物が存在しない見通し内伝搬環境の場合、又は特定のビルからの反射等により、特定方向から強い信号が到達する伝搬環境の場合、直接波や特定の反射波の成分がドップラースペクトル内に生じて、最大ドップラー周波数以外の周波数成分においてピークが生じることがある。
また、基地局と移動局では、装置内で使用される基準発振器の周波数精度が異なる。これは、基地局では、ルビジウムやGPS等により提供される精度の高い基準発振器が使用可能であり、一方、移動局では、コストなどを考慮し基地局に比べて周波数精度の低いTCXO (Temperature Compensated Crystal Oscillator)等の基準発振器が使用されることによる。このため、基地局と移動局で周波数精度の異なる基準発振器が使用されることから、基地局と移動局間のキャリア周波数オフセット(以降、単に周波数オフセットと記載)が生じる。このような周波数オフセットは、ドップラースペクトルに影響し、周波数軸上で、ドップラースペクトルをシフトさせる。
本発明は、ドップラースペクトルを用いた移動速度の推定において、周波数オフセットや見通し内伝搬環境を考慮して、精度の高い最大ドップラー周波数を算出し、移動速度を推定する移動速度推定方法を提供することを目的とする。
更に、本発明は、周波数オフセットや見通し内伝搬環境を考慮して、精度の高い最大ドップラー周波数を算出し、移動速度を推定する装置を提供することを目的とする。
本発明は、移動局の移動速度を推定する方法であって、参照信号を受信するステップと、前記受信した参照信号から、伝搬路の時間変動データを作成するステップと、前記伝搬路の時間変動データにFFTを掛けるステップと、前記FFTの出力からドップラースペクトルを算出するステップと、前記ドップラースペクトルの成分のうち、最も高い電力を持つ成分の第1の周波数を検出するステップと、前記ドップラースペクトルの成分のうち、次に高い電力を持つ成分の第2の周波数を検出するステップと、前記第1の周波数と前記第2の周波数の差分の絶対値の半分を最大ドップラー周波数とするステップと、前記最大ドップラー周波数から移動局の移動速度を決定するステップと、を有する。
また、本発明は、移動局の移動速度を推定する方法であって、参照信号を受信するステップと、前記受信した参照信号から、伝搬路の時間変動データを作成するステップと、前記伝搬路の時間変動データにFFTを掛けるステップと、前記FFTの出力からドップラースペクトルを算出するステップと、前記ドップラースペクトルに対するしきい値を設定し、前記ドップラースペクトルの成分のうち、前記しきい値以上となる有効成分を選択するステップと、前記有効成分のうち、最も高い周波数の成分の第1の周波数を検出するステップと、前記有効成分のうち、最も低い周波数の成分の第2の周波数を検出するステップと、前記第1の周波数の絶対値と前記第2の周波数の絶対値を比較し、大きい方を最大ドップラー周波数とするステップと、前記最大ドップラー周波数から移動局の移動速度を決定するステップと、を有する。
更に、本発明は、移動局の移動速度を推定する方法であって、参照信号を受信するステップと、前記受信した参照信号から、伝搬路の時間変動データを作成するステップと、前記伝搬路の時間変動データにFFTを掛けるステップと、前記FFTの出力からドップラースペクトルを算出するステップと、前記ドップラースペクトルに対するしきい値を設定し、前記ドップラースペクトルの成分のうち、前記しきい値以上となる有効成分を選択するステップと、前記有効成分のうち、最も高い周波数の成分の第1の周波数を検出するステップと、前記有効成分のうち、最も低い周波数の成分の第2の周波数を検出するステップと、前記第1の周波数と前記第2の周波数の差分の絶対値の半分を最大ドップラー周波数とするステップと、前記最大ドップラー周波数から移動局の移動速度を決定するステップと、を有する。
更に、本発明は、参照信号を受信する信号受信部と、前記受信した参照信号の受信電力を測定し、伝搬路の時間変動データを作成する受信信号電力測定部と、前記伝搬路の時間変動データをフーリエ変換するFFTと、前記FFTの出力からドップラースペクトルを算出し、第1の周波数及び第2の周波数を検出する信号選択部と、前記第1の周波数と前記第2の周波数を用いて最大ドップラー周波数を算出する最大ドップラー周波数算出部と、前記最大ドップラー周波数から移動局の移動速度を決定する移動局速度推定部と、を有する。
本発明に係る移動速度推定方法及び装置により、周波数オフセットや見通し内伝搬環境において、精度の高い最大ドップラー周波数を算出して、移動速度を推定することを可能にする。
最大ドップラー周波数の推定方法のフローチャートを示す図である。 ドップラースペクトルの例を示す図である。 最大ドップラー周波数の検出方法を説明する図である。 周波数オフセットの影響を説明する図である。 周波数オフセットを考慮した最大ドップラー周波数の推定方法のフローチャートを示す図である。 直接波の影響を説明する図である。 ドップラースペクトルへのしきい値の適用を説明する図である。 直接波を考慮した最大ドップラー周波数の推定方法のフローチャートを示す図である。 直接波及び周波数オフセットを考慮した最大ドップラー周波数の推定方法のフローチャートを示す図である。 本発明の装置の例を示す図である。
以下図面を参照して、ドップラースペクトルを用いた移動局の速度推定方法について説明する。しかしながら、本発明が、図面又は以下に記載される実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。
図1は、ドップラースペクトルを用いて最大ドップラー周波数を推定する方法のフローチャートを示す図である。S10において、無線接続している基地局または移動局から参照信号を受信する。ここで、参照信号としたが、システムにより、パイロット信号やビーコンなどとも呼ばれ、伝搬路推定に使用される既知の信号である。また、伝搬路推定が行われている状態では、データ信号を使用することも可能である。S11において、受信した参照信号をベースバンド信号に変換し、復調した後、受信電力を測定することにより、受信信号の伝搬路の時間変動データを作成する。伝搬路の時間変動データは、一定区間毎にバッファに格納される。
受信信号は、移動局の移動速度に比例して変動するため、受信信号の伝搬路変動をフーリエ変換することにより、ドップラースペクトルが得られる。S12において、一定区間毎に格納された伝搬路の時間変動データに高速フーリエ変換(FFT)を掛ける。ここで、一定区間は、FFTのポイント数に相当する。S13において、FFTの出力からドップラースペクトルが算出される。
図2にドップラースペクトルの例を示す。この例は、無線伝搬環境が全周散乱モデルとみなせる理想的な場合を表している。図において、横軸は周波数を表し、縦軸は相対電力を表す。ただし、図2ではベースバンド帯域に変換した後の処理結果を示しているため、実際には横軸の周波数0Hzがキャリア周波数に対応することに注意が必要である。以降のドップラースペクトルの図においても横軸の周波数の定義は図2と同様である。この例において、最大ドップラー周波数は、100 Hzであり、ドップラースペクトルの周波数100 Hz及び-100 Hzにおいて、高い電力の成分が生じている。このような理想的な無線伝搬環境において、受信信号の伝搬路変動を用いて算出されたドップラースペクトルから、電力の高い成分の周波数を検出することで、最大ドップラー周波数を推定することができる。
図1のS14において、ドップラースペクトルの周波数が正の領域内で最大電力となる成分を見つけ、その周波数f(Pmax+)を検出する。最大電力成分の探索方法として、例えば、周波数0 Hzにおける電力P(f=0)とその次の周波数Δf Hzにおける電力P(f=Δf)とを比較し、高い電力の成分を選択する。更に、次の周波数2×Δf Hzにおける電力P(f=2×Δf)を比較し、より高い電力の成分を選択する。このように、周波数が正の領域にある各成分の電力を順に比較し、最終的に最も電力が高くなる成分を選択して、その周波数をf(Pmax+)とする。
S15において、S14と同様の方法により、ドップラースペクトルの周波数が負の領域内で最大電力が得られる周波数f(Pmax-)を検出する。
S16において、検出された2つの周波数を用いて、最大ドップラー周波数を算出する。ここでは、周波数の正側で検出された周波数f(Pmax+)と負側で検出された周波数f(Pmax-)とのうち、絶対値の大きい方を最大ドップラー周波数fDとする。即ち、fD=max(|f(Pmax+)|, |f(Pmax-)|)とする。
信号受信時に、特定の方向から強い受信電力を持つ電波が到来する場合、正と負の最大ドップラー周波数、すなわちドップラースペクトルの両ピークの間に、強い電力成分が生じることがある。このため、最大電力を示す周波数が最大ドップラー周波数と一致しない場合が考えられる。S14とS15において検出された正と負の最大電力周波数のうち、絶対値の大きい方を選択することで、より精度の高い最大ドップラー周波数を決定することができる。
最大ドップラー周波数fDが得られると、移動局の移動速度νは、fD×λで算出することができる。ここで、λは、キャリア周波数の波長である。
図3は、ドップラースペクトルから最大ドップラー周波数を算出する方法を簡単に説明した図である。周波数の負側において、最大電力が得られる周波数をf(1)とし、正側において、最大電力が得られる周波数をf(2)とする。理想的なフェージング環境下においては、f(1)とf(2)の間でU字型のスペクトルを示し、f(1)とf(2)は、同じ周波数絶対値を示す。この周波数絶対値が最大ドップラー周波数となる。ここで、理想的なフェージング環境下とは、無線伝搬環境が全周散乱モデルとみなせる環境である。
しかし、実際の無線伝搬環境では、必ずしも移動局周辺の到来方向分布が一様ではなく、全方位で均等な受信電力とはならない。また、雑音の影響もあり、ドップラースペクトルはスムーズなU字型とはならない。更に、FFTはフーリエ変換を有限のポイント数で行うため、元の時間変動のデータの両端が不連続となる結果、FFTにより得られたスペクトルには歪が生じる。この歪の発生は、FFTにより得られたドップラースペクトルには本来存在しない成分が現れることを意味するため、最大ドップラー周波数の決定に誤差を与えることになる。例えば、このような誤差要因の対策として、次のような方法がある。伝搬路の時間変動データにFFTを掛ける前に、ハニング窓などの窓関数を適用する。窓関数の適用により、スペクトルの歪を抑制することができ、より急峻なスペクトルを得ることができる。また、FFT後のスペクトル信号を一定区間内で平均化することにより、雑音等の影響を抑制し、よりスムーズなスペクトルを得ることができる。ここでの一定区間は、シャドウィング変動が十分小さい時間区間となる。以下、本発明の実施例の説明において、これらの方法を適用することは記載していないが、勿論、適用することも可能である。
最大ドップラー周波数の算出を困難にする周波数オフセット及び見通し内伝搬の影響を考慮し、それらの環境下において、最大ドップラー周波数を高い精度で算出する方法を説明する。
まず、周波数オフセットの影響とその対策について説明する。無線通信システムにおいて、一般的に、基地局と移動局では、装置内部の基準発振器の周波数精度が異なる。通常、基地局側では、より精巧な基準発振器が使用され、移動局側では、精度の低い基準発振器が使用される。このような送受信局間での基準発振器の周波数精度の違いは、基地局と移動局間の周波数オフセットを生じさせるため、ドップラー周波数推定精度に影響を与える。
図4は、ドップラースペクトルにおける周波数オフセットの影響の例を示した図である。周波数オフセットにより、オフセット分の周波数foffsetだけスペクトルがシフトする。この結果、最大ドップラー周波数もfoffset分シフトし、foffset+fDとfoffset-fDにスペクトルのピークが生じることになる。このようにスペクトルがシフトされた状態において、図1のS14〜S16で示したように、最大電力を示す周波数の絶対値を選択する方法では、正しい最大ドップラー周波数を得ることはできない。
本発明の1つの実施例において、ドップラースペクトルの両端に生じる高い電力成分の周波数を用いて、スペクトルの幅を算出し、スペクトル幅より最大ドップラー周波数を算出する。
図5は、周波数オフセットが存在する環境において、最大ドップラー周波数を算出する方法のフローチャートを示す図である。図5において、ドップラースペクトルを算出するまでの処理(S10〜S13)は、図1に示す方法と同じである。S24において、1番目に高い電力を持つ成分の周波数f(Pmax1)を検出する。この周波数f(Pmax1)は、理想的な伝搬環境下において、図4に示されるfoffset+fD又はfoffset-fDの一方となる。続いて、S25において、2番目に高い電力を持つ成分の周波数f(Pmax2)を検出する。この周波数f(Pmax2)は、同様に、foffset+fD又はfoffset-fDの他方となる。S26において、最大ドップラー周波数を算出する。ここでは、f(Pmax1)とf(Pmax2)からスペクトルの幅を計算し、スペクトル幅の半分を最大ドップラー周波数とする。即ち、|f(Pmax1)- f(Pmax2)|/2を最大ドップラー周波数とする。
上記のように、ドップラースペクトルの幅から最大ドップラー周波数を算出することにより、周波数オフセットが存在する環境下において、スペクトルの中心が送信側のキャリア周波数に対応していない場合においても、精度の高い最大ドップラー周波数を算出することを可能にする。
次に、見通し内伝搬の影響とその対策について説明する。典型的な見通し外伝搬環境の場合は、電波の到来方向分布が一様である全周散乱モデルでモデル化でき、ドップラースペクトルは、最大ドップラー周波数において電力が最も高くなるU字型スペクトルとなる。しかし、見通し内伝搬環境では、信号の送信元から直接波が到来する。このような直接波は、通常、散乱波のパスに比べて信号強度が強く、スペクトル形状に大きな影響を与える。また、見通し内伝搬以外の環境においても、特定の建物からの反射などにより、特定方向から信号強度が強い電波が到来することがあり、スペクトル形状に影響する。
図6に直接波がドップラースペクトルに与える影響の例を示す。図に示すように、最大ドップラー周波数(fD=100 Hz)を示す100 Hz及び-100 Hzの成分の他にも、電力の強い成分が出現している。特に、0 Hz近傍に電力が最大となる成分が生じている。このような直接波成分が現れる周波数は、直接波の到来方向に関連する。ドップラースペクトル内に高い電力の直接波成分が生じた場合、最大電力を示す周波数から最大ドップラー周波数を算出することが困難になる。
本発明のその他の実施例において、ドップラースペクトルに対してしきい値を設定し、しきい値以上となる有効成分について、そのうちの最大周波数の成分と最小周波数の成分から最大ドップラー周波数を算出する。
図7は、ドップラースペクトルにおけるしきい値の設定の一例を示した図である。ここでは、雑音電力N0 [dBm]を算出し、更に、雑音の分散から算出されるΔN [dB]を加算した値をしきい値とする。図7に示されるように、N0+ΔN [dBm]をしきい値とすることで、ドップラースペクトルの外側の雑音成分を除外することができる。そして、しきい値以上となる有効成分は、直接波成分を含んだ幾つかの電力が高い成分となる。これらの有効成分の中から、最大の周波数を持つ成分(即ち、図7の「A」で示される100 Hzの成分)と最小周波数を持つ成分(即ち、図7の「B」で示される-100 Hzの成分)を選択することで、直接波成分の影響を除外することができる。なお、実際の受信信号から雑音電力を推定する方法については様々な方法があり、例えば伝搬路推定のために定期的に挿入されるパイロット信号あるいは参照信号の受信信号に基づき推定する方法がある(非特許文献2)。
図8は、見通し内伝搬環境における最大ドップラー周波数算出の方法を示すフローチャートである。ドップラースペクトルを算出するまでの処理(S10〜S13)は、図1に示す方法と同じである。S34において、スペクトルのしきい値を設定し、しきい値以上となる有効成分を検出する。S35において、有効成分の中から最大周波数を持つ有効成分Ef_maxを選択し、その周波数f(Ef_max)を検出する。S36において、有効成分の中から最小周波数を持つ有効成分Ef_minを選択し、その周波数f(Ef_min)を検出する。
S37において、検出された2つの周波数を用いて、最大ドップラー周波数を算出する。ここでは、周波数f(Ef_max)と周波数f(Ef_min)とのうち、絶対値の大きい方を最大ドップラー周波数fDとする。即ち、fD=max(|f(Ef_max)|, |f(Ef_min)|)とする。
このように、しきい値を設定し、しきい値以上となる有効成分を抽出することで、雑音成分によるスペクトルを除外して、受信信号によるスペクトルのみを選択することができる。更に、有効成分の中から最大周波数と最小周波数を検出することにより、散乱波によるスペクトル以外の直接波等によるスペクトルを除外することができ、見通し内伝搬環境においても、精度の高い最大ドップラー周波数を算出することを可能にする。
上記実施例において、しきい値を雑音電力N0にΔNを加算した値に設定したが、これに限定されるものではない。例えば、測定されるSNRなどの無線伝搬状況に応じて、しきい値を可変とすることも可能である。
本発明の更にその他の実施例として、見通し内伝搬環境であると共に、周波数オフセットが存在する状況を想定する。上記の2つの実施例において説明したように、見通し内伝搬環境では、直接波による強い成分が生じる。そして、周波数オフセットにより、ドップラースペクトルがシフトする。
図9に周波数オフセットが存在し、かつ見通し内伝搬環境における最大ドップラー周波数算出の方法を示すフローチャートを示す。ドップラースペクトルを算出するまでの処理(S10〜S13)は、図1に示す方法と同じである。S44において、スペクトルのしきい値を設定し、スペクトルの中で、しきい値以上となる有効成分を検出する。S45において、有効成分の中から最大周波数を持つ有効成分Ef_maxを選択し、その周波数f(Ef_max)を検出する。S46において、有効成分の中から最小周波数を持つ有効成分Ef_minを選択し、その周波数f(Ef_min)を検出する。
S47において、この検出された2つの周波数を用いて、最大ドップラー周波数を算出する。ここでは、f(Ef_max)とf(Ef_min)からスペクトルの幅を計算し、スペクトル幅の半分を最大ドップラー周波数とする。即ち、|f(Ef_max)- f(Ef_min)|/2を最大ドップラー周波数とする。
ドップラースペクトルの幅から最大ドップラー周波数を算出することにより、周波数オフセット環境下において、スペクトルの中心が送信側のキャリア周波数に対応していない場合においても、最大ドップラー周波数を算出することを可能にする。また、適切なしきい値を設けることで、雑音成分による誤検出を軽減し、さらに、見通し内伝搬環境において、直接波成分に比べて受信電力の低い散乱波成分を検出できるようになり、より正確な最大ドップラー周波数を推定することができる。
図10は、本発明の装置構成を簡単に説明するブロック図である。このような構成は、基地局側、移動局側のどちらにも設置することができ、両局のどちらにおいても、最大ドップラー周波数の測定を可能にする。
図10において、50は信号受信部、51は受信信号電力測定部、52はFFT、53は信号選択部、54は最大ドップラー周波数算出部、55は移動局速度推定部を表す。信号受信部50は、無線通信を行う送信側局からの信号を受信し、受信信号の中から参照信号を取り出す。参照信号の挿入方法は、システムにより規定される。受信信号電力測定部51は、受信した参照信号をベースバンド信号に変換し、復調した後、受信電力を測定して、受信信号の伝搬路の時間変動データを生成する。生成された伝搬路の時間変動データは、バッファに格納される。受信信号電力測定部51は、伝搬路推定の一部として実装することも可能である。FFT 53は、伝搬路の時間変動データにFFTを掛けて、ドップラースペクトルを算出する。信号選択部53は、ドップラースペクトルの中より、最大ドップラー周波数を算出するために使用する成分を選択する。図5の例において、信号選択部53は、1番目に高い電力の成分と2番目に高い電力の成分を選択する。図8及び9の例において、信号選択部53は、しきい値を設定し、有効成分中の最大周波数の成分と最小周波数の成分を選択する。最大ドップラー周波数算出部54は、信号選択部53で選択された成分の周波数から、最大ドップラー周波数を算出する。図5及び9の例において、最大ドップラー周波数算出部54は、スペクトルの幅を算出し、その1/2を最大ドップラー周波数とする。図8の例において、絶対値の大きい方を最大ドップラー周波数とする。移動局速度推定部55は、算出された最大ドップラー周波数より、移動局の移動速度を推定する。
50 信号受信部
51 受信信号電力測定部
52 FFT
53 信号選択部
54 最大ドップラー周波数算出部
55 移動局速度推定部

Claims (2)

  1. 移動局の移動速度を推定する方法であって、
    参照信号を受信するステップと、
    前記受信した参照信号から、伝搬路の時間変動データを作成するステップと、
    前記伝搬路の時間変動データにFFTを掛けるステップと、
    前記FFTの出力からドップラースペクトルを算出するステップと、
    前記ドップラースペクトルに対するしきい値を設定し、前記ドップラースペクトルの成分のうち、前記しきい値以上となる有効成分を選択するステップと、
    前記有効成分のうち、最も高い周波数の成分の第1の周波数を検出するステップと、
    前記有効成分のうち、最も低い周波数の成分の第2の周波数を検出するステップと、
    前記第1の周波数の絶対値と前記第2の周波数の絶対値を比較し、大きい方を最大ドップラー周波数とするステップと、
    前記最大ドップラー周波数から移動局の移動速度を決定するステップと、
    を有する、移動速度の推定方法。
  2. 前記しきい値は、雑音電力に基づいて設定される、請求項に記載の移動速度の推定方法。
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