JP5972375B2 - 絶縁電線及びモータ - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁電線及びモータに関する。
インバータは、効率的な可変速制御装置として、多くの電気機器に取り付けられるようになってきている。しかし、数kHz〜数十kHzでスイッチングが行われ、それらのパルス毎にサージ電圧が発生する。このようなインバータサージは、伝搬系内におけるインピーダンスの不連続点、例えば接続する配線の始端又は終端等において反射が発生し、その結果、最大でインバータ出力電圧の2倍の電圧が印加される。特に、IGBT等の高速スイッチング素子により発生する出力パルスは、電圧峻度が高く、それにより接続ケーブルが短くてもサージ電圧が高く、更にその接続ケーブルによる電圧減衰も小さく、その結果、インバータ出力電圧の2倍近い電圧が発生する。
インバータ関連機器、例えば高速スイッチング素子、インバータモータ、変圧器等の電気機器コイルには、マグネットワイヤとして主にエナメル線である絶縁電線(絶縁ワイヤともいう)が用いられている。したがって、前述したように、インバータ関連機器では、インバータ出力電圧の2倍近い電圧がかかることから、インバータサージに起因する部分放電劣化を最小限にすることが、絶縁電線に要求されるようになってきている。
一般に、部分放電劣化とは、電気絶縁材料の部分放電(微小な空隙状欠陥等がある部分の放電)で発生した荷電粒子の衝突による分子鎖切断劣化、スパッタリング劣化、局部温度上昇による熱溶融若しくは熱分解劣化、又は、放電で発生したオゾンによる化学的劣化等が複雑に起こる現象を言う。実際に部分放電劣化した電気絶縁材料は、その厚みの減少が見られる。
このような部分放電による絶縁電線の劣化を防ぐため、絶縁皮膜に粒子を配合することにより、耐コロナ放電性を向上させた絶縁電線が提案されている。例えば、絶縁皮膜中に金属酸化物微粒子やケイ素酸化物微粒子を含有させたもの(特許文献1参照)、絶縁皮膜中にシリカを含有させたもの(特許文献2参照)が提案されている。これらの絶縁電線は、粒子を含有する絶縁皮膜により、コロナ放電による侵食劣化を低減するものである。しかし、これらの粒子を含有した絶縁皮膜を有する絶縁電線は、その効果が不十分であり、部分放電開始電圧が低下することや皮膜の可とう性が低下するという問題がある。
部分放電が発生しない絶縁電線、すなわち部分放電の発生電圧が高い絶縁電線を得る方法もある。これには絶縁電線の絶縁層の厚みを厚くするか、絶縁層に比誘電率が低い樹脂を用いるといった方法が考えられる。
しかし、絶縁層を厚くすると絶縁電線が太くなり、その結果、電気機器の大型化を招く。このことは、近年のモータや変圧器に代表される電気機器における、小型化という要求に逆行する。例えば、具体的には、ステータースロット中に何本の電線を入れられるかにより、モータ等の回転機の性能が決定するといっても過言ではなく、その結果、ステータースロット断面積に対する導体断面積の比率(占積率)を、近年、特に高くすることが要求されている。したがって、絶縁層の厚みを厚くすることは占積率が低くすることになり、要求性能を考慮すると望ましくない。
一方、絶縁層の実質的な比誘電率を小さくする手段としては、絶縁層を発泡体で形成することが考えられ、従来から、導体と発泡絶縁層とを有する発泡電線が通信電線として広く用いられている。従来は、例えばポリエチレン等のオレフィン系樹脂やフッ素樹脂を発泡させて得られた発泡電線がよく知られ、具体的には、発泡させたポリエチレン絶縁電線(特許文献3参照)、発泡させたフッ素樹脂絶縁電線(特許文献4参照)等が挙げられる。
特許第3496636号公報 特許第4584014号公報 特許第3299552号公報 特許第3276665号公報
コイル成形してモータ等の巻線として用いられる絶縁電線には、上述したように、部分放電及びコイル成形時の損傷が発生しにくく、モータ等の小型化、高効率化に資することが求められている。
しかし、例えば、特許文献3に記載された気泡を含む絶縁電線は、通信用途に用いられる絶縁電線であり、コイル成形してモータ等の巻線として用いられる絶縁電線として最適なものとは言えなかった。特に、特許文献3に記載された絶縁電線は、絶縁層表面の耐摩耗性が十分でないため、巻線として用いた場合に絶縁層に傷が付きやすいという問題があった。
本発明は、高い部分放電開始電圧を維持しつつ、耐傷つき性に優れ、かつモータや変圧器の導体占積率を高くすることのできる絶縁電線を提供することを課題とする。
また、本発明は、この優れた性能の絶縁電線を用いた、絶縁電線の末端部での部分放電を選択的に抑制することができ、小型又は高効率のモータを提供することを課題とする。
本願発明者等は、発泡絶縁層及び外側非発泡絶縁層を備えた絶縁電線において、発泡絶縁層の厚み変形率と、外側非発泡絶縁層の硬度と、発泡絶縁層及び外側非発泡絶縁層の厚み比とを、いずれも、特定の範囲に設定すると、発泡絶縁層及び外側非発泡絶縁層が相俟って、絶縁電線の部分放電開始電圧を高める一方で、モータコイルの小型化及び高効率化にも資することを見出して、本発明を完成した。
本発明の課題は下記の手段により解決された。
(1)導体と、該導体の外周面を直接又は間接的に被覆する、発泡熱硬化性樹脂を含む絶縁層(発泡絶縁層ということがある)と、該絶縁層の外周面を直接又は間接的に被覆する外側非発泡絶縁層とを備え、25℃において1MPaの圧力をかけた際の前記絶縁層の厚み変形率が15%以上50%以下であり、前記外側非発泡絶縁層の鉛筆硬度が4H以上であり、前記絶縁層の厚みと前記外側非発泡絶縁層の厚みとの比が20:80〜80:20である絶縁電線。
(2)前記熱硬化性樹脂のガラス転移温度が150℃以上である(1)に記載の絶縁電線。
(3)前記絶縁層が、独立気泡を含んでいる(1)又は(2)のいずれか1項に記載の絶縁電線。
(4)前記絶縁層の空隙率が10%以上である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の絶縁電線。
(5)モータコイル用の巻線として用いられる(1)〜(4)のいずれか1項に記載の絶縁電線。
(6)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の絶縁電線を、該絶縁電線の外径を縮径する方向に圧力をかけ、前記絶縁層の厚さを低減させた状態で、ステータースロットに巻回させてなるモータ。
本発明において、ガラス転移温度は、複数存在する場合は最も低いガラス転移温度をいう。
また、本発明において、「間接的に被覆する」とは、他の層を介して被覆することを意味する。例えば、発泡絶縁層が他の層を介して導体を被覆していること、また外側非発泡絶縁層が他の層を介して発泡絶縁層を被覆していることを、意味する。ここで、他の層としては、例えば、上述の発泡絶縁層及び外側非発泡絶縁層以外の、気泡をもたない内側非発泡絶縁層又は密着層(接着層)等が挙げられる。
本発明により、高い部分放電開始電圧及び耐傷つき性を発揮しつつ、モータ成形した場合に絶縁電線の断面積中の導体の断面積割合が相対的に大きくなることでモータコイルの小型化及び高効率化に寄与する絶縁電線を提供できる。加えて、本発明により、この優れた性能の絶縁電線を用いた、絶縁電線の末端部での部分放電を選択的に抑制することができ、小型又は高効率のモータを提供できる。
本発明の上記及び他の特徴並びに利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
図1は本発明の絶縁電線の一実施態様を示した断面図である。 図2は本発明の絶縁電線の別の実施態様を示した断面図である。 図3は本発明の絶縁電線のまた別の実施態様を示した断面図である。 図4は本発明の絶縁電線のさらにまた別の実施態様を示した断面図である。 図5は本発明の絶縁電線の別の実施態様を示した断面図である。 図6は本発明の絶縁電線のまた別の実施態様を示した断面図である。
以下、本発明の発泡電線の実施態様について、図面を参照して説明する。
図1に断面図を示した本発明の絶縁電線の一実施態様は、断面が円形の導体1と、導体1の外周面を被覆した発泡絶縁層2と、発泡絶縁層2の外周面を被覆した外側非発泡絶縁層3とを有してなる。この一実施態様は、発泡絶縁層2及び外側非発泡絶縁層3も断面は円形である。
図2に断面図を示した本発明の絶縁電線の別の実施態様では、発泡絶縁層2の内側であって導体1の外周に内側非発泡絶縁層25を設けた以外は図1に示す絶縁電線と同様である。
図3に断面図を示した本発明の絶縁電線のまた別の実施態様では、発泡絶縁層2と外側非発泡絶縁層3との間に密着層35を介装した以外は図2に示す絶縁電線と同様である。
図4に断面図を示したさらにまた別の実施態様は、導体1として断面が矩形のものを用いたもので、それ以外は基本的に図1に示す絶縁電線と同様である。この実施態様は、導体1の断面が矩形であるので発泡絶縁層2及び外側非発泡絶縁層3も断面が矩形である。
図5に断面図を示した別の実施態様は、導体1として断面が矩形のものを用いたもので、それ以外は基本的に図2に示す絶縁電線と同様である。この実施態様は発泡絶縁層2及び外側非発泡絶縁層3も断面が矩形である。
図6に断面図を示したまた別の実施態様は、導体1として断面が矩形のものを用いたもので、それ以外は基本的に図3に示す絶縁電線と同様である。この実施態様は発泡絶縁層2及び外側非発泡絶縁層3も断面が矩形である。
以上の各図において同符号は同じものを意味し、説明を繰り返さない。
本発明において、「内側非発泡絶縁層」は、気泡を有していないこと以外は発泡絶縁層と基本的に同様である。
また、本発明において、密着層35は、発泡絶縁層2と外側非発泡絶縁層3との間に設けられ、発泡絶縁層2と外側非発泡絶縁層3との層間密着力を向上させる層である。
本発明の絶縁電線に用いる導体1は、従来、絶縁電線で用いられているものを使用することができ、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金又はそれらの組み合わせた材料等で形成されている。
導体1の横断面(軸線に垂直な断面)は、特に限定されるものではなく、所望の形状のものを使用でき、例えば、円形、矩形状等が挙げられる。導体1は、図4〜図6に示されるように、ステータースロットに対する占有率の点で、その横断面において少なくとも角を有する形状、例えば、平角形状(矩形)であるのが好ましい。更には、角部からの部分放電を抑制するという点において、4隅に面取り(半径r)を設けた形状であることが望ましい。
内側非発泡絶縁層25は、導体1の外周面に形成され、後述する発泡絶縁層2を形成する熱硬化性樹脂で気泡をもたない状態、すなわち非発泡状態に形成される層である。この発明において、内側非発泡絶縁層25は所望により形成される。ここで、気泡をもたない状態とは、気泡がまったく存在しない状態だけではく、気泡が存在する場合をも包含する。すなわち、内側非発泡絶縁層25は、積極的に気泡が形成されない方法で形成されたものであり、例えば任意の断面1cm当り1個以下の気泡が存在していてもよい。
発泡絶縁層2は、気泡を有する熱硬化性樹脂、すなわち発泡した熱硬化性樹脂を含む層であって、導体1の外周面上に形成されている。発泡絶縁層2が気泡を有すると、気泡内部に存在する空気によって発泡絶縁層2の比誘電率が低下し、モータに巻線された絶縁電線に電圧が印加されたときに、互いに隣接する絶縁電線間の空気ギャップに発生する部分放電やコロナ放電を抑制することができる。
発泡絶縁層2が有する気泡は、独立気泡であっても連通気泡であってもよく、またこれら両方であってもよい。ここで、独立気泡とは、任意の断面で切断した発泡絶縁層2の断面をマイクロスコープで観察したときに気泡内壁に穴、すなわち隣接する気泡との連通開口部が確認できないものをいい、連通気泡とは、同様にして観察したときに気泡内壁に穴が確認できるものをいう。気泡は、発泡絶縁層2の摩耗特性や機械特性を維持しつつ、縦方向、すなわち厚み方向の瞬間的な潰れに変形しても、内圧が上がり、圧力が開放されると戻りやすいという点で、独立気泡を含んでいるのが好ましい。また、溶剤等に浸漬されても気泡内部に溶剤等が侵入して気泡部分が埋まることなく、比誘電率の上昇を抑えることができる点で、独立気泡を含んでいるのが好ましい。
本発明においては、発泡絶縁層2の潰れ易さと絶縁電線の要求特性を満たす範囲内で、独立気泡を有しているのが好ましく、気泡の全数に対して、独立気泡が70%以上であるのがより好ましく、90%以上であるのがさらに好ましい。なお、独立気泡の割合の上限値は当然に100%であり、実質的には99%以下である。独立気泡の割合は、発泡倍率、ワニス中の樹脂濃度、粘度、ワニス塗布時の温度、発泡剤の添加量、焼付け炉の温度等によって調整できる。
独立気泡の割合は、任意の断面で切断した発泡絶縁層2の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した観察領域に存在(開口)する全気泡数と独立気泡数とを計数して、独立気泡数を全気泡数で除することで、算出できる。なお、連通気泡は、計数対象の気泡に加えて、この気泡の内壁に開口している穴1個も1個の気泡として計数する。
気泡の平均気泡径は、絶縁破壊電圧を良好に維持できる点で好ましくは5μm以下であり、絶縁破壊電圧をより確実に保持できる点でより好ましくは3μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下である。平均気泡径の下限に制限はないが、1nm以上であることが実際的であり、好ましい。平均気泡径は、発泡絶縁層2の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、任意に選択した20個の気泡の直径を画像寸法計測ソフト(三谷商事社製WinROOF)を用いて径測定モードで測定し、これらを平均して算出した値である。なお、気泡の形状が円形でない場合は、最長部分を直径とする。この気泡径は、発泡倍率、ワニス中の樹脂濃度、粘度、ワニス塗布時の温度、発泡剤の添加量、焼付け炉の温度等によって調整できる。
発泡絶縁層2は、比誘電率の低下により高い絶縁破壊電圧を発揮する点で、10%以上の空隙率を有しているのが好ましく、20%以上の空隙率を有しているのがより好ましく、30%以上の空隙率を有しているのがさらに好ましい。空隙率は、発泡絶縁層2の機械的強度の点で、80%以下であるのが好ましく、70%以下であるのがより好ましく、60%以下であるのがさらに好ましい。発泡絶縁層2の空隙率は、発泡倍率、ワニス中の樹脂濃度、粘度、ワニス塗布時の温度、発泡剤の添加量、焼付け炉の温度等によって調整できる。
空隙率は、発泡絶縁層2の体積(V1)及び気泡の体積(V2)から、式:V2/V1×100(%) により、算出される。ここで、発泡絶縁層2の体積(V1)は常法により算出され、気泡の体積(V2)は気泡の密度が0であること及び発泡絶縁層2を形成している熱硬化性樹脂の密度を使用して算出できる。
発泡絶縁層2は、25℃において、1MPaの圧力をかけた際、具体的には、直径方向から1MPaの圧力をかけて挟圧した際の厚み変形率が15%以上である。この厚み変形率が15%以上であると、絶縁電線をステータースロットに巻線してモータを形成する際に、発泡絶縁層2が優先的に変形して絶縁電線の膜厚が小さくなる。その結果、ステータースロットが一定の大きさである場合にはその中に多くの巻線数で絶縁電線を巻線することがき、モータコイル、すなわちモータの高効率化に寄与することができる。一方、巻線数が同一である場合にはモータコイル、すなわちモータの小型化に寄与することができる。モータコイルのさらなる小型化及び高効率化に寄与できる点で、厚み変形率は、20%以上であるのが好ましく、25%以上であるのがさらに好ましい。一方、厚み変形率は、絶縁特性の維持、耐摩耗性及び可とう性の点で、50%以下であるのが好ましい。この厚み変形率は、発泡絶縁層2を形成する熱硬化性樹脂の種類、気泡径、空隙率及び発泡倍率等によって、調整できる。
発泡絶縁層2の厚み変形率は、圧力をかける前の絶縁電線における発泡絶縁層2の厚みTi(発泡絶縁層2の外径/2)と、1MPaの圧力をかけた際に(圧縮)変形した発泡絶縁層2の厚みTa(圧縮された発泡絶縁層2の径/2)とから、下記式によって、算出される。
式 : (Ta/Ti)×100 (%)
なお、発泡絶縁層2に1MPaの圧力をかける方法は、発泡絶縁層2の直径方向に1MPaの圧力をかけることができる方法であれば、特に限定されず、例えば、絶縁電線を挟んだ2枚のステンレス鋼に1MPaの圧力をかける方法が挙げられる。この方法では、発泡絶縁層2に直接1MPaの圧力がかかるわけではないが、外側非発泡絶縁層3は膜厚が薄く圧力をほとんど吸収しないので、現実的には、絶縁電線に1MPaの圧力をかけたのと同じであり、これにより発泡絶縁層2の厚み変形率を測定することができる。
発泡絶縁層2の厚みは、発泡絶縁層2の厚みと外側非発泡絶縁層3の厚みとの比(以下、厚み比という)が20:80〜80:20の範囲内にある。発泡絶縁層2の厚みが厚いほど比誘電率が低下し、部分放電開始電圧を上昇させることが可能であり、また厚み変形率が大きくなり易い。一方、外側非発泡絶縁層3の厚みが厚いほど強度及び可とう性等の機械特性が向上する。発泡絶縁層2の厚みが上述の範囲内にあると、部分放電開始電圧及び厚み変形率と機械特性とを両立できる。この厚み比は、絶縁電線の部分放電開始電圧及び厚み変形率と機械特性とを高い水準で両立できる点で、30:70〜75:25であるのがより好ましく、35:65〜40:60であるのが特に好ましい。
発泡絶縁層2の厚みは、上述の厚み比が20:0〜80:20の範囲内となる厚みであれば、特に制限はなく、10〜200μmであるが実際的であり、好ましい。したがって、発泡絶縁層2の厚みは、10〜200μmの範囲内から、厚み比を満たすように、選択される。
発泡絶縁層2の外側に耐傷性に強い樹脂で外側非発泡絶縁層を形成し、かつ圧力が与えられることによって適宜変形することを可能にしておくことで、使用したい形状や空間に応じて最低限必要な皮膜厚さに調整可能になっている。これによって、同じ導体を用いた場合には、より高い導体占積率の絶縁ワイヤとなることができる。断面の導体占積率が向上することによってモータをはじめとするコイル形状に成型した場合にはその効率を高めることが可能であることを見出した。
さらに、皮膜部分が変形することによって部分放電が発生する空気の部分を埋めることができる。これによって部分放電が起こりにくくなるため、占積率や耐熱性等を変えずに部分放電開始電圧を維持・向上させることが可能となっている。
発泡絶縁層2を形成する熱硬化性樹脂は、ワニスとして導体1に直接又は間接的に塗布し、焼き付けて、気泡を形成し、発泡絶縁皮膜を形成できるものが好ましい。ここで、「間接的に塗布」とはワニスを他の層、例えば内側非発泡絶縁層25を介して導体1上に塗布されることを意味する。このようなワニスに含まれる熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエステルイミド(PEsI)、ポリエステル等を用いることができる。
熱硬化性樹脂は、ガラス転移温度が150℃以上で絶縁電線の耐熱性向上に寄与する、PAI、PI、ポリエステル、PEsIが好ましく、PAIがさらに好ましい。熱硬化性樹脂のガラス転移温度は、耐熱性の点で、210〜350℃であるのがさらに好ましい。熱硬化性樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)によって、測定できる。なお、使用する熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリアミドイミドとしては、特に制限はないが、通常の方法により、例えば極性溶媒中でトリカルボン酸無水物とジイソシアネート類を直接反応させて得たもの、極性溶媒中でトリカルボン酸無水物にジアミン類を混合しジイソシアネート類でアミド化して得たもの等を用いることができる。また、PAIは、市販品(例えば、HI−406(日立化成(株)社製、商品名等)を用いることもできる。
ポリイミドとしては、特に制限はないが、例えば、熱硬化性芳香族ポリイミド等の通常のポリイミド樹脂、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン類を極性溶媒中で反応させて得られるポリアミド酸溶液を用い、絶縁皮膜を形成する際の焼付け時の加熱処理によりイミド化させることによって熱硬化させるものが挙げられる。市販のポリイミド樹脂としては、Uイミド(ユニチカ社製、商品名)、U−ワニス(宇部興産社製、商品名)、HCIシリーズ(日立化成社製、商品名)、オーラム(三井化学社製、商品名)等を使用することができる。
本発明に用いることができるポリエステルとしては、特に制限はないが、芳香族ポリエステルにフェノール樹脂等を添加することによって変性したものが挙げられる。具体的には、耐熱クラスがH種のポリエステル樹脂が挙げられる。市販のH種ポリエステル樹脂としては、Isonel200(商品名、スケネクタディインターナショナル社製)等を挙げることができる。
ポリエステルイミドとしては、特に制限はないが、通常の方法により、例えば極性溶媒中でトリカルボン酸無水物とジイソシアネート類を直接反応させイミド骨格を形成した後、触媒存在下においてジオール類を反応させて得たもの、極性溶媒中でトリカルボン酸無水物にジアミン類を混合しイミド骨格を形成し、その後ジオール類と反応させることによって合成されたもの等が挙げられる。市販のポリエステルイミド樹脂としてNeoheat 8200K2、Neoheat 8600、LITON 3300(いずれも、商品名、東特塗料社製)等を挙げることができる。
本発明においては、特性に影響を及ぼさない範囲で、発泡絶縁層2を形成する熱硬化性樹脂に対して、気泡化核剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料、相溶化剤、滑剤、強化剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、増粘剤、減粘剤、及びエラストマー等の各種添加剤を配合してもよい。また、得られる絶縁電線に、発泡絶縁層2とは別に、これらの添加剤を含有する樹脂からなる層を積層してもよいし、これらの添加剤を含有する塗料をコーティングしてもよい。
また、その内部に気泡を形成させる熱硬化性樹脂は、耐熱性を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂が混合されていてもよい。熱可塑性樹脂をブレンドすることで、製造工程において熱変形を抑えつつ、可とう性等、絶縁電線に必要な機械特性を付与することが可能となる。熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、好ましくは150℃以上であり、さらに好ましくは210〜350℃である。熱可塑性樹脂のガラス転移温度は熱硬化性樹脂のガラス転移温度と同様にして測定できる。このような熱可塑性樹脂の添加量は樹脂固形分の1〜40質量%が好ましい。
この目的で使用可能な熱可塑性樹脂としては、熱によって結晶化し収縮するなど、状態変化による応力を発生させにくい点で、非晶性の樹脂であることが好ましい。例えば、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニルスルホン(PPSU)及びポリイミドから選ばれた少なくとも1種であるのが好ましい。
ポリエーテルイミドとしては、例えば、ウルテム(GEプラスチック社製、商品名)等を使用することができる。ポリエーテルスルホンとしては、例えば、スミカエクセルPES(住友化学社製、商品名)、PES(三井化学社製、商品名)、ウルトラゾーンE(BASFジャパン社製、商品名)、レーデルA(ソルベイアドバンストポリマーズ社製、商品名)等を使用することができる。ポリフェニレンエーテルとしては、例えば、ザイロン(旭化成ケミカルズ社製、商品名)、ユピエース(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名)等を使用することができる。ポリフェニルスルホンとしては、例えば、レーデルR(ソルベイアドバンストポリマー社製、商品名)等を使用することができる。ポリイミドとしては、例えば、U−ワニス(宇部興産社製、商品名)、HCIシリーズ(日立化成社製、商品名)、Uイミド(ユニチカ社製、商品名)、オーラム(三井化学社製、商品名)等を使用することができる。溶剤に溶けやすい点においてポリフェニルスルホン、ポリエーテルイミドがより好ましい。
本発明において、「非晶性」とはほとんど結晶構造を持たない無定形状態を保つことをいい、硬化時に高分子の鎖がランダムな状態になる特性をいう。
気泡を有する熱硬化性樹脂で形成された発泡絶縁層2の比誘電率を低減できる点で、また上述の範囲に厚み変形率を調整できる点で、発泡絶縁層2の発泡倍率は、1.2倍以上が好ましく、1.4倍以上がより好ましい。発泡倍率の上限に制限はないが、通常5.0倍以下とすることが好ましい。発泡倍率は、発泡のために被覆した樹脂の密度(ρf)及び発泡前の密度(ρs)を水中置換法により測定し、(ρs/ρf)により算出する。
発泡絶縁層2は、熱硬化性樹脂と、特定の有機溶剤及び少なくとも1種類の高沸点溶剤を含む2種類以上、好ましくは3種以上の溶剤とを混合した絶縁ワニスを導体1の周囲に塗布、焼き付けることにより得ることができる。ワニスは、導体1上に、直接塗布してもよく、間接的に塗布してもよい。
発泡絶縁層2に使用されるワニスの特定の有機溶剤は、熱硬化性樹脂を溶解させる溶媒として作用する。この有機溶剤としては熱硬化性樹脂の反応を阻害しない限り、特に制限はなく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチル尿素等の尿素系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン等のラクトン系溶媒、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート等のエステル系溶媒、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム系溶媒、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、スルホラン等のスルホン系溶媒等が挙げられる。これらのうちでは高溶解性、高反応促進性等の点でアミド系溶媒、尿素系溶媒が好ましく、加熱による架橋反応を阻害しやすい水素原子をもたない等の点で、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチル尿素がより好ましく、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。この有機溶剤の沸点は、好ましくは160℃〜250℃、より好ましくは165℃〜210℃のものである。
気泡形成用に使用可能な高沸点溶剤は、沸点が好ましくは180℃〜300℃、より好ましくは210℃〜260℃のものである。具体的には、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル等を用いることができる。気泡径のばらつきが小さい点においてトリエチレングリコールジメチルエーテルがより好ましい。これら以外にも、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が使用できる。
高沸点溶剤は、1種であってもよいが、気泡が広温度範囲で発生する効果が得られる点で、少なくとも2種を組み合わせて用いるのが好ましい。高沸点溶媒の少なくとも2種の好ましい組み合わせは、テトラエチレングリコールジメチルエーテルとジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルとトリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルとテトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテルとテトラエチレングリコールジメチルエーテル、より好ましくはジエチレングリコールジブチルエーテルとトリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルとテトラエチレングリコールジメチルエーテルの組を含むものである。
気泡形成用の高沸点溶媒は熱硬化性樹脂を溶解させる特定の有機溶媒よりも高沸点であることが特徴であり、気泡形成のために添加する高沸点溶媒の沸点はワニスの溶剤成分の蒸発開始温度より50℃以上であってもよい。1種類でワニスに添加される場合には室温での熱硬化性樹脂の特定の有機溶媒より20℃以上高いことが好ましい。また、1種類で使用した場合には高沸点溶媒は気泡核剤と発泡剤の両方の役割を有することがわかっている。一方、2種類以上の高沸点溶媒を使用した場合には、最も高い沸点のものが発泡剤、中間の沸点を持つ気泡形成用の高沸点溶媒が気泡核剤として作用する。最も沸点の高い溶媒は特定の有機溶剤より20℃以上高いことが好ましく、30〜60℃高いのがより好ましい。中間の沸点を持つ高沸点溶媒は、発泡剤として作用する高沸点溶媒と特定の有機溶剤の中間に沸点があればよく、発泡剤の沸点と10℃以上の沸点差を持っていることが好ましい。中間の沸点を持つ高沸点溶媒は、発泡剤として作用する高沸点溶媒より熱硬化性の溶解度が高い場合、ワニス焼き付け後に均一な気泡を形成させることができる。2種類以上の高沸点溶媒を使用する場合に、中間の沸点を持つ高沸点溶媒に対する最も高い沸点を持つ高沸点溶媒との使用比率は、例えば、質量比で99/1〜1/99であるのが好ましく、気泡の生成のしやすさの点において10/1〜1/10であることがより好ましい。
本発明において、上述の、高沸点溶剤を含む2種類以上の溶剤を用いて発泡絶縁層2を形成する場合には、この高沸点溶剤を蒸発させるためにこれまでの気泡を含まない絶縁層を形成する場合よりも多くのエネルギーが必要になる。さらに、外側非発泡絶縁層3を形成する際にも発泡絶縁層2が断熱効果を発揮するために、導体1の熱エネルギーが外側非発泡絶縁層3まで効率よく熱伝導せずに、外側ほど焼き付けがしにくくなる。
このような状況の下、本発明者等は、全塗装及び焼き付け終了後に、再度加熱することによって、外側非発泡絶縁層3の硬度を上げると、絶縁電線の性能、例えば耐傷つき性を向上させられることに加えて、モータの小型化にも資する特性を発現することを見出した。すなわち、優れた耐傷つき性を発揮し、かつ、小型化に資するように効率よく圧力による潰れを発生させるためには、外側非発泡絶縁層3が十分な硬さを有していることが好ましく、具体的には外側非発泡絶縁層3の鉛筆硬度が25℃において4H以上であり、さらに好ましくは、25℃において1MPaの圧力がかかったときに外側非発泡絶縁層3がより潰れることが可能となるために5H以上である。熱硬化性樹脂からなる外側非発泡絶縁層の鉛筆硬度が4H未満であると、耐傷つき性に劣るうえ、外側非発泡絶縁層3にかかる応力によって外側非発泡絶縁層3自身が潰れやすくなるため、応力を発泡絶縁層2に効率よく伝達できずに本発明の絶縁電線が収縮しにくくなる。さらに突起部等から応力を受けた場合、応力部分のみが収縮するために絶縁皮膜全体の体積を小さくすることが難しくなる。なお、言うまでもなく外側非発泡絶縁層3の硬度が高いほうが絶縁電線としてコイル成型時の擦れなど、耐摩耗性の能力が向上する。
外側非発泡絶縁層3の鉛筆硬度の上限は9Hである。外側非発泡絶縁層3の鉛筆硬度は、JIS−K 5600−5−4に定められた鉛筆硬度法による硬度(エナメル線)であり、外側非発泡絶縁層3をこの鉛筆硬度法に基づいて測定した値である。この鉛筆硬度は、電動鉛筆引っかき硬度試験機(安田精機製作所社製;No.553−M1(商品名))を用いて測定できる。外側非発泡絶縁層3の鉛筆硬度は、外側非発泡絶縁層3を形成する樹脂の鉛筆硬度と同値であるので、上述の範囲の鉛筆硬度を有する樹脂を採用することによって、調整できる。
外側非発泡絶縁層3は、発泡絶縁層2の外側に熱硬化性樹脂で形成されている。外側非発泡絶縁層3が熱硬化性樹脂で形成されていると、上述の鉛筆硬度を有し、外側非発泡絶縁層3に作用する応力又は荷重を発泡絶縁層2に効果的に伝達できる。外側非発泡絶縁層3を形成する熱硬化性樹脂は、特に制限はなく、発泡絶縁層2で例示した種々の熱硬化性樹脂を用いることができる。特に、外側非発泡絶縁層3が上述の鉛筆硬度を有するように熱硬化性樹脂が選択されるのが好ましく、具体的には、選択される熱硬化性樹脂の鉛筆硬度が上述の範囲の鉛筆硬度を有しているのが好ましい。熱硬化性樹脂は、上述の硬度に加えて、本発明の絶縁電線が好適にはモータに用いられるので耐熱性を有しているのが好ましく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が好適に挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類を使用しても良いし、2種類以上の混合物として使用しても良い。なお、上記に示した樹脂名によって使用される樹脂が限定されるものではなく、先に列挙した樹脂以外にも、それらの樹脂より性能的に優れる樹脂であれば使用可能であるのは勿論である。
外側非発泡絶縁層3には、熱硬化性樹脂の硬度及び耐熱性を損なわない範囲で、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂がブレンドされていても良い。熱可塑性樹脂がブレンドされた場合には、可とう性等、絶縁電線に必要な機械強度等が上昇する傾向があるためである。この場合、外側非発泡絶縁層3における熱可塑性樹脂の含有量は、外側非発泡絶縁層3を形成する樹脂成分中、5〜40質量%であり、5〜20質量%であるのが特に好ましい。なお、これ以上添加した場合には耐溶剤性や熱変形温度が低下することがある。
熱硬化性樹脂にブレンドされる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(mPPE)、ポリアリレート、シンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPS)、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニルサルホン、非晶性熱可塑性ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、上記に示した樹脂名によって使用樹脂が限定されるものではなく、先に列挙した樹脂以外にも、それらの樹脂より性能的に優れる樹脂であれば使用可能であるのは勿論である。
外側非発泡絶縁層3を形成する熱硬化性樹脂(熱可塑性樹脂とのブレンドも含む。以下、同様)は、その貯蔵弾性率が25℃において1GPa以上であることがより好ましい。25℃での貯蔵弾性率が1GPa未満の場合には熱硬化性樹脂が変形する効果は高いが、摩耗特性が低下するためコイル成形する際に樹脂が破けるなど巻線としての機能を発現できなくなることがあり、低負荷の条件にしなければならない等の問題が発生する。外側非発泡絶縁層3に使用される熱硬化性樹脂の貯蔵弾性率は25℃において、2GPa以上であるのがさらに好ましい。この貯蔵弾性率は、高すぎても巻線として必要な可とう性が低下するという問題があるので、上限は、例えば、6GPaであるのがよい。
熱硬化性樹脂の貯蔵弾性率は、粘弾性アナライザー(セイコーインスツルメンツ株式会社製:DMS200(商品名))を用いて測定される値である。具体的には、熱硬化性樹脂で作製された厚み0.2mmの試験片を用いて、昇温速度2℃/min及び周波数10Hzの条件にて、25℃に安定させた状態での貯蔵弾性率の測定値を記録し、この記録値を熱硬化性樹脂の25℃貯蔵弾性率とする。
外側非発泡絶縁層3は、耐部分放電性物質を実質的に含有していない。ここで、耐部分放電性物質は、部分放電劣化を受けにくい絶縁材料で、電線の絶縁皮膜に分散させることで、課電寿命特性を向上させる作用を有する物質を言う。耐部分放電性物質としては、例えば、酸化物(金属もしくは非金属元素の酸化物)、窒化物、ガラス、マイカ等が挙げられ、具体例としては、シリカ、二酸化チタン、アルミナ、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、窒化ガリウム等の微粒子が挙げられる。また、耐部分放電性物質を「実質的に含有していない」とは、耐部分放電性物質を外側非発泡絶縁層3に積極的に含有させないことを意味し、完全に含有していないことに加えて、本発明の目的を損なわない程度の含有量で含有されている場合をも包含する。例えば、本発明の目的を損なわない程度の含有量として、外側非発泡絶縁層3を形成する樹脂成分100質量部に対して30質量部以下の含有量が挙げられる。特に粉体を添加する場合には、分散剤を添加してもよい。
外側非発泡絶縁層3を形成する熱硬化性樹脂に対して、特性に影響を及ぼさない範囲で、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料、相溶化剤、滑剤、強化剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、増粘剤、減粘剤及びエラストマー等の各種添加剤を配合してもよい。
外側非発泡絶縁層3は、上述の厚み比が20:80〜80:20の範囲内となる厚みであれば、特に制限はなく、20〜150μmが実際的であり、好ましい。外側非発泡絶縁層3の厚みは、上述の通り、部分放電開始電圧及び機械特性を考慮して決定され、上述の厚み比を満たす厚みであるのが好ましい。
外側非発泡絶縁層3は、熱硬化性樹脂を含有するワニスを発泡絶縁層2の周囲にキャスト法等の加熱焼付けによる成形方法によって成形することにより、形成することができる。この焼付けは、通常、ワニスを、熱硬化性樹脂が硬化する温度以上の温度で加熱することにより実施される。加熱時間は加熱方式や加熱温度、炉の形状等に左右されるが、例えば、具体的な焼付条件はその使用される、およそ5mの熱風循環式の竪型炉であれば、400〜600℃にて通過時間を好ましくは10〜90秒に設定することにより達成することができる。
本発明においては、このようにして焼き付けられたワニスを、再度加熱して、熱硬化性樹脂、すなわち形成される外側非発泡絶縁層3の硬度を上昇させる。具体的には、焼き付けたワニスを、400〜1000℃の温度に0.25〜600秒加熱する。このようにして外側非発泡絶縁層3を形成する。ワニスの成形は発泡絶縁層2の周囲に直接又は間に別の樹脂層、例えば密着層35を介在させて行うこともできる。このワニスは、熱硬化性樹脂に加えて、例えば、発泡絶縁層2を形成するワニスに添加される各種添加剤又は有機溶剤等を、特性に影響を及ぼさない範囲で含有していてもよい。
密着層35は、所望により、発泡絶縁層2と外側非発泡絶縁層3との間に結晶性樹脂又は非晶性樹脂で形成されている。密着層35と外側非発泡絶縁層3とは同じ樹脂で形成されても異なるもので形成されてもよい。外側非発泡絶縁層3と異なる樹脂として、例えば、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホンなどの上述の熱可塑性樹脂が挙げられる。この密着層35は、例えば、5μm未満の薄い皮膜として発泡絶縁層についで形成される。なお、外側非発泡絶縁層3の成形条件によっては密着層35と外側非発泡絶縁層3とが混ざり合って絶縁電線となった時に正確な膜厚を測定できないこともある。
本発明の絶縁電線は、導体の外周面に発泡絶縁層を形成し、次いで外側非発泡絶縁層を形成することで、製造できる。具体的には、導体1の外周面に、直接又は間接的に、すなわち所望により内側非発泡絶縁層等を介して発泡絶縁層2を形成するワニスを塗布し、焼き付ける過程で発泡させて発泡絶縁層2を形成する工程と、発泡絶縁層の外周面に外側非発泡絶縁層を形成するワニスを塗布焼付けして外側非発泡絶縁層を形成する工程とを実施することで、製造できる。各工程は上述した通りである。
内側非発泡絶縁層は、内側非発泡絶縁層を形成するワニスを導体に塗布し、焼付けることによって、又は樹脂組成物を成形することによって、それぞれ、形成できる。
密着層35は、発泡絶縁層2上に、溶媒に溶解させた非晶性樹脂を溶解させた塗料を塗布し、溶媒を蒸発させることによって、形成できる。なお、密着層を形成するための塗料は発泡絶縁層2又は外側非発泡絶縁層3に使用される塗料と同じ成分が溶剤に含まれていてもよい。
本発明の絶縁電線は、発泡絶縁層を少なくとも1層有することが好ましい。例えば、上述の内部非発泡絶縁層を介して複数有していてもよい。このような発泡絶縁層は、導体上に直接設けてもよいし、他の層を介して導体の外周に設けてもよい。
本発明の絶縁電線において、導体との密着性に優れた、密着改良剤を含む密着層を形成してもよい。密着層は、導体上に密着層用の熱硬化性樹脂ワニスを塗布し、焼き付け硬化を行うことで形成することができる。このような密着層を形成することにより、特に、初期の密着性、すなわち導体上に絶縁皮膜を形成する工程における絶縁皮膜の密着性を高めることができる。
密着層に使用できる熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリベンゾイミダゾール、ポリフェニルスルホン、ポリエステルイミド、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
密着改良剤としては、例えば、シランアルコキシド系密着改良剤(シランカップリング剤)、チタンアルコキシド、チタンアシレート、チタンキレート等チタン系密着改良剤、トリアジン系密着改良剤、イミダゾール系密着改良剤、メラミン系密着改良剤、カルボジイミド系密着改良剤、チオール系密着改良剤等、絶縁電線の密着改良剤として通常用いられるものを用いることができる。
密着改良剤の添加量に特に制限はないが、樹脂固形分に対して0.01質量以上が好ましく、10質量%以下が好ましく、0.01〜10質量%程度が好ましい。また、密着層の厚みに特に制限はないが、1μm以上であることが好ましい。
本発明の絶縁電線は、上記特徴を有し、各種電気機器(電子機器ともいう。)等、耐電圧性や耐熱性を必要とする分野に利用可能である。例えば、本発明の絶縁電線はモータやトランス等に用いられ、高性能の電気機器を構成できる。特に、HV(ハイブリッドカー)やEV(電気自動車)の駆動モータ用の巻線として好適に用いられる。このように、本発明によれば、絶縁電線を備えた、電気機器、特にHV及びEVの駆動モータを提供できる。なお、本発明の絶縁電線がモータコイルに用いられる場合にはモータコイル用絶縁電線とも称する。
本発明の絶縁電線をモータコイルに巻き線として用いたモータとして、本発明の絶縁電線の外径を縮径する方向に圧力をかけ、本発明の絶縁電線の絶縁層の厚さを低減させた状態で、本発明の絶縁電線をステータースロットに巻回させてなるモータが好適である。このように、本発明のモータは、本発明の絶縁電線の末端部以外の巻回された部分が圧潰し、末端部がステータースロットに巻回されずに圧潰しない状態に設けられ、小型であっても高効率を達成できるうえ、部分放電し易い末端部での部分放電を選択的に抑制することができる。このように、本発明のモータが、絶縁電線の末端部での部分放電を選択的に抑制できる理由は、末端部がステータースロットに巻回されずに圧潰しないから、発泡絶縁層2によって低下した比誘電率を維持できることに、ある。一方、本発明のモータが小型であっても高効率を達成できる理由は、本発明の絶縁電線の中央部が圧潰するようにステータースロットに巻回され、ステータースロットにより多数の絶縁電線を巻回すことができることに、ある。
このように、本発明のモータは、部分放電し易い末端部は発泡絶縁層2を圧潰させることなく小さな比誘電率を維持させ、一方、比較的部分放電しにくい中央部は圧潰させてより多く巻回されるように、構成されている。すなわち、本発明は、比誘電率を低減した、圧潰しやすい発泡絶縁層において、部分放電し易い箇所は圧潰させず、部分放電しにくい部分は圧潰させることによって、従来、実現が困難であった、部分放電しにくい小型で高効率のモータを提供できる。
なお、本発明のモータにおいて、絶縁電線の末端部を圧潰させないことでモータを小型化することが可能な構造には、スロット及びティースを有する円筒状のステータコアと、スロットに収容されたステータ巻線とを備える回転電機で構成されたステータ等がある。エナメル線は、コイル構造に成形され、ステータの各ティースに集中巻きされてステータ内に収容され、ステータ外に引き出された両末端は、絶縁層が剥離されて露出した導体で適宜接合されて、高効率のモータが形成される。なお、本発明の絶縁電線は、互いに面接触状態にてコイル形成されるが、その中で互いに平行に並んでいてもよい。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、これは本発明を制限するものではない。なお、下記の例中、組成を示す%は質量%をいう。
実施例及び比較例の絶縁電線を以下のようにして作製した。
(実施例1)
図2に示す絶縁電線を下記のようにして作製した。まず、発泡絶縁層2を形成するのに用いる発泡ポリアミドイミドワニスを以下のように作製した。2LセパラブルフラスコにHI−406(商品名、日立化成社製)を入れ、この溶液に気泡形成剤としてトリエチレングリコールジメチルエーテルとジエチレングリコールジブチルエーテルを添加し、さらにジメチルスルホキシドで希釈することにより得た。
また、内側非発泡絶縁層25を形成するのに用いる内側非発泡絶縁層形成用ポリアミドイミドワニスはHI−406を用いた。このワニスを、溶剤としてNMPを用いて、30質量%溶液とした。
各ワニスはディップコーティングにより塗布し、ダイスによって塗布量を調節した。具体的には、1.0mmφの断面円形の銅製導体1に、調製した内側非発泡絶縁層形成用ポリアミドイミドワニスを塗布し、これを炉温510℃にて焼き付けて厚み4μmの内側非発泡絶縁層25を形成した。次いで、内側非発泡絶縁層25上に調製した発泡ポリアミドイミドワニスを塗布し、これを炉温505℃にて焼き付けて厚み19μmの発泡絶縁層2を形成した。このようにして内側非発泡絶縁層25及び発泡絶縁層2が形成された成型体(下引き線ということもある。)を得た。
次いで、この下引き線に対して、HI−406(商品名、日立化成株式会社製)を炉温510℃にて焼き付けて33μmの厚みとなるように被覆し、その後600℃に加熱した管状炉(光洋サーモシステムズ社製;KTF030N1(商品名))で2秒間再度加熱して外側非発泡絶縁層3を形成した。このようにして、実施例1の絶縁電線を製造した。
(実施例2)
図1に示す絶縁電線を次のようにして作製した。1.0mmφの断面円形の銅製導体1の外周面に実施例1で調製した発泡ポリアミドイミドワニスを直接塗布し、これを炉温510℃にて焼き付けて厚み20μmの発泡絶縁層2が形成された成型体(下引き線)を得た。次いで、この下引き線に対して、80μmの厚みとなるようにHI−406(商品名、日立化成株式会社製)を炉温510℃にて焼き付けて被覆し、その後600℃に加熱した管状炉(光洋サーモシステムズ社製;KTF030N1(商品名))で20秒間再度加熱して外側非発泡絶縁層3を形成した。このようにして、実施例2の絶縁電線を製造した。
(実施例3)
図5に示す絶縁電線を下記のようにして作成した。まず、発泡絶縁層2を形成するのに用いる発泡ポリイミドワニスを以下のように作製した。2Lセパラブルフラスコに、Uイミド(樹脂成分25質量%のNMP溶液)(ユニチカ社製、商品名)を入れ、溶剤としてNMP、DMAC及びテトラエチレングリコールジメチルエーテルを添加することにより溶液とした。
内側非発泡絶縁層25を形成するのに用いる内側非発泡絶縁層形成用ポリイミドワニスはUイミドを用い、その樹脂に溶剤としてDMACを加えて調製した。
1.8×3.4mm(厚み×幅)で四隅の面取り半径rが0.3mmである平角の銅製導体1の外周面に内側非発泡絶縁層形成用ポリイミドワニスを塗布し、これを炉温520℃にて焼き付けて厚み4μmの内側非発泡絶縁層25を形成した。次いで、内側非発泡絶縁層25上に調製した発泡ポリイミドワニスを塗布し、これを炉温520℃にて焼き付けて厚み60μmの発泡絶縁層2を形成した。このようにして内側非発泡絶縁層25及び発泡絶縁層2が形成された成型体(下引き線)を得た。
次いで、この下引き線に対して、ポリイミドワニス(Uイミド)を炉温505℃にて焼き付けて30μmの厚みとなるように被覆し、その後700℃に加熱した管状炉(光洋サーモシステムズ社製;KTF030N1)(商品名))で20秒間再度加熱して外側非発泡絶縁層3を形成した。このようにして、実施例3の絶縁電線を製造した。
(実施例4)
図6に示す絶縁電線を下記のようにして作製した。まず、発泡絶縁層2を形成するのに用いる発泡ポリエステルイミドワニス(第1表中、PEsI)を以下のように作製した。2Lセパラブルフラスコに、ポリエステルイミドワニス(Neoheat8600A;東特塗料社製、商品名)を入れ、溶剤としてNMP、DMAC及びトリエチレングリコールジメチルエーテルを添加することにより得た。
内側非発泡絶縁層25を形成するのに用いる内側非発泡絶縁層形成用ポリエステルイミドワニスはNeoheat8600Aを用い、その樹脂に溶剤としてDMACを加えて30%溶液とした。
1.8×3.4mm(厚み×幅)で四隅の面取り半径rが0.3mmである平角の銅製導体1の外周面に内側非発泡絶縁層形成用ポリエステルイミドワニスを塗布し、これを炉温500℃にて焼き付けて厚み3μmの内側非発泡絶縁層25を形成した。次いで、内側非発泡絶縁層25上に調製した発泡ポリエステルイミドワニスを塗布し、これを炉温520℃にて焼き付けて膜厚30μmの発泡絶縁層2を形成した。さらにPPSU20g(レーデルR(商品名)、ソルベイ社製)をNMP100gに溶解させた液体を塗布して520℃にて焼き付けた。このようにして内側非発泡絶縁層25、発泡絶縁層2及び密着層35(厚み3μm)が形成された成型体(下引き線)を得た。
次いで、この下引き線に対して、90μmの厚みとなるようにHI−406(商品名、日立化成社製)を炉温520℃にて焼き付けて被覆し、その後600℃に加熱した管状炉(光洋サーモシステムズ社製;KTF030N1(商品名))で20秒間再度加熱して外側非発泡絶縁層3を形成した。このようにして、実施例4の絶縁電線を製造した。
(実施例5)
図6に示す絶縁電線を次のようにして作製した。1.8×3.4mm(厚み×幅)で四隅の面取り半径rが0.3mmである平角の銅製導体1の外周面に実施例1で調製した内側非発泡絶縁層形成用ポリアミドイミドワニスを塗布し、これを炉温520℃にて焼き付けて厚み3μmの内側非発泡絶縁層25を形成した。次いで、内側非発泡絶縁層25上に発泡ポリエステルワニスLITON 2100S(商品名、東特塗料社製、樹脂成分40質量%溶液)を塗布し、これを炉温505℃にて焼き付けて厚み33μmの発泡絶縁層2を形成した。さらに、ポリエーテルイミド(PEI、ウルテム(商品名)、SABIC社製)をNMPに溶解させた液体を塗布して520℃にて焼き付けた。このようにして内側非発泡絶縁層25、発泡絶縁層2及び密着層35(厚み3μm)が形成された成型体(下引き線ということもある。)を得た。
次いで、この下引き線に対して、実施例3で調製したポリイミドワニス(Uイミド)を炉温520℃にて焼き付けて30μmの厚みとなるように被覆し、その後700℃に加熱した管状炉(光洋サーモシステムズ社製;KTF030N1)(商品名))で20秒間再度加熱して外側非発泡絶縁層3を形成した。このようにして、実施例5の絶縁電線を製造した。
(実施例6)
図1に示す絶縁電線を次のようにして作製した。1.0mmφの断面円形の銅製導体1の外周面に実施例1で調製した発泡ポリアミドイミドワニスを直接塗布し、これを炉温530℃にて焼き付けて厚み20μmの発泡絶縁層2が形成された成型体(下引き線)を得た。
一方、外側非発泡絶縁層3を形成するのに用いるワニスを以下のように作製した。すなわち、ポリアミドイミド(HI−406)と、熱可塑性樹脂であるポリカーボネート(PC、ユーピロン(商品名)、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)とを混合し、この混合物1000gに対して溶剤としてNMPを用いて溶液とした。
次いで、作製した下引き線に対して、調製した溶液を塗布し、炉温450℃にて焼き付けて30μmの厚みとなるように被覆し、その後400℃に加熱した管状炉(光洋サーモシステムズ社製;KTF030N1)(商品名))で1秒間再度加熱して外側非発泡絶縁層3を形成した。このようにして、実施例6の絶縁電線を製造した。
(実施例7)
図2に示す絶縁電線を次のようにして作製した。1.0mmφの断面円形の銅製導体1の外周面に実施例1で調製した内側非発泡絶縁層形成用ポリアミドイミドワニスを塗布し、これを炉温510℃にて焼き付けて厚み3μmの内側非発泡絶縁層25を形成した。次いで、内側非発泡絶縁層25上に実施例1で調製した発泡ポリアミドイミドワニスを直接塗布し、これを炉温530℃にて焼き付けて厚み19μmの発泡絶縁層2が形成された成型体(下引き線)を得た。次いで、この下引き線に対して、20μmの厚みとなるようにHI−406(商品名、日立化成社製)を炉温530℃にて焼き付けて被覆し、その後600℃に加熱した管状炉(光洋サーモシステムズ社製;KTF030N1(商品名))で20秒間再度加熱して外側非発泡絶縁層3を形成した。このようにして、実施例7の絶縁電線を製造した。
(比較例1)
発泡絶縁層の膜厚を80μmに変更すると共に外側非発泡絶縁層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例1の絶縁電線を製造した。
(比較例2)
実施例1と同様にして内側非発泡絶縁層25及び厚み5μmの発泡絶縁層が形成された成型体(下引き線)を得た。次いで、この下引き線に対してポリイミドワニス(Uイミド)を用いて実施例3と同様にして厚み100μmの外側非発泡絶縁層を形成した。このようにして、比較例2の絶縁電線を製造した。
(比較例3)
外側非発泡絶縁層を形成するのに熱可塑性樹脂であるポリフェニレンスルフィド(PPS、DIC製、商品名:FZ−2100)を用いた。
実施例2と同様にして内側非発泡絶縁層25及び厚み80μmの発泡絶縁層が形成された成型体(下引き線)を得た。次いで、この下引き線に対して上記PPS樹脂をダイス温度320℃、樹脂圧30MPaで20μmの厚さとなるように押出機により被覆して外側非発泡絶縁層を形成した。このようにして、比較例3の絶縁電線を製造した。
(比較例4)
実施例1と同様にして内側非発泡絶縁層及び厚み100μmの発泡絶縁層を導体に形成し、さらに、発泡絶縁層上にPPSU20g(レーデルR(商品名)、ソルベイ社製)をNMP100gに溶解させた液体を塗布して510℃にて焼き付けた。このようにして内側非発泡絶縁層、発泡絶縁層及び密着層が形成された成型体(下引き線)を得た。次いで、この下引き線に対して、HI−406(商品名、日立化成株式会社製)を炉温510℃にて焼き付けて3μmの厚みとなるように被覆して外側非発泡絶縁層3を形成した。このようにして、比較例4の絶縁電線を製造した。
(比較例5)
発泡絶縁層の厚みを5μmに変更したこと以外は実施例4と同様にして比較例5の絶縁電線を製造した。
(比較例6)
内側非発泡絶縁層の厚みを5μmに変更し、密着層を設けず、発泡絶縁層の厚みを30μmに変更し、さらに発泡絶縁層の空隙率を82%にしたこと以外は実施例4と同様にして比較例6の絶縁電線を製造した。
実施例1〜7及び比較例1〜6で得られた絶縁電線の物性及び評価試験結果を第1表に示した。評価方法は以下の通りである。
[空隙率、厚み、厚み比、平均気孔径、ガラス転移温度、独立気泡の割合]
実施例及び比較例における各層の厚み、発泡絶縁層2の空隙率、発泡絶縁層2を形成する熱硬化性樹脂のガラス転移温度(第1表においてTgと表記する。)、発泡絶縁層2の独立気泡の割合、外側非発泡絶縁層3を形成する樹脂のガラス転移温度(第1表においてTgと表記する。)を上記のようにして測定した。
また、発泡絶縁層2の平均気泡径は、発泡絶縁層2の厚み方向断面の走査電子顕微鏡(SEM)像において、20個の気泡を無作為に選び、画像寸法計測ソフト(三谷商事社製WinROOF)を用い、径測定モードにて平均の気泡径を算出し、得られた値を気泡径とした。
さらに、発泡絶縁層2の厚みと外側非発泡絶縁層3の厚みとの比を算出した。
[厚み変形率の測定]
実施例及び比較例における厚み変形率は、マイクロスコープ(キーエンス社製、VHX−1000)を用いて観察した。圧力をかける前の状態はエポキシ樹脂に絶縁電線を包埋させ、絶縁電線の断面が観察できるように線方向に対して垂直に研磨した。絶縁電線に圧力をかける場合には2枚のステンレス板(SUS板ともいう)で万能材料試験器(島津製作所社製、商品名:オートグラフ AGS−H)にて絶縁電線を1MPaで圧縮し、その状態を保ったままSUS板にエポキシ樹脂を流し込んで固化させ、SUS板、絶縁電線及びエポキシ樹脂の硬化物からなるサンプルを得た。圧力をかける前と同様に断面をマイクロスコープで測定することで、上述の式から、圧縮前後の厚み変形率を算出した。
[部分放電開始電圧]
厚み変形率の測定で作製した、圧力をかけた状態のサンプルを用いて、SUS板の片方に接地電極を、導体1に高圧電極を配線し、部分放電開始電圧装置(菊水電子社製、KPD2050)を用いて、正弦波50Hzの交流電圧を印加して、連続的に昇圧させながら放電電荷量が10pCのときの電圧(実効値)を、測定した。測定温度は25℃、50%RHとした。部分放電開始電圧は、絶縁皮膜の厚み(第1表の「合計厚み」)によるが、絶縁皮膜の厚みを50μmとしたときの下記式による換算値が600V以上であれば部分放電が発生しにくいといえる。したがって、評価は、この換算値が650V以上であった場合を「◎」、600〜649Vであった場合を「○」、600V未満であった場合を「△」とした。
換算式:50μmとしたときの換算にはダーキンの下記実験式によって行った。
Figure 0005972375
上述の実験式において、Vは放電部分放電開始電圧、tは絶縁層全体の厚さ、εは絶縁層全体の比誘電率を表す。
「絶縁層全体の比誘電率」は、絶縁電線の静電容量と、導体及び絶縁電線の外径から、下記式によって、算出された値をいう。
式 : εr=Cp・Log(b/a)/(2πε
ここで、εrは絶縁層全体の比誘電率、Cpは単位長さ当りの静電容量[pF/m]、aは導体の外径、bは絶縁電線の外径、εは真空の誘電率(8.855×10−12[F/m])を、それぞれ、表す。
絶縁電線の静電容量は、LCRハイテスタ(日置電機社製、型式3532−50(商品名:LCRハイテスタ))、及び、常温(25℃)の乾燥空気中に24時間以上放置した絶縁電線を用いて、測定温度を25℃及び250℃に設定し、所定の温度に設定した恒温槽に絶縁電線を入れて温度が一定になった時点で測定した。
なお、絶縁電線の断面が円形ではない場合、例えば、矩形である場合には、「絶縁層全体の比誘電率」は、絶縁層全体の静電容量Cpが平坦部の静電容量Cfとコーナー部の静電容量Ceの合成(Cp=Cf+Ce)であることを利用して算出できる。具体的には、導体の直線部の長辺と短辺の長さをL1、L2、導体コーナーの曲率半径R、絶縁層全体の厚さTとすると、平坦部の静電容量Cf及びコーナー部の静電容量Ceは下記式で表される。これら式と、実測した絶縁電線の静電容量及び絶縁層全体の静電容量Cp(Cf+Ce)とからεrを算出した。
Cf=(εr/ε)×2×(L1+L2)/T
Ce=(εr/ε)×2πε/Log{(R+T)/R}
[鉛筆硬度]
製造した各絶縁電線の外側非発泡絶縁層に軸方向に切り込みを入れて外側非発泡絶縁層のみを剥離した。剥離した外側非発泡絶縁層を試験片として、JIS−K 5600−5−4に定められた鉛筆硬度法による硬度測定(エナメル線)を実施した。鉛筆硬度測定器は電動鉛筆引っかき硬度試験機(安田精機製作所社製;No.553−M1)を用いた。なお、鉛筆硬度は絶縁電線の耐傷つき性の指標であり、この鉛筆硬度が4H以上であると耐傷つき性に優れることが確認されている。
[可とう性]
製造した各絶縁電線の可とう性を次のようにして評価した。すなわち、導線の断面形状が円形である場合は絶縁電線の直径と同寸の外径を有する円柱体(自己径巻き)に巻きつけ、一方、導線の断面形状が矩形である場合は絶縁電線の短辺長さと同寸の外径を有する円柱体に巻きつけ、巻き付けられた絶縁電線の外観をマイクロスコープ(キーエンス社製:VHX−2000(商品名))で観察した。評価は、外観に全く変化が見られなかった場合を「◎」、絶縁皮膜の色が変化し、しわが曲げた外側部分に生じるものの、実用特性に影響がない場合を「○」、色の変化を生じ、しわが皮膜の全周で確認されるものの、実用性に影響がない場合を「△」、絶縁皮膜に亀裂が生じ、又は、導体が露出した場合を「×」とした。
[総合評価]
絶縁電線として必要な部分放電開始電圧、可とう性と共に、今回解決する課題である導体占積率の向上及び耐傷つき性などモータの効率向上について重要な項目についての総合評価を実施した。モータとして十分に使用できる望ましいレベルに達していたものを「○」、評価のいずれかに「△」の評価がなされ、本発明の課題を解決することはできなかったが、実用性には影響がない場合を「△」、上述の項目のいずれかに欠陥又は問題(×評価)があったものを「×」とした。
Figure 0005972375
第1表から分かるように、断面が円形又は矩形の導体と、15%以上50%以下の厚み変形率を有する発泡絶縁層2と、鉛筆硬度が4H以上である外側非発泡絶縁層3とを有し、発泡絶縁層2と外側非発泡絶縁層3との厚み比が20:80〜80:20の範囲内にある実施例1〜7の絶縁電線は、いずれも、部分放電開始電圧が高く、しかも規定圧力環境の潰れによる発泡絶縁層2の厚み減少率も大きく、モータ成形した場合に絶縁電線の断面積中の導体の断面積割合を相対的に大きくできるうえ、耐傷つき性にも優れていた。したがって、本発明の絶縁電線は、モータコイルの小型化及び高効率化に寄与できることが分かる。
一方、外側非発泡絶縁層3を有しない比較例1は、部分放電開始電圧は高いものの、外膜がないために可とう性及び耐傷つき性を含む絶縁電線として必要な要件を満たすことができない。
また、発泡絶縁層2の厚みが小さく、発泡絶縁層2と外側非発泡絶縁層3との厚み比が20:80〜80:20の範囲内にない比較例2及び比較例5は、導体占積率を小さくできないうえ、絶縁層の低誘電率化を達成することができず、部分放電開始電圧が小さかった。また、発泡絶縁層2の厚みが大きく、発泡絶縁層2と外側非発泡絶縁層3との厚み比が20:80〜80:20の範囲内にない比較例4は、外側非発泡絶縁層の硬度が小さく、導体占積率を小さくできないうえ耐傷つき性をも満たすことができなかった。さらに、外側非発泡絶縁層を熱可塑性樹脂のみで形成した比較例3は、外側非発泡絶縁層の硬度が小さく、導体占積率を小さくできないうえ耐傷つき性も満たすことができなかった。また、厚み変形率が55%である比較例6は、可とう性に劣っていた。
このように、比較例1〜6の絶縁電線は、いずれも、部分放電開始電圧及び耐傷つき性の改善、又は、モータコイルの小型化若しくは高効率化を、実現できないことが分かる。
(実施例8)
実施例1の絶縁電線を用いてモータを製造した。すなわち、巻線機でコイルをステータースロットに巻き付けてスロットに挿入することによって、モータを製造した。なお、絶縁電線の末端部は、スロット外にあり、圧潰していない。このようにして製造されたモータは、絶縁電線の末端部での部分放電が抑制され、小型で高効率であることを確認した。
実施例1及び7の絶縁電線は内側非発泡絶縁層25、発泡絶縁層2及び外側非発泡絶縁層3を有する図2に示される断面を有している。実施例2及び6の絶縁電線は発泡絶縁層2及び外側非発泡絶縁層3を有する図1に示される断面を有している。実施例3の絶縁電線は内側非発泡絶縁層25、発泡絶縁層2及び外側非発泡絶縁層3を有する図5に示される断面を有している。実施例4及び5の絶縁電線は内側非発泡絶縁層25、発泡絶縁層2、密着層35及び外側非発泡絶縁層3を有する図6に示される断面を有している。本発明の絶縁電線は、これらに限定されず、発泡絶縁層及び外側非発泡絶縁層を有する種々の構成を採用でき、例えば、図1〜図6にそれぞれ示される絶縁電線において、発泡絶縁層を厚み方向に複数層に分割する少なくとも1層の内部非発泡絶縁層を有していてもよい。この内部非発泡絶縁層は、規制される位置以外は内側非発泡絶縁層25と基本的に同様である。
本発明は、上記の実施態様に限定されることはなく、本発明の技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。
本発明は、自動車をはじめ、各種電気・電子機器等、耐電圧性や耐熱性を必要とする分野に利用可能である。本発明の絶縁電線はモータやトランス等に用い高性能の電気・電子機器を提供できる。特に、本発明の絶縁電線は、HVやEVの駆動モータ用の巻線として好適である。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2013年2月7日に日本国で特許出願された特願2013−022741に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
1 導体
2 (発泡)絶縁層
3 外側非発泡絶縁層
25 内側非発泡絶縁層
35 密着層

Claims (6)

  1. 導体と、該導体の外周面を直接又は間接的に被覆する、発泡熱硬化性樹脂を含む絶縁層と、該絶縁層の外周面を直接又は間接的に被覆する外側非発泡絶縁層とを備え、
    25℃において1MPaの圧力をかけた際の前記絶縁層の厚み変形率が15%以上50%以下であり、
    前記外側非発泡絶縁層の鉛筆硬度が4H以上であり、
    前記絶縁層の厚みと前記外側非発泡絶縁層の厚みとの比が20:80〜80:20である絶縁電線。
  2. 前記熱硬化性樹脂のガラス転移温度が150℃以上である請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記絶縁層が、独立気泡を含んでいる請求項1又は2に記載の絶縁電線。
  4. 前記絶縁層の空隙率が10%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  5. モータコイル用の巻線として用いられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁電線を、該絶縁電線の外径を縮径する方向に圧力をかけ、前記絶縁層の厚さを低減させた状態で、ステータースロットに巻回させてなるモータ。
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