JP5971866B2 - シンチレータプレート、放射線計測装置、放射線イメージング装置およびシンチレータプレート製造方法 - Google Patents

シンチレータプレート、放射線計測装置、放射線イメージング装置およびシンチレータプレート製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5971866B2
JP5971866B2 JP2013507801A JP2013507801A JP5971866B2 JP 5971866 B2 JP5971866 B2 JP 5971866B2 JP 2013507801 A JP2013507801 A JP 2013507801A JP 2013507801 A JP2013507801 A JP 2013507801A JP 5971866 B2 JP5971866 B2 JP 5971866B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scintillator
radiation
powder
layer
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013507801A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2012133796A1 (ja
Inventor
金子 純一
純一 金子
幹雄 樋口
幹雄 樋口
毅紘 嶋岡
毅紘 嶋岡
陽一 坪田
陽一 坪田
賢二 井崎
賢二 井崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hokkaido University NUC
Japan Atomic Energy Agency
Original Assignee
Hokkaido University NUC
Japan Atomic Energy Agency
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hokkaido University NUC, Japan Atomic Energy Agency filed Critical Hokkaido University NUC
Publication of JPWO2012133796A1 publication Critical patent/JPWO2012133796A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5971866B2 publication Critical patent/JP5971866B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01TMEASUREMENT OF NUCLEAR OR X-RADIATION
    • G01T1/00Measuring X-radiation, gamma radiation, corpuscular radiation, or cosmic radiation
    • G01T1/16Measuring radiation intensity
    • G01T1/20Measuring radiation intensity with scintillation detectors
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01TMEASUREMENT OF NUCLEAR OR X-RADIATION
    • G01T3/00Measuring neutron radiation
    • G01T3/06Measuring neutron radiation with scintillation detectors

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • High Energy & Nuclear Physics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Measurement Of Radiation (AREA)
  • Conversion Of X-Rays Into Visible Images (AREA)

Description

本発明は、放射線によって励起されてシンチレーション光を発するシンチレータプレート、放射線計測装置、放射線イメージング装置およびシンチレータプレート製造方法に関するものである。
従来、プルトニウム汚染を監視するためにダストモニターのα線を測定する装置として非常に優れたエネルギー分解能を有するSi半導体検出器が幅広く使用されている。しかし、Si半導体検出器は、空気中の水分によって電極が腐食し易いという問題がある。また、電気ノイズを拾い易く誤報を発令するトラブルが発生していた。
そこで、本願発明者である井崎らは、上述のようなSi半導体検出器の問題点を改善すべく、特許第4061367号公報において、α線の測定装置として、ZnS(Ag)シンチレータの粒径を5μmとし、厚さ10mg/cmとなるように多層状に満遍なく充填させたZnS(Ag)シンチレーション検出器を提案している(特許文献1)。
また、シンチレーション検出器は、核医学画像診断法における陽電子放射断層撮影(PET:Positron Emission Tomography)装置等に用いられている。
例えば、特開2006−199727号公報では、陽電子放射断層撮影装置に用いられるX線の検出器として、セリウム活性化ランタノイドケイ酸塩の単結晶からなるシンチレータを用いた放射線検出器が提案されている(特許文献2)。
特許第4061367号公報 特開2006−199727号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、α線により発光したシンチレーション光がシンチレータ粒子の表面において反射や拡散を繰り返し、シンチレーション光が当該シンチレーション光を受信する光電子増倍管等に十分に伝わらないという問題があった。そのため、Si半導体検出器と比較した場合、α線に対する波高弁別性能が低く、改善の余地があった。すなわち、特許文献1に記載された発明では、α線の検出は可能であるが、プルトニウムやラドン子孫核種等の複数の核種から発生した、それぞれエネルギーの異なるα線同士を弁別できるほどのエネルギー弁別性能を有していなかった。
また、特許文献2に記載された発明のような、シンチレータの単結晶を用いる放射線検出器の場合、単結晶の大型化には限界があるし、単結晶から厚さの薄い大面積のシンチレータプレートを作製することは難しく、コスト的にも実用化できる状況にない。また、単結晶によるシンチレータは、上述の通り、大面積を維持したまま薄くすることが困難であることから、γ線の影響を受けやすいという問題もあった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、放射線の検出精度を向上させるとともに、製造コストを抑えつつ実用的な大面積化が可能なシンチレータプレートおよびその製造方法を提供するとともに、これを利用した放射線計測装置ならびに放射線イメージング装置を提供することを目的としている。
本発明に係るシンチレータプレートは、入射する放射線により励起されてシンチレーション光を発するシンチレータを有するシンチレータプレートであって、測定対象となる前記放射線がα線、電子線およびイオンビームのいずれかである場合、前記シンチレータ内における前記放射線の飛程以上の平均粒径からなるシンチレータ粉末を敷き詰めたシンチレータ層を有する。
また、本発明の一態様として、前記シンチレータ層の片面または両面を研磨することにより前記シンチレータ層の厚さを20μm以上100μm以下に構成してもよい。
本発明に係るシンチレータプレートは、入射する放射線により励起されてシンチレーション光を発するシンチレータを有するシンチレータプレートであって、測定対象となる前記放射線が中性子線である場合、前記シンチレータ内における前記中性子線の平均自由行程以上の平均粒径からなるシンチレータ粉末を敷き詰めたシンチレータ層を有する。
また、本発明の一態様として、前記シンチレータ層の片面または両面を研磨することにより前記シンチレータ層の厚さを30μm以上150μm以下に構成してもよい。
本発明に係るシンチレータプレートは、入射する放射線により励起されてシンチレーション光を発するシンチレータを有するシンチレータプレートであって、測定対象となる前記放射線がX線である場合、300μmより大きい平均粒径からなるシンチレータ粉末を敷き詰めたシンチレータ層を有しており、このシンチレータ層の片面または両面を研磨することにより前記シンチレータ層の厚さを300μm以上500μm以下に構成されている。
また、本発明の一態様として、前記シンチレータ層が、前記シンチレータ粉末を一段で敷き詰めてなる単層状に形成されている構成が好ましい。
さらに、本発明の一態様として、単層状に敷き詰められた前記シンチレータ粉末とこれに隣接する他の前記シンチレータ粉末との間に生じる隙間には、前記放射線の種類によって定められる前記シンチレータ粉末の平均粒径以上の平均粒径を有する前記シンチレータ粉末が埋設されて前記シンチレータ層が構成されているとともに、このシンチレータ層の片面または両面を研磨されてなる構成でもよい。
さらにまた、本発明の一態様として、前記シンチレータが、GPSシンチレータ、ZnS(Ag)シンチレータ、YAPシンチレータおよびCsIシンチレータのいずれかから選択されてもよい。
また、本発明に係る放射線計測装置は、前記シンチレータプレートと、このシンチレータプレートから発せられるシンチレーション光を電気的信号に変換する信号変換部と、測定対象となる放射線の種類に応じて設定される前記電気的信号の強度の上限値および下限値を基準として前記測定対象となる放射線と測定対象外の放射線とを弁別する放射線弁別部と、弁別された前記測定対象である放射線の電気的信号を計数する計数部と、前記計数部により計測された数値と所定の閾値とを比較して測定対象の放射線の有無を判別する放射線判別部とを有する。
また、本発明に係る放射線イメージング装置は、前記シンチレータプレートを備えている。
また、本発明に係るシンチレータプレート製造方法は、粘着性物質の表面に所定の平均粒径のシンチレータ粉末を敷き詰めて接着することによりシンチレータ層を形成するシンチレータ層形成工程と、前記シンチレータ層の片面または両面を当該シンチレータ層が所定の厚さになるまで研磨するシンチレータ層研磨工程とを有する。
さらに、本発明の一態様として、前記シンチレータ層形成工程において、前記粘着性物質の表面に接着されていないシンチレータ粉末を除去するとともに、接着されている各前記シンチレータ粉末の隙間に所定の平均粒径の前記シンチレータ粉末を敷き詰める工程を少なくとも一回以上繰り返すようにしてもよい。
さらにまた、本発明の一態様として、前記シンチレータ層形成工程前に、微粉粒子が付着しているシンチレータ粉末を液体に浸して攪拌し、所定の時間経過後に前記微粉粒子上澄みを除去することにより使用するシンチレータ粉末から前記微粉粒子を除去する微粉粒子除去工程を有してもよい。
本発明によれば、放射線の検出精度を向上させるとともに、シンチレータプレートの製造コストを抑えつつ実用的な大面積化を可能にすることができる。
本発明に係るシンチレータプレートの一実施形態を示す拡大断面図である。 本実施形態における単層状としたシンチレータ層を示す(a)平面図および(b)A−A断面図である。 本実施形態における単層状の各シンチレータ粉末の隙間を他のシンチレータ粉末で敷き詰めたシンチレータ層を示す(a)平面図および(b)A−A断面図である。 単層状の各シンチレータ粉末の隙間を所定の平均粒径を有する他のシンチレータ粉末で埋めたシンチレータ層を示す拡大断面図である。 本実施形態のGPSシンチレータ内のα線の飛程を示すグラフである。 本実施形態のGPSシンチレータにおけるシンチレータ層の厚さとエネルギーの吸収とを示すグラフである。 本実施形態のシンチレータプレートの製造方法の各工程を示す模式図である。 本実施形態のシンチレータプレートの製造方法の各工程の手順を示すフローチャートである。 本願発明に係る放射線計測装置の一実施形態を示すブロック図である。 本願発明に係る放射線イメージング装置の一実施形態を示すブロック図である。 本実施例1において作成したGPSシンチレータの写真である。 本実施例1において、ZnSシンチレータ、GPSシンチレータの単結晶および本発明に係るGPSシンチレータプレートを用いてα線の計測を行った計測結果を示すグラフである。 本実施例1において、平均粒径の異なるGPSシンチレータプレートを用いてα線の計測を行った計測結果を示すグラフである。 本実施例1におけるGPSシンチレータのγ線の計測結果と、GPSシンチレータの厚さとの関係を示すグラフである。 本実施例1において、本発明に係るGPSシンチレータプレートを用いてα線として241Am(アメリシウム)線源とγ線として137Cs(セシウム)線源とを計測した計測結果を示すグラフである。 本実施例2における各シンチレータプレートにより計測されたα線の集光強度と計数の関係を示すグラフである。 本実施例2における各シンチレータプレートにより計測されたα線の集光強度と計数との関係に基づいて求められたピークトータル比と分解能の逆数の関係を示すグラフである。 本実施例2におけるピークトータル比および分解能の逆数の算出方法を示す模式図である。 本実施例2における試験片d)の研磨面の光学顕微鏡写真である。 本実施例2における試験片e)の研磨面の光学顕微鏡写真である。 本実施例2における試験片i)の研磨面の光学顕微鏡写真である。 本実施例3における放射線イメージング装置を示す写真である。 本実施例3における放射線イメージング装置により計測した放射能強度分布を示す3次元グラフである。 本実施例4における測定試料の設置状態を示す写真である。 本実施例4において、従来品のZnSシンチレータにより計測された中性子の分布を示す放射線イメージング装置の出力画像である。 本実施例4において、従来品のLi6ガラスシンチレータにより計測された中性子の分布の一部を抜き出した放射線イメージング装置の出力画像である。 本実施例4において、従来品のZnSシンチレータにより計測された中性子の分布の一部を抜き出した放射線イメージング装置の出力画像である。 本実施例4において、本発明に係るGPSシンチレータにより計測された中性子の分布の一部を抜き出した放射線イメージング装置の出力画像である。
以下、本発明に係るシンチレータプレート、放射線計測装置、放射線イメージング装置およびシンチレータプレート製造方法の一実施形態について図面を用いて説明する。
まず、シンチレータプレートの一実施形態について説明する。図1は、本実施形態のシンチレータプレート1を示す断面拡大図である。本実施形態のシンチレータプレート1は、放射線により励起するシンチレータ2からなるシンチレータ粉末21と、このシンチレータ粉末21を敷き詰めて形成されるシンチレータ層22と、このシンチレータ層22を固定する基板3とから構成されている。また、本実施形態では、シンチレータ粉末21を基板3に固定して前記シンチレータ層22を形成するために適当な接着剤4が使用されている。
前記シンチレータ2は、入射する放射線により励起されてシンチレーション光を発する物質からなる。例えば、GdSiシンチレータ(GPSシンチレータ)、ZnS(Ag)シンチレータ、YAPシンチレータ、CsIシンチレータ等が挙げられる。
前記GPSシンチレータは、GdSiからなる物質であり、活性物質としてCeを添加する場合がある。本実施形態では、GdSiO、CeOおよびSiOの粉末をTSSG(Top seeded solution growth)法を用いて結晶化させることにより製造している。なお、GPSシンチレータの製造方法は、TSSG法に限定されるものではなく、固相反応法やゾル・ゲル法等から適宜選択することができる。
また、本実施形態では、このシンチレータ2を粉末状にして使用される。そのシンチレータ粉末21の平均粒径dは、シンチレータ2の種類と測定対象となる放射線の種類とに基づいて、以下に説明するように所定の大きさが選択される。
例えば、測定対象となる放射線が電荷を有する荷電粒子であって、シンチレータ2に入射することでその荷電粒子によって励起してシンチレーション光を生じさせる直接電離放射線である場合、シンチレータ粉末21の平均粒径dは、シンチレーション光の発生効率を上げるため、当該シンチレータ2内における飛程以上に形成されていることが好ましい。直接電離放射線の例としては、α線、電子線、イオンビーム等がある。本発明における電子線は、β線を含む概念である。なお、飛程とは、直接電離を起こさせることのできる電荷を備えたα線等の放射線が、ある物質に入射した場合に進むことのできる距離のことであって、本実施形態では、シンチレータ2の種類と放射線の種類との組み合わせにより定まる値である。したがって、直接電離放射線を測定対象とする場合には、シンチレータ粉末21の平均粒径dを飛程以上に形成してシンチレーション光を発生させる確率を高めることが好ましい。また、測定対象となる放射線が電子である場合は、正面方向に飛んだ投影飛程を用いることが好ましい。
一方、放射線が電荷を備えた直接電離放射線ではなく、間接電離放射線の場合、つまり、シンチレータ2に入射することで前記放射線がシンチレータ2内での原子もしくは原子核に衝突等する相互作用により荷電粒子を発し、その荷電粒子により励起されたシンチレーション光を生じさせる間接電離放射線の場合、シンチレータ粉末21の平均粒径dは、シンチレーション光の発生効率を上げるため、シンチレータ2内における前記間接電離放射線の平均自由行程以上に形成されることが好ましい。間接電離放射線の例としては、中性子線、γ線等がある。平均自由行程とは、電荷を備えない中性子線等の間接電離放射線が、ある物質に入射した場合に相互作用により反応を起こすまでの平均距離のことであり、本実施形態ではシンチレータ2の種類と放射線の種類とにより定まる値である。したがって、間接電離放射線を測定対象とする場合には、シンチレータ粉末21の平均粒径dを少なくとも平均自由行程以上に形成してシンチレーション光を発生させる確率を高めることが好ましい。
なお、所定の平均粒径を備えたシンチレータ粉末21の選別方法は、特に限定されるものではなく、例えば、篩を用いる方法や粒径の違いによる沈殿速度の差を用いる方法等から適宜選択される。また、後述の微粉粒子除去行程で説明するように、選別後にリン酸液やアルコール、または水等の液体に浸して攪拌し、シンチレータ粉末21と、このシンチレータ粉末21に付着したシンチレータ2の微粉粒子をそれぞれ拡散させて、その上澄みを捨てることで、シンチレータ粉末21から前記微粉粒子を除去してもよい。
シンチレータ層22は、シンチレータ粉末21を敷き詰めて接着材等により固定されることにより形成される。このとき、シンチレータ層22は、シンチレータ粉末21を複数段に重ねて多段状(多層状)に形成してもよいが、後述するようにシンチレータ層22の所定の最大厚さよりも薄くする必要がある。さらに、多段状(多層状)にした場合、発光したシンチレーション光が粉末間で反射や拡散を生じてしまうため、これを抑制すべく、図2に示すように、前記シンチレータ粉末21を一段で敷き詰めた単層状に形成することが好ましい。但し、この単層状のシンチレータ層22は本発明において厳密に解する必要はなく、例えば隣接するシンチレータ粉末21間の隙間を埋めるようにして他のシンチレータ粉末21が積載されていたとしても、所望の作用効果を生じる限り単層状に形成されているものに含まれる。
また、シンチレータ層22は、シンチレータ粉末21の充填率を高める方が検出精度の点からより好ましい。よって、所定の平均粒径dのシンチレータ粉末21を敷き詰める際には、シンチレータ粉末21同士の隙間を少なくするためにある程度押し固めるとよい。また、必要に応じて、図3に示すように、単層状に敷き詰められた前記各シンチレータ粉末21の間に生じる隙間に、前記放射線の種類によって定められる前記シンチレータ粉末21の平均粒径以上の平均粒径を有する他の前記シンチレータ粉末21を埋設するのが好ましい。なお、各シンチレータ粉末の間に生じる隙間を埋める処理は、図3に示すように、各シンチレータ粉末21が離れて接着されることにより生じる隙間のみならず、図4に示すように、前記シンチレータ粉末21と隣接する他の前記シンチレータ粉末21の間に生じる上方側の隙間を埋める処理も好ましい。
次に、シンチレータ層22の厚さについて規定する。シンチレータ層22の厚さは、測定対象となる放射線を入射させてシンチレーション光を励起させるとともに、測定対象外の放射線により励起されるシンチレーション光を抑制し、測定対象の放射線と測定対象外の放射線とを弁別可能にする必要がある。以下、測定対象となる放射線に対するシンチレータ層の厚さの設定方法について具体例を挙げて説明する。
まず、測定対象となる放射線がα線である場合について説明する。図5に示すように、測定対象となる放射線が239Pu(プルトニウム)から発せられる5.5MeVのα線であって、シンチレータ2がGPSシンチレータである場合、その飛程は約17μmである。一方、自然界に存在してα線を発するラドン子孫核種が発する7.7MeVのα線である場合の飛程は約27μmである。よって、測定対象となる放射線がプルトニウム238から発せられるα線である場合、測定誤差を考慮して、シンチレータ粉末21の厚さは20μm以上とすることが好ましい。
一方、自然界にはβ線やγ線等の測定対象外の放射線が存在しており、例えば、ラドン子孫核種は、α線より多くのβ線やγ線を放出している。このようなβ線やγ線がシンチレータ2に入射すれば、α線と同様、シンチレーション光を発してしまう。この場合、後述する実施例13の結果(図14参照)が示すように、例えば測定対象外となる放射線がγ線である場合、シンチレータ2の厚さが大きくなるにつれて、シンチレータ2内でのγ線のエネルギー付与が増大し、シンチレーション光を計数する集光強度の範囲が広くなる傾向にある。このような傾向はβ線でも同様である。よって、シンチレータ2の厚さは、測定対象外の放射線によるシンチレータ2へのエネルギー付与を小さくして、α線によるシンチレーション光と弁別できる程度に厚さを小さくすることが好ましい。すなわち、本発明に係るシンチレータプレート1では、シンチレータ2の厚みを可能な限り薄くすることで、測定対象外の放射線をできる限り透過させてシンチレータ2へのエネルギー付与を小さくし、シンチレーション光の発光を抑えて測定対象の放射線と測定対象外の放射線とを弁別し易くしている。
よって、測定対象となる放射線による飛程や測定対象外の放射線との弁別から考慮すると、測定対象となる放射線がプルトニウムから発せられるα線である場合は、シンチレータ層22の厚さは20μm以上100μm以下であることが望ましい。
次に、測定対象となる放射線が中性子線である場合について説明する。図6は、GPSシンチレータにおけるシンチレータ層22の厚さとエネルギーの吸収とを示すグラフである。ここで、エネルギーの吸収とは、シンチレータに入射した放射線が相互作用により反応する確率を示すものであり、エネルギーの吸収の値が1になると放射線のすべてが反応したことを示している。また、平均自由行程は、エネルギーの吸収が(1−1/e)となる厚さと定義される。ここでeは、ネイピアの数である。よって、平均自由行程は、エネルギーの吸収が約0.63、すなわちシンチレータ2内において反応を起こす確率が約63%になる厚さであり、図6に示すように、GPSシンチレータ場合の平均自由行程は約30μmである。
また、シンチレータ層22の厚さは、α線等と同様に、弁別できる程度に測定対象外の放射線によるシンチレータ2へのエネルギー付与を低くする厚さ以下にすることが好ましい。図6に示すように、中性子線の場合、平均自由行程の5倍となる約150μmの厚さで反応を起こす確率は約99.3%となる。一方、59KeVより弱いエネルギーを持つγ線の場合、シンチレータ層22の厚さが増す毎にエネルギーの吸収が高くなるが、シンチレータ層22の厚さが約150μmでは反応を起こす確率が50%程度に押さえることができる。よって、シンチレータ層22の厚さが約150μm以下の場合では、γ線の有するエネルギーよりも、中性子線の有するエネルギーの多くがシンチレーション光に変換されることになる。
よって、測定対象となる放射線が中性子線である場合、シンチレータ層22の厚さは測定誤差などを考慮して30μm以上150μm以下であることが望ましい。
さらに、測定対象となる放射線がX線である場合、核医学画像診断法の陽電子放射断層撮影装置等で用いられることを考慮すると、シンチレータ粉末21の平均粒径dは、300μmより大きく形成されることが好ましく、シンチレータ層22の厚さは300μm以上500μm以下であることが望ましい。
次に、基板3について説明する。シンチレータ層22を固定する基板3は、素材や大きさについて特に限定されるものではないが、硬くて平坦な面を形成可能な素材により形成されていることが好ましく、例えばシンチレーション光の透過を妨げないように透明なガラスや化学合成樹脂等が挙げられる。また、測定対象となる放射線が中性子の場合、α線等と比較して透過性が高いため、基板3には様々な素材を用いることができる。例えば、アルミニウム板、シリコン板、アルミナ板等が使用可能であり、シンチレータ層22側を後述する光電子増倍管51等のシンチレーション光の受信部に密着させる構成にしてもよい。さらに、必要に応じてシンチレータ層22と基板3との間に反射面を形成してもよい。また、シンチレータ粉末21を層状に接着させてシンチレータ層22を形成するための接着剤4は、特に限定されるものではないが、耐放射能の性質を有するものを用いることが好ましい。
なお、シンチレータプレート1は、シンチレータ層22を基板3に固定したものに限定されるものではなく、所定の強度を維持できるのであれば基板3に固定せずにシンチレータ層22それ自体をシンチレータプレート1として用いてもよい。
次に、本発明に係るシンチレータプレート製造方法の一実施形態について説明する。図7は、本実施形態のシンチレータプレートの製造方法の各工程を示す模式図である。また、図8は、各工程の手順を示すフローチャートである。
本実施形態のシンチレータプレート製造方法は、図7および図8に示すように、使用するシンチレータ粉末21から前記微粉粒子を除去する微粉粒子除去工程S1と、粘着性物質の表面に使用する前記シンチレータ粉末21を敷き詰めて接着することによりシンチレータ層22を形成するシンチレータ層形成工程S2と、このシンチレータ層を基板に固定する基板固定工程S3と、前記粘着性物質を除去する粘着性物質除去工程S4と、前記シンチレータ層の表面を当該シンチレータ層が所定の厚さになるまで研磨するシンチレータ層研磨工程S5とを有する。以下、各工程について詳細に説明する。
シンチレータ粉末21は、単結晶状のシンチレータ2を粉砕し、篩等を使用し絵予め所定の平均粒径に選別されている。ただし、篩等による選別では、シンチレータ粉末21に付着したシンチレータ2の微粉粒子までは選別できない場合がある。そこで、本実施形態では、微粉粒子除去工程S1により、微粉粒子の除去を行っている。
微粉粒子除去工程S1は、使用するシンチレータ粉末21をリン酸液やアルコール、または水等の液体に浸して超音波洗浄装置等を使って攪拌することにより、シンチレータ粉末21に付着している微粉粒子を引き離し、それぞれを液体中に拡散させる。そして、粒子径の違いによる沈降速度の差を利用して、所定の時間経過後に上澄みを除去することにより前記シンチレータ粉末から前記微粉粒子を除去するようになっている。つまり、微粉粒子の重量に対する表面積が大きく、その微粉粒子が受ける浮力や運動速度に比例して運動を妨げる抵抗力により、シンチレータ粉末21よりも前記微粉粒子の沈降速度が遅い現象を利用して除去する。
シンチレータ層形成工程S2は、粘着シート等の粘着性物質の表面に所定の平均粒径のシンチレータ粉末21を敷き詰めて接着し、シンチレータ層22を形成する工程である。本実施形態では、図7に示すように、シート状の粘着性物質を用いているがこれに限るものではなく、別途、接着材を塗布して接着させてもよい。
また、本実施形態におけるシンチレータ層形成工程では、シンチレータ層22におけるシンチレータ粉末21のムラを無くして充填率を高めるとともに、シンチレータ粉末21を単層状に敷き詰めることが好ましい。このため、粘着性物質の表面にシンチレータ粉末21を一旦敷き詰めた後に、刷毛によりシンチレータ層22の表面を掃いたり、粘着性物質に衝撃を加えて落とす等の処理を行う。これにより前記粘着性物質に接着されていないシンチレータ粉末21を除去するとともに、接着されている各前記シンチレータ粉末の隙間に所定の平均粒径の前記シンチレータ粉末21を再び敷き詰めるようになっている。本実施形態では、このような工程を少なくとも一回以上繰り返している。
また、本実施形態におけるシンチレータ層形成工程S2では、シンチレータ粉末21を粘着性物質の表面に敷き詰めた後で、エポキシ樹脂等の適当な接着剤4を用いてシンチレータ粉末21を固定してシンチレータ層22を形成している。
基板固定工程S3は、前記シンチレータ層22を基板3に固定する工程である。本実施形態では、図7に示すように、粘着性物質の表面に形成されたシンチレータ層22の上に基板3を接着剤4等により貼り付けて固定している。なお、基板3を用いずにシンチレータプレート1を形成する場合は本工程を省略すればよい。この場合、粘着性物質に基板3の役割を持たせてもよいし、前記粘着性物質も剥がしてシンチレータ層22のみで構成してもよい。また、シンチレータ層22の両面を研磨する場合は、基板3を固定する前にその表面を研磨し、その研磨された面に基板3を固定すればよい。
粘着性物質除去工程S4は、前記シンチレータ層22に接着されている前記粘着性物質を除去する工程である。粘着性シートに接着しているのであれば、単に剥離すればよい。なお、粘着性物質がシンチレータ層22への放射線の入射やシンチレーション光の透過に影響が無い場合は、本工程を省略して、粘着性物質を除去せずにシンチレータプレート1として使用してもよい。
シンチレータ層研磨工程S5は、前記シンチレータ層22を当該シンチレータ層22が所定の厚さになるまで研磨する工程である。本実施形態では、前記粘着性物質除去工程S4により前記粘着性物質を除去して露出した前記シンチレータ層の表面を耐水研磨紙を用いて研磨を行っている。なお、シンチレータ層22の研磨に用いられるものは耐水研磨紙に限定されるものではなく、砥石や液状研磨材等から適宜選択してよい。
また、シンチレータ層22の両面を研磨する場合は、シンチレータ層形成工程S2によりシンチレータ層22を形成した後に、まず粘着性物質のない方の表面を研磨し、その研磨された面に基板3を固定し、その後、粘着性物質を除去して露出された面を研磨すればよい。
次に、本実施形態における放射線計測装置5について説明する。図9に示すように、本実施形態における放射線計測装置5は、主として、上述のシンチレータプレート1と、このシンチレータプレート1から発せられるシンチレーション光を電気的信号に変換する信号変換部51と、前記電気的信号を増幅させる増幅器52と、電気的信号の上限値と下限値を設定して測定対象となる放射線と測定対象外の放射線との弁別を行う放射線弁別部53と、弁別された上限値から下限値の間の範囲における電気的パルス信号を計数する計数部54と、その計数から測定対象となる放射線が入射したか否かを判別する放射線判別部55とから構成される。以下、各構成について詳細に説明する。
信号変換部51は、先端にシンチレータプレート1を備えており、このシンチレータプレート1に放射線が入射することにより励起されるシンチレーション光を受信し、このシンチレーション光を電気的信号に変換するものであって、本実施形態では光電子増倍管51が用いられている。また、前記光電子増倍管51からは、シンチレーション光を受信することでパルス状の電気的パルス信号に変換するようになっている。
増幅器52は、前記光電子増倍管51に接続されており、受信した前記電気的パルス信号を任意に増幅させるものである。なお、前記光電子増倍管51からの電気的パルス信号が、弁別を十分に行われる程度に大きい場合には、この増幅器52は設けなくともよい。
放射線弁別部53は、前記増幅器52に接続されており、上限値と下限値を設定して測定対象となる放射線と測定対象外の放射線との弁別を行うものである。本実施形態においては、いわゆるフィルターとして機能し、電気的パルス信号の上限値および下限値の間のシンチレーション光のみを計数部54に送ることで、測定対象となる放射線を測定対象外の放射線と弁別するようになっている。
本実施形態では、プルトニウムからのα線とラドン子孫核種からのα線とを弁別するため、上限値はプルトニウムからのα線により得られるエネルギーの値より僅かに大きい値とした。また、測定環境中に存在する、例えばラドン子孫核種からのβ線やγ線と弁別させるため、下限値はβ線やγ線により得られるエネルギーの値より僅かに大きい値とした。
計数部54は、放射線弁別部53に接続されており、放射線弁別部53により弁別された電気的パルス信号を計数するものである。本実施形態では、所定の間隔の集光強度毎に電気的パルス信号を計数するようになっている。
放射線判別部55は、計数部54に接続されており、前記計数部54により計測された数値から測定対象となる放射線が入射したか否かを判別する。具体的には、閾値を設定し、計数値と閾値とを比較して、計数値がその閾値を越えたら放射線が検出されたと判断するようになっている。
また、本実施形態の放射線イメージング装置6について説明する。図10に示すように、本実施形態の放射線イメージング装置6は、核医学画像診断法における陽電子放射断層撮影装置等に用いられるものであり、主として、任意の放射線を照射する線源装置61と、上述のシンチレータプレート1と、前記線源装置61から発せられる放射線がシンチレータプレート1に入射することにより発せられるシンチレーション光の分布を測定するシンチレーション光分布測定器62と、このシンチレーション光分布測定器62により受信されたシンチレーション光の分布を画像データとして出力する出力装置63とから構成されている。また、放射線イメージング装置6は、陽電子放射断層撮影装置の他、物体表面に付着した放射性物質の汚染分布の測定装置等にも用いることができる。
線源装置61は、任意の放射線を放射状に照射するものであり、本実施形態では、X線を放射するようになっている。なお、放射性物質の汚染分布の測定装置等においては、線源装置61を備える必要はない。
シンチレーション光分布測定器62は、シンチレータプレート1を備え、線源装置61から放射される放射線を受信可能な位置に設けられており、線源装置61により照射された放射線を受信し、その放射線の分布を測定するようになっている。シンチレーション光の分布を測定する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、シンチレーション光を検知する受信器を複数並べてシンチレーション光の分布を計測するもの等が用いられる。
出力装置63は、前記シンチレーション光分布測定器62に接続されており、受信したシンチレーション光の分布を画像データとして出力するものである。なお、出力する方法は特に限定されるものではなく、液晶ディスプレー等に表示したり、写真として出力することができる。
次に、本実施形態の各構成における作用について説明する。
シンチレータプレート1は、測定対象となる放射線が入射すると、その放射線により励起されてシンチレーション光を発する。例えば、測定対象が直接電離放射線のα線である場合、シンチレータはα線の有する荷電粒子により、シンチレータ2中の電子と電気的な引力や反発力が働き、この影響で電子が励起される。そして、励起された電子が再結合するときに光が発せられる。本実施形態におけるシンチレータ層22はα線の飛程以上の厚さを有しているため、入射したα線のエネルギーの殆どがシンチレーション光となり発光する。
本実施形態のシンチレータ層22は、シンチレータ粉末21を一段の単層状に形成されているため、シンチレータ層22内において、シンチレーション光の反射や拡散を効果的に抑制することができる。また、それ程大きな粒径のシンチレータ粉末21でなくても、単層状に敷き詰められたシンチレータ粉末21とこれに隣接する他のシンチレータ粉末21との間に生じる隙間にシンチレータ粉末21を埋設することで、シンチレータ層22におけるシンチレータ粉末21の充填率が向上し、単結晶に近い効果を奏する構成になる。
本実施形態の放射線計測装置5における光電子増倍管51は、シンチレータプレート1が発光したシンチレーション光を受信し、電気的パルス信号に変換する。また、増幅器52は、光電子増倍管51で変換された電気的パルス信号を任意の大きさに増幅する。
放射線弁別部53は、増幅器52から受けた電気的パルス信号を上限値と下限値と比較して測定対象の放射線であるか、測定対象外の放射線であるかを弁別する。そして、計数部54は、放射線弁別部53によってフィルタリングされたシンチレーション光を所定間隔の集光強度毎に計数する。放射線判別部55は、前記シンチレーション光の計数値が所定の閾値を越えたら測定対象とする放射線が測定されたと判断する。そして、適当な出力手段によって放射線測定の結果を出力する。
次に、本実施形態の放射線イメージング装置6について説明する。線源装置61は、シンチレータプレート1に向けて任意の放射線を照射する。この線源装置61とシンチレータプレート1との間には、人体など内部のイメージングを行う任意物体Oが配置される。このような任意物体Oに放射線が透過すると骨と肉等の放射線の透過率が異なる場所を通過した際、シンチレータプレート1に到達する放射線量に差が生じる。
シンチレータプレート1では、この放射線量の差によりシンチレーション光の発光に差が生じる。シンチレーション光分布測定器62は、そのシンチレーション光の分布を計測し、出力装置63により任意の状態で出力を行う。
以上のような本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
1.シンチレータ層22がシンチレータ2の種類と放射線の種類とから特定される所定の平均粒径以上のシンチレータ粉末21で構成されているとともに、前記シンチレータ層22の厚さを所定範囲内に形成されることにより、より高い確率で弁別できるシンチレーション光を取得することができる。
2.シンチレータ層22においてシンチレータ粉末21を単層状に敷き詰めることにより、多段状のシンチレータ粉末21において生じてしまうようなシンチレーション光の反射や拡散を抑制することができる。
3.所定の粒径のシンチレータ粉末21を基板に敷き詰めて所定の厚さに研磨することによってシンチレータ層22を形成すればよいため、製造コストを大幅に抑制しつつ容易に大面積化することができ、かつ精度のよいシンチレータプレート1を製造できる。
4.本実施形態のシンチレータプレート1を用いることにより、放射線計測装置5および放射線イメージング装置6の測定精度を向上させられる。
本実施例1では、本発明に係るシンチレータプレート1を作製し、そのシンチレータプレート1を用いてα線を計測した。
『シンチレータプレートの作製』
本実施例1では、GPSシンチレータを用いて試験用のシンチレータプレート1を作製した。GPSシンチレータは、TSSG法を使った結晶合成により作製した素材を粉砕し、所定のメッシュを有する篩を使って粒径を揃えた。基板には図11に示すような25mm角の矩形状のガラス板を用い、その中心(図11における点線で示す範囲)にシンチレータ粉末21を敷き詰めてエポキシ樹脂からなる接着材4により固定した。
『従来のシンチレータとの比較』
まず、従来の特許文献1に記載の発明に相当するZnSシンチレータプレートと、GPSシンチレータの単結晶体で構成されたシンチレータプレートと、本発明に係るシンチレータプレート1とを用いてα線の計測を行った。ZnSシンチレータのプレートは、本実施例1のGPSシンチレータと同様にガラスの基板に対し、約10mg/cmの厚さに塗布することにより作製した。また、GPSシンチレータの単結晶体は約1.4mmのものを使用した。さらに、本実施例1では、平均粒径dが約50μmのGPSのシンチレータ粉末を用いてシンチレータ層22を形成し、その片側表面を研磨することによって、シンチレータ層22の厚さが約100μm、約50μm、および約30μmとなる3種類のシンチレータプレート1を用意した。
それぞれのプレートにプルトニウムの代替として241Am(アメリシウム)を線源とする5.5MeVのα線を照射し、集光強度と計数の関係について計測した。
図12は、測定結果を示すグラフである。ZnSシンチレータプレートでは、集光強度に対してなだらかな分布を有しており鋭いピークは見られない。よって、当該ZnSシンチレータプレートでは、α線の測定は可能であるが、エネルギー分解能が低いため、プルトニウムやラドン子孫核種等の複数の核種から発生した、それぞれエネルギーの異なるα線同士を弁別するには問題が残っている。
一方、GPSシンチレータの単結晶では、鋭いピークが立っており、α線を精度良く計測できたことを示している。同様に、本発明に係るGPSシンチレータプレートは、プレートの厚さが約100μmおよび約50μmの場合は、単結晶より若干劣るものの、鋭いピークが測定できている。なお、本実施例1では、約30μmの場合は、鋭いピークが得られなかった。
以下、本実施例1では、シンチレータ粉末21の平均粒径dとシンチレータの厚さについて、より詳細な実験を行った。
『シンチレータ粉末の平均粒径についての検討』
まず、シンチレータ粉末21の平均粒径dと測定精度についての検討を行った。シンチレータプレート1は、シンチレータ粉末21の粒径dが約25μm以上約45μm以下のものと、約45μm以上約75μm以下のものと、約75μm以上約106μm以下のものの3種類を用意し、それぞれに241Am(アメリシウム)を線源とする5.5MeVのα線を照射し、集光強度と計数の関係について計測した。
図13は、計測結果を示すグラフである。シンチレータ粉末21の粒径dが約25μm以上約45μm以下である場合、集光強度のピーク値が現れてα線が検出されていることがわかる。しかし、集光強度の分布は他の2種類のシンチレータプレートと比較してなだらかであり、弁別の精度は劣っているといえる。また、粒径dが約45μm以上約75μm以下である場合、集光強度のピークが集光強度の高い値に寄っており、粒径dが約25μm以上約45μm以下である場合よりも弁別の精度は向上するといえる。さらに、粒径dが約75μm以上約106μm以下の場合、他の2種類のシンチレータプレートと比較して、集光強度のピークが集光強度の高い値に寄っているとともに、その幅も狭くなっており、弁別の精度向上が充分に期待できる。
よって、シンチレータ粉末21の平均粒径dを大きくすることにより、集光強度の高い側の弁別の精度向上が期待できる。
『シンチレータの厚さについての検討』
次に、α線の測定と測定環境中に存在するγ線との弁別を行うためにシンチレータ2の厚さについて検討を行った。本実施例1では、シンチレータ粉末21の平均粒径dが50μmのものを使用してシンチレータプレート1を作製し、その表面を研磨することで、シンチレータ2の厚さが100μmのものと、シンチレータ2の厚さが50μmmのものと、シンチレータ2の厚さが30μmのものの3種類を用意した。これら各シンチレータプレート1に対してセシウムCsを線源とする662keVのγ線を照射し、集光強度と計数の関係について計測を行った。また、比較のため、約1.4mmに形成されたGPSシンチレータの単結晶体についても計測を行った。
図14は、測定結果を示すグラフである。この図14に示すように、GPSシンチレータの単結晶を用いた場合、広範囲に渡って集光強度が計数されている。このような広い範囲の集光強度が計数される場合には、他の放射線との弁別が困難になる。
一方、本実施例1で作製したシンチレータプレート1では、小さい集光強度に分布が集中している。特に、シンチレータ2の厚さが100μm、50μm、30μmへと薄くなるにつれて、集光強度の幅が狭くなっている。よって、シンチレータ2の厚さは、薄いほどγ線の影響を抑えることができ、α線を弁別をし易くなることがわかる。
『シンチレータ粉末の平均粒径についてのまとめ』
次に、GPSシンチレータのシンチレータ粉末21の平均粒径dが50μmのものを用いて、厚さが約50μmのシンチレータプレートを作製し、241Am(アメリシウム)を線源とする5.5MeVのα線とセシウムCsを線源とする662keVのγ線とを照射して、集光強度と計数の関係について計測した。
図15は、測定結果を示すグラフである。本実施例1におけるシンチレータプレート1では、α線を検出できているとともに、γ線に対して弁別ができている。よって、弁別するための集光強度の下限値を約100に設定し、上限値を約650に設定することにより、α線とγ線とを確実に弁別することができると考えられる。
次に、実施例2について説明する。実施例2では、シンチレータ層22が、単層状のシンチレータ粉末21により形成されている場合と、多層状のシンチレータ粉末21により形成されている場合との違いによる検出精度への影響について実験を行った。
『シンチレータプレートの作製』
本実施例2では、実施例1と同様、GPSシンチレータを用いて試験用のシンチレータプレート1を作製した。本実施例2でシンチレータプレート1に用いられたシンチレータ粉末21の粒径は以下の通りである。
a)d<5μm
b)25μm<d<45μm
c)45μm<d<75μm
d)75μm<d<106μm
e)75μm<d<106μm(微粉粒子を除去)
f)180μm<d<212μm(微粉粒子を除去)
g)212μm<d<250μm(微粉粒子を除去)
h)250μm<d<300μm(微粉粒子を除去)
i)500μm<d<600μm(微粉粒子を除去)
試験片a)〜d)については、シンチレータ粉末21を所定のメッシュの篩を使って粒径を揃えた。また、試験片e)〜i)については、篩を使って粒径を揃えた後に、リン酸液に浸して超音波洗浄装置で攪拌し、シンチレータ粉末21に付着するシンチレータ2の微粉粒子をリン酸液中に拡散させ、その上澄み除去することにより除去した。また、本実施例2における基板3には、実施例1と同様に、25mm角の矩形状のガラス板を用いた。
本実施例2におけるシンチレータプレート1は、前記基板3の上に上記シンチレータ粉末21を敷き詰めて固定することでシンチレータ層22を形成し、試験片a)〜h)については前記シンチレータ層22の片面を研磨し、試験片i)については前記シンチレータ層22の両面を研磨することでシンチレータ層22の厚さを約100μmに調整した。
以上より、本実施例2では、試験片a)〜c)のシンチレータプレート1のシンチレータ層22は、シンチレータ粉末21が多層状に敷き詰められた状態にあり、試験片d)〜i)のシンチレータプレート1のシンチレータ層22は、シンチレータ粉末21を単層状に敷き詰められた状態にある。
『単層状および多層状のシンチレータ層についての検討』
本実施例2では、実施例1と同様、それぞれのプレートにプルトニウムの代替として241Am(アメリシウム)を線源とする5.5MeVのα線を照射し、集光強度と計数の関係について計測した。図16は、試験片a)〜e)のシンチレータプレートと比較例としてGPSシンチレータの単結晶を用いたシンチレータプレートによる計測結果を示すグラフである。
図16に示すように、GPSシンチレータの単結晶を用いた場合、集光強度が600近傍で計数のピークが現れている。
それに対し、上記試験片a)のシンチレータ粉末21を用いたシンチレータプレート1では、集光強度が200以上の範囲では殆ど検出されておらず、複数の核種から発生した、それぞれエネルギーの異なるα線同士を弁別することはできない。これは、シンチレータ層22が所定の厚さ以上の場合であっても、シンチレータ粉末21の粒径が飛程よりも小さい場合には、十分なシンチレータ光を発することができないためであると思われる。
試験片b)〜d)のシンチレータ粉末21を用いたシンチレータプレート1では、粒径が大きくなるほど、ピークがはっきり認識される。また、同じ粒径である試験片d)および試験片e)のシンチレータ粉末21を用いた各シンチレータプレート1による計測結果を比較すると、微粉粒子を除去した試験片e)の方がピークが明瞭に現れている。これらの結果は、試験片b)〜d)では、シンチレータ粉末21が重なり合って形成されているため、シンチレータ光が乱反射を起こして光電子増倍管51まで到達するシンチレータ光の数が減少しているのに対し、試験片e)では、シンチレータ粉末21を単層状に敷き詰められているとともに、細かい粉末が除去されているため、シンチレータ粉末21が重なり合っておらず、シンチレータ光が光電子増倍管51まで到達しやすいためであると思われる。
次に、試験片a)〜i)のシンチレータ粉末21を用いた各シンチレータプレート1による計測結果について分解能の逆数とピークトータル比とを算出することにより比較した。図17は、本実施例2における計測結果に基づくピークトータル比と分解能の逆数とをまとめたグラフである。
本実施例2において、分解能の逆数は、図17および図18に示すように、計数の見かけ上のピークの最大値と、この見かけ上のピークの最大値における見かけ上の半値幅との比により算出される値である。つまり、図17の縦軸に示されている分解能の逆数の値が大きいほど、ピークの幅が鋭いことを表しており、エネルギー弁別性能が高いことを示している。
また、本実施例2において、ピークトータル比とは、全集光強度における計数に対する、ピークにおける計数の値を示している。つまり、ピークトータル比が大きいほど、図18におけるテール部分の計数が小さく、ピークでの計数が高いことを表しており、エネルギー弁別性能が高いことを示している。
図17に示すように、単結晶のシンチレータプレートの場合、分解能の逆数およびピークトータル比が共に高い値を示しており、エネルギー弁別性能が高いことがわかる。
一方、試験片b)および試験片c)のように多層状のシンチレータ層で構成されたものは、分解能の逆数およびピークトータル比が低く、単結晶の場合の結果に比べて分解能の逆数は約10分の1、ピークトータル比は約5分の1と低い値を示しており、エネルギー弁別性能が低かった。
それに対し、試験片d)〜i)の単層状のシンチレータプレートは、試験片b)および試験片c)に対して、分解能の逆数およびピークトータル比が向上した。例えば、試験片d)〜i)では、単結晶の場合に比べると、分解能の逆数は60%程度であり十分なエネルギー弁別性能を維持している。また、ピークトータル比は、シンチレータ粉末21の平均粒径dが大きくなるにつれて、検出効率がよくなる傾向にあり、試験片i)では、単結晶に対する比で、70%程度のエネルギー弁別性能を維持していることがわかる。
次に、各シンチレータプレート1のシンチレータ層22を光学顕微鏡を用いて写真を撮影し、その画像に基づいて精度の相違について検討した。図19〜図21は、それぞれ試験片d)、e)およびi)の各シンチレータ粉末21を用いたシンチレータプレート1のシンチレータ層22を撮影した光学顕微鏡写真である。
図19に示すように、微粉粒子を除去する前では、微粉粒子がシンチレータ粉末21の隙間に不規則に混入された状態になっており、光学顕微鏡写真からも光が乱反射している様子が見てとれる。これに対して、図20に示すように、微粉粒子を除去した試験片e)の場合は、所定のシンチレータ粉末21が略単層状に敷き詰められており、光の反射や拡散が抑えられていることが観察できる。
また、図21では、比較的大きなシンチレータ粉末21を用いてシンチレータ層22の両面を研磨しているため、各シンチレータ粉末21がプレート状に形成されているのがわかる。そのため、光電子増倍管51の検出面と平行な面が形成され、シンチレータ光の乱反射が起こりにくくなっているものと思われる。また、各シンチレータ粉末21同士の間の隙間が少なくなっており、画像処理による結果では充填率が約70%と高かいため、単結晶に近い構成になっているといえる。よって、図17に示すように、本実施例2においては、試験片(i)のシンチレータ粉末21を用いたシンチレータプレート1では検出効率も70%を達成している。
『単層状および多層状のシンチレータ層についてのまとめ』
以上より、シンチレータ層22におけるシンチレータ粉末21は、シンチレータ光の乱反射を抑制することによりエネルギー弁別性能が向上することがわかった。そのためには、シンチレータ粉末が重なり合わないことが重要であり、多層状よりも単層状のシンチレータ粉末21で敷き詰められる方がエネルギー弁別性能が高いといえる。また、平均粒径の大きいシンチレータ粉末21を単層状に敷き詰めて所定の厚さに研磨する方が光電子増倍管51の検出面と平行となる面が形成され、プレート表面上にシンチレータが露出している割合が高い。そのため、測定対象のα線のエネルギーは、エネルギーの損失なくシンチレータ3へ付与される。その結果、優れたエネルギー弁別性能が得られるものと思われる。さらに、シンチレータ層22におけるシンチレータ粉末21の充填率が高い方がより検出効率が向上することがわかった。
実施例3では、物体表面に付着した放射性物質の汚染分布の測定装置に用いられる放射線イメージング装置6を作成し、放射能の分布測定を行った。図22は、作成した放射線イメージング装置6を示す外観図である。
本実施例3における放射線イメージング装置6は、図22に示すように、シンチレータプレート1を備えたシンチレーション光分布測定器62と、分布を画像データとして出力する出力装置63とから構成されている。
本実施例3におけるシンチレータプレート1は、GPSシンチレータプレートを採用している。また、シンチレーション光分布測定器62には、多チャンネル光電子増倍管(浜松ホトニクス社製)が用いており、5cm×5cmの略正方向状の検出面積に8×8=64の計測点が設けられている。
本実施例3では、α線放出核種を計測面に対して適当に散布し、その計測面に前記多チャンネル光電子増倍管を向けてセッティングし、全計測点におけるα線の波高スペクトルを同時に計測することにより、α線放出核種から放出される放射能分布の計測を行った。
図23は、計測された放射能強度分布であり、シンチレーション光分布測定器62により計測された各計測点における放射能の強度から各計測点間の値を線形的に算出し、256×256のデータとして表したものである。グラフの線の高低が放射能の強度を表している。
図23に示すように、放射能の強度が高いところと低いところが現れており、α線放出核種を有する場所とα線放出核種を有しない場所との差が明確になっている。よって、計測対象外となる線源が存在しても、十分に弁別可能であることがわかる。
以上より、本実施例3では、本発明に係るシンチレータプレート1を用いることにより、放射能分布計測が十分に可能であることがわかった。これにより、シンチレータプレート1の大面積化への可能性を示すことができた。
実施例4では、中性子線の計測を行った。シンチレータとしては、Li(リチウム)6シンチレータ、ZnSシンチレータおよび本発明に係るGPSシンチレータを用いた。また、これらのシンチレータを用いて、抵抗分割型の位置検出光電子増倍管を使用した中性子イメージングシステムにより計測を行った。なお、Li6ガラスシンチレータは検出精度が高いことで知られている物質である。
本実施例4では、図24に示すように測定試料としてカドミウムでFの文字に形成したプレートを設置し、このプレートに中性子線を照射して、その背後における中性子線の分布の計測を行った。なお、カドミウムは、中性子を吸収する性質を有している。
図25は、ZnSシンチレータを用いて計測を行った計測結果である。図25に示すように、カドミウムにより中性子が吸収され、その背後では中性子が計測されずに「F」の文字が鮮明に現れた。
次に、プレートの形状が大小様々であったため、各プレートにより計測された画像に基づき、同じ領域となる部分を抜き出して各プレートの比較を行った。図26はLi6ガラスシンチレータ、図27はZnSシンチレータ、図28はGPSシンチレータを用いた測定結果である。また、図26から図28に基づいて、各領域における中性子の総数をカウントした。
中性子の総数はLi6ガラスシンチレータを用いたものが一番多く114,319であった。そこで、Li6ガラスシンチレータの総数を100として、他のシンチレータの総数を比較して求めると、ZnSシンチレータが約30、GPSシンチレータが約81であった。
以上より、本発明に係るシンチレータプレート1は、測定対象が中性子線でも計測できることが証明された。また、放射線イメージングの計測にも有効である。また、本発明に係るGPSシンチレータの検出精度は、ZnSシンチレータよりも高い結果となった。さらに、高い検出精度で知られているLi6ガラスシンチレータに比べても約81%という高い精度であることがわかる。よって、本発明に係るシンチレータプレートはコスト面だけでなく、精度面においても実用性が高い。
1 シンチレータプレート
2 シンチレータ
3 基板
4 接着剤
5 放射線計測装置
6 放射線イメージング装置
21 シンチレータ粉末
51 信号変換部(光電子増倍管)
52 増幅器
53 放射線弁別部
54 計数部
55 放射線判別部
61 線源装置
62 シンチレーション光分布測定器
63 出力装置

Claims (13)

  1. 入射する放射線により励起されてシンチレーション光を発するシンチレータを有するシンチレータプレートであって、測定対象となる前記放射線がα線、電子線およびイオンビームのいずれかである場合、前記シンチレータ内における前記放射線の飛程以上の平均粒径からなるシンチレータ粉末が敷き詰められた状態のシンチレータ層を有する、前記シンチレータプレート。
  2. 前記シンチレータ層の片面または両面が研磨面を有するとともに、前記シンチレータ層の厚さ20μm以上100μm以下に形成されている、請求項1に記載のシンチレータプレート。
  3. 入射する放射線により励起されてシンチレーション光を発するシンチレータを有するシンチレータプレートであって、測定対象となる前記放射線が中性子線である場合、前記シンチレータ内における前記中性子線の平均自由行程以上の平均粒径からなるシンチレータ粉末が敷き詰められた状態のシンチレータ層を有する、前記シンチレータプレート。
  4. 前記シンチレータ層の片面または両面が研磨面を有するとともに、前記シンチレータ層の厚さ30μm以上150μm以下に形成されている、請求項3に記載のシンチレータプレート。
  5. 入射する放射線により励起されてシンチレーション光を発するシンチレータを有するシンチレータプレートであって、測定対象となる前記放射線がX線である場合、300μmより大きい平均粒径からなるシンチレータ粉末が接着材を介して敷き詰められた状態のシンチレータ層を有しており、このシンチレータ層の片面または両面に研磨面を有するとともに、前記シンチレータ層の厚さ300μm以上500μm以下に形成されている、前記シンチレータプレート。
  6. 前記シンチレータ層が、単層状に形成されている請求項1から請求項5のいずれかに記載のシンチレータプレート。
  7. 単層状の前記シンチレータ層は、前記シンチレータ粉末同士の隙間に、前記放射線の種類によって定められる前記平均粒径以上の大きさを有する前記シンチレータ粉末が配置されているとともに、その片面または両面に研磨面を有する、請求項6に記載のシンチレータプレート。
  8. 前記シンチレータが、GPSシンチレータ、ZnS(Ag)シンチレータ、YAPシンチレータおよびCsIシンチレータのいずれかから選択される請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のシンチレータプレート。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の前記シンチレータプレートを備えた放射線計測装置であって、
    前記シンチレータプレートと、
    このシンチレータプレートから発せられるシンチレーション光を電気的信号に変換する信号変換部と、
    測定対象となる放射線の種類に応じて設定される前記電気的信号の強度の上限値および下限値を基準として前記測定対象となる放射線と測定対象外の放射線とを弁別する放射線弁別部と、
    弁別された前記測定対象である放射線の電気的信号を計数する計数部と、
    前記計数部により計測された数値と所定の閾値とを比較して測定対象の放射線の有無を判別する放射線判別部と
    を有する放射線計測装置。
  10. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の前記シンチレータプレートを備えた放射線イメージング装置。
  11. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のシンチレータプレートを製造するシンチレータプレート製造方法であって、
    粘着性物質の表面に所定の平均粒径のシンチレータ粉末を敷き詰めて接着することによりシンチレータ層を形成するシンチレータ層形成工程と、
    前記シンチレータ層の片面または両面を当該シンチレータ層が所定の厚さになるまで研磨するシンチレータ層研磨工程と
    を有するシンチレータプレート製造方法。
  12. 前記シンチレータ層形成工程において、前記粘着性物質の表面に接着されていないシンチレータ粉末を除去するとともに、接着されている各前記シンチレータ粉末の隙間に所定の平均粒径の前記シンチレータ粉末を敷き詰める工程を少なくとも一回以上繰り返す、請求項11に記載のシンチレータプレート製造方法。
  13. 前記シンチレータ層形成工程前に、微粉粒子が付着しているシンチレータ粉末を液体に浸して攪拌し、所定の時間経過後に前記微粉粒子上澄みを除去することにより使用するシンチレータ粉末から前記微粉粒子を除去する微粉粒子除去工程を有する、請求項12に記載のシンチレータプレート製造方法。
JP2013507801A 2011-03-31 2012-03-30 シンチレータプレート、放射線計測装置、放射線イメージング装置およびシンチレータプレート製造方法 Expired - Fee Related JP5971866B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011079426 2011-03-31
JP2011079426 2011-03-31
PCT/JP2012/058621 WO2012133796A1 (ja) 2011-03-31 2012-03-30 シンチレータプレート、放射線計測装置、放射線イメージング装置およびシンチレータプレート製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2012133796A1 JPWO2012133796A1 (ja) 2014-07-28
JP5971866B2 true JP5971866B2 (ja) 2016-08-17

Family

ID=46931491

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013507801A Expired - Fee Related JP5971866B2 (ja) 2011-03-31 2012-03-30 シンチレータプレート、放射線計測装置、放射線イメージング装置およびシンチレータプレート製造方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US9625586B2 (ja)
JP (1) JP5971866B2 (ja)
WO (1) WO2012133796A1 (ja)

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6200171B2 (ja) * 2012-06-04 2017-09-20 キヤノン株式会社 放射線検出装置及び撮像システム
EP2933660A4 (en) * 2012-12-12 2016-07-27 Tokuyama Corp NEUTRON SCINTILLATOR, NEUTRON DETECTION METHOD, AND NEUTRON DETECTOR
FR3000807A1 (fr) * 2013-01-07 2014-07-11 Commissariat Energie Atomique Scintillateur pour la detection de neutrons et/ou de photons gamma et detecteur associe
JP6223749B2 (ja) * 2013-08-30 2017-11-01 株式会社トクヤマ 中性子シンチレーター及び中性子検出器
US9784858B2 (en) * 2013-10-28 2017-10-10 Tokuyama Corporation Neutron scintillator, neutron detector and method for manufacturing neutron scintillator
WO2015064587A1 (ja) * 2013-10-28 2015-05-07 株式会社トクヤマ 中性子シンチレーター及び中性子検出器
JP6303146B2 (ja) * 2014-02-19 2018-04-04 株式会社オキサイド 単結晶、放射線検出器及び放射線検出器の使用方法
WO2016021540A1 (ja) * 2014-08-08 2016-02-11 東レ株式会社 シンチレータパネル及び放射線検出器
KR20170042566A (ko) * 2014-08-08 2017-04-19 도레이 카부시키가이샤 표시 부재의 제조 방법
WO2017080728A1 (de) * 2015-11-11 2017-05-18 Siemens Healthcare Gmbh Detektorelement zur erfassung von einfallender röntgenstrahlung
JP2019023579A (ja) * 2017-07-24 2019-02-14 コニカミノルタ株式会社 シンチレータ
KR101982101B1 (ko) * 2017-08-16 2019-05-24 국민대학교 산학협력단 중성자 변환층을 구비하는 박막 구조체, 이의 제조 방법 및 이를 포함하는 중성자 검출기
EP3629064A1 (en) * 2018-09-25 2020-04-01 Koninklijke Philips N.V. Scintillator array with high detective quantum efficiency
US10954607B1 (en) * 2019-10-22 2021-03-23 Euclid Techlabs, Llc High-efficiency transmission-mode diamond scintillator for quantitative characterization of X-ray beams
CN111610550A (zh) * 2020-05-14 2020-09-01 南昌大学 一种基于二维钙钛矿的多谱闪烁探测器***及探测方法
CN112280421B (zh) * 2020-09-27 2021-10-22 苏州昊唐兴核高新材料有限公司 一种探测器涂覆用掺银硫化锌水溶胶的制备方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006258755A (ja) * 2005-03-18 2006-09-28 Japan Nuclear Cycle Development Inst States Of Projects ZnS(Ag)シンチレーション検出器
JP2007145902A (ja) * 2005-11-24 2007-06-14 Hitachi Medical Corp 酸化物蛍光体、放射線検出器およびx線ct装置
WO2007099973A1 (ja) * 2006-03-02 2007-09-07 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho ビーム検出部材およびそれを用いたビーム検出器
WO2008132849A1 (ja) * 2007-04-24 2008-11-06 Kabushiki Kaisha Toshiba ラジオグラフィ測定装置及びラジオグラフィ測定方法

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4687636A (en) * 1984-01-03 1987-08-18 Hiram Hart Separative scintillation proximity assay
US5912939A (en) * 1997-02-07 1999-06-15 Hirsch; Gregory Soft x-ray microfluoroscope
US6586702B2 (en) * 1997-09-25 2003-07-01 Laser Electro Optic Application Technology Company High density pixel array and laser micro-milling method for fabricating array
US6939604B1 (en) * 2000-10-19 2005-09-06 Arch Development Corporation Doped semiconductor nanocrystals
JP3867524B2 (ja) * 2001-07-05 2007-01-10 株式会社日立製作所 電子線を用いた観察装置及び観察方法
WO2003067282A1 (fr) * 2002-02-08 2003-08-14 Kabushiki Kaisha Toshiba Detecteur de rayons x et procede de production d'un tel detecteur
US20060022142A1 (en) * 2004-07-12 2006-02-02 Etp Semra Pty. Ltd. Detector surface for low-energy radiation particles
US7145149B2 (en) * 2004-09-21 2006-12-05 Los Alamos National Security, Llc Flexible composite radiation detector
JP2006199727A (ja) 2005-01-18 2006-08-03 Toshiba Ceramics Co Ltd シンチレータおよびそれを用いた放射線検出器
KR20080096529A (ko) * 2006-01-30 2008-10-30 모멘티브 퍼포먼스 머티리얼즈 인크. 소결된 입방체 할라이드 신틸레이터 물질 및 그 제조방법
EP2177932B1 (en) * 2007-08-14 2013-10-09 Hitachi Aloka Medical, Ltd. Radiation measuring instrument
US20110035161A1 (en) * 2008-04-15 2011-02-10 Mcfadden Robert Cassin analog signal measurement system and gamma ray detector with targeted automated gamma spectroscopy
CN102317409B (zh) * 2008-12-30 2016-01-20 圣戈本陶瓷及塑料股份有限公司 陶瓷闪烁体本体和闪烁装置
JP5498908B2 (ja) * 2010-09-29 2014-05-21 株式会社東芝 固体シンチレータ用材料、固体シンチレータ、およびそれを用いた放射線検出器並びに放射線検査装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006258755A (ja) * 2005-03-18 2006-09-28 Japan Nuclear Cycle Development Inst States Of Projects ZnS(Ag)シンチレーション検出器
JP2007145902A (ja) * 2005-11-24 2007-06-14 Hitachi Medical Corp 酸化物蛍光体、放射線検出器およびx線ct装置
WO2007099973A1 (ja) * 2006-03-02 2007-09-07 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho ビーム検出部材およびそれを用いたビーム検出器
WO2008132849A1 (ja) * 2007-04-24 2008-11-06 Kabushiki Kaisha Toshiba ラジオグラフィ測定装置及びラジオグラフィ測定方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2012133796A1 (ja) 2012-10-04
US20140014846A1 (en) 2014-01-16
JPWO2012133796A1 (ja) 2014-07-28
US9625586B2 (en) 2017-04-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5971866B2 (ja) シンチレータプレート、放射線計測装置、放射線イメージング装置およびシンチレータプレート製造方法
JP6198345B2 (ja) 中性子シンチレーター、中性子検出方法及び中性子検出器
JP5587788B2 (ja) 複合樹脂におけるシンチレータを備えた放射線感受性検出器
RU2501040C2 (ru) Устройство и способ для детектирования нейтронов с помощью поглощающих нейтроны калориметрических гамма-детекторов
WO2016015061A1 (en) Multiple spatial resolution scintillation detectors
JP2002214349A (ja) X線検出モジュール
US10386499B2 (en) Device for determining a deposited dose and associated method
JP4061367B2 (ja) ZnS(Ag)シンチレーション検出器
JP2013500480A (ja) 捕獲ガンマ線熱量測定による中性子検出用の装置及び方法
CN110974267B (zh) 一种复合晶体阵列的pet探测器及其构建方法
Moses Scintillator requirements for medical imaging
JP6223749B2 (ja) 中性子シンチレーター及び中性子検出器
JP2008051626A (ja) ラインセンサ、ラインセンサユニット及び放射線非破壊検査システム
Liaparinos et al. Monte Carlo study on the imaging performance of powder phosphor screens under x‐ray excitation: Comparison with screens
JPS59228200A (ja) シ−ト状放射線測定具
JP6469412B2 (ja) 放射性物質測定器
JP6204763B2 (ja) 中性子シンチレーター及び中性子検出器
JP6204750B2 (ja) 中性子シンチレーター及び中性子検出器
JP2010085415A (ja) 2次元放射線および中性子イメージ検出器
JP4590588B2 (ja) 2次元放射線および中性子イメージ検出器
JP2013515829A (ja) 希土類ハロゲン化物からなり、研磨した反応性表面を有する結晶質シンチレータ
EP3444639A1 (en) Fast neutron detector based on proton recoil detection in a composite scintillator with embedded wavelength-shifting fibers
Winch et al. Segmented scintillators for megavolt radiography
JP6672621B2 (ja) 放射線像変換スクリーン及び放射線検出装置
JP6392938B2 (ja) 中性子シンチレーター及び中性子検出器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150323

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151202

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160615

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160711

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5971866

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees