以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
実施形態1の外部引外し装置について図1〜図10を参照して説明する。尚、以下の説明では特に断りがない限り、図1に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、図1において紙面と垂直な方向を前後方向と規定して説明を行うが、外部引外し装置1の使用状態における取付方向を上記の方向に限定するものではない。例えば分電盤に設けられた取付レールに外部引外し装置1が取り付けられる場合は、図4(d)の左右方向が鉛直方向と平行し、図4(d)の上下方向が水平方向と平行するようにして、取付レールに取り付けられるようになっている。
本実施形態の外部引外し装置1は、1乃至複数の極を持つ回路遮断器50と連接して配置され、電源電圧の異常時に、連接して配置された1乃至複数の極を持つ回路遮断器50をオフ動作させるために用いられる。外部引外し装置1には、電源電圧の異常を検出して回路遮断器50をオフ動作させる励磁回路を内蔵するものと、励磁回路を内蔵しないものがあるが、本実施形態では励磁回路を内蔵するものについて説明する。尚、励磁回路を内蔵しない外部引外し装置1では、電源電圧の異常を検出する検出装置から信号を受けて、回路遮断器50をオフさせるようになっている。また電源電圧の異常には、定格電圧(Ue)よりも高い所定の設定値(例えば定格電圧が200Vの場合は280V)を上回る過電圧異常と、定格電圧よりも低い所定の設定値(例えば定格電圧の35%〜70%)を下回る不足電圧異常とがあり、本実施形態では過電圧異常を検出するものについて説明する。
外部引外し装置1は、図4(a)〜(d)に示すように、図4(a)に示す左右方向の幅寸法及び上下方向の高さ寸法に比べて、図4(b)の左右方向で示す奥行き方向の厚み寸法が小さい箱型の筐体2を備えている。筐体2はボディ3とカバー4と端子台5とを組み合わせて構成される。ボディ3及びカバー4はそれぞれ合成樹脂成形品からなり、筐体2を前後方向において2つに分割したような形状に形成されており、ボディ3は前面及び左側面が開口し、カバー4は後面及び左側面が開口している。ボディ3とカバー4とは、互いの開口を塞ぐようにして、奥行き方向に重ね合わせて結合されている。また端子台5は合成樹脂成形品からなり、ボディ3とカバー4とを重ね合わせた際に左側面にできる開口部を塞ぐように取り付けられている。
筐体2は、DIN規格に準拠した回路遮断器50(図5参照)と同様の形状及び寸法に形成されている。筐体2の下部には、DIN規格に準拠した取付レール60を通すための溝2cが設けられている。取付レール60は金属製であって、横長の中央片61と、中央片61の2つの長辺からそれぞれ一方向(中央片61と直交する方向)に突出する一対の側片62と、各側片62の先端縁からそれぞれ外向きに突出する係止片63とを一体に備えている。尚、回路遮断器50の器体51の下部には、取付レール60が挿入される溝54が設けられ、溝54の一方の端面には一方の係止片63と係止する突起55が設けられている。溝54の他方の端面には、他方の係止片63と係止する爪56aが進退自在に設けられている。爪56aが一端側に設けられた操作片56の他端は、器体51の側面から外側に突出しており、この操作片56を引っ張ると、爪56aが係止片63から離れる向きに移動するので、回路遮断器50の器体51を取付レール60に着脱することが可能になる。
筐体2の前後の側面のうち回路遮断器50との対向面には、2個の突起6が上側に、板状の突起7が下側にそれぞれ設けられている。突起6の先端にはそれぞれ下向きの爪6aが設けられている。また突起6の近傍には、突起6よりも背の低い突起8がそれぞれ設けられている。回路遮断器50の器体51には、図6(b)に示すように、突起6に対向する位置に挿入孔52が設けられ、突起7に対向する位置にも溝穴(図示せず)が設けられている。
筐体2を器体51に取り付ける場合、図6(a)〜(d)に示すように、作業者は、筐体2の上側が器体51に近付くように、筐体2を斜めに傾けた状態で筐体2を器体51に近付け、上側の突起6を挿入孔52に挿入して、爪6aを挿入孔52の内側面に係止させる。次に作業者は、爪6aを支点にして、筐体2の下部が器体51に近付く方向に筐体2を回転させる。そして、図7に示すように筐体2と器体51の側面同士を接触させると、下側の突起6が器体51の溝穴に挿入され、筐体2が器体51に取り付けられた状態となる。また突起8が、器体51の側面に設けられた穴(図示せず)に挿入されることで、筐体2が器体51に対して位置決めされる。
端子台5には、図1、図4及び図9に示すように、ねじ端子が取り付けられる台座部5b,5cが上下二段に設けられ、ねじ締め作業の邪魔にならないように、上側の台座部5bと下側の台座部5cとは左右方向において位置をずらして設けられている。台座部5b,5cには、それぞれ、2個のねじ端子9を前後方向(図9(b)の左右方向)に並べて取り付けることができ、前後方向に並ぶ2個のねじ端子9の間を絶縁するための絶縁壁5aが端子台5と一体に設けられている。台座部5b,5cには、それぞれ、内側(図9(a)の左側)に開放された取付溝5dが設けられ、この取付溝5dに内側からねじ端子9が挿入固定されるようになっている。また台座部5b,5cの上側には、ドライバーなどを挿入するための孔を有する保護壁5eがそれぞれ設けられている。
ねじ端子9は、端子板40と、端子板40にねじ締めされた端子ねじ41と、端子ねじ41に通されて、端子板40との間で電線を挟持する座金42とで構成される。端子板40は導電性の帯板を折り曲げて形成され、上板40aと縦板40bと下板40cと溶接片40dとを一体に備えている。上板40aには端子ねじ41がねじ込まれるねじ孔が形成されている。縦板40bは、上板40aの外側縁から下側に向かって略直角に折り曲げられて形成されている。下板40cは、縦板40bの下側縁から内側に向かって略直角に折り曲げられて形成されており、上板40aと縦板40bと下板40cとでU形に形成されている。溶接片40dは、上板40aの内側縁から上側に向かって略直角に折り曲げられて形成されている。このねじ端子9が取付溝5dに内側(図9(a)における左側)から嵌め込まれると、上板40aと縦板40bと下板40cとの側縁がそれぞれ取付溝5dの内側面に当接する。また保護壁5eには溶接片40dの上部を係止する爪5fが、取付溝5dの側壁には縦板40bと係止する係止フック5gがそれぞれ設けられている。これにより取付溝5d内に端子板40が嵌め込まれると、爪5f及び係止フック5gがそれぞれ溶接片40d、縦板40bと係止することによって端子板40の抜け止めが行われる。また取付溝5dにねじ端子9が嵌め込まれた状態では、上板40aと縦板40bと下板40cの側縁がそれぞれ取付溝5dの内側面に当接するから、端子ねじ41のねじ締めによって端子板40に回転トルクが加わったとしても、端子板40が回りにくくなり、ねじ締め強度が向上する。
尚、本実施形態では上側の台座部5bのみに電源接続用の2個のねじ端子9が取り付けられているが、後述するように動作モニタ用の接点信号を出力したい場合には、下側段に接点信号出力用の2個のねじ端子を取り付ければよい。
筐体2の内部には、図1に示すように、連動棒10を備える連動駒11と、操作ハンドル12と、駆動部材13と、リンク14と、ラッチ部材15と、電磁石装置16と、励磁回路を実装した回路基板30が収納されている。また筐体2の内部には、駆動部材13の動作に応じて導通状態が切り替えられる可動接点板17及び固定接点板18a,18bが収納されている。また筐体2の内部には、外部引外し装置1の動作状態を表示するために、表示部材20と表示ラッチ部材21とが収納されている。
操作ハンドル12は、ボディ3及びカバー4に両端が支持された回転軸12aを中心として回転自在に支持されている。操作ハンドル12は、筐体2の上面に形成された窓孔2aから外部に露出する操作部12bを一体に備え(図4参照)、操作部12bが操作されることによって、回転軸12aを中心に回転する。操作部12bには、連接される回路遮断器50の操作ハンドル53と対向する面に角棒状の連結棒12cが突設されており、この連結棒12cが操作ハンドル53の穴内に挿入されることによって、操作ハンドル12は操作ハンドル53と一緒に回転する。この操作ハンドル12は、図示しない開極バネにより、オフ位置(図1(a)の位置)に回転する方向(図1において前側から見て反時計回り)の力を常時受けている。
連動駒11は合成樹脂成形品からなり、両端が筐体2に保持された軸11aを中心として回転自在に取り付けられている。連動駒11には金属製の連動棒10の一端側が保持され、連動棒10の他端側は前方に突出している。カバー4には、軸11aを中心とする円弧状のスリット4aが形成され、このスリット4aから連動棒10の他端側がカバー4の外側に露出する(図4(a)参照)。そして、連動駒11が回転すると、連動駒11の回転に応じて連動棒10がスリット4a内を移動するようになっている。
この外部引外し装置1が回路遮断器50に並べて取り付けられた状態では、連動棒10が回路遮断器50の器体51内に挿入され、連動棒10で回路遮断器50の開閉機構を駆動することによって、回路遮断器50の接点をオフさせることができる。ユーザが外部引外し装置1及び回路遮断器50の操作ハンドル12,53をオン位置に移動させると、回路遮断器50の接点が回路遮断器50の開閉機構によってオンに切り替えられるとともに、外部引外し装置1の駆動部材13により可動接点17aが固定接点19aに接触し、連動棒10が図1(b)に示す位置に移動する。一方、外部引外し装置1で電源電圧の異常が検出されて、連動棒10が図3(a)に示す位置に移動すると、連動棒10によって回路遮断器50の開閉機構が駆動され、接点がオフに切り替えられる。
またボディ3にも、スリット4aと同じ位置に円弧状のスリット(図示せず)が形成されている。この外部引外し装置1に、電源電圧の他の異常(例えば不足電圧異常)を検出する外部引外し装置1が連接される場合、他の外部引外し装置1の連動棒10が、ボディ3のスリットを通して連動駒11の穴(図示せず)に挿入されるようになっている。そして、他の外部引外し装置1で電源電圧の異常が検知されて、他の外部引外し装置1の連動棒10がオフ位置に移動すると、それによって自機の連動駒11がオフ位置に移動し、自機に連接された回路遮断器50の開閉機構をオフ動作できるようになっている。
駆動部材13は、図1及び図8に示すように、合成樹脂製の駆動レバー24と、金属製の軸受け金具25とで構成される。駆動レバー24は横長の板状に形成されている。駆動レバー24の一端側には、丸棒状の突起24eと、筐体2に固定された軸23を通すための孔24fとが設けられている。駆動レバー24には孔24fの周りに厚みが薄くなった凹部24dが設けられている。また、駆動レバー24の他端側には、可動接点板17の折り曲げ部と係止する突起24aと、可動接点板17の中間部を押す突起24b,24cがそれぞれ突設されている。一方、軸受け金具25には、突起24eを通すための孔25bと、組立時に孔24fに連続する孔25cが設けられている。この軸受け金具25は、孔25bに突起24eを通した状態で凹部24dに圧入固定されており、駆動レバー24と軸受け金具25とが一体的に組み立てられた状態で、孔24f,25cに通された軸23を中心に回転自在に取り付けられる。
リンク14は、金属の丸棒の両端をそれぞれ同じ方向に折り曲げることによって、U字状に形成されている。リンク14の一端は操作ハンドル12の穴12dに挿入されている。リンク14の他端は、駆動部材13の軸受け金具25とラッチ部材15とによってできるリンク孔22に挿入されており、この状態がラッチ部材15によってリンク14がラッチされた状態となる。このラッチ状態では、操作ハンドル12の動きがリンク14を介して駆動部材13に伝達される。一方、駆動部材13が電磁石装置16によって駆動され、リンク孔22が開くように、駆動部材13とラッチ部材15とが相対的に回転すると、リンク14の他端がリンク孔22の外側に出て、リンク14のラッチが解除された状態となる。
駆動部材13とラッチ部材15と表示部材20とは、筐体2に両端が保持される軸23を介して回転自在に支持されている。ラッチ部材15と表示部材20には、捻りコイルバネ(図示せず)の両端がそれぞれ係止され、ラッチ部材15には時計回りに回転する方向のバネ力が、表示部材20には反時計回りに回転する方向のバネ力がそれぞれ加えられている。また、駆動部材13は、バネ(図示せず)によって、反時計回りに回転する方向の力を常時受けている。
表示ラッチ部材21は、ボディ3の内壁に突設された軸を中心として回転自在に支持され、図示しないバネによって時計回りに回転する方向の力が常時加えられている。ここで、図1(a)に示すオフ状態では、表示ラッチ部材21の上端部が、表示部材20の下側に設けられた段差部20aに下側から当接することによって、表示部材20が反時計回りに回転できないようになっている。尚、オフ状態及びオン状態では、筐体2の上面に開口する窓孔2b(図4(d)参照)から、表示部材20において正常状態を表示する部位が露出している。
また筐体2の内部には回路基板30が収納されている。回路基板30には、コイルへの通電に応じてラッチ部材15を駆動する電磁石装置16と、電源電圧の異常を検出すると電磁石装置16のコイル32を励磁する励磁回路の回路部品が実装されている。
電磁石装置16は、合成樹脂製のボビン31と、コイル32と、固定鉄心33と、ホルダ部材34と、可動鉄心35と、コイルばねからなる復帰バネ36とを備えている。
ボビン31は両端に鍔部31aを有する円筒状に形成され、両側の鍔部31aの間にコイル32が複数回巻回されている。尚、コイル32の巻数などの仕様は、コイル32を励磁する電流や、必要な電磁吸引力に応じて適宜変更が可能である。
固定鉄心33は、図1及び図10に示すように、磁性材料(例えば鉄など)により前側から見た形状がU字状に形成されている。固定鉄心33の一方の脚片33aはボビン31の孔内に挿入され、この脚片33aの先端はボビン31の鍔部31aから露出している。また、固定鉄心33の他方の脚片33bには復帰バネ36が挿入されている。
ホルダ部材34は、図1(a)及び図10に示すように、脚片33aの先端が露出する鍔部31aに回転自在に取り付けられており、このホルダ部材34には磁性材料により帯板状に形成された可動鉄心35が保持されている。ホルダ部材34は、鍔部31aに保持された軸34aを中心に回転自在に取り付けられ、脚片33a,33bの先端面(磁極面)に可動鉄心35が当接する位置と、脚片33a,33bの先端面(磁極面)から可動鉄心35が離れる位置との間で回転する。ここで、可動鉄心35は、脚片33aの先端面の上側縁よりも長さD1だけ外側(上側)に張り出し、脚片33bの先端面の下側縁よりも長さD2だけ外側(下側)に張り出すような寸法に設定されている。すなわち、可動鉄心35は、脚片33a,33bの先端面(磁極面)よりも外側に張り出すような寸法に設定されている。したがって、可動鉄心35の端縁と、脚片33a,33bの先端面の端縁とが揃っている場合(すなわち長さD1,D2がゼロの場合)に比べて、固定鉄心33の磁極面から出る磁束を受ける可動鉄心35の部位の面積が大きくなり、磁気吸引力が大きくなる。
可動接点板17は、弾性の大きい導電材料(例えばステンレスなど)の帯板を中間部で折り曲げて形成され、一端側の両面にはそれぞれ可動接点17aが固着されている。また可動接点板17の他端側には、折り曲げ部から見て外側に先端部が折り曲げられることによって、端子板40の溶接片40dに溶接される溶接片17bが形成されている。
固定接点板18a,18bにはそれぞれ固定接点19a,19bが固着されている。固定接点板18aは、リード線38を介して励磁回路の一方の出力端に接続されている。固定接点板18aは、図1(b)に示すオン状態において、可動接点板17の上側面に固着された可動接点17aに固定接点19aが接触する位置に配置されている。また固定接点板18bは、図1(a)に示すオフ状態において、可動接点板17の下側面に固着された可動接点17aに固定接点19bが接触する位置に配置されている。可動接点17aが上側の固定接点19aと導通している状態では、励磁回路の出力端間にコイル32が接続された状態となりコイル32に励磁電流を流すことができる。一方、可動接点17aが下側の固定接点19bと導通している状態では、励磁回路の出力端間にコイル32が接続されていない状態となり、コイル32に励磁電流を流せない状態となる。尚、端子台5の下側の段部には、固定接点板18a,18bにそれぞれ電気的に接続された接点信号出力用の2個のねじ端子が取付可能である。接点信号出力用の2個のねじ端子を追加すれば、固定接点19a,19b及び可動接点17aからなる接点の切替状態(すなわちオン状態かオフ状態か)を示す接点信号を外部に出力することができる。
可動接点板17は駆動部材13によって駆動されるのであるが、駆動部材13を構成する駆動レバー24には、可動接点板17の折り曲げ部に係止する突起24aが設けられている。また駆動レバー24には、オン状態において可動接点板17の中間部(可動接点17aが固着された先端部と折り曲げ部との間の部位)を上向きに押圧する突起24bが設けられている。オン状態において突起24bが可動接点板17の中間部を上向きに押すことで、可動接点17aと固定接点19aとの接圧が確保される。また駆動レバー24には、オフ状態において可動接点板17の中間部を下向きに押圧する突起24cが設けられている。オフ状態において突起24cが可動接点板17の中間部を下向きに押すことで、可動接点17aと固定接点19bとの接圧が確保される。
次に、この外部引外し装置1の動作について、図1〜図3を参照して説明する。
図1(a)は操作ハンドル12がオフ位置に操作された状態を示し、この状態では外部引外し装置1に連接された回路遮断器50の接点はオフ状態となっている。操作ハンドル12は、開極バネのバネ力を受けて反時計回りに回転し、図1(a)に示すオフ状態の位置まで移動している。操作ハンドル12の動きはリンク14を介してラッチ部材15に伝達され、リンク14でラッチ部材15が引っ張られることによって、ラッチ部材15はバネ力に抗して反時計回りに回転し、リンク孔22は上側に開いた状態となっている。駆動部材13はバネ力を受けて反時計回りに回転し、ボディ3のリブ3bに当接する位置で停止する。この時、駆動部材13の突起24bで可動接点板17が下向きに押されることによって、可動接点板17が弾性変形し、下側面にある可動接点17aが固定接点19bに接触する。また連動駒11は、軸受け金具25の突起部25aで押されることによって、バネ力に抗して反時計回りに回転し、図1(a)の位置で保持される。この時、連動棒10はスリット4aを上端位置まで移動する。また表示部材20はバネ力を受けて反時計回りに回転し、段差部20aが表示ラッチ部材21に当接する位置で停止しており、この状態では窓孔2bから正常状態を表示する表示部材20の部位が露出する。また電磁石装置16のコイル32には通電されておらず、電磁吸引力が発生していないので、ホルダ部材34は復帰バネ36のバネ力を受けて反時計回りに回転し、図1(a)の位置で停止する。
その後、ユーザが操作ハンドル12,53を時計回りに回転させると、リンク14によって駆動部材13の軸受け金具25が押され、駆動部材13が時計回りに回転する。操作ハンドル12,53を回し続け、操作ハンドル12の軸12aと、リンク14の他端側が挿入されるリンク孔22とを結ぶ直線上の死点を、リンク14の一端側が超えると、リンク14の他端側が軸受け金具25の端面に押し付けられた状態で停止する。この時、操作ハンドル12及びリンク14は図1(b)の位置で保持され、回路遮断器50がオン状態となる。この時、ラッチ部材15は捻りコイルばねのバネ力を受けて、リンク14の他端側に当接する位置まで回転する。また表示部材20の突起20bが駆動部材13に押されることによって、表示部材20は時計回りに回転し、表示リセット位置に移動する。この状態では、表示ラッチ部材21はバネ力を受けて、表示部材20をラッチ可能な位置に移動している。また、連動駒11は、駆動部材13の回転に合わせて(或いは、時計回りに回転するラッチ部材15の一部で押されることによって)時計回りに回転し、連動棒10はスリット4aの下端位置まで移動する。また、駆動部材13の突起24bが可動接点板17を上向きに押すことによって、可動接点板17が弾性変形し、上側面にある可動接点17aが固定接点19aに接触する。この時、一対のねじ端子9の間に励磁回路が備えるスイッチとコイル32とが直列接続された状態となる。また電磁石装置16のコイル32には通電されておらず、電磁吸引力が発生していないので、ホルダ部材34は復帰バネ36のバネ力を受けて反時計回りに回転している。
このオン状態において電源電圧が定格電圧よりも高い所定の設定値を上回っている過電圧状態を励磁回路が検出すると、励磁回路は、回路遮断器50をトリップさせるために、コイル32に直列接続されたスイッチ(例えば、サイリスタ素子)をオンさせる。スイッチがオンになって、コイル32に通電されると、固定鉄心33の両脚片33a,33bの先端面と可動鉄心35との間に電磁吸引力が発生して、ホルダ部材34は図2(a)に示すように時計回りに回転する。ホルダ部材34が時計回りに回転すると、ホルダ部材34の突起34bによってラッチ部材15の突起部15aが押され、ラッチ部材15が反時計回りに回転し、ラッチ部材15の端面がリンク14の他端部から離れる。この時、リンク14は、操作ハンドル12に支持された一端側を中心に反時計回りに回転し、リンク14の他端側がリンク孔22の外側に離脱するため、リンク14の支えを失った駆動部材13は開極ばねのバネ力を受けて反時計回りに回転し、図2(b)の位置に移動する。また駆動部材13の突起部25aによって連動駒11が上側に押され、連動棒10がスリット4aの上端位置に移動するので、連動棒10によって回路遮断器50の開閉機構が駆動され、開閉機構によって接点がオフされる。これにより、回路遮断器50に接続された負荷機器への電源供給が遮断され、負荷機器を保護することができる。また、表示ラッチ部材21がホルダ部材34の突起34bに押されて反時計回りに回転することによって、表示部材20のラッチが解除される。表示部材20は、復帰バネのバネ力を受けて反時計回りに回転し、異常を表示する部位が窓孔2bに望む位置(図2(b)に示す位置)まで回転する。また、駆動部材13が反時計回りに回転することによって、駆動部材13の突起24cで可動接点板17が下向きに押され、可動接点17aが上側の固定接点19aから離れて、下側の固定接点19aに接触する(図3(a)参照)。この時、可動接点17aが固定接点19aから離れることによってコイル32への通電が遮断されるから、固定鉄心33と可動鉄心35との間に働く電磁吸引力がなくなり、ホルダ部材34が復帰バネ36のバネ力を受けて反時計回りに回転する。
その後、操作ハンドル12が開極ばねのバネ力を受けて反時計回りに回転し、図3(b)に示す位置まで移動する。この時、リンク14の他端側(操作ハンドル12に支持された側と反対側)は、駆動部材13とラッチ部材15とで囲まれるリンク孔22に挿入された状態となり、操作ハンドル12を時計回りに回転させてオン位置に移動させると、図1(b)に示す状態となる。
以上説明したように、本実施形態の外部引外し装置1は、1乃至複数の極を持つ回路遮断器50と連接して配置され、回路遮断器50を介して負荷に供給される電源の異常時に回路遮断器50をオフ動作させるものである。外部引外し装置1の筐体2は、回路遮断器50の器体51に対して連接するように取り付けられる。筐体2の内部には、連動棒10と、操作ハンドル(操作部)12と、駆動部材13と、リンク14と、ラッチ部材15と、電磁石装置16とが収納されている。連動棒10は、筐体2において回路遮断器50と対向する側面から一部が突出し、この突出部位で回路遮断器50の接点をオフ動作させる。操作ハンドル12は、筐体2の前面から操作部位が外部に露出する。駆動部材13は筐体2に回転自在に支持されて連動棒10(本実施形態では連動棒10を保持する連動駒11)を駆動する。リンク14は、一端側が操作ハンドル12に支持されて、操作ハンドル12の動きを駆動部材13に伝達する。ラッチ部材15は駆動部材13との間でリンク14の他端側をラッチする。電磁石装置16は、電源の電圧異常時にラッチ部材15を駆動し、ラッチ部材15と駆動部材13の間からリンク14の他端側を外側に逃がすことで、駆動部材13を復帰バネのバネ力によって連動棒10から離れる方向へ移動させる。そして、電磁石装置16はコイル32と、固定鉄心(固定子)33と、可動鉄心(可動子)35と、ホルダ部材34とを備える。コイル32は、筐体2に設けられたねじ端子(接続端子)9に接続される電源により通電され、電源の電圧異常時と正常時とで励磁されるか否かが切り替えられる。固定鉄心33はコイル32の中心に一部が通されている。可動鉄心35は、コイル32が励磁されると固定鉄心33の磁極に吸引される。ホルダ部材34は、可動鉄心35を保持して回転自在に配置され、電源の電圧異常時にラッチ部材15を駆動する。筐体2には、操作ハンドル12の操作部位が露出する前面と反対側の面に、取付レール60が挿入される溝2cが設けられ、電磁石装置16は、コイル32の巻き軸方向が前面と平行するようにして筐体2の内部に収納されている。
筐体2の前面から操作ハンドル12の操作部位が露出しているので、筐体2の内部には前面に近い側に連動棒10や操作ハンドル12や駆動部材13やリンク14やラッチ部材15が収納される。したがって、コイル32の巻き軸方向が前後方向に沿うようにして電磁石装置が収納された場合は、巻き軸方向において電磁石装置を小型化する必要があるが、巻き軸方向が前面と平行するようにして電磁石装置が配置されているので、コイル32の巻き軸方向において電磁石装置16の寸法を大きくとることができる。よって、電磁石装置を小型にするために固定鉄心33の一部を折り曲げる必要がなくなるから、電磁石装置16の製造コストを安価にでき、それによって外部引外し装置1の製造コストを安価にできる。
また本実施形態は、ねじ端子9(接続端子)に入力される電源電圧が、定格電圧よりも高い所定の設定値を上回ると、ホルダ部材34によってラッチ部材15が駆動されるように、コイル32を励磁するか否かを切り替える励磁回路を備えている。
これにより、電源電圧が過電圧状態になると、回路遮断器50が遮断されるので、回路遮断器50に接続される負荷を保護できる。
また本実施形態では、何れか一方がコイル32に電気的に接続される第1及び第2の固定接点19a,19bと、可動接点板17とをさらに備えている。可動接点板17は、第1及び第2の固定接点19a,19bの間に一端側が配置され、一端側の両面に可動接点17aが設けられ、ねじ端子9(接続端子)の端子板40に他端側が溶接により固定される。可動接点板17は、駆動部材13の回転に応じて、一方の可動接点17aが第1の固定接点19aに接触する状態、又は、他方の可動接点17aが第2の固定接点19bに接触する状態に切り替えられる。そして、可動接点板17は一端側と他端側との間で折り返され、可動接点板17において端子板40の溶接片40dに溶接固定される部位が、折り返し部から見て外側に曲げられている。
ところで、可動接点板17において端子板40の溶接片40dに溶接固定される部位が、折り返し部から見て内側に曲げられていると、可動接点板17が邪魔になって、可動接点板17の溶接部位に溶接用電極を近付ける作業がやりにくくなる。それに対して、本実施形態では、可動接点板17において端子板40の溶接片40dに溶接固定される部位が、折り返し部から見て外側に曲げられている。これにより、可動接点板17の溶接部位に溶接用電極を近付ける際に、可動接点板17の溶接部位以外の部位が邪魔にならず、溶接用電極で溶接部位を両側から容易に挟むことができるから、溶接作業がやりやすくなる。
また本実施形態では、突起24a(第1突起)と、突起24b,24c(第2突起及び第3突起)とが駆動部材13に設けられている。突起24aは可動接点板17の折り返し部と係止する。突起24bは、一方の可動接点17aが固定接点(第1の固定接点)19aに接触する場合に可動接点板17を固定接点19a側に押す。突起24cは、他方の可動接点17aが固定接点(第2の固定接点)19bに接触する場合に可動接点板17を固定接点19b側に押している。
ここで、可動接点板17の折り返し部の位置が固定されている場合、折り返し部から先の部分(すなわち可動接点17aが設けられた一端側と折り返し部との間)のみが撓むことになる。そのため、可動接点板17は、撓みに対して有効な部分の長さが短くなり、撓みによって発生する応力が大きくなるから、可動接点板17に高価な材料を使用する必要がある。それに対して、本実施形態では折り返し部と係止する突起24aが駆動部材13に設けられており、駆動部材13の回転動作に応じて突起24aの位置も変化するから、可動接点板17の全体が撓むことになる。したがって、可動接点板17は、撓みに対して有効な部分の長さを長くとれるから、撓みによって発生する応力が小さくなり、可動接点板17に安価な材料を使用できる。
また本実施形態では、接続端子(ねじ端子9)が、端子ねじ41と、端子ねじ41が締結される端子板40とを備えている。端子板40は、ねじ孔を有する上板40a(第1板片)と、上板40aと厚み方向に間隔を開けて配置される下板40c(第2板片)と、上板40a及び下板40cの間をつなぐ縦板40b(第3板片)とを少なくとも備えている。そして、上板40aと縦板40bと下板40cのうちの複数が、端子ねじ9の軸方向と交差する方向から筐体(本実施形態では端子台5の取付溝5dの内側面)によって保持されている。
これにより、上板40aと縦板40bと下板40cとの側縁がそれぞれ取付溝5dの内側面に当接するので、端子ねじ41のねじ締めによって端子板40を回転させる力が加わったとしても、端子板40が回りにくくなり、ねじ締め強度が向上する。
また本実施形態では、可動子(可動鉄心35)が、固定子(固定鉄心33)の磁極面から外側に張り出して設けられている。特に可動鉄心35は、ホルダ部材34の回転中心から遠い側の端縁が、固定鉄心33の磁極面よりも外側に張り出して設けられている。
これにより、固定鉄心33の磁極面から出る磁束を受ける可動鉄心35の部位の面積が大きくなり、磁気吸引力を強めることができる。
また本実施形態では、駆動部材13が、合成樹脂により成形された成形品(駆動レバー24)と、少なくともリンク14と接触する部分が金属で形成された金属部品(軸受け金具25)とを組み合わせて構成されている。
リンク14と接触する駆動部材13の部位は、操作ハンドル12の操作に応じてリンク14が動くことによって摩耗する可能性があるが、リンク14と接触する部分を金属部品で構成しているので摩耗しにくく、耐久性が向上する。また、駆動部材13の全体が樹脂で形成された場合に比べて、部分的に金属部品を使用することで、強度の必要な部分を小型に形成できるから、全体として駆動部材13を小型にできる。
尚、複数の回路遮断器50が連接されることで、所望の極数の回路遮断器を実現できる。連接された複数個の回路遮断器50は、操作ハンドル53が互いに連結されて、各回路遮断器50の操作ハンドル53が一体的に動かされる。したがって、外部引外し装置1に連接された回路遮断器50に、1乃至複数の極をもつ回路遮断器50が連接された場合、電源電圧の異常時に外部引外し装置1が隣接する回路遮断器50をオフ動作させることで、回路遮断器50の極を全てオフ動作させることができる。
(実施形態2)
実施形態2の外部引外し装置1について図11〜図15を参照して説明する。
本実施形態では、電源電圧が定格電圧(Ue)よりも低い所定の設定値(Uunder、例えば定格電圧の35%〜70%)を下回る不足電圧状態を検出すると、回路遮断器50をオフ動作させる励磁回路を備えた外部引外し装置1について説明する。尚、電磁石装置16及び駆動部材13以外は実施形態1と共通するので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
駆動部材13は、実施形態1と同様に、合成樹脂製の駆動レバー24と、金属製の軸受け金具25とで構成される。この駆動部材13とラッチ部材15と表示部材20とは、筐体2に両端が保持される軸23を介して回転自在に支持されている。駆動部材13は、図13(a)(b)に示すように、コイルばねからなる復帰バネ27と、捻りコイルばねからなる復帰バネ29とによって、反時計回りに回転する方向の力を常時受けている。復帰ばね27,29の一端はそれぞれボディ3のリブに係止され、復帰ばね27,29の他端は駆動部材13に係止されている。尚、図13(b)に示すように、操作ハンドル12には、開極バネ28によって反時計回りに回転する方向のバネ力が常時加えられている。また、表示ラッチ部材21は、捻りコイルバネ37によって時計回りに回転する方向の力を常時受けている。
電磁石装置16は、合成樹脂製のボビン31と、コイル32と、固定鉄心33と、ホルダ部材34と、可動鉄心35と、コイルばねからなる復帰バネ36とを備えている。
固定鉄心33は、磁性材料(例えば鉄など)により前側から見た形状がU字状に形成されている。固定鉄心33の一方(下側)の脚片はボビン31の孔内に挿入され、この脚片の先端はボビン31の鍔部31aから露出している。また、固定鉄心33の他方(上側)の脚片には復帰バネ36が挿入されている。
ホルダ部材34は、図11(a)に示すように、固定鉄心33の脚片の先端が露出する鍔部31aに回転自在に取り付けられており、このホルダ部材34には磁性材料により帯板状に形成された可動鉄心35が保持されている。ホルダ部材34は、鍔部31aに保持された軸34aを中心に回転自在に取り付けられており、両脚片の先端面(磁極面)に可動鉄心35が当接する位置と、両脚片の先端面(磁極面)から可動鉄心35が離れる位置との間で回転できるようになっている。実施形態1と同様、可動鉄心35は、固定鉄心33の脚片の先端面よりも外側に張り出すような寸法に設定されているので、固定鉄心33の磁極面から出る磁束を受ける可動鉄心35の部位の面積が大きくなり、磁気吸引力を強めることができる。
また本実施形態では可動接点板17及び固定接点板18a,18bが設けられておらず、電磁石装置16のコイル32は、励磁回路が備えるスイッチを介して、ねじ端子9に接続されている。而して、励磁回路が備えるスイッチのオン/オフによって、コイル32が励磁されるか否かが切り替えられるようになっている。尚、励磁回路は、ねじ端子9に接続される電源から動作電源を得ている。
この外部引外し装置1の動作について図11〜図15を参照して説明する。
図11(a)は操作ハンドル12がオフ位置に操作された状態を示し、この状態では外部引外し装置1に連接された回路遮断器50の接点はオフ状態となっている。操作ハンドル12は、開極バネ28のバネ力を受けて反時計回りに回転し、図11(a)に示すオフ状態の位置まで移動している。操作ハンドル12の動きはリンク14を介してラッチ部材15に伝達され、リンク14でラッチ部材15が引っ張られることによって、ラッチ部材15はバネ力に抗して反時計回りに回転し、リンク孔22は上側に開いた状態となっている。駆動部材13は復帰バネ27,29のバネ力を受けて反時計回りに回転し、ボディ3のリブ(図示せず)に当接する位置で停止する。また連動駒11は、軸受け金具25の突起部25aで押されることによって、バネ力に抗して反時計回りに回転し、図11(a)の位置で保持される。この時、連動棒10はスリット4a内を上端位置まで移動する。また表示部材20はバネ力を受けて反時計回りに回転し、段差部20aが表示ラッチ部材21に当接する位置で停止しており、この状態では窓孔2bから正常状態を表示する表示部材20の部位が露出する。また、ホルダ部材34の先端の突起部34cが、駆動部材13(駆動レバー24)の裏面の突起24g(図13(b)参照)に押されることによって、ホルダ部材34は反時計回りに回転し、可動鉄心35が固定鉄心33の磁極面に接触する位置に保持されている。
その後、ユーザが操作ハンドル12,53を時計回りに回転させると、リンク14によって駆動部材13の軸受け金具25が押され、駆動部材13が時計回りに回転する。操作ハンドル12,53を回し続け、操作ハンドル12の軸12aと、リンク14の他端側が挿入されるリンク孔22とを結ぶ直線上の死点を、リンク14の一端側が超えると、リンク14の他端側が軸受け金具25の端面に押し付けられた状態で停止する。この時、操作ハンドル12及びリンク14は図11(b)の位置に保持され、回路遮断器50がオン状態となる。また、ラッチ部材15は捻りコイルばねのバネ力を受けて、リンク14の他端側に当接する位置まで回転する。また表示部材20の突起20bが駆動部材13に押されることによって、表示部材20は時計回りに回転し、表示リセット位置に移動する。この状態では、表示ラッチ部材21はバネ力を受けて、表示部材20をラッチ可能な位置に移動している。また、連動駒11は、駆動部材13の回転に合わせて(或いは、時計回りに回転するラッチ部材15の一部で押されることによって)時計回りに回転し、連動棒10はスリット4aの下端位置まで移動する。また、オン状態において電源電圧が正常であれば、励磁回路によってコイル32に通電され、可動鉄心35が固定鉄心33に吸引されることによって、ホルダ部材34が復帰バネ36のバネ力に抗して図11(b)の位置まで回転した状態となっている。この状態ではホルダ部材34の先端の突起部34cが駆動部材13から離れた位置に移動している。
このオン状態において、電源電圧が定格電圧よりも低い所定の設定値を下回っていることを(不足電圧状態)、励磁回路が検出すると、励磁回路は、回路遮断器50をトリップさせるために、コイル32に直列接続されたスイッチをオフさせる。この時、コイル32への通電が停止され、固定鉄心33と可動鉄心35の間に発生する電磁吸引力がなくなるので、ホルダ部材34は復帰バネ36のバネ力を受けて、図12に示すように時計回りに回転する。ホルダ部材34が時計回りに回転すると、ホルダ部材34の先端側でラッチ部材15の突起部15aが押され、ラッチ部材15が反時計回りに回転し、ラッチ部材15の端面がリンク14の他端部から離れる。リンク14の他端部からラッチ部材15の端面が離れると、リンク14は、操作ハンドル12に支持された一端側を中心に反時計回りに回転する。この時、リンク14の他端側がリンク孔22の外側へ離脱するため、リンク14の支えを失った駆動部材13は復帰バネ27,29のバネ力を受けて反時計回りに回転し、図13(a)(b)の位置に移動する。また、駆動部材13の突起部25aによって連動駒11が上側に押され、連動棒10がスリット4aの上端位置に移動するので、連動棒10によって回路遮断器50の開閉機構が駆動され、開閉機構によって接点がオフされる。これにより、回路遮断器50に接続された負荷機器への電源供給が遮断され、負荷機器を保護することができる。尚、ホルダ部材34は復帰バネ36のバネ力を受けて時計回りに回転するが、突起部34cの先端が駆動部材13の突起24gに当接すると、復帰バネ27,29のバネ力が復帰バネ36のバネ力よりも大きく設定されているので、それ以上、時計回りに回転することができなくなる。そして、駆動部材13が復帰バネ27,29のバネ力を受けて反時計回りに回転すると、突起24gで突起部34cの先端が押されることによって、ホルダ部材34は反時計回りに回転し、可動鉄心35が固定鉄心33の磁極面に接触する位置まで移動する。
また、表示ラッチ部材21がホルダ部材34の突起部34cに押されて反時計回りに回転することによって、表示部材20のラッチが解除される。表示部材20は、ラッチが解除されると、復帰バネのバネ力を受けて反時計回りに回転し、異常を表示する部位が窓孔2bに望む位置(図14(a)に示す位置)まで回転する。また、操作ハンドル12が開極ばねのバネ力を受けて反時計回りに回転し、オフ位置まで移動すると、図14(b)に示すようにリンク14の他端側が、リンク孔22の開口部を通ってリンク孔22の内側に挿入され、図15(a)(b)に示す位置まで移動する。この時、リンク14の他端側(操作ハンドル12に支持された側と反対側)は、駆動部材13とラッチ部材15とで囲まれるリンク孔22に挿入された状態となり、操作ハンドル12を時計回りに回転させてオン位置に移動させると、図11(b)に示す状態となる。
本実施の形態において、電磁石装置16の励磁状態を切り替えるスイッチを省略し、電源電圧が定格電圧よりも低くなることで、電磁石装置16に通電される電流が減少し、固定鉄心33と可動鉄心35の間に発生する電磁吸引力が低下することで、ホルダ部材34を時計回りに回転させることもできる。
以上のように本実施形態では、接続端子(ねじ端子9)に入力される電源電圧が、定格電圧よりも低い所定の設定値を下回ると、ホルダ部材34によってラッチ部材15が駆動されるように、コイル32を励磁するか否かを切り替える励磁回路を備えている。
これにより、電源電圧が不足電圧状態になると、回路遮断器50が遮断されるので、回路遮断器50に接続される負荷を保護できる。尚、上記の実施形態では常時通電であるので(電源電圧が不足していない状態では電磁石装置16のコイル32に通電されているので)、電源電圧が不足する状態になると、コイル32を励磁していない状態に切り替わり、それによってラッチ部材15が駆動される。
(実施形態3)
実施形態3の外部引外し装置1について図16〜図19を参照して説明する。
本実施形態では、トリップ動作を行わせる励磁回路を備えておらず、外部の検出装置(図示せず)から接続端子に入力される信号によって、コイル32に励磁されるか否かが切り替えられる。
本実施形態の外部引外し装置1は回路基板30を備えておらず、固定接点板18aが、リード線39aを介してコイル32の一端に接続されている。また、可動接点板17が接続されていないねじ端子9が、リード線39bを介してコイル32の他端に接続されている。したがって、一対のねじ端子9の間に、コイル32と、可動接点板17及び固定接点板18aからなる接点部とが直列に接続されている。尚、回路基板30が設けられていない点を除いては実施形態1と同様であるから、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
本実施形態では、外部の検出装置が電源電圧の異常など一定の条件を満たしたことを判断すると、外部の検出装置からねじ端子9を介してコイル32に励磁電流が供給される。
この外部引外し装置1の動作について図16〜図18を参照して説明する。
図16(a)は操作ハンドル12がオフ位置に操作された状態を示し、この状態では外部引外し装置1に連接された回路遮断器50の接点はオフ状態となっている。操作ハンドル12は、開極バネのバネ力を受けて反時計回りに回転し、図16(a)に示すオフ状態の位置まで移動している。操作ハンドル12の動きはリンク14を介してラッチ部材15に伝達され、リンク14でラッチ部材15が引っ張られることによって、ラッチ部材15はバネ力に抗して反時計回りに回転し、リンク孔22は上側に開いた状態となっている。駆動部材13はバネ力を受けて反時計回りに回転し、ボディ3のリブ3bに当接する位置で停止する。この時、駆動部材13の突起24bで可動接点板17が下向きに押されることによって、可動接点板17が弾性変形し、下側面にある可動接点17aが固定接点19bに接触する。この状態では、一対のねじ端子9,9の間にコイル32が接続されていない状態となり、コイル32に通電することはできない。電磁石装置16のコイル32には通電されておらず、電磁吸引力が発生していないので、ホルダ部材34は復帰バネ36のバネ力を受けて反時計回りに回転し、図16(a)の位置で停止する。また連動駒11は、軸受け金具25の突起部25aで押されることによって、バネ力に抗して反時計回りに回転し、図16(a)の位置で保持される。この時、連動棒10はスリット4aを上端位置まで移動する。また表示部材20はバネ力を受けて反時計回りに回転し、段差部20aが表示ラッチ部材21に当接する位置で停止しており、この状態では窓孔2bから正常状態を表示する表示部材20の部位が露出する。
その後、ユーザが操作ハンドル12,53を時計回りに回転させると、リンク14によって駆動部材13の軸受け金具25が押され、駆動部材13が時計回りに回転する。操作ハンドル12,53を回し続け、操作ハンドル12の軸12aと、リンク14の他端側が挿入されるリンク孔22とを結ぶ直線上の死点を、リンク14の一端側が超えると、リンク14の他端側が軸受け金具25の端面に押し付けられた状態で停止する。この時、操作ハンドル12及びリンク14は図16(b)の位置に保持され、回路遮断器50がオン状態となる。ラッチ部材15は捻りコイルばねのバネ力を受けて、リンク14の他端側に当接する位置まで回転する。また表示部材20の突起20bが駆動部材13に押されることによって、表示部材20は時計回りに回転し、表示リセット位置に移動する。この状態では表示ラッチ部材21は、バネ力を受け、表示部材20をラッチ可能な位置に移動している。また連動駒11は、駆動部材13の回転に合わせて(或いは、時計回りに回転するラッチ部材15で押されることによって)時計回りに回転し、連動棒10はスリット4aの下端位置まで移動する。また駆動部材13の突起24bが可動接点板17を上向きに押すことによって、可動接点板17が弾性変形し、上側面にある可動接点17aが固定接点19aに接触する。この時、一対のねじ端子9の間にコイル32が接続された状態となり、コイル32への通電が可能になる。尚、電源電圧が正常な場合はコイル32は通電されておらず、電磁吸引力が発生していないので、ホルダ部材34は復帰バネ36のバネ力を受けて反時計回りに回転している。
このオン状態において、外部の検出装置が電源電圧の異常(過電圧異常又は不足電圧異常)、或いは押し釦操作等の一定条件を検出すると、回路遮断器50をトリップさせるために、ねじ端子9,9に励磁電流を供給する。この時、ねじ端子9を介してコイル32に通電され、固定鉄心33の両脚片33a,33bの先端面と可動鉄心35との間に電磁吸引力が発生するので、ホルダ部材34は図17(a)に示すように時計回りに回転する。ホルダ部材34が時計回りに回転すると、ホルダ部材34の突起34bによってラッチ部材15の突起部15aが押され、ラッチ部材15が反時計回りに回転し、ラッチ部材15の端面がリンク14の他端部から離れる。この時、リンク14は、操作ハンドル12に支持された一端側を中心に反時計回りに回転し、リンク14の他端部がリンク孔22の外側へ離脱するため、リンク14の支えを失った駆動部材13は開極ばねのバネ力を受けて反時計回りに回転し、図17(b)の位置に移動する。また駆動部材13の突起部25aによって連動駒11が上側に押され、連動棒10がスリット4aの上端位置に移動するので、連動棒10によって回路遮断器50の開閉機構が駆動され、開閉機構によって接点がオフされる。これにより、回路遮断器50に接続された負荷機器への電源供給が遮断され、負荷機器を保護することができる。また表示ラッチ部材21がホルダ部材34の突起34bに押されて反時計回りに回転することによって、表示部材20のラッチが外れる。表示部材20は、復帰バネのバネ力を受けて反時計回りに回転し、異常を表示する部位が窓孔2bに望む位置(図17(b)に示す位置)まで回転する。また、駆動部材13が反時計回りに回転することによって、駆動部材13の突起24cで可動接点板17が下向きに押され、可動接点17aが上側の固定接点19aから離れて、下側の固定接点19aに接触する。この時、可動接点17aが固定接点19aから離れることによってコイル32への通電が遮断されるから、固定鉄心33と可動鉄心35との間に働く電磁吸引力がなくなり、ホルダ部材34が復帰バネ36のバネ力を受けて反時計回りに回転する。
その後、操作ハンドル12が開極ばねのバネ力を受けて反時計回りに回転し、図18(a)に示すようにオフ位置まで移動する。この時、リンク14の他端側(操作ハンドル12に支持された側と反対側)は、図18(a)に示すようにリンク孔22の開口部からリンク孔22内に挿入され、図18(b)に示すように駆動部材13とラッチ部材15とでラッチされた状態となる。その後、操作ハンドル12を時計回りに回転させてオン位置に移動させると、図16(b)に示す状態となる。
以上のように本実施形態では、電源電圧が異常か正常かを検出する外部の検出装置から接続端子(ねじ端子9)に入力される信号によって、コイル32に励磁されるか否かが切り替えられるようになっている。
これにより、外部の検出装置からの信号を受けて、連接された回路遮断器50をオフさせることができるので、回路遮断器50に接続される負荷を保護できる。