JP5970146B1 - 太陽光発電装置を含む電力系統の制御方法及び制御システム - Google Patents

太陽光発電装置を含む電力系統の制御方法及び制御システム Download PDF

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Abstract

【課題】 「ピーク発電量の集中による需要量超過」という現象を抑制しながら、電力系統に接続された太陽光発電装置の出力抑制をなくして常時その発電能力を最大限に活用することができる電力系統の制御方法及び制御システムを提供する。【解決手段】 予測日に、翌日と翌々日の時間当たり予測需要量と、太陽光発電装置4の予測日の発電実績から算出した翌日の実放電量及び翌々日の時間当たり予測放電量と、太陽光発電装置5、6の翌日と翌々日の時間当たり予測発電量とを用いて、非再生可能エネルギー発電装置9bの翌日分と翌々日分の稼働計画を作成する。翌日分の稼働計画の実行中に、太陽光発電装置4の付設蓄電池3の蓄電実績に基づいて算出した前記時間当たり実放電量を使用して、付設蓄電池3から放電させる。【選択図】 図4

Description

本発明は、太陽光発電装置(以下、太陽光発電所またはPV発電装置とも言う)を含む電力系統の制御方法及び制御システムに関し、さらに言えば、多数の太陽光発電装置が電力系統に接続された場合に生じる「ピーク発電量の集中による需要量超過」という現象を抑制しながら、太陽光発電装置から安定した電力の供給を行うようにすることで、電力系統に接続された多数の太陽光発電装置の出力抑制をなくして常時それらの発電能力を最大限に活用することができる、電力系統の制御方法及び制御システムに関する。
本明細書において「電力系統」とは、各種の発電装置(発電所)で発電された電力を送電線、変電所、配電線、引込線等を介して需要家に送り届けるシステムを意味し、発電から送電、変電、配電までを行う設備(装置群)の全体を含む。また、「電力系統の制御」とは、需要家に供給する電圧とその周波数が常に所定範囲内に維持されるように、電力系統に設けられた発電装置(発電所)や送配電設備等の設備(装置群)を制御することを意味する。
近年、大気中の二酸化炭素の急増が地球温暖化や異常気象を招来しているとの観点から、再生可能エネルギーを利用した発電技術の開発が多方面で進められている。このため、太陽光、風力、地熱等を利用した種々の発電技術が開発され・実用化されて来ている。その一つである太陽光発電は、太陽電池パネルによる光起電力効果(photovoltaic effect)を利用して、太陽電池パネルに照射された太陽光エネルギーを直接的に電気エネルギーに変換する技術であり、他の再生可能エネルギー利用の発電技術よりも費用対効果が高いことから、近年、学校、工場、一般家庭等に広範に普及しつつある。
ところで、太陽光発電の一つの特性は、1日の発電量が太陽の位置によって大きく変動することである。発電量は、太陽が真南に来た時、つまり南中時に最大になり、南中時の前後の発電量は南中時のそれより小さい。晴天の日であれば、南中時を挟んだ前後5時間の発電量は、1日の総発電量の60%に達するほどである。また、日の入りから日の出までの間、発電量はゼロになる。このように、太陽光発電では、太陽が出ていない間のゼロから南中時の最大値まで、1日の間で発電量が大きく変動するため、太陽光発電装置が広く普及してそれによる電力が多量に電力系統に流れ込むようになると、各太陽光発電装置のピーク発電量が重畳されて当該電力系統に供給される電力の合計(供給量の合計)が、閑散日や平均日の需要量だけでなく、ピーク日の需要量をも越えてしまう、といった現象が起こりやすい(図1参照)。
一般に、電力系統を制御する制御システムは、電力系統に設けられた内燃力発電機の出力調整機能を用いて、各種発電装置からの当該電力系統への電力供給量(発電量)をその時の需要量に合わせて調整している。しかし、前記電力系統への電力供給量がその時の需要量を大きく超えてしまい、前記内燃力発電機の出力調整機能を用いても前記電力供給量を調整できない状態になると、前記電力系統に設置された太陽光発電装置に対する「出力抑制」を頻繁に行うようになる。こうして「出力抑制」が頻発すると、前記太陽光発電装置の発電能力がフルに発揮されなくなる。そこで、前記制御システムは、前記電力系統に設けられている揚水式発電設備で揚水作業を行ったり、他の電力業者へ余剰電力を転送したりして、前記太陽光発電装置に対する「出力抑制」の頻発を防止し、もって電力の需給バランスを保つようにしている。しかし、そのようにしても、なかなか前記太陽光発電装置の発電能力を高レベルに保持することができない。このため、太陽光発電は再生可能エネルギー利用発電技術の代表であるにもかかわらず、その発電能力をフルに発揮させられない状況が続いているのが現状である。
そこで、電力系統に設置された太陽光発電装置の発電能力を最大限に利用するために、近年、蓄電装置(二次電池)を利用する技術が提案されている。
例えば、特許文献1(特開2014−90665号公報)には、複数の再生可能エネルギー発電機と複数の火力・水力発電機が電力系統に接続され、中央システムにより複数の火力・水力発電機を制御し、再生可能エネルギー発電制御システムにより複数の再生可能エネルギー発電機を制御する「電力系統の運転制御システム」が開示されている。この電力系統の運転制御システムでは、前記中央システムは、電力系統の電力需給不均衡を解消するための自動周波数制御信号を作成して前記火力・水力発電機を制御する。前記再生可能エネルギー発電制御システムは、気象条件変動による前記再生可能エネルギー発電機の電力変動と、前記火力、水力発電機が負担可能な電力容量を用いて、電力系統に接続可能な前記再生可能エネルギー発電機の発電量である連系可能量を求め、前記再生可能エネルギー発電機の総発電量を前記連系可能量以内とする個別の発電指令を前記再生可能エネルギー発電機に与えるとともに、前記連系可能量を求めるために必要な時間に関連する基礎情報を前記中央システムに連携されて入手し、時間の経過とともに変化する前記連系可能量を求める。なお、前記再生可能エネルギー発電機には蓄電池を装備可能である。
以上のような構成を持つ特許文献1の電力系統の運転制御システムでは、再生可能エネルギー発電機を最大限に活用しながら、電力系統を安定に運用するという目的を達成できる(要約、請求項1、段落0027〜0038、図1〜図2参照)。
特許文献2(特開2013−169089号公報)には、複数の蓄電池装置と複数の発電機を備えた「電力系統の運用方法」が開示されている。この電力系統の運用方法は、予定日の予定時間帯に電力供給可能な蓄電池による電力量を求め、この蓄電池による電力量を含めた電力系統の経済負荷配分計算を実施し、定められた前記蓄電池について、予定日の予定時間帯に前記蓄電池による電力供給を実行する。
以上のような構成を持つ特許文献2の電力系統の運用方法では、蓄電池の運用及びコストを考慮しつつ、蓄電池の能力を最大限引き出し、かつ均等に蓄電池を利用する電力系統の運用方法を提供するという目的を達成できる(要約、請求項1、段落0027〜0038、図1〜図2参照)。
特許文献3(特許第4192131号明細書)には、「発電計画方法」が開示されている。この発電計画方法は、電力を使用する需要家側に、前記需要家に電力を供給する電力系統に接続して備えられ、前記需要家のために充放電を行う二次電池の制御を含めて、前記電力系統に給電する電力の発電計画を立案する方法であって、前記電力系統から電力の供給を受ける全ての需要家による総需要電力を推定することと、前記電力系統に給電する固定電力を発電する固定電力発電機によって発電される固定電力を計算することと、前記電力系統に給電する変動電力を発電する変動電力発電機によって、所定の経済条件を満足する制約条件内で発電できる変動電力を計算することと、前記固定電力と前記変動電力との和を、前記総需要電力から減じることによって、前記二次電池が分担する総分担電力を計算することと、前記各二次電池の現在の充電量と運転スケジュールとに基づいて、前記総分担電力のうち前記各二次電池がそれぞれ分担する個別分担電力を計算することと、前記個別分担電力に基づいて、前記各二次電池の新たな運転スケジュール又は充放電量を決定することと、前記決定した新たな運転スケジュール又は充放電量に基づいて前記各二次電池を制御することを備えている。
以上のような構成を持つ特許文献3の「発電計画方法」では、二次電池の能力を活用することによって、従来よりも発電機の燃料費を抑制する発電計画を立案することが可能な発電計画方法を提供できる(要約、請求項1、段落0027〜0038、図1〜図2参照)。
特許文献4(特開2011−114945号公報)には、内燃力発電設備、二次電池、再生可能エネルギー利用発電設備、負荷設備で構成される電力系統に関して、前記内燃力発電設備の発電スケジュールと前記二次電池の充放電スケジュールを作成する「供給電力計画作成装置」が開示されている。この供給電力計画作成装置は、前記負荷設備による消費電力である負荷電力を、所定の時間範囲と時間間隔で予測する負荷予測手段と、前記再生可能エネルギー利用発電設備による発電電力を、前記所定の時間範囲と時間間隔で予測する再生可能利用発電電力予測手段と、前記内燃力発電設備と前記二次電池が供給すべき供給電力であって前記所定の時間範囲と時間間隔での供給電力として、前記負荷電力予測値と前記再生可能利用発電電力予測値との差を算出する供給電力算出手段と、前記内燃力発電設備による発電スケジュールと前記二次電池による充放電スケジュールであって前記所定の時間範囲と時間間隔での該各スケジュールを作成する手段であって、予め設定されている前記内燃力発電設備による発電コストに係わる目的関数と前記内燃力発電設備と前記二次電池に関する各種制約条件と、前記供給電力算出手段によって算出された前記供給電力とに基づいて、前記各種制約条件を満たし且つ前記発電コストが低い前記発電スケジュール及び前記充放電スケジュールを決定する供給電力計画算出手段とを有する。
以上の構成を持つ特許文献4の供給電力計画作成装置では、発電機の発電計画と二次電池の運転計画の最適化を実現するという目的を達成できる(要約、請求項1、段落0011、0017〜0035、図1〜図3参照)。
特許文献5(特許第5582831号明細書)には、電力系統に電力を供給可能な「太陽光発電システム」が開示されている。この太陽光発電システムは、 太陽光発電システムに適用される発電機特性を記憶するメモリと、太陽光発電システムが結合する電力系統の系統データと、太陽光発電システムから電力系統への出力データとを計測する計測手段と、太陽光発電システムの運転目標値の設定を受け付ける目標値設定手段と、前記メモリから読み込んだ発電機特性と、前記目標値設定手段から送られた運転目標値と、前記計測手段から送られた系統データ及び出力データと、を用いて太陽光発電システムが出力すべき出力目標値を算出する計算手段と、太陽光電池と、蓄電池と、前記太陽光電池及び前記蓄電池から出力された電気エネルギーを電力系統に適合した電力に変換する電力変換装置と、を備え、前記計算手段により算出された出力目標値に基づいて相当する電力を電力系統へ供給する太陽光電池装置とを備え、前記メモリに記憶される発電機特性は、時刻に対応付けされた発電機特性の計画であって、さらに、発電機特性の計画の直接入力または通信回線を介したリモート入力を受け付ける計画設定手段を備え、前記計算手段は、時計と、前記メモリに記憶された発電機特性の計画に沿って前記時計の現在時刻に対応付けされた発電機特性を選択する特性選択手段とを含み、選択した発電機特性と、前記運転目標値と、前記系統データ及び前記出力データとを用いて前記出力目標値を算出する。
以上の構成を持つ特許文献5の太陽光発電システムでは、同期発電機と等価な発電機特性を有する太陽光発電システムを提供するという目的を達成できる(請求項1、段落0014〜0026、図1参照)。
非特許文献1(平成26年の総合資源エネルギー調査会・ワーキンググループ配付資料)には、電力系統に蓄電池を導入して太陽光発電装置と風力発電装置による発電量を拡大する場合の施策案について記載されている。これによると、現状の電力系統では、需要が供給を下回る時間帯には、火力発電設備による発電量の抑制や揚水発電設備の運転による余剰発電量の吸収だけでは、電力需給のアンバランスに対応できないことが多く、したがって、太陽光発電装置と風力発電装置に対する出力抑制の必要性が高くならざるを得ないとのことである。
なお、特許文献6(特許第4848051号明細書)には、日照率をより詳細に計算することができる「日照率計算方法、そのシステム、及びそのプログラム」が開示されている。特許文献7(特許第5308560号明細書)には、日照強度(日射量)や気温、発電量をリアルタイムで実測することなく、太陽光発電装置レベルで、時間帯別に、太陽光発電における発電量の予測を高精度に行うことができる「太陽光発電における発電量予測方法及び装置」が開示されている。特許文献8(特許第4679670号明細書)には、ユーザの労力低減とユーザの個別事情を反映した最適な料金プランの提示を両立した「電力料金試算システム」が開示されている。これらの技術は、いずれも本発明者によるものであり、後述する通り、本発明で利用される。
特開2011−090665号公報 特開2013−169089号公報 特許第4192131号明細書 特開2011−114945号公報 特許第5582831号明細書 特許第4848051号明細書 特許第5308560号明細書 特許第4679670号明細書
総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会 系統ワーキンググループ(第3回)(平成26年12月16日)配付資料
上述した構成を持つ特許文献1の電力系統の運転制御システムは、再生可能エネルギー発電機を最大限に活用しながら、電力系統を安定的に運用するという目的を達成できる。しかし、前記中央システムは、電力系統の電力需給不均衡を解消するために前記火力・水力発電機を制御するものであり、また、前記再エネ発電機を制御する前記再エネ発電制御システムは、前記電力系統に接続可能な前記再エネ発電機の発電量である連系可能量以内となるように前記再エネ発電機を制御するから、前記再生可能エネルギー発電機による発電量は前記連系可能量によって制限される。このため、前記再生可能エネルギー発電機の最大限の活用といっても、それは前記電力系統を安定に運用するという条件下で行われるに過ぎず、不十分である。
上述した構成を持つ特許文献2の電力系統の運用方法は、予定日の予定時間帯に前記蓄電池による電力供給を実行することで、前記蓄電池の能力を最大限引き出すことはできる。しかし、電力系統に接続された太陽光発電装置の発電能力を最大限に活用するという点については、何ら考慮されていないし、そのような示唆もない。
上述した構成を持つ特許文献3の発電計画方法では、前記固定電力発電機によって発電される前記固定電力と、前記変動電力発電機によって発電される前記変動電力との和を、前記総需要電力から減じることによって、前記二次電池が分担する前記総分担電力を計算し、それに基づいて計算した前記個別分担電力に基づいて前記各二次電池を制御するので、前記二次電池の能力を活用することによって、従来よりも発電機の燃料費を抑制する発電計画を立案できる。しかし、電力系統に接続された太陽光発電装置の発電能力を最大限に活用するという点については、何ら考慮されていないし、そのような示唆もない。
上述した構成を持つ特許文献4の供給電力計画作成装置は、前記再生可能エネルギー利用発電設備による発電電力を抑制することで、発電機の発電計画と二次電池の運転計画の最適化を実現するという目的は達成できる。しかし、電力系統に接続された太陽光発電装置の発電能力を最大限に活用するという点については、何ら考慮されていないし、そのような示唆もない。
上述した構成を持つ特許文献5の太陽光発電システムでは、同期発電機と等価な発電機特性を有する太陽光発電システムを提供できる。しかし、電力系統に接続された太陽光発電装置の発電能力を最大限に活用するという点については、何ら考慮されていないし、そのような示唆もない。
上述した非特許文献1の記載によれば、電力系統に蓄電池を導入したとしても、特に需要が供給を下回る時間帯において、太陽光発電装置の出力抑制が多発する可能性が高いことが分かる。したがって、電力系統に接続された太陽光発電装置の出力抑制をなくして常時その発電能力を最大限に活用できる手段の必要性は非常に高い。
本発明は、上述した従来技術の持つ難点と、電力系統及び各種発電設備の現状とを考慮してなされたものであり、その目的とするところは、「ピーク発電量の集中による需要量超過」という現象(図1)を抑制しながら、電力系統に接続された太陽光発電装置の出力抑制をなくして常時その発電能力を最大限に活用することができ、しかも、天気に左右されることなく安定した電力を電力系統に供給することができる、電力系統の制御方法及び制御システムを提供することにある。
本発明の他の目的は、電力系統に接続する太陽光発電装置の総数を大幅に(ほぼ無制限に)増加することができ、将来は年間の総発電量の全てを太陽光発電装置で賄うことも期待できる、電力系統の制御方法及び制御システムを提供することにある。
ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明及び添付図面から明らかである。
本発明の第1の観点による電力系統の制御方法は、
発電した電力を付設蓄電池に蓄電してから電力系統に給電するように構成された複数の第1太陽光発電装置と、発電した電力を直接的に前記電力系統に給電するように構成された複数の第2太陽光発電装置と、発電した電力を直接的に前記電力系統に給電するように構成された複数の非太陽光再生可能エネルギー発電装置(以下、非太陽光再エネ発電装置ともいう)と、発電した電力を直接的に前記電力系統に給電するように構成された複数の非再生可能エネルギー発電装置(以下、非再エネ発電装置ともいう)とを備えた電力系統を制御する方法であって、
(a) 任意の予測日またはそれより以前に、前記予測日の翌日と翌々日における時間当たり予測需要量を取得し、
(b) 前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々について、天気予報に基づいて前記翌日の予測蓄電量を算出すると共に、その予測蓄電量を前記翌々日の所定の放電時間帯に前記電力系統に放電する際の時間当たり予測放電量を算出し、
(c) 前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々の蓄電実績から前記翌日における時間当たり実放電量を算出し、
(d) 前記予測日に、天気予報に基づいて、複数の前記第2太陽光発電装置の各々の前記翌日と前記翌々日における時間当たり予測発電量を算出し、
(e) 前記予測日またはそれより以前に、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の各々の前記翌日と前記翌々日における時間当たり予測発電量を取得し、
(f) 前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記翌日における前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記翌日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の前記翌日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記翌日における前記時間当たり予測需要量とに基づいて、電力需給バランスを考慮して複数の前記非再エネ発電装置の各々の前記翌日分の稼働計画を作成し、
(g) 前記予測日(または前記翌日)に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記翌々日における前記時間当たり予測放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記翌々日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の前記翌々日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記翌々日における前記時間当たり予測需要量とに基づいて、電力需給バランスを考慮して複数の前記非再エネ発電装置の各々の前記翌々日分の稼働計画を作成し、
(h) 前記翌日になって前記翌日分の稼働計画を実行する際には、前記翌日における時間当たり実放電量で、前記放電時間帯に前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々を前記電力系統に放電させ、
(i) 前記翌日分の稼働計画の実行中に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値との和が、前記時間当たり予測需要量を超過する状況になると、その超過分を超過分吸収手段によって吸収するようになっていることを特徴とするものである。
上述した本発明の第1の観点による電力系統の制御方法では、前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記翌日における前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記翌日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の前記翌日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記翌日における前記時間当たり予測需要量とに基づいて、電力需給バランスを考慮して、換言すれば、前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記時間当たり実放電量の合計値と、前記第2太陽光発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記非太陽光再エネ発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値の和(時間当たり予測供給量の和)と、前記時間当たり予測需要量との差分を補償するように、前記非再エネ発電装置の各々の前記翌日分の稼働計画を作成する。
また、同様にして、前記翌日(または前記翌々日)に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記翌々日における前記時間当たり予測放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記翌々日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の前記翌々日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記翌々日における前記時間当たり予測需要量とに基づいて、電力需給バランスを考慮して、換言すれば、前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記時間当たり予測放電量の合計値と、前記第2太陽光発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記非太陽光再エネ発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値の和(時間当たり予測供給量の和)と、前記時間当たり予測需要量との差分を補償するように、前記非再エネ発電装置の各々の前記翌々日分の稼働計画を作成する。
そして、前記翌日になって前記翌日分の稼働計画を実行する際には、前記翌日における時間当たり実放電量で、前記放電時間帯に前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々を前記電力系統に放電させる。つまり、前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々に蓄電された電力は、前記翌日における前記放電時間帯に、例えば24時間程度の長時間をかけて、前記翌日における時間当たり実放電量で前記電力系統に放電させる。
このため、複数の前記第1太陽光発電装置の発電量が南中時に重畳されて急増しても、24時間程度の時間をかけて徐々に放電されるため、南中時の電力系統に与える影響は、このように徐々に放電させない場合の1/3から1/4に減少する。したがって、「ピーク発電量の集中による需要量超過」という現象を抑制する(ほぼ解消する)ことができる。
また、前記翌日分の稼働計画の実行中に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値との和が、前記時間当たり予測需要量を超過する状況になると、その超過分を前記超過分吸収手段によって吸収するようになっているため、前記第1及び第2太陽光発電装置の出力抑制が必要となる状況が生じない。
よって、「ピーク発電量の集中による需要量超過」という現象を抑制しながら、前記電力系統に接続された前記第1及び第2太陽光発電装置の発電能力を最大限に活用することができる。
さらに、前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々の蓄電実績から前記翌日における時間当たり実放電量を算出し、これを用いて複数の前記非再エネ発電装置の各々の前記翌日分の稼働計画を作成するので、前記翌々日分の稼働計画に含まれている前記時間当たり予測放電量が、天気予報外れにより実放電量から大きく外れたとしても、前記翌日になって前記付設蓄電池の各々の蓄電実績から算出される前記時間当たり実放電量を用いて再作成されるので、前記電力系統に悪影響が及ぶことがない。よって、天気に左右されることなく安定した電力を前記電力系統に供給することができる。
しかも、前記翌日において前記翌日分の稼働計画の実行中に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値との和が、前記時間当たり予測需要量を超過する状況になると、その超過分を前記電力系統に設けられた前記超過分吸収手段(例えば調整用蓄電池、揚水式発電装置、他電力会社電力系統・発電装置など)によって吸収するようになっているため、前記第1または第2太陽光発電装置の接続(設置)数が増加しても、既存の前記第1及び第2太陽光発電装置だけでなく、追加した太陽光発電装置についても、出力抑制が生じないようにすることが可能である。よって、前記電力系統に接続する太陽光発電装置の総数を大幅に(ほぼ無制限に)増加することができる。そして、将来は、年間の総発電量の全てを太陽光発電装置で賄うことも期待できるようになる。
(2)本発明の第1の観点による電力系統の制御方法の好ましい例では、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々が、放電及び蓄電を切り換え可能な第1蓄電ユニットと第2蓄電ユニットを備えていると共に、前記第1蓄電ユニットと前記第2蓄電ユニットのいずれか一方が前記翌日分の稼働計画に従って行われる放電に使用され、他方が前記翌日分の蓄電実績をあげるための蓄電に使用されるように構成されており、
前記翌日分の稼働計画に従って行われる放電と、前記翌日分の蓄電実績をあげるための蓄電とが、前記第1蓄電ユニットと前記第2蓄電ユニットを用いて前記翌日に並行して実行され、
前記第1蓄電ユニットと前記第2蓄電ユニットの蓄電及び放電の切り換えが、毎日、同じ時刻に実行されるようにする。
(3) 本発明の第1の観点による電力系統の制御方法の他の好ましい例では、前記電力系統に接続された調整用蓄電池をさらに備えていると共に、前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値に、目標放電量が設定されるようになっており、
前記翌日分の稼働計画を実行する際には、前記目標放電量が前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値を越えているかどうかが判断され、
前記目標放電量が前記時間当たり実放電量の合計値を越えている場合は、前記調整用蓄電池の蓄電量が十分であれば、前記目標放電量と前記合計値との差分を前記調整用蓄電池からの放電で補充し、前記調整用蓄電池の蓄電量が十分でなければ、前記目標放電量と前記合計値との差分を揚水式発電装置または他電力会社電力系統・発電装置を利用して補充し、
前記目標放電量が前記時間当たり実放電量の合計値を越えていない場合は、前記目標放電量と前記合計値との差分を前記調整用蓄電池への蓄電で吸収するようにする。
(4) 本発明の第1の観点による電力系統の制御方法のさらに他の好ましい例では、前記電力系統に設置された揚水式発電装置をさらに備えていると共に、前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値に、目標放電量が設定されるようになっており、
前記翌日分の稼働計画を実行する際には、前記目標放電量が前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値を越えているかどうかが判断され、
さらに、前記時間当たり予測需要量と前記目標放電量が比較されて、その結果に応じて、前記目標放電量と前記時間当たり実放電量との差分または前記時間当たり予測需要量と前記時間当たり実放電量との差分を、揚水式発電装置または他電力会社電力系統・発電装置を利用して吸収するようにする。
(5) 本発明の第2の観点による電力系統の制御システムは、
発電した電力を付設蓄電池に蓄電してから電力系統に給電するように構成された複数の第1太陽光発電装置と、発電した電力を直接的に前記電力系統に給電するように構成された複数の第2太陽光発電装置と、発電した電力を直接的に前記電力系統に給電するように構成された複数の非太陽光再エネ発電装置と、発電した電力を直接的に前記電力系統に給電するように構成された複数の非再エネ発電装置とを備えた電力系統を制御するシステムであって、
(a) 任意の予測日またはそれより以前に、前記予測日の翌日と翌々日における時間当たり予測需要量を取得する予測需要量取得手段と、
(b) 前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々について、天気予報に基づいて前記翌日の予測蓄電量を算出すると共に、その予測蓄電量を前記翌々日の所定の放電時間帯に前記電力系統に放電する際の時間当たり予測放電量を算出する予測放電量算出手段と、
(c) 前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々の蓄電実績から前記翌日における時間当たり実放電量を算出する実放電量算出手段と、
(d) 前記予測日に、天気予報に基づいて、複数の前記第2太陽光発電装置の各々の前記翌日と前記翌々日における時間当たり予測発電量を算出する予測発電量算出手段と、
(e) 前記予測日またはそれより以前に、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の各々の前記翌日と前記翌々日における時間当たり予測発電量を取得する予測発電量取得手段と、
(f) 前記予測日に、電力需給バランスを考慮して複数の前記非再エネ発電装置の各々の前記翌日分及び前記翌々日分の稼働計画を作成する稼働計画作成手段と、
(g) 前記翌日になって前記翌日分の稼働計画を実行する際に、前記翌日における時間当たり実放電量で、前記放電時間帯に前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々を前記電力系統に放電させる付設蓄電池放電手段と、
(h) 前記翌日分の稼働計画の実行中に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値との和が、前記時間当たり予測需要量を超過する状況になると、その超過分を吸収する超過分吸収手段とを備え、
(i) 前記稼働計画作成手段は、前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記翌日における前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記翌日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の前記翌日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記翌日における前記時間当たり予測需要量とに基づいて、電力需給バランスを考慮して複数の前記非再エネ発電装置の各々の前記翌日分の稼働計画を作成し、
前記予測日(または前記翌日)に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記翌々日における前記時間当たり予測放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記翌々日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の前記翌々日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記翌々日における前記時間当たり予測需要量とに基づいて、電力需給バランスを考慮して複数の前記非再エネ発電装置の各々の前記翌々日分の稼働計画を作成することを特徴とするものである。
上述した本発明の第2の観点による電力系統の制御システムでは、前記稼働計画作成手段により、前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記翌日における前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記翌日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の前記翌日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記翌日における前記時間当たり予測需要量とに基づいて、電力需給バランスを考慮して、換言すれば、前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記時間当たり実放電量の合計値と、前記第2太陽光発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記非太陽光再エネ発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値の和(時間当たり予測供給量の和)と、前記時間当たり予測需要量との差分を補償するように、前記非再エネ発電装置の各々の前記翌日分の稼働計画を作成する。
また、同様にして、前記翌日(または前記翌々日)に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記翌々日における前記時間当たり予測放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記翌々日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の前記翌々日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記翌々日における前記時間当たり予測需要量とに基づいて、電力需給バランスを考慮して、換言すれば、前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記時間当たり予測放電量の合計値と、前記第2太陽光発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記非太陽光再エネ発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値の和(時間当たり予測供給量の和)と、前記時間当たり予測需要量との差分を補償するように、前記非再エネ発電装置の各々の前記翌々日分の稼働計画を作成する。
そして、前記翌日になって前記翌日分の稼働計画を実行する際には、前記付設蓄電池放電手段により、前記翌日における時間当たり実放電量で、前記放電時間帯に前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々を前記電力系統に放電させる。つまり、前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々に蓄電された電力は、前記翌日における前記放電時間帯に、例えば24時間程度の長時間をかけて、前記翌日における時間当たり実放電量で前記電力系統に放電させる。
このため、複数の前記第1太陽光発電装置の発電量が南中時に重畳されて急増しても、24時間程度の時間をかけて徐々に放電されるため、南中時の電力系統に与える影響は、このように徐々に放電させない場合の1/3から1/4に減少する。したがって、「ピーク発電量の集中による需要量超過」という現象を抑制する(ほぼ解消する)ことができる。
また、前記翌日分の稼働計画の実行中に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値との和が、前記時間当たり予測需要量を超過する状況になると、その超過分を前記超過分吸収手段によって吸収するようになっているため、前記第1及び第2太陽光発電装置の出力抑制が必要となる状況が生じない。
よって、「ピーク発電量の集中による需要量超過」という現象を抑制しながら、前記電力系統に接続された前記第1及び第2太陽光発電装置の発電能力を最大限に活用することができる。
さらに、前記実放電量算出手段により、前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々の蓄電実績から前記翌日における時間当たり実放電量を算出し、前記稼働計画作成手段により、これを用いて複数の前記非再エネ発電装置の各々の前記翌日分の稼働計画を作成するので、前記翌々日分の稼働計画に含まれている前記時間当たり予測放電量が、天気予報外れにより実放電量から大きく外れたとしても、前記翌日になって前記付設蓄電池の各々の蓄電実績から算出される前記時間当たり実放電量を用いて再作成されるので、前記電力系統に悪影響が及ぶことがない。よって、天気に左右されることなく安定した電力を前記電力系統に供給することができる。
しかも、前記翌日において前記翌日分の稼働計画の実行中に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再エネ発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値との和が、前記時間当たり予測需要量を超過する状況になると、その超過分を前記超過分吸収手段(例えば調整用蓄電池、揚水式発電装置、他電力会社電力系統・発電装置など)によって吸収するようになっているため、前記第1または第2太陽光発電装置の接続(設置)数が増加しても、既存の前記第1及び第2太陽光発電装置だけでなく、追加した太陽光発電装置についても、出力抑制が生じないようにすることが可能である。よって、前記電力系統に接続する太陽光発電装置の総数を大幅に(ほぼ無制限に)増加することができる。そして、将来は、年間の総発電量の全てを太陽光発電装置で賄うことも期待できるようになる。
(6) 本発明の第2の観点による電力系統の制御システムの好ましい例では、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々が、放電及び蓄電を切り換え可能な第1蓄電ユニットと第2蓄電ユニットを備えていると共に、前記第1蓄電ユニットと前記第2蓄電ユニットのいずれか一方が前記翌日分の稼働計画に従って行われる放電に使用され、他方が前記翌日分の蓄電実績をあげるための蓄電に使用されるように構成されており、
前記翌日分の稼働計画に従って行われる放電と前記翌日分の蓄電実績をあげるための蓄電とが、前記第1蓄電ユニットと前記第2蓄電ユニットを用いて前記翌日に並行して実行され、
前記第1蓄電ユニットと前記第2蓄電ユニットの蓄電及び放電の切り換えが、毎日、同じ時刻に実行されるようにする。
(7) 本発明の第2の観点による電力系統の制御システムの他の好ましい例では、前記電力系統に接続された調整用蓄電池をさらに備えていると共に、前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値に、目標放電量が設定されるようになっており、
前記翌日分の稼働計画を実行する際には、前記目標放電量が前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値を越えているかどうかが判断され、
前記目標放電量が前記時間当たり実放電量の合計値を越えている場合は、前記調整用蓄電池の蓄電量が十分であれば、前記目標放電量と前記合計値との差分を前記調整用蓄電池からの放電で補充し、前記調整用蓄電池の蓄電量が十分でなければ、前記目標放電量と前記合計値との差分を揚水式発電装置または他電力会社電力系統・発電装置を利用して補充し、
前記目標放電量が前記時間当たり実放電量の合計値を越えていない場合は、前記目標放電量と前記合計値との差分を前記調整用蓄電池への蓄電で吸収するようにする。
(8) 本発明の第2の観点による電力系統の制御システムのさらに他の好ましい例では、前記電力系統に設置された揚水式発電装置をさらに備えていると共に、前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値に、目標放電量が設定されるようになっており、
前記翌日分の稼働計画を実行する際には、前記目標放電量が前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値を越えているかどうかが判断され、
さらに、前記時間当たり予測需要量と前記目標放電量が比較されて、その結果に応じて、前記目標放電量と前記時間当たり実放電量との差分または前記時間当たり予測需要量と前記時間当たり実放電量との差分を、揚水式発電装置または他電力会社電力系統・発電装置を利用して吸収するようにする。
本発明の第1の観点による電力系統の制御方法と本発明の第2の観点による電力系統の制御システムによれば、(a)「ピーク発電量の集中による需要量超過」という現象を抑制しながら、電力系統に接続された太陽光発電装置の出力抑制をなくして常時その発電能力を最大限に活用することができる、(b)天気に左右されることなく安定した電力を電力系統に供給することができる、(c)電力系統に接続する太陽光発電装置の総数を大幅に(ほぼ無制限に)増加することができ、将来は年間の総発電量の全てを太陽光発電装置で賄うことも期待できる、といった効果が得られる。
太陽光発電により生じる「ピーク発電量の集中による需要量超過」現象を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムが使用された電力系統の全体構成を示す概念図である。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムの概略構成を示す機能ブロック図である。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムで実行される処理内容を時系列で示す概念図で、(a)は目標管理をする場合、(b)は目標管理をしない場合である。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムで行われる処理プロセス(動作フロー)を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムの処理プロセス(動作フロー)を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムで実行される、付設蓄電池を持つ太陽光発電装置からの放電目標を作成(時間当たり目標放電量を算出)する動作(放電目標作成フロー)を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムで実行される、すべての発電装置による予測発電量を集計するプロセス(予測発電量集計フロー)を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムの蓄電実績収集・放電単位計算部の動作を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムにおいて、目標管理を主として調整用蓄電池で行う場合の放電量調整部の動作フローを示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムにおいて、目標管理を揚水式発電と他電力連携で行う場合の放電量調整部の動作フローを示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムで使用される発電所基本情報テーブル、屋根基本情報テーブル、放電量基本情報テーブル、及び発電量予測基本情報テーブルの構成図である。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムで使用される情報記録テーブルの構成を示す図で、(a)は放電量テーブル(蓄電池付き産業用太陽光発電装置4向け)、(b)は発電量予測テーブル1(蓄電池付き・蓄電池なしの産業用太陽光発電装置向け4及び5)、(c)は発電量予測テーブル2(蓄電池なしの家庭用太陽光発電装置6向け)の構成図である。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムで使用される需要予測テーブルの構成図である。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムで使用される予測発電量日別集計テーブルの構成図である。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムで使用される放電目標テーブルの構成図である。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムで使用される発電量予測テーブル1及び2と放電量テーブルの、保存内容の変化を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムで実行される、予測日の翌日と翌々日の発電量を集計するプロセスの概要を示す説明図である。 (a)は本発明の一実施形態に係る電力系統制御システムで使用される、太陽光発電装置の付設蓄電池と送電設備の構成を示す説明図、(b)はその蓄電池の日別機能分担を示す説明図である。 (a)は本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムの付設蓄電池の放電制御を示すフローチャート、(b)はその調整用蓄電池の放電・蓄電制御を示すフローチャートである。 日本の天気予報地区数を示す表である。 1日の最大日射強度と1日の全天日射量の相関関係を示すグラフである。 甲府市のA発電所の夏至と冬至の頃の発電量を示すグラフである。 日本各地(根室、甲府、石垣島)の年間全天日射量の月別変化を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムで得られる、月旬別平均発電量(1年間)の例を示すグラフである。 天気予報に基づいて発電量を予測した結果の一例を示す表である。 図26の天気予報に基づいて予測した結果(発電量)をグラフ化したものである。 本件出願人の所有に係る特許文献6と特許文献7の予測手法を用いて得た、天気実績からの予測発電量と実発電量を対比した例を示すグラフである。 (a)は自己消費がある家庭用太陽光発電装置の予測発電量と予測消費量と予測売電量を示すグラフ、(b)はその元データを示す表である。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムで得られる、蓄電量と放電量の日別時間別変化の例を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムで得られる、目標管理を利用した場合の全放電量の変化の例を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムにおいて、24時間放電で放電量が需要量を超過することがある場合の一例を示すグラフである。 (a)は本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムにおいて、目標値>実放電量である場合の発電量の変化を示すグラフ、(b)はその元データを示す表である。 (a)は本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムにおいて、目標値≦実放電量である場合の発電量の変化を示すグラフ、(b)はその元データを示す表である。
(本発明の基本原理)
本発明の実施形態を説明する前に、本発明の基本原理について説明する。
(i) 一般に、太陽光発電装置の1日における発電量(kW)は、南中時に最大になるという特性があり、その最大発電量は南中時の日射強度(kW/m)と日射量(J/m)に比例する。日射強度は1日の時間当たり最大発電量に影響し、日射量は1日の積算発電量に影響する。図22に示すように、1日における最大日射強度と最大日射量は、北回帰線より北にある日本では、太陽高度が最も高くなる夏至の頃に最大となり、冬至の頃に最少となる。このため、図23に示すように、太陽光発電装置の発電量は、夏至の頃に最大となり、それが1年を通じた最大値である。よって、太陽光発電装置に対して蓄電池を付設する場合、夏至の頃に生じる太陽光発電装置の1日当たり積算発電量(積算電力)を保存できる容量を持つ蓄電池を用意し、日毎に太陽光発電装置で発電した電力をいったんその付設蓄電池に保存(蓄電)した後、例えば図4に示すように、1日(すなわち24時間)かけて徐々に放電するように構成すれば、この付設蓄電池によって太陽光発電装置の発電量に年間を通じて対応できることになる。付設蓄電池の蓄電量と放電量の日別・時間別変化の例を図30に示す。
太陽光発電装置での発電が終了した後、付設蓄電池に保存した1日分の電力、つまり「1日当たり積算発電量」をその後、1日(24時間)かけて徐々に放電させて電力系統に給電する場合、その「時間当たり放電量」を夏至の頃と冬至の頃の発電量から求めると、その時間当たり放電量は、夏至の頃の南中時の「時間当たり発電量」の33.8%、冬至の頃の南中時の「時間当たり発電量」の24.5%に相当する。つまり、付設蓄電池からの時間当たり放電量は、夏至の頃の南中時の時間当たり発電量の約(1/3)に、冬至の頃の南中時の時間当たり発電量の約(1/4)にまで下がることになる。よって、日毎に、太陽光発電装置の発電終了後、付設蓄電池に保存した電力(1日当たり積算発電量)をその後に、例えば24時間かけて徐々に放電させるようにするだけで、「ピーク発電量の集中による需要量超過」という現象(図1)の影響を大幅に緩和することが可能となるのである。
なお、付設蓄電池に保存した1日分の電力(1日当たり積算発電量)を徐々に放電させて電力系統に給電する場合、その放電時間帯の長さは正確に1日=24時間でなくてもよいことは言うまでもない。24時間が最も好ましいが、23時間でもよいし、22時間でもよいし、22時間より短くてもよい。しかし、できるだけ長い方が(つまり、1日・24時間に近い方が)好ましい。24時間に近ければ近いほど「時間当たり発電量」が低下するからである。なお、電力系統の稼働に問題が生じるため、放電時間帯の長さは24時間を越えない方が好ましい。ここでは、前記放電時間帯の長さを1日=24時間として説明する。
(ii) 上記の場合、太陽光発電装置の付設蓄電池からの時間当たり予測放電量は、以下の式1によって与えられる。
時間当たり予測放電量=(予測積算発電量−蓄電損失量−
24時間後蓄電損失量)÷24 (式1)
ここで、「時間当たり予測放電量」は、任意の1日において付設蓄電池から1時間当たりに放電されると予測される電力量である。「予測積算発電量」は、その日において太陽光発電装置で発電されると予測される電力量である。「蓄電損失量」は、その日における付設蓄電池への蓄電時に生じる電力損失であり、「24時間後蓄電損失量」は、付設蓄電池に24時間保存する間に生じる電力損失である。
「予測積算発電量」は、天気予報に基づいて任意の予測日に算出するが、発電日(例えば予測日の翌日)の実際の積算発電量(実積算発電量)との誤差が最低でも数%はあるのが通常である。発電日だけで考えれば、数%の誤差は問題にならないが、365日連続運転することを考えると、その誤差が累積されて大きな誤差に発展する恐れが大である。そこで、何らかの形でこの誤差の累積を防止する必要がある。この点を考慮して、本発明では、太陽光発電装置による1日の発電が終了する頃(例えば発電日の夕方)に、通信網を介して付設蓄電池における実際の蓄電量(実蓄電量)を入手し、その実蓄電量から「時間当たり実放電量」を算出して、付設蓄電池からの放電を、予測日に算出した「時間当たり予測放電量」ではなく、この「時間当たり実放電量」で行うようにしている。こうすることで、太陽光発電装置の実積算発電量と予測積算発電量との誤差の累積を回避することができる。
この場合の太陽光発電装置の付設蓄電池からの「時間当たり実放電量」は、以下の式2によって求めることができる。
時間当たり実放電量=(実蓄電量−24時間程度後蓄電損失量−
予備量)÷24 (式2)
式2に「蓄電損失量」の項が含まれていないのは、通信網を通じて入手する「実蓄電量」に「蓄電損失量」がすでに反映(控除)されているからである。また、「予備量」は、放電完了後にも常にある程度の蓄電量が残存するようにするために追加されている。蓄電池は一般に、蓄電量が一定量以下になるとその出力(放電量)が急減するという特性があるので、これを確実に防止するためである。そのような懸念がなければ、「予備量」は不要である。
また、上述したように、太陽光発電装置の発電終了後、付設蓄電池に保存した電力を24時間かけて徐々に放電させる場合、予測日に算出する予測積算発電量は、その翌々日に影響を及ぼす。したがって、予測積算発電量が発電日(予測日の翌日)の実積算発電量から大きく外れると、その影響は2日後(予測日の翌々日)の電力系統の制御に及ぶ。予測積算発電量が実積算発電量から外れる原因は、天気予報の外れ、太陽光発電装置の故障、出力抑制に起因する太陽光発電装置の発電量の抑制、太陽光発電装置の太陽光発電パネル上の残雪による発電不良等、いろいろなものがある。しかし、本発明では、発電日(予測日の翌日)の太陽光発電装置による発電が終了する頃に、通信網を介して付設蓄電池の実蓄電量を入手し、その実蓄電量に基づいて算出した「時間当たり実放電量」を「時間当たり予測放電量」に代えて使用して、付設蓄電池からの放電を開始するので、予測積算発電量と実積算発電量との誤差が大きくなっても、何ら問題は生じない。
(iii) 上述したように、太陽光発電装置の発電終了直後から、例えば24時間かけて徐々に放電させる場合、付設蓄電池の蓄電と放電を同時に行う必要がある。このために、本発明では、例えば、図19に示すような構成を持つ蓄電池を使用する。図19の蓄電池は、第1及び第2の蓄電ユニットと、それらの蓄電・放電を切り換える手段とを有している。第1蓄電ユニットに充電する時には第2蓄電ユニットから放電し、第2蓄電ユニットに充電する時には第1蓄電ユニットから放電するように、制御システムからの指令によって前記両蓄電ユニットを切換・制御するようにすることで、それら蓄電ユニットの蓄電と放電を同時に行うことが可能である。
(iv) 上述したように、太陽光発電装置の発電終了後、付設蓄電池に保存した電力を例えば24時間かけて徐々に放電させる場合、電力の需給バランスについても配慮が必要である。すなわち、電力系統への太陽光発電装置の設置数(接続数)が増加すると、付設蓄電池からの放電量も増加し、付設蓄電池を持たない太陽光発電装置から直接給電される発電量も増加する。例えば、図32に示すように、夜間の電力需要が少ない時間帯では、付設蓄電池を持たない太陽光発電装置から直接給電される発電量がゼロとなり、付設蓄電池からの放電量のみが電力系統に給電されるが、その時に付設蓄電池からの放電量の総和が需要量を越えることが考えられる。そこで、付設蓄電池からの放電を開始する前に、予め算出しておいた「時間当たり予測需要量」に基づいて需給バランスのチェックを行い、前記放電量の合計が予測需要量を越える場合の対策を立てておく必要がある。
そこで、本発明では、夜間の電力需要が少ない時間帯に、電力系統に設置されたすべての付設蓄電池からの「時間当たり実放電量」と、同電力系統に設置されたすべての付設蓄電池なしの太陽光発電装置の「時間当たり予測放電量」と、同電力系統に設置された非太陽光再エネ発電装置(例えば風力発電装置)の発電量の合計が、「時間当たり予測需要量」を越えると判断されると、その超過分を「超過分吸収手段」によって吸収するという措置を採るようにしている。具体的には、例えば、(a)調整用蓄電池に蓄電する。(b)電力系統に接続されている揚水式発電装置を作動させて、下部貯水池(下池)から上部貯水池(上池ダム)へ水を汲み上げておく、(c)電力系統に接続されている他電力会社電力系統・発電装置に送電する、といった対策が用意されており、それらのいずれかを任意に組み合わせて使用するようにしている。
(v) 次に、付設蓄電池の放電量に対する目標設定(放電目標の設定)と、その放電目標を用いる目標管理について説明する。
太陽光発電の発電量が天気に左右されることは周知の事実である。晴れの時は発電量が多く、雨の時は少ない。日単位に見ると天気によって発電量は大きく変化する。しかし、年単位、月単位で比較すると変化は少ない。同年同月での差異は僅かである。その理由は以下のとおりである。
すなわち、地球は太陽の周りを所定軌道に沿って公転し、所定地軸の周りに自転している。太陽から得られるエネルギーは、1公転期間(年間)を通すと、月別の差異はあってもほぼ同じであって、年別の変動はほとんどなく、太陽光発電の発電量は、そのエネルギー量でほとんどが決まる。図24に根室、甲府、石垣島における5年間の月別全天日射量の変化を示す。同図から分かるように、いずれの地域でも、月別全天日射量は同じパターンで推移しており、5年間における差異は測定誤差程度のものであって、2〜3倍になるといった大きな差異は生じていない。これは、太陽光発電が風力発電とは大きく異なる点である。
図28は、本件出願人の所有に係る特許文献6と特許文献7の予測手法による、天気実績からの予測発電量と実発電量を対比した例(A市の10月のデータ)を示すグラフである。同図に示すように、特許文献6と特許文献7の予測手法によると、過去の天気実績に基づく発電量の予測精度が94.7%と非常に高くなっている。両文献による予測手法では、発電量予測を高精度に行えるから、その予測手法を使って太陽光発電装置毎に事前に目標放電量(放電目標)を設定しておき、常にその目標放電量(放電目標)で付設蓄電池を放電させるように制御する「目標管理」を行えば、たとえ天気の変動があっても、変動に応じて予測発電量を補償することで、容易に対応することができる。仮に悪天候によって実発電量が一時的に低下しても、数ヶ月以内の晴天時の実発電量で補填すれば、数ヶ月間の実発電量はほぼ予測の範囲内に収まると考えられる。
一般に、太陽光発電装置の実発電量が予想発電量より大幅に落ち込む原因は、主として太陽光発電装置の故障と出力抑制である。しかし、太陽光発電装置の故障はめったに起きないし、たとえ起きても迅速に対応が取られるから、実発電量の大幅な落ち込みにはつながらない。しかし、すでにFIT制度下で認定された太陽光発電装置の接続数(設置数)を鑑みると、今後、出力抑制の頻度はきわめて高くなると予想される。出力抑制があると、晴れの日の実発電量が出力抑制なしの場合の半分以下となって、太陽光発電が有効利用されないという問題が生じるが、さらなる問題は、太陽光発電装置毎に出力抑制の実施の有無を予測できないことである。しかし、この問題は、本発明のように、太陽光発電装置に蓄電池を付設してその蓄電池にいったん保存した後、ほぼ24時間の放電時間帯に徐々に放電するように制御することで、確実に解消される。太陽光発電装置に対する出力抑制の発生を皆無にすることができるのである。
本発明では、上述した「目標管理」を容易にするために、例えば、電力系統に直接、調整用蓄電池(調整用二次電池)が設置される。この場合、まず、過去の天気実績から得た予測発電量から太陽光発電装置の付設蓄電池に対する「時間当たり目標放電量」を設定する。そして、その「時間当たり目標放電量」と「時間当たり実放電量」との差分を、前記調整用蓄電池の蓄電及び放電によって補正して、常にその「時間当たり目標放電量」で放電されるように調整する。こうすることで、太陽光発電装置の付設蓄電池からの日々の放電量の変動がほとんどなくなるため、出力抑制が実施されない限り、太陽光発電装置の発電動作(発電量)が非常に安定するという利点が得られる。
ところで、電力系統に太陽光発電装置が大量に導入された場合、天気の変動によって、太陽光発電装置に付設された蓄電池からの放電量が大きく変動する。シミュレーションによって得たその変動の一例を図30に示す。
図30は、ある年の7月における、太陽光発電装置の付設蓄電池の1日の蓄電量と放電量の日別・時間別変化のシミュレーション結果である。同図のグラフによれば、例えば、7月1日の日中の発電により付設蓄電池に蓄電された総電力(蓄電量)よりも、7月2日の日中の発電により付設蓄電池に蓄電された総電力(蓄電量)の方が多くなっているが、これは7月1日が曇天であり、7月2日が晴天であったためである。このように、天気によって日毎の蓄電量がかなり変動することが分かる。また、7月1日の蓄電量が、7月2日の0時から7月3日の0時までの24時間の放電時間帯に均等に放電され、7月2日の蓄電量が、7月3日の0時から7月4日の0時までの24時間の放電時間帯に均等に放電されているが、7月1日及び2日の総蓄電量(積算発電量)の差異に応じて、7月1日〜2日の放電量と7月2日〜3日の放電量にかなりの差異が生じている。このように、付設蓄電池からの日毎の放電量も、天気によってかなり変動することも分かる。この日毎の放電量の差(変動)は、十数基の内燃力発電装置の総発電量に匹敵するほど大きいものであるから、何らかの対策が必要である。
この点を考慮し、本発明では、太陽光発電装置の付設蓄電池の放電目標を設定すると共に、調整用蓄電池を設置し、その放電目標と実放電量との差分を調整用蓄電池の蓄電・放電によって吸収するように「目標管理」を行うことで、放電量の変動を抑制(安定化)する。この場合の全放電量の変化は、例えば図31のようになり、天気の影響をほとんど受けず、日別の放電量をほぼ安定化させることが可能となる。なお、図31において、10日ごとに全放電量が少しずつ増えているのは、月旬毎に放電目標(目標発電量)を設定しているためである。
「目標管理」を実現するためには、電力系統に直接、調整用蓄電池を設置する方法だけでなく、電力系統に接続されている揚水式発電装置を作動させたり、他電力会社電力系統・発電装置と連携させたりする方法も使用できる。具体的に言うと、太陽光発電装置の付設蓄電池の放電目標と実放電量との差分を、調整用蓄電池から他電力会社電力系統・発電装置に供給(送電)したり(余剰の場合)、逆に他電力会社電力系統・発電装置から調整用蓄電池に調達したり(不足の場合)する。あるいは、調整用蓄電池から余剰分を、電力系統に接続されている揚水式発電装置を作動させてその下部貯水池(下池)から上部貯水池(上池ダム)へ水を汲み上げたりして吸収(保存)するのである。
(本発明の実施形態)
次に、上述した本発明の基本原理に沿って生み出された本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
(電力系統の構成)
図2は、本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システムが使用された電力系統の全体構成を示す概念図である。なお、本発明の一実施形態に係る電力系統の制御方法は、この制御システムによって実行される。
図2において、本実施形態に係る電力系統の制御システム1は、所定の電力会社が運営・管理する電力系統2aに接続されている。電力系統2aは、各種の発電装置(発電所)で発電された電力を送電線、変電所、配電線、引込線等を介して多数の需要家に送り届けるシステムであり、発電装置、送電線、変電所、配電線、引込線等の各種設備を含んでいる。また、電力系統2aは、制御システム1と各種発電装置や蓄電池等との間で所定の制御信号や蓄電量等の情報を送受信するために、通信網2bを有している。
本実施形態では、図2に示すように、電力系統2aに設置された太陽光発電装置(発電所)としては、付設蓄電池3を介して電力系統2aに給電するように構成された産業用太陽光発電装置4と、付設蓄電池3なしで直接的に電力系統2aに給電するように構成された産業用太陽光発電装置5と、付設蓄電池3なしで直接的に電力系統2aに給電するように構成された家庭用太陽光発電装置6がある。しかし、電力系統2aには、これらに加えて、風力発電装置や地熱発電装置などの非太陽光再エネ発電装置(非太陽光再生可能エネルギー発電装置)9aと、火力発電所や原子力発電所などの非再エネ発電装置(非再生可能エネルギー発電装置)9bと、揚水式発電装置10と調整用蓄電池8がさらに設置されている。
非太陽光再エネ発電装置9aは、風力や地熱等の太陽光以外の再生可能エネルギーによる発電装置(発電所)である。非再エネ発電装置9bは、火力発電所や原子力発電所などの、再生可能エネルギーを用いない発電装置(発電所)である。揚水式発電装置10は、揚水によって電力系統2aの電力需給バランスの調整を主たる目的として設置されており、省略可能である。調整用蓄電池8は、目標管理のために蓄電と放電を行うために設置されており、これも省略可能である。
電力系統2aは、さらに、他電力会社電力系統・発電装置11とも連携するようになっており、必要に応じて、電力系統2aから余剰電力を他電力会社電力系統・発電装置11に送電したり、逆に、不足電力を他電力会社電力系統・発電装置11から電力系統2aに給電(調達)してもらったりすることができる。他電力会社電力系統・発電装置11とは、電力系統2aを運営する電力会社とは異なる電力会社(他電力会社)が運営・管理する電力系統と、その電力系統に設置されている発電・配電等の各種設備群とを意味する。
なお、実際は、上述した産業用太陽光発電装置4及び5、家庭用太陽光発電装置6、調整用蓄電池8、非太陽光再エネ発電装置9a、非再エネ発電装置9b、揚水式発電装置10、他電力会社電力系統・発電装置11は、いずれも、複数個存在する。しかし、図2では、図示を簡略化するために、それぞれ一つのみが描かれている。
複数の産業用太陽光発電装置4により日毎に発電される電力は、すべて、いったん対応する付設蓄電池3に保存され、翌日の稼働開始時から所定の放電時間帯に徐々に放電されて電力系統2aに供給される。この放電時間帯は、本実施形態では0時〜24時までの24時間(1日)としているが、これに限定されるわけではない。24時間が最も好ましいが、23時間でもよいし、22時間でもよいし、22時間より短くてもよい。
付設蓄電池を持たない複数の産業用太陽光発電装置5により日毎に発電される電力は、すべて、直接的に(発電後すぐに)電力系統2aに供給(直送)される。付設蓄電池を持たない複数の家庭用太陽光発電装置6により日毎に発電される電力は、まず、それらを所有する需要家7による自己消費電力として消費され、残存した電力が直接的に(すぐに)電力系統2aに供給(直送)される。つまり、日毎の残存電力が、需要家7から電力系統2aを管理・運転している電力会社に売電されるわけである。
太陽光発電装置4の付設蓄電池3への蓄電動作(太陽光発電装置4の発電動作)それ自体と、太陽光発電装置5、6の発電動作それ自体は、制御システム1による制御を受けない。制御システム1の制御を受けるのは、太陽光発電装置4の付設蓄電池3の放電動作のみである。
複数の付設蓄電池3は、それぞれ、対応する産業用太陽光発電装置4に付設されており、日毎に、対応する太陽光発電装置4で発電された電力を保存(蓄電)すると共に、保存した電力を発電終了後、翌日の稼働開始と同時に24時間の放電時間帯に均等に放電(電力系統2aに給電)するためのものである。付設蓄電池3の放電動作(放電の開始及び停止、放電量の調整等)は、電力系統2aに張り巡らされた通信網2bを介して制御システム1から送られる制御信号によって制御される。この動作の詳細については後述する。
各々の付設蓄電池3の蓄電及び放電は、対応する太陽光発電装置4が発電状態にあるか否かに関わらず、実行可能となっている。このため、各々の太陽光発電装置4は、発電された電力を対応する付設蓄電池3に蓄電すると同時に、その付設蓄電池3に蓄電された電力を放電することが可能である(図19参照)。また、すべての付設蓄電池3の実蓄電量は、通信網2bを介して随時、制御システム1に送信されるようになっている。
複数の調整用蓄電池8は、電力系統2aに直接的に接続されており、付設蓄電池3の放電量の「目標管理」を行う際に、目標放電量と実放電量との差分を補償するために使用される。すなわち、過去の天気実績から、付設蓄電池3を持つ太陽光発電装置4の各々についての日毎の発電量を算出し、その発電量から供給域全体の目標放電量として月旬別に設定している。目標発電量が実発電量よりも多い場合は、調整用蓄電池8に対して「蓄電制御信号」が送られ、それに応じて目標発電量と実発電量の差分(余剰電力)が電力系統2aから調整用蓄電池8に保存(蓄電)される。逆に、目標放電量が実発電量よりも大きくない場合は、調整用蓄電池8に対して「放電制御信号」が送られ、それに応じて目標発電量と実発電量の差分(不足電力)が調整用値充電池8から電力系統2aに供給(放電)される。なお、「目標管理」は、調整用蓄電池8が無くても、他電力会社電力系統・発電装置や揚水式発電装置を使用して実施することが可能である。
なお、各々の調整用蓄電池8においても、付設蓄電池3と同様に、蓄電及び放電が同時に実行できるように構成されており(図19参照)、また日毎の実蓄電量は、通信網2bを介して随時、制御システム1に送信されるようになっている。
複数の非太陽光再エネ発電装置9aは、風力発電装置や地熱発電装置などの、太陽光以外の再生可能エネルギーを利用する発電装置(発電所)であるが、これらの起動・停止は、事前に稼働計画に組み込まれ、稼働中は制御システム1で制御される。複数の非太陽光再エネ発電装置9aで発電された電力は、すべて、直接的に(発電後すぐに)電力系統2aに供給される。
複数の非再エネ発電装置9bは、火力発電所や原子力発電所などの、再生可能エネルギー以外のエネルギーを利用する発電装置(発電所)であるが、これらの起動・停止は、事前に稼働計画に組み込まれている。非再エネ発電装置9bの稼働状態は、その稼働計画に沿って制御システム1で制御される。複数の非太陽光発電装置9bで発電された電力は、すべて、直接的に(発電後すぐに)電力系統2aに供給される。
本実施形態では、すべての太陽光発電装置4の付設蓄電池3の時間当たり放電量と、すべての太陽光発電装置5、6による時間当たり発電量と、すべての非太陽光再エネ発電装置9aによる時間当たり発電量とを優先して利用するようにしている。そして、これらの発電装置4、5、6、9aの日毎の時間当たり放電量・発電量の合計値と、日毎の時間当たり需要量との差分は、すべての非再エネ発電装置9b(火力発電所と原子力発電所)の発電量によって賄う(補償する)ようにしている。このため、前記差分を補償するように、すべての非再エネ発電装置9bの各々について稼働計画が作成され、実行される。
複数の揚水式発電装置10は、通信網2bを介して制御システム1と接続されている。各々の揚水式発電装置10は、電力系統2aにおける合計実発電量が需要量より大きくなるときに、その余剰電力によって下部貯水池(下池)から上部貯水池(上池ダム)へ揚水することで、余剰電力をダムの貯水に変換して吸収(保存)するために設けられている。逆に、電力系統2aにおける合計実発電量が需要量より小さくなるときには、上部貯水池から下部貯水池へ落水することで不足電力を補うことができる。このように、揚水式発電装置10を使用することで、調整可能範囲は限定的であるが、電力の需給調整を行うことが可能である。
複数の他電力会社電力系統・発電装置11も、通信網2bを介して制御システム1と接続されている。他電力会社電力系統・発電装置11は、電力系統2aを運営する電力会社と連携する他電力会社が運営しており、必要に応じて、電力系統2aと連携して動作するようになっている。他電力会社電力系統・発電装置11により発電された電力は、必要に応じて電力系統2aに給電され、電力系統2aの不足電力を補うために使用される。逆に、電力系統2aに余剰電力がある場合は、その余剰電力は他電力会社電力系統・発電装置11に向けて送電される。このように、他電力会社電力系統・発電装置11を使用することによっても、電力系統2aにおける電力の需給調整を行うことが可能である。
(制御システムの構成)
次に、上記構成を持つ電力系統2aを制御するために設けられた制御システム1の構成について、図3及び図5を参照しながら説明する。
制御システム1は、図3に示すように、発電量予測部14と稼働計画作成部15、稼働計画保存部16、電力系統制御部17、発電量予測保存部18、蓄電実績収集・放電単位計算部19、放電量保存部21、日別集計保存部22、蓄電池制御部23、そしてオフライン作業部24を備えている。蓄電池制御部23は、放電制御部23aと調整用蓄電池制御部23bと放電量調整部23cを有している。オフライン作業部24は、放電目標設定部24aと需要予測部24bと非太陽光再エネ発電予測部24cを有している。
制御システム1は、さらに、図5に示すように、太陽光発電情報保存部25、放電目標保存部26、需要予測保存部27、及び、非太陽光再エネ予測保存部28を備えている。
発電量予測部14は、電力系統2aに設置されているすべての太陽光発電装置(太陽光発電所)4、5、6と非太陽光再エネ発電装置9aについて、日毎の時間当たり発電量の予測を行うセクションである。太陽光発電装置4、5、6については、任意の予測日において、その予測日の翌日と翌々日の天気予報から必要な天気情報を取り込み、各々の太陽光発電装置4の前記翌日と翌々日の時間当たり放電量と、各々の太陽光発電装置5、6の前記翌日と翌々日の時間当たり発電量とを予測する。この予測によって得られる各太陽光発電装置4の時間当たり予測放電量と、各太陽光発電装置5、6の時間当たり予測発電量は、発電量予測保存部18に保存される。必要な天気予報は、インターネット13を介して天気予報事業者12から入手する。
非太陽光再エネ発電装置9a(例えば風力発電装置など)の発電量予測は、公知の手法によって行われる。前記予測日またはそれ以前に、すべての非太陽光再エネ発電装置9aの前記翌日と翌々日の時間当たり予測発電量を、外部から取得して、発電量予測保存部18に保存する。
稼働計画作成部15では、電力系統2aに設置されているすべての太陽光発電装置4、5、6と非太陽光再エネ発電装置9aの日毎の時間当たり予測放電・発電量の和と、日毎の時間当たり予測需要量との間の差分を、すべての非再エネ発電装置9b(火力発電所と原子力発電所)の時間当たり発電量で補償する(賄う)ための稼働計画を、公知の手法で作成するセクションである。前記差分が分かれば、公知の手法を用いて各々の非再エネ発電装置9bの時間当たり発電量を算出することで、稼働計画を容易に作成することができる。稼働計画作成部15で作成された稼働計画は、稼働計画保存部16に保存される。
前記差分を算出する際には、例えば、次のようにする。任意の予測日に、すべての太陽光発電装置4の付設蓄電池3の前記予測日の翌日における時間当たり実放電量の合計値と、すべての太陽光発電装置5の前記翌日における時間当たり予測発電量の合計値と、すべての非太陽光再エネ発電装置9aの前記翌日における時間当たり予測発電量の合計値を算出し、それら合計値を加算して、合計時間当たり予測給電量を算出する。そして、こうして得た前記翌日における合計時間当たり予測給電量を、前記翌日における時間当たり予測需要量と比較し、両者の差分を算出する。前記翌日分の稼働計画は、前記翌日における合計時間当たり予測給電量と、前記翌日における時間当たり予測需要量との差分を、すべての非再エネ発電装置9bの時間当たり発電量で補償する(賄う)ように、換言すれば、電力需給バランスを保つように、作成される。
予測日の翌々日分の稼働計画は、すべての太陽光発電装置4の付設蓄電池3の前記予測日の翌々日における時間当たり予測放電量の合計値が、同日における時間当たり実放電量の合計値に代えて使用される点が異なるだけで、翌日分の稼働計画と同様にして作成される。
本実施形態における稼働計画は、すべての非再エネ発電装置9bの各々について、その動作を時系列で記述したプログラムである。このプログラムは、稼働計画の実行時に、電力系統2aに設置されているすべての非再エネ発電装置9bが、必要な時点で稼働開始、停止、待機等を行うように、これらの非再エネ発電装置9bを制御する。
稼働計画保存部16は、稼働計画作成部15で作成された稼働計画を保存するセクションである。稼働計画保存部16としては、例えば、ハードディスク等の公知のデータ保存装置が利用可能である。
電力系統制御部17は、稼働計画保存部16に保存された稼働計画を実行するセクションである。電力系統制御部17は、稼働計画に基づいて、通信網2bを介して電力系統2aに電力系統制御信号を送り、電力系統2a(具体的には、非再エネ発電装置9bと揚水式発電装置10と他電力会社電力系統・発電装置11の動作)を制御する。なお、太陽光発電装置4の付設蓄電池3と調整用蓄電池8の制御は、後述する蓄電池制御部23によって行われる。
発電量予測保存部18は、発電量予測部14で予測された太陽光発電装置4、5、6の時間当たり予測発電量及び時間当たり予測放電量または時間当たり実放電量を保存するセクションである。発電量予測保存部18としては、例えば、ハードディスク等の公知のデータ保存装置が利用可能である。時間当たり予測発電量等は、例えば、図13(a)の放電量テーブルや、図13(b)及び(c)の発電量予測テーブル1、2の形式で保存される。
図13の3種類のテーブルは、図12の基本テーブルを別の形で表現しているだけである。コンピュータ処理上、図12のテーブルを扱うのはかなりの技術が必要なため、図13のテーブルが存在しているように見せかける方法が存在する。以下の説明では、図12と図13のテーブルを使用して説明する。
蓄電実績収集・放電単位計算部19は、稼働計画の作成前に、すべての産業用太陽光発電装置4の付設蓄電池3の日毎の実蓄電量を、通信網2bを介して収集し、収集した実蓄電量から付設蓄電池3毎に実放電単位(時間当たり実放電量)を計算するセクションである。
放電量保存部21は、蓄電実績収集・放電単位計算部19で計算された各蓄電池3に対する時間当たり放電量を保存するセクションである。放電量保存部21としては、例えば、ハードディスク等の公知のデータ保存装置が利用可能である。放電量は、例えば、図13(a)の放電量テーブルの形式で保存される。
日別集計保存部22は、電力系統2aに設置されたすべての装置、すなわち、太陽光発電装置4、5、6と、非太陽光再エネ発電装置9aと、調整用蓄電池8についての、時間当たり予測発電量・放電量・蓄電量を時間別に集計した日別集計データを保存するセクションである。日別集計保存部22としては、例えば、ハードディスク等の公知のデータ保存装置が利用可能である。予測発電量の日別集計データは、例えば、図15の予測発電量日別集計テーブルの形式で保存される。
蓄電池制御部23は、太陽光発電装置4の付設蓄電池3と調整用蓄電池8の制御を行うセクションであり、放電制御部23aと調整用蓄電池制御部23bと放電量調整部23cを有している。
放電制御部23aは、太陽光発電装置4の付設蓄電池3の放電を制御するセクションであり、付設蓄電池3の放電の開始と停止、放電量の調整等を行う。
調整用蓄電池制御部23bは、調整用蓄電池8の蓄電及び放電を制御するセクションであり、調整用蓄電池8の放電または蓄電の開始と停止、放電量または蓄電量の調整等を行う。
放電量調整部23cは、稼働計画の実行中に、ある時点での時間当たり予測需要量と時間当たり予定放電量を監視し、必要に応じて調整する、つまり、電力需給バランスのチェックを行うセクションである。この調整の際には、蓄電実績収集・放電単位計算部19で算出した付設蓄電池3毎の放電単位(時間当たり放電量)が使用される。放電量調整部23cは、付設蓄電池3の放電量の目標管理にも使用される。
オフライン作業部24は、電力系統制御部17が行っているリアルタイム制御処理から独立した作業を行うセクションであり、放電目標設定部24aと需要予測部24bと非太陽光再エネ発電予測部24cとを有している。
放電目標設定部24aは、すべての付設蓄電池3の年間発電量予測から電力供給全域の月旬別に 放電目標を設定するセクションである。放電目標設定部24aによって設定された放電目標は、放電目標保存部26に保存される。この放電目標は、目標管理に使用される。
需要予測部24bは、日毎の時間当たり電力需要を予測する。この需要予測は、従来の公知の手法によって作成される。作成された需要予測は、需要予測保存部27に保存される。
非太陽光再エネ発電予測部24cは、太陽光発電装置4、5、6以外の再エネ発電装置、主に風力発電などの発電に対する時間当たり発電量の予測を行うセクションである。この予測は、従来の公知の手法によって行えばよい。作成された非太陽光再エネ予測は、非太陽光再エネ予測保存部28に保存される。
太陽光発電情報保存部25は、各々の太陽光発電装置4,5、6に係る情報を保存するセクションである。太陽光発電情報保存部25としては、例えば、ハードディスク等の公知のデータ保存装置が利用可能である。太陽光発電情報は、例えば、図12の発電所基本情報テーブル、屋根基本情報テーブル、放電量基本情報テーブル、発電量予測基本情報テーブルのような形式で保存される。
放電目標保存部26としては、設定された電力供給域全体の月旬別の目標放電量を保存する。ハードディスク等の公知のデータ保存装置が利用可能である。放電目標(目標放電量)は、例えば、図16の放電目標テーブルの形式で保存される。
需要予測保存部27としては、例えば、ハードディスク等の公知のデータ保存装置が利用可能である。需要予測は、例えば、図14の需要予測テーブルの需要量欄の形式で、日別、5分毎に保存される。
非太陽光再エネ予測保存部28としては、例えば、ハードディスク等の公知のデータ保存装置が利用可能である。
(制御システムの動作)
次に、図5及び図6を参照しながら、上述した制御システム1の動作を説明する。
制御システム1の動作は、大きく分けると、図6に示すように、6つのステップに分けられる。すなわち、準備(ステップR01)、発電量の予測(ステップR02)、蓄電実績の収集及び放電単位の計算(ステップR03)、稼働計画の作成(ステップR04)、稼働計画の実行(ステップR05)、そして放電の実施と調整(ステップR06)である。制御システム1は、予測日前の任意の日に放電目標を作成(ステップR01)し、予測日には発電量(翌日分と翌々日分)の予測(ステップR02)と、予測日当日の蓄電実績の収集及び放電単位の計算(ステップR03)と、稼働計画(翌日分と翌々日分)の作成の3つのステップを実行し、その翌日(午前0時)になってから、翌日分の稼働計画の実行(ステップR05)と、放電の実施と調整(ステップR06)を開始する。電力系統制御部17は、前記予測日の翌日において、電圧と周波数が常に所定範囲内に維持されるように、太陽光発電装置4、5、6や非太陽光再エネ発電装置9a、非再エネ発電装置9bを含む電力系統2aを制御する。
以下、上記の6ステップについて順に説明する。
(A)準備(ステップR01)
準備ステップでは、付設蓄電池3を持つすべての産業用太陽光発電装置4毎に、年間を通じた「平均的発電量」を日別に算出する。算出は、太陽光発電装置4が稼働開始する前日までの任意の日に行っておく。電力供給域内で新たに付設蓄電池が稼働する前に新設分の放電目標を追加しておく必要がある。これは、オフライン作業部24の放電目標設定部24aが行う。この平均的発電量は、付設蓄電池3を持つ太陽光発電装置4の「放電目標」として使用される。付設蓄電池3を持たないすべての産業用太陽光発電装置5と家庭用太陽光発電装置6については、平均的発電量の算出は行われない。これは、太陽光発電装置5、6については蓄電池から放電することがないためである。
付設蓄電池3を持つすべての産業用太陽光発電装置4毎の「放電目標」、すなわち「平均的発電量」は、蓄電池3からの時間当たり目標放電量(電力系統2aに対する時間当たり目標給電量)のことであり、後述する「目標管理」に使用される。放電目標設定部24aによる放電目標の設定は、図7に示す方法で行う。
図7の放電目標作成フローにおいて、まず、付設蓄電池3を持つ全ての太陽光発電装置4に対して、各装置4毎に発電特性を考慮して、装置設置場所の最寄り気象台の過去1年間の天気実績から、日別に365日分の発電量を装置別に予測する(ステップT01)。その予測の際には、本願の出願人に係る特許である特許文献6(特許第4848051号明細書)と特許文献7(特許第5308560号明細書)に記載された手法・技術を使用するのが好ましい。特許文献6には、日照率をより詳細に計算することができる「日照率計算方法、そのシステム、及びそのプログラム」が開示されている。特許文献7には、日照強度(日射量)や気温、発電量をリアルタイムで実測することなく、太陽光発電装置別、時間帯別に、太陽光発電における発電量の予測を高精度に行うことができる「太陽光発電における発電量予測方法及び装置」が開示されている。両文献に記載の手法・技術を使用すれば、日別に365日分の予想発電量を高い精度で算出することが可能である。しかし、日別に365日分の予想発電量を高い精度で算出できるものであれば、特許文献6と7に記載されたもの以外の手法・技術も使用可能であることは言うまでもない。
次に、ステップT01で太陽光発電装置4毎に算出された365日分の予想発電量を用いて、日別に全太陽光発電装置4の合計値を求める。そして、その日別合計値から、月旬別に日平均発電量を計算する(ステップT02)。ここで、「月旬別」とは、上旬(1日〜10日)、中旬(11日〜20日)、下旬(21日〜月末)に分けて計算することである。したがって、図25に示すように、算出された月旬別平均発電量は、1電力会社では1年間で36個のデータとなる。
次に、ステップT02で生成された月旬別日平均発電量(36個のデータ)を平準化する(ステップT03)。これは、ステップT02で生成された36個のデータには、図25の月旬別発電量グラフに示したように、かなり大きなバラツキがあるからである。平準化する際には、近似式を当てはめるなど、公知の適切な手法を選択して使用すればよい。
次に、ステップT03で平準化された月旬別日平均発電量に、蓄電損失/放電損失を適用し、さらに(24×12)で割って、5分間隔の「時間当たり放電量」を24時間分、算出する(ステップT04)。その際、時間の経過や残存量の変化に合わせて放電量が変化するときは、その変化に合わせた時間当たり放電量を計算しておく。
最後に、ステップT04で生成された「時間当たり放電量」を、図16の放電目標テーブルに、月旬別に保存する(ステップT05)。全ての付設蓄電池3の「時間当たり放電量」の合計値が、電力系統制御をおこなっている1電力会社の「時間当たり目標放電量」すなわち「放電目標」となる。
(B)需要量と発電量の予測(ステップR02)
稼働計画作成のためには、事前に、時間ごとの電力需要量の予測が必要である。この予測は、年間を通して毎日の稼働計画作成前に、オフライン作業部24の需要予測部24bによって、公知の手法で行われる。こうして得られた時間ごとの予測需要量は、需要予測保存部27に、図14の需要予測テーブルの形式で、5分毎の予測需要量として保存される。
また、発電量の予測は、すべての付設蓄電池3付きの産業用太陽光発電装置4、すべての蓄電池なしの産業用太陽光発電装置5、及び、すべての蓄電池なしの家庭用太陽光発電装置6について行われる。具体的に言うと、図3及び図5に示すように、予測日の昼に、インターネット13を介して太陽光発電装置4、5、6が設置されている地域の翌日と翌々日の天気予報を取得する。そして、その天気情報に基づいて、予測日の翌日と翌々日におけるすべての太陽光発電装置4、5、6による発電量を装置毎に予測するのである。この予測は発電量予測部14が実行する。この予測によって得られる太陽光発電装置4、5、6毎の時間当たり予測発電量は、例えば、図13の放電量テーブルや発電量予測テーブル1及び2の形式で、発電量予測保存部18に保存される。
すべての非太陽光再エネ発電装置9aの時間当たり予測発電量は、公知の手法を使用して予測されたものを外部から取得する。取得した予測発電量は、非太陽光再エネ予測保存部28に保存される。
蓄電池3付きの産業用太陽光発電装置4については、1日の発電量(積算発電量)は、すべて、いったん付設蓄電池3に保存され、その後1日(24時間程度)かけて放電されて電力系統2aに給電されるので、日毎に付設蓄電池3からの「時間当たり予測放電量」も予測する。また、1日の積算発電量によって付設蓄電池3に実際に蓄電された量、すなわち、予測日に蓄電した実蓄電量を、適当なセンサで測定して通信網2bを介して発電終了後に入手し、その実蓄電量から「時間当たり実放電量」を算出して、翌日の放電量としては「実放電量」を使用する。翌々日の稼働計画は、蓄電実績が未だ得られていないので、発電量予測から算出した「時間当たり予測放電量」を使用して稼働計画を作成する。
算出された「時間当たり予測放電量」と「時間当たり実放電量」は、発電量予測保存部18に、例えば、図13(a)に示した放電量テーブルの形式で保存される。本実施形態では、「時間当たり予測放電量」と「時間当たり実放電量」は、5分間隔で算出される。
蓄電池なしの産業用太陽光発電装置5については、1日の積算発電量はすべて、発電後ただちに電力系統2aに給電される(直送される)ので、太陽光発電装置5による日毎の発電量予測をそのまま使用する。予測結果は、上限値、中間値、下限値と出力されるが、稼働計画作成には中間値を使用する。上限値、下限値は各種チェックに使用される。こうして得られる翌日と翌々日の「時間当たり予測発電量」は、発電量予測保存部18に、例えば、図13(b)の発電量予測テーブル1の形式で保存される。本実施形態では、「時間当たり予測発電量」は、上限値、中間値、下限値に分けて保存される。
蓄電池なしの家庭用太陽光発電装置6については、1日の積算発電量の一部は需要家7が自己使用し、その余剰分のみが電力系統2aに給電される(直送される)ので、家庭用太陽光発電装置6による日毎の余剰分の発生状況を予測することで発電量予測を行う。こうして得られる翌日と翌々日の「時間当たり予測発電量」は、発電量予測保存部18に、例えば、図13(c)の発電量予測テーブル2の形式で保存される。本実施形態では、「時間当たり予測発電量」、「時間当たり予測消費量」、「時間当たり予測売電量」に分けて保存される。
なお、上記の発電量予測は、個々の太陽光発電装置4、5、6毎に行うので、その際には、発電所番号、発電所タイプ、住所、天気予報地区といった個々の太陽光発電装置4、5、6の太陽光発電所基本情報が必要となる。これらの太陽光発電所基本情報は、例えば、図12に示すような発電所基本情報テーブル、屋根基本情報テーブル、放電基本情報テーブル、発電量予測基本情報テーブルのような形式で、制御システム1の太陽光発電情報保存部25(図5参照)に一括して保存されているので、必要に応じて太陽光発電情報保存部25から読み出して使用される。
ところで、上記の発電量予測の精度を高めるためには、精度の高い天気予報が必要である。そのために、天気予報はできるだけ小刻みに地域分割されていて、且つできるだけ直近の予報がよい。日本気象協会の天気予報は、図21に示すように、北海道から沖縄まで、合計11箇所の地区に分かれていて、全国で1954ヶ所、九州地区だけでも250ヶ所に分かれている。そこで、これらの天気予報地区から対応するものが選択され、そのコードが図12の発電所基本情報テーブルの「天気予報地区」に登録されている。
該当する地区の天気予報を取得する際には、例えば、図12の発電所基本情報テーブルの「天気予報地区」をキーにして、インターネット13を経由して、天気予報事業者12から予測日の翌日と翌々日の天気予報を取得する。一般的に、天気予報は当日と翌日分しか表示されないが、天気予報事業者12と事前協議して、翌々日分までの天気予報を入手できるようにしておく必要がある。天気予報事業者12は1週間先まで予測しているから、これは容易に実行可能である。天気予報は通常、一日3回、午前6時、午前11時、午後5時(17時)に発表される。電力系統2aの稼働計画(翌日分と翌々日分)は、予測日の太陽光発電装置4、5、6による発電が終了した頃に、また、発電量予測が完了した後に作成されるから、通常は午後5〜6時頃に作成される。よって、午前11時発表の天気予報を使うようにすればよい。
予測日に発表された天気予報から取得した天気情報に基づいて、翌日と翌々日の発電量を予測する際には、取得した天気情報が3時間おきのものであるため、1時間毎の天気情報に補正する必要がある。また、発電量予測における発電量は、1分刻みで計算しているので、使用目的に合わせて5分、10分、20分、30分、60分刻みのうちのいずれかで、所望の予測値を出力することができる。60分刻みで天気情報を受け取った場合の予測結果の例を図26に示す。また、図26の予測結果をグラフ化したものを図27に示す。
図26及び図27に示した発電量予測結果を得る手法の詳細は、本願の出願人が所有する特許である特許文献6(特許第4848051号明細書)と特許文献7(特許第5308560号明細書)に詳細に記載されているから、その説明は省略する。なお、図26及び図27の発電量予測結果を得る手法としては、特許文献6と特許文献7に記載されているもの以外の公知の手法を使用してもよいことは言うまでもない。
また、図28に示すように、特許文献6と特許文献7の予測手法によると、過去の天気実績に基づく発電量の予測精度が94.7%となっており、非常に高精度で予測できることが分かる。
自己消費のある家庭用太陽光発電装置6の発電量予測を高精度に行うには、自己消費量を予測しなければならない。本願の出願人が所有する特許に係る特許文献8(特許第4679670号明細書)には、家庭内電気機器の使用状況分析を通して、平日・休日別および季節別に時間別電気使用量を予測する手法が開示されているから、この手法を採用すればよい。特許文献8に開示されている自己消費量予測法では、家庭の実際の月別電気使用量(kWh)に一致するようにして予測しているため、予測精度が高い。その例を図29に示す。図29(a)は発電量、発電量と消費量、売電量のグラフであり、図29(b)はそれらグラフの元データである。発電量から消費量を差し引いた売電量が、家庭用太陽光発電装置6の予測発電量として使用される。これに対応して、図13(c)の発電量予測テーブル2には、予測発電量、予測消費量、予測売電量を保存する欄と、売電量の合計値を保存する欄が設けられている。
自己消費量を予測するには各家庭の協力が必要であるため、例えば、各家庭のパソコンから自分の電気使用状況の分析が行えるようにして、協力の対価として毎日の売電予想が当該パソコンで覗けるようにするのが好ましい。家庭の協力が得られない場合は、平均的家庭の平均的使用量を使用すればよい。
自己消費のない産業用太陽光発電装置4、5の場合、発電した電力を電力系統2aに直ちに給電するタイプ(産業用太陽光発電装置5)と、付設蓄電池3に貯めてから24時間程度かけて放電するタイプ(産業用太陽光発電装置4)の2種類があるが、これらは出力が大きく、電力系統2aに与える影響が大きい。そこで、直接給電する太陽光発電装置5についての予測発電量は、図26と図27に示したように、上限値、中間値、下限値という三つの値を生成するようにして、予測発電量に幅を持たせるようにしている。太陽光発電装置5の予測発電量の計算に際しては、前記中間値を利用し、また、蓄電損失率と放電損失率をも考慮している。これに対応して、図13(b)の発電量予測テーブル1には、予測発電量の上限値、中間値、下限値を保存する欄と、中間値の合計値を保存する欄が設けられている。付設蓄電池3に蓄電後に送電する太陽光発電装置4については、24時間にわたって時間別に予測放電量と実放電量を計算するので、これに対応して、図13(a)の放電量テーブルには、予測放電量または実放電量を24時間にわたって時間別に保存する欄と、予想放電量と実放電量の合計値を保存する欄が設けられている。
このように、発電量予測には図12及び図13の各種テーブルが使用されるが、それらの構成について、ここで説明を補足しておく。
図12は、発電量予測部14で使用される発電所基本情報テーブル、屋根基本情報テーブル、放電量基本情報テーブル、及び発電量予測基本情報テーブルの構成を示している。(これらは太陽光発電情報保存部25に保存されている。)これら4つのテーブルには、太陽光発電装置4、5、6の各々に割り当てられた発電所番号のほか、発電所タイプ、設置された位置(住所)、発電年月日等に係る情報が保存されるようになっているため、太陽光発電装置4、5、6の固有情報をすべて保存することが可能である。本実施形態では、蓄電池3を持つ産業用太陽光発電装置4や、蓄電池3を持たない産業用太陽光発電装置5、家庭用太陽光発電装置6、調整用蓄電池8が電力系統2aに設置されているので、発電所基本情報テーブルには、これらに関する固有情報が保存されることになる。
発電所基本情報テーブルは、太陽光発電装置4、5、6(太陽光発電所)に係る基本情報を保存するテーブルであるが、調整用蓄電池8に係る基本情報も一緒に保存されている。図12に示すように、発電所基本情報テーブルには、固有の発電所番号のほか、発電所タイプ、設置された住所、天気予報地区、電力会社のお客様番号、太陽光発電パネルに関する情報、蓄電池の有無、蓄電量収集開始時間、放電開始時間、蓄電容量、蓄電損失率、放電損失率(放電特性)というデータ項目が含まれており、したがって、同テーブルにはこれらのデータが保存されている。
設置された住所は、緯度と経度で表示される。接続されている電力系統の電力会社名と、その電力会社が付けた発電装置(発電所)に対するお客様番号から、太陽光発電装置4、5、6または調整用蓄電池8がどこの電力会社のどの場所で電力毛糸2aに接続されているかが分かる。太陽光パネルのメーカー名と型番から、発電効率などを算出できる。
発電所タイプとしては、1:家庭用(自己消費有り)、2:産業用(蓄電池有り)、3:産業用(蓄電池無し)、4:調整用蓄電池(発電無し)の4種が設けられている。したがって、蓄電池3が付設された産業用太陽光発電装置4の発電所タイプは2、蓄電池3を持たない産業用太陽光発電装置5の発電所タイプは3、家庭用太陽光発電装置6の発電所タイプは1、調整用値充電池8の発電所タイプは4となる。
発電所番号が特定の値、例えば「000000」の場合の各データ項目のデータは、すべての太陽光発電装置4、5、6(太陽光発電所)の合計値を意味している。
屋根基本情報テーブルは、太陽光発電パネルが設置された屋根に係る基本情報を保存するテーブルである。屋根基本情報テーブルは、太陽光発電パネルが設置された屋根毎にパネル枚数、最大出力、屋根の方位、屋根の角度というデータ項目を有しており、これらに係る情報を保存する。屋根の数は無制限である。
放電量基本情報テーブルは、付設蓄電池3からの時間当たり予定放電量と実放電量に係る基本情報を保存するテーブルである。放電量基本情報テーブルは、発電年月日、放電の予定/実績合計値(時間当たり予定放電量と時間当たり実放電量の合計値)、24時間程度にわたる5分毎の放電量(時間当たり予定放電量または時間当たり実放電量)というデータ項目を有しており、これらに係るデータを保存する。
発電量予測基本情報テーブルは、発電量予測に係る基本情報を保存するテーブルである。ここには、発電年月日、上限、中間、下限の予測発電量というデータ項目を有しており、これらに係るデータを保存する。
図13は、図12の4つのテーブルを組み合わせて作成される放電量テーブル、発電量予測テーブル1及び発電量予測テーブル2の構成を示す。
図13(a)の放電量テーブルは、付設蓄電池3に蓄電する場合、すなわち付設蓄電池3を備えた産業用太陽光発電装置4(発電所タイプ=2)についてのみ作成される。放電量テーブルには、付設蓄電池3の蓄電実績を収集して放電単位(時間当たり実放電量)を算出するまでは、予測発電量から計算された「時間当たり予測放電量」が保存され、発電後は、蓄電実績から算出された放電単位つまり「時間当たり実放電量」が保存される。予定放電量と実放電量は、発電年月日別に且つ時間別(5分間隔)に保存される。
図13(b)の発電量予測テーブル1は、産業用太陽光発電装置4、5の発電量予測結果が保存される。産業用太陽光発電装置4については予想発電量が放電されるので、放電量を計算後、次の日付で放電量テーブルにも保存される。予想発電量は、その上限値、下限値及び中間値 が、発電年月日別に且つ時間別に保存される。予想発電量の中間値の合計値も保存される。
図13(c)の発電量予測テーブル2は、付設蓄電池3がなく、発電した電力が直接的に電力系統2aに供給され、且つ自己消費のある家庭用太陽光発電装置6(発電所タイプ=1)についてのみ作成される。これは、発電量と自己消費量の差である余剰分(売電量)が、電力系統2aに供給される発電量になるからである。家庭用予測テーブルには、発電量、消費量、売電量が、発電年月日別に且つ時間別に保存される。売電量の合計値も保存される。
(C)蓄電実績の収集及び放電単位の計算(ステップR03)
蓄電実績の収集と放電単位の計算の処理は、図9に示すように行われる。図9は、蓄電実績収集・放電単位計算の処理を示すフローチャートである。
まず、電力系統2aに接続されたすべての付設蓄電池3から一つを選択し、その最初の付設蓄電池3について、予測日の翌日の発電終了後の決められた時刻に、その日における付設蓄電池3の実際の蓄電量(実蓄電量)を測定し、「蓄電実績」として取り込む(ステップP01)。
次に、電力系統2aに接続されたすべての付設蓄電池3から蓄電実績を収集したかどうかを判断する(ステップP02)。すべて収集したと判断した場合はステップP06に進むが、ここではまだすべてを収集していないので、ステップP03に進む。
ステップP03では、付設蓄電池3毎に取り込んだ蓄電実績に対して、発電所基本情報テーブル(図12参照)に保存されている付設蓄電池3の蓄電損失率と放電損失率を適用し、以下の式3を用いて、24時間の放電時間帯で放電可能な「時間当たり実放電量」(放電単位)を算出する(ステップP03)。
時間当たり実放電量(5分間の放電量)=
(蓄電実績−蓄電損失量−放電損失量−予備保存量)÷(24×12) (式3)
式3において(24×12)で割っているのは、付設蓄電池3からの放電を、翌日の指定された時間からの24時間の間に5分間隔で放電を行うからである。予備保存量とは、蓄電池特性として残存量が少なくなると急激に放電量が減少するものがあるので、それを防ぐために少しの量を残すようにするためである。
時間の経過または残存量の変化とともに、損失量が変化する特性を持った蓄電池もあるので、「時間当たり実放電量」を計算するときは、その特性も組み込んだ計算をするべきことは言うまでもない。
次に、こうして算出された「時間当たり実放電量」(放電単位)を、図13(a)の放電量テーブルの「時間別放電量」の欄に24時間分、保存する。この時、この「時間当たり実放電量」が保存されるのは、放電量テーブルの、予測日の翌日の放電開始時(午前0時)から放電終了時までの24時間の時間帯である。なお、ステップP03で算出された「時間当たり実放電量」が保存されるまでは、同欄には、予測日に算出された「時間当たり予測放電量」が保存されているから、その「時間当たり予測放電量」が「時間当たり実放電量」で更新(上書き)されることになる(ステップP04)。
次に、ステップP04において時間当たり実放電量で更新(上書き)された放電量テーブルを、放電量保存部21に上書き保存する(ステップP05)。
その後、ステップP01に戻り、対象とする2番目の付設蓄電池3を選択し、その付設蓄電池3について、ステップP01〜P05を再度、実行する。
以後、同様にして、電力系統2aに接続されたすべての付設蓄電池3について蓄電実績の収集と放電単位の計算が完了するまで、ステップP01〜P05を繰り返す。最後の付設蓄電池3について蓄電実績の収集と放電単位の計算が完了すると、ステップP02で蓄電実績の収集終了と判断されるので、ステップP06に進み、全付設蓄電池3の「時間当たり実放電量」の放電開始から放電終了時間までの時間別に集計し、図13(a)の放電量テーブルに保存する。この「時間当たり実放電量の合計値」(実放電量合計値)を保存する欄は、放電量テーブルの発電所番号欄が「00000」の「予定/実績合計値」欄とする。保存後、蓄電実績収集・放電単位計算の処理を終了する。
ここで、上述した蓄電実績収集・放電単位計算の処理によって、図13(a)の放電量テーブルと図13(b)(c)の発電量予測テーブル1及び2の保存データがどのように変化するかを、図17を参照しながらより詳細に説明する。
図17には、図13に示した放電量テーブルと発電量予測テーブル1及び2の保存データの、発電量予測前からその予測完了後までの変化と、発電量予測完了後から付設蓄電池3の放電量決定後までの変化を模式的に示している。
ここでは、付設蓄電池3を有する太陽光発電装置4について、m月n日(予測日)に、その翌日すなわちm月(n+1)日と、その翌々日すなわちm月(n+2)日の発電量を予測すると仮定する。
この場合、m月n日(予測日)の発電量予測前は、発電量予測テーブル1のn日セルと(n+1)日セルには、m月n日(予測日)の前日すなわちm月(n−1)日に予測された、n日と(n+1)日の「時間当たり予測発電量」がそれぞれ保存されている。また、放電量テーブルのn日、(n+1)日及び(n+2)日のセル群には、それぞれ、(n−1)日の「時間当たり実放電量」、n日の「時間当たり予測放電量」及び(n+1)日の「時間当たり予測放電量」が保存されている。
付設蓄電池3を有する太陽光発電装置4の発電量予測が、n日(予測日)に行われると、その翌日である(n+1)日とその翌々日である(n+2)日の「時間当たり予測発電量」が算出される。この発電予測の終了時には、発電量予測テーブル1の(n+1)日セルには、算出された(n+1)日セルの「時間当たり予測発電量」が上書き保存(更新)され、同テーブルの(n+2)日セルには、算出された(n+2)日の「時間当たり予測発電量」が新規に追加される。同テーブルのn日セルのデータは変更されない。
この時、放電量テーブルについては、n日と(n+1)日のセル群のデータは不変であるが、(n+2)日セルは(n+1)日の「時間当たり予測放電量」で更新され、(n+3)日セルには、算出された(n+2)日の「時間当たり予測放電量」が新規に追加される。
n日(予測日)の発電が終了してから蓄電実績の収集と放電単位の計算が終了すると、n日の「時間当たり実放電量」が決定される。この時、発電量予測テーブル1及び2のn日セル、(n+1)セル及び(n+2)日セルのデータは変更されない。放電量テーブルについては、n日、(n+2)日及び(n+3)日のセル群のデータは不変であるが、その(n+1)日セルの(n+1)日の「時間当たり予測放電量」は、n日の「時間当たり実放電量」で上書き保存(更新)される。
以上述べたように、n日(予測日)の「時間当たり実放電量」が決定されると、放電量テーブルのn日セルにあるn日の「時間当たり予測放電量」がn日の「時間当たり実放電量」で上書きされるので、n日における太陽光発電装置4の実積算発電量を、確実に、(n+1)日の24時間の時間帯において、その実積算発電量に見合う「時間当たり実放電量」で徐々に放電させることが可能になるのである。
こうして生成された発電量予測テーブル1及び放電量テーブルのデータは、稼働計画作成部14に渡され、稼働計画の作成に使用される。この時、稼働計画作成部14に渡されるデータは、次のとおりである。
(a)目標管理なしの場合、予測日(n日)における翌日(n+1日)の稼働計画の作成時には、放電量テーブルにあるn日の実放電量の全付設蓄電池3の合計値(実放電量合計値)が稼働計画作成部14に渡される。翌々日(n+2日)の稼働計画の作成時には、放電量テーブルにある(n+1日)の予想放電量の全付設蓄電池3の合計値(予測放電量合計値)が渡される。蓄電池3に蓄電してから放電する太陽光発電装置4の発電量予測テーブル1に保存されている(n+1)日と(n+2)日の予測発電量は、(n+1)日と(n+2)日の系統制御には無関係であるため、稼働計画の作成には使用されない。なお、太陽光発電装置5、6に関しては、それぞれの日の予測発電量がそのまま、稼働計画の作成に使用される。
(b)目標管理ありの場合は、予測日(n日)における翌日(n+1日)の稼働計画の作成時には、放電目標テーブルにある予測日(n日)の該当する月旬の目標放電量が、稼働計画作成部14に渡される。翌々日(n+2日)の稼働計画の作成時には、放電量テーブルにある翌日(n+1日)の該当する月旬の目標放電量が渡される。
(D)稼働計画の作成(ステップR04)
本発明の目的は太陽光発電装置の発電能力を最大限に活用することであるが、そのためには太陽光発電装置4、5、6と非太陽光再エネ発電装置9aの優先発電が必須である。電力の需給バランスを維持しながら太陽光発電装置4、5、6と非太陽光再エネ発電装置9aの優先発電を行うには、太陽光発電装置4、5、6と非太陽光再エネ発電装置9aの発電量では需要量を満たせない部分を補償する仕組みが必要である。つまり、太陽光発電装置4、5、6と非太陽光再エネ発電装置9aの時間当たり発電量の合計と、時間当たり需要量との差分を、火力発電所や原子力発電所といった非再エネ発電装置9bの発電量の合計で賄う仕組みである。本発明では、その仕組みを提供するために、非再エネ発電装置9bの制御プロセスを記述した稼働計画が作成・実行される。この稼働計画には、非再エネ発電装置9bの制御(稼働)プロセスだけでなく、それと連携して運用される揚水式発電装置10や他電力会社電力系統・発電装置11の制御(稼働)プロセスも記述される。
稼働計画作成部15は、次のようにして、予測日の翌日分と翌々日分の稼働計画を作成する。すなわち、ステップR02で翌日と翌々日における太陽光発電装置4、5、6の時間当たり予測発電量は算出済みであり、ステップR03で予測日の蓄電実績の収集と放電単位の計算は完了しているから、まず、(1)すべての太陽光発電装置4、5、6とすべての非太陽光再エネ発電装置9aの時間当たり予測発電量を集計する。次に、(2)時間当たり予測需要量から(1)で得た予測発電量の合計値を減算して、両者の差分を求める。最後に、(3)その差分を非再エネ発電装置9bと、それと連携する揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11とで賄うための制御プロセスを、非再エネ発電装置9bと揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11ごとに規定し、所望の稼働計画を完成する。
なお、稼働計画の作成時に使用するデータは、図18に示す通りである。すなわち、家庭用太陽光発電装置6の場合は、発電量から消費量を除いたいわゆる売電部分である。蓄電池を使用しない産業用太陽光発電装置5の場合は、発電量予測では下限値、中間値、上限値を出力するが、稼働計画にはその中間値を使用する。付設蓄電池3を持つ産業用太陽光発電装置4の場合は、翌日分の稼働計画には実放電量を、翌々日分の稼働計画には予想放電量を使用する。
まず、すべての太陽光発電装置4、5、6とすべての非太陽光再エネ発電装置9aの時間当たり予測発電量の集計(1)は、図8のようにして行う。
「翌日分」の稼働計画を作成する際には、まず、すべての家庭用太陽光発電装置6について、「時間別予測売電量」の集計を行う(ステップK01)。すなわち、太陽光発電装置6毎に、図13(c)の発電量予測テーブル2中の翌日分の「売電量」を読み出し、5分間隔のデータに編集してから、すべての太陽光発電装置6について5分間隔で集計し、その集計結果を日別集計保存部22に保存する。その集計結果は、図15の予測発電量日別集計テーブルの翌日分の「太陽光直送分発電量」の「中間値」欄に加算される。
次に、すべての蓄電池なしの産業用太陽光発電装置5について、「時間別予測発電量」の集計を行う(ステップK02)。すなわち、太陽光発電装置5毎に、図13(b)の発電量予測テーブル1中の翌日分の「予測発電量」の「中間値」を読み出し、5分間隔のデータに編集してから、すべての太陽光発電装置5ついて5分間隔で集計し、その集計結果を日別集計保存部22に保存する。その集計結果は、図15の予測発電量日別集計テーブルの翌日分「太陽光直送分発電量」の「中間値」欄に加算される。これにより、すべての家庭用太陽光発電装置6とすべての産業用太陽光発電装置5の翌日の予測発電量の集計値の合計が、「直送分発電量」の「中間値」欄に生成される。
次に、公知の発電予測システムが予測した非太陽光再エネ発電装置9aの「時間当たり予測発電量」を、すべての同装置9aについて集計する(ステップK03)。集計結果は、日別集計保存部22に保存する。その集計結果は、図15の予測発電量日別集計テーブルの翌日分の「非太陽光再エネ発電量」欄に加算される。
次に、目標管理を行うかどうかを判断する(ステップK04)。目標管理を行う場合はステップK05に進み、目標管理を行わない場合はステップK06に進む。
ステップK05では、図16の放電目標テーブルに保存されている該当月旬の「時間別目標放電量(放電単位)」を時間別に集計し、その集計結果を日別集計保存部22に保存する。その保存結果は、図15の予測発電量日別集計テーブルの翌日分の「目標放電単位」の0:00時から23:55時の欄にコピーされる。
ステップK06では、付設蓄電池3を持つすべての太陽光発電装置4について該当日の放電量テーブル(図13(a))の「時間別放電量」を時間別に集計し、その集計結果を日別集計保存部22に保存する。その保存結果は、図15の予測発電量日別集計テーブルの翌日分の「蓄電池放電分」欄にコピーされる。「時間別放電量」欄には、翌日の場合は「実放電量」が、翌々日の場合は「実放電量」が保存されているので、単純にデータを読み込めばよい。
最後に、優先給電の対象となる全再エネ発電装置の、すなわち、すべての太陽光発電装置4、5、6とすべての非太陽光再エネ発電装置9aの、該当日の発電量と放電量を集計する(ステップK07)。目標管理を行う場合は、図15の予測発電量日別集計テーブル内の(非太陽光再エネ発電量+太陽光直送分発電量の中間値+目標放電単位)の加算結果を時間別に集計して、同テーブルの「総計」欄へ入力する。目標管理を行わない場合は、同テーブル内の(非太陽光再エネ発電量+太陽光直送分発電量の中間値+蓄電池放電分)の加算結果を時間別に集計して、同テーブルの「総計」欄へ入力する。
「翌々日分」の稼働計画を作成する際にも、上記のステップK01〜K07が実行される。ただし、「翌日分」と「翌々日分」の違いは、目標管理を行わない場合、「翌日分」の全付設蓄電池3からの放電量として、予測日の「実放電量」が使用されるが、「翌々日分」の全付設蓄電池3からの放電量として、予測日の翌日の「予想放電量」が使用される。図13(a)の放電量テーブルの「時間別放電量」の欄には、「実放電量」または「予想放電量」が適切に保存されているので、「翌日分」と「翌々日分」を気にせずに、同テーブルの該当日の「時間別放電量」の欄から取り出せばよい。
以上のようにして、すべての太陽光発電装置4、5、6とすべての非太陽光再エネ発電装置9aについての、翌日と翌々日の予測発電量と実放電量または予測放電量の集計結果、つまり「再エネ発電装置の時間当たり総発電量」が得られると、その「再エネ発電装置の時間当たり総発電量」と「時間当たり予測需要量」を比較して、両者の翌日と翌々日における差分を算出する(2)。この差分は、太陽光発電装置4、5、6と非太陽光再エネ発電装置9a以外の発電装置、すなわち、火力発電所、原子力発電所等の非再エネ発電装置9bが発電すべき電力量であって、「需給電力差分」と呼ぶ。ここでは、予測日の翌日分と翌々日分の「需給電力差分」が時間別に算出される。この「時間当たり需給電力差分」は、次の式4によって算出される。
時間当たり需給電力差分=時間当たり予測需要量−
再エネ発電装置の時間当たり総発電量 (式4)
式4で算出される「時間当たり需給電力差分」は、公知の構成及び機能を持つ稼働計画作成部15へ渡され、公知の手法を使用して翌日分と翌々日分の稼働計画が作成される(3)。
こうして作成される稼働計画には、個々の非再エネ発電装置9bの制御プロセスが中心に記述される。これは、非再エネ発電装置9bが前記の「時間当たり需給電力差分」を賄う(補償する)ための中心的役割を果たすからである。しかし、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11を活用する必要が生じる場合があるから、稼働計画には、必要に応じて両装置10、11の各々の制御プロセスも補助的に記述される。こうすることで、稼働計画を実行すれば常に、「時間当たり需給電力差分」をほぼ解消できるようになる。
こうして作成される翌日分と翌々日分の稼働計画は、稼働計画保存部16に保存される。そして、予測日の翌日になると、翌日分の稼働計画が電力系統制御部17によって実行される。
(E)稼働計画の実行(ステップR05)
以上のようにして、予測日の夕方に、翌日分及び翌々日分の稼働計画が作成されると、予測日の翌日の定時(ここでは午前0時と設定)から、稼働が計画された非再エネ発電装置9bの発電開始と停止の実行が、所定の放電時間帯(ここでは24時間と設定)にわたって実行される。稼働計画の実行は、電力系統制御部17が担当する。稼働計画の実行中は、その時その時の電力の需給バランスを所定範囲内に保持するように、電力系統2aを監視しながら、太陽光発電装置4の付設蓄電池3からの放電の実施と調整、太陽光発電装置5、6及び非太陽光再エネ発電装置9aの優先給電の実施、調整用蓄電池8の蓄電・放電の調整、揚水式発電装置10の動作の調整、他電力会社電力系統・発電装置11との連携の調整といった制御が行われる。
上記の一連の調整作業のうち、非再エネ発電装置9bによる発電の開始と停止の制御、揚水式発電装置10及び他電力会社電力系統・発電装置11との連携の調整、電力の需給バランスの調整は、制御システム1の電力系統制御部17が担当する。また、付設蓄電池3からの放電の開始と停止の制御は、蓄電池制御部23の放電制御部23aが担当し、付設蓄電池3から放電量と需要量との電力バランスチェックは、蓄電池制御部23の放電量調整部23cが担当する。調整用蓄電池8の蓄電・放電の制御は、蓄電池制御部23の調整用蓄電池制御部23bが担当する。揚水式発電装置10と他電力会社電力系統・発電装置11との連携は、電力系統制御部17が独自の判断で行うが、放電量調整部20からの指示も受け付けて、その制御は電力系統制御部17だけで行う。なお、電力系統制御部17とは、現在、電力会社で使用中の公知のシステムに対応する。
(F)放電の実施と調整(ステップR06)
上記のようにして翌日分の稼働計画が実行される(ステップR05)と、それと並行して、付設蓄電池3と調整用蓄電池8に対して、放電の実施と調整が実行される。この放電の実施と調整は、制御システム1の蓄電池制御部23内にある放電量調整部23cが担当する。
ステップR06の放電の実施と調整は2つの役割を持っている。第1の役割は、24時間継続して放電すると、時間当たり放電量が時間当たり需要量を超過することがあり得るので、その超過の有無を監視して放電量を調整することである。第2の役割は、放電量の目標管理を実施することである。「目標管理」とは、すべての付設蓄電池3からの時間当たり実放電量の合計値とその日の時間当たり放電目標値との間で過不足をチェックし、時間当たり実放電量の合計値が常に時間当たり目標値に一致するように処理を行うことである。電力需給の過不足の調整は、調整用蓄電池8の使用、または、揚水式発電装置10もしくは他電力会社電力系統・発電装置11との連携によって行う。目標管理を行う場合も、需給バランスのチェックとその過不足への対応が必要なことは言うまでもない。後述するように、本実施形態の制御システム1では、「目標管理」をするかどうかを選択できるように構成されていて、目標管理を行うかどうかに応じて異なる対応をするようにしている。
「目標管理」を行う場合は事前に、1電力会社全体の放電目標値を月旬別に設定しておく。放電目標値は、放電目標設定部24aで計算されて放電目標保存部26に、図16の放電目標テーブルの形式で、月旬別に保存されている。目標管理を行うと、付設蓄電池3から天気に左右されない放電量を電力系統2aに供給できる利点がある。
以下、蓄電池制御部23の放電量調整部23cの処理について、図10及び図11を参照しながら詳細に説明する。図10は、目標管理に主として調整用蓄電池8を利用する場合であり、目標管理を行わない場合も含まれている。図11は、目標管理に揚水式発電装置10と他電力会社電力系統・発電所11を利用する(調整用蓄電池8を利用しない)場合である。
(目標管理を主として調整用蓄電池を利用して行う場合)
まず、図10に示すように、図13(a)の放電量テーブルにおいて発電所番号を「000000」、発電年月日(稼働日)を「予測日の翌日」と指定して、同テーブルの予測日の翌日の放電開始からその翌々日の放電開始前までの24時間の放電時間帯における「時間当たり実放電量の合計値」、すなわち「実放電量合計値」を取り込む。(ステップS01)これは、本実施形態では、付設蓄電池3の「実放電量合計値」が、上記の蓄電実績収集及び放電単位計算の処理(ステップR03)によって、図13(a)の放電量テーブルの発電所番号欄が「000000」の「予定/実績合計値 」欄に保存されているからである。
次に、図14の需要予測テーブルで運転日を「予測日の翌日」と指定して、同デーブルから、24時間の放電時間帯における5分間隔の「時間別予測需要量」を取り出す(ステップS02)。
次に、目標管理を行うか否かを判断する(ステップS03)。目標管理を行う場合はステップS04に進む。目標管理を行わない場合はステップS06に進む。
目標管理を行うステップS04では、図16の放電目標テーブルから、放電実施日に該当する月旬の目標放電量(放電目標値)を取り込み、図15の予測発電量日別集計テーブルの「目標放電単位」欄に保存する。
そして、次のステップS05では、ステップS02で取り込んだ、24時間の放電時間帯における5分間隔の「時間別予想需要量」の中から、該当する5分間の「時間別予測需要量」を図14の需要予測テーブルから取り込む。
次のステップS12では、ステップS01で取り込んだ付設蓄電池3の実放電量合計値と、ステップS04で取り込んだ目標放電量とを比較する。目標放電量が実放電量合計値を超過している場合は、ステップS13に進み、目標放電量が実放電量合計値を超過していない場合は、ステップS20に進む。
以下のステップS13〜S19では、目標放電量が実放電合計値より大きい場合の処理、すなわち電力の不足分を調整用蓄電池8から補充する処理を行う。以下のステップS20〜S23では、目標放電量が実放電合計値より大きくない場合の処理、すなわち電力の余剰分を調整用蓄電池8へ蓄電する処理を行う。こうして電力の需給バランスを維持するのである。
ステップS13では、目標放電量が実放電合計値より大きいから、調整用蓄電池8の蓄電残量を調査し、調整用蓄電池8の蓄電残量が十分であると判断されると、ステップS14に進み、調整用蓄電池8の蓄電残量が不足すると判断されると、ステップS17に進む。
調整用蓄電池8の蓄電残量が十分であるステップS14では、目標放電量と時間別予測需要量を比較し、時間別予測需要量が目標放電量より大きいと、ステップS15に進み、時間別予測需要量が目標放電量より大きくないと、ステップS16に進む。
ステップS15では、時間別予測需要量が実放電合計値より小さくないときは、電力の不足分(目標放電量−実放電合計値)を調整用蓄電池8からの放電で賄うために、調整用蓄電池制御部23bに指示を送り、不足電力を調整用蓄電池8から放電させる。時間別予測需要量が実放電合計値より小さいときは、電力が不足していないので、調整用蓄電池8の放電等の処理は行わない(不要である)。その後、放電制御部23aに指示を送り、全付設蓄電池3から放電させる。
ステップS16では、時間別予測需要量が実放電合計値より小さくないときは、電力の不足分(目標放電量−実放電合計値)を調整用蓄電池8からの放電で賄うために、調整用蓄電池制御部23bに指示を送り、調整用蓄電池8から放電させる。時間別予測需要量が実放電合計値より小さいときは、余剰電力を調整用蓄電池8に蓄電するために、調整用蓄電池制御部23bに指示を送り、調整用蓄電池8に蓄電させる。その後、放電制御部23aに指示を送り、全付設蓄電池3から放電させる。
調整用蓄電池8の蓄電残量が不足するステップS17では、ステップS14と同様に、目標放電量と時間別予測需要量を比較し、時間別予測需要量が目標放電量より大きいと、ステップS18に進み、時間別予測需要量が目標放電量より大きくないと、ステップS19に進む。
ステップS18では、時間別予測需要量が実放電合計値より小さくないときは、調整用蓄電池8の蓄電残量が不足するために、不足電力(目標放電量−実放電合計値)を揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11から調達(補充)するために、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に指示を送り、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11から電力系統2aに不足分を送電させる。時間別予測需要量が実放電合計値より小さいときは、電力が不足していないので、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11からの調達は行わない(不要である)。その後、放電制御部23aに指示を送り、全付設蓄電池3から放電させる。
ステップS19では、時間別予測需要量が実放電合計値より小さくないときは、調整用蓄電池8の蓄電残量が不足するために、不足電力(目標放電量−実放電合計値)を揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11から調達(補充)するために、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に指示を送り、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11から電力系統2aに不足分を送電させる。時間別予測需要量が実放電合計値より小さいときは、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に指示を送り、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に蓄電させる。その後、放電制御部23aに指示を送り、全付設蓄電池3から放電させる。
また、目標放電量が実放電合計値より大きくないステップS20では、調整用蓄電池8の蓄電残量の調査は不要である(ステップS21)。その後、目標放電量と時間別予測需要量を比較し、時間別予測需要量が目標放電量より大きいと、ステップS22に進み、時間別予測需要量が目標放電量より大きくないと、ステップS23に進む。
ステップS22では、時間別予測需要量が実放電合計値より小さくないときは、余剰電力(実放電合計値−目標放電量)を調整用蓄電池8へ蓄電するために、調整用蓄電池制御部23bに指示を送り、余剰電力を調整用蓄電池8に蓄電させる。時間別予測需要量が実放電合計値より小さいときも、同様に、調整用蓄電池制御部23bに指示を送り、余剰電力を調整用蓄電池8に蓄電させる。その後、放電制御部23aに指示を送り、全付設蓄電池3から放電させる。
ステップS23では、時間別予測需要量が実放電合計値より小さくないときは、電力が不足していないので、調整用蓄電池8の放電等の処理は行わない(不要である)。その後、放電制御部23aに指示を送り、全付設蓄電池3から放電させる。時間別予測需要量が実放電合計値より小さいときは、調整用蓄電池制御部23bに指示を送り、余剰電力(実放電合計値−時間別予測需要量)を調整用蓄電池8に蓄電させる。その後、放電制御部23aに指示を送り、全付設蓄電池3から放電させる。
以上のようにしてステップS12〜S23の処理が終了すると、ステップS15に進み、5分間待機する。5分が経過すると、ステップS04に飛び、ステップS04とステップS12〜S23とステップS15の処理を繰り返す。
他方、ステップS03で目標管理を行わないと判断された場合のステップS06では、ステップS01で取り込んだ、該当5分間の付設蓄電池3の実放電量合計値が、ステップS02で取り込んだ、該当5分間の時間別予測放電量より大きいか否かを判断する。実放電量合計値が時間別予測放電量より大きくないと判断した場合は、ステップS07に進み、実放電量合計値が時間別予測放電量より大きいと判断した場合は、ステップS10に進む。
ステップS07では、次の5分間の放電指示を放電制御部23aに送り、全付設蓄電池3から放電させる。その後、ステップS08に進み、5分間待機する。5分が経過すると、ステップS09に進み、次の5分間の時間別予測放電量と実放電量合計値を取り込む。そして、ステップS06に飛び、ステップS06〜S11の処理を繰り返す。
ステップS10では、次の5分間の放電指示を放電制御部23aに指示を送り、全付設蓄電池3から放電させる。その後、ステップS11に進み、電力の余剰分(実放電量合計値−時間別予測放電量)を揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に蓄電させる。その後、ステップS08に進み、5分間待機する。5分が経過すると、ステップS09に進み、次の5分間の時間別予測放電量と実放電量合計値を取り込む。そして、ステップS06に飛び、ステップS06〜S11の処理を繰り返す。
図33と図34は、最低需要が一日に2回発生した特殊なケースを示している。すなわち、図33(a)及び図34(a)のグラフには、ある年の1月1日(正月休み)という、通常とは全く異なる電力需要カーブ(実線)が描かれている。これは、需要の落ち込みが1日に2回あるという、普通ではめったにない例である。この時の付設蓄電池3と調整用蓄電池8の蓄電・放電の状況は、図33(b)及び図34(b)の表に記載されているとおりである。これらの表は、予測発電量日別集計テーブル(図15)の内容に基づいており、便宜的に1時間間隔で表示されているが、実際は5分間隔で作成されている。
図33(b)の表より明らかなように、ステップS12では、付設蓄電池3からの実放電量の合計が目標発電量より少ないので、調整用蓄電池8の合計欄の多くがマイナスになっている。これは各時刻での不足電力を調整用蓄電池8の放電で賄っているからである。これに対し、図34(b)の表より明らかなように、ステップS19では、付設蓄電池3からの実放電量の合計が目標発電量より少なくないので、調整用蓄電池8の合計欄がすべてプラスになっている。これは、目標発電量より多い余剰分が調整用蓄電池8に蓄電されるからである。この二つの例から、本実施形態によれば、電力需要が通常とは異なる想定外の変動が有っても、十分な対応ができ、電力需給バランスを所定範囲内に保つことができることが分かる。
(目標管理を揚水式発電と他電力連携で行う場合)
次に、調整用蓄電池8を使用せずに、目標管理を揚水式発電装置10と他電力会社電力系統・発電装置11を用いて行う場合の処理を、図11を参照しながら説明する。
図11のステップX01〜X05は、上述した調整用蓄電池8を使用する場合(図10参照)のステップS01〜S05と同じであるから、その説明は省略する。ただし、ステップX03で目標管理をしないと判断された場合、何ら処理が行われない点が、図10のステップS03とは異なる。これは、図11の場合は必ず目標管理が行われるということを意味している。
まず、ステップX01からX05の実行後、直ちにステップX12に進む。ステップX12では、ステップX01で取り込んだ付設蓄電池3の実放電量合計値と、ステップX04で取り込んだ目標放電量とを比較する。目標放電量が実放電量合計値を超過している場合は、ステップX13に進み、目標放電量が実放電量合計値を超過していない場合は、ステップX20に進む。
以下のステップX13〜X16では、目標放電量が実放電合計値より大きい場合の処理、すなわち電力の不足分を揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11から補充する処理を行う。以下のステップX20〜X23では、目標放電量が実放電合計値より大きくない場合の処理、すなわち電力の余剰分を揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11へ蓄電または送電する処理を行う。こうして電力の需給バランスを維持するのである。
目標放電量が実放電合計値より大きいステップX13では、図10の場合のような、調整用蓄電池8の蓄電残量の調査は不要である(ステップX14)。調整用蓄電池8を利用しないからであり、また、揚水式発電装置10や他電力会社電力系統・発電装置11の容量は十分にあるからである。
ステップX13に続いて、目標放電量と時間別予測需要量を比較し、時間別予測需要量が目標放電量より大きいと、ステップX15に進み、時間別予測需要量が目標放電量より大きくないと、ステップX16に進む。
ステップX15では、時間別予測需要量が実放電合計値より小さくないときは、不足電力(目標放電量−実放電合計値)を揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11からの送電で賄うために、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に指示を送り、不足電力を揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11から補充する。時間別予測需要量が実放電合計値より小さいときは、電力が不足していないので、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11からの送電等の処理は行わない(不要である)。その後、放電制御部23aに指示を送り、全付設蓄電池3から放電させる。
ステップX16では、時間別予測需要量が実放電合計値より小さくないときは、不足電力(目標放電量−実放電合計値)を揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11からの送電で賄うために、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に指示を送り、不足電力を揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11から補充する。時間別予測需要量が実放電合計値より小さいときは、余剰電力を揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に蓄電または送電するために、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に指示を送り、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に蓄電または送電する。その後、放電制御部23aに指示を送り、全付設蓄電池3から放電させる。
また、目標放電量が実放電合計値より大きくないステップX20では、図10の場合のような、調整用蓄電池8の蓄電残量の調査は不要である(ステップX21)。
ステップX20に続いて、目標放電量と時間別予測需要量を比較し、時間別予測需要量が目標放電量より大きいと、ステップX22に進み、時間別予測需要量が目標放電量より大きくないと、ステップX23に進む。
ステップX22では、時間別予測需要量が実放電合計値より小さくないときは、余剰電力(実放電合計値−目標放電量)を揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に蓄電または送電するために、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に指示を送り、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に蓄電または送電する。時間別予測需要量が実放電合計値より小さいときは、余剰電力を揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に蓄電または送電するために、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に指示を送り、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に蓄電または送電する。その後、放電制御部23aに指示を送り、全付設蓄電池3から放電させる。
ステップX23では、時間別予測需要量が実放電合計値より小さくないときは、電力が不足していないので、調整用蓄電池8の放電等の処理は行わない(不要である)。時間別予測需要量が実放電合計値より小さいときは、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に指示を送り、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11に蓄電または送電する。その後、放電制御部23aに指示を送り、全付設蓄電池3から放電させる。
以上のようにしてステップX12〜X23の処理が終了すると、ステップX15に進み、5分間待機する。5分が経過すると、ステップX04に飛び、ステップX04とステップX12〜X23とステップX15の処理を繰り返す。
なお、図11の場合において、不足電力の補充(送電)や余剰電力の蓄電・送電が必要なときに、揚水式発電装置10または他電力会社電力系統・発電装置11へ指示を送信する作業は、放電量調整部23cが行う。
(蓄電池制御部の動作)
上述したように、付設蓄電池3からの放電の開始・停止等の制御と、調整用蓄電池8の蓄電・放電の開始・停止等の制御は、制御システム1の蓄電池制御部23が担当する。蓄電池制御部23は、中央システム1の電力系統2aの制御に使用される部分(電力系統制御部17)とは独立しており、付設蓄電池3と調整用蓄電池8の動作を常時制御する。蓄電池制御部23は、図3に示すように、付設蓄電池3の放電を制御する放電制御部23aと、調整用蓄電池8の蓄電・放電を制御する調整用蓄電池制御部23bと、上記ステップR06の放電の実施と調整を実行する放電量調整部23cとに分かれている。
放電量調整部23cの動作は上述したので、ここで、放電制御部23aと調整用蓄電池制御部23bの動作について図20を参照しながら説明する。
付設蓄電池3の放電を制御する放電制御部23aの動作は、図20(a)に示すとおりである。
まず、図13(a)の放電量テーブルのデータ群(時間別放電量)を読み込む(ステップM01)。次に、読み込んだデータ群(時間別放電量)の放電開始時間と現在時間をチェックし、現在時間に該当する放電単位(時間当たり実放電量)を取り込む。(ステップM02)。放電単位(時間当たり実放電量)は、上述した蓄電実績の収集及び放電単位の計算ステップ(ステップR03)で得られている。その後、放電する付設蓄電池3に対し、通信網2bを経由して、現在時間に該当する放電単位で放電するよう指令(放電制御信号)を送信する(ステップM03)。該当する付設蓄電池3は、この指令に応じて、指定された放電単位で放電を行い、電力系統2aに給電する。この放電は、24時間の放電時間帯の全体にわたって均等に行われる。
次に、すべての付設蓄電池3からの放電が完了したかどうかを判断する(ステップM04)。未完と判断されると、次の付設蓄電池に対する放電指令の送信のため、ステップM01へ飛び、ステップM01〜M4を繰り返す。完了と判断されると、処理を終了する。
次に、調整用蓄電池8の放電及び蓄電を制御する調整用蓄電池制御部23bの動作について説明する。調整用蓄電池制御部23bの動作は、図20(b)に示すとおりである。
まず、受け取った調整用蓄電池制御信号に含まれる制御量データ(値)が、正であるかどうかを判断する(ステップN02)。そして、その制御量データ(値)が負であると判断されると、ステップN03に進む。正であると判断されると、ステップN04に進む。
ステップN03では、受け取った制御量データ(値)を「放電量」と解釈して、調整用蓄電池8に放電指令を送信する。調整用蓄電池8は、この放電指令に応じて放電して、指定された放電量に相当する電力量を電力系統2aに給電する。
ステップN04では、受け取った制御量データ(値)を「蓄電量」と解釈して、調整用蓄電池8に蓄電指令を送信する。調整用蓄電池8は、この蓄電指令に応じて蓄電して、指定された蓄電量に相当する電力量を電力系統2aから蓄電する。
(付設蓄電池・調整用蓄電池の構成)
各々の付設蓄電池3は、放電と蓄電が同時に実行可能な構成を持つ必要がある。その構成例を図19(a)に示す。同図の構成例では、付設蓄電池3は、放電・蓄電を切り換え可能な第1蓄電ユニットと第2蓄電ユニットを有している。第1蓄電ユニットと第2蓄電ユニットは、蓄電切換スイッチを介して太陽光(PV)発電装置に接続されていると共に、送電切換スイッチを介して電力系統2aの設備に接続されており、さらに、放電指令スイッチにも接続されている。蓄電切換スイッチと送電切換スイッチは、集中切換制御装置によって制御される。集中切換制御装置が、放電制御部23aから送られた切換指令を受信すると、例えば第1蓄電ユニットを蓄電側に設定し、第2蓄電ユニットを放電側に設定する。そして、次に切換指令を受信すると、例えば第2蓄電ユニットに蓄電側に設定し、第1蓄電ユニットを放電側に設定する。こうして、これら二つの蓄電ユニットは交互に蓄電側と放電側に切り換えられるようになっている。なお、集中切換制御装置は、放電開始時間に切換指令を受信すると、蓄電側に設定されている蓄電ユニット(例えば第1蓄電ユニット)を電力系統2aの設備に接続し、その蓄電ユニット(例えば第1蓄電ユニット)の蓄電電力を放電して電力系統2aへ給電できるようになっている。
第1蓄電ユニットと第2蓄電ユニットの切換パターン(日別機能分担)の一例を、図19(b)に示す。同図の切換パターンでは、予測日(n日)の動作の当初は、第1蓄電ユニットが蓄電側に、第2蓄電ユニットが放電側に設定されているが、翌日(n+1日)の動作開始時に切換指令を受信し、第1蓄電ユニットは放電側に切り換えられて、予測日(n日)分の発電電力の電力系統2aへの放電が可能な状態になる。それと同時に、第2蓄電ユニットは蓄電側に切り換えられて、翌日(n+1日)分の発電電力の蓄電に使用される。翌々日(n+2日)には、また、予測日(n日)と同様の蓄電・放電パターンになる。付設蓄電池3は、このような構成を持つことで、蓄電と放電を同時に実行可能とされている。つまり、第1蓄電ユニットと第2蓄電ユニットの蓄電及び放電の切り換えを、毎日、同じ時刻に実行し、それによって各々の付設蓄電池3において蓄電と放電が同時に実行できるようにしているのである。
調整用蓄電池8も、付設蓄電池3と同様に、放電と蓄電が同時に実行可能な構成を持つ必要があるため、図19(a)(B)に示したのと同様の構成を持つことができる。
(発電量予測から稼働計画の実行までの制御システムの日別フロー)
本実施形態に係る制御システム1は、図6に示すように、準備(ステップR01)、需要量と発電量の予測(ステップR02)、蓄電実績の収集と放電単位の計算(ステップR03)、翌日分及び翌々日分の稼働計画の作成(ステップR04)、稼働計画の実行(ステップR05)、そして、放電の実施と調整(ステップR06)という6ステップを実行することで、太陽光発電装置4、5、6による電力系統2aへの優先的電力供給を支援する。
これらの6ステップのうち、準備ステップ中の放電目標設定は、予測日より以前の日、例えば太陽光発電装置4が稼働開始する前日までの任意の日に行われる。需要量予測と発電量予測ステップ、蓄電実績の収集・放電単位の計算ステップと、稼働計画作成ステップの3つは、予測日に行われる。また、作成された翌日分の稼働計画の実行は、決められた時間(本発明では予測日の翌日の午前0時としている)になってから開始され、24時間にわたって継続される。その翌日分の稼働計画の実行中に、付設蓄電池3に対する放電の実施と調整が行われる。つまり、稼働計画の実行ステップと放電の実施と調整ステップは、予測日の翌日に実行される。上記の6ステップがこのように時間的にずれて実行されることと、それらの実行タイミングを適切に設定することは、本発明にとって重要である。
そこで、引き続いて、図4を参照しながら、需要量と発電量の予測から稼働計画の実行までの制御システム1の動作フローを、時間軸に沿って説明する。なお、付設蓄電池3からの放電がどのような流れで行われるかを重点的に説明するために、図4では、付設蓄電池を持たない太陽光発電装置5、6及び非太陽光再エネ発電装置9aからの発電は省略している。
図4(a)は目標管理ありの場合、図4(b)は目標管理なしの場合の動作状況を示す。図4(a)と図4(b)の違いは、実放電単位が日ごとに異なるか否かである。つまり、図4(a)の場合は、日毎に蓄電量が変化しているのに、放電単位は日毎に変化していない。連日同じ量で放電されている。これに対し、図4(b)の場合は、日別に放電単位が変化している。
目標管理ありの場合、図4(a)に示すように、天気に左右されずに毎日同じ量で放電される。同じ量で放電できる理由は、任意の予測日より以前に、付設蓄電池3を備えた太陽光発電装置4毎に、「目標放電量」を月旬毎に設定しておき、翌々日の実放電時に、実放電量と目標放電量の差分を調整用蓄電池8や揚水式発電装置10や他電力会社電力系統・発電装置11で調整(補償)しているからである。この調整は、予測日に作成した翌日分の非再エネ発電装置9b用の稼働計画を、翌日になって実行する際に、放電の実施と調整ステップで行われる。
目標管理なしの場合、図4(b)に示すように、実際に発電され蓄電された分だけが、放電される。したがって、晴天日の翌日の放電量と、曇天日の翌日の放電量に違いが発生するのである。
予測日には、翌日分と翌々日分の稼働計画(これは非再エネ発電装置9b用である)を作成する。稼働計画作成のためには、翌日と翌々日の時間別電力需要量の想定が必要である。稼働計画作成に当たっては、再エネ発電装置(つまり太陽光発電装置4、5、6と非太陽光再エネ発電装置9a)を優先させるため、電力需要量と再エネ発電装置による予測発電量との差分を非再エネ発電装置9bで補償する稼働とする。このため、稼働計画作成の前に、再エネ発電装置(4、5、6、9a)の予測発電量と付設蓄電池3からの予測放電量を知ることが必要である。翌日の予測放電量としては、予測日に収集した実放電量を使用し、翌々日の放電量としては、翌日の予想放電量を使用するので、稼働計画の作成前までに全付設蓄電池3の蓄電量を把握しておく必要がある。
こうして作成された翌日分と翌々日分の稼働計画のうち、翌日分の稼働計画の実行は、翌日の午前0時に開始し、翌日分の稼働計画に沿って非再エネ発電装置9bを起動・停止させながら、発電された電力が電力系統2aに給電される。同時に、付設蓄電池3からの放電も開始される。さらに、付設蓄電池3を持たない太陽光発電装置5、6による直送分の電力及び非太陽光再エネ発電装置9aが発電した電力も、電力系統2aに給電される。また、付設蓄電池3を持つ太陽光発電装置4の発電も、翌日の夜明けと同時に開始されるが、その発電分はいったん付設蓄電池3に蓄電され、すぐには電力系統2aに給電されないため、図4(a)、(b)では破線カーブで示されている。
翌日には、上記以外にさらに、太陽光発電装置4の付設蓄電池3からの放電によって電力系統2aに給電される。この場合、付設蓄電池3からの放電は、24時間(あるいはそれに近い時間)の放電時間帯に継続して行われるため、放電量が翌日の需要量を超過する可能性がある。そのため、放電直前には絶えず該当時間の需要量と放電量の大小をチェックして、電力の需給バランスの安定化を図らなければならない。この需給バランスが崩れると判断された場合は、調整用蓄電池8や揚水式発電所10や他電力会社電力系統・発電装置11と連携することで対応する。また、放電に当たっては、目標管理を行う場合の実放電量と目標放電量の差分への対応も、24時間の放電時間帯に行われる。
以後、毎日、上記と同じ処理が繰り返される。
(本実施形態の制御システムで得られる効果)
以上詳細に説明したところから明らかなように、本発明の一実施形態に係る電力系統の制御システム1は、上述したような構成と機能を持ち、上述したように動作する。このため、つぎのような効果が得られる。
すなわち、本実施形態に係る電力系統の制御システム1では、制御対象の電力系統2aが、発電した電力を付設蓄電池3に蓄電してから給電するように構成された複数の産業用太陽光発電装置4(第1太陽光発電装置)と、発電した電力を直接的に給電するように構成された複数の産業用太陽光発電装置5及び家庭用太陽光発電装置6(第2太陽光発電装置)と、発電した電力を直接的に給電するように構成された複数の非太陽光再エネ発電装置9aと、発電した電力を直接的に給電するように構成された複数の非再エネ発電装置9bとを備えている。
また、制御システム1は、(a)需要予測部24b(予測需要量取得手段)によって、任意の予測日またはそれより以前に、前記予測日の翌日と翌々日における時間当たり予測需要量を取得し、(b)発電量予測部14(予測放電量算出手段)によって、前記予測日に、複数の太陽光発電装置4の付設蓄電池3の各々について、天気予報に基づいて前記翌日の予測蓄電量を算出すると共に、その予測蓄電量を前記翌々日の所定の放電時間帯(ほぼ24時間)に電力系統2aに放電する際の時間当たり予測放電量を算出し、(c)蓄電実績収集・放電単位計算部19(実放電量算出手段)によって、前記予測日に、複数の太陽光発電装置4の付設蓄電池3の各々の蓄電実績から前記翌日における時間当たり実放電量を算出し、(d)発電量予測部14(予測発電量算出手段)によって、前記予測日に、天気予報に基づいて、複数の太陽光発電装置5、6の各々の前記翌日と前記翌々日における時間当たり予測発電量を算出し、(e)発電量予測部14(予測放電量取得手段)によって、前記予測日またはそれより以前に、複数の非太陽光再エネ発電装置9aの各々の前記翌日と前記翌々日における時間当たり予測発電量を取得する。
また、(f)稼働計画作成部15(稼働計画作成手段)によって、前記予測日に、複数の太陽光発電装置4の付設蓄電池3の前記翌日における前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の太陽光発電装置5、6の前記翌日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の非太陽光再エネ発電装置9aの前記翌日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記翌日における前記時間当たり予測需要量とに基づいて、電力需給バランスを考慮して複数の非再エネ発電装置9bの各々の前記翌日分の稼働計画を作成する。さらに、(g)前記予測日に、複数の太陽光発電装置4の付設蓄電池3の前記翌々日における前記時間当たり予測放電量の合計値と、複数の太陽光発電装置5、6の前記翌々日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の非太陽光再エネ発電装置9aの前記翌々日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記翌々日における前記時間当たり予測需要量とに基づいて、電力需給バランスを考慮して複数の非再エネ発電装置9bの各々の前記翌々日分の稼働計画を作成する。
そして、(h)前記翌日になって前記翌日分の稼働計画を実行する際には、前記翌日における時間当たり実放電量で、前記放電時間帯に太陽光発電装置4の付設蓄電池3の各々を電力系統2aに放電させ、(i)前記翌日分の稼働計画の実行中に、複数の太陽光発電装置4の付設蓄電池3の前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の太陽光発電装置5、6の前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の非太陽光再エネ発電装置9aの前記時間当たり予測発電量の合計値との和が、前記時間当たり予測需要量を超過する状況になると、その超過分を調整用蓄電池8や揚水式発電装置10や他電力会社電力系統・発電装置11(超過分吸収手段)によって吸収するようになっている。
このため、複数の太陽光発電装置4の発電量が南中時に重畳されて急増しても、24時間程度の時間をかけて徐々に放電されるため、南中時の電力系統に与える影響は、このように徐々に放電させない場合の1/3から1/4に減少する。したがって、「ピーク発電量の集中による需要量超過」という現象を抑制する(ほぼ解消する)ことができる。
また、前記翌日分の稼働計画の実行中に、複数の太陽光発電装置4の付設蓄電池3の前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の太陽光発電装置5、6の前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の非太陽光再エネ発電装置9aの前記時間当たり予測発電量の合計値との和が、前記時間当たり予測需要量を超過する状況になると、その超過分を調整用蓄電池8や揚水式発電装置10や他電力会社電力系統・発電装置11(超過分吸収手段)によって吸収するようになっているため、太陽光発電装置4、5、6の出力抑制が必要となる状況が生じない。
よって、「ピーク発電量の集中による需要量超過」という現象を抑制しながら、電力系統2aに接続された太陽光発電装置4、5、6の発電能力を最大限に活用することができる。
さらに、蓄電実績収集・放電単位計算部19(実放電量算出手段)により、前記予測日に、複数の太陽光発電装置4の付設蓄電池3の各々の蓄電実績から前記翌日における時間当たり実放電量を算出し、稼働計画作成部15(稼働計画作成手段)により、これを用いて複数の非再エネ発電装置9bの各々の前記翌日分の稼働計画を作成するので、前記翌々日分の稼働計画に含まれている前記時間当たり予測放電量が、天気予報外れにより実放電量から大きく外れたとしても、前記翌日になって付設蓄電池3の各々の蓄電実績から算出される前記時間当たり実放電量を用いて再作成されるので、電力系統2aに悪影響が及ぶことがない。よって、天気に左右されることなく安定した電力を電力系統2aに供給することができる。
しかも、前記翌日において前記翌日分の稼働計画の実行中に、複数の太陽光発電装置4の付設蓄電池3の前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の太陽光発電装置4、5、6の前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の非太陽光再エネ発電装置9aの前記時間当たり予測発電量の合計値との和が、前記時間当たり予測需要量を超過する状況になると、その超過分を調整用蓄電池8や揚水式発電装置10や他電力会社電力系統・発電装置11(超過分吸収手段)によって吸収するようになっているため、太陽光発電装置4、5、6の接続(設置)数が増加しても、既存の太陽光発電装置4、5、6だけでなく、追加した太陽光発電装置4、5、6についても、出力抑制が生じないようにすることが可能である。よって、電力系統2aに接続する太陽光発電装置4、5、6の総数を大幅に(ほぼ無制限に)増加することができる。そして、将来は、年間の総発電量の全てを太陽光発電装置4、5、6で賄うことも期待できるようになる。
さらに、本実施形態の制御システム1では、すべての太陽光発電装置4(第1太陽光発電装置)の合計放電量に対して目標放電量(放電目標)を設定し、常にその目標放電量(放電目標)に一致させた放電を行う「目標管理」を行うことができるので、たとえ天気の変動があっても、変動に応じて予測放電量を補償することで、太陽光発電装置4からの放電量を安定化したベース電源として利用することが出来る。
本実施形態では、「目標管理」のために、調整用蓄電池8(調整用二次電池)を利用することが可能であるし、揚水式発電装置10を作動させたり、他電力会社電力系統・発電装置11と連携させたりすることも可能である。
なお、2012年7月から始まった固定価格買取制度も、既に3年を経過しているが、その間に新規認定された太陽光発電装置の容量は8700万KWで、全再生可能エネルギー発電装置の90パーセント強を占める。太陽光発電の中でも、家庭用は容量比では10パーセント未満で、90パーセント以上は産業用が占めている。産業用の中でも1000KW以上の発電所の合計容量は、6500万KWあり、原子力発電所65台分に相当し(容量比)、全太陽光発電装置の75パーセント(容量比)を占めるが、件数は8600件で、件数比では0.3パーセントにしか過ぎない。そこで、新規認定された1000KW以上の太陽光発電装置の全てに本発明の付設蓄電池3を設置すると、全太陽光発電装置の75パーセントは出力抑制をされることなく安定したベース電源として働くことが可能となる。24時間稼働に換算すると、これはあたかも、原子力発電所が20基から30基、稼働しているのと同等である。しかも、付設蓄電池3を設置するのは全太陽光発電装置のうちの0.3パーセントにしか過ぎない。
このように、本発明は、既存の電力系統に適用して実施することが容易であるから、実現可能性が非常に高いものである。
(変形例)
上述した実施形態は本発明を具体化した一例を示すものである。したがって、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。
1 制御システム
2a 電力系統
2b 通信網
3 付設蓄電池
4 産業用太陽光発電装置(蓄電池付き)
5 産業用太陽光発電装置(蓄電池なし)
6 家庭用太陽光発電装置(蓄電池なし)
7 需要家
8 調整用蓄電池
9a 非太陽光再生可能エネルギー発電装置(非太陽光再エネ発電装置)
9b 非再生可能エネルギー発電装置(非再エネ発電装置)
10 揚水式発電装置
11 他電力会社電力系統・発電装置
12 天気予報事業者
13 インターネット
14 発電量予測部
15 稼働計画作成部
16 稼働計画保存部
17 電力系統制御部
18 発電量予測保存部
19 蓄電実績収集・放電単位計算部
21 放電予定・実績保存部
22 日別集計保存部
23 蓄電池制御部
23a 放電制御部
23b 調整用蓄電池制御部
23c 放電量調整部
24 オフライン作業部
24a 放電目標設定部
24b 需要予測部
24c 非太陽光再エネ発電予測部
25 太陽光発電情報保存部
26 放電目標保存部
27 需要予測保存部
28 他電源予測保存部

Claims (8)

  1. 発電した電力を付設蓄電池に蓄電してから電力系統に給電するように構成された複数の第1太陽光発電装置と、発電した電力を直接的に前記電力系統に給電するように構成された複数の第2太陽光発電装置と、発電した電力を直接的に前記電力系統に給電するように構成された複数の非太陽光再生可能エネルギー発電装置と、発電した電力を直接的に前記電力系統に給電するように構成された複数の非再生可能エネルギー発電装置とを備えた電力系統を制御する方法であって、
    (a) 任意の予測日またはそれより以前に、前記予測日の翌日と翌々日における時間当たり予測需要量を取得し、
    (b) 前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々について、天気予報に基づいて前記翌日の予測蓄電量を算出すると共に、その予測蓄電量を前記翌々日の所定の放電時間帯に前記電力系統に放電する際の時間当たり予測放電量を算出し、
    (c) 前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々の蓄電実績から前記翌日における時間当たり実放電量を算出し、
    (d) 前記予測日に、天気予報に基づいて、複数の前記第2太陽光発電装置の各々の前記翌日と前記翌々日における時間当たり予測発電量を算出し、
    (e) 前記予測日またはそれより以前に、複数の前記非太陽光再生可能エネルギー発電装置の各々の前記翌日と前記翌々日における時間当たり予測発電量を取得し、
    (f) 前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記翌日における前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記翌日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再生可能エネルギー発電装置の前記翌日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記翌日における前記時間当たり予測需要量とに基づいて、電力需給バランスを考慮して複数の前記非再生可能エネルギー発電装置の各々の前記翌日分の稼働計画を作成し、
    (g) 前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記翌々日における前記時間当たり予測放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記翌々日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再生可能エネルギー発電装置の前記翌々日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記翌々日における前記時間当たり予測需要量とに基づいて、電力需給バランスを考慮して複数の前記非再生可能エネルギー発電装置の各々の前記翌々日分の稼働計画を作成し、
    (h) 前記翌日になって前記翌日分の稼働計画を実行する際には、前記翌日における時間当たり実放電量で、前記放電時間帯に前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々を前記電力系統に放電させ、
    (i) 前記翌日分の稼働計画の実行中に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再生エネルギー発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値との和が、前記時間当たり予測需要量を超過する状況になると、その超過分を超過分吸収手段によって吸収するようになっていることを特徴とする電力系統の制御方法。
  2. 複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々が、放電及び蓄電を切り換え可能な第1蓄電ユニットと第2蓄電ユニットを備えていると共に、前記第1蓄電ユニットと前記第2蓄電ユニットのいずれか一方が前記翌日分の稼働計画に従って行われる放電に使用され、他方が前記翌日分の蓄電実績をあげるための蓄電に使用されるように構成されており、
    前記翌日分の稼働計画に従って行われる放電と、前記翌日分の蓄電実績をあげるための蓄電とが、前記第1蓄電ユニットと前記第2蓄電ユニットを用いて前記翌日に並行して実行され、
    前記第1蓄電ユニットと前記第2蓄電ユニットの蓄電及び放電の切り換えが、毎日、同じ時刻に実行される請求項1に記載の電力系統の制御方法。
  3. 前記電力系統に接続された調整用蓄電池をさらに備えていると共に、前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値に、目標放電量が設定されるようになっており、
    前記翌日分の稼働計画を実行する際には、前記目標放電量が前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値を越えているかどうかが判断され、
    前記目標放電量が前記時間当たり実放電量の合計値を越えている場合は、前記調整用蓄電池の蓄電量が十分であれば、前記目標放電量と前記合計値との差分を前記調整用蓄電池からの放電で補充し、前記調整用蓄電池の蓄電量が十分でなければ、前記目標放電量と前記合計値との差分を揚水式発電装置または他電力会社電力系統・発電装置を利用して補充し、
    前記目標放電量が前記時間当たり実放電量の合計値を越えていない場合は、前記目標放電量と前記合計値との差分を前記調整用蓄電池への蓄電で吸収する請求項1または2に記載の電力系統の制御方法。
  4. 前記電力系統に設置された揚水式発電装置をさらに備えていると共に、前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値に、目標放電量が設定されるようになっており、
    前記翌日分の稼働計画を実行する際には、前記目標放電量が前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値を越えているかどうかが判断され、
    さらに、前記時間当たり予測需要量と前記目標放電量が比較されて、その結果に応じて、前記目標放電量と前記時間当たり実放電量との差分または前記時間当たり予測需要量と前記時間当たり実放電量との差分を、揚水式発電装置または他電力会社電力系統・発電装置を利用して吸収する請求項1または2に記載の電力系統の制御方法。
  5. 発電した電力を付設蓄電池に蓄電してから電力系統に給電するように構成された複数の第1太陽光発電装置と、発電した電力を直接的に前記電力系統に給電するように構成された複数の第2太陽光発電装置と、発電した電力を直接的に前記電力系統に給電するように構成された複数の非太陽光再生可能エネルギー発電装置と、発電した電力を直接的に前記電力系統に給電するように構成された複数の非再生可能エネルギー発電装置とを備えた電力系統を制御するシステムであって、
    (a) 任意の予測日またはそれより以前に、前記予測日の翌日と翌々日における時間当たり予測需要量を取得する予測需要量取得手段と、
    (b) 前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々について、天気予報に基づいて前記翌日の予測蓄電量を算出すると共に、その予測蓄電量を前記翌々日の所定の放電時間帯に前記電力系統に放電する際の時間当たり予測放電量を算出する予測放電量算出手段と、
    (c) 前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々の蓄電実績から前記翌日における時間当たり実放電量を算出する実放電量算出手段と、
    (d) 前記予測日に、天気予報に基づいて、複数の前記第2太陽光発電装置の各々の前記翌日と前記翌々日における時間当たり予測発電量を算出する予測発電量算出手段と、
    (e) 前記予測日またはそれより以前に、複数の前記非太陽光再生可能エネルギー発電装置の各々の前記翌日と前記翌々日における時間当たり予測発電量を取得する予測発電量取得手段と、
    (f) 前記予測日に、電力需給バランスを考慮して複数の前記非再生可能エネルギー発電装置の各々の前記翌日分及び前記翌々日分の稼働計画を作成する稼働計画作成手段と、
    (g) 前記翌日になって前記翌日分の稼働計画を実行する際に、前記翌日における時間当たり実放電量で、前記放電時間帯に前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々を前記電力系統に放電させる付設蓄電池放電手段と、
    (h) 前記翌日分の稼働計画の実行中に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再生可能エネルギー発電装置の前記時間当たり予測発電量の合計値との和が、前記時間当たり予測需要量を超過する状況になると、その超過分を吸収する超過分吸収手段とを備え、
    (i) 前記稼働計画作成手段は、前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記翌日における前記時間当たり実放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記翌日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再生可能エネルギー発電装置の前記翌日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記翌日における前記時間当たり予測需要量とに基づいて、電力需給バランスを考慮して複数の前記非再生可能エネルギー発電装置の各々の前記翌日分の稼働計画を作成し、
    前記予測日に、複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の前記翌々日における前記時間当たり予測放電量の合計値と、複数の前記第2太陽光発電装置の前記翌々日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、複数の前記非太陽光再生可能エネルギー発電装置の前記翌々日における前記時間当たり予測発電量の合計値と、前記翌々日における前記時間当たり予測需要量とに基づいて、電力需給バランスを考慮して複数の前記非再生可能エネルギー発電装置の各々の前記翌々日分の稼働計画を作成することを特徴とする電力系統の制御システム。
  6. 複数の前記第1太陽光発電装置の前記付設蓄電池の各々が、放電及び蓄電を切り換え可能な第1蓄電ユニットと第2蓄電ユニットを備えていると共に、前記第1蓄電ユニットと前記第2蓄電ユニットのいずれか一方が前記翌日分の稼働計画に従って行われる放電に使用され、他方が前記翌日分の蓄電実績をあげるための蓄電に使用されるように構成されており、
    前記翌日分の稼働計画に従って行われる放電と前記翌日分の蓄電実績をあげるための蓄電とが、前記第1蓄電ユニットと前記第2蓄電ユニットを用いて前記翌日に並行して実行され、
    前記第1蓄電ユニットと前記第2蓄電ユニットの蓄電及び放電の切り換えが、毎日、同じ時刻に実行される請求項5に記載の電力系統の制御システム。
  7. 前記電力系統に接続された調整用蓄電池をさらに備えていると共に、前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値に、目標放電量が設定されるようになっており、
    前記翌日分の稼働計画を実行する際には、前記目標放電量が前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値を越えているかどうかが判断され、
    前記目標放電量が前記時間当たり実放電量の合計値を越えている場合は、前記調整用蓄電池の蓄電量が十分であれば、前記目標放電量と前記合計値との差分を前記調整用蓄電池からの放電で補充し、前記調整用蓄電池の蓄電量が十分でなければ、前記目標放電量と前記合計値との差分を揚水式発電装置または他電力会社電力系統・発電装置を利用して補充し、
    前記目標放電量が前記時間当たり実放電量の合計値を越えていない場合は、前記目標放電量と前記合計値との差分を前記調整用蓄電池への蓄電で吸収する請求項5または6に記載の電力系統の制御システム。
  8. 前記電力系統に設置された揚水式発電装置をさらに備えていると共に、前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値に、目標放電量が設定されるようになっており、
    前記翌日分の稼働計画を実行する際には、前記目標放電量が前記翌日における複数の前記第1太陽光発電装置の前記時間当たり実放電量の合計値を越えているかどうかが判断され、
    さらに、前記時間当たり予測需要量と前記目標放電量が比較されて、その結果に応じて、前記目標放電量と前記時間当たり実放電量との差分または前記時間当たり予測需要量と前記時間当たり実放電量との差分を、揚水式発電装置または他電力会社電力系統・発電装置を利用して吸収する請求項5または6に記載の電力系統の制御システム。
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