以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の図形表示装置の実施形態に係る電子式計算機10の外観構成を示す正面図である。
この電子式計算機10は、「グラフ関数電卓」と呼ばれ、種々の演算機能に加え、入力された関数式や統計データに対応するグラフを描画表示するための機能、予め用意された図形やユーザ入力された図形を描画表示するための機能を備えている。
この電子式計算機10の本体には、本体正面の下端から3分の2程度の範囲でキー入力部12が設けられ、上端から3分の1程度の範囲でタッチパネル式表示部13が設けられる。
このタッチパネル式表示部13は、ドットマトリクス型のカラー液晶表示画面13dの画面上に透明タッチパネル13tを重ねて構成される。
キー入力部12には、数値・記号キー12a、関数・演算子キー12b、「Menu」キー12c、「Shift」キー12d、「Color」キー12e、「線分比」キー12f、「Graph」キー12g、「EXIT」キー12h、カーソルキー12i、そしてファンクションキー「F1」〜「F6」などが備えられる。
数値・記号キー12aは、数字,記号などの個々のキーを配列した数値・記号の入力用キー群からなる。
関数・演算子キー12bは、演算式や関数式を入力する際に操作される各種の関数記号キーや、「+」「−」「×」「÷」「=」などの演算子キーからなる。
「Menu」キー12cは、四則計算式や関数計算式等の任意の計算式を入力して演算処理を行わせる演算モード、入力された関数式に対応したグラフの描画処理を行わせるグラフモード、統計計算を行わせる統計計算モード、幾何図形の学習処理を行わせる図形表示モード、任意のプログラムを入力して対応する計算処理を行わせるプログラムモード等、各種の動作モードの選択設定メニューを表示させる際に操作される。
「Shift」キー12dは、キー入力部12における各キートップの左上に記述された各種の記号や機能を指定入力する際に該当するキーと合わせて操作される。
「Color」キー12eは、入力データ、グラフ、図形などに対して任意の色を指定する際に操作される。
「線分比」キー12fは、図形表示モードにおいてタッチパネル式表示部13に表示された幾何図形に対して、当該図形上の線分の比を学習するための線分比インジケータ(X−P−Y)(図6〜図9参照)を表示させるモードを設定する際に操作される。
「Graph」キー12gは、入力データを元にして任意のグラフを描く際に操作される。
「EXIT」キー12hは、現在の状態から抜けるためのキーである。
カーソルキー(「↑」「↓」「←」「→」)12iは、それぞれ表示されたデータの選択,送り操作や、カーソルの移動操作を行なう際などに操作される。
ファンクションキー「F1」〜「F6」は、種々の動作モードに応じてタッチパネル式表示部13の画面下端に沿って配列表示される各種選択メニューを選択する際に操作される。
図2は、前記電子式計算機10の回路構成を示すブロック図である。
電子式計算機10は、マイクロコンピュータであるCPU11を備えている。
CPU11は、プログラムの起動により回路各部を動作させて、電卓機能や関数グラフ表示機能、図形表示機能など、電子式計算機10に備えられた各種機能を実行する。このCPU11には、図1に示したキー入力部12、タッチパネル式表示部13の他に、記憶装置14、RAM15、記録媒体読取部16、通信制御部18などが接続されている。
記憶装置14は、ROMなどのメモリデバイスから構成され、本発明を実現するための図形表示制御プログラム14aの他、各種データ及びプログラムを記憶している。
RAM15は、CPU11の処理動作に必要な各種データを記憶している。このRAM15には、タッチパネル式表示部13の画面13d上にカラー表示されるデータが展開される表示データ記憶領域15aの他、式データ記憶領域15b、問題図形データ記憶領域15c、前記線分比インジケータ(X−P−Y)の端点座標データ記憶領域15d、中間点座標データ記憶領域15e、線分比データ記憶領域15fなどが設けられている。
式データ記憶領域15bには、キー入力部12の操作により入力された関数式に関するデータが記憶される。
問題図形データ記憶領域15cには、図形を構成する線分の比を学習するための多様な多角形の問題図形や図形の部品が予めあるいは外部から入力されて記憶される。
端点座標データ記憶領域15dには、前記問題図形データ記憶領域15cから選択的に読み出されてタッチパネル式表示部13に表示された問題図形に対して、ユーザ操作に応じた線分比インジケータ(X−P−Y)を設定表示させた場合に(図6〜図9参照)、当該線分比インジケータ(X−P−Y)の一方の端点Xの座標と他方端点Yの座標が記憶される。
なお、前記線分比インジケータ(X−P−Y)は、表示中の図形の任意の線分上で、始点X,中間点P,終点Yの3点をユーザが指定することにより設定表示され、設定初期の時点で、中間点Pから一端X側と他端Y側の長さの比[m:n]が固定のものとして設定される。この線分比インジケータ(X−P−Y)は、中間点Pを挟んだ一端Xから他端Yまでのラインが一直線になる直線型の線分比インジケータ(図6参照)と、中間点Pを頂点として一端X側のラインと他端Y側のラインとが折線になる折線型の線分比インジケータ(図7参照)とに大別される。
中間点座標データ記憶領域15eには、前記線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pの座標が記憶される。
線分比データ記憶領域15fには、前記線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pから一端X側と他端Y側の長さの比[m:n]が記憶される。
記録媒体読取部16は、記録媒体17に記録されたデータの読み取りを行う。記録媒体17としては、例えばメモリカードなどが用いられ、プログラムや図形、画像などが記録されている。
通信制御部18は、図示せぬUSB(Universal Serial Bus)を介して接続された外部端末との間のデータ通信、あるいは所定の通信回線を介して無線により接続される外部端末との間のデータ通信を行う。
なお、この電子式計算機10において、CPU11が、記憶装置14に記憶される図形表示制御プログラム14aに従い回路各部の動作を制御し、ハードウエアとソフトウエアが協働することにより実行される機能としては、少なくとも次の3つの機能(1)〜(3)が含まれる。
(1) ユーザ操作に応じて、問題図形データ記憶領域15cに記憶されている図形を選択的に表示させたり、任意の図形を作成して表示させたりする機能。
(2) 前記(1)の機能の実行に伴い表示された図形上で、ユーザ操作に応じて指定された始点X,中間点P,終点Yを結ぶラインからなる線分比インジケータ(X−P−Y)を設定して表示させる機能。
(3) 前記(2)の機能の実行に伴い設定表示された線分比インジケータ(X−P−Y)を、設定時における線分比[m:n]を保持した状態で、その線分X−P,Y−Pまたは端点X,Yまたは中間点Pをドラッグして前記図形上で伸縮,変形して移動表示させる機能。
次に、前記構成の電子式計算機(グラフ関数電卓)10の図形表示動作について説明する。
図3は、前記電子式計算機10の図形表示処理を示すフローチャートである。
図4は、前記電子式計算機10の図形表示処理に伴う直線型の線分比インジケータ処理を示すフローチャートである。
図5は、前記電子式計算機10の図形表示処理に伴う折線型の線分比インジケータ処理を示すフローチャートである。
図6は、前記電子式計算機10の直線型の線分比インジケータ処理に伴う表示動作の具体例(その1)を示す図である。
「Menu」キー12cの操作に応じてタッチパネル式表示部13に表示される動作モードのメニュー画面において、図形表示モードが選択されて設定されると、問題図形データ記憶領域15cに記憶されている複数種類の問題図形の中から、ユーザ任意の問題図形を選択して表示させるか、あるいは図形描画機能を利用してユーザ所望の問題図形を描画して表示可能な状態になる。
ここで、ユーザ操作に応じて、例えば図6(T1)に示すように、三角形ABCの底辺B−Cに平行な補助線分D−Eを有する問題図形ADBCEがタッチパネル式表示部13に表示される(ステップS1)。
そして、「線分比」キー12fが操作されて線分比インジケータ(X−P−Y)の表示モードに設定されると(ステップS2(Yes))、ユーザにより始点X,中間点P,終点Yがタッチされて指定され、当該タッチされた3点間を結ぶ線分比インジケータ(X−P−Y)が表示される(ステップS3)。
この際、前記線分比インジケータ(X−P−Y)の各端点X,Yの座標が端点座標データ記憶領域15dに記憶され、中間点Pの座標が中間点座標データ記憶領域15eに記憶される。またこれに伴い、線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pから一方の端点Xと他方の端点Yまでの長さの比[m:n]が線分比データ記憶領域15fに記憶される。
例えば、問題図形ADBCEにおいて、線分A−D−Bに対応して始点X,中間点P,終点Yがタッチされて指定されたとすると、当該タッチされた3点間を結ぶ線分比インジケータ(X−P−Y)が表示され、AD:BD=m:nとする線分比インジケータ(X−P−Y)が設定される。
すると、前記線分比インジケータ(X−P−Y)が直線型か否(折線型)かが判断され(ステップS4)、直線型と判断された場合には(ステップS4(Yes))、図4における直線型の線分比インジケータ処理に移行され(ステップSA)、折線型と判断された場合には(ステップS4(No))、図5における折線型の線分比インジケータ処理に移行される(ステップSB)。
ここで、前記図6(T1)で示したように、直線型の線分比インジケータ(X−P−Y)が設定表示され、図4における直線型の線分比インジケータ処理に移行された場合(ステップSA)、先ず、ユーザ操作に応じてその線分X−Yがドラッグされたか否か(ステップA1)、または端点X,Yがドラッグされたか否か(ステップA2)、または中間点Pがドラッグされたか否か(ステップA3)、または前記「線分比」キー12fの再操作により線分比インジケータモードが解除されたか否か(ステップA4)が判断される。
ここで、前記直線型線分比インジケータ(X−P−Y)の線分自体がタッチされ、線分X−Yがドラッグされたと判断されると(ステップA1(Yes))、例えば図6(T2)に示すように、そのドラッグされた方向にインジケータ(X−P−Y)の全体が平行移動されて表示される(ステップA5)。
また、直線型線分比インジケータ(X−P−Y)の端点X(Y)がタッチされドラッグされたと判断されると(ステップA2(Yes))、ドラッグされない他の端点Y(X)を支点として当該インジケータ(X−P−Y)が伸縮および回転移動されながら再描画される(ステップA6)。
そして、前記再描画後の線分X−Yに対して、前記線分比データ記憶領域15fに記憶された線分比[m:n]に応じた中間点Pが再描画される(ステップA7)。
また、直線型線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pがタッチされドラッグされたと判断されると(ステップA3(Yes))、その線分X−P−Yの線分比[m:n]を保持した状態で、端点X,Yの座標はそのまま、ドラッグ方向に移動される中間点Pの新たな座標が算出される(ステップA8)。
この際、ドラッグ方向に応じて線分X−P−Yの線分比[m:n]を保持した中間点Pの座標が算出できた場合には(ステップA9(Yes))、当該中間点Pを頂点とする折線型の線分比インジケータ(X−P−Y)が再描画される(ステップA10)。
なお、前記直線型線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pが、その移動後の線分X−P−Yの線分比[m:n]を保持不可能な位置にドラッグされた場合には(ステップA9(No))、ドラッグ不可を示すエラーメッセージが表示される(ステップA11)。
すなわち、前記図6(T1)(T2)で示したように、直線型線分比インジケータ(X−P−Y)の線分X−Yをドラッグした当該インジケータ(X−P−Y)の全体の移動後に(ステップA1→A5)、図6(T3)に示すように、各端点XとYとをそれぞれ問題図形の各頂点AとCとに対応させてドラッグすると、当該インジケータ(X−P−Y)の線分X−Yが問題図形の線分A−Cに合わせて短縮されると共に、インジケータ(X−P−Y)の線分比[m:n]に対応させた中間点Pが再描画される(ステップA2→A6,A7)。
この際、再描画された線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pは、問題図形の線分A−C上で、且つ底辺B−Cに平行な補助線分D−Eとの交点Eと重なるので、相似する三角形ABCと三角形ADEが重ねられた状態で、の底辺B−Cに平行な補助線分D−Eに対応して分割される一方の線分A−Bの分割比AD:DBと他方の線分A−Cの分割比AE:ECとは、何れも前記インジケータ(X−P−Y)の線分比[m:n]に等しいことを直感的に理解できる。
これに対し、図6(F1)に示すように、三角形ABCの底辺B−Cと平行ではない補助線分D−Eを有する問題図形ADBCEを表示させ(ステップS1)、前記同様に線分A−D−Bに対応する直線型の線分比インジケータ(X−P−Y)を表示させる(ステップS2→S3)。
そして、前記同様の直線型の線分比インジケータ処理(ステップSA)に従い、図6(F2)(F3)に示すように、前記線分A−D−Bに対応して表示させた線分比インジケータ(X−P−Y)を、当該線分A−D−Bとの相似の確認対象である線分A−E−Cに対応させて移動表示させる。
この際、再描画された線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pは、問題図形の線分A−C上であっても、底辺B−Cに平行ではない補助線分D−Eとの交点Eと重ならないことを確認できるので、三角形ABCの底辺B−Cに平行ではない補助線分D−Eに対応して分割される一方の線分A−Bの分割比AD:DBと他方の線分A−Cの分割比AE:ECとが等しくないことを直感的に理解できる。
この後、前記「線分比」キー12fの再操作により線分比インジケータモードが解除されたと判断されると(ステップA4(Yes))、前記問題図形ADBCEの線分A−E−Cに対応して移動表示されている直線型の線分比インジケータ(X−P−Y)は消去される(ステップA12)。
図7は、前記電子式計算機10の折線型の線分比インジケータ処理に伴う表示動作の具体例(その1)を示す図である。
前記図6(T1)で示した問題図形と同様に、図7(T1)に示すように、三角形ABCの底辺B−Cに平行な補助線分D−Eを有する問題図形ADBCEをタッチパネル式表示部13に表示させる(ステップS1)。
そして、「線分比」キー12fを操作して線分比インジケータ(X−P−Y)の表示モードに設定し(ステップS2(Yes))、表示中の図形ADBCEの線分A−Bと補助線分D−Eとの交点Dを頂点とする三角の折線A−D−Eに対応させて、始点X,中間点P,終点Yをタッチして指定する(ステップS3)。すると、当該タッチされた3点間を結ぶ折線型の線分比インジケータ(X−P−Y)が表示される。
この際、前記線分比インジケータ(X−P−Y)の各端点X,Yの座標が端点座標データ記憶領域15dに記憶され、中間点Pの座標が中間点座標データ記憶領域15eに記憶される。またこれに伴い、線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pから一方の端点Xと他方の端点Yまでの長さの比[m:n]が線分比データ記憶領域15fに記憶される。
これにより、問題図形ADBCEにおいて、AD:DE=m:nとする折線型の線分比インジケータ(X−P−Y)が設定される。
すると、前記線分比インジケータ(X−P−Y)は、直線型でなく折線型と判断され(ステップS4(No))、図5における折線型の線分比インジケータ処理に移行される(ステップSB)。
この折線型の線分比インジケータ処理では、先ず、ユーザ操作に応じて折線型線分比インジケータ(X−P−Y)の線分X−P,P−Yがドラッグされたか否か(ステップB1)、または端点X,Yがドラッグされたか否か(ステップB2)、または中間点Pがドラッグされたか否か(ステップB3)、または前記「線分比」キー12fの再操作により線分比インジケータモードが解除されたか否か(ステップB4)が判断される。
ここで、前記折線型線分比インジケータ(X−P−Y)の線分自体がタッチされ線分X−PまたはP−Yがドラッグされたと判断されると(ステップB1(Yes))、そのドラッグされた方向にインジケータ(X−P−Y)の全体が平行移動されて表示される(ステップB5)。
また、折線型線分比インジケータ(X−P−Y)の端点X(Y)がタッチされドラッグされたと判断されると(ステップB2(Yes))、中間点Pを支点として当該端点X(Y)との間の線分X−P(Y−P)が伸縮および回転移動されながら引き直される(ステップB6)。
そして、前記引き直された後の線分X−P(Y−P)に対して、前記線分比データ記憶領域15fに記憶された線分比[m:n]を保持するように、ドラッグされない他の端点Y(X)と中間点Pとの間の線分Y−P(X−P)が伸縮されて引き直される(ステップB7)。
また、折線型線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pが、例えば図7(T2)に示すように、その中間点Pが位置する図形の外形をなす線分A−Bの方向にドラッグされたと判断されると(ステップB3(Yes)→B8(Yes))、当該中間点Pのドラッグに伴いその外形の線分A−Bに沿って表示されているインジケータ(X−P−Y)の線分X−Pが伸縮されて描画される(ステップB9)。
そして、折線型線分比インジケータ(X−P−Y)の折線角度XPYおよび線分比[m:n]を保持した状態で、他の線分Y−Pが伸縮されて描画される(ステップB10)。
すなわち、前記図7(T1)〜(T3)に示すように、折線型線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pを図形の外形の線分A−Bに沿って底辺B−Cの一端Bまでドラッグすると、当該インジケータ(X−P−Y)の線分X−Pが図形の線分A−Bに合わせて伸長されると共に、同インジケータ(X−P−Y)の折線角度XPYおよび線分比[m:n]を保持したまま、他の線分Y−Pも図形の底辺B−Cに沿った方向に伸長される(ステップB3→B8〜B10)。
この際、再描画された折線型線分比インジケータ(X−P−Y)は、図形(三角形)の底辺B−Cの一端Bを中間点Pとして、線分A−Bと線分B−Cとに完全に一致して重なるので、三角形ABCの底辺B−Cに平行な補助線分D−Eに対応して同三角形ABCの上部に内包して形成される三角形ADEの線分比AD:DEと、元の三角形ABCの線分比AB:BCとは、何れも前記インジケータ(X−P−Y)の線分比[m:n]に等しいことを直感的に理解できる。
これに対し、図7(F1)に示すように、三角形ABCの底辺B−Cと平行ではない補助線分D−Eを有する問題図形ADBCEを表示させ(ステップS1)、前記同様に線分A−Bと線分D−Eとの交点Dを頂点とする三角の折線A−D−Eに対応させて、折線型の線分比インジケータ(X−P−Y)を表示させる(ステップS2→S3)。
そして、前記同様の折線型の線分比インジケータ処理(ステップSB)に従い、先ず、図7(F2)(F3)に示すように、線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pを図形の外形の線分A−Bに沿って端点Bまでドラッグし、その線分X−Pを伸長させると共に、その折線角度XPYおよび線分比[m:n]を保持した状態で、他の線分Y−Pも伸長させる(ステップB3→B8〜B10)。
この後、前記折線型線分比インジケータ(X−P−Y)の伸長された他の線分Y−Pの端点Yを、図7(F4)に示すように、その線分Y−Pの長さが変化しないようにして三角形ABCの底辺B−Cに重なるようにドラッグし、同線分Y−Pを引き直す(ステップB2→B6,B7)。
この際、再描画された折線型線分比インジケータ(X−P−Y)の線分Y−Pは、問題図形(三角形)の底辺B−Cに沿ってはいても、当該底辺B−Cよりも長くなることを確認できるので、三角形ABCの底辺B−Cに平行ではない補助線分D−Eに対応して同三角形ABCの上部に内包して形成される三角形ADEの線分比AD:DEと、元の三角形ABCの線分比AB:BCとが等しくないことを直感的に理解できる。
この後、前記「線分比」キー12fの再操作により線分比インジケータモードが解除されたと判断されると(ステップB4(Yes))、前記問題図形ADBCEの線分A−B−Cに対応して移動表示されている折線型の線分比インジケータ(X−P−Y)は消去される(ステップB15)。
図8は、前記電子式計算機10の折線型の線分比インジケータ処理に伴う表示動作の具体例(その2)を示す図である。
先ず、図8(T1)に示すように、三角形ABCの頂角BACを二等分する補助線分A−Eを有する問題図形ABECをタッチパネル式表示部13に表示させる(ステップS1)。
そして、「線分比」キー12fを操作して線分比インジケータ(X−P−Y)の表示モードに設定し(ステップS2(Yes))、表示中の図形ABECの前記頂角BACを頂点とする三角の折線B−A−Cに対応させて、始点X,中間点P,終点Yをタッチして指定する(ステップS3)。すると、当該タッチされた3点間を結ぶ折線型の線分比インジケータ(X−P−Y)が表示される。
この際、前記線分比インジケータ(X−P−Y)の各端点X,Yの座標が端点座標データ記憶領域15dに記憶され、中間点Pの座標が中間点座標データ記憶領域15eに記憶される。またこれに伴い、線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pから一方の端点Xと他方の端点Yまでの長さの比[m:n]が線分比データ記憶領域15fに記憶される。
これにより、問題図形ABECにおいて、AB:AC=m:nとする折線型の線分比インジケータ(X−P−Y)が設定される。
すると、前記線分比インジケータ(X−P−Y)は、直線型でなく折線型と判断され(ステップS4(No))、図5における折線型の線分比インジケータ処理に移行される(ステップSB)。
ここで、折線型線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pが、例えば図8(T2)に示すように、図形の外形の線分に沿った方向ではない方向(ここでは、頂角BACを二等分する補助線分A−Eの方向)にドラッグされたと判断されると(ステップB3(Yes)→B8(No))、そのインジケータの線分X−P−Yの線分比[m:n]を保持した状態で、端点X,Yの座標はそのまま、ドラッグ方向に移動される中間点Pの新たな座標が算出される(ステップB11)。
そして、ドラッグ方向に応じて線分X−P−Yの線分比[m:n]を保持した中間点Pの座標が算出された場合には(ステップB12(Yes))、当該中間点Pを頂点とする折線型の線分比インジケータ(X−P−Y)が再描画される(ステップB13)。
なお、前記折線型線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pが、その移動後の線分X−P−Yの線分比[m:n]を保持不可能な位置にドラッグされた場合には(ステップB12(No))、ドラッグ不可を示すエラーメッセージが表示される(ステップB14)。
すなわち、前記図8(T1)〜(T3)に示すように、折線型線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pを、頂角BACの二等分線A−Eに沿った方向に底辺B−Cとの交点Eまでドラッグすると、同インジケータ(X−P−Y)の端点X,Yおよび線分比[m:n]を保持したまま、新たな中間点Pが算出されて再描画される(ステップB3→B8→B11〜B13)。
この際、再描画される折線型線分比インジケータ(X−P−Y)は、その中間点Pが前記二等分線A−Eに完全に一致する状態で順次再描画され、最終的に当該二等分線A−Eとの交点Eを有する図形(三角形)の底辺B−E−Cに完全に一致して重なるので、三角形ABCの頂角BACを二等分する線分A−Eに対応して左右二分割される同三角形ABCの線分比AB:ACとその底辺の線分比BE:ECとは、何れも前記インジケータ(X−P−Y)の線分比[m:n]に等しいことを直感的に理解できる。
これに対し、図8(F1)に示すように、三角形ABCの頂角BACの二等分線とはならない補助線分A−Eを有する問題図形ABECを表示させ(ステップS1)、前記同様に頂角BACを頂点とする三角の折線B−A−Cに対応させて、折線型の線分比インジケータ(X−P−Y)を表示させる(ステップS2→S3)。
そして、前記同様の折線型の線分比インジケータ処理(ステップSB)に従い、図8(F2)(F3)に示すように、線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pを図形(三角形)の底辺B−Cまでドラッグし、その端点X,Yおよび線分比[m:n]を保持した状態で、同インジケータ(X−P−Y)を再描画させる(ステップB3→B8→B11〜B13)。
この際、再描画された折線型線分比インジケータ(X−P−Y)の線分X−P−Yは、問題図形(三角形ABC)の底辺B−Cに沿うように再描画されても、その中間点Pは、前記補助線分A−Eと前記底辺B−Cとの交点Eに一致しないことを確認できるので、三角形ABCの頂角BACを二等分ではなく単に二分する線分A−Eに対応して左右二分割される同三角形ABCの線分比AB:ACとその底辺の線分比BE:ECとが等しくないことを直感的に理解できる。
図9は、前記電子式計算機10の直線型の線分比インジケータ処理に伴う表示動作の具体例(その2)を示す図である。
先ず、図9(T1)に示すように、台形ABCDの対角線となる2本の補助線分A−C,B−Dを有する問題図形ABCDQをタッチパネル式表示部13に表示させる。
ここで、前記2本の補助線分A−C,B−Dの交点Qを対称点として形成された2つの三角形AQDとBQCについて、各対応する底辺A−DとB−Cの線分比m:nと、線分D−QとQ−Bの線分比m:nとが等しいことを学習するために、前処理として、線分A−Dをコピーし線分B−Cに接続する(ステップS1)。
そして、「線分比」キー12fを操作して線分比インジケータ(X−P−Y)の表示モードに設定し(ステップS2(Yes))、図9(T2)に示すように、表示中の線分(D)−(A)C−Bに対応させて、始点X,中間点P,終点Yをタッチして指定する(ステップS3)。すると、当該タッチされた3点間を結ぶ直線型の線分比インジケータ(X−P−Y)が表示される。
これにより、問題図形ABCDQにおいて、AD:BC=m:nとする直線型の線分比インジケータ(X−P−Y)が設定される。
すると、前記線分比インジケータ(X−P−Y)は、直線型と判断され(ステップS4(Yes))、図4における直線型の線分比インジケータ処理に移行される(ステップSA)。
ここで、図9(T3)(T4)に示すように、前記直線型線分比インジケータ(X−P−Y)の線分X−Yをドラッグしてその全体を平行移動させたり(ステップA1→A5)、端点XやYをドラッグしてその線分X−Yおよび中間点Pを前記線分比[m:n]を保持した状態で移動・伸縮・再描画させたりして(ステップA2→A6,A7)、相似を確認する対象の線分D−Bに合わせて表示させる。
この際、図9(T4)に示すように再描画された線分比インジケータ(X−P−Y)の中間点Pは、問題図形(台形ABCD)の一方の対角線である線分D−Bと他方の対角線である線分A−Cとの交点Dと一致することを確認できるので、当該2本の線分A−CとD−Bの交点Qを対称点として形成された2つの三角形AQDとBQCについて、各対応する底辺の線分比AD:BCと、交点Qにより分割された線分D−Bの分割比DQ:QBとは、何れも前記インジケータ(X−P−Y)の線分比[m:n]に等しいことを直感的に理解できる。
したがって、前記構成の電子式計算機(グラフ関数電卓)10の図形表示機能によれば、ユーザ任意の図形を表示させ、当該図形を構成する各線分の複数の頂点や交点のうち、一連の3点を始点,中点,終点として指定すると、指定された3点を図形の線分に対応させて結んだ直線または折線のインジケータ(X−P−Y)が設定表示される。そして、このインジケータ(X−P−Y)を、表示中の図形を構成する他の線分に対応させて移動させると、当該インジケータ(X−P−Y)がその設定当初の線分比(XP:YP=m:n)を保持した状態で伸縮変形されて移動表示される。
このため、任意の図形上でその線分比を比較対象としたい一方の線分に合わせてインジケータ(X−P−Y)を設定表示させた後、他方の線分に合わせて移動表示させることで、その線分比が同じか否かを容易に見て確認することができ、直感的な操作で幾何図形の比についての学習を行うことが可能になる。
なお、前記各実施形態において記載した電子式計算機10による各動作手法、すなわち、図3のフローチャートで示した図形表示処理、図4のフローチャートで示した前記図形表示処理に伴う直線型の線分比インジケータ処理、図5のフローチャートで示した前記図形表示装置に伴う折線型の線分比インジケータ処理などの各手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フレシキプルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体(記録媒体17)に記録して配布することができる。そして、電子式計算機10のコンピュータ(CPU11)は、この記憶媒体に記録されたプログラムを読み込みことで、前述した手法による同様の図形表示処理を実行することができる。
また、前記手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(公衆回線)を介して伝送させることができる。そして、電子式計算機10のコンピュータ(CPU11)は、このプログラムを通信ネットワークに接続された通信装置(通信制御部18)にて受信することにより、前述した手法による同様の図形表示処理を実行することができる。
なお、本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。