JP5960335B1 - 金属材料の特性評価用試料の作製方法及び特性評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属材料の熱劣化を適切に評価し得る金属材料の特性評価用試料の作製方法を提供する。【解決手段】金属材料を熱処理するステップと、熱処理された金属材料の冷却速度の閾値を決定するステップと、熱処理された金属材料を、少なくとも一部の温度領域において、閾値以下の冷却速度で冷却して、特性評価用試料を形成するステップと、を備え、閾値を決定するステップは、金属材料と同一材料の金属により構成される複数の第1試料を熱処理し、熱処理後の複数の第1試料を複数の冷却速度の下でそれぞれ冷却し、冷却速度と冷却後の第1試料の導電率指標との相関関係、及び、冷却速度と冷却後の第1試料の強度指標との相関関係から、冷却速度に対する導電率指標及び強度指標の傾きの大きさがそれぞれ所定値以下となる冷却速度を閾値として決定する。【選択図】図1

Description

本開示は金属材料の特性評価用試料の作製方法及び特性評価方法に関する。
一般に、合金などの金属材料は、熱履歴に応じて結晶構造等の性状が変化する。よって、高温かつ長時間などの特別な条件下で使用される金属製品については、その条件下での金属製品の使用前後における材料金属の性状の変化を考慮して材料特性評価が行われる。
例えば、使用済燃料を輸送又は貯蔵するための金属キャスクは、使用済核燃料を内部に長期間(例えば60年)貯蔵した後、再処理施設等に輸送される。すなわち、使用済燃料を貯蔵している長期にわたり、金属キャスク及びその構造部材は使用済核燃料(発熱体)の崩壊熱により熱曝露を受ける。このような金属キャスクについて、例えば輸送中のキャスク落下時の安全評価を行う際には、実際の使用時における長時間の熱曝露による構成部材の熱劣化等の性状変化を模擬した試料を用いてキャスク構成部材の健全性評価(材料特性評価)が行われている。
例えば、非特許文献1には、金属キャスクの構成部材(例えばアルミニウム合金製バスケット)について、該構成部材が熱曝露を受ける際の温度(例えば200℃)またはそれよりも少し高い温度(例えば250℃)で長時間(例えば10000時間)の過時効処理をサンプルに施したうえで該サンプルについて材料特性評価(例えば強度試験)を行うことが記載されている。
日本機械学会編 「使用済燃料貯蔵施設規格 金属キャスク構造規格 2007年版」、2008年2月発行
ところで、実製品の使用期間にわたる熱劣化を正確に評価しようとすると、実製品の使用中における熱履歴を厳密に再現することが考えられる。しかし、実製品の使用期間が長い場合(例えば、金属キャスクの場合には60年程度)、このような評価手法は現実的ではない。
一方、非特許文献1のように、実製品(金属キャスク)の使用期間に比べて短い熱処理時間(例えば10000時間)だけ、実製品(金属キャスク)が使用中に受けるであろう熱履歴に相当する過時効処理をサンプルに施し、該サンプルについて材料特性評価を行うことも考えられる。
しかし、金属材料においては、熱履歴に応じて加工硬化の回復、添加成分の析出状態及び固溶状態の変化、析出物の粗大化等の熱劣化が起こり、これらの熱劣化現象により材料特性に変化が起こる。この点、非特許文献1には、長時間の熱処理(過時効処理)後の冷却を制御することについては言及されていない。このため、非特許文献1に示される評価手法によって得られる試料は、試料の成分によっては、性状変化を十分再現できていない可能性があり、このような試料を用いることで、使用期間経過後における実製品の熱劣化を適切に評価できない可能性がある。すなわち、非特許文献1の手法によって得られる試料が十分に熱劣化を経た状態のものであることの保証は存在せず、そのような試料で評価した特性は実製品の長期間にわたる熱劣化を考慮したものではないかもしれないのである。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、金属材料の熱劣化を適切に評価し得る、金属材料の特性評価用試料の作製方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る金属材料の特性評価用試料の作製方法は、
金属材料を熱処理するステップと、
熱処理された前記金属材料の冷却速度の閾値を決定するステップと、
熱処理された前記金属材料を、少なくとも一部の温度領域において、前記閾値以下の冷却速度で冷却して、特性評価用試料を形成するステップと、を備え、
前記閾値を決定するステップは、
前記金属材料と同一材料の金属により構成される複数の第1試料を熱処理し、
熱処理後の前記複数の第1試料を複数の冷却速度の下でそれぞれ冷却し、
前記冷却速度と冷却後の前記第1試料の導電率指標との相関関係、及び、前記冷却速度と冷却後の前記第1試料の強度指標との相関関係から、前記冷却速度に対する前記導電率指標の傾きの大きさと前記冷却速度に対する前記強度指標の傾きの大きさとがそれぞれ所定値以下となる冷却速度を前記閾値として決定することを含む。
上記(1)の方法では、冷却速度と冷却後の第1試料の導電率指標との相関関係、及び、冷却速度と冷却後の第1試料の強度指標との相関関係から、冷却速度に対する導電率指標及び強度指標のそれぞれの傾きの大きさがそれぞれ所定値以下となる冷却速度を閾値として決定する。そして、このように決定された閾値以下の冷却速度で金属材料を冷却し、特性評価用試料を得る。
これにより、冷却中の各温度での平衡状態に近い状態で金属材料が冷却された特性評価用試料を得ることができるため、特性評価用試料において、過飽和固溶の状態を回避しつつ添加成分等を析出させることができる。また、上述のように決定された閾値以下の冷却速度で金属材料を冷却するので、析出物の粗大化が十分に進んだ状態の特性評価用試料を得ることができる。よって、上記(1)の方法によれば、実製品の長期にわたる使用期間において起こり得る熱劣化を十分に考慮した金属材料の特性評価を行うことができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、
前記金属材料は主成分と1以上の添加成分とを含む合金であり、
前記特性評価用試料を得るステップでは、前記金属材料における何れかの前記添加成分の析出温度を含む少なくとも1つの第1温度領域において、前記閾値以下の第1冷却速度で前記金属材料を冷却するとともに、前記析出温度を含まない少なくとも1つの第2温度領域において、前記第1冷却速度よりも大きい第2冷却速度で前記金属材料を冷却する。
上記(2)の方法では、添加成分の析出温度を含む第1温度領域においては、上記(1)で決定された閾値以下の第1冷却速度で金属材料を冷却することで、特性評価用試料における過飽和固溶状態の発生を回避することができる。
また、上記(2)の方法では、添加成分の析出温度を含まず、添加成分の析出の可能性がない第2温度領域においては第1冷却よりも大きい第2冷却速度で金属材料を冷却する。よって、熱処理された金属材料を全温度領域にわたって閾値以下の第1冷却速度で冷却する場合に比べて、特性評価用試料の形成に要する冷却時間を短縮することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の方法において、前記第2冷却速度は、前記閾値よりも大きい冷却速度である。
上記(3)の方法では、構成金属の析出温度を含まず、構成金属の析出の可能性がない第2温度領域においては前記閾値よりも大きい第2冷却速度で金属材料を冷却する。よって、特性評価用試料の形成に要する冷却時間をより短縮することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(3)の何れかの方法において、
前記金属材料は主成分と1以上の添加成分とを含む合金であり、
前記特性評価用試料を得るステップでは、前記金属材料の状態図において、前記熱処理するステップにおける熱処理温度と室温との間の範囲内で固溶線の傾きが最も大きくなる温度を含む第3温度領域において、前記閾値以下の第3冷却速度で前記金属材料を冷却するとともに、前記第3温度領域を含まない少なくとも1つの第4温度領域において、前記閾値以下かつ前記第3冷却速度よりも大きい第4冷却速度で前記金属材料を冷却する。
状態図において固溶線の傾きが比較的小さい領域では、金属材料を徐冷したときに、金属材料の状態は固溶線に沿って移行しやすい。一方、固溶線の傾きが比較的大きい領域では、金属材料の平衡状態が維持されにくい場合があり、金属材料を徐冷する場合であっても金属材料の状態は安定して固溶線に沿って移行しない場合がある。
この点、上記(4)の方法では、熱処理温度と室温との間の範囲内で固溶線の傾きが最も大きくなる温度を含む第3温度領域では、閾値以下の冷却速度で金属材料を冷却する第4温度領域よりも、さらに小さい冷却温度で金属材料を冷却する。このため、金属材料の平衡状態が比較的維持されにくい第3温度領域でも金属材料を冷却中の各温度での平衡状態に近い状態で冷却することができ、添加成分等をより確実に析出させることができる。よって、より適切な評価が可能な特性評価用試料をより確実に作製することができる。
なお、本明細書において固溶線とは、状態図上で固溶限を示す曲線のことである。
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の方法において、
前記特性評価用試料を得るステップでは、前記第3温度領域において、前記金属材料の冷却速度を所定時間一定に維持する。
上記(5)の方法によれば、金属材料の平衡状態が維持されにくい第3温度領域において、冷却速度を所定時間一定に維持するので、より平衡状態に近い状態を再現することができるため、添加成分等をより確実に析出させることができる。このため、より適切な評価が可能な特性評価用試料をより確実に作製することができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(5)の何れかの方法において、前記第1試料の前記強度指標は、前記第1試料の引張強さ、耐力又は硬度の少なくとも一つである。
上記(6)の方法によれば、第1材料の強度を示す強度指標として一般的な引張強さ、耐力又は硬度の少なくとも一つを用いて金属材料の冷却速度の閾値を決定することができる。このようにして決定した閾値以下の冷却速度で金属材料を冷却することにより、より適切な評価が可能な特性評価用試料を作製することができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(6)の何れかの方法において、前記第1試料の前記導電率指標は、前記第1試料の導電率、電気抵抗又は熱伝導率のうち少なくとも一つである。
上記(7)の方法によれば、第1材料の導電率を示す導電率指標として一般的な導電率、電気抵抗又は熱伝導率の少なくとも一つを用いて金属材料の冷却速度の閾値を決定することができる。このようにして決定した閾値以下の冷却速度で金属材料を冷却することにより、より適切な評価が可能な特性評価用試料を作製することができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(7)の何れかの方法において、
前記熱処理するステップ及び前記閾値を決定するステップにおいて前記金属材料又は前記複数の第1試料を熱処理する際の熱処理温度を決定するステップをさらに含み、
前記熱処理温度を決定するステップは、
前記金属材料と同一材料の金属により構成される複数の第2試料を熱処理温度が互いに異なる複数の熱処理条件の下でそれぞれ熱処理後、前記熱処理時における前記第2試料の結晶組織が維持されるように前記複数の第2試料を室温まで冷却し、
冷却後の前記複数の第2試料について組織観察を行って、前記複数の第2試料のうち、前記熱処理によって生じた再結晶組織を含む第2試料を選別し、
前記選別した第2試料に対応した前記熱処理条件のうち熱処理温度が最も高い条件を選択し、該条件の熱処理温度を、前記金属材料又は前記複数の第1試料を熱処理する際の前記熱処理温度として決定することを含む。
上記(8)の方法では、加工硬化の回復に伴う転移の解放により再結晶組織を生じさせることができる温度のうち、最も高い温度を金属材料又は第1試料を熱処理する際の熱処理温度として決定する。このため、それよりも低い温度で金属材料又は第1試料を熱処理する場合に比べて、加工硬化の回復が進みやすくなるため、実製品の長期にわたる使用期間において起こり得る熱劣化を十分に進行させた特性評価用試料を得ることができ、実製品の熱劣化を十分に考慮した金属材料の特性評価をより適切に行うことができる。
また、上記(8)の方法によれば、できるだけ高い熱処理温度で熱処理を行うので、それより低い温度で熱処理を行う場合に比べて短時間で熱処理を行うことができ、より短時間で特性評価用試料を作製することができる。例えば、製品使用温度程度で長時間熱処理する場合(例えば非特許文献1に記載の従来方法)よりも高い温度での熱処理温度とすることができる場合があり、この場合、製品の使用温度程度で熱処理するよりも短時間で熱処理を行うことができ、より短時間で特性評価用試料を作製することができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)の方法において、
前記複数の熱処理条件は、異常粒成長が発生する温度を熱処理温度とする熱処理条件を含み、
前記熱処理温度を決定するステップでは、冷却後の前記複数の第2試料について組織観察を行って、前記複数の第2試料のうち、前記熱処理によって生じた再結晶組織を含み、かつ前記異常粒成長が発生していない第2試料を選別する。
再結晶組織が生成する温度領域よりも高温で熱処理をすると、異常粒成長組織が生成する場合がある。このような異常粒成長組織が生成した試料は、製品使用時に生成することが想定される再結晶組織が壊れた状態となっており、この試料では適切な評価をすることは難しい。
上記(9)の方法では、異常粒成長が発生するほどの高温を含む温度条件を用いて、熱処理によって生じた再結晶組織を含み、かつ前記異常粒成長が発生していない試料を選別する。このため、上記(9)の方法によれば、実際の製品使用時において発生しないと考えられる異常粒成長が生じるような条件を排除して、熱処理温度を決定することができ、より適切な評価が可能な特性評価用試料を作製することができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(8)又は(9)の方法において、
前記金属材料を熱処理するステップの前に、前記特性評価用試料の試料形状に前記金属材料を成形するステップをさらに備え、
前記熱処理温度を決定するステップでは、前記選別した第2試料に対応した前記熱処理条件のうち、前記金属材料を成形するステップにおける前記金属材料の成形温度以下という制約下において熱処理温度が最も高い条件を選択し、該条件の熱処理温度を、前記金属材料又は前記複数の第1試料を熱処理する際の前記熱処理温度として決定する。
実製品の使用中において、成形温度よりも高温に曝されることは通常想定しない。このため、特性評価用試料を作製するに際して、成形温度よりも高い熱処理温度を選択することは、実製品の熱劣化後の金属組織状態とは全く異なる金属組織状態の試料を評価することになり、特性評価を適切に行うことが難しい場合があり得る。
上記(10)の方法によれば、熱処理温度を金属材料の成形温度以下の範囲内に限定することで、実製品の熱劣化後の金属組織状態と同様な金属組織状態を有する特性評価用試料を得ることができる。これにより、金属材料の特性評価をより適切に行うことができる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(10)の何れかの方法において、前記金属材料は、添加成分としてマグネシウムを含むアルミニウム合金を含む材料により構成される。
上記(11)の方法によれば、マグネシウム含有アルミニウム合金を材料としてつくられる製品について、材料特性評価を適切に行うことができる。例えば、マグネシウム含有アルミニウム合金から形成されたバスケット(金属キャスクの構造部材の一つ)について、材料特性評価を適切に行うことができる。
(12)本発明の少なくとも一実施形態に係る金属材料の特性評価方法は、
上記(1)〜(11)の何れかの方法により前記特性評価用試料を作製するステップと、
得られた前記特性評価用試料を用いて前記金属材料の材料特性評価を行うステップと、を備える。
上記(12)の方法では、冷却速度と冷却後の第1試料の導電率指標との相関関係、及び、冷却速度と冷却後の第1試料の強度指標との相関関係から、冷却速度に対する導電率指標及び強度指標のそれぞれの傾きの大きさがそれぞれ所定値以下となる冷却速度を閾値として決定する。そして、このように決定された閾値以下の冷却速度で金属材料を冷却し、特性評価用試料を得る。
これにより、冷却中の各温度での平衡状態に近い状態で金属材料が冷却された特性評価用試料を得ることができるため、特性評価用試料において、過飽和固溶の状態を回避しつつ添加成分等を析出させることができる。また、上述のように決定された閾値以下の冷却速度で金属材料を冷却するので、析出物の粗大化が十分に進んだ状態の特性評価用試料を得ることができる。よって、上記(12)の方法によれば、実製品の長期にわたる使用期間において起こり得る熱劣化を十分に考慮した金属材料の特性評価を行うことができる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、金属材料の熱劣化を適切に評価し得る、金属材料の特性評価用試料の作製方法が提供される。
一実施形態に係る金属材料の特性評価用試料の作成方法の概要を示すフローチャートである。 一実施形態に係る金属材料の特性評価用試料の作製過程における金属材料の温度の時間変化を示す図である。 一実施形態に係る金属材料の特性評価用試料の作成方法において金属材料の熱処理温度を決定するステップのフローを示す図である。 一実施形態に係る金属材料の特性評価用試料の作成方法において冷却速度の閾値を決定するステップのフローを示す図である。 アルミニウム合金の状態図の一部を模擬的に示す図である。 一実施形態にかかる特性評価用作製方法における一部の温度領域における金属材料の冷却曲線を示すグラフである。 一実施形態にかかる特性評価用作製方法における一部の温度領域における金属材料の冷却曲線を示すグラフである。 比較用試料の顕微鏡写真の一部である。 熱処理を施した温度検討用試料の顕微鏡写真の一部である。 熱処理を施した温度検討用試料の顕微鏡写真の一部である。 熱処理を施した温度検討用試料の顕微鏡写真の一部である。 冷却速度と導電率の測定結果との相関関係を表すグラフである。 冷却速度と引張強さの測定結果との相関関係を表すグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
まず、一実施形態に係る金属材料の特性評価用試料の作製方法の概要について説明する。図1は、一実施形態に係る金属材料の特性評価用試料の作製方法の概要を示すフローチャートである。また、図2は、一実施形態に係る金属材料の特性評価用試料の作製過程における金属材料の温度の時間変化を示す図である。図2のグラフにおいて、横軸は時間tを表し、縦軸は金属材料の温度Tを表す。
図1に示すように、一実施形態に係る金属材料の特性評価用試料(以降において単に「評価用試料」とも称する)の作製方法では、まず、評価対象の金属材料を評価用試料の形状に成形する(S1)。図2に示す図では、ステップS1における成形温度はTである。また、この試料用に成形された金属材料を後のステップS4で熱処理する際の熱処理温度Tを含む熱処理条件を決定するとともに(S2)、ステップS5で熱処理後の金属材料を冷却する際の冷却条件を決めるための冷却速度の閾値Cthを決定する(S3)。そして、ステップS1で成形した金属材料をステップS2で決定した熱処理条件で熱処理し(S4)、その後、ステップS3で決定した閾値Cth以下の冷却速度で金属材料を冷却して評価用試料を得る(S5)。図2には、ステップS4において熱処理温度Tで金属材料の熱処理を行い、ステップS5において熱処理温度Tから室温Tまで一定の冷却速度で金属材料を冷却した場合の金属材料の温度変化が示されている。
なお、上述の熱処理条件及び冷却速度の閾値を決定するステップS2及びS3を、それぞれ、金属材料を熱処理及び冷却するステップS4及びS5よりも前に行うとともに、金属材料を試料形状に成形するステップS1、成形した金属材料を熱処理及び冷却するステップS4及びS5をこの順に行う限りにおいて、ステップS1〜S5を行う順序は上記に限定されない。例えば、金属材料の熱処理条件を決定するステップS2又は冷却速度の閾値を決定するステップS3は、金属材料を成形するステップS1より前もって行ってもよい。
以下に、上述の各ステップS1〜S5についてより詳細に説明する。
金属材料を成形するステップS1では、特性評価対象の金属材料を、試料形状(例えば実製品と同じ形状)に成形する。
金属材料を試料形状に成形する方法は特に限定されず、実製品を同様の条件及び方法により金属材料を成形してもよい。例えば、押出成形、射出成型、鋳造又は鍛造等の方法によって金属材料を試料形状に成形してもよい。
金属材料を成形する際の温度T(図2参照)は、材料金属や成型方法によって異なる。例えば、アルミニウム合金を押出成形により成形する場合、例えば450℃〜550℃程度の温度でアルミニウム合金を押出成形することにより金属材料を試料形状に成形してもよい。
図3は、ステップS1で試料形状に成形された金属材料の熱処理温度Tを決定するステップS2のフローを示す図である。金属材料の熱処理温度を決定するステップS2では、ステップS1で試料形状に成形した金属材料を後のステップS4で熱処理する際の温度(熱処理温度T)を決定する。
金属材料の熱処理温度を決定するステップS2では、まず、ステップS1で試料形状に成形された金属材料と同一材料の金属により構成される熱処理温度検討用試料(第2試料、以降において単に「温度検討用試料」とも称する)を複数用意し、これら複数の温度検討用試料を熱処理温度が互いに異なる複数の熱処理条件の下でそれぞれ熱処理する(S202)。
実製品の使用時には、長時間の熱曝露を受ける際、加工硬化が回復して転移(歪)の解放が生じ、この際に転移が核となり、再結晶組織が生成する。上述のステップS202では、このような再結晶組織を生成することができる熱処理温度を検討するために、熱処理温度が互いに異なる複数の熱処理条件下で、複数の温度検討用試料を熱処理する。
上述のステップS202における複数の熱処理条件の熱処理温度は、実製品の使用時の温度(例えば、アルミニウム合金で形成された金属キャスク用バスケットの場合は200℃程度)より高い温度としてもよい。これは、実製品の使用時には比較的低温で長時間の間に生じる加工硬化の回復を、より短時間で生じさせるためである。
また、上述のステップS202における複数の熱処理条件の熱処理温度は、金属材料を成形するステップS1における金属材料の成形温度(あるいは実製品の成形温度)付近の複数の温度としてもよい。
実製品の使用中において、成形温度よりも高温に曝されることは通常想定されないが、仮に、実製品が実際に受けると想定される熱履歴における温度を大幅に超えた温度で金属材料の熱処理を行うと、金属材料の組織が、実際の熱履歴により得られる組織とは異なるものとなってしまう場合がある。このため、実際の熱履歴を考慮した評価を行うためには、実際の成形温度以下で金属材料を熱処理するとよい。一方、実際の金属材料(あるいは実製品)の成形温度以下の温度では、熱処理後の組織が安定化しない場合も考えられる。このため、金属材料(あるいは実製品)の成形温度より高い温度を評価用試料の熱処理温度として検討する対象としてもよい。
例えば、ステップS1における金属材料の成形温度が500℃である場合、400℃〜600℃程度の範囲内の複数の温度を、上記複数の熱処理条件の熱処理温度としてもよい。
また、上述のステップS202における複数の熱処理条件の熱処理温度は、異常粒成長が発生する程度の高温を含む温度条件としてもよい。
異常粒成長が発生するほどの高温で金属材料を熱処理すると、実製品において熱曝露の結果得られるであろう再結晶組織が金属材料において壊れてしまうため、このような温度は、評価用試料を作製する際の熱処理温度としては適しているとは言えない。しかしながら、再結晶組織が壊れない範囲内でより高い温度で熱処理を行うために、異常粒成長が発生するほどの高温の範囲も含めて、熱処理温度を検討するための複数の熱処理条件としてもよい。
ステップS202における金属材料の熱処理条件は、金属材料の熱処理を行う温度(熱処理温度)と、熱処理を行う時間(熱処理時間)とを含む条件であってもよく、ステップS202では、複数の温度検討用試料を、熱処理時間が互いに異なる複数の熱処理条件の下でそれぞれ熱処理するようにしてもよい。
このように、複数の温度検討用試料を、熱処理時間が互いに異なる複数の熱処理条件の下でそれぞれ熱処理した結果に基づいて、ステップS4における金属試料の熱処理時間として適した熱処理時間を決定してもよい。あるいは、経験によって熱処理に必要な時間が既知であるときには、そのような時間を熱処理時間としてもよい。
ステップS202で複数の温度検討用試料を熱処理した後、ステップS204では、ステップS202での熱処理時における温度検討用試料の結晶組織が維持されるように温度検討用試料を室温まで冷却する。
熱処理後の試料の冷却速度が低い場合、平衡状態が熱処理直後から移行して、例えば金属材料における固溶及び析出の状態が熱処理直後のものから変化してしまう等により、熱処理直後の組織を維持できなくなることがある。よって、熱処理直後の結晶組織の状態を後述のステップS206で観察するために、ステップS204では、熱処理直後の結晶組織が維持できる程度の冷却速度で温度検討用試料を冷却する。
ステップS204では、例えば空冷により温度検討用試料を室温まで冷却する。あるいは、ステップS204では、例えば600℃/h〜800℃/h程度の冷却速度で温度検討用試料を冷却する。
ステップS204で複数の温度検討用試料を冷却した後、ステップS206では、冷却後の温度検討用試料について組織観察を行う。この組織観察では、熱処理及び冷却後の試料における析出物の状態を観察し、再結晶組織(等軸粒組織)が生じているか否か、あるいは、異常粒成長が生じているか否かを確認する。
ステップS206の組織観察では、温度検討用試料の表層付近において、最表層よりも内側の母相における金属組織を観察する。熱処理及び冷却後の温度検討用試料では、試料内部(中央付近)に比べて、表層付近において転移(歪)がたまりやすくなっているため、転移の解放の結果生じる再結晶組織も表層付近において比較的現れやすい。一方、最表層においては、転移の解放が激しく進む結果、再結晶組織の発生後に組織が粗大化する現象が見られる場合がある。このため、最表層のみを観察したのでは、温度検討用試料において再結晶組織が発生しているか否かを適切に判断できない可能性がある。この点、温度検討用試料の表層付近において、最表層よりも内側の母相における金属組織を観察することで、再結晶組織の発生等について、試料の組織を適切に観察することができる。
温度検討用試料の組織観察には、光学顕微鏡や、透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡、及び/又はEBSP(Electron Back−Scattered diffraction Pattern:背面反射電子線回折パターン)等の手法を用いることができる。
あるいは、加工硬化の回復を確認するため、転位(歪)の解放による再結晶組織の発生等の金属組織を観察する以外に、透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡等の観察機器を用いて、転位密度等を直接観察する手法を用いてもよい。
ステップS206で複数の温度検討用試料について組織観察を行ったあと、ステップS208では、これらの試料のうち、ステップS206での組織観察の結果、S202での熱処理によって生じた再結晶組織を含むと判定された温度検討用試料を選別する(S208)。ここで、さらに、ステップS206での組織観察の結果、S202での熱処理によって異常粒成長が発生していないと判定された温度検討用試料を選別してもよい(S210)。
なお、熱処理及び冷却後の温度検討用試料において異常粒成長の有無を判別するために、各種強度試験(例えば、引張強さ0.2%耐力の計測等)を行ってもよい。異常粒成長が生じた試料においては、異常粒成長が生じていない試料に比べて強度が著しく低下する。このため、強度試験を行うことで、異常粒成長が生じて強度が著しく低下している試料を選別対象から排除することができる。
そして、ステップS208で選別された、又は、ステップS208及びS210で選別された温度検討用試料に対応した熱処理条件(S202での熱処理条件)のうち、熱処理温度が最も高い条件を選択し、該条件の熱処理温度を、後のステップS4で金属材料を熱処理する際の熱処理温度Tとして決定する(S212)。また、S202にて温度検討用試料を該熱処理温度Tで熱処理した際の熱処理時間に基づいて、後のステップS4で金属材料を熱処理する際の熱処理時間tを決定する。
なお、このように決定された熱処理温度T及び熱処理時間tは、後述のステップS3において、冷却速度検討用試料(第1試料)を熱処理する際の熱処理条件としても用いられる。
このように、加工硬化の回復に伴う転移の解放により再結晶組織を生じさせることができる温度のうち、最も高い温度を、後述のステップS3及びS4における、金属材料又は冷却温度検討用試料(第1試料)を熱処理する際の熱処理温度Tとして決定することで、それよりも低い温度で金属材料又は冷却温度検討用試料(第1試料)を熱処理する場合に比べて、加工硬化の回復が進みやすくなる。このため、実製品の長期にわたる使用期間において起こり得る熱劣化を十分に進行させた特性評価用試料を後述のステップS5で得ることができる。
また、上述したように、S202において異常粒成長が発生するほどの高温を含む温度条件を用いて、S210において熱処理によって生じた再結晶組織を含み、かつ異常粒成長が発生していない試料を選別する場合、実際の製品使用時において発生しないと考えられる異常粒成長が生じるような条件を排除して熱処理温度Tを決定することができる。したがって、より適切な評価が可能な特性評価用試料を後述のステップS5で得ることができる。
熱処理温度Tを決定するステップS212では、ステップS208、又は、ステップS208及びS210で選別された温度検討用試料に対応した熱処理条件のうち、金属材料を成形するステップS1における金属材料の成形温度以下という制約下において熱処理温度が最も高い条件を選択し、該条件の熱処理温度を、金属材料又は複数の冷却速度検討用試料(第1試料)を熱処理する際の熱処理温度Tとして決定してもよい。
このように、熱処理温度Tを金属材料の成形温度以下の範囲内に限定することで、実製品の熱劣化後の金属組織状態と同様な金属組織状態を有する特性評価用試料を後述のステップS5で得ることができる。
図4は、熱処理後の金属材料の冷却速度の閾値Cthを決定するステップS3のフローを示す図である。ステップS3では、ステップS4で熱処理された金属材料を後のステップS5で冷却する際の冷却速度の閾値Cthを決定する。
熱処理後の金属材料の冷却速度の閾値Cthを決定するステップS3では、まず、前記金属材料と同一材料の金属により構成される複数の冷却速度検討用試料(第1試料)を熱処理する(S302)。
この際の熱処理条件は、上述のステップS2(S202〜212)で決定した熱処理温度T及び/又は熱処理時間tを含む熱処理条件であってもよい。このような熱処理条件で金属材料を熱処理することにより、加工硬化の回復が進んで再結晶組織が生じた試料が得られる。
次に、S302で熱処理した複数の冷却速度検討用試料を複数の冷却速度の下でそれぞれ冷却し(S304)、ステップS304での冷却速度と冷却後の冷却速度検討用試料の導電率指標との相関関係を求めるとともに(S306)、冷却速度と冷却後の冷却速度検討用試料の強度指標との相関関係を求める(S308)。そして、これらの相関関係に基づいて、ステップS5で金属材料を冷却する際の冷却速度の閾値Cthを決定する(S310)。すなわち、S310では、冷却速度検討用試料の冷却速度に対する導電率指標の傾きの大きさと、冷却速度検討用試料冷却速度に対する強度指標の傾きの大きさとがそれぞれ所定値以下となる冷却速度を、ステップS5で用いる冷却速度の閾値Cthとして決定する。
冷却速度検討用試料の導電率指標は、冷却速度検討用試料の導電率を示す指標である。
冷却速度検討用試料の導電率は、該試料に含まれる添加成分(例えば合金における添加成分)の固溶量と相関性を有し、試料中において添加成分の固溶量が多いほど、電気抵抗が上昇するため導電率及び導電率指標は小さくなる。すなわち、冷却速度検討用試料の導電率指標は、添加成分の固溶量を示す指標である。
よって、ステップS306で冷却速度検討用試料の冷却速度と導電率指標との相関関係を求めることで、冷却速度と固溶量との相関関係を把握することができる。
冷却速度検討用試料の導電率指標としては、例えば、冷却速度検討用試料の導電率、電気抵抗又は熱伝導率のうち少なくとも一つを用いることができる。
ここで、図5は、あるアルミニウム合金の状態図の一部を模擬的に示す図である。図5の状態図において、横軸はアルミニウム合金の組成を表し、原点においてアルミニウムが100%であり、正方向に行くに従いアルミニウムの含有量が少なくなるとともに、添加成分の含有量が多くなる。また、図5の状態図において縦軸は温度Tを表す。また、図5の状態図において、点K、M、Nを通る曲線は固相線であり、点M、Q、S、Tを通る曲線は固溶限を示す曲線L(固溶線)である。
冷却速度検討用試料の冷却速度が比較的大きいと、試料は冷却前の高温での平衡状態での組織の状態が維持されたまま冷却されるため、試料において添加成分が過飽和固溶した状態となりやすい。図5を用いて説明すると、例えば、組成がXの点Pの状態(固溶体)であるアルミニウム合金は、比較的大きな冷却速度で急冷されると、点Qを通って点Uの過飽和固溶の状態に向かって移行する。
一方、冷却速度が比較的小さいと、試料は冷却中の各温度での平衡状態により近づきながら冷却されるため、試料において添加成分の過飽和固溶の状態が緩和されるとともに、添加成分の析出が進む。図5を用いて説明すると、例えば、組成がXの点Pの状態(固溶体)であるアルミニウム合金は、十分小さな冷却速度で徐冷されると、点Qから固溶限を示す曲線に沿って平衡状態に近い状態を保ちながら点Sに向かって状態が移行する。
そして、冷却速度を十分小さくすることで、試料を冷却中の各温度で平衡状態に十分近づけることができ、この場合、それ以上冷却速度を小さくしても、冷却後の試料において固溶及び析出の状態に大きな変化は現れないため、冷却後の試料の導電率指標はほとんど変化しなくなる。すなわち、冷却速度に対する導電率指標の傾きの大きさは小さくなる。
よって、冷却速度に対する導電率指標の傾きの大きさが所定値以下となる冷却速度でステップS5にて金属材料を冷却することで、冷却中の各温度での平衡状態に近い状態で金属材料を冷却することができ、過飽和固溶の状態を回避しつつ添加成分等を析出させた状態の評価用試料を得ることができる。
また、冷却速度検討用試料の強度指標は、冷却速度検討用試料の強度を示す指標である。
冷却速度検討用試料の強度は、該試料に含まれる添加成分の析出物の粗大化の程度と相関性を有し、析出物の粗大化の程度が大きいほど試料の強度が低下するため、強度指標は小さくなる。すなわち、冷却速度検討用試料の強度指標は、析出物の粗大化の程度を示す指標である。
よって、ステップS308で冷却速度検討用試料の冷却速度と強度指標との相関関係を求めることで、冷却速度と析出物の粗大化の程度との相関関係を把握することができる。
冷却速度検討用試料の強度指標としては、例えば、冷却速度検討用試料の引張強さ、耐力(例えば0.2%耐力)又は硬度のうち少なくとも一つを用いることができる。
冷却速度検討用試料の冷却速度が比較的小さい場合、冷却速度が比較的大きい場合に比べて、析出物の結晶が成長するための核が生じにくいため、析出物の粗大化が促進される。そして、冷却速度を十分小さくすることで析出物の粗大化が十分に進み、それ以上冷却速度を小さくしても、冷却後の試料において析出物の粗大化の程度に大きな変化は現れなくなり、冷却後の試料の強度指標はほとんど変化しなくなる。すなわち、冷却速度に対する強度指標の傾きの大きさは小さくなる。
よって、冷却速度に対する強度指標の傾きの大きさが所定値以下となる冷却速度でステップS5にて金属材料を冷却することで、析出物の粗大化が十分に進んだ状態の評価用試料を得ることができる。
上述したように、冷却速度評価用試料を平衡状態に近い状態に維持可能であるとともに、析出物の粗大化を十分に進行させることが可能な冷却温度を決定するため、ステップS304では、比較的小さな冷却速度の範囲内の複数の冷却速度で、複数の試料を冷却するとよい。
このような冷却速度は、材料によって異なるが、例えばアルミニウム合金の場合、ステップS304では、0.1℃/h〜10℃/h前後の複数の冷却速度の下で冷却度速度検討用試料を冷却してもよい。
ステップS4では、上述のステップS2で決定した熱処理温度Tを含む熱処理条件下においてS1で成形した金属材料を熱処理する。
また、ステップS5では、S4で熱処理された金属材料を、少なくとも一部の温度領域において、ステップS3で決定した閾値Cth以下の冷却速度で冷却して、金属材料の特性評価に用いる評価用試料を形成する。
ステップS5では、冷却開始温度(例えば熱処理温度T付近の温度)から冷却終了温度(例えば室温)までの全温度領域又は一部の温度領域にて、ステップS3で決定した閾値Cth以下の一定の冷却速度で金属材料を冷却してもよい。この場合、金属材料を冷却する際の金属材料の温度は、図2に示すように、冷却開始温度(例えば熱処理温度T付近の温度)から冷却終了温度(例えば室温T)まで、直線的に低下する。
あるいは、ステップS5では、閾値Cth以下の範囲内で冷却速度を適宜変化させて金属材料を冷却してもよい(図7及び後述の説明参照)。
あるいは、ステップS5では、一部の温度領域ではステップS3で決定した閾値Cth以下の冷却速度で金属材料を冷却するとともに、他の一部の温度領域では閾値Cthよりも大きい冷却速度で金属材料を冷却するようにしてもよい(図6及び後述の説明参照)。
図6及び図7は、一実施形態にかかる特性評価用作製方法における一部の温度領域における金属材料の冷却曲線を示すグラフである。なお、図6及び図7のグラフにおいて、横軸は時間tを表し、縦軸は金属材料の温度Tを表す。
一実施形態では、ステップS5において、冷却対象の金属材料に含まれる何れかの添加成分の析出温度を含む少なくとも1つの第1温度領域Tにおいて、ステップS3で決定した閾値Cth以下の第1冷却速度Cで前記金属材料を冷却するとともに、前記添加成分の析出温度を含まない少なくとも1つの第2温度領域Tにおいて、第1冷却速度Cよりも大きい第2冷却速度Cで金属材料を冷却する。
例えば、図6に示す例では、金属材料の温度が、添加成分の析出温度Tを含む第1温度領域Tとなる期間t〜tにおいて、ステップS3で決定した閾値Cth以下の第1冷却速度Cで前記金属材料を冷却する。また、金属材料の温度が添加成分の析出温度Tを含まない第2温度領域T(T2a及びT2b)となる期間t〜t及びt〜tでは、第1冷却速度Cよりも大きい第2冷却速度Cで金属材料を冷却する。この際、第2冷却速度CはステップS3で決定した閾値Cthよりも大きい冷却速度であってもよい。
このように、添加成分の析出温度Tを含む第1温度領域Tにおいては、閾値Cth以下の第1冷却速度Cで金属材料を冷却することで、冷却の結果得られる特性評価用試料において過飽和固溶状態の発生を回避することができる。また、添加成分の析出温度Tを含まず、添加成分の析出の可能性がない第2温度領域T(T2a及びT2b)において第1冷却速度Cよりも大きい第2冷却速度Cで金属材料を冷却するので、熱処理された金属材料を全温度領域にわたって閾値以下の第1冷却速度Cで冷却する場合に比べて、特性評価用試料の形成に要する冷却時間を短縮することができる。また、第2冷却速度Cが閾値Cthよりも大きい場合には、評価用試料の形成に要する冷却時間をより短縮することができる。
なお、金属材料における添加成分等の析出温度は、例えば、各種材料のデータベース等(例えば金属材料がアルミニウム合金の場合はアルミニウムハンドブック等)を調査することによって取得できる。
また、一実施形態では、ステップS5において、冷却対象の金属材料の状態図において、熱処理するステップS4における熱処理温度Tと室温との間の範囲内で固溶線の傾きが最も大きくなる温度を含む第3温度領域Tにおいて、前記閾値Cth以下の第3冷却速度Cで金属材料を冷却するとともに、第3温度領域Tを含まない少なくとも1つの第4温度領域Tにおいて、閾値Cth以下かつ第3冷却速度Cよりも大きい第4冷却速度Cで金属材料を冷却する。
例えば、図7に示す例では、冷却対象の金属材料の状態図(図5参照)において、熱処理するステップS4における熱処理温度Tと室温Tとの間の範囲内で固溶線の傾きが最も大きくなる温度(図5ではT)を含む第3温度領域Tとなる期間t〜tにおいて、ステップS3で決定した閾値Cth以下の第3冷却速度Cで金属材料を冷却するとともに、第3温度領域Tを含まない第4温度領域Tとなる期間t〜tにおいて、閾値Cth以下かつ第3冷却速度Cよりも大きい第4冷却速度Cで金属材料を冷却する。なお、図7に示す例では、第3冷却速度Cは一定ではなく可変の冷却速度となっている。また、図7示すように、第3温度領域Tにおいて、金属材料の冷却速度を所定時間t(図7における期間t〜t)の間一定の温度Tに維持するようにしてもよい。
このように、熱処理温度Tと室温Tとの間の範囲内で固溶線の傾きが最も大きくなる温度を含む第3温度領域Tでは、閾値Cth以下の冷却速度で金属材料を冷却する第4温度領域Tよりも、さらに小さい冷却温度で金属材料を冷却する。このため、金属材料の平衡状態が比較的維持されにくい第3温度領域Tでも金属材料を冷却中の各温度での平衡状態に近い状態で冷却することができ、添加成分等をより確実に析出させることができる。
また、図7に示す例のように、金属材料の平衡状態が維持されにくい第3温度領域Tにおいて、冷却速度を所定時間一定に維持する場合には、より平衡状態に近い状態を再現することができるため、添加成分等をより確実に析出させることができる。
以上説明したステップS1〜S5を含む方法によれば、ステップS5において、ステップS3で決定された閾値Cth以下の冷却速度で金属材料を冷却することにより、冷却中の各温度での平衡状態に近い状態で金属材料を冷却するので、金属材料において過飽和固溶の状態を回避しつつ添加成分等を析出させることができるとともに、析出物の粗大化が十分に進んだ状態の特性評価用試料を得ることができる。よって、上述のステップS1〜S5を含む方法で得られた特性評価用試料を用いることで、実製品の長期にわたる使用期間において起こり得る熱劣化を十分に考慮した金属材料の特性評価を行うことができる。
例えば、アルミニウム合金製のバスケットを構成部材とする金属キャスク落下試験を行う際に、該バスケットと同一の材料を用いて上述のステップS1〜S5を含む方法で得られた評価用試料を用いて落下試験を行うことで、金属キャスク(実製品)の長期にわたる使用期間において起こり得る熱劣化を十分に考慮した特性評価を行うことができる。
また、以上説明したステップS1〜S5を含む方法によれば、ステップS2で決定される熱処理温度T(例えば500℃程度)は、通常、従来の過時効処理を行う方法(例えば非特許文献1参照)での処理温度(例えば200℃程度)に比べて高い。よって、従来の過時効処理に要する時間(例えば10000時間程度)よりも短い時間(例えば10時間程度)で熱処理を行うことができ、従来よりも短時間で特性評価用試料を作成することができる。
次に、本発明の実施例として、金属キャスクの構成部材であるアルミニウム合金製バスケットの特性評価を行うための特性評価用試料の作製方法における、熱処理温度Tを決定するステップ(S2)及び冷却速度の閾値Cthの決定するステップ(S3)について具体的に説明する。
(熱処理温度Tの決定)
アルミニウム製バスケットの材料の一例として、アルミニウムを主成分とし、添加成分としてマグネシウムを含むアルミニウム合金を用いて、複数の熱処理温度検討用試料を押出成形により成形した。押出成形の際の温度は、550℃とした。
次に、各温度検討用試料について、熱処理温度350℃〜580℃の範囲内において、それぞれ異なる熱処理温度で10時間熱処理を施した後、空冷で室温まで冷却した。
冷却後の各試料について、光学顕微鏡を用いて組織観察を行った。
図9〜図11は、それぞれ、熱処理温度500℃、520℃、560℃で熱処理を施した温度検討用試料について組織観察を行った際の、各試料の表層部分の顕微鏡写真の一部である。また、図8は、熱処理温度検討用試料と同様の条件で押出成形を行った後に、熱処理を施さずそのまま空冷で室温まで冷却した試料の表層部分の顕微鏡写真の一部である。
図8の写真では、押出加工されたままの金属組織が、左右方向に伸びる層状組織となっていることを確認することができる。これに対し、熱処理後の温度検討用試料の組織を示す図9〜図11の写真では、最表層2及び母相4において組織に変化が表れていることがわかる。
図9及び図10の写真では、母相4において、丸い形状を有する細かな組織、すなわち再結晶組織(等軸粒)が生じた状態となっている。これは、熱処理時に加工硬化の回復に伴って転移が解放される際に転移が核となり、これにより組織が再構成されて再結晶組織となったものと考えられる。すなわち、500℃〜520℃程度の熱処理温度では、温度検討用試料において再結晶組織が生じたことがわかった。
一方、図11の写真では、母相4において、異常粒成長が生じた状態となっている。これは、細かな再結晶組織が高温で壊れて異常粒成長が起きたものと考えられる。また、図には示さないが、540℃で熱処理した試料についても、一部異常粒成長の発生が確認された。すなわち、540℃程度以上の熱処理温度では、温度検討用試料において異常粒成長が生じたことが分かった。
なお、図9〜図11において、最表層2において組織の粗大化が見られる。これは、押出加工の際に生じる歪が多く蓄積する最表層2にでは、熱処理によって転移の解放が激しく起こるため、組織の粗大化が進んだものと考えられる。
上述の組織観察の結果、再結晶組織が生じ、かつ異常粒成長が発生していない温度検討用試料の熱処理温度のうち、最も高い520℃を、特性評価用試料を作製する際の金属材料の熱処理温度Tとして決定した。
(冷却速度の閾値Cthの決定)
上述した熱処理温度Tを決定する際と同様に、添加成分としてマグネシウムを含むアルミニウム合金を用いて、複数の冷却速度検討用試料を押出成形により成形した。押出成形の際の温度は、550℃とした。
次に、各冷却速度検討用試料について、上述のように決定された熱処理温度T(すなわち520℃)で10時間熱処理を施した後、冷却速度0.5℃/h〜700℃/hの範囲内において、それぞれ異なる冷却速度で各試料を室温まで冷却した。
冷却後の各試料について、室温にて導電率(導電率指標)の測定を行った。冷却速度検討用試料についての冷却速度と導電率の測定結果との相関関係を表すグラフを図12に示す。
また、冷却後の各試料について、室温、150℃、200℃の各温度において引張強さ(強度指標)の測定を行った。冷却速度検討用試料についての冷却速度と引張強さの測定結果との相関関係を表すグラフを図13に示す。
図12のグラフより、冷却速度が2.0℃/h以下の範囲において、導電率の変化(傾き)が小さくなっていることがわかる。ここで、冷却速度に対する導電率の傾きの閾値(所定値)として0.5%IACS/(℃/h)を設定する。図12のグラフでは、冷却速度1.0℃/h〜2.0℃/hに対する導電率の傾きの大きさを算出すると約0.2%IACS/(℃/h)であり、これは前述の傾きの閾値(所定値)である0.5%IACS/(℃/h)以下の値である。
また、図13のグラフより、冷却速度が2.0℃/h以下の範囲において、各測定温度(すなわち、室温、150℃及び200℃)における引張強さの変化(傾き)が小さくなっていることがわかる。ここで、冷却速度に対する引張強さの傾きの閾値(所定値)として5MP/(℃/h)とする。図13のグラフでは、冷却速度1.0℃/h〜2.0℃/hに対する引張強さの傾きの大きさを各測定温度について算出すると約2〜4MPa/(℃/h)であり、これらは前述の傾きの閾値(所定値)である5MP/(℃/h)以下の値である。
以上より、冷却速度に対する導電率の傾きの大きさと、冷却速度に対する引張強さの傾きの大きさとがそれぞれ所定値以下となる冷却速度である2.0℃/hを、冷却速度の閾値Cthとして決定した。
以上のように決定した熱処理温度T及び冷却温度の閾値Cthを用いて、冷却中の各温度での平衡状態に近い状態で、マグネシウム含有アルミニウム合金を材料として構成される金属材料を冷却するので、該金属材料において過飽和固溶の状態を回避しつつ添加成分等を析出させることができるとともに、析出物の粗大化が十分に進んだ状態の特性評価用試料を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
本明細書において、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
2 最表層
4 母相

Claims (12)

  1. 金属材料の加工硬化が回復するように前記金属材料を熱処理するステップと、
    熱処理された前記金属材料の冷却速度の閾値を決定するステップと、
    熱処理された前記金属材料を、少なくとも一部の温度領域において、前記閾値以下の冷却速度で冷却して、特性評価用試料を形成するステップと、を備え、
    前記閾値を決定するステップは、
    前記金属材料と同一材料の金属により構成される複数の第1試料を熱処理し、
    熱処理後の前記複数の第1試料を複数の冷却速度の下でそれぞれ冷却し、
    前記冷却速度と冷却後の前記第1試料の導電率指標との相関関係、及び、前記冷却速度と冷却後の前記第1試料の強度指標との相関関係から、前記冷却速度に対する前記導電率指標の傾きの大きさと前記冷却速度に対する前記強度指標の傾きの大きさとがそれぞれ所定値以下となる冷却速度を前記閾値として決定する
    ことを含むことを特徴とする金属材料の特性評価用試料の作製方法。
  2. 前記金属材料は主成分と1以上の添加成分とを含む合金であり、
    前記特性評価用試料を得るステップでは、前記金属材料における何れかの前記添加成分の析出温度を含む少なくとも1つの第1温度領域において、前記閾値以下の第1冷却速度で前記金属材料を冷却するとともに、前記析出温度を含まない少なくとも1つの第2温度領域において、前記第1冷却速度よりも大きい第2冷却速度で前記金属材料を冷却することを特徴とする請求項1に記載の金属材料の特性評価用試料の作製方法。
  3. 前記第2冷却速度は、前記閾値よりも大きい冷却速度であることを特徴とする請求項2に記載の金属材料の特性評価用試料の作製方法。
  4. 前記金属材料は主成分と1以上の添加成分とを含む合金であり、
    前記特性評価用試料を得るステップでは、前記金属材料の状態図において、前記熱処理するステップにおける熱処理温度と室温との間の範囲内で固溶線の傾きが最も大きくなる温度を含む第3温度領域において、前記閾値以下の第3冷却速度で前記金属材料を冷却するとともに、前記第3温度領域を含まない少なくとも1つの第4温度領域において、前記閾値以下かつ前記第3冷却速度よりも大きい第4冷却速度で前記金属材料を冷却することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の金属材料の特性評価用試料の作製方法。
  5. 前記特性評価用試料を得るステップでは、前記第3温度領域において、前記金属材料の冷却速度を所定時間一定に維持することを特徴とする請求項4に記載の金属材料の特性評価用試料の作製方法。
  6. 前記第1試料の前記強度指標は、前記第1試料の引張強さ、耐力又は硬度の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の金属材料の特性評価用試料の作製方法。
  7. 前記第1試料の前記導電率指標は、前記第1試料の導電率、電気抵抗又は熱伝導率のうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の金属材料の特性評価用試料の作製方法。
  8. 金属材料を熱処理するステップと、
    熱処理された前記金属材料の冷却速度の閾値を決定するステップと、
    熱処理された前記金属材料を、少なくとも一部の温度領域において、前記閾値以下の冷却速度で冷却して、特性評価用試料を形成するステップと、を備え、
    前記閾値を決定するステップは、
    前記金属材料と同一材料の金属により構成される複数の第1試料を熱処理し、
    熱処理後の前記複数の第1試料を複数の冷却速度の下でそれぞれ冷却し、
    前記冷却速度と冷却後の前記第1試料の導電率指標との相関関係、及び、前記冷却速度と冷却後の前記第1試料の強度指標との相関関係から、前記冷却速度に対する前記導電率指標の傾きの大きさと前記冷却速度に対する前記強度指標の傾きの大きさとがそれぞれ所定値以下となる冷却速度を前記閾値として決定する
    ことを含み、
    前記熱処理するステップ及び前記閾値を決定するステップにおいて前記金属材料又は前記複数の第1試料を熱処理する際の熱処理温度を決定するステップをさらに含み、
    前記熱処理温度を決定するステップは、
    前記金属材料と同一材料の金属により構成される複数の第2試料を熱処理温度が互いに異なる複数の熱処理条件の下でそれぞれ熱処理後、前記熱処理時における前記第2試料の結晶組織が維持されるように前記複数の第2試料を室温まで冷却し、
    冷却後の前記複数の第2試料について組織観察を行って、前記複数の第2試料のうち、前記熱処理によって生じた再結晶組織を含む第2試料を選別し、
    前記選別した第2試料に対応した前記熱処理条件のうち熱処理温度が最も高い条件を選択し、該条件の熱処理温度を、前記金属材料又は前記複数の第1試料を熱処理する際の前記熱処理温度として決定することを含む
    ことを特徴とする金属材料の特性評価用試料の作製方法。
  9. 前記複数の熱処理条件は、異常粒成長が発生する温度を熱処理温度とする熱処理条件を含み、
    前記熱処理温度を決定するステップでは、冷却後の前記複数の第2試料について組織観察を行って、前記複数の第2試料のうち、前記熱処理によって生じた再結晶組織を含み、かつ前記異常粒成長が発生していない第2試料を選別する
    ことを特徴とする請求項8に記載の金属材料の特性評価用試料の作製方法。
  10. 前記金属材料を熱処理するステップの前に、前記特性評価用試料の試料形状に前記金属材料を成形するステップをさらに備え、
    前記熱処理温度を決定するステップでは、前記選別した第2試料に対応した前記熱処理条件のうち、前記金属材料を成形するステップにおける前記金属材料の成形温度以下という制約下において熱処理温度が最も高い条件を選択し、該条件の熱処理温度を、前記金属材料又は前記複数の第1試料を熱処理する際の前記熱処理温度として決定する
    ことを特徴とする請求項8又は9に記載の金属材料の特性評価用試料の作製方法。
  11. 前記金属材料は、添加成分としてマグネシウムを含むアルミニウム合金を含む材料により構成されることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の金属材料の特性評価用試料の作製方法。
  12. 請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法により前記特性評価用試料を作製するステップと、
    得られた前記特性評価用試料を用いて前記金属材料の材料特性評価を行うステップと、を備えることを特徴とする金属材料の特性評価方法。
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