JP5959835B2 - 反応システム - Google Patents

反応システム Download PDF

Info

Publication number
JP5959835B2
JP5959835B2 JP2011265511A JP2011265511A JP5959835B2 JP 5959835 B2 JP5959835 B2 JP 5959835B2 JP 2011265511 A JP2011265511 A JP 2011265511A JP 2011265511 A JP2011265511 A JP 2011265511A JP 5959835 B2 JP5959835 B2 JP 5959835B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
flow
flow path
solution
unit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011265511A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013116448A (ja
Inventor
杉田 奈巳
奈巳 杉田
由花子 浅野
由花子 浅野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2011265511A priority Critical patent/JP5959835B2/ja
Publication of JP2013116448A publication Critical patent/JP2013116448A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5959835B2 publication Critical patent/JP5959835B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Nuclear Medicine (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Description

本発明は、少容量の液体の混合に使用する反応容器、当該容器を使用する反応システム及び当該システムを用いた反応方法に関する。
核医学診断(Diagnostic Nuclear Medicine)では、放射性薬剤(放射性物質を含む薬剤)を生体内に投与し、生体機能を反映した画像をPET(Positron Emission Tomography)ガンマカメラなどを通じて取得する。
放射性薬剤の製造には、pgオーダーの極微量の放射性物質を使用する。このため、製造時の反応を促進する手段として、放射性物質に対して桁違いに過剰な被標識化物(102〜1010程度)を用いる製造方法が採用されている(例えば非特許文献1及び2を参照)。
ところが、この製造方法は、特に被標識化物が生体分子の場合、反応生成物である標識化生体分子と、未反応の被標識化生体分子との性質が似ているために分離精製が難しい。このため、この製造方法により製造した放射性薬剤には、標識化生体分子だけでなく未反応の被標識化生体分子も含まれてしまう。このように標識化生体分子と標的が同じ被標識化生体分子が放射性薬剤に含まれていると、被標識化生体分子が標的部位と相互作用し、標識化生体分子と標的部位の相互作用を阻害する。結果的に、イメージング精度が低くなってしまう。このため、この種の放射性薬剤を用いる場合にイメージング精度を高めるには、生体への放射性薬剤の投与量を増やす必要がある。
微量物質を扱う反応場においては、その幅方向のサイズの低下に伴って混合効率が高まるマイクロリアクタが知られており、放射性薬剤の製造にも応用されている(例えば特許文献1及び2を参照)。因みに、マイクロリアクタの使用による収率の向上、反応時間の低下その他の原理的有効性は既に確認されている(例えば非特許文献3を参照)。
ただし、放射性薬剤の製造にマイクロリアクタを導入する場合には、マイクロ流路であることに固有の問題がある。すなわち、臨床適用量の薬剤を合成するためには流路を通過する時間が長くならざるを得ず、使用する放射性物質(半減期の長さ)によっては、製造終了時における薬剤の放射能が低くなってしまう。なお、溶液の高速処理を可能とするマイクロリアクタや送液システムに関する文献には、特許文献3〜7に開示されたものがある。ここで、特許文献3、5〜7には2種類の原料を並列の多層流れにするマイクロリアクタが開示され、特許文献4には送液システムが開示されている。
WO2006−071470号公報 WO2010−101118A1号公報 特開2008−289449号公報 WO2010−131297A1号公報 特開2009−000592号公報 特開2008−180606号公報 特開2008−043912号公報
Y. Murakami, H. Takamatsu, J. Taki, M. Tatsumi, A. Noda, R. Ichise, J. F. Tait, and S. Nishimura:18F-labelled Annexin V:a PET Tracer for Apoptosis Imaging:Eur. J. Nucl. Med. Mol. Imaging, 31, 469 (2004) P. Johnstrom, J. C. Clark, J. D. Pickard, A. P. Davenport:Automated synthesis of the generic peptide labeling agent N-Succinimidyl 4-[18F]fluorobenzoate and application to 18F-label the vasoactive transmitter urotensin-II as a Ligand for positron emission tomography:Nucl. Med. Biol., 35, 725 (2008) J. M. Gillies, C. Prenant, G. N. Chimon, G. J. Smethurst, W. Perrie, I. Hamblett, B. A. Dekker, J. Zweit:Microfluidic reactor for the radiosynthesis of PET radiotracers:Appl. Radiat. Isot., 64, 325 (2006)
前述したように、特許文献1や特許文献2に記載のマイクロリアクタを用いる反応装置では、マイクロ流路を用いるがゆえに、臨床適用量の薬剤を合成するために放射性物質が流路を通過する時間が長くならざるを得ない。このため、使用する放射性物質によっては、製造終了時における薬剤の放射能が減衰のために低くなってしまう。なぜなら、マイクロ流路の代表径を小さくするほど混合性能が良くなる一方で、代表径の4乗に反比例して圧力損失が高くなるため、送液流量の増加が困難になるためである。
ところで、特許文献3、5〜7に記載のマイクロリアクタでは、溶液を並列に多層的に流す構造(多層流れ構造)を採用し、送液流量を増やしている。ただし、多層流れ構造であるために流路容量が高くなる問題や安定した多層流れ構造を形成するために原料を導入する部分の裏側に液だまりを設ける必要がある。
しかし、pgオーダーの極微量の放射性物質の反応効率を高めるためには、放射性物質の濃度を維持することが望ましく、多くても数10μL〜数100μLといった低容量溶液とすることが望ましい。この条件に照らし合わせると、特許文献3等に記載の構造は多層流れ構造流路におけるデッドボリュームが大きいという問題がある。
また、特許文献5に記載のマイクロリアクタは溶液の混合に乱流を使用する。このため、安定した多層流れを作り出すことができず、再現性のある混合を実現することができない。また、特許文献7に記載のマイクロリアクタは、混合する溶液同士を隔離する液体を流す必要があり、反応流路におけるサンプル濃度が低下する問題がある。すなわち、反応効率が悪く、多くのサンプルを必要とする問題がある。
そこで、本発明は、多層流れ構造を構成する流路の総容量が従来に比して一段と少なくありながら、少容量の液体を送液・回収でき、しかも混合性能と送液能力がともに高い反応容器、当該容器を使用する反応システム及び当該システムを用いた反応方法の提供を目的とする。
前述した課題を解決する本発明は、複数の形態を含んでいる。
(1)1つの形態としての発明は、第1及び第2の液体を混合する反応容器である。当該反応容器として、(1) それぞれが一定幅を有し、かつ、幅方向に一定幅ずつ離れて形成される複数の流路であって、その一端側に第1の液体を流路内に導入する第1のノズルを有し、かつ、第1のノズルから導入された第1の液体を他端側まで誘導する第1の流路と、(2) それぞれが一定幅を有し、かつ、第1の流路間に形成される一定幅を有する1つ又は複数の流路であって、第1の流路の流出端側において第2の液体を流路内に導入する第2のノズルを有する第2の流路と、(3) 第1の流路から帯状に流出される第1の液体の流れと第2の流路から帯状に流出される第2の液体の流れが交互に並ぶ多層流の幅を流れに沿って収縮する漏斗状部と、(4) 漏斗状部において収縮された多層流にて第1及び第2の液体を混合する処理部とを有するものを提案する。
ここで、処理部に流入する各層流の幅は40μm以下であることが好ましい。なお、層流の幅は多層流を形成する層流の本数や処理部の流路幅との関係により定まり、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下、5μm以下でもよい。
また、処理部の流路幅は100μm〜1000μmであることが好ましい。なお、処理部の流路幅は、反応容器による処理量によっても異なり、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μmでもよい。
また、第1の液体を第1の流路に導入する前に一時的に保持する第1の溶液溜部の容量と、第2の液体を第2の流路に導入する前に一時的に保持する第2の溶液溜部の容量と、第1の流路内で第1の液体が流れる区間の容量と、第2の流路内で第2の液体が流れる区間の容量と、漏斗状部の容量と、処理部の容量との総和が135μL以下であることが望ましい。なお、当該総容量は、130μL以下、125μL以下、120μL以下、115μL以下、110μL以下、110μL以下、105μL以下、100μL以下、95μL以下、90μL以下、85μL以下、80μL以下、75μL以下、70μL以下、65μL以下、60μL以下、55μL以下、50μL以下、45μL以下、40μL以下、35μL以下、30μL以下、25μL以下でもよい。
また、第1の溶液溜部の容量と第2の溶液溜部の容量はいずれも20μL以下であることが望ましい。なお、各容量は15μL以下、10μL以下、5μL以下でもよい。
また、第1の流路と第2の流路は並列に形成されることが望ましい。さらに好ましくは、第1の流路と第2の流路は壁を隔てて平行に形成されることが望ましい。
また、処理部内に形成される流れは層流であることが好ましい。因みに、処理部内を通過する液体の流速をv、流路の代表長さをd、液体の動粘性係数をνとするとき、レイノズル数Re(=vd/ν)が2000以下となるように流速vと代表長さdを選定することが望ましい。
(2)また、他の1つの形態としての発明は、反応容器内で第1及び第2の液体を混合する反応システムである。反応システムとして、(1) 前述した構成の反応容器を含む反応ユニットと、(2) 反応容器に第1の液体と第2の液体をそれぞれ供給する送液ユニットと、(3) 反応容器で生成された液体を回収する回収ユニットと、(4) 反応容器の温度を制御する温度制御ユニットと、(5) 送液ユニット、反応ユニット、回収ユニット、温度制御ユニットを制御する制御装置とを有するものを提案する。
ここで、第1及び第2の液体のいずれか一方が放射性物質を含み、送液ユニットと回収ユニットのそれぞれについて放射能を測定する放射能測定ユニットを更に有することが望ましい。すなわち、放射性物質の導入と放射性物質を含む生成物溶液の回収を監視することが望ましい。
また、送液ユニットは、第1及び第2の液体の導入用に用意されるループ状流路と、第1及び第2の液体とは異なる第3の液体の導入用に用意される送液用流路と、第1の液体と第3の液体の反応容器への導入と第2の液体と第3の液体の反応容器への導入を切り替える送液切替バルブとを有し、前述した送液切替バルブの切り替えを制御することが望ましい。
(3)また、他の1つの形態としての発明は、反応システムにおける反応方法である。この反応方法として、(1) それぞれが一定幅を有し、かつ、幅方向に一定幅ずつ離れて形成される複数の流路で構成される第1の流路の一端側から第1の液体を導入し、その他端側まで第1の液体を誘導する処理と、(2) それぞれが一定幅を有し、かつ、第1の流路間に形成される一定幅を有する1つ又は複数の流路で構成される第2の流路に対し、第1の流路の流出端側から第2の液体を導入する処理と、(3) 第1の流路から帯状に流出される第1の液体の流れと第2の流路から帯状に流出される第2の液体の流れが交互に並ぶ多層流の幅を流れに沿って収縮する処理と、(4) 収縮された多層流にて第1及び第2の液体を混合する処理とを有するものを提案する。
本発明によれば、流路容量の低下と安定な多層流の形成を両立することができる。このため、2種類の液体を短時間で混合することができる。また、貴重な液体の使用量も低減することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
放射化学反応用マイクロリアクタシステムの実施例を示す図。 放射化学反応用マイクロリアクタシステムに用いる放射化学反応用マイクロリアクタの展開斜視図(実施例1)。 マイクロリアクタ本体の構造を説明する正面図及び裏面図(実施例1)。 マイクロリアクタ本体に形成された流路構造を説明する部分拡大図(実施例1)。 マイクロリアクタ本体に形成された流路構造の各部のサイズと容量の関係を説明する図表(実施例1及び比較例)。 放射化学反応用マイクロリアクタシステムで使用する送液流路の模式図(実施例2)。 マイクロリアクタ本体の送液性能を示すグラフ(実施例3)。 マイクロリアクタ本体の1実施例の混合性能を示すグラフ(実施例3)。 放射化学反応用マイクロリアクタシステムに200μLずつの原料溶液を送液した場合の生成物溶液の回収結果を示すグラフ(実施例4)。 放射化学反応用マイクロリアクタシステムにおいて放射化学反応を実施した結果を示す表(実施例5)。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の実施の態様は、後述する形態例に限定されるものではなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。なお、実施の形態を説明する全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
以下では、複数のセクション又は複数の実施の形態に分割して本発明を説明するが、特に明示した場合を除き、各形態は互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須ではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
[システム構成]
[全体構成]
本発明に係る反応容器を放射化学反応用マイクロリアクタに応用する場合について説明する。図1に、放射化学反応用マイクロリアクタを用いた放射化学反応用マイクロリアクタシステムの実施例であり、当該システムにより放射性薬剤が製造される。もっとも、本発明の用途は、放射性薬剤の製造に限らない。
図1に示す放射化学反応用マイクロリアクタシステム1は、送液ユニット101、リアクタユニット201、回収ユニット301、温度調節ユニット401、放射能測定ユニット501、制御装置601から構成されている。
送液ユニット101は、第1原料溶液123及び第2原料溶液124と、原料溶液を輸送する第1溶媒121及び第2溶媒122の送液に用いられるユニットである。第1原料溶液123及び第2原料溶液124の少なくとも一方には、放射性物質が含まれている。
リアクタユニット201は、放射化学反応用マイクロリアクタ10を搭載するユニットであり、第1原料溶液123及び第2原料溶液124を反応させて放射性薬剤を生成するために用いられる。ここでの放射化学反応用マイクロリアクタ10が、本発明における反応容器に相当する。
回収ユニット301は、放射化学反応用マイクロリアクタ10で生成された溶液(生成物溶液)の回収に用いられるユニットである。温度調節ユニット401は、放射化学反応用マイクロリアクタ10の温度を管理するユニットである。放射能測定ユニット501は、送液ユニット101及び回収ユニット301の放射能を測定するユニットである。制御装置601は、送液ユニット101、リアクタユニット201、回収ユニット301、温度調節ユニット401、放射能測定ユニット501を制御するユニットである。制御装置601は例えばコンピュータで構成される。
[各ユニットの詳細構造]
送液ユニット101は、(1) その内部に溶液の吸引・送液・廃液操作を切り替えるための送液切り替えバルブ102、(2) 溶媒吸引ライン103、(3) 溶媒廃液ライン104、(4) 原料導入ライン105、(5) 原料用サンプルループ106、(6) 放射能センサ107、(7) シリンジ108、(8) シリンジポンプ109、(10)第1溶液導入部110、(11)第2溶液導入部111を有している。この他、送液ユニット101には、不図示のデバイス、例えば(1) 系内の圧力を監視する圧力センサ、(2) シリンジを固定するためのホルダ、(3) 電源スイッチ、(4) 異常動作を起こした場合の非常停止スイッチ、(5) 通信用コネクタ、(6) 各ラインやサンプルループを切り替えバルブ102に接続するフィッティング等を含んでいる。
マイクロリアクタユニット201は、(1) 放射化学反応用マイクロリアクタ10、(2) 反応溶液の滞留部202を含んでいる。なお、放射化学反応用マイクロリアクタ10と第1溶液導入部110の間、放射化学反応用マイクロリアクタ10と第2溶液導入部111の間、放射化学反応用マイクロリアクタ10と滞留部202の間は、不図示のフィッティングにより接続されている。
回収ユニット301は、(1) 生成物と廃液の回収切り替えバルブ302、(2) 生成物回収ライン303、(3) 廃液回収ライン304、(4) 放射能センサ305を含んでいる。なお、回収切り替えバルブ302と滞留部202の間、回収切り替えバルブ302と生成物溶液回収ライン303の間、回収切り替えバルブ302と廃液回収ライン304の間は、不図示のフィッティングにより接続されている。
温度調節ユニット401は、リアクタユニット201との間において、温度制御信号131Aとフィードバック信号131Bを送受する。これら信号の送受により、放射化学反応用マイクロリアクタ10の温度の制御が可能となる。放射化学反応用マイクロリアクタ10の温度を調節する方法には、例えば循環恒温槽を用いて熱媒体を循環させる方法、ぺルチェ素子を用いる方法などがある。また、温度の制御対象には、例えば放射化学反応用マイクロリアクタ10の周辺を循環する熱媒体、放射化学反応用マイクロリアクタ10の外側や内部などが挙げられる。例えば放射化学反応用マイクロリアクタ10の内部を流れる溶液又は流れている溶液に近い場所を温度の制御対象とすることにより、より精密な温度制御が可能となる。
放射能測定ユニット501は、送液ユニット101との間において、放射能測定信号132Aとフィードバック信号132Bを送受する。原料溶液導入時に放射能が検出されない場合、放射能測定ユニット501は、送液ユニット101に対してフィードバック132Bを送出し、送液ユニット101による送液を中断させる。送液ユニット101内における放射能センサ107の設置位置は、原料用サンプルループ106に近く、かつ、リアクタユニット201及び回収ユニット301から可能な限り離れた位置とする。この位置への設定により、より精密な放射能測定が可能となる。
また、放射能測定ユニット501は、回収ユニット301との間でも、放射能測定信号133Aとフィードバック信号133Bを送受する。放射能測定ユニット501は、放射能センサ305から放射能測定信号133Aとして与えられる放射能の検出値により、滞留部202から導入される溶液が生成物溶液か否かを判定し、その判定結果に基づいて、回収切り替えバルブ302の流路を切り替えるフィードバック信号133Bを出力する。この切り替えにより送液溶媒からなる廃液307と生成物溶液306との分離が実現可能となる。なお、放射能センサ305の設置位置は、回収切り替えバルブ302に近く、かつ、送液ユニット101及びリアクタユニット201から可能な限り離れた位置とする。この位置への設定により、より精密な放射能測定が可能となる。
制御装置601は、前述した5つのユニットの動作を監視・制御する。例えば制御装置601は、送液ユニット101との間で、制御信号141B及びフィードバック信号141Aを送受し、送液ユニット101内の動作の監視と制御を実行する。なお、制御装置601と他の4つのユニットとの間の通信は、送液ユニット101が中継する。このため、送液ユニット101とリアクタユニット201との間においてはデータ通信信号142が送受され、送液ユニット101と回収ユニット301の間においてはデータ通信信号143が送受され、送液ユニット101と温度調節ユニット401との間においてはデータ通信信号144が送受され、送液ユニット101と放射能測定ユニット501との間においてはデータ通信信号145が送受される。制御装置601は、これらのデータ通信信号を通じ、リアクタユニット201、回収ユニット301、温度調節ユニット401及び放射能測定ユニット501を監視・制御する。
具体的には、制御装置601は、送液ユニット101内の切り替えバルブ102の切り替え制御、シリンジポンプ109の駆動制御によるシリンジ108内への溶液の吸引と送液の制御、シリンジ108内に充填された溶液の不図示の廃液タンク等への廃棄制御を実行する。また、制御装置601は、送液制御や吸引制御の途中停止やその再開も制御する。
制御装置601を用いれば、各シリンジ108のサイズ、溶媒吸引ライン103からの溶媒の吸引量と吸引速度、リアクタユニット201への溶媒の送液量と送液速度、溶媒廃液ライン104への溶媒の送液量と送液速度、及び、放射化学反応用マイクロリアクタ10の温度設定、つまり反応温度の設定等を行うことができる。また、送液の「時間遅れ」を設定し、シリンジ108毎に、その送液時間を変更することもできる。
更に、吸引・送液過程に伴うシリンジ108の動作やバルブの動作に関連する、2つ以上の連続させたい動作を指示する入力ファイルを事前に作成して制御装置601に読み込んでおけば、一連の動作の自動制御を実行させることもできる。自動制御機能の搭載により、放射能の被曝を回避及び遠隔自動操作が可能となる。また、前述した入力ファイルを制御装置601内の記憶領域に保存し、必要に応じて読み込んで動作させるようにすれば、当該入力ファイルの適宜書き換えも可能である。
また、制御装置601は、送液ユニット101に設置された不図示の圧力センサから得られる系内の圧力データ、温度調節ユニット401から得られる温度情報、放射能測定ユニット501から得られる放射能の検出値や時間データ等を、その内部の記憶領域に記録することができる。また、制御装置601は、圧力センサや切り替えバルブなどの耐圧情報に基づいて系内の圧力に対する閾値を予め決定しておけば、系内の圧力が当該閾値を超えた場合に、システム全体を非常停止することもできる。
ここで、前述した溶媒吸引ライン103、溶媒廃液ライン104、原料導入ライン105、原料用サンプルループ106、第1溶液導入部110、第2溶液導入部111、滞留部202、生成物回収ライン303、廃液回収ライン304、放射化学反応用マイクロリアクタ10などの材質は、実行する反応に悪影響を与えないもの、送液溶液中の物質が吸着しないものであればよく、また、その内部を流れる溶液の温度や濃度、物性に応じ、適宜、変更することも可能である。かかる材料としては、例えばステンレス、シリコン、ガラス、ハステロイ、シリコン樹脂、フッ素系樹脂などを挙げることができる。また、かかる材料には、グラスライニング、ステンレス、シリコンなどの表面にニッケルや金などのコーティングをしたもの、シリコンの表面を酸化させたものなど、所謂、耐食性を向上させたもの、吸着性を低減させたものも用いることができる。
[溶液の送液・回収方法]
続いて、放射化学反応用マイクロリアクタシステム1における溶液の送液・回収方法を説明する。
放射化学反応用マイクロリアクタシステム1は、数10μL〜数100μLの原料溶液123及び124を反応させる。このため、原料溶液123及び124の前後を溶媒121及び122で挟んだ状態で送液する方式を採用する。この手法により、低容量の反応溶液を高い流量で送液することが可能となる。具体的には、以下の手法が実行される。
まず、送液切り替えバルブ102の設定を、溶媒吸引ライン103から吸引された第1溶媒121及び122がシリンジ108に送液されるように切り替える。この後、シリンジポンプ109を図中下方に引き、第1溶媒121と第2溶媒122を、それぞれに対応する溶媒吸引ライン103及び送液切り替えバルブ102を経てシリンジ108内に導入する。
次に、送液切り替えバルブ102の設定を、第1溶媒121と第2溶媒122が、シリンジ108から第1溶液導入部110及び第2溶液導入部111の方向に送液されるように切り替える。この切替後、シリンジポンプ109を図中上方に押し、シリンジ108内の第1溶媒121を送液切り替えバルブ102及び第1溶液導入部110を経由して放射化学反応用マイクロリアクタ10に導入する。同様に、シリンジ108内の第2溶媒122を送液切り替えバルブ102及び第2溶液導入部111を経由して放射化学反応用マイクロリアクタ10に導入する。
これまでの送液により、ライン内には送液用の溶液が充填される。この後、送液切り替えバルブ102の設定を、原料導入ライン105から導入される第1原料溶液123及び第2原料溶液124が原料用サンプルループ106に送液されるように切り替える。切り替えが終了すると、非図示のシリンジポンプが押し込まれ、シリンジ内の第1原料溶液123及び第2原料溶液124がそれぞれ対応する原料導入ライン105及び送液切り替えバルブ102を経由して原料用サンプルループ106に導入される。この際、放射性物質を含む第1原料溶液123及び第2原料溶液124の原料用サンプルループ106内への導入は、放射能センサ107にてモニタされる。
次に、送液切り替えバルブ102の設定を、シリンジ108から導入される送液用の溶媒が原料用サンプルループ106を経由して第1溶液導入部110及び第2溶液導入部111に送液されるように切り替える。この切替後、シリンジポンプ109を図中上方に押し、送液用の溶媒を送液切り替えバルブ102へ導入する。これにより、原料用サンプルループ106内の第1原料溶液123は、シリンジポンプ109を用いて導入される第1溶媒121によって後方から押され、送液切り替えバルブ102及び第1溶液導入部110を経由して放射化学反応用マイクロリアクタ10に導入される。同様に、原料用サンプルループ106内の第2原料溶液124は、シリンジポンプ109を用いて導入される第2溶媒122によって後方から押され、送液切り替えバルブ102及び第2溶液導入部111を経由して放射化学反応用マイクロリアクタ10に導入される。
以上により、第1原料溶液123と第2原料溶液124の前後を第1溶媒121と第2溶媒122で挟んだ送液が実現される。ここで、第1原料溶液123とその前後の第1溶媒121との間及び、第2原料溶液124とその前後の第2溶媒122との間に気体を挟んで送液しても構わない。なお、第1原料溶液123と第2原料溶液124は放射化学反応用マイクロリアクタ10において混合され、その生成物溶液が滞留部202を経て回収ユニット301内の回収切り替えバルブ302に導入される。因みに、生成物溶液は、その前後が、第1溶媒121と第2溶媒122の混合溶液で挟まれた状態で送液される。なお、第1溶媒121と第2溶媒122の混合溶液は、回収切り替えバルブ302及び廃液回収ライン304を経て廃液307として回収される。
一方、第1原料溶液123と第2原料溶液124の混合により生成される生成物溶液306は、回収切り替えバルブ302及び生成物回収ライン303を経て回収される。ここでの回収切り替えバルブ302の切り替えは、送液した溶液の量で切り替えることもできるし、回収ユニット301内に設置した放射能センサ305による放射能の検出により切り替えることもできる。
図1の場合、送液ユニット101の内部には、シリンジ108が2本搭載されているが、2本のシリンジ108を1組とした追加送液ユニットにより、シリンジの数を増やすこともできる。図1に示すように、2本のシリンジ108だけを搭載する放射化学反応用マイクロリアクタシステム1の場合には、シリンジ108内の溶媒を一旦送り切って(使い切って)しまうと、その後、溶媒吸引ライン103を通じてシリンジ108内に溶媒を再充填する作業が必要となり、その作業にある程度の時間が必要となる。しかし、追加ユニットの設置が可能であれば、第1溶媒121と第2溶媒122の再充填(吸引)を待つことなく、第1溶媒121と第2溶媒122を連続的に送液でき、放射化学反応用マイクロリアクタ10内で複数の反応を連続的に実行することができる。
[実施例1]
[放射化学反応用マイクロリアクタ10の構造]
続いて、放射化学反応用マイクロリアクタ10の構造を詳細に説明する。図2に、放射化学反応用マイクロリアクタ10の展開斜視図を示す。
図2に示すように、放射化学反応用マイクロリアクタ10は、数mm厚のPEEK板材から形成したマイクロリアクタ本体20と、このマイクロリアクタ本体20の上面側に配置するPEEK板材から形成した蓋部材30と、この蓋部材30の上面側に配置するSUS316ステンレス鋼板材から形成した蓋部材40と、マイクロリアクタ本体20の下面側に配置するPEEK板材から形成したアダプタ部材50と、アダプタ部材50の下面側に配置するSUS316ステンレス鋼板材から形成したアダプタ部材60とを有している。
放射化学反応用マイクロリアクタ10は、これらアダプタ部材60、アダプタ部材50、マイクロリアクタ本体20、蓋部材30、蓋部材40を積層し、それらの周縁部を不図示のネジで締結することにより構成される。ここで、蓋部材30は、マイクロリアクタ本体20に表面側(図中上面)に形成される上方に開いた流路の天井部分を構成する。アダプタ部材50のうちマイクロリアクタ本体20との対向面(図中上面)には、マイクロリアクタ本体20に放射性物質を含む溶液や放射性物質に標識化される物質を含む溶液を導入するための入口ポート部51及び出口ポート部52が形成されており、それぞれ、アダプタ部材50の下側面へ連通している。
アダプタ部材60のうちアダプタ部材50との対向面(図中上面)には、マイクロリアクタ本体20に放射性物質を含む溶液や放射性物質に標識化される物質を含む溶液を導入するための入口部63及び出口部64が形成されている。入口部63は、アダプタ部材60の裏面(図中下面)に形成された溶液導入口61a、61bに連通している。出口部64は、アダプタ部材60の裏面(図中下面)に形成された溶液排出口62に連通している。
なお、マイクロリアクタ本体20に形成された流路等の外周部と、アダプタ部材50に形成された入口ポート部51及び出口ポート部52の外周部には、フッ素ゴム製のOリング等からなる不図示のシール部材が設置されている。
本実施例の場合、蓋部材30と蓋部材40、アダプタ部材50とアダプタ部材60を、それぞれ別材質で2つずつ設置しているが、これは、マイクロリアクタ本体20に形成した流路を安定に維持するためであり、SUS316ステンレス鋼板材と、マイクロリアクタ本体20を形成するPEEK板材の硬度の違いを考慮したからである。
このため、SUS316ステンレス鋼板材の蓋部材40とマイクロリアクタ本体20の間にマイクロリアクタ本体20と同じPEEK材質の蓋部材30を設置し、アダプタ部材60とマイクロリアクタ本体20の間に、マイクロリアクタ本体20と同じPEEK材質のアダプタ部材50を設置している。
マイクロリアクタ本体20がSUS316ステンレス鋼板材と硬度が近い材質から形成されている場合には、蓋部材30、40とアダプタ部材50、60は、SUS316ステンレス鋼板材から形成される1部材ずつで構成してもよい。
本実施例では、マイクロリアクタ本体20をPEEK板材で形成しているが、マイクロリアクタ本体20で行われる反応に悪影響を与えないもの、マイクロリアクタ本体20に導入する溶液中の物質が吸着しないものであればよく、反応の種類に応じて、適宜、変更することもできる。かかる材質としては、例えばステンレス、シリコン、金、ガラス、ハステロイ、シリコン樹脂、フッ素系樹脂などを用いることができる。また、グラスライニング、金属の表面にニッケルや金などのコーティングをしたもの、シリコンの表面を酸化させたものなど、いわゆる、耐食性を向上させたもの、吸着性を向上させたものを用いてもよい。
上述したシール部材(ただし図示せず)の材質も、反応に悪影響を与えないものであればよく、実行する反応の種類に応じ、適宜、変更することもできる。例えばシリコン樹脂、フッ素系樹脂などを用いることができる。
本実施例では、シール部材にフッ素ゴムを用いて分解可能な組立式チップとしている。分解可能なマイクロリアクタでは、その内部に閉塞等が生じた場合に分解して洗浄できるため、メンテナンス性が高い。図2においては、アダプタ部材60、アダプタ部材50、マイクロリアクタ本体20、蓋部材30、蓋部材40の外周部に、10個の穴又はねじ孔を形成し、ねじ締結を容易にしている。なお、レーザー接合や接着剤など他の方法を用い、マイクロリアクタ本体20の表裏に蓋部材30やアダプタ部材50を直接固定して分解不可能なマイクロリアクタとしてもよい。分解不可能なマイクロリアクタでは、Oリングの破損等によるシールの不具合による、放射性物質等の漏れを回避できる。また、臨床に適用する放射性薬剤を製造する反応に用いる場合には、ディスポーザブルとすることにより、薬剤の品質を確保できる。
図3に、放射化学反応用マイクロリアクタ10を構成するマイクロリアクタ本体20の正面図及び裏面図を示す。図4に、マイクロリアクタ本体20に形成された送液構造の部分拡大図を示す。
図3に示すように、マイクロリアクタ本体20の周縁部には縦方向に4個、横方向に3個の締結用から穴29が形成されている。この穴29よりも中心側には、角部が丸く形成された長方形の溝28が設けられている。溝28には不図示のシール部材が装着される。
図3の(a)に示すマイクロリアクタ本体20の表面側には、溝28よりも中心側に第1の液体と第2の液体を混合するための流路が形成されている。図4に、当該流路の部分拡大図を示す。
本実施例における流路は、上流側から順番に、第1溶液供給部21と、第1溶液誘導流路部22と、第2溶液供給部23と、漏斗状部24と、処理部25と、溶液排出部26とで構成されている。
第1溶液誘導流路部22は、それぞれが一定幅を有し、かつ、幅方向に一定幅ずつ離れて形成された13本の流路(第1の流路)の集合体として構成される。第1溶液誘導流路部22を構成する各流路は、それぞれが平行に形成された2つの壁で挟まれた空間として構成される。13本の流路の両端は開口端として形成されている。13本の流路の最上流部には、第1原料溶液123をマイクロリアクタ本体20の裏面側から導入する第1溶液供給部21が形成されている。第1溶液供給部21から導入された第1原料溶液123は、図中の下端側に位置する流出口まで帯状の流れとして誘導される。第1溶液誘導流路部22の流出口は、漏斗状部24の入口側開口に接続されている。
ここで、第1溶液供給部21は、マイクロリアクタ本体20の表面と裏面を連結する13個の開口(第1溶液供給ノズル21A)により形成されている。図4に示すように、第1溶液供給ノズル21Aは、マイクロリアクタ本体20の幅方向に、ノズルの表面直径とほぼ同じ長さ間隔で1列に形成される。この第1溶液供給ノズル21Aを通じ、第1原料溶液123が第1溶液誘導流路部22に導入される。
なお、マイクロリアクタ本体20の裏面には、図3の(b)に示すように、供給液である第1原料溶液123を一時的に溜める第1溶液溜部27aが形成されており、第1溶液溜部27aの領域内に第1溶液供給ノズル21Aの裏面側の開口が位置している。因みに、第1溶液溜部27aは、マイクロリアクタ本体20の裏面に対して厚み方向に窪んだ凹部として形成される。この第1溶液溜部27aは、アダプタ部材50の入口ポート部51と連結されている。
第2溶液供給部23は、第1溶液誘導流路部22を構成する13本の流路で挟まれた空間内に配置され、第2原料溶液124の漏斗状部24への導入に用いられる。図4に示すように、第1溶液誘導流路部22を平行な13本の流路として形成する場合、各流路の間には、第1溶液誘導流路部22と同じ幅を有し、かつ、幅方向に一定幅ずつ離れた12本の流路(第2の流路)が形成される。本明細書では、これら12本の流路の最下流位置に第2溶液供給部23を配置する。
第2溶液供給部23が配置される第2の流路の流出口は、漏斗状部24の入口側開口に接続されている。ここで、第2溶液供給部23は、マイクロリアクタ本体20の表面と裏面を連結する12個の開口(第2溶液供給ノズル23A)により形成されている。図4に示すように、第2溶液供給ノズル23Aは、マイクロリアクタ本体20の幅方向に、ノズルの表面直径とほぼ同じ長さ間隔で1列に形成される。この第2溶液供給ノズル23Aを通じ、第2原料溶液124が第2溶液誘導流路部22に導入される。
なお、マイクロリアクタ本体20の裏面には、図3の(b)に示すように、供給液である第2原料溶液124を一時的に溜める第2溶液溜部27bが形成されており、第2溶液溜部27bの領域内に第2溶液供給ノズル23Aの裏面側の開口が位置している。因みに、第2溶液溜部27bは、マイクロリアクタ本体20の裏面に対して厚み方向に窪んだ凹部として形成される。この第2溶液溜部27bは、アダプタ部材50の入口ポート部51と連結されている。
以上のように、第1溶液供給部21(すなわち、第1溶液供給ノズル21A)は、第2溶液供給部23(すなわち、第2溶液供給ノズル23A)よりも上流側に位置している。すなわち、第1溶液供給部21から漏斗状部24の入口までの流路長は、第2溶液供給部23から漏斗状部24の入口までの流路長よりも十分長く形成されている。このように、第1原料溶液123は、第1溶液誘導流路部22(第1の流路)の最上流部から流出口まで比較的長い距離を帯状に流れる結果、微細な第1原料溶液123の安定した流れを確立(形成)することができる。その結果、第2原料溶液124は、第1原料溶液123で形成される帯状の流れに挟まれるように、漏斗状部24に導入できる。
因みに、漏斗状部24は、流入側の流路幅が最も広く、流出側ほどその流路幅が狭くなるように漏斗形状に製造されている。漏斗状部24の流出口は、その流路幅と同じ流路幅を有する所定長の処理部25に接続される。このため、図4の場合には、漏斗状部24に導入された25本の帯状の流れ(13本の第1原料溶液123の流れと12本の第2原料溶液124の流れ)で形成される多層流を幅方向に収縮した状態で処理部25に導入することができる。すなわち、処理部25の流路幅がある程度太くても、その内部に形成される層流の幅を狭くすることが可能となる。このように、第1原料溶液123と第2原料溶液124を多数の層流として処理部25に導入することにより、送液量を確保しながらも安定した混合が可能となる。
なお、処理部25における反応により生成された生成物溶液は溶液排出部26へと導かれる。溶液排出部26は、図3の(a)及び(b)に示すように、マイクロリアクタ本体20の表面から裏面まで連結する孔として形成されている。従って、生成物溶液は、マイクロリアクタ本体20の表面から裏面へと導出される。なお、図2に示すように、このマイクロリアクタ本体20の裏面側の溶液排出部26は、アダプタ部材50の出口ポート部52と連結されている。また、出口ポート部52は、アダプタ部材60の出口部64に連結されている。これにより、マイクロリアクタ本体20の流路において生成された生成物溶液は、アダプタ部材60の裏面(図中下面)側に形成された溶液排出口62から排出される。
[放射化学反応用マイクロリアクタ10における溶液の流れ]
続いて、図1〜図4を用い、本実施例に係るマイクロリアクタ本体20の流路上で実現される液体の流れを説明する。
図1に示した第1溶液導入部110から送液された第1原料溶液123は、アダプタ部材60の下側面に形成された第1溶液導入口61aから放射化学反応用マイクロリアクタ10内に導かれる。溶液導入口61aは、不図示のソケットを取り付けるために大径に形成されており、アダプタ部材60、アダプタ部材50の***、アダプタ部材50の上側面に設置された入口ポート部51を経て、第1原料溶液123を第1溶液溜部27aに導く。
第1溶液溜部27aは、第1原料溶液123を、全ての第1溶液供給ノズル21Aに対して等しい圧力で供給できる量を溜める最低限度の容量を備えている。
第1溶液溜部27aを満たした第1原料溶液123は、全ての第1溶液供給ノズル21Aに等しい圧力にて供給される。その結果、全ての第1溶液供給ノズル21Aからほぼ均一に第1原料溶液123が吐出され、各第1溶液供給ノズル21Aから第1溶液誘導流路部22に導かれる。
第1溶液誘導流路部22は、第1溶液供給ノズル21Aの表面直径とほぼ同じ大きさの流路幅であり、流路深さもほぼ同じ大きさである。この流路幅の十数倍程度の流路長さを経た後に、第1原料溶液123は、流路幅が漏斗状に形成された漏斗状部24へ流出する。
漏斗状部24は、マイクロリアクタ本体20表面をわずかに掘り下げられた溝である。第1溶液誘導流路部22間に形成される空間部の終端部(最下部)には、多数の第2溶液供給ノズル23Aを有する第2溶液供給部23が形成されている。第2溶液供給ノズル23Aは、第1溶液供給ノズル21Aとノズル1個分ずつその位置がマイクロリアクタ本体20の幅方向にずれている。
第2溶液供給ノズル23Aは、第1溶液供給部21と同様の構成であり、マイクロリアクタ本体20の裏面側に、図3の(b)に示す第2溶液溜部27bを有している。第1原料溶液123と同様、第2原料溶液124も、第2溶液導入口61bからアダプタ部材60、アダプタ部材50の***、アダプタ部材50の上側面に設置された入口ポート部51、マイクロリアクタ本体20の裏面に形成された第2溶液溜部27bを経て、マイクロリアクタ本体20の表側に供給される。第2原料溶液124は、第2溶液供給ノズル23Aから吐出され、漏斗状部24へ導かれる。
第1溶液供給部21から導入された第1原料溶液123が誘導される第1溶液誘導流路部22においては、第1溶液供給ノズル21Aの位置からマイクロリアクタ本体20の長手方向(溶液の流れ方向)に沿って、第1原料溶液123の多数の帯状の流れとして互いに独立するように、第1溶液誘導流路部22を構成する第1の流路の間には、各流路と同じ幅の空間が形成されている。この空間を、本明細書では、第2の流路と呼んでいる。このように、第1溶液供給ノズル21Aと第2溶液供給ノズル23Aは、幅方向に交互にずれて配置されるため、多数の第1溶液供給ノズル21Aから吐出された第1原料溶液123と多数の第2溶液供給ノズル23Aから吐出された第2原料溶液124は、漏斗状部24において、幅方向に交互に帯状に流れる多層流れを形成する。
このように、第1溶液供給部21、第1溶液誘導流路部22、第2溶液供給部23、漏斗状部24は、2種類の溶液をそれぞれ複数の帯状の流れに分割した後、それらを交互に配した多層流れを形成する。漏斗状部24で形成された多層流れは、マイクロリアクタ本体20の長手方向(溶液の流れ方向)に流れるのに伴い、細分された各流れの幅方向断面積が収縮され、加速した流れとなって処理部25へと流入する。すなわち、漏斗状部24から処理部25に移動する際に、溶液の流れの幅は、多層流れの接触界面に垂直な方向に徐々に収縮され、多層流れを構成する個々の溶液層の幅方向長さが狭くなる。
処理部25は、マイクロリアクタ本体20の長手方向に延びる流路であり、その終端が溶液排出部26に達している。処理部25の長さは、第1原料溶液123と第2原料溶液124の混合に必要な時間が確保できれば良い。従って、処理部25の流路幅と長さは、2種類の溶液が完全に混合できる拡散時間に応じて決めれば良く、その形状も、図3に示すように直線状である必要はない。例えば蛇行状でもよく、渦巻き状でも良い。目的に応じて流路長を変えられるように、アダプタ部材50の出口ポート部52、アダプター部材60の出口部64には複数個の穴が形成されている。
混合が完了した第1原料溶液123と第2原料溶液124は、マイクロリアクタ本体20の下部中央に形成された液体排出部26から、アダプタ部材50の出口ポート部52、アダプタ部材60の溶液排出口62を経て、放射化学反応用マイクロリアクタ10外に接続された回収ユニット301にて回収される。
[混合性能]
続いて、実施例に係る流路構造を有する放射化学反応用マイクロリアクタ10を用いることにより、多層流れによる混合性能の高さと、流量の高さが両立可能であることを説明する。
異なる溶液同士の混合とは、各溶液を構成する分子を相互に拡散させた状態にすることである。分子拡散により溶液を混合させる際に、混合完了までに要する時間は、接触界面に垂直な方向の溶液の幅、すなわち、分子の拡散距離から導かれる。具体的には、混合時間は接触界面に垂直な方向の溶液の幅の2乗に比例する。
そこで、本実施例では、拡散距離に関係する接触界面に垂直な方向の溶液の幅にあたる第1溶液供給ノズル21A、第2溶液供給ノズル23A、第1溶液誘導流路部22及び処理部25の幅を短縮している。
その一方で、接触界面に垂直な方向の溶液の幅を短縮すると、圧力損失が接触界面に垂直な方向の溶液の幅の4乗に反比例して高くなり、溶液を送液する量が減ってしまう。そこで、本実施例においては、溶液の流れを並列に多数に形成することにより、混合速度の高速化と送液量の増加とを両立させている。
前述の通り、本実施例の場合には、漏斗状部24において多層流れが形成されるため、2種類の液体の流量に対する接触面積の割合が増加し、接触面で発生する分子拡散が活発になる。これにより、所定時間内の分子拡散量が増加し、マイクロリアクタにおける混合処理を、混合速度と溶液処理量の両面から効率化することができる。
さらに、漏斗状部24は下流ほど流路幅が収縮する形状であるため、形成された多層流れを構成する各帯状の流れの幅が下流に行くに従い狭められ、分子拡散距離が短縮される。これにより、さらに一段の高速混合が可能となる。なお、分子拡散を用いた混合においては不規則性が無いため、界面の接触状態を混合に必要な時間だけ保持すれば確実に2液を混合することができる。
[流路容量の低減]
続いて、微量な放射化学反応を実施するために必要な流路容量の低減について説明する。ここでは、図5に示す図表を用いて説明する。図5に示す図表は、本実施例の流路各部のサイズ及び容量を示す。図5においては、実施例との比較のために標準容量のマイクロリアクタについて流路各部のサイズと容量も表している。
本実施例では、pgオーダーの微量な放射性物質を取り扱う。このため、溶液濃度を保つために、数10μL〜数100μLと低容量の溶液をマイクロリアクタ本体20に導入する。
従って、流路部分の容量は、第1溶液溜部27a及び第2溶液溜部27b、第1溶液誘導流路部22、漏斗状部24、処理部25を含んだ合計で135μL以下であることが好ましい。例えば130μL以下、125μL以下、120μL以下、115μL以下、110μL以下、110μL以下、105μL以下、100μL以下、95μL以下、90μL以下、85μL以下、80μL以下、75μL以下、70μL以下、65μL以下、60μL以下、55μL以下、50μL以下、45μL以下、40μL以下、35μL以下、30μL以下、25μL以下であることが好ましい。
特に、第1溶液溜部27a及び第2溶液溜部27bの容量が、原料溶液量よりも大きい場合には、第1溶液溜部27a及び第2溶液溜部27bにおいて、原料溶液と原料溶液を送液する溶媒が拡散する可能性がある。従って、第1溶液溜部27a及び第2溶液溜部27bの各容量は、送液する原料溶液の容量より低容量であることが好ましく、20μL以下であることが好ましい。より好ましくは、各容量は、15μL以下、10μL以下、5μL以下であってもよい。
ところで、流路部分の容量を減らす方法には、流路幅を縮小する方法がある。流路幅の縮小は、送液流量を著しく低下しない200μmとした。また、流路部分の容量を減らす別の方法として、漏斗状部24を流れる多層流れの本数を減らす方法がある。多層流れの減数は、分子拡散速度が著しく低下しない25本とした。
図5の図表では、前述した図4とは異なり、第1溶液供給ノズル21Aの直径を200μmとし、13個設けられているものとする。また、第2溶液供給ノズル23Aの直径も200μmとし、12個設けられているものとする。この場合、漏斗状部24の流入口側では、第1原料溶液123と第2原料溶液124とが200μm間隔で、交互に25列配置される。
この多層流れを幅方向に収縮して流路幅200μmの処理部25に導入すると、1列当たりの層流幅が拡散距離に等しいから、その大きさは8μmとなる。このことは、第1原料溶液123と第2原料溶液124の拡散係数を水で考えると、わずか0.01秒以下で混合が完了することを意味する。
なお、本実施例における処理部25の流路長は13mmであり、流路容量は0.5μLである。前記した混合時間0.008sから算出すると、最低4mL/分以上の全流量で送液すれば、処理部25を通過する間に、第1原料溶液123と第2原料溶液124の混合を完全に終了させることができる。
なお、多層流れを乱さず保持するには、流路内の流れが層流であることが望ましい。本実施例の場合には、処理部25において流れが層流であるように、流れの状態を示すレイノルズ数Reの上限を2000以下に設定する。ここでレイノルズ数Reは、液体の流速をv、流路の代表長さをd、液体の動粘性係数をνとした時に、Re=vd/νで表わされる。ここで、dを処理部25の流路幅である200μmとし、νをは水で考え、さらに第1原料溶液123と第2原料溶液124の合計流量を20mL/分と考えると、レイノルズ数Reは2000以下となる。
すなわち、本実施例の処理部25では、第1原料溶液123及び第2原料溶液124の両方を合わせた全流量20mL/分程度以下で層流を保つことができる。
上述したように、本実施例では、処理部25において第1原料溶液123及び第2原料溶液124がいずれも層流になるように設定している。従って、放射化学反応用マイクロリアクタ10の混合性能は、多層流れの層数と処理部25における流路幅により決定される。
図5に比較例として示す標準容量のマイクロリアクタと同等の混合性能を維持した上で、実施例に係る放射化学反応用マイクロリアクタ10の低容量化を図るには、処理部25に形成される層流幅が10μm以下となることが好ましい。
しかし、多層流れの本数を多くすると、液体溜部27の容量が大きくなってしまうため、処理部25の流路幅は100μm〜1000μmが好ましい。なお、処理部の流路幅は、反応容器による処理量によっても異なり、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μmでもよい。
一般的なマイクロリアクタのY字型流路において、本実施例と同等の分子拡散速度を達成するには、本実施例における処理部25に形成される多層流れの層流幅8μm相当の微細流路を形成しなければならない。しかし、8μm相当の流路幅で溶液を流そうとすると、圧力損失がかかり、流量を増加することが困難となる。
しかし、本実施例では、層流幅は8μmだが、流路幅は200μmであるため、流路幅8μmと同等の混合性能で、圧力損失は1/1×10となり、流量を高く保つこともできる。上述してきたように、本実施例では200μmの多層流れが25本も設置された流路ながら、流路部分の容量が31μLと小さく、流路幅が数10μmと同等の分子拡散速度を実現でき、かつ、20mL/分による高速での送液が可能となる。
また、本実施例では、第1原料溶液123の流れを安定化させるための助走区間(すなわち、第1溶液誘導流路部22)を設け、第1原料溶液123の流れが安定した位置(すなわち、流出口付近)に第2溶液供給部23を設けて第2原料溶液124を導入することにより、特許文献5〜7に比して安定した多層流れを漏斗状部24内に形成することができる。
また、本実施例の場合には、処理部25における第1原料溶液123と第2原料溶液124の混合を層流を用いて行うため、乱流を使用する場合に比して再現性の高い混合処理を実現することができる。
また、本実施例の場合には、流路容量が少なく済むだけでなく、特許文献7のように流路を隔離する液体を用いずに済むため、処理部25におけるサンプル濃度を高めることができ、反応効率を高めることができる。
[実施例2]
ここでは、放射化学反応用マイクロリアクタシステム1(図1)において、放射化学反応用マイクロリアクタ10に対してサンプルを送液するために使用する流路の実施例を説明する。図6に、本実施例に係る送液流路の概要を示す。
第1溶媒121及び第2溶媒122を送液するシリンジ108の容量は、送液する溶媒量に応じて選択すれば良い。この本実施例では5mLとする。
同様に、第1原料溶液123及び第2原料溶液124を原料用サンプルループ106に注入する原料溶液注入用シリンジ901の容量は、原料溶液量に応じて選択すれば良い。この実施例では1mLとする。
また、溶媒吸引ライン103の流路幅は、送液する第1溶媒121及び第2溶媒122の容量に応じて選択すれば良い。ただし、流路幅が狭くなると、シリンジ108への吸引時間が長くなる。本実施例では1mmとする。
また、溶媒廃液ライン104及び原料導入ライン105の流路幅は、送液する第1原料溶液123及び第2原料溶液124の容量に応じて選択すれば良い。デッドボリュームを低減するには、流路幅が狭い方が望ましい。本実施例では0.5mmとした。
第1溶液導入部110及び第2溶液導入部111の流路幅は、送液する原料溶液123及び124の容量に応じて選択すれば良い。送液能力を高めるには流路幅が広い方が望ましい。本実施例では0.5mmとした。
滞留部202及び生成物回収ライン303の流路幅は、送液する第1原料溶液123及び第2原料溶液124の容量に応じて選択すれば良い。反応効率を向上するには1mm以下であることが望ましい。本実施例では0.5mmとした。
サンプルの回収率を高くするには、原料導入ライン105、原料用サンプルループ106、第1溶液導入部110、第2溶液導入部111、滞留部202、生成物回収ライン303の流路幅が同じであることが望ましい。本実施例では0.5mmで統一した。
廃液ライン104、原料導入ライン105、第1溶液導入部110、第2溶液導入部111、滞留部202、生成物回収ライン303、廃液回収ライン304の流路長は、操作に支障が無い長さであれば良い。本実施例では以下のように設定した。サンプルループドレイン902の流路長を60mm、原料導入ライン105の流路長を240mm、第1溶液導入部110の流路長を600mm、第2溶液導入部111の流路長を600mm、滞留部202と生成物回収ライン303の合計流路長を285mmとする。
原料用サンプルループ106の容量は、送液する第1原料溶液123及び第2原料溶液124の送液予定容量より多ければ良い。デッドボリュームを低減するには、第1原料溶液123及び第2原料溶液124の送液容量と同じ、又は、第1原料溶液123及び第2原料溶液124の送液予定容量より多く、かつ、可能な限り送液予定容量に近い容量であることが望ましい。本実施例では、第1原料溶液123及び第2原料溶液124の送液予定容量を各200μLとし、原料用サンプルループ106の容量も200μLとした。
原料導入ライン105から導入される第1原料溶液123及び第2原料溶液124の注入量は、サンプルループドレイン902と原料導入ライン105の容量を考慮し、各300μLとし、原料用サンプルループ106からループオーバーさせて送液容量200μLとした。
送液切り替えバルブ102のデッドボリュームは少ない方が望ましい。そこで、本実施例では、送液切り替えバルブ102のデッドボリュームは3.4μLとする。
[実施例3]
本実施例では、前述した放射化学反応用マイクロリアクタ本体20による送液性能の評価結果を説明する。ここでは、放射化学反応用マイクロリアクタ本体20の送液性能は、送液時の圧力損失より評価した。マイクロリアクタ本体20への溶媒の送液には、実施例2(図6)に示した寸法を有する送液流路を用いるものとする。
図7に、放射化学反応用マイクロリアクタ本体20による送液性能701と、図5に比較例として示した標準容量のマイクロリアクタの送液性能702を示す。縦軸は圧力損失であり、横軸は全流量である。
図7に示すように、本実施例に係る放射化学反応用マイクロリアクタ本体20では、流路部分の容量が31μLと、標準容量のマイクロリアクタの184μLに比して小さいが、圧力損失は標準容量のマイクロリアクタと同等である。従って、本実施例に係る放射化学反応用マイクロリアクタシステム1(図1)は、圧力損失500kPaまで、安全に送液することが可能である。このように、本実施例に係るマイクロリアクタ本体20は、6倍の容量の標準容量マイクロリアクタと同等の流量で送液可能な送液性能を有することが明らかとなった。
本実施例に係るマイクロリアクタ本体20において、20mL/分という高い流量での送液が可能であるのは、図5に示したように処理部25の実際の流路幅が200μmと比較的広いからである。ただし、処理部25には多層流れが導入されるため、処理部25内では8μmの層流が形成されていると算出される。すなわち、本実施例に係るマイクロリアクタ本体20は、流路幅200μmの処理量を有しながら、流路幅8μm相当の混合性能を有すると算出される。実際の混合性能については、実施例4に示す。
[実施例4]
本実施例では、マイクロリアクタ本体20の混合性能を評価した結果を説明する。本実施例においては、マイクロリアクタの混合性能を、混合性能評価方法として知られている、Villermaux-Dushman反応を用いて評価した。マイクロリアクタ本体20への溶媒の送液には、実施例2(図6)で説明した送液流路を使用した。
図8に、マイクロリアクタ本体20による混合性能801と、図5に比較例として示した標準容量のマイクロリアクタの混合性能802と、バッチ法による混合性能803の評価結果を示す。縦軸は混合性能であり、横軸は全流量である。
図8に示すように、本実施例に係る放射化学反応用マイクロリアクタ10は、全流量0.5mL/分〜20mL/分まで、バッチ法よりも高い混合性能を示した。また、本実施例に係る放射化学反応用マイクロリアクタ10は、全流量0.2mL/分〜20mL/分までは、標準容量のマイクロリアクタより高い混合性能を示した。
実施例1〜4より、マイクロリアクタ本体20は、流路部分の容量が31μLと低容量でありながら、処理部25の流れ幅は8μmと算出されるため送液性能が高く、混合性能も高いことが明らかとなった。
[実施例5]
本実施例では、本実施例に係る放射化学反応用マイクロリアクタシステム1に、実施例2(図6)に示す寸法の送液流路を適用し、200μLずつの第1原料溶液123及び第2原料溶液124を送液した場合における生成物溶液306の回収結果を示す。
なお、本実施例においては、10MBqの[11C]CHI、DMSO溶液200μLを第1原料溶液123とし、DMSO溶液200μLを第2原料溶液、第1溶媒121及び第2溶媒122とする。また、放射化学反応用マイクロリアクタシステム1のマイクロリアクタ10に、室温にて、1mL/分で第1原料溶液123及び第2原料溶液124を送液した。
また、リアクタユニット201内の放射化学反応用マイクロリアクタ10及び滞留部202を通過した生成物溶液の放射能を回収ユニット301内の放射能センサ305で検知し、放射能測定ユニット501で測定した。また、送液ユニット101内の放射能センサ107で検知し、放射能測定ユニット501で測定した。ここで、原料用サンプルループ106内に導入された[11C]CHIの放射能を100%として、生成物溶液の放射能の割合を算出し、それを回収率とした。
図9に、生成物溶液の回収結果をグラフで示す。縦軸は加算回収率であり、横軸は溶液送液量である。図9が示すように、生成物溶液(サンプル)回収位置1001において75%の生成物溶液が回収された。
従って、本実施例に係る放射化学反応用マイクロリアクタシステム1において、第1原料溶液123及び第2原料溶液124をそれぞれ200μL、合計400μLだけ送液する場合、マイクロリアクタ本体20を通過した混合溶液が75%回収できることが明らかとなった。
[実施例6]
本実施例では、マイクロリアクタ本体20を用いる放射化学反応用マイクロリアクタシステム1において、実施例2(図6)に示す寸法の送液流路を適用し、放射化学反応を実施した結果を示す。なお、送液流路中、滞留部202と生成物回収ライン303の合計流路長は2038mmとした。
また、10MBqの[11C]CHI、DMSO溶液200μLを第1原料溶液123とし、2mg/mLのMASB、DMSO溶液200μLを第2原料溶液124とし、DMSO溶液を第1溶媒121及び第2溶媒122とする。また、放射化学反応用マイクロリアクタシステム1のマイクロリアクタ10に、室温にて、1mL/分で第1原料溶液123及び第2原料溶液124を送液した。
また、生成物溶液は、リアクタユニット201内の滞留部202内に2分間静置し、回収ユニット301内の生成物回収ライン303から回収した。回収サンプルは、生成物溶液回収位置1001における400μLとした。
回収した生成物溶液をHPLC分析し、RI検出でのピーク面積比から目的物である[11C]DASBの収率を算出した。
図10に、放射化学反応用マイクロリアクタ10を用い、[11C]CHIとMASBの放射化学反応の結果得られた反応混合物中の目的物 [11C]DASBの生成率と、バッチ法での[11C]CHIとMASBの放射化学反応の結果得られた反応混合物中の目的物[11C]DASBの生成率を示す。
バッチ法は、10MBqの[11C]CHI、DMSO溶液200μL、2mg/mLのMASB、DMSO溶液200μLを5mLガラスVバイアル内に入れた状態で、室温にて、マグネチックスターラーで2分間撹拌した。
図10に示す通り、放射化学反応用マイクロリアクタシステム1(図1)でバッチ法と同等の生成率で目的物である[11C]DASBが生成された。
本実施例より、放射化学反応用マイクロリアクタ10を用いる放射化学反応用マイクロリアクタシステムを用いれば、400μLの低容量の原料溶液を送液して放射化学反応を実施させることにより、2分間という短時間で、目的とする生成物溶液が生成され回収できることが明らかとなった。
1…放射化学反応用マイクロリアクタシステム
10…放射化学反応用マイクロリアクタ
20…マイクロリアクタ本体
21…第1溶液供給部
21A…第1溶液供給ノズル
22…第1溶液誘導流路部
23…第2溶液供給部
23A…第2溶液供給ノズル
24…漏斗状部
25…処理部
26…溶液排出部
27a…第1溶液溜部
27b…第2溶液溜部
28…溝
29…穴
30…蓋部材
40…蓋部材
50…アダプタ部材
51…入口ポート部
52…出口ポート部
60…アダプタ部材
61a…第1溶液導入口
61b…第2溶液導入口
62…溶液排出口
63…入口部
64…出口部
101…送液ユニット
102…送液切り替えバルブ
103…溶媒吸引ライン
104…溶媒廃液ライン
105…原料導入ライン
106…原料用サンプルループ
107…放射能センサ
108…シリンジ
109…シリンジポンプ
110…第1溶液導入部
111…第2溶液導入部
121…第1溶媒
122…第2溶媒
123…第1原料溶液
124…第2原料溶液
131A…温度制御信号
131B…フィードバック信号
132A…放射能測定信号
132B…フィードバック信号
133A…放射能測定信号
133B…フィードバック信号
141A…フィードバック信号
141B…制御信号
142…データ通信信号
143…データ通信信号
144…データ通信信号
145…データ通信信号
201…リアクタユニット
202…滞留部
301…回収ユニット
302…回収切り替えバルブ
303…生成物回収ライン
304…廃液回収ライン
305…放射能センサ
401…温度調節ユニット
501…放射能測定ユニット
601…制御装置
701…マイクロリアクタ本体20の送液性能
702…標準容量のマイクロリアクタの送液性能
801…マイクロリアクタ本体20の混合性能
802…標準容量のマイクロリアクタの混合性能
803…バッチ法の混合性能
901…原料溶液注入用シリンジ
902…サンプルループドレイン
1001…生成物溶液(サンプル)回収位置

Claims (7)

  1. 第1及び第2の液体を混合する反応システムにおいて、
    それぞれが一定幅を有し、かつ、幅方向に一定幅ずつ離れて形成される複数の流路で構成される第1の流路と、
    前記第1の流路の各流路に前記第1の液体を導入する第1のノズルと、
    それぞれが一定幅を有し、かつ、前記第1の流路を構成する前記複数の流路の間に形成される一定幅を有する1つ又は複数の流路から構成され、前記第1の流路より流路長が短い第2の流路と、
    前記第1のノズルよりも下流側の位置に配置され、前記第2の流路に前記第2の液体を導入する第2のノズルと、
    前記第1の流路及び前記第2の流路の下流端に接続され、前記第1の流路から帯状に流出される前記第1の液体の流れと前記第2の流路から帯状に流出される前記第2の液体の流れが交互に並ぶ多層流の幅を流れに沿って収縮する漏斗状部と、
    前記漏斗状部において収縮された多層流にて前記第1の液体と前記第2の液体を混合する処理部と、を有する反応容器を含み、前記反応容器に接続され、前記反応容器より送出された液体を保持する滞留部を有する反応ユニットと、
    前記反応容器に前記第1の液体と前記第2の液体をそれぞれ供給する送液ユニットと、
    前記反応ユニットで生成された液体を回収する回収ユニットと、
    前記反応ユニットの温度を制御する温度制御ユニットと、
    前記送液ユニットおよび前記回収ユニットに設けられたセンサにより、前記送液ユニットおよび前記回収ユニット内に保持する液体の放射能を測定する放射能測定ユニットと、
    前記送液ユニット、前記反応ユニット、前記回収ユニット、前記温度制御ユニットを制御する制御装置と
    を有し、
    前記制御装置は、前記放射能測定ユニットによる前記回収ユニットの放射能測定結果に基づき、放射能物質を含む液体のみを回収するように前記回収ユニットを制御することを特徴とする反応システム。
  2. 第1及び第2の液体を混合する反応システムにおいて、
    それぞれが一定幅を有し、かつ、幅方向に一定幅ずつ離れて形成される複数の流路で構成される第1の流路と、
    前記第1の流路の各流路に前記第1の液体を導入する第1のノズルと、
    それぞれが一定幅を有し、かつ、前記第1の流路を構成する前記複数の流路の間に形成される一定幅を有する1つ又は複数の流路から構成され、前記第1の流路より流路長が短い第2の流路と、
    前記第1のノズルよりも下流側の位置に配置され、前記第2の流路に前記第2の液体を導入する第2のノズルと、
    前記第1の流路及び前記第2の流路の下流端に接続され、前記第1の流路から帯状に流出される前記第1の液体の流れと前記第2の流路から帯状に流出される前記第2の液体の流れが交互に並ぶ多層流の幅を流れに沿って収縮する漏斗状部と、
    前記漏斗状部において収縮された多層流にて前記第1の液体と前記第2の液体を混合する処理部と、を有する反応容器を含み、前記反応容器に接続され、前記反応容器より送出された液体を保持する滞留部を有する反応ユニットと、
    前記反応容器に前記第1の液体と前記第2の液体をそれぞれ供給する送液ユニットと、
    前記反応ユニットで生成された液体を回収する回収ユニットと、
    前記反応ユニットの温度を制御する温度制御ユニットと、
    前記送液ユニット、前記反応ユニット、前記回収ユニット、前記温度制御ユニットを制御する制御装置と
    を有し、
    前記送液ユニットは、
    前記第1の液体の導入用に用意される第1のループ状流路と、
    前記第2の液体の導入用に用意される第2のループ状流路と、
    前記第1の液体とは異なる第3の液体の導入用に用意され、第1の送液切替バルブを通じて、前記第1のループ状流路を経由して前記反応容器の前記第1のノズルに接続される又は前記反応容器の前記第1のノズルに直接接続される第1の送液用流路と、
    前記第2の液体とは異なる前記第3の液体の導入用に用意され、第2の送液切替バルブを通じて、前記第2のループ状流路を経由して前記反応容器の前記第2のノズルに接続される又は前記反応容器の前記第2のノズルに直接接続される第2の送液用流路と、
    前記第1の液体と前記第3の液体の前記反応容器の前記第1のノズルへの導入を切り替える前記第1の送液切替バルブと、
    前記第2の液体と前記第3の液体の前記反応容器の前記第2のノズルへの導入を切り替える前記第2の送液切替バルブとを有し、
    前記制御装置は、前記第1及び第2の液体の前後をそれぞれ前記第3の液体で挟んだ状態で送液されるように前記第1及び第2の送液切替バルブを制御することを特徴とする反応システム。
  3. 請求項1又は2に記載の反応システムにおいて、
    前記反応容器の前記処理部に流入する各層流の幅は40μm以下であることを特徴とする反応システム。
  4. 請求項1又は2に記載の反応システムにおいて、
    前記反応容器の前記処理部の流路幅は100μm〜1000μmであることを特徴とする反応システム。
  5. 請求項1又は2に記載の反応システムにおいて、
    前記反応容器は、
    前記第1の液体を前記第1の流路に導入する前に一時的に保持する第1の溶液溜部と、前記第2の液体を前記第2の流路に導入する前に一時的に保持する第2の溶液溜部と、を有し、
    前記第1の溶液溜部の容量と、前記第2の溶液溜部の容量と、前記第1の流路内で第1の液体が流れる区間の容量と、前記第2の流路内で第2の液体が流れる区間の容量と、前記漏斗状部の容量と、前記処理部の容量との総和が135μL以下であることを特徴とする反応システム。
  6. 請求項に記載の反応システムにおいて、
    前記第1の溶液溜部の容量と前記第2の溶液溜部の容量はいずれも20μL以下であることを特徴とする反応システム。
  7. 請求項1に記載の反応システムにおいて、
    前記処理部内に形成される流れは層流であることを特徴とする反応システム。
JP2011265511A 2011-12-05 2011-12-05 反応システム Expired - Fee Related JP5959835B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011265511A JP5959835B2 (ja) 2011-12-05 2011-12-05 反応システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011265511A JP5959835B2 (ja) 2011-12-05 2011-12-05 反応システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013116448A JP2013116448A (ja) 2013-06-13
JP5959835B2 true JP5959835B2 (ja) 2016-08-02

Family

ID=48711372

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011265511A Expired - Fee Related JP5959835B2 (ja) 2011-12-05 2011-12-05 反応システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5959835B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108927082A (zh) * 2018-07-03 2018-12-04 江苏省原子医学研究所 一种氟化铝标记的微流反应装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61275662A (ja) * 1985-05-31 1986-12-05 Hitachi Ltd 連続流れ分析法
JP2006527367A (ja) * 2003-04-22 2006-11-30 モレキュラー テクノロジーズ インコーポレイテッド Fdg等の分子画像化プローブを合成するためのシステム及び方法
JP4340574B2 (ja) * 2004-03-31 2009-10-07 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 原子力プラントの還元性窒素化合物注入運転方法
JP4367283B2 (ja) * 2004-08-06 2009-11-18 株式会社日立プラントテクノロジー マイクロ流体チップ
JP2006194729A (ja) * 2005-01-13 2006-07-27 Seitai Kagaku Kenkyusho:Kk 放射能分析装置
JP4701190B2 (ja) * 2007-01-24 2011-06-15 株式会社日立製作所 反応速度定数計測装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013116448A (ja) 2013-06-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2823918C (en) Modular system for radiosynthesis with multi-run capabilities and reduced risk of radiation exposure
US9649632B2 (en) Disposable world-to-chip interface for digital microfluidics
KR101176710B1 (ko) 양전자 방출 단층촬영용 바이오마커를 위한 미세유체 방사합성 시스템
EP3198284B1 (en) Palette-based systems for analyte characterization
US8273300B2 (en) Modular system for radiosynthesis with multi-run capabilities and reduced risk of radiation exposure
US8173073B2 (en) Portable microfluidic radiosynthesis system for positron emission tomography biomarkers and program code
KR101718112B1 (ko) 자동화된 품질 제어 장치 및 방법
US12007376B2 (en) Method for determining a concentration of a synthesis component in a radiopharmaceutical sample
US20080233018A1 (en) Fully-automated microfluidic system for the synthesis of radiolabeled biomarkers for positron emission tomography
Keng et al. Emerging technologies for decentralized production of PET tracers
WO2007021810A2 (en) Microfluidic methods and apparatuses for fluid mixing and valving
JP6739443B2 (ja) アドオン放射合成器デバイス
US10309947B2 (en) System and method for radiosynthesis, quality control and dose dispensing
JP2017528509A (ja) 自己遮蔽ベンチトップ型ケミストリシステム
Keng et al. Advantages of radiochemistry in microliter volumes
JP5959835B2 (ja) 反応システム
JP5857075B2 (ja) 生体分子標識化反応容器、それを使用する反応装置及び反応方法
Van Dam et al. Cerenkov luminescence imaging in the development and production of radiopharmaceuticals
US20150217255A1 (en) Drug Provision System and Drug Provision Method
Mc Veigh et al. Microfluidic synthesis of radiotracers: recent developments and commercialization prospects
Ma Expanding the capabilities of microfluidic systems for positron emission tomography (PET) tracer synthesis and analysis
Haroun A microfluidic chip-based synthesis of carbon-11 radiotracers for the purpose of PET imaging

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140731

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150623

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150824

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160216

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20160322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160607

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160622

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5959835

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees