JP5956214B2 - 太陽電池モジュールを支持する架台の基礎構造 - Google Patents
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Description
即ち、特許文献2には、太陽電池モジュールを支持する架台を構成する支柱に、風荷重による浮揚力に有効な節部を有する鋼管杭を用いている。この鋼管杭を太陽電池モジュールの前方側と後方側となる位置に平行して複数隣設し、上記各鋼管杭の上端間に、杭上端に設けた連結手段を介して梁材など、架台部材を順に組み上げることが記載されている。
そもそも特許文献1のようなコンクリート基礎構造は、コンクリートを打設し養生するには時間を要し工期が長くなるという問題点があり、特に広大な土地に実施する際には深刻な問題となっていた。上記特許文献1は、複数のコンクリートブロックを等間隔で、その上面が水平、且つ同一高さで面一となるように配置すると記載されている。太陽電池モジュールを設置する際、その角度は発電量に大きく関係するため、同モジュールを支持する架台が高い施工精度で水平に設置されることは重要である。しかし、コンクリートブロック一つ一つにこうした水平レベル調整作業を行うのは非常に面倒である。特に大がかりな太陽光発電所が建設される場合、対象となる土地は塩田地や荒れ地、耕作放棄地など整備されていない土地が殆どである。そうした場所において複数のコンクリートブロックの高さ位置などを正確に合わせて配置することは至難であり非常に面倒である。
更に、貫入箇所の地盤が固い又は石などがある場合には、地盤改良や貫入場所を変更する必要が生じ、工期が遅れるリスクがある。因みに、鋼管杭の上端に設けられた接合用ボルト孔は長孔に形成されて、ある程度高さレベルを調整できる構成であることが図面から推察されるが、その調整範囲は長孔の長さ範囲にとどまり、整備されていない広大な土地や法面においては到底適用できない。
また、節部を有する鋼管杭は、浮揚力に対しては効果を発揮するが、地震荷重や風荷重などの水平力が加わった際に面内せん断剛性が弱く、太陽電池モジュールに面内せん断力が加わって破損させてしまう虞がある。
また、アンカー材70の直上位置に基礎梁71をピン接合している。したがって、太陽電池モジュールと架台に相当な風荷重(浮揚力)が生じた際に、アンカー材70の引き抜き力も相まって浮揚力が前記基礎梁71の接合箇所に集中して上方へ盛り上がり変形し、架台自体を変形させてしまう。すると、支持していた太陽電池モジュールの傾斜角度がズレたり、破損させてしまう虞がある。
一定の間隔をあけて地中へ貫入され、その上端部が地表面よりも上方へ突き出された複数本のアンカー杭3と、
同アンカー杭3の地上への突出部に、角形鋼管または軽量溝形鋼で成る横基礎梁枠材40と縦基礎梁枠材41を接合して基礎梁枠体4が構築され、
同基礎梁枠体4の上方部に、太陽電池モジュール2を支持する架台6が組み立てられており、
前記基礎梁枠体4は、平行する少なくとも2本の横方向基礎梁40、40と、前記2本の横方向基礎梁40、40の間を直交方向に連結した縦方向基礎梁41、41とで平面視が矩形状の基礎梁枠体4が形成されており、
前記横方向基礎梁40には、上記の各アンカー杭3、3の設置間隔と対応する位置に同アンカー杭3を通す貫通孔がそれぞれ形成され、
前記貫通孔へ通したアンカー杭3が上方へ突出した部分にねじが加工されており、それぞれのアンカー杭3の突出部へ、前記基礎梁40の対応する貫通孔が串刺し状に貫通され、同基礎梁40が水平となる位置に基礎梁40がアンカー杭3への締結手段により剛接合されている構成を特徴とする。
アンカー杭3上に支持される基礎梁40、41は、地表面Gとの間に隙間をあけた高さ位置に設置されることを特徴とする。
本発明の基礎構造は、一定の間隔をあけて地中へ貫入されたアンカー杭3の地上への突出部に、角形鋼管または軽量溝形鋼で成る基礎梁枠体4が設置され支持される構造である。
特に、前記基礎梁枠体4は、平行する少なくとも2本の横基礎梁40、40と、前記横基礎梁40との間を直交方向に連結する縦基礎梁41とで平面視が矩形の枠体に形成されている。そして、前記横基礎梁40は複数のアンカー杭3の設置間隔とそれぞれ対応する位置に貫通孔を有し、前記アンカー杭3のねじ切り加工を施した地上への突出部へ、前記基礎梁枠体4の対応する貫通孔へ通し串刺し状に貫通させて連結した構成であるから、基礎梁枠体4全体の水平レベルは、アンカー杭3への取付位置のレベル調整により容易に且つ確実に調整できる。
前記アンカー杭3は、単に一定の間隔で地中へ貫入して用意すればよく、その突出部の頂部レベルを相互間で調整する必要は一切無く、施工が容易である。
そして、基礎梁枠体4は、軽量な角形鋼管または軽量溝形鋼で構成するため、重機を必要とせず、不陸調整が極めて容易であるため、施工性と施工精度がすこぶる良い。
のみならず、基礎梁枠体4の水平レベルの調整可能な範囲は、アンカー杭3の地上への突出部の全高範囲を使用できるため、傾斜した法面における実施でも有効に実施でき、汎用性が高い。
したがって、浮揚力のみならず、地震荷重(水平荷重)に対しても同様にアンカー杭3と基礎梁枠体4との相互作用で全体が高い剛性を発揮して抵抗し、安全性を発揮する。
即ち、基礎梁枠体4と複数のアンカー杭3とは一体化した構造に形成されているため、連結箇所数が多ければ多いほど、浮揚力や面内せん断力に対する抵抗力が向上するため、太陽電池モジュールの設置数が多量なメガソーラー発電所などの建設に好適に実施できるし、コスト削減、作業効率の向上も望める。
本発明の基礎構造は、地中に一定の間隔で複数本貫入され、且つその上部が地表面Gより上に突出される突出部30を有するアンカー杭3と、同アンカー杭3の突出部30に角形鋼管または軽量溝形鋼で成る基礎梁枠体4が接合され、同基礎梁枠体4の上部に太陽電池モジュール2を支持する架台6が組み立てられることを基本構造としている。
前記基礎梁枠体4は、少なくとも平行する2本の横基礎梁40、40と、同横基礎梁40、40との間を直交方向に連結してフレーム体に形成する縦基礎梁41、41とから成り、少なくとも前記横基礎梁40には上記複数のアンカー杭3の設置間隔と対応する位置に貫通孔がそれぞれ形成されている。
前記アンカー杭3における地上への突出部30にはねじ切り加工が施されており、複数が隣接するそれぞれのアンカー杭3の地上への突出部30に、前記基礎梁枠体4が、対応する貫通孔を通して串刺し状に組み付けられ、同基礎梁枠体4が水平姿勢となる位置で締結手段5により剛接合されている。
例えば図1A、Bに示すように広大な工場遊休地や工業廃棄物処理場、或いは有効利用が困難視される塩田の跡地、農作放棄地、その他砂漠や荒れ地など整備されていない広い土地を利用して、大規模な太陽光発電装置1を建設する場合に、本発明の太陽電池モジュール2(太陽電池アレイ20)を支持する架台の基礎構造が好適に実施される。勿論、この限りではなく小規模であっても法面であっても同様に実施できる。
本発明では、太陽電池セル2aの集合体である一列の電池モジュール2を長手方向に複数単位組み合わせて全長が約20〜25mの太陽電池アレイ20として実施される。
このアンカー杭3の上端部は、地表面Gより一定の高さ突き出す突出部30を有し(図4参照)、この突出部30にナット51をねじ込めるねじ切り加工が施されている。したがって、同突出部30の高さ範囲内で、前記基礎梁枠体4の高さ及び水平レベルを調整可能であり、その調整位置を支圧プレート50とナット51とで成る締結手段5により締め付けて固定することができる。したがって、このアンカー杭3を設置する際には、アンカー杭3…同士の頂部の高さ位置を殊更に合わせたりする必要はなく、直線P1、P2上に一定の間隔で設けるのみでよく施工性が良い。
図示の基礎梁枠体4は、軽量な角形鋼管であり、横断面は幅が100mm、高さが200mmとされている。また、平行する2本の横基礎梁40、40との間隔は、アンカー杭3、3の前方側Fと後方側Bとの間隔(P1とP2との間隔)と同じく3mの間隔をあけて接合されている。勿論、横基礎梁40は図示例のように2本ではなく、前記太陽電池モジュール2の長手方向に対して直交して3本、4本でも同様に実施できる。
また、前記2本の横基礎梁40、40には、上記複数のアンカー杭3の設置間隔と対応する位置に上記アンカー杭3を通す貫通孔(図示省略)がそれぞれ形成されている。勿論、縦基礎梁41にも貫通孔を設けても良い。図示例では、基礎梁枠体4として角形鋼管を使用したが、軽量溝形鋼を同様に使用することもできる。その際、溝を構成する両フランジを上下に相対向するように配置して、上下のフランジを貫通する様態で貫通孔を設けて実施できる。
前記基礎梁枠体4の設置高さとしては、少なくとも地表面Gより上方に隙間をあけて位置決めすることが好ましい。その理由は、降雨による問題を排除しておくと共に、基礎梁枠体4を不陸調整できる余地を残しておくことにより、不同沈下やその他の問題が生じた際に、迅速に対応できるからである。勿論、地表面Gとの隙間が無い構造で設置して実施することもできる。
また、同基礎梁枠体4を、水平レベルとなる位置で締結手段5により剛接合する構成としているから、大きな風荷重(浮揚力)が生じても、基礎梁枠体4が前記浮揚力を隣接する多数のアンカー杭3…にそれぞれ伝達するので、複数のアンカー杭3…が相互に抵抗力を発揮し合い、群杭として高い引き抜き耐力を発揮できる。斯くすると、一本のアンカー杭に要求される耐力は、従来構造に比して減少させることができ、更にはアンカー杭を小径にしたり本数を減らしてコストの削減に寄与できる。
前記架台6は、従来から太陽光発電装置で実施される架台部材と組み立て方法を用いて順に組み立て可能であるため、ここではその一例を説明する。また、架台6は、複数列に同様の手法で連続して組み立てられるため、ここでは、一列の太陽電池モジュール2を支持する架台部材の組み立てに関する説明のみとする。
図示例の架台6は、例えば図2〜4に示すように、水平レベルに設置された基礎梁枠体4の前方側Fの横基礎梁40の上面に設置する支柱60と、後方側Bの横基礎梁40の上面に設置する支柱61をボルト接合して立設する。前記支柱60はアングル材60aにより前方側Fの横基礎梁40と接合され、前記支柱61はアングル材61aにより後方側Bの横基礎梁40と接合されている。
前記支柱60、61の設置箇所は、図1B、図2に示すようにアンカー杭3の直上位置を避け、同アンカー杭3が支柱間の略中央になるように配置することが好ましいが、この限りではない。
また、前記前方側Fの支柱60は、後方側Bの支柱61よりもせいの低いものを使用して立設されている。すると、前記高低差のある支柱60、61間を跨ぎ、後述する太陽電池モジュール2を支持する縦桟部材62が前方に傾斜するように接合できる。したがって、太陽電池モジュール2(太陽電池アレイ20)の傾斜角度は支柱60、61の高低差によって決定される。
前記前方に傾斜する縦桟部材62、62は、その自重が掛かる前方側Fが、支柱60、60と上記アングル材60a、60aを介して連結された方杖材64、64によって支持されている。
上記の構成とする一列の太陽電池モジュール2を支持する架台6を、長手方向に連続して組み立て、しかる後に、太陽電池モジュール2を縦桟部材62…の上面に連続的に連結固定して並べ太陽電池アレイ20とすることで、太陽光発電装置1を完成させる。
2 太陽電池モジュール
2a 太陽電池セル
20 太陽電池アレイ
3 アンカー杭
30 突出部
4 基礎梁枠体
40 横基礎梁
41 縦基礎梁
5 締結手段
50 支圧プレート
51 ナット
6 架台
60、61 支柱
62 縦桟部材
63 ブレース材
64 方杖材
Claims (2)
- 一定の間隔をあけて地中へ貫入され、その上端部が地表面よりも上方へ突き出された複数本のアンカー杭と、
同アンカー杭の地上への突出部に、角形鋼管または軽量溝形鋼で成る横基礎梁枠材と縦基礎梁枠材を接合して基礎梁枠体が構築され、
同基礎梁枠体の上方部に、太陽電池モジュールを支持する架台が組み立てられており、
前記基礎梁枠体は、平行する少なくとも2本の横方向基礎梁と、前記2本の横方向基礎梁の間を直交方向に連結した縦方向基礎梁とで平面視が矩形状の基礎梁枠体が形成されており、
前記横方向基礎梁には、上記の各アンカー杭の設置間隔と対応する位置に同アンカー杭を通す貫通孔がそれぞれ形成され、
前記貫通孔へ通したアンカー杭が上方へ突出した部分にねじが加工されており、それぞれのアンカー杭の突出部へ、前記基礎梁の対応する貫通孔が串刺し状に貫通され、同基礎梁が水平となる位置に基礎梁がアンカー杭への締結手段により剛接合されている構成を特徴とする、太陽電池モジュールを支持する架台の基礎構造。 - アンカー杭上に支持される基礎梁は、地表面との間に隙間をあけた高さ位置に設置されることを特徴とする、請求項1に記載した太陽電池モジュールを支持する架台の基礎構造。
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