JP5953690B2 - 方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、変圧器の鉄心などの用途に使用される方向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
近年、エネルギ使用の効率化が進み、変圧器メーカなどを中心に、磁束密度が高く、かつ鉄損が低い電磁鋼板に対する需要が増してきている。
ここに、磁束密度は、電磁鋼板の結晶方位をGoss方位へ集積させることにより向上させることができ、例えば特許文献1には、1.97Tを超える磁束密度Bを有する方向性電磁鋼板の製造方法が示されている。
一方、鉄損に関しては、素材の高純度化、高配向性、板厚低減、SiおよびAlの添加、磁区細分化などの観点から、その対策が考えられてきた(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、一般に、磁束密度を高くするほど、鉄損は劣化する傾向にある。この理由は、結晶方位が揃うと静磁エネルギが下がるため、鋼板内の磁区幅が広がって、渦電流損が高くなるからである。
渦電流損の低減方法として、被膜張力を向上したり、熱歪みを導入することによって磁区細分化を施す方法がある。しかし、被膜張力を向上させる方法では、特許文献2に示されたように、付与する歪み域が弾性域近傍であり、しかも張力が地鉄の表層にのみかかるものであるため、鉄損の低減効果が小さいという問題がある。
一方、熱歪みの導入には、レーザや電子ビームを用いる方法が考えられており、いずれも照射による鉄損の改善効果が極めて高いことが知られている。
例えば、特許文献3には、電子ビーム照射によってW17/50が0.8W/kgを下回る鉄損を有する電磁鋼板の製造方法が示されている。また、特許文献4には、電磁鋼板にレーザ照射を施すことによって、鉄損を低減する方法が示されている。
ところで、レーザや電子ビームを用いた技術による低鉄損化の課題のひとつに、生産性の向上、すなわち照射効率の向上がある。例えば、連続レーザよりも磁気特性が向上するとされるパルスレーザを照射する場合、QスイッチYAGレーザは、パルス周波数が高々10kHz程度にすぎないため、数十m/h以上の走査速度が望まれる生産ラインに組込むには、数十台のレーザ設備が必要になる。そのため、生産コストが大幅に上昇することになる。ここで、COレーザを使用すれば、周波数を100kHz程度とすることで照射速度を向上させることができる技術が、特許文献5等に示されている。
一方、電子ビームを用いた鋼板の低鉄損化では、真空設備の導入が必須であるという制約はあるものの、偏向コイルに流す電流を調整することによって、20m/s以上という速度で、鋼板表面の電子ビームを走査することが可能であるという利点を有している。
特許第4123679号公報 特公平2-8027号公報 特公平7-65106号公報 特公平3-13293号公報 特開平6-57333号公報 特開2002-12918号公報
「軟磁性材料の最近の進歩」第155・156回西山記念技術講座、社団法人日本鉄鋼協会、平成7年2月1日発行
しかしながら、特許文献5に記載の技術は、ビーム径が0.8mmと非常に大きいため、鋼板に導入される熱影響の領域が過度に拡大し、ビーム径がより小さい他の方法に比べて鉄損の改善効果が小さいという問題がある。
また、近年、アジアを中心に方向性電磁鋼板の需要が高まるなか、さらなる生産性の向上が求められており、より一層の照射速度の向上が課題になっている。
本発明は、上記した現状に鑑み開発されたもので、電子ビームの照射速度を、従来以上に速めた場合であっても、十分に磁区細分化効果を発揮し、優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
通常、鉄損を低減する目的で行う電子ビーム照射は、被照射材(電磁鋼板)の幅端部からもう一方の幅端部へ、偏向コイルによりビームを偏向させて行っている。ただし、電子銃を複数台使用して、1台での照射域を分割しても良い。
また、鋼板の幅方向に対する照射は、偏向コイルを用い、照射時間が、照射位置に沿って、長時間(a1)、短時間(a2)を繰り返すようにして行う。その際、長時間(a1)の照射点と引き続く長時間(a1)の照射点との距離:d(mm)を、本発明ではドットピッチと呼ぶ。なお、本発明において、a2はa1に対して十分短く無視できるため、a1の逆数を、照射周波数とみなすことができる。
ここで、照射周波数を高くすれば、走査速度を速くすることは可能であるものの、照射面への単位長さ当たりの入熱量が減少するため、鉄損の低減効果が薄れる。
従って、通常、ビーム照射を高速化する場合には、ビーム電流を高くすることによって、単位時間当たりの入熱量を増やしている。しかし、ビーム電流が過度に高くなると、収束コイルでビームを細く絞ることができなくなるため、熱影響域が拡大してヒステリシス損の劣化につながる。
ここに、電磁鋼板に対して点列状に電子ビームを照射する場合、
(1) 走査速度(m/s)=照射周波数(Hz)×ドットピッチ(m)
(2) 単位長さ当たりの照射入熱量(J/m)={加速電圧(V)×ビーム電流(A) }/{照射周波数(Hz)×ドットピッチ(m) }
という関係がある。
発明者らは、上記した(1)の式から、ドットピッチを広くすることにより走査速度を高くすることを試みて実験を行い、その結果、以下の知見を得た。
図1(a)および(b)に、電子ビームの照射にかかる熱影響域の様子を模式的に示す。
図1(a)に示したような通常の電子ビーム照射の場合、ドットピッチが0.5mmを超えると、例えビーム電流を高くして、鋼板の単位長さ当たりの照射入熱量を高くしたとしても、鉄損が低減しなくなることが分かった。ここで熱影響域以外に関する電子ビームの照射条件は、後述の好適範囲内とした。
次に、発明者らは、照射入熱量の他に、電子ビームの走査方向(以下、照射方向も同じ方向を意味する)における熱影響域の長さをL(μm)とし、電子ビームの走査方向に対し直角方向における熱影響域の長さをL(μm)としたとき、LとLの比が鉄損に大きく影響するのではないかと考えた。そこで、図1(b)および図2に示すように、熱影響域の各点において、電子ビームを微小変動させることを試みた。
すなわち、L/Lの値が高くなるように、電子ビーム照射条件を調整して種々の試験を行った。その結果、LとLの比を所定の値とすることで、ドットピッチが0.5mmを超えて広くなっても、ビーム電流値を過度に高くすることなく鉄損を十分低減することが可能であることを見出した。さらに、入熱量が少ないために、ヒステリシス損を低減することが可能であることも併せて見出した。
なお、LとLの比を調整した(ビームの照射痕が楕円となる)技術が、特許文献6に示されているものの、かかる技術は、単に、レーザ照射痕が発生しない照射方法を説明しているに過ぎない。
本発明は、上記した知見に基づくものであって、その要旨構成は次のとおりである。
1.圧延方向に対し60から120°の方向に、電子ビームの走査方向に沿って微小変動させた電子ビーム照射により形成された点状の熱影響域を、所定の間隔で有する方向性電磁鋼板であって、
上記電子ビームの走査方向における熱影響域の長さをL(μm)、走査方向に対し直角方向における熱影響域の長さをL(μm)とするとき、これらの比(L/L)を、1.2以上としたことを特徴とする方向性電磁鋼板。
2.方向性電磁鋼板の表面に、圧延方向に対して60から120°の方向に、電子ビームを照射して、所定の間隔で並ぶ点状の熱影響域を形成するに際し、
上記電子ビームの走査方向に沿って、該電子ビームを微小変動させることにより、上記熱影響域の走査方向における長さ:L(μm)と、走査方向に対し直角方向における長さ:L(μm)との比(L/L)を1.2以上とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明に従うことで、鉄損の劣化を招くことなしに、電子ビームの照射速度を、従来にも増して高めることができるため、より一層、電磁鋼板の生産性を向上させることができる。
(a)および(b)は、電子ビームの照射にかかる熱影響域の様子を模式的に示した図である。 熱影響域の各点における電子ビームの走査方向における長さと、ビームの走査方向に対し直角方向における長さを示した図である。 微小変動の有無による電子ビームの走査方向に沿った照射時間を比較して示す図である。
以下、本発明について具体的に説明する。
はじめに、本発明に従う方向性電磁鋼板の製造条件に関して説明する。
本発明において、方向性電磁鋼板用スラブの成分組成は、二次再結晶が生じる成分組成であればよい。また、インヒビターを利用する場合、例えばAlN系インヒビターを利用する場合であればAlおよびNを、またMnS・MnSe系インヒビターを利用する場合であればMnとSeおよび/またはSを適量含有させればよい。勿論、両インヒビターを併用してもよい。この場合におけるAl、N、SおよびSeの好適含有量はそれぞれ、Al:0.01〜0.065質量%、N:0.005〜0.012質量%、S:0.005〜0.03質量%、Se:0.005〜0.03質量%である。
さらに、本発明は、Al、N、SおよびSeの含有量を制限した、インヒビターを使用しない方向性電磁鋼板にも適用することができる。
この場合には、Al、N、SおよびSe量はそれぞれ、Al:100質量ppm以下、N:50質量ppm以下、S:50質量ppm以下、Se:50質量ppm以下に抑制することが好ましい。
本発明の方向性電磁鋼板用スラブの基本成分および任意添加成分について具体的に述べると次のとおりである。
C:0.08質量%以下
Cは、熱延板組織の改善のために添加をするが、0.08質量%を超えると製造工程中に磁気時効の起こらない50質量ppm以下までCを低減することが困難になるため、0.08質量%以下とすることが好ましい。なお、下限に関しては、Cを含まない素材でも二次再結晶が可能であるので特に設ける必要はない。
Si:2.0〜8.0質量%
Siは、鋼の電気抵抗を高め、鉄損を改善するのに有効な元素であるが、含有量が2.0質量%に満たないと十分な鉄損低減効果が達成できず、一方、8.0質量%を超えると加工性が著しく低下し、また磁束密度も低下するため、Si量は2.0〜8.0質量%の範囲とすることが好ましい。
Mn:0.005〜1.0質量%
Mnは、熱間加工性を良好にする上で必要な元素であるが、含有量が0.005質量%未満ではその添加効果に乏しく、一方1.0質量%を超えると製品板の磁束密度が低下するため、Mn量は0.005〜1.0質量%の範囲とすることが好ましい。
上記の基本成分以外に、磁気特性改善成分として、次に述べる元素を適宜含有させることができる。
Ni:0.03〜1.50質量%、Sn:0.01〜1.50質量%、Sb:0.005〜1.50質量%、Cu:0.03〜3.0質量%、P:0.03〜0.50質量%、Mo:0.005〜0.10質量%およびCr:0.03〜1.50質量%のうちから選んだ少なくとも1種
Niは、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させるために有用な元素である。しかしながら、含有量が0.03質量%未満では磁気特性の向上効果が小さく、一方1.50質量%を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化する。そのため、Ni量は0.03〜1.50質量%の範囲とするのが好ましい。
また、Sn、Sb、Cu、P、MoおよびCrはそれぞれ磁気特性の向上に有用な元素であるが、いずれも上記した各成分の下限に満たないと、磁気特性の向上効果が小さく、一方、上記した各成分の上限量を超えると、二次再結晶粒の発達が阻害されるため、それぞれ上記の範囲で含有させることが好ましい。
なお、上記成分以外の残部は、製造工程において混入する不可避的不純物およびFeである。
次いで、上記した成分組成を有するスラブは、常法に従い加熱して熱間圧延に供するが、鋳造後、加熱せずに直ちに熱間圧延してもよい。薄鋳片の場合には熱間圧延しても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進んでもよい。
さらに、必要に応じて熱延板焼鈍を施す。この時、ゴス組織を製品板において高度に発達させるためには、熱延板焼鈍温度として800〜1100℃の範囲が好適である。熱延板焼鈍温度が800℃未満であると、熱間圧延でのバンド組織が残留し、整粒した一次再結晶組織を実現することが困難になり、二次再結晶の発達が阻害される。一方、熱延板焼鈍温度が1100℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化しすぎるために、整粒した一次再結晶組織の実現が極めて困難となる。
熱延板焼鈍後は、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施した後、再結晶焼鈍を行い、焼鈍分離剤を塗布する。焼鈍分離剤を塗布した後に、二次再結晶およびフォルステライト被膜の形成を目的として最終仕上げ焼鈍を施す。
最終仕上げ焼鈍後には、平坦化焼鈍を行って形状を矯正することが有効である。なお、本発明では、平坦化焼鈍前または後に、鋼板表面に絶縁コーティングを施す。ここに、この絶縁コーティングは、本発明では、鉄損低減のために、鋼板に張力を付与できるコーティング(以下、張力コーティングという)を意味する。なお、張力コーティングとしては、シリカを含有する無機系コーティングや物理蒸着法、化学蒸着法等によるセラミックコーティング等が挙げられる。
本発明では、上述した最終仕上げ焼鈍後または張力コーティング後の方向性電磁鋼板に対し、以下に示す条件で電子ビームを照射することによって、磁区細分化処理を施すものである。
続いて、本発明に従う電子ビームの照射方法に関して説明する。
まず、電子ビームの照射条件について説明する。
加速電圧:40〜300kV
加速電圧は、40kV以上であって、高いほど同一出力を得るために必要な照射ビーム電流が少なくて済む。その結果、ビーム径を絞ることができ、ヒステリシス損の過度な増大を抑制することができるため好ましい。しかしながら、300kVを超えると照射ビーム電流が過度に少なくなり、ビーム電流の微小な調整が困難となるおそれがある。
照射径:250μm以下
照射径が太いと、熱影響域が拡大し、鉄損(ヒステリシス損)が劣化する。そのため、照射径は250μm以下が好ましい。
なお、照射径の測定は、公知のスリット法で得られる電流(あるいは電圧)曲線の半値幅で規定した。また、照射径の下限に限定はないが、過度に小さいとビームエネルギ密度が過度に高くなり、照射痕が生成し易くなって、耐電圧性や耐錆性が劣化するため、100μm程度以上とするのが好ましい。
線間隔:1〜15mm
本発明における電子ビーム照射は、偏向コイルによって、被照射材の幅端から幅端へ走査させ、同様の走査を被照射材のライン方向に一定の間隔をおいて繰り返す。この間隔を、本発明では、線間隔と呼ぶ。
ここに、線間隔が1mmより狭いと、熱影響域が拡大し、鉄損(ヒステリシス損)が劣化するおそれがある。一方、15mmより広いと、十分に磁区細分化が成されず、鉄損が改善しない傾向にある。従って、本発明における線間隔は、1〜15mmの範囲とするのが好ましい。
加工室圧力:3Pa以下
加工室内の圧力の値が3Paを超えると、電子銃から発生した電子が散乱され、地鉄に熱影響を与える電子のエネルギが減少するため、十分に磁区細分化が成されず、鉄損が改善しないおそれがある。なお、下限に特に定めはなく圧力は低いほど良い。
なお、幅方向に偏向して照射させる場合は、幅方向のビームが均一になるように、事前に収束電流を調整することが好ましいのは言うまでもない。
電子ビームは、以下に述べる間欠運動を繰り返しながら直線状に鋼板の幅端部から、もう一方の幅端部へ照射する。ただし、始点から終点に向かう方向としては、圧延方向から60から120°の方向とすることが肝要である。というのは、上記した方向を外れると、電子ビームによる磁区細分化効果が十分に発現しないからである。
本発明では、各熱影響域の照射方向の長さを、その直角方向の長さの1.2倍以上とすることが最も重要である。というのは長さの比が1.2より小さい、すなわちL/Lが1.2より小さいと、前述したように、電子ビームによる磁区細分化が十分に成されずに、鉄損低減効果が少なくなってしまうからである。従って、L/Lは1.2以上とする。
ここに、L/Lを1.2以上とするためには、図1(b)に示したように、被照射材表面に照射された電子ビームの走査方向に沿って電子ビームを微小変動させる。かかる変動により、熱影響域が走査方向に長軸となる楕円状あるいはそれに近い形状になる。ついで、幅方向に、このような熱影響域を、所定の間隔(例えば、図1(b)中のドットピッチ)で、照射すればよい。なお、L/Lの上限は特に限定されないものの、鉄損低減効果の観点から1.5以下が好ましい。なお、上記所定の間隔は、必ずしも規則的である必要はなく不規則な間隔でも許容できる。
図3に、微小変動の有無による電子ビームの走査方向に沿った照射時間を比較して示す。同図に示したように、微小変動させた場合は、電子ビームが照射される領域(図中x1で示す)が、微小変動させない場合(図中x2で示す)に比較して走査方向に拡大する。なお、ドットピッチの好ましい範囲は0.2〜0.8mmである。
なお、本発明における熱照射域の簡易的な判断方法として、被膜付きの試料に電子ビームを照射した場合には、照射熱によって生じた被膜剥離の形状(照射痕)を見て判断することができる。また、被膜がない場合や照射痕が目視で不鮮明な場合などでは、EBSPなどを用いて、歪み分布から、熱照射領域を測定することもできる。
上記した方法で観察した照射痕が、設定したドットピッチあるいはそれ以上の間隔で確認できる場合には、1つの照射痕の形状が、上記楕円状あるいは、それに近い形状であるか否かを確認すれば良く、そのような形状であれば、電子ビームの微小変動がなされているものと判別できる。
一方、設定したドットピッチよりも狭い間隔で照射痕が確認できる場合は、上記の微小変動が起こり、1つの熱影響域内で温度のムラが生じて、複数の照射痕が生成したものと考えられることから、各照射痕の間隔を測定し、その間隔が最も狭くなる2つの照射痕を、一つの照射痕として扱う。そして、例えば、20個の照射痕の平均的な間隔が、設定したドットピッチ程度になるまで、ドットピッチの調整を繰り返す。その後に、新しく決めた照射痕の形状を測定し、楕円またはそれに近い形状であれば、電子ビームの微小変動がなされているものと判別できる。
本発明において、個々の熱影響域は、図2、3に示したように、微小変動領域を含む1ドットが鋼板をa1秒の間照射する局所的な領域とする。このとき照射のビームスポットは、公知のスリット法によって測定したビーム径を直径とする円形状として考える。ただし、L1/L2≧1.2であれば、その照射痕は電子ビーム走査方向の長さ/その直角方向の長さ≧1.2の範囲となることが、発明者らによる観察結果より明らかとなっている。従って、厳密なL1、L2が未知であっても、前記した照射痕形状となっていれば、本発明に従う電子ビームの微小変動がなされていることを判別することができる。
ここに、照射周波数の逆数は、1ドット当たりの照射時間であるが、微小変動させる場合、その微小変動の照射時間を含むものとする。
本発明において、上述した工程や製造条件以外については、従来公知の電子ビームを用いた磁区細分化処理を施す方向性電磁鋼板の製造条件を、適用することができる。
本発明は、上記した各条件を満足することにより、圧延方向に対し60から120°の方向に、電子ビームを照射し、所定間隔で点状の熱影響域を形成した方向性電磁鋼板であって、電子ビームの走査方向における点状の熱影響域の長さをL(μm)、走査方向に対し直角方向における長さをL(μm)とするとき、これらの比(L/L)を1.2以上とすることができる。その結果、電子ビーム照射の走査速度が速くても、鉄損が低い方向性電磁鋼板を得ることができる。
表1に示す成分組成になる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1430℃に加熱後、熱間圧延により板厚:1.6mmの熱延板としたのち、1000℃で10秒の熱延板焼鈍を施した。
ついで、冷間圧延により中間板厚:0.55mmとし、雰囲気酸化度PH2O/PH2=0.37、温度:1100℃、時間:100秒の条件で中間焼鈍を実施した。その後、塩酸酸洗により表面のサブスケールを除去したのち、再度、冷間圧延を実施して、板厚:0.23mmの冷延板とした。
ついで、雰囲気酸化度PH2O/PH2=0.45、均熱温度:850℃で150秒保持する脱炭焼鈍を施したのち、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布した。その後、二次再結晶と純化を目的とした最終仕上げ焼鈍を1180℃、60hの条件で実施した。
この最終仕上げ焼鈍では、700℃以上の温度領域の冷却過程における平均冷却速度を変化させた。ついで、50%のコロイダルシリカとリン酸マグネシウムからなる張力コーティングを付与し、鉄損を測定した。鉄損は、渦電流損(1.7T、50Hz)が0.56〜0.58W/kgであった。
Figure 0005953690
その後、表2に示す各照射条件で電子ビームを照射する磁区細分化処理を施し、得られた鋼板の鉄損を、JIS C2556に準拠して測定した。
測定結果を表3に示す。
Figure 0005953690
Figure 0005953690
記号1と2、3と4および6と7を比較すると、L/Lを1.2以上に大きくすることで、電子ビーム照射前後の全鉄損変化量の大きさ(ΔW17/50の絶対値)がほぼ同等であっても、ヒステリシス損が低く、さらにドットピッチ×周波数で表される走査速度が速くなっていることが分かる。
また、記号5をみると、L/Lを、1.00より大きくしたとしても1.2以上でなければ、鉄損が十分低減しないことが分かる。他方、記号6と8を比較すると、単純に、周波数を高くし、ビーム電流を高くして、走査速度を速くした場合には、ヒステリシス損の増大が影響して、鉄損の低減効果が低くなってしまうことが分かる。
なお、以上の実施例では、主にインヒビター成分を含んだ方向性電磁鋼板について説明したが、いわゆるインヒビターレスと言われる成分の鋼板についても同様の結果が得られることを確認している。

Claims (2)

  1. 圧延方向に対し60から120°の方向に、電子ビームの走査方向に沿って微小変動させた電子ビーム照射により形成された点状の熱影響域を、所定の間隔で有する方向性電磁鋼板であって、
    上記電子ビームの走査方向における熱影響域の長さをL(μm)、走査方向に対し直角方向における熱影響域の長さをL(μm)とするとき、これらの比(L/L)を、1.2以上としたことを特徴とする方向性電磁鋼板。
  2. 方向性電磁鋼板の表面に、圧延方向に対して60から120°の方向に、電子ビームを照射して、所定の間隔で並ぶ点状の熱影響域を形成するに際し、
    上記電子ビームの走査方向に沿って、該電子ビームを微小変動させることにより、上記熱影響域の走査方向における長さ:L(μm)と、走査方向に対し直角方向における長さ:L(μm)との比(L/L)を1.2以上とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
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