JP5949822B2 - 硬度測定用組成物、硬度測定用試薬キット、硬度測定方法、及び硬度測定装置における汚れ防止方法 - Google Patents

硬度測定用組成物、硬度測定用試薬キット、硬度測定方法、及び硬度測定装置における汚れ防止方法 Download PDF

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Description

本発明は、硬度測定用組成物、硬度測定用試薬キット、硬度測定方法、及び硬度測定装置における汚れ防止方法に関する。
従来から、冷却器及びボイラ等の冷熱設備、並びに純水製造設備の前処理等においては、設備内でのスケール付着を防止する観点から、工業用水及び生活用水等の原水中に含まれる硬度成分(Caイオン及びMgイオン)を除去するための装置が用いられている。
例えば、イオン交換樹脂を利用した軟水化装置を給水ラインに接続して、原水中の硬度成分をNaイオンに置換して、得られた軟化処理水を給水として利用している。
また、前述のイオン交換樹脂が再生不良やイオン交換樹脂の劣化等の影響により、硬度成分のリーク、いわゆる硬度漏れが生じることがあるため、この硬度成分のリークを監視することが行われている。例えば、特許文献1には、「エリオクロムブラックT(EBT)、pH緩衝剤およびマスキング剤を主成分とし、Mg−EDTAを混入して成る硬度指示薬」を用いて、硬度漏れを確認する技術が開示されている。
近年では、前述の設備を安定的に若しくは効率的に運転させるため、被測定水中に含まれる硬度成分を分析する自動測定装置が用いられており、硬度成分のリークの監視が、連続又は定期的に行われている(例えば特許文献2参照)。
特開平11−64323号公報 特開2011−174786号公報
被測定水には、硬度測定装置の内部に付着し、測定不良を生じさせる物質が存在する場合があり、そのような物質をストレーナーや膜により除去することが行われている。
しかしながら、水中に溶存する物質やフィルターでは除去できない非常に細かい微粒子が存在することがあり、それら汚れ成分による測定不良を防止することが望まれる。
そこで本発明は、水の硬度測定装置の測定部分に、被測定水中に含まれる成分の付着による測定不良を生じ難い硬度測定用組成物を提供することを主目的とする。
すなわち、本発明は、エリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素と、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤と、を含有する硬度測定用組成物を提供する。
前記硫酸エステル型アニオン性界面活性剤は、下記一般式(1)で表される界面活性剤としてもよい。
上記一般式(1)中、Rは炭素数8〜18のアルキル基、アルケニル基、又はアリール基を示し、Mは第1族元素、第2族元素、アンモニウム、又はアルカノールアミンを示し、nは0〜10の数を示す。
また、前記硫酸エステル型アニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としてもよい。
本発明に係る硬度測定用組成物では、前記色素の含有割合を0.05〜1.0質量%とし、前記硫酸エステル型アニオン性界面活性剤の含有割合を0.1〜10質量%としてもよい。
本発明の硬度測定用組成物には、さらに、トリエタノールアミン、アルキルアルコール、及びグリコールからなる群から選ばれる1種以上を含有してもよい。
本発明はまた、エリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素を含有する組成物Aと、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤を含有する組成物Bと、を有する硬度測定用試薬キットを提供する。
さらに本発明は、エリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素と、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤と、を被測定水に添加する工程を含む、水の硬度測定方法を提供する。
また、本発明は、水の硬度を測定する装置における測定部分で、エリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素と、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤とを、被測定水に添加する工程を含む、硬度測定装置における汚れ防止方法を提供する。
本発明によれば、水の硬度測定装置の測定部分に、被測定水中に含まれる成分の付着による測定不良を生じ難い硬度測定用組成物を提供することができる。
図1は、硬度測定用組成物を使用した被測定水の硬度を測定するための試験用装置を説明するための概要図である。 図2は、実験例2において、比較例4及び実施例5を連続的に同水質のサンプル水を用いて測定した際の試験経過日数とその光量の割合の推移を示すグラフである。 図3は、実験例3において各試薬を用いた際の、比色管底部への汚れ付着状況を撮影した図面代用写真である。 図4は、実験例4において各試薬を用いた際の、比色管底部への汚れ付着状況を撮影した図面代用写真である。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
[硬度測定用組成物]
本発明の実施形態に係る硬度測定用組成物は、エリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素と、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤と、を含有する。
<色素>
本実施形態に係る硬度測定用組成物では、色素成分として、エリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素が用いられる。
色素成分として用いられるエリオクロムブラックTは、下記式(2)で表される指示薬であり、3−ヒドロキシ−4−[(1−ヒドロキシ−2−ナフタレニル)アゾ]−7−ニトロ−1−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、3−ヒドロキシ−4−[(1−ヒドロキシ−2−ナフチル)アゾ]−7−ニトロナフタレン−1−スルホン酸ナトリウム、モルダントブラック11等とも称される。
色素成分として用いられるカルマガイトは、下記式(3)で表される構造を有する指示薬であり、3−ヒドロキシ−4−[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アゾ]−1−ナフタレンスルホン酸、1−(1−ヒドロキシ−4−メチル−2−フェニルアゾ)−2−ナフトール−4−スルホン酸とも称される。
エリオクロムブラックT及びカルマガイトは、アルカリのpH領域で、被測定水中に含まれるCaやMg等の硬度成分とキレート化合物を形成することで青色から赤色へ明瞭に変色する色素である。エリオクロムブラックT及びカルマガイトは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよく、混合して用いてもよい。
エリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素の含有割合は特に限定されないが、硬度測定用組成物中、0.05〜1.0質量%が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%がさらに好ましい。色素の含有割合をかかる範囲とすることにより、被測定水中に残留塩素が存在していても、その残留塩素濃度の高低にかかわらず、被測定水を実際の硬度に対応した色相とすることが可能となる。
<硫酸エステル型アニオン性界面活性剤>
本実施形態に係る硬度測定用組成物には、前述の色素成分とともに、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤が含まれている。
硫酸エステル型アニオン性界面活性剤は、下記一般式(4)で表される硫酸エステルに由来する結合単位を有するアニオン性(陰イオン系)の界面活性剤である。
−O−SO−O ・・・(4)
ここで、上記一般式(4)中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。このRは特に限定されず、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキレン基、アリール基、及びアリーレン基等が挙げられる。
がアルキル基又はアルケニル基である場合、その炭素数は8〜18が好ましく、10〜16がより好ましい。Rがアルキレン基である場合、その炭素数は1〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。Rがアリール基である場合はフェニル基が好ましく、Rがアリーレン基である場合はフェニレン基が好ましい。
硫酸エステル型アニオン性界面活性剤(以下、「硫酸エステル型界面活性剤」と記すこともある。)としては、アルキル硫酸エステル塩及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。
また、硫酸エステル型界面活性剤としては、下記一般式(1)で表されるものも好ましい。
上記一般式(1)中、Rは炭素数8〜18のアルキル基、アルケニル基、又はアリール基を示し、Mは周期表第1族元素、周期表第2族元素、アンモニウム、又はアルカノールアミンを示し、nは0〜10の数を示す。
上記一般式(1)において、Rはアルキル基であるのが好ましく、Rの炭素数は10〜16が好ましく、12〜15がより好ましい。また、Rは直鎖でも分岐鎖でもよい。
上記一般式(1)において、対イオンであるMは、Na、K、アンモニウム(NH)、又はトリエタノールアミン(HN(COH))であるのが好ましく、Na又はHN(COH)であるのがより好ましい。
上記一般式(1)において、付加モル数であるnは0〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。
硫酸エステル型界面活性剤は、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びポリオキシエチレンアルキルフェノールスルホン酸塩からなる群から選択される1種以上が好ましい。これらのうち、硫酸エステル型界面活性剤として、少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を用いることがより好ましい。
アルキル硫酸エステル塩の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン及びラウリル硫酸アンモニウム等のラウリル硫酸エステル塩、並びにミリスチル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸トリエタノールアミン及びミリスチル硫酸アンモニウム等のミリスチル硫酸エステル塩等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル塩(ラウレス硫酸エステル塩)等が挙げられる。
なお、本実施形態の硬度測定用組成物では、市販の硫酸エステル型アニオン性界面活性剤を用いることができる。
前述のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の市販品としては、例えば、三洋化成工業株式会社製の商品名「サンデットEND」(アルキル基:炭素数12〜15、エチレンオキサイド付加モル数:3、対イオン:Na)、商品名「サンデットEN」(アルキル基:炭素数12、エチレンオキサイド付加モル数:2、対イオン:Na)、及び商品名「サンデットET」(アルキル基:炭素数12、エチレンオキサイド付加モル数:4、対イオン:トリエタノールアミン)、並びに花王株式会社製の商品名「エマール20T」(アルキル基:炭素数12、エチレンオキサイド付加モル数:3、対イオン:トリエタノールアミン)、及び商品名「エマール20C」(アルキル基:炭素数12、エチレンオキサイド付加モル数:3、対イオン:Na)等を挙げることができる。
前述の硫酸エステル型アニオン性界面活性剤の含有割合は特に限定されないが、硬度測定用組成物中、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜8.0質量%がより好ましく、0.3〜6.0質量%がさらに好ましい。硫酸エステル型界面活性剤の含有割合をかかる範囲とすることにより、水の硬度を測定する際に、硬度測定装置における測定部分に汚れを付着し難くすることが可能となる。
<その他成分>
(安息香酸若しくはその塩、p−ヒドロキシ安息香酸エステル)
硬度測定用組成物には、前述の色素及び硫酸エステル型界面活性剤のほかに、安息香酸若しくはその塩、及び/又はp−ヒドロキシ安息香酸エステルが含有されていてもよい。
安息香酸の塩としては、例えばナトリウム塩やカリウム塩などを挙げることができる。また、p−ヒドロキシ安息香酸エステルとしては、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数7〜10のアラルキル基を有するものが挙げられる。
p−ヒドロキシ安息香酸エステルにおける炭素数1〜5のアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、及びシクロペンチル基等が挙げられる。
一方炭素数7〜10のアラルキル基としては、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基、及びフェニルプロピル基等が挙げられる。
p−ヒドロキシ安息香酸エステルの具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸イソブチル、及びp−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができる。
硬度測定用組成物には、前述の安息香酸、安息香酸塩及びp−ヒドロキシ安息香酸エステルからなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。
硬度測定用組成物中に、安息香酸若しくはその塩及び/又はp−ヒドロキシ安息香酸エステルが含有される場合、その含有割合は、硬度測定用組成物中、0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。このような含有割合で安息香酸等を用いることにより、硬度測定用組成物が被測定水によって20〜500倍程度希釈された場合であっても、被測定水中の微生物の増殖を抑制し、硬度測定装置における測定部分の汚染を防ぎ易くすることが可能となる。
(トリエタノールアミン、アルキルアルコール、グリコール)
硬度測定用組成物には、前述の色素及び硫酸エステル型界面活性剤のほかに、トリエタノールアミン、アルキルアルコール、及びグリコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上が含有されていてもよい。
トリエタノールアミンは、例えば、被測定水のpHを10付近に維持して、前述した色素の発色を安定化するために用いられる。トリエタノールアミンの含有割合は特に限定されないが、硬度測定用組成物中、20〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。トリエタノールアミンをかかる割合で含むことにより、硬度測定用組成物が、被測定水によって20〜500倍程度希釈された場合であっても、被測定水のpHを10付近に維持して、前述した色素の発色の安定化を図ることができる。
アルキルアルコール及びグリコールは、例えば、硬度測定用組成物の溶媒又は不凍液として用いられる。アルキルアルコールとしては、例えばエタノール、n−プロパノール、及びイソプロパノール等を挙げることができる。一方、グリコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、及びジプロピレングリコール等を挙げることができる。
本発明においては、アルキルアルコール及びグリコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルキルアルコール及びグリコールの含有割合は特に限定されないが、溶媒又は不凍液としての作用の観点から、硬度測定用組成物中、5〜70質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましい。
<他の任意成分>
本実施形態の硬度測定用組成物においては、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、他の任意成分、例えば残留塩素固定化成分、還元剤、pH緩衝剤、キレート剤、マスキング剤、増感剤、劣化防止剤、消泡剤等の添加剤を適宜含有させることができる。
(残留塩素固定化成分)
被測定水が次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤で殺菌処理されている場合、当該被測定水中に残留塩素が存在するおそれがある。この残留塩素濃度が被測定水中に、約1.5mg/L以上になると、当該色素を用いた硬度測定用組成物の発色が妨害されるおそれがある。
したがって、残留塩素が被測定水中に約1.5mg/Lの濃度で含まれている場合、硬度測定用組成物中に残留塩素固定化成分を含有させることが好ましい。
残留塩素固定化成分は、残留塩素と反応して、例えばクロラミン、クロロイミン、及びクロロイミド等の結合塩素を生成する化合物である。この残留塩素固定化成分としては、例えば一級アミン、二級アミン、及びこれらの塩、並びにアンモニウム塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
一級アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン等のアルキルアルコールアミン、ブチルアミン等の直鎖アルキルアミン、シクロヘキシルアミン等の環状アルキルアミン、アニリン等の芳香族アミン、及びアミノ酸類等が挙げられる。
二級アミンとしては、例えば、ジエタノールアミン等のアルキルアルコールアミン、ジエチルアミン等の直鎖アルキルアミン、アザシクロヘキサン(ピペリジン)等の環状アルキルアミン、ジフェニルアミン等の芳香族アミン、及びアミノ酸類等が挙げられる。これらの中では、残留塩素濃度の影響を受けず、被測定水中の硬度に対応した被測定水の発色安定性を確保する観点から、例えばモノエタノールアミン及びジエタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが好ましい。
残留塩素固定化成分の含有割合は特に限定されず、通常、硬度測定用組成物中、0.3〜3.0質量%であり、好ましくは0.5〜2.0質量%である。残留塩素固定化成分の含有割合をかかる範囲に設定することにより、残留塩素濃度の高低にかかわらず被測定水を実際の硬度に対応した色相とすることができる。
(還元剤)
還元剤は、前述した残留塩素固定化成分と同様に、被測定水中に残留塩素が存在している場合に、該残留塩素による、色素を用いた硬度測定用組成物の発色に対する妨害を抑制するために用いられる。
この還元剤としては、例えば、塩酸ヒドロキシルアミン、アスコルビン酸、ヒドロキノン、硫酸コバルト、イソアスコルビン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト、亜硫酸ナトリウム、塩化スズ、亜硫酸アンモニウム、メチルエチルケトオキシム、ロンガリット、及びグルコース等が挙げられる。これら具体例の還元剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
還元剤を配合した硬度測定用組成物を用いることにより、残留塩素濃度の高低にかかわらず被測定水を実際の硬度に対応した色相とすることができる。
還元剤の含有量は特に限定されないが、硬度測定用組成物全量中に、0.3〜3.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。
なお、硬度測定用組成物に還元剤を含有する場合には、前述の硫酸エステル型界面活性剤と、必要に応じて用いられる各種の添加成分を混合した後、これに前述の色素を加えて、調製するのが有利である。
(pH緩衝剤)
pH緩衝剤は、被測定水中のMアルカリ度の高低に関わらず、被測定水のpHを所望の値に保持して、前述の色素を含む硬度測定用組成物の発色を安定化させるためのものである。
このpH緩衝剤としては、一級アミン及び二級アミンからなる群から選択されるアミン類と弱塩基の塩との組み合わせからなるものが好ましい。一級アミン及び二級アミンの具体例は、前述の残留塩素固定化成分で述べたものと同様である。また、pH緩衝剤としても、被測定水の発色安定性の観点から、例えばモノエタノールアミン及びジエタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが好ましい。
弱塩基の塩としては、例えばアンモニウム塩、一級アミン塩、及び二級アミン塩等が挙げられる。アンモニウム塩としては、例えば塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、臭化アンモニウム、及びシュウ酸アンモニウム等が挙げられる。
一級アミン塩としては、例えば、モノエタノールアミン等のアルキルアルコールアミン、ブチルアミン等の直鎖アルキルアミン、シクロヘキシルアミン等の環状アルキルアミン、アニリン等の芳香族アミン、及びアミノ酸類等の、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩及びシュウ酸塩等の酸塩が挙げられる。
二級アミン塩としては、例えば、ジエタノールアミン等のアルキルアルコールアミン、ジエチルアミン等の直鎖アルキルアミン、アザシクロヘキサン等の環状アルキルアミン、ジフェニルアミン等の芳香族アミン、及びアミノ酸類等の、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩等が挙げられる。
前記アミン類と前記弱塩基の塩との組み合わせは特に限定されないが、被測定水の発色安定性の観点から、アルキルアルコールアミン−アンモニウム塩が好ましく用いられる。
pH緩衝剤が用いられる場合、そのpH緩衝材の含有割合は特に限定されないが、他の成分が有する作用を阻害させない観点から、硬度測定用組成物中、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
(キレート剤)
キレート剤は、管理硬度付近において、硬度測定用組成物により、被測定水が鋭敏に変色し、これにより硬度成分の漏れを判別し易くするためのものである。
当該キレート剤としては、有機系キレート剤又は無機系キレート剤を用いることができる。
有機系キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トランス−1、2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸(CyDTA)、o,o’−ビス(2−アミノエチル)エチレングリコール四酢酸(GEDTA)等のアミノカルボン酸、クエン酸、及びグルコン酸等のアルカリ金属塩が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機系キレート剤としては、例えば、ピロリン酸、ポリリン酸、及びメタリン酸等の公知のリン酸化合物のアルカリ金属塩が挙げられる。これらの中では、色素に比べて硬度成分と優先的に反応するキレート形成能の観点から、有機系キレート剤が好ましい。有機系キレート剤の中ではアミノカルボン酸のアルカリ金属塩が好ましい。アミノカルボン酸のアルカリ金属塩の中では、前記キレート形成能及び経済性の観点から、EDTAのアルカリ金属塩が好ましい。
キレート剤のアルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、たとえばNa及びKが挙げられる。EDTAのアルカリ金属塩としては、たとえばEDTA−Na、EDTA−K、EDTA−2Na、EDTA−2K、EDTA−3Na、EDTA−3K、EDTA−4Na、EDTA−4K等が挙げられ、これらの中では、被測定検水に添加したときの優れた溶解性の観点から、EDTA−2Na、EDTA−3Na及びEDTA−4Naが好ましい。
上記キレート剤の含有割合は特に限定されないが、管理硬度付近において、被測定水を鋭敏に変色させる観点から、被測定水中に[管理硬度−0.1〜2.0ppm]相当添加できるように、硬度測定用組成物中に含まれるのが好ましい。
硬度測定用組成物においては、前述した残留塩素固定化成分、還元剤、pH緩衝剤及びキレート剤以外に、さらに必要に応じてマスキング剤、増感剤、劣化防止剤、消泡剤などの添加剤を含有させることができる。
マスキング剤は、被測定水中のFe、Mn及びAl等の妨害イオンと錯体を形成することで被測定水の発色を安定化するものである。このマスキング剤としては、例えばトリエタノールアミン、及びKCN等が挙げられる。これらの中では排水した際の安全性の観点から、トリエタノールアミンが好ましく用いられる。
増感剤は、被測定水中のCa2+をMg2+へ置換することで被測定水の発色性を増感させるものであり、例えばEDTA−Mgが好ましく用いられる。劣化防止剤は、硬度測定用組成物が50℃以上の高温におかれた場合でも色素の劣化を防止するものであり、例えばソルビン酸カリウムが好ましく用いられる。
消泡剤は、測定容器に収容した被測定水中の泡を消泡するものであり、例えば非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。
硬度測定用組成物の形態は、特に限定されず、液状、固体状、半固体状の何れでもよい。液状の場合、試薬調整の手間が軽減できるので、好適である。
硬度測定用組成物の形態としては、前述の色素と、前述の硫酸エステル型界面活性剤と、必要に応じて用いられるその他成分を含有する一液型がより好適である。
また、前述の色素と、必要に応じてその他成分を含んでもよい第一試薬、及び硫酸エステル型界面活性剤と、必要に応じてその他成分を含んでもよい第二試薬の組み合わせからなる二液型として用いることも可能である。二液型の場合、被測定水の硬度測定時に、該検水に前記第一試薬及び第二試薬を添加する。なお、二液型の場合、後記の「硬度測定用試薬キット」の形態とすることができる。
硬度測定用組成物を用いる被測定水の硬度測定は、被測定水の色相の変化を観察することにより行われるが、該色相の変化の観察は、目視観察又は分光光度計による色の測定等によって行うことができる。
被測定水の色相は、硬度成分と硬度測定用組成物に含まれる色素とが反応して生成したキレート化合物と、未反応(フリー)の色素との存在比によって決まる。具体的には、色素としてEBTを用いた場合、被測定水中の硬度が高くなるに従い、その被測定水の色相が青色から青紫色へと変色し、さらには赤紫色を経て赤色に至る。
硬度測定用組成物は、例えば硬水軟水化装置に用いられるイオン交換樹脂の再生不良や劣化などで生じる軟水処理水への硬度成分のリークを監視し、軟水処理水の硬度成分が許容濃度を超えた場合には、前記イオン交換樹脂の再生や、メンテナンス等の措置をとるために用いられる。
また、硬度の検査対象としては、このような硬水軟水化装置を通過した軟水処理水だけに限らず、硬水軟水化装置を通過する前の原水の硬度や、冷熱機器類へ供給するまでのあらゆる給水、冷温水系内の水、あるいはボイラ水などの硬度を挙げることができる。
以上に述べた本実施形態の硬度測定用組成物によれば、水の硬度を測定する際の試薬として用いることができ、あわせて、水の硬度測定装置の測定部分に被測定水中に含まれる金属イオンや微粒子等の汚れ成分を付着し難くすることができる。そのため、この硬度測定用組成物により、硬度測定装置における測定セル部分やセンサー部分に汚れが付着することによる測定不良を生じ難くすることができる。
この硬度測定用組成物を測定装置における測定部分(測定セル)内で被測定水に添加すると、その組成物中に含まれる硫酸エステル型界面活性剤が、被測定水中に存在する微粒子や生成した析出物の表面に吸着し分散させることで測定セル表面への付着が防止されると考えられる。そして、これにより、硬度測定装置における測定部分の汚れを防止することができると考えられる。
前述の硬度測定用組成物では、水中に溶存する物質やフィルターで除去できない微粒子による、硬度測定装置における測定部分の汚れを付着し難くすることが可能となる。また、汚れが顕著となるような、無処理の井水を直接軟化処理した水や、ボイラのドレン水等のpHが低く金属が溶存している水を被測定水とする場合でも、前述の硬度測定用組成物を利用することができる。
[硬度測定用試薬キット]
本発明の実施形態に係る硬度測定用試薬キットは、前述のエリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素を含有する組成物Aと、前述の硫酸エステル型アニオン性界面活性剤を含有する組成物Bと、を有する。
例えば、前述のエリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素を含有する組成物Aと、前述の硫酸エステル型アニオン性界面活性剤を含有する組成物Bと、をそれぞれ別個の容器に収容し、試薬キットの形態として提供することができる。このようにすることで、ユーザーが、測定対象となる被測定水や、用いられる硬度測定装置に応じて、色素と界面活性剤との割合を調整して使用することができる。
この硬度測定用試薬キットは、前述の硬度測定用組成物において説明した「その他の成分」、「他の任意成分」を有することが好ましい。この場合、各成分は、前述の色素及び硫酸エステル型アニオン性界面活性剤とは別個の容器に収容されていてもよく、前述の組成物A及び/又は組成物Bに含有されていてもよい。
[硬度測定方法]
本発明の実施形態に係る、水の硬度測定方法は、エリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素と、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤と、を被測定水に添加する工程を含む。
この硬度測定方法において、色素、及び硫酸エステル型アニオン性界面活性剤を混合して、前述の硬度測定用組成物の形態で被測定水に添加する場合、それらの配合割合は、前述の「硬度測定用組成物」で説明した含有割合と同じ割合とすることが好ましい。
また、この硬度測定方法においても、前述の「硬度測定用組成物」で説明した「その他成分」及び「他の任意成分」を用いることが好ましい。この場合、「その他成分」、及び「他の人に成分」の配合割合も、前述の「硬度測定用組成物」で説明した含有割合と同じ割合とすることが好ましい。
前述の硬度測定用組成物の添加量は、被測定水に対して、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%となるように、硬度測定用組成物を添加する。
また、硬度測定用組成物が液状の形態である場合、被測定水1Lに対する硬度測定用組成物の添加量は、好ましくは0.5〜100mL/L、より好ましくは1〜50mL/L、さらに好ましくは5〜30mL/Lとすることができる。
前述の色素、及び硫酸エステル型アニオン性界面活性剤を別々で被測定水に添加する場合、色素の添加量は、被測定水に対し、例えば0.0001〜0.1質量%程度となるように、色素を被測定水に添加することができる。硫酸エステル型アニオン性界面活性剤の添加量は、被測定水に対し、例えば0.001〜1質量%程度となるように当該界面活性剤を被測定水に添加することができる。
なお、前述の硬度測定方法を、被測定水の硬度成分を分析するための装置のCPU等を含む制御部及び記録媒体(不揮発性メモリ(USBメモリ等)、HDD、CD等)等を備えるハードウェア資源にプログラムとして格納し、制御部によって実現させることも可能である。
[汚れ防止方法]
本発明の実施形態に係る汚れ防止方法は、水の硬度を測定する装置(硬度測定装置)における測定部分で、エリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素と、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤とを、被測定水に添加する工程を含む。
この汚れ防止方法を実行するにあたり、色素及び硫酸エステル型界面活性剤を混合して添加する場合のそれらの配合割合、それらを混合した硬度測定用組成物の被測定水に対する添加量、色素及び硫酸エステル型界面活性剤を別々に添加する場合のそれらの添加量は、前述の「硬度測定方法」で述べた場合と同様とすることが好ましい。
この汚れ防止方法では、水の硬度測定装置における測定セル部分やセンサー部分といった測定部分が、被測定水中に含まれる汚れ成分により汚染されるのを有効に防止することが可能となる。また、硬度測定装置において、前述の色素及び硫酸エステル型界面活性剤を被測定水に添加した後の呈色後の被測定水が流れる流路(例えば、排出流路)の内部においても、被測定水中に含まれる汚れ成分の付着による汚染を防止することが可能となる。
以下に実験例を挙げて、本発明の効果をより具体的に説明する。
[実験例1]
図1は、実施例及び比較例において、硬度測定用組成物を用いて被測定水の硬度を測定するための試験用装置の概要図である。当該試験用装置は、検水タンク1中の被測定水を、定流量電磁弁5及び流量計8を介して硬度測定用セル2に供給するためのライン11が配設されている。また、硬度測定用試薬タンク3中の当該組成物を、ポンプ7を介して硬度測定用セル2に供給するためのライン12が配設されている。
前記硬度測定用セル2には、透明窓9と液面センサー10が付設されており、また底部には、スターラー4によって回転する攪拌子(図示せず)が備えられている。硬度測定用セル2中の硬度測定後の被測定水は、電磁弁6を介してライン13を通って排出される。
<硬度測定用組成物の調製>
表1に示す配合組成を有する硬度測定用組成物1〜7(以下、「試薬1〜7」と記すことがある。)を調製した。
なお、表1における「サンデットEND」は、三洋化成工業株式会社製の商品名であり、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤の1種であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(アルキル基:炭素数12〜15、エチレンオキサイド付加モル数:3)である。
また、表1における「サンノニックFN100」及び「セドランFF210」はいずれも、三洋化成工業株式会社製の商品名であり、非イオン性界面活性剤の1種であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルである。
<実験条件>
試験水(被測定水)は栃木県野木町町水を軟化した水を給水としたボイラの蒸気の凝縮水を用いた。蒸気は、銅製や鉄製の熱交換器や配管によって凝縮したものを用いたため、pHは約5〜6程度で鉄及び銅イオンをそれぞれ0.5〜2.0mg/L、0.1〜0.5mg/L含む。
本試験水を、連続的に検水タンク1に供給し、オーバーフローさせながら、常にフレッシュなサンプルを供給して試験を実施した。
なお、一般的に汚れの防止効果が高いと考えられる非イオン性界面活性剤についても上記表1に記載されているように、評価を実施した。陽イオン性界面活性剤については、硬度不検出の検水に用いても発色が赤紫色を呈したため、適用評価は実施しなかった。
(検水の硬度測定)
上記試薬1〜7を用いて、次の操作を行った。
(1)まず、定流量電磁弁5を開いて、検水タンク1中の被測定水を、流量計8及びライン11を介して容量30mLの硬度測定用セル2に導入し、液面センサー10で液量を検知して液量が20mLに達した時点で定流量電磁弁5を閉止した。
(2)次いで、硬度測定用組成物タンク3中の該組成物(各試薬)を、硬度測定用セル2内の被測定水に対して、100μLになるようにポンプ7を介して添加したのち、スターラー4により攪拌子を回転させて攪拌混合した。
(3)次に、充分に攪拌混合したのち、検水の色調を、硬度測定用セル2に設けた透明窓9から、白色LEDとRGBフォトセンサーを用いて製作した色調分析装置により測定した。
(4)この後、硬度測定用セル2に対して、検水の排水、給水を10回繰り返し実施して、充分に該セル2内を洗浄した。
(5)上記(1)〜(4)の操作を5分間ごとに繰り返し実施した。
上記操作を継続的に実施して、2週間、4週間及び6週間経過後の硬度測定用セル2の外観を確認した。その結果を表2に示す。
[実験例2]
<実験条件>
試験水(被測定水)は井戸水を軟化した水を用いた。本井戸水の中には微量な0.5mg/L以下の鉄、マンガンなどが含まれている。連続的に3Lの検水タンクに流速3L/hで供給し、オーバーフローさせながら(オーバーフローしたものは廃棄)、常にフレッシュなサンプルを供給しながら、実験例1で述べた検水の硬度測定と同様の試験を実施した。その結果を表3に示す。
また、本試験条件において、比較例4、実施例5を連続的に同水質のサンプル水を用いて測定を実施した。試験開始時の光量を100%として、試験経過日数とその光量の割合の推移を図2に示した。この試験では、まず、比較例4の試薬1を用いて60日間試験を行い、60日間経過後に、硬度測定用セル2を洗浄して、実施例5の試薬4に切り替え、60日間試験を行った。なお、光量は、HACH社製の吸光光度計を用いて波長660nmにて測定した。
実験例1及び実験例2の結果より、一般的に汚れの防止効果が高いと考えられる非イオン性界面活性剤(試薬2及び3)を用いた場合では、測定開始から2週間経過後以降、硬度測定用セル2への付着物が目視にて確認され、6週間及び8週間経過後においては測定エラーの状態になった(比較例2、3、5及び6)。
これに対し、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤を用いた場合では、8週間経過後においても硬度測定セル2への付着物が目視にて確認されず、測定エラーの状態にならなかった(実施例1〜4及び5〜8)。よって、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤を含む硬度測定用組成物を被測定水に添加することにより、硬度測定装置の測定部分の汚れが生じ難く、測定不良を抑制することができると考えた。
[実験例3]
<実験条件>
実験例3では、表4に示す試薬8〜14を使用して、試薬11で用いた硫酸エステル型アニオン性界面活性剤を被測定水に添加する場合の汚れ防止効果をさらに確認する試験を行った。
試薬8〜14のそれぞれについて、ガラス製比色管に25mLの純水をとり、0.5μmの粒度を持つFeを20mg加え、さらに当該試薬を0.5mL加えた。色素であるEBTについては、本試験では汚れの判別のため敢えて添加しなかった。
転倒攪拌を充分に行った後、室温(20〜25℃)に静置し、1週間後の比色管底部に付着した汚れを目視で比較した。その1週間後の各比色管を逆さまにし、比色管底部を上側にした状態を撮影した図面代用写真を図3に示す。
なお、上記表4における「サンノニックFN140」、及び「セドランFF220」は、いずれも三洋化成工業株式会社製の商品名であり、非イオン性界面活性剤の1種であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルである。
また、上記表4における「ブラウノンN509」は、青木油脂工業株式会社製の非イオン性界面活性剤の1種であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルである。
<試験結果>
図3より、比色管のガラス表面への付着量は、試薬11(「サンデットEND」配合)<試薬12(「セドランFF210」配合)<試薬13(「セドランFF220」配合)<試薬10(「ブラウノンN509」配合)≒試薬8(「サンノニックFN100」配合)<試薬9(「サンノニックFN140」配合)≒試薬14(blank)の順で増加したことが確認された。
また、試薬8〜14をそれぞれ加えた各比色管について、比色管内の試薬を含む試験液を廃棄した後に純水を加え、その比色管の側部に発光部と受光部とを対向させて配置し、発光部から受光部へ波長660nmの光を照射した際の比色管を通過した透過率を測定した。この際、実験例3の試験前に予め比色管内に純水を入れて透過率を測定しておき、試験後に比色管内の試薬を含む試験液を廃棄した後、比色管内に純水を加えて手早く測定を行った。
この結果、透過率は、試薬11が添加されていた比色管では約100%、試薬12が添加されていた比色管では約95%、試薬13が添加されていた比色管では約85%、試薬10が添加されていた比色管では約80%、試薬8が添加されていた比色管では約80%、試薬14が添加されていた比色管では約70%、試薬9が添加されていた比色管では約65%であった。
実験例3の結果より、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤により、被測定水中に含まれる汚れ成分の付着による汚染(本実験例では比色管底部への汚染)が生じ難くなることが確認された。
[実験例4]
<実験条件>
実験例4では、実験例3で用いた試薬における界面活性剤の種類を変更した以外は、実験例3と同様に、比色管底部への付着汚れを確認する試験を行った。
すなわち、実験例4では、実験例3で用いた試薬8における「サンノニックFN100」を、それぞれ以下の界面活性剤に変更した試薬15〜18を用いた。
・試薬15:花王株式会社製の硫酸エステル型アニオン性界面活性剤である商品名「エマール20CM」(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム)
・試薬16:三洋化成工業株式会社製の硫酸エステル型アニオン性界面活性剤である商品名「サンデットLNM」(アルキル硫酸ナトリウム)
・試薬17:花王株式会社製の硫酸エステル型アニオン性界面活性剤である商品名「エマールTD」(ラウリル硫酸トリエタノールアミン)
・試薬18:花王株式会社製の硫酸エステル型アニオン性界面活性剤である商品名「エマール40パウダー」(高級アルコール硫酸ナトリウム)
実験例4では、上記試薬15〜18を用いて、実験例3における試薬8〜14で用いた硫酸エステル型アニオン性界面活性剤とは異なる種類の硫酸エステル型アニオン性界面活性剤を被測定水に添加する場合の汚れ防止効果を確認する試験を行った。
試薬15〜18のそれぞれについて、ガラス製比色管に25mLの純水をとり、0.5μmの粒度を持つFeを20mg加え、さらに当該試薬を0.5mL加えた。転倒攪拌を充分に行った後、室温(20〜25℃)に静置し、1週間後の比色管底部に付着した汚れを目視で比較した。その1週間後の各比色管を逆さまにし、比色管底部を上側にした状態を撮影した図面代用写真を図4に示す。
なお、図4において、比較のため、実験例3で用いた試薬14(blank)もあわせて示した。
図4に示す通り、試薬15〜18を加えた各比色管では、比色管のガラス表面への付着物はほとんど確認されなかった。
実験例3及び4の結果より、アルキル硫酸エステル塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル型アニオン性界面活性剤は、水の硬度測定装置の測定部分に対して、汚れ成分の付着を抑制するのに有効であると考えられる。よって、これらの硫酸エステル型アニオン性界面活性剤を有効成分として含有させた硬度測定用組成物を水の硬度測定に用いることで、硬度測定装置における測定部分への汚れの付着、及び汚れの付着による測定不良を抑制できると考えられる。
1 検水タンク
2 硬度測定用セル
3 一液型硬度測定用組成物タンク
4 スターラー
5 定流量電磁弁
6 検水排出用電磁弁
7 ポンプ
8 流量計
9 透明窓
10 液面センサー
11 検水供給ライン
12 硬度測定用試薬供給ライン
13 検水排出ライン

Claims (8)

  1. エリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素と、
    下記一般式(4)で表される硫酸エステルに由来する結合単位を有する硫酸エステル型アニオン性界面活性剤と、
    を含有する硬度測定用組成物。
    −O−SO −O ・・・(4)
    (R は置換基を有していてもよい炭素数8〜18のアルキル基を示す。)
  2. 前記硫酸エステル型アニオン性界面活性剤が、下記一般式(1)で表される界面活性剤である請求項1に記載の硬度測定用組成物。

    (上記一般式(1)中、Rは炭素数8〜18のアルキル基示し、Mは、第1族元素、第2族元素、アンモニウム、又はアルカノールアミンを示し、nは0〜10の数を示す。)
  3. 前記硫酸エステル型アニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩である請求項1又は2に記載の硬度測定用組成物。
  4. 前記色素の含有割合が0.05〜1.0質量%であり、
    前記硫酸エステル型アニオン性界面活性剤の含有割合が0.1〜10質量%である請求項1〜3の何れか1項に記載の硬度測定用組成物。
  5. さらに、トリエタノールアミン、アルキルアルコール、及びグリコールからなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜4の何れか1項に記載の硬度測定用組成物。
  6. エリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素を含有する組成物Aと、
    下記一般式(4)で表される硫酸エステルに由来する結合単位を有する硫酸エステル型アニオン性界面活性剤を含む組成物Bと、
    を有する硬度測定用試薬キット。
    −O−SO −O ・・・(4)
    (R は置換基を有していてもよい炭素数8〜18のアルキル基を示す。)
  7. エリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素と、下記一般式(4)で表される硫酸エステルに由来する結合単位を有する硫酸エステル型アニオン性界面活性剤と、を被測定水に添加する工程を含む、水の硬度測定方法。
    −O−SO −O ・・・(4)
    (R は置換基を有していてもよい炭素数8〜18のアルキル基を示す。)
  8. 水の硬度を測定する装置における測定部分で、エリオクロムブラックT及び/又はカルマガイトを含む色素と、下記一般式(4)で表される硫酸エステルに由来する結合単位を有する硫酸エステル型アニオン性界面活性剤とを、被測定水に添加する工程を含む、硬度測定装置における汚れ防止方法。
    −O−SO −O ・・・(4)
    (R は置換基を有していてもよい炭素数8〜18のアルキル基を示す。)
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