以下、添付の図面を参照して、本願発明の実施の形態について説明する。
図1に電気ポットの全体断面図示し、図2に電気ポットの蓋体の一部拡大断面図を示し、図3に蓋体内に蒸気回収ユニットを組み付けた斜視図を示し、図4に蓋下部材の下面の蒸気の流れを示し、図5乃至図8に蒸気回収ユニットの詳細を示し、図9、10に壁の一部を示す。なお、給湯口側を前方側、給湯口側と反対側のヒンジ部側を後方側、前後方向に直交する側を左右側と呼ぶ。
電気ポットPは、貯湯用の内容器3を備えた容器本体1と、該容器本体1を開閉する蓋体2と、前記内容器3を加熱する加熱手段としての電気ヒータ4と、前記内容器3内の湯を給湯口5より給湯するための給湯通路6と、該給湯通路6を介して湯を送り出す電動ポンプ7等を備えて構成される。また、容器本体1の外周部には、該ポットを持ち運びするための取手9bが設けられている。
前記容器本体1は、外周面を構成する合成樹脂製の外ケース8と、内周面を構成する前記内容器3と、前記外ケース8と内容器3とを結合する合成樹脂製の環状の肩部材9と、底面を構成する合成樹脂製の底部材10及び該底部材10の外周上に形成される溝内に収納され、容器本体1を回転する回転体11からなる。
前記肩部材9のリング状の内壁部9aの後方側で、後記するシールパッキン49が当接する箇所には、蒸気センサ24が配置される。また、肩部材9には、略半円弧状の取手9bが設けられる。
前記内容器3の底部には、雲母板に発熱体を保持させてなるマイカヒータ等の電気ヒータ4が取り付けられ、その底部中央には内容器3内の湯温を検出する湯温検出手段としての湯温センサー12が設けられ、加熱及び保温制御のために用いられる。
前記給湯口5が設けられるポット前方側の上面には、図示しない表示部及び各種スイッチボタンが配置され、タイマー設定ならびに温度表示等の表示がなされる。また、前方側の下部空間には、転倒流出止水弁13が設けられ、電気ポットPが傾斜ならびに転倒した場合に、給湯通路6を閉鎖し、湯が外部に流出しないようにする。
前記蓋体2は、合成樹脂製の蓋上部材14と該蓋上部材14に対して図示しないビス等により結合される合成樹脂製の蓋下部材15等とを有し、更に該蓋下部材15の下部には、内容器3の開口端に対向する金属製の内蓋部材21が設けられ、前記肩部材9の後部に設けられたヒンジ部20を介して開閉自在に支持される。
前記蓋上部材14は、略矩形状の平板状の部材であり、その前方側の中央部には平面視矩形状のロック部材14aが設けられ、このロック部材14aの前方側を下方に押圧することにより係止片14aa(図3参照)が後退し、蓋体2はヒンジ部20に設けられるばね力で開蓋される。
前記蓋下部材15は、樹脂製の断面略お椀形状で、且つ平面視略矩形状の部材で、図示しないビス等により蓋上部材14に取り付けられる。蓋下部材15は、その底部に上方に突き出る形態で円筒状凹部17が設けられるとともに、その円筒状凹部17内には、円筒状凹部17の内径より小さい外径を有する円形リブ16が設けられる(図4等参照)。
図4に示すように、この円形リブ16の前方側には、矩形状の小さな切欠18が設けられるとともに、円形リブ16と円筒状凹部17との間の空間Sの後方側は、蒸気導出溝19aが連通し、この蒸気導出溝19aは蓋下部材15の後方端で上下方向に開口する蒸気導出口19に連通する。
蓋下部材15の下方には、上記した内蓋部材21が設けられる。この内蓋部材21の内面には、前記空間S及び蒸気導出溝19aを囲む略円形状のシール部材22が設けられ、内蓋部材21が取付けられると前記空間S及び蒸気導出溝19aを閉鎖空間にする。
前記内蓋部材21のシール部材22が取付けられる中央には、図4で破線で示すように、蒸気口22aが設けられており、内容器3内の蒸気は、図2及び図4で矢印(1)で示すように、蒸気口22aから円形リブ16内に入り、次いで矢印(2)で示すように前方側の切欠18から、円形リブ16と円筒状凹部17との間の空間Sに入り、矢印(3)で示すように空間Sを後方側に迂回し、蒸気導出溝19aを経て蒸気導出口19から後記蒸気回収ユニット30に流入する。
また、蓋下部材15の後方側であって肩部材9の内壁部9aに対向する箇所には、矩形状開口15a(図2参照)が設けられ、この矩形状開口15aには、矩形状のシールパッキン49が嵌合する。そして、矩形状のシールパッキン49の内周面には、蒸気回収ユニット30の下ケース32に形成される下傾斜部35a2が当接し、蓋体2の閉蓋時、シールパッキン49の外周面は、肩部材9の内壁部9aに当接して、シールパッキン49の内部にシール空間49aを形成する。
前記蓋上部材14と前記蓋下部材15との間には、後述するベローズポンプユニット60が設けられる。また、前記蓋上部材14と前記蓋下部材15との間であって、ベローズポンプユニット60の外周には、上方に蒸気回収ユニット30が入る空間を残して、発泡スチロール等の断熱材23が設けられ、蓋体2の断熱を行う。
断熱材23の上方空間には、図1乃至図3に示すように蒸気回収ユニット30が配置される。この蒸気回収ユニット30を断熱材23の上方に配置するのは、蒸気回収ユニット30内の蒸気が上方への放熱により冷え易くして、できるだけ早く結露水にするためである。このように蓋上部材14と蒸気回収ユニット30との間に断熱材23は設けないが、上方への放熱が多いと火傷する恐れが生じるため、蓋上部材14と蒸気回収ユニット30との間に空気層14cを設ける。
前記蒸気回収ユニット30は、蒸気を導入し、導入した蒸気を水にして回収する樹脂製の部材であり、蒸気の入口である蒸気導入パイプ40の蒸気導入口41と圧力が大気に抜ける出口である出口孔45を有するとともに、その内部に左右方向にジグザグ状に蛇行する複数の経路、この例では2経路を有しており、蒸気導入口41から導入する蒸気を内部のそれぞれの通路内で全て結露水にする。そのため、出口孔45まで蒸気が行くことはなく、出口孔45は圧力を外部に開放するための圧力開放口として機能する。なお、以下においては、入口及び出口近傍の通路は1経路で、途中の通路が複数経路、即ち2経路のものについて説明するが、出入口及び途中の通路が全て独立した経路からなるものでもよい。
蒸気回収ユニット30は、上ケース31及び下ケース32からなる。上ケース31及び下ケース32は、ほぼ同形であり、それぞれの外端部を当接して接着剤で一体化されるものであり、前方側の平面視略コ字状のコ字状部33と、そのコ字状部33の後方側に伸びる平面視略トンネル状のトンネル状部34と、そのトンネル状部34の後方側に伸びる矩形状の舌状部35とを有する。
前記コ字状部33は、前方側の部分で、その中央の矩形状のくびれ部には平面視矩形状のロック部材14aが配置される。前記トンネル状部34は、中央より後方側にかけての部分であり、その中央には蓋上部材14の筒状体65が入り込む嵌合孔30aが形成される。
前記舌状部35は、トンネル状部34の中央から後方側に伸びる部分で、その後方端に傾斜部35aを有する。この傾斜部35aは、上ケース31に形成される上傾斜部35a1と、下ケース32に形成される下傾斜部35a2とを有し、上傾斜部35a1は、下傾斜部35a2の略半分の長さであり、下傾斜部35a2の上方に当接される。
図8に示すように下傾斜部35a2は、1経路から複数、即ち2経路への分岐部であり、左右方向に3個の開孔、即ち、中央開孔36aと、左右開孔36b、36bを有している。中央開孔36aは、左右開孔36b、36bより小さく、蒸気導入口41に連通し、左右開孔36b、36bは、同形で中央開孔36aより大きく、下流側の2経路のそれぞれの通路に連通する。
蒸気回収ユニット30は、蓋体2内の上部空間にその上部に空気層14cを有する形態で配置される。その配置形態を図5に示す。蒸気回収ユニット30が配置されると、コ字状部33は水平状態になり、トンネル状部34及び舌状部35は、後方に向かって下がる傾斜状態になる。即ち、蒸気回収ユニット30の出口である出口孔45は、入口である蒸気導入口41より高く、且つ途中経路は、出口側から入口側に向かって高さが高くならないようにされる。
なお、コ字状部33もトンネル状部34及び舌状部35と同様の傾斜状態にしてもよい。しかし、すべてを傾斜状態にすると、蒸気回収ユニット30の上下方向の長さが長くなるのでこのような形態を採用している。即ち、一部通路を水平にすることにより、結露水の戻りを低下することなく蓋体の上下方向の高さを低減することができる。
次いで蒸気回収ユニット30の通路形状等について述べる。なお、上ケース31の通路形状は、下ケース32に形成されるものとほぼ同じであり、以下においては、図6及び図7(主として図7)に示す下ケース32により説明する。なお、本実施例のものは、電気ポットPの前後方向の中心線C−Cに対して左右方向にほぼ同形状の通路を有する2経路のものであるが、左右方向の通路を更に複数経路に分割してもよい。
下ケース32のトンネル状部34の後方側の中央には、蒸気の入口である蒸気導入口41を有する蒸気導入パイプ40が垂下されており、この蒸気導入パイプ40は、蓋下部材15の蒸気導出口19に接続され、蒸気導出口19から導出する蒸気を導入する。
この蒸気導入口41は分岐部に設けられる中央開孔36aに連通する。この中央開孔36aは、同じく分岐部にある左右開孔36b、36bに上記したシールパッキン49の内部に形成されるシール空間49aを介して連通する。そして、左右開孔36b、36bは前後方向の中心線C−Cに対して左右方向に形成されるそれぞれの通路に連通する。
なお、図8に示すように中央開孔36aの底面は、矢印で示すように後方から前方に向かって降下する降下傾斜面36aaとされ、左右開孔36b、36bの底面は、同じく矢印で示すように後方から前方に向かって上昇する上昇傾斜面36bbとされており、結露水の蒸気導入口41方向への戻りを助ける。
前記トンネル状部34に形成される2経路の通路形状はほぼ同じであり、嵌合孔30aを形成している内周壁42の外面には、複数、例えば3個の内リブ42a・・・が外周壁43方向に張り出すとともに、所定距離離れて一体(別体であってもよい。)に設けられ、外周壁43の内面には、複数、例えば3個の外リブ43a・・・が内周壁42方向に張り出すとともに、3個の内リブ42a・・・と交互に並ぶように所定距離離れて一体(別体であってもよい。)に設けられている。
そのため、左右開孔36b、36bより導入する蒸気は、3個の内リブ42a・・・と3個の外リブ43a・・・との間をジグザク状に蛇行して流れ、冷やされ途中で結露水になる。なお、ジグザク状に蛇行して流れるとは、少なくとも1個の内リブ42aまたは外リブ43aと他のリブの一部を続けて流れるとの意味である。
また、上記内リブ42a・・・及び外リブ43a・・・の全ては、平面視でその先端部が根本部より後方側になるように傾斜して設けられる。また図5について説明したように底面も前方から後方に向かって下方に傾斜しており、蓋体2が後方側に傾斜、転倒或いは開蓋された場合、矢印で示すように結露水の内容器3方向への戻りを良好にする。
前記コ字状部33には、その前方の右側に圧力が大気に抜ける出口であって、給湯口5の近傍で大気に連通する出口孔45と、前後方向の中心線C−Cを挟んで出口孔45の反対側、即ち左側に貯水部46を有し、さらに出口孔45及び貯水部46より後方側には、前後方向の中心線C−Cを跨いで左右方向に伸びる一本の合流通路47を有する。
この合流通路47の入口部47aは、外周壁43近傍まで伸びており、この入口部47aは蒸気導入口41に連通し、入口部47aと反対側は出口孔45に連通する。そして、電気ポットPが右側に倒れた場合、内容器3内の湯が蒸気導入口41から蒸気回収ユニット30内に浸入し、前後方向の中心線C−C近傍まで至ったとしても入口部47aはそれより上方に位置するため、浸入した湯が出口孔45から外部に流出することはない。
なお、出口孔45は、蓋体2の前後いずれか一方側で、且つ前記蓋体2の左右いずれか一方側、即ち、蓋体2の4隅のいずれかであればよく、前記蒸気導入口41である入口は、蓋体2の前後方向において前記出口孔45と反対側のいずれか、即ち、中央部或いは左右側であればよい。
前記合流通路47は、上流側通路47b及び下流側通路47cを有する全体としてく字状に折れ曲がった通路である。即ち、前後方向の中心線C−Cを境にした上流側の上流側通路47bは平面視で入口部47a側が後方になるように傾斜し、同じく下流側の下流側通路47cは平面視で前後方向の中心線C−Cに直交する方向である。そのため、蓋体2が後方側に傾斜、転倒或いは開蓋された場合、合流通路47内の結露水は自重で入口部47a方向に戻り、他の結露水も蒸気導入口41方向へ戻る。
また、合流通路47の底面は水平であるが、入口部47a側に向かって下がるように傾斜させてもよい。このように傾斜させることにより蓋体2が水平な通常状態時、結露水の蒸気導入口41方向への戻りがよくなる。
このように、合流通路47は、く字状に折れ曲がった通路であり、電気ポットが前方側に傾斜或いは転倒した場合、く字状に折れ曲がった上側になる壁面で上方から流下する結露水を溜めるための貯留部50を形成する。
蒸気回収ユニット30の取付けは、蓋体2内に形成される空間に蒸気回収ユニット30を嵌合し、下ケース32の舌状部35に左右に張り出して形成されるビス穴48、48にビスを挿入し、そのビスを蓋下部材15に螺合することにより行われる。
上記したように前記舌状部35の傾斜部35aが対向する箇所の蓋下部材15には、下傾斜部35a2に設けられる3個の開孔36a、36b、36bを合わせた面積より大きい面積の矩形状開口15a(図2参照)が設けられるとともに、この矩形状開口15aには、略同じ大きさの矩形且つリング状のシールパッキン49がその外周を矩形状開口15aの内周端に嵌合する形態で取り付けられる。
そして、蒸気回収ユニット30が蓋体2内に配置されると、傾斜部35aは、シールパッキン49の一方の面に水密状に当接し、蓋体2の閉蓋時には、シールパッキン49の他端は、蒸気センサ24が配置される肩部材9のリング状の内壁部9aに蒸気センサ24がシールパッキン49の中に入る形態で水密状に当接され(図2参照)、シールパッキン49内のシール空間49aで蒸気を反転する。
このように、シールパッキン49内のシール空間49aを蒸気が反転する室とする理由は、蒸気センサ24をできるだけ内容器3近傍の蒸気通路に設けるためであり、この位置に蒸気センサ24を設けることにより、水が沸騰したら直ちに蒸気を検知することができ、その結果、発生する蒸気量を低減することができるようになる。
そのため、本発明の電気ポットは、蒸気センサ24が蒸気を検知したら直ちに電気ヒータ4への通電量を低減するか、或いはオフする制御機能を有している。別言すれば、本発明は、内容器3内の水を沸騰させるが沸騰検知を早く行って蒸気量を減らし、少ない蒸気を蒸気回収ユニット30の複数経路で回収することにより電気ポットPの蒸気レス機能を高める。このように沸騰検知が早く蒸気が出る時間を少なくすることにより、それだけ省エネに資することができる。
蒸気の流れについて、図2、図4、図7及び図8により説明する。内容器3内で発生する蒸気は、矢印(1)で示すように内蓋部材21の蒸気口22aより円形リブ16内の空間に入り、次いで、円形リブ16の切欠18より矢印(2)で示すように空間Sに入り、次いで、矢印(3)で示すように空間Sから蒸気導出口19を経て、矢印(4)で示すように蒸気回収ユニット30の蒸気導入口41に至る。
矢印(4)で示すように蒸気導入口41から蒸気回収ユニット30に導入される蒸気は、中央開孔36aよりシール空間49aに入り、シール空間49aで反転し、左右開孔36b、36bから矢印(5)、(6)で示すようにトンネル状部34のそれぞれのジグザク状に蛇行する通路に至る。そして、それらの通路内をジグザク状に蛇行する間に全ての蒸気は結露水になる。
矢印(7)〜(9)は圧力の流れを便宜的に示すものであり、蒸気がない状態での昇圧された圧力は、矢印(7)〜(9)で示すように流れ、出口孔45を介して大気に放出される。
蒸気回収ユニット30の内部の通路形状は、図5に示すように、通常の状態ではその多くが後方側に向かって傾斜しているため、通路内の結露水は、所定量になると重力で図7で説明した蒸気の流れと逆向きに後方側に向かって流れ、図8に示す分岐部を経て蒸気導入口41から内蓋部材21上に落下し、蒸気口22aより内容器3内に戻る。
前記蓋上部材14と前記蓋下部材15との間には、ベローズポンプユニット60が設けられる。このベローズポンプユニット60は、押圧部材61、ベローズ体62、バルブロッド63及びシール環状体64を有する。
前記押圧部材61は、平面視円形状で下方が開口したハット状の部材で、蓋上部材14に一体形成される壁に相当する筒状体65の内面に沿って摺動する。即ち、ベローズポンプユニット60は、筒状体65の内面に形成される筒状空間R(図2、10参照)内に配置される。
前記ベローズ体62は、上板62aと、下板62bと、上板62aと下板62bとの間に介在するベローズ62cと、ベローズ62c内であって上板62aと下板62bとの間に介在するばね力の大きい第1スプリング62dとを有する。
そして、上板62aにはベローズ62cが下方に押圧されると閉じ、上方に伸びると開放する逆止弁62eが設けられ、さらにベローズ62cの上部は上板62aの下面に溶着され、その下部は下板62bの上面に溶着される。
前記バルブロッド63は、ベローズ体62の内部中央に配置され、上板62aとの間にばね力の弱い第2スプリング62fを介在し、その下端部より若干上方にはベローズ62cが下方に押圧されると開放し、上方に伸びると閉鎖する弁体62gが設けられるとともに、その下端部にはリング状のシール環状体64が設けられる。
そして、図2に示すベローズポンプユニット60の非作動時には、上板62aの逆止弁62eと、バルブロッド63の弁体62gは閉じ、シール環状体64は内蓋部材21の蒸気口22aに若干の隙間を有して対向する。
ベローズ体62が上方から押されるベローズポンプユニット60の作動時には、逆止弁62eは閉じ、弁体62gは開放するとともに、シール環状体64は蒸気口22aの内周面に当接し、ベローズ体62内の空気を内容器3内に押し出す。その結果、内容器3内の湯は上方から押圧され、その一部は給湯通路6を介して給湯口5より外部に排出される。
ベローズ体62を上方から押す力が解除されると、第1スプリング62dによりベローズ体62は伸び、逆止弁62eは開放し、弁体62gは閉じるとともに、シール環状体64は蒸気口22aの内周面から離れる。その結果、内容器3内の蒸気は蒸気口22aを介して上記空間Sに浸入可能になる。
上記したように蓋上部材14の略中央には、内部に円形の筒状空間Rを有する壁に相当する筒状体65が下方に垂下する形態で一体に形成されており、ベローズポンプユニット60の押圧部材61はこの筒状体65の内面に沿って上下動する。
なお、この筒状体65は、押圧部材61に一体に形成するものとして説明するが、別体でもよく、別体の場合は、筒状体65の上端は押圧部材61の内周面に例えば溶着等で固定されることになる。また、ベローズポンプユニット60の押圧部材61が摺動するための摺動リブを設け、この摺動リブの外周に筒状体65を配置するようにしてもよい。
上記したように蒸気回収ユニット30のトンネル状部34には、中央より後方側に嵌合孔30aが設けられており、この嵌合孔30a内に筒状体65の外周が嵌入される。その嵌入状態を図2及び図10に示すように、筒状体65の外周に蒸気回収ユニット30の嵌合孔30aが嵌入された状態では、筒状体65の外面近傍で筒状体65を囲むように筒状体65の外面と嵌合孔30aの内面との隙間30aaはできるだけ小さくされる。
即ちその隙間30aaは、ベローズポンプユニットの熱で筒状体65が変形しようとする場合、変形しようとする筒状体65の外周面を嵌合孔30aの内周面でおさえることができる隙間であり、このような形態にすることにより筒状体65並びに押圧部材61の変形を防止することができる。
前記筒状体65は、ベローズポンプユニット60及び蒸気回収ユニット30と別体、且つ遮熱機能を有する樹脂製(例えば、PP製)のものであり、このようにベローズポンプユニット60の外周に筒状体65を介して蒸気回収ユニット30を配置することにより、ベローズポンプユニット60の熱が蒸気回収ユニット30に伝わる量を低減またはなくすことができる。なお、筒状体65を、断熱材、真空二重層、更にはより遮熱機能の高い材質からなるものを用いることにより遮熱機能をより高めることができる。
そして、前記筒状体65の上下方向の長さは蒸気回収ユニット30の嵌合孔30aの上下方向の長さと同じかそれ以上である。このような長さにすることにより筒状体65の遮熱機能をより高め、更には押圧部材61のスカート部が外方に広がる反りを低減することができる。
さらに、筒状体65の下端部をベローズ体62の下板62bまで伸ばし、筒状体65の下端部で下板62b上に溶着されるベローズ62cの下端外周部62ccを押圧している。
このような形態にすることにより、ベローズ62cの浮き上がりを防止してベローズ62cのシール性を確保することができる。また、筒状体65の上端部は蓋上部材14と一体或いは蓋上部材14の下面に当接するため、筒状体65で蓋体2を支持することになる。そのため、蒸気回収ユニットから放散される熱によって蓋体2が変形することを防止できる。また、筒状体65を蓋上部材14と一体にすることにより部品点数の増加を抑えることができる。
本願発明は、上記実施の態様の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能であり、例えば蒸気回収ユニット内の通路は1経路のもの(例えば、図7の左右何れかの一経路のみのもの。)でもよい。