JP5947562B2 - 発光素子 - Google Patents

発光素子 Download PDF

Info

Publication number
JP5947562B2
JP5947562B2 JP2012038251A JP2012038251A JP5947562B2 JP 5947562 B2 JP5947562 B2 JP 5947562B2 JP 2012038251 A JP2012038251 A JP 2012038251A JP 2012038251 A JP2012038251 A JP 2012038251A JP 5947562 B2 JP5947562 B2 JP 5947562B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
holes
light emitting
hole
emitting element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012038251A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013175535A (ja
Inventor
靖 本山
靖 本山
芳邦 平野
芳邦 平野
克 田中
克 田中
啓二 石井
啓二 石井
斎藤 信雄
信雄 斎藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Broadcasting Corp
Original Assignee
Japan Broadcasting Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Broadcasting Corp filed Critical Japan Broadcasting Corp
Priority to JP2012038251A priority Critical patent/JP5947562B2/ja
Publication of JP2013175535A publication Critical patent/JP2013175535A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5947562B2 publication Critical patent/JP5947562B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Led Devices (AREA)

Description

本発明は、発光素子に係り、特に、立体映像表示装置に用いることができる発光素子に関する。
従来、像再生型立体表示の代表的な方式として、ホログラフィ、パララクスステレオグラム、レンチキュラシート、インテグラルフォトグラフィ(以下IPと称す)などが知られている。ホログラフィを除く、これらの方式の実用化に関しては、コヒーレント光を必要としない簡易な方式で早期に実現可能と考えられている。また、IPは水平方向に加え、垂直方向の視差情報も表現することができるため、自然な立体表示が可能な装置の早期実現に有望であると考えられている(例えば非特許文献1参照)。
IPの表示システムは、光線を再生する多数の微小なレンズ(要素レンズ)を配列したレンズアレイと、各レンズに対応した画像(要素画像)を多数並べて表示するディスプレイとによって構成される。観察者は、1つの要素レンズに対応する1つの要素画像から、観察者の位置に応じた部分的な情報を得、要素画像を要素レンズの数だけ並べた立体像を観察する。IPの表示システムにおいて、立体像の解像度は、要素レンズの解像度と、要素画像の解像度と、観視距離とで決まる。また、IPの表示システムの視域角については、要素レンズの性能が支配的な要因になる。このような事情から、実用的な立体像をIP方式で生成するには、発光素子と光学素子の高精細化・高機能化が不可欠である(例えば非特許文献2参照)。
しかし、発光素子と光学素子の高精細化が進んでも、レンズを使用する光学系には、レンズの回折限界や焦点距離のように原理的に取り除くことができない性能限界も存在する。例えばディスプレイの画素サイズが、要素レンズの最小スポットサイズより小さくなると、映像ボケが発生するため、同時にスポットサイズも小さくする必要があるが、スポットサイズをAbbeの回折限界より小さくすることは原理的に不可能である。
また、レンズを用いたシステムでの視域角は、要素レンズの焦点距離に反比例するが、視域角を大きくするために要素レンズの焦点距離を無限に小さくすることはできない。さらに、視域角は、要素レンズのピッチに比例もするため、要素レンズのピッチを大きくすれば視域角の拡大が可能であるが解像度が劣化するので、レンズを用いた光学系における解像度と視域角には、トレードオフの関係がある。
IPの表示システムとは直接関係ないものの、発光素子の分野においては、自発光素子であるLED(Light Emitting Diode)は、近年、その発光特性が飛躍的に進歩したことから、各種用途で注目を集めている。LEDは、放射される光の直進性が良いため、照明器具などへの応用においては拡散させる仕組みが必要となる。LEDの放射光を拡散させる技術がさらに進み、光の放射される方位の制御が可能となれば、ディスプレイなどへの応用も可能となる。
LEDを用いたディスプレイではないが、関連技術として、例えば特許文献1には、液晶ディスプレイからなる画像表示手段の手前に、液晶デバイスを用いた空間光変調素子等のビーム偏向手段を設けることで、画素からの光を偏向させて、視点位置の異なる複数の2次元画像から立体像を表示する立体表示装置が記載されている。
また、LEDから取り出す光の方向を制御する技術として、LED光の出射角度を調整可能な発光装置が特許文献2に記載されている。
特開平6−110374号公報 特開2008−147182号公報
「超高精細映像技術・立体映像技術」、電子情報通信学会誌、2010年5月、Vol.93, No.5, p.372-381 財団法人機械システム振興協会・財団法人光産業技術振興協会、「自然な立体視を可能とする空間像の形成に関する調査研究報告書−要旨−」、システム技術開発調査研究19-R-5、2008年3月、p.14-16
しかしながら、特許文献2に記載の発光装置は、LEDから取り出す光の方向を制御するために多種の部品が必要とされる。また、ディスプレイに応用して発光素子ごとの方位制御を行おうとする場合、多数の微細な発光素子を形成する必要がある。また、これら微細な発光素子の放射光を正面以外の方向へ射出することはきわめて難しい。
さらに、微細な構造を備えたLEDから取り出す光の方向を制御できる技術は知られていないのが現状である。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、発光素子単体で光線の成形と方向制御とを可能とする簡易な素子構造を有した発光素子を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載の発光素子は、平坦な表面から光を放射する発光素子であって、前記平坦な表面に光をマスクするための遮光膜を備え、前記平坦な表面において所定領域を取り囲むように少なくとも3個の孔を形成し、前記少なくとも3個の孔の径が、放射光の波長以上であり、隣り合った2つの孔の間隔は、前記放射光の可干渉長以下であり、前記少なくとも3個の孔のうち少なくとも1つの孔の深さが他の孔の深さと異なり、前記少なくとも3個の孔は、前記遮光膜を貫通した孔であることを特徴とする。
かかる構成によれば、発光素子は、平坦な表面に形成された各孔から放射された光の干渉効果により、光線を成形する。仮に各孔の深さが同じである場合には、光線は、素子表面における各孔の位置をすべて繋いだ軌跡の平面図形の重心位置から、素子表面と垂直な方向に向かう線上に形成されることになる。一方、かかる構成の本発明の発光素子は、少なくとも1つの孔の深さが他の孔の深さと異なるので、光線の放射方向を、素子表面と垂直な方向から傾斜させることができる。
かかる構成によれば、発光素子は、光線を成形する際に、孔以外の素子表面から放射される光による妨害をマスクで抑制することができる。
また、請求項に記載の発光素子は、請求項に記載の発光素子において、発光層と、前記発光層の光取り出し側に積層された半導体層と、前記半導体層の上に積層された前記遮光膜と、を備え、前記少なくとも3個の孔は、前記遮光膜の厚みよりも深く、かつ、前記遮光膜と前記半導体層とを合わせた厚みよりも浅く形成されていることとした。
かかる構成によれば、発光素子は、少なくとも1つの孔の直下における半導体層の厚みが、他の孔の直下における半導体層の厚みと異なる。したがって、少なくとも3個の孔において異なる厚みの半導体層中を伝搬したそれぞれの光が合成された光の進行方向は曲げられることになる。
また、請求項に記載の発光素子は、請求項に記載の発光素子において、前記少なくとも3個の孔の深さの差が、放射光の波長の半分の長さ以下であることとした。
かかる構成によれば、発光素子は、孔の深さの差を、少なくとも1つの孔の底部の位置と他の孔の底部の位置との違いが支配的な影響を与えるような長さの範囲となるように設定したので、素子表面と垂直な方向に対する放射光の成す角を比較的大きくすることができる。
請求項1に記載の発明によれば、発光素子は、素子単体で光線の成形と方向制御を可能とすることができる。また、発光素子は、所定の深さの孔を掘ることで簡単に製造することができる。
請求項に記載の発明によれば、発光素子は、光線の成形と方向制御を効果的に行うことができる。また、発光素子において、遮光膜を金属で形成すれば、遮光膜に電極機能を兼用することができる。
請求項に記載の発明によれば、発光素子は、光線の成形と方向制御を行うことができると共に、容易に製造することができる。
請求項に記載の発明によれば、発光素子は、光線の方向制御を効率的に行うことができる。
本発明の実施形態に係る発光素子の要部を模式的に示す破断斜視図である。 本発明の実施形態に係る発光素子の構成を模式的に示す平面図である。 本発明の実施形態に係る発光素子の構成図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線矢視における断面図、(c)は(a)のB−B線矢視における断面図である。 本発明の実施形態に係る発光素子において制御孔の深さを変化させた場合の図3(a)のC−C線矢視における断面図であって、(a)は制御孔と他の孔との深さの差が0のとき、(b)は深さの差が半波長の0.2倍のとき、(c)は深さの差が半波長の0.4倍のときをそれぞれ示している。 本発明の実施形態に係る発光素子における制御孔と他の孔との深さの差に応じた光の干渉の概念図である。 本発明の実施形態に係る発光素子において制御孔と他の孔との深さの差が0のときのビームパターンの計算例を示す説明図であって、(a)は斜視図、(b)はXY平面のビームパターン、(c)はYZ平面のビームパターンをそれぞれ示している。 本発明の実施形態に係る発光素子における光強度の遠方界パターンであって、(a)は制御孔と他の孔との深さの差が0のとき、(b)は深さの差が半波長の0.2倍のとき、(c)は深さの差が半波長の0.4倍のときをそれぞれ示している。 本発明の実施形態に係る発光素子において、制御孔と他の孔との深さの差を変化させたときに計算で求めた光線方向の制御角を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る発光素子を用いたIP立体ディスプレイの概念図であって、(a)は正面図、(b)は斜視図を示す。
以下、本発明の発光素子を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面に示される部材等のサイズや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
[発光素子の構造の概要]
図1に示すように、発光素子1は、指向性の高い光を発光する素子であって、特定の方向に光線を射出する光線指向型の発光素子である。発光素子1は、例えばLEDのように、平坦な表面から光を放射するものである。発光素子1は、平坦な表面において所定領域を取り囲むように、3つ以上の複数の孔を有し、少なくとも1つの孔の深さが他と異なり、これらすべての孔から光を射出する点に特徴がある。以下では、一例として発光素子1が3つの孔6,7,8を有し、孔8が孔6,7よりも浅いものとして説明する。なお、図1にて破断して示した発光素子1の外観を図6(a)に示す。また、素子上面において、所定領域を環状に取り囲むように配置された3つの孔6,7,8を図2に示す。
発光素子1は、図1に示すように、半導体層2と、発光層3と、バッファ層4と、金属層(遮光膜)5とを備えている。半導体層2は、発光層3の下側に、図示しない基板との間に設けられたn型半導体層である。バッファ層4は、発光層3の上側に、発光層3と素子表面との間に設けられたp型半導体層である。
発光素子1が青色発光素子である場合、発光層3は、例えば、InGaNの量子井戸層として形成される。また、この場合、半導体層2は、図示しない基板側から順に、例えば、n型GaN層と、n型GaN/InGaN障壁層とが積層された構造とすることができる。また、バッファ層4は、発光層3側から順に、例えば、p型GaN/InGaN障壁層と、p型GaN層と、が積層された構造とすることができる。
金属層5は、バッファ層4の上に積層されている。ただし、金属層5は、発光素子1の光取り出し面において孔6,7,8が形成されていない表面に設けられている。すなわち、金属層5は、孔以外から放出される光をマスクするための遮光膜として機能する。
なお、図示を省略したが、一般的なLED素子と同様に、半導体層2およびバッファ層4との間に段差を設けて、当該段差から引き出された部分にオーミックコンタクトを形成する形で電極を形成できれば、電極の構造は特に限定されるものではない。例えばp電極を、金属層5の部分に設け、n電極を半導体層2の基板側の面に設けてもよい。
また、電極材料としては一般的な金属電極が使用できる。
孔6,7,8は、発光素子1から放出される光の波長λ程度以上の径を有する。ここで、波長λは、自由空間における放射光の波長を示す。図1および図2では孔の形状を円形で示した。各孔の太さは等しいものとした(半径φ)。孔6,7,8は、図2に示すように、光取り出し面において、所定の原点の周囲に均等な角度β(この場合、β=120度)の方位に、互いに間隔pだけ離間して配置されている。
この例では、所定の原点とは、素子上面において3つの孔6,7,8により環状に取り囲まれた所定領域に位置する点である。また、この原点は、図3(a)に示すように、孔6の中心O3と、孔7の中心O2と、孔8の中心O1とから等距離にある点であり、中心O1,O2,O3を頂点とする正三角形の重心(原点Mと表記する)のことである。ここで、3つの孔6,7,8は、円環状かつ均等に配置されることが好ましい。なお、各孔により取り囲まれた所定領域の形状やサイズは、孔の径とバランスを取りながら所望のものとして適宜設計できる。例えば孔の径が、発光波長の数波長程度分であれば、所定領域のサイズは、数分の1波長〜数波長程度とすることができる。
孔6,7,8は、金属層5の厚みよりも深く、かつ、金属層5とバッファ層4とを合わせた厚みよりも浅く形成されている。ここで、3つの孔のうち2つの孔6,7の深さを、それぞれ基準となる深さDとする。そして、孔8と他の孔6,7との深さの差をδとすると、孔8の深さは(D−δ)となる(図1参照)。本実施形態の発光素子1では、後記する実験結果に基づいて、孔の深さの差δは、放射光の波長λの半分の長さ以下であることとした。孔8は他の孔とは異なるように深さが調整されたので、以下では、制御孔8と呼称する場合もある。
ここで、素子表面上での孔の間隔p(図2参照)は、隣り合った孔からの光が干渉できる程度の長さに予め設定されている。つまり、孔の間隔pは、発光素子の可干渉長以下であることが好ましい。なお、光の可干渉長は、光源の発光スペクトルの半値幅と、中心波長とに依存する。光源がLEDの場合、例えば10〜数十μm程度の長さとなる。
[発光素子の設計の具体例]
発光素子1は、例えばGaNにInを添加したLEDであるものとし、発光スペクトルの中心波長(波長λ)は470nmであるものとした。
発光素子1のバッファ層4(図1参照)の厚さを約250nmとした。
金属層5(図1参照)は、厚さ200nmのMoの金属薄膜とした。
孔の間隔p(図2参照)は、放射光の自由空間での1波長に相当する470nmとした。孔の半径φ(図2参照)は、放射光の自由空間での1波長に相当する470nmとした。孔6,7の深さDは、発光スペクトルの中心波長470nmの半分である235nmより充分大きな深さの一例として388nmを選んだ。
制御孔8の深さ(D−δ)は、388nmからδ[nm]を減じた深さとして、δの値を変化させることで、光線方向が制御されることを確かめた。
図3(a)のA−A線矢視における断面図を図3(b)に示し、図3(a)のB−B線矢視における断面図を図3(c)に示す。ここで、図3(c)は、制御孔8の深さ(D−δ)の一例としてδ=0.4×(λ/2)の場合を図示したものである。
発光素子1において制御孔8の深さ(D−δ)を変化させた場合に、図3(a)のC−C線矢視における断面図の具体例を図4に示す。ここで、図4(a)は、孔6,7の深さDと、制御孔8の深さ(D−δ)とが等しいとき、すなわち、δ=0の場合を示す。
図4(b)は、深さの差が半波長の0.2倍のとき、すなわち、δ=0.2×(λ/2)の場合を示す。
図4(c)は、深さの差が半波長の0.4倍のとき、すなわち、δ=0.4×(λ/2)の場合を示す。
[発光素子の孔から出射される光の干渉の原理]
以下、発光素子1の孔6,7,8から出射される光の干渉について図5を参照しつつ下記の数式を適宜用いて説明する。図5および下記数式を用いる説明では、簡便のため、深さの異なる2つの孔107,108だけが形成されたLEDの発光素子を想定する。
図5の発光素子は、発光素子1と同様に、半導体層102と、発光層103と、バッファ層104と、金属層105とを備える。また、素子の最表面を基準の位置とすると、孔107の深さがDであり、孔108の深さが(D−δ)である。ここで、説明のため、基準とする位置を変更する。すなわち、発光層103の上面の位置を基準の高度h0とする。また、孔107の底面の位置を高度h1とし、孔108の底面の位置を高度h2とする。つまり、h2−h1=δの関係がある。2つの孔107,108の間隔をpとする(図2参照)。2つの孔107,108の中心軸から等距離に位置する鉛直中心軸上の所定地点Cを高度h3とする。
図5の発光素子において、発光層103からの光は、素子最表面の金属層105に遮蔽されるため、浅い孔108と深い孔107とに分岐して射出される。浅い孔108を通る場合に、1つの光路(以下、光路Aという)として、バッファ層104中の点A1と孔108の底面の中心点A2とを経由して地点Cに達する光路を想定する。また、深い孔107を通る場合に、1つの光路(以下、光路Bという)として、孔107の底面の中心点B1と、点B1からδだけ高い位置の点B2とを経由して地点Cに達する光路を想定する。
光路Aを通る光と光路Bを通る光とは、高度h1までは同じ媒質(バッファ層104)を同じ距離だけ進むので同位相のままである。このときの位相を初期位相θ0とすると、光路Aでは点A1において位相はθ0であり、光路Bでは点B1において位相はθ0である。
これら光路Aを通る光と光路Bを通る光とは、高度h1から高度h2まで異なる媒質を進む。このとき、光路Aでは媒質はバッファ層104(半導体)であり、光路Bでは媒質は空気である。一般に、半導体の誘電率は真空中(空気中)より高いため、半導体中を伝搬する際の光の速度は、空気中を伝搬する速度に比べて遅くなる。具体的には、大気中または真空中の光の速度をc、半導体の屈折率をnとすると、半導体中の速度は、c/nで与えられる(例えばGaNであれば例えばn=2.6)。このため、半導体素子中で発生した光を2つに分岐して、一方をそのまま大気中(もしくは真空中)に射出し、かつ、もう一方を半導体中で伝搬させてから射出した場合、それら2つの光が射出された後に出会うと、光路が異なるため、光の位相は異なるようになる。したがって、図5の発光素子からの光の自由空間中の波長をλとし、光路Aでは高度h1から高度h2までの区間の半導体中で位相がαだけ進むとすると、光路Aでは点A2において位相は下記式(1)で表される。
また、光路Bでは高度h1から高度h2までの自由空間中で位相がβだけ進むとすると、光路Bでは点B2において位相は下記式(2)で表される。
さらに高度h2から高度h3まで自由空間なので、光路Aを通る光と光路Bを通る光とは同じ媒質(自由空間)を進む。また、このとき、光路Aの点A2から点Cまでの距離と、光路Bの点B2から点Cまでの距離とは同じである。したがって、光路Aを通る光の点A2における位相と、光路Bを通る光の点B2における位相との差は、点Cにおいても保存されることとなる。この位相差Ψは式(3)で表される。すなわち、孔107と孔108との深さの差δによって光路Aと光路Bとの位相差Ψを制御することができる。式(3)を変形すると、深さの差δは、式(4)で表される。
そして、孔107を通る光は、孔108を通る光に比べて遅延するため、両者が混合されると、それら2つの光の波面とは全く異なる波面をもつ波が生成される。すなわち、孔107,108から放出される光の波面は互いに干渉し、これら2つの孔107,108の相対的な位置(3次元空間の位置)によって決定される方位(方向)に、光が射出されることになる。
続いて、3次元空間の位置rにある波源としての孔107と、3次元空間の位置r2にある波源としての孔108から射出された光の干渉について説明する。
位置rにある波源と、位置rにある波源とからそれぞれ射出された光によって、3次元空間の位置rに時刻tにおいて合成される光の強度I(r)は、次の式(5)で与えられる。
式(5)において、光の干渉を表す第3項が存在するために、発光層103から射出された光が、2つの波源からそれぞれ射出された後に重畳されて、波面を変えて波の進行方向を変えることが可能となる。式(5)では、式(6)のγの実部を利用する。式(6)のEは、Eの複素共役であることを示す。γは、式(6)で示すように、0から1までの値をとり、2つの波源から射出された光が時間的・空間的にどのくらい相関を持っているのかを示している。よって、γは、次の式(7)〜式(9)のように場合分けすることができる。
式(7)の場合を完全コヒーレント、式(8)の場合をインコヒーレント、式(9)の場合を部分的なコヒーレントと呼ぶ。ここでは、発光素子として、LEDの光源を使用しているため、部分的なコヒーレントになっている。したがって、図5の発光素子においては、光の強度において、前記式(5)の第3項の寄与が大きいため、光の進行方向を大きく曲げられる。
図5では、簡単のため、深さの異なる2つの孔から出射される光の干渉による光線の方向について説明した。波源としての孔が3つある場合についても、前記式(5)を拡張することが可能である。例えば、第1の孔と第2の孔との組み合わせを2つの波源として前記式(5)を適用し、第2の孔と第3の孔との組み合わせを2つの波源として前記式(5)を適用し、第3の孔と第1の孔との組み合わせを2つの波源として前記式(5)を適用し、これら3つの組み合わせを加算することで、波源としての孔が3つある場合についての関係式を求めることができる。以下では、本実施形態の発光素子1のように3つの孔を有している場合の光線の成形と、光線の方向制御とに関して行ったシミュレーションについて順次説明する。
[発光素子の性能]
本実施形態の発光素子1の性能を確かめるために、FDTD(Finit-Difference Time-Domain)法によるシミュレーションを行った。シミュレーションの条件としては、発光素子1の表面(上面)と平行な面の正方形領域(大きさ3000nm×3000nm)をベースとして想定した。また、発光領域から素子表面の上方3500nmまでの領域を計算対象とした。そして、孔の深さの差δをパラメータとして、0〜λ/2の範囲で変化させてそれぞれのシミュレーションを行った。
(ビームパターン)
ビームパターンの計算結果の一例として、図2に示すような3つの孔6,7,8の配置において、孔6,7,8の深さが等しい場合(δ=0)のシミュレーション結果を図6に示す。このビームパターンは、後記する遠方界パターンにおいて制御孔8の深さ(D−δ)を変化させる実施例と比較するための比較例であり、また、3つの孔6,7,8により光線の成形ができることを示す一例となっている。具体的には、図6(a)に示すように、発光素子1をXYZ軸の3次元空間に配置した。ここでは、発光素子1のバッファ層4の上面をZ=0(XY平面)として、XY平面において3つの孔6,7,8のそれぞれの中心で定められる重心を原点M(0,0,0)とした。
発光素子1の放射光として、XY平面における光の強度の積算値を、XY平面のビームパターンとして図6(b)に示す。図6(b)において、矩形の画像の幅方向がX方向に対応し、矩形の画像の高さ方向がY方向に対応している。また、図6(b)において矩形の画像の中心が原点Mに対応している。すなわち、矢印201の延長線と、矢印202の延長線との交点が原点Mに対応している。
このビームパターンにおいて、符号rの領域は、図6(b)のカラー表示の場合の赤色の領域を示し、図6(b)において画像の右に示すスケールにてred、すなわち、光の強度がおよそ0.05W/m2であることを示す。なお、ここでは、FDTD法における電界の自乗をとった電力密度を光の強度とした。
また、符号yの領域は、図6(b)のカラー表示の場合の黄色の領域を示し、図6(b)に示すスケールにてyellow、すなわち、光の強度がおよそ0.035W/m2であることを示す。
符号gの領域は、図6(b)のカラー表示の場合の緑色の領域を示し、図6(b)に示すスケールにてgreen、すなわち、光の強度がおよそ0.025W/m2であることを示す。
符号bの領域は、図6(b)のカラー表示の場合の青色の領域を示し、図6(b)に示すスケールにてblue、すなわち、光の強度がおよそ0W/m2であることを示す。
符号rの領域は、素子表面の上方3500nmに到達した光の多い領域を示し、符号bの領域は、素子表面の上方3500nmに光の到達しない領域を示す。
光の強度分布の中心点を光線が通るものとすると、原点上に光の強度分布の中心点が現れることから、素子表面と垂直な方向に向かう線上に光線を成形できることを確かめた。
発光素子1の放射光として、YZ平面における光の強度の積算値を、YZ平面のビームパターンとして図6(c)に示す。図6(c)において、矩形の画像の幅方向がY方向に対応し、矩形の画像の高さ方向がZ方向に対応している。また、図6(c)において矢印203の延長線と、矢印204の延長線との交点が原点Mに対応している。このビームパターンにおいて、符号r,y,bの領域は、図6(b)における符号r,y,bと同様な色の領域を示す。ただし、図6(c)に示す光の強度のスケールは、図6(b)に示す光の強度のスケールの目盛り値を2倍したものとなっている。
図6(c)に示すように、下方においてrの領域は制御孔8の位置に対応して発生しており、制御孔8のない位置では、bの領域が発生している。また、原点の上方では、yの領域が生じ、光の強度が比較的高いことが分かる。これにより、3つの孔6,7,8の深さが等しい場合(δ=0)に、素子表面と垂直な方向に向かう線上に光線を成形できることを確かめた。
(遠方界パターン)
FDTD法による計算結果を用い、遠方界パターンを計算し、これを光の方向制御の評価に用いた。遠方界パターンは、距離が変わっても角度に対して光の強度が一定となるパターンを示す。前記ビームパターンは、素子表面の上方3500nm(3.5ミクロン)の距離を想定していたが、遠方界パターンは、素子表面の上方のおよそ1mmの距離を想定している。
YZ平面のように発光素子1を上から下に向かって切断するような断面は無数にあるが、光線方向の制御角が最も大きくなるのはYZ平面であった。よって、このYZ平面について、発光素子1において制御孔8の深さ(D−δ)を変化させた場合に、深さの差δに対する光強度の遠方界パターンの具体例を求めて図7に示した。
図7(a)は、孔6,7の深さDと、制御孔8の深さ(D−δ)とが等しいとき、すなわち、δ=0.0×(λ/2)の場合を示す。
図7(b)は、深さの差が半波長の0.2倍のとき、すなわち、δ=0.2×(λ/2)の場合を示す。
図7(c)は、深さの差が半波長の0.4倍のとき、すなわち、δ=0.4×(λ/2)の場合を示す。
ここで、原点(放射状のグラフの中心)は、XY平面(Z=0)における3個の孔6,7,8の中心から等しい距離にある点(重心)であって、バッファ層4の上面をZ=0とした点に定めている。図7において、角度θは、発光素子1の表面の法線と遠方界における光線のメインローブとが成す角を示す。以下では、角度θを制御角θとも呼称する。
δ=0の場合、図7(a)に示すように、制御角θは0度であって、3つの孔6,7,8の深さが等しい場合(δ=0)に、素子表面と垂直な方向に向かう線上に光線を成形できることが分かる。なお、メインローブの左右には均等なサイドローブが現れた。
δ=0.2×(λ/2)の場合、図7(b)に示すように、制御角θは3度であって、素子表面と垂直な方向から3度傾いた方向に光線を成形できることが分かる。なお、Z軸から+Y方向へ回転する方向を角度θの正の方向とした。例えば図3(a)の平面図の場合、Z軸から+Y方向へ回転する方向とは、制御孔8から他の孔6,7に向かう方向(原点Mから図3において下に向かう方向)を示す。
図7(b)に示すように、δ=0.2×(λ/2)の場合には、δ=0の場合と比べると、メインローブの右(+θの方向)にあるサイドローブが小さくなり、左(−θの方向)のサイドローブが大きくなった。
δ=0.4×(λ/2)の場合、図7(c)に示すように、制御角θは6度であって、素子表面と垂直な方向から6度傾いた方向に光線を成形できることが分かる。この場合、δ=0.2×(λ/2)の場合と比べると、メインローブの右(+θの方向)にあるサイドローブがさらに小さくなり、左(−θの方向)のサイドローブがさらに大きくなった。
以上の通り、制御孔8と他の孔6,7との深さの差δが増加するにつれて、制御角θは増加して行くことが分かった。
深さの差δをさらに大きくして、δ=0.6×(λ/2)の場合、δ=0.7×(λ/2)の場合、δ=0.8×(λ/2)の場合についても同様に遠方界パターンを求めた。その結果を図8に示す。図8のグラフにおいて、横軸は、制御孔8と他の孔6,7との深さの差δを、発光波長λの半分の長さ(λ/2)を単位として示す。縦軸は、計算で求めた光線方向の制御角θを示す。
δ=0.6×(λ/2)の場合、制御角θは8度であった。δ=0.7×(λ/2)の場合、制御角θは10度であった。δ=0.8×(λ/2)の場合、制御角θは8度であった。つまり、深さの差δが0.7×(λ/2)となる辺りで、光線方向の制御角は最大になり、その後、角度の増加方向が、−Y方向に移動していることが分かる。
このうち、深さの差δが0.8×(λ/2)の場合の結果の要因としては、深さの差δの増加に伴って、遠方界パターンのメインローブの左(−θの方向)にあるサイドローブがそれまでのメインローブよりも大きくなって、メインローブの位置が、−θの方向に入れ替わったためと考えられる。
なお、この設計例では、δ=0.8×(λ/2)の場合に、制御孔8の底面がバッファ層4の上面(Z=0)と一致したため、深さの差δをこれ以上大きくすることはできなかった。
図8に示すように、孔の深さの差δに対する制御角θの変化については、孔の深さの差δが放射光の波長λの半分の長さ程度までであれば、制御孔8の底の位置と、他の孔6,7の底の位置との違いが主に影響を与え、制御角θは、ある値になるまでは単調増加する。つまり、図8のグラフに示すように、孔の深さの差δを0から増加させていった場合には、放射光の波長λの半分の長さ程度までの間に制御角θの最大値が得られる。このことから、本実施形態の発光素子1では、孔の深さの差δは、放射光の波長λの半分の長さ以下であることとした。
[発光素子の応用例]
図9(a)および図9(b)に示すように、発光素子1を基板11上に多数並べることにより、IP方式のディスプレイであるIP立体ディスプレイ10を提供することが可能である。図示は省略するが、IP立体ディスプレイ10に対応したIP立体撮影装置がレンズ板を介して図9(b)に示す円柱や立方体等の被写体を予め撮影した要素画像群を取得しておくことが、立体を表示(再生)するための前提となる。撮影に用いるレンズ板は、要素レンズを所定のレンズピッチで並置して構成された要素レンズアレイになっている。従来のIP方式のディスプレイでは、例えば液晶パネルに要素画像群を表示して、撮影時と同様の要素レンズアレイの各要素レンズを介して各要素画像を投影し、それらを集積した像を、被写体に対応した立体再生像として観察する。IP立体ディスプレイ10の場合、密集して配置された複数の発光素子1が1単位の要素画素群として要素画像を形成し、通常のIP立体ディスプレイの個々の要素レンズに相当する領域に、要素画素群(1つの単位構造)が並置される構造となる。これにより、図9(b)に示すように、IP立体ディスプレイ10の各要素画素群(複数の発光素子1からなるの単位構造)が要素画像を空間上に投影し、それらが集積されて、被写体の再生像(立体像)として、例えば円柱や立方体が表示される。
IP立体ディスプレイ10は、図9(a)に示すように、画面に向かって一番右側の列に並べられた発光素子1は、2つの孔が配置された側(孔6,7の側)を画面の右側に向け、1つの孔が配置された側(制御孔8側)を画面の左側に向けている。これは、画面に向かって右側の発光素子1においては、光線を素子表面の法線方向から図9において左側に向けて傾けることを企図した配置である。ここで、画素に対応した発光素子1の1つ1つにおいて、深さの差は画素毎に決定されており、当該画素から射出する光線の方向を規定するように設定される。図9(b)にて、例えば円柱や立方体を終点とする太い矢印が光線の方向を示している。
また、IP立体ディスプレイ10において、画面に向かって一番左側の列に並べられた発光素子1と、画面に向かって一番右側の列に並べられた発光素子とは、孔の配置が対称になっている。これは、画面に向かって左側の発光素子1においては、光線を素子表面の法線方向から図9において右側に向けて傾けることを企図した配置である。
また、IP立体ディスプレイ10において、画面に向かって一番上の列に並べられた発光素子1と、画面に向かって一番下側の列に並べられた発光素子とは、孔の配置が対称になっている。この配置も同様な理由によるものである。さらに、その他の画面領域に並べられた発光素子1も場所に応じた配置で配置されている。
よって、素子単位の画素構造(発光素子1)の中の3つの波源からそれぞれ射出された光によって、当該画素において強度変調が可能となる。なお、画素の位置によっては、制御角θ=0度とするために孔6,7,8の深さを等しくすべき位置もある。
一方、立体ディスプレイ10の発光素子1間、すなわち、画素間においては、光源(発光層3)が異なるので、発光強度の点では相関性を持たない。そのため、合成される光の強度は、3つの画素から射出されたそれぞれの光の強度の単なる加算となる。つまり、画素間において合成される光の強度は、3つの画素を3つの波源とみなしたときに、前記式(5)の第1項と第2項に相当する演算で求められることとなる。
このように立体ディスプレイ10は、各画素を構成する発光素子1が、個別に、射出される方向(方位)が決定されていることによって、光学レンズを介することなく、各発光素子1から特定の方向(方位)への指向性をもった光を射出することができる。
このような微細構造を有する発光素子1を多数個並べた表示素子(FPD)は、従来技術においてレンズ板と発光面とを接合させた装置と同じ働きを有するようになる。このようにして作成したIP立体ディスプレイ10においては、立体表示の解像度は、発光素子1の精細度にのみ依存し、光学系の解像度不足による映像ボケが生じない。また、発光素子1を用いたIP表示における視域角は、素子表面と垂直な方向に対する放射光の成す角(制御角θ)の最大値にのみ依存し、解像度と視域角とを独立に改善することが可能である。
[発光素子の利用可能性]
発光素子1は、光線の成形と方向制御を必要とするデバイス一般に応用することが可能である。例えば、プロジェクター用光源、空間光インターコネクションに用いる接続器、拡散板を必要としない照明用光源などに好適である。
[発光素子の製造方法]
発光素子1を製造する方法としては、公知の種々の微細加工技術を用いることができる。発光素子1は、例えばLEDのように平坦な放射面を有する発光素子を用意し、その表面を微細加工して作成することが可能である。
発光素子1の製造工程の一例を挙げると、まず、例えばGaAsやSi等の半導体基板に、例えば分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、有機金属化学気相成長(MOCVD)法などの成膜方法により、半導体層2と発光層3とバッファ層4とを積層する。次いで、バッファ層4上に金属材料を蒸着法、スパッタリング法等により積層した後、フォトリソグラフィ法等によって金属層5が作製される。
そして、金属層5上において孔を形成する領域以外をマスクして孔6,7,8を形成する。このとき、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)等のドライエッチングや薬液を用いたウェットエッチングにより、制御孔8となる領域とその他の孔6,7となる領域とを選択的にエッチングすることで、制御孔8をその他の孔6,7よりも浅く形成する。
例えば、各孔6,7,8を同時に形成する場合、制御孔8となる領域にだけ周囲のマスクよりも薄いフォトレジストをパターニングして積層し、これをその他の孔6,7には積層せずに、前記周囲のマスクの上からエッチングして、制御孔8となる領域のエッチングレートを小さくすることで、深さの差を形成してもよい。
また、制御孔8とその他の孔6,7とを非同時に形成する場合、例えばRIEによって、ガス種、ガス流量、温度、時間等のエッチング条件を変更することで、深さの差を形成してもよい。
なお、孔6,7,8の形成後に、孔の内壁や金属層5の表面にSiO2等の絶縁性の保護膜を形成してもよい。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る発光素子1は、表面に3個以上の孔を形成することで光の干渉効果により光線を成形できる。また、発光素子1は、制御孔8の深さを適切に選んで孔の深さのバランスを崩しておくことで、素子表面から垂直な方向以外の任意方向へ放射する光線を成形することが可能となる。また、発光素子1は、表面に孔6,7,8を形成するだけで光線の方向を制御できるため、その構造が簡単である。
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、LED素子の材料は、GaNであるものとして説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、AlN、GaAlN、ZnO、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAlAsP等であってもよい。
また、発光素子は、LED素子のような注入型のEL素子に限定されず、有機EL素子や無機EL素子のような真性EL素子であってもよい。
また、発光素子の遮光機能としての金属層5に電極機能を持たせてもよい。また、発光素子の金属層5の部分を、透明電極層と遮光機能としての金属薄膜とで構成してもよい。
以下、発光素子の孔についての変形例を列挙する。
孔の断面形状は、図示した円に限らず、多角形等であってもよい。また、孔の個数を3つとしたが、4つ以上であってもよい。孔の個数を4つとした場合、1つの孔を制御穴とし、他の孔の深さを等しくするか、2つの孔を同じ深さの制御穴とし、他の孔の深さを等しくする。4つの孔の配置は図2の角度βが90度となるようにすることが好ましい。
孔の個数を5つとした場合、1または2つの孔を同様の制御穴とし、他の孔の深さを等しくする。5つの孔の配置は図2の角度βが72度となるようにすることが好ましい。
孔の個数を6つとした場合、1,2または3つの孔を同様の制御穴とし、他の孔の深さを等しくする。6つの孔の配置は図2の角度βが60度となるようにすることが好ましい。例えば6つの孔を環状に配列した場合、間隔p(図2参照)はほぼ0であっても構わない。
孔の個数を7つ以上の奇数のときにも前記のように制御穴の個数を総数の半分より1少ない個数まで増やすことができる。孔の個数を8つ以上の偶数のときにも前記のように制御穴の個数を総数の半分まで増やすことができる。
波源としての孔が4以上の整数Nである場合については、隣り合った2つの孔の組み合わせの個数をN2とすれば、孔が3つある場合に32(=3)回だけ前記式(5)を適用して加算したのと同様な手法により、N2回だけ前記式(5)を適用して加算することで前記式(5)を拡張することが可能である。
なお、孔の総数を4以上の偶数とすれば制御穴と他の孔とを同数にすることができ、制御穴と他の穴とを二分して対称な位置にバランスよく配することができるので、このようにすることが好ましい。
一重に環状に配列した複数の孔の間隔p(図2参照)をほぼ0としても、孔の総数に比例して素子のサイズが大きくなるので、所望の素子のサイズに合わせて孔の総数を適宜設計することができる。
内側に3個、外側に6個のように、環状に配列した複数の孔を二重に配列してもよい。
すべての孔の径は必ずしも等しくなくてもよい。
1 発光素子
2 半導体層
3 発光層
4 バッファ層
5 金属層(マスク)
6,7 孔
8 制御孔(孔)
10 IP立体ディスプレイ
11 基板

Claims (3)

  1. 平坦な表面から光を放射する発光素子であって、
    前記平坦な表面に光をマスクするための遮光膜を備え、
    前記平坦な表面において所定領域を取り囲むように少なくとも3個の孔を形成し、
    前記少なくとも3個の孔の径は、放射光の波長以上であり、
    隣り合った2つの孔の間隔は、前記放射光の可干渉長以下であり、
    前記少なくとも3個の孔のうち少なくとも1つの孔の深さが他の孔の深さと異なり、
    前記少なくとも3個の孔は、前記遮光膜を貫通した孔であることを特徴とする発光素子。
  2. 発光層と、
    前記発光層の光取り出し側に積層された半導体層と、
    前記半導体層の上に積層された前記遮光膜と、を備え、
    前記少なくとも3個の孔は、前記遮光膜の厚みよりも深く、かつ、前記遮光膜と前記半導体層とを合わせた厚みよりも浅く形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記少なくとも3個の孔の深さの差が、放射光の波長の半分の長さ以下であることを特徴とする請求項2に記載の発光素子。
JP2012038251A 2012-02-24 2012-02-24 発光素子 Expired - Fee Related JP5947562B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012038251A JP5947562B2 (ja) 2012-02-24 2012-02-24 発光素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012038251A JP5947562B2 (ja) 2012-02-24 2012-02-24 発光素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013175535A JP2013175535A (ja) 2013-09-05
JP5947562B2 true JP5947562B2 (ja) 2016-07-06

Family

ID=49268208

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012038251A Expired - Fee Related JP5947562B2 (ja) 2012-02-24 2012-02-24 発光素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5947562B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6282485B2 (ja) * 2014-02-24 2018-02-21 スタンレー電気株式会社 半導体発光素子

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007088278A (ja) * 2005-09-22 2007-04-05 Matsushita Electric Works Ltd 半導体発光素子およびその製造方法
JP2010087292A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Toyoda Gosei Co Ltd 発光素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013175535A (ja) 2013-09-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11025896B2 (en) Three-dimensional display
JP5767531B2 (ja) Ip立体ディスプレイ
TWI499803B (zh) 基於方向性波導之背光、用以產生多視野3d影像之方法及波導
WO2018181204A1 (ja) 半導体発光モジュールおよびその制御方法
JP6010417B2 (ja) 発光素子及び立体画像表示装置
US12009465B1 (en) LED array having transparent substrate with conductive layer for enhanced current spread
JP5903009B2 (ja) 発光素子
JP6393078B2 (ja) 発光素子
JP5947562B2 (ja) 発光素子
JP5906102B2 (ja) 光線指向型の発光素子
JP6093140B2 (ja) 発光素子
JP5909111B2 (ja) 発光素子
JP5993202B2 (ja) 発光素子および発光素子アレイ
JP5909162B2 (ja) 発光素子
JP5926642B2 (ja) 発光素子および発光素子アレイ
JP5912653B2 (ja) 発光素子
JP5912652B2 (ja) 発光素子
JP2014072278A (ja) 発光素子の製造方法、その装置および発光素子
JP6055316B2 (ja) 発光素子
US10896994B1 (en) Light-emitting diode with hyperbolic metamaterial
JP6010420B2 (ja) 発光素子及び立体画像表示装置
JP2015032593A (ja) 発光素子
JP6093139B2 (ja) 発光素子及び表示装置
JP2015072970A (ja) 発光素子
JP6272715B2 (ja) 立体画像表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20140326

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150105

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151027

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160223

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160408

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160510

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160603

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5947562

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees