JP5941774B2 - 合成シリカガラス粉、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
即ち、本発明は以下の諸点を要旨とするものである。
(2) 前記シリカ白色粒子の数が5〜500個/gであることを特徴とする(1)に記載の合成シリカガラス粉。
(3) アルコキシシランを原料としてゾルゲル法によって製造することを特徴とする(1)又は(2)に記載の合成シリカガラス粉の製造方法。
(4) 前記ゾルゲル法が、前記アルコキシシランを加水分解して生じるウェットゲルを粉砕した後、前記粉砕されたウェットゲルを回分式の乾燥機を用いて乾燥し、得られた乾燥後のゲルを焼成する方法であることを特徴とする(3)に記載の合成シリカガラス粉の製造方法。
(5) 前記回分式の乾燥機が容器回転式であることを特徴とする(4)に記載の合成シリカガラス粉の製造方法。
(6) 前記回分式の乾燥機の乾燥容器の内壁面積に対する前記粉砕されたウェットゲルの仕込み量が乾燥ゲルベースで1〜150kg/m2であることを特徴とする(5)に記載の合成シリカガラス粉の製造方法。
(7) (1)又は(2)に記載の合成シリカガラス粉を原料として用いることを特徴とするシリコン単結晶引上げ用石英ルツボの製造方法。
本発明の合成シリカガラス粉は、非晶質の二酸化ケイ素粒子であって、少なくともその中にシリカ白色粒子(以下「白粒」と記す)を1〜600個/g含み、かつシラノール基の濃度が5〜200重量ppmである。
以下に、本発明の合成シリカガラス粉の示す物性について詳細に説明する。
合成シリカガラス粉の粒子径は、10μm以上、好ましくは50μm以上であり、1000μm以下、好ましくは500μm以下であり、そのメジアン径が50μm以上、好ましくは100μm以上であり、700μm以下、好ましくは400μm以下である。ここで用いる粒子径は、白粒を含む合成シリカガラス粉をレーザー回折散乱法で測定した粒子径であり、メジアン径はその累積粒度分布の50%に相当する粒子径を意味する。
合成シリカガラス粉のかさ密度は、好ましくは1.1g/cm3以上、より好ましくは1.2g/cm3以上であり、好ましくは1.5g/cm3以下、より好ましくは1.4g/cm3以下の範囲である。かさ密度の測定は、白粒を含む合成シリカガラス粉について、例えばJIS−K−6720による測定法で行われる。
合成シリカガラス粉の比表面積は、好ましくは0.003m2/g以上、より好ましくは、0.01m2/g以上、好ましくは0.5m2/g以下、より好ましくは0.1m2/g以下の範囲である。比表面積の測定は、白粒を含む合成シリカガラス粉について、例えば窒素吸着法のようなガス吸着法で行われる。
合成シリカガラス粉の不純物含有量としては、金属元素の総含有量が1重量ppm以下であることが好ましい。不純物含有量の測定は、白粒を含む合成シリカガラス粉について、例えばICP−MS法(誘導結合プラズマ質量分析法)により行われる。
なお、上記不純物含有量は一般に少ないほど好ましいが、その下限値は通常10重量ppb程度である。10重量ppb未満まで不純物を減らすことはあまり現実的ではなく、また1重量ppbレベルの分析は非常に困難である。
さらに、合成シリカガラス粉の粒子中のシラノール基(Si−OH)の含有量は、シラノール基の濃度として5重量ppm以上、好ましくは20重量ppm以上であり、200重量ppm以下、好ましくは100重量ppm以下である。シラノール基の濃度は、白粒を含む合成シリカガラス粉について、例えば赤外線分光光度法(赤外分光法)で測定可能であり、粒子重量に対するヒドロキシル基(OH基)の重量割合として示される。
本発明でいうシリカ白色粒子(白粒)とは、非晶質の二酸化ケイ素粒子であって、下記(a)〜(c)の特性を持つ粒子のことである。
(a)目視で白く見える
(b)主成分がSiO2である
(c)粒子密度が2.2g/cm3より低い
以下、シリカ白色粒子についてさらに詳細に説明する。
白粒は、目視で検出できるが、本発明でいう白粒の含有量は例えば以下の分析方法(浸液透過光法)によって測定することが可能である。
合成シリカガラス粉2gを直径3cm、深さ3cmのガラス容器(秤量瓶)に秤取し、屈折率を非晶質シリカと同じ1.46に調節した溶媒(屈折液)を2cc添加する(屈折液としては、たとえばメタキシレン65wt%+イソブタノール35wt%混合液を用いることができる)。
本発明の合成シリカガラス粉は、好ましくはアルコキシシランを原料とするゾルゲル法で製造される。ゾルゲル法は、例えば文献(作花済夫「ゾルゲル法の科学」)で公知であるが、具体的な製造例として、特開平5−246708号公報や特開平8−91822号公報に記載された方法が挙げられる。
基本的には、以下の反応式(a)による、反応(A)を利用して、アルコキシシランの加水分解反応を行う。
(RO)4Si + 2H2O → SiO2 + 4ROH (a)
本発明の合成シリカガラス粉は、図1に示すように、アルコキシシランの加水分解を行う加水分解工程(ステップ1)、ウェットゲルの粉砕を行う粉砕工程(ステップ2)、粉砕ウェットゲルの乾燥を行う乾燥工程(ステップ3)、ドライゲルの焼成を行う焼成工程(ステップ4)を経て製造される。
以下、各処理について詳細に説明する。なお、以下の説明では、アルコキシシランとして、テトラアルコキシシランを用いた場合について説明する。
加水分解反応は、原料であるテトラアルコキシシランに上述の反応(A)による加水分解反応を行うものであって、公知の方法に従ってテトラアルコキシシランと水を反応させることにより行なうことができる。ここで、テトラアルコキシランの加水分解物を「ウェットゲル」という。
上記のテトラアルコキシランの加水分解で得られたウェットゲルは、副生アルコールや未反応の水を含んでいる。最終製品の粒度を調整するためには、この段階でウェットゲルを粉砕することが好ましい。ここで、ウェットゲルを粉砕したものを「粉砕ウェットゲル」という。
次に、粉砕後のウェットゲルを乾燥して、ゲル中に含まれるアルコールと水を除去する。粉砕ウェットゲルの乾燥は通常バッチ方式で行われる。ここで、ウェットゲルを乾燥させたものを、「ドライゲル」という。
本発明の白粒は、通常この乾燥工程で生成する。
具体的な乾燥方法は以下の通り例示できる。
上記乾燥容器の材質としてはステンレスなどの金属を用いるのが、白粒の形成およびウェットゲルの汚染防止のためも好ましい。
また乾燥容器の回転速度は、白粒の生成・剥離のサイクルを形成するためには、周速として、通常0.01m/s以上、好ましくは0.05m/s以上、通常5m/s以下、好ましくは0.5m/s以下とするのが好ましい。周速が上記範囲の下限値以上の場合には、ゲルの転動混合が十分となり、乾燥時間を短縮できる。一方、周速を上記範囲の上限値以下とすることで、ゲルによる壁面の摩耗を低減し、かつシリカ層の安定した成長やゲルの破砕を防止することができる。
乾燥後のドライゲルは、一般に多孔質であるので、ルツボのようなガラス層形成の原料として不適当である。そのため、得られたドライゲルを加熱焼成し、緻密化させて無孔性の合成シリカガラス粉とするのが好ましい。
上述の乾燥・焼成工程を経て得られた、特定量の白粒を含有する合成シリカガラス粉は、そのまま使用してもよいが、必要に応じてふるい、風力分級機等により分級を行って粒度を調整するのが好ましい。分級は、合成シリカガラス粉の所望の粒子径の上限と下限に対応する孔径を有するスクリーンを用いて行うことができる。
本発明の合成シリカガラス粉を用いると溶融後のシリカガラス層に気泡を発生させることができる。また、本発明の合成シリカガラス粉を特定の箇所に含ませることで、所望の箇所に気泡を発生させることが可能である。
本発明の合成シリカガラス粉は、シリコン単結晶引上げ用石英ルツボに適用可能である。本発明の白粒を含む合成シリカガラス粉を用いて、ルツボの製造の際にシリカガラス粉を溶融させることで、シリカガラス層に気泡を有するシリコン単結晶引上げ用石英ルツボを得ることができる。
又は、従来の原料シリカガラス粉を含む複数のシリカガラス粉を積層して充填する際に、ルツボの中間層に本発明の合成シリカガラス粉を積層して、シリカガラス粉を溶融させることができる。これにより、ルツボ壁面内部の中間層に気泡を有することによって、従来の内面が透明ガラス層で外面が気泡含有層である二層構造のルツボに比べて、ルツボ加熱時の外部輻射熱を分散させ、シリコン融液の温度ムラの低減が期待できる。
合成シリカガラス粉の粒子径及びメジアン径は、粒子径分布測定装置(Leeds&[Northrup社製、マイクロトラックFRA9220)を用いてレーザー回折散乱法で測定した。合成シリカガラス粉の累積粒度分布の50%に相当する粒子径をメジアン径とした。
合成シリカガラス粉のシラノール基の含有量は、シラノール基濃度として、赤外分光光度計(JASCO製、フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−4100typeA)を用いて、測定対象の合成シリカガラス粉を石英セルに入れ、セル内の空隙を四塩化炭素で満たした上で、波数3670cm−1でのピーク高さを計測することにより測定した。
合成シリカガラス粉の白粒数は、上記[3.白粒の検出・計数方法]にて説明した、浸液透過光法で計測した。
容量750リットルのステンレス製のジャケット付きコニカル型反応器にテトラメトキシシラン180kgと超純水106kg(5倍モル量)とを仕込み、ジャケットに47℃の温水を通しながら、回転数6rpmで反応機を回転させながら反応させた。内温が80℃に達したら、回転を止めて、30分間静置しゲル化を進行させた。その後、反応機内部を減圧にしてゲルにクラックを入れ、再び15分間回転させて、反応機内でゲルを数cmのサイズにまで粗粉砕した。
この加水分解反応と粉砕を繰り返して、合計1500kgの原料ウェットゲルを製造した。
容量1リットルの石英製ルツボにドライゲル800gを仕込み、ルツボを電気炉内にセットした。その後、中央部に孔を開けた石英製円板でルツボに蓋をし、蓋の孔を通して石英チューブをゲル粉体層に挿入した。このチューブを通してゲル粉体層中に乾燥空気を吹き込みながら加熱を行い、1220℃で30時間保持した。冷却後、焼成ゲルを100μmと450μmのスクリーンを用いて分級を行い、粒子径100〜450μmの合成シリカガラス粉を得た。この粒度分布を測定した結果、メジアン径は190μmであった。また、シラノール基濃度を測定したところ、48ppm(重量ppm、以下同じ)であった。
上記製造例の途中で得られた原料ウェットゲル5kgを石英バットに取り分け、棚段式真空乾燥機内で静置乾燥した。乾燥後のゲルを5リットルビーカーに移し、上記製造例と同様にして、超純水による洗浄・上澄み水相分離を3回繰り返した後、再び静置乾燥した。
以下、この白粒が含まれていない合成シリカガラス粉を「シリカ粉A」と呼ぶ。
上記製造例において、乾燥機内壁面が清浄な状態から、シリカ層の溶解洗浄除去を行うことなく、上記製造例と同様にして5バッチ連続して原料ウェットゲルの乾燥操作を行い、5バッチ目で得られたドライゲルを焼成して合成シリカガラス粉を製造した。
乾燥機への粉砕ウエットゲル仕込み重量を、乾燥ゲル/内壁面積=20kg/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、乾燥操作を5バッチ連続して行った。5バッチ目のドライゲルを用いて焼成して合成シリカガラス粉を製造した。
実施例2において、乾燥機への粉砕ウエットゲル仕込み重量を、乾燥ゲル/内壁面積=10kg/m2とし、同様に乾燥5バッチ目のドライゲルを焼成して合成シリカガラス粉を製造した。
上記参考例で製造したシリカ粉A45gを容量50ccの黒鉛ルツボに秤取し、タッピングにより表面を平担にした上で、この表面に測定対象の合成石英シリカガラス粉サンプル2gを均一に散布し分散させる。
上記実施例1の合成シリカガラス粉から白粒を拾い出し、この白粒をシリカ粉Aへ添加することにより白粒数=7個/gの合成シリカガラス粉を調製した。このガラス粉について上記測定方法に従ってで気泡数を測定したところ、直径0.1mm以下の気泡数は13個/gであった。
上記実施例4と同様にして、白粒数=22個/gの合成シリカガラス粉を調製し、気泡数を測定したところ、直径0.1mm以下の気泡数は44個/gであった。
実施例1で得られた合成シリカガラス粉の気泡数を、上記方法で測定したところ、直径0.1mm以下の気泡数は105個/gであった。
実施例2、3で得られた合成シリカガラス粉の気泡数を同様にして測定した。直径0.1mm以下の気泡数は、それぞれ203、398個/gであった。
上記実施例4と同様にして、白粒数=502個/gの合成シリカガラス粉を調製し、気泡数を測定したところ、直径0.1mm以下の気泡数は960個/gであった。
表面に散布・分散させるシリカ粉として、シリカ粉A(白粒含有量:0個/g)を用いて、気泡数を測定した。表面層にも気泡は見られず、得られたインゴットは全体が無気泡状態で透明であった。
上記実施例4と同様にして、白粒数がそれぞれ610個/g、690個/gの合成シリカガラス粉を調製し、気泡数を測定したところ、直径1mm以上の巨大な気泡が多数発生し、測定が困難であった。
実施例1においてドライゲルの焼成時間を変えることで、シラノール基濃度が10ppm〜315ppmとそれぞれ異なる合成シリカガラス粉を6種類(実施例10〜14、比較例4)を製造した。それぞれの白粒数は、53個/gで差はなかった。
なお、ここで用いた合成シリカガラス粉の粒子径およびメジアン径を測定したところ、上記製造例と同じく粒子径は100〜450μm、メジアン径は190μmであった。
Claims (7)
- 粒子径が10〜1000μmの範囲であり、そのメジアン径が50〜700μmである合成シリカガラス粉であって、前記合成シリカガラス粉中にシリカ白色粒子を1〜600個/g含み、かつシラノール基の濃度が5〜200重量ppmであることを特徴とする合成シリカガラス粉。
- 前記シリカ白色粒子の数が5〜500個/gであることを特徴とする請求項1に記載の合成シリカガラス粉。
- アルコキシシランを原料としてゾルゲル法によって製造することを特徴とする請求項1又は2に記載の合成シリカガラス粉の製造方法。
- 前記ゾルゲル法が、前記アルコキシシランを加水分解して生じるウェットゲルを粉砕した後、前記粉砕されたウェットゲルを回分式の乾燥機を用いて乾燥し、得られた乾燥後のゲルを焼成する方法であることを特徴とする請求項3に記載の合成シリカガラス粉の製造方法。
- 前記回分式の乾燥機が容器回転式であることを特徴とする請求項4に記載の合成シリカガラス粉の製造方法。
- 前記回分式の乾燥機の乾燥容器の内壁面積に対する前記粉砕されたウェットゲルの仕込み量が乾燥ゲルベースで1〜150kg/m2であることを特徴とする請求項5に記載の合成シリカガラス粉の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の合成シリカガラス粉を原料として用いることを特徴とするシリコン単結晶引上げ用石英ルツボの製造方法。
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