〔実施形態1〕
本発明の一実施形態に係る表示システムについて図1〜図5を参照しながら以下に説明する。
本実施形態に係る表示システムは、マルチスクリーン型放送の技術を用いて配信装置から配信されたコンテンツを表示する表示システムである。
本実施形態で配信されるコンテンツには複数のコンポーネントが含まれている。具体的には、表示部に表示される主映像および2つの副映像の各コンポーネント(表示コンポーネント)と、音声出力部から出力される音声のコンポーネントとの4つのコンポーネントが含まれている。なお、上記4つのコンポーネントは本発明を実施する上での一例に過ぎない。例えば、コンテンツにはテキスト(字幕等)やデータ(BML、ウェブ情報等)といった他の種類の表示コンポーネントが含まれていてもよいし、コンテンツには、映像コンポーネントのみが含まれていてもよい。
また、本実施形態に係る表示システムには、受信装置、提示装置(表示装置)、および、他の提示装置を制御する提示制御装置の各装置の役割を兼ね備える普及型テレビが含まれている。さらに、本実施形態に係る表示システムには、提示装置(表示装置)としての役割を担うタブレット端末および超大画面ディスプレイが含まれている。なお、普及型テレビとしては40型程度の画面サイズのテレビ(推奨視距離が約1.5mのテレビ)を想定しており、超大画面ディスプレイとしては100型程度の画面サイズのディスプレイ(推奨視距離が約3.8mのディスプレイ)を想定している。また、本実施形態で用いる普及型テレビ、タブレット端末および超大画面ディスプレイは本発明を実施する上で用いるべき表示装置の一例に過ぎない。例えば、超大画面ディスプレイの代わりにプロジェクタを用いてもよい。
また、普及型テレビは、MPEGにおいて標準化作業が進められている、ハイブリッド配信のためのトランスポート方式であるMPEG Media Transport(以下、MMTと表記する)に基づくコンテンツ再生をサポートしている。同様に、配信装置は、MMTに基づくコンテンツ配信をサポートしている。MMTにおいては、コンテンツが「パッケージ」として定義されており、コンポーネントが「アセット」として定義されている。以下では、必要に応じてMMTの用語を用いて説明を行うが、本発明は、MMTの技術を前提として成された発明ではないことを予め述べておく。即ち、本発明が適用されるのはMMTに限らず、様々な規格や運用技術に適用可能である。
まず、本実施形態に係る配信装置および表示システムの構成、並びに、表示システムの各装置の配置について図1および図2を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る表示システム1および配信装置200の構成を示すブロック図であり、図2は、本実施形態に係る表示システム1の利用イメージを模式的に示した図である。
図1に示すように、表示システム1は、普及型テレビ100、超大画面ディスプレイ150およびタブレット端末160を含んでおり、普及型テレビ100が、配信装置200によって放送波を媒介として送信されたコンテンツを受信するようになっている。また、図2に示すように、タブレット端末160は座席に座っているユーザの手元にあり、普及型テレビ100は座席の1.5m前方(テレビ100の推奨視距離だけ前方)に配置され、超大画面ディスプレイ150は座席の3.8m前方(ディスプレイ150の推奨視距離だけ前方)に配置されている。
(配信装置200)
配信装置200は、コンテンツ記憶部201、メタデータ記憶部202、およびコンテンツ送信部203を備えている。
コンテンツ記憶部201には、主映像、2つの副映像(第1副映像、第2副映像)、音声の各コンポーネントが記録されている。
メタデータ記憶部202には、コンテンツに関するメタデータが記録されている。このメタデータは、MMTにおける構成情報(Composition Information)である。このメタデータには、図3(a)に例示されているように、各コンポーネント(アセット)について、そのコンポーネントの推奨視距離に関する階級を示すレベル値(点線で囲まれた属性「view_dist_level」の属性値)が含まれている。図3の例では、音声コンポーネントのレベル値(特許請求の範囲の「ユニーク値」に対応)として「5」が含まれており、主映像コンポーネントのレベル値として「2」が含まれている。
なお、コンテンツに含まれる各コンポーネントの推奨視距離は、そのコンテンツの提供者によって前もって定められている。また、階級の個数、および、各階級の最大値および最小値は、予め規定されており、コンテンツの提供者はこの規定に基づいて、各コンテンツの推奨視距離をレベル値に置き換えてメタデータ内に記述しておくものとする。例えば、主映像の推奨視距離を「2m」と定めたコンテンツの提供者は、図3(a)に示したように、主映像のレベル値として「2」を記述する。また、大画面で鑑賞したほうが好ましいと考えて第1副映像の推奨視距離を「3.5m」と定めたコンテンツの提供者は、第1副映像のレベル値として「3」を記述する。
コンテンツ送信部203は、コンテンツをコンテンツ記憶部201から読み出すとともに、そのコンテンツに関するメタデータをメタデータ記憶部202から読み出して、コンテンツをメタデータとともに放送波に乗せて配信する。
(普及型テレビ100)
普及型テレビ100は、コンテンツ受信部101、コンポーネント分離部102、コンテンツ提示制御部103、情報入力部104、システム構成情報記憶部105、コンポーネント送信部106、表示部107および音声出力部108を含んでいる。
コンテンツ受信部101は、放送波に乗せて送信されたコンテンツおよびメタデータを受信するチューナである。
コンポーネント分離部102は、コンテンツ受信部101から供給されたコンテンツから各コンポーネントを分離する。
コンテンツ提示制御部103は、新たな提示装置がテレビ100に登録されるたびに、1から5までの各iについて(以下、単に「各iについて」と略記する)、推奨視距離がレベル値iの階級に属するコンポーネントを、どの提示装置に表示させるべきかを決定する。具体的には、メーカー推奨視距離が属する階級がレベル値iの階級に最も近い提示装置を、レベル値iの階級に属するコンポーネントを表示すべき装置として決定する。そして、その提示装置に関するシステム構成情報の一部として、レベル値iをシステム構成情報記憶部105に記録する。なお、その提示装置に関するシステム構成情報の一部としてレベル値が記録済みの場合は、コンテンツ提示制御部103は、レベル値をiに更新する。
また、コンテンツ提示制御部103は、コンテンツに含まれる各コンポーネントについて、そのコンポーネントを提示すべき装置を、そのコンテンツに関するメタデータと、システム構成情報記憶部105に記録されている各提示装置のシステム構成情報と、に基づいて決定する。具体的には、メタデータ内に記述されている各コンポーネントのレベル値を参照し、レベル値iが記述されているコンポーネントを、レベル値iをシステム構成情報の一部として含む提示装置に提示させることを決定する。
コンテンツ提示制御部103は、コンポーネントを提示すべき装置が普及型テレビ100に登録された提示装置である場合には、コンポーネント送信部106を介して、そのコンポーネントを提示すべき装置に送信する。また、コンポーネントを提示すべき装置が普及型テレビ100である場合には、そのコンポーネントが表示コンポーネントであるときはコンポーネントを表示部107に表示し、そのコンポーネントが音声コンポーネントであるときはコンポーネントを音声出力部108から出力する。その際、例えば、複数の映像コンポーネントが同じ1つの提示装置に割り当てられ、かつ、構成情報(CI)内等に画面レイアウトに関する情報が含まれる場合には、コンテンツ提示制御部103は、当該情報に基づいて、表示または音声出力を行う。
情報入力部104は、ユーザに情報を入力させるために設けられている入力デバイスである。ユーザは、情報入力部104を用いて、テレビ100に登録する提示装置のシステム構成情報を入力できるようになっている。
システム構成情報記憶部105(特許請求の範囲の「記憶部」に対応)には、テレビ100自身のシステム構成情報とテレビ100に登録された他の提示装置のシステム構成情報とが記録されており、システム構成情報の一部として、メーカー推奨視距離(表示画面の縦サイズの約3倍)と、表示するコンポーネントのレベル値と、が記録されている。具体的には、図4に示すような、テレビ100、ディスプレイ150およびタブレット端末160の3台の提示装置のシステム構成情報がシステム構成情報記憶部105に記録されている。
コンポーネント送信部106は、コンテンツ提示制御部103によって決定された提示装置に向けてコンポーネントを送信する通信インタフェースである。通信インタフェースは、無線LANモジュールであってもよいし、Bluetooth(登録商標)通信モジュールであってもよいし、その他、有線、無線に関わらず、通信規格に準拠した通信モジュールであってもよい。
表示部107は、表示コンポーネントが表示される40インチの表示画面である。
音声出力部108は、音声コンポーネントが出力されるスピーカである。
(超大画面ディスプレイ150)
超大画面ディスプレイ150は、コンポーネント受信部151、コンポーネント提示制御部152、表示部153および音声出力部154を備えている。
コンポーネント受信部151は、テレビ100から送信されてきたコンポーネントを受信する通信インタフェースである。
コンポーネント提示制御部152は、コンポーネント受信部151から供給されたコンポーネントが表示コンポーネントである場合にはそのコンポーネントを表示部153に表示し、コンポーネント受信部151から供給されたコンポーネントが音声コンポーネントである場合にはそのコンポーネントを音声出力部154から出力する。
表示部153は、表示コンポーネントが表示される100インチの表示画面である。
音声出力部154は、音声コンポーネントが出力されるスピーカである。
(タブレット端末160)
タブレット端末160は、コンポーネント受信部161、コンポーネント提示制御部162、表示部163および音声出力部164を備えている。
コンポーネント受信部161は、テレビ100から送信されてきたコンポーネントを受信する通信インタフェースである。
コンポーネント提示制御部162は、コンポーネント受信部161から供給されたコンポーネントが表示コンポーネントである場合にはそのコンポーネントを表示部163に表示し、コンポーネント受信部161から供給されたコンポーネントが音声コンポーネントである場合にはそのコンポーネントを音声出力部164から出力する。
表示部163は、表示コンポーネントが表示される小型の表示画面である。
音声出力部164は、音声コンポーネントが出力されるスピーカである。
以上、本実施形態に係る配信装置および表示システムの構成、並びに、表示システムの各装置の配置について説明した。
次に、本実施形態に係る表示システム1が、配信装置200からコンテンツを受信して各コンポーネントを再生する動作について図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る表示システム1の上記動作を示すフローチャート図である。
図5に示すように、テレビ100のコンテンツ受信部101は、コンテンツとそのコンテンツに関するメタデータとを受信し、コンポーネント分離部102に供給する(S1)。
コンポーネント分離部102は、コンテンツ受信部101から供給されたコンテンツから各コンポーネントを分離し、各コンポーネントをメタデータとともにコンテンツ提示制御部103に供給する(S2)。
コンテンツ提示制御部103は、コンポーネント分離部102から供給されたメタデータを参照し、各コンポーネントの推奨視距離に関する階級(レベル値)を確認する(S3)。
S3の後、コンテンツ提示制御部103は、表示システム1に受信装置(テレビ100)以外の提示装置が含まれているか否かを判定する。すなわち、コンテンツ提示制御部103は、テレビ100に1台以上の提示装置が登録されているか否かを判定する(S4)。
テレビ100にはディスプレイ150およびタブレット端末160が登録されているので、コンテンツ提示制御部103は、テレビ100に1台以上の提示装置が登録されていると判定し(S4においてYES)、S5に進む。なお、テレビ100に1台も提示装置が登録されていないと判定した場合には(S4においてNO)、コンテンツ提示制御部103は全てのコンポーネントをテレビ100で提示することを決定し(S7)、S8に進むことになる。
S5において、コンテンツ提示制御部103は、システム構成情報記憶部に記録されている各提示装置のシステム構成情報に基づいて、各コンポーネントについてコンポーネントを提示すべき提示装置を各提示装置の中から選択する。具体的には、各コンポーネントについて、S3で確認した対象コンポーネントのレベル値と同じ値のレベル値がシステム構成情報の一部として記録されている提示装置を、対象コンポーネントを提示すべき提示装置として選択する。
例えば、コンテンツ受信部101がS1で図3(a)に示すメタデータを受信した場合、コンテンツ提示制御部103は、図4のシステム構成情報に基づいて、レベル値が2である主映像のコンポーネントを提示すべき装置として、表示するコンポーネントのレベル値として「2」が記録されているテレビ100を選択する。同様に、コンテンツ提示制御部103は、音声コンポーネントおよび第1副映像のコンポーネントを提示すべき装置としてディスプレイ150を選択し、第2副映像のコンポーネントを提示すべき装置としてタブレット端末160を選択する。
S6において、コンテンツ提示制御部103は、S5で選択された登録済みの各提示装置に向けて、その提示装置が提示すべきコンポーネントを送信する。前述の例に則して言えば、コンテンツ提示制御部103は、音声コンポーネントおよび第1副映像のコンポーネントをディスプレイ150に送信し、第2副映像のコンポーネントをタブレット端末160に送信する。なお、コンテンツ提示制御部103は、コンテンツに含まれる各コンポーネントが表示システム1全体で同期をとりながら再生されるべきコンポーネントである場合には、同期制御のための情報をコンポーネントとともに各提示装置に送信してもよい。S6の処理の後、表示システム1は、S8の処理に進む。
S8において、S5で選択された各提示装置は、自装置が提示すべきコンポーネントを提示し、処理を終了する。前述の例に則して言えば、テレビ100のコンテンツ提示制御部103が主映像のコンポーネントを表示部107に表示し、タブレット端末160のコンポーネント提示制御部162が第2副映像のコンポーネントを表示部163に表示することになる。同様に、ディスプレイ150のコンポーネント提示制御部152が、第1副映像のコンポーネントを表示部153に表示しながら音声コンポーネントを音声出力部154から出力することになる。なお、テレビ100からコンポーネントとともに同期制御のための情報が送信された提示装置は、その情報に基づいてコンポーネントを提示するタイミングを制御する。
その結果、図2のイメージ図に示されているように、コンテンツ提供者が大画面で鑑賞すべきであると考える第1副映像が超大画面ディスプレイ150に表示され、コンテンツ提供者が手元の携帯表示端末を用いて見るべきであると考える第2副映像がタブレット端末160に表示されることになる。また、コンテンツ提供者が中程度のサイズの画面で鑑賞すべきであると考える主映像が普及型テレビ100に表示されることになる。
なお、「コンテンツに主映像、第1副映像および第2副映像の3つの表示コンポーネントが含まれており、コンテンツのメタデータに各表示コンポーネントのレベル値が記述されているケース」を例に挙げて説明を行った。上記例では、3つの提示装置の各々で表示コンポーネントが表示されることになるが、1台または2台の提示装置でしか表示コンポーネントが表示されないケースもある。例えば、「コンテンツにBMLの表示コンポーネントのみが含まれており、コンテンツのメタデータにその表示コンポーネントのレベル値として“1”が記述されているケース」では、BMLの表示コンポーネントがタブレット端末160で表示され、テレビ100およびディスプレイ150では表示コンポーネントは表示されない。
(テレビ100の利点)
以上のように、テレビ100では、コンテンツ受信部101が表示部107に表示される1つ以上の表示コンポーネントを含むコンテンツを配信装置200から受信する。
また、コンテンツ受信部101は、コンテンツとともに、上記1つ以上の表示コンポーネントの各々について、上記コンテンツの提供者が定めた推奨視距離に関する階級を示すレベル値であって該表示コンポーネントの推奨視距離が属する階級を示すレベル値が示されたメタデータを配信装置200から受信する。
そして、テレビ100のコンテンツ提示制御部103は、テレビ100、ディスプレイ150およびタブレット端末160の3台の表示装置またはその一部の表示装置に、コンテンツ受信部101が受信したコンテンツに含まれるコンポーネントを表示させる。
具体的には、コンテンツ提示制御部103は、上記1つ以上の表示コンポーネントの各々について、該表示コンポーネントのレベル値の大きさに基づいて、メーカー推奨視距離が属する階級が該表示コンポーネントの推奨視距離が属する階級に最も近い表示装置を、3台の表示装置の中から選択し、選択した表示装置に該表示コンポーネントを表示させる。
上記の構成によって、テレビ100は、コンポーネントを表示する表示装置として、そのメーカー推奨視距離が、コンテンツの提供者がそのコンポーネントについて定めた推奨視距離に相対的に近い表示装置を、普及型テレビ100、超大画面ディスプレイ150およびタブレット端末160の中から選択することになる。例えば、手元にある画面サイズの小さい表示装置で見ることが好ましい表示コンポーネントはタブレット端末160に表示され、ユーザから離れた位置にある画面サイズの大きい表示装置で見ることが好ましい表示コンポーネントは超大画面ディスプレイ150に表示される。
したがって、テレビ100は、コンテンツに含まれるコンポーネントを、普及型テレビ100、超大画面ディスプレイ150およびタブレット端末160のうちそのコンポーネントに応じた適切な表示装置に表示させることができるという効果を奏する。
(実施形態1に係る配信装置200および表示システム1の変形例)
配信装置200および表示システム1の変形例について以下に説明する。なお、以下では、変形例に係る配信装置および表示システムについて、配信装置200および表示システム1と相違する部分を中心に説明することにする。
まず、配信装置が備えるメタデータ記憶部に記録される、コンテンツに関するメタデータには、そのコンテンツを構成するコンポーネント毎に、対象コンポーネントのレベル値だけでなく対象コンポーネントの種別を示すメディアタイプが含まれている。例えばコンテンツが6つのコンポーネント(コンポーネントA〜F)で構成される場合、メタデータは、例えば、図6にテーブル形式で示したような情報を含むことになる。
また、変形例に係る普及型テレビ(図中では「提示装置A」と表記)が備えるシステム構成情報記憶部に記録されるシステム構成情報には、普及型テレビに登録されている提示装置毎に、その提示装置の推奨視距離を示す情報だけでなく、その提示装置が提示可能なコンポーネントの種別(メディアタイプ)を示す情報が含まれている。例えば、システム構成情報記憶部には、図7に例示されるようなシステム構成情報が記録されることになる。
普及型テレビは、配信装置から送信されるメタデータおよび自機に記録されているシステム構成情報に基づいて、配信装置から送信されるコンテンツを構成する各コンポーネントについてコンポーネントを提示する提示装置を決定するが、そのアルゴリズムについて図8を参照して以下に詳細に説明する。図8は、普及型テレビが各コンポーネントについて、コンポーネントを提示する提示装置を決定する動作を示すフローチャート図である。なお、以下では、配信装置から送信されるメタデータが図6に示されるメタデータであるケースを適宜例に挙げながらアルゴリズムの説明を行うことにする。
最初に、普及型テレビのコンテンツ受信部は、コンテンツを受信した後に、そのコンテンツに関するメタデータ(具体的には、コンポーネント毎のレベル値およびメディアタイプ)を配信装置から受信し、コンポーネント分離部に供給する(S11)。
S11の後、コンポーネント分離部は、コンテンツ受信部から供給されたコンテンツから各コンポーネントを分離し、各コンポーネントについて、対象コンポーネントと対象コンポーネントのレベル値およびメディアタイプとをコンテンツ提示制御部に供給する(S12)。
S12の後、コンテンツ提示制御部は、システム構成情報を参照し、普及型テレビに登録されている各提示装置について、その提示装置が提示可能なコンポーネントの種別を示す情報と、その提示装置の推奨視距離を示す情報と、を取得する(S13)。
S13の後、コンテンツ提示制御部は、S13で取得した推奨視距離の最大値を、S12で取得したレベル値の最大値で割り算する(S14)。この割り算により得られた値を実施形態1の説明中では「単位レベル距離値」と称する。
例えば、配信装置から受信するメタデータが図6のメタデータであって、普及型テレビに記録されているシステム構成情報が図7のシステム構成情報である場合には、推奨視距離の最大値である「3800mm」をレベル値の最大値である「5」で割った「760mm」を単位レベル距離値として設定する。また、例えば、配信装置から受信するメタデータが図6のメタデータであって、システム構成情報が図9のシステム構成情報である場合にも同様である。
S14の後、コンテンツ提示制御部は、各コンポーネントについて、対象コンポーネントのレベル値に単位レベル距離値を乗算する(S15)。コンテンツ提示制御部は、この乗算により得られた値をコンポーネント推奨視距離の最大値として設定する。上述した前者の例の場合には各コンポーネントのコンポーネント推奨視距離の最大値は図10に示されるような値になり、後者の例の場合には各コンポーネントのコンポーネント推奨視距離の最大値は図11に示されるような値になる。
S15の後、コンテンツ提示制御部は、S12で取得した各情報に基づいて、各コンポーネントについて、以下のS16並びにS17若しくはS18の処理を行う。
すなわち、S16において、コンテンツ提示制御部は、対象コンポーネントのメディアタイプが表す種別のコンポーネントを提示可能な提示装置であって、その推奨視距離が対象コンポーネントのコンポーネント推奨視距離の最大値以下である提示装置が普及型テレビに1台以上登録されているか否かを判定する。
そのような提示装置(図8、図10、図11において「条件を満たす提示装置」と称する)が1台以上登録されていると判定された場合、コンテンツ提示制御部は、1台以上の提示装置の中から、推奨視距離が最大の提示装置を選択し、選択した提示装置を、対象コンポーネントを提示する装置に決定する(S17)。
一方、そのような提示装置が1台も登録されていないと判定された場合、コンテンツ提示制御部は、対象コンポーネントのメディアタイプが表す種別のコンポーネントを提示可能な全提示装置の中から、推奨視距離が最小の提示装置を選択し、選択した提示装置を、対象コンポーネントを提示する装置に決定する(S18)。
以上の処理の結果、各コンポーネントについて、コンポーネントを提示する提示装置が決定されることになるが、コンポーネントを提示する提示装置は、前述の前者の例では図12に示したように決定され、後者の例では図13に示したように決定されることになる。
すなわち、各コンポーネントは、メーカーによって規定された推奨視距離がそのコンポーネントの推奨視距離に近い提示装置において提示されることになる。
また、本変形例では、コンテンツ提供者は、メタデータ内にレベル値を記載する際に、予め定められた規定に従ってレベル値を記載しなくともよい。すなわち、コンテンツ提供者は、ユーザに、推奨視距離が短い(すなわち、画面サイズが小さい(多くの場合、筐体も小さく、筐体に取り付けられているスピーカーも小出力タイプである))提示装置を通じて映像または音声を鑑賞させたい場合には相対的に小さいレベル値を記載し、推奨視距離が長い(すなわち、画面サイズが大きい(筐体が大きく、多くの場合、筐体に取り付けられているスピーカーは大出力タイプである))提示装置を通じて映像または音声を鑑賞させたい場合には相対的に大きいレベル値を記載すればよい。このような場合であっても、本変形例に係るテレビは、表示システムの構成に応じた最適な提示装置に各コンポーネントを提示させることができる。
〔実施形態2〕
本発明の別の一実施形態に係る表示システムについて図14〜図18を参照しながら以下に説明する。
本実施形態に係る表示システムも、実施形態1に係る表示システム1と同様に、マルチスクリーン型放送の技術を用いて配信装置から配信されたコンテンツを表示する表示システムである。また、本実施形態に係る表示システムも、受信装置、提示装置(表示装置)、および、他の提示装置を制御する提示制御装置(表示制御装置)の役割を兼ね備える普及型テレビ、提示装置としての役割を担うタブレット端末および超大画面ディスプレイが含まれている。
一方、本実施形態に係る表示システムは、各提示装置の位置からユーザが居る位置までの距離を測定し、コンテンツに含まれる各表示コンポーネントについて、距離の測定値(以下、「ユーザ距離値」「実測距離値」等とも称する)が属する階級が表示コンポーネントの推奨視距離が属する階級に最も近い表示装置に、表示コンポーネントを表示させる点で、表示システム1とは異なっている。すなわち、本実施形態に係る表示システムは、表示システム1とは異なり、各提示装置のメーカー推奨視距離とは無関係に表示コンポーネントを表示する提示装置を決定する。
さらに、本実施形態で配信されるコンテンツには、音声、主映像および2つの副映像の各コンポーネントに加え、コンテンツに関するユーザコンポーネントが含まれている。ここで、ユーザコンポーネントとは、過去にコンテンツを閲覧した閲覧者に関する情報を含むコンポーネントであり、閲覧者が配信装置にアップロードした閲覧者のコメントを含むテキストコンポーネントが一例に挙げられる。
以下、本実施形態に係る配信装置および表示システムの構成、並びに、表示システムの各装置の配置について図14を参照しながら説明する。図14は本実施形態に係る表示システム1’および配信装置200’の構成を示すブロック図である。
図14に示すように、表示システム1’は、普及型テレビ100’、超大画面ディスプレイ150’およびタブレット端末160’を含んでおり、普及型テレビ100’が、配信装置200’によって放送波を媒介として送信されたコンテンツを受信するようになっている。また、表示システム1と同様にタブレット端末160’はユーザの手元にあり、普及型テレビ100’および超大画面ディスプレイ150’の位置関係も表示システム1と同じである。
(配信装置200’)
配信装置200’は、コンテンツ記憶部201、メタデータ記憶部202、コンテンツ送信部203およびユーザコンポーネント受信部204を備えている。
コンテンツ記憶部201には、主映像、2つの副映像(第1副映像、第2副映像)、音声およびテキストの各コンポーネントを含むコンテンツが記録されている。ここでのテキストのコンポーネントは、ユーザコンポーネントの一例として挙げた閲覧者のコメントを含むコンポーネントである。
メタデータ記憶部202には、コンテンツに関するメタデータが記録されている。このメタデータはassetタグの下に、さらに<asset xml:id=“text” view_dist_level=“1”>というテキストコンポーネントのレベル値を示すassetタグが記述されている点を除き、図3(a)のメタデータと同一である。
コンテンツ送信部203は、コンテンツをコンテンツ記憶部201から読み出すとともに、そのコンテンツに関するメタデータをメタデータ記憶部202から読み出して、コンテンツをメタデータとともに放送波に乗せて配信する。
ユーザコンポーネント受信部204は、ユーザコンポーネントである前述のテキストコンポーネントのユーザからのアップロードを受け付ける通信インタフェースである。
(普及型テレビ100’)
普及型テレビ100’は、コンテンツ受信部101、コンポーネント分離部102、コンテンツ提示制御部103’、情報入力部104、システム構成情報記憶部105’、コンポーネント送信部106、表示部107、音声出力部108、ユーザ距離測定部109、ユーザ距離情報受信部110およびユーザ情報記憶部111を備えている。
ユーザ距離測定部109は、撮像センサーを備え、顔画像検出技術を用いてユーザを認識し、認識したユーザとの間の距離を測定する。ユーザ距離測定部109は、距離の測定値(ユーザ距離値、実測距離値)を生成してコンテンツ提示制御部103’に供給する。なお、ユーザ距離測定部109は、表示部107のすぐ傍に設けられ、撮像センサーは表示部の前方方向に向けられている。
ユーザ距離情報受信部110は、テレビ100’に登録されている各提示装置からユーザ距離値を受信するための通信インタフェースである。
ユーザ情報記憶部111(特許請求の範囲の「記憶部」に対応)には、テレビ100’に登録されている各ユーザのユーザ情報が記録されている。具体的には、ユーザ情報記憶部111には、図15に示すように各ユーザの顔画像および視力情報がユーザ情報の一部として記録されており、図示はしていないがその他のユーザの特性を示す情報(嗜好情報等)もユーザ情報の一部として記録されている。
コンテンツ提示制御部103’は、ユーザ距離測定部109およびユーザ距離情報受信部110を通じて、各ユーザ距離値を取得し、各iについて、推奨視距離がレベル値iの階級に属するコンポーネントを、どの提示装置に表示させるべきかを決定する。
具体的には、各ユーザ距離値のうち、ユーザ距離値が属する階級がレベル値iの階級に最も近いユーザ距離値を特定し、そのユーザ距離値を生成した提示装置を、レベル値iの階級に属するコンポーネントを表示すべき装置として決定する。なお、レベル値iの階級に最も近いユーザ距離値を生成して提示装置が2台以上存在する場合には、画面サイズの最も大きい提示装置を、レベル値iの階級に属するコンポーネントを表示すべき装置として決定する。そして、その提示装置に関するシステム構成情報の一部として、レベル値iをシステム構成情報記憶部105’に記録する。なお、その提示装置に関するシステム構成情報の一部としてレベル値が記録済みの場合は、コンテンツ提示制御部103’は、レベル値をiに更新する。
コンテンツ提示制御部103’は、コンテンツに含まれる各コンポーネントについて、そのコンポーネントを提示すべき装置を、そのコンテンツに関するメタデータと、システム構成情報記憶部105’に記録されている各提示装置のシステム構成情報と、に基づいて決定する。具体的には、メタデータ内に記述されている各コンポーネントのレベル値を参照し、レベル値iが記述されているコンポーネントを、レベル値iをシステム構成情報の一部として含む提示装置に提示させることを決定する。
コンテンツ提示制御部103’は、コンポーネントを提示すべき装置が普及型テレビ100’に登録された提示装置である場合には、コンポーネント送信部106を介して、そのコンポーネントを提示すべき装置に送信する。また、コンポーネントを提示すべき装置が普及型テレビ100’である場合には、そのコンポーネントが表示コンポーネントであるときはコンポーネントを表示部107に表示し、そのコンポーネントが音声コンポーネントであるときはコンポーネントを音声出力部108から出力する。
システム構成情報記憶部105’には、テレビ100’自身のシステム構成情報とテレビ100に登録された他の提示装置のシステム構成情報とが記録されており、システム構成情報の一部として、デフォルトのユーザ距離値と、直近で取得したユーザ距離値と、が記録されている。具体的には、テレビ100’、ディスプレイ150’およびタブレット端末160’からなる3台の提示装置のシステム構成情報がシステム構成情報記憶部105’に記録されている。
なお、コンテンツ受信部101、コンポーネント分離部102、情報入力部104、コンポーネント送信部106、表示部107および音声出力部108については、実施形態1で説明済みであるので、ここでは説明を省略する。
(超大画面ディスプレイ150’)
超大画面ディスプレイ150’は、コンポーネント受信部151、コンポーネント提示制御部152、表示部153、音声出力部154、ユーザ距離測定部155およびユーザ距離情報送信部156を備えている。
ユーザ距離測定部155は、撮像センサーを備え、顔画像検出技術を用いてユーザを認識し、認識したユーザとの間の距離を測定する。ユーザ距離測定部155は、距離の測定値(ユーザ距離値、実測距離値)を生成してユーザ距離情報送信部156に供給する。なお、ユーザ距離測定部155は、表示部153のすぐ傍に設けられ、撮像センサーは表示部の前方方向に向けられている。
ユーザ距離情報送信部156は、ユーザ距離測定部155から供給されたユーザ測定値をテレビ100’に送信するための通信インタフェースである。
なお、コンポーネント受信部151、コンポーネント提示制御部152、表示部153および音声出力部154については、実施形態1で説明済みであるので、ここでは説明を省略する。
(タブレット端末160’)
タブレット端末160’は、コンポーネント受信部161、コンポーネント提示制御部162、表示部163、音声出力部164、ユーザ距離測定部165、ユーザ距離情報送信部166、情報入力部167およびユーザコンポーネント送信部168を備えている。
ユーザ距離測定部165は、撮像センサーを備え、顔画像検出技術を用いてユーザを認識し、認識したユーザとの間の距離を測定する。ユーザ距離測定部165は、距離の測定値(ユーザ距離値、実測距離値)を生成してユーザ距離情報送信部166に供給する。なお、ユーザ距離測定部165は、表示部163のすぐ傍に設けられ、撮像センサーは表示部の前方方向に向けられている。
ユーザ距離情報送信部166は、ユーザ距離測定部165から供給されたユーザ測定値をテレビ100’に送信するための通信インタフェースである。
情報入力部167は、ユーザに情報を入力させるために設けられている入力デバイスである。ユーザは、情報入力部167を用いて、視聴中のコンテンツに関する自身のコメントを入力できるようになっている。
ユーザコンポーネント送信部168は、情報入力部167を通じて入力されたユーザのコメントを含むテキストコンポーネントを、インターネット500を介して配信装置200’に送信するための通信インタフェースである。
以上、本実施形態に係る配信装置および表示システムの構成、並びに、表示システムの各装置の配置について説明した。
次に、本実施形態に係る表示システム1’が、配信装置200’からコンテンツを受信して各コンポーネントを再生する動作について図17および図18を参照しながら説明する。図17は表示システム1’の利用イメージを模式的に示した図であり、図18は、表示システム1’の上記動作を示すフローチャート図である。
図18に示すように、テレビ100’のコンテンツ受信部101は、コンテンツとそのコンテンツに関するメタデータとを受信し、コンポーネント分離部102に供給する(S21)。
コンポーネント分離部102は、コンテンツ受信部101から供給されたコンテンツから各コンポーネントを分離し、各コンポーネントをメタデータとともにコンテンツ提示制御部103’に供給する(S22)。
コンテンツ提示制御部103’は、コンポーネント分離部102から供給されたメタデータを参照し、各コンポーネントの推奨視距離に関する階級(レベル値)を確認する(S23)。
S23の後、コンテンツ提示制御部103’は、システム構成情報記憶部105’から各提示装置のシステム構成情報を取得する(S24)。S25において、コンテンツ提示制御部103’は、各提示装置について、システム構成情報の一部であるユーザ距離値(デフォルト値)を参照し、以下に説明する処理を行うことでシステム構成情報を更新する。
すなわち、コンテンツ提示制御部103’は、各iについて、参照した各ユーザ距離値のうち、その階級がレベル値iの階級に最も近いユーザ距離値を特定し、そのユーザ距離値を生成した提示装置を、レベル値iの階級に属するコンポーネントを表示すべき装置として決定する。さらに、レベル値iの階級に属するコンポーネントを表示すべきであると決定した提示装置に関するシステム構成情報の一部としてレベル値iを記録する。テレビ100’、ディスプレイ150’およびタブレット端末160’の各ユーザ距離値(デフォルト値)として“1.5m”、“3.8m”、および“30cm”の各値がシステム構成情報記憶部105’に記録されている状態でS25の処理が成されると、システム構成情報は図16(a)に示すように更新されることになる。
S25の後、コンテンツ提示制御部103’は、表示システム1’に受信装置(テレビ100’)以外の提示装置が含まれているか否かを判定する。すなわち、コンテンツ提示制御部103’は、テレビ100’に1台以上の提示装置が登録されているか否かを判定する(S26)。
テレビ100’にはディスプレイ150’およびタブレット端末160’が登録されているので、コンテンツ提示制御部103’は、テレビ100に1台以上の提示装置が登録されていると判定し(S26においてYES)、S27に進む。なお、テレビ100’に1台も提示装置が登録されていないと判定した場合には(S26においてNO)、コンテンツ提示制御部103’は全てのコンポーネントをテレビ100’で提示することを決定し(S28)、S29に進むことになる。
S27において、コンテンツ提示制御部103’は、システム構成情報記憶部105’に記録されている各提示装置のシステム構成情報に基づいて、各コンポーネントについてコンポーネントを提示すべき提示装置を各提示装置の中から選択する。具体的には、コンテンツ提示制御部103’は、各iについて、メタデータ内に記述されている各コンポーネントのレベル値を参照し、レベル値iが記述されているコンポーネントを、レベル値iをシステム構成情報の一部として含む提示装置に提示させることを決定する。
コンテンツ提示制御部103’は、S27の処理を終えると、S29の処理に進む。S29において、コンテンツ提示制御部103’は、ユーザ距離測定部109および各提示装置に対して、ユーザ距離値を送信するよう要求し、各提示装置で生成されたユーザ距離値を取得する。そして、コンテンツ提示制御部103’は、各iについて、取得した各ユーザ距離値のうち、その階級がレベル値iの階級に最も近いユーザ距離値を特定し、そのユーザ距離値を生成した提示装置を、レベル値iの階級に属するコンポーネントを表示すべき装置として決定する。さらに、コンテンツ提示制御部103’は、各提示装置について、その提示装置で生成されたユーザ距離値とその提示装置で表示すべきコンポーネントのレベル値とを、その提示装置に関するシステム構成情報の一部として記録する。
S29の時点でユーザが座席から3m後方に居るケースを例に挙げる。この場合、コンテンツ提示制御部103’は、ユーザ距離測定部109、ディスプレイ150’およびタブレット端末160’から、それぞれ、“4.5m”、“6.8m”、および“30cm”というユーザ距離値を取得することになる。そして、レベル値1または2の階級に属するコンポーネントを表示すべき装置をタブレット端末160’に決定し、レベル値4または5の階級に属するコンポーネントを表示すべき装置をディスプレイ150’に決定し、レベル値3の階級に属するコンポーネントをテレビ100’に決定する。その結果、図16(a)のシステム構成情報は図16(b)に示すように更新されることになる。
S29での処理の結果に基づいて、コンテンツ提示制御部103’は、いずれかの1つ以上の階級についてその階級に属するコンポーネントを提示すべき提示装置が別の提示装置に切り替わったか否かを判定する(S30)。
コンテンツ提示制御部103’は、S30において「切り替わった」と判定した場合(S30においてYES)、S26の処理に戻る。一方、S30において「切り替わっていない」と判定した場合(S30においてNO)、コンテンツ提示制御部103’は、S31の処理に進む。
S31において、コンテンツ提示制御部103’は、S27の処理と同様の方法で、システム構成情報記憶部105’に記録されている各提示装置のシステム構成情報に基づいて、各コンポーネントについてコンポーネントを提示すべき提示装置を各提示装置の中から選択する。そして、コンテンツ提示制御部103’は、コンポーネントを提示すべき提示装置がテレビ100’以外である場合にはそのコンポーネントをその提示装置に送信する。
S32において、コンポーネントをテレビ100’から受信した提示装置は、そのコンポーネントを再生する。また、テレビ100’は、自装置で表示すべき表示コンポーネントがある場合にはその表示コンポーネントを表示部107に表示し、自装置から出力すべき音声コンポーネントがある場合にはその音声コンポーネントを音声出力部108から出力する。
S32の処理を終えてから一定期間経過後、コンテンツ提示制御部103’はコンテンツの再生が終了するか否かを判定する(S33)。コンテンツ提示制御部103’は、コンテンツの再生がまだ終了しないと判定した場合には(S33においてNO)S29の処理に戻り、コンテンツの再生が終了すると判定した場合には(S33においてYES)、処理を終了する。
(テレビ100’の利点)
以上のように、普及型テレビ100’のコンテンツ提示制御部103’は、テレビ100’自身、ディスプレイ150’およびタブレット端末160’の各表示装置から、表示装置によってコンポーネントが表示される表示部とユーザとの間の距離の測定値を取得する。
コンテンツ提示制御部103’は、1つ以上の表示コンポーネントの各々について、該表示コンポーネントのレベル値を参照して該レベル値が示す階級に最も近い階級に属する測定値の取得先となった表示装置を上記3台の表示装置の中から選択するとともに、選択した表示装置に該コンポーネントを表示させる。
上記の構成により、普及型テレビ100’は、ユーザが普及型テレビ100’から推奨視距離だけ離れた座席に居るときには主映像を表示部107に表示し、図17のイメージ図に示されているようにユーザが座席の3m後方(普及型テレビ100’から遠く離れた位置)に居る場合には、ユーザの手元にあるタブレット端末160に第2副映像とともに主映像が表示されるよう、タブレット端末160を制御する。
したがって、普及型テレビ100’は、ユーザに、ユーザが居る場所に応じた最適な表示装置を通じて主映像を見せることができる。
また、普及型テレビ100’は、ユーザが普及型テレビ100’から推奨視距離だけ離れた座席に居るときにはテキストコンポーネントがタブレット端末160’に表示されるようタブレット端末160’を制御し、ユーザが普及型テレビ100’の傍に居るときにはテキストコンポーネントがテレビ100’に表示される。したがって、視力が弱くてタブレット端末160’に表示される文字を読むのに苦労するユーザは、テレビ100’に近づくだけで容易に文字を読むことができる。
(ユーザコンポーネントについて)
コンテンツ記憶部201に、主映像、2つの副映像(第1副映像、第2副映像)、音声およびテキストの各コンポーネントを含むコンテンツが記録されており、テキストコンポーネントのみがユーザコンポーネントである例を挙げて本実施形態の説明を行ったが、本発明がこれに限定されないことは言うまでもない。
すなわち、コンテンツには、ユーザコンポーネントとして、ユーザのコメントを表すテキストコンポーネントとともに、または、そのようなテキストコンポーネントに代えて、ユーザのコメントを表す音声のコンポーネントや、ユーザの顔等が被写体として写っている映像のコンポーネント等が含まれていてもよい。この場合、ユーザコンポーネント送信部168は、マイク(図示せず)を通じて生成したそのような音声のコンポーネントや、カメラ(図示せず)を通じて生成したそのような映像のコンポーネント等のユーザコンポーネントを、インターネット500を介して配信装置200’に送信することになる。
(ユーザ距離測定部109、155、165について)
各ユーザ距離測定部は、ユーザとの間の距離を測定できるものであれば、どのような測定技術を用いるものであってもかまわない。例えば、ユーザ距離測定部は、レーダと赤外線とを用いて、グリッド照射、歪み計測および立体空間認識(ジェスチャ認識)を行うことで、ユーザとの間の距離(例えば、ユーザの顔との間の距離である顔距離)を測定する距離センサであってもよい。あるいは、ユーザ距離測定部は、2眼立体カメラで撮影した左目用画像内の顔画像部分と右目用画像内の顔画像部分との間のズレ量から、ユーザとの間の距離を測定するものであってもよい。
あるいは、ユーザ距離測定部は、UWBを用いた赤外線測距離によりユーザとの間の距離を測定するものであってもよい。具体的には、短いパルス幅(例えば1ns以下)のパルス信号を比較的長い時間継続してユーザに向けて発信し、各パルス信号の発信から反射による受信までの時間を計測することで、ユーザとの間の距離を測定してもよい。
あるいは、ユーザ距離測定部は、赤外線発光デバイスと赤外線検知アレイとで構成されている光位置センサを含んでいてもよい。この場合、光位置センサは、ユーザを追従するように位置および向きを自動的に制御可能に構成されていることが望ましい。
(実施形態2に係る配信装置200’および表示システム1’の変形例)
配信装置200’および表示システム1’の変形例について以下に説明する。なお、以下では、変形例に係る配信装置および表示システムについて、配信装置200’および表示システム1’と相違する部分を中心に説明することにする。
実施形態1に係る配信装置200および表示システム1の変形例と同様に、配信装置が備えるメタデータ記憶部に記録される、コンテンツに関するメタデータには、図6に示すように、そのコンテンツを構成するコンポーネント毎に、対象コンポーネントのレベル値だけでなく対象コンポーネントの種別を示すメディアタイプが含まれている。
また、変形例に係る普及型テレビ(図中では「提示装置A」と表記)が備えるシステム構成情報記憶部に記録されるシステム構成情報には、普及型テレビに登録されている提示装置毎に、その提示装置の推奨視距離および実測視距離に関する情報だけでなく、その提示装置が提示可能なコンポーネントの種別(メディアタイプ)を示す情報が含まれている。例えば、システム構成情報記憶部には、図19に例示されるようなシステム構成情報が記録されることになる。
普及型テレビは、配信装置から送信されるメタデータおよび自機に記録されているシステム構成情報に基づいて、配信装置から送信されるコンテンツを構成する各コンポーネントについてコンポーネントを提示する提示装置を決定するが、そのアルゴリズムについて図20を参照して以下に詳細に説明する。図20は、普及型テレビが各コンポーネントについて、コンポーネントを提示する提示装置を決定する動作を示すフローチャート図である。なお、以下では、配信装置から送信されるメタデータが図6に示されるメタデータであるケースを適宜例に挙げながらアルゴリズムの説明を行うことにする。
最初に、普及型テレビのコンテンツ受信部は、コンテンツを受信した後に、そのコンテンツに関するメタデータ(具体的には、コンポーネント毎のレベル値およびメディアタイプ)を配信装置から受信し、コンポーネント分離部に供給する(S41)。
S41の後、コンポーネント分離部は、コンテンツ受信部から供給されたコンテンツから各コンポーネントを分離し、各コンポーネントについて、対象コンポーネントと対象コンポーネントのレベル値およびメディアタイプとをコンテンツ提示制御部に供給する(S
42)。
S42の後、コンテンツ提示制御部は、システム構成情報を参照し、普及型テレビに登録されている各提示装置について、その提示装置が提示可能なコンポーネントの種別を示す情報と、その提示装置の推奨視距離を示す情報と、その提示装置の実測視距離を示す情報と、を取得する(S43)。
S43の後、コンテンツ提示制御部は、S43で取得した実測視距離の最大値を、S12で取得したレベル値の最大値で割り算する(S44)。この割り算により得られた値を実施形態2の説明中では、「単位レベル距離値」と称する。
例えば、配信装置から受信するメタデータが図6のメタデータであって、普及型テレビに記録されているシステム構成情報が図19のシステム構成情報である場合には、実測視距離の最大値である「6800mm」をレベル値の最大値である「5」で割った「1360mm」を単位レベル距離値として設定する。また、例えば、配信装置から受信するメタデータが図6のメタデータであって、システム構成情報が図21のシステム構成情報である場合には、実測視距離の最大値である「2800mm」をレベル値の最大値である「5」で割った「560mm」を単位レベル距離値として設定する。
S44の後、コンテンツ提示制御部は、各コンポーネントについて、対象コンポーネントのレベル値に単位レベル距離値を乗算する(S45)。コンテンツ提示制御部は、この乗算により得られた値をコンポーネント推奨視距離の最大値として設定する。上述した前者の例の場合には各コンポーネントのコンポーネント推奨視距離の最大値は図22に示されるような値になり、後者の例の場合には各コンポーネントのコンポーネント推奨視距離の最大値は図23に示されるような値になる。
S45の後、コンテンツ提示制御部は、S42で取得した各情報に基づいて、各コンポーネントについて、以下のS46並びにS47若しくはS48の処理を行う。
すなわち、S46において、コンテンツ提示制御部は、対象コンポーネントのメディアタイプが表す種別のコンポーネントを提示可能な提示装置であって、その実測視距離が対象コンポーネントのコンポーネント推奨視距離の最大値以下である提示装置が普及型テレビに1台以上登録されているか否かを判定する。
そのような提示装置(図20、図22、図23において「条件を満たす提示装置」と称する)が1台以上登録されていると判定された場合、コンテンツ提示制御部は、1台以上の提示装置の中から、実測視距離が最大の提示装置を選択し、選択した提示装置を、対象コンポーネントを提示する装置に決定する(S47)。
一方、そのような提示装置が1台も登録されていないと判定された場合、コンテンツ提示制御部は、対象コンポーネントのメディアタイプが表す種別のコンポーネントを提示可能な全提示装置の中から、実測視距離が最小の提示装置を選択し、選択した提示装置を、対象コンポーネントを提示する装置に決定する(S48)。
以上の処理の結果、各コンポーネントについて、コンポーネントを提示する提示装置が決定されることになるが、コンポーネントを提示する提示装置は、前述の前者の例では図24に示したように決定され、後者の例では図25に示したように決定されることになる。すなわち、各コンポーネントは、そのコンポーネントの推奨視距離に近い距離だけユーザから離れた位置にある提示装置において提示されることになる。
また、本変形例では、コンテンツ提供者は、メタデータ内にレベル値を記載する際に、予め定められた規定に従ってレベル値を記載しなくともよい。すなわち、コンテンツ提供者は、ユーザに、そのユーザの近くにある提示装置を通じて映像または音声を鑑賞させたい場合には相対的に小さいレベル値を記載し、そのユーザから遠く離れた位置にある提示装置を通じて映像または音声を鑑賞させたい場合には相対的に大きいレベル値を記載すればよい。このような場合であっても、本変形例に係るテレビは、表示システムの構成とユーザが居る位置とに応じた最適な提示装置に各コンポーネントを提示させることができる。
(付記事項1)
テレビ100’では、コンテンツ提示制御部103’が、ユーザ情報記憶部111にアクセスし、ユーザ距離測定部109で検出した顔画像の特徴量に基づいて、その顔画像を含むユーザ情報を検索するように構成されていてもよい。そして、コンテンツ提示制御部103’は、検索の結果そのようなユーザ情報がヒットした場合にユーザ情報内に含まれる視力情報を参照し、視力情報が表す視力の強さに応じた表示コンポーネントの表示制御を行うように構成されていてもよい。
具体的には、コンテンツ提示制御部103’は、表示画面(特許請求の範囲の「表示可能領域」に対応)中の映像コンポーネントが表示される表示領域のサイズを視力の強さに応じて変えてもよい。すなわち、コンテンツ提示制御部103’は、視力が所定の基準よりも強い場合には表示領域のサイズをデフォルトよりも縮小し、視力が所定の基準よりも弱い場合には表示領域のサイズをデフォルトよりも拡大してもよい。例えば、コンテンツ提示制御部103’(特許請求の範囲の「識別手段」に対応)は、ユーザAの顔画像を含むユーザ情報がヒットした場合(すなわち、テレビ100’を使用しているユーザが1.5の視力を有するユーザAであると識別した場合)には表示領域のサイズをデフォルトよりも縮小してもよい。あるいは、ユーザCの顔画像を含むユーザ情報がヒットした場合(すなわち、テレビ100’を使用しているユーザが0.1の視力を有するユーザCであると識別した場合)には表示領域をデフォルトよりも拡大してもよい。
あるいは、コンテンツ提示制御部103’は、テキストコンポーネントを表示する場合に表示するテキストの文字サイズを視力の強さに応じて変えてもよい。すなわち、コンテンツ提示制御部103’は、視力が所定の基準よりも強い場合にはテキストをデフォルトより小さいサイズで表示し、視力が所定の基準よりも弱い場合にはテキストをデフォルトより大きいサイズで表示してもよい。
上記の構成によって、視力の弱い人であっても、表示コンポーネントを苦労することなく閲覧することができる。したがって、テレビ100’は、視力の弱い人が表示コンポーネントを閲覧することを容易にするという効果を奏する。
なお、各ユーザの視力情報は、情報入力部104を通じて入力されたものであってもよいが、テレビ100’は、ユーザの視力を測定する測定手段を備えていてよく、測定手段が測定した視力を表す視力情報をユーザ情報記憶部111に記録してもよい。この場合、テレビ100’は、各ユーザの視力情報を定期的に更新するように構成されていてもよい。すなわち、測定手段は、ユーザの視力を最後に測定した時点から一定期間以上が経過した場合に、そのユーザの視力を再度測定し、ユーザ情報記憶部111に記録されているそのユーザの視力情報を得られた視力情報で更新してもよい。
(付記事項2)
テレビ100’では、コンテンツ提示制御部103’は、ユーザ距離測定部109が測定したユーザとの間の距離の大きさに応じて、表示画面中の映像コンポーネントが表示される表示領域のサイズを変えてもよい。すなわち、コンテンツ提示制御部103’は、ユーザ距離測定部109が測定するユーザとの間の距離が長くなるにつれて段階的に表示領域のサイズを拡大し、ユーザ距離測定部109が測定するユーザとの間の距離が短くなるにつれて段階的に表示領域のサイズを縮小してもよい。
あるいは、コンテンツ提示制御部103’は、テキストコンポーネントを表示する場合に表示するテキストの文字サイズを、ユーザ距離測定部109が測定したユーザとの間の距離の大きさに応じて変えてもよい。すなわち、コンテンツ提示制御部103’は、ユーザ距離測定部109が測定するユーザとの間の距離が長くなるにつれてテキストの表示サイズを段階的に大きくし、ユーザ距離測定部109が測定するユーザとの間の距離が短くなるにつれてテキストの表示サイズを段階的に小さくしてもよい。
(付記事項3)
ユーザ距離測定部109として、ユーザの顔までの距離である顔距離を測定する測距装置を採用する場合に以下のようにテレビ100’を構成してもよい。
すなわち、テレビ100’では、コンテンツ提示制御部103’は、ユーザ距離測定部109が測定する顔距離が長くなるにつれて段階的に表示領域のサイズを縮小し、ユーザ距離測定部109が測定する顔距離が短くなるにつれて段階的に表示領域のサイズを拡大してもよい。
あるいは、コンテンツ提示制御部103’は、テキストコンポーネントを表示する場合に表示するテキストの文字サイズを、ユーザ距離測定部109が測定する顔距離が長くなるにつれてテキストの表示サイズ(文字サイズ)を段階的に小さくし、ユーザ距離測定部109が測定する顔距離が短くなるにつれてテキストの表示サイズ(文字サイズ)を段階的に大きくしてもよい。
上記の構成によって、病床の視聴者や障害を持った視聴者は、その場に居たまま顔を前後させるだけで、閲覧が容易になるように表示コンポーネントの表示を調整することができる。したがって、テレビ100’は、病床の視聴者や障害を持った人が表示コンポーネントを閲覧することを容易にするという効果を奏する。
(付記事項4)
コンテンツ提示制御部103’は、ユーザ距離測定部109が測定したユーザとの間の距離の大きさと、ユーザの視力の強さとの両方の情報に基づいて、テキストコンポーネントを表示する場合に表示するテキストの文字サイズを調整してもよい。
具体的には、図26に示されているような、文字が記されている位置からの距離と文字を識別するのに必要な視力との関係を示したデータを記憶部(図示せず)に記録しておき、このデータを用いてテキストの表示サイズを調整してもよい。
例えば、視力が1.5であるユーザAがテレビ100’から1.5m離れた座席に居る場合、コンテンツ提示制御部103’は、表示部107に表示するテキストの表示サイズを以下のように算出してもよい。すなわち、ユーザAは、7.5m離れた距離から75mm以上の文字を判読できることに基づき、表示部107に表示するテキストの表示サイズの最小値を約4.4ポイント(=75mm×1500mm÷7500mm×25.4÷72)に設定してもよい。同様に、コンテンツ提示制御部103’は、視力が0.7であるユーザBがテレビ100’から上記座席に居る場合にはテキストの表示サイズの最小値を約8.8ポイントに設定し、視力が0.1であるユーザCがテレビ100’から上記座席に居る場合にはテキストの表示サイズの最小値を約53ポイントにしてもよい。
(付記事項5)
ユーザ情報記憶部111には、視力情報として、裸眼視力の視力値と矯正視力の視力値とが記録されていてもよい。すなわち、図27に示すように、眼鏡で視力を矯正しているユーザ(ユーザC)については裸眼視力の視力値と矯正視力の視力値とが記録され、視力を矯正しないユーザ(ユーザAおよびユーザB)については裸眼視力の視力値のみが記録されていてもよい。
コンテンツ提示制御部103’は、ユーザ情報記憶部111にアクセスし、ユーザ距離測定部109で検出した顔画像に基づいて、ユーザを特定するとともに、ユーザが眼鏡をかけているか否かを判定してもよい。そして、コンテンツ提示制御部103’は、特定したユーザが眼鏡をかけていると判定し、且つ、そのユーザのユーザ情報として矯正視力の視力値が記録されている場合には、矯正視力の視力値に基づいて、表示コンポーネントの表示を制御してもよい。
(付記事項6)
テレビ100’では、コンテンツ提示制御部103’は、ユーザ距離測定部109が測定したユーザとの間の距離の大きさに応じて、音声出力部108から出力する音声コンポーネントの音声出力レベルを変えてもよい。すなわち、コンテンツ提示制御部103’は、ユーザ距離測定部109が測定するユーザとの間の距離が長くなるにつれて段階的に音声出力レベルを大きくし、ユーザ距離測定部109が測定するユーザとの距離が短くなるにつれて段階的に音声出力レベルを小さくしてもよい。
また、テレビ100’は、可聴帯域内の低音域(例えば、500Hz)、中音域(例えば、1kHz)、高音域(例えば、4kHz)の各々について、その音域におけるユーザの聴力レベルを測定可能に構成されていてもよい。この場合、コンテンツ提示制御部103’は、ユーザの聴力レベルが所定の基準値より弱い音域の音声出力レベルを上げてもよい。
また、テレビ100’は、周囲の湿度および温度を測定可能に構成されており、図28に示された湿度および温度に応じた音圧の減衰率の情報を記憶部(図示せず)に記録していてもよい。この場合、コンテンツ提示制御部103’は、測定した湿度および温度と上記情報とに基づいて、測定時の可聴帯域内の低音域、中音域およい高音域の減衰率を導出してもよい。そして、コンテンツ提示制御部103’は、各音域の音声出力レベルを、その音域の減衰率の大きさに応じた割合だけ上げるようにしてもよい。
(付記事項7)
前述したように提示装置としては、スマートフォンやタブレット端末等の携帯表示端末、および、テレビやディスプレイ等の据え置き型表示装置を採用することができるが、テレビ100のシステム構成情報記憶部105に記録される各提示装置のシステム構成情報の中に、メーカー推奨視距離に関する情報に代えて、各提示装置の種別(携帯表示端末、据え置き型表示装置、プロジェクタのいずれか)を示す種別情報が記録されていてもよい。
そして、コンテンツ提示制御部103は、各提示装置の種別情報に基づいて、レベル値1のコンポーネントを提示する提示装置としてタブレット端末またはスマートフォンを選択し、レベル値2のコンポーネントを提示する提示装置としてテレビまたはディスプレイを選択し、レベル値3以上のコンポーネントを提示する提示装置としてプロジェクタを選択してもよい。
すなわち、提示すべきコンポーネントのレベル値が2(第1の閾値)未満である場合にはそのコンポーネントを携帯表示端末に表示させ、提示すべきコンポーネントのレベル値が2以上3(第2の閾値)未満である場合にはそのコンポーネントをテレビまたはディスプレイに表示させ、提示すべきコンポーネントのレベル値が3以上である場合にはそのコンポーネントをプロジェクタに表示させてもよい。
また、コンテンツに含まれるコンポーネントの中には、携帯表示端末に表示すべきであるとしてコンテンツの提供者によりレベル値1が付与されたユーザコンポーネント(すなわち、コンテンツの閲覧者のコメントを含むテキストコンポーネント)が含まれていてもよい。
なお、提示装置としてプロジェクタを用いる場合には、プロジェクタから離れた位置にあるスクリーンの傍にユーザとの間の距離を測定する測距装置を設け、測距装置が距離の測定値を示すデータをプロジェクタに有線通信または無線通信で送信してもよい。
(付記事項8)
上記各実施形態では、ユーザが情報入力部104を用いて登録する提示装置のシステム構成情報を入力するものとしたが、本発明はこれに限られない。例えば、各提示装置が他の提示装置との通信にBluetooth通信を使用するように構成されている場合には、テレビ100または100’は、ペアリングにより提示装置を登録してもよい。すなわち、テレビ100または100’は、ペアリング時に得られる提示装置のシステム構成情報をシステム構成情報記憶部105または105’に記録してもよい。
また、各提示装置が、他の提示装置との通信にWi-Fi(登録商標)通信を使用するように構成されており、UPnP(登録商標)機能をサポートしている場合には、テレビ100または100’は、各提示装置のシステム構成情報をUPnP機能により取得して、システム構成情報記憶部105または105’に記録してもよい。さらに、各提示装置が、他の提示装置との通信にHDMI通信を使用するように構成されている場合には、テレビ100または100’は、システム構成情報が記述されたEDIDデータを各提示装置から取得し、システム構成情報を、システム構成情報記憶部105または105’に記録してもよい。あるいは、テレビ100または100’は、UWB、IEEE1394やUSB等の有線通信または無線通信の技術を用いて、各提示装置のシステム構成情報を取得してもよい。
テレビ100、100’は、登録済みの各提示装置から提示装置のシステム構成情報を定期的に取得してもよい。
各提示装置は、位置測定モジュール(例えば、GPSモジュール)や方位測定モジュール(例えば、電子コンパス等)を内蔵していてもよい。また、システム構成情報には、登録済みの各提示装置のアドレス(例えば、IPアドレス、MACアドレス等)、品番、形状、性能、位置情報、方位情報等の情報が含まれていてもよい。
(付記事項9)
コンテンツを視聴しているときにはユーザは常に携帯表示端末を携帯していると仮定して、以下のように各提示装置を構成してもよい。
すなわち、位置測定モジュールを備えた各提示装置(テレビ100’を含む)は、他の提示装置との間で自装置の位置情報を定期的または非定期的に有線通信または無線通信で交換するように構成されていてもよく、テレビ100’は、登録済みの携帯表示端末の中から、その位置情報をユーザの位置を表す位置情報として取り扱うべき携帯表示端末を、情報入力部104を通じてユーザが選択できるように構成されていてもよい。
この場合、テレビ100’は、ユーザに選択された携帯表示端末のアドレスを各提示装置に通知することになる。そして、各提示装置のユーザ距離測定部は、自装置の位置情報とテレビ100’からアドレスが通知された携帯表示端末の位置情報とから、自装置とその携帯表示端末との間の距離を測定する。そして、ユーザ距離測定部109は、得られた測定値をユーザ距離値としてコンテンツ提示制御部103’に供給し、テレビ100’に登録されている各提示装置のユーザ距離測定部は、得られた測定値をユーザ距離値としてユーザ距離情報送信部に供給する。
上記の構成によれば、例えば、リビングにあるテレビ100’でコンテンツに含まれる映像を閲覧していたユーザが、携帯表示端末を携帯してリビングから離れた自室に移動した場合であっても、引き続き携帯表示端末で映像を閲覧することができる。
これにより、映像を再生しているテレビのある部屋から離れた場合にはその映像を引き続き閲覧することができなかった、という従来の課題を解決することができる。
(付記事項10)
テレビ100’は、システム構成情報とコンテンツのメタデータ(構成情報)とに加えて、表示システムが配置される部屋における各提示装置の配置関係を示した配置マップに基づいて、コンテンツに含まれる各コンポーネントについてコンポーネントを提示すべき提示装置を決定してもよい。
配置マップは、部屋内の各提示装置の配置位置を示す位置情報で構成されている。
テレビ100’は、ユーザが配置マップを手動で作成するための機能を備えていてもよいし、配置マップを自動的に生成するように構成されていてもよい。
手動で作成するための機能の一例としては、GUIベースの配置マップ編集機能が挙げられる。ユーザは、この機能を用いると、記憶部(図示せず)に予め用意されている様々な広さの部屋画像から、表示システムが配置される部屋に最も近い部屋を表す部屋画像を選択して、マップ編集画面上に表示できる。そして、ユーザは、マップ編集画面上の部屋画像の上で、予め用意されている様々な種類のアイコン(例えば、テレビを模したアイコン、プロジェクタを模したアイコン等)を配置することができる。
ユーザがアイコンの配置を完了すると、テレビ100は、ユーザが選択した部屋画像に対応する部屋のサイズと、部屋画像上に配置された各アイコンの位置に基づいて、位置情報を生成することができる。これにより、テレビ100’は、配置マップを生成することができる。また、テレビ100は、ユーザが選択した部屋画像から部屋のサイズを特定することができるので、2台の提示装置の座標情報から2台の提示装置間の距離を導出することできる。
また、配置マップを自動的に生成する方法としては、以下のような例が挙げられる。
すなわち、各提示装置のユーザ距離測定部でユーザを被写体とする撮像画像を生成し、テレビ100は、自装置で生成した撮像画像と各提示装置から取得した撮像画像とをユーザを基準に画像合成してもよい。そして、テレビ100は、得られた合成画像から各提示装置の位置情報を導出してもよい。なお、各提示装置は撮像画像として左目用画像および右目用画像からなる撮像画像を生成することが好ましい。撮像画像内に写った様々なオブジェクトの位置を撮像画像からより正確に特定でき、ひいては、各提示装置の位置もより正確に特定できるからである。
なお、各提示装置の位置測定モジュールで測定した位置情報を配置マップとしてもよく、より正確な位置情報を取得するために上述した複数の方法を組み合わせてもよい。また、各提示装置にICタグをつけておいてもよい。
(付記事項11)
上記各実施形態では、配信装置から放送波に乗せて送信されたコンテンツをテレビが受信するものとしたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、テレビはコンテンツを配信装置から通信で受信してもよい。また、配信装置は、コンテンツに含まれる一部のコンポーネントを放送波に乗せて送信するとともに残りのコンポーネントを通信で送信し、テレビは、このようにハイブリッド伝送技術を用いて送信された全コンポーネントを受信するように構成されていてもよい。
また、配信装置からコンテンツを受信する装置は、テレビに限らず、タブレット端末等の他の提示装置であってもよい。
タブレット端末160には、図2に示されているようなテレビ100を操作するためのリモコンアプリがインストールされていてもよい。
また、受信装置、提示制御装置および提示装置の3つの役割を兼ね備えたテレビ100に代えて、受信装置および提示制御装置の2つの役割を兼ね備えたセットトップボックスまたは据え置き型ゲーム機としても本発明を実施することができる。
(付記事項12)
配信装置200(200’)は、表示システム1(1’)のユーザから、そのユーザに付与されたアカウント情報を用いたログイン要求を受け付けてから、表示システム1(1’)にコンテンツを配信するように構成されていることが望ましい。
ここで、多数のユーザが、自身の表示システム1(1’)を自宅等に構築していることが想定されるが、配信装置200(200’)にログインし、同一のコンテンツの配信を受けているユーザ同士は、そのコンテンツの内容について互いにコミュニケーションをとることができるように配信装置200(200’)および表示システム1(1’)が構成されていることが望ましい。換言すれば、配信装置200(200’)および表示システム1(1’)は、ソーシャル視聴機能をサポートしていることが望ましい。
この場合、各ユーザの発言を示すデータ(コンテンツを構成する各コンポーネントとは別個のデータ)は、音声やテキスト等の形式で、当該ユーザの普及型テレビ100(100’)にマイク(図示せず)または情報入力部104を通じて入力されることが望ましい。そして、普及型テレビ100(100’)は、入力されたデータを、配信装置200(200’)にアップロードし、配信装置200(200’)は、受信したデータを他のユーザ(同一コンテンツを視聴している特定のユーザまたは全ユーザ)の表示システム1(1’)に配信することが望ましい。そして、発言を示すデータを受け付けた表示システム1(1’)の普及型テレビ100(100’)は、そのデータを、表示システム1(1’)を構成する全提示装置の中で推奨視距離が最も短い提示装置(すなわち、実施形態1ではタブレット端末160であり、実施形態2ではタブレット端末160’)に供給することが望ましい。そして、発言を示すデータの供給を受けた提示装置は、そのデータを提示することが望ましい。すなわち、タブレット端末160(160’)は、発言を示すデータが音声データである場合には音声データが表す音声を音声出力部164から出力し、発言を示すデータがテキストデータである場合にはテキストデータが表すテキストを表示部163に表示することが望ましい。
(プログラム、記憶媒体)
テレビ100、100’の各ブロックは、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
後者の場合、テレビ100、100’は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるテレビ100、100’の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、テレビ100、100’に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM(登録商標)/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
また、上記プログラムコードは、通信ネットワークを介してテレビ100、100’に供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
なお、ここで開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明だけではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。