JP5939662B2 - マスクブランクの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マスクブランクの製造方法及び転写用マスクに関する。
一般に、半導体装置等の製造工程では、フォトリソグラフィ法を用いて微細パターンの形成が行われる。このフォトリソグラフィ法を実施する際における微細パターン転写工程においては、転写用マスクが用いられる。この転写用マスクは、一般的には、中間体としてのマスクブランクの遮光膜に所望の微細パターンを形成することによって製造される。それゆえ、中間体としてのマスクブランクに形成された遮光膜の特性が、ほぼそのまま転写用マスクの性能を左右することになる。このマスクブランクの遮光膜には、従来、Crを含む材料からなる遮光膜が使用されるのが一般的であった。
近年、パターンの微細化が著しく、EB描画等によって転写パターンを形成した後のレジスト膜は、パターンが混み合った部分では、パターンの幅に比べて、パターンの高さが非常に高くなってしまっている。このため、現像時等にその不安定さからレジストパターンが倒れてしまったり、剥離してしまったりすることが発生している。このようなことが発生すると、Crを主成分とする遮光膜に転写パターンが正しく形成されず、転写用マスクとして不適格なものになってしまう。このため、レジスト膜の薄膜化が至上命題となっていた。
Crを主成分とする遮光膜をドライエッチングする場合、エッチングガスとしては一般に塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを使用する。しかし、従来の有機系のレジスト膜は、酸素ガスでエッチングされやすい特性を有しており、このため有機系のレジスト膜のエッチング速度は、Crを主成分とする遮光膜のエッチング速度と比べて非常に早い。レジスト膜は、Crを主成分とする遮光膜のドライエッチングによるパターンニングが完了するまで残存していなければならないため、Crを主成分とする遮光膜の場合におけるレジスト膜の膜厚は、非常に厚くなってしまっていた(例えば、Crを主成分とする遮光膜の膜厚の3倍)。
そこで、近年、タンタル系材料からなる遮光膜を備えるマスクブランクが開発されており、これを用いて製造された転写用マスクの性能について評価が進められている。
特許文献1には、Ta金属膜は、ArFエキシマレーザー露光で用いられる波長193nmの光に対して、Cr金属膜以上の消衰係数(光吸収率)を有することが開示されている。また、転写用マスクパターンを形成する際のマスクとして用いられるレジストへの負荷を軽減させて微細な転写用マスクパターンを高精度で形成することが可能な転写用マスクブランクとして、酸素含有塩素系ドライエッチング((Cl+O)系)では実質的なエッチングがされず、かつ酸素非含有塩素系ドライエッチング(Cl系)およびフッ素系ドライエッチング(F系)でエッチングが可能な金属膜の遮光層と、酸素非含有塩素系ドライエッチング(Cl系)では実質的なエッチングがされず、かつ酸素含有塩素系ドライエッチング((Cl+O)系)あるいはフッ素系ドライエッチング(F系)の少なくとも一方でエッチングが可能な金属化合物膜の反射防止層と、を備えている転写用マスクブランクが開示されている。
特開2006−78825号公報
マスクブランクは通常、膜の表面に存在する油滴やパーティクル等の除去を目的として、洗浄水や界面活性剤が含まれた洗浄液を用いた洗浄が行われる。また、レジスト膜形成後のプロセスにおける微細パターンの剥がれや倒れを防止するため、レジスト膜の塗布前に、マスクブランクの表面エネルギーを低減させておくための表面処理が行われる場合もある。この場合の表面処理としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)やその他の有機シリコン系の表面処理剤でマスクブランクの表面をアルキルシリル化することなどが行われる。
マスクブランクの欠陥検査は、その表面にレジスト膜を形成する前やレジスト膜を形成した後に行われる。そして、所望の仕様(品質)を満足するマスクブランクをエッチングすることによって、転写用マスクが製造される。特許文献1に記載のマスクブランクをエッチングするエッチング工程では、マスクブランク上に形成したレジスト膜に描画・現像・リンスを行い、レジストパターンを形成した後、レジストパターンをマスクにして、反射防止層をエッチングして反射防止層パターンを形成する。反射防止層のエッチングでは、酸素含有塩素系ガスあるいはフッ素系ガスが用いられる。つぎに、反射防止層パターンをマスクにして、遮光層をエッチングして遮光層パターンを形成する。遮光層のエッチングでは、酸素非含有塩素系ガスが用いられる。最後に、レジスト膜を除去することによって、転写用マスクが完成する。完成した転写用マスクは、マスク欠陥検査装置により、黒欠陥、白欠陥がないか検査され、欠陥が見つかった場合は、EB照射等の修正技術を用いて欠陥が修正される。
タンタル系材料からなる遮光膜を備えたマスクブランクを用いて転写用マスクを製造した場合、クロム系材料からなる遮光膜を備えたマスクブランクを用いた場合よりも、黒欠陥が多く発生するという問題が生じていた。このタンタル系材料からなる遮光膜を備えたマスクブランクは、レジスト塗布前の段階で行った欠陥検査では、欠陥数は許容範囲内の個数であった。つまり、マスクブランクの欠陥検査では検出されないが、マスクブランクを用いて転写用マスクを製造した後の欠陥検査において初めて検出される微小黒欠陥が多く存在することがわかった。この微小黒欠陥は、基板の表面にスポット状に存在するサイズが20〜100nmで、高さが薄膜の膜厚相当のものであり、半導体デザインルールでDRAMハーフピッチ32nm以降の転写用マスクを作製する場合に初めて認識されたものである。このような微小黒欠陥は、半導体デバイスを製造するに際しては致命欠陥となるもので全て除去・修正しなければならないが、欠陥数が50個超となると欠陥修正の負荷が大きく、事実上欠陥修正が困難である。また、近年の半導体デバイスの高集積化において、転写用マスクに形成する薄膜パターンの複雑化(例えば、OPCパターン)、微細化(例えば、アシストバー)、狭小化によって、欠陥の除去・修正にも限界があり問題となっていた。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、転写用マスクの黒欠陥の発生を抑制することのできるマスクブランクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述のマスクの微小黒欠陥の発生要因について調査したところ、マスクブランクの欠陥検査では検出されない潜在化した欠陥が一つの要因であることを突き止めた。
そして、上述の潜在化したマスクブランクの欠陥が、カルシウム等のエッチング阻害要因物質からなり、そのエッチング阻害要因物質は、マスクブランクの表面を洗浄する際に使用する処理液(例えば、洗浄液)に含まれていることがわかった。(エッチング阻害要因物質の詳細については後述する。)
本発明は上述の課題を解決するための手段として、以下の構成を有する。
(構成1)
基板上に転写パターンを形成するための薄膜を備えたマスクブランクの製造方法であって、
前記薄膜は、ドライエッチングが可能な材料からなり、
前記薄膜の表面に、エッチング阻害要因物質の濃度が0.3ppbよりも高く、pHが8以上である第1の処理液を用いて表面処理を行う第1処理工程と、
前記第1処理工程後、エッチング阻害要因物質の濃度が0.3ppb以下であり、pHが8以上である第2の処理液を用いて表面処理を行う第2処理工程と、
前記第2処理工程後、エッチング阻害要因物質の濃度が0.3ppb以下であり、pHが6より大きく8未満である第3の処理液を用いて表面処理を行う第3処理工程と
を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成2)
前記第2の処理液のpHは、前記第1の処理液のpHよりも低いことを特徴とする構成1に記載のマスクブランクの製造方法。
(構成3)
前記第1の処理液は、界面活性剤を含有する洗浄液であることを特徴とする構成1または構成2に記載のマスクブランクの製造方法。
(構成4)
前記第2の処理液は、界面活性剤を含有しないリンス液であることを特徴とする構成1から構成3のうちいずれか一つに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成5)
前記第3の処理液は、脱イオン化水であることを特徴とする構成1から構成4のうちいずれか一つに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成6)
前記エッチング阻害要因物質は、他の物質と結合することで、ドライエッチングを行う時のエッチングガスに対して耐性を有するエッチング阻害物質となる物質であることを特徴とする構成1から構成5のうちいずれか一つに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成7)
前記エッチング阻害要因物質は、カルシウム、マグネシウム、及び、アルミニウムから選ばれる少なくとも1以上の物質であることを特徴する構成1から構成6のうちいずれか一つに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成8)
前記第1の処理液中に存在するエッチング阻害要因物質は、イオン化した状態で液中に存在することを特徴とする構成1から構成7のうちいずれか一つに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成9)
前記薄膜は、フッ素系ガスまたは実質的に酸素を含有しない塩素系ガスのうち、少なくとも一方のエッチングガスを用いたドライエッチングでエッチング可能な材料であることを特徴とする構成1から構成8のうちいずれか一つに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成10)
前記薄膜は、タンタルを含有する材料からなることを特徴とする構成1から構成9のうちいずれか一つに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成11)
前記薄膜は、基板側から、タンタルと窒素を含有する材料からなる下層と、タンタルと酸素を含有する材料からなる上層とが積層した多層膜であることを特徴する構成1から構成10のうちいずれか一つに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成12)
構成1から構成11のうちいずれか一つに記載のマスクブランクの製造方法により製造されたマスクブランクを用い、前記薄膜にドライエッチングによって転写パターンを形成して得られる転写用マスク。
本発明によれば、転写用マスクの黒欠陥の発生を抑制することのできるマスクブランクの製造方法を提供することができる。
微小黒欠陥を走査型透過電子顕微鏡にて明視野で観察した断面写真である。 微小黒欠陥の発生メカニズムの前半(a)〜(c)を説明するための図である。 微小黒欠陥の発生メカニズムの後半(d)〜(e)を説明するための図である。 タンタル系マスクブランクの表面にエッチング阻害要因物質が付着するメカニズムの説明図である。 クロム系マスクブランクの表面にエッチング阻害要因物質が付着しにくいメカニズムの説明図である。 タンタル系マスクブランクの表面に形成されたエッチング阻害要因物質を、走査型透過電子顕微鏡にて暗視野で観察した断面写真である。 マスクブランクの製造方法のフローチャートである。
本発明のマスクブランクの製造方法について説明する前に、マスク微小黒欠陥の発生要因を調べるため、以下の実験・考察を行った。
マスク微小黒欠陥の発生要因を調べるため、2種類のマスクブランクを用意した。1つは、タンタル系材料からなる薄膜が形成されたマスクブランク、もう1つは、クロム系材料からなる薄膜が形成されたマスクブランクである。
タンタル系材料からなる薄膜が形成されたマスクブランクとして、透光性基板上に、実質的にタンタルと窒素とからなるTaNの遮光層(膜厚:42nm)と、実質的にタンタルと酸素とからなるTaOの反射防止層(膜厚:9nm)の積層構造からなるバイナリーマスクブランク(以下、タンタル系マスクブランクと称し、そのマスクをタンタル系マスクと称す。)を用意した。
クロム系材料からなる薄膜が形成されたマスクブランクとして、透光性基板上に、実質的にクロムと酸素と窒素と炭素からなるCrCONの膜(膜厚:38.5nm)と、実質的にクロムと酸素と窒素からなるCrONの膜(膜厚:16.5nm)の積層構造の遮光層と、実質的にクロムと酸素と窒素と炭素からなるCrCONの反射防止層(膜厚:14nm)の積層構造からなるバイナリーマスクブランク(以下、クロム系マスクブランクと称し、そのマスクをクロム系マスクと称す。)を用意した。
上述の2種類のバイナリーマスクブランクに対して、反射防止層上に付着した異物(パーティクル)や、遮光層、反射防止層に混入している異物(パーティクル)の除去を目的として、界面活性剤が含有されたアルカリ性洗浄液を、マスクブランク表面に供給し、表面洗浄を行った。
表面洗浄を行ったマスクブランク表面をマスクブランク欠陥検査装置(M1350:レーザーテック社製)により欠陥検査を行った。その結果、マスクブランク表面にパーティクルやピンホール等の欠陥を確認することができなかった。
これら2種類のマスクブランクを用いて転写用マスクを作製した。前者のタンタル系マスクブランクについては、マスクブランク表面にレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクにしてフッ素系(CF)ガスを用いたドライエッチングを行い、反射防止層をパターニングし、その後、反射防止層をマスクにして塩素系(Cl)ガスを用いたドライエッチングを行い、遮光層をパターニングし、最後にレジストパターンを除去して、転写用マスクを作製した。
後者のクロム系マスクブランクについては、マスクブランク表面にレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクにして塩素系(Cl)ガスと酸素(O)ガスの混合ガスを用いたドライエッチングを行い、反射防止層と遮光層をパターニングし、最後にレジストパターンを除去して、転写用マスクを作製した。
得られた2種類の転写用マスクについて、マスク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製)により欠陥検査を行った。その結果、タンタル系マスクには、微小黒欠陥が多数(50個超)存在していることが確認された。一方、クロム系マスクには、ほとんど微小黒欠陥は確認されなかった。なお、タンタル系マスクにおける上述の欠陥は、レジスト膜を形成する前のマスクブランクの汚れの除去等を目的としてUV処理、オゾン処理、あるいは加熱処理を行っても、同様に確認された。
なお、上述のタンタル系マスクの微少黒欠陥は、フッ素系(CF)ガスを用いたドライエッチングによって反射防止層及び遮光層をパターニングした場合においても、同様に確認された。
欠陥検査により検出された微小黒欠陥について、走査型透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)にて明視野で断面観察を行った。断面観察の際には、薄膜パターンが形成された透光性基板の全面に白金合金をコーティングして行った。
その結果、微小黒欠陥は、高さが遮光層と反射防止層の積層膜の膜厚とほぼ同等であることが確認された。詳しくは、微少黒欠陥は、サイズが約23nm、高さが約43nmの核に、5〜10nm厚みの表面酸化物と思われる物質が積層した積層構造物であることが確認できた(図1参照)。
次に、マスクの微小黒欠陥の発生要因について調べるために、欠陥検査では検出されないマスクブランク表面のエッチング阻害要因物質の存在について調べた。
まず、 洗浄液により表面洗浄された上述の2種類のマスクブランク(タンタル系マスクブランク、及び、クロム系マスクブランク)の表面を飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS:Time-Of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)により分析した。
その結果、タンタル系マスクブランクの表面にはエッチング阻害要因物質としてのカルシウムが検出された。一方、クロム系マスクブランクの表面におけるカルシウムについては、検出下限値以下であった。
マスクブランクの表面洗浄に使用する界面活性剤には、不純物としてカルシウム(Ca2+)が含まれているため、TOF−SIMSにより検出されたカルシウムは、今回使用した洗浄液に含まれる界面活性剤中に含まれるカルシウムであると考えられる。
上述の2種類のマスクブランクを用いて作製したマスクの欠陥検査の結果、及び、マスクブランク表面の分析結果から、マスクの微小黒欠陥は、以下のように発生したものと推察される。
(1)マスクブランクの表面を処理液(界面活性剤)によって洗浄する。このとき、界面活性剤に含まれるカルシウム(Ca2+)が、マスクブランクの表面に強固に付着する。カルシウム(エッチング阻害要因物質)の厚みは、極めて薄いので最新のマスクブランク検査装置によっても検出困難である(図2(a))。
(2)フッ素系ガスによるドライエッチングにより、マスクブランクの表面の反射防止層(TaO)をパターニングする。このとき、反射防止層の表面に付着しているカルシウムとフッ素系ガスが反応し、フッ化カルシウム等のエッチング阻害物質を形成する(図2(b))。フッ化カルシウムは沸点が高く、フッ素系ガスによってもエッチングされにくいため、エッチング阻害物質となる。このエッチング阻害物質がマスクとなって、反射防止層(TaO)の一部がエッチングされずに残存する(図2(c))。
(3)塩素系ガスによるドライエッチングによって、遮光層(TaN)をパターニングする。このとき、TaOは塩素系ガスに対するエッチングレートがTaNに比べて大幅に小さいことから、反射防止層の残りがマスクとなって、遮光層(TaN)の一部がエッチングされずに残存する。これにより、微少黒欠陥の核が形成される(図3(d))。
(4)その後、微小黒欠陥の核の表面が酸化され、核の周りに酸化層が形成されることによって、基板(合成石英ガラス)の表面に微小黒欠陥が形成される(図3(e))。
微小黒欠陥の発生メカニズムについては、カルシウムについて説明したが、後述するエッチング阻害要因物質となるマグネシウム、アルミニウムについても、エッチングガスに含まれるフッ素や塩素等と反応してエッチング阻害物質を形成する可能性があることから、上述と同様のメカニズムにより微小黒欠陥を発生させると考えられる。また、カルシウム等のエッチング阻害要因物質は、塩素系ガスでドライエッチングした場合においても、その塩素系ガスと反応して形成される塩化カルシウム等のエッチング阻害要因物質の塩化物も沸点が高くドライエッチングされにくいため、エッチング阻害物質となりうる。
上述したように、界面活性剤を含む洗浄液による洗浄処理後、タンタル系マスクブランクの表面にはエッチング阻害要因物質としてのカルシウムが検出された。一方、クロム系マスクブランクの表面におけるカルシウムは、検出下限値以下であった。以下、このような違いが生じた原因について考察する。なお、以下の考察は、出願時点における本発明者らの推測に基づくものであり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
タンタル系マスクブランクの表面には、水酸基(OH基)が多数存在しており、この水酸基に、洗浄液に含まれるカルシウム(Ca2+)が引き寄せられる(図4(a))。そして、洗浄液による洗浄処理後、洗浄液を洗い流すための純水によるリンスの際に、マスクブランクの表面を覆う液体がアルカリ性(pH10)から中性域(pH7前後)に急激に変化するため、マスクブランクの表面に引き寄せられていたカルシウム(Ca2+)が、水酸化カルシウム(Ca(OH))となって膜表面に析出しやすくなる(図4(b))。この水酸化カルシウムが、マスクブランク表面のエッチング阻害要因物質となったと考えられる。
一方、クロム系マスクブランクの表面には、水酸基(OH基)が少数しか存在していない。このため、マスクブランクの表面には、洗浄液に含まれるカルシウム(Ca2+)があまり引き寄せられない。もともと洗浄液に含まれる不純物のカルシウム濃度自体が低いため、膜表面近傍のカルシウム(Ca2+)の濃度は極めて低くなっている(図5(a))。その結果、洗浄液による洗浄処理後、洗浄液を洗い流すための純水によるリンスの際にも、マスクブランクの表面に引き寄せられていたカルシウム(Ca2+)は、水酸化カルシウム(Ca(OH))となる前に膜表面から洗い流されるか、あるいは、エッチングを阻害しない程度の少数しか水酸化カルシウムとなって膜表面に析出しない(図5(b))。
上述したように、タンタル系マスクブランクの薄膜の表面に付着したエッチング阻害要因物質は厚みが薄いことから、マスクブランクの欠陥検査装置では検出困難である。薄膜の全面を原子間力顕微鏡(AFM)で走査してエッチング阻害要因物質が付着している箇所を特定することは不可能ではないが、検出に膨大な時間を要する。このため、界面活性剤を含む洗浄液による洗浄処理後のタンタル系マスクブランクの薄膜上に、エッチング阻害要因物質が付着する恐れの少ないクロム系材料からなる薄膜を100nmの膜厚で2層分積層した。このようにすることで、タンタル系材料の薄膜にエッチング阻害要因物質が存在している凸部が、いわゆるデコレーション効果で凸部の高さが相対的に高くなり、マスクブランクの欠陥検査装置で凸欠陥として検出できるようになる。
このような手法を使い、タンタル系マスクブランクの表面に形成されたエッチング阻害要因物質について、走査型透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)にて暗視野で断面観察を行った(図6参照)。また、このとき、STEMに付属するエネルギー分散型X線分光器(EDX)を用いて、エッチング阻害要因物質を構成する元素について分析も行った。EDXによる分析は、エッチング阻害要因物質の存在が確認されているタンタル系薄膜の表面上の部分(図6中のSpot1という記号で示された部分)と、参照データとして、エッチング阻害要因物質の存在が確認されていないタンタル系薄膜の表面上の部分(図6中のSpot2という記号で示された部分)のそれぞれに対して行った。その結果、Spot1の箇所では、Ca(カルシウム)とO(酸素)の検出強度が高かったのに対し、Spot2の箇所では、Ca(カルシウム)の検出強度が非常に小さかった。この分析結果から、Spot1には、エッチング阻害要因物質を含有する層が存在していると推定される。
本発明の実施形態に係るマスクブランクの製造方法は、以下の通りである。
基板上に転写パターンを形成するための薄膜を備えたマスクブランクの製造方法であって、
前記薄膜は、ドライエッチングが可能な材料からなり、
前記薄膜の表面に、エッチング阻害要因物質の濃度が0.3ppbよりも高く、pHが8以上である第1の処理液を用いて表面処理を行う第1処理工程と、
前記第1処理工程後、エッチング阻害要因物質の濃度が0.3ppb以下であり、pHが8以上である第2の処理液を用いて表面処理を行う第2処理工程と、
前記第2処理工程後、エッチング阻害要因物質の濃度が0.3ppb以下であり、pHが6より大きく8未満である第3の処理液を用いて表面処理を行う第3処理工程と、
を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
ここで、ドライエッチングが可能な材料とは、フッ素系ガスや実質的に酸素を含まない塩素系ガスを用いてドライエッチングできる材料であって、具体的には、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(Pd)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、モリブデン(Mo)、珪素(Si)やこれらの化合物が挙げられる。さらに、光学特性やエッチング特性の制御の視点から、上述の材料に、酸素、窒素、炭素、水素、フッ素等が含まれていても構わない。
マスクブランクの薄膜の材料は、タンタルを含有する材料が好ましい。特に好ましくは、タンタルと窒素とを含有するタンタル窒化膜(TaN)と、タンタルと酸素を含有するタンタル酸化膜(TaO)と、が積層された積層膜が望ましい。ここで、タンタル窒化膜は、タンタルと窒素とを含有する材料であれば良く、タンタルと窒素以外に、他の元素を含んでも構わない。また、タンタル酸化膜も、上述と同様に、タンタルと酸素以外に、他の元素を含んでも構わない。
また、上述のフッ素系ガスとしては、CHF、CF、SF、C、C等が挙げられる。塩素系ガスとしては、Cl、SiCl、CHCl、CHCl、CCl等が挙げられる。また、ドライエッチングガスとしては、上述のフッ素系ガス、塩素系ガス以外に、He、H、Ar、C等のガスを添加した混合ガスを用いることもできる。
ここで、フッ素系ガスや実質的に酸素を含有しない塩素系ガスをエッチングガスとするドライエッチングの場合、イオン主体のドライエッチングになる傾向が強い。イオン主体のドライエッチングの場合、異方性のドライエッチングに制御しやすく、薄膜に形成されるパターンの側壁の垂直性を高くできるという優れた効果がある。しかし、異方性のドライエッチングの場合、パターン側壁方向のエッチングが抑制されるため、薄膜上にエッチング阻害物質があると、そのドライエッチングで除去されにくくなってしまう。
一方、酸素ガスと塩素系ガスの混合ガスをエッチングガスとするドライエッチングの場合、ラジカル主体のドライエッチングになる傾向が強い。ラジカル主体のドライエッチングの場合、異方性のドライエッチングに制御することが難しく、薄膜に形成されるパターンの側壁の垂直性を高くすることは容易ではない。しかし、このような等方性の傾向を有するドライエッチングの場合、パターン側壁方向のエッチングも比較的進みやすいため、薄膜上にエッチング阻害物質があっても、そのドライエッチング時に比較的除去されやすい。
タンタル系マスクブランクを含む本発明の実施形態に係るマスクブランクにおける転写パターンを形成するための薄膜は、いずれもイオン主体のドライエッチングが可能な材料で形成されているため、薄膜表面にエッチング阻害要因物質が存在するとドライエッチング時に微小黒欠陥が発生しやすいといえる。他方、クロム系マスクブランクにおけるクロム系薄膜は、ラジカル主体のドライエッチングが可能な材料で形成されているため、薄膜表面にエッチング阻害要因物質が存在していてもドライエッチング時に微小黒欠陥が発生しにくいといえる。
転写パターンを形成するための薄膜の例としては、露光光を遮光する機能を有する遮光膜、被転写体との多重反射を抑制するために表面の反射を抑制する機能を有する反射防止膜、パターンの解像性を高めるため露光光に対して所定の透過率と所定の位相差を生じさせる機能を有する位相シフト膜等が挙げられる。また、転写パターンを形成するための薄膜の例としては、露光光に対して所定の透過率は生じさせるが、位相シフト効果が生じるような位相差は生じさせない半透過膜も含まれる。このような半透過膜を有するマスクブランクは、エンハンサ型位相シフトマスクを製造する際に主に用いられる。これらの薄膜は、単層膜であってもよいし、これらの膜を複数積層させた積層膜であってもよい。なお、これらの転写パターンを形成するための薄膜を備えるマスクブランクから製造される転写用マスクは、露光光として、ArFエキシマレーザー光やKrFエキシマレーザー光等が用いられる。
マスクブランクは、反射型マスクを形成するためのマスクブランクであってもよい(反射型マスクを形成するためのマスクブランクのことを、以下、反射型マスクブランクと称する)。反射型マスクブランクにおいて、転写パターンを形成するための薄膜の例としては、露光光を吸収する機能を有する吸収体膜、露光光の反射を低減させる反射低減膜、上述の吸収体膜のパターニング時の多層反射膜に対するエッチングダメージを防止するためのバッファー層などが挙げられる。なお、本発明の転写用マスクには、前記の反射型マスクが含まれる。
また、マスクブランクを構成する膜として、下層の膜をエッチングする際にエッチングマスク(ハードマスク)として機能するエッチングマスク膜(又はハードマスク膜)を、上述の転写パターンとなる薄膜以外に設けても良い。または、転写パターンとなる薄膜を積層膜とし、その積層膜の一部として、エッチングマスク(ハードマスク)を設けても良い。
また、基板は、透過型マスクブランクの場合、露光光を透過する材料であれば良く、例えば、合成石英ガラスが挙げられる。反射型マスクブランクの場合、露光光の吸収による熱膨張を防止できる材料であれば良く、例えば、TiO−SiO低膨張ガラス、β石英固溶体を析出させた結晶化ガラス、単結晶シリコン、SiC等が挙げられる。なお、反射型マスクブランクにおける基板は、該基板上に露光光を反射させるための多層反射膜(Mo/Si多層反射膜)が形成された多層反射膜付き基板であることが好ましい。
本発明の実施形態に係るマスクブランクの製造方法は、第1処理工程、第2処理工程、及び第3処理工程を含んでいる(図7参照)。以下、これらの各工程について説明する。
[第1処理工程]
第1処理工程は、マスクブランクに形成された薄膜の表面に、エッチング阻害要因物質の濃度が0.3ppbよりも高く、pHが8以上である第1の処理液を用いて表面処理を行う工程である。
第1の処理液の例としては、マスクブランクの表面に付着した異物(パーティクル)や、転写パターンとなる薄膜等に混入している異物(パーティクル)の除去を目的として使用される洗浄液があげられる。また、転写パターンとなる薄膜がレジスト膜との密着性が低い材料(特に、Siを含有する材料)で形成されている場合においては、レジスト膜で形成された微細パターンの剥がれや倒れを防止するために、マスクブランク表面の表面エネルギーを低減させておくための表面処理液(例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS))や、その他の有機シリコン系の表面処理剤でマスクブランク表面をアルキルシリル化するための表面処理液が挙げられる。
表面処理の方法としては、回転した基板上に第1の処理液を供給しながら表面処理を行うスピン方式、第1の処理液を溜めた処理槽内に基板を浸漬させて表面処理を行うディップ方式等、いずれの方法を用いることもできる。
エッチング阻害要因物質とは、ドライエッチングガスに含まれるフッ素(F)や塩素(Cl)等と反応してエッチング阻害物質を生成する材料のことをいう。
具体的には、エッチング阻害要因物質は、例えば、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、又はそれらの化合物のことであり、第1の処理液(アルカリ性溶液)中にイオンとなって溶解しうる物質であればよい。
エッチング阻害要因物質がCaやMgの場合には、フッ素系ガスや塩素系ガスによる薄膜のドライエッチングの際に、フッ化カルシウム(沸点:2500℃)、フッ化マグネシウム(沸点:1260℃)や、塩化カルシウム(沸点:1600℃)、塩化マグネシウム(沸点:1412℃)等の化合物が生成し、これらの化合物がエッチング阻害物質となる。
第1の処理液に含まれるエッチング阻害要因物質の濃度は、0.3ppb(質量比)よりも高く設定されている。
第1の処理液が洗浄液である場合、洗浄液には界面活性剤が含まれる。界面活性剤にはカルシウム(Ca2+)等のエッチング阻害要因物質が不可避的に含まれるため、第1の処理液に含まれるエッチング阻害要因物質の濃度は、0.3ppbよりも高くなる。
第1の処理液は、pH8以上、好ましくはpH9以上、さらに好ましくはpH10以上であり、アルカリ性である。
[第2処理工程]
第1処理工程後に、第2処理工程を行う。第2処理工程は、マスクブランクに形成された薄膜の表面に、エッチング阻害要因物質の濃度が0.3ppb以下であり、pHが8以上である第2の処理液を用いて表面処理を行う工程である。
第2の処理液は、界面活性剤を含有しない洗浄液であることが好ましい。第2の処理液としては、例えば、DI水(脱イオン水)にアンモニア(NH)を溶解させて調製したアンモニア水溶液を用いることができる。
表面処理の方法としては、回転した基板上に第2の処理液を供給しながら表面処理を行うスピン方式、第2の処理液を溜めた処理槽内に基板を浸漬させて表面処理を行うディップ方式等、いずれの方法を用いることもできる。
第2の処理液に含まれるエッチング阻害要因物質の濃度は、0.3ppb(質量比)以下であり、好ましくは0.1ppb以下であり、さらに好ましくは0.05ppb以下である。
第2の処理液に含まれるエッチング阻害要因物質の濃度が0.3ppbを超えると、マスクを作製したときにその表面に発生するサイズが20〜100nmの微小黒欠陥の個数が多くなり、事実上欠陥修正が困難となる。
第2の処理液は、pH8以上であり、好ましくはpH9以上、さらに好ましくはpH10以上であり、アルカリ性である。
第2の処理液は、第1の処理液よりも低いpHを有していることが好ましい。第2の処理液のpHを第1の処理液よりも低くし、第3の処理液のpHとの差を小さくしておくことで、第2の処理液による処理後において薄膜の表面近傍にイオン状態のエッチング阻害要因物質が比較的多く残存してしまっている場合でも、その残存しているエッチング阻害要因物質が水酸化物として析出することを抑制できる。
[第3処理工程]
第2処理工程後に、第3処理工程を行う。第3処理工程は、マスクブランクに形成された薄膜の表面に、エッチング阻害要因物質の濃度が0.3ppb以下であり、pHが6より大きく8未満である第3の処理液を用いて表面処理を行う工程である。
第3の処理液としては、例えば、DI水(脱イオン水)などの中性の純水を用いることができる。
表面処理の方法としては、回転した基板上に第3の処理液を供給しながら表面処理を行うスピン方式、第3の処理液を溜めた処理槽内に基板を浸漬させて表面処理を行うディップ方式等、いずれの方法を用いることもできる。
第3の処理液に含まれるエッチング阻害要因物質の濃度は、0.3ppb(質量比)以下であり、好ましくは0.1ppb以下であり、さらに好ましくは0.05ppb以下である。
第3の処理液に含まれるエッチング阻害要因物質の濃度が0.3ppbを超えると、マスクを作製したときにその表面に発生するサイズが20〜100nmの微小黒欠陥の個数が多くなり、事実上欠陥修正が困難となる。
第3の処理液は、pHが6より大きく8未満であり、好ましくは6.5より大きく7.5未満であり、ほぼ中性である。
第3の処理液は、第2の処理液よりも低いpHを有していることが好ましい。
なお、第1〜第3の処理液に含まれるエッチング阻害要因物質の濃度は、マスクブランクの表面に供給する直前の処理液について、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−MS:Inductively Coupled Plasma-Mass Spectroscopy)により測定可能であり、該分析方法に基づいて検出される元素(検出限界以下の元素を除く)の合計濃度をいう。
上述した第1〜第3処理工程によってマスクブランクの表面処理を行った後、このマスクブランクを用いて、転写用マスクを作製する。
具体的には、マスクブランク表面にレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクにしてフッ素系(CF)ガスを用いたドライエッチングを行い、反射防止層をパターニングし、その後、反射防止層をマスクにして塩素系(Cl)ガスを用いたドライエッチングを行い、遮光層をパターニングし、最後にレジストパターンを除去して、転写用マスクを作製することができる。
このようにして得られた転写用マスクは、従来のマスクブランクを用いて作製した転写用マスクよりも、微少黒欠陥の数が大幅に少なくなっている。その理由は、上述で説明した微少黒欠陥の発生原因に関係している。すなわち、マスクブランクの表面を第1の処理液(アルカリ性)→第2の処理液(アルカリ性)→第3の処理液(中性)の順で洗浄するために、マスクブランクの表面におけるpHの変化が緩やかになり、マスクブランクの表面に引きよせられていたカルシウムイオン(Ca2+)が、水酸化カルシウム(Ca(OH))に変化しにくくなる。その結果、マスクブランクの表面に、エッチング阻害要因物質としての水酸化カルシウム(Ca(OH))が付着しにくくなったものと考えられる。
次に、本発明のマスクブランクの製造方法について、実施例を用いて説明する。
(実施例1)
本実施例で使用するマスクブランクとして、約152mm×約152mmサイズの合成石英ガラス基板上に、実質的にタンタルと窒素とからなるTaNの遮光層(膜厚:42nm)と、実質的にタンタルと酸素とからなるTaOの反射防止層(膜厚:9nm)の積層構造からなる薄膜を形成した、半導体デザインルールDRAMハーフピッチ32nm対応のArFエキシマレーザー露光用の複数枚のバイナリーマスクブランクを準備した。
第1の処理液として、以下の洗浄液を準備した。
洗浄液A:界面活性剤含有洗浄液(カルシウム濃度1.0ppb、pH10.0)
洗浄液B:界面活性剤含有洗浄液(カルシウム濃度0.5ppb、pH10.0)
第2の処理液として、以下のリンス液を準備した。
リンス液C:DI水+アンモニア(カルシウム濃度0.3ppb、pH10.0)
リンス液D:DI水+アンモニア(カルシウム濃度0.3ppb、pH9.0)
リンス液E:DI水+アンモニア(カルシウム濃度0.1ppb、pH10.0)
リンス液F:DI水+アンモニア(カルシウム濃度0.1ppb、pH9.0)
第3の処理液として、以下のリンス液を準備した。
リンス液G:DI水(カルシウム濃度0.3ppb、pH7.0)
リンス液H:DI水(カルシウム濃度0.1ppb、pH7.0)
最初に、洗浄液Aまたは洗浄液Bを用いて、上述のマスクブランクの洗浄を行った。尚、マスクブランクの洗浄は、スピン洗浄により行った(第1処理工程)。
次に、リンス液C〜Fのいずれかを用いて、上述のマスクブランクのリンス洗浄を行った。尚、マスクブランクの洗浄は、スピン洗浄により行った(第2処理工程)。
最後に、リンス液Gまたはリンス液Hを用いて、上述のマスクブランクの純水リンス洗浄を行った。尚、マスクブランクの洗浄は、スピン洗浄により行った(第3処理工程)。
洗浄処理を行ったマスクブランクの表面に、ポジ型の化学増幅型レジスト(PRL009:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)をスピンコーティングにより塗布した後、プリベークを行い、レジスト膜を形成した。
次に、レジスト膜に対して描画・現像・リンスを行い、マスクブランク表面にレジストパターンを形成した後、レジストパターンをマスクにしてフッ素系(CF)ガスを用いたドライエッチングを行い、反射防止層をパターニングして反射防止層パターンを形成し、その後、塩素系(Cl)ガスを用いたドライエッチングを行い、反射防止層パターンをマスクにして遮光層をパターニングして遮光層パターンを形成し、最後にレジストパターンを除去して、転写用マスクを作製した。
この得られた転写用マスクについて、マスク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製)を用いて転写パターン形成領域内(132mm×104mm)の欠陥検査を行ったところ、100nm以下の微少黒欠陥の個数は50個以下であり、欠陥修正の負荷が少なく良好な結果が得られた。
(実施例2)
マスクブランクとして、極短紫外(Extreme Ultra Violet:EUV 波長 約13nm)光を用いたEUVリソグラフィで使用される反射型マスクを作製するための反射型マスクブランクを用いた以外は、実施例1と同様にしてマスクを作製した。
この反射型マスクブランクは、基板として、TiO−SiOの低膨張ガラス基板上に、EUV光を高反射率で反射させるための多層反射層(SiとMoを交互に40周期程度積層し、最後にSiを積層したMo/Si多層反射膜)と、転写パターンとなる吸収体膜をエッチングする際のエッチングストッパーの役割を果たす保護層(Ru膜)が形成された基板を用いている。基板上には、転写パターンとなる薄膜として吸収体膜が形成されている。この吸収体膜は、EUV光に対して吸収性の高い材料を用いた吸収体層と、検査光に対して反射率が低い材料を用いた反射防止層が積層された2層構造となっている。吸収体層は、イオン主体のドライエッチングが可能な、実質的にタンタルとホウ素と窒素とからなるTaBN膜である。反射防止層は、イオン主体のドライエッチングが可能な、実質的にタンタルとホウ素と酸素とからなるTaBO膜である。
最初に、上述の洗浄液Aまたは洗浄液Bを用いて、反射型マスクブランクの洗浄を行った。尚、反射型マスクブランクの洗浄は、スピン洗浄により行った(第1処理工程)。
次に、上述のリンス液C〜Fのいずれかを用いて、反射型マスクブランクのリンス洗浄を行った。尚、反射型マスクブランクの洗浄は、スピン洗浄により行った(第2処理工程)。
最後に、上述のリンス液Gまたはリンス液Hを用いて、反射型マスクブランクの純水リンス洗浄を行った。尚、反射型マスクブランクの洗浄は、スピン洗浄により行った(第3処理工程)。
洗浄処理を行った反射型マスクブランクの表面に、ポジ型の化学増幅型レジスト(PRL009:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)をスピンコーティングにより塗布した後、プリベークを行い、レジスト膜を形成した。
次に、レジスト膜に対して描画・現像・リンスを行い、反射型マスクブランクの表面にレジストパターンを形成した後、レジストパターンをマスクにしてフッ素系(CF)ガスを用いたドライエッチングを行い、反射防止層をパターニングして反射防止層パターンを形成し、その後、塩素系(Cl)ガスを用いたドライエッチングを行い、反射防止層パターンをマスクにして吸収体層をパターニングして吸収体層パターンと反射防止層パターンが積層してなる吸収体膜パターンを形成し、最後にレジストパターンを除去して、転写用マスク(反射型マスク)を作製した。
この得られた転写用マスク(反射型マスク)について、マスク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製)を用いて転写パターン形成領域内(132mm×104mm)の欠陥検査を行ったところ、100nm以下の微少黒欠陥の個数は50個以下であり、欠陥修正の負荷が少なく良好な結果が得られた。

Claims (8)

  1. 基板上に転写パターンを形成するための薄膜を備えたマスクブランクの製造方法であって、
    前記薄膜は、タンタルを含有し、フッ素系ガスまたは実質的に酸素を含有しない塩素系ガスのうち、少なくとも一方のエッチングガスを用いたドライエッチングでエッチング可能な材料からなり、
    前記薄膜の表面に、カルシウム、マグネシウム、及び、アルミニウムから選ばれる少なくとも1以上の物質であるエッチング阻害要因物質の濃度が0.3ppbよりも高く、pHが8以上である第1の処理液を用いて表面処理を行う第1処理工程と、
    前記第1処理工程後、前記エッチング阻害要因物質の濃度が0.3ppb以下であり、pHが8以上である第2の処理液を用いて表面処理を行う第2処理工程と、
    前記第2処理工程後、前記エッチング阻害要因物質の濃度が0.3ppb以下であり、pHが6より大きく8未満である第3の処理液を用いて表面処理を行う第3処理工程と
    を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  2. 前記第2の処理液のpHは、前記第1の処理液のpHよりも低いことを特徴とする請求項1に記載のマスクブランクの製造方法。
  3. 前記第1の処理液は、界面活性剤を含有する洗浄液であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマスクブランクの製造方法。
  4. 前記第2の処理液は、界面活性剤を含有しないリンス液であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のマスクブランクの製造方法。
  5. 前記第3の処理液は、脱イオン化水であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載のマスクブランクの製造方法。
  6. 前記エッチング阻害要因物質は、他の物質と結合することで、前記ドライエッチングを行う時のエッチングガスに対して耐性を有するエッチング阻害物質となる物質であることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載のマスクブランクの製造方法。
  7. 前記第1の処理液中に存在するエッチング阻害要因物質は、イオン化した状態で液中に存在することを特徴とする請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載のマスクブランクの製造方法。
  8. 前記薄膜は、基板側から、タンタルと窒素を含有する材料からなる下層と、タンタルと酸素を含有する材料からなる上層とが積層した多層膜であることを特徴する請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載のマスクブランクの製造方法。
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