JP5936701B2 - 回転角計測装置及びそれを用いた回転機械 - Google Patents
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Description
本発明は磁気センサを用いた回転角計測装置及びこの回転角計測装置を備えた回転機械に係り、特に磁気センサの取り付け誤差を吸収して正確な回転角を得ることができる回転角計測装置及びこの回転角計測装置を備えた回転機械に関するものである。
回転軸に磁石等で代表されるような磁束発生体を設置し、その磁束発生体が生成する磁束が届く範囲の位置に磁気センサを設置することで回転軸の回転位置(回転角)が計測できることが知られている。具体的には、回転軸が回転すると磁束発生体が生成する磁界の角度も回転するので、その磁界の角度を磁気センサで検出することで回転軸の回転位置(回転角)が計測できるもので、これは回転角計測装置として多くの産業分野で使用されている。
磁気センサを用いた回転角計測装置の利点のひとつは、非接触型であることである。非接触型とは、回転位置を検出する検出器であるセンサと回転体とが機械的に接触していないことを指しており、機械的に接触していないので、回転体が高速回転しても、長期間にわたって使用しても機械的摩耗が発生せず、信頼性が高いセンサが得られる。
本発明では、磁気センサを空気中などの非磁性体中に設置する。したがって、本明細書においては、磁界強度の相対的強度を示す場合や、磁界の角度を示す場合には、磁界Hと磁束密度Bとを区別しない。なぜなら、非磁性体中では、磁界Hと磁束密度Bとは、ベクトル量として比例関係にあるからである。すなわち、これらの大きさにはB=μ0×Hの比例関係があり(μ0は真空中の透磁率)、ベクトルとしての磁束密度Bと磁界Hの角度は互いに同一である。したがって、空気中などの非磁性体中では、磁界Hを測ることと磁束密度Bを測ることは比例係数μ0の違いを除いて同一である。また、空気中などの非磁性体中では、磁界の角度、磁束密度の角度、磁束の角度の3つの角度は同一である。
ここで、磁気センサを大別すると、(1)磁界の強度に応じた信号を出力する磁界強度計測型の磁気センサと、(2)磁界の角度(磁界角)に応じた信号を出力する磁界角計測型の磁気センサとに分けられる。磁界角計測型の磁気センサは、ベクトルとして磁界の角度を計測することから、ベクトル型磁気センサとも呼ばれる。本明細書では、磁界角計測型の磁気センサまたは磁界角センサと呼ぶ。
より正確に述べると、磁界強度計測型磁気センサは、磁界ベクトルをある指定した方向へ射影した成分の強度(大きさ)に対応した値を信号として出力する。磁界強度計測センサとしては、ホール効果素子や磁気抵抗素子を用いたものが知られている。ホール効果素子は、磁界の強度に比例した信号を出力するので、磁界強度計測センサとして働く。磁気抵抗素子を用いた磁界強度計測センサには、InSb半導体を用いたものがある。この磁気抵抗素子は、磁界強度に対応した信号を出力する。
磁界角計測型の磁気センサには、磁界感応素子として(1)ホール効果素子(Hall-effect element)を用いたものや、(2)磁気抵抗効果素子(Magneto-resistance element)を用いたものなどがある。それぞれの詳細は後述する。
回転軸に設置された磁束発生体として、多極着磁した磁石(多極磁石)を用いた回転角計測装置が知られている。(2×p)極着磁磁石を用いると、磁石が1回転すると磁石の回転面内の磁界の角度はp回だけ回転する。ここで、pは正の整数である。例えばp=4の場合、すなわち8極磁石を用いた場合を考える。磁石が90°回転すると磁界角度は1回転する。したがって、磁界角度を計測して回転角を求めると、4倍の精度で回転角を計測できる。このように、多極着磁磁石を用いると、高精度の回転角計測装置が実現できる可能性があるという利点がある。
しかしながら、多極磁石を用いた回転角計測装置には、(1)磁石の着磁誤差の影響を受けるという課題と、(2)多極磁石のコストが高いという課題があった。
まず、磁石の着磁誤差の影響を受けるという課題について述べる。磁石の着磁工程では、着磁した特性、すなわち磁石が生成する磁界分布に誤差が発生しやすい。
ここで誤差には系統誤差と個体誤差とがある。系統誤差とは使用した着磁装置に固有の誤差で、理想的な磁界分布からのずれである。これは、同一の着磁工程(着磁ロット)では再現性のある誤差である。これに対し、個体誤差とは同一の着磁工程(着磁ロット)で製作しても個体毎にばらつく誤差である。一般に、磁石の着磁誤差には系統誤差と個体誤差の両方が含まれる。
磁気センサを用いた回転角計測装置では、磁束発生体の回転角と磁界角との間の関係に基づき、測定された磁界角を回転角に変換する。したがって、着磁誤差があると、回転角に計測誤差が生じるという問題がある。
この問題を除くため、着磁誤差を補正する回転角計測装置が特開平2011−002311号公報(特許文献1)に開示されている。しかしながら、多極磁石の場合ではこの補正方法の適用に課題があった。この点を以下に説明する。
(2×p)極磁石では、磁石の1回転の間に磁界角度はp回だけ回転する。尚、以下では磁石の回転角を「機械角」と称し、また、磁界の角度を「磁界角」と称する。今、磁界角の1周期を「セクタ」と呼ぶことにする。すなわち、(2×p)極磁石が1回転した際の磁界角分布(プロファイル、磁界角と回転角との相互関係)はp個のセクタがあり、理想的に着磁された磁石では各々のセクタ内の磁界角分布(磁界角と回転角との相互関係)は同一である。したがって、理想的に着磁された磁石の場合には、測定された磁界角から回転角を求めることができる。
しかしながら、着磁誤差があるとセクタ毎に磁界角分布が変化する。そのため、着磁誤差の補正関数はセクタ毎に変化する。このため、p個のセクタのうち、どのセクタに位置するかの情報がないと正しい補正関数が適用できないので、着磁誤差を正確に補正することができない。セクタ位置を判別するために別途、ホールセンサなどのセンサを設けることで正確な補正関数を選択することも可能である。しかし、別途センサを設けるとコストが増加するなどの問題がある。
また、多極磁石は、1対のN極−S極のみを持つ2極磁石と比べて、コストが高いという課題もある。これは、多極の着磁工程が複雑なためである。
これに対して、回転軸の方向に着磁された2極磁石と、一対の櫛歯状の磁性体ヨークとを組み合わせて多極磁石と同様の磁界分布を発生させる方法が特開平7−103790号公報(特許文献2)に述べられている。この方法では、一方の櫛歯ヨークがN極に帯磁し、他方の櫛歯ヨークがS極に帯磁するため、その2極磁石の側面では、N極帯磁ヨークとS極帯磁ヨークとが交互に設置される。
そこで、磁性体ヨークの外周部周辺に検出コイルを設置して、正負を含めた磁界の強度を検出する。このようにすると、検出コイルの近傍にN極帯磁ヨークがある場合に検出コイルを通過する磁束を正方向とすると、S極帯磁ヨークが近接した場合に検出コイルを通過する磁束は負方向の磁束になる。したがって、検出コイルにより磁界強度の正負の反転回数を数えることで、回転軸が櫛歯ヨークの何個分を回転したか検知できる。
特許文献2にあるように、磁界強度の正負の反転回数を数えることによってヨーク突起の通過個数を数える方法だと、回転角の計測分解能が櫛歯のヨーク突起の個数で制限される。
回転角の計測分解能を高めるにはN極帯磁ヨーク突起とS極帯磁ヨーク突起との中間にある回転位置を計測すればよい。このためには、磁界強度の値を計測すれば原理的には、中間の回転位置が計測可能である。
しかしながら、磁界強度計測型の磁気センサを使用して磁界強度から中間の回転位置を計測する方法には、温度変化及び/又は経年変化により計測精度が劣化するという課題がある。この原因は、磁石の磁界強度、すなわち、磁石が発生する磁束量が温度変化及び/又は経年変化により変動するためである。磁石が発生する磁束量が変動すれば、検出コイル位置に漏れ出る磁束量も変化するので、検出された磁界強度と回転位置との対応関係が温度変化及び/又は経年変化により変化することになる。このため、磁界強度計測型の磁気センサの出力信号から回転角を正確に求めることができなくなり、回転角の計測精度が劣化するという課題があった。
また、本発明者等は磁気センサを使用した回転角計測装置を鋭意検討した結果、後述するように磁界角計測型の磁気センサを設置する位置が軸方向に少しずれだけで、磁石から放出する大局的な磁力線が磁界角計測型の磁気センサに影響を与え、計測される回転角の精度が大幅に劣化するという課題を新たに見出した。
本発明の第1の目的は、温度変化及び/又は経年変化によって回転角の計測精度の低下を低減することができる回転角計測装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、磁界角計測型の磁気センサの設置位置の取り付け誤差による回転角の計測精度の劣化を低減することができる回転角計測装置を提供することにある。
本発明の第3の目的は、磁束供給体に要求される磁束供給量を低減して磁束供給体を小型化することが可能な回転角計測装置を提供することにある。
本発明の第1の特徴は、回転可能な回転体に、少なくとも一方にヨーク突起を備える磁性体で構成された第1のヨークと第2のヨークとを設け、ヨーク突起の外側側面に磁界角度に対応する信号を出力する磁界角計測型の磁気センサを設置した、ところにある。
本発明の第2の特徴は、回転可能な回転体に、少なくとも一方にヨーク突起を備える磁性体で構成された第1のヨークと第2のヨークとを設け、しかも回転体の外側に磁束を供給することができる磁束供給体を設置し、更にヨーク突起の外側側面に磁界角度に対応する信号を出力する磁界角計測型の磁気センサを設置した、ところにある。
本発明の第3の特徴は、回転可能な回転体に、少なくとも一方にヨーク突起を備える磁性体で構成された第1のヨークと第2のヨークとを設け、さらに第1のヨークあるいは第2のヨークの少なくとも一方に、磁気抵抗が高い領域を設け、しかも回転体の外側に磁束を供給することができる磁束供給体を設置し、更にヨーク突起の外側側面に磁界角度に対応する信号を出力する磁界角計測型の磁気センサを設置した、ところにある。
本発明の第1の特徴によれば、磁界角度に対応する信号を用いて回転角を計測するようにしているため、磁石が発生する磁束量が変化しても隣接するヨーク突起間の磁界角度は磁石が発生する磁束量が変化してもあまり変化しないので、磁石の温度変化及び/又は経年変化による影響を受けにくい回転角計測装置を提供することができる。
また、本発明の第2の特徴によれば、磁気センサの設置位置の取付誤差による、回転角計測精度の劣化を低減することが出来る。これにより、多少の取付誤差を有する場合であっても、計測精度の高い回転角計測装置を提供することができる。
本発明の第3の特徴によれば、磁束供給体が供給すべき磁束供給量を低減できるので、磁束供給体を小型化でき、しかも計測精度の高い回転角計測装置を提供することができる。更には、低価格の回転角計測装置を提供することができるという副次的な効果も奏することができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明するが、本発明では複数の実施例を提案している。したがって、参照番号が同一のものは同一の構成要素、或いは同様の機能を有する構成要素を表しているものである。
先ず、本発明者等が見出した、温度変化及び/又は経年変化により計測精度が劣化するという問題、及び磁気センサを設置する位置がずれると計測誤差が増大するという問題を図面に従い説明する。その後、発明者が見出した、誤差が増大するメカニズムを図面に従い説明する。
まず、従来構成の回転角計測装置を説明する。図44は従来構成の回転角計測装置の構成を示している。図44の(a)において磁束発生体202は円環状の磁石211とこれも円環状の2個のヨーク215A、215Bとを有する。磁束発生体202は回転軸121に固定されている。尚、回転軸121の回転中心線226をZ軸とする。また、磁石211の厚み方向の中点位置をZ=0mm(基準点)と定義する。
磁石211は図44の(b)にあるように回転軸121に沿った軸方向に着磁された2極着磁磁石である。ヨーク215A及びヨーク215Bは櫛歯状に形成された形状の磁性体である。図44の(b)のように、磁石211の上下からそれぞれヨーク215A、215Bをかぶせて磁束発生体202を構成する。磁石211の着磁の向きを上側をN極、下側をS極とすると、上側のヨーク215AはN極に磁化し、下側のヨーク215bはS極に磁化される。
具体例として、ヨーク215Aに形成されたヨーク突起216Aの個数Npが8個の場合について、各ヨーク突起216A、216bの磁化の様子を図3に示した。図3はZ軸線(回転中心線226)の方向からヨーク突起216を見た断面図である。ヨーク215Aの円環部分や磁石211などは図示を省略した。図のX軸上に、正負を含めた磁界強度を測定する、磁界強度計測型の磁気センサ68を設置する。
ここで、負の磁界強度とは、磁界が逆向きであることを示す。ホール・センサや検出コイルなど、磁界強度計測型の磁気センサの多くは、正負を含めた磁界強度を測定する。より正確に述べると、磁界強度計測型の磁気センサは、磁界ベクトルのある指定した方向への射影成分の強度(大きさ)に対応した値を信号として出力する。図44に示した構成の場合、磁界ベクトルのX軸への射影成分の強度を測定するように磁界強度計測型の磁気センサ68を設置する。
図3においてX軸線上に磁界強度計測型の磁気センサ68を設置し、磁束発生体202を1回転させると磁界強度計測型の磁気センサ68の設置位置で磁界の水平方向成分が8回だけ反転することがわかる。
図3の回転位置で、磁気センサ68が正の磁界強度を示すと仮定する。すると、磁束発生体202が22.5°回転すると、S極に磁化したヨーク突起が磁気センサ68に近接するので、磁界強度計測型の磁気センサ68は負の磁界強度を示すことになる。したがって、磁束発生体202が360°回転すると、磁界強度はNp周期変化を繰り返すことがわかる。このようにして、磁界強度計測型磁気センサ68により磁界強度を測定することで、磁束発生体202の回転位置を計測する。
図3において、磁束発生体202が10°の回転位置にある場合を想定する。このように、回転位置が隣接するヨーク突起間の中間にある場合、磁界強度計測型の磁気センサ68により磁界強度を測定することにより、原理的には回転位置が検出できる。しかし、この方法は温度変化や経年変化等により回転角の計測精度が劣化するという問題がある。前述の通り、その原因は、温度変化すると磁石が発生する磁束量が変化し、センサ位置の磁束密度、すなわち磁界強度が変化するためである。また、磁石によっては、その発生する磁束量が経年変化するものもあるため、同様な理由により回転角の計測精度が経年劣化する場合がある。このように、磁界強度計測型の磁気センサ68により磁界強度を測定すると、温度変化や経年変化等によって磁界強度が変化することによる影響を直接受けて正確に回転角の計測が行えないという問題があった。
本発明者等はこの課題に対して図2に示した構成の回転角計測装置を検討した。図2に示す構成は本発明の出発点となる基本的な構成を示している。したがって、図2に示す構成の回転角計測装置は、以下に説明する多くの実施形態で使用している磁界角計測型の磁気センサを使用するという技術的事項を提案している。
図2の構成は、図44の磁界強度計測型の磁気センサ68を磁界角計測型の磁気センサ70(磁界角センサ)に置き換えた構成の回転角計測装置である。なお、本明細書では、「磁界角計測型の磁気センサ」を「磁界角センサ」とも呼ぶ。この回転角計測装置では、磁気センサ70の位置での磁界角度(磁界角)を計測する。すなわち、磁気センサ70として、磁界角度計測型の磁気センサ(磁界角センサ)を用いる。磁石が発生する磁束量が温度変化や経年変化などの原因で変動すると、磁気センサ70の設置位置での磁界強度はその磁束量変化に概ね比例して変化するが、磁界の角度は原理的には変化しない。したがって、温度変化や経年変化による回転角の計測精度の低下を防止できる。
図3に示したように、磁束発生体202の側面からみると、N極に磁化したヨーク突起216AとS極に磁化したヨーク突起216Bとが交互に設置される。このため、磁束発生体202の側面位置での磁界の回転面内成分(Z方向に直交するXY面内成分)は、多極着磁磁石と同様な磁界分布になる。したがって、磁気センサ70の位置での磁界角θmを計測することで、磁束発生体202の回転角θrを検出できると考えられる。
図2に示した回転角計測装置の構成を、本明細書では「基本構成A」と呼ぶ。すなわち、基本構成Aの回転角計測装置とは、従来の構成、すなわち図44の構成において、磁界強度計測型の磁気センサ68を磁界角計測型の磁気センサ70に置き換えた回転角計測装置の構成である。
次に基本構成Aの回転角計測装置を出発点とした更なる改良された回転角計測装置について説明する。尚、以下の説明においては特別に断らない限り「磁界角計測型の磁気センサ70」、すなわち「磁界角センサ70」を単に「磁気センサ70」と表現する。
本発明者等は、有限要素法による磁界解析を行い、基本構成A(図2の構成)において磁束発生体202が回転した時の磁気センサ70の場所での回転面内(XY面内)磁界の角度を定量的に求めた。その結果を図4に示した。図中、実線は磁気センサ70の設置位置が磁石の厚み方向の中点位置であるZ=0mm(基準点)としての計算結果を示している。
図4では横軸が磁束発生体202の回転角θr(angle of rotation)で、縦軸が磁気センサ70の設置位置での磁界角度(磁界角)θm (angle of magnetic field)である。磁束発生体202を0〜45°の範囲で回転させると、磁界角は0〜360°の範囲を回転する。すなわち、1セクタは45°周期である。したがって、磁束発生体202の1回転で8セクタの磁界角回転があることがわかる。
回転角(機械角)0〜45°の1セクタ内での磁界角分布を考える。ここで、「磁界角分布」とは、磁束発生体202の回転角(機械角)と、磁気センサ70の設置位置での磁界角度(磁界角)との相互関係を示している。
理想的な磁界角分布は、1セクタ内では磁界角が0〜360°の範囲で直線的に変化するものである。つまり、図4の破線の直線で示したように回転角0°から回転角45°の間で磁界角0°と磁界角360°を結んだ直線が理想直線である。回転角45°乃至回転角180°までも同様である。
図4を見ると、Z=0mmの場合のデータ(実線で示した)が理想直線から少しずれていることが分かる。この理想直線からのずれが磁界分布の誤差である。ここで、この理想直線からのずれを「磁界歪み誤差」と定義する。先に述べたように磁界歪み誤差には系統誤差と個体誤差とが含まれる。図4では磁界歪み誤差は±8°の範囲にある。±8°の磁界歪み誤差は、多極磁石を用いた場合の磁界歪み誤差と同程度の大きさであり、適切な補正方法により補正することが可能である。
次に、磁気センサ70をZ軸線上でZ=−0.4mmの位置に設置した場合の磁界角を調べた。その結果を図4に●印の点線で示した。磁界角は180°を中心に約±60°の範囲で変化しており、理想直線から大きくずれている。理想直線からのずれ(磁界歪み誤差)は最大180°に達する場合があり補正が困難な誤差量である。
磁界歪み誤差の最大値δmaxとセンサ位置ズレ量との関係を図5に示す。磁界歪み誤差の最大値は、前述と同様な方法で求めた。磁気センサ70の設置位置のずれが0.4mmになると、磁界歪み誤差の最大値は180°を超える。
すなわち、磁気センサ70の設置位置が基準点(Z=0mm)から軸方向に0.4mmずれただけで磁界角の測定値から磁束発生体202の回転角を正確に計測することが出来ないようになる。
このように、櫛歯状のヨークと磁石とを組み合わせた磁束発生体202を用いた回転角計測装置では、磁気センサの設置位置がわずかにずれると回転角の計測精度が大幅に劣化するという課題が生じる。実際の回転機械等に用いる応用ではセンサの設置誤差、つまり取り付け誤差が生じる場合が多いので、回転角の計測精度が劣化するという課題が生じる。
このように、櫛歯状のヨークと磁石とを組み合わせた磁束発生体を用いた回転角計測装置では、磁気センサ70の設置マージンが狭いという課題がある。磁気センサ70の設置マージンとは、所望の特性(ここでは、回転角の計測精度)を得るために許容される、磁気センサ70の設置位置の誤差範囲と定義される。すなわち、所望の回転角計測精度を得るためには、磁気センサ70の設置マージンの範囲内に磁気センサを設置する必要がある。しかし、前述の構成では磁気センサ70の設置マージンが小さいために、実際の回転機械などに用いる応用においては、磁気センサ70の実際の位置が磁気センサ70の設置マージンを超える場合が多く、所望の計測精度が得られないという課題が生じる。
本発明者等は磁気センサ70の設置位置が軸方向にわずかにずれると回転角の計測精度が大幅に劣化する原因を鋭意検討、調査した。その結果、以下の原因で磁気センサ70の設置位置によって回転角の検出精度が低下することを解明した。
図6は、回転角計測装置80のXZ断面での磁界角度の空間分布を模式的に示したものである。磁石211はZ軸方向(回転軸の中心軸線226の方向)に着磁した2極磁石なので、N極からS極に向かう磁力線250を放出している。図で示す矢印はその磁力線250の向きを示している。磁石211の対称性から、Z=0mmの位置ではこの磁力線250の方向は紙面において垂直方向、つまりZ軸方向とほぼ平行である。
磁石211はZ軸方向に関して回転対称形なので、この磁力線250の空間分布は大局的に見るとどの方位角(azimuth)でも概ね等方的(Z軸方向から見て放射状にN極からS極に向かって)に出ていると考えて良い(以下この磁界を大局的な磁界、或いは大局的な磁力線という)。これに対して、ヨーク突起216A、216Bによる磁界のXY面内成分(回転面内成分)は、回転角を検出するために利用される局所的な変調磁界としてこの大局的な磁界に重畳されている。この局所的な変調磁界のXY面内成分が回転角を検出するのに必要な情報であり、このXY面内成分の変化を磁気センサ70によって検出することで回転角を計測するものである。
図7は、磁気センサ70の設置位置での磁界ベクトルを図示したものである。磁界Bを、回転面に平行な面内成分(in-plane成分) Bipと、Z方向成分Bzとに分けて考える。後でデータを示すように、図4の条件では、Z方向成分の大きさ|Bz|は、面内成分|Bip|の10倍以上である。但し、磁気センサが面内成分のみ感受するセンサであれば、Z方向成分|Bz|の影響は受けずに、面内成分Bipの方向を検出する。Z=0では、磁石から直接発生する磁力線(大局的な磁界)はZ=0では垂直方向を向いているので、面内成分Bipはヨーク突起による局所的な変調磁界のみである。したがって、図4の実線のように磁界角は回転角(機械角)に対応した形になる。
一方、磁気センサ70の軸方向位置がZ=−0.4mmだけずれていた場合を考える。図6からわかるように、Z=0mm(基準点)でない場所においては、磁石211から放出する大局的な磁力線250は垂直ではなくなるので、面内成分Bipを持つ。このため、磁気センサ70は大局的な磁力線の面内成分も検出する。前述の通り、磁石から出る大局的な磁力線は概ね等方的なので、その面内成分は回転角によらず180°である。図4において、●で示したデータのように磁界角が180°を中心に変化するのはこのためである。
図8は、図2に示した基本構成Aにおける、磁気センサ70の位置での磁界強度と磁気センサ70の設置位置のずれ量(「センサ位置ズレ」とも呼ぶ)との関係を計算した結果である。
本明細書においては、磁気センサ70の正しい設置位置はZ=0(基準点)の地点なので、磁気センサ70の設置位置のずれ量(センサ位置ズレ)は、磁気センサ70の設置場所Zの絶対値|Z|に等しい。
図8においては、磁界強度は、磁束密度(の絶対値)で示している。磁束密度の大きさは、Z方向成分の絶対値|Bz|と、回転面に平行な面内成分の絶対値|Bip|とに分けて示している。Z方向成分|Bz|(△で示した)が、面内成分|Bip|(○で示した)の18倍の大きさである。したがって、上述したようにZ=0mm(基準点)でない場所においては、磁石211から放出する大局的な磁力線250は垂直ではなくなるのでこれ自身に面内成分Bipを持ち、このため磁気センサ70は大局的な磁力線の面内成分Bipも検出するようになる。
以上のように、磁石から発生する大局的な磁力線が存在するために磁気センサ70の設置位置のばらつきによる検出精度の低下が生じることが解明された。
本発明ではこのような知見に基づいて、磁石211が発生する大局的な磁力線が磁気センサ70の設置位置よって生じる悪影響をできるだけ抑える技術を提供するものである。
以下に説明する実施例は、基本構成Aからなる回転角計測装置を出発点とした改良された回転角計測装置を示している。また、以下の実施例においては磁気センサ70として磁気抵抗素子のひとつであるGMR素子で構成された磁界角度計測型の磁気センサ(GMRセンサ)を用いた例である。しかしながら本発明が対象とする磁気センサはGMRセンサに限られるものではなく、磁界角計測型の磁気センサであれば他の形式のものであっても差し支えないものである。
本発明の第1の実施形態を図1及び図9を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施例になる回転角計測装置80の全体構成を示す。回転角計測装置80は、回転体210、磁束供給体240、および、磁気センサ70(磁界角センサ70)とより構成されている。
回転体210は、回転中心線226を中心として回転可能である。回転体210は、回転中心線226に沿って回転する回転軸121に固定されており、回転軸121の回転と連動して回転する。したがって、回転体210の回転角を計測することで、回転軸121の回転角を計測できる。
ここで、Z軸、回転面などを定義する。本明細書では、回転中心線226をZ軸と定義する。そして、以下に述べるヨーク215Aが回転中心線226と交差する点と、ヨーク215Bが回転中心線226と交差する点の、2つの点の中点をZ=0と定義する。
回転中心線226を法線とする平面を回転面と定義する。この定義に従い、Z軸のどの位置にあるかにより、回転面は複数ある。例えばZ=0の回転面とは、Z=0でZ軸と交差する回転面を指す。
回転体210のZ軸の正側の面を「上面」と定義し、Z軸の負側の面を「下面」と定義する。回転体の外周面を「側面」と呼ぶ。また、後述の回転体主部213についても、同様にして「上面」「下面」「側面」を定義する。上面と下面との区別は説明のための便宜上のものであり、発明に本質的な区別はない。例えば、後述の磁束供給体のN極、S極の向きと上面、下面とには、本発明に本質的な対応関係はない。
磁気センサ70や回転体210などの各構成物について、その「上側」と「下側」を次のように定義する。すなわち、ある構成物の「上側」とは、その構成物よりもZ軸の正側の領域と定義し、「下側」とは、その構成物よりもZ軸の負側の領域と定義する。
図9を用いて回転体210の構成を説明する。回転体210は、2つのヨーク215A、215Bとで構成される。さらに、ヨーク215Aはヨーク突起216Aを備え、ヨーク215Bはヨーク突起216Bを備える。ヨーク215A、215B、ヨーク突起216A、216Bとも、回転軸121の回転と連動して回転する。本実施例では、2つのヨーク215Aと215Bがいずれもヨーク突起を備える構成例を示したが、後述のように、いずれか1方のヨークのみがヨーク突起を備えていればよい。
本実施例では、ヨーク215A、215Bの形状は、リング状(円環状)とした。ヨーク215A、215Bの材料は、鉄板とし、厚さは1mmとした。ヨーク突起216も厚さ1mmの鉄板を用いた。
ヨーク突起216A、216Bは、好ましくは回転体210の外周側面に設置される。
好ましくは、ヨーク215A、215Bを支持する支持体として回転体主部213を備えるとよい。図9の(b)の分解図に示すように、回転体主部213を回転軸121に固定し、回転体主部213にヨーク215A、215Bを取り付ける構成にすると回転体の製作が容易になる。回転体主部213の材料には、ヨーク215A、215Bよりも磁化率が小さい材料を用いる。さらに好ましくは、回転体主部213として、非磁性体を用いる。本実施例では、回転体主部213の材料としてアルミニウムを使用した。
回転体主部213はヨークを支持体として用いており、本発明においては必須の構成ではない。例えば、ネジなどの固定具を用いてヨークを回転軸121に直接固定するなどの構成を用いれば、回転体主部213は不要である。
本発明においては、磁束を2つのヨーク215A、215B間に流すので、回転体主部213が占める空間は、ヨークよりも磁束が流れにくい空間であればよい。したがって、回転体主部213が占める空間は、ヨーク215よりも磁化率が小さな材料、さらに好ましくは非磁性体であればよい。空気は非磁性体であるから、この要請を満足する。
同じ理由により、回転体主部213とヨーク215あるいはヨーク突起216との間に隙間の空間があってもよい。
回転体210の構成について上述したこと、例えば、回転体主部213が本発明に必須の構成ではないこと、および、ヨーク突起216はいずれか一方のヨークのみが備えていればよいことは、以下に述べる他の実施例に対しても同様である。
本明細書において、非磁性体とは、磁化率χの絶対値が10未満の材料と定義する。非磁性体の例としては、アルミニウムやステンレス、合成樹脂などがある。
ヨーク215A、215Bは、磁性体を用いる。ここで、磁性体とは磁化率χが10以上の材料と定義する。真空と比較した磁束の通り易さを示す指標である比透磁率μrと磁化率χとの間には、μr=1+χの関係がある。したがって、ヨーク215A、215Bの比透磁率μrは、回転体主部213よりも大きいので、磁束はヨーク215A、215Bの方が通りやすい。
ヨーク突起216A、216Bも磁性体で構成される。ヨーク突起216A、216Bは、好ましくは、回転体210の外周側の側面に軸方向に延びて設置される。ヨーク突起216Aの形状は、ヨーク215Aからの突起であればよく、後述の通り各種ある。本実施例では、矩形の櫛歯状の形状のヨーク突起を用いた。ヨーク突起216Aとヨーク突起216Bとは、図9に示したように、交互に噛み合うように設置されている。
ヨーク215Aのヨーク突起216Aの個数と、ヨーク215Bのヨーク突起216Bの個数とは、互いに等しくすると好ましい。本実施例では、両者の個数が互いに等しくなるようにした。
図1に示されるように、磁束供給体240は回転体210の外側に所定の距離を置いて設置される。
磁束供給体240は、2つのヨーク215A、215Bのいずれか一方から入り、他方から出る磁束を供給する働きをする。このようにして、磁束供給体240は、2つのヨーク215A、215Bの間に磁束を供給する働きをする。すなわち、磁束供給体240は、ヨーク215Aからヨーク215Bに至る磁束(または、ヨーク215Bからヨーク215Aに至る磁束)を供給する働きをする。磁束供給体240は、磁束を供給する磁束供給部242を備える。2つのヨーク215A、215Bのいずれか一方に磁束供給部242を近接させるように、磁束供給体240を設置する。このように設置することにより、磁束供給体240から第1のヨーク215に磁束が供給される。
本実施例での磁束供給体240は、図1に示すように、磁石246と第1のアーム248A、第2のアーム248Bとで構成される。2つのアーム248A、248Bはそれぞれ磁性体で構成される。図1に示したように、磁石246のN極に第1のアーム248Aを磁気的に結合し、磁石246のS極に第2のアーム248Bを磁気的に結合させる。ここで「磁気的に結合する」とは、磁束が流れるように結合するという意味である。本実施例では、物理的に結合させることで、磁気的に結合させた。アーム248A、248Bは磁性体なので空気中よりも磁束を通しやすいので、磁石246のN極から放出された磁束のうち多くは、第1のアーム248Aを通ってヨーク215Aに供給される。そして、ヨーク215Bから出た磁束は、第2のアーム248Bを通って磁石246のS極に流れる。すなわち、この場合、第1のアーム248Aのうちヨーク215Aに近接した部分が磁束供給部242として機能する。
本明細書においては、磁束供給部242と磁石246のN極の向きとを限定しない。すなわち、磁石246の着磁の向きが図1とは逆向きで、第1のアーム248AにS極が設置されている場合には、「『負の磁束』が磁石246のS極から発生し、第1のアーム248Aを経由して磁束供給部242を通って、ヨーク215Aに供給される」と見なす。
同様にして、「ヨーク突起216Aからヨーク突起216Bへ至る磁束」との記載は、ヨーク突起216AがN極に帯磁していることを意味しない。ヨーク突起216AがS極に帯磁している場合でも、「ヨーク突起216Aからヨーク突起216Bへ至る磁束」と記述する。この場合、負の磁束が流れると見なすわけである。
同様にして、「ヨーク突起216Aからヨーク突起216Bへ至る磁束」との記載は、ヨーク突起216AがN極に帯磁していることを意味しない。ヨーク突起216AがS極に帯磁している場合でも、「ヨーク突起216Aからヨーク突起216Bへ至る磁束」と記述する。この場合、負の磁束が流れると見なすわけである。
一般化して言えば、本明細書においては、磁束の向きと磁石のN極、S極の向きとを関連付けて解釈しない。場合に応じて、正の磁束、または負の磁束が流れると見なすわけである。このように、磁束の向きを一般化して定義することで、本明細書の記載を簡潔にする。
磁気センサ70は、磁界角計測型の磁気センサ、すなわち、磁界角センサであり、磁界の角度に対応した信号を出力する。磁気センサ70は、回転体210の側面外側(側面外周部)に設置される。好ましくは、磁気センサ70は、ヨーク突起216Aと対向するように配置される。
回転体210の側面の外側とは、図1に図示した領域C271を示す。すなわち、回転体210の側面の外側とは、Z軸を中心線とした円柱座標系で表現すると、Z座標は、ヨーク215Aの上端から、ヨーク215Bの下端までの領域であり、半径座標は回転体210の半径よりも大きい領域であり、角度座標(azimuth)は任意である。
すなわち、磁気センサ70と磁束供給体210をそれぞれZ軸(回転中心線226)から見たときの挟み角α(図1の(b)に図示)には、制限はない。本実施例では図1の(b)に示したように挟み角αを180°に設定している。また、後述の実施例に記載するように、特定の挟み角αに設置することで、より好ましい効果が得られる構成も考えられる。
尚、回転体210の側面の外側として定義される領域C271には、図1の(a)において、磁束供給体240側にも存在するが、図1の(a)では図示を省略した。
本実施例では、磁気センサ70としてスピンバルブ型の巨大磁気抵抗素子を用いた磁気センサ(GMRセンサ)を用いた。この磁気センサの出力信号は、磁界強度には依存せず、磁界の角度に対応した信号を出力する。
次に、本実施例の構成による回転体210の回転角θrを計測する動作原理を述べる。磁束供給体240からの磁束の経路は次の通りである。磁束供給体240の磁束供給部242から放出された磁束は、順番に、ヨーク215A、ヨーク突起216A、それに隣接するヨーク突起216B、そしてヨーク215Bを通って、磁束供給体240へ戻る。この途中、ヨーク突起216Aから、隣接するヨーク突起216Bに磁束が至る際に、回転体210の外周部近傍に漏れ磁束として漏れ出す。この漏れ磁束が生起する磁界の角度を磁界角計測型の磁気センサ70で計測する。
すなわち、第1のヨーク215Aのヨーク突起216Aから、第2のヨーク215Bのヨーク突起216Bへ至る漏れ磁束の磁界角度を磁界角計測型の磁気センサ70で計測する。これにより、回転体210の回転角を計測する。
図1の構成では、ヨーク突起216AはN極に磁化され、ヨーク突起216BのはS極に磁化されるので、回転体210の外周部近傍への漏れ磁束の分布形状は、多極磁石の外周部での磁界分布と似た形になる。具体的な磁界解析の結果は後で示す。
本実施例と従来の構成(図44)との主な差異を述べる。まず、構成面では、磁気センサ70として、磁界角計測型の磁気センサ70を用いる点が異なる。さらに、磁束供給体の設置が異なる。従来構成では、磁束発生体202の内部に磁石を設置していたのに対し、本実施例では、回転体210の外側に磁束供給体240を設置している。
磁界角計測型の磁気センサ70を用いて漏れ磁束の磁界角を計測することにより、磁束供給体240が発生する磁束量が温度変化や経年変化などの要因で変動しても、回転角計測精度に直接は影響せず、温度変化や経年変化などによる計測精度の劣化を防止できる。これは基本構成Aによって得られる効果であり、磁界角計測型の磁気センサを使用するという技術的事項から見ると、本実施例は基本構成Aを出発点としているものである。
次に、本実施例の特徴である磁束供給体240の設置位置の違いがもたらす効果を以下に述べる。
前述の通り、回転体の回転位置の情報を有しているのは、隣接するヨーク突起間に漏れ出す漏れ磁束、すなわち、ヨーク突起が形成する局所的な変調磁界である。この局所的な変調磁界は、ヨーク突起に近づくほど強くなるので、回転位置情報を持つ変調磁界を十分な磁界強度で検出するには磁気センサ70を磁束発生体202に近づける必要がある。しかし、図44に示すような従来の構成では、磁束発生体202の内部に磁石211が入っているので、磁気センサ70を磁束発生体202に近づけると、磁石が発生する大局的な磁界も強くなる。前述の通り、この大局的な磁界は回転位置の情報を持たず、妨害成分として働くので、好ましくない。
これに対し、本発明の構成では、磁束供給体240を回転体210の外側に設置しているので、磁気センサ70を回転体210に近づけて設置することと、磁束供給体240と磁気センサ70との距離が短くなることとが直接的には関係しない。したがって、磁束供給体240が発生する大局的な磁界の影響を増やすことなく、磁気センサ70を回転体210に近づけて設置し、ヨーク突起216A、216B間の漏れ磁束を精度良く検出することが可能になる。
図1に示した回転角計測装置80を有限要素法による磁界解析で解析した結果を述べる。
本明細書では、図1に示した回転角計測装置80の構成を改良された構成Bと呼ぶ。基本構成Aと改良された構成B、および、後述する他の改良された構成である改良された構成C及び改良された構成Dの、主な差異を以下の表1に示した。尚、改良された構成Cおよび改良された構成Dについては後で詳細に説明を行う。
表1
表1
表1において、磁気センサの種類においては、検出信号として磁界角度を検出する磁界角計測型の磁気センサ70を共通して使用している。また、磁石位置が「内側」とは、回転体210の内側に磁石が設置されていることを示し、磁石位置が「外側」とは、回転体210の外側に磁石(より一般的に表現すると磁束発生体)が設置されていることを示す。また、「磁束供給***置」とは磁気センサに対する相対的な位置関係を示し、「バイパス磁路」とは図26に示してあるように、磁気センサ70にZ方向の磁束が影響しないようにZ方向の磁束をバイパスする磁路を形成していることを示している。
図10は、磁気センサ70の設置位置での磁界角θmを磁界解析で求めた結果である。実線で示したのは、磁気センサ70をZ=0の位置に設置した場合である。回転体210の回転角θrが0〜45°の範囲で回転すると、磁界角θmは0〜360°変化する。磁界歪み誤差は、±22°の範囲に収まっており、補正処理により高精度な回転角計測が出来る誤差範囲である。
図10において●で示したのは、磁気センサ70をZ=−0.5mmの位置に設置した場合である。磁界角θmは、Z=0の場合とほぼ同じであり、Z=−0.5mmの位置でも磁界歪みは±22°の範囲に収まっている。すなわち、磁気センサ70の設置位置が0.5mmずれた場合であっても、精度よく回転角を計測できる。
図11は、磁気センサ70の設置位置のずれ量と磁界歪み誤差の最大値との関係をプロットしたものである。○は図2に示す基本構成A、すなわち、磁石を回転体202の内部に収納し、回転体202に設けたヨーク突起216A、216Bの外周側に磁界角計測型の磁気センサ70を組み合わせた構成の場合を示し、●は本実施例の構成(図1の構成、すなわち構成B)の回転角計測装置の場合を示す。基本構成A(○)では、センサ位置が0.3mm以上ずれると、回転角の計測誤差が急速に増大しているが、本実施例である構成B(●)では、0.5mmのセンサ位置ずれがあっても磁界歪み誤差がほとんど増大しないことがわかる。このように、本実施例の回転角計測装置では、磁気センサ70の設置マージンが向上していることがわかる。
図12は、磁気センサ70の位置での磁界強度を示す。磁界強度を磁束密度(単位は[mT])で示す。この図では、磁気センサ70の設置位置ずれ量(センサ位置ズレ)を横軸にとり、それぞれのずれ量での磁界強度をプロットしている。この図では、基本構成A(図2の構成)と、本実施例である構成B(図1の構成)とのそれぞれの場合について、磁束密度のZ方向成分|Bz|と面内成分|Bip|をプロットしている。基本構成Aについては、磁束密度のZ方向成分を△、面内成分を○でプロットし、本実施例である構成Bについては、Z方向成分を▲、面内成分を●でプロットした。
図12からわかるように、センサ位置ズレZが0の場合、基本構成AではZ方向成分Bzが面内成分Bipよりも10倍以上だったのに対し、構成Bでは、Z方向成分Bzが大幅に低減し、面内成分Bipよりも小さくなっている。定量的な指標として信号比|Bip|/|Bz|を求める。前述の通り、面内成分Bipが回転角の情報を持つのに対し、Z方向成分Bzは回転角の情報を持たない。すなわち、Bipが信号成分であり、Bzは妨害成分である。したがって、信号比|Bip|/|Bz|は、妨害成分に対する信号成分の大きさを示すものであるから、信号比が大きい方が望ましい。Z=0においては、構成Aでは信号比は0.056であるのに対し、本実施例である構成Bでは信号比は2.5となっており、大幅に改善していることがわかる。これが、図11に見られるように、本実施例により、磁気センサ70の設置マージンが大幅に改善した主な理由である。
以下に、図1に示す回転角計測装置を構成する構成要素の詳細を、磁気センサ、磁束供給体、回転体の順に述べる。
以下には、各構成要素について、より好ましい形態や、変形例などを記載する。これらの記載内容は、上述した実施例1に限定されるものではなく、後述する本発明の他の実施例についても当てはまるものである。記述の簡潔性のため、第2の実施例以降では以下の記載を繰り替えさないが、第2の実施例以降の各構成要素についても、同様に解釈されるべきである。
≪磁気センサについて≫
まず、磁気センサ70について述べる。
≪磁気センサについて≫
まず、磁気センサ70について述べる。
磁気センサ70には、磁界角計測型の磁気センサ(磁界角センサ)を用いる。磁界角計測型の磁気センサとは、磁界角度に対応した信号を出力する磁気センサである。本明細書では、「磁界角計測型の磁気センサ」を「磁界角センサ」とも呼ぶ。
磁気センサ70の磁界感受面を、回転中心線226を法線とする平面(回転面)に平行に設置するとさらに好ましい。すなわち、磁気センサ70の磁界感受面を回転面と平行に設置するとさらに好ましい。その理由は、回転位置情報は、ヨーク突起間からの漏れ磁界の回転面成分に主に含まれるので、磁界感受面を回転面方向に一致させると効率的に回転位置情報が検出できるからである。
磁界角計測センサには、磁界感応素子として(1)ホール効果素子(Hall-effect element)を用いたものや、(2)磁気抵抗効果素子(Magneto-resistance element)を用いたものなどがある。
以下その詳細を説明する。
ホール効果素子自体は磁界強度に応じた信号を出力する素子である。しかし、ある種のホール・センサでは、複数個のホール効果素子を用いて、複数の地点での磁界強度の空間的な差分を測定し、磁界角度の余弦成分(COS成分)と正弦成分(SIN成分)とを検出することで磁界の角度に応じた信号を出力する。このように磁界角度に応じた信号を出力するので、これは磁界角計測型の磁気センサである。この型のホール・センサは、多くの場合、ICチップの形で提供される。
また、別の種類のホール・センサでは、適切な形状の磁性体と複数個のホール効果素子をICチップ上に形成することで、磁界角度を計測する。この型の磁気センサは、磁性体により磁界を集束させることにより磁界角度を複数の地点での磁界強度差に変換し、それを複数個のホール効果素子で計測する。この型のホールセンサは、多くの場合ICチップの形で提供され、磁界角度に応じた信号を出力する。このように磁界角度に応じた信号を出力するので、この型のホールセンサは磁界角計測型の磁気センサである。
このように、ホール効果素子で構成された、磁界角度に応じた信号を出力する磁界角計測型の磁気センサが各種知られている。
次に、磁界角計測型の磁気センサの別の例として、磁気抵抗素子を用いた磁気センサを述べる。
磁気抵抗素子を用いた磁気センサには、磁界強度計測型と磁界角計測型の2種類がある。
磁界強度計測型の磁気センサとしては、InSb半導体を用いた磁気抵抗素子があり、これは磁界強度に対応した信号を出力する。
磁界角計測型の磁気センサ(すなわち、磁界角センサ)としては、スピンバルブ型の巨大磁気抵抗素子(Giant Magneto-resistance、 以下「GMR素子」という)を用いた磁気抵抗素子がある。この素子は、十分な磁界(飽和磁界)を印加した条件で使用すると、磁界の角度に応じた信号を出力する。したがって、磁界角計測センサとして動作する。GMR素子は固定磁化層と自由磁化層とをスペーサ層を介して積層した構成である。GMR素子では、固定磁化層と自由磁化層のスピンの角度(磁化の角度)の差に応じて素子の電気抵抗値が変化する。磁界の角度が変化すると、固定磁化層の磁化角度は固定されたままであるのに対し、自由磁化層の磁化角度は外部磁界の磁界角に揃う。したがって、GMR素子の電気抵抗値の変化を検出することで、外部磁界の磁界角を計測できる。
この他にも、異方性磁気抵抗素子(Anisotropic Magneto-resistance、AMR素子)を用いた磁界角計測型の磁気センサもある。
以上のように、磁気センサの出力信号が磁界角度に対応した信号を出力するものを、磁界角計測型の磁気センサと呼ぶ。
磁界角計測型の磁気センサが出力する、磁界角度に対応した信号の信号形式はいくつかある。第1の例は、磁界角度に比例した量を出力するものである。第2の例は、磁界角度θmの余弦と正弦の信号対(cosθm、sinθm)に比例した信号対を出力するものである。この信号対の比の逆正接(ArcTan)をとれば磁界角度θmが得られるので、余弦と正弦の信号対も「磁界角度に対応した信号」に含まれる。第2の信号形式は、言い換えれば、ベクトルとしての磁界Hを、互いに直交する軸(x、y軸とする)へ射影した信号対(Hx、Hy)とも見なせる。また、信号の形式には、電圧や電流によるアナログ信号、あるいはデジタル信号の形式もある。本明細書での「磁界角度に対応した信号」とは、第1の例や第2の例、あるいはその他の信号形式であっても、適切な信号処理により磁界角度に対応した信号が得られる信号形式を含むものである。そして、これらの信号を出力する磁気センサを「磁界角計測型の磁気センサ」、すなわち「磁界角センサ」と定義する。
≪磁束供給体について≫
次に、磁束供給体240の詳細を述べる。
≪磁束供給体について≫
次に、磁束供給体240の詳細を述べる。
図1に示した実施例では、磁束供給体240は磁石246とアーム248とで構成されている。アーム248は磁性体(磁化率が10以上)で構成される。磁化率が大きい材料ほど、磁束を流しやすいので、より好ましい。
本発明では、磁化率が100以上の材料を用いるとさらに好ましい。その理由は、磁化率χが100以上の材料は、比透磁率μr=(χ+1)が101以上になる。したがって、磁束の通り易さが空気よりも(χ+1)=101倍以上になり、磁石が発生する磁束を空気中への漏れを十分に低減して、効率的に回転体のヨークに供給できるためである。
アーム248の材料として好ましいものは、例えば鉄(χ=5000)、珪素鋼(χ=7000)、パーマロイ(χ=40000〜100000)、ミューメタル(χ=100000)等がある。本実施例では、価格が安く製作が容易な鉄を用いた。
また、磁束供給体240は、ヨーク215A、215Bのうち一方に磁束を供給する機能を有すればよい。図1には、磁束供給体240を磁石246と2つのアーム248A、248Bで構成する例を示したが、この他の構成も可能である。
図13に、磁束供給体240の別の実施例を示す。図13に図示した磁束供給体240は、U字型磁石を用いて、アームを無くした構成である。この場合、U磁石の先端が磁束供給部242として働く。
図14に、磁束供給体のさらに別の実施例を示した。図14に図示した磁束供給体240は、磁石246を横方向に設置した構成である。L字型に折れ曲がったアーム248Aを用いることで、このような構成が可能になる。磁束供給体240の設置場所のスペースに制約が有る場合などに、このような構成が有利になる。図14ではL字型に折れ曲がった例を示したが、曲率をもって曲げた形状のアーム248Aを用いても良いことは言うまでもない。
図15に、磁束供給体240のさらに別の実施例を示した。図15に図示した磁束供給体240は、電磁石を用いた構成である。すなわち、磁性体コア252と、その周りに巻いた巻線254、および電源256により構成され、電源256から巻線254に電流を流すことにより、磁性体コア252に磁束を発生させる。このようにして発生させた磁束を磁束供給部242から、ヨーク215Aに供給する。
≪回転体について≫
次に、回転体210の構成の詳細を述べる。
≪回転体について≫
次に、回転体210の構成の詳細を述べる。
回転体210のヨーク215A、215Bの材料は、回転体主部213を備える場合は、回転体主部213よりも磁化率が大きい材料を用いる。回転体主部を備えない場合は、空気よりも磁化率が大きい材料を用いる。これにより、磁束供給体から供給された磁束がヨークを通るようにするためである。さらに好ましくは、ヨーク215A、215Bには、磁性体(磁化率が10以上)を用いる。
本実施例では、価格が安く製作が容易な鉄を用いた。厚さは1mm厚とした。
本発明では、ヨーク215A、215Bの材料として、磁化率が100以上の材料を用いるとさらに好ましい。その理由は、磁化率χが100以上の材料は、比透磁率μr=(χ+1)が101以上になる。したがって、磁束の通り易さが空気よりも(χ+1)=101倍以上になり、磁束供給体から供給された磁束を効率的にヨーク内を通過させることが出来るからである。
ヨーク215A、215Bの材料として好ましいものは、例えば鉄(χ=5000)、珪素鋼(χ=7000)、パーマロイ(χ=40000〜100000)、ミューメタル(χ=100000)等がある。
ヨーク215A、215Bは、ヨーク突起216A、216Bを備える。
ヨーク突起の材料は、ヨークと同様に回転体主部よりも磁化率が大きい材料を用いる。
好ましくは、磁性体(磁化率が10以上)を用いる。
好ましくは、磁性体(磁化率が10以上)を用いる。
本実施例では、価格が安く製作が容易な鉄を用いた。厚さは1mm厚とした。
また、磁化率χが大きいほど好ましく、磁化率χが100以上の材料を用いるとさらに好ましい。これは、ヨークの材料について記載したのと同じ理由による。
ヨーク突起は、ヨークと同じ材料を用いると、製作が容易になるという利点がある。
次に、ヨーク突起216A、216Bの形状について述べる。
ヨーク突起は、第1のヨーク215Aから第2のヨーク215Bへと至る漏れ磁束に、磁束の面内方向成分を生じさせる働きをすればよい。したがって、2つのヨーク間の漏れ磁束に、磁界の面内方向成分を生じさせるようなヨーク突起形状であればよく、図1に示した形状に限定されるものではない。以下に、他のいくつかの例を示す。
図16は、三角形のヨーク突起216A、216Bを用いた実施例である。ヨーク突起216Aからヨーク突起216Bへ至る磁束が、磁界の面内成分を有するので本発明の効果が得られる。
ヨーク突起の形状を三角形にすると、図1に示したような矩形状のヨーク突起の場合と比べて、漏れ磁束の磁束量が大きくなる、したがって、磁気センサ位置での磁界強度が大きくなり、磁界方向を検出しやすくなるという効果がある。
図16において、磁束供給体240のZ軸方向高さが回転体210と概ね同じ高さであることも留意すべきである。すなわち、磁束供給体240が回転体210を挟み込む形になっていない。このような設置関係であっても、磁束供給体240の磁束供給部242とヨーク215Aとは近接しているので、磁束はアーム248Aから主にヨーク215Aに流れ込むため、隣接するヨーク突起216A、216Bとの間で漏れ磁束が流れ、磁気センサ70により、その磁界角度を計測できる。
このように、磁束供給体240が回転体210を挟み込む設置関係以外でも、本発明の効果が得られることは、図16の実施例に限定されるものではなく、他の実施例に対しても同様である。
図17は、ヨーク突起216がZ軸方向で互いに重なりを持たない形状の実施例である。本明細書において「ヨーク突起が互いに噛み合う形状に設置」との記載は、図17のようにヨーク突起が重なりを持たない場合も含むものとする。図17に図示したように、ヨーク215Aの非突起部とヨーク215Bの非突起部との間のギャップ距離をGabとし、ヨーク215Aの突起長さをLa、ヨーク215Bの突起長さをLbとする。図17は、Gab>(La+Lb)の関係があり、すなわち、ヨーク突起が互いに重なりあっていない。この場合であっても、ヨーク突起216Aから隣接するヨーク突起216Bへ至る磁束は面内方向成分を持つので、磁界の面内方向成分の角度を磁気センサで検知することで回転体の回転角を計測できる。なお、Gab≦(La+Lb)の関係が成り立つ場合には、ヨーク突起が重なりを持つ。
本実施例では、ヨーク突起の長さLa、Lbが短くなるので、ヨーク突起の製作が容易になるという効果がある。
図18は、一方のヨーク215Aのみにヨーク突起216Aを設けた実施例である。この場合、一方のヨーク215Aのヨーク突起216Aから他方のヨーク215Bへ至る漏れ磁束が、面内方向成分を持つので、その漏れ磁束の面内方向の磁界角度を磁気センサ70で検知することにより、回転体210の回転角を計測できる。この実施例では、磁気センサ70は、図18に示した領域Dに設置するのが好ましい。領域Dは、Z座標は、ヨーク突起216Aの先端から他方のヨーク215Bに至る範囲であり、X、Y座標は回転体210の外周部である。
本実施例では、一方のヨーク216Bにヨーク突起を設けないため、回転体の製作が容易になるという効果がある。
なお、図18では、ヨーク215Aにのみヨーク突起216Aを設けた構成を示したが、ヨーク215Bにのみヨーク突起216Bを設けた構成でも同様の効果が得られることはいうまでもない。
次に、本発明の第2の実施形態になる回転角計測装置を図19を用いて説明する。
図19の(b)は回転中心線226の方向から見た、回転角計測装置の上面図であり、(a)は、A−O−B間の断面図である。
本実施例の回転角計測装置では、磁束供給体240を磁気センサ70と対向する位置には設置していない。すなわち、図19の(b)の上面図において、3点A−O−Bが作る挟み角α、すなわち、磁気センサ70、回転中心線226、磁束供給体240とで作る挟み角αが180°ではない。図19では挟み角αを60°にした。
本発明における磁束供給体240の役割は、回転体210のヨーク215に磁束を供給することである。したがって、磁束供給体240の設置位置には特に制限はなく、3点A−O−Bが作る挟み角αは180°や60°に限定されるものではない。本発明は磁束供給体の位置に比較的自由度があるので、回転角計測装置が設置される周囲の環境に応じて、レイアウトを選択できるという利点がある。
次に、本発明の第3の実施形態になる回転角計測装置を図20を用いて説明する。図20(b)は回転中心線226の方向から見た、回転角計測装置の上面図であり、(a)は側面図である。
本実施例では、回転中心線226から見て、磁気センサ70と磁束供給体とを概ね同一方向に設置したことに特徴がある。すなわち、図19で図示した3点A−O−Bが作る挟み角αを概ね0°にした構成である。ここで、「概ね同一方向」の定義は次に述べる。
本実施例の効果は、第1に(1)磁気センサ70と磁束供給体240とを一体物として構成可能であるため、設置などの取扱いが容易な回転角計測装置80を提供できることである。第2の効果は(2)磁束供給体240が占めるスペースと磁気センサ70とが占めるスペースとを一部共用するため省スペースな回転角計測装置を提供可能なことである。これら2つの効果は、同時に達成される必要は必ずしもなく、使用目的に応じて、第1の効果のみ、あるいは第2の効果のみが得られるような回転角計測装置を構成してもよい。例えば、一体物として構成する必要が無い場合には、第2の効果が得られるような設置で、磁気センサ70と磁束供給体240とをそれぞれ設置してもよい。
磁気センサ70と磁束供給体240とを、回転中心線226から見て「概ね同一方向」に設置するとは、上記の効果が得られる角度範囲に設置することを意味する。すなわち、(1)磁気センサ70と磁束供給体240とを一体物として構成可能な場所に設置する、あるいは、(2)磁束供給体240が占めるスペースの中に磁気センサ70の一部が入るように設置する、ことを意味する。
本実施例において磁気センサ70の位置を決めるにあたって、磁気センサ70をヨーク突起に近づける方向に動かすと、磁束供給体240を構成する磁石246から遠ざかることになることが、図20からわかる。すなわち、回転体210の回転角の情報を持つ、隣接するヨーク突起216間の漏れ磁束の磁界角を精度良く検知するために磁気センサ70を回転体210に接近させることが、妨害成分である大局的磁界を発する磁石246に近づくことにはならない。このため、妨害成分を増やすことなく、回転角情報を検出できるため、磁気センサ70の設置マージンを向上させるという本発明の効果が得られる。また、磁気センサ70の設置マージンが向上するため、実際の使用にあたって、多少の設置誤差を伴って磁気センサを設置しても高精度な回転角計測が可能になる。
図21は、本実施例における磁気センサ70と磁束供給体240との構成例を示す斜視図である。磁束供給体240は磁石246とアーム248A、248Bとで構成されている。磁気センサ70は基板74に実装されて設置されている。磁束供給体240の内部空間、すなわち、磁石246とアーム248A、248Bとで構成される空間の中に、磁気センサ70の一部または全部が入っている。これにより、省スペースな回転角計測装置80を提供するという効果が得られる。
ここで、磁束供給体240の内部空間とは、磁束供給体240の頂点を結んだ仮想的な面により囲まれる空間と定義する。したがって、図21のように磁束供給体240がコの字形の場合には、図22のように頂点を結んだ仮想的な辺(点線で図示)を想定すると、開放部にも仮想的な面270A、270B、270Cを想定できる。これらの仮想的な面270A、270B、270Cと、アーム248A、248B、磁石246などの実体のある面とで囲まれる空間が内部空間である。なお、図22のように、アーム248Aに開口部241が有る場合には、その開口部241をふさぐ仮想的な面を用いて、内部空間を定義する。
さらに好ましい構成は、図21の磁束供給体と磁気センサ70とを一体物とするものである。例えば、図21の設置関係を保った状態で、磁気センサ70と磁束供給体240とを樹脂で相互に固定し、一体物とする。これにより、設置が容易な、一層使いやすい回転角計測装置を提供するという効果が得られる。
図23は、本発明による回転角計測装置の別の実施例における、磁束供給体240と磁気センサ70の構成を示す図である。図23の(a)は斜視図であり、図23の(b)は高さ方向の中間面で切断したときの断面図である。
本実施例は、磁束供給体240が、その内部空間に非磁性の支持体258を備えた構成であることを特徴とする。支持体258の材料としては、非磁性の金属や、非磁性の樹脂材料などを用いる。回転体210の構成、および回転体210と磁束供給体240との設置関係は図20と同じである。
本実施例のように、磁束供給体240が回転体210を挟み込む設置の場合には、磁束供給体240と回転体210のヨーク215A、215Bとの間には互いに引き合う磁気的な力(磁気的な引力)が働く。本実施例の構成では、磁束供給体240の内部空間に支持体258を設けることにより、磁気的な引力よる磁束供給体240の変形を防ぐことができる。
支持体258は磁束供給体240の内部空間全体に設置する必要はない。磁束供給体240の機械的強度を高められるように、適切な部分に設置すればよい。回転体210に近い方向に支持体を挿入すると、特に好ましい。
支持体258には、非磁性の材料を用いる。本実施例では支持体258にアルミニウムを用いた。
図23には、磁束供給体240の内部空間に磁気センサ70を設置した構成を示した。しかし、磁束供給体240に支持体258を備える構成は、磁気センサ70と磁束供給体240とを異なる位置に設置する場合でも効果がある。例えば、図19に示した回転角計測装置80において、磁束供給体240の内部空間に支持体258を設置すると、上記の効果が得られる。この場合の磁束供給体240の構成例を図43に示した。磁束供給体240内部空間に支持体258が設置されている。支持体258には非磁性体を用いており、本実施例ではアルミニウムを用いた。
次に、本発明の第4の実施形態になる回転角計測装置を図24を用いて説明する。
本実施例では、磁束供給体240に磁束供給体突起249A、249Bを設けている。これにより、アーム248Aとヨーク215Aとの間隙(ギャップ)を小さく保ちながら、アーム間のZ方向距離Dzabを大きくする磁束供給体の構成が可能になる。
アーム248Aとヨーク215Aとの間隙(ギャップ)が小さいので、磁束供給体240とヨーク215Aとの間の磁気リラクタンスが小さく、効率的に磁束をヨーク215Aに供給できる。一方、アーム間のZ方向距離Dzabを大きくすることで、アーム248Aからアーム248Bへ直接至る磁束の量を低減でき、磁気センサ70の位置でのZ方向磁界強度を低減できる。これにより、回転情報をもつ磁界の回転面内成分を検出しやすくなるので、いっそう精度良く回転角を計測できるようになるという効果がある。
なお、図24では、2つのアーム248A、248Bのそれぞれに磁束供給体突起249A、249Bを設けた例を示したが、いずれか一方のアームのみに磁束供給体突起249を設けても同様な効果が得られることはいうまでもない。また、アーム248A、248Bを含めて全体を磁石246で構成し、ヨーク215A、215Bと対向する磁束供給体突起249A、249Bを磁石246に設けても同様な効果が得られる。
図24に示した回転角計測装置80の構成を上述した表1における改良された構成Cと呼ぶ。
構成Cにおける、磁気センサ70位置での磁界強度を図28に示した。回転面に平行な面内成分|Bip|を■で示し、回転中心線226(Z軸)に平行なZ成分|Bz|を□で示した。|Bip|/|Bz|で定義される信号比は1.1であり、構成Aの信号比である0.056に対して大幅に改善していることがわかる。構成Cでの磁気センサ70の磁界歪み誤差δを図29に●で示した。磁気センサ70の設置位置が0.5mmずれても磁界歪み誤差δは±30°に収まっており、高精度に補正できる範囲である。
次に、本発明の第5の実施形態になる回転角計測装置を図25を用いて説明する。
本実施例では、磁気センサ70をバイパス磁路260で覆う。バイパス磁路260の材料は磁性体である。
図26は、図25の回転角計測装置のうち、磁気センサ70、バイパス磁路260、磁束供給体240を抜き出して示した斜視図である。図27は、磁気センサ70とバイパス磁路240とを抜き出して示した斜視図である。
バイパス磁路260は、磁気センサ70の上側(正のZ軸方向)に設置されるバイパス磁路上面262、下側(負のZ軸方向)に設置されるバイパス磁路下面264、およびバイパス磁路上面262とバイパス磁路下面264とを磁気的に結合する、バイパス磁路結合部266とで構成される。
バイパス磁路上面262とバイパス磁路下面264とを磁気的に結合するとは、バイパス磁路上面262からバイパス磁路下面264へと、或いは逆にバイパス磁路下面264からバイパス磁路上面262へと磁束を流せる状態にすることと定義する。具体的には、バイパス磁路上面262とバイパス磁路下面264を磁性体、例えば磁路結合部266により接続すればよい。本実施例では、図27に図示したように、コの字形の磁性体板により磁気センサ70を覆った。バイパス磁路260を構成する磁性体としては、本実施例では0.5mm厚の鉄を用いた。
このようにすると、磁束のZ方向成分は、バイパス磁路上面262に入り、バイパス磁路結合部266を通ってバイパス磁路下面264に抜ける。このようにして、バイパス磁路260が無い場合には磁気センサ70を通過したであろう磁束のZ成分が、バイパス磁路260を通り、磁気センサ70の地点での磁束のZ方向が低減する。
このようにバイパス磁路260を設置することで、回転角情報を持たない磁界のZ方向成分をさらに低減できるので、磁気センサ70の設置マージンがさらに拡大し、さらに精度良く回転角を計測できるという効果がある。
バイパス磁路260を設置することによる効果を定量的に述べる。
図25に示した回転角計測装置80の構成を上述した表1における改良された構成Dと呼ぶ。表1に示したように、構成Cと構成Dとの主な差異は、バイパス磁路260の有無である。すなわち、構成Cはバイパス磁路260を備えていないのに対し、構成Dはバイパス磁路260を備える。そこで、構成Cと構成Dの特性を定量的に比較する。
図28は、磁気センサ70の位置での磁界強度(磁束密度)と磁気センサ70の設置位置のずれ量(センサ位置ズレ)との関係を示す図である。これは、有限要素法による磁界解析で求めた結果である。磁界の回転面内成分|Bip|の大きさは、構成C(■)と構成D(▲)とでほぼ同じである。一方、磁界のZ方向成分|Bz|の大きさは、バイパス磁路が無い場合(構成C)(□)には20mT程度であるのに対し、バイパス磁路が有る場合(構成D)(△)にはほぼ0mTとなる。
図29は、磁界歪み誤差δと磁気センサ70の設置位置のずれ量との関係を示す図である。バイパス磁路260が無い場合(構成C)を●で示し、バイパス磁路が有る場合(構成D)を▲で示した。磁気センサ70の設置位置のずれがない場合は、両者ともδ=22°程度であり、ほぼ同じである。しかし、磁気センサ70の設置位置のずれが0.5mmになると、構成C(●)では、磁界歪み誤差は微増するが、構成Dすなわちバイパス磁路が有ると(▲)、磁界歪み誤差δは一定であることがわかる。このように、バイパス磁路260を用いることで、センサ設置マージンが更に向上することがわかる。
次に、本発明の第6の実施形態になる回転角計測装置80を、図30を用いて説明する。
図30の(b)は回転中心線226の方向から見た、回転角計測装置80の上面図であり、(a)は、A−O−B間の断面図である。
本実施例の回転角計測装置では、磁束供給体240を磁気センサ70と同一方向には設置していない。すなわち、図30(b)の上面図において、3点A−O−Bが作る挟み角α、すなわち、磁気センサ70、回転中心線226、磁束供給体とで作る挟み角αが0°ではない。図30では挟み角αを60°にした。
このように、磁気センサ70が、磁束供給体240の内部空間に無い場合であっても、バイパス磁路260を磁気センサ70を囲むように設置すると、先の実施例と同様に磁気センサ70位置での磁界のZ軸方向成分が低減するため、磁気センサ70の設置マージンがさらに向上するという効果が得られる。
なお、磁束供給体240の設置位置には特に制限はなく、3点A−O−Bが作る挟み角αは0°や60°に限定されるものではない。本発明は磁束供給体の位置に比較的自由度があるので、回転角計測装置が設置される周囲の環境に応じて、レイアウトを選択できるという利点がある。
次に、本発明の第7の実施形態になる回転角計測装置80を図31、図32、及び図33を用いて説明する。
図31の(a)は、本実施例の回転角計測装置80の側面図であり、(b)は上面図である。図32は、本実施例で用いる回転体210の斜視図である。図33(a)は、回転体210を上側(正のZ軸側)から見た図であり、同図(b)は下側(負のZ軸側)から見た図である。
本実施例は、4セクタ、すなわち、回転体210が1回転すると、磁気センサ70で検出される磁界角θmが4周期変化する構成を例に述べる。したがって、ヨーク突起216Aが4個、ヨーク突起216Bが4個ある。ヨーク突起の個数を変えることで、セクタ数を他の所望の個数に変更可能なことは言うまでもない。
本実施例の特徴は、ヨークが分割されていることにある。すなわち、図32の回転体210の図に示したように、ヨーク215Aは、4つの部分215A−1〜215A−4に分割されている。第1の実施例では、1個のヨーク215Aにヨーク突起216Aが複数個形成されていた。
本実施例では、ヨークが分割されていることにより、磁気センサ70の地点で必要な磁界強度を得るために必要な磁束供給量が低減できるという効果がある。その理由を説明する。ヨーク全体を単一のヨーク215Aおよび単一のヨーク215Bとで構成した場合には、磁束供給体240から供給された磁束は、全てのヨーク突起216Aから均一に漏れ磁束として回転体外周に漏れ出る。
これに対し、本実施例では、ヨークが必要個数に分割されているので、磁束供給体240の磁束供給部242の近傍にヨーク215A−1がある回転位置では、磁束はヨーク215A−1のみに供給されるので、ヨーク215A−1につながったヨーク突起216Aに磁束が集中する。したがって、供給される磁束量が同一であれば、ヨーク突起216Aからの漏れ磁束の量は増加する。その増加の割合は、概ねヨークの分割数に概ね比例する。すなわち、ヨーク215Aが4個に分割された場合は、ヨーク突起からの漏れ磁束の量は概ね4倍になる。逆に言うと、磁気センサ設置点で一定の磁界強度の漏れ磁束量を得るために必要な磁束供給量は4分の1に低減する。
このように、ヨークを分割することにより、磁束供給体240から供給すべき磁束量を低減できるという効果がある。これは、主に2つの点で利点がある。第1に、磁束供給体240の磁束発生に永久磁石を用いた構成では、永久磁石の必要磁束発生量が少なくて済むので、磁石の大きさを小さく出来たり、低コストな磁石材料が使用可能になるなどの利点がある。すなわち、省スペース、低コストな回転角計測装置が提供できる。第2の利点は、回転体210と磁束供給体240との間に作用する磁気的な力が低減することである。これにより、回転体210の軸ブレなどの力学的特性への副作用を低減できるという利点がある。
本実施例は、セクタ数が4セクタ以上の、セクタ数が多い回転角計測装置に対して特に有効である。例えば、セクタ数が10個の回転角計測装置において、ヨークを10個に分割すると、必要な磁束供給量はおよそ10分の1に低減できる。したがって、磁束供給体に用いる磁石または電磁石の大きさを大幅に低減できるので、コストが下がり、設置スペースも低減する。
好ましくは、ヨーク215Aの分割数と、ヨーク突起216Aの突起数とを一致させる。こうすると、磁束供給体240から供給される磁束が1枚のヨーク突起216Aに集中するので、磁気センサ70の位置での磁界強度が最大になるので好ましい。逆に言えば、磁気センサ70設置場所において、ある磁界強度を得るために必要な磁束量が最小になるので、好ましい。
回転体210上面または下面に設置されたヨーク215Aが分割された構成を言い換えると次のようになる。ヨーク215Aは、複数のヨーク部分215A−1〜215A−4から構成される。それぞれのヨーク部分は複数のヨーク突起を備えてもよい。さらに好ましくは、それぞれのヨーク部分が1個のヨーク突起216Aを備える。ヨーク215Bが分割された構成についても同様である。
尚、図31〜図33では、2つのヨーク215A、215Bのそれぞれを分割する構成を図示したが、1方のヨークのみを分割し、他方のヨークは単一のヨークという構成でも、同様な効果が得られるようになる。例えば、ヨーク215Aを4個のヨーク部分に分割し、ヨーク215Bは単一のヨークにする。この場合も、例えばヨーク部分215A−1に供給された磁束は、それに接続されたヨーク突起216Aに集中するので、単一のヨーク215Aを用いる場合よりも漏れ磁束の量が増加する。
尚、図31〜図33では、ヨーク突起216Aの個数とヨーク215Aの分割数を同一にした構成を図示したが、両者は同一にしなくてもよい。例えば、ヨーク突起216Aが4個の場合に、ヨーク215Aを2つに分割し、各ヨーク部分にヨーク突起を2個ずつ接続してもよい。この構成でも、ヨークの分割数に概ね比例して、磁気センサ70位置での磁界強度が増加する。したがって、このような構成も本実施例の範囲に入ることは言うまでもない。
図31では、磁束供給体240と磁気センサ70とを同一の方向に設置した構成を図示したが、本実施例はこれに限定されるものではない。磁束供給体240から磁束が供給されたヨーク部分に対応する位置に磁気センサ70が設置されていればよい。例えば、図19(b)に示した、磁気センサ70と磁束供給体240の設置(挟み角α=60°)において、ヨーク215Aを2個に分割した構成を適用することが出来る。
図32に示した回転体210の製作方法の一例を述べる。
磁性体の板材を図34の(a)の形状に加工する。本実施例では、磁性体として板厚0.5mmの鋼板を用いた。4個のヨーク部分215A−1〜215A−4が、ヨーク結合部218で互いに結合された形状になっている。これを回転体主部213に取付け、ヨーク突起216Aを回転体主部213の側面に沿うように折り曲げる。この状態で、接着剤などでヨーク215Aを回転体主部213に固定する。しかるのち、プレス切断加工などの切断加工により、ヨーク結合部218を切断し、おのおののヨーク部分を分割する。これが、図34の(b)の状態である。図34(b)は回転体210の上面図である。図中、ヨーク突起216Aが見えないのは、回転体210の側面にあるため、上面からは見えないためである。なお、同図(b)では、回転軸121および回転中心線226の図示は省略した。プレス切断加工などの切断加工においてバリ219が残っても、ヨーク部分215A−1〜215A−4が互いに磁気的に分離していれば問題ない。
このように、本製作方法を用いると、ヨーク結合部218で連結された一体ものの部材を用いて、回転体主部213への位置合わせと接着を行い、その後にヨーク結合部を切断して、ヨークを互いに磁気的に分離する。したがって、分割されたヨークを精度よく、容易に製作できる点で好ましい。
説明の都合上で図面の順番が前後するが、本発明の第8の実施形態になる回転角計測装置80を、図45を用いて説明する。本実施例は、ヨークとして単一の部材を用いながら、磁束供給体が供給すべき磁束量を低減できる効果を持つ構成である。
図45は本実施例の構成を示す斜視図である。本実施例では、第1のヨーク215Aと第2のヨーク215Bとに高磁気抵抗部231を設けているのが特徴である。
ヨーク215A、215Bは、ヨーク面部217A、217Bとヨーク突起部216A、216Bとを備える。ヨーク面部217A、217Bとは、磁束供給体240から磁束の供給を受けたり、磁束供給体240に磁束を排出したりする機能を持つ。ヨーク面部217A、217Bは、好ましくは、回転中心線226を法線とする回転面に平行な面を持つ。ヨーク突起部216A、216Bはヨーク面部217A、217Bと磁気的に結合しており、回転体210の側面に設けられている。ヨーク突起部216A、216Bは、磁束供給体240から供給された磁束を変調させ、磁界に回転面内成分を持たせる役割をする。
すなわち、磁束の経路を述べると、磁束発生体240からの磁束は、ヨーク215Aのヨーク面部217Aに流れ、次にヨーク面部217Aに磁気的に結合されたヨーク突起部216Aに流れ、更にヨーク215Bのヨーク突起部216Bに流れ、更にヨーク215Bのヨーク面部217Bに流れる。そして、磁束はヨーク面部217Bから出て、磁束供給体240に排出される。このように磁束が一巡するように、磁気回路が構成されている。
ヨーク突起部216Aから出て、ヨーク突起部216Bに入る磁束の角度を、磁気センサ70で検出する。磁気センサ70には、先の実施例で説明したような磁界の角度に対応した信号を出力する磁気センサ、すなわち磁界角センサを用いる。
本実施例の特徴は、ヨーク面部217A、217Bの一方、或いは両方に高磁気抵抗部231を設けたことである。本実施例ではヨーク面部217A、217Bの両方に高磁気抵抗部231を設けているので、以下これに基づき説明する。尚、ヨーク面部217A、217Bの一方にだけ高磁気抵抗部231を設ける実施例は図50に示しており、これについては後述する。
ここで、高磁気抵抗部231とは、磁気抵抗(リラクタンス)Rmが、他の領域より高い部分と定義する。すなわち、高磁気抵抗部231により区切られた2つの領域の間では、磁束が流れにくくなる。
よく知られているように、磁性体の磁気抵抗(リラクタンス)Rmは次の式(1)で表される。
Rm=l/μA……(1)
ここで、l[m]は磁性体の長さ、μは磁性体の透磁率、Aは磁性体の断面積[m2]である。
Rm=l/μA……(1)
ここで、l[m]は磁性体の長さ、μは磁性体の透磁率、Aは磁性体の断面積[m2]である。
(式)1からわかるように、磁性体が長いほど磁気抵抗は高く、断面積が小さいほど磁気抵抗を高くできる。また、透磁率が小さい材料を用いても磁気抵抗を高くできる。
高磁気抵抗部231の具体的な例として、図45に示した実施例では、ヨーク面部217に切り込み235を設けている。切り込み235を入れるとヨーク面部の断面積がこの分だけ小さくなるので、この部分の磁気抵抗が高くなり、高磁気抵抗部231を構成することができる。
高磁気抵抗部231の具体例として、図45では、ヨーク面部217A、217Bに切り込みを入れる構成を示したが、これには限定されない。例えば、高磁気抵抗部231にすべき部分のヨーク面部217A、217Bの板厚を薄くしてもよい。この場合も、断面積が小さくなるので、式(1)に従い磁気抵抗が増大する。また、高磁気抵抗部231にすべき部分に、透磁率μが小さい材料を用いても良い。
ヨーク面部217A、217Bのうち、隣接する高磁気抵抗部231に挟まれた領域を、「低磁気抵抗領域」233と定義する。低磁気抵抗領域233を図46を用いて説明する。図46は、図45の構成での回転体210を構成するヨーク面部217Aの上面図である。ヨーク面部217Aの中で、互いに隣接する高磁気抵抗部231A−1と231A−2とに挟まれた領域が低磁気抵抗領域233A−1である。図では、低磁気抵抗領域233A−1を一点鎖線で示している。この構成では、図46に示すようにヨーク面部217Aは8個の高磁気抵抗部231A−1〜231A−8を持つので、低磁気抵抗領域233Aも8個持つことになる。すなわち、8個の高磁気抵抗部231Aで挟まれた領域が、それぞれ低磁気抵抗領域233A−1〜233A−8になる。なお、図46では、図が見にくくなるのを避けるため、低磁気抵抗領域233A−2〜233A−8の図示は省略した。
また、図46には、ヨーク215Aが備えるヨーク突起216Aの位置を点線で示した。本実施例の構成では、ヨーク突起216Aの個数と高磁気抵抗部231Aの個数を等しくなるようにした。このようにすると、後述する磁束の集中の度合いが強まるため、特に好ましい。
図46に示したように、図45の構成ではヨーク面部217Aは8個の高磁気抵抗部231A−1〜231A−8を備える。図45では、高磁気抵抗部231はそのうち代表的な1カ所のみを破線で囲んで位置を示しているが、その他の箇所の図示は省略している。ヨーク面部217Aが8個の高磁気抵抗部231を備えることは図45の形状から明らかである。同様にして、切り込み235も8個のうち代表的な1箇所のみを235Aとして示している。以下、本明細書の他の図面でも同様である。
本実施例の構成により、磁束供給体240に要求される磁束量が低減する理由は以下の通りである。
図47を用いて本実施例の作用を説明する。図47は、回転体210と磁束供給体240とで構成される磁気回路を模式的に示した図である。
ヨーク面部217Aは、高磁気抵抗部231Aにより、低磁気抵抗領域233A−1と233A−2に分けられている。高磁気抵抗部231Aの磁気抵抗をRa1とする。図45の構成では、低磁気抵抗領域233Aと高磁気抵抗部231Aはそれぞれ8個ずつあるが、図47ではそのうち一部のみを記載し、その他の図示は省略している。低磁気抵抗領域233A−1には、ヨーク突起216A−1が接続されている。ヨーク面部217Bも同様な構成をしている。
ヨーク突起216A−1とヨーク突起216B−1との間の磁気抵抗をRpabとする。この磁気抵抗Rpabを経由して流れる磁束が、回転体側面の磁界を変調し、磁界の面内成分を生成する。磁束供給体240は、アーム248A、248B、および磁石246とで構成されている。磁束供給体240とヨーク面部217Aとの間の空隙(air-gap)の磁気抵抗をRag1、Rag2とする。なお、図47では説明を具体的にするためにアーム、磁石で構成された磁束供給体240を示したが、本発明において磁束供給体240の構成がこの構造に限定されないことは言うまでもない。
以下、説明を簡単にするために、低磁気抵抗領域233A内の磁気抵抗を「0」と仮定する。
まず、高磁気抵抗部231Aを持たない構成(例えば図1に示す構成)の場合を述べる。これは、図47でRa1=0、Rb1=0と置いたものに相当する。したがって、磁束供給体240から磁気抵抗Rag1を経由して供給された磁束は、全てのヨーク突起216A−1〜216A−8にほぼ等しく分配される。例えば、本実施例のように8個のヨーク突起を有していれば磁束は8等分されることになる。
次に、本実施例のように高磁気抵抗部231Aを設けた構成の場合を述べる。この場合、高磁気抵抗部231Aの磁気抵抗Ra1が十分に高ければ、磁束供給体240から低磁気抵抗部233A−1に供給された磁束は、隣接する低磁気抵抗部233A−2、233A−8にはほとんど流れないので、磁束供給体240から供給された磁束はヨーク突起216A−1とヨーク突起216B−1との間の磁気抵抗Rpabに集中する。このため図1に示す構成に比べて、このヨーク突起216A−1、216B−1の近傍の空間の磁界強度がおよそ8倍に増加する。ここで、8倍とは、高磁気抵抗部231Aの個数に対応する数である。したがって、磁気センサをヨーク突起216A−1、216B−1の近傍に配置することで、磁気センサ位置での磁界強度が強まる。
複数個ある低磁気抵抗領域233Aのうち、磁束供給体240に最も近接しているものを最近接低磁気抵抗領域と呼ぶことにする。図47では、低磁気抵抗領域233A−1が最近接低磁気抵抗領域である。
そして、磁束が通る経路を順に列挙すると次の通りである。磁石246から供給される磁束は、磁束供給体240の供給側のアーム248A⇒Rag1⇒ヨーク面部217Aの最近接低磁気抵抗領域233A−1⇒Rpab⇒ヨーク面部217Bの最近接低磁気抵抗領域233B−1⇒Rag2⇒磁束供給体240の排出側のアーム248Bへと流れるものである。このように、磁束が一巡するように磁気回路が構成されている。この磁束の経路の中で、ヨーク突起216A−1とヨーク突起216B−1との間であるRpabにおける磁束を磁気センサ70で検出する。
次に、高磁気抵抗部231Aの磁気抵抗Ra1が、磁束の流れを遮断するほどには高くない場合を考える。この場合であっても、最近接低磁気抵抗領域233A−1から、隣接する低磁気抵抗領域233A−2、233A−8に流れる磁束の量は、高磁気抵抗部231Aが無い場合に比べて大きく低減するので、その分、ヨーク突起216A−1とヨーク突起216B−1との間に流れる磁束の量が増える。したがって、この場合も磁気センサ位置の磁界強度が高くなるという効果が得られる。すなわち、高磁気抵抗部231Aは、その他の領域(すなわち、低磁気抵抗領域233A)と比べて相対的に磁気抵抗が高ければ、本発明の効果が得られるものである。
尚、回転体の回転位置によっては、磁束供給体から複数の低磁束抵抗領域に磁束が供給される場合もある。例えば、磁束供給体のアーム248Aの直下に高磁気抵抗部231Aが位置する場合である。この場合は、最近接低磁束抵抗領域が2つあると考えればよい。この場合であっても、それぞれの最近接低磁束抵抗領域に隣接する低磁束抵抗領域には磁束が流れにくいので、それぞれの最近接低磁束抵抗領域に磁気的に接続されたヨーク突起部の近傍の面内磁界強度が増加する。
図45の構成に対して、有限要素法を用いて磁界計算を行った結果を図48に示している。本図は、回転体の周辺での磁束密度の面内成分の絶対値|Bip|を示したものである。横軸は、回転中心線から見た角度位置であり、磁束供給体の中心位置を原点にしている。本計算のモデルは、回転体の直径が32mmであり、回転体側面から3mm離れた地点での磁束密度面内成分|Bip|を計算している。
図48からわかるように、磁束密度の面内成分|Bip|は、磁束供給***置(θ=0)では、90度以上離れた位置に比べて約6倍に増加している。すなわち、本実施例の構成により、磁気センサ位置での面内磁束密度|Bip|が約6倍に増加していることがわかる。
言い換えると、磁気センサの位置での必要な磁束密度を得るために必要な、供給すべき磁束量が6分の1に低減できる。このように、本実施の構成により、磁束供給体240が供給すべき磁束量を低減することができる。
本実施例では、隣接する低磁気抵抗領域233が互いに物理的につながっていることが一つの特徴である。物理的につながることにより、ヨークを構成する部品の個数を低減できるので、組立やすくなるという効果がある。
さらに、第1のヨーク215Aの全ての低磁気抵抗領域233を互いに物理的に連結して、ヨーク面部217Aを一つの部材で構成すると、さらに好ましい効果が得られる。
図45の構成では、ヨーク215Aのヨーク面部217Aはひとつの部材(単一の部材)で構成されている。単一の部材でありながらも高磁気抵抗部231Aを備えるので、磁束供給体の磁束量を低減出来る。ヨーク面部217Aを単一の部材にすることにより以下の効果が得られる。(1)第1に、複数部材を配置して組み立てる際には、組立誤差により回転角計測精度が劣化するという問題が生じる場合があるが、単一部材にすることで、この問題は発生せず、高精度な回転角計測装置が得られる。(2)第2に、単一部材であれば、組立時の部品数が減るので、組立が容易になるという効果がある。
さらに、ヨーク突起216Aも合わせて、ヨーク215A全体をひとつの部材で構成すると、上記の効果がさらに高まり、さらに好ましい。図45の構成は、第1のヨーク215Aをひとつの部材で構成した例である。
一方、磁気センサ領域に一定の磁界を供するために必要な、磁束供給量を低減できることにより、次のような効果が得られる。(1)第1に、磁束供給体240の磁束発生に永久磁石を用いた構成では、永久磁石の必要磁束発生量が少なくて済むので、磁石の大きさを小さくでき磁束供給体240を小型化できたり、低コストな磁石材料が使用可能になるなどの利点がある。すなわち、省スペース、低コストな回転角計測装置が提供できる。第2の利点は、回転体210と磁束供給体240との間に作用する磁気的な力が低減することである。これにより、回転体210の軸の振れなどの力学的特性への副作用を低減できるという利点がある。
本実施例は、セクタ数が4セクタ以上の、セクタ数が多い回転角計測装置に対して特に有効である。例えば、セクタ数が10個の回転角計測装置において、ヨークに10個の高磁気抵抗部を設けて、10個の低磁気抵抗領域に分割すると、必要な磁束供給量はおよそ10分の1に低減できる。したがって、磁束供給体に用いる磁石または電磁石の大きさを大幅に低減できるので、コストが下がり、設置スペースも低減する。
好ましくは、ヨーク215Aに設ける高磁気抵抗部の個数と、ヨーク突起216Aの突起数とを一致させる。こうすると、磁束供給体240から供給される磁束が1枚のヨーク突起216Aに集中するので、磁気センサ70の位置での磁界強度が最大になるので好ましい。逆に言えば、磁気センサ70設置場所において、ある磁界強度を得るために必要な磁束量が最小になるので、好ましい。
本発明の第9の実施形態になる回転角計測装置80を、図49を用いて説明する。本実施例は、磁気センサ70をバイパス磁路260で覆うことにより、磁気センサ70の位置のずれによる回転角計測精度の低下を抑える効果を持つ構成である。
図49は本実施例の構成を示す斜視図である。本実施例では、磁気センサ70をバイパス磁路260で覆うことが特徴である。バイパス磁路260は磁性体で構成する。好ましくは、磁化率が10以上の磁性体でバイパス磁路を構成する。本実施例では鉄を用いた。
バイパス磁路260の構成は、図26、図27に図示したものである。
バイパス磁路260の構成は、図26、図27に図示したものである。
バイパス磁路260は、磁気センサ70の上側(正のZ軸方向)に設置されるバイパス磁路上面262、下側(負のZ軸方向)に設置されるバイパス磁路下面264、およびバイパス磁路上面262とバイパス磁路下面264とを磁気的に結合する、バイパス磁路結合部266とで構成される。
バイパス磁路上面262とバイパス磁路下面264とを磁気的に結合するとは、バイパス磁路上面262からバイパス磁路下面264へと、或いは逆にバイパス磁路下面264からバイパス磁路上面262へと磁束を流せる状態にすることと定義する。具体的には、バイパス磁路上面262とバイパス磁路下面264を磁性体、例えば磁路結合部266により接続すればよい。本実施例では、図27に図示したように、コの字形の磁性体板により磁気センサ70を覆った。バイパス磁路260を構成する磁性体としては、本実施例では厚さが0.5mmの鉄を用いた。
このようにすると、磁束のZ方向成分は、バイパス磁路上面262に入り、バイパス磁路結合部266を通ってバイパス磁路下面264に抜ける。このようにして、バイパス磁路260が無い場合には磁気センサ70を通過したであろう磁束のZ成分が、バイパス磁路260を通り、磁気センサ70の地点での磁束のZ方向成分が低減する。
このようにバイパス磁路260を設置することで、回転角情報を持たない磁界のZ方向成分をさらに低減できるので、磁気センサ70の設置マージンがさらに拡大し、さらに精度良く回転角を計測できるという効果がある。
このように本実施例の構成により、磁気センサの設置位置マージンがさらに増加するという効果が得られる。
本発明の第10の実施形態になる回転角計測装置80を、図50及びこれの変形例である図51を用いて説明する。これらの実施例は、ヨークに設ける高磁気抵抗部231の構成が別の形態を持つ構成である。
高磁気抵抗部231の別の構成例を図50及び図51に示した。図50は、切り込み部235をヨーク面部217Aの内側から切り込む構成である。この構成でも同様な効果が得られる。図51は、ヨーク面部217Aの内周側と外周側とを接続し、その中間にのみ切り込み部235を設けたものである。このような構成でも、断面積が減るため、高磁気抵抗部231が実現できる。図51の構成では、高磁気抵抗部231がヨーク面部17Aの内周側と外周側の両側とが接続された細長い切りこみ235で構成されているので、ヨークの機械的強度が高いという効果がある。
なお、図50、図51では、ヨーク215Bのヨーク面部217Bも、高磁気抵抗部231Bを8個備えている。
図51の切り込み235に接着剤を挿入するとさらに好ましい。このようにすると、接着剤は回転体主部213に接するので、ヨーク215Aと回転体主部213とがより強固に結合されるので、さらに好ましい。接着剤の例としては、接着性の樹脂などがある。
本発明の第11の実施形態になる回転角計測装置80を、図52を用いて説明する。本実施例は、2つのヨークのうち、第1のヨーク215Aにのみ高磁気抵抗部を設けた構成である。
図52の構成では、ヨーク215Aを構成するヨーク面部217Aには高磁気抵抗部231を8個設けているが、もう第1のヨーク215Bには高磁気抵抗部を設けていない。
本実施例の構成でも、磁気センサ70の位置の磁界強度が高まる効果が得られることを図47を用いて説明する。本実施例の構成は、図47において、ヨーク面部217Bの高磁気抵抗部231Bの磁気抵抗Rb1を「0」としたもの(Rb1=0)に相当する。なお、ヨーク面部217Aの高磁気抵抗部231Aについては、磁気抵抗Ra1が高いままである。この場合、最近接低磁気抵抗領域233A−1から、隣接する低磁気抵抗領域233A−2、233A−3へ流れる磁束の量が低減するので、磁束はヨーク突起216A−1、216B−1の近傍に集中する。したがって、磁気センサ70の位置の磁界強度が強くなる。
図52では、ヨーク215Aにのみ高磁気抵抗部231を設けた構成例を示したが、逆にヨーク215Bにのみ高磁気抵抗部231を設けた構成でも良い。後者の構成での磁気回路は、図47においてRa1=0としたものに相当する。この場合でも、隣接する低磁気抵抗領域233B−2と233B−8に流れる磁束が低減するので、ヨーク突起216A−1と216B−1との間に磁束が集中する効果が得られる。
本明細書において、第1のヨーク215Aと第2のヨーク215Bとは、両者を区別して説明するために便宜的に命名したものであり、両者は同等な構成要素である。すなわち、本明細書において「第1のヨーク215A」と記載した場合、それは「2つのヨークのうちのいずれか一方のヨーク」を意味する。
本発明の第12の実施形態になる回転角計測装置80を、図53を用いて説明する。本実施例は、2つのヨーク215Aとヨーク215Bのそれぞれに設ける高磁気抵抗部231Aと231Bとを互いに対称な位置に設けたことを特徴とする。本構成により、磁気センサ70の位置ズレによる回転角計測精度の低下を一層抑える効果を持つ。
図53は本実施例の構成を示す斜視図である。ヨーク215Aのヨーク面部217Aに設けられた高磁気抵抗部231Aと、ヨーク215Bのヨーク面部217Bに設けられた高磁気抵抗部231Bとの位置を見ると、XY面に関して互いに対称な位置にあることがわかる。なお、XY面とは、Z=0の平面である。
本実施例では、切れ込み235Aにより高磁気抵抗部231Aを実現している。したがって、ヨーク215Aの切れ込み235Aと、ヨーク215Bの切れ込み235Bの位置が、XY面に関して互いに対称になっている。つまり、ヨーク215Aの切れ込み235Aとヨーク215Bの切れ込み235Bは、Z方向から見て重なるように向き合っている。
このような構成にすることで、磁気センサ70の設置場所の磁界分布がZ=0の面(すなわちXY面)に関して対称性が向上する。これにより、センサ位置のZ方向位置ズレによる計測誤差が低減する。
本実施例の作用を図54と図55を用いて説明する。
図54は、図49の構成における、ヨーク215と磁束供給体240のアーム248との位置関係を模式的に示した図である。まず図の見方を説明する。図54は、ヨーク215Aと215Bとを回転体側面から見た図である。そして、アーム248A、248Bについては、ヨーク215A、215Bとの重なり位置を示している。さらに、ヨーク面部217A、217Bとアーム248A、248Bとが、回転中心線226の方向に投影した投影面で重なり合う場所をハッチングで示している。図54の(a)、(b)、(c)は、回転体210が回転することで、それぞれ回転体の回転位置が異なる状態を図示している。尚、ヨーク215Aは、ヨーク面部217Aとヨーク突起216Aとで構成され、ヨーク215Bは、ヨーク面部217Bとヨーク突起216Bとで構成されている。
図54(a)を見てわかるように、磁束供給体240の磁束供給側と磁束排出側とで、アーム248Aとヨーク面部217A、及びアーム248Bとヨーク面部217Bの重なる面積が異なっている。具体的に述べると、図54(a)の回転位置では、磁束供給側については、アーム248Aとヨーク面部217Aとは全領域が重なっている。一方、磁束排出側については、アーム248Bの位置に高磁気抵抗部231Bがあるために、ヨーク面部217Bとの重なり面積が小さくなっている。尚、図54(a)、(b)、(c)では、アーム248A、248Bとヨーク面部217A21と217Bとが重なる領域はハッチングで図示してある。
このように、アーム248A、248Bとヨーク面部217A、217Bとの重なり面積が小さいと、両者の間の磁気抵抗(図47に示したRag1、Rag2)が増大する。したがって、図54(a)の回転位置では、磁束供給側と磁束排出側とで、磁気抵抗が異なっている。これにより、回転体側面近傍に生成する磁界の分布が、Z=0の面に関して非対称になる。この非対称により、センサ設置位置がZ=0からずれた場合の計測誤差が増大する。
なお、上記の説明では、アーム248Aを磁束供給側、アーム248Bを磁束排出側として説明したが、これは説明の便宜上のものであり、本発明における磁束供給体の磁束方向をこの方向に限定するものではない。
一方、図55(a)、(b)、(c)は、本実施例である図53の構成における、アーム248A、248Bとヨーク面部217A、217Bとの重なり状態を模式的に示した図である。図の見方は図54と同様である。
図55(a)、(b)、(c)を見ると、磁束供給体240のアーム248A、248Bとヨーク面部217A、217Bとの重なり面積は、磁束供給側と磁束排出側とで互いに等しくなっていることがわかる。図55(a)、(b)、(c)では、アーム248A、248Bとヨーク面部217A、217Bとが重なる領域はハッチングで図示してある。回転位置が変わると、重なり面積の大きさは変化するが、いずれの回転位置でも磁束供給側の重なり面積と磁束排出側の重なり面積とは互いに等しい。このため、回転体側面近傍に生成する磁界の分布は、Z=0の面に関して対称になる。このように磁界の対称性が改善するため、センサ設置位置がZ=0からずれた場合の計測誤差増大を抑制できる。すなわち、磁気センサの設置マージンが向上するという効果が得られる。
なお、上記の説明からわかるように、磁束供給体240のアーム248Aと第1のヨーク215Aのヨーク面部217Aとの間の磁気抵抗Rag1と、磁束供給体240のアーム248Bと第2のヨーク215Bのヨーク面部217Bとの間の磁気抵抗Rag2とを互いに等しくすること(Rag1=Rag2)が、本効果を得るための本質的な構成である。
上記2つの磁気抵抗Rag1と磁気抵抗Rag2とを互いに等しくする構成としては、磁束供給体240のアーム248Aと第1のヨーク215Aのヨーク面部217Aとの重なり面積と、磁束供給体240のアーム248Bと第2のヨーク215Bのヨーク面部217Bとの重なり面積とを等しくすればよい。ここで、「重なり面積」とは、回転中心線121の方向に沿って仮想的に設けた投影面において、磁束供給体240のアーム248A、248Bが投影された図形と、ヨーク215A、215Bのヨーク面部217A、217Bが投影された図形とが重なる面積として定義する。
したがって、ヨークの高磁気抵抗部の位置を変える代わりに、アーム248A、248Bの配置位置を磁束供給側と磁束排出側とで変えることで、磁束供給体240のアーム248A、248Bとヨーク215のヨーク面部217A、217Bとの重なり面積を互いに等しくする構成としてもよい。
次に、本発明の第13の実施形態になる回転角計測装置80について説明する。本実施例は回転体210の材料構成に特徴がある。回転角計測装置の構成は、図1、図19、図20、図25、図31などの構成である。
本実施例の回転体210では、ヨーク215A、215B、およびヨーク突起216A、216Bを磁性体粉末を含む材料で構成される。その製作方法の一例を示すと、磁性体粉末を含むペーストを回転体主部213の当該部分に塗布した後、焼成する。これにより、ヨーク215A、215B、およびヨーク突起216A、216Bが形成される。
本実施例を用いると、複雑な形状のヨークやヨーク突起を比較的容易に形成できるので、図32に図示したような、分割されたヨーク215を備えた回転体210に特に有効である。
また、ヨーク突起216を磁性体粉末を含む材料で構成し、ヨーク215を鋼板などの板材を用いてもよい。ヨーク215が加工がしやすい形状の場合、この構成が有利になる。ヨーク215とヨーク突起216とを互いに磁気的に結合させれば、このようにヨーク215とヨーク突起216とを異なる材料で構成してもよい。具体的には、例えば、ヨーク215とヨーク突起216とを重なりを持つように設置し、両者を磁気的に結合させればよい。
次に、本発明の第14の実施形態になる回転角計測装置を図35を用いて説明する。図35は本実施例の回転角計測装置80の断面図である。
本実施例は、ヨーク215またはヨーク突起216の外側に非磁性材料のヨーク押さえ221を設置することに特徴がある。図35に示したように、ヨーク215A、215B、およびヨーク突起216A、216Bの外側にヨーク押さえ221が設置されている。ヨーク押さえ221には、合成樹脂やアルミニウムなどの非磁性体を用いる。本実施例では、非磁性のステンレスを用いた。
より具体的には、回転体210側面外側には、円筒形状のヨーク押さえ側面221Aを設置し、ヨーク215Aの外側には、ヨーク押さえ上面221Bを設置し、ヨーク215Bの外側にはヨーク押さえ下面221Cを設置する。ヨーク押さえ上面221Bおよびヨーク押さえ下面221Cは、ねじなどのヨーク固定具222により固定する。
ヨーク押さえ221を設けることにより、ヨーク215A、215B、およびヨーク突起216A、216Bの脱落や剥離をいっそう確実に防止するという効果がある。
本実施例においては、ヨーク215と磁束供給体240との間に引力が働くため、ヨーク215およびヨーク突起を剥離しようとする力が働く。ヨーク押さえ221を設けることで、ヨーク215およびヨーク突起216の剥離や脱落をいっそう確実に防止できる。尚、ヨーク押さえの設置は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の他の実施例に対しても効果がある。
次に、本発明の第15の実施形態になる回転角計測装置80を図36を用いて説明する。
図36は本実施例の回転角計測装置の平面図を示したものである。図中のA−O−B間の断面図は、図19(a)と同じである。
本実施例では、磁束供給体240を2個備え、それらを回転中心線226から見て互いに対向する位置に設置している。磁束供給体240は、回転体210に磁気的な力を及ぼすが、このように対称形に設置することにより、その磁気的な力を打ち消しあい、磁気的な力の影響を低減することが出来る。
図36では磁束供給体240を2個用いる場合を示したが、3個以上であっても同様な考え方で同じ効果が得られる。例えば、磁束供給体を3個用いる場合には、回転中心線226から見て互いに120°の等間隔で磁束供給体240を設置すればよい。一般化して述べると、回転中心線226からそれぞれの磁束供給体240へ延びるベクトルを考え、それらのベクトル和が零になるようにそれぞれの磁束供給体240を設置すればよい。
次に、本発明の第16の実施形態になる回転角計測装置80を図37を用いて説明する。
本実施例では、複数個の磁気センサ70−1と70−2を備えることに特徴がある。
前述の通り、基本構成Aの回転角計測装置においては磁気センサ70の設置マージンが狭かったため、設置マージン内に複数個の磁気センサを設置することは困難であった。ところが、本発明者等によって提案された上述したような多く実施例によれば、磁気センサ70の設置マージンが大幅に大きくなったので、設置マージン内に複数個の磁気センサを設置することが可能になった。複数の磁気センサ70の設置例を図37を用いて具体的に述べると、0.7mm厚のプリント基板の両側に磁気センサ70−1、70−2を設置する。それぞれの磁気センサは、磁界の角度に対応した信号を出力する磁界角計測型磁気センサ(磁界角センサ)である。本発明では、Z方向の磁気センサ70の設置マージンは十分にあるので、この設置構造で2個の磁気センサ70は設置マージン内に収まる。したがって、高精度な回転角計測が可能である。
このように、複数個の磁気センサを設置することにより、冗長性を持たせることができる。このため、一方のセンサに異常が生じた場合に、異常発生を検知するなど、一層高度な信頼性を有する回転角計測装置が実現できるという効果がある。
次に本発明の更なる実施形態として、上述した回転角計測装置80を利用した回転機械について図面に基づいて説明する。尚、ここでいう回転機械とは、電動機や発電機はいうに及ばず、要は回転軸等の回転要素を含む機械を含む概念である。
本発明の第17の実施形態について図38を参照しながら説明する。図38は第12の実施形態になる回転機械の断面を示すもので、本実施例12は電動機であり電動機部100と回転角検出部200とで構成される。
電動機部100は、複数の固定磁極と複数の回転磁極との磁気的作用により複数の回転磁極が回転することにより回転トルクを発生するものであって、複数の固定磁極を構成するステータ110及び複数の回転磁極を構成するロータ120から構成されている。ステータ110はステータコア111と、ステータコア111に装着されたステータコイル112から構成されている。ロータ120はステータ110の内周側に空隙を介して対向設置され、回転可能に支持されている。本実施例12では電動機として三相交流式の永久磁石型同期電動機を用いている。
電動機本体を囲む筐体は円筒状のフレーム101と、フレーム101の軸方向両端部に設けられた第1ブラケット102および第2ブラケット103から構成されている。第1ブラケット101の中央部には軸受106が、第2ブラケット103の中央部には軸受107がそれぞれ設けられており、これらの軸受106、107は回転軸121を回転可能なように支持している。
フレーム101と第1ブラケット102との間にはシール部材(図示せず)が設けられており、このシール部材は環状に設けられたOリングでフレーム101と第1ブラケット102によって軸方向及び径方向から挟み込まれて圧縮されている。これにより、フレーム101と第1ブラケット102との間を液密的に封止できてフロント側を防水できる。また、フレーム101と第2ブラケット103との間も同様にシール部材(図示せず)により防水されている。
ステータ110はステータコア111と、ステータコア111に装着されたステータコイル112から構成され、フレーム101の内周面に設置されている。ステータコア111は複数の珪素鋼板を軸方向に積層して形成した磁性体(磁路形成体)であり、円環状のバックコアと、バックコアの内周部から径方向内側に突出して、周方向に等間隔に設置された複数のティースから構成されている。
複数のティースの夫々にはステータコイル112を構成する巻線導体が集中的に巻回されている。複数の巻線導体はステータコイル112の一方のコイルエンド部(第2ブラケット103側)の軸方向端部に並置された結線部材によって相毎に電気的に接続され、さらには3相巻線として電気的に接続されている。3相巻線の結線方式にはΔ(デルタ)結線方式とY(スター)結線方式がある。本実施例では、Δ(デルタ)結線方式を採用している。
ロータ120は、回転軸121の外周面上に固定されたロータコアと、マグネットとで構成される(ロータコアとマグネットは図示せず)。表面磁石型永久磁石モータでは、複数のマグネットをロータコアの表面に設置する。埋込磁石型永久磁石モータではマグネットをロータコアの内部に埋め込む。
次に、回転角検出部200の構成を説明する。回転角検出部200は磁気センサ70と回転体210、および磁束供給体240とで構成されている。
回転体210は、回転機械の回転軸121の回転に連動して、回転中心線226に沿って回転可能である。図38の構成では、回転機械の回転軸121に回転体210を取り付けている。但し、本実施例はこの構成に限定されるものではなく、回転機械の回転軸121と回転体210を設置する回転軸とを別の軸とし、両者の軸をギアなどで接続して連動して回転するようにしてもよい。同様にして、ギアなどによる回転方向変換により、回転機械の回転軸121の回転中心線と回転体210の回転中心線226とを別物にしてもよい。
回転体210の構成は図1に示したものと同様の構成である。すなわち、回転体210は、第1のヨーク215A、第2のヨーク215Bとを備える。さらに、第1のヨーク215Aと第2のヨーク215Bは、それぞれヨーク突起216A、216Bを備える。尚、図38においてヨーク突起216Bの記載がないのは、この断面図に現れないためである。
好ましくは、回転体210は回転体主部213を備える。回転体主部213は非磁性体で構成される。回転体主部213はヨーク215A、215Bを支持する働きをする。
磁束供給体240の構成は、図1と同様の構成である。すなわち、磁束供給体240は、磁石(磁束発生体)とアーム248A、248Bとで構成される。アーム248A、248Bの材料は、磁化率が10以上の磁性体材料を用いることにし、本実施例では板厚1mmの珪素鋼板を用いた。磁束供給体240は、固定具109を用いて第2ブラケット103に固定した。
なお、磁束供給体240の構成は、図1に示した構成に限定されず、例えば、図13や図14に示した構成や、図15に示した電磁石を用いた構成を用いてもよい。
磁気センサ70は、磁界角度に対応した信号を出力する磁界角計測型の磁気センサを用いる。磁気センサ70は、回転体210のヨーク突起216Aから隣接するヨーク突起216Bに至る漏れ磁束が生起する磁界の角度を検出し、その角度に対応する信号を出力する。これにより、漏れ磁束の磁界角が検知できるので、回転体210の回転角θrを計測できる。磁気センサ70は、磁界感受面が回転中心線226を法線とする平面(回転面)と平行になるように設置した。
本実施例では、磁気センサ70にGMRセンサを用いた。GMRセンサとは、巨大磁気抵抗素子を用いた磁気センサである。
回転中心線226をZ軸と定義し、Z軸の原点は2つのヨーク215A、215Bの間の中点に設定する。つまり、上述したZ=0mmm(基準点)を表しており、この基準点に合わせて磁気センサ70が設置されるように構成されている。これによって、設計上は最も計測精度が良い位置で磁気センサ70がヨーク突起216A、216Bによる変調磁界を検出するようになっている。ただ、繰り返して述べるが実際には設計通りに磁気センサ70をZ=0mmm(基準点)に設置することが難しく、設置位置がずれる場合もある。本実施例によれば、磁気センサ70の設置マージンが大幅に拡大するので、この位置ずれによる計測精度の低下を低減でき、高精度に回転角を計測することが可能である。
このようにして計測した回転角の信号は、制御装置(電子制御装置、Electronic Control Unit)に入力される。制御装置は回転角の情報を用いて電動機の駆動電圧波形を出力し、電動機を適切に制御することができる。
尚、回転体210のヨーク突起216Aの個数を2倍したもの(Np×2)と、電動機の極数(number of poles)とを一致させると、電動機の制御が容易になるので特に好ましい構成といえる。すなわち、電動機の極数が(p×2)極の場合、(p×2)=(Np×2)となるように、回転体210のヨーク突起216Aの個数Npを定めると良い。電動機の極数は、回転磁極の極数に等しい。
本実施例において、回転体210を図45の構成とし、磁束供給体240と磁気センサ70の構成を図45の構成としてもよい。すなわち、ヨーク215Aのヨーク面部217Aに高磁気抵抗部231を備えた構成にする。このようにすると、磁束供給体が供給すべき必要磁束量が低減するため、磁束供給体を小型化したり低コストにしたりすることが可能なり、さらに好ましい。さらに、磁気センサの周りに図49のように磁気センサの周りにバイパス磁路260を設ければ、センサの設置マージンがさらに向上し、さらに好ましい構成となる。
高磁気抵抗部231は、ヨーク215Bのヨーク面部217Bに設けても良い。また、両方のヨーク215A、215Bのヨーク面部217A、217Bに高磁気抵抗部213を設けてもよい。
次に本発明の第18の実施形態について図39を参照しながら説明する。本実施例18においては電動機を構成するブラケットの一部を磁束供給体240の構成要素の一部に利用した点で実施例12と異なっている。
回転体210の構成は図1に示したものと同様の構成である。すなわち、回転体210は、第1のヨーク215A、第2のヨーク215Bとを備える。さらに、第1のヨーク215Aと第2のヨーク215Bは、それぞれヨーク突起216A、216Bを備える。尚、図39においてヨーク突起216Bの記載がないのは、この断面図に現れないためである。
好ましくは、回転体210は回転体主部213を備える。回転体主部213は非磁性体で構成される。回転体主部213はヨーク215A、215Bを支持する働きをする。
本実施例13では、電動機の構成要素の一部を磁束供給体240の構成要素として共用することを特徴としている。具体的には、電動機の第2ブラケット103に磁束供給体240を設置しているが、図38に示した磁束供給体240の構成要素のうち、アーム248Bを電動機(回転機械)の筐体(第2ブラケット103)で共用するようにしている。
このように構成すると、磁束供給体240の構成が簡素化され、磁気センサ70の組み込み易さ等から製作が容易となる効果がある。尚、第2ブラケット103は通常は鉄系材料が使用されているため、磁性体としては十分な磁化率を備えているので問題はないものである。
尚、「アーム248Bを回転機械の筐体(第2ブラケット103)と共用する」と記載したが、この記載は、磁束供給体の磁石246の着磁の向きを規定するものではない。すなわち、磁石246のS極側を筐体側に向けてもよいし、N極側を筐体側に向けてもよい。第1のアーム248Aまたは第2のアーム248Bのうちのいずれか一方の面を回転機械の筐体の構成要素と共用する、という意味に解釈されるべきである。
本実施例での回転角検出部200での磁束の流れを述べる。磁石246のN極またはS極から出た磁束はアーム248を経由して、磁束供給部242から回転体210のヨーク215Aに供給される。この磁束は、ヨーク215Bを出て、回転機械の筐体の一部である第2ブラケット103を経由して、磁石246に戻る。ヨーク215Aからヨーク216Bに磁束が移る際に、それぞれのヨーク突起216Aからヨーク突起216Bに至る漏れ磁束が生じる。この漏れ磁束が生起する磁界の角度を磁気センサ70で検出する。なお、アーム248側に磁石246のS極が有る場合には、負の磁束が磁石のS極から出ていると見なすことで、同様に考えることが出来る。
尚、磁束供給体240と第2ブラケット103の間の接触面に隙間があると、上記磁束経路の磁気リラクタンスが増加して、効率的に磁束を回転体210に供給できなくなる恐れがあるので、磁束供給体240と第2ブラケット103とは十分に密着するように構成することが好ましい。本実施例においては両者をぴったり密着させて固定したが、この他に磁性粉末を混ぜた軟質樹脂等を介して両者を密着することで磁気リラクタンスの増加を対策することができる。
本実施例において、回転体210を図45の構成とし、磁束供給体240と磁気センサ70の構成を図45の構成としてもよい。すなわち、ヨーク215Aのヨーク面部217Aに高磁気抵抗部231を備えた構成にする。このようにすると、磁束供給体が供給すべき必要磁束量が低減するため、磁束供給体を小型化したり低コストにしたりすることが可能なり、さらに好ましい。さらに、磁気センサの周りに図49のように磁気センサの周りにバイパス磁路260を設ければ、センサの設置マージンがさらに向上し、さらに好ましい構成となる。
高磁気抵抗部231は、ヨーク215Bのヨーク面部217Bに設けても良い。また、両方のヨーク215A、215Bのヨーク面部217A、217Bに高磁気抵抗部213を設けてもよい。
次に本発明の第19の実施形態を図40に基づき説明する。本実施例19はトルク計測装置(トルクセンサ)の構成を示している。
本実施例19のトルク計測装置は、トーションバー135により接続された入力軸131と出力軸132、およびその入力軸131と出力軸132のそれぞれに設置された回転角計測装置80とを有する構成である。
本実施例19のトルク計測装置は、入力軸131と出力軸132とがトーションバー135により接続されている。入力軸131の回転角θ1と出力軸132の回転角θ2を計測し、両者の角度差Δθ=θ2−θ1から、軸に加わっているトルクMを計測する。トルクMが角度差Δθに比例することを利用して、角度差ΔθからトルクMを計測するわけである。このようなトルク計測装置は自動車のハンドルの動きを車輪に伝える操舵装置等に用いられている。
そして、入力軸131には第1の回転体210-1が設けられており、出力軸132に第2の回転体210-2が設けられている。
回転体210-1は、2つのヨーク215A、215Bを備える。好ましくは、回転体210−1は回転体主部213を備える。回転体主部213は非磁性体で構成される。回転体主部213はヨーク215A、215Bを支持する働きをする。回転体210−2の構成も同様である。
また、回転体210-1、210-2のそれぞれの側面近傍には磁束供給体240-1、240-2が設置されている。
また、回転体210-1、210-2のそれぞれの側面外側には磁気センサ70-1、70-2が設置されている。磁気センサ70−1、70−2は、それぞれ磁界角度に対応した信号を出力する磁界角計測型の磁気センサである。
本実施例では、磁気センサ70−1、70−2にそれぞれGMRセンサを用いた。
図40に示した本実施例では、磁気センサ70-1、70-2は、それぞれ磁束供給体240-1、240-2の内部空間内に設置した。このように設置することで、省スペース性に優れたトルク計測装置が可能になるという効果がある。また、磁束供給体と磁気センサとを一体化したモジュールとして、それらを用いてトルク計測装置に組み込むことにより、トルク計測装置の組立てを容易にするという効果もある。なお、図19に示したように、磁束供給体と磁気センサとを異なる場所に設置してもよいことは言うまでもない。
磁束供給体240-1、240-2は、トルクセンサ・ハウジング136に固定されている。トルクセンサ・ハウジング136は、本実施例では、円筒状の形状で、非磁性体であるステンレスで構成してある。トルクセンサ・ハウジング136は、入力軸131と出力軸132とをベアリングにより回転可能に支持している。本実施例では、磁束供給体240をトルクセンサ・ハウジング136に設置したが、操舵装置を構成する他の構成部品に磁束供給体240を取り付けるようにしても良い。
トルク計測装置では角度差Δθは、典型的には、最大トルク時に4°程度になるように設計されるので、回転角度が−4°〜+4°の角度差を高精度に計測できるのが好ましい。
そこで、本実施例19では回転体210-1のヨーク215A−1のヨーク突起数Np1と、回転体210-2のヨーク215A−2のヨーク突起数Np2の数を多くすることで、微小な回転角変化でも大きな磁界角変化になるように設計した。具体的には、Np1とNp2をそれぞれ10以上に設定すると回転角度が−4°〜+4°の角度差を高精度に計測することができるようになるので、特に好ましい。
また、好ましくは、2つの磁束発生体202-1、202-2のヨーク突起216A、216Bの個数を等しくする、すなわち、Np1=Np2になるように設計すると角度差Δθの計算がし易くなる。つまり、図10にあるような磁界角の変化と機械角の変化との対応関係が2つの回転角計測装置80で等しくなるので、回転角の差Δθ=θ2−θ1の計算が単純になるという効果がある。
本実施例19においては、Np1=Np2=18に設定すると磁界角1回転に対応する回転角変化量は、360°/Np=20°になるので、±4°の回転角変化が概ね(±4×Np)=±72°の磁界角変化として計測される。このようにして回転角差Δθを高精度に計測することが可能になる。そして、回転角差Δθに適切な比例係数を乗ずることでトルクMが計測できるようになる。尚、このような計算は別に設けた演算機能を備える制御装置によって実行される。
トルク計測装置には必要に応じて回転角計測部を設けても良い。例えば、電動パワーステアリング装置に用いる場合に、トルク計測に加えて、入力軸131の回転角も計測したい場合がある。電動パワーステアリング装置の場合、入力軸131の回転角はハンドルの角度に対応した操舵角に相当する。
これは図40に示すようなセンサ磁石143と磁気センサ142とが回転角計測部を構成することになる。尚、この回転角計測部はトルク計測装置において必須の構成物ではないので、必要に応じて設置すればよい。
センサ磁石143は入力軸131に設置されており、センサ磁石143は径方向に着磁された2極磁石である。センサ磁石143の側面には磁気センサ142が設置されている。磁気センサ142は磁界方向計測センサであり、トルクセンサ・ハウジング136に対して固定されている。センサ磁石143は2極磁石なので入力軸の1回転に対応して磁気センサ142が計測する磁界角も1回転する。磁気センサ142で計測した磁界角に適切な補正を施すことで、入力軸131の回転角を計測することができる。
図40の構成に加えて、バイパス磁路260を導入すると、磁気センサ70の設置マージンがいっそう拡大し、さらに高精度な回転角計測が可能になるので、いっそう好ましい。すなわち、図25に示した構成と同様に、磁気センサ70−1の周囲にバイパス磁路260−1(図示せず)を設置する。また、磁気センサ70−2の周囲にもバイパス磁路260−2(図示せず)を設置する。バイパス磁路260の設置に関する詳細は、図25、図26、図27に関連した記述があるのでこれを参照されたい。
本実施例において、回転体210を図45の構成とし、磁束供給体240と磁気センサ70の構成を図45の構成としてもよい。すなわち、ヨーク215Aのヨーク面部217Aに高磁気抵抗部231を備えた構成にする。このようにすると、磁束供給体が供給すべき必要磁束量が低減するため、磁束供給体を小型化したり低コストにしたりすることが可能なり、さらに好ましい。さらに、磁気センサの周りに図49のように磁気センサの周りにバイパス磁路260を設ければ、センサの設置マージンがさらに向上し、さらに好ましい構成となる。
高磁気抵抗部231は、ヨーク215Bのヨーク面部217Bに設けても良い。また、両方のヨーク215A、215Bのヨーク面部217A、217Bに高磁気抵抗部213を設けてもよい。
次に本発明の第20の実施形態を図41に基づき説明するが、本実施例20は電動パワーステアリングシステム(Electric Power-Assisted Steering system)の構成を示している。
図41において、ハンドル501に機械的に連結したステアリングシャフト503はトルクセンサ502を経由して連結部504に接続されている。減速ギアなどで構成された連結部504には電動機100の回転軸121が接続され、更に連結部504には連結シャフト505が接続されている。
連結シャフト505はギアボックス506に接続され、ギアボックス506にはタイロッド507が接続される。ギヤボックス506は、連結シャフト505の回転運動をタイロッド507の直線運動に変換するもので、タイロッド507の両端にはタイヤ(図示せず)が設置されており、タイロッドの直線運動に応じてタイヤの向きが変更されるようになる。このような電動式のステリングシステムは良く知られた構造である。
回転軸121は電動機100の回転軸であり、一方の端に回転体210が設置されている。回転体210の近傍には磁界角計測型の磁気センサ70と磁束供給体240が設置されており、回転軸121の回転角を計測してECU411に回転角情報を送信するようになっている。そして、回転体210、磁気センサ70、および磁束供給体240とで回転角計測装置80を構成している。この回転角計測装置80の構成と作用は既に述べた通りである。
回転体210の構成は図1、図9に示した回転体210と同様である。すなわち、回転体210は、ヨーク突起216A、216Bを有するヨーク215A、215Bで構成されている。好ましくは、回転体210は回転体主部213を備える。回転体主部213は非磁性体で構成される。回転体主部213はヨーク215A、215Bを支持する働きをする。なお、図41では、ヨーク215A、215Bの図示を省略した。
また、磁束供給体240も図1に示した構成としている。
運転者がハンドル501を回すと、その回転動作はトルクセンサ502で検出されてECU411に電気信号として伝達される。ECU411はトルクセンサ502からの信号と、回転角計測装置80からの回転角信号θ、及び車速信号などから適切な電動機駆動量を算出し、電動機駆動部412に信号を送信する。これにより電動機100は回転体121を回転駆動し、連結シャフト505の回転を補助(アシスト)する。このようにしてタイヤの向きを変更する運動をアシストする。
本実施例において、回転体210を図45の構成とし、磁束供給体240と磁気センサ70の構成を図45の構成としてもよい。すなわち、ヨーク215Aのヨーク面部217Aに高磁気抵抗部231を備えた構成にする。このようにすると、磁束供給体が供給すべき必要磁束量が低減するため、磁束供給体を小型化したり低コストにしたりすることが可能なり、さらに好ましい。さらに、磁気センサの周りに図49のように磁気センサの周りにバイパス磁路260を設ければ、センサの設置マージンがさらに向上し、さらに好ましい構成となる。
高磁気抵抗部231は、ヨーク215Bのヨーク面部217Bに設けても良い。また、両方のヨーク215A、215Bのヨーク面部217A、217Bに高磁気抵抗部213を設けてもよい。
次に本発明の第21の実施形態を図42に基づき説明するが、本実施例21は電動車両駆動装置の構成を示している。
図42においては、自動車の動力として内燃機関と電動機とを組み合わせたハイブリッド自動車用の電動車両駆動装置を示している。
内燃機関553の出力回転軸と発電機552、駆動用電動機551とは同軸線上に設置されており、それぞれは動力分配機構554の働きで適切に動力が伝達される。動力分配の仕方は、車両の走行状態、加速状態、バッテリーの充電状態などの情報に基づいて適切に設定される。また、動力分配機構554から動力シャフト558に動力を伝達する動力結合機構557が設けられている。
駆動用電動機551には図38で説明した電動機を用いており、この駆動用電動機551は図38に記載したように、電動機部100と回転角検出部200とで構成されている。回転角計測部200は回転体210−1と磁気センサ70−1、および磁束供給体240-1とで構成される。
回転体210−1の構成は、図1、図9に示した回転体210と同様である。すなわち、回転体210は、ヨーク突起216A、216Bを有するヨーク215A、215Bで構成されている。なお、図42においては、ヨーク215A、215Bの図示を省略した。また、磁束供給体240も図1に示した構成としている。
発電機552にも回転角検出部が設けられており、この回転角計測部は、回転体210−2と磁気センサ70−2、および磁束供給体240‐2とで構成されている。発電機552の回転角計測部の構成は、駆動用伝導機551の回転角計測部と同様の構成にしている。好ましくは、回転体210は回転体主部213を備える。回転体主部213は非磁性体で構成される。回転体主部213はヨーク215A、215Bを支持する働きをする。
尚、回転体210−1のヨーク突起216Aの個数Np1は、駆動電動機551の極数(p×2)を2で除した数と一致させると好ましい。例えば、駆動電動機の極数を(p×2)とすると、ヨーク突起216Aの個数Npは、Np=pを満足するようにすると良い。このようにすると、磁気センサ70−1、70−2が出力する磁界角信号が、駆動電動機551の電気角と対応した周期になるので、駆動電動機の制御が容易になるという効果がある。当然のことながら、回転体210−2のヨーク突起216Aの個数Npと発電機552の極数(p×2)との関係も同様である。
このような電動車両駆動装置では、高い出力トルクを得るために電動機の極数を多くする場合があり、本発明で説明した回転計測装置に使用する回転体210によればヨーク突起216A、216Bの個数を増やすことで回転角計測装置が出力する信号のセクタ数を容易に増やすことが可能となり、このような電動車両駆動装置に用いることことに適している。
本実施例において、回転体210を図45の構成とし、磁束供給体240と磁気センサ70の構成を図45の構成としてもよい。すなわち、ヨーク215Aのヨーク面部217Aに高磁気抵抗部231を備えた構成にする。このようにすると、磁束供給体が供給すべき必要磁束量が低減するため、磁束供給体を小型化したり低コストにしたりすることが可能なり、さらに好ましい。さらに、磁気センサの周りに図49のように磁気センサの周りにバイパス磁路260を設ければ、センサの設置マージンがさらに向上し、さらに好ましい構成となる。
高磁気抵抗部231は、ヨーク215Bのヨーク面部217Bに設けても良い。また、両方のヨーク215A、215Bのヨーク面部217A、217Bに高磁気抵抗部213を設けてもよい。
以上に多くの具体的な実施形態を説明したが、本発明を総括すると、本発明の第1の特徴は、磁束を供給することができる少なくとも一方にヨーク突起を備える磁性体で構成された第1のヨークと第2のヨークとを設け、ヨーク突起の外側側面に磁界角度に対応する信号を出力する磁界角計測型の磁気センサを設置するようにした。
これによれば、磁界角度に対応する信号を用いて回転角を計測するようにしているため、磁石が発生する磁束量が変化しても隣接するヨーク突起間の磁界角度は磁石が発生する磁束量が変化してもあまり変化しないので、磁石の温度変化及び/又は経年変化による影響を受けにくい回転角計測装置を提供することができる。
また、本発明の第2の特徴は、回転可能な回転体の外側に磁束を供給することができる磁束供給体を設置し、回転体に少なくとも一方にヨーク突起を備える磁性体で構成された第1のヨークと第2のヨークとを設け、ヨーク突起の外側側面に磁界角度に対応する信号を出力する磁界角計測型の磁気センサを設置するようにした。
これによれば、Z=0mm(基準点)でない場所においても、磁石から放出する大局的な磁力線が磁界角計測型の磁気センサに影響を与えることが抑制され、磁気センサの設置位置の取付誤差による、回転角計測精度の劣化を低減することが出来る。これにより、多少の取付誤差を有する場合であっても、計測精度の高い回転角計測装置を提供することができる。
本発明の第3の特徴は、回転可能な回転体の外側に磁束を供給することができる磁束供給体を設置し、回転体に少なくとも一方にヨーク突起を備える磁性体で構成された第1のヨークと第2のヨークとを設け、ヨーク突起の外側側面に磁界角度に対応する信号を出力する磁界角計測型の磁気センサを設置し、さらに少なくとも一方のヨークはヨーク面部とヨーク突起とを備え、ヨーク面部に高磁気抵抗部を設置するようにした。
これによれば、磁束供給体から供給される磁束を効率的に磁気センサの位置に集中させることが可能になり、そのため、磁束供給体が供給すべき必要磁束量を低減することが出来る。これにより、磁束供給体の小型化ができ、副次的に低コスト化が可能になるという効果を奏するものである。
更に、本発明においてはこれら以外に実施例の説明にあるように多くの特徴を備えており、種々提案した実施例に基づいて計測精度の高い回転角計測装置を提供することができる。また、本発明においては提案した実施例を単独で実施しても良いし、場合によっては複数の実施例を組み合わせて実施しても差し支えないものである。
本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で本発明を実施することができる。本明細書に記載された実施例はあくまでも例示にすぎず、限定的に解釈してはならないことは言うまでもない。
68…磁界強度計測型磁気センサ、70…磁気センサ(磁界角センサ)、74…基板、80…回転角計測装置、100…モータ部、110…ステータ、111…ステータコア、112…ステータコイル、120…ロータ、121…回転軸、131…入力軸、132…出力軸、135…トーション・バー、142…磁気センサ、143…センサ磁石、200…回転角検出部、202…磁束発生体、210…回転体、211…磁石、213…回転体主部、215…ヨーク、216…ヨーク突起、221…ヨーク押さえ、226…回転中心線、240…磁束供給体、241…開口部、242…磁束供給部、246…磁石、248…アーム、249…磁束供給部突起、250…磁力線、252…電磁石コア、258…支持体、260…バイパス磁路、411…電子制御コントロールユニット、412…駆動部、501…ハンドル、502…トルクセンサ、503…ステアリング・シャフト、504…連結部、505…連結シャフト、506…ギアボックス、507…タイロッド、551…駆動モータ、552…発電機、553…エンジン、554…動力分配機構、557…動力結合機構、558…動力シャフト、
217…ヨーク面部、231…高磁気抵抗部、233…低磁気抵抗領域、235…切り込み。
217…ヨーク面部、231…高磁気抵抗部、233…低磁気抵抗領域、235…切り込み。
Claims (58)
- 回転中心線に沿って回転可能な回転体と、
前記回転体に設けられ、磁性体で構成された第1のヨーク及び第2のヨークと、
前記第1のヨークに設けられたヨーク突起と、
前記回転体の外側に設置され、前記第1のヨークに磁束を供給し、前記ヨーク突起と前記第2のヨークの間に磁束を発生させるための磁束供給体と、
前記回転体の側面外側に配置され、前記ヨーク突起と前記第2のヨークの間の磁束を検出することで、磁界角度に対応する信号を出力する磁界角センサと、
を備えた回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記磁束供給体は、前記第1のヨーク及び前記第2のヨークの間に磁束を供給することを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記回転体は、非磁性体で構成された回転体主部を備えたことを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記磁束供給体は磁束供給部を備え、前記磁束供給部は前記第1のヨークに近接して設置され、前記磁束供給体は前記第1のヨークに前記磁束供給部を介して磁束を供給することを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記ヨーク突起は前記回転体の側面に設置されていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記第2のヨークにも、ヨーク突起が設けられていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項6に記載の回転角計測装置において、
前記第1のヨークに設けた前記ヨーク突起の個数と、前記第2のヨークに設けた前記ヨーク突起の個数とが互いに等しいことを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項6に記載の回転角計測装置において、
前記磁界角センサは、前記第1のヨークの前記ヨーク突起から前記第2のヨークの前記ヨーク突起へ至る漏れ磁束が生起する磁界の角度を計測することを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記磁束供給体は、少なくとも磁束を発生する磁石と、前記磁石からの磁束を前記第1のヨークに供給する磁性体で構成されたアームとを備えていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記回転中心線から見て、前記磁界角センサと前記磁束供給体とが概ね同一方向に設置されていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記磁束供給体の内部空間に前記磁界角センサの一部が設置されていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記磁界角センサと前記磁束供給体とが一体的に形成されていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記回転角計測装置は、磁性体で構成されたバイパス磁路形成体を備え、
前記バイパス磁路形成体は、前記磁界角センサの上側にバイパス磁路上面を有し、前記磁界角センサの下側にバイパス磁路下面を有し、前記バイパス磁路上面と前記バイパス磁路下面とが磁気的に結合された磁性体で構成されていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記磁束供給体の内部空間に、非磁性体で構成される支持体を備えていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記磁束供給体は、前記第1のヨーク及び前記第2のヨークのいずれかに磁束を供給するための突起を有していることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記回転体は、前記第1のヨークと前記第2のヨークと前記ヨーク突起とのいずれかの外側に非磁性体で構成されたヨーク押さえを備えていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記第1のヨークと前記第2のヨークの少なくともいずれか一方のヨークは、磁気的に分割されていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項17に記載の回転角計測装置において、
前記第1のヨークと前記第2のヨークの少なくともいずれか一方のヨークは、前記ヨーク突起の個数と等しい個数に磁気的に分割されていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項17或いは請求項17に記載の回転角計測装置において、
前記分割されたヨークは、機械的に互いに切断されて分割されていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記ヨーク突起は、磁性体粉末を含む材料で構成されていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記磁界角センサは第1の磁界センサと第2の磁界角センサよりなり、前記両磁界角センサは前記ヨーク突起からの漏れ磁束が生起する磁界の角度を計測することを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記磁界角計測型の磁気センサは磁気抵抗素子、またはホール素子のいずれか一つを使用した磁界角センサであることを特徴とする回転角計測装置。 - 少なくとも、回転軸に固定された回転磁極を備えたロータと、前記ロータを囲む固定磁極と、前記回転磁極と前記固定磁極を収納するフレームと、前記フレームの両端に固定され前記フレームと協働して前記回転磁極と前記固定磁極を収納するブラケットと、前記回転軸の回転角を計測する回転角計測装置を備える回転機械であって、
前記回転角計測装置は、
前記回転軸の回転に連動して、回転中心線に沿って回転可能な回転体と、
前記回転体に設けられ、磁性体で構成された第1のヨーク及び第2のヨークと、
前記第1のヨーク及び前記第2のヨークに設けられ、相互に噛み合うように配置されたヨーク突起と、
前記回転体の外側に設置され、前記第1のヨークに磁束を供給し、前記第1のヨークに設けられたヨーク突起と前記第2のヨークに設けられたヨーク突起との間に磁束を発生させるための磁束供給体と、
前記回転体の側面外側に配置され、前記第1のヨークに設けられた突起と前記第2のヨークに設けられた突起の間の磁束を検出することで磁界角度に対応する信号を出力する磁界角センサとを備えた回転機械。 - 請求項23に記載の回転機械において、
前記ブラケットが前記磁束供給体の一部として使用されていることを特徴とする回転機械。 - 請求項23に記載の回転機械において、
前記回転機械の極数を(2×p)とし、少なくとも前記第1のヨークの前記ヨーク突起の個数をNp としたとき、pとNp とが等しいことを特徴とする回転機械。 - 請求項23に記載の回転機械において、
前記回転機械は自動車に使用される車両駆動装置に用いられる電動機または発電機として使用されることを特徴とする回転機械。 - 入力軸と出力軸とがトーションバーにより接続され、前記入力軸と
前記出力軸との回転角を回転角計測装置によって計測してトルクを測定するトルク計測のための回転機械であって、
前記回転角計測装置は、
前記入力軸と出力軸のいずれかの回転中心線に沿って回転可能な回転体と、
前記回転体に設けられ、磁性体で構成された第1のヨーク及び第2のヨークと、
前記第1のヨーク及び前記第2のヨークに設けられ、相互に噛み合うように配置されたヨーク突起と、
前記回転体の外側に設置され、前記第1のヨークに磁束を供給し、前記第1のヨークに設けられたヨーク突起と前記第2のヨークに設けられたヨーク突起との間に磁束を発生させるための磁束供給体と、
前記回転体の側面外側に配置され、前記第1のヨークに設けられた突起と前記第2のヨークに設けられた突起の間の磁束を検出することで磁界角度に対応する信号を出力する磁界角センサと、
を備えた回転機械。 - 請求項27に記載の回転機械において、
少なくとも前記第1のヨークの前記ヨーク突起の個数は10以上であることを特徴する回転機械。 - 請求項27に記載の回転機械において、
前記回転機械は電動パワーステアリング装置に設けられているトルクセンサに使用されることを特徴とする回転機械。 - 請求項23に記載の回転機械を車両駆動電動機として用いたことを特徴とする車両駆動装置。
- 請求項23に記載の回転機械をパワーステアリング駆動電動機として用いたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
- 回転中心線に沿って回転可能な回転体と、
前記回転体に設けられ、磁性体で構成された第1のヨーク及び第2のヨークと、
前記第2のヨークに設けられたヨーク突起と、
前記回転体に設置され、前記第1のヨークに磁束を供給し、前記第1のヨーク及び前記ヨーク突起の間に磁束を発生させるための磁束供給体と、
前記回転体の側面外側に配置され、前記第1のヨーク及び前記ヨーク突起との間の磁束を検出することにより、磁界角度に対応する信号を出力する磁界角センサと、を備えた回転角計測装置。 - 請求項32に記載の回転角計測装置において、
前記第1のヨークにもヨーク突起が設けられていることを特徴とする回転角計測装置。
- 請求項33に記載の回転角計測装置において、
前記磁界角センサは、前記第1のヨークの前記ヨーク突起から前記第2のヨークの前記ヨーク突起へ至る漏れ磁束が生起する磁界の角度を計測することを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項1に記載の回転角計測装置において、
前記第1のヨークはヨーク面部と前記ヨーク突起を備え、前記ヨーク面部は、ヨーク面部内の他の部分よりも相対的に磁気抵抗が高い部分である高磁気抵抗部を備えた回転角計測装置。 - 請求項35に記載の回転角計測装置において、
前記磁束供給体は、前記第1のヨーク及び前記第2のヨークの間に磁束を供給することを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項35に記載の回転角計測装置において、
前記回転体は、非磁性体で構成された回転体主部を備えたことを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項35に記載の回転角計測装置において、
前記磁束供給体は磁束供給部を備え、前記磁束供給部は前記第1のヨークに近接して設置され、前記磁束供給体は前記第1のヨークに前記磁束供給部を介して磁束を供給することを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項35に記載の回転角計測装置において、
前記ヨーク突起は前記回転体の側面に設置されていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項35に記載の回転角計測装置において、
前記高磁気抵抗部として、前記ヨーク面部を物理的に分離したことを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項35に記載の回転角計測装置において、
前記高磁気抵抗部として、前記ヨーク面部に切り込みを設けたことを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項35に記載の回転角計測装置において、
前記ヨーク面部は、互いに隣接する前記高磁気抵抗部に囲まれた低磁気抵抗領域を有し、互いに隣接する前記低磁気抵抗領域が物理的につながっていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項35に記載の回転角計測装置において、
前記第1のヨークの前記ヨーク面部はひとつの部材で構成されたことを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項35に記載の回転角計測装置において、
前記磁束供給体と前記第1のヨークとの間の磁気抵抗と、前記磁束供給体と前記第2のヨークとの間の磁気抵抗とが、互いに等しいことを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項35に記載の回転角計測装置において、
前記磁束供給体と前記第1のヨークとの重なり面積と、前記磁束供給体と前記第2のヨークとの重なり面積とが、互いに等しいことを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項35に記載の回転角計測装置において、
前記第1のヨークに設けられた前記高磁気抵抗部の位置と、前記第2のヨークに設けられた前記高磁気抵抗部の位置とが、前記回転中心線に沿った方向に投影した平面において同じ位置であることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項35に記載の回転角計測装置において、
前記回転角計測装置は、磁性体で構成されたバイパス磁路形成体を備え、
前記バイパス磁路形成体は、前記磁界角センサの上側にバイパス磁路上面を有し、前記磁界角センサの下側にバイパス磁路下面を有し、前記バイパス磁路上面と前記バイパス磁路下面とが磁気的に結合された磁性体で構成されていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項35に記載の回転角計測装置において、
前記磁束供給体の内部空間に、非磁性体で構成される支持体を備えていることを特徴とする回転角計測装置。 - 請求項35に記載の回転角計測装置において、
前記第1のヨークと前記第2のヨークの少なくともいずれか一方のヨークは、前記高磁気抵抗部を、前記ヨーク突起の個数と等しい個数備えることを特徴とする回転角計測装置。 - 少なくとも、回転軸に固定された回転磁極を備えたロータと、前記ロータを囲む固定磁極と、前記回転磁極と前記固定磁極を収納するフレームと、前記フレームの両端に固定され前記フレームと協働して前記回転磁極と前記固定磁極を収納するブラケットと、前記回転軸の回転角を計測する回転角計測装置を備える回転機械であって、
前記回転角計測装置は、請求項35に記載の回転角計測装置であることを特徴とする回転
機械。 - 請求項50に記載の回転機械において、
前記ブラケットが前記磁束供給体の一部として使用されていることを特徴とする回転機械。 - 請求項50に記載の回転機械において、
前記回転機械の極数を(2×p)とし、前記第1のヨークの前記ヨーク突起の個数をNpとしたとき、pとNpとが等しいことを特徴とする回転機械。 - 請求項50に記載の回転機械において、
前記回転機械は自動車に使用される車両駆動装置に用いられる電動機または発電機として使用されることを特徴とする回転機械。 - 入力軸と出力軸とがトーションバーにより接続され、前記入力軸と前記出力軸との回転角を回転角計測装置によって計測してトルクを測定するトルク計測のための回転機械であって、
前記回転角計測装置は、請求項35に記載の回転角計測装置であることを特徴とする回転
機械。 - 請求項54に記載の回転機械において、
少なくとも前記第1のヨークの前記ヨーク突起の個数は10以上であることを特徴する回転機械。 - 請求項54に記載の回転機械において、
前記回転機械は電動パワーステアリング装置に設けられているトルクセンサに使用されることを特徴とする回転機械。 - 請求項50に記載の回転機械を車両駆動電動機として用いたことを特徴とする車両駆動装置。
- 請求項50に記載の回転機械をパワーステアリング駆動電動機として用いたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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