JP5935899B2 - ウェイクアップ信号発生装置、タッチ式入力装置 - Google Patents
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Description
本発明は、押込検出センサからの信号を用いて、装置のウェイクアップ信号を発生するウェイクアップ信号発生装置、および当該ウェイクアップ信号発生装置を備えるタッチ式入力装置に関する。
近年、携帯機器では、当該携帯機器の消費電力を抑制するために、節電モードやスリープモードを備えたものが各種実用化されている。節電モードやスリープモードを備える携帯機器では、携帯機器の全電源を一括操作して全機能を同時に起動もしくは停止するものではない。節電モードやスリープモードを備える携帯機器では、CPUや表示パネル(LCD等)等の消費電力が高い機能部への電源供給を停止しておき、必要な場合にのみ当該消費電力が高い機能部へ電源供給を行っている。
このような部分的な停止状態を解除して、消費電力の高い機能部への電源供給する通常動作状態へ移行する場合には、なんらかのトリガを与える必要がある。このトリガを与える手段として、現在ではメカニカルスイッチを用いることが多い。
しかしながら、携帯機器は、デザイン性や防水性の向上のため、外面に露出するメカニカルスイッチを用いず、タッチパネルのようなタッチ式入力装置を用いる傾向が強くなっている。
このようなタッチ式入力装置を用いるものとして、特許文献1では、タッチ式入力装置をタッチすることで停止状態から通常動作状態を移行することが記載されている。
ところで、携帯機器は、鞄等に入れられた状態で持ち運ばれることが多く、持ち運ばれている際に、鞄の中の他の物と接触したり、持ち歩きの際の衝撃等により、タッチ式入力装置がタッチされたものと同等に感知してしまう可能性がある。
このため、特許文献1では、タッチの押圧の強さに閾値を設け、閾値を超えた場合に、意図的な入力と判断して、停止状態から通常動作状態を移行する起動処理を行っている。
しかしながら、上述の衝撃や他の物との接触により、閾値を超える押圧力が加わると、意図的でない入力であっても、起動処理が実行されてしまう。
本発明の目的は、意図的でない接触等による起動処理の誤動作を抑制するウェイクアップ信号発生装置および当該ウェイクアップ信号発生装置を備えるタッチ式入力装置を提供することにある。
この発明のウェイクアップ信号発生装置は、変位検出部とウェイクアップ制御部とを備える。変位検出部は、押し込みおよび押し込みの緩和によって生じる操作面の変位量と変位方向に応じた変位検出信号を生成する。ウェイクアップ制御部は、変位検出信号を用いて、変位量が増加した後に変位量が減少することを検出してウェイクアップ信号を生成する。
この構成では、操作面への押し込みを検出しただけでなく、押し込みの緩和を検出した場合にのみウェイクアップ信号が出力される。これにより、意図的でない接触による誤起動が抑制される。
また、この発明のウェイクアップ信号発生装置は、次の構成であることが好ましい。ウェイクアップ制御部は、変位量の増加を検出した時点から所定時間以内に変位量の減少を検出することで、ウェイクアップ信号を生成する。
この構成では、変位量の増加の検出から減少の検出までの時間が制限される。これにより、意図的でない接触による誤起動が、さらに確実に抑制される。
また、この発明のウェイクアップ信号発生装置は、次の構成であってもよい。ウェイクアップ制御部は、変位検出信号を用いて、第1の変位による変位量が増加した後に、第1の変位に続く第n(nは2以上の正の整数)の変位によって変位量が減少することを検出してウェイクアップ信号を生成する。
この構成では、押し込みと押し込みの緩和との組合せを、連続して複数回行わなければ、ウェイクアップ信号は出力されない。これにより、意図的でない接触による誤起動が、さらに確実に抑制される。
また、この発明のウェイクアップ信号発生装置は、次の構成であることが好ましい。ウェイクアップ制御部は、第1の変位量の増加を検出した時点から所定時間以内に、第第n(nは2以上の正の整数)の変位量の減少を検出することで、ウェイクアップ信号を生成する。
この構成では、1回目の押し込みと押し込みの緩和と、2回目の押し込みと押し込みの緩和との時間間隔が制限される。これにより、意図的でない接触による誤起動が、さらに確実に抑制される。
また、この発明のウェイクアップ信号発生装置は、次の構成であることが好ましい。変位検出部は、変位量の増加を変位検出信号によって検知し、ウェイクアップ準備信号を生成してウェイクアップ制御部に出力する、ウェイクアップ準備信号生成部を備える。ウェイクアップ制御部は、ウェイクアップ準備信号により変位量の増加を検出する。
この構成では、変位量の増加の検出が変位検出部で行われるため、変位量の増加の検出時には、ウェイクアップ制御部が停止させられる。したがって、ウェイクアップ信号発生装置を省電力化することができる。
また、この発明のウェイクアップ信号発生装置は、次の構成であることが好ましい。変位検出部は、変位感知素子と検出信号生成部とを備える。変位感知素子は、変位量および変位方向に応じた感知信号を生成する。検出信号生成部は、感知信号の時間変位量を鈍化させて変位検出信号を生成する。
この構成では、操作面の変位の感度を高くしながら、変位量の増加や減少の検出を、より確実に行うことができる。
また、この発明のウェイクアップ信号発生装置は、次の構成であることが好ましい。変位感知素子は、操作面に配置された圧電フィルムと、該圧電体に形成された導体と、を備える。
この構成では、変位に対して高感度で薄型の変位感知素子を実現できる。
また、この発明のウェイクアップ信号発生装置は、次の構成であることが好ましい。圧電フィルムは、少なくとも一軸方向に延伸したポリ乳酸からなる。
この構成では、変位に対してさらに高感度で、周辺温度に影響されず、薄型の変位感知素子を実現できる。
また、この発明のタッチ式入力装置は、次の特徴を有する。タッチ式入力装置は、上述のいずれかに記載のウェイクアップ信号発生装置を備える。ウェイクアップ制御部は、ウェイクアップ信号とともに変位検出信号を出力する。
この構成では、誤起動しにくく操作面への押し込み量を検出可能なタッチ式入力装置を実現できる。
また、この発明のタッチ式入力装置は、次の構成を備えていてもよい。変位検出部は、操作面の接触位置を検出して位置検出信号を生成する位置検出部を備える。ウェイクアップ制御部は、ウェイクアップ信号とともに位置検出信号を出力する。
この構成では、誤起動しにくく操作面への押し込み量と操作位置を検出可能なタッチ式入力装置を実現できる。
この発明によれば、意図的でない接触等による起動処理の誤動作を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係るタッチ式入力装置について、図を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るタッチ式入力装置のブロック図である。なお、本実施形態では、後述するように、ウェイクアップ信号とともに変位検出信号を出力するタッチ式入力装置を例に説明するが、ウェイクアップ信号のみを出力する場合であれば、ウェイクアップ信号発生装置とすることができる。
また、本実施形態に係るタッチ式入力装置1では、操作面が、所謂長押しされることにより、当該タッチ式入力装置1が装着される電子機器が起動する場合を示す。
タッチ式入力装置1は、タッチセンサ10、ウェイクアップ制御部20を備える。タッチセンサ10は、本発明の「変位検出部」に相当する。タッチセンサ10は、圧電センサ11P、検出信号生成部12を備える。圧電センサ11Pは、本発明の「変位感知素子」に相当する。
圧電センサ11Pは、好適な構成の具体例を後述するが、ポリ乳酸等の圧電性を有する圧電フィルムと、該圧電フィルムの互いに対向する両主面に形成された変位感知用導体と、を備える。圧電センサ11Pは、一方の主面が操作面となるように配置されている。圧電センサ11Pは、操作者によって主面の押し込みが行われた時や、当該押し込みの緩和が行われた時に、この押し込みや押し込みの緩和による変位量および変位方向を感知し、感知信号を出力する。感知信号の信号レベルは、これら変位量および変位方向によって一意的に決定される。
例えば、圧電センサ11Pは、操作面が押し込まれた場合に変位量に応じた大きさの正方向の電位差を瞬時的に発生し、操作面の押し込みが緩和された場合に、変位量に応じた大きさの負方向の電位差を瞬時的に発生する。この電位差は、変位量が変化しない場合には0に収束する。
検出信号生成部12は、圧電センサ11Pの対となる変位感知用導体に接続されている。検出信号生成部12は、例えば積分回路等によって構成される。検出信号生成部12は、変位量および変位方向によって決定される電位差に基づいて電圧が変化する変位検出信号Spを生成する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るタッチ式入力装置の変位検出信号、ウェイクアップ信号、機器動作モードの遷移を示す図である。
具体的に、変位量が変化しない定常状態では、圧電センサ11Pの変位感知用導体間で電位差が生じない。この場合、変位検出信号Spは、図2に示すように、基準電圧Vstで一定となる。
操作面が押し込まれ、変位感知用導体間で正方向の電位差が生じると、変位検出信号Spは、基準電圧Vstよりも高電圧となり、極大値に達した後に基準電圧Vstに戻る。この際、変位検出信号Spは、検出信号生成部12の積分回路の時定数に応じて、図2に示すように、時間変化が遅い状態で電圧が上昇して低下する。すなわち、感知信号に対して、電圧値の時間変化を鈍化させることができる。
操作面への押し込みが緩和され、変位感知用導体間で負方向の電位差が生じると、変位検出信号Spは、基準電圧Vstよりも低電圧となり、極大値に達した後に基準電圧Vstに戻る。この際、変位検出信号Spは、検出信号生成部12の積分回路の時定数に応じて、図2に示すように、時間変化が遅い状態で電圧が低下して上昇する。
このような電圧変化が生じる変位検出信号Spは、ウェイクアップ制御部20に入力される。
ウェイクアップ制御部20は、例えば、マイコン等からなり、当該タッチ式入力装置1が装着される電子機器のメイン制御部よりも省電力な構成からなる。ウェイクアップ制御部20は、ADC(アナログデジタル変換回路)を備える。ADCは、変位検出信号Spを所定のサンプリング周期でサンプリングして、デジタル信号に変換する。
ウェイクアップ制御部20は、変位検出信号Spの観測を継続的に実行し、図3に示す処理によって、ウェイクアップ信号Swkを生成する。図3は、本発明の第1の実施形態に係るウェイクアップ信号Swkの生成処理フローを示すフローチャートである。
まず、ウェイクアップ制御部20は、変位検出信号Spが極大値になったことを検出する。すなわち、ウェイクアップ制御部20は、操作面に対して押し込みがあったことを検出する(S101:YES)。ここで、ウェイクアップ制御部20は、押し込みがあったことが検出されるまで、すなわち変位検出信号Spの極大値を観測するまでは、この押し込み(極大値)の検出を継続する(S101:NO)。
ウェイクアップ制御部20は、操作面に対して押し込みがあったことを検出すると(S101:YES)、この検出タイミングを計時開始時刻tpとし、計時を開始する(S102)。ここで、計時する検出時間ΔTcは、予め設定された時間であり、例えば、1秒〜2秒程度あるとよい。ただし、検出時間ΔTcは、適宜設定可能な値であり、誤起動の抑制の条件に応じて設定することができる。
ウェイクアップ制御部20は、検出時間ΔTc内であれば(S103:YES)、押し込みの緩和すなわち変位検出信号Spの極小値が検出されるまで、極小値の検出を継続する(S104:No)。なお、ウェイクアップ制御部20は、検出時間ΔTc内に押し込みの緩和すなわち変位検出信号Spの極小値が検出されなければ(S103:NO)、ウェイクアップ信号の生成処理を停止する。
ウェイクアップ制御部20は、変位検出信号Spの極小値すなわち押し込みの緩和を検出すると(S104:YES)、ウェイクアップ信号Swkを生成して出力する(S105)。ウェイクアップ信号Swkは、例えば、図2に示すように、押し込みの緩和の検出タイミングtdを状態遷移タイミングtwkとして、Low状態からHi状態に遷移し、所定の時間長だけHi状態を維持するパルス信号である。
タッチ式入力装置1が装着される電子機器は、ウェイクアップ信号SwkのHi状態が入力されると起動処理を実行する。電子機器は、休止状態から動作状態に遷移し、所定の機能を実行する。
以上のような構成および処理を用いることで、例えば、鞄の中で操作面が他の物と接触したり、持ち歩きの際の衝撃等により、操作面が押し込まれても、当該押し込みだけではウェイクアップ信号Swkは出力されない。これにより、電子機器の誤起動を抑制することができる。この効果は、押し込みの検出から押し込み緩和の検出までの時間(検出時間ΔTc)を設けなくても実現できる。
このような構成および処理を用いた上で、検出時間ΔTcを制限することによって、意図的でないウェイクアップ信号Swkの出力を、より確実に抑制することができる。
なお、ウェイクアップ制御部20は、ウェイクアップ信号Swkの出力とともに、変位検出信号Spの出力を開始する。電子機器は、この変位検出信号Spを用いることで、タッチセンサ10の操作面に対する操作入力を受け付けて、所定の機能を実行することができる。
次に、第2の実施形態に係るタッチ式入力装置について、図を参照して説明する。図4は、本発明の第2の実施形態に係るタッチ式入力装置の変位検出信号、ウェイクアップ信号、機器動作モードの遷移を示す図である。図5は、本発明の第2の実施形態に係るウェイクアップ信号Swkの生成処理フローを示すフローチャートである。
本実施形態のタッチ式入力装置は、第1の実施形態に示したタッチ式入力装置に対して、ウェイクアップ制御部20の処理が異なるだけであり、その他の構成および処理は第1の実施形態に示したタッチ式入力装置と同じである。したがって、ウェイクアップ制御部20の処理のみを具体的に説明する。
概略的には、本実施形態のタッチ式入力装置は、連続する二組の押し込みと押し込み緩和の動作(いわゆるダブルタップ)に基づいて、ウェイクアップ信号Swkを生成する。
まず、ウェイクアップ制御部20は、変位検出信号Spが最初に極大値になったことを検出する。すなわち、ウェイクアップ制御部20は、操作面に対して最初の押し込み(第1の押し込み)があったことを検出する(S201:YES)。ここで、ウェイクアップ制御部20は、第1の押し込みがあったことが検出されるまで、すなわち変位検出信号Spの第1の極大値を観測するまでは、この第1の押し込み(第1の極大値)の検出を継続する(S201:NO)。
ウェイクアップ制御部20は、操作面に対して第1の押し込みがあったことを検出すると(S201:YES)、この検出タイミングを計時開始時刻tp1とし、計時を開始する(S202)。ここで、計時する検出時間ΔTcは、第1の実施形態と同様に、予め設定された時間である。
ウェイクアップ制御部20は、検出時間ΔTc内であれば(S203:YES)、2回目の押し込みの緩和(第2の押し込みの緩和)すなわち変位検出信号Spの2回目の極小値(第2の極小値)が検出されるまで、第2の極小値の検出を継続する(S204:No)。なお、ウェイクアップ制御部20は、検出時間ΔTc内に第2の押し込みの緩和すなわち変位検出信号Spの第2の極小値が検出されなければ(S203:NO)、ウェイクアップ信号の生成処理を停止する。
ここで、2回目の押し込みの緩和とは、次のように定義される。まず、図2に示すように、変位検出信号Spの電圧値から、1回目の押し込み(第1の押し込み)と1回目の押し込み緩和(第1の押し込み緩和)が検出される。この1回目の押し込みと押し込み緩和の組が検出された後に、変位検出信号Spの電圧値から、2回目の押し込み(第2の押し込み)と2回目の押し込み緩和(第2の押し込み緩和)が検出される。
ウェイクアップ制御部20は、変位検出信号Spの第2の極小値すなわち第2の押し込みの緩和を検出すると(S204:YES)、ウェイクアップ信号Swkを生成して出力する(S205)。ウェイクアップ信号Swkは、例えば、図4に示すように、押し込みの緩和の検出タイミングtd2を状態遷移タイミングtwkとして、Low状態からHi状態に遷移し、所定の時間長だけHi状態を維持するパルス信号である。
タッチ式入力装置1が装着される電子機器は、ウェイクアップ信号SwkのHi状態が入力されると起動処理を実行する。電子機器は、休止状態から動作状態に遷移し、所定の機能を実行する。
以上のような構成および処理を用いても、当該タッチ式入力装置が装着される電子機器の誤起動を抑制することができる。さらに、本実施形態の構成では、押し込みと押し込み緩和の組からなる動作を、複数回検出しなければ、ウェイクアップ信号Swkが生成されないので、誤起動を、より確実に抑制することができる。なお、上記実施形態では、nが二回の検出でウェイクアップ信号Swkが生成される場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、三回以上の検出でウェイクアップ信号Swkが生成されるようにしても良い。
次に、第3の実施形態に係るタッチ式入力装置について、図を参照して説明する。図6は、本発明の第3の実施形態に係るタッチ式入力装置のブロック図である。図7は、本発明の第3の実施形態に係るタッチ式入力装置の変位検出信号、ウェイクアップ信号、機器動作モードの遷移を示す図である。図8は、本発明の第3の実施形態に係るウェイクアップ信号Swkの生成処理フローを示すフローチャートである。
本実施形態のタッチ式入力装置1Aは、第1の実施形態に示したタッチ式入力装置1に対して、タッチセンサ10Aの構成及び処理、ウェイクアップ制御部20の処理が異なるものである。したがって、第1の実施形態のタッチ式入力装置1に対して異なる箇所のみを具体的に説明する。
タッチセンサ10Aは、圧電センサ11P、検出信号生成部12、および準備信号生成部13を備える。検出信号生成部12は、変位検出信号Spを、ウェイクアップ制御部20に出力するとともに、準備信号生成部13にも出力する。
準備信号生成部13は、変位検出信号Spの電圧値からウェイクアップ準備信号Swpを生成し、ウェイクアップ制御部20に出力する。準備信号生成部13は、基準電圧Vstよりも高電圧の検出閾値Vthを予め設定している。準備信号生成部13は、変位検出信号Spの電圧値と検出閾値Vthを比較する。準備信号生成部13は、変位検出信号Spの電圧値が検出閾値Vth以上の期間は(S331:YES)、ウェイクアップ準備信号SwpをHi状態にする(S332)。準備信号生成部13は、変位検出信号Spの電圧値が検出閾値未満の期間は(S331:NO)、ウェイクアップ準備信号SwpをLow状態にする(S333)。
このような処理を行うことで、図7に示すように、変位検出信号Spの電圧値が基準電圧Vstから検出閾値Vthに達する時間tp11を、ウェイクアップ準備信号SwpがLow状態からHi状態に遷移するタイミングtcsとすることができる。また、変位検出信号Spの電圧値が検出閾値Vth以上から検出閾値Vth未満に低下する時間tp12を、ウェイクアップ準備信号SwpがHi状態からLow状態に遷移するタイミングtceとすることができる。これにより、ウェイクアップ準備信号Swpは、操作面が押し込まれて変位検出信号Spが検出閾値Vth以上を維持する期間でHi状態となるパルス信号として出力される。すなわち、このような処理を行うことで、操作面への押し込みを検出した信号を生成することができる。
ウェイクアップ制御部20は、Hi状態のウェイクアップ準備信号Swpが入力されるまでは、休止状態にある(S301:NO)。ウェイクアップ制御部20は、ウェイクアップ準備信号SwpがHi状態に遷移したことにより起動し、ウェイクアップ準備状態となる(S301:YES)。ウェイクアップ制御部20は、このHi状態への遷移タイミングを計時開始時刻とし、計時を開始する(S302)。ここで、計時する検出時間ΔTcは、予め設定された時間である。
ウェイクアップ制御部20は、検出時間ΔTc内であれば(S303:YES)、押し込みの緩和すなわち変位検出信号Spの極小値が検出されるまで、極小値の検出を継続する(S304:No)。なお、ウェイクアップ制御部20は、検出時間ΔTc内に押し込みの緩和すなわち変位検出信号Spの極小値が検出されなければ(S303:NO)、ウェイクアップ信号の生成処理を停止する。
ウェイクアップ制御部20は、変位検出信号Spの極小値すなわち押し込みの緩和を検出すると(S304:YES)、ウェイクアップ信号Swkを生成して出力する(S305)。
ウェイクアップ信号Swkは、図7に示すように、押し込みの緩和の検出タイミングtdを状態遷移タイミングtwkとして、Low状態からHi状態に遷移し、所定の時間長だけHi状態を維持するパルス信号である。
タッチ式入力装置1Aが装着される電子機器は、ウェイクアップ信号SwkのHi状態が入力されると起動処理を実行する。電子機器は、休止状態から動作状態に遷移し、所定の機能を実行する。
以上のような構成および処理を用いることでも、第1の実施形態に係るタッチ式入力装置1と同様に、電子機器の誤起動を抑制することができる。
さらに、本実施形態の構成および処理では、押し込みが検出されるまでウェイクアップ制御20が休止状態にあり、この期間は、タッチセンサ10Aのみが動作している。したがって、タッチ式入力装置1Aを、上述の実施形態に示したタッチ式入力装置1よりも省電力化することができる。
次に、第4の実施形態に係るタッチ式入力装置について、図を参照して説明する。図9は、本発明の第4の実施形態に係るタッチ式入力装置の変位検出信号、ウェイクアップ信号、機器動作モードの遷移を示す図である。図10は、本発明の第4の実施形態に係るウェイクアップ信号Swkの生成処理フローを示すフローチャートである。
本実施形態のタッチ式入力装置1Aは、第3の実施形態に示したタッチ式入力装置と同じ構成であり、第2の実施形態に示したタッチ式入力装置1に対して、タッチセンサ10Aの構成及び処理、ウェイクアップ制御部20の処理が異なるものである。したがって、第2、第3の実施形態のタッチ式入力装置に対して異なる箇所のみを具体的に説明する。
準備信号生成部13は、変位検出信号Spの電圧値からウェイクアップ準備信号Swpを生成し、ウェイクアップ制御部20に出力する。準備信号生成部13は、変位検出信号Spの電圧値と検出閾値Vthを比較する。準備信号生成部13は、変位検出信号Spの電圧値が検出閾値Vth以上の期間であり(S431:YES)、且つ休止中における1回目であれば(S434:YES)、ウェイクアップ準備信号SwpをHi状態にする(S432)。準備信号生成部13は、変位検出信号Spの電圧値が検出閾値未満の期間は(S431:NO)、ウェイクアップ準備信号SwpをLow状態にする(S433)。また、準備信号生成部13は、変位検出信号Spの電圧値が検出閾値Vth以上であっても1回目で無ければ(S431:YES且つS434:NO)、ウェイクアップ準備信号SwpをLow状態にする(S433)。
このような処理を行うことで、図9に示すように、休止状態において、変位検出信号Spの電圧値が基準電圧Vstから検出閾値Vthに最初に達する時間tp11を、ウェイクアップ準備信号SwpがLow状態からHi状態に遷移するタイミングtcsとすることができる。また、変位検出信号Spの電圧値が最初に検出閾値Vth以上から検出閾値Vth未満に低下する時間tp12を、ウェイクアップ準備信号SwpがHi状態からLow状態に遷移するタイミングtceとすることができる。これにより、ウェイクアップ準備信号Swpは、休止状態において操作面が最初に押し込まれて変位検出信号Spが検出閾値Vth以上を維持する期間でHi状態となるパルス信号として出力される。すなわち、このような処理を行うことで、操作面への第1の押し込みを検出した信号を生成することができる。
ウェイクアップ制御部20は、ウェイクアップ準備信号SwpがHi状態になったことにより起動し、操作面に対して最初の押し込み(第1の押し込み)があったことを検出する(S401:YES)。ここで、ウェイクアップ制御部20は、第1の押し込みがあったことが検出されるまで、すなわちウェイクアップ準備信号SwpがHi状態になるまでは、休止状態となっている(S401:NO)。
ウェイクアップ制御部20は、操作面に対して第1の押し込みがあったことを検出すると(S401:YES)、この検出タイミングを計時開始時刻tp1とし、計時を開始する(S402)。ここで、計時する検出時間ΔTcは、第2の実施形態と同様に、予め設定された時間である。
ウェイクアップ制御部20は、検出時間ΔTc内であれば(S403:YES)、2回目の押し込みの緩和(第2の押し込みの緩和)すなわち変位検出信号Spの2回目の極小値(第2の極小値)が検出されるまで、第2の極小値の検出を継続する(S404:No)。なお、ウェイクアップ制御部20は、検出時間ΔTc内に第2の押し込みの緩和すなわち変位検出信号Spの第2の極小値が検出されなければ(S203:NO)、ウェイクアップ信号の生成処理を停止する。
ここで、2回目の押し込みの緩和とは、次のように定義される。まず、図9に示すように、変位検出信号Spの電圧値から、1回目の押し込み緩和(第1の押し込み緩和)が検出される。この1回目の押し込み緩和が検出された後に、変位検出信号Spの電圧値から、2回目の押し込み(第2の押し込み)と2回目の押し込み緩和(第2の押し込み緩和)が検出される。
ウェイクアップ制御部20は、変位検出信号Spの第2の極小値すなわち第2の押し込みの緩和を検出すると(S404:YES)、ウェイクアップ信号Swkを生成して出力する(S405)。ウェイクアップ信号Swkは、図9に示すように、押し込みの緩和の検出タイミングtd2を状態遷移タイミングtwkとして、Low状態からHi状態に遷移し、所定の時間長だけHi状態を維持するパルス信号である。
タッチ式入力装置1Aが装着される電子機器は、ウェイクアップ信号SwkのHi状態が入力されると起動処理を実行する。電子機器は、休止状態から動作状態に遷移し、所定の機能を実行する。
以上のような構成および処理を用いることでも、第2の実施形態に係るタッチ式入力装置1と同様に、電子機器の誤起動を抑制することができる。
さらに、本実施形態の構成および処理では、押し込みが検出されるまでウェイクアップ制御20が休止状態にあり、この期間は、タッチセンサ10Aのみが動作している。したがって、タッチ式入力装置1Aを、上述の実施形態に示したタッチ式入力装置1よりも省電力化することができる。
なお、上述のタッチ式入力装置が装着される電子機器は、例えば、次のような構成である。図11は第1例の電子機器の外観斜視図である。図12は第2例の電子機器の外観斜視図である。なお、図11、図12では、タッチセンサ10が記載されているが、タッチセンサ10Aであってもよい。
図11に示す第1例の電子機器30は、携帯可能な程度の大きさからなる略直方体形状の筐体300を備える。筐体300は、長さおよび幅が厚さよりも大きな、概略的に平板状の形状からなる。筐体300の一方の平板面(厚さ方向に直交する面)が操作面301となる。操作面301には、表示パネル40が略全面に配置されている。表示パネル40は薄型ディスプレイであればよく、例えば液晶ディスプレイからなる。操作面301における表示パネル40が配置されていない領域には、タッチ式入力装置のタッチセンサ10が配置されている。タッチセンサ10の圧電センサ11Pの主面が操作面301に略一致し、且つ平行になるように、タッチセンサ10は、筐体300の操作面301に配置されている。なお、図11では、タッチセンサ10が操作面301に配置されている例を示したが、筐体300の他の面に配置されていてもよい。
図12に示す第2の電子機器30Aは、携帯可能な程度の大きさからなる略直方体形状の筐体300Aを備える。筐体300Aも、図11の筐体300と同様に、概略的に平板状の形状からなる。筐体300の一方の平板面(厚さ方向に直交する面)が操作面301Aとなる。操作面301Aには、表示パネル40Aが略全面に配置されている。表示パネル40Aは薄型ディスプレイである。操作面301Aにおける表示パネル40Aの表面には、タッチ式入力装置のタッチセンサ10が配置されている。タッチセンサ10の圧電センサ11Pの主面が操作面301に略一致し、且つ平行になるように、タッチセンサ10は、筐体300の操作面301に配置されている。
このような電子機器30,30Aでは、持ち運び時に操作面301,301Aのタッチセンサ10が他のものに接触したり、強い衝撃を受けたりすることで、押し込まれやすい。しかしながら、上述の構成からなるタッチ式入力装置1を用いることで、このような意図的でない押し込みによる電子機器30,30Aの誤起動を抑制することができる。
また、圧電センサ11Pを構成する圧電フィルムの材料は、次の構成であることが好ましい。
圧電フィルムは、一軸延伸されたL型ポリ乳酸(PLLA)によって形成されている。
PLLAは、キラル高分子であり、主鎖が螺旋構造を有する。PLLAは、一軸延伸され、分子が配向すると、圧電性を有する。そして、一軸延伸されたPLLAは、圧電フィルムの平板面が押し込まれることにより、電荷を発生する。この際、発生する電荷量は、押し込みにより平板面が、当該平板面に直交する方向へ変位する変位量によって一意的に決定される。
一軸延伸されたPLLAの圧電定数は、高分子中で非常に高い部類に属する。したがって、押し込みおよび押し込み緩和による変位を高感度に検出することができる。
なお、延伸倍率は3〜8倍程度が好適である。延伸後に熱処理を施すことにより、ポリ乳酸の延びきり鎖結晶の結晶化が促進され圧電定数が向上する。尚、二軸延伸した場合はそれぞれの軸の延伸倍率を異ならせることによって一軸延伸と同様の効果を得ることが出来る。例えばある方向をX軸としてその方向に8倍、その軸に直交するY軸方向に2倍の延伸を施した場合、圧電定数に関してはおよそX軸方向に4倍の一軸延伸を施した場合とほぼ同等の効果が得られる。単純に一軸延伸したフィルムは延伸軸方向に沿って裂け易いため、前述したような二軸延伸を行うことにより幾分強度を増すことができる。
また、PLLAは、延伸等による分子の配向処理で圧電性を生じ、PVDF等の他のポリマーや圧電セラミックスのように、ポーリング処理を行う必要がない。すなわち、強誘電体に属さないPLLAの圧電性は、PVDFやPZT等の強誘電体のようにイオンの分極によって発現するものではなく、分子の特徴的な構造である螺旋構造に由来するものである。このため、PLLAには、他の強誘電性の圧電体で生じる焦電性が生じない。さらに、PVDF等は経時的に圧電定数の変動が見られ、場合によっては圧電定数が著しく低下する場合があるが、PLLAの圧電定数は経時的に極めて安定している。したがって、周囲環境に影響されることなく、押し込みおよび押し込み緩和による変位を高感度に検出することができる。
また、PLLAは比誘電率が約2.5と非常に低いため、dを圧電定数とし、εTを誘電率とすると、圧電出力定数(=圧電g定数、g=d/εT)が大きな値となる。
ここで、誘電率ε33 T=13×ε0,圧電定数d31=25pC/NのPVDFの圧電g定数は、上述の式から、g31=0.2172Vm/Nとなる。一方、圧電定数d14=10pC/NであるPLLAの圧電g定数をg31に換算して求めると、d14=2×d31であるので、d31=5pC/Nとなり、圧電g定数は、g31=0.2258Vm/Nとなる。したがって、圧電定数d14=10pC/NのPLLAで、PVDFと同様の押し込み量の検出感度を十分に得ることができる。そして、本願発明の発明者らは、d14=15〜20pC/NのPLLAを実験的に得ており、当該PLLAを用いることで、さらに非常に高感度に押し込みおよび押し込み緩和を検出することが可能になる。
このような特性を有するPLLAからなる圧電フィルムの両主面には、押し込み検出用導体が、所定のパターンで形成されている。押し込み検出用導体は、ITO、ZnO、銀ナノワイヤ、ポリチオフェンを主成分とする有機電極、ポリアニリンを主成分とする有機電極のいずれかを用いるのが好適である。これらの材料を用いることで、透光性の高い導体パターンを形成できる。尚、透明性が必要とされない場合には銀ペーストにより形成された電極や、蒸着やスパッタ、あるいはメッキなどにより形成された金属系の導体を用いることもできる。
また、上述の実施形態では、タッチセンサに圧電センサ11Pを備えた例を示したが、圧電センサ11Pとともに静電センサを備えるようにしてもよい。この場合、静電センサを構成する位置検出用導体を、圧電フィルムの両面に形成するとよりよい。
この構成では、操作面に操作者の指等が接触すると、接触した位置に応じて、両面の位置検出用導体間の静電容量が変化し、この静電容量に応じた接触信号が得られる。これにより、操作面での押し込みによる変位量だけでなく、押し込み位置を検出することができる。
したがって、この接触信号を、変位検出信号Spとともに出力することで、押し込み量と押し込み位置を電子機器に出力することができる。
また、上述の実施形態では、圧電センサ11Pからの感知信号を、検出信号生成部12で所定の処理を行って変位検出信号Spに変換する例を示したが、感知信号をそのまま変位検出信号Spとして出力するようにすることもできる。
1,1A:タッチ式入力装置、
10,10A:タッチセンサ、
11P:圧電センサ、
12:検出信号生成部、
13:準備信号生成部、
20:ウェイクアップ制御部
30,30A:電子機器、
300,300A:筐体、
301,301A:操作面、
40,40A:表示パネル
10,10A:タッチセンサ、
11P:圧電センサ、
12:検出信号生成部、
13:準備信号生成部、
20:ウェイクアップ制御部
30,30A:電子機器、
300,300A:筐体、
301,301A:操作面、
40,40A:表示パネル
Claims (8)
- 押し込みおよび押し込みの緩和によって生じる操作面の変位量と変位方向に応じた変位検出信号を生成する変位検出部と、
前記変位検出信号を用いて、前記変位量が増加した後に変位量が減少することを検出してウェイクアップ信号を生成するウェイクアップ制御部と、
を備え、
前記ウェイクアップ信号は、電子機器に起動処理を実行させる信号であり、
前記変位検出部は、前記変位量の増加を前記変位検出信号によって検知し、ウェイクアップ準備信号を生成し、生成したウェイクアップ準備信号を前記ウェイクアップ制御部に出力する、ウェイクアップ準備信号生成部を備え、
前記ウェイクアップ制御部は、前記ウェイクアップ準備信号が入力されると起動し、
前記ウェイクアップ制御部は、
前記ウェイクアップ準備信号が入力されてから所定時間以内に前記変位量の減少を検出すると、前記ウェイクアップ信号を生成し、
前記ウェイクアップ準備信号が入力されてから所定時間以内に前記変位量の減少を検出しないと、前記ウェイクアップ信号を生成しない、
ウェイクアップ信号発生装置。 - 前記ウェイクアップ制御部は、
前記変位検出信号を用いて、第1の変位による変位量が増加した後に、前記第1の変位に続く第n(nは2以上の正の整数)の変位によって変位量が減少することを検出してウェイクアップ信号を生成する、
請求項1に記載のウェイクアップ信号発生装置。 - 前記ウェイクアップ制御部は、
前記第1の変位量の増加を検出した時点から所定時間以内に、前記第n(nは2以上の正の整数)の変位量の減少を検出することで、前記ウェイクアップ信号を生成する、
請求項2に記載のウェイクアップ信号発生装置。 - 前記変位検出部は、
前記変位量および前記変位方向に応じた感知信号を生成する変位感知素子と、
前記感知信号の時間変位量を鈍化させて前記変位検出信号を生成する検出信号生成部と、
を備える、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のウェイクアップ信号発生装置。 - 前記変位感知素子は、
前記操作面に配置された圧電フィルムと、
該圧電フィルムに形成された導体と、を備える、請求項4に記載のウェイクアップ信号発生装置。 - 前記圧電フィルムは、少なくとも一軸方向に延伸したポリ乳酸からなる、請求項5に記載のウェイクアップ信号発生装置。
- 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のウェイクアップ信号発生装置を備え、
前記ウェイクアップ制御部は、前記ウェイクアップ信号とともに、前記変位検出信号を出力する、タッチ式入力装置。 - 前記変位検出部は、操作面の接触位置を検出して位置検出信号を生成する位置検出部を備え、
前記ウェイクアップ制御部は、
前記ウェイクアップ信号とともに、前記位置検出信号を出力する、
請求項7に記載のタッチ式入力装置。
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