[第1の実施形態;図1〜図10]
この発明による入力装置の実施形態を説明する前に、この発明に関連する入力装置について説明する。先ず、この発明に関連する入力装置の第1の実施形態を、図1〜図10を参照しながら説明する。
<入力装置の全体構成例>
図1は、この発明に関連する入力装置10の外観構成例を示す図である。この図1に示すように、入力装置10は、扁平な直方体形状の入力装置本体1と、この入力装置本体1が備える位置検出手段としてのセンサ部に対して指示入力するための位置指示器2とからなる。
入力装置本体1は、ケーブル3を通じて外部装置、例えばパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略称する)4に接続されている。つまり、この第1の実施形態では、入力装置10は、パソコン4の入力装置として用いられる。なお、外部装置としては、パソコン4に限られるものではなく、例えばPDA(Personal Digital Assistant)等であってもよい。また、外部装置と入力装置10とは、ケーブル3によって接続されるのではなく、無線接続されるように構成することもできる。
入力装置本体1は、表示画面5を備える表示素子を備える。後述するように、この例では、表示素子は液晶ディスプレイからなる。そして、入力装置本体1は、図1において点線で示すように、表示画面5の全表示領域内の一部領域を位置検出領域6aとする位置検出センサ(以下、部分画面センサという)を、内部に備える。この実施形態では、部分画面センサは、電磁誘導方式のものが、後述するように、表示画面5を見る方向から見て、表示素子の裏側に設けられる。
この入力装置本体1の筐体7は、中空の扁平な直方体形状とされる。入力装置本体1は、この筐体7の内部に表示素子と部分画面センサとを備える。筐体7は、上部筐体7aと、この上部筐体7aに重ね合わされる図示しない下部筐体からなる。上部筐体7aは、表示画面5を外部に露呈させるための開口部7cを有しており、この開口部7cから、表示素子の表示画面5が露呈する。
部分画面センサの位置検出領域6aは、前述したように表示画面5の一部領域と重なる領域である。部分画面センサは、表示素子の裏側に設けられるが、電磁誘導方式の部分画面センサであるので、表示画面5側からの位置指示器2による操作入力が可能である。したがって、表示画面5の位置検出領域6aに対応する領域内において、ユーザ(使用者)が位置指示器2によるポインティング操作を行うことにより、文字などの入力が可能となる。
位置指示器2は、この実施形態では、例えば前述した特許文献2に記載されている位置指示器を用いるようにしている。この位置指示器2は、電磁誘導方式により部分画面センサに対して位置を指示するものであり、部分画面センサから送信される特定周波数の電磁波に対して共振する共振回路を有している。そして、位置指示器2は、この共振回路で検出した共振信号を部分画面センサに送信することにより部分画面センサに対して位置を指示するように構成されている。
また、この実施形態の位置指示器2は、図示のようなタッチペンの構成とされるが、筆圧を検出することが可能である構成とされる。すなわち、位置指示器2の共振回路は、位置検出コイルとコンデンサとからなるものとされるが、特に、コンデンサとして、筆圧に応じて容量を可変することができる構成の可変コンデンサを、この位置指示器2は備える。この位置指示器2の構成は、前記の特許文献2に詳述されているので、ここでは、その説明を省略する。
<表示素子および部分画面センサの構成例>
次に、入力装置10の筐体7内に収納される表示素子および部分画面センサについて説明する。図2は、この例の表示素子と、部分画面センサの部分を、分解して示す分解斜視図である。
表示素子は、この例では、ユニット化されている。この例の表示素子ユニット20は、表示画面5側に配置されている上側金属フレーム21と、それに対向する下側金属フレーム22と、両フレーム21,22間に設けられる、液晶ディスプレイ素子23と、バックライト24とからなる。
上側金属フレーム21は、表示画面5とほぼ同一の大きさの開口を備える四角枠形状に構成されている。また、下側金属フレーム22も、同様の大きさの開口を備える四角枠形状に構成されている。そして、上側金属フレーム21が下側金属フレーム22に嵌合されて組み合わされたとき、両者の間に空間が生じるように構成されている。
そして、液晶ディスプレイ素子23が上側金属フレーム21側に、また、バックライト24が下側金属フレーム22側に、それぞれ位置するような状態で重ねられる。そして、この液晶ディスプレイ素子23とバックライト24とを重ねたものを、上側金属フレーム21と下側金属フレーム22との間に形成される前記空間に収納する状態で、上側金属フレーム21と下側金属フレーム22とを嵌合する。図2に示すように、上側金属フレーム21には、嵌合用の開口21aが穿かれており、一方、この開口21aに対応する下側金属フレーム22の位置には、当該開口21aに嵌合する突部22aが設けられている。
なお、液晶ディスプレイ素子23には、フレキシブル基板からなるリード部23aが接続されている。このリード部23aは、嵌合された上側金属フレーム21と下側金属フレーム22とに設けられる開口溝から外部に導出される。
<全画面センサを組み込む入力装置の例の説明>
以上のような表示素子ユニット20に対して、表示画面5と同じ大きさの領域を検出領域とする電磁誘導方式の全画面センサを組み込む場合には、表示素子ユニット20を、一度解体して、改造する必要がある。すなわち、表示素子ユニット20は、上述のように、金属フレーム21,22により、液晶ディスプレイ素子23およびバックライト24が挟持される構成である。このため、電磁誘導方式の全画面センサを表示素子ユニットの裏にそのまま取り付けると、金属フレーム21,22が、位置指示器と全画面センサとの間の信号授受を妨げる。そのため、この影響を最小限に抑えるためには、図3に示すように、表示素子ユニット20を改造した構成とする必要がある。
図3は、表示素子ユニット20に対して、表示画面5と同じ大きさの領域を検出領域とする電磁誘導方式の全画面センサ40を組み込んだ場合の入力装置の要部の構成を示す分解斜視図である。
すなわち、先ず、表示素子ユニット20の上側金属フレーム21と下側金属フレーム22との嵌合を外す。そして、バックライト24の裏側に、表示画面5と同じ大きさの領域を検出領域とする電磁誘導方式の全画面センサ40を配置する。さらに、この全画面センサ40の裏側に、全画面センサ40と位置指示器2との間の信号授受に対する金属フレーム21,22の影響を最小限に抑えるためのシールド板41を配置する。なお、シールド板41の代わりに、シールドシートを用いるようにしても良い。
そして、液晶ディスプレイ素子23、バックライト24、全画面センサ40、シールド板41、を順に重ねたものを、上側金属フレーム21と下側金属フレーム22との間に形成される前記空間に収納し、固定する状態で、上側金属フレーム21と下側金属フレームとを嵌合する。
以上のように、表示素子ユニット20に対して、表示画面5と同じ大きさの領域を検出領域とする電磁誘導方式の全画面センサ40を組み込む場合には、表示素子ユニット20を改造しなければならず、コストアップになる。また、表示素子ユニット20を一度解体するので、品質の安定性の問題が生じると共に、量産供給性にも問題がある。
<図3の例とこの実施形態との対比>
これに対して、この実施形態の電磁誘導方式の部分画面センサ30は、前述したように、また、図2に示すように、表示画面5内の一部表示領域(図2の液晶ディスプレイ素子23およびバックライト24において点線で囲む領域)を検出領域とする小型のセンサである。
そして、下側金属フレーム22は、この例では、ほぼ表示画面と同じ大きさの開口を備える構成を有している。したがって、この実施形態では、部分画面センサ30を、金属フレーム21,22の影響を受けない、前記開口の部分の任意の位置に配置することが可能である。図2の液晶ディスプレイ素子23およびバックライト24において点線で囲む領域は、下側金属フレーム22の開口領域内の一部領域である。
以上のことから、この第1の実施形態では、表示素子ユニット20は、改造することなく、そのままとして、下側金属フレーム22の開口内において、部分画面センサ30を、バックライト24の裏面側に直接的に配設するようにする。そして、その部分画面センサ30の裏面を、シールド板31で覆うように構成する。なお、シールド板31の代わりにシールドシートを設けるようにしても良い。
以上のように、この実施形態では、表示画面の大きさに比べて小型の電磁誘導式の部分画面センサを、金属部品の影響を受けない範囲で任意に配置するようにした。これにより、この実施形態によれば、表示素子ユニット20は改造することなく、部分画面センサ30を、表示素子ユニット20に対して取り付けて利用することができる。表示素子ユニット20を改造する必要がないので、当該ユニット20を改造するコストを排除できると共に、入力装置の品質の安定性および量産性が向上する。
そして、この実施形態によれば、部分画面センサ30は、表示画面5の全表示領域よりも小さい用途に応じた領域を検出領域としたので、無駄の無い構成とすることができる。
<部分画面センサ30の構成例および信号処理部の例>
図2では図示を省略したが、部分画面センサ30に対しては、位置検出用の信号処理部100が設けられる。図4に、部分画面センサ30の構成例およびこの信号処理部の構成例を示す。
なお、この図4に示すように、位置指示器2は、回路構成としては、位置指示コイル2Lと、この位置指示コイル2Lに並列に接続される共振コンデンサ2Coと可変容量コンデンサ2Cvとからなる共振回路によって現される。
一方、部分画面センサ30には、X軸方向ループコイル群32と、Y軸方向ループコイル群32とが積層されて設けられている。各ループコイル群32,33は、それぞれ複数本の矩形のループコイルからなっている。コイルループ群32を構成する各ループコイルは、矩形の部分画面センサ30の横方向(X軸方向)に、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。また、ループコイル群33を構成する各ループコイルは、矩形の部分画面センサ30の縦方向(Y軸方向)に、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。
また、部分画面センサ30に対して設けられる信号処理部100には、X軸方向ループコイル群32及びY軸方向ループコイル群33が接続される選択回路101が設けられている。この選択回路101は、2つのループコイル群32,33のうちの一のループコイルを順次選択する。
さらに、信号処理部100には、発振器102と、電流ドライバ103と、切り替え接続回路104と、受信アンプ105と、検波器106と、低域フィルタ107と、サンプルホールド回路108と、A/D(Analog to Digital)変換回路109と、同期検波器111と、低域フィルタ112と、サンプルホールド回路113と、A/D変換回路114と、処理制御部110とが設けられている。
発振器102は、周波数f0の交流信号を発生する。そして、発振器102は、発生した交流信号を、電流ドライバ103と同期検波器111に供給する。電流ドライバ103は、発振器102から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路104へ送出する。切り替え接続回路104は、処理制御部110からの制御により、選択回路101によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ103が、受信側端子Rには受信アンプ105が、それぞれ接続されている。
選択回路101で選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路101及び切り替え接続回路104を介して受信アンプ105に送られる。受信アンプ105は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、検波器106及び同期検波器111へ送出する。
検波器106は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、低域フィルタ107へ送出する。低域フィルタ107は、前述した周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、検波器106の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路108へ送出する。サンプルホールド回路108は、低域フィルタ107の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D変換回路109へ送出する。A/D変換回路109は、サンプルホールド回路108のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理制御部110に出力する。
一方、同期検波器111は、受信アンプ105の出力信号を発振器102からの交流信号で同期検波する。そして、同期検波器111は、受信アンプ105の出力信号と発振器102からの交流信号との間の位相差に応じたレベルの信号を低域フィルタ112に送出する。この低域フィルタ112は、周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、同期検波器111の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路113に送出する。このサンプルホールド回路113は、低域フィルタ112の出力信号の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D変換回路114へ送出する。A/D変換回路114は、サンプルホールド回路113のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理制御部110に出力する。
処理制御部110は、マイクロコンピュータを備えて構成され、位置検出用の信号処理部100の各部を制御する機能を備える。すなわち、処理制御部110は、選択回路101におけるループコイルの選択、切り替え接続回路104の切り替え、サンプルホールド回路108、113のタイミングを制御する。処理制御部110は、また、A/D変換回路109、114からの入力信号に基づき、X軸方向ループコイル群32及びY軸方向ループコイル群33から一定の送信継続時間をもって電波を送信させる。
X軸方向ループコイル群32及びY軸方向ループコイル群33の各ループコイルには、位置指示器2から送信される電波によって誘導電圧が発生する。処理制御部110は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて部分画面センサ30の検出領域におけるX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。また、処理制御部110は、送信した電波と受信した電波との位相差に基づいて筆圧を検出する。
次に、処理制御部110における処理の流れに沿った位置検出および筆圧検出の動作について、図5を参照して説明する。図5は、処理制御部110における処理の流れを示す図である。
まず、処理制御部110は、X軸方向ループコイル群32の各ループコイルを順次走査・選択する(グローバルスキャン)(ステップS1)。
処理制御部110は、切り替え接続回路104に送信側端子Tを選択する信号を所定の一定時間送出する。そして、切り替え接続回路104が送信側端子Tを選択する状態で前記所定の一定時間が経過すると、処理制御部110は、切り替え接続回路104に受信側端子Rを選択する信号を送出し、ループコイルX1より発生する電波を消滅させる。
ループコイルX1より発生する電波が消滅すると、位置指示器2のコイル2L、共振コンデンサ2Co及び可変容量コンデンサ2Cvを有する共振回路に発生した誘導電圧は、その損失に応じて徐々に減衰し、位置指示器2の共振回路が周波数f0の電波を発信する。この電波は、前述のループコイルX1を逆に励振し、ループコイルX1に誘導電圧を発生させる。
そして、処理制御部110は、切り替え接続回路104が受信側端子Rを選択する状態で前記一定時間が経過すると、選択回路101にX軸方向ループコイル群32のうちの2番目のループコイル、例えばループコイルX2を選択する情報を送出する。処理制御部110は、また、切り替え接続回路104に送信側端子Tを選択する信号を送出する。
前述した受信期間中にX軸方向ループコイル群32のループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号は、検波器106で検波されて直流信号に変換され、低域フィルタ107で平滑化される。そして、サンプルホールド回路108によって所定のタイミングでホールドされ、A/D変換回路109を介することにより、電圧値として処理制御部110へ送出される。
ここで、サンプルホールド回路108の出力レベルは位置指示器2とループコイルとの間の距離に依存した値となる。そのため、処理制御部110は、サンプルホールド回路108の出力レベルの最大値が予め設定した一定値以上であるか否かを判別し(ステップS2)、位置指示器2が部分画面センサ30での有効読取り高さ内にあるか否かを判定する。
ステップS2の処理において、サンプルホールド回路108の出力レベルの最大値が予め設定した一定値以上ではない、つまり、位置指示器2が有効読取り高さ内にないと判定した場合、処理制御部110は、処理をステップS1に戻す。
一方、ステップS2の処理において、位置指示器2が有効読取り高さ内にあると判定した場合、処理制御部110は、各ループコイルX1〜Xnのうち最大値が得られたループコイル(以下、ピークコイルと称す。)を抽出し、そのループコイルの番号を記憶する(ステップS3)。
次に、処理制御部110は、Y軸方向ループコイル群33の各ループコイルを順次走査・選択(グローバルスキャン)し(ステップS4)、Y軸方向ループコイル群33の各ループコイルにおける電波の送受信を行う。次に、各ループコイルY1〜Ymについても同様の動作を行う(ステップS5)。
次に、処理制御部110は、X軸方向ループコイル群32のうちのピークコイルを中心として、そのピークコイルに隣接する所定の数のループコイル、例えば5つのループコイルについて電波の送受信を行う(セクタスキャン)(ステップS6)。
X軸セクタスキャン動作が終了後、処理制御部110は、Y軸方向ループコイル群33についても同様のセクタスキャンを行う(ステップS7)。
Y軸セクタスキャン動作が終了すると、処理制御部110は、ステップS6,S7の処理で得られた誘導電圧の最大値が予め設定した一定値以上か否かを判別し(ステップS8)、位置指示器2が部分画面センサ30の有効読取り高さ内にあるか否かを判定する。
ステップS8の処理において、サンプルホールド回路108の出力レベルの最大値が予め設定した一定値以上ではない、つまり、位置指示器2が有効読取り高さ内にないと判定した場合、処理制御部110は、処理をステップS1に戻す。
一方、ステップS8の処理において、位置指示器2が有効読取り高さ内にあると判定した場合、処理制御部110は、最大の誘導電圧が得られたX軸方向のピークコイル及びY軸方向のピークコイルを抽出し、それぞれの番号を記憶する(ステップS9)。
次に、処理制御部110は、X軸方向及びY軸方向のセクタスキャン毎にレベルの大きい順に複数、例えば3つの誘導電圧をそれぞれ抽出し、これらの信号に基づいて位置指示器2による指示位置のX軸方向及びY軸方向の座標値を求める(ステップS10)。このX軸方向及びY軸方向の座標値は、本出願人が先に出願した特許第2131145号で述べているような周知の座標計算を実行することにより算出することができる。
次に、処理制御部110は、送信した電波と受信した電波の位相差に応じた信号のレベルから筆圧を検出する(ステップS11)。以下、位置指示器2が有効読取り高さ内にあり続ける限り、処理制御部110は、ステップS6〜S11の処理を繰り返し、有効読取り高さ内にないと判定した場合にステップS1の処理に復帰する。
このように、部分画面センサ30では、接近した位置指示器2の位置を処理制御部110で検出することができる。しかも、受信した信号の位相を検出することにより、位置指示器2の筆圧値の情報を得ることができる。
<入力装置10の内部構成例>
次に、この第1の実施形態の入力装置10の内部回路構成について説明する。図6は、入力装置10の内部回路の構成例を示すブロック図である。入力装置10は、入出力インターフェース11と、全体制御部12と、表示制御部13と、前述した部分画面センサ30を取り付けた表示素子ユニット20の液晶ディスプレイ素子23と、部分画面センサ30と、当該部分画面センサ30に接続される信号処理部100とを内部に備える。
入出力インターフェース11は、入力装置10がパソコン4との間で信号の授受を行うためのインターフェースである。入出力インターフェース11は、パソコン4からの、表示情報を主とする受信情報を受信すると、その受信情報を全体制御部12に送る。
全体制御部12は、例えばマイクロコンピュータを備えて構成されており、受け取った受信情報から表示情報を生成し、当該生成した表示情報を表示制御部13に送る。表示制御部13は、受け取った表示情報を液晶ディスプレイ素子23に供給して、その表示画面5に、その表示情報による表示画像を表示するように制御する。
信号処理部100は、前述したようにして、部分画面センサ30に対する位置指示器2の指示入力を検出し、その指示入力検出情報を生成する。そして、信号処理部100は、生成した位置指示器2の指示入力検出情報を、全体制御部12に供給する。全体制御部12は、信号処理部100から受け取った指示入力検出情報を、入出力インターフェース11を通じてパソコン4に送る。
パソコン4は、入力装置10からの指示入力検出情報を受信すると、受信した位置指示器2の指示入力検出情報に基づく表示情報を生成し、その表示情報を、文書などの入力装置10に送る表示情報に合成する。例えば、位置指示器2で入力されたのが文字であれば、入力された文字を入力装置10に送信する表示情報に合成する。したがって、入力装置10の液晶ディスプレイ素子23の表示画面5には、位置指示器2の指示入力検出情報に応じた文字などが表示される。
また、信号処理部100は、この実施形態では、ユーザによる部分画面センサ30の上に持ち来す所作に応じて、位置指示器2が部分画面センサ30の有効読取り高さ内に入ったか否かを監視しており、その監視出力も、指示入力検出情報に含めて全体制御部12に供給する。
全体制御部12は、指示入力検出情報を監視して、位置指示器2が部分画面センサ30の有効読取り高さ内に入ったことを検知したとき、その検出領域枠制御部14を起動し、部分画面センサ30の検出領域を示す枠情報を、入出力インターフェース11からの表示情報に重畳するようにする。検出領域枠制御部14は、部分画面センサ30の検出領域を示す枠情報を予め生成して記憶部に所持しており、起動されると、表示画面5の対応する表示領域においてその枠情報を出力して、入出力インターフェース11からの表示情報に重畳するようにする。なお、検出領域枠制御部14の機能は、全体制御部12のソフトウエア処理機能により構成することができる。
以上のことから、液晶ディスプレイ素子23の表示画面5には、図7に示すように、部分画面センサ30の検出領域の外周枠15が表示される。ユーザは、この検出領域の外周枠15の表示を頼りに、当該外周枠15内に位置指示器2による指示入力をすることで、位置指示器2による検出領域内への入力作業を容易に行うことができる。
図7の例では、パソコン4から供給される表示情報が「契約書」であり、ユーザは、外周枠15内に、位置指示器2としてのタッチペンにより、署名を手書き入力するものである。すなわち、ユーザは、契約書の内容を表示画面5で確認しながら、書面と同様の感覚で、署名をすることができる。
なお、部分画面センサ30の表示画面5に対する配置位置は、部分画面センサ30の検出領域に対する位置指示器2によるユーザの指示入力が容易になる位置とされている。この例の場合には、部分画面センサ30は、その検出領域が表示画面5の右下となるように配置されている。これは、右利きのユーザであれば、タッチペンを持って、手のひらを入力装置の表示画面5の外枠(額縁)部分に置きながら、署名入力をすることができるからである。
したがって、左利きのユーザの場合には、部分画面センサ30の配置位置は、表示画面5の左下とする方が良いが、この実施形態では、上述の説明から明らかなように、表示素子ユニット20に対して接着等により取り付けることができるので、そのような変更が容易である。
<入力装置10における処理動作の流れ>
次に、図8に、全体制御部12における処理動作の流れの例を示す。すなわち、全体制御部12は、先ず、信号処理部100からの位置指示器2の検出出力を参照して、位置指示器2が部分画面センサ30の有効読取り高さ内に存在しているか否か判別する(ステップS21)。
ステップS21で、位置指示器2が部分画面センサ30の有効読取り高さ内に存在していないと判別したときには、全体制御部12は、入出力インターフェース11から受け取った表示情報をそのまま液晶ディスプレイ素子23に供給する(ステップS22)。そして、全体制御部12は、処理ステップS21に戻す。
また、ステップS21で、位置指示器2が部分画面センサ30の有効読取り高さ内に存在していると判別したときには、全体制御部12は、検出領域枠制御部14により部分画面センサ30の検出領域の外周枠を、入出力インターフェース11から受け取った表示情報に重畳する。そして、その検出領域の外周枠を重畳した表示情報を、液晶ディスプレイ素子23に供給する(ステップS23)。そして、全体制御部12は、処理ステップS21に戻す。
次に、入力装置10に接続されるパソコン4における処理動作の流れの例を図9に示す。この実施形態の場合、パソコン4は、入力装置10の部分画面センサ30に対する位置指示器2による指示入力を利用するアプリケーション・ソフトウエア(以下、単にアプリケーションという)を有している。換言すると、入力装置10の部分画面センサ30に対する位置指示器2による指示入力は、パソコン4が有する前記アプリケーション専用とされている。
以下に説明する例は、図7に示したように、契約書などの文書にユーザが署名入力をする場合である。パソコン4は、ユーザによる署名入力を受け付けて、それを契約書などの文書中に貼り付け、そして、当該署名が貼り付けられた文書を保存する機能を備えるアプリケーションを有している。
パソコン4は、契約書などの文書の表示情報の入力装置10への送出を開始する(ステップS31)。次に、パソコン4は、入力装置10からの位置指示器2の指示入力検出情報を受け取り、位置指示器2が部分画面センサ30の有効読取り高さ内に存在しているか否か判別する(ステップS32)。
ステップS32で、位置指示器2が部分画面センサ30の有効読取り高さ内に存在してはいないと判別したときには、パソコン4は、当該処理を終了する指示があったか否か判別する(ステップS33)。このステップS33で、処理を終了する指示がなかったと判別したときには、パソコン4は処理をステップS32に戻し、このステップS32以降の処理を繰り返す。ステップS33で、処理を終了する指示があったと判別したときには、パソコン4はこの処理ルーチンを終了する。
また、ステップS32で、位置指示器2が部分画面センサ30の有効読取り高さ内に存在すると判別したときには、パソコン4は、署名入力用のアプリケーションを起動する(ステップS34)。次に、パソコン4は、入力装置10からの位置指示器2の指示入力検出情報を参照し、署名入力情報を受信したか否か判別する(ステップS35)。
ステップS35で、署名入力情報を受信してはいないと判別したときには、パソコン4は、処理を終了する指示があったか否か判別する(ステップS39)。このステップS39で、処理を終了する指示がなかったと判別したときには、パソコン4は処理をステップS35に戻し、このステップS35以降の処理を繰り返す。ステップS39で、処理を終了する指示があったと判別したときには、パソコン4は、署名入力用のアプリケーションを終了させ(ステップS40)、その後、この処理ルーチンを終了する。
ステップS35で、署名入力情報を受信したと判別したときには、パソコン4は、受信した署名入力情報を表示情報に変換し、その変換した表示情報を、入力装置10に送る文書などの表示情報に合成し、当該合成した表示情報を入力装置に送信する(ステップS36)。
次に、パソコン4は、保存指示を受け付けたか否か判別し(ステップS37)、受け付けてはいないと判別したときには、ステップS39に進み、処理を終了する指示があったか否か判別する。そして、パソコン4は、前述したこのステップS39以降の処理を実行する。
また、ステップS37で、保存指示を受け付けたと判別したときには、パソコン4は、署名入力情報を合成した文書などの表示情報の記憶部への保存処理を実行する(ステップS38)。この保存処理においては、署名入力情報を合成した文書などの表示情報に対してファイル名などの識別子が付与され、後で、その識別子により、当該表示情報が読み出される。
ステップS38の次には、ステップS39に進み、処理を終了する指示があったか否か判別する。そして、パソコン4は、前述したこのステップS39以降の処理を実行する。
<第1の実施形態の変形例>
以上の例では、入力装置10は、位置指示器2が部分画面センサ30の有効読取り高さ内に入ったことを検知したときに、部分画面センサ30の検出領域の外周枠を、入出力インターフェース11からの表示情報に重畳表示するようにした。しかし、部分画面センサ30の検出領域の外周枠を表示情報に重畳表示する方法はこれに限られるものではない。
例えば、入力装置10に操作ボタンを設け、この操作ボタンが、ユーザによる所作、例えば押下操作されたときに、当該入力装置10が、部分画面センサ30の検出領域の外周枠15を、表示情報に重畳表示するようにしても良い。
また、パソコン4の署名入力用のアプリケーションが、位置指示器2が部分画面センサ30の有効読取り高さ内に存在すると判別したときに、入力装置10に送る表示情報に前記部分画面センサ30の検出領域の外周枠を重畳するようにしても良い。
また、入力装置10に設けられた操作ボタンが、例えば押下操作されたことをパソコン4が検知して、当該パソコン4が、部分画面センサ30の検出領域の外周枠15を、表示情報に重畳表示するようにしても良い。
また、上記の例では、パソコン4は、入力装置10からの指示入力検出情報を参照して、位置指示器2が部分画面センサ30の有効読取り高さ内に存在すると判別したときに、署名入力用のアプリケーションを起動させるようにした。しかしながら、署名入力用のアプリケーションの起動方法もこれに限られるものではない。
例えば、パソコン4が、入力装置からの指示入力検出情報を参照して、位置指示器2が部分画面センサ30の検出領域内の予め定められた特定の位置や部分を指示していることを検知したときに、署名入力用のアプリケーションを起動させるようにしても良い。また、位置指示器2の高さ位置や、検出領域内の位置ではなく、位置指示器2の、部分画面センサ30の検出領域内での特定の動きに基づいて、パソコン4が、署名入力用のアプリケーションを起動させるようにしても良い。
また、入力装置10に操作ボタンを設け、その操作ボタンの操作情報をパソコン4に送るようにしておき、ユーザがこの操作ボタンを、例えば押下操作したときに、パソコン4が、署名入力用のアプリケーションを起動させるようにしても良い。
また、上述の第1の実施形態では、入力装置10は、パソコン4に対して接続される構成とした。しかし、入力装置10に、上述のパソコン4のアプリケーションの機能を設けると共に、保存や終了などの所定のキー操作部を設けるようにして、パソコン4を不要にした入力装置10単独の構成とすることできる。
また、上述の第1の実施形態では、表示素子ユニット20は、液晶ディスプレイ素子23を用いると共に、バックライト24を伴うものとした。しかし、図10に示すように、表示素子ユニット20は、バックライト24を伴わない構成とする場合もある。この図10の例の表示素子ユニット20の場合には、部分画面センサ30は、液晶ディスプレイ素子23の裏面側(表示画面5とは反対側)に直接的に貼り付けられて構成される。そして、上述の例と同様に、部分画面センサ30の裏側には、シールド板31(またはシールドシート)を設けるようにする。
なお、上述の実施形態では、部分画面センサ30の検出領域の外周枠を表示画面5に表示することで、部分画面センサ30の検出領域をユーザに呈示するようにした。しかし、部分画面センサ30の検出領域をユーザに呈示する手法としては、枠を表示する方法に限ることなく、例えば、当該検出領域を特定の色で表示する、半透明のような表示状態にするなど、種々の手法を用いることができる。
また、上述の実施形態では、部分画面センサ30の検出領域は、署名文字入力領域として、部分画面センサ30に対する指示入力を、当該署名文字入力をとして検知するアプリケーションを立ち上げるようにした。しかし、部分画面センサ30の検出領域に対する指示入力を、いずれの用途に用いるかは、上述の例に限らず任意である。例えば、部分画面センサ30の検出領域を、表示画面5の全領域に対応するものとして、部分画面センサ30の検出領域に対する指示入力を、ポインティングによる指示入力と同様に扱うようにすることもできる。
また、上述の実施形態の説明では、入力装置10は、パソコン4などの外部装置の入力装置として用いられる場合であるが、この発明による入力装置は、上述のパソコン4の機能を内蔵する装置の構成とすることもできる。
[第2の実施形態;図11〜12]
上述の第1の実施形態では、電磁誘導方式の部分画面センサ30は、表示素子ユニット20の裏面側(表示画面5とは反対側)に、直接的に貼り付けられて設けられた。これに対して、この発明に関連する入力装置の第2の実施形態では、電磁誘導方式の部分画面センサ30を、表示素子ユニット20の裏面側(表示画面5とは反対側)に、所定の部材を介して取り付けるようにする。
図11は、この第2の実施形態の要部を示す図であり、表示素子ユニット20を、図2の状態とは逆さまにして、下側金属フレーム22を上にして示した図である。
この第2の実施形態においては、図11に示すように、下側金属フレーム22の互いに対向する辺221と辺222とを橋絡するように不導体からなるシート51(絶縁シート)を設ける。不導体シート51には、辺221および辺222と重なる部分に両面テープ51a、51b(図11において斜線を付した部分)が貼付されており、この両面テープ51a、51bにより、不導体シート51は、辺221および辺222に接着されて固定されている。
そして、この不導体シート51の上に、つまり、表示素子ユニット20の表示画面5側とは反対側(裏面側)に、部分画面センサユニット50が被着されて設けられる。この部分画面センサユニット50は、構成的には、前述の第1の実施形態で用いた部分画面センサ30とシールド板31が組み合わされると共に、信号処理部100が接続されて構成されたものである。
図12に、部分画面センサユニット50の外観構成例を示す。すなわち、図12(A)は、部分画面センサユニット50を、位置指示器2により指示入力する側から見た図である。すなわち、図12(A)において、面501は部分画面センサユニット50の表面であり、この表面501側の上方の有効読取り高さ内に位置指示器2が存在すると、部分画面センサユニット50は、位置指示器2の位置の読み取りが可能になる。
また、図12(B)は、部分画面センサユニット50を、裏面502側から見た図である。この裏面502側には、信号処理部100が形成されている配線基板部504が設けられている。この配線基板部504は、フレキシブル基板503を通じて部分画面センサ30に接続されている。
部分画面センサユニット50は、その表面501側が、接着などにより不導体シート51に被着されることにより、表示素子ユニット20に対して固定される。なお、不導体シート51は、部分画面センサユニット50と、位置指示器2との間で電磁誘導結合が可能な材料であることは言うまでもない。
この第2の実施形態によれば、部分画面センサユニット50を、下側金属フレーム22の対向辺221および222を橋絡するように設けられた不導体シート51に取り付けるだけで良いので、製造が簡単であり、製造コストが安価となる。
また、この第2の実施形態は、前述の第1の実施形態と同様に用いられると共に、同様の作用効果を奏するものである。さらに、前述の第1の実施形態について記載した変形例は、この第2の実施形態にも同様に適用可能である。
なお、不導体シート51は、不導体板の構成であっても良い。
[第3の実施形態;図13〜図16]
上述の第1および第2の実施形態では、位置指示器2を用いて、表示画面5の一部の領域である検出領域においてのみ、指示入力をすることができる。しかし、最近は、表示画面5の全面を指示入力の検出領域として、種々の指示入力が可能とされる入力装置も多く、表示素子ユニット内に、その表示画面の全面を検出領域とする位置検出センサが表示画面の表面に貼られているものもある。
この発明に関連する入力装置の第3の実施形態は、表示画面5の一部の領域を検出領域とする位置検出センサである部分画面センサに加えて、表示画面5の全体の領域を検出領域とする位置検出センサ(全画面センサ)をも備える構成の入力装置である。
そして、この第3の実施形態の入力装置は、第1および第2の実施形態のパソコン4の機能を内蔵する構成を備える。
図13は、この第3の実施形態の入力装置60の表示素子ユニット(全画面センサを含む)および部分画面センサの部分を分解して示す分解斜視図である。図13の例は、第1の実施形態の図2に示した分解斜視図において、表示素子ユニット20に全画面センサを追加した構成に等しい。図13において、第1の実施形態と同一部分には、同一番号を付してある。
すなわち、この第3の実施形態の入力装置60の表示素子ユニット60Uは、図13に示すように、液晶ディスプレイ素子23と、上側金属フレーム21との間に、全画面センサ61を設けた状態でユニット化されて構成されている。そして、この例では、この表示素子ユニット60Uのバックライト24の裏面側に、部分画面センサ30およびシールド板31が、第1の実施形態と同様にして直接的に被着される。
全画面センサ61は、この例では、抵抗膜方式(アナログ抵抗膜方式)のタッチパネルからなる位置検出センサを用いる。しかし、この全画面センサ61は、静電容量方式のタッチパネルからなる位置検出センサを用いるようにしても良い。これらの抵抗膜方式および静電容量方式のタッチパネルの構成は周知であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
全画面センサ61が抵抗膜方式の場合には、位置指示器は、ユーザの指とされてもよいし、第1の実施形態で用いたタッチペンからなる位置指示器2であってもよい。ただし、部分センサとしての位置検出センサ30の検出領域は、全画面センサ61の表示画面全体をカバーする検出領域に含まれるため、タッチペンからなる位置指示器2を用いる場合には、当該位置指示器2の指示入力が重複検出される場合がある。
すなわち、位置指示器2が表示画面5から離れてはいるが、部分画面センサ30の有効読取り高さ範囲内にあると、部分画面センサ30によってのみ位置指示器2が検出される。しかし、ユーザが位置指示器2を表示画面5に接触させて指示入力すると、部分画面センサ30によってその指示入力が検出されるだけでなく、全画面センサ61でも位置指示器2による指示入力が検出される。
この第3の実施形態の入力装置60では、部分画面センサ30と、全画面センサ61との両方で、位置指示器2による指示入力を検出する状態では、部分画面センサ30のみの位置指示検出出力を有効とする。
そして、この第3の実施形態の入力装置60では、例えば、指による指示入力がなされたときには、全画面センサ61でのみ、その指示入力が検出されることになる。
図14は、この第3の実施形態の入力装置60の内部構成例のブロック図であり、第1の実施形態と同じ部分には、同一参照番号を付してある。この第3の実施形態の入力装置60は、部分画面センサ30と、信号処理部100と、表示制御部13と、液晶ディスプレイ素子23とを備えると共に、全画面センサ61と、その信号処理部62と、全体制御部63と、メモリ部64と、無線通信インターフェース65とを備える。
全体制御部63は、この第3の実施形態の入力装置60の全体を制御するもので、マイクロコンピュータを備えて構成されている。前述したように、この第3の実施形態の入力装置60は、パソコンの機能も備えており、メモリ部64は、入力装置60をパソコンとして動作させるための種々のソフトウエアプログラムを格納している。全体制御部63は、このメモリ部64のソフトウエアプログラムを用いて、種々の処理を実行する。
メモリ部64には、また、ソフトウエアキーボードなどの表示情報や、その他の入力操作のための表示情報が格納されていると共に、表示画面を通じた操作入力に基づき作成された契約書などの表示情報や、インターネットを通じて取得された情報なども格納されている。
全画面センサ61は、この入力装置60の操作入力部となるもので、ユーザの指やタッチペンなどの指示入力を受け付ける。信号処理部62は、全画面センサ61に対して指やタッチペンなどの指示入力を検出するための信号を供給して、全画面センサ61に対する指やタッチペンなどの指示入力を検出する。そして、信号処理部62は、全画面センサ61に対する指やタッチペンなどの指示入力の検出情報を全体制御部63に供給する。
全体制御部63は、全画面センサ61からの指示入力検出情報を受け取ると、そのときに実行されているアプリケーションに応じた処理を行う。例えば、メニュー画面からの各種アプリケーションの選択を行うアプリケーションが実行されているときには、全画面センサ61からの指示入力検出情報はアプリケーションの選択情報である。したがって、全体制御部63は、指示入力検出情報により選択されたアプリケーションを起動する処理を行う。また、例えば、ソフトウエアキーボードのアプリケーションが実行されているときには、全体制御部63は、全画面センサ61からの指示入力検出情報により、いずれのキーが押下されたかを検出して、押されたキーに応じた文字を表示画面5に表示する処理を行う。
無線通信インターフェース65は、全画面センサ61により、インターネットへの接続などの通信要求が選択されたときに、全体制御部63の制御に基づき当該インターネットに接続するために用いられる。そして、全体制御部63は、無線通信インターフェース65を通じてインターネットに対する接続処理を行って、種々の情報のやり取りの制御を行う。そして、全体制御部63は、無線通信インターフェース65を通じて受信した情報を、メモリ部64に格納する処理も行う。
さらに、全体制御部63は、メモリ部64から読み出した表示情報や、無線通信インターフェース65を通じて受信した表示情報を、表示制御部13を通じて液晶ディスプレイ素子23に供給し、表示画面5に表示させるようにする。
そして、この実施形態では、全体制御部63は、所定のアプリケーションが実行されているときに、部分画面センサ30からの指示入力検出情報が、位置指示器2が有効読取り高さ内にあることを示しているときに、検出領域枠を表示画面に表示する検出領域枠制御部66の機能を備えている。ここで、前記所定のアプリケーションは、部分画面センサ30の指示入力検出情報を特に用いるアプリケーションである。上述の実施形態の説明における契約書などの署名が必要な文書などの表示情報の処理アプリケーションが、その例である。
次に、この第3の実施形態の入力装置60における全体制御部63での処理例を、契約書などの署名が必要な文書などの表示情報の処理アプリケーションが起動されている場合を例にとって、図15および図16のフローチャートを参照しながら以下に説明する。
この図15および図16のフローチャートは、例えば全画面センサ61を通じた指示入力操作により、署名が必要な表示情報が選択され、その処理の開始が指示されたときに、全体制御部63により開始される。
まず、全体制御部63は、選択された署名が必要な表示情報を、表示制御部13を介して液晶ディスプレイ素子23に供給して、表示画面5に表示する(ステップS51)。次に、全体制御部63は、信号処理部100からの位置指示器2の検出出力を参照して、位置指示器2が、部分画面センサ30の有効読取り高さ内に存在しているか否か判別する(ステップS52)。
このステップS52で、位置指示器2が部分画面センサ30の有効読取り高さ内に存在していると判別したときには、全体制御部63は、署名入力用のアプリケーションを起動する。そして、全体制御部63は、信号処理部62からの全画面センサ61の指示入力検出情報は無効として扱うようにする(ステップS53)。
次に、全体制御部63は、検出領域枠制御部66により部分画面センサ30の検出領域の外周枠を表示情報に重畳し、その検出領域の外周枠を、液晶ディスプレイ素子23の表示画面5に表示させる(ステップS54)。
次に、全体制御部63は、信号処理部100からの指示入力検出情報を参照して、部分画面センサ30で、位置指示器2による署名入力情報を検出したか否か判別する(ステップS55)。
このステップS55で、署名入力情報を検出したと判別したときには、全体制御部63は、検出した署名入力情報を表示情報に変換し、その変換した表示情報を、署名が必要な文書などの表示情報に合成し、当該合成した表示情報を表示制御部13に供給する。表示制御部13は、この表示情報を液晶ディスプレイ素子23に供給して、その表示画面5に、署名文字が合成された文書などの表示情報を表示する(ステップS56)。
ステップS56の次には、全体制御部63は、位置指示器2が、部分画面センサ30の有効読取り高さ内から離脱したか否か判別する(ステップS57)。また、ステップS55で、部分画面センサ30で、位置指示器2による署名入力情報を検出してはいないと判別したときには、全体制御部63は、前記ステップS56を飛ばしてステップS57に進む。
このステップS57で、位置指示器2が、部分画面センサ30の有効読取り高さ内から離脱していないと判別したときには、全体制御部63は、処理をステップS55に戻し、このステップS55以降の処理を繰り返す。
また、ステップS57で、位置指示器2が、部分画面センサ30の有効読取り高さ内から離脱したと判別したときには、全体制御部63は、信号処理部62から受け取る全画面センサ61の指示入力検出情報を有効とする(ステップS58)。
そして、全体制御部63は、信号処理部62からの全画面センサ61の指示入力検出情報から、全画面センサ61に対する指示入力を検出したか否か判別する(図16のステップS61)。このステップS61で、全画面センサ61に対する指示入力を検出してはいないと判別したときには、全体制御部63は、部分画面センサ30の検出領域の外周枠15を、表示画面5から消去する(ステップS62)。その後、全体制御部63は、処理をステップS52に戻し、このステップS52以降の処理を繰り返す。
また、ステップS61で、全画面センサ61に対する指示入力を検出したと判別したときには、全体制御部63は、検出した指示入力は、手のひらであるか否か判別する(ステップS63)。ステップS63で、手のひらであると判別したときには、全体制御部63は、全画面センサ61の指示入力検出情報を再度無効として扱うようにする(ステップS64)。そして、全体制御部63は、処理をステップS55に戻し、このステップS55以降の処理を繰り返す。
以上のステップS58〜ステップS64までの処理は、タッチペンからなる位置指示器2で、部分画面センサ30の検出領域において署名入力を行っている状態から、タッチペンを一時的に離して、続いて署名入力をしようとしているか否かを判別するための処理である。
すなわち、一般的に署名者は、部分画面センサ30に対して位置指示器2としてのタッチペンにより署名入力をする際に、手のひらを表示画面5に接触させた状態で、タッチペンを部分画面センサ30上に持ち来たして、署名入力操作をすると考えられる。そして、署名入力操作を一時的に停止して、続けて入力する場合、手のひらは表示画面5に接触させた状態のままとすると考えられる。
そこで、この実施形態では、部分画面センサ30から位置指示器2が一時的に離れた状態であっても、全画面センサ61で手のひらを検出する状態は、ユーザが部分画面センサ30でタッチペンによる署名入力を継続使用としていると判断する。そのため、ステップS63で、全画面センサ61で検出した指示入力は手のひらであると判別したときには、全体制御部63は、全画面センサ61の指示入力検出情報を再度無効として扱い、処理をステップS55に戻して、部分画面センサ30におけるタッチペンの入力を迅速に検出することができるようにしている。
一方、ステップS63で、検出した指示入力は手のひらではないと判別したときには、全体制御部63は、検出した指示入力は、例えば終了アイコンの操作による終了指示であるか否か判別する(ステップS66)。このステップS66で、終了指示ではないと判別したときには、全体制御部63は、その他のアイコンの操作による指示であるとして、当該他のアイコン操作に対応する処理を実行する(ステップS67)。例えば、このステップS67では、保存アイコンの操作による保存指示に応じて、署名入力がなされた文書の情報をメモリ部64に保存する処理を実行する。
また、ステップS66で、終了指示であると判別したときには、全体制御部63は、署名が必要な文書などの表示情報の処理アプリケーションを終了させ、この処理ルーチンを終了する。
また、ステップS52で、位置指示器2が部分画面センサ30の有効読取り高さ内に存在していないと判別したときには、全体制御部63は、信号処理部62からの全画面センサ61の指示入力検出情報から、全画面センサ61に対する指示入力を検出したか否か判別する(ステップS65)。このステップS65で、全画面センサ61に対する指示入力を検出してはいないと判別したときには、全体制御部63は、処理をステップS52に戻し、このステップS52以降の処理を繰り返す。
また、ステップS65で、全画面センサ61に対する指示入力を検出したと判別したときには、全体制御部63は、処理をステップS66に進ませ、前述したこのステップS66以降の処理を実行する。
以上のようにして、この第3の実施形態によれば、全画面センサを表示素子ユニットが備える場合に、その表示素子ユニットに対して部分画面センサを、ユニットを改造することなく取り付けることができる。そして、この第3の実施形態では、部分画面センサの指示入力検出情報を、全画面センサの指示入力検出情報よりも優先させることにより、両センサの指示入力検出情報を適切に排他制御することができ、指示入力検出が適切にできるという効果もある。
<第3の実施形態および第1〜第3の実施形態の変形例>
なお、第3の実施形態の入力装置60は、パソコンの機能を内蔵する場合として説明した。しかし、第3の実施形態の入力装置60も、上述の第1および第2の実施形態と同様に、パソコンなどの外部装置の入力装置として用いるように構成することもできる。その場合には、入力装置60は、全画面センサと部分画面センサとの指示入力検出情報を、両者を区別することができる状態で、パソコンなどの外部装置に単に供給する構成とすることができる。そして、図15、図16に示した全画面センサと部分画面センサとの指示入力検出情報の排他制御などについては、パソコンなどの外部装置で行うものである。
尤も、第3の実施形態を外部装置の入力装置の構成とする場合にも、図15、図16に示した全画面センサと部分画面センサとの指示入力検出情報の排他制御や部分画面センサの外周枠15の表示などについては、入力装置60で実行する構成とすることも勿論できる。
なお、以上の第1〜第3の実施形態では、表示素子ユニットの裏面側に、位置検出センサである部分画面センサ30を1個だけ設けたが、電磁誘導方式の部分画面センサ30は、表示素子ユニットの裏面側に、複数個設けることもできる。
複数個の部分画面センサを設ける場合には、表示画面5内において互いに重ならない領域をそれぞれの検出領域とすると共に、それぞれの部分画面センサからの指示入力検出出力には、各部分画面センサに固有の識別情報(ID)を付加しておくようにする。このようにすれば、各部分画面センサからの指示入力検出情報は、付加されている識別情報により区別することができるので、部分画面センサ毎に対応して起動させるアプリケーションを異なるものとすることができる。
例えば、一の部分画面センサに対応して起動するアプリケーションは、上述と同様の署名などの手書き文字入力アプリケーションとする。また、他の部分画面センサに対応して起動するアプリケーションは、ポインティング入力用のアプリケーションとすることができる。
[第4の実施形態(この発明の入力の実施形態);図17〜図24]
以上の第1〜第3の実施形態の入力装置は、部分画面センサを表示素子ユニットの裏面側に設けた場合であるが、部分画面センサは、表示素子ユニットの表面側に設けることもできる。第4の実施形態の入力装置は、この発明の入力の実施形態であって、部分画面センサを表示素子ユニットの表面側に設ける場合である。
図17は、第4の実施形態の入力装置70の外観構成例を示す図である。この第4の実施形態の入力装置70では、図18に示すように、筐体701内には、第1の実施形態の入力装置10(図2参照)とは異なり、筐体701から露呈する表示素子ユニット20の液晶ディスプレイ素子23の表示画面5の表面に、部分画面センサユニット80が設けられる。
この第4の実施形態の入力装置70においては、部分画面センサユニット80は、特に、そのセンサ部は透明あるいは半透明とされると共に、入力装置70の表示画面5に対して着脱可能に貼り付けることができるものとされている。ここで、センサ部が透明とは、いわゆる無色透明を意味し、半透明とは、所定の色を呈するが透明として見なせるものを意味するものとする。
そして、表示画面5に対する部分画面センサユニット80の貼り付け態様としては、単に、表示画面5上に、部分画面センサユニット80を載置する態様であっても良いし、部分画面センサユニット80の裏面側に、表示画面5から容易に剥離可能となる接着部が設けられている態様であっても良い。
また、部分画面センサユニット80は、入力装置70の筐体内の信号処理制御回路部に対して、電波や光などを用いた無線通信により接続される。さらに、部分画面センサユニット80は、電力も、入力装置70の筐体701内の電力送信部から無線で受けるように構成されている。
そして、この第4の実施形態においては、部分画面センサユニット80は、署名などの文字入力用、ポインティングデバイス用、お絵かき用、などの用途毎に、複数個が用意されている。そして、各部分画面センサユニット80は、固有の識別情報を付加して指示入力検出情報を出力する。
図19に、この第4の実施形態の入力装置70の全体構成例のブロック図を示す。なお、図19において、前述の実施形態と同一の部分には、同一番号を付して、その詳細な説明は省略する。
この第4の実施形態の入力装置70の本体部は、第3の実施形態と同様に、パソコンの機能を備える構成を備える。この第4の実施形態の入力装置70の本体部は、筐体701内に、表示制御部13と、液晶ディスプレイ素子23とを備えると共に、全体制御部71と、メモリ部72と、無線通信インターフェース73と、無線インターフェース74と、電力送信部75とを備える。また、この第4の実施形態の入力装置70は、筐体701外に、部分画面センサユニット80を備える。
全体制御部71は、この第4の実施形態の入力装置70の全体を制御するもので、マイクロコンピュータを備えて構成されている。メモリ部72は、入力装置70の本体部をパソコンとして動作させるための種々のソフトウエアプログラムを格納しており、全体制御部71は、このメモリ部72のソフトウエアプログラムを用いて、種々の処理を実行する。また、メモリ部72は、表示画面を通じた操作入力に基づき作成された契約書などの表示情報や、インターネットを通じて取得された情報なども格納保持する。
また、さらに、メモリ部72には、前述した用途別の部分センサユニット80のそれぞれからの指示入力検出情報を用いて所定の機能を実現するアプリケーションのソフトウエアプログラムのそれぞれが格納されている。
無線通信インターフェース73は、全体制御部71でインターネットへの接続などの通信要求を検出したときに、全体制御部71の制御に基づき当該インターネットに接続するために用いられる。そして、全体制御部71は、無線通信インターフェース73を通じてインターネットに対する接続処理を行って、種々の情報のやり取りの制御を行う。そして、全体制御部71は、無線通信インターフェース73を通じて受信した情報を、メモリ部72に格納する処理も行う。
さらに、全体制御部71は、メモリ部72から読み出した表示情報や、無線通信インターフェース73を通じて受信した表示情報を、表示制御部13を通じて液晶ディスプレイ素子23に供給し、表示画面5に表示させるようにする。
無線インターフェース74は、部分画面センサユニット80から送られてくる指示入力検出情報を受信して、全体制御部71に転送するためのインターフェースである。この例では、部分画面センサユニット80と無線インターフェース74との間では、例えばBluetooth(登録商標)を用いた無線通信がなされる。無線通信の方法としては、Bluetooth(登録商標)を用いる例に限らず、例えばWi−Fi(登録商標)(wireless fidelity)を用いることもできる。
電力送信部75は、部分画面センサユニット80に電力を供給するための回路部である。この電力送信部75については、後述する。
部分画面センサユニット80は、この実施形態では、投影型静電結合方式のセンサを発展させたクロスポイント静電結合方式と呼ばれる方式のセンサを用いている。図20に、この実施形態の部分画面センサユニット80の構成例を示す。
この実施形態の部分画面センサユニット80は、図20に示すように、センサ部81と、信号処理部87とからなる。信号処理部87は、送信信号供給回路82と、受信信号処理回路83と、制御処理回路84と、無線送信回路85と、電力受信部86とからなる。
この実施形態の部分画面センサユニット80のセンサ部81は、透明の複数の送信導体Y1〜Ynからなる送信導体群811と、透明の複数の受信導体X1〜Xmからなる受信導体群812とを備える。なお、送信導体群811と、受信導体群812との間には透明の絶縁層が形成される。送信導体Y1〜Ynは、所定方向(図20中のX方向)に延在した所定の形状を有する線状の導体であり、複数の送信導体Y1〜Ynは、互いに所定間隔離して並列配置される。また、受信導体X1〜Xmは、各送信導体Y1〜Ynの延在方向に交差する方向(図20中のY方向)に延在した所定の形状を有する線状の導体であり、複数の受信導体X1〜Xmは、互いに所定間隔離して並列配置される。
以上のような構成により、センサ部81は、透明の構成を備える。なお、センサ部81は、所定の色が付いた半透明の状態であっても良い。送信信号供給回路82と、受信信号処理回路83と、制御処理回路84と、無線送信回路85と、電力受信部86の回路部とは、信号処理部87内に設けられる。この信号処理部87は、図17に示すように、センサ部81の外部に非透明部として接続されている。
このような構成の部分画面センサユニット80においては、送信信号供給回路82からの所定の送信信号が、制御処理部84からの制御信号により選択された送信導体に供給される。送信信号が送信導体に供給されるのと並行して、受信信号処理回路83は、制御処理部84からの制御信号により受信導体をスキャンして、送信信号が供給された送信導体と、受信導体との交差点(以下、クロスポイントという)に流れる電流の変化を、各クロスポイントの受信導体毎に検出する。
すなわち、センサ部81上において、指等の指示体813が置かれている位置では、電流が指示体813を介して分流され、受信導体に流入する電流が変化する。それゆえ、受信信号処理回路83は、電流が変化するクロスポイントを検出することにより、指示体813の位置を検出する。
受信信号処理回路83は、指示体813の位置の検出結果を、指示入力検出情報として、無線送信回路85に供給する。なお、受信信号処理回路83は、部分画面センサユニット80のそれぞれ毎の識別情報(ID)を付加するID付加回路831を備えており、このID付加回路831で識別情報(ID)を付加して、指示入力検出情報を無線送信回路85に供給する。
無線送信回路85は、識別情報(ID)が付加された指示入力検出情報を、筐体701内の無線インターフェース74に送信する。全体制御部71は、この無線インターフェース74を通じて部分画面センサユニット80からの指示入力検出情報を受信し、それに付加されているIDにより、いずれの用途の部分画面センサユニット80であるかを判断する。そして、その判断結果に応じて、対応するアプリケーションを起動する。
なお、図20に示すように、センサ部81上に複数のクロスポイントが形成されるので、クロスポイント静電結合方式の指示体検出装置は、同時的に複数の指示体の検出が可能になる。
次に、電力送信部75および電力受信部86の構成例について説明する。この実施形態では、磁界における共鳴現象を用いた電力伝送方法により、電力送信部75から電力受信部86に電力を伝送するようにする。なお、この磁界共鳴現象を用いた電力伝送システムは、例えば、米国特許出願公開2007/0222542号に開示されているものを用いることができる。
図21に、この実施形態における磁界共鳴現象を用いた電力伝送システムの構成例を示す。この図21は、電力の給電元の電力送信部75と、電力の給電先(受電側)の電力受信部86とが1対1の場合のシステム構成例を示すブロック図である。しかし、電力送信部75からは、複数の電力受信部86に対して、同時に電力送信をすることができる。
電力送信部75は、この例では、共鳴素子751と、励振素子752と、周波数信号発生部753とからなる。
共鳴素子751は、例えば空芯コイルで構成されており、ループコイルとされている。この共鳴素子751は、この例では、図17に示すように、入力装置70の筐体701内において、その外周縁に沿ったループコイルとして設けられる。
また、励振素子752(図17では、図示は省略)は、例えば空芯コイルで構成されており、そのコイルの両端は、周波数信号発生部753の出力端の一方および他方に接続されている。そして、共鳴素子751と励振素子752とは、電磁誘導により強く結合する関係になるように構成されている。
共鳴素子751を構成する空芯コイルは、インダクタンスのみではなく、コイル内部容量(キャパシタンス)を有し、それらインダクタンスおよびキャパシタンスで定まる自己共振周波数を有している。
周波数信号発生部753は、共鳴素子751の自己共振周波数に等しい周波数の周波数信号を発生する。この周波数信号発生部753は、コルピッツ型発振回路やハートレー型発振回路などにより構成される。図示は省略するが、電力送信部75は、交流電源からの電源供給を受けて周波数信号発生部753から周波数信号を発生させる。
一方、電力受信部86は、この例では、共鳴素子861と、励振素子862と、整流回路863とからなっている。
共鳴素子861は、共鳴素子751と同様に、例えば空芯コイルで構成されており、ループコイルとされている。この共鳴素子861は、この例では、図17に示すように、部分画面センサユニット80のセンサ部81において、その外周縁に沿ったループコイルとして設けられる。
また、励振素子862は、例えば空芯コイル(図17では、図示は省略)で構成されており、そのコイルの両端は、整流回路863の入力端の一方および他方に接続されている。そして、これら共鳴素子861と励振素子862とは、電磁誘導により強く結合する関係になるように構成されている。
また、共鳴素子861を構成する空芯コイルは、共鳴素子751と同様に、インダクタンスのみではなく、コイル内部容量(キャパシタンス)を有し、それらインダクタンスおよびキャパシタンスで定まる自己共振周波数を有している。そして、共鳴素子751と共鳴素子861との自己共振周波数は、互いに等しい周波数foとされる。
以上のような構成において、電力送信部75においては、周波数信号発生部753から、共鳴素子751および861の自己共振周波数foに等しい周波数の周波数信号が励振素子752に供給される。これにより、励振素子752を構成する空芯コイルには、この周波数foの交流電流が流れ、同じく空芯コイルからなる共鳴素子751に、電磁誘導により、同じ周波数foの誘導電流を誘起させる。
この図21の例では、電力受信部86の共鳴素子861を構成する空芯コイルの自己共振周波数は、周波数foであって、電力送信部75の共鳴素子751の自己共振周波数とは一致している。したがって、電力送信部75の共鳴素子751と、電力受信部86の共鳴素子861とは、磁界共鳴関係になり、当該周波数foのときに結合量が最大になり、損失が最小となる。
以上のように、この例では、電力送信部75の共鳴素子751と、電力受信部86の共鳴素子861とは、磁界共鳴の関係になっているので、当該共鳴周波数foにおいて、共鳴素子751から共鳴素子861へと非接触で交流電流が供給される。
電力受信部86においては、共鳴素子861に現れた交流電流により、電磁誘導によって励振素子862に誘導電流が誘起される。そして、この励振素子862に誘起された誘導電流は整流回路863で整流されて直流電流とされ、信号処理部87に、その電源電流として供給される。
以上のようにして、電力送信部75から電力受信部86へ、磁界共鳴現象が用いられて電力が無線伝送される。なお、電力送信部75から電力受信部86への電力伝送は、上述の例の磁界共鳴現象を用いる方法に限られるわけではなく、電界や電波による電力伝送方法を用いるようにしても良い。
前述したように、この第4の実施形態においては、部分画面センサユニット80が複数個用意される。そして、入力装置70は、部分画面センサユニット80毎に、異なるアプリケーションを対応して備えている。そして、入力装置70の全体制御部71は、部分画面センサユニット80からの指示入力検出情報に付加されている識別情報(ID)により、いずれの部分画面センサユニット80であるかを認識する。さらに、全体制御部71は、認識した部分画面センサユニット80に対応するアプリケーションを検知してそれを起動し、受信した指示入力検出情報を、起動したアプリケーションにおいて処理して、所定の機能を実行するようにする。
この第4の実施形態の入力装置70が、幾つかの部分画面センサユニット80のそれぞれに対応して設けるアプリケーションの例を次に説明する。
先ず、第1の例は、上述の実施形態と同様に、ユーザの署名が必要な文書を表示画面5に表示している状態で、部分画面センサユニット80を通じて、表示画面5上において、ユーザが手書き署名をするアプリケーションである。
この場合に、この第4の実施形態においては、入力装置70の全体制御部71は、署名が必要な文書中において、署名を入力すべき位置を、部分画面センサユニット80を貼り付けて使用する位置として示す位置合わせ用マーカを表示画面5に表示して、ユーザの便宜に供するようにする。
例えば、図22に示すように、この例では、全体制御部71は、表示画面5に表示されている署名が必要な文書中の署名を入力すべき領域に合わせて、部分画面センサユニット80を貼り付けるべき位置を案内するための位置合わせ用マーカ501および502を表示する。
一方、署名入力用の部分画面センサユニット80のセンサ部81には、前記表示画面5の位置合わせ用マーカに対応する位置合わせ用マーカ801および802を設ける。この図22の例では、センサ部81が矩形であるので、位置合わせ用マーカ501および502、並びに、位置合わせ用マーカ801および802は、矩形のセンサ部81の左上隅と右下隅の2点の位置を示すように設けられる。
ユーザは、署名入力用の部分画面センサユニット80を、そのセンサ部81に設けられている位置合わせ用マーカ801および802を、表示画面5の位置合わせ用マーカ501および502に合致させるようにして位置合わせをして、表示画面5の表面に貼り合わせる。そして、そのセンサ部81において、静電ペンにより、署名を入力すると、入力された文字が表示画面5の当該署名を入力すべき領域に表示される。ユーザは、表示画面5において、センサ部81に入力した署名文字を、入力した通りに、透明のセンサ部81を通して観ることができる。
次に、第2の例は、部分画面センサユニット80を表示画面5上のユーザが操作し易い位置に貼り付けて、マウスのようなポインティング指示入力をするアプリケーションである。この第2の例の場合のアプリケーションにおいては、部分画面センサユニット80のセンサ部81の検出領域と、表示画面5の全表示領域とを対応付けする。そして、当該アプリケーションでは、センサ部81の検出領域内に対する位置指示器による指示位置に対応する表示画面5上の位置に、例えばポインティングのカーソルを表示するようにする。
すなわち、この第2の例のアプリケーションの場合には、図23に示すように、部分画面センサユニット80のセンサ部81の検出領域内で、ユーザが例えば指などの位置指示器803により指示操作すると、全体制御部71は、当該センサ部81の検出領域内での位置に対応する表示画面5の位置に、カーソル503を表示して、その表示画面5上の位置がポインティングされていることを表示する。
例えば、図23に示すように、ユーザが、センサ部81の検出領域内の中央位置で、指などの位置指示器803により指示入力すると、表示画面5の中央位置に、カーソル503が表示される。また、ユーザが、位置指示器803をセンサ部81の検出領域内で矢印方向に移動させると、表示画面5のカーソル503も同様に矢印方向に移動する。そして、ユーザが、位置指示器803によりセンサ部81の検出領域の左上隅を指示入力すると、表示画面5の左上隅に、カーソル503が表示される。
そして、ユーザが、センサ部81で予め定められた所定のジェスチャーや所作をすると、そのジェスチャーや所作に応じた指示入力、例えば決定操作やアイコンボタン押下動作をすることができるようにされる。例えば、センサ部81を断続的に2回叩くと、それは決定操作とされる。
この第4の実施形態においては、部分画面センサユニット80は、表示画面5の表面に貼り付けられると、電力送信部75からの前述した磁界共鳴による電力伝送を電力受信部86で受けて、動作可能状態になる。すると、全体制御部71は、動作可能状態になった部分画面センサユニット80からの指示入力検出情報の受け取りを開始する。そして、全体制御部71は、指示入力検出情報に付加されている識別情報(ID)を検出して、対応するアプリケーションを起動する。そして、全体制御部71は、その部分画面センサユニット80における位置指示器による指示入力に応じた処理を実行する。
部分画面センサユニット80が、表示画面5から取り外されると、電力受信部86では、電力送信部75からの電力の伝送を受け取ることができなくなるので、部分画面センサユニット80は、非動作状態になる。すると、全体制御部71は、その部分画面センサユニット80からの指示入力検出情報を受信しなくなることから、対応するアプリケーションを終了する。
以上の全体制御部71の処理動作の流れを図24のフローチャートに示す。全体制御部71は、先ず、部分画面センサユニット80からの指示入力検出情報を受信したか否か判別し(ステップS71)、受信していないと判別したときには、その他の処理に移行する(ステップS72)。
ステップS71で、部分画面センサユニット80からの指示入力検出情報を受信したと判別したときには、全体制御部71は、受信した指示入力検出情報に付加されている識別情報(ID)を検出して、部分画面センサユニット80を認識する。そして、全体制御部71は、認識した部分画面センサユニット80に対応して定義されているアプリケーションを起動する(ステップS73)。
次に、全体制御部71は、受信した指示入力検出情報から、位置指示器による指示入力を検出したか否か判別する(ステップS74)。このステップS74で、位置指示器による指示入力を検出したと判別したときには、全体制御部71は、起動したアプリケーションにより、検出した指示入力に応じた処理を実行する(ステップS75)。
次に、全体制御部71は、部分画面センサユニット80からの指示入力情報を受信しなくなったか否か判別する(ステップS76)。ステップS74で、位置指示器による指示入力を検出してはいないと判別したときには、ステップS75をバイパスして、ステップS76に進む。
ステップS76で、部分画面センサユニット80からの指示入力情報を受信しなくなってはいないと判別したときには、全体制御部71は、処理をステップS74に戻し、このステップS74以降の処理を繰り返す。また、ステップS76で、部分画面センサユニット80からの指示入力情報を受信しなくなったと判別したときには、全体制御部71は、対応するアプリケーションを終了する(ステップS77)。その後、全体制御部71は、処理をステップS71に戻し、このステップS71以降の処理を繰り返す。
以上のようにして、第4の実施形態では、部分画面センサユニットを、入力装置の表示画面5の表面側に貼り付けるようにするだけで、所定のアプリケーションにおける指示入力を行うようにすることができる。
<第4の実施形態の変形例>
なお、図24のフローチャートは、表示画面5には、1個の部分画面センサユニット80を貼り付ける場合の処理例であるが、表示画面5に、同時に複数個の部分画面センサユニット80を貼り付けて用いることもできる。前述したように、電力送信部75は、複数個の電力受信部86に電力伝送が可能であると共に、全体制御部71は、識別情報(ID)により、いずれの部分画面センサユニット80からの指示入力検出情報であるかを認識することができるからである。
なお、表示画面5の表側に部分画面センサを設ける上述の第4以降の実施形態では、静電結合方式の位置検出センサを用いるようにしたが、第1〜第3で説明した電磁誘導方式の位置検出センサを、表示画面5の表面側に設けるようにしても良い。その場合には、部分画面センサユニットは、上側金属フレーム21の開口部分(金属が存在しない部分)に対応する表示画面内に設ける。
また、上述の第4の実施形態の入力装置では、表示素子ユニット20を用いるようにしたが、図10に示したバックライトがないタイプの表示素子ユニットや、図13に示した全画面センサ61を備える表示素子ユニット60Uを用いることもできる。
全画面センサ61を備える表示素子ユニット60Uを用いる場合には、全画面センサ61と、部分画面センサユニット80のセンサ部81とは、異なる検出方式のセンサとする方が良い。例えば、全画面センサ61は、抵抗膜方式の位置検出センサとし、部分画面センサユニット80のセンサ部81は、上述のような静電結合方式あるいは電磁誘導方式の位置検出センサとするようにするとよい。ただし、全画面センサ61からの指示入力検出情報にも識別情報(ID)を付加するようにすれば、全体制御部71は、全ての位置検出センサからの指示入力検出情報を区別して判別することができるので、全画面センサ61と、センサ部81とで同じ検出方式の位置検出センサを用いることもできる。さらに、全画面センサ61と、センサ部81とで検出領域が重なるときには、上述の実施形態と同様に、センサ部81からの指示入力検出情報を優先として処理するようにすると良い。
なお、全画面センサ61と、部分画面センサユニット80とを併用する場合においては、部分画面センサユニット80のセンサ部81を、図22に示したようにして、マーカを用いて位置合わせをした場合に、全画面センサ61の指示入力検出情報から、位置合わせの確認をすることができる。すなわち、センサ部81を表示画面5のマーカに位置合わせした後、ユーザは、位置指示器により当該マーカ点をポインティングする。すると、全体制御部71は、そのポインティングされた位置が、正確な位置合わせ点になっているかどうかを判断して、それをユーザにメッセージなどにより、知らせることができる。
また、上述の第4の実施形態では、部分画面センサユニット80は、表示画面5の表面に対して着脱自在としたが、表示画面5の表面の予め定めた位置に固定的に貼り付けるようにしても良い。
また、部分画面センサユニット80は、上述したように無線により、入力装置70の筐体701内の信号処理部と接続するのではなく、有線で接続することもできることは言うまでもない。
また、上述の第4の実施形態は、入力装置がパソコンの機能をも有する場合の例であるが、入力装置がパソコンの機能を有せず、外部機器の入力装置の構成とする場合にも、この第4の実施形態が適用可能である。
<その他の変形例>
上述の第1〜第4の実施形態においては、表示素子としては、液晶ディスプレイ素子を用いているが、これに限られるものではない。例えば、表示素子としては、有機ELパネルなどであっても良い。