JP5926746B2 - 酸化物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化物およびその製造方法に関し、さらに詳しくは酸化鉄と少なくとも1種の典型金属元素の酸化物との固溶体からなる酸化物およびその製造方法に関する。
非水系二次電池として、リチウム二次電池が実用化されており、広く普及している。更に近年、リチウム二次電池は、ポータブル電子機器用の小型のものだけでなく、車載用や電力貯蔵用等の大容量のデバイスとしても注目されている。そのため、安全性やコスト、寿命等の要求がより高くなっている。
リチウム二次電池は、その主たる構成要素として正極、負極、電解液、セパレータ、及び外装材を有する。また、上記正極は、正極活物質、導電材、集電体及びバインダー(結着剤)により構成される。
一般に、正極活物質としては、LiCoOに代表される層状遷移金属酸化物が用いられている。しかしながら、層状遷移金属酸化物は、満充電状態において、150℃前後の比較的低温で酸素脱離を起こし易く、当該酸素脱離により電池の熱暴走反応が起こり得る。従って、このような正極活物質を有する電池をポータブル電子機器に用いる場合、電池の発熱、発火等の事故が発生する恐れがある。また、LiCoOは希少金属であるCoを含むため、より低コストな正極活物質が必要とされている。
これに対し、酸化鉄(Fe)をリチウム二次電池の活物質として用いることが検討されている。酸化鉄は安価であるだけでなく、1モル当たり6モルのリチウムイオンが充放電反応に関与することから高容量が期待できる。しかしながら、酸化鉄は、不可逆容量が大きく、充放電サイクル特性が不十分であるという問題がある。
そこで、充放電サイクル特性を向上させるため、α−Feの超微粒子を用いる方法(特許文献1)や、平均粒子径が1〜10nmの範囲で、かつ粒子径の分布幅が1〜10nmの範囲である酸化鉄超微粒子を用いる方法(特許文献2)や、γ−FeO(OH)と導電助剤との混合材料を熱処理して製造した複合材料を用いる方法(特許文献3)、共沈法により製造したα−FeとAlの混合物を用いる方法(非特許文献1)等が提案されている。
特開2003−257426号公報 特開2008−204777号公報 特開2008−243414号公報
第47回電池討論会要旨集3F−19
しかしながら、上記の特許文献のいずれの方法でも、充放電サイクル特性は不十分であり、実用的観点からはより一層の充放電サイクル特性の向上が必要とされている。
そこで、本発明は、優れた充放電サイクル特性を与える酸化物およびその製造方法を提供することを目的とした。
Feは、以下の式で示される酸化還元反応に基づいて充放電を行うことが知られている。例えば、正極に用いた場合、初回の放電時にはFeは還元されてFeとなる。しかし充電時には生成したFeがFeに戻りきれず別様の結晶成長、すなわち不可逆な結晶が析出し不可逆容量の原因となる。充放電の繰り返しとともに、元の位置に復帰しきれないFeが増加する結果、不可逆容量が増大し、充放電サイクル特性が低下する。
Figure 0005926746
これに対し、本発明者らは、Feの充放電サイクル特性を向上させるべく検討する過程において、活物質に電気化学的に活性な金属酸化物と電気化学的に不活性な酸化物との固溶体を用いると、充放電サイクル特性が向上することを見出した。
本発明は上記の本発明者らの知見に基づいて完成されたものであり、本発明の酸化物は、化学式(Fe1−x(但し、Mは少なくとも1種の典型金属元素で、0<x<1である。)で表わされるコランダム型構造を有することを特徴とするものである。
また、本発明の製造方法は、γ−Feと少なくとも1種の金属酸化物との混合物をメカノケミカル合成法で合成し、化学式(Fe1−x(但し、Mは少なくとも1種の金属元素で、0<x<1である。)で表わされるコランダム型構造を有する酸化物を製造することを特徴とするものである。
また、本発明の非水系二次電池用活物質は、化学式(Fe1−x(但し、Mは少なくとも1種の典型金属元素で、0<x<1である。)で表わされるコランダム型構造を有する酸化物からなることを特徴とするものである。
また、本発明の非水系二次電池は、化学式(Fe1−x(但し、Mは少なくとも1種の典型金属元素で、0<x<1である。)で表わされるコランダム型構造を有する酸化物を正極活物質として含む正極、負極および非水系電解質を含むことを特徴とするものである。
また、本発明の別の非水系二次電池は、化学式(Fe1−x(但し、Mは少なくとも1種の典型金属元素で、0<x<1である。)で表わされるコランダム型構造を有する酸化物を負極活物質として含む負極、正極および非水系電解質を含むことを特徴とするものである。
本発明は酸化鉄と少なくとも1種の典型金属酸化物との固溶体からなる新規な酸化物を提供するものである。該酸化物を活物質として使用することにより、高容量で充放電特性に優れた非水系二次電池を提供することができる。
合成したγ−FeのXRDパターンを示す図である。 合成例1の複合材料のXRDパターンを示す図である。 合成例2の複合材料のXRDパターンを示す図である。 合成例3の複合材料のXRDパターンを示す図である。 合成例4の複合材料のXRDパターンを示す図である。 合成例5の複合材料のXRDパターンを示す図である。 合成例6の複合材料のXRDパターンを示す図である。 合成例7の複合材料のXRDパターンを示す図である。 合成例8の複合材料のXRDパターンを示す図である。 合成例9の複合材料のXRDパターンを示す図である。 合成例10の複合材料のXRDパターンを示す図である。 合成例11の複合材料のXRDパターンを示す図である。 合成例12の複合材料のXRDパターンを示す図である。 合成例13の複合材料のXRDパターンを示す図である。 合成例14の複合材料のXRDパターンを示す図である。 比較例1のγ−FeのXRDパターンを示す図である。 比較例2のα−FeのXRDパターンを示す図である。 実施例1の充放電曲線を示す図である。 実施例1の充放電サイクル特性を示す図である。 実施例2の充放電サイクル特性を示す図である。 実施例3の充放電サイクル特性を示す図である。 実施例4の充放電サイクル特性を示す図である。 実施例5の充放電サイクル特性を示す図である。 実施例6の充放電サイクル特性を示す図である。 実施例7の充放電サイクル特性を示す図である。 実施例8の充放電サイクル特性を示す図である。 実施例9の充放電サイクル特性を示す図である。 実施例10の充放電サイクル特性を示す図である。 実施例11の充放電サイクル特性を示す図である。 実施例12の充放電サイクル特性を示す図である。 実施例13の充放電サイクル特性を示す図である。 実施例14の充放電サイクル特性を示す図である。 比較例1の充放電曲線を示す図である。 比較例1の充放電サイクル特性を示す図である。 比較例2の充放電曲線を示す図である。 比較例2の充放電サイクル特性を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の酸化物には、酸化鉄と少なくとも1種の典型金属元素の酸化物との固溶体からなるものを用いる。ここで、酸化鉄は電気化学的に活性な金属酸化物に相当し、典型金属元素の酸化物は電気化学的に不活性な酸化物に相当する。
なお、電気化学的に活性な金属酸化物とは、リチウム二次電池の充放電時に酸化および還元される金属酸化物である。また、電気化学的に不活性な酸化物とは、リチウム二次電池の充放電時に、リチウムをインターカレートせず、かつリチウムと合金を形成せず、かつ酸化および還元されない酸化物である。
また、本発明において、固溶体を形成する典型金属元素の酸化物は、第1族、第2族、第13族、第14族の金属元素の酸化物またはそれら組み合わせ、より好ましくは第2族金属元素および/または第13族金属元素の酸化物である。具体例を挙げると、Al、SiO、MgO、CaO、Ga、BaO、SrO、またはそれらの組み合わせ、より好ましくはAl、Gaまたはそれらの組み合わせ、さらに好ましくはAlである。
本発明の酸化物は微細結晶相を含む。微細結晶相は、平均結晶粒径が500nm以下、好ましくは100nm以下の結晶粒子を含み、その結晶構造はコランダム型構造である。平均結晶粒径はScherrerの式により、X線回折のピークの半値幅から求めることができる。また、電子顕微鏡写真から算出することもできる。
本発明の酸化物はコランダム型構造を有する酸化物で、化学式(Fe1−xで表わされる。ここで、元素Mは少なくとも1種の典型金属元素で第1族、第2族、第13族、第14族の金属元素の酸化物またはそれら組み合わせである。元素Mの具体例を挙げると、Al、Si、Mg、Ca、Ga、Ba、Sr、およびそれらの組み合わせ、より好ましくはAl、Gaおよびそれらの組み合わせ、さらに好ましくはAlである。Mが1種の具体例としては、(Fe1−xAlや(Fe1−xGaを挙げることができる。また、xは、0<x<1、好ましくは、0.25<x<1、より好ましくは、0.25<x<0.75、さらに好ましくは、0.4<x<0.67、さらに好ましくは0.4<x≦0.6、さらに好ましくは0.43≦x≦0.6である。xがx=0であると、非水系二次電池の活物質として用いた場合、不可逆容量が大きくなるからであり、xがx=1であると、非水系二次電池の活物質として用いた場合、容量がほぼゼロになるからである。0.25<x<0.75である場合、非水系二次電池の活物質として用いると、サイクル特性がより向上するので、より好ましい。0.4<x<0.67である場合、非水系二次電池の活物質として用いると、サイクル特性がさらに向上し、不可逆容量もさらに抑制されるので、さらに好ましい。0.43≦x≦0.6である場合、非水系二次電池の活物質として用いると、サイクル特性がさらに向上し、不可逆容量もさらに抑制されるので、さらに好ましい。
また、上記の典型金属元素MにAlを用いた場合、a軸の格子定数は4.75〜5.04Å、c軸の格子定数が12.99〜13.75Åである。好ましくは、a軸の格子定数は4.75〜4.97Å、c軸の格子定数が12.99〜13.56Åである。より好ましくは、a軸の格子定数は4.82〜4.97Å、c軸の格子定数が13.18〜13.56Åである。さらに好ましくは、a軸の格子定数は4.85〜4.93Å、c軸の格子定数が13.24〜13.45Åである。さらに好ましくは、a軸の格子定数は4.86〜4.93Å、c軸の格子定数が13.29〜13.45Åである。さらに好ましくは、a軸の格子定数は4.86〜4.92Å、c軸の格子定数が13.29〜13.43Åである。
また、上記の典型金属元素MにGaを用いた場合、a軸の格子定数は4.97〜5.04Å、c軸の格子定数が13.42〜13.75Åである。好ましくは、a軸の格子定数は4.97〜5.03Å、c軸の格子定数が13.42〜13.68Åである。より好ましくは、a軸の格子定数は4.99〜5.03Å、c軸の格子定数が13.50〜13.68Åである。さらに好ましくは、a軸の格子定数は4.99〜5.02Å、c軸の格子定数が13.53〜13.63Åである。さらに好ましくは、a軸の格子定数は5.00〜5.02Å、c軸の格子定数が13.55〜13.63Åである。さらに好ましくは、a軸の格子定数は5.00〜5.015Å、c軸の格子定数が13.61〜13.63Åである。
なお、化学式(Fe1−xは、以下の方法で導出できる。
まず、後述する実施例に係るFeとAlとの固溶体を製造する場合、FeとAlとの反応は以下の式で表すことができる。
Figure 0005926746
また、FeとGaとの固溶体を製造する場合、FeとGaとの反応は以下の式で表すことができる。
Figure 0005926746
また、酸化物をM と一般化すると、反応は以下の式で表すことができる。
Figure 0005926746
また、酸化物がM とM との2種類あるとし、それらの割合を全体のx、xとすると、反応は以下の式で表すことができる。
Figure 0005926746
この式をMの場合まで一般化すると、反応は以下の式で表すことができる。
Figure 0005926746
ここで、xとMを以下のように定義すると、本発明の酸化物は、
一般的に化学式(Fe1−xで表すことができる。
Figure 0005926746
本発明の酸化物の平均粒径は1μm以下、好ましくは0.001〜0.5μm、より好ましくは0.001〜0.1μmである。平均粒径が1μmより大きいと、充放電特性が低下するからである。なお、本発明で用いる平均粒径は体積基準の平均粒径であり、例えば湿式レーザ法により求めた値を用いることができる。
(製造方法)
本発明の酸化物を製造するには、メカノケミカル合成法を用いることができる。メカノケミカル合成法は、ミリング媒体存在下で反応混合物を攪拌して混合粉砕することにより、機械的エネルギーによって反応混合物同士の化学反応を促進する方法である。なお、この化学反応には、固相反応、化合物合成反応、酸化還元反応、イオン交換反応、結晶構造変換、微結晶相の形成およびアモルファス相の形成等が挙げられる。
メカノケミカル合成法は、ミルには、転動ボールミル、遊星型ボールミル、振動ボールミル等のボールミルや、アトライタミル等を用い、ミリング媒体には、ステンレス製またはセラミック製の種々の形状、例えば、球状、楕円状、ロッド状等の媒体を用いることができる。セラミック製のミリング媒体としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、イットリア安定化ジルコニア、窒化ケイ素(Si)、炭化タングステン(WC)等を挙げることができる。なお、ミリング媒体には、反応混合物に対して化学的に不活性なものを選択して用いることが好ましい。
メカノケミカル合成の条件は、ミルの種類によって異なるので、本発明では特に限定するものではないが、遊星ボールミルを用いる場合には、回転数は200rpm以上、時間は10分から500時間の範囲で行うことができる。また、混合粉砕時の雰囲気は、大気雰囲気または不活性ガス雰囲気を用いることができる。
本発明の製造方法では、メカノケミカル合成法でγ−Feと、少なくとも1種の典型金属元素の酸化物を反応させる。前述の通り、典型金属元素の酸化物は、第1族、第2族、第13族、第14族の金属元素の酸化物またはそれら組み合わせ、より好ましくは第2族金属元素および/または第13族金属元素の酸化物である。具体例を挙げると、Al、SiO、MgO、CaO、Ga、BaO、SrO、またはそれらの組み合わせ、より好ましくはAl、Gaまたはそれらの組み合わせ、さらに好ましくはAlである。
また、本発明の製造方法では、メカノケミカル合成法でγ−Feと、少なくとも1種の遷移金属元素の酸化物を反応させてもよい。 遷移金属元素の酸化物は、第3族、第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族の金属元素の酸化物またはそれら組み合わせ、より好ましくは第4族、第5族、第6族、第9族の金属元素の酸化物またはそれら組み合わせが良い。具体例を挙げると、Ti、V、Cr、Rhまたはそれら組み合わせである。さらに、γ−Feと、少なくとも1種の典型金属元素の酸化物と少なくとも1種の遷移金属元素の酸化物をあわせて反応させてもよい。
例えば、少なくとも1種の金属元素の酸化物にAlを用いる場合、γ−FeとAlの混合比は特に限定されることはない。原料のモル混合割合zを用いて、出発原料全体の式を(1−z)Fe+zAlと記述することができる。zは、0<z<1、好ましくは、0.25<z<1、より好ましくは、0.25<z<0.75、さらに好ましくは、0.4<z<0.67、さらに好ましくは0.4<z≦0.6、さらに好ましくは0.45≦z≦0.6である。zがz=0であると、非水系二次電池の活物質として用いた場合、不可逆容量が大きくなるからであり、zがz=1であると、非水系二次電池の活物質として用いた場合、容量がほぼゼロになるからである。
また、γ−Feの1次粒子径は、500nm以下、好ましくは100nm以下である。これは、1次粒子径が小さくなるほど反応性が良くなるからである。500nmより大きいとメカノケミカルの反応性が低下するからである。
メカノケミカル合成法において、出発原料としてγ−Feを用いると、合成反応の時間とともにα−Feへと結晶構造が変化する。出発原料としてγ−Feを用いるのは、その変化の過程で典型金属酸化物との固溶体を形成させる反応性を高めるためである。出発原料としてα−Feを用いると、γ−Feがα−Feに変化するような、一旦原子配列が乱れる過程が起こりくい。そのため、固溶体を形成するための反応性が低く、γ―Feと比べて固溶体を形成しにくいからである。それにより、α−Feを出発原料に用いた場合に比べ、短時間で固溶体を製造できる。
同様に、出発原料としてγ−Alを用いてもよい。γ−Alを用いると、合成反応の時間とともにα−Alへと結晶構造が変化する。出発原料としてγ−Alを用いるのは、その変化の過程でα−Feとの固溶体を形成させる反応性を高めるためである。出発原料としてα−Alを用いると、γ−Alがα−Alに変化するような、一旦原子配列が乱れる過程が起こりくい。そのため、固溶体を形成するための反応性が低く、γ―Alと比べて固溶体を形成しにくいからである。それにより、α−Alを出発原料に用いた場合に比べ、短時間で固溶体を製造できる。
(用途例)
本発明の酸化物は、酸化鉄系固溶体からなる酸化物として種々の用途が期待できる。特に、好ましい用途としては、非水系二次電池用の正極活物質または負極活物質である。例えば、本発明の酸化物を正極活物質とし、金属リチウムあるいはグラファイトを負極とするリチウム二次電池を作製することができる。その一態様としては、化学式(Fe1−x(但し、Mは少なくとも1種の典型金属元素で、0<x<1である。)で表わされるコランダム型構造を有する酸化物を正極活物質として含む正極、負極および非水系電解質を含む非水系二次電池である。
また、本発明の酸化物を負極活物質とし、LiCoO、LiMn、LiMn1.5Ni0.5、LiFePO、LiMnPO等のリチウム含有複合酸化物を正極とするリチウム二次電池を作製することもできる。その一態様としては、化学式(Fe1−x(但し、Mは少なくとも1種の典型金属元素で、0<x<1である。)で表わされるコランダム型構造を有する酸化物を負極活物質として含む負極、正極および非水系電解質を含む非水系二次電池である。
本発明の非水系電解質二次電池は、正極と負極と非水系電解質とセパレータとを有する。以下、各構成材料について説明する。
(a)正極
正極は、公知の方法を用いて作製することができる。例えば、本発明の活物質と導電材とバインダーとを有機溶剤を用いて混練分散してペーストを得、該ペーストを集電体に塗布することによって作製できる。なお、正極活物質が十分に高い導電性を有する場合には、導電材は必ずしも添加する必要はない。
バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース、スチレンーブタジエンゴム等を用いることができる。必要に応じてカルボキシメチルセルロース等の増粘材を使用することもできる。
導電材としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、ニードルコークス等を用いることができる。
集電体としては、連続孔を持つ発泡(多孔質)金属、ハニカム状に形成された金属、焼結金属、エキスパンドメタル、不織布、板、孔開きの板、箔等を用いることができる。
有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等を用いることができる。バインダーに水溶性のものを使用する場合は溶媒として水を用いることもできる。
正極の厚さは、0.01〜20mm程度が好ましい。厚すぎると導電性が低下し、薄すぎると単位面積当たりの容量が低下するので好ましくない。なお、塗布並びに乾燥によって得られた正極は、活物質の充填密度を高めるためローラープレス等により圧密してもよい。
(b)負極
負極は公知の方法により作製できる。例えば、本発明の活物質とバインダーと導電材とを混合し、得られた混合粉末をシート状に成形し、得られた成形体を集電体、例えばステンレスまたは銅製のメッシュ状集電体に圧着して作製できる。また、上記(a)正極で説明したようなペーストを用いる方法を用いて作製することができ、その場合、負極活物質と導電材とバインダーとを有機溶剤を用いて混練分散してペーストを得、該ペーストを集電体に塗布することによって作製できる。
(c)非水系電解質
非水系電解質としては、例えば、有機電解液、ゲル状電解質、高分子固体電解質、無機固体電解質、溶融塩等を用いることができる。
有機電解液を構成する有機溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート類、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン等のラクトン類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のフラン類、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、ギ酸メチル、酢酸メチル等を挙げることができ、これらの1種以上を混合して用いることができる。
また、PC、EC及びブチレンカーボネート等の環状カーボネート類は高沸点溶媒であるため、GBLと混合する溶媒として好適である。
有機電解液を構成する電解質塩としては、過塩素酸リチウム(LiClO)、ホウフッ化リチウム(LiBF)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、トリフルオロ酢酸リチウム(LiCFCOO)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(CFSO)等のリチウム塩を挙げることができ、これらの1種以上を混合して用いることができる。電解液の塩濃度は、0.5〜3mol/Lが好適である。
(d)セパレータ
セパレータとしては、多孔質材料や不織布等の公知の材料を用いることができる。セパレータの材質としては、電解液中の有機溶媒に対して溶解したり膨潤したりしないものが好ましい。具体的には、ポリエステル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、エーテル系ポリマー、ガラス繊維等を挙げることができる。
(e)他の部材
電池容器のような他の部材についても公知の各種材料を使用でき、特に制限はない。
(f)二次電池の製造方法
二次電池は、例えば、正極と負極と、それらの間に挟まれたセパレータとからなる積層体を備えている。積層体は、例えば短冊状の平面形状を有していてもよい。また、円筒型や扁平型の電池を作製する場合は、積層体を巻き取って巻回体としてもよい。
積層体は、その1つ又は複数が電池容器の内部に挿入される。通常、正極及び負極は電池の外部導電端子に接続される。その後に、正極、負極及びセパレータを外気より遮断するために電池容器を密閉する。
密封の方法は、円筒電池の場合、電池容器の開口部に樹脂製のパッキンを有する蓋をはめ込み、電池容器と蓋とをかしめる方法が一般的である。また、角型電池の場合、金属性の封口板と呼ばれる蓋を開口部に取りつけ、溶接を行う方法を使用できる。これらの方法以外に、結着剤で密封する方法、ガスケットを介してボルトで固定する方法も使用できる。更に、金属箔に熱可塑性樹脂を貼り付けたラミネート膜で密封する方法も使用できる。なお、密封時に電解質注入用の開口部を設けてもよい。有機電解液を用いる場合、その開口部から有機電解液を注入し、その後でその開口部を封止する。封止の前に通電し発生したガスを取り除いてもよい。
本発明の酸化物が非水系二次電池用活物質として優れた効果を有する理由としては以下の理由が考えられる。
一般に、電気化学的に活性な金属酸化物は、放電時には還元されて単体金属となり、充電時には酸化されて金属酸化物に戻る。本発明によれば、活物質に、電気化学的に活性な金属酸化物と電気化学的に不活性な酸化物との固溶体を用いることで、電気化学的に不活性な酸化物が電気化学的に活性な金属酸化物の結晶骨格を保持できる。そのため、一旦金属に還元されて金属酸化物の結晶骨格が変化しても、酸化されて金属酸化物に戻る場合には、元の結晶骨格に戻ることができるので反応の可逆性が向上し、不可逆容量が低下する。さらに、活物質の平均粒径が1μm以下であるので、反応の可逆性がさらに向上する。これにより、容量の低下を抑制しながら繰り返し充放電を行うことが可能となり、充放電サイクル特性が向上する。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
酸化鉄合成(γ−Feの水溶液合成)
0.1M酢酸カリウム198mLと0.1M酢酸6mLとを混合して緩衝液を調製し、該緩衝液を入れたビーカーに、塩化第二鉄四水和物(FeCl・4HO)を0.7994g添加し、室温で酸素を吹き込みながら36分間攪拌した。次いで、その溶液を孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製のフィルターを用いて濾過した後、濾別した沈殿を70℃で24時間乾燥してγ−Fe粉を得た。このγ−Feをメノウ乳鉢で粉砕し、真空中で200℃、72時間の加熱処理を行った。ここで、酢酸カリウム、酢酸、塩化第二鉄四水和物は、シグマアルドリッチジャパン製のものを用いた。
(X線回折(XRD)測定)
リガク社製のX線回折装置UltimaIVを用い、以下の条件で行った。
測定条件:
角度範囲 10〜80度
スキャンスピード 2度/分
サンプリング幅 0.04度
電圧 40kV
電流 40mA
図1に作製したγ−FeのXRDパターンを示す。γ−Feのピークのみ認められた。
合成例1(γ−Feとγ−Alのメカノケミカル合成法による酸化物作製)
γ−Feは、合成例1で調製したものを用いた。γ−Alは、ストレムケミカル(Strem Chemical)社製のもの(純度97%)を用いた。
原料のモル混合割合zを用いて出発原料全体の式が(1−z)Fe+zAlで示される式においてz=0.64となるように、γ−Feとγ−Alを混合し、フリッチュ(Fritsch)社製の遊星型ボールミルP−6を用いて室温でメカノケミカル合成した。合成条件は以下の通りである。
合成条件:
容器およびボール イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)
回転数 600rpm
ボール径 5φ
ボール数 90個
混合時間 3時間
(XRD測定)
角度範囲を20〜80度とした以外は、酸化鉄合成の場合と同様の条件で行った。
図2に作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークは認められなかった。これに対しコランダム型構造で指数付けができるピークが多数現れた。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じコランダム型構造のα−AlのX線回折ピーク位置の間に観察された。これは、この酸化物がα−Feとα−Alの固溶体となっているためと考えられる。なお、32度付近のピークは、ミリング媒体としての容器およびボールから混入したZrOによるものである。
上記XRDパターンから、コランダム型構造(六方格子)における反射指数024(2θ=51.04度)のピーク位置および反射指数116(2θ=56.00度)のピーク位置からa軸およびc軸の格子定数を算出した。a軸およびc軸の格子定数、およびこの格子定数から求めた単位胞体積を表1に示す。さらに、化学式(Fe1−xAl(0<x<1)であらわされる固溶体のa軸およびc軸の格子定数の計算値を、JCPDSに与えられているα−Fe及びα−Alの格子定数を用いて、ベガード則に基づき、xの関数として与え、これを使って単位胞体積の計算値をxの関数として与えることができる。これが、メカノケミカル合成法により作製した固溶体の、実際の測定で得られた単位胞体積の測定値と等しくなるときのxの値を求めることができる。作製した固溶体(Fe1−xAl(0<x<1)のxの値を算出したところ、x=0.538を得た。この値は、γ−Feとγ−Alの原料のモル混合割合に十分近く、固溶体合成反応が順調に行われたことを示している。
合成例2(γ−Feとγ−Alのメカノケミカル合成法による酸化物作製)
γ−Feとγ−Alは、合成例1と同じものを用いた。
原料のモル混合割合zを用いて出発原料全体の式が(1−z)Fe+zAlで示される式においてz=0.5となるように、γ−Feとγ−Alを混合し、フリッチュ社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温でメカノケミカル合成した。合成条件は以下の通りである。
合成条件:
容器およびボール Si
回転数 800rpm
ボール径 0.5φ
ボール数 80個
混合時間 40分
(XRD測定)
角度範囲を20〜80度とした以外は、酸化鉄合成の場合と同様の条件で行った。
図3に作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークは認められなかった。これに対しコランダム型構造で指数付けができるピークが多数現れた。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じコランダム型構造のα−AlのX線回折ピーク位置の間に観察された。これは、この酸化物がα−Feとα−Alの固溶体となっているためと考えられる。
上記XRDパターンから、コランダム型構造(六方格子)における反射指数024(2θ=50.61度)のピーク位置および反射指数116(2θ=55.44度)のピーク位置からa軸およびc軸の格子定数を算出した。a軸およびc軸の格子定数、およびこの格子定数から求めた単位胞体積を表1に示す。さらに、合成例1と同様にして、作製した固溶体(Fe1−xAl(0<x<1)のxの値を算出したところ、x=0.392を得た。この値は、γ−Feとγ−Alの原料のモル混合割合に十分近く、固溶体合成反応が順調に行われたことを示している。
合成例3(γ−Feとγ−Alのメカノケミカル合成法による酸化物作製)
γ−Feはシグマアルドリッチ社製のもの(純度98.7%)を用いた。γ−Alは、合成例1と同じものを用いた。
原料のモル混合割合zを用いて出発原料全体の式が(1−z)Fe+zAlで示される式においてz=0.5となるように、γ−Feとγ−Alを混合し、フリッチュ社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温でメカノケミカル合成した。合成条件は以下の通りである。
合成条件:
容器およびボール Si
回転数 800rpm
処理時間 15分
休止時間 2分
サイクル数 2サイクル
ボール径 5φ
ボール数 80個
上記の条件で2回、合計60分間混合した。
図4に、作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークは認められなかった。これに対しコランダム型構造で指数付けができるピークが多数現れた。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じのコランダム型構造のα−AlのX線回折ピーク位置の間に観察された。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じコランダム型構造のα−AlのX線回折ピーク位置の間に観察された。これは、この酸化物がα−Feとα−Alの固溶体となっているためと考えられる。
上記XRDパターンから、コランダム型構造(六方格子)における反射指数024(2θ=50.82)のピーク位置および反射指数116(2θ=55.60度)のピーク位置からa軸およびc軸の格子定数を算出した。a軸およびc軸の格子定数、およびこの格子定数から求めた単位胞体積を表1に示す。さらに、合成例1と同様にして、作製した固溶体(Fe1−xAl(0<x<1)のxの値を算出したところ、x=0.452を得た。この値は、γ−Feとγ−Alの原料のモル混合割合に十分近く、固溶体合成反応が順調に行われたことを示している。
合成例4(γ−Feとγ−Alのメカノケミカル合成法による酸化物作製)
γ−Feとγ−Alは、合成例3と同じものを用いた。
原料のモル混合割合zを用いて出発原料全体の式が(1−z)Fe+zAlで示される式においてz=0.5となるように、γ−Feとγ−Alを混合し、フリッチュ社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温でメカノケミカル合成した。合成例3と同じ混合条件で、8回、合計240分間混合した。
図5に、作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークは認められなかった。これに対しコランダム型構造で指数付けができるピークが多数現れた。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じコランダム型構造のα−AlのX線回折ピーク位置の間に観察された。これは、この酸化物がα−Feとα−Alの固溶体となっているためと考えられる。
上記XRDパターンから、コランダム型構造(六方格子)における反射指数024(2θ=50.86)のピーク位置および反射指数116(2θ=55.64度)のピーク位置からa軸およびc軸の格子定数を算出した。a軸およびc軸の格子定数、およびこの格子定数から求めた単位胞体積を表1に示す。さらに、合成例1と同様にして、作製した固溶体(Fe1−xAl(0<x<1)のxの値を算出したところ、x=0.470を得た。この値は、γ−Feとγ−Alの原料のモル混合割合に十分近く、固溶体合成反応が順調に行われたことを示している。
合成例5(γ−Feとγ−Alのメカノケミカル合成法による酸化物作製)
γ−Feとγ−Alは、合成例3と同じものを用いた。
原料のモル混合割合zを用いて出発原料全体の式が(1−z)Fe+zAlで示される式においてz=0.333となるように、γ−Feとγ−Alを混合し、フリッチュ社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温でメカノケミカル合成した。合成例3と同じ合成条件で、8回、合計240分間混合した。
図6に、作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークは認められなかった。これに対しコランダム型構造で指数付けができるピークが多数現れた。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じコランダム型構造のα−AlのX線回折ピーク位置の間に観察された。これは、この酸化物がα−Feとα−Alの固溶体となっているためと考えられる。
上記XRDパターンから、コランダム型構造(六方格子)における反射指数024(2θ=50.36)のピーク位置および反射指数116(2θ=55.08度)のピーク位置からa軸およびc軸の格子定数を算出した。a軸およびc軸の格子定数、およびこの格子定数から求めた単位胞体積を表1に示す。さらに、合成例1と同様にして、作製した固溶体(Fe1−xAl(0<x<1)のxの値を算出したところ、x=0.305を得た。この値は、γ−Feとγ−Alの原料のモル混合割合に十分近く、固溶体合成反応が順調に行われたことを示している。
合成例6(γ−Feとγ−Alのメカノケミカル合成法による酸化物作製)
γ−Feとγ−Alは、合成例3と同じものを用いた。
原料のモル混合割合zを用いて出発原料全体の式が(1−z)Fe+zAlで示される式においてz=0.667となるように、γ−Feとγ−Alを混合し、フリッチュ社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温でメカノケミカル合成した。合成例3と同じ合成条件で、8回、合計240分間混合した。
図7に、作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークは認められなかった。これに対しコランダム型構造で指数付けができるピークが多数現れた。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じコランダム型構造のα−AlのX線回折ピーク位置の間に観察された。これは、この酸化物がα−Feとα−Alの固溶体となっているためと考えられる。
上記XRDパターンから、コランダム型構造(六方格子)における反射指数024(2θ=51.43)のピーク位置および反射指数116(2θ=56.24度)のピーク位置からa軸およびc軸の格子定数を算出した。a軸およびc軸の格子定数、およびこの格子定数から求めた単位胞体積を表1に示す。さらに、合成例1と同様にして、作製した固溶体(Fe1−xAl(0<x<1)のxの値を算出したところ、x=0.655を得た。この値は、γ−Feとγ−Alの原料のモル混合割合に十分近く、固溶体合成反応が順調に行われたことを示している。
合成例7(γ−Feとγ−Alのメカノケミカル合成法による酸化物作製)
γ−Feはアルファ社製の純度99%以上のものを用いた。γ−Alは、合成例1と同じものを用いた。
原料のモル混合割合zを用いて出発原料全体の式が(1−z)Fe+zAlで示される式においてz=0.4となるように、γ−Feとγ−Alを混合し、フリッチュ(Fritsch)社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温でメカノケミカル合成した。合成例3と同じ合成条件で、2回、合計60分間混合した。
図8に、作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークは認められなかった。これに対しコランダム型構造で指数付けができるピークが多数現れた。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じコランダム型構造のα−AlのX線回折ピーク位置の間に観察された。これは、この酸化物がα−Feとα−Alの固溶体となっているためと考えられる。
上記XRDパターンから、コランダム型構造(六方格子)における反射指数024(2θ=50.56)のピーク位置および反射指数116(2θ=55.31度)のピーク位置からa軸およびc軸の格子定数を算出した。a軸およびc軸の格子定数、およびこの格子定数から求めた単位胞体積を表1に示す。さらに、合成例1と同様にして、作製した固溶体(Fe1−xAl(0<x<1)のxの値を算出したところ、x=0.371を得た。この値は、γ−Feとγ−Alの原料のモル混合割合に十分近く、固溶体合成反応が順調に行われたことを示している。
合成例8(γ−Feとγ−Alのメカノケミカル合成法による酸化物作製)
γ−Feとγ−Alは、合成例7と同じものを用いた。
原料のモル混合割合zを用いて出発原料全体の式が(1−z)Fe+zAlで示される式においてz=0.6となるように、γ−Feとγ−Alを混合し、フリッチュ社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温でメカノケミカル合成した。合成例3と同じ合成条件で、2回、合計60分間混合した。
図9に、作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークは認められなかった。これに対しコランダム型構造で指数付けができるピークが多数現れた。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じコランダム型構造のα−AlのX線回折ピーク位置の間に観察された。これは、この酸化物がα−Feとα−Alの固溶体となっているためと考えられる。
上記XRDパターンから、コランダム型構造(六方格子)における反射指数024(2θ=51.21)のピーク位置および反射指数116(2θ=56.01度)のピーク位置からa軸およびc軸の格子定数を算出した。a軸およびc軸の格子定数、およびこの格子定数から求めた単位胞体積を表1に示す。さらに、合成例1と同様にして、作製した固溶体(Fe1−xAl(0<x<1)のxの値を算出したところ、x=0.583を得た。この値は、γ−Feとγ−Alの原料のモル混合割合に十分近く、固溶体合成反応が順調に行われたことを示している。
合成例9(γ−Feとγ−Alのメカノケミカル合成法による酸化物作製)
γ−Feとγ−Alは、合成例7と同じものを用いた。
原料のモル混合割合zを用いて出発原料全体の式が(1−z)Fe+zAlで示される式においてz=0.5となるように、γ−Feとγ−Alを混合し、フリッチュ社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温でメカノケミカル合成した。合成例3と同じ合成条件で、2回、合計60分間混合した。
図10に、作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークは認められなかった。これに対しコランダム型構造で指数付けができるピークが多数現れた。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じコランダム型構造のα−AlのX線回折ピーク位置の間に観察された。これは、この酸化物がα−Feとα−Alの固溶体となっているためと考えられる。
上記XRDパターンから、コランダム型構造(六方格子)における反射指数024(2θ=50.88)のピーク位置および反射指数116(2θ=55.67度)のピーク位置からa軸およびc軸の格子定数を算出した。a軸およびc軸の格子定数、およびこの格子定数から求めた単位胞体積を表1に示す。さらに、合成例1と同様にして、作製した固溶体(Fe1−xAl(0<x<1)のxの値を算出したところ、x=0.479を得た。この値は、γ−Feとγ−Alの原料のモル混合割合に十分近く、固溶体合成反応が順調に行われたことを示している。
合成例10(γ−Feとβ‐Gaのメカノケミカル合成法による酸化物作製)
γ−Feは、合成例7と同じものを用いた。Gaは、和光純薬製の純度99.99%のもの(β‐Ga)を用いた。
原料のモル混合割合zを用いて出発原料全体の式が(1−z)Fe+zGaで示される式においてz=0.5となるように、γ−Feとβ−Gaを混合し、フリッチュ社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温でメカノケミカル合成した。合成例3と同じ合成条件で、2回、合計60分間混合した。
図11に、作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークは認められなかった。これに対しコランダム型構造で指数付けができるピークが多数現れた。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じコランダム型構造のα−GaのX線回折ピーク位置の間に観察された。これは、この酸化物がα−Feとα−Gaの固溶体となっているためと考えられる。
上記XRDパターンから、コランダム型構造(六方格子)における反射指数024(2θ=49.82)のピーク位置および反射指数116(2θ=54.56度)のピーク位置からa軸およびc軸の格子定数を算出した。a軸およびc軸の格子定数、およびこの格子定数から求めた単位胞体積を表1に示す。さらに、化学式(Fe1−xGa(0<x<1)であらわされる固溶体のa軸およびc軸の格子定数の計算値を、JCPDSに与えられているα−Fe及びα−Gaの格子定数を用いて、ベガード則に基づき、xの関数として与え、これを使って単位胞体積の計算値をxの関数として与えることができる。これが、メカノケミカル合成法により作製した固溶体の、実際の測定で得られた単位胞体積の測定値と等しくなるときのxの値を求めることができる。作製した固溶体(Fe1−xGa(0<x<1)のxの値を算出したところ、x=0.532を得た。この値は、γ−Feとβ−Gaの原料のモル混合割合に十分近く、固溶体合成反応が順調に行われたことを示している。
合成例11(γ−Feとγ−Alのメカノケミカル合成法による酸化物作製)
γ−Feとγ−Alは、合成例7と同じものを用いた。
原料のモル混合割合zを用いて出発原料全体の式が(1−z)Fe+zAlで示される式においてz=0.45となるように、γ−Feとγ−Alを混合し、フリッチュ社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温でメカノケミカル合成した。合成例3と同じ合成条件で、2回、合計60分間混合した。
図12に、作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークは認められなかった。これに対しコランダム型構造で指数付けができるピークが多数現れた。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じコランダム型構造のα−AlのX線回折ピーク位置の間に観察された。これは、この酸化物がα−Feとα−Alの固溶体となっているためと考えられる。
上記XRDパターンから、コランダム型構造(六方格子)における反射指数024(2θ=50.76)のピーク位置および反射指数116(2θ=55.51度)のピーク位置からa軸およびc軸の格子定数を算出した。a軸およびc軸の格子定数、およびこの格子定数から求めた単位胞体積を表1に示す。さらに、合成例1と同様にして、作製した固溶体(Fe1−xAl(0<x<1)のxの値を算出したところ、x=0.437を得た。この値は、γ−Feとγ−Alの原料のモル混合割合に十分近く、固溶体合成反応が順調に行われたことを示している。
合成例12(γ−Feとγ−Alのメカノケミカル合成法による酸化物作製)
γ−Feとγ−Alは、合成例7と同じものを用いた。
原料のモル混合割合zを用いて出発原料全体の式が(1−z)Fe+zAlで示される式においてz=0.65となるように、γ−Feとγ−Alを混合し、フリッチュ社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温でメカノケミカル合成した。合成例3と同じ合成条件で、2回、合計60分間混合した。
図13に、作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークは認められなかった。これに対しコランダム型構造で指数付けができるピークが多数現れた。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じコランダム型構造のα−AlのX線回折ピーク位置の間に観察された。これは、この酸化物がα−Feとα−Alの固溶体となっているためと考えられる。
上記XRDパターンから、コランダム型構造(六方格子)における反射指数024(2θ=51.38)のピーク位置および反射指数116(2θ=56.19度)のピーク位置からa軸およびc軸の格子定数を算出した。a軸およびc軸の格子定数、およびこの格子定数から求めた単位胞体積を表1に示す。さらに、合成例1と同様にして、作製した固溶体(Fe1−xAl(0<x<1)のxの値を算出したところ、x=0.637を得た。この値は、γ−Feとγ−Alの原料のモル混合割合に十分近く、固溶体合成反応が順調に行われたことを示している。
合成例13(γ−Feとγ−Alのメカノケミカル合成法による酸化物作製)
γ−Feとγ−Alは、合成例7と同じものを用いた。
原料のモル混合割合zを用いて出発原料全体の式が(1−z)Fe+zAlで示される式においてz=0.05となるように、γ−Feとγ−Alを混合し、フリッチュ社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温でメカノケミカル合成した。合成例3と同じ合成条件で、2回、合計60分間混合した。
図14に、作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークは認められなかった。これに対しコランダム型構造で指数付けができるピークが多数現れた。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じコランダム型構造のα−AlのX線回折ピーク位置の間に観察された。これは、この酸化物がα−Feとα−Alの固溶体となっているためと考えられる。
上記XRDパターンから、コランダム型構造(六方格子)における反射指数024(2θ=49.69)のピーク位置および反射指数116(2θ=54.29度)のピーク位置からa軸およびc軸の格子定数を算出した。a軸およびc軸の格子定数、およびこの格子定数から求めた単位胞体積を表1に示す。さらに、合成例1と同様にして、作製した固溶体(Fe1−xAl(0<x<1)のxの値を算出したところ、x=0.077を得た。この値は、γ−Feとγ−Alの原料のモル混合割合に十分近く、固溶体合成反応が順調に行われたことを示している。
合成例14(γ−Feとγ−Alのメカノケミカル合成法による酸化物作製)
γ−Feとγ−Alは、合成例7と同じものを用いた。
原料のモル混合割合zを用いて出発原料全体の式が(1−z)Fe+zAlで示される式においてz=0.95となるように、γ−Feとγ−Alを混合し、フリッチュ社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温でメカノケミカル合成した。合成例3と同じ合成条件で、2回、合計60分間混合した。
図15に、作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークは認められなかった。これに対しコランダム型構造で指数付けができるピークが多数現れた。ピークは全て、コランダム型構造のα−FeのX線回折ピーク位置と同じコランダム型構造のα−AlのX線回折ピーク位置の間に観察された。これは、この酸化物がα−Feとα−Alの固溶体となっているためと考えられる。なお、コランダム型構造で指数付けのできない、27度付近、34度付近、36度付近、ならびに、41度付近のピーク等は、ミリング媒体および容器から混入したβ―Siによるものである。
上記XRDパターンから、コランダム型構造(六方格子)における反射指数024(2θ=52.38)のピーク位置および反射指数116(2θ=57.34度)のピーク位置からa軸およびc軸の格子定数を算出した。a軸およびc軸の格子定数、およびこの格子定数から求めた単位胞体積を表1に示す。さらに、合成例1と同様にして、作製した固溶体(Fe1−xAl(0<x<1)のxの値を算出したところ、x=0.957を得た。この値は、γ−Feとγ−Alの原料のモル混合割合に十分近く、固溶体合成反応が順調に行われたことを示している。
実施例1
(ビーカーセル作製)
合成例1で調製した複合材料に、複合材料:アセチレンブラック(AB):ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が70:30:2(重量比)となるよう、ABとPTFEを混合し、乳鉢ですりつぶした後、銅メッシュに圧着し、150℃の真空中で12時間乾燥して作用電極を作製した。
次に、アルゴン雰囲気下のグローブボックス中で、対極と参照極に金属リチウムを用いる三電極系のビーカーセルを作製した。電解液には、1M LiClOのエチレンカーボネート−ジメトキシエタン(EC−DME=1:1(体積比))溶媒を用いた。
(充放電測定)
電流密度0.1A/gで、0.1〜3.5V (vs.Li/Li)の電位範囲で、充放電測定を行った。
実施例2
合成例2で調製した複合材料を用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
実施例3
合成例3で調製した複合材料を用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
実施例4
合成例4で調製した複合材料を用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
実施例5
合成例5で調製した複合材料を用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
実施例6
合成例6で調製した複合材料を用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
実施例7
合成例7で調製した複合材料を用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
実施例8
合成例8で調製した複合材料を用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
実施例9
合成例9で調製した複合材料を用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
実施例10
合成例10で調製した複合材料を用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
実施例11
合成例11で調製した複合材料を用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
実施例12
合成例12で調製した複合材料を用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
実施例13
合成例13で調製した複合材料を用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
実施例14
合成例14で調製した複合材料を用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
比較例1
γ−Feのみをフリッチュ社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温で固相混合した。合成例3と同じ混合条件で、8回、合計240分間混合した。γ−Feは、合成例3と同じものを用いた。
図16に、作製した酸化物のXRDパターンを示す。γ−Feに帰属されるピークおよびα−Feに帰属されるピークが確認できた。
固相混合したγ−Feを用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
比較例2
α−Feのみをフリッチュ社製遊星型ボールミルプレミアムラインP−7を用いて室温で固相混合した。合成例3と同じ混合条件で、8回、合計240分間混合した。α−Feは、合成例3と同じものを用いた。
図17に、作製した酸化物のXRDパターンを示す。α−Feに帰属されるピークが確認できた。
固相混合したα−Feを用いて作用電極を作製した以外は、実施例1と同様にしてビーカーセルの作製および充放電測定を行った。
(結果)
図18に実施例1の充放電曲線、図33に比較例1の充放電曲線、図35に比較例2の充放電曲線を示す。いずれも0.1〜3.5V (vs.Li/Li)の電位範囲で充放電が可能であった。
図19〜図32に実施例1から14の充放電サイクル特性、図34に比較例1の充放電サイクル特性、図36に比較例2の充放電サイクル特性を示す。また、表2に一定サイクル後の比容量および比容量保持率(1サイクル目の比容量に対する所定サイクル後の比容量の比率(%))を示す。100サイクル目の比容量を比較すると、実施例1で約100mAh/g、実施例2で約75mAh/gであるのに対し、比較例1では3mAh/gであった。実施例1および実施例2の活物質量が比較例1の概ね半分であることを考慮すると、本発明によれば、不可逆容量を低減させて、充放電サイクル特性を向上することができる。特に、実施例1では、少なくとも500サイクルは可能であり、500サイクル目においても約200mAh/gという比容量を有し、優れた充放電サイクル特性を有していた。
Figure 0005926746
Figure 0005926746
以上の通り、本発明の酸化物は、活物質に用いた場合の充放電特性を大きく向上させることができるので、より低コスト、高容量で充放電サイクル特性に優れた非水系二次電池を提供することが可能となる。

Claims (9)

  1. 化学式(Fe1−xAl(但し、0.538≦x≦0.655である。)で表わされるコランダム型構造を有する、単一相の固溶体からなる酸化物。
  2. γ−Fe、第2族元素および/または第13族元素の酸化物である少なくとも1種の金属酸化物との混合物をメカノケミカル合成法で合成し、化学式(Fe1−x(但し、Mは少なくとも1種の第2族元素および/または第13族元素で、0<x<1である。)で表わされるコランダム型構造を有する酸化物を製造する、酸化物の製造方法。
  3. 上記の金属酸化物が、γ−Alである請求項記載の製造方法。
  4. 上記の金属酸化物が、Gaである請求項記載の製造方法。
  5. 化学式(Fe1−x(但し、Mは少なくとも1種の第2族元素および/または第13族元素で、0<x<1である。)で表わされるコランダム型構造を有する酸化物からなる非水系二次電池用活物質。
  6. 上記の元素MがAlおよび/またはGaである請求項記載の非水系二次電池用活物質。
  7. 0.1〜3.5V(vs.Li/Li)の電位範囲で充放電を行い、100サイクル目の比容量が少なくとも18mAh/gである、請求項記載の非水系二次電池用活物質。
  8. 請求項記載の非水系二次電池用活物質を正極活物質として含む正極、負極および非水系電解質を含む非水系二次電池。
  9. 請求項記載の非水系二次電池用活物質を負極活物質として含む負極、正極および非水系電解質を含む非水系二次電池。
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