JP5917403B2 - 窩洞のない初期の歯の齲蝕病変を検出するためのデバイス - Google Patents

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Description

本発明は、全体として、歯の齲蝕病変の検出に関するものである。より詳細には、本発明は、窩洞のない初期の歯の齲蝕病変を検出するための電気デバイスおよび方法に関するものである。
歯の齲蝕は、ほとんどの個体の歯にとって概して厳しい環境である口腔内に歯が発生した直後から頻発する疾患である。齲蝕の進行が特に起こりやすい部位は、後方歯の咬合面である。これは、主として、これらの面が、発酵性糖質および細菌性バイオフィルムの両方が残留しやすい形態(すなわち、小窩、裂溝、および窩)を有していることによる。これらの2つは、歯の齲蝕の原因における主要な要素である。これらが組み合わさると酸が産生され、これにより、歯の脱灰と、歯の齲蝕病変の開始と進行とが引き起こされる。ヒトの歯列では、虫歯は、他のどの位置よりも咬合側でより多く発生し、歯列の隣接歯間部位(歯同士が接触する部位)ではその程度が低くなる。これは、細菌および発酵性糖質がそこに集積しやすいこと、唾液が接触しやすい歯列内の他の位置と比べ、唾液による齲蝕抑制効果を受けにくいことによる。
歯の齲蝕は、脱灰プロセスとして始まり、脱灰プロセスは、保護層である非導電性のエナメル質における孔や管の形成を引き起こす(非特許文献1および2)。脱灰が続くと、最終的に、エナメル質の裂開(breaching)が起こる。いったんエナメル質が裂開してしまうと、その下にある、エナメル質よりはるかに石灰化されにくい組織である象牙質へと、齲蝕が急速に進行して拡大する。多数の細管が象牙質を横断しているため、このような齲蝕の拡大が容易となっている。これらの象牙細管は、特に若い歯においては、ほとんどではないにせよ多数が歯髄にまで達している(非特許文献3)。
窩洞のない齲蝕病変、特に、後方歯の小窩、裂溝、および窩におけるこのよう病変は、ヒトにおいては検出や判定が困難である。該当する歯としては、主に、第一および第二乳臼歯、ならびに永久歯列の小臼歯および大臼歯が挙げらる。これらの歯および歯列の隣接歯間部位は、大多数の窩洞が生じる場所である。
現在、齲蝕の進行の検出は、ほとんどの場合、歯科医またはその他の歯科医療従事者により、一般に歯科用探針と呼ばれる単純なピック状のデバイスを用いて行われている。このような検出は、ミネラル喪失の徴候を目視検査することで行われ、X線を使用することもあれば、使用しないこともある。これらの手段は、いずれも、齲蝕が象牙質にまで達しているような場合であっても、ほとんどの窩洞のない咬合側齲蝕病変の検出に適していない。これらの初期の進行中の齲蝕病変の多くは、窩洞は形成されていなくとも、エナメル質を貫通する広範な管形成(tunneling)を伴っているが、このような管形成は検出できない場合がある。このような齲蝕の進行は、歯質の破壊がより顕著になり、象牙質への影響が次第に深刻になるまで、発見が困難であることが多い。この発見の難しさから、これらの病変は、一般に、隠れた歯の齲蝕と呼ばれている(非特許文献4)。これらの病変は、初期段階では発見されないか、あるいは発見されてもかなり不確かであることが多い。当然ながら、歯髄の損傷や、無用な歯の喪失を招く恐れがある(非特許文献5)。皮肉なことに、齲蝕予防薬であるフッ化物は、窩洞形成を低減させる効果があるため、早期検出の妨げとなる場合がある(非特許文献6)。これは、フッ化物が、象牙質を覆うエナメル質の溶解性を低下させ、これにより、その下の象牙質の脱灰が進んでいるにも関わらず、エナメル質の大部分を無傷に保つことができるからである(非特許文献7)。これらの理由により、齲蝕病変をできる限り早期かつ容易に検出することが極めて重要となっている。
新たに萌出する歯のエナメル質は、通常、ある程度の多孔性を示す。このため、このような歯においては、口内で窩洞を生じさせない石灰化条件下に長期間置かれた場合と比べて、齲蝕が進行しやすい。このような改質は成熟と呼ばれ、これは、前記条件下におかれた歯の多くが、唾液から、種々のタンパク質性の付着物と共に、カルシウムおよびリン酸イオンを獲得することによって起こる。これらの変化は、エナメル質の石灰化の増加、エナメル質の透過性の低下、および齲蝕抵抗性の向上を伴う。歯の成熟過程でフッ化物が塗布または自然に吸収されれば、この助けとなる(非特許文献8)。これに対し、脱灰環境が存在する齲蝕が起きやすい口内では、正反対の結果、すなわち、多孔性の増加および窩洞形成の増加が起こりやすい。
歯の齲蝕を初期段階で検出するため、いくつかのアプローチがなされたが、いずれも成功していない。これらのアプローチの1つには、目視で確認できるエナメル質からのミネラル喪失がなく、窩洞形成が見られない場合にも、歯の電流伝導能をテストすることが含まれる。電気抵抗は、無傷の非脱灰エナメル質の存在と関連付けられるが、齲蝕病変が進行し、エナメル質のミネラルが徐々に失われると、そこに液体(fluid)が浸出でき、エナメル質の電気抵抗がこれに応じて徐々に低下する(非特許文献9および10)。
エナメル質の裂開は、咬合側の小窩および裂溝部位において生じやすい。先に述べたように、これらの歯列部位は、常在する酸産生菌および発酵性糖質の強い相互作用が絶え間なく起こり得る場所である。これは、長期にわたる酸の産生、ひいては、長期にわたる、広範な歯の脱灰に有利な条件である。この事象が起こると、エナメル質の脱灰と多孔性が、唾液の進入を許すのに十分な程度となり、唾液が含有するイオンにより、結果的に電流の流れが生じる点へと到達する。脱灰がより広範になると、より容易にこれらの事象が起こり、齲蝕病変の進行をより容易に検出できるようになる。
一昔前の検査者は、直流装置で電気抵抗または電気伝導度を測定し、歯がミネラルを喪失したかどうか、齲蝕が生じたかどうかを決定した。(非特許文献11〜15)。続いて、他のものは、交流を使用し、インピーダンスを測定して、実質的には同一のことを行った(非特許文献16および17)。いずれの場合も、窩洞検出デバイスが設けられており、前記デバイスは、導電性金属製の測定プローブ、直流または交流源、抵抗源、インピーダンスまたは伝導度検出器、適用(通常は口腔部以外の人体の軟組織部分への取り付け)に適した参照電極を備えていた。人体は十分な導電性を有しており、測定プローブ(すなわち、インジケータ電極)および参照電極間を、人体を介して完全に電気的に導通させることが可能である。参照電極は、通常、前腕の腹側表面または首の後ろ等の体表面に接着手段によって取り付けられるか、あるいは、通常、下唇に引っ掛けられ、その端部が口内の唾液に浸漬した金属フックによって取り付けられる。
歯のエナメル質は、脱灰または破折によって裂開が生じない限り、非導電性である。裂開が生じると、エナメル質の裂開部位にもともと存在する液体、またはここに進入する液体により、電流が流れることができる電気回路が完成する。使用する電流の大きさは、数マイクロアンペア(μA)と低くてもよい。したがって、有病患者にも安全に使用できる。さらに、前記処置には痛み伴わない。
測定の際には、歯の上に存在する唾液またはそれ以外の水分、あるいは口内の他の箇所における唾液またはそれ以外の導電手段への周辺的な電気伝導を生じることなく、電気的導通を確保するように特に注意する必要があることが分かっている。周囲の唾液から測定電極をこのように隔離することは、首尾よく検査を行うための絶対条件である。ラバーダムの使用により、完全な隔離が可能となる(非特許文献18)。しかしながら、このようなダムの使用は手間がかかり、広範囲の口腔検査が必要な場合には実用的でない。これに代わる手段として、ほとんどの検査者が、測定部位の歯以外の周囲の歯を乾燥させる目的で、エアシリンジからの空気流を使用している。これをいかに簡単に、ばらつきなく、かつ迅速に行うかが、主要な問題となっている。
Rickettsらは、測定電極を包囲する空気流を使用し、測定部位を、その周辺の表面電気伝導から隔離した。(非特許文献19)。しかしながら、これらの検査者が使用した測定先端はサイズが大きく、正確な測定を妨げていた。さらに、乾燥を行うという性質上、大きく形成されたこのような先端は、より効果的なプローブ検査(probing)を要する多くの部位にとって、適切な形状およびサイズではなかった。
既存の方法では、誤ったおよび/または変動する読み取り値がしばしば得られる。さらに、既存の方法は、窩洞のない齲蝕病変を、早期かつ正確に、迅速かつばらつきなく検出する能力にも欠けている。基本的に、窩洞のない齲蝕病変の検出には、エナメル質表面の測定部位の測定電極と齲蝕病変内の液体間の電気的結合が必要である。さらに、前記検出には、病変部位のすぐ周辺には電気伝導が存在しないことも必要である。また、検出操作が適正であることを即時に確認する方法も必要である。
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本発明は、導電性の先端を有する測定電極を備えた、窩洞のない齲蝕病変を検出するためのデバイスを提供する。前記先端は、裂溝に適合し、かつ、測定先端と歯の間に外部導電手段を追加することなく、患者の歯との電気的接触を提供するような寸法に構成されている。従来技術においては、種々の液体がこの目的に使用されていた。前記デバイスは、さらに参照電極を備え、前記参照電極は、患者の身体との電気的接触のために構成されている。さらに、前記測定電極および前記参照電極間の電気伝導度を決定するために、測定手段も設けられている。前記デバイスは、さらに、前記測定電極および前記参照電極間に電流を提供するための電流源を収容するように構成されている。
本発明はさらに、窩洞のない齲蝕病変を検出するための方法を提供する。前記方法は、患者の身体との導電性接触のための参照電極を準備する工程と、裂溝に適合し、かつ、測定先端と歯の間に外部導電手段を追加することなく、患者の歯との電気的接触を提供するような寸法に構成された導電性の先端を有する測定電極を準備する工程を有する。前記測定電極は、裂溝に適合し、かつ、患者の歯との電気的接触を提供するように構成されている。前記測定電極と前記参照電極間に電流が提供され、前記測定電極と前記参照電極間の電気伝導度が決定される。
前述およびその他の本発明の目的および利点は、下記に示す図面および好ましい実施形態の詳細な説明により、より容易に理解できるであろう。
下記図面を参照しながら、本発明の非限定的かつ非排他的な実施形態について説明する。図面全体を通して、特に明記しない限り、同様の部分には同様の参照符号を付与するものとする。
図1Aは、本発明のプローブが裂溝に導入されている状態を示す概略図である。 図1Bは、狭い細隙を有する裂溝の概略図である。 図1Cは、くびれを有する砂時計のような形状の裂溝の概略図である。 図1Dは、逆Y字状部分を有する裂溝の概略図である。 図2Aは、エナメル質における裂溝の乾燥前の状態を示す概略図である。 図2Bは、エナメル質における裂溝の乾燥後の状態を示す概略図である。 図2Cは、従来の電極プローブによる乾燥後の検出を示す概略図である。 図2Dは、本発明の電極プローブによる検出を示す概略図である。 図3Aは、本発明の手持ち式測定プローブの概略斜視図である。 図3Bは、図3Aに示すプローブに装着された、取り外し可能な測定先端の概略斜視図である。 図4Aは、本発明の測定先端の概略図である。 図4Bは、本発明の測定先端の概略側面図である。 図5は、本発明の一実施形態における、構成部品の概略図である。 図6は、本発明の一実施形態におけるフロントパネルの概略正面図である。 図7は、電気伝導度と脱灰との関係を示すグラフである 図8は、大臼歯の裂溝部位での、電気伝導度と、異なる先端直径を有するプローブ先端との関係を示すグラフである。 図9は、大臼歯の裂溝部位での、電気伝導度と、市販の探針先端の直径との関係を示すグラフである。 図10は、別の大臼歯の裂溝部位(図10に示すものよりもアクセスしにくい)での、電気伝導度と、異なる市販の歯科用探針の直径との関係を示すグラフである。 図11は、表6および7に示す視覚・触覚(VT)および電気伝導度(EC)手段による、ベースラインおよび14ヶ月後における齲歯および健全歯表面の検出結果を比較したグラフである。
図1Aは、プローブが裂溝120に導入されている状態を示す概略図である。本明細書中で使用される用語「裂溝」は、あらゆる歯の小窩、裂溝、窩、または歯におけるその他の類似の領域や凹凸を包含してもよい。図1Aに示すように、初期の象牙質の齲蝕病変140は、エナメル質110の下に形成されて広がる場合がある。これらの初期の象牙質の齲蝕病変140は、非常に一般的であり、通常、従来の視覚・触覚検査またはX線では検出不可能である。従来の測定プローブ130は、大きすぎるか、あるいは適切に先細りしていないため、より詳細に以下に説明するように、これら病変のほとんどが発見される小窩および裂溝に十分に到達することができない。(図2Cおよび2D参照)。測定電極先端130のサイズおよび形状は、初期の齲蝕病変の検出140、ならびに、ばらつきのない正確な測定値を得る上で極めて重要である。
図1Aに示すように、エナメル質110に形成された裂溝120は、エナメル質の上部においては幅広の開口として存在し、象牙質に向かうにつれて徐々に狭くなっている。裂溝120は、エナメル質110において、様々な形状で形成され得るものと理解すべきである。例えば、裂溝120は、図1Aに示すように、上部において幅広で、底部に向かって徐々に狭くなる場合がある。また、裂溝120は、上部から底にかけてほぼ同一の幅を有する場合もあれば、図1Bに示すように、極めて狭い細隙を有する場合もある。裂溝120は、逆Y字状部分を含む場合もあるし(図1C)、あるいは、くびれを有する砂時計のような形状に形成される場合もある(図1D)。いくつかの実施形態では、裂溝120の幅は、約0.05mmから約0.3mmの範囲である。少なくともいくつかの実施形態では、裂溝120の幅は、約0.1mmから約0.2mmの範囲である。裂溝120の長さは、約0.5mmから約1.5mmであってもよい。また、裂溝120の長さは、約0.75mmから約1.25mmであってもよい。
このように、本発明と従来技術との重要な差異は、測定電極先端130のサイズと形状の違いである。このため、本発明の測定プローブ130は、直径がより小さく、より適切に先細りしており、小窩および裂溝(さらに、その他のアクセスしにくい部位)に、より深く到達することが可能である。プローブ先端130の寸法により、エナメル質およびエナメル質の下の象牙質(またはセメント質)内の裂開部位のより深部に位置する液体との接触が可能となる。このような液体は、ほぼ必ず存在しているが、乾燥後は、その量が十分でなく、エナメル質表面に十分に近接していない。このため、従来技術において使用される電極では、正確な電気伝導度または電気抵抗を測定するための液体への到達を毎回達成できるわけではなく、特に、測定先端と歯との間に外部導電手段を用いることなくしては達成できない。
次に図2A〜2Dを参照すると、初期のエナメル質病変において、測定電極の先端と液体220とが電気的に導通していれば、従来技術で提案されている方法で必要とされる、電極と病変間への導電性液体または媒体の適用は不要である。しかしながら、送風による歯の表面の乾燥後に、プローブ先端が液体220に到達しなければ、開回路となってしまう。プローブ250が十分に進入しなければ、図2Cに示すように、病変内において、プローブ先端250と液体220との間における空気の残存が容易に起こる。これは、プローブ先端260が、図2Dに示すように、より小さく、かつより適切な形状および配置とされている場合には起こらない。これは、空気が非導電性であり、風乾後に十分な量の空気が残存すると、電流が流れないためである。その結果、電気伝導度の読み取り値がゼロ(すなわち、偽陰性)となるが、これは、齲蝕病変が存在しない(すなわち、真の陰性)場合に得られる読み取り値でもある。不十分な表面乾燥は、深刻な問題を引き起こし得る。なぜなら、過剰な表面上の水分により、病変の存在を示唆する読み取り値(すなわち、偽陽性)が、実際にはそうではないにもかかわらず、得られるからである。
先に記載したように、通常湿った状態である口腔内の周辺環境から歯を隔離するためにラバーダムを使用することで、必要な乾燥条件を確実に確立できる。この手法によれば、口腔内において、唾液またはその他の導電性液体と隣接する測定部位に唾液は不在となる。ラバーダムの使用により、歯の隔離が完了し、生理食塩水や、歯磨き粉等のペーストといった導電性手段を、自由に採用できるようになる。これにより、測定プローブと齲蝕病変内の液体間の電気的導通を容易に確保できる(Williamsら、1978)。しかしながら、ラバーダムがない場合、歯磨き粉等の導電性手段は、乾燥できない構成成分を含む場合があり、付随的に生じる電気伝導が不可避である。しかしながら、先に指摘したように、唾液バリアデバイスとしてラバーダムを使用すれば、検査プロセスの速度が非常に遅くなる。したがって、ラバーダムの使用は、おそらくは限られた齲蝕診断状況を除き、臨床的に実用的でない。
従来の検査者は、風乾を行う前のプロセスであるプローブ配置の直前に、測定プローブの測定端を、患者の唾液、またはその他の導電性液体、ペースト、もしくは生理食塩水等の食塩水に浸した(Williamsら、1978)。この方法は、横から生じる(lateral)唾液の導電を伴わずにプローブと齲蝕病変の電気接続を確保しつつ、迅速にかつばらつきなく行うことが困難であることが分かっている。このような試みから、横から生じる口腔内の導電を乾燥によって回避することは、ばらつきなく、繰り返し、かつ数秒という短時間内に行うことは困難であることが明らかとなった。生体内において、このような時間内に各歯のプローブ検査が可能であることは重要である。そうでなければ、前記処置(特に、複数の歯の検査が所望される場合)は、時間がかかり過ぎ、実用的でなくなってしまう。
Lussiら(1995)は、上述のRickettsら(1995)と同様に、測定部位および測定先端の周囲を乾燥させるためのシールドを使用し、ある程度の成功を収めている。一方、他のものは、単純に、一定流量の空気を決まった時間適用することによって、再現性を得ようと試みた。しかしながら、前者によれば、プローブのアクセス能、ならびに導電部位を特定するためのプローブ検査の迅速性が低下する。また、後者の標準化された乾燥手順は、適合性および信頼性が、臨床試験または臨床診療で所望されるレベルに達していない。
従来の測定電極とは対照的に、本発明は、図2Dに示すように、測定プローブの小窩および裂溝部位への好適な配置と進入を可能にする形状および寸法の電極を利用している。この方法によれば、測定電極260を、以下のような小窩または裂溝へ配置することが可能となる:(i)深部に位置する歯液を、風乾中に移動させることが困難または不可能;(ii)歯髄液/歯液の歯冠部への浸出(象牙細管内に存在する静水圧および毛細管圧に起因;Brannstrom、1967)が、測定部位周辺の歯の表面を著しく乾燥させた後においても、より効果的に進入する電極の到達を確保するのに十分である。裂開が生じると、象牙細管が露出し、細管が口腔内環境に対してオープンな状態となる。その結果、歯液の伝導度(電気伝導度および水伝導度の両方)の冠部測定を、より容易に行えるようになる(Brannstromら、1966および1967)。風乾により、裂開部位の表層部の液体が減少する場合があるが、このような液体の欠乏は、裂開部位の深部からの歯冠部への浸出により自然に補われる。
歯根セメント質は、保護層としては、エナメル質と同様に作用する。しかしながら、その裂開は、セメント質は、エナメル質より薄く、通常、より多孔性が高く、乾いた状態を保つのが非常に困難であるという点で、エナメル質とは相違する。
図3Aは、手持ち式測定プローブ300の概略斜視図である。具体的には、手持ち式測定プローブ300は、3つの部分、すなわち、電気的に絶縁されたハンドル部330、絶縁性締付けローレット(knurl)320、および容易に交換、取り外し可能な、実質的に直角に成形された、測定プローブアタッチメント、すなわちプローブ先端310からなる(図3Aおよび4参照)。プローブ先端310は、ステレンス鋼等の金属でできていてもよい。ステレンス鋼は、非常に強靭で、可撓性があり、かつ、当該箇所に加えられる物理的な操作および応力に耐えることができる。測定プローブアタッチメント310は、検査対象の歯の部位へ直接挿入するプローブ先端の位置調整をより容易に行えるように、直角に成形されることが好ましい。その他の角度も可能であるが、直角ほど望ましくない。取り外し可能な測定先端310における、締付けローレット320への挿入部の長さは、20.0mmから40.0mmの範囲であればよい。いくつかの実施形態においては、取り外し可能な測定先端310における、締付けローレット320および/またはハンドル330への挿入部の長さは、およそ30mmである。さらに、この部分の直径は、1.0mmから2.0mmの範囲であればよい。いくつかの実施形態においては、前記部分の直径は、1.5mmである。屈曲部から先端までの距離は、6.0mmから9.0mmの範囲であればよい。いくつかの実施形態においては、前記距離は7.5mmである。屈曲部より後ろで、鋭くとがった円錐となるように先細る前の部分の直径は、0.2mmから0.4mmの範囲であればよい。いくつかの実施形態においては、屈曲部より後ろの部分の直径は、0.3mmである。図4Aに示すように、前記先端は、鋭くとがった先端を形成するために、テーパ状となっている必要がある。好適な実施形態では、鋭くとがった先端にいたるまでのテーパは、5°から30°の範囲内である。10°のテーパ角で鋭くとがった先端を形成することが好ましい。これによると、図4Bに示すように、テーパ部の長さは1.8mmとなる。いくつかの実施形態においては、テーパ部の長さは、1.6mmから2.0mmであってもよい。前記形状および鋭い先端により、図2に示すように、小窩および裂溝における液体が常在しやすい部位にまで、最大限に先端を進入させることが可能となる。いくつかの実施形態においては、前記先端の直径は0.04mmから0.06mmであり、0.03mmから0.05mmであることが好ましい。
容易に取り付け・取り外し可能な使い捨ての先端が、使いやすさと、異物混入を確実に防止する観点から非常に望ましい。プローブ部分は、微細な測定先端の成形と、必要な場合には再使用とを可能にできる、十分な強度と可撓性を備えた金属で作製すればよい。この目的に適していることが分かっている歯列矯正用ステレンス鋼ワイヤとして、304Vが特定されている(Rocky Mountain Orthodontics, Denver, Colo.)。その化学組成は以下の通りである。炭素:0.066%、マンガン:1.26%、リン:0.018%、硫黄:0.001%、クロム:18.59%、ニッケル:8.80%、モリブデン:0.15%、窒素:0.025%、銅:0.25%、コバルト:0.15%、残分:鉄。このワイヤ材、ならびにこれにより作製したプローブ先端は、その物理的・電気的特性にほとんど影響を及ぼすことなく、容易に殺菌できる。商業的理由から、前記プローブ電極は単純な構成であり、低コストで製造できるため、これらを使い捨てとしてもよい。使い捨てとする場合、測定電極のハンドルへの取り付けは、ローレット手段によって行ってもよいし、あるいは、延長部(extension)と、電極先端310の堅固な部分をらせん状に巻いたものとをばね張力接触によって行ってもよい。らせん状部はハンドル320に挿入され、そこで電気的接触がなされる。
図3Bを参照すると、取り外し可能な電極先端325がプローブ300に装着された状態が図示されている。先端325は、テーパ状先端筺体322を備え、前記筺体322は、遠位側端部に開口324を、近位側端部326にスナップ適合部またはねじ部を有している。同軸補強外装340を有する電極先端310は、筺体322の開口324を通ってそこに固定され、コイルばね部350を終端部としている。
プローブ300は、電気接点344が突出した先端アンカー342を有する電極端を終端部としている。動作中は、先端325は、先端筺体322のスナップ適合部またはねじ部をアンカー342に固定することにより、プローブ300に装着される。同時に、コイルばね部350が圧縮され、電気接点344と電気的に接触する。
今述べた進入電極先端を備えたインジケータ電極の使用により、導電手段として口腔内に液体を塗布する必要がなくなる。導電性を測定するための従来のアプローチでは、電極の寸法および形状上、歯液との確実な電気的接触のために、液体の塗布が必要であった。本アプローチは、この必要条件を取り除くことで、本発明を著しく簡素化した。さらに、最も重要なことに、本アプローチにより、前記デバイスの使用者が、従来よりもはるかに迅速かつ正確に測定を行うことが可能となった。
表面電気伝導度を除去するための歯の表面の唾液の乾燥は、通常、歯科用エアシリンジから乾燥した空気を5秒〜10秒の短時間吹き付けることによって行われる。これにより、咬合面のほとんどと、測定中の小窩および裂溝の入口とが容易に乾燥されるが、測定を行っている小窩または裂溝病変内のより深部(前記送風が容易に届かない)に存在する液体に対しては、ほとんど、または全く影響を及ぼさない。測定電極の先端を生理食塩水等の導電性液体に浸すことで、測定電極をこのような液体で被覆する手法が、本明細書に開示のものよりも寸法が大きい電極を用いた電気伝導を促進する目的で使用されてきた(Williamsら、1978)。しかしながら、通常は、前記過程においていくらかの空気が残存してしまい、病変の有無にかかわらず、読み取り値がゼロとなりってしまう。
要約すると、従来の電極のアクセス能は、図2Cに示すように、小窩および裂溝の入口にほぼ限定されてしまう。よって、導電性液体(唾液であろうと、口腔外の咬合側添加剤であろうと)の口内源(oral source)が必要となる。このため、再現性の達成、特に、処理工程が実用的であるための必要条件である短時間以内での達成は、困難である。これに対し、本発明においては、導電補助剤は不要である。
電気伝導度測定
齲蝕病変を検出するため、電気伝導度を測定してもよい。いくつかの実施形態においては、計測器は、以下を特徴として備える。(i)必要に応じて電流を供給する、電池式のDC電流源;(ii)電流測定のためのデジタルμA計;(iii)電圧測定のためのデジタル電圧計(必要な場合);(iv)迅速、安定、かつ再現可能な伝導度の読み取りを助けるいくつかの機能を可能にする回路基板;(v)検査対象の歯列部位での測定に物理的に干渉しないよう、測定部位から離間して配置された参照電極;(vi)ハンドピース(例えば、# XHP1, Ellman International,
Oceanside, NY 11572)と交換可能測定先端とを備えた、電気的に絶縁された測定インジケータプローブ。
本発明のデバイスの回路に電力を供給する9V電池は、出力が10μAに制限された非調整の電流源を生じさせてもよい。前記電流源は、9Vおよび0μAの開回路出力を提供する。これらの値は、前記プローブが、測定中の歯の部位に接触していない状態、または、エナメル質が無傷(すなわち、脱灰なし)である測定中の歯の部位に接触している状態に相当する。これに対し、齲蝕脱灰が十分に進行すると生じるような、エナメル質(またはセメント質)の裂開が存在し、前記裂開が歯液または口腔液で満たされていると、電気伝導が起こる。電気回路が閉じると、電流は、ゼロよりも大きい値に上昇する。これは病変がある場合に起こり、前記電流の上昇は、前記病変の程度に比例する。下記の表1および表2からわかるように、電位および抵抗の低下も起こる。いくつかの実施形態においては、患者の安全を確保するため、外部電流を印加しない。
Figure 0005917403
測定値は、電気伝導度の上昇に伴い、電圧および抵抗がいずれも低下することを示している。このパターンは、歯の齲蝕の重症度の上昇を反映する。回路抵抗の算出値は、表中の抵抗(R)列に記載の数値、R+R(100,000+1000Ω)、とほぼ一致している。
Figure 0005917403
測定値は、電気伝導度が上昇すると、電圧および抵抗がいずれも低下することを示している。このパターンは、歯の齲蝕の重症度の上昇を反映する。回路抵抗の算出値は、表中の抵抗(R)列に記載の数値、R+R(100,000+1000Ω)、とほぼ一致している。
さらに、何らかの読み取りがなされた際の前記回路の完結を、10μAの最大電流と関連付けてもよい。表3からわかるように、ほとんどの初期の病変の読み取り値は、4μA未満である。
Figure 0005917403
回路の説明
齲蝕のない歯(下記実施例2参照)に対する同様の検査では、電気伝導度の読み取り値は、平均値が0.0μAであり、また、平均脱灰スコアは0であった。
図5に示すように、プローブを用いた齲蝕検査の間は、本発明のデバイスは、基本的に開回路機器である。前記回路は、病変部位を横切る液体が存在し、前記液体が、ペーストまたは唾液等の導電補助手段の存在下または不在下で測定電極と接触すると、閉回路となる。前記回路は、患者の前腕、首の後ろ、または頬から、前記患者の体を介し、前記患者測定中のの歯へといたる電流フローの経路を有していてもよい。この回路の完結は、μA計および/または電圧計測定部が間に配置された、前記インジケータと参照電極とを介してなされてもよい。好適な参照電極は、前腕の腹側表面に取り付けられるEKG型の銀/塩化銀電極(Silver Mae Trade plus Tab, Cardiology Shop, Berlin, Mass. 0150)である。***フックの使用も可能であるが、歯科医またはその他の医療従事者による前記測定電極の適用を妨げるため、望ましくない。
図5からわかるように、本発明のデバイスは、2個の電池を動力源としてもよい。第1の電池は、μA計と、あれば電圧計に対して電力を供給する。前記電流源の出力電圧は非調整(9Vから1Vまで)であり、先に示した電流出力は、10μAに限られる。第2の電池は、前記電流源回路と制御および監視回路とに電力を供給してもよい(上記参照)。この電池は、6.3V〜9.0Vの範囲の電圧を有していてもよい。6.3V未満の電圧であれば、前記電池を交換すべきである。いくつかの実施形態において、電池寿命の判定は、電池テストスイッチを入れることを含んでもよい。前記第1電池は、前記計器が低バッテリー状態を表示した場合に、同様に交換すればよい。
低負荷は、進行の初期段階にある窩洞の存在を示しており、これは、高抵抗(例えば、22MΩ)と関連付けられる。このような状態の評価対象の病変は、わずかな電流を生じさせ、若干の電圧の低下を示す。負荷が高くなれば(例えば、100,000Ω〜600,000Ωの抵抗に反映されるもの)、電流フローは大きくなり、電圧の低下も大きくなり、窩洞がより進行していることが示される。負荷がさらに高くなれば、抵抗は非常に低くなる(例えば、1,000Ω〜100,000Ω)。電流は上昇し、最大電流である10μA近くに達する。これに応じて、電圧は1Vまで降下し、窩洞がさらに進行していることが示される。
前記完結計器回路における追加の部品としては、抵抗器(R1)、抵抗シャント(Rs)、およびμA計があげられる。R1は、式R1=V/Aによって算出される。式中、Vは電圧、Aは電流(単位:アンペア)である。前記電流源出力電圧が、1V未満に降下しないように設計される。これは、以下に述べる予備試験を行う際、システム試験で行われるように参照電極および歯科用プローブを意図的に短絡させた場合(前記回路内に患者は不在)に起こる。この状況での最大電流源出力は、10μAおよびR1=1V/10μA=100,000Ωである(表1および2参照)。
前記Rsシャントは、200mV範囲(最大測定限界)の200μAデジタルパネルメータに対し、1,000Ωに設定してもよい。この場合、Rs=Vm/Im=200mV/200μA=1,000Ωである。
前記参照電極と本発明のデバイスプローブとの間に配置された種々の抵抗値に対する本発明のデバイスの完結回路計の読み取り値は、歯の齲蝕状態をシミュレートするものであり、それらの結果を表1および2に示している。算出された抵抗値には、先に述べたように、回路抵抗、R1+Rsが含まれる。これらの値を、表1および表2中のR=V/I列に示している。
本発明のデバイスによる電圧および電流の測定値(表1および2)は、いずれも歯の齲蝕の存在に直接関連するパターンを示している。窩洞の程度は、電流の大きさ、電圧の低下、および、これらの電圧および電流変化の両方の組み合わせに関連する。電池電圧範囲の相違は、表1(8.61V)および表2(6.37V)の通りである。これにより、無視できる程度の回路抵抗の相違と、加えて、80kΩで0μAから1MΩで最大1.61μAまでのマイクロアンペアの相違が生じる。
オームの法則を用いて算出されるR=V/Iの値を、表1および2に示している。算出された回路抵抗の算出値は、表中のΩ列およびR=V/Iの抵抗算出値の列に記載の数値とほぼ一致している。いずれの電池電圧レベルでも、これは、R(100K)+Rs(1K)を含む。
電圧調整
本発明のデバイスは、9V非調整、10μA電流制限電源を使用してもよい。非調整電源の使用により、負荷の上昇に伴い、電圧を降下(例えば、9V〜1V)させることができる。これにより、必要な場合には、電流データに加え、電圧データを記録することも可能となる。
また、10μA出力に制限された、定電圧調整電源を使用してもよい。前記電源との相違は、負荷の上昇に伴い、電圧は9Vのまま一定であるが、電流は上昇する(例えば、0μA〜10μA)という点である。取得可能な電流データは記録可能であり、これらの値は、齲蝕病変の程度と直接関連する。
まとめると、本発明のデバイスの重要な態様は、以下を開発したことである。(i)特化された測定プローブ;(ii)患者の身体の導電性の利用および10μAの電流に制限された電流源の供給を含む、電気伝導度の測定方法;(iii)活性部位の迅速なプローブ検査と、迅速かつ正確な伝導度の記録が可能な方法。先に示したように、測定は、齲蝕がない場合に電気伝導を伴わない(すなわち開回路)か、または、齲蝕がある場合に、電気伝導を伴うか(すなわち閉回路)のいずれかである。
処理装置および記憶装置
いくつかの実施形態においては、プローブは、処理装置および記憶媒体に接続される。任意の好適な処理装置が使用可能であり、個々の処理装置を組み合わせることもできる。任意の好適な記憶媒体が使用可能である。記憶媒体としては、コンピューター可読の命令、データ構造、プログラムモジュール、またはその他のデータ等、情報を記憶するための任意の方法または技術で実行可能な、揮発性、不揮発性、取り外し可能、および取り外し不可能の媒体があげられる。記憶媒体の例としては、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、またはその他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)またはその他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置またはその他の磁気記憶装置、あるいは、所望の情報を記憶するために使用でき、コンピューティング装置またはその他の処理装置がアクセス可能なその他あらゆる媒体が挙げられる。本明細書に記載の機構(arrangements)の部品間の通信方法としては、有線および無線(例えば、音響無線周波数、光、または赤外線)の両方による通信方法があげられる。例を挙げると、有線通信には、ツイストペア、同軸ケーブル、光ファイバー、導波管、およびその他の有線媒体等のアイテムが使用でき、無線通信には、先に述べたような方法が使用できる。
少なくともいくつかの実施形態において、処理装置は、記憶媒体に接続され、記憶またはさらなる計算のために、前記記憶媒体にデータを送信する。いくつかの実施形態においては、記憶媒体は、コンパクトディスクのように、携帯型であってもよい。記憶媒体は、処理装置によって送信されたデータを自動的に記録またはログしてもよい。いくつかの実施形態においては、記憶媒体は、例えば、患者の氏名、来院日、検出された齲蝕の数、および/または齲蝕の位置を含むログ内に患者データを記憶する。
処理装置は、インジケータに接続してもよい。インジケータは、プローブ上に、または処理装置の一部として構成してもよい。少なくともいくつかの実施形態において、齲蝕病変が検出されると、1以上の信号が発せられてもよい。別の実施形態においては、電気伝導度が最初に検出された際に、信号が発せられてもよい。多くの異なる種類の信号がインジケータから発せられてもよく、例えば、少なくとも1つの聴覚信号、少なくとも1つの視覚信号、少なくとも1つの触覚信号、少なくとも1つの嗅覚信号、別のデバイスのテレメトリ信号等、またはこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、発せられる信号としては、1以上の発信音、チャープ、きしみ音(squeak)、チャイム、ベル音、1以上の光または発光ダイオードの、1回以上の作動または作動停止、1以上のディスプレイに表示されるメッセージ、1以上の振動または触覚パルス、1以上の特徴的な香りの放出等、またはこれらの組み合わせが挙げられる。インジケータは、任意の設定時間作動させてもよい。いくつかの実施形態においては、歯科医または歯科衛生士等の歯科医療従事者が、齲蝕の存在を確認または記録できるよう、インジケータを、少なくとも3秒〜5秒間作動させてもよい。
上述したように、処理装置は、メッセージまたは発せられる信号の形態のインジケータに接続されてもよい。あるいは、前記インジケータは、歯のグラフィック表示の形態であってもよい。プローブが歯の上を移動するに従い、当該エリアがグラフィック表示上にマップされ、齲蝕と思われる箇所を示してもよい。このようなグラフィック表示は、対応中の歯科医または歯科医療従事者が、問題があると考えられるエリアを特定する助けとなり得る。
デバイスの操作
図6は、齲蝕計測器の前端面の概略正面図である。前記デバイスの操作は、以下のよう行われてもよい(i)スイッチS1をON位置に動かし、前記計測器の電源を入れる。この際、μA計は、0.00を示している。低バッテリー状態が表示されている場合は、前記μA計の電池を交換する必要がある。(ii)スイッチS2を電池テスト位置に動かす。テスト光が点灯しない場合は、電流源の電池を交換する必要がある。(iii)スイッチS2をON位置に動かす(iv)前記デバイスにジャックで接続されたプローブおよび参照電極を使用し、回路が正しく機能しているかどうかを検査する。電流源の出力は、開回路状態においては0μAで9Vを、短絡閉回路条件、すなわち、参照電極およびプローブ電極が互いに接触している時は、最大1Vおよび10μAを供給する。
前記テストを実施するため、まず、前記システムを開放位置にして読み取り値を得て、次に、読み取り範囲が最大であるかどうかをテストしてもよい。後者のため、プローブ先端を参照電極と接触させ、回路を短絡させる。これにより、測定部内の音響部品(ビーパー)が一定時間作動し、操作者が電気的接触を行ったことを操作者自身に知らせる。いくつかの実施形態において、前記音響部品は、1、2、3、4、5、または10秒間作動する。前記音響部品の発信音が停止すれば、前記電極の前記測定部位との接触を解除する。前記発信音の終了時に、5秒間数値ホールド回路(five second numerical hold circuit)を起動する。これにより、前記μA計に10μA以下、前記電圧計に1V以上が表示される。前記読み取り値は、これを記録する時間を提供するため、5秒間保持されてもよい。次に、前記μA計および電圧計を、ゼロμAおよびフル電池電圧に戻す。これで、前記システムは、インジケータ電極を用いた隠れた歯の齲蝕病変の順次間欠プローブ検査の準備が整った状態となる。前記プローブを裂溝に沿って進ませる摺動プローブ検査を行うことも可能であり、発信音(beep)またはビープ音(beeping)により、初期の隠れた齲蝕病変の位置を特定する。その後、即座に間欠プローブ検査を行い、病変の存在とその大きさを確認する。
デバイスを携帯可能とするため、電池を使用してもよい。このようにすれば、患者隔離技術や電源コードが不要となり、コストが削減される。電源供給ラインまたは電池エリミネーターを構築することもできる。電源供給ラインまたは電池エリミネーター変圧器の使用には、電源コードと、患者隔離技術の追加が必要である。前記計器内の前記回路に対し、当該回路によって供給される電圧は規定されており、電池のように、使用中に徐々に放電するにことで電圧が変動することはない。電流源の回路操作も同様である。
これらの特徴により、このような計器全てから同一のデータを得ることが可能となると考えられる。手作業によるデータ記録を不要にしたい場合は、代わりに、前記データをメモリに記録するか、または印刷するという方法を導入すればよい。
前記デバイスの詳細を、下記実施例において説明するが、これらの実施例は、あくまでも本発明の例示を目的として提供するものであり、よって、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
(実施例1)
生体内状態をシミュレートする装置を組み立て、液体が(下層の組織液から)、歯根尖孔、次いで歯髄、それから象牙質を通って歯冠に向かって移動し、裂開が生じた、もしくは部分的に裂開が生じた(多孔性)エナメル質の空隙を満たすことができることを示した。これにより、導電回路の性質を、測定時における開回路および閉回路の性質と共に実証した。
前記装置は、計測器での使用に関するプローブ先端の適性を事前にテストする上でも非常に有用である。さらに、前記装置は、医療従事者が患者の処置にあたる前の研修にも有用である。
前記デバイスは、ゴム製または厚紙のシート(15cm四方×厚さ2mm)で被覆された、蓋のないペトリ皿(直径9cm)からなり、前記シートは、その中心に、プローブ検査および電気的検査(生体内で使用されるラバーダム参照)に備えて直立の状態で歯を配置するための穴を有している。前記シートの別の穴は、上述の参照電極の収容に使用する。さらに別の穴が、唾液、血清、またはその他の液体を、必要に応じて、または適宜に添加または除去できるように開けられている。
前記シートは、前記ペトリ皿上に配置された、15cm×厚さ7mmの木枠によって支えられている。0.9%(w/v)NaCl溶液(すなわち、生理食塩水)30mlを前記ペトリ皿に添加し、測定中の各歯の歯根を、ゴムシートの中心の穴に押し付けて通し、前記歯根の頂部を前記ペトリ皿内の前記生理食塩水に約2〜3mm浸漬させる。前記生理食塩水は、検査中の歯の一または複数の根管を通って髄室に進入する。次いで、歯髄から象牙細管を経て、検査中の小窩、裂溝または窩に到達する。被覆しているエナメル質が無傷でない場合(すなわち、多孔性であるか、または裂開が生じている場合)には、電流が検出され、測定される。
伝導度の決定に使用する参照電極は、前記ペトリ皿内の前記生理食塩水溶液中に配置された適当な長さの白金線からなり、前記計測器へと通じる絶縁線に接続される。前記インジケータ電極および交換可能なその測定先端は、図3および図4を参照して上述したものと同様であってもよい。
(実施例2)
健全歯と齲歯とを比較し、生検によって実際に健全歯、齲歯であるかを確認する一連の実験において、26本の窩洞のない齲歯と、13本の萌出直後の(したがって、明らかに窩洞や齲蝕がない)歯のそれぞれについて、咬合面6〜8の部位で電流を測定した。各部位において、3回読み取りを行った。各回とも、測定を行う前に、5秒〜10秒空気を吹き付けて予め歯を乾燥させた。次いで、各歯の歯冠を、咬合側からセメント質とエナメル質の接合部に向かって順次歯の切片が切り出されるように、横方向に分割した。これにより、厚みがそれぞれ630μmである切片ができた。分割された歯を再構成した場合には、スライスする際に使用した低速切断機(Isomet 11-1180, Buehlar, Evanston, Ill.)のダイヤモンド刃の厚みのため、各切片は150μm離間する。各水平切片のカラー写真を撮影し、脱灰を目視検査した。目視検査は病変の進行程度を示し、0〜4までの段階に分けて評価した。
電気伝導度は、測定した26本の齲歯の咬合部位において、表3に示すように、0.3μA〜3μAの範囲内であり、13本の齲蝕のないコントロールの全咬合部位において、表4に示すように、ゼロであった。表3および表4に記載の歯は、普遍番号方式(Universal System)にしたがって番号付けされている。右上顎第三臼歯は、「1」とされ、左に向かうにしたがって番号が大きくなる。左下顎第三臼歯は「17」とされ、下の歯が右に向かうにしたがって番号が大きくなる。
Figure 0005917403
前記齲蝕群の歯の水平切片の目視検査の結果、平均脱灰スコアは、表5に記載の0〜4段階評価で、2.11±0.67(標準偏差)であった(上記表3参照)。これらの電気伝導度の平均値(表3参照)は、2.16±0.55(標準偏差)μAであった。これに対し、前記コントロール群の歯は、平均電気伝導度が0.0μAであり(表4)、これらの切片において、目視で確認できるミネラル喪失は皆無であった。これらの歯の平均脱灰スコアは0であった。前記2つの群間での電流値の違いは、スチューデントt検定によると、脱灰値の違いと同様、極めて有意であった(p<0.001)。
(実施例3)
抽出した40本の永久臼歯の咬合面のそれぞれに対し、まず、前記測定デバイスを用いた齲蝕病変の存在の検出を行い、次に、実施例2と同様に、歯の生検により齲蝕病変の存在を確認した。この群の歯は、0μAから4μAの電流値を示した。各切片の咬合部位を選択し、各位置の電気伝導度を3回測定した。次に、実施例2と同様に、前記歯を切断して生検を行い、カラー写真を目視検査して脱灰を評価した。脱灰スコアに対し、電流をプロットした(図7)。電気伝導度と生検による検出との相関性は極めて高かった(r=0.914;p<0.001)。
(実施例4)
電池は、使用に伴い電圧が低下する。このような放電は、器械の読み取り値の安定性に影響を及ぼし得る。この可能性をテストするため、100K抵抗器を、前記計測器のプローブ間に配置して、本発明のデバイスに導入した。これにより、R1およびRsに、101,000Ωの値が加算される。表1において、8.61Vの電池電圧で、前記計測器は1.98Vおよび9.82μAを読み取る。オームの法則R=V/Iを使用すると、201,000Ωが導き出される。表2は、前記電池電圧が6.37Vの場合の同様の測定値を示している。同一の100K抵抗器を本発明のデバイスのプローブ間に接続した結果、1.98Vおよび9.83μAの計器読み取り値が得られる。これにより、201,000Ωが算出される。
表1および2を比較すると、列R=V/Iの算出値の違いはわずかである。μAの列を確認すると、80,000Ωで0μAの差、1,000,000Ωで1.6μAの最大差であることがわかる。このμAの差は、齲蝕病変の程度を決定する上で重要でないと考えられる。このように、歯の齲蝕検出における前記測定デバイスの精度が実証された。したがって、前記9Vの電池電源がその電荷をいくらか損失したとしても、読み取り値が影響を受けることはない。
(実施例5)
14ヶ月にわたる調査を行い、ベネズエラ人の小児の第1永久臼歯の咬合面における咬合面蝕病変について、電気伝導度と視覚・触覚手段とによる生体内での検出を比較した。ベネズエラのUnidad Educativa Bauteより、9歳〜11歳の200名の小児が、この調査に参加した。承認された200名の小児のうち、119名が調査の最後まで残り、これら119名の調査結果に基づいてデータ分析を行った。前記視覚・触覚による方法と電気伝導度による方法の両方を用いて、ベースラインおよび14ヶ月後の齲蝕病変を検出した。前記咬合面検査は、2名の調査員によって行った。1名は、人工光、プローブ、および歯科用ミラーを使用して視覚・触覚検査を行った。もう1名は、本発明の齲蝕検出デバイスを使用した。両調査員に対し、事前に、各々が担当する方法について、標準化を行った。視覚・触覚検査には、表5に示す基準に基づくDMFS採点法を使用した。
Figure 0005917403
この実施例では、各表面を、1a〜1dのいずれかの基準を満たしていれば齲蝕あり、基準4を満たしていれば健全と評価した。このような齲蝕/健全の評価の結果を、下記表6および7に示す。
Figure 0005917403
Figure 0005917403
ベースラインにおいて、前記電気伝導度(EC)による方法は、視覚・触覚処理による観察と比べて、齲蝕病変を有する咬合面をより多く検出した(表6、特に、当該表に記載の齲蝕/健全歯の比率参照。すなわち、ECでは5.10、視覚・触覚では0.84)。この大きな差は、検出能における大きな差に起因すると考えられる。すなわち、多くのごく初期の病変が視覚・触覚検査では確認不可能であるが、EC検査によれば、視覚・触覚手段による検出と比べ、病変をその進行のはるかに初期の段階で検出することが可能であるからである。病変を進行させ、いずれの方法でもより容易に検出できるように、ベースラインの14ヶ月後に2回目の検査を行った。その結果、いずれの方法においても、ベースラインから14ヶ月後までの間に、齲蝕の増加が見られた(表6、表7、および図11参照)。表6および表7から、齲蝕が時間と共に進行するにつれ、時間の経過と共に(すなわち、14ヶ月後に)、健全な表面が齲蝕に蝕まれる比率が高くなることがわかる。(すなわち、ECで17.30、視覚・触覚で1.53)。図11は、従来のミラーとプローブを用いた方法に比べて、EC測定による齲蝕検出能が格段に上であることをはっきりと示しているが、それは、本発明のデバイスを用いたEC測定のはるかに優れた、かつ容易な検出能ゆえに、当然に予測できたことである。
電気伝導度による早期の検出は、齲蝕の進行における窩洞形成前段階において特に有益である。なぜなら、多数の早期検出による治療結果が存在するからである。最も著しい効果は、より簡単な手段、すなわち、再石灰化処置によって治療が行えるということである。これに対し、視覚・触覚手段によって検出が遅れると、病変(窩洞)は大きくなり、いわゆるドリリングや、充填による修復処置の使用が必要となる。
(実施例6)
本発明のデバイスの取り外し可能な測定先端のサイズおよび形状は、重要な特徴である。前記プローブ先端は、齲蝕が生じやすい部位に、従来のものよりも容易に適合することができる。先端サイズを一定範囲内で変更したプローブ先端について試験を行い、通常、手鏡と併用し、初期の窩洞の存在についてプローブ検査と位置の特定を行う複数の探針プローブのプローブ端と比較する。
実際の先端部分の直径が0.12mm〜0.73mmの範囲のプローブ先端について、実施例1に記載の装置を使用して、大臼歯における電気伝導度の測定能を調べた。結果を図8に示す。直径が0.12mm〜0.40mmの先端によっても、同様の結果が得られた。直径が0.40mmよりも大きい先端では、前記先端が、小窩、裂溝または窩部位に十分に進入および適合しなかったことから、電気伝導度の値(測定単位:μA)は、予測された通り低下した。
同様の電気伝導度測定を、実施例1のデバイスに接続した市販の歯科用探針の範囲についても行った(図9および図10)。これらの先端直径は、本明細書で提案されている、前述の先端直径よりもサイズが大きく、よって、齲蝕しやすい部位への進入は、図9に示すように、劣ることが予想でき、図10に示すよう、さらに劣ることが予想できる。これらの探針は市販されており、典型的なサンプルである。これらの先端は、本発明の先端と比べて、大きくかつ若干丸みを帯びている。よって、本発明の先端は、より好適な形状であり、かつ前記市販の探針先端よりも精巧で、咬合部位へとより容易に進入することができた。図10の結果は、実質的に電気伝導度が生じていないことを示しているが、これは、多量の電流フローを生じさせるには不十分な前記プローブの進入と一致している。図9は、若干の進入を示している。よって、従来技術の先端のサイズでは、齲蝕しやすい部位へと十分に進入する能力が制限され、よって、その診断能力は、不十分かつ低感度である。この制限は、現在利用されている房状の(tufted)先端(すなわち、ひとまとまりの房)にも当てはまる。このような房は、裂溝の深部へと進入することができず、その挙動は、図8、9、および10に示す大き過ぎる電極の挙動と同様である。さらに、このような房状電極先端は、裂溝部位への再現可能なプローブ配置を可能にするだけの剛性を欠いている。

Claims (8)

  1. 窩洞のない齲蝕病変を電気伝導度の測定によって検出するための測定電極であって、
    裂溝底部に適合し、前記裂溝底部に接触し、且つ前記裂溝底部における液体と電気的接触を提供するような寸法に構成された導電性の先端を有し、
    前記導電性の先端は、シャフト部及びテーパ部を備え、
    前記テーパ部は、前記シャフト部に対し傾斜しており、
    前記テーパ部は、直径が徐々に小さくなる先端部を有し、前記先端部は、裂溝底部に進入できる尖状の先端を有し、前記裂溝底部における液体と接触できることを特徴とする測定電極。
  2. 前記テーパ部の長さは1.6〜2.00mmの範囲であることを特徴とする請求項1記載の測定電極。
  3. 前記テーパ部の最大径部分の直径は0.2〜0.4mmの範囲であり、
    前記テーパ部の前記先端部の直径は0.04〜0.06mmの範囲であることを特徴とする請求項1又は2記載の測定電極。
  4. 前記テーパ部の前記シャフト部に対する傾斜角度が90度であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の測定電極。
  5. 前記導電性の先端が、前記測定電極からの当該先端の突出程度の調整を可能にするローレットタイプのロック手段によって、前記測定電極に取り付けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の測定電極。
  6. 前記導電性の先端が、前記先端と前記測定電極とを電気的に接続する接触バネによって、
    前記測定電極に取り付けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれ一項に記載の測定電極。
  7. 前記導電性の先端が、歯の視認性及び耐屈曲性を高めるために同軸補強されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の測定電極。
  8. 窩洞のない齲蝕病変を電気伝導度の測定によって検出するためのデバイスであって、
    測定電極と、参照電極と、測定手段とを含み、
    前記測定電極は、請求項1から7のいずれか一項に記載の測定電極であり、
    前記参照電極は、患者の身体に電気的に接触可能であり、
    前記測定手段は、前記測定電極及び前記参照電極の間の電気伝導度を測定することを特徴とするデバイス。
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