JP5916537B2 - 濾過体、これを有する濾過装置及び海水処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、大量の原水としての海水を濾過する濾過装置、特に、船舶のバラストタンクに積み込まれるバラスト水として取水される海水に含まれる生物を効率的に捕捉除去するための濾過体そしてこれを有する濾過装置及び海水処理装置に関する。
一般に、空荷または積荷が少ない状態の船舶は、プロペラ没水深度の確保、空荷時における安全航行の確保等の必要性から、荷下し時にバラストタンクに海水がバラスト水として注水される。逆に、積荷をする場合には、バラスト水が海中へ排出される。ところで、環境の異なる荷積み港と荷下し港との間を往復する船舶により、バラスト水の取水および排水が行われると、バラスト海水に含まれる細菌類やプランクトンなどの生物が持ち込まれることにより、沿岸生態系に悪影響を及ぼすことが懸念される。そこで、2004年2月、船舶のバラスト水管理に関する国際会議において、船舶のバラスト水および沈殿物の規制および管理のための国際条約が採択され、バラスト水の処理が義務付けられることになった。
バラスト水の処理基準として国際海事機構(IMO)が定める基準によれば、船舶から排出されるバラスト水に含まれる50μm以上の生物(主に動物プランクトン)の数が1m中に10個未満、10μm以上50μm未満の生物(主に植物プランクトン)の数が1mL中に10個未満、コレラ菌の数が100mL中に1cfu未満、大腸菌の数が100mL中に250cfu未満、腸球菌の数が100mL中に100cfu未満、にするように規定されている。
バラスト水の処理技術の従来技術として特許文献1〜5では、バラスト水を排出する際にバラスト水中に含まれる有害プランクトンまたは有害藻類のシストを薬剤、紫外線、超音波、オゾンなどを用いて殺菌する殺菌処理方法が提案されている。
しかし、それらの殺菌処理の効果は、海水中の生物の種類、大きさなどによって変わるので、海水を予め濾過装置により濾過して比較的大型のプランクトンを捕捉して除去し、小型のプランクトンと細菌に対して殺菌処理を施すことにより死滅させる手法が提案されている(特許文献6)。
そして、バラスト水の処理の際には、バラスト水の取水時であれ、排水時であれ、船舶渡航中であれ、あるいはその他の場合であれ、より短時間でこれを行うことが求められるのが常であるので、濾過装置により生物を捕集する際には短時間で大量の濾過処理が可能な濾過装置が望まれる。そこで特許文献7では、大量処理が可能なように複数の濾過体を備えて濾過面積を大きくすると共に、装置内部に熱を加えて高温状態とする加熱手段を設けて残留生物を殺滅させることとした濾過装置が提案されている。上記特許文献7では、濾過体は、軸線方向で一端が開口し周面が通水可能な円筒状をなし、海水はこの開口から導入され、周面で濾過されて該周面外に排出される。この濾過体は、定間隔で突起が形成された金属製の細い線材(ノッチワイヤ)を筒状枠体の周囲にコイル状をなすように密に巻回して円筒状として、各巻回で隣接するノッチワイヤ間で突起によって目開きを形成するノッチワイヤフィルタとしている。このノッチワイヤフィルタは、線材としてのノッチワイヤが金属製であるため、濾過時そして逆洗時においても十分な強度を発揮する。
また、短時間で大量の濾過処理が可能であり、さらに、濾過材の洗浄を効率的に行うことのできる濾過装置として、特許文献8に濾過体の両端から逆洗を行う機構を備えた濾過装置が提案されている。特許文献8の濾過装置は、長い円筒体をなしその軸線方向両端部を開放した多数の平行な濾過体と、原水を受け入れる入口及び濾過水を排出する出口が設けられていると共に上記濾過体を収容する容器とを有し、原水は容器内で濾過体の内部から外部へ向かう流れにより濾過され、さらに濾過装置は、複数の濾過体のうちの一部の濾過体に対し互いに異なる濾過体の一端と他端に位置する逆洗浄機構をも備え、この逆洗浄機構が、互いに異なる濾過体の端部に交互に接続するように位置して、濾過体内部の圧力が、濾過体外部の濾過済みの濾過水の圧力より低くなるようにして、濾過体の外部から内部へ向かう逆洗流を発生させ、濾過体の内部に付着した濾過残渣を剥離し逆洗し、濾過残渣が容器の逆洗水排出口から排出されるようにしている。さらに、各濾過体がその端部間で上空間と下空間に二分割されるように中間仕切部を備え、互いに異なる濾過体の一端と他端に接続された逆洗浄機構が、上記異なる濾過体の上空間と下空間にそれぞれ接続されて、該上空間と下空間へそれぞれに逆洗流を発生させる。濾過体の分割された上空間と下空間が機能的に互いに独立しているため、濾過体の上空間と下空間の一方で逆洗流による逆洗浄を行うと同時に、他方で濾過が継続する。濾過体の両端から逆洗を行う機構を備えることにより、濾過体の一端からのみ逆洗を行う場合には、他端側に濾過残渣が残り目詰まりが生じることを改善している。
濾過体の内部空間を二分割する中間仕切部には分割された上空間と下空間の間で少量の連通流を通過させる連通開口が形成されている。この連通開口の目的は、逆洗時に中間仕切部近傍は逆洗浄機構との接続部から離れているため逆洗流の勢いが小さく十分な逆洗浄が行えず濾過材に濾過残渣が残り目詰まりが生じるため、連通流により中間仕切部近傍に逆洗流の勢いを補う流れを生じさせ逆洗浄能力を補うためである。
特開平04−322788号公報 特開2001−293474号公報 特開2008−55352号公報 特開2005−21814号公報 特開2010−58080号公報 特開2006−248510号公報 特開2009−066533号公報 WO2007/062763
<1><ノッチワイヤフィルタの経済性の問題>
しかしながら、ノッチワイヤフィルタの経済性に関して、改善が求められている。先ず、ノッチワイヤフィルタは、上板と下板をそれらの周縁部で連結する柱状の複数の支持材の周囲にノッチワイヤを螺旋状に巻回し、該ノッチワイヤの一端を上板、そして他端を下板に固着する構造となっていて、ノッチワイヤは上板そして下板と完全に一体化している。したがって、低下した濾過体の濾過性能の回復のためには、濾過体全体を新しいものと交換しなくてはならない。これは経済的に不利である。
さらには、ノッチワイヤフィルタは、市販のフィルタ濾布を用いるのと異なり、濾過体毎に、上述の構造の支持材にノッチワイヤを正確に巻回して一体化した濾過体を製造しなくてはならず、製造コストが高くなる。
<2><支持体に当接する濾過材部分の問題>
濾過材であるフィルタエレメント(ノッチワイヤ、メッシュシート材)の支持体(リテーナ、エレメント保持器ともいう)への装着方法として、従来方法としては、ノッチワイヤ式フィルタであればノッチワイヤをリテーナへ巻きつける方式であり、メッシュフィルタであれば、メッシュシート材をリテーナの周りに密着させる構造であった。
この方法では、リテーナとフィルタエレメントが密着するので、リテーナの支持部である構造部分(支持体として例えばパンチングメタルを用いる筒体の場合には開孔以外の部分)に当接するフィルタエレメント部分には濾過する原水が透過しないため濾過可能な有効濾過部とはならないので、総合的に有効濾過面積率が低下する。従って、濾過処理量を確保するためには濾過体が多数必要になっている。
<3><両方向逆洗機構の中間仕切部の問題>
特許文献8の濾過体の両端から逆洗を行う機構を備えた濾過装置において、濾過体の中間仕切部に連通開口が設けられていて、中間仕切部から連通流がフィルタエレメントの内面近傍に流れ、逆洗流の勢いを補う流れを生じさせるようになっている。この連通流が十分な量でない場合や連通流の流れる方向が適切でない場合には、逆洗流の勢いを補う流れを適切に生じさせることができず、濾過体に濾過残渣が残り目詰まりすることや連通開口が目詰まりすることが生じ問題が生じる。
本発明は、かかる事情に鑑み、濾過時そして逆洗時においても十分な強度を有し、安価に製造でき、フィルタエレメントがリテーナで支持されても濾過のための有効濾過面積率を大きく確保し、逆洗流の勢いを補う流れを確実に生じさせる濾過体を提供し、さらには、バラスト水として取水された水中の生物を捕捉し除去するために好適な濾過体を有する濾過装置そして海水処理装置を提供することを課題とする。
<濾過体及び濾過装置>
本発明の濾過体は、第一形態として、筒状をなす濾過材がその内部に設けられた支持体により支持され中心軸線方向両端を開口部とする濾過体であって、濾過時に上記開口部から原水が流入し上記濾過材を透過して濾過水として濾過体の周面から外方へ排水され、さらに逆洗時には、濾過体外の逆洗水が濾過体の周面から内部へ流入して濾過材の内面の付着物を剥離し上記開口部から排水されることとする濾過体において、支持体は、上記中心軸線方向両端のそれぞれで開口部が形成された端部支持筒と、両端部支持筒の外周部同士を接続し複数の孔部が穿設された筒状の支持材とを有し、該支持体は、支持材外面と濾過材内面との間に0.1〜2.0mmの間隙を設けて濾過材を支持していることを特徴とする。
第二形態では、第一形態の濾過体において、支持体が中心軸線方向中間位置に中間仕切部を有し、該中間仕切部により、濾過体内部空間を上記中心軸線方向一端側と他端側の空間に二分している。
第三形態では、第一又は第二形態において、濾過材は、内層と外層から成る金属メッシュフィルタで形成され、内層フィルタの目開きが濾過目的物を捕捉するのに適した目開きであり、外層フィルタの目開きが内層フィルタの目開きより大きい目開きとしている。
第四形態では、第三形態において、金属メッシュフィルタは、内層フィルタの目開きが30〜100μm、そして外層フィルタの目開きが300〜3000μmである金属メッシュフィルタである。
第五形態では、第四形態において、金属メッシュフィルタは、内層と外層とが焼結により一体となっている。
本発明の濾過装置は、第六形態として、上述の第一ないし第五形態のいずれか一つに記載の濾過体と、板状をなしその板面に直角な中心軸線まわりの周方向複数位置に上記濾過体を該濾過体の開口端部で保持し板厚方向に貫通せる通孔が上記濾過体の開口部を介して該濾過体の内部と連通する位置で濾過体の両端の開口部のそれぞれを対向する一方の板面同士間で保持する二つの基板と、上記複数の濾過体を基板で保持して成る組立体を収容する容器と、上記基板の他方の板面側に位置して容器内に設けられた逆洗管を駆動する逆洗機構とを有し、容器内の空間を二つの基板の一方の板面同士間に位置する第一室と、二つの基板のそれぞれの他方の板面の側に位置する二つの第二室とに区分し、二つの第二室を連通する連通管が設けられており、上記容器には一方の第二室に連通する原水導入管と第一室に連通する濾過水排出管が設けられていると共に上記逆洗管に連通する逆洗水排出管が容器外へ延出して設けられていることを特徴としている。
このような構成の本発明の濾過体を有する濾過装置によると、海水等の原水は、原水導入管から容器の第二室へ導入され、基板の通孔を経て該濾過体内に入り、該濾過体の支持材に形成された複数の孔部そして該支持材の外面上に配された濾過材を透過して濾過水が第一室に至り、ここから濾過水排出管を経て容器外に取り出される。この間に原水中の濾過目的物が濾過され、濾過材の内面に濾過残渣が付着する。
一方、逆洗機構の逆洗管が位置している濾過体では、逆洗管が在るために、第二室から該濾過体へは原水が流入できず、逆に、第一室から上記支持材の外周面上の濾過材そして支持材の孔部を透過して逆洗水が濾過体内へ入り込む。その際、逆洗水は濾過材の内面に付着している濾過残渣を剥離除去する。そして、逆洗水は該濾過残渣を伴って逆洗管を経て逆洗水排出管から容器外へ排出される。逆洗管は中心軸線まわりに回転するので、この逆洗管が位置する対象濾過体は順次変わって行き、したがって、原水の濾過を行いつつ、常に濾過体を次々に逆洗することとなる。
本発明の濾過体の濾過材を形成する金属メッシュフィルタ(金属メッシュフィルタエレメントともいう)は、予め筒状に形成しておき、支持体(リテーナともいう)外面より0.1〜2.0mmの間隙を形成する内面形状とする。この間隙により、濾過材へ支持体を挿入することができ、その後、濾過材の両端部を支持体に固定する。この固定には、両端での限られた小域のみで十分であり、この間隙を設けることにより、濾過材と支持体は両端部以外の殆ど全域で密着しないので、端部以外で濾過材はほぼ全面積が濾過面積として有効に機能する。
この間隙を設けることにより、上下交互逆洗浄操作において中間仕切部近傍で逆洗流の勢いを補う流れを生じさせるために必要な連通流がこの間隙を通過することで確保できる。この連通流は濾過材内の全周において均等で、濾過材の直近を流れるので、連通流により逆洗流の勢いを補う流れを生じさせ逆洗浄性能を補う効果が高い。また、本発明の濾過体の構造が単純であり、製造コストを低くすることができる。
本発明における濾過体における濾過材は、好ましい形態として、内層そして外層から成る金属メッシュフィルタで形成される。内層フィルタの目開きが濾過目的物を捕捉するのに適した目開きであり、外層フィルタの目開きが内層フィルタの目開きより大きい目開きである。目開きの小さい内層フィルタが濾過可能な物の大きさ、すなわち濾過性能を決定する。濾過時に外層フィルタが内層フィルタを支持し伸長変形による破損を防止し保護し、逆洗時に支持材が内層フィルタを支持し収縮変形による破損を防止し保護する。さらに、濾過材は、海水に対して耐食性の高い耐食金属製メッシュの金属メッシュフィルタを用いることにより、海水による腐蝕という問題を生じない。
上記濾過材では、原水を濾過する時には内側から外側に向け原水が透過され、逆洗時には外側から内側に向け逆洗水が透過される。上記濾過材は、濾過時に内層フィルタへ濾過残渣が付着し徐々に開き目の閉塞が進行して、該内層フィルタは外側への圧力が作用し、内層フィルタ単独では外側に伸長して破断する危険性があるが、外層フィルタが内層フィルタを支持しその伸長を抑制するため、内層フィルタの破損を防止できる。一方、逆洗時には内層フィルタに濾過残渣が付着しており内層フィルタは内側への圧力が作用するが、支持材が内層フィルタを支持しその過度の収縮を抑制するため逆洗に支障が生じないし、内層フィルタの破損を防止できる。支持材そして外層フィルタは、内層フィルタよりも目開きが大きいので、内層フィルタでの濾過性能に何ら影響をもたらさない。
支持体の製造に際しては、支持体は、両開口端部を製作すると共に、多数の孔部が穿設されたシート材、例えばパンチングメタル材をその側端縁同士で接続して円筒状に作り、長手方向両端の周縁で上記開口端部の外周部に溶接等で接続して一体化して支持体とすることができる。
次に、濾過材は、金属メッシュフィルタのうち、上述の目開きのものを選択しこれらを内層フィルタそして外層フィルタとして採用し、内層フィルタと外層フィルタとを焼結により一体化して、又は、適宜箇所、例えば周縁で溶接等により一体化して、一つの筒状シートとすることができ、支持材への周回配置そして開口端部への取付け保持を容易とする。換言すれば、保守時には、濾過体全体を取り外すことなく、単に濾過材のみを上記開口端部から外せば良い。これは、交換作業が容易になるのみならず、経済的にも有利である。
本発明において、支持体は、支持材外面と濾過材内面との間に0.1〜2.0mmの間隙を設けて濾過材を支持するように、支持材外面と濾過材内面との寸法が設定される。
本発明において、濾過材は、両開口端部のそれぞれの周面に形成された取付溝部に配された緩衝材を介し、両開口端部のそれぞれの周面でクランプバンドにより保持されているようにすることができる。緩衝材とクランプバンドを用いることにより、濾過材の両開口端部に対する取付け時や濾過時そして逆洗時に、濾過材の損傷を防止することができ、また、取付けそして取外しがきわめて容易となる。
<海水処理装置>
本発明の海水処理装置は、第七形態として、第六形態の濾過装置と、海水取水ラインと、処理水送水ラインとを有し、海水取水ラインで取水された海水を濾過装置で濾過し、濾過後の濾過水を処理水として処理水送水ラインを経てバラストタンクに送水するようになっていることを特徴としている。
海水処理装置における濾過装置は、バラスト水として取水された水中の生物を捕捉し除去する生物捕捉除去装置として用いられる。かかる海水処理装置は、濾過装置から抜き出された濾過水中に残存する細菌等を殺菌する殺菌装置と組み合わされ、水中の生物を除去、殺滅するバラスト水処理装置として用いられる。なお、バラスト水処理において、濾過装置で水中の生物を捕捉し除去する処理を行う後に施す殺菌処理は、薬剤を用いて行うものに限定されず、紫外線、超音波、温熱などを用いて行うものであってもよい。
本発明は、以上のように、濾過装置そしてこれを有する海水処理装置に用いられる濾過体において、軸線方向にて支持体の両端で濾過材を支持し、この両端以外の周面で、支持体外面と濾過材内面との間に0.1〜2.0mmの間隙を形成することとしたので、上記周面全域が濾過面積となり、濾過能力が高くなると共に、濾過材の目詰まりの進行が遅くなるためにその濾過能力が長時間にわたり維持できる。
さらには、筒状をなす濾過体の周部に配される濾過材を、内層フィルタそして外層フィルタの二層で成る金属メッシュフィルタとし、内層フィルタの目開きが濾過目的物を捕捉するのに適した目開きであり、外層フィルタの目開きが内層フィルタの目開きより大きい目開きとし、濾過性能を決定する内層フィルタに対して目開きの大きい外層フィルタで該内層フィルタを支持し、複数の孔部が穿設されている筒状の支持材で該濾過材を支持するならば、内層フィルタでの濾過性能を維持しつつ濾過材の強度を確保でき、さらには、保守時に、濾過体全体を取り外すことなく濾過材のみを容易に取り外すことが可能となる。このような効果が生じる本発明において好ましい金属メッシュフィルタは、内層フィルタの目開きが30〜100μm、そして外層フィルタの目開きが300〜3000μmである金属メッシュフィルタである。
本発明の第一実施形態としての濾過装置の部分破断正面図である。 図1の濾過装置に用いられる複数の濾過体の一つを示す図であり、(A)は分解正面図、(B)は上端についての拡大断面図、(C)は(A)におけるC-C断面図である。 図2の濾過体の濾過材と支持材の斜視図である。 図1装置における逆洗機構の主要部を示す部分破断斜視図である。 図1におけるV-V断面図である。 図2の濾過体に用いられる濾過材を展開状態でその一部について、各層を分離して示す図である。 本発明の第二実施形態である海水処理装置を示す図である。
<濾過装置(第一実施形態)>
図1に示される本実施形態の濾過装置は、鉛直な中心軸線Xをもつ有底円筒状の容器本体2へ該容器本体2の上部開口に水密状態で蓋体3が取り付けられた容器1と、上記容器1の上部と下部にて該容器1の内部空間を仕切る平行な二枚の基板4,5と、これらの二枚の基板4,5の間で上方の基板4の下面そして下方の基板5の上面に当接して取り付けられ上下に延びる円筒状の複数の濾過体6と、さらには、上記基板4の上面と基板5の下面に対し摺接回転する逆洗管7,8と、これを回転駆動させる駆動機構9とを備えている。容器1内には上記二枚の基板4,5の間に第一室としての主室1Aが形成され、上方の基板4の上面側すなわち主室1Aの上方に第二室としての上室1Bが、そして下方の基板5の下面側、すなわち主室1Aの下方に他の第二室としての下室1Cが形成されている。
上記容器1には、周方向の一箇所で上記下室1Cに連通するように原水導入管としての海水導入管10が、そして周方向の他の箇所で後述する受部14Aに連通するように逆洗水排出管11が、さらには底部で下室1Cに連通するようにドレイン管12がそれぞれフランジを介して接続されている。上記海水導入管10、逆洗水排出管11そしてドレイン管12には、第一開閉弁10A、第二開閉弁11Aそして第三開閉弁12Aがそれぞれ取り付けられている。さらに、上記容器1には、上下方向中間位置で周方向の一箇所で該主室1Aに連通するように濾過水排出管13が接続されている。この濾過水排出管13には第四開閉弁13Aが取り付けられている。
上室1Bと下室1Cとに仕切る二つの基板4,5は、同一に形成されていて上記中心軸線Xに対して同心をなす複数(図1そして図5の例では三つ)の円と上記中心軸線Xに向う複数(図5において12本)の半径線との交点位置に、板厚方向に貫通する通孔4A,4B,4C;5A,5B,5Cが形成されている。上記基板4,5の間には、既述のように上記通孔4A,4B,4C;5A,5B,5Cのそれぞれに対して連通するように、後述する濾過体6が垂立して取り付けられている。さらに、上記基板4,5は上記軸線Xの位置には、中央通孔4D;5Dが形成されており、この中央通孔4D;5Dが連通管28で接続されている。したがって、第二室としての上室1Bと下室1Cはこの連通管28により連通されている。
上方の基板4の上面を摺接回転する逆洗管7と下方の基板5の下面を摺接回転する逆洗管8とは、上記中心軸線Xに位置する一端から一つの半径線方向外方で容器本体2の内周面近傍位置に他端を有するように延びている。図1そして図4の例の場合、逆洗管7,8は周方向で180°ずれた位置に設けられている。該逆洗管7,8は、上記中心軸線Xから通孔4A,4B,4C;5A,5B,5Cが位置する各円の半径に等しい距離となる位置に、下方そして上方に向けそれぞれ突出する接続口7A,7B,7C;8A,8B,8Cが設けられていて(図4参照)、この接続口7A,7B,7Cが上方の基板4の上面にそして接続口8A,8B,8Cが下方の基板5の下面に摺接する。上記逆洗管7,8は、上記中心軸線Xの位置となる一端が開口され、他端が閉じられている。この逆洗管7,8の開口している一端は、中心軸線X上に位置する連絡管14に連通するようにして一体的に接続されている。この連絡管14は上記連通管28を貫通しているが、この連通管28の内径と該連絡管14の外径との間に流通間隙をのこしている。該連絡管14は上端が閉じられ下端が開口している。該連絡管14の開口する下端は、容器本体2の底部に設けられた受部14A内に突入していて、該受部14Aの上板に対して回転許容シール14Bを介して水密状態で中心軸線Xまわりに相対回転可能に支持されている。該受部14Aには既述の逆洗水排出管11が連通接続されている(図4参照)。
逆洗時には、上記逆洗管7,8は、逆洗水排出管11を介して容器1外に連通されていて大気圧力下にあり、接続口7A,7B,7C;8A,8B,8Cでの圧力が大気圧となっており、通孔4A,4B,4C;5A,5B,5Cが接続口7A,7B,7C;8A,8B,8Cとそれぞれ接続するとき、濾過体6の外部が濾過水圧を受け内部は大気圧であり、濾過体6の外部の圧力が内部より高くなるので、濾過体外周から濾過水が濾過材を透過して内部に逆洗水として流入し、濾過材内面に付着した濾過残渣が剥離され逆洗されて、逆洗水とともに逆洗水排出管11を介して容器外へ排出されることとなる。
上記連絡管14には、駆動機構9が接続されている。該駆動機構9は、容器1の蓋体3の外面に設けられた減速機15付きのモータ16と、該減速機15から垂下して容器1の上室1Bへ突入し中心軸線X上に延びる駆動軸体15Aとを有し、該駆動軸体15Aの下端が上記連絡管14の上端と連結されている。かくして、モータ16の回転が減速機15で減速されて、上記駆動軸体15Aへ伝えられ、上記連絡管14に一体的接続されている逆洗管7,8が上記中心軸線Xまわりに回転するようになる。この逆洗管7,8の回転により、逆洗管7,8の接続口7A,7B,7C;8A,8B,8Cは、それぞれ周方向に移動して次々と基板4,5の通孔4A,4B,4C;5A,5B,5Cと連通するようになる。
上記上方の基板4の下面そして下方の基板5の上面に対し、通孔4A,4B,4C;5A,5B,5Cの位置に取り付けられた濾過体6は、図2(A)、(B)に見られるように、上端そして下端に位置する短円筒状の端部支持筒17,18を長円筒状の支持材19で連結して形成される支持体20と、該支持体20に取り付けられる筒状の濾過材21と、この濾過材21の支持体20への取付けに用いられる取付具としてのクランプバンド22そして弾性シート材23とを有している。
上記上下の端部支持筒17;18は、上下方向で反転して位置しているが、端部支持筒自体の形態は全く同じである。端部支持筒17;18は、基板4;5への取付けのために外周面に環状の凹凸が形成された被取付部17A;18Aと、外周面にクランプバンド22と弾性シート材23と当接するための円筒面が形成された連結部17B;18Bを有している(下方の連結部18Bは濾過材21の内側に位置している関係上図2(A)では表われていない)。該端部支持筒17;18の内面は開口部17C,18Cを形成しており、この開口部17C;18Cの内径は基板4;5の通孔4A,4B,4C;5A,5B,5Cの内径とほぼ同じである。上記端部支持筒17;18、支持材19そしてクランプバンド22は、海水で腐蝕しないようにステンレス鋼製又は防食被覆された材料で作られていることが好ましい。かかる端部支持筒17,18は連結部17B;18Bで、細長い円筒状シートの上記支持材19と、例えば溶接等により連結されて一体化され支持体20を形成している。上記端部支持筒17;18の円筒面状の連結部17B;18Bは、円筒状の支持材19の軸線方向端部を位置せしめるために上記被取付部17A;18Aに対して段状をなして、安定した位置で溶接等を行えるようにしておくことが好ましい。
上記クランプバンド22により締め付けられる弾性シート材23は、ゴムシート等で弾性を有し比較的簡単に屈曲そして弯曲できる材料で作られている。該弾性シート材23は、本実施形態では、円筒状のゴムシートを円筒軸線方向中間位置で折り返して、二重円筒状とし、後述の濾過材21の軸線方向端部の周縁を内外から挟むようにして該周縁に取り付けられる。
上記支持材19は、全面に孔部19Aが多数分布して穿設されている比較的薄いパンチングメタルを円筒状に丸め、その側端縁19B同士を溶接等で接合して円筒体をなしている。図2(A)では上下方向で中間部の孔部19Aの図示が省略されているが該孔部19Aは上下端域を除いてほぼ全域に形成されている(図3(A)参照)。この支持材19は、その上下端周縁で上記端部支持筒17;18の連結部17B;18Bの周面に当接配置された状態で、溶接等により端部支持筒17;18と一体をなすように連結されて一つの支持体20をなしている。孔部19Aの形状は図示のような四角形でもあるいは円形でもよい。上記支持材19はその軸線方向中間位置に、内部空間を上下で二分する円板状の中間仕切部19Cが取り付けられている。
端部支持筒17;18に形成された連結部17B;18Bにて、後述の濾過材21を取り付けるクランプバンド22は、図2(A),(B)のごとく、上記連結部17B;18Bにそれぞれ収まる幅の弾性金属帯で、一箇所で開放された略リング状(Cリング状)をなしており、周方向の一端に突起が、そしてこれに隣接する他端に係止孔が形成されていて、該クランプバンドを後述の濾過材21の外周に配した後に、突起を係止孔にスナップ状に係止させることで、上記濾過材21を弾性シート23を介して上記端部支持筒17;18に対して緊締保持する。
濾過材21は、本実施形態では、金属メッシュフィルタで作られており、該濾過材21は、図6に見られるような、二種の金属メッシュフィルタを重ねて外層そして内層とし、これを円筒状に丸めると共に、内層と外層とを焼結により一体化して、又は両端周縁部と周方向での接合端縁24を接合して円筒体として形成される(図2(A)〜(C)、図3(B)参照)。
上記金属メッシュフィルタは、外層をなす外層フィルタ21Aそして内層をなす内層フィルタ21Bのいずれも、例えば、モネル、ハステロイ、インコネル等のニッケル基合金、チタン、チタン合金、耐海水性ステンレス等の耐海水性の高い耐食金属のいずれかを素材としていて、海水による腐食が生じない。図6に見られるように、濾過材21の外層フィルタ21Aそして内層フィルタ21Bは、好ましい形態として、外層フィルタ21Aの目開きが300〜3000μm、内層フィルタ21Bの目開きが30〜100μmの金属メッシュフィルタとなっている。その際、金属メッシュフィルタを形成する金属素線の太さは、内層フィルタ21Bに比し外層フィルタ21Aの方が太くなっている。
このように、外層フィルタ21Aそして内層フィルタ21Bを成す二種の金属メッシュフィルタは、内層フィルタ21Bと外層フィルタ21Aとを焼結により一体化されて図2そして図3のように円筒状の濾過材21が形成される。または、二種の金属メッシュフィルタが適切な展開寸法に切断された後、上下縁部21−1;21−2が溶接等により接合されて一つのシートを形成し、次に円筒状に丸められてから、その周方向端縁同士を溶接等により接合して接合端縁24とし、図2そして図3に示す円筒状の濾過材21を形成するようになる。このように形成することにより、外層フィルタ21Aと内層フィルタ21Bの間での相対的たるみ、位置ずれがなくなり、所定の形状そして状態が維持される。また、濾過材21の支持材19への外挿を容易に行うことができる。
円筒状の濾過材21は、上下の端部25,26が円筒状の支持材19の外周面と軸線方向両端位置で接面し、端部25,26の両者間の中間円筒部27は上記支持材19の外周面と間隙を形成するようになる。この間隙は、少なくとも逆洗時に半径方向で0.1〜2.0mm程度である。
このように形成された濾過材21は、図2(A),(B)のごとく、予め弾性シート等の緩衝材が配された濾過材21へ支持体20がその一端側から挿入された後、濾過材21がクランプバンド22により、上記端部支持筒17;18の周部で緊締保持される。また、端部支持筒17と端部支持筒18との間の中間位置でも、例えば、上下方向で中間仕切部19Cの位置で支持材19の外周面に環状部材を介在させることで、上記濾過材21は支持材19との間に間隙を保ちつつ上記クランプバンド22により支持材19に対し緊締保持されることが望ましい。こうすることで、上記間隙を濾過体6の全長にわたり、より確実に確保できる。このようにして構成された濾過体6は、その端部支持筒17;18の被取付部17A,18Aにて、それらの開口部17C;18Cが、基板4の通孔4A,4B,4C;5A,5B,5Cと一致する位置で、上記基板4;5へ着脱容易状態に取り付けられる。
このように構成された本実施形態の濾過装置は、次の要領で濾過・逆洗そして保守がなされる。
<濾過及び逆洗時>
先ず、第一、第二、第四開閉弁10A,11A,13Aを開放そして第三開閉弁12Aを閉じて、原水、例えば、濾過前の海水を海水導入管10から容器1内へ原水として導入する。この原水は、図1にて実線矢印で示されるように、容器1の下室1Cに入った後、連通管28を経て上室1Bにも流入する。濾過体6は中央仕切部19Cにて内部空間が二分されているので、下室1C内の原水は基板5の通孔5A,5B,5Cを経て対応する濾過体6の下部空間内に流入する。また、上室1B内の原水は基板4の通孔4A,4B,4Cを経て対応する濾過体6の上部空間内に流入する。濾過体6の上部空間そして下部空間へ流入した原水は、濾過体6の周部をなす支持材19の孔部19Aと濾過材21を透過して濾過体6外の主室1Aへ至る。その際、原水は濾過材21で濾過され、濾過水として濾過水排出管13から容器1外へ流出する。
上記原水の濾過時には、逆洗機構9の駆動軸体15Aが減速機15付きモータ16からの駆動力を受けて回転しており、上室1Bにおける逆洗管7は、接続口7A,7B,7Cが上方の基板4の上面と摺接しながら、そして下室1Cにおける逆洗管8は、接続口8A、8B,8Cが下方の基板5の下面と摺接しながら、ともに上記中心軸線Xまわりに回転している。したがって、逆洗管7の接続口7A,7B,7Cは回転移動しながら、上方の基板4の通孔4A,4B,4Cと次々と間欠的に連通するようになり、逆洗管8の接続口8A、8B,8Cは下方の基板5の通孔5A,5B,5Cと次々と間欠的に連通するようになる。したがって、この逆洗管7の接続口7A,7B,7Cと連通している基板4の通孔4A,4B,4Cと、逆洗管8の接続口8A、8B,8Cと連通している基板5の5A,5B,5Cには上室1B、下室1Cからの原水が流入できず、逆に、主室1A内の濾過水の一部が、逆洗水として逆洗管7,8に対応して位置する濾過体6の周部たる濾過材21そして支持材19の孔部19Aを透過し中央仕切部19Cで仕切られた該濾過体6の上部空間そして下部空間内へ流入する。その際、濾過体6内へ流入する逆洗水は、濾過時に上記濾過材21の内面に付着した濾過残渣を該周部から剥離、すなわち逆洗してこの濾過残渣と共に逆洗管7,8へ流入する。この濾過残渣を伴う逆洗水は連絡管14内を流れ該連絡管14の下端開口から受部14Aを経て逆洗水排出管11に至り、該逆洗水排出管11から容器1外へ排出される。かくして、容器1内では、原水が濾過されつつ、濾過水の一部を用いて、常時、濾過体6が順次逆洗されている。
本実施形態では、濾過材21を支持する支持材19と該濾過材21との間には、軸線方向での全長にわたり、半径方向間隙が全周に及んで形成されているので、濾過材21と支持材19は殆ど全域で密着しないので、濾過時には、濾過材21に形成された濾過面の全面が濾過に寄与し、濾過面積として有効に機能する。
また、逆洗時に中間仕切部近傍は逆洗水の流れの勢いが小さく十分な逆洗浄が行えず濾過材に濾過残渣が残り目詰まりが生じるという問題に対して、本実施形態では、支持材19と該濾過材21との間に半径方向間隙が形成されているので、中間仕切部近傍で支持材19と濾過材21との間を流れる連通流が十分に形成され、逆洗水の流れの勢いを補う流れを十分に生じさせ効率的な逆洗浄を行うことができる。特に、中間仕切部近傍での連通流が濾過材21の内面直近でかつ濾過材21の内面全周で流れるため、連通流により逆洗水の流れの勢いを補う流れを生じさせ逆洗浄性能を補う効果が高い。また、本実施形態では、濾過体6の構造が単純であり、製造コストを低くすることができる。
<保守時>
濾過装置の保守点検の際には、蓋体3と上方の基板4を外して濾過体6を露呈せしめた状態で特定のあるいは全部の濾過体6を基板5から外して外部へ取り出すことで状況確認あるいは濾過材21の交換等が行われる。また、一括してすべての濾過体6を容器外に取り出したいときには、基板5と共に組立体として取り出すこともできる。
濾過体6における濾過材21の交換は、濾過体6のクランプバンド22を外すことで容易に行える。また、容器1内の洗浄は、第一、第二そして第四開閉弁10A,11A,13Aを閉じ第三開閉弁12Aを開放状態で行われ、洗浄後の液はドレイン管12から排出される。
<海水処理装置(第二実施形態)>
本発明に係る濾過装置により海水を処理する海水処理装置の実施形態について説明する。本実施形態では、海水処理装置である濾過装置は、バラスト水として取水された海水中の生物を捕捉し除去する生物捕捉除去装置として用いられ、濾過装置から抜き出された濾過水中に残存する細菌等を殺菌する殺菌装置と組み合わされバラスト水処理装置を構成する。以下、添付図面の図7にもとづいて、本発明に係る海水処理装置を用いるバラスト水処理装置について、一例を具体的に説明する。
図7はバラスト水処理装置を示す構成図である。バラスト水処理装置は、図7に示すように、海水を船内に取り込むための海水取水ライン41、該海水取水ライン41によって取水された海水中の粗大物を除去する粗濾過装置42、海水を取り込み後述の濾過装置44に送水するためのポンプ43、粗濾過装置42によって粗大物が除去された海水中に存在するプランクトン類を除去する濾過装置44、濾過装置44で濾過された海水中に残存する細菌類やプランクトンを殺滅する殺菌装置45、殺菌装置45から排出された処理水を後述のバラストタンク47に送水する処理水送水ライン46、該処理水送水ライン46から送水される処理水または未処理の海水を貯留するバラストタンク47、該バラストタンク47内の処理済みのバラスト水を海に排水するバラスト水排水ライン48、を備えている。殺菌装置は、殺菌剤を供給する装置でも、紫外線、超音波、温熱などを用いて殺菌するものであってもよい。
以下、各装置をさらに詳細に説明する。
(1)粗濾過装置
粗濾過装置42は、船舶の船側部に設けられたシーチェスト(海水吸入口)から取水され、ポンプ43によって海水取水ライン41を通して取水される海水中に含まれる大小様々な夾雑物、水生生物のうち10mm程度以上の粗大物を除去するためのものである。
粗濾過装置としては10mm程度の孔を設けた筒型ストレーナ(こし器)、水流中の粗大物を比重差により分離するハイドロサイクロン、回転スクリーンにより粗大物を捕捉し掻揚げ回収する装置等を用いることができる。
(2)濾過装置
濾過装置としては、第一実施形態の濾過装置を海水処理用として用いる。濾過装置44は粗濾過装置42によって粗大物が除去された海水中に存在するプランクトン類を除去するものである。濾過装置44に用いられる濾過材は、内層と外層から成る金属メッシュフィルタで形成され、内層フィルタの目開きが30〜100μmのものが好ましい。
内層フィルタの目開きを30〜100μmにした理由は、動物性プランクトン、植物性プランクトンの捕捉率を一定のレベルに保ちつつ逆洗頻度を少なくして寄港地でのバラスト水処理時間を短縮するためである。換言すれば、目開きが100μmより大きいと動物プランクトン、植物プランクトンの捕捉率が著しく低くなるし、目開きが30μmより小さいと逆洗頻度が多くなり寄港地でのバラスト水処理時間が長くなるので好ましくない。このように目開きが30〜100μm程度のものを用いるのが、捕捉率と逆洗頻度とを最適に設定できるので、好ましい。
濾過材の内層フィルタの目開きが30〜100μm程度の濾過装置により、比較的大型の動物性プランクトンと植物性プランクトンをほとんど捕捉して除去するので、殺菌装置よって死滅させる対象は捕捉されなかったプランクトンと細菌となる。そのため、殺菌装置が殺菌剤を供給する装置である場合には、濾過装置を用いずに単に殺菌剤を注入して海水中の全てのプランクトンと細菌を死滅させる方式に比べて、殺菌剤の使用量を大幅に減少させることが可能になる。その結果、殺菌剤費用を低減でき、さらに殺菌剤貯留槽を小さくできるので、船舶への搭載が容易になる。また、残留殺菌剤の環境への影響を減らし、また殺菌剤を無害化するために供給する分解剤の供給を不要にあるいは減らすことができる。また、紫外線、超音波、温熱などを用いて殺菌する殺菌装置の場合には、殺菌装置の負荷を軽減でき、装置を小型化、殺菌処理時間の短縮、殺菌処理費用の低減ができる。
(3)殺菌装置
殺菌装置45は濾過装置44によって濾過された海水中に残存する細菌類やプランクトンを殺滅する装置である。殺菌装置としては殺菌剤を供給する装置があり、供給する殺菌剤としては、次亜塩素酸ナトリウム、塩素、二酸化塩素、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、過酸化水素、オゾン、過酢酸、またはこれらの2種以上の混合物が使用できるが、これ以外の殺菌剤を使用することも可能である。また、殺菌装置としては、紫外線、超音波、温熱などを用いて殺菌するものであってもよい。
次に、以上のように構成された本実施例のバラスト水処理装置の動作を説明する。ポンプ43を稼動することによって、海水取水ライン41から海水が船内に取水される。その際、まず粗濾過装置42によって海水中に存在する大小様々な夾雑物、水生生物のうち10mm程度以上の粗大物が除去される。粗大物が除去された海水は濾過装置44に供給され、濾過装置44の濾過材の目開きに応じた大きさの動物性プランクトン、植物性プランクトン等が除去される。
粗濾過装置42及び濾過装置44で捕捉されたプランクトン等は、粗濾過装置42及び濾過装置44の濾過材を逆洗することにより洗い流されて海に戻される。海に戻しても同一の海域なので生態系に悪影響はない。つまり、この例ではバラスト水を積み込む際に処理をしているので、粗濾過装置42及び濾過装置44の逆洗水をそのまま放流できるのである。濾過装置44で濾過された海水には殺菌装置45から殺菌剤が供給されるなど殺菌処理が施される。殺滅処理後の海水は処理水送水ライン46を通じてバラストタンク47にバラスト水として貯留される。バラスト水を排出する際には、バラストタンク47からバラスト水排水ライン48により海中に排出される。
なお、上記の例は海水をバラストタンク47に積み込む際に処理を行う場合であるが、海水をバラストタンク47に積み込む際には殺滅処理をしないで、バラストタンク47から排出する際に殺滅処理する場合もある。この場合は、未処理の海水を未処理海水送水ライン(図示せず)を通じてバラストタンク47に貯留し、バラストタンク47から排出する際にバラストタンク47内の未処理のバラスト水を未処理バラスト水供給ライン(図示せず)を通じて、濾過装置44側に供給して、以降は上記と同様の殺滅処理を行い、処理済みのバラスト水を処理水排水ライン(図示せず)を通じて、海に排水する。
以上のように、本実施例においては、濾過装置44で30〜100μm以上の動物性プランクトン、植物性プランクトンを除去し、殺菌装置により細菌類やプランクトンを死滅させるようにしたので、どのような水質であっても確実かつ安価にIMOが定めるバラスト水基準を満たすバラスト水の処理が実現できる。また、装置の構成が単純であることから、既存船舶への適用が容易である。
1 容器
1A 主室
1B 第一室(上室)
1C 第二室(下室)
4 基板
4A,4B,4C 通孔
4D 中央通孔
5 基板
5A,5B,5C 通孔
5D 中央通孔
6 濾過体
7 逆洗管
8 逆洗管
9 逆洗機構
10 原水導入管(海水導入管)
12 逆洗水排出管
13 濾過水排出管
17 端部支持筒
17C 開口部
18 端部支持筒
18C 開口部
19 支持材
20 支持体
21 濾過材
21A 外層フィルタ
21B 内層フィルタ
28 連通管
41 海水処理ライン
44 濾過装置
46 処理水送水ライン
47 バラストタンク

Claims (5)

  1. 筒状をなす濾過材が支持体により支持され中心軸線方向両端を開口部とする濾過体であって、濾過時に上記開口部から原水が流入し上記濾過材を内面から外面へ透過して濾過水として濾過体の周面から外方へ排水され、さらに逆洗時には、濾過体外から逆洗水が濾過材の外面から内面へ流入して濾過材の内面の付着物を剥離し上記開口部から排水されることとする濾過体において、支持体は、上記中心軸線方向両端のそれぞれで開口部が形成された端部支持筒と、両端部支持筒の外周部同士を接続し複数の孔部が穿設された筒状の支持材とを有し、該支持体は、両端部支持筒に接続された支持材の両端部外面で緩衝材を介して濾過材を支持し、この支持材の両端部以外の支持材の周面で、支持材外面と濾過材内面との間に0.1〜2.0mmの間隙を設けて濾過材を支持するように支持材外面と濾過材内面の寸法が設定されており、支持体が中心軸線方向中間位置に中間仕切部を有し、該中間仕切部により、濾過体内部空間を上記中心軸線方向一端側と他端側の空間に二分していることを特徴とする濾過体。
  2. 濾過材は、内層と外層から成る金属メッシュフィルタで形成され、内層フィルタの目開きが30〜100μmであり、外層フィルタの目開きが300〜3000μmであることとする請求項1に記載の濾過体。
  3. 金属メッシュフィルタは、内層と外層とが焼結により一体となっていることとする請求項に記載の濾過体。
  4. 請求項1ないし請求項のうちのいずれか一つに記載の濾過体と、板状をなし一方の板面でその板面に直角な中心軸線まわりの周方向複数位置に上記濾過体を保持し板厚方向に貫通せる通孔が上記濾過体の開口部を介して該濾過体の内部と連通する位置に形成されており、濾過体の両端の開口部のそれぞれを対向する一方の板面同士間で保持する二つの基板と、上記複数の濾過体を二つの基板で保持して成る組立体を収容する容器と、上記基板の他方の板面側に位置して容器内に設けられた逆洗管を備えた逆洗機構とを有し、容器内の空間を二つの基板の一方の板面同士間に位置する第一室と、二つの基板のそれぞれの他方の板面の側に位置する二つの第二室とに区分し、二つの第二室を連通する連通管が設けられており、上記容器には一方の第二室に連通する原水導入管と第一室に連通する濾過水排出管口が設けられていると共に上記逆洗管に連通する逆洗水排出管が容器外へ延出して設けられていることを特徴とする濾過装置。
  5. 請求項に記載の濾過装置と、海水取水ラインと、処理水送水ラインとを有し、海水取水ラインで取水された海水を濾過装置で濾過し、濾過後の濾過水を処理水として処理水送水ラインを経てバラストタンクに送水するようになっていることを特徴としている海水処理装置。
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