JP5915210B2 - ボイル・レトルト処理用包装材料及びパウチ - Google Patents

ボイル・レトルト処理用包装材料及びパウチ Download PDF

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Description

本発明は、ボイル・レトルト処理用の包装材料及びそれよりなるパウチに関し、更に詳しくは、例えば食品、薬品、飲料等、特にボイル・レトルト処理を施す内容物の包装に好適に利用可能な包装材料及びそれよりなるパウチに関する。
ボイル殺菌処理用またはレトルト殺菌処理用の包装材料において、特に、低溶出性、すなわち、包装材料に含まれる種々の化学物質の溶出が抑制されたタイプのものとしては、例えば、包装材料中に使用する接着剤として低溶出性のものを使用した包装材料、及び、酸素吸収剤や水蒸気吸収剤を含む環状ポリオレフィンを用いた包装材料等が提案されている(例えば特許文献1)。
また、ノンソルベント接着剤やノンソルベントインキを用いた低溶出性の包装材料も提案されている(特許文献2)。
しかしながら、これらの包装材料はコストが高く、一般食品向けの包装材料としては不向きであり、産業用及び電子部品用途が主であった。
特許第4144320号 特許第4734820号
本発明は、上記の問題を解決し、より安価で、且つ低溶出性及び透明性に優れた、ボイル処理用またはレトルト処理用(以下「ボイル・レトルト処理用」と称する)の包装材料及びそれよりなるパウチを提供することを目的とする。
本発明者は、種々検討の結果、少なくとも、透明ガスバリア性フィルム層、接着剤層、及び、シーラントフィルム層、をこの順に有する包装材料において、該透明ガスバリア性フィルム層は、少なくともポリエステル系樹脂層及びポリアミド系樹脂層を有する多層フィルムを二軸延伸することにより得られる二軸延伸多層フィルムを有する層であり、該シーラントフィルム層は、少なくとも、直鎖状低密度ポリエチレンからなる層を有することを特徴とする、ボイル・レトルト処理用包装材料が、上記の目的を達成することを見出した。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくとも、透明ガスバリア性フィルム層、接着剤層、及び、シーラントフィルム層、をこの順に有する包装材料において、該透明ガスバリア性フィルム層は、少なくともポリエステル系樹脂層及びポリアミド系樹脂層を有する多層フィルムを二軸延伸することにより得られる二軸延伸多層フィルムを有する層であり、該シーラントフィルム層は、少なくとも、直鎖状低密度ポリエチレンからなる層を有することを特徴とする、ボイル・レトルト処理用包装材料。
2.前記シーラントフィルム層が、少なくとも、直鎖状低密度ポリエチレン層と、ナイロン6/12からなる層とを含んでなる多層共押出フィルムからなる層であり、該直鎖状低密度ポリエチレン層は、包装材料の接液面を形成する層であり、該ナイロン6/12からなる層の、未反応の残存ε−カプロラクタムの含有率が0.8質量%以下であり、且つ、未反応の残存ω−ラウロラクタムの含有率が0.1質量%以下であり、片面溶出試験において、十分量の95%エタノールを接触させて121℃で2時間加熱した際に、該95%エタノール中に溶出する上記未反応の残存ε−カプロラクタム及びω−ラウロラクタムの質量がそれぞれ、シーラントフィルム層1平方インチあたり0.15mg以下及び0.04mg以下であることを特徴とする、上記1に記載のボイル・レトルト処理用包装材料。
3.前記シーラントフィルム層が、少なくとも、直鎖状低密度ポリエチレン層と、ナイロン6/12からなる層とを含んでなる多層共押出フィルムからなる層であり、該直鎖状低密度ポリエチレン層は、包装材料の接液面を形成する層であり、該ナイロン6/12からなる層の、未反応の残存ε−カプロラクタムの含有率が0.8質量%以下であり、且つ、未反応の残存ω−ラウロラクタムの含有率が0.1質量%以下であり、片面溶出試験において、十分量の水を接触させて常温で5時間抽出した際に、該水中に溶出する上記未反応の残存ε−カプロラクタム及びω−ラウロラクタムの質量がそれぞれ、シーラントフィルム層1平方インチあたり0.15mg以下及び0.04mg以下であることを特徴とする、上記1に記載のボイル処理用包装材料。
4.前記シーラントフィルム層が、少なくとも、直鎖状低密度ポリエチレン層と、ナイロン6/12からなる層とを含んでなる多層共押出フィルムからなる層であり、該直鎖状低密度ポリエチレン層は、包装材料の接液面を形成する層であり、該ナイロン6/12からなる層の、未反応の残存ε−カプロラクタムの含有率が0.8質量%以下であり、且つ、未反応の残存ω−ラウロラクタムの含有率が0.1質量%以下であり、片面溶出試験において、十分量の水を接触させて100℃で8時間抽出した際に、該水中に溶出する窒素の質量が、シーラントフィルム層1平方センチメートルあたり15μg以下及び1平方インチあたり100μg以下であることを特徴とする、上記1に記載のボイル処理用包装材料。
5.前記透明ガスバリア性フィルム層が、少なくともポリエステル系樹脂層及びポリアミド系樹脂層を有する多層フィルムを二軸延伸することにより得られる二軸延伸多層フィルムと、その一方の面上に無機酸化物を蒸着してなる蒸着層とを含んでなる無機酸化物蒸着フィルムからなる層であることを特徴とする、上記1に記載のレトルト処理用包装材料。6.前記ポリエステル系樹脂層は、結晶性ポリエステルを含有し、前記ポリアミド系樹脂層は、脂肪族ポリアミド70〜99質量%及び芳香族ポリアミド1〜30質量%を含有することを特徴とする、上記5に記載のレトルト処理用包装材料。
7.前記結晶性ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びスルホイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、上記6に記載のレトルト処理用包装材料。
8.前記脂肪族ポリアミドが、ナイロン6、及びナイロン6とナイロン66との共重合ナイロンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、上記6または7に記載のレトルト処理用包装材料。
9.前記芳香族ポリアミドが、ポリメタキシレンアジパミドまたはアモルファスナイロンであることを特徴とする、上記6〜8のいずれかに記載のレトルト処理用包装材料。
10.前記蒸着層が、酸化珪素、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機酸化物を蒸着してなる層であることを特徴とする、上記5〜9のいずれかに記載のレトルト処理用包装材料。
11.脱イオン蒸留水で135℃で1時間抽出した際に、該水中に溶出する溶出物の質量が、シーラントフィルム層1平方センチメートルあたり0.008mg以下及び1平方インチあたり0.05mg以下である事を特徴とする、上記1に記載のレトルト処理用包装材料。
12.脱イオン蒸留水で121℃で2時間抽出した際に、該水中に溶出する不揮発性抽出物のクロロホルム可溶成分の質量が、シーラントフィルム層1平方センチメートルあたり0.016mg以下及び1平方インチあたり0.10mg以下である事を特徴とする、上記1に記載のボイル処理用包装材料。
本発明のボイル・レトルト処理用包装材料は、安価な材料から成るものであって、且つ、優れた低溶出性を示す。
特に、本発明の包装材料は、シーラントフィルム中にナイロン6/12からなる層を有することにより、優れた低溶出性を示す。したがって、シーラントフィルムよりも非接液側に位置する基材フィルム、接着剤、印刷インキ等としては、低溶出性の特殊な材料からなるものに限定されず、任意のものを使用することができる。
さらに、本発明の包装材料は、ボイル処理及びレトルト処理にも耐えることができ、このような高温高圧条件下でも、優れた低溶出性を保持する。したがって、本発明の包装材料よりなるパウチは、食品や飲料を包装するための、ボイル・レトルト処理用パウチとして好適に使用することができる。
また、本発明の包装材料は、基本的に、透明ガスバリア性フィルムと、シーラントフィルムとの2枚のフィルムを、接着剤を介してラミネートするものであり、したがって、薄膜化及び軽量化が可能であり、ゴミを減容し、製品の輸送コストを低減することができる。
また、本発明の包装材料において、基材フィルムは透明ガスバリア性フィルムであり、高いガスバリア性及び透明性を示し、品質保持性に優れる。したがって、包装材料から溶出する種々の化学物質や、包装材料を透過する酸素及び水蒸気を嫌う、食品、飲料、医薬品あるいは電気・電子部品等の多種多様な内容物の包装に好適に用いることができる。
本発明の包装材料の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の包装材料の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の包装材料の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の包装材料の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の包装材料の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
以下、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。
また、本発明において、密度は、JIS K7112に準拠した手法から測定したものである。
<I> 包装材料の層構成
図1は、本発明の包装材料の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。
図1に示されるように、本発明の包装材料は、透明ガスバリア性フィルム層1、接着剤層2及びシーラントフィルム層3からなり、透明ガスバリア性フィルム層1は、ポリエステル系樹脂層1a及びポリアミド系樹脂層1bの2層からなる。
別の態様において、図2に示されるように、本発明の包装材料は、シーラントフィルム層3が、ナイロン6/12からなる層3a、及び直鎖状低密度ポリエチレン層3bの2層からなる。
別の態様において、図3に示されるように、透明ガスバリア性フィルム層1は、第1のポリエステル系樹脂層1a’、ポリアミド系樹脂層1b、第2のポリエステル系樹脂層1a’’の3層からなる。
さらなる態様において、図4に示されるように、透明ガスバリア性フィルム層1は、さらに蒸着層1cを有して、無機酸化物蒸着フィルムからなる層である。
また、図5に示されるように、シーラントフィルム層3は、第1の直鎖状低密度ポリエチレン層3b’、ナイロン6/12からなる層3a、及び第2の直鎖状低密度ポリエチレン層3b’’の3層からなる。
<II> 透明ガスバリア性フィルム層
本発明において、基材フィルムとして使用される透明ガスバリア性フィルムは、少なくとも、ハイバリア性及びレトルト適性に優れるポリエステル系樹脂層と、ハイバリア性及び耐衝撃性に優れるポリアミド系樹脂層とを有する多層フィルムを二軸延伸することにより得られる二軸延伸多層フィルムを有することが好ましい。
本発明において、該二軸延伸多層フィルム上にさらに、無機酸化物を蒸着して、蒸着層を設け、無機酸化物蒸着フィルムとすることがさらに好ましい。
この無機酸化物蒸着フィルムにおいて、場合により、酸素ガス及び水蒸気等に対するバリア性をさらに高めるために、蒸着層上に、ガスバリア性塗布膜を設けてもよい。
上記二軸延伸多層フィルムは、ポリエステル系樹脂フィルムとポリアミド系樹脂フィルムとを接着剤層を介してドライラミネートすることにより得られる。また、両樹脂を共押出して、多層共押出により製膜することもできる。
多層共押出フィルムとすることにより、薄膜化及び軽量化が可能であり、経済的観点及び環境への配慮の観点から好ましい。
この構成において、ポリエステル系樹脂層は、本発明の包装材料を用いて製造されるパウチの最外層として、表面の耐熱性を付与し、安定した熱シール適性を与える役割を果たす。また、前記包装袋に耐熱水性を付与し、ボイル・レトルト処理における外観変化を抑制する役割も果たす。
また、ポリアミド系樹脂層は、包装材料及びそれよりなるパウチの強度特性を向上させ、輸送時の耐衝撃性などを与える役割を果たす。
さらには、前記多層共押出フィルムが、第1のポリエステル系樹脂層、ポリアミド系樹脂層、及び第2のポリエステル系樹脂層をこの順に有する二軸延伸多層フィルムであることが好ましい。共押出フィルムにおいて、対照性があることにより、フィルムがカールするのを防ぐことができる。
この構成において、各層の厚みは、第1のポリエステル系樹脂層の厚さ(t1aa')と第2のポリエステル系樹脂層の厚さ(t1aa'')とポリアミド系樹脂層の厚さ(t1ab)の関係が、t1ab/(t1aa'+t1aa'')=1〜10、より好ましくは、t1ab/(t1aa'+t1aa'')=2〜5を満たすものである。
この構成において、第1のポリエステル系樹脂層は、本発明の包装材料を用いて製造されるパウチの最外層として、上記の役割を果たす。
そして、第2のポリエステル系樹脂層は、該第2のポリエステル系樹脂層の上に設けられる蒸着層の基材に対する良好な密着性を得る役割を果たす。
本発明において、二軸延伸多層フィルムの厚さとしては、6〜100μm程度、より好ましくは9〜50μm程度が好ましい。厚みの関係、t1ab/(t1aa'+t1aa'')については、この数値が1より小さいと、ポリアミド系樹脂層が薄くなり、必要な強度適性が得られなくなる。逆に、この数値が10より大きい場合は、第1及び/又は第2のポリエステル系樹脂層が薄くなることによる製膜適性の低下や、ポリアミド系樹脂層が必要以上に厚くなることによる経済的不利益が生じる。また、ポリエステル系樹脂層の厚さとしては、その機能を保有するためには、各層の厚さとして1〜30μmであることが好ましい。ポリアミド系樹脂層の厚さとしては、その機能を保有するためには、5〜50μmであることが好ましい。
(ポリエステル系樹脂層)
上記のポリエステル系樹脂層及びポリアミド系樹脂層を有する二軸延伸多層フィルムにおいて、ポリエステル系樹脂層を形成するポリエステル系樹脂は、結晶性ポリエステルを主成分として含有することが好ましい。
結晶性ポリエステルとしては、本発明の包装材料に寸法安定性、耐熱性等の機能を付与できるものであれば特に限定されず、例えば、ジカルボン酸とジオールとを重縮合させることにより得られる樹脂等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、o−フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステルや、5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、3−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸ジアルキル、2−スルホイソフタル酸ジアルキル、4−スルホイソフタル酸ジアルキル、3−スルホイソフタル酸ジアルキル及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩等のスルホン基含有ジカルボン酸等が挙げられる。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2、4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロへキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロへキシル)プロパン等のアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール類、1,3−ジヒドロキシブタンスルホン酸、1,4−ジヒドロキシブタンスルホン酸等のスルホン基含有ジオール等が挙げられる。
この中でも特に、ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸、ジオールに由来する成分がエチレングリコールであるポリエチレンテレフタレート(PET);ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸(99〜80モル%)及びイソフタル酸(1〜20モル%)、ジオールに由来する成分がエチレングリコールであるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート;ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸、ジオールに由来する成分が1,4−ブタンジオールであるポリブチレンテレフタレート(PBT);ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸(99.5〜90モル%)及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸(0.5〜10モル%)、ジオールに由来する成分がエチレングリコールである
スルホイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート等が寸法安定性、耐熱性等の点から好適であり、より好ましくはテレフタル酸とエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレート(PET)である。
このような結晶性ポリエステルは商業的に入手可能であり、例えば、ベルペット−EFG6C、ベルペットPIFG5(いずれも(株)ベルポリエステルプロダクツ製)等を、ポリエステル系樹脂層を構成する結晶性ポリエステルとして用いることができる。
なお、ポリエステル系樹脂層に用いられる結晶性ポリエステルは1種のみでも良いし、必要に応じ2種以上をブレンドして用いてもよい。
また、ポリエステル系樹脂層は、必要に応じ結晶性ポリエステルと相溶性のある樹脂を含有していても良いが、ポリエステル系樹脂層を構成する成分の総質量に対する結晶性ポリエステルの含有量は、50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。
結晶性ポリエステルと相溶性のある樹脂としては非晶性ポリエステル等が例示できる。非晶性ポリエステルとはJIS K 7121に基づく示差走査熱量測定において融解熱量が観察されないポリエステルである。このような特性を有するポリエステルであれば特に限定されないが、具体例として、ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸、ジオールに由来する成分がエチレングリコール(20〜80モル%)及びシクロヘキサンジメタノール(80〜20モル%)であるポリエステル;ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸(20〜80モル%)及びイソフタル酸(80〜20モル%)、ジオールに由来する成分がエチレングリコールであるポリエステルが好適である。このような非晶性ポリエステルは商業的に入手可能であり、例えば、Eastar Copolyester 6763(イーストマンケミカル製)等を非晶性ポリエステルとして用いることができる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、ポリエステル系樹脂層に公知の無機又は有機添加剤等を適宜配合することができる。無機又は有機添加剤としては、アンチブロッキング剤、核剤、撥水剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、染料等を適宜配合することができる。
(ポリアミド系樹脂層)
上記のポリエステル系樹脂層及びポリアミド系樹脂層を有する二軸延伸多層フィルムにおいて、ポリアミド系樹脂層は、本発明の包装材料に耐屈曲性、耐衝撃性等の機能を付与するものである。特に耐屈曲性が付与されることで、屈曲後のガスバリア性の低下を抑制することができる。
該ポリアミド系樹脂層は、脂肪族ポリアミド及び芳香族ポリアミドを含有する。
(脂肪族ポリアミド)
脂肪族ポリアミドとしては、脂肪族ナイロン及びその共重合体が挙げられる。具体的には、ポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10,8)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,6)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−12/6,6)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−2,6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)等を例示でき、これらのうち、2種以上の脂肪族ポリアミドを混合しても良い。
好ましい脂肪族ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン-6,6、ナイロン−6/6,6(ナイロン6とナイロン6,6との共重合体)が挙げられ、より好ましくはナイロン−6、ナイロン−6/6,6であり、さらに好ましくはナイロン−6である。2種以上の脂肪族ポリアミドとしてはナイロン−6とナイロン−6/6,6の組み合わせ(質量比で50:50〜95:5程度)が好ましい。
(芳香族ポリアミド)
芳香族ポリアミドとしては、例えば、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン等の芳香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる結晶性芳香族ポリアミドが挙げられる。好ましくは、ポリメタキシレンアジパミド(MXD−ナイロン)等の結晶性芳香族ポリアミドである。具体例としては、S−6007、S−6011(いずれも三菱ガス化学(株)製)が例示される。
或いは、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる非晶性芳香族ポリアミド(アモルファスナイロン)が挙げられる。好ましくはヘキサメチレンジアミン−テレフタル酸−ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸の共重合体等である。具体例としては、シーラーPA(三井・デュポンポリケミカル(株)製)等が例示される。
本発明のポリアミド系樹脂層として、脂肪族ポリアミドと芳香族ポリアミドの好ましい組み合わせは、ナイロン−6とMXD−ナイロンの組み合わせ、ナイロン−6と非晶性芳香族ポリアミド(アモルファスナイロン)の組み合わせが挙げられる。
(含有量)
本発明において、ポリアミド系樹脂層では、脂肪族ポリアミド及び芳香族ポリアミドの含有量は、脂肪族ポリアミドが70〜99質量%、好ましくは85〜97質量%、芳香族ポリアミドが1〜30質量%、好ましくは3〜15質量%の割合で含有されるように調整する。脂肪族ポリアミドが99質量%より多い場合、芳香族ポリアミドが1質量%より少ない場合には、二軸延伸性が低下し、フィルムの成形が困難となる。一方、脂肪族ポリアミドが70質量%より少ない場合、芳香族ポリアミドが30質量%より多い場合には、耐屈曲性が低下する。
ポリアミド系樹脂層は、上記ポリアミド系樹脂からなるものであってもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、公知の耐屈曲性改良剤、無機又は有機添加剤等を配合することができる。耐屈曲性改良剤としては、ポリオレフィン類、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等が挙げられ、0.5〜10質量%程度の範囲で適宜配合することができる。無機又は有機添加剤としては、アンチブロッキング剤、核剤、撥水剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。例えば、アンチブロッキング剤であれば、シリカ、タルク、カオリン等を100〜5000ppm程度の範囲で適宜配合することができる。なお、ポリアミド系樹脂層を1層のみではなく、2層以上設けることも可能である。
(製膜)
上記のポリエステル系樹脂層及びポリアミド系樹脂層を有する二軸延伸多層フィルムは、上記の層構成となるように各層及び接着樹脂層を共押出しによって積層する。例えば、各層の樹脂を200℃〜300℃の温度で押出し、各層の順になるように、Tダイスより冷却水が循環する20℃〜40℃のチルロール上に共押出せしめ、フラット状の多層フィルムを得る。得られたフィルムは、例えば50〜100℃のロール延伸機により2〜4倍に縦延伸し、更に90〜150℃の雰囲気のテンター延伸機により3〜5倍に横延伸せしめ、引き続いて同テンターにより100〜240℃雰囲気中で熱処理し、冷却することで得ることができる。本発明の多層延伸フィルムは、同時二軸延伸、逐次二軸延伸をしても良く、得られた多層延伸フィルムは、必要ならばその両表面又は片表面に任意の表面処理層を設けてもよい。
本発明において、表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
上記の表面前処理は、各種の樹脂のフィルムと無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂のフィルムの表面に、予め、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の前処理のコート剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
(蒸着層)
本発明において、上記の二軸延伸多層フィルム上に積層される蒸着層について説明する。
蒸着層を形成する材料としては、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する物であればよく、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物であるが、特に、ガスバリア性、生産効率の点などから、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムのいずれかが好ましい。
蒸着層の形成方法としては、化学気相成長法または物理気相成長法により形成することができる。
また、蒸着層は、1回の蒸着工程により形成される単層からなっていてもよく、又は蒸着工程を複数回繰り返すことにより形成される多層構造であってもよい。多層構造である場合には、各層は、同一の材料からなっていても、又は異なる材料からなっていてもよく、また同一の形成方法により形成されても、又は異なる形成方法により形成されてもよい。例えば、二軸延伸多層フィルム上に、化学気相成長法によって酸化珪素からなる蒸着膜を形成し、次いで物理気相成長法によって酸化アルミニウムからなる蒸着膜を形成してもよい。
蒸着層の層厚としては、層全体の厚さとして、5〜100nm、より好ましくは10〜50nmの範囲で適宜設定することができる。100nmを超えると、フレキシビリティ性が低下し、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外力で、蒸着層に亀裂を生じる恐れがあり、透明性が低下したりし、また、材料自身の応力が大きくなり、着色したりして好ましくない。また、上記の厚さが100nmを超えると、生産性を著しく低下させ、さらに異常粒の成長から突起が形成される傾向があるので好ましくない。また一方で、無機化合物層の厚さが5nm未満では、透明性は良いが、均一な層が得られにくく、またガスバリア性の機能を十分に果たすことが難しい。
(ガスバリア性塗布膜)
上記二軸延伸多層フィルム上に、蒸着層を形成し、さらに、該蒸着層上に、ガスバリア性塗布膜を設けることにより、一層優れたガスバリア性が得られるだけでなく、接着剤層との密接着性が高まり、さらに高いガスバリア性が得られる。
本発明において、ガスバリア性塗布膜とは、アルコキシドと水溶性高分子とをゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布し乾燥させた膜である。
該ガスバリア性組成物において用いるアルコキシドとしては、一般式R1nM(OR2)m(式中、Mは金属原子を表し、R1、R2は炭素数1〜8の有機基を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドを挙げることができる。
また、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール若しくはエチレン・ビニルアルコールのいずれか又はその両方を好ましく用いることができる。
本発明において、一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、金属原子Mとして、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムその他を使用することができる。また、本発明において、単独又は二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うことができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R1で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基その他のアルキル基を挙げることができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R2で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基その他を挙げることができる。
尚、本発明において、同一分子中において、これらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば、MがSiであるアルコキシシランを使用することができ、アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH34、テトラエトキシシラン Si(OC254、テトラプロポキシシラン Si(OC374、テトラブトキシシラン Si(OC494等が挙げられる。
また、本発明において、ポリビニルアルコール及び/又はエチレン・ビニルアルコールの含有量は、上記のアルコキシドの合計量100質量部に対して5〜500質量部の範囲であることが好ましい。上記において、500質量部を越えると、形成されるガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなることから好ましくない。
本発明において、ポリビニルアルコールとして、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコールの具体例としては、株式会社クラレ製PVA110(ケン化度=98〜99%、重合度=1100)、PVA117(ケン化度=98〜99%、重合度=1700)、PVA124(ケン化度=98〜99%、重合度=2400)、PVA135H(ケン化度=99.7%以上、重合度=3500)、同社製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)及びゴーセノールNH−18(ケン化度=98〜99%、重合度=1700)等を使用することができる。
また、本発明において、エチレン・ビニルアルコールとしては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。このようなケン化物には、酢酸基が数十モル%残存する部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないか又は酢酸基が全く残存していない完全ケン化物までが包含される。特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から、ケン化度が80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であるものを使用することが望ましい。また、上記のエチレン・ビニルアルコール中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは20〜45モル%であるものを使用することが好ましい。上記のエチレン・ビニルアルコールの具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
本発明において、本発明に係るガスバリア性塗布膜を形成するガスバリア性組成物を調製するには、シランカップリング剤等も添加することができる。好適に用いられるシランカップリング剤としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
本発明において用いられるガスバリア性組成物は、アルコキシドと水溶性高分子とを、酸、水及び有機溶剤の存在下で、ゾルゲル法によって加水分解及び、重縮合することにより調製することができる。
ガスバリア性塗布膜は、ガスバリア性組成物を上記蒸着層の上に塗布し、20℃〜200℃、好ましくは140℃以上、且つ基材層を構成するプラスチックフィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理することにより形成することができる。
また、上記のガスバリア性組成物の調製において用いられる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸、並びに酢酸、酒石酸等の有機酸その他を使用することができる。更に、有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール等を用いることができる。
更に、上記のガスバリア性組成物に関して、ポリビニルアルコール及び/又はエチレン・ビニルアルコールは、上記のアルコキシドやシランカップリング剤等を含む塗工液中で溶解した状態にあることが好ましく、そのため上記の有機溶媒の種類が適宜選択される。本発明において、溶剤中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコールは、例えば、ソアノール(日本合成化学社製)として市販されているものを使用することができる。
上記のガスバリア性組成物を、蒸着層の上に塗布し、加熱して溶媒及び重縮合反応により生成したアルコールを除去すると、重縮合反応が完結し、透明なガスバリア性塗布膜が形成される。
更に、加水分解によって生じた水酸基や、シランカップリング剤由来のシラノール基が蒸着層の表面の水酸基と結合する為、該蒸着層とガスバリア性塗布膜との密接着性等が良好なものとなる。
上述のように形成されることにより、本発明のガスバリア性塗布膜は、結晶性を有する直鎖状ポリマーを含み、非晶質部分の中に多数の微小の結晶が埋包された構造を取る。このような結晶構造は、結晶性有機ポリマー(例えば、塩化ビニリデンやポリビニルアルコール)と同様であり、さらに極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高いため、良好な表面ガスバリア性を示す。
本発明においては、蒸着層とガスバリア性塗布膜とが、例えば、加水分解・共縮合による化学結合、水素結合、或いは、配位結合等を形成し、これら2層間の密着性が向上し、相乗効果により、より良好な表面ガスバリア性の効果を発揮し得るものである。
本発明において、上記のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、ディッピング、刷毛、バーコート、アプリケータ等の塗布手段により、1回或いは複数回の塗布で、乾燥膜厚が0.01〜30μm、好ましくは0.1〜10μmのガスバリア性塗布膜を形成することができる。
また、本発明において、より高い表面ガスバリア性を得るために、ガスバリア性塗布膜を設けた後で、さらに蒸着層とガスバリア性塗布膜とを、この順序で、交互に1回又はそれ以上繰り返し積層し、好ましくはガスバリア性塗布膜が最外層となるように形成して、透明ガスバリア性フィルムとしてもよい。
本発明の透明ガスバリア性フィルムは、特にガスバリア性(O2、N2、H2O、CO2など)に優れるため、食品包装用フィルムとして好適に使用される。特に、N2あるいはCO2ガスなどを充填したいわゆるガス充填包装に用いた場合には、その優れたガスバリア性が充填ガスの保持に極めて有効となる。
さらに、本発明の透明ガスバリア性フィルムは、熱水処理、特に高圧熱水処理(レトルト処理)後のガスバリア性にも優れている。
<III> 接着剤層
本発明において、接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンーブタジェンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等の接着剤を使用することができる。
上記の接着剤は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、さらに接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
本発明においては、透明ガスバリア性フィルム層の全面に、上記の接着剤を、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法等のコート法、あるいは、印刷法等によって施し、次いで、溶剤等を乾燥させて接着剤層を形成すことができ、そのコーティングないし塗工量としては、0.1〜10g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
<IV> シーラントフィルム層
本発明の包装材料において、シーラントフィルムは、熱によって溶融し相互に融着し、レトルト処理に耐える優れた接着性、耐熱水性に加えてさらに、本発明の包装材料に低溶出性を与える機能を有するものである。
これらの全ての性質を満たすものとして、本発明の包装材料において、シーラントフィルム層は、少なくとも直鎖状低密度ポリエチレン層を有するものである。
特に、本発明の包装材料に低溶出性を与える効果が高まることから、直鎖状低密度ポリエチレン層とナイロン6/12からなる層とを有する多層共押出フィルムであることが好ましい。ここで、該直鎖状低密度ポリエチレン層は、本発明の包装材料の接液面を形成し、本発明の包装材料を用いて製造されるパウチの最内層として、安定したヒートシール性を示す。
本発明においては、特に、ナイロン6/12からなる層中に含まれる、未反応の残存ε−カプロラクタムの含有率が0.8質量%以下であり、且つ、未反応の残存ω−ラウロラクタムの含有率が0.1質量%以下である、上記多層共押出フィルムを用いることが好ましい。
さらには、FDA(米国食品医薬品局)§177・1500 13.2規格試験(ナイロン6/12)に準拠して実施される片面溶出試験において、本発明の包装材料のシーラントフィルム層の面に、十分量の95%エタノールを接触させて、121℃で2時間加熱した際に、該95%エタノール中に溶出する未反応の残存ε−カプロラクタム及びω−ラウロラクタムの質量がそれぞれ、シーラントフィルム層1平方インチあたり0.15mg以下及び0.04mg以下となる、上記多層共押出フィルムを用いることが好ましい。
ボイル処理用包装材料としては、同様に片面溶出試験において、本発明の包装材料のシーラントフィルム層の面に、十分量の水を接触させて、常温(23℃)で5時間抽出した際に、該水中に溶出する未反応の残存ε−カプロラクタム及びω−ラウロラクタムの質量がそれぞれ、シーラントフィルム層1平方インチあたり0.15mg以下及び0.04mg以下となる、上記多層共押出フィルムを用いることが好ましい。
また、ボイル処理用包装材料としては、同様に片面溶出試験において、本発明の包装材料のシーラントフィルム層の面に、十分量の水を接触させて、100℃で8時間抽出した際に、該水中に溶出する窒素の質量が、シーラントフィルム層1平方センチメートルあたり15mg以下及び1平方インチあたり100μg以下となる、上記多層共押出フィルムを用いることが好ましい。
上記構成を有する本発明の多層共押出フィルムは、優れたヒートシール性、耐熱水性を示す直鎖状低密度ポリエチレン層と、本発明の包装材料に低溶出性を与えるナイロン6/12からなる層とを、多層共押出により製膜したものである。
本発明においてシーラントフィルムとして使用される、直鎖状低密度ポリエチレン層とナイロン6/12からなる層とを有する多層共押出フィルムは、それ自体、溶出性の化学物質の含有量が少なく、さらに、透明ガスバリア性フィルム層及び接着剤層等中に含まれる溶出性化学物質に対して優れた遮蔽能を有し、これらの内容物中への移行を防ぐ。また、薄膜化及び軽量化が可能であり、経済的観点及び環境への配慮の観点からも好ましい。
さらなる態様において、上記多層共押出フィルムが、第1の直鎖状低密度ポリエチレン層、ナイロン6/12からなる層、及び第2の直鎖状低密度ポリエチレン層、をこの順に有する多層共押出フィルムであることが好ましい。共押出フィルムにおいて、対照性があることにより、フィルムがカールするのを防ぐことができる。また、第2の直鎖状低密度ポリエチレン層は、接着剤層とシーラントフィルム層との密着性を高める役割を果たす。
上記多層共押出フィルムの各層の厚みは、各層の役割が果たされる範囲で当業者が任意に決定することができるが、各直鎖状低密度ポリエチレン層は、例えば5〜100μm/層程度、及びナイロン6/12からなる層は5〜50μm程度に設定することができる。
本発明において、直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンモノマーを、低圧法、スラリー法、溶液法、気相法等の重合方法を用いて重合することにより得られる密度0.910〜0.925g/cm3のリニアポリエチレンである。本発明においては、効果を損なわない範囲で任意の物性を有するものを使用することができるが、構造均一性に優れる点で、メタロセン触媒で調製された直鎖状低密度ポリエチレンを好適に使用することができる。直鎖状低密度ポリエチレン層中に、必要に応じて、公知の無機又は有機添加剤等を適宜配合することができる。
本発明において、ナイロン6/12からなる層を構成するナイロン6/12は、ε−カプロラクタムと、ω−ラウロラクタムとの共重合により製造される。これらコモノマーの比としては、用途に応じて当業者が適宜に設定でき、ε−カプロラクタム:ω−ラウロラクタムが、例えば50:50〜95:5(質量比)が好ましく、または、例えば50:50(質量比)の共重合体や、80質量%以上:20質量%未満の共重合体も好適に使用することができる。本発明において、ナイロン6/12の代わりに、6/69ナイロンを使用することもできる。
<V> 包装材料
本発明の包装材料は、上記の透明ガスバリア性フィルムと、シーラントフィルムとを、上述の層構成となるように、接着剤層を介してラミネートすることにより製造される。
本発明においては、透明ガスバリア性フィルム層上に積層された接着剤層の上に、上記シーラントフィルムをドライラミネートする。
必要に応じて、接着剤層とシーラントフィルム層との間に、他の樹脂フィルム(中間層)を狭持してもよい。このような中間層を設けることにより、強度や耐突き刺し性等が向上する。樹脂のフィルムとしては、機械的、物理的、化学的等において優れた強度を有し、耐突き刺し性等に優れ、その他、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、透明性等に優れた樹脂のフィルムを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他の強靱な樹脂フィルムを使用することができる。
本発明においては、上記の樹脂のフィルムを使用し、これを、前述の接着剤等を使用してドライラミネート法等を用いて、接着剤層とシーラントフィルム層との間に狭持することができる。
上記の樹脂のフィルムとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。また、本発明において、その樹脂のフィルムの厚さとしては、強度、耐突き刺し性等について、必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するという欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性等が抵下して好ましくないものである。また、透明ガスバリア性フィルムにポリアミド系樹脂層を有しているため、元々衝撃強度や耐突刺し性には優れていることから、環境配慮を考慮して必要最小限度の使用にとどめるべきである。
本発明の包装材料は、優れた低溶出性を示す。
具体的には、本発明の包装材料は、溶出試験において、シーラント層の面を、十分量の脱イオン蒸留水と接触させて、121℃で2時間加熱した際に、該水中に溶出する不揮発性抽出物のクロロホルム可溶性分の質量が、シーラントフィルム層1平方センチメートルあたり0.016mg以下及び1平方インチあたり0.10mg以下である。
また、同様に、シーラント層の面を、十分量の脱イオン蒸留水と接触させて、135℃で1時間加熱した際に、該水中に溶出する溶出物の質量が、シーラントフィルム層1平方センチメートルあたり0.008mg以下及び1平方インチあたり0.05mg以下である。
<VI> パウチ
本発明の包装材料を、シーラントフィルム層が最内層となるように重ね合せて製袋して、ボイル・レトルト処理に好適に使用可能なパウチを製造することができる。
製袋方法としては、本発明の包装材料を、折り曲げるかあるいは重ね合わせて、そのシーラント層の面を対向させ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態のパウチを製造することができる。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンデイングパウチ)等も可能である。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明のパウチは、優れた低溶出性を示す。具体的には、FDA(米国食品医薬品局)§177・1390規格試験に準拠して実施されるレトルト製品特有の溶出試験において、シーラント層の面を、十分量の脱イオン蒸留水と接触させて、135℃で1時間加熱した際に、該脱イオン蒸留水中に溶出する溶出物の質量が、シーラントフィルム層1平方インチあたり0.05mg以下である。
上記の本発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明がこれら実施例によって限定されるものではない。また、以下の略号を使用する:
PET:ポリエチレンテレフタレート
NY:ナイロン
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン
[実施例1]
透明バリア層として、透明バリア層の基材層としてPET・NY・PETの3層構成の多層延伸フィルム(グンゼ(株)製)を用い、化学蒸着法により無機酸化シリカ蒸着膜を形成し、更にその上に、バリア性を有する有機無機バリア層を形成された透明バリア層に、接着剤層を介してLLDPEを有する。最終的な層構成は、透明蒸着(PET1.5μ・NY12μ・PET1.5μ)15μ/接着剤層3μ/LLDPE70μとなった。接着剤はロックペイント社製ポリエステル系接着剤RU004/H−1を使用した。シーラントLLDPEはオカモト株式会社製LR−124を使用した。
その層構成フィルムを長手方向13cm、幅方向18cmにカットし、3方シールを行い、平パウチを作製した。次に、脱イオン蒸留水を150ml充填し180℃にてヒートシールを行い、その後、熱水式レトルト殺菌器にて121℃、30分の加圧・過熱殺菌を行った。室温冷却後、脱イオン蒸留水中の溶出物の重量を測定したところ、換算値で0.005mg/cm2であった。
[実施例2]
透明バリア層として、透明バリア層の基材層としてPET・NY・PETの3層構成の多層延伸フィルム(グンゼ(株)製)を用い、化学蒸着法により無機酸化シリカ蒸着膜を形成し、更にその上に、バリア性を有する有機無機バリア層を形成された透明バリア層に、接着剤層を介して、LLDPE/6,12ナイロン/LLDPEの3層構成の多層シーラントを有し、前記6,12ナイロンにおいて、残存εカプロラクタムが0.5wt%、および残存ωラウロラクタムが0.03wt%以下のナイロン6/12樹脂を用いた。多層シーラント単体の95%エタノール、121℃、2時間の片面抽出試験を実施したところεカプロラクタムの溶出量は0.10mg以下/平方インチ、ωラウロラクタムの抽出量が0.02mg/平方インチであった。最終的な層構成は、透明蒸着(PET1.5μ・NY12μ・PET1.5μ)15μ/接着剤層3μ/(LLDPE・6,12ナイロン・LLDPE)70μとなった。接着剤はロックペイント社製ポリエステル系接着剤RU004/H−1を使用した。シーラントLLDPEはオカモト株式会社製LR−124を使用した。
その層構成フィルムを長手方向13cm、幅方向18cmにカットし、3方シールを行い、平パウチを作製した。次に、脱イオン蒸留水を150ml充填し180℃にてヒートシールを行い、その後、熱水式レトルト殺菌器にて121℃、30分の加圧・過熱殺菌を行った。室温冷却後、脱イオン蒸留水中の溶出物の重量を測定したところ、換算値で0.003mg/cm2であった。
[実施例3]
透明バリア層として、透明バリア層の基材層としてPET・NY・PETの3層構成の多層延伸フィルム(グンゼ(株)製)を用い、化学蒸着法により無機酸化シリカ蒸着膜を形成し、更にその上に、バリア性を有する有機無機バリア層を形成された透明バリア層に、接着剤層を介して、6,12ナイロン/LLDPEの2層構成の多層シーラントを有し、前記6,12ナイロンにおいて、残存εカプロラクタムが0.5wt%、および残存ωラウロラクタムが0.03wt%以下のナイロン6/12樹脂を用いた。多層シーラント単体の95%エタノール、121℃、2時間の片面抽出試験を実施したところεカプロラクタムの溶出量は0.10mg以下/平方インチ、ωラウロラクタムの抽出量が0.02mg/平方インチであった。最終的な層構成は、透明蒸着(PET1.5μ・NY12μ・PET1.5μ)12μ/接着剤層3μ/(6,12ナイロン・LLDPE)70μとなった。接着剤はロックペイント社製ポリエステル系接着剤RU004/H−1を使用した。シーラントLLDPEはオカモト株式会社製LR−124を使用した。
その層構成フィルムを長手方向13cm、幅方向18cmにカットし、3方シールを行い、平パウチを作製した。次に、脱イオン蒸留水を150ml充填し180℃にてヒートシールを行い、その後、熱水式レトルト殺菌器にて121℃、30分の加圧・過熱殺菌を行った。室温冷却後、脱イオン蒸留水中の溶出物の重量を測定したところ、換算値で0.003mg/cm2であった。
[実施例4]
透明バリア層として、透明バリア層の基材層としてPET・NYの2層構成の多層延伸フィルム(グンゼ(株)製)を用い、化学蒸着法により無機酸化シリカ蒸着膜を形成し、更にその上に、バリア性を有する有機無機バリア層を形成された透明バリア層に、接着剤層を介してLLDPEを有する。最終的な層構成は、透明蒸着(PET3μ・NY12μ)15μ/接着剤層3μ/LLDPE70μとなった。接着剤はロックペイント社製ポリエステル系接着剤RU004/H−1を使用した。シーラントLLDPEはオカモト株式会社製LR−124を使用した。
その層構成フィルムを長手方向13cm、幅方向18cmにカットし、3方シールを行い、平パウチを作製した。次に、脱イオン蒸留水を150ml充填し180℃にてヒートシールを行い、その後、熱水式レトルト殺菌器にて121℃、30分の加圧・過熱殺菌を行った。室温冷却後、脱イオン蒸留水中の溶出物の重量を測定したところ、換算値で0.005mg/cm2であった。
[実施例5]
透明バリア層として、透明バリア層の基材層としてPET・NYの2層構成の多層延伸フィルム(グンゼ(株)製)を用い、化学蒸着法により無機酸化シリカ蒸着膜を形成し、更にその上に、バリア性を有する有機無機バリア層を形成された透明バリア層に、接着剤層を介して、LLDPE/6,12ナイロン/LLDPEの3層構成の多層シーラントを有し、前記6,12ナイロンにおいて、残存εカプロラクタムが0.5wt%、および残存ωラウロラクタムが0.03wt%以下のナイロン6/12樹脂を用いた。多層シーラント単体の95%エタノール、121℃、2時間の片面抽出試験を実施したところεカプロラクタムの溶出量は0.10mg以下/平方インチ、ωラウロラクタムの抽出量が0.02mg/平方インチであった。最終的な層構成は、透明蒸着(PET3μ・NY12μ)15μ/接着剤層2μ/(LLDPE・6,12ナイロン・LLDPE)70μとなった。接着剤はロックペイント社製ポリエステル系接着剤RU004/H−1を使用した。シーラントLLDPEはオカモト株式会社製LR−124を使用した。
その層構成フィルムを長手方向13cm、幅方向18cmにカットし、3方シールを行い、平パウチを作製した。次に、脱イオン蒸留水を150ml充填し180℃にてヒートシールを行い、その後、熱水式レトルト殺菌器にて121℃、30分の加圧・過熱殺菌を行った。室温冷却後、脱イオン蒸留水中の溶出物の重量を測定したところ、換算値で0.003mg/cm2あった。
[実施例6]
透明バリア層として、透明バリア層の基材層としてPET・NYの2層構成の多層延伸フィルム(グンゼ(株)製)を用い、化学蒸着法により無機酸化シリカ蒸着膜を形成し、更にその上に、バリア性を有する有機無機バリア層を形成された透明バリア層に、接着剤層を介して、6,12ナイロン/LLDPEの2層構成の多層シーラントを有し、前記6,12ナイロンにおいて、残存εカプロラクタムが0.5wt%、および残存ωラウロラクタムが0.03wt%以下のナイロン6/12樹脂を用いた。多層シーラント単体の95%エタノール、121℃、2時間の片面抽出試験を実施したところεカプロラクタムの溶出量は0.10mg以下/平方インチ、ωラウロラクタムの抽出量が0.02mg/平方インチであった。最終的な層構成は、透明蒸着(PET3μ・NY12μ)15μ/接着剤層3μ/(6,12ナイロン・LLDPE)70μとなった。接着剤はロックペイント社製ポリエステル系接着剤RU004/H−1を使用した。シーラントLLDPEはオカモト株式会社製LR−124を使用した。
その層構成フィルムを長手方向13cm、幅方向18cmにカットし、3方シールを行い、平パウチを作製した。次に、脱イオン蒸留水を150ml充填し180℃にてヒートシールを行い、その後、熱水式レトルト殺菌器にて121℃、30分の加圧・過熱殺菌を行った。室温冷却後、脱イオン蒸留水中の溶出物の重量を測定したところ、換算値で0.003mg/cm2であった。
[評価]
上記実施例1〜6の包装材料について、FDA(米国食品医薬品局)§176・170(c)規格試験に準拠して、内容物の分類と使用条件に応じた条件にて実施される溶出試験において、シーラント層の面を十分量の水と接触させて、121℃で2時間加熱した際に該水中に溶出する溶出物の質量、及び同様に、十分量のヘプタンと接触させて、66℃で2時間加熱した際に該ヘプタン中に溶出する溶出物の質量、を測定した。
さらに、上記実施例1〜6の包装材料から作製したパウチについて、FDA(米国食品医薬品局)§177・1390規格試験に準拠して実施されるレトルト製品特有の溶出試験において、シーラント層の面を十分量の脱イオン蒸留水と接触させて、135℃で1時間加熱した際に該脱イオン蒸留水中に溶出する溶出物の質量を測定した。
結果を以下の表1に示す。
Figure 0005915210
1.透明ガスバリア性フィルム層
1a.ポリエステル系樹脂層
1a’.第1のポリエステル系樹脂層
1a’’.第2のポリエステル系樹脂層
1b.ポリアミド系樹脂層
1c.蒸着層
2.接着剤層
3.シーラントフィルム層
3a.ナイロン6/12からなる層
3b.直鎖状低密度ポリエチレン層
3b’.第1の直鎖状低密度ポリエチレン層
3b’’.第2の直鎖状低密度ポリエチレン層

Claims (12)

  1. 少なくとも、透明ガスバリア性フィルム層、接着剤層、及び、シーラントフィルム層、をこの順に有する包装材料において、
    該透明ガスバリア性フィルム層は、少なくともポリエステル系樹脂層及びポリアミド系樹脂層を有する多層フィルムを二軸延伸することにより得られる二軸延伸多層フィルムを有する層であり、
    該シーラントフィルム層は、少なくとも、直鎖状低密度ポリエチレン層と、ナイロン6/12からなる層とを含んでなる多層共押出フィルムからなる層であり、
    該直鎖状低密度ポリエチレン層は、包装材料の接液面を形成する層である、ボイル・レトルト処理用包装材料。
  2. 前記ナイロン6/12からなる層の、未反応の残存ε−カプロラクタムの含有率が0.8質量%以下であり、且つ、未反応の残存ω−ラウロラクタムの含有率が0.1質量%以下であり、
    片面溶出試験において、十分量の95%エタノールを接触させて121℃で2時間加熱した際に、該95%エタノール中に溶出する上記未反応の残存ε−カプロラクタム及びω−ラウロラクタムの質量がそれぞれ、シーラントフィルム層1平方インチあたり0.15mg以下及び0.04mg以下であることを特徴とする、請求項1に記載のボイル・レトルト処理用包装材料。
  3. 前記ナイロン6/12からなる層の、未反応の残存ε−カプロラクタムの含有率が0.8質量%以下であり、且つ、未反応の残存ω−ラウロラクタムの含有率が0.1質量%以下であり、
    片面溶出試験において、十分量の水を接触させて常温で5時間抽出した際に、該水中に溶出する上記未反応の残存ε−カプロラクタム及びω−ラウロラクタムの質量がそれぞれ、シーラントフィルム層1平方インチあたり0.15mg以下及び0.04mg以下であることを特徴とする、請求項1に記載のボイル・レトルト処理用包装材料
  4. 前記ナイロン6/12からなる層の、未反応の残存ε−カプロラクタムの含有率が0.8質量%以下であり、且つ、未反応の残存ω−ラウロラクタムの含有率が0.1質量%以下であり、
    片面溶出試験において、十分量の水を接触させて100℃で8時間抽出した際に、該水中に溶出する窒素の質量が、シーラントフィルム層1平方センチメートルあたり15μg以下及び1平方インチあたり100μg以下であることを特徴とする、請求項1に記載のボイル・レトルト処理用包装材料
  5. 前記透明ガスバリア性フィルム層が、少なくともポリエステル系樹脂層及びポリアミド系樹脂層を有する多層フィルムを二軸延伸することにより得られる二軸延伸多層フィルムと、その一方の面上に無機酸化物を蒸着してなる蒸着層とを含んでなる無機酸化物蒸着フィルムからなる層であることを特徴とする、請求項1に記載のボイル・レトルト処理用包装材料
  6. 前記ポリエステル系樹脂層は、結晶性ポリエステルを含有し、
    前記ポリアミド系樹脂層は、脂肪族ポリアミド70〜99質量%及び芳香族ポリアミド1〜30質量%を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のボイル・レトルト処理用包装材料
  7. 前記結晶性ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びスルホイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項6に記載のボイル・レトルト処理用包装材料
  8. 前記脂肪族ポリアミドが、ナイロン6、及びナイロン6とナイロン66との共重合ナイロンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項6または7に記載のボイル・レトルト処理用包装材料
  9. 前記芳香族ポリアミドが、ポリメタキシレンアジパミドまたはアモルファスナイロンであることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載のボイル・レトルト処理用包装材料
  10. 前記蒸着層が、酸化珪素、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機酸化物を蒸着してなる層であることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか1項に記載のボイル・レトルト処理用包装材料
  11. 脱イオン蒸留水で135℃で1時間抽出した際に、該水中に溶出する溶出物の質量が、シーラントフィルム層1平方センチメートルあたり0.008mg以下及び1平方インチあたり0.05mg以下である事を特徴とする、請求項1に記載のボイル・レトルト処理用包装材料
  12. 脱イオン蒸留水で121℃で2時間抽出した際に、該水中に溶出する不揮発性抽出物のクロロホルム可溶成分の質量が、シーラントフィルム層1平方センチメートルあたり0.016mg以下及び1平方インチあたり0.10mg以下であることを特徴とする、請求項1に記載のボイル・レトルト処理用包装材料
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