JP5911455B2 - 環境試験装置および環境試験装置の制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被試験体への環境負荷にかかわる所定の物理量を制御対象として、センサで検出した制御対象物理量と目標設定物理量との差分である偏差を最小化するためのフィードバック制御を行う環境試験装置および環境試験装置の制御方法であって、より詳しくは、被試験体の近傍での実際の検出物理量が操作部(例えば空調吹出口)の近傍での検出物理量に対して恒常的にずれを有するような環境下での環境試験に適用される環境試験装置および環境試験装置の制御方法に関する。
フィードバック制御は制御部(調節部)、操作部、検出部(センサ)、偏差演算部などを構成要素とし、検出部による検出物理量と制御部に設定した目標設定物理量との差分を偏差として、その偏差が最小化するように(限りなくゼロに近づくように)制御部が操作部を制御するものである。
従来の環境試験装置の一例として、被試験体を規定の温度下において温度試験を行うシステムを取り上げて説明する。試験空間である試験室に空調装置が付属しており、試験室内の天井付近において空調装置の吹出口の近傍に温度センサが配置されている。被試験体は試験室の床近傍に置かれ、被試験体の近傍温度を規定温度に保持しながら被試験体に対する温度試験を行う。被試験体は吹出口から離れている関係で、被試験体の近傍温度は不可避的に温度センサの検出温度に対し恒常的にずれ(差分)を生じる。吹出口から被試験体に至る空調空気の流速がもし充分に大きいのであれば上記の温度差分も小さく影響は少ないのであるが、実際には空調空気の流速はかなりの低速であり、吹出口における空調空気の温度が被試験体近傍の空気温度に反映される応答性が相当に悪く、オーバーシュートやアンダーシュートやハンチングなどを引き起こし、被試験体を正確に規定温度に保つことがむずかしかった。
そこで、被試験体の近傍の温度をモニタしながら温度試験を行うようにしたシステムが考えられる。それは、都度に被試験体の近傍での検出温度と吹出口近傍の検出温度との差分を求め、その差分による影響が緩和されるように目標設定温度を手動で変更するというものである。
特許文献1に開示の技術は環境試験装置ではなく空調制御システムに関するものであり、温度センサの検出温度と室内中心部の実際の温度との間の恒常的なずれによる空調制御の性能低下を抑制するものである。この従来例にあっては、温度センサによる検出温度と室内中心部の温度との差分をオフセット値としてあらかじめ設定し、温度センサの検出温度からオフセット値を減算した値を表示設定器に表示し、目標設定温度にオフセット値を加算した値を補正目標設定温度として設定するようにしている(段落[0007]、[0009]、[0012]〜[0015]参照)。この場合に、オフセット値の入力は手動で行う(段落[0012]、[0013]参照)。
特開平6−109306号公報
上記の特許文献1の従来例にあっては、あらかじめ空調装置に付属の温度センサの近傍の温度と室内中心部の温度との温度差を測定しておき、その温度差の値をオフセット値として空調制御装置のキー操作部から入力しておく(段落[0013]参照)。ここで、離れた2箇所での温度の測定と両測定温度の差分の計算ならびにキー操作部からの入力は人為的に行うものと考えられる。また、温度センサの近傍の温度の測定は、その温度センサによって行うのではなく、室内中心部の温度の測定の場合と同様に温度計など別途の測温器によって行われるものと考えられる。そして、これらの人為作業を行うのは、空調装置の設置のときや毎年のシーズン初期の運転開始時期などごく限られたときのみであると考えられる。つまり、恒常的かつ自動的な制御系に組み込まれたものではなく、人為作業に頼っている事項である。
上記の空調制御システムに関する従来例にあっては、偏差に加味されて補正偏差として用いられるオフセット値は、事前に取得された固定値となっている。この従来例の考え方を本発明が関係する環境試験装置に転用することの是非はともかくとして、仮に転用したと想定した場合には次のような問題が惹起されると予想される。
前記のオフセット値を1回の環境試験(複数回の環境試験にわたる場合もある)で固定値のまま継続使用することになる。外部環境が大きく変動した結果としてオフセット値が実情に沿わなくなっても継続使用されるものである。このような場合の試験結果は正確性の点で十分ではない(ハンチングなどを生じる)。そのオフセット値は個々の環境試験において試験遂行中にリアルタイムに取得されているものではないからである。
用いているオフセット値につきオペレータが実情にそぐわないと気が付いた場合は、試験を中止して、再度改めて吹出口近傍の検出温度と被試験体の近傍の検出温度との温度差を測定し、その温度差の値をオフセット値として空調装置の目標設定温度を手動で変更することになる。このような対応を含めて、従来例の考え方を転用した想定の環境試験装置にあっては試験効率が相当に低いものとなる。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、目標設定温度への高速高精度収斂を簡易に実現することができる環境試験装置を提供することを目的としている。
本発明は、次のような手段を講じることにより上記の課題を解決する。
すなわち、本発明による環境試験装置は、
内部で生成する制御量に基づいて制御信号を出力する制御部と、
前記制御部による前記制御信号によって制御される操作部と、
前記操作部の近傍に配置されて規定の物理量を検出するメインセンサと、
被試験体の近傍における前記と同じ物理量を検出するサブセンサとを備え、
前記制御部はさらに移動平均演算手段と制御量演算手段とを備え、
前記移動平均演算手段は、前記サブセンサによる検出物理量と前記メインセンサによる検出物理量との差分を時系列的に取得し、その取得した時系列をなす複数タイミングでの前記両検出物理量の差分の移動平均を演算するように構成され、
前記制御量演算手段は、前記移動平均演算手段によって演算された差分の移動平均をオフセット値として、前記制御部に対する目標設定物理量と前記メインセンサによる検出物理量と前記オフセット値とから前記制御量を生成するものであって、前記移動平均演算手段によって演算された差分の移動平均を規定の閾値範囲と比較して、前記移動平均が前記閾値範囲内であればその移動平均を前記オフセット値とし、前記移動平均が前記閾値範囲内でなければその閾値範囲のリミット値を前記オフセット値とすることができるように構成されている。
また、本発明による環境試験装置の制御方法は、
メインセンサおよびサブセンサからそれぞれ所定の検出物理量を取得するステップと、
前記両検出物理量の差分を求めるステップと、
時系列をなす複数タイミングでの前記両検出物理量の差分の移動平均を演算し、得られた移動平均をオフセット値とするステップと、
制御部に対する目標設定物理量と前記メインセンサによる検出物理量と前記オフセット値とから操作部に対する制御量を生成するステップとを有し、
前記移動平均をオフセット値とするステップは、前記差分の移動平均を規定の閾値範囲と比較して、前記移動平均が前記閾値範囲内であればその移動平均を前記オフセット値とし、前記移動平均が前記閾値範囲内でなければその閾値範囲のリミット値を前記オフセット値とすることができるものである。
上記の構成において、制御部における移動平均演算手段は、サブセンサによる検出物理量とメインセンサによる検出物理量との差分を時系列的に取得し、その取得した時系列をなす複数タイミングでの両検出物理量の差分の移動平均を演算する。時系列をなす複数個の差分の合計をその差分の個数で除算したものが差分の移動平均である。この差分の移動平均の情報は制御量演算手段に渡される。なお、移動平均には複数個の差分を単純に加算する単純移動平均、重み付した上で加算する加重移動平均、重みに指数関数を取り入れた指数移動平均などいくつかの態様があるが、そのいずれでも構わない。
制御部における制御量演算手段は、制御部に対する目標設定物理量とメインセンサによる検出物理量と移動平均演算手段によって演算された差分の移動平均から制御量を生成する。そして、この制御量に基づいて操作部に対する制御信号を出力する。この制御量は一般的なフィードバック制御にいう偏差を補正したものに相当している。
制御部が操作部に対して用いる制御量には、直近過去の複数個の検出物理量の情報を含む差分の移動平均が加味されていることが望ましい。これら複数個の検出物理量の差分は毎回の環境試験において、制御部による制御動作の最中に規定の時間間隔でその都度リアルタイムに自動的に取得される情報である。しかも、最新1回の取得情報のみに頼るのではなく、直近過去の複数個の検出物理量の差分の移動平均をオフセット値として用いて制御量(補正偏差)とし、実際の制御に用いる。結果として、環境試験の実行中に時々刻々に変化してゆく外部条件に即応した状況下での試験となり、得られる試験結果の精度が充分に高いものとなる。移動平均は時系列データを平滑化するもので、検出物理量の時間的変化のパターンの特徴をよく捉えることができる。したがって、操作部に対する制御部の制御が比較的穏やかに行われ、オーバーシュートやアンダーシュートやハンチングなどの不具合を確実に抑制することが可能となる。
加えて、時々刻々の外部条件の変化に対し、人為作業によらずに自動的に即応することができ、目標設定物理量への高速高精度収斂を簡易に実現することが可能となる。
本発明によれば、目標設定物理量への高速高精度収斂を簡易に実現でき、試験効率を向上させることができる。また、被試験体の近傍の制御対象物理量を検出するサブセンサの配置が被試験体や試験空間に対して位置変更されても、フィードバック制御に用いるパラメータとしては同じものの使用が可能で、面倒な調節作業を不要化できる。
本発明の実施形態における環境試験装置の構成を示すブロック図 図1における制御量演算手段の好ましい3態様を表すブロック図 図1における移動平均演算手段の好ましい1態様を表すブロック図 図1における移動平均演算手段の好ましい別の態様を表すブロック図 本発明の実施形態の環境試験装置の動作を示すフローチャート 本発明の実施形態の環境試験装置の別の動作を示すフローチャート 本発明の実施形態の環境試験装置のさらに別の動作を示すフローチャート 本発明の実施例の環境試験装置の構成を示す概略図 図8における制御部のハードウエア構成を表すブロック図 本発明の実施例の環境試験装置における温度調節の動作を示すフローチャート 図10の場合の環境試験装置における試験結果を示すグラフ 本発明の実施例の環境試験装置における湿度調節の動作を示すフローチャート 本発明の別の実施例の環境試験装置における温度調節の動作を示すフローチャート 図13の場合の環境試験装置における試験結果を示すグラフ
以下、上記構成の本発明の環境試験装置の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態における環境試験装置の構成を示すブロック図である。図1において、10はマイクロコンピュータやマイクロコントローラなどで構成される制御部、2は制御部10(その駆動制御部1)によって駆動制御される操作部(例えば温度調節機構・送風機)、3は操作部2の近傍に配置されて規定の物理量(例えば温度)を検出するメインセンサ、4はメインセンサ3とサブセンサ5の同時刻検出値に差分が生じる試験環境下(例えば温度試験)に置かれる被試験体、5は被試験体4の近傍における前記と同じ物理量(例えば温度)を検出するサブセンサである。11はサブセンサ5による検出物理量Fsi とメインセンサ3による検出物理量Fmi との差分ΔFi (=Fsi −Fmi )を時系列的に取得し(添え字の「i」は時系列をなす個々のタイミングを表す変数である)、その取得した時系列をなす最新のk個のタイミングでの両検出物理量の差分ΔFn ,ΔFn-1 ,ΔFn-2 ,……,ΔFn-(k-1) の移動平均(Moving Average)MAi を演算する移動平均演算手段である。12は制御部10に対する目標設定物理量Foとメインセンサ3による検出物理量Fmi と移動平均演算手段11によって演算された差分の移動平均MAi の三つの要素(Fmi ,Fo,MAi )に基づいた演算で制御量ei ′を生成する制御量演算手段である。この制御量ei ′は一般的なフィードバック制御にいう偏差ei を補正したものに相当している。移動平均演算手段11と制御量演算手段12は駆動制御部1とともに制御部10の構成要素となっている。
制御部10における駆動制御部1は補正偏差である制御量ei ′に基づいて操作部2に対する駆動制御(フィードバック制御)を行うように構成されている。フィードバック制御の態様はPID(比例積分微分)制御のほか、PI(比例積分)制御、P(比例)制御など任意である。
本実施形態においては、制御対象物理量の変動を検出するのに、操作部2における直接作用部(例えば空調吹出口)の近傍の物理量(例えば温度)を検出するメインセンサ3以外に、試験空間に置かれる被試験体4の近傍における物理量を検出するためのサブセンサ5を構成要素としてシステムに組み込んでいる。
移動平均演算手段11は、規定の時間間隔をおいて周期的に、サブセンサ5による検出物理量Fsi とメインセンサ3による検出物理量Fmi との差分ΔFi (=Fsi −Fmi )を時系列的に取得し、その取得した時系列をなす最新複数タイミングでの両検出物理量の差分ΔFn ,ΔFn-1 ,ΔFn-2 ,……,ΔFn-(k-1) の移動平均MAi を演算する(差分のデータ個数をk個としている)。
この差分の移動平均MAi は、その演算方程式として複数の種類があるが、ここでは理解を容易にするため例えば単純移動平均で表すとすれば、
MAi =Σ(ΔFi )/k
となる(単純移動平均は一例)。ここで、分子のΣ(ΔFi )は直近の複数k個の検出物理量の差分ΔFn ,ΔFn-1 ,ΔFn-2 ,……,ΔFn-(k-1) の合計で、
Σ(ΔFi )=ΔFn +ΔFn-1 +ΔFn-2 +……+ΔFn-(k-1)
である。すなわち、差分の合計Σ(ΔFi )をその差分の個数kで除算したものが差分の移動平均MAi (単純移動平均)である。この差分の移動平均MAi の情報は制御量演算手段12に渡される。
制御量演算手段12は、移動平均演算手段11によって演算された差分の移動平均MAi をオフセット値として用いて、制御部10に対する目標設定物理量Foとメインセンサ3による検出物理量Fmi との相対的数値関係に補正を与え、補正偏差に相当する制御量ei ′を生成する。
この補正偏差としての制御量ei ′は駆動制御部1に渡され、駆動制御部1において実際の制御に供される。すなわち、駆動制御部1は、制御量ei ′に基づいて操作部2に対する駆動制御(制御量ei ′を最小化するフィードバック制御)を行う。
上記構成の環境試験装置において、制御部10(駆動制御部1)が操作部2に対して行う制御の基準として用いる制御量ei ′には差分の移動平均MAi がオフセット値OSi として加味される。差分の移動平均MAi には直近過去の複数k個の検出物理量の差分ΔFn ,ΔFn-1 ,ΔFn-2 ,……,ΔFn-(k-1) の情報が含まれている。すなわち、サブセンサ5による検出物理量Fsn とメインセンサ3による検出物理量Fmn との差分についての最新の検出タイミングでの差分ΔFn (=Fsn −Fmn )、その一つ前の検出タイミングでの差分ΔFn-1 (=Fsn-1 −Fmn-1 )、さらに一つ前の検出タイミングでの差分ΔFn-2 (=Fsn-2 −Fmn-2 )、……、最終k番目の検出タイミングでの差分ΔFn-(k-1) (=Fsn-(k-1) −Fmn-(k-1) )の各情報が加味されている。
これら複数k個の検出物理量の差分ΔFn ,ΔFn-1 ,ΔFn-2 ,……,ΔFn-(k-1) は毎回の環境試験において、制御部10による制御動作の最中に規定の時間間隔でその都度リアルタイムに自動的に取得される情報である。しかも、最新1回の取得情報のみに頼るのではなく、直近過去の複数k個の検出物理量の差分の移動平均MAi をオフセット値OSi として用い(結果的には一般的なフィードバック制御にいう偏差ei (=Fmi −Fo)を補正することと等価になる)、制御量ei ′を実際の制御に用いるものである。したがって、環境試験の実行中に時々刻々に変化してゆく外部条件に即応した状況下での試験となり、得られる試験結果の精度が充分に高いものとなる。移動平均は時系列データを平滑化するもので、検出物理量の時間的変化のパターンの特徴をよく捉えることができる。結果として、操作部2に対する制御部10の制御が比較的穏やかに行われ、オーバーシュートやアンダーシュートやハンチングなどの不具合が生じにくい。
加えて、時々刻々の外部条件の変化に対し、人為作業によらずに自動的に即応することができ、目標設定物理量Foへの高速高精度収斂を簡易に実現することが可能となる。
以上のように本発明によれば、目標設定物理量Foへの高速高精度収斂を簡易に実現でき、試験効率を向上させることができる。また、被試験体4の近傍の制御対象物理量を検出するサブセンサ5の配置が被試験体4や試験空間に対して位置変更されてもフィードバック制御に用いるパラメータとしては同じものの使用が可能で、面倒な調節作業を不要化できる。
次に、制御量演算手段12のより詳しい構成につき、図2(a),(b),(c)に代表的な三つのパターンを例示して説明する。
図2(a)に示す制御量演算手段12は、オフセット付加手段12aと差分手段12bとを有して構成されている。オフセット付加手段12aは、メインセンサ3による検出物理量Fmi に対して移動平均演算手段11によって演算された差分の移動平均MAi をオフセット値OSi として与え、補正検出物理量Fmi ′を生成するように構成されている。差分手段12bは、オフセット付加手段12aによる補正検出物理量Fmi ′と目標設定物理量Foとの差分をとり制御量ei ′を生成するように構成されている。
数式で表すと、制御量演算手段12では、
OSi ←MAi (=Σ(ΔFi )/k)
とされ、オフセット付加手段12aでは、
Fmi ′=Fmi +OSi
となる。なお、ここでは、オフセット値OSi が加算される形になっている点に注意されたい。差分手段12bでは、
ei ′=Fmi ′−Fo
となる。後者の式を変形すると、
ei ′=(Fmi +OSi )−Fo
=(Fmi −Fo)+OSi
=ei +OSi
となる。ここで、
ei =Fmi −Fo
としている(ei は一般的なフィードバック制御にいう偏差に相当している)。
参考までにこれらの式の意味合いを検証すると、オフセット付加手段12aにおいて検出物理量Fmi に差分の移動平均MAi をオフセット値OSi として与えて補正検出物理量Fmi ′を生成し、さらに差分手段12bにおいて補正検出物理量Fmi ′と目標設定物理量Foとの差分をとって制御量ei ′を生成することは、結果的に、一般的なフィードバック制御にいう偏差ei に差分の移動平均MAi をオフセット値OSi として与えること(ei ′=ei +OSi )と等価であることが分かる。
次に、図2(b)に示す制御量演算手段12は、オフセット付加手段12cと差分手段12dとを有して構成されている。オフセット付加手段12cは、目標設定物理量Foに対して移動平均演算手段11によって演算された差分の移動平均MAi をオフセット値OSi として与え、補正目標設定物理量Fo′を生成するように構成されている。差分手段12dは、メインセンサ3による検出物理量Fmi とオフセット付加手段12cによる補正目標設定物理量Fo′との差分をとり制御量ei ′とするように構成されている。
数式で表すと、オフセット付加手段12cでは、
Fo′=Fo−OSi
となる。なお、ここでは、オフセット値OSi が減算される形になっている点に注意されたい。差分手段12dでは、
ei ′=Fmi −Fo′
となる。後者の式を変形すると、
ei ′=Fmi −(Fo−OSi )
=(Fmi −Fo)+OSi
=ei +OSi
となる。
参考までにこれらの式の意味合いを検証すると、オフセット付加手段12cにおいて目標設定物理量Foに差分の移動平均MAi をオフセット値OSi として与えて補正目標設定物理量Fo′を生成し、さらに差分手段12dにおいて検出物理量Fmi と補正目標設定物理量Fo′との差分をとって制御量ei ′を生成することは、結果的に、一般的なフィードバック制御にいう偏差ei に差分の移動平均MAi をオフセット値OSi として与えること(ei ′=ei +OSi )と等価であることが分かる。
次に、図2(c)に示す制御量演算手段12は、差分手段12eとオフセット付加手段12fとを有して構成されている。差分手段12eは、メインセンサ3による検出物理量Fmi と目標設定物理量Foとの差分ΔFi をとるものとして構成されている。この差分ΔFi は偏差ei でもある。オフセット付加手段12fは、差分手段12eによって演算された差分ΔFi に対して移動平均演算手段11によって演算された差分の移動平均MAi をオフセット値OSi として与え補正偏差ei ′とするように構成されている。
数式で表すと、差分手段12eでは、
ΔFi =Fmi −Fo
となり、オフセット付加手段12fでは、
ei ′=ΔFi +OSi
となる。後者の式を変形すると、
ei ′=(Fmi −Fo)+OSi
=ei +OSi
となる。なお、ここでは、オフセット値OSi が加算される形になっている点に注意されたい。
参考までにこれらの式の意味合いを検証すると、差分手段12eにおいて検出物理量Fmi と目標設定物理量Foとの差分ΔFi をとり、オフセット付加手段12fにおいて差分ΔFi に差分の移動平均MAi をオフセット値OSi として与えて制御量ei ′を生成することは、結果的に、一般的なフィードバック制御にいう偏差ei に差分の移動平均MAi をオフセット値OSi として与えること(ei ′=ei +OSi )と等価である。
以上、図2(a),(b),(c)の三つの態様で共通していることは、制御量演算手段12は、移動平均演算手段11によって演算された差分の移動平均MAi をオフセット値OSi として用いて、制御部10に対する目標設定物理量Foとメインセンサ3による検出物理量Fmi との相対的数値関係に補正を与え、補正偏差に相当する制御量ei ′を生成するということである。
次に、移動平均演算手段11について代表的な二つのパターンを説明する。
図3は図1、図2における移動平均演算手段11について、その好ましい1態様を表している。この実施形態での移動平均演算手段11は、差分算出手段11aと差分データ記憶手段11bと移動平均算出手段11cを備えている。
上記構成の本発明の環境試験装置において、前記の移動平均演算手段11の構成に関して次のように構成する好ましい態様がある。それはすなわち、時系列をなす複数タイミングで繰り返しながら、サブセンサ5による検出物理量Fsi とメインセンサ3による検出物理量Fmi との差分ΔFi (=Fsi −Fmi )を算出する差分算出手段11aと、差分算出手段11aによる検出物理量の差分ΔFi のデータを時系列をなす最新複数タイミングのもの(ΔFn ,ΔFn-1 ,ΔFn-2 ,……,ΔFn-(k-1) )について記憶する差分データ記憶手段11bと、差分データ記憶手段11bに記憶されている時系列をなす最新複数タイミングの差分の移動平均MAi を算出する移動平均算出手段11cとを備えたものである。
これは、個々のタイミングにおいて、取得した両センサ3,5の検出物理量Fsi ,Fmi から直ちに差分ΔFi (=Fsi −Fmi )を求め、それをその都度記憶させることとし、移動平均MAi を求めるときは、最新複数タイミングの差分データ(ΔFn ,ΔFn-1 ,ΔFn-2 ,……,ΔFn-(k-1) )から求めることとしたものである。
図4は図1、図2における移動平均演算手段11について、その好ましい別の態様を表している。すなわち、図3の方式とは別に、移動平均演算手段11の構成に関して次のように構成する好ましい態様がある。それは、サブセンサ5による検出物理量Fsi とメインセンサ3による検出物理量Fmi とにつき時系列をなす最新複数タイミングのもの((Fsn ,Fmn ),(Fsn-1 ,Fmn-1 ),(Fsn-2 ,Fmn-2 ),……,(Fsn-(k-1) ,Fmn-(k-1) )について記憶する検出物理量記憶手段11dと、検出物理量記憶手段11dによる時系列をなす最新複数タイミングでの、同時刻のサブセンサ5による検出物理量Fsi とメインセンサ3による検出物理量Fmi との差分ΔFi (=Fsi −Fmi )をそれぞれ算出する差分算出手段11eと、差分算出手段11eによる時系列をなす複数の差分(ΔFn ,ΔFn-1 ,ΔFn-2 ,……,ΔFn-(k-1) )について、その差分の移動平均MAi を算出する移動平均算出手段11fとを備えたものである。
これは、個々のタイミングにおいて取得した両センサ3,5の検出物理量Fsi ,Fmi をその都度記憶させ、移動平均MAi を求めるに際しては、まず最新複数タイミングの差分データ(ΔFn ,ΔFn-1 ,ΔFn-2 ,……,ΔFn-(k-1) )を求め、次いでその求めた差分データから移動平均MAi を得るようにしたものである。
また、今回分の移動平均MAn を求めるのに、
MAn =MAn-1 +ΔFn /k−ΔFn-(k-1) /k
としてもよい。この式は、
MAn-1 =(ΔFn-1 +ΔFn-2 +ΔFn-3 +……+ΔFn-(k-2) +ΔFn-(k-1) )/k
を利用すれば、
MAn =(ΔFn +ΔFn-1 +ΔFn-2 +……+ΔFn-(k-1) )/k
と等価であることが理解される。
つまり、前回分の移動平均MAn-1 を基準に、今回分の差分ΔFn をデータ数kで除算したものを加算しかつ最も古い分の差分ΔFn-(k-1) をデータ数kで除算したものを減算するのでもよい。
移動平均の計算方程式には単純移動平均、加重移動平均、指数移動平均などいくつかの種類があり、本発明ではそのいずれの方式を採用してもよい。
図5は図2(a)および図3の構成に対応した環境試験装置の動作を示すフローチャートである。この制御は制御部10において実行される。制御部10は、CPU(中央演算処理装置)、制御プログラムを格納したROM(リードオンリーメモリ)、ワーキングメモリとしてのRAM(ランダムアクセスメモリ)、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、操作部2に対する駆動制御部1、この駆動制御部1やメインセンサ3やサブセンサ5と接続された入出力インターフェースなどを備えている。
まず、ステップS1において、目標設定物理量Foの設定を行う。初回の設定であればキー操作等により外部から入力し、不揮発性メモリに格納させておく。初回でなければ、すでに不揮発性メモリに登録してある目標設定物理量Foを呼び出してもよい。
次いで、ステップS2において、メインセンサ3による検出物理量Fmi を取得するとともに、サブセンサ5による検出物理量Fsi を取得する。
次いで、ステップS3において、サブセンサ5による検出物理量Fsi とメインセンサ3による検出物理量Fmi との差分ΔFi (=Fsi −Fmi )を算出する。この演算は移動平均演算手段11における差分算出手段11aによって実行される。
次いで、ステップS4において、ステップS3で取得した差分ΔFi (=Fsi −Fmi )のデータを差分データ記憶手段11bにおいて更新的に記憶する。ステップS2→S3→S4→S5→S6→(S7,S8)→S9→S10→S11→S12→S2のループルーチンを繰り返すことにより、差分データ記憶手段11bには時系列をなす複数k個の差分(ΔFn ,ΔFn-1 ,ΔFn-2 ,……,ΔFn-(k-1) )のデータが記憶されることになる。
次いで、ステップS5において、差分データ記憶手段11bにおける複数k個の差分(ΔFn ,ΔFn-1 ,ΔFn-2 ,……,ΔFn-(k-1) )のデータを用いて差分の移動平均MAi を算出する。この演算は移動平均算出手段11cによって実行される。その演算式の一例を挙げると、
MAi =Σ(ΔFi )/k
=(ΔFn +ΔFn-1 +ΔFn-2 +……+ΔFn-(k-1) )/k
がある。これは単純移動平均である。
次いで、ステップS6において、差分の移動平均MAi の値をリミッタ判定する。すなわち、移動平均MAi の大きさを規定の閾値範囲〔下限値MAth1 :上限値MAth2 〕と比較して、移動平均MAi がその閾値範囲内にあるかを判定し、閾値範囲内にあればステップS7に進み、閾値範囲内になければステップS8に進む。
ここで、下限値MAth1 との比較、上限値MAth2 との比較のいずれにおいても、それぞれの値を含む場合と含まない場合とがあり得る。すなわち、
MAth1 ≦MAi ≦MAth2
MAth1 ≦MAi <MAth2
MAth1 <MAi ≦MAth2
MAth1 <MAi <MAth2
のうちのいずれを採用してもよい。さらにここで、下限値MAth1 と上限値MAth2 とは任意の値を取り得るものとする(ただし、MAth1 ≦MAth2 )。また、プラス値、マイナス値に関しても、
MAth1 :マイナス値 MAth2 :マイナス値
MAth1 :マイナス値 MAth2 :ゼロ値
MAth1 :マイナス値 MAth2 :プラス値
MAth1 :ゼロ値 MAth2 :ゼロ値
MAth1 :ゼロ値 MAth2 :プラス値
MAth1 :プラス値 MAth2 :プラス値
のうちのいずれを採用してもよい。装置の保護等のことを考慮してゼロ値の場合も含めている。
リミッタ判定についてより分かりやすくするために具体例をいくつか挙げると、
−2≦MAi ≦2
−1.5≦MAi <2
−2<MAi ≦2.5
2.1<MAi <2.9
−2.7≦MAi ≦−1.2
0<MAi ≦1.9
−2≦MAi <0
などのように、閾値とその境界判定については全く任意に定めてよい。
さらに、下限値MAth1 と上限値MAth2 のうちいずれか一方が無限定の場合も含み得るものとする。すなわち、
MAth1 ≦MAi
MAth1 <MAi
MAi ≦MAth2
MAi <MAth2
のうちのいずれを採用してもよい。
以上において、下限値MAth1 、上限値MAth2 のそれぞれにつき、いずれの値を採用するかは、試験条件や外部環境などに応じて任意に定めることが可能である。
移動平均MAi の大きさが規定の閾値範囲内にあるとして進んだステップS7では、その規定の閾値範囲内にある移動平均MAi を事後の演算に用いるオフセット値OSi として採用する(OSi =MAi )。
一方、移動平均MAi の大きさが規定の閾値範囲内にないとして進んだステップS8では、その規定の閾値範囲を超えた側のリミット値(下限値MAth1 または上限値MAth2 )を事後の演算に用いるオフセット値OSi として採用する(OSi =リミット値)。
ステップS7またはステップS8の次のステップS9において、前記のオフセット値OSi を用いて検出物理量Fmi を補正し、その補正後の検出物理量である補正検出物理量Fmi ′とする。すなわち、
Fmi ′=Fmi +OSi
である。この演算は図2(a)の制御量演算手段12におけるオフセット付加手段12aによって実行される。なお、オフセット値OSi の付加の形態は加算となっている。メインセンサ3による検出物理量Fmi に対してオフセット値OSi を作用させる図2(a)の様式では、オフセット値OSi は「+OSi 」のかたちで作用させる。
次いで、ステップS10において、補正検出物理量Fmi ′と目標設定物理量Foとの差分を求め、これを補正偏差である制御量ei ′とする。すなわち、
ei ′=Fmi ′−Fo
である。この演算は制御量演算手段12における差分手段12bによって行われる。
次いで、ステップS11において、駆動制御部1は制御量ei ′に基づいて操作部2を制御する。すなわち、制御量ei ′を最小化するように(限りなくゼロに近づくように)フィードバック制御を行う。
次いで、ステップS12において、キー操作部からの駆動停止の指令の有無を判断する。その指令がなければステップS2にリターンし、上記のループルーチンを繰り返し実行する。駆動停止の指令があったときは制御動作を終了する。
また、ステップS4での差分ΔFi (=Fsi −Fmi )の記憶については、いわゆる先入れ先出し(FIFO)方式を用いて、最新の差分データが取得されたときは最も古い差分データを消去し、代わりにその最新の差分データを記憶させることが好ましい。こうすることにより、RAMの必要容量を削減できる。
図6は図2(b)および図3の構成に対応した環境試験装置の動作を示すフローチャートである。このフローチャートにおいて図5のフローチャートとの対比で相違するのはステップS29とステップS30とである。
ステップS29においては、ステップS27またはステップS28で求めたオフセット値OSi を用いて目標設定物理量Foを補正し、その補正後の目標設定物理量である補正目標設定物理量Fo′とする。すなわち、
Fo′=Fo−OSi
である。この演算は図2(b)の制御量演算手段12におけるオフセット付加手段12cによって実行される。なお、オフセット値OSi の付加の形態は減算となっている。制御部10への目標設定物理量Foに対してオフセット値OSi を作用させる図2(b)の様式では、オフセット値OSi は「−OSi 」のかたちで作用させる。
次いで、ステップS30において、メインセンサ3による検出物理量Fmi と補正目標設定物理量Fo′との差分を求め、これを補正偏差である制御量ei ′とする。すなわち、
ei ′=Fmi −Fo′
である。この演算は制御量演算手段12における差分手段12dによって行われる。
その他のステップについては図5の場合と同様のものになっている。
図7は図2(c)および図3の構成に対応した環境試験装置の動作を示すフローチャートである。このフローチャートにおいて図5のフローチャートとの対比で相違するのはステップS43とステップS50である。
ステップS43においては、メインセンサ3による検出物理量Fmi と制御部10に設定された目標設定物理量Foとの差分である偏差ei を算出する。
ei =Fmi −Fo
である。これは、差分手段12eが実行する。なお、ステップS43は図示の位置でなくてもよく、制御量ei ′の算出(ステップS50参照)の前にあればよい。
ステップS50においては、ステップS43で求めた偏差ei (=Fmi −Fo)をステップS48またはステップS49で求めたオフセット値OSi を用いて補正し、補正偏差である制御量ei ′とする。すなわち、
ei ′=ei +OSi
である。なお、オフセット値OSi の付加の形態は加算となっている。元来の偏差ei (=Fmi −Fo)に対してオフセット値OSi を作用させる図2(c)の様式では、オフセット値OSi は「+OSi 」のかたちで作用させる。
さらに詳しく解説すると次のようになる。
フィードバック制御において最小化を期する偏差ei は、制御部10に対する目標設定物理量Foとメインセンサ3による検出物理量Fmi との差分である。すなわち、目標設定物理量Foをベースとして、〔ei =Fmi −Fo〕である。また、制御量ei ′は、駆動制御部1が操作部2に対して行う制御の基準として用いる情報であるが、
ei ′=ei +OSi =(Fmi −Fo)+OSi
である。
すなわち、実務上のこととして、制御量ei ′を求めるに際して、補正前の偏差ei が既知であれば、〔ei ′=ei +OSi 〕の演算で制御量ei ′を求めればよい。
補正前の偏差ei が既知でなければ、メインセンサ3による検出物理量Fmi を補正するか、目標設定物理量Foを補正すればよい。
メインセンサ3による検出物理量Fmi を補正する場合は、〔Fmi ′=Fmi +OSi 〕とし、〔ei ′=Fmi ′−Fo〕より、
ei ′=(Fmi +OSi )−Fo
とすればよい。
目標設定物理量Foを補正する場合は、〔Fo′=Fo−OSi 〕とし、〔ei ′=Fmi −Fo′〕より、
ei ′=Fmi −(Fo−OSi )
とすればよい。メインセンサ3による検出物理量Fmi に対してオフセット値OSi を作用させるときは、加算をもって作用させる。一方、制御部10に対する目標設定物理量Foに対してオフセット値OSi を作用させるときは、減算をもって作用させる。
以上の説明はei =Fmi −Fo>0の場合である。
ei =Fo−Fmi <0の場合には、次のようになる。この場合は、移動平均MAi もオフセット値OSi もマイナスとなる。
メインセンサ3による検出物理量Fmi を補正する場合は、
Fmi ′=Fmi −|OSi |=Fmi +OSi
であり、〔ei ′=Fmi ′−Fo〕であるから、
ei ′=(Fmi +OSi )−Fo
となり、上記のei =Fmi −Fo>0の場合と同じ式で表される。
目標設定物理量Foを補正する場合は、
Fo′=Fo+|OSi |=Fo−OSi
であり、〔ei ′=Fmi −Fo′〕より、
ei ′=Fmi −(Fo−OSi )
となり、これも上記のei =Fmi −Fo>0の場合と同じ式で表される。
以上のいずれにしても論理的には帰結は等価であり、差分の移動平均MAi に基づくオフセット値OSi で補正して制御量ei ′を算出し、この制御量ei ′を最小化するようにフィードバック制御を行う、ということである。
なお、上記では移動平均算出手段11cが差分ΔFi を求めるときの演算式を、
ΔFi =Fsi −Fmi
としたが、これに代えて、前者と後者を入れ替えて、
ΔFi =Fmi −Fsi
としてもよい。
また、上記ではオフセット値OSi を検出物理量Fmi または目標設定物理量Foに対して作用させるに当たり、メインセンサ3による検出物理量Fmi に対して、
Fmi ′=Fmi +OSi
のように作用させる場合と、目標設定物理量Foに対して、
Fo′=Fo−OSi
のように作用させる場合とに画然と区分したが、本発明はこれに限定されるものではなく、オフセット値OSi を2つに分けて、
OSi =OS1i +OS2i
のようにし、
Fmi ′=Fmi +OS1i
Fo′=Fo−OS2i
の組み合わせでオフセット値OSi をメインセンサ3による検出物理量Fmi と目標設定物理量Foとの双方に対して作用させてもよい。
なお、上記した各事項および下記の各事項は後述する実施例においても当然に当てはめてよきものである。
また上記構成の本発明の環境試験装置において、前記の制御対象に関して、これを流体の温度とし、操作部2については流体に対して温度調節を行う温度調節機構とし、操作部2の出口を流体流出口とし、メインセンサ3およびサブセンサ5を温度センサとする態様がある。
またこれとは別に、前記の制御対象に関して、これを流体の湿度とし、操作部2については流体に対して湿度調節を行う湿度調節機構とし、操作部2の出口を流体流出口とし、メインセンサ3およびサブセンサ5を湿度センサとする態様がある。
また別に、前記の制御対象に関して、これを流体の温湿度とし、操作部2については流体に対して温度調節と湿度調節を行う温湿度調節機構とし、操作部2出口を流体流出口とし、メインセンサ3およびサブセンサ5を温湿度センサとする態様がある。
なお、ここでの2文節では、「温度」と「湿度」と「温湿度」の表記の区別に留意されたい。
上記において、流体としては気体、液体のいずれでもよい。気体の場合は空気のほか任意の元素ガス、混合ガスに適用可能であり、気体の温度、湿度、温湿度、流量、圧力などを制御対象とできる。液体の場合は水のほか任意の元素の液体、混合液体に適用可能であり、温度、流量、圧力を制御対象とできる。
また上記構成の本発明の環境試験装置において、前記のサブセンサ5として複数のサブセンサ5を設けた態様もある。この場合に、前記の移動平均演算手段11としては、複数のサブセンサ5による検出物理量の平均値をもって差分の移動平均の演算を行うように構成する。あるいは、各差分の平均値をもって差分の移動平均としても構わない。
(F1s+F2s)/2=Fav
とした上で、
ΔF=Fav−Fm
とするのが前者であり、
ΔF1=F1s−Fm
ΔF2=F2s−Fm
としたうえで、
ΔFav=(ΔF1+ΔF2)/2
とするのが後者である。なお、サフィックスの「av」は平均値を意味する。
被試験体4における複数箇所についての環境試験や複数の被試験体4に対する同時的な環境試験を行うときに、サブセンサ5の個数が多いほど、全体的な傾向を容易に捕捉することが可能となる。
また、図5のステップS6や図6のステップS26や図7のステップS47で示すリミッタについては、これを差分の算出の際に使用してもよい。また、リミッタを省略することもあり得る。また、条件や状況に応じてリミッタを動作させるモードとリミッタを停止させるモードとを適宜に切り替える方式でもよい。また、リミッタの閾値(下限値MAth1 または上限値MAth2 )を物理量の検出域に応じて変化させてもよい。例えば、装置の安定時にリミッタの閾値を少しずつ大きくしていき、最終的にはリミッタを無効化するようにしてもよい。また、リミッタは、上下限値の絶対値が同じ場合、移動平均の絶対値と比較するものであってもよい。
また、移動平均演算に用いる複数タイミングでの検出物理量について、これらは最新の複数タイミングでのものを採用するのが望ましいと言えるが、必ずしもこれのみに拘泥する必要はなくて、例えば、2つ飛び置きの複数タイミングでのものとか、3つ飛び置きの複数タイミングでのものとか、あるいはアトランダムに飛び飛びのものとか、あるいはある時間帯では連続した複数タイミングのものと、別の時間帯では飛び飛びの複数タイミングでのものとの組み合わせとしても構わない。
以下、本発明にかかわる環境試験装置の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。図8は本発明の実施例の環境試験装置の構成を示す概略図である。
図8において、10は制御部、2は操作部としての空調装置である。空調装置2は温度調節機構2aと湿度調節機構2bと送風機2cとを備えている。温度調節機構2aは加熱器2a1 と冷却器2a2 とを備え、湿度調節機構2bは加湿器2b1 と除湿器2b2 とを備えている。3aは温度のメインセンサ、3bは湿度のメインセンサ、4は被試験体、5aは温度のサブセンサ、5bは湿度のサブセンサ、6は試験室、7は吹出ダクト、8は吸込ダクトである。
空調装置2の送風機2cは吹出ダクト7を介して試験室6の天井部に連通している。また、吹出ダクト7から離れた位置で試験室6の天井部が吸込ダクト8を介して空調装置2に連通している。温度調節機構2aにおいて温度調節された空気や湿度調節機構2bにおいて湿度調節された空気が送風機2cおよび吹出ダクト7を介して試験室6に供給され、試験室6に置かれた被試験体4に対して温度調節された空気または湿度調節された空気または温湿度調節された空気が供給される。試験室6に供給された空気は吸込ダクト8を介して空調装置2の温度調節機構2aや湿度調節機構2bに還流し、循環する。
温度のメインセンサ3aおよび湿度のメインセンサ3bは試験室6の天井部で吹出ダクト7の吹出口近傍に配置されている。一方、温度のサブセンサ5aおよび湿度のサブセンサ5bは被試験体4の近傍に配置されている。温度のサブセンサ5aおよび湿度のサブセンサ5bは試験室6内において位置変更自在となっている。それは被試験体4の部位を異にする複数箇所に対して位置変更するためである。また、被試験体4自体の位置や姿勢の変更に対応するためである。
空調装置2に付随の制御部10は図1の構成を有し、さらにその移動平均演算手段11は図3または図4の構成を有している。
図9は制御部10のハードウエア構成を表すブロック図である。図9において、14はCPU、15はROM、16はRAM、17は不揮発性メモリ、18は入出力インターフェースである。入出力インターフェース18には温度のメインセンサ3a、サブセンサ5a、湿度のメインセンサ3b、サブセンサ5b、キー操作部19および駆動制御部1が接続されている。
次に、上記構成の環境試験装置の動作を、(A)温度センサによる温度調節の動作と、(B)湿度センサによる湿度調節の動作とに分けて、以下に説明する。
(A)温度センサによる温度調節の動作
温度調節の動作を図10のフローチャートを用いて説明する。このフローチャートの場合、制御量演算手段12は図2(a)のタイプとなっている。この実施例での特徴は、差分の移動平均MAi をオフセット値OSi として用いる対象がメインセンサ3aによる検出温度Tmi となっており、補正偏差である制御量ei ′が補正後の検出温度Tmi ′と制御部10に対する目標設定温度Toとの差分として求められている点にある。
まず、ステップS61において、不揮発性メモリ17から目標設定温度Toを読み出して、RAM16に初期設定する。
次いで、ステップS62において、温度のメインセンサ3aによる検出温度Tmi を取得するとともに、温度のサブセンサ5aによる検出温度Tsi を取得する。
次いで、ステップS63において、サブセンサ5aによる検出温度Tsi とメインセンサ3aによる検出温度Tmi との差分ΔTi (=Tsi −Tmi )を算出する。
次いで、ステップS64において、ステップS63で取得した差分ΔTi (=Tsi −Tmi )のデータを差分データ記憶手段11bにおいて更新的に記憶する。差分データ記憶手段11bには時系列をなす複数k個の差分(ΔTn ,ΔTn-1 ,ΔTn-2 ,……,ΔTn-(k-1) )のデータが記憶されることになる。
次いで、ステップS65において、差分データ記憶手段11bにおける複数k個の差分(ΔTn ,ΔTn-1 ,ΔTn-2 ,……,ΔTn-(k-1) )のデータを用いて差分の移動平均MAi を算出する。単純移動平均では、
MAi =Σ(ΔTi )/k
=(ΔTn +ΔTn-1 +ΔTn-2 +……+ΔTn-(k-1) )/k
である。
次いで、ステップS66において、差分の移動平均MAi の値をリミッタ判定する。すなわち、移動平均MAi の大きさを規定の閾値範囲〔下限値MAth1 :上限値MAth2 〕と比較して、移動平均MAi がその閾値範囲内にあるかを判定し、閾値範囲内にあればステップS67に進み、閾値範囲内になければステップS68に進む。
移動平均MAi の大きさが規定の閾値範囲内にあるとして進んだステップS67では、その規定の閾値範囲内にある移動平均MAi を事後の演算に用いるオフセット値OSi として採用する(OSi =MAi )。
一方、移動平均MAi の大きさが規定の閾値範囲内にないとして進んだステップS68では、その規定の閾値範囲を超えた側のリミット値(下限値MAth1 または上限値MAth2 )を事後の演算に用いるオフセット値OSi として採用する(OSi =リミット値)。
ステップS67またはステップS68の次のステップS69において、前記のオフセット値OSi を用いて温度のメインセンサ3aによる検出温度Tmi を補正する。その補正後の検出温度をTmi ′とすると、
Tmi ′=Tmi +OSi
である。この演算はオフセット付加手段12aによって行われる。ここでは、オフセット値OSi が加算される形になっている。
次いで、ステップS70において、補正検出温度Tmi ′と目標設定温度Toとの差分を求め、これを補正偏差である制御量ei ′とする。すなわち、
ei ′=Tmi ′−To
とする。この演算は差分手段12bによって行われる。
次いで、ステップS71において、駆動制御部1は制御量ei ′を最小化するようにフィードバック制御を行う。
次いで、ステップS72において、キー操作部19からの駆動停止の指令の有無を判断する。その指令がなければステップS62にリターンし、上記のループルーチンを繰り返し実行する。駆動停止の指令があったときは制御動作を終了する。
ここで、上記ステップS70の補正偏差である制御量〔ei ′=Tmi ′−To〕について検討する。〔Tmi ′=Tmi +OSi 〕であるから、
ei ′=Tmi ′−To
=(Tmi +OSi )−To
=(Tmi −To)+OSi
となる。ところで、〔ei =Tmi −To〕であるから、結局は、
ei ′=ei +OSi
となる。これは、図7のステップS50の式と同じである。
ステップS71での制御量ei ′に基づく制御は駆動制御部1から操作部である空調装置2の温度調節機構2aに対して行われる。試験条件と外部温度の関係に合わせて加熱器2a1 と冷却器2a2 の駆動状態は変わる。
以上のように、本実施例においては、サブセンサ5aによる検出温度Tsi とメインセンサ3aによる検出温度Tmi との差分ΔTi (=Tsi −Tmi )をリアルタイムで時系列的に取得し、その複数k個の検出温度の差分ΔTn ,ΔTn-1 ,ΔTn-2 ,……,ΔTn-(k-1) の移動平均MAi をオフセット値OSi として用いてメインセンサ3による検出温度Tmi を補正し、その補正結果の制御量ei ′を用いてフィードバック制御を行うようにしたので、次のような効果が発揮される。
すなわち、被試験体4のある場所が吹出ダクト7の吹出口からかなり離れており、しかも被試験体4の近傍では空調空気の流れが吹出口近傍に比べて相当に遅いことから被試験体4の近傍の温度は外気の影響を受けやすいものとなっていて、ダクト吹出口近傍のメインセンサ3aの検出温度に対して被試験体4の近傍温度のずれが大きくなりやすい条件下であっても、目標設定温度Toへの高速高精度収斂を簡易に実現することができ、試験効率を向上させることができる。また、被試験体4の近傍の温度を検出するサブセンサ5aの配置が被試験体4や試験室6に対して位置変更されてもフィードバック制御に用いるパラメータとしては同じものの使用が可能で、面倒な調節作業を不要化できる。
図11は本実施例の環境試験装置における制御結果の一例を描いたものである。横軸に時間をとり、縦軸に温度をとっている。図11(a)は時間推移を表し、図11(b)は図11(a)での時刻t1での各データの相関関係を示し、図11(c)は図11(a)での時刻t2での各データの相関関係を示す。
(B)湿度センサによる湿度調節の動作
湿度調節の動作を図12のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS81において、不揮発性メモリ17から目標設定湿度Hoを読み出して、RAM16に初期設定する。
次いで、ステップS82において、湿度のメインセンサ3bによる検出湿度Hmi を取得するとともに、湿度のサブセンサ5bによる検出湿度Hsi を取得する。
次いで、ステップS83において、サブセンサ5bによる検出湿度Hsi とメインセンサ3bによる検出湿度Hmi との差分ΔHi (=Hsi −Hmi )を算出する。
次いで、ステップS84において、ステップS83で取得した差分ΔHi (=Hsi −Hmi )のデータを差分データ記憶手段11bにおいて更新的に記憶する。差分データ記憶手段11bには時系列をなす複数k個の差分(ΔHn ,ΔHn-1 ,ΔHn-2 ,……,ΔHn-(k-1) )のデータが記憶されることになる。
次いで、ステップS85において、差分データ記憶手段11bにおける複数k個の差分(ΔHn ,ΔHn-1 ,ΔHn-2 ,……,ΔHn-(k-1) )のデータを用いて差分の移動平均MAi を算出する。単純移動平均では、
MAi =Σ(ΔHi )/k
=(ΔHn +ΔHn-1 +ΔHn-2 +……+ΔHn-(k-1) )/k
である。
次いで、ステップS86において、差分の移動平均MAi の値をリミッタ判定する。すなわち、移動平均MAi の大きさを規定の閾値範囲〔下限値MAth1 :上限値MAth2 〕と比較して、移動平均MAi がその閾値範囲内にあるかを判定し、閾値範囲内にあればステップS87に進み、閾値範囲内になければステップS88に進む。
移動平均MAi の大きさが規定の閾値範囲内にあるとして進んだステップS87では、その規定の閾値範囲内にある移動平均MAi を事後の演算に用いるオフセット値OSi として採用する(OSi =MAi )。
一方、移動平均MAi の大きさが規定の閾値範囲内にないとして進んだステップS88では、その規定の閾値範囲を超えた側のリミット値(下限値MAth1 または上限値MAth2 )を事後の演算に用いるオフセット値OSi として採用する(OSi =リミット値)。
ステップS87またはステップS88の次のステップS89において、前記のオフセット値OSi を用いて湿度のメインセンサ3bによる検出湿度Hmi を補正する。その補正後の検出湿度をHmi ′とすると、
Hmi ′=Hmi +OSi
である。ここでは、オフセット値OSi が加算される形になっている。
次いで、ステップS90において、補正検出湿度Hmi ′と目標設定湿度Hoとの差分を求め、これを補正偏差である制御量ei ′とする。すなわち、
ei ′=Hmi ′−Ho
とする。
次いで、ステップS91において、駆動制御部1は制御量ei ′を最小化するようにフィードバック制御を行う。
次いで、ステップS92において、キー操作部19からの駆動停止の指令の有無を判断する。その指令がなければステップS82にリターンし、上記のループルーチンを繰り返し実行する。駆動停止の指令があったときは制御動作を終了する。
ステップS91での制御量ei ′に基づく制御は駆動制御部1から操作部である空調装置2の湿度調節機構2bに対して行われる。乾燥する時期では主に加湿器2b1 を駆動し、高湿の時期では主に除湿器2b2 を駆動することになる。もっとも、試験条件や外部環境によってはこれ以外の動作ももちろんあり得る。
以上のように、本実施例においては、サブセンサ5bによる検出湿度Hsi とメインセンサ3bによる検出湿度Hmi との差分ΔHi (=Hsi −Hmi )をリアルタイムで時系列的に取得し、その複数k個の検出湿度の差分ΔHn ,ΔHn-1 ,ΔHn-2 ,……,ΔHn-(k-1) の移動平均MAi をオフセット値OSi として用いてメインセンサ3bによる検出湿度Hmiを補正し、その補正結果の制御量ei ′を用いてフィードバック制御を行うようにしたので、次のような効果が発揮される。すなわち、被試験体4のある場所が吹出ダクト7の吹出口からかなり離れており、しかも被試験体4の近傍では空調空気の流れが吹出口近傍に比べて相当に遅いことから被試験体4の近傍の湿度は外気の影響を受けやすいものとなっていて、ダクト吹出口近傍のメインセンサ3bの検出湿度に対して被試験体4の近傍湿度のずれが大きくなりやすい条件下であっても、目標設定湿度Hoへの高速高精度収斂を簡易に実現することができ、試験効率を向上させることができる。また、被試験体4の近傍の湿度を検出するサブセンサ5bの配置が被試験体4や試験室6に対して位置変更されてもフィードバック制御に用いるパラメータとしては同じものの使用が可能で、面倒な調節作業を不要化できる。
図10のフローチャートによる温度制御と図12のフローチャートによる湿度制御とは互いに独立したものであってもよく、あるいは同時並行的に動作するのでもよい。さらには、湿度制御の結果を温度制御に反映させたり、逆に温度制御の結果を湿度制御に反映させるように構成してもよい。
図13は温度調節の制御に関する別の実施例のフローチャートである。図10のフローチャートと比較すると、ステップS69aとステップS70aが相違し、その他のステップは同じである。この実施例での特徴は、差分の移動平均MAi をオフセット値OSi として用いる対象が制御部10に対する目標設定温度Toとなっており、補正偏差である制御量ei ′がメインセンサ3aによる検出温度Tmi と補正後の目標設定温度To′との差分として求められている点にある。
ステップS69aにおいて、差分の移動平均MAi であるオフセット値OSi を用いて制御部10への目標設定温度Toを補正して、
To′=To−OSi
とする。なお、オフセット値OSi の付加の形態は減算となっている。
次いで、ステップS70aにおいて、補正後の目標設定温度To′を用いて補正偏差である制御量ei ′を得る。すなわち、
ei ′=Tmi −To′
とする。
ここで、上記ステップS70aの補正偏差である制御量〔ei ′=Tmi −To′〕について検討する。〔To′=To−OSi 〕であるから、
ei ′=Tmi −To′
=Tmi −(To−OSi )
=(Tmi −To)+OSi
となる。〔ei =Tmi −To〕であるから、結局は、
ei ′=ei +OSi
となる。これは、図7のステップS50の式と同じである。
図14は本実施例の環境試験装置における制御結果の一例を描いたものである。横軸に時間をとり、縦軸に温度をとっている。図14(a)は時間推移を表し、図14(b)は図14(a)での時刻t11での各データの相関関係を示し、図14(c)は図14(a)での時刻t12での各データの相関関係を示す。
なお、フローチャートの図示は省略するが、湿度調節の場合も同様に考えることができる。なお、図13で「温度」を「湿度」と書き替え、「T」を「H」と書き替えたものが湿度調節の場合のフローチャートに相当する。なお、空調装置と試験室が一体となっている構成でもよい。
また、次の(1)〜(4)のいずれかのモードの切り替えが行われる環境試験装置であってもよい。
(1)移動平均を用いた制御に加えて、リミッタを使用するモード
(2)移動平均を用いた制御は行うが、リミッタを使用しないモード
(3)移動平均は用いず偏差を用いる制御に加えて、リミッタを使用するモード
(4)移動平均は用いず偏差を用いる制御は行うが、リミッタを使用しないモード
例えば、温度、湿度、温湿度などの制御対象物理量の状態が不安定なときや過渡的な変化を示すときには上記の(1)のモードを選択し、それ以外の制御対象物理量の状態が安定なときや制御が不安定になりにくいときには上記の(2),(3),(4)のいずれかのモードを選択する。つまり、(1)のモードから(2),(3),(4)のいずれかのモードへの切り替えや、(2),(3),(4)のいずれかのモードから(1)のモードへの切り替えを行うものであってもよい。この他、(2)と(3)または(4)の切り替えでもよい。また、(1)〜(4)のすべてのモードを備えている必要はない。
このように時間的に一部にでも移動平均を用いた制御を含むものは、本発明の技術的範囲に属するものである。
本発明は、各種の環境試験装置において、目標設定物理量への高速高精度収斂を簡易に実現し、試験効率を向上させるための技術として有用である。
1 駆動制御部
2 操作部(空調装置)
2a 温度調節機構
2b 湿度調節機構
2c 送風機
3 メインセンサ
3a 温度のメインセンサ
3b 湿度のメインセンサ
4 被試験体
5 サブセンサ
5a 温度のサブセンサ
5b 湿度のサブセンサ
6 試験室
10 制御部
11 移動平均演算手段
11a 差分算出手段
11b 差分データ記憶手段
11c 移動平均算出手段
11d 検出物理量記憶手段
11e 差分算出手段
11f 移動平均算出手段
12 制御量演算手段
12a オフセット付加手段
12b 差分手段
12c オフセット付加手段
12d 差分手段
12e 差分手段
12f オフセット付加手段

Claims (14)

  1. 内部で生成する制御量に基づいて制御信号を出力する制御部と、
    前記制御部による前記制御信号によって制御される操作部と、
    前記操作部の近傍に配置されて規定の物理量を検出するメインセンサと、
    被試験体の近傍における前記と同じ物理量を検出するサブセンサとを備え、
    前記制御部はさらに移動平均演算手段と制御量演算手段とを備え、
    前記移動平均演算手段は、前記サブセンサによる検出物理量と前記メインセンサによる検出物理量との差分を時系列的に取得し、その取得した時系列をなす複数タイミングでの前記両検出物理量の差分の移動平均を演算するように構成され、
    前記制御量演算手段は、前記移動平均演算手段によって演算された差分の移動平均をオフセット値として、前記制御部に対する目標設定物理量と前記メインセンサによる検出物理量と前記オフセット値とから前記制御量を生成するものであって、前記移動平均演算手段によって演算された差分の移動平均を規定の閾値範囲と比較して、前記移動平均が前記閾値範囲内であればその移動平均を前記オフセット値とし、前記移動平均が前記閾値範囲内でなければその閾値範囲のリミット値を前記オフセット値とすることができるように構成されている環境試験装置。
  2. 内部で生成する制御量に基づいて制御信号を出力する制御部と、
    前記制御部による前記制御信号によって制御される操作部と、
    前記操作部の近傍に配置されて規定の物理量を検出するメインセンサと、
    被試験体の近傍における前記と同じ物理量を検出するサブセンサとを備え、
    前記制御部はさらに移動平均演算手段と制御量演算手段とを備え、
    前記移動平均演算手段は、前記サブセンサによる検出物理量と前記メインセンサによる検出物理量との差分を時系列的に取得し、その取得した時系列をなす複数タイミングでの前記両検出物理量の差分の移動平均を演算するように構成され、
    前記制御量演算手段は、前記移動平均演算手段によって演算された差分の移動平均をオフセット値として、前記制御部に対する目標設定物理量と前記メインセンサによる検出物理量と前記オフセット値とから前記制御量を生成するものであって、
    前記移動平均演算手段は、前記差分を規定の閾値範囲と比較して、前記差分が前記閾値範囲内であればその差分を前記移動平均の演算に用い、前記差分が前記閾値範囲内でなければその閾値範囲のリミット値を前記移動平均の演算に用いることができるように構成されている環境試験装置。
  3. 前記制御量演算手段は、
    前記メインセンサによる検出物理量に対して前記移動平均演算手段によって得られた前記オフセット値を与えて補正検出物理量を生成するオフセット付加手段と、
    前記オフセット付加手段による補正検出物理量と前記目標設定物理量との差分をとり前記制御量とする差分手段とを備えて構成されている請求項1又は2に記載の環境試験装置。
  4. 前記制御量演算手段は、
    前記目標設定物理量に対して前記移動平均演算手段によって得られた前記オフセット値を与えて補正目標設定物理量を生成するオフセット付加手段と、
    前記メインセンサによる検出物理量と前記オフセット付加手段による前記補正目標設定物理量との差分をとり前記制御量とする差分手段とを備えて構成されている請求項1又は2に記載の環境試験装置。
  5. 前記制御量演算手段は、
    前記メインセンサによる検出物理量と前記目標設定物理量との差分をとり偏差とする差分手段と、
    前記差分手段による偏差に対して前記移動平均演算手段によって得られた前記オフセット値を与えて前記制御量とするオフセット付加手段とを備えて構成されている請求項1又は2に記載の環境試験装置。
  6. 前記移動平均演算手段は、
    時系列をなす複数タイミングで繰り返しながら、前記サブセンサによる検出物理量と前記メインセンサによる検出物理量との差分を算出する差分算出手段と、
    前記差分算出手段による検出物理量の差分のデータを時系列をなす複数タイミングのものについて記憶する差分データ記憶手段と、
    前記差分データ記憶手段に記憶されている時系列をなす複数タイミングの差分の移動平均を算出する移動平均算出手段とを備えたものとして構成されている請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の環境試験装置。
  7. 前記移動平均演算手段は、
    前記サブセンサによる検出物理量と前記メインセンサによる検出物理量とにつき時系列をなす複数タイミングのものについて記憶する検出物理量記憶手段と、
    前記検出物理量記憶手段による時系列をなす複数タイミングでの、同時刻の前記サブセンサによる検出物理量と前記メインセンサによる検出物理量との差分をそれぞれ算出する差分算出手段と、
    前記差分算出手段による時系列をなす複数の差分について、その差分の移動平均を算出する移動平均算出手段とを備えたものとして構成されている請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の環境試験装置。
  8. 前記制御対象が流体の温度または湿度の少なくともいずれか一方を含むものであり、前記操作部が流体に対して温度調節を行う温度調節機構または湿度調節を行う湿度調節機構の少なくともいずれか一方を含むものであり、前記操作部の近傍が流体流出口であり、前記メインセンサおよび前記サブセンサが温度センサまたは湿度センサの少なくともいずれか一方を含むものである請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の環境試験装置。
  9. 前記サブセンサとして複数のサブセンサが設けられ、前記移動平均演算手段は前記複数のサブセンサによる検出物理量の平均値をもって前記差分の移動平均の演算を行うように構成されている請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の環境試験装置。
  10. メインセンサおよびサブセンサからそれぞれ所定の検出物理量を取得するステップと、
    前記両検出物理量の差分を求めるステップと、
    時系列をなす複数タイミングでの前記両検出物理量の差分の移動平均を演算し、得られた移動平均をオフセット値とするステップと、
    制御部に対する目標設定物理量と前記メインセンサによる検出物理量と前記オフセット値とから操作部に対する制御量を生成するステップとを有し、
    前記移動平均をオフセット値とするステップは、前記差分の移動平均を規定の閾値範囲と比較して、前記移動平均が前記閾値範囲内であればその移動平均を前記オフセット値とし、前記移動平均が前記閾値範囲内でなければその閾値範囲のリミット値を前記オフセット値とすることができる環境試験装置の制御方法。
  11. メインセンサおよびサブセンサからそれぞれ所定の検出物理量を取得するステップと、
    前記両検出物理量の差分を求めるステップと、
    時系列をなす複数タイミングでの前記両検出物理量の差分の移動平均を演算し、得られた移動平均をオフセット値とするステップと、
    制御部に対する目標設定物理量と前記メインセンサによる検出物理量と前記オフセット値とから操作部に対する制御量を生成するステップとを有し、
    前記移動平均をオフセット値とするステップは、前記差分を規定の閾値範囲と比較して、前記差分が前記閾値範囲内であればその差分を前記移動平均の演算に用い、前記差分が前記閾値範囲内でなければその閾値範囲のリミット値を前記移動平均の演算に用いることができる環境試験装置の制御方法。
  12. 前記制御量を生成するステップは、前記メインセンサによる検出物理量に対して前記オフセット値を与えて補正検出物理量を生成し、前記補正検出物理量と前記目標設定物理量との差分をとることにより前記制御量を生成する請求項10又は11に記載の環境試験装置の制御方法。
  13. 前記制御量を生成するステップは、前記目標設定物理量に対して前記オフセット値を与えて補正目標設定物理量を生成し、前記メインセンサによる検出物理量と前記補正目標設定物理量との差分をとることにより前記制御量を生成する請求項10又は11に記載の環境試験装置の制御方法。
  14. 前記制御量を生成するステップは、前記メインセンサによる検出物理量と前記目標設定物理量との差分をとって偏差を生成し、前記偏差に対して前記オフセット値を与えることにより前記制御量を生成する請求項10又は11に記載の環境試験装置の制御方法。
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