[実施形態1]
次に、本発明を画像形成装置に適用した第1の実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、本発明の熱交換装置を、画像形成装置におけるシート状部材である用紙の冷却手段として用いたときの例を挙げて説明するが、本発明は画像形成装置に限定されることなく、また加温手段としての適応も可能である。つまり、本発明の熱交換装置は、冷やした流動媒体でシート状部材を冷却すれば冷却装置、温めた流動媒体でシート状部材を加温すれば加温装置になる。シート状部材の冷却または加温が必要な装置であれば対応可能であり、例えば金属、樹脂の薄板材や紙などの製造工程における圧延搬送装置、板状食品の加工装置などに搭載可能である。また本実施形態では、流動媒体として液体を用いているが、熱交換装置の用途によっては気体でも構わない。
また実施形態では、熱交換体である冷却プレートを用いて、熱伝達部材である冷却ベルトを介して用紙を冷却しているが、それは用紙表面に形成した画像の劣化(冷却プレートに用紙が接触摺動すると画像面に擦れ傷が生じる)を防ぐためであり、そのような問題が起きない場合、または問題にしない場合は、熱交換体に直接、用紙を接触させても構わない。
図2は、本実施形態の冷却プレート11を有する冷却装置12を搭載したタンデム型中間転写ベルト方式のカラー画像形成装置の構成概略図である。
複数のローラによって中間転写媒体としての中間転写ベルト51を展張し、中間転写ベルト51はこれらのローラにより回転するように構成すると共に、中間転写ベルト51のまわりに画像形成用のプロセス手段を配置している。
中間転写ベルト51の回転方向を図中矢印aとするとき、中間転写ベルト51の上方であってローラ52とローラ53との間には、中間転写ベルト51の回転方向の上流側から順に画像形成用のプロセス手段として、画像ステーション54Y、画像ステーション54C、画像ステーション54M、画像ステーション54Bkが配置されている。例えば画像ステーション54Yは、ドラム状の感光体111Yの周囲に帯電装置110Y、光書込装置112Y、現像装置113Y、クリーニング装置114Yが配置され、さらに中間転写ベルト51を挟んで感光体111Yの対向位置に中間転写ベルト51への転写手段としての一次転写ローラ115Yが設けられている。また、他の三つの画像ステーション54C,54M,54Bkも同一構成となっている。そして、それら四つの画像ステーション54Y,54C,54M,54Bkが互いに所定のピッチ間隔となるように左右並列に配置されている。
本実施形態では光書込装置112をLEDを光源とする光学系としているが、半導体レーザーを光源とするレーザー光学系で構成することもでき、感光体111に対して画像情報に応じた露光を行う。
中間転写ベルト51の下方には、シート状部材である用紙4の用紙収納部119および給紙コロ23、レジストローラ対21、中間転写ベルト51を張架するローラ55に中間転写ベルト51を介して対向するように設けられ中間転写ベルト51から用紙4へのトナー像の転写手段としての二次転写ローラ56、中間転写ベルト51の裏面に接するローラ58の対向位置で中間転写ベルト51のおもて面に接するように設けられ中間転写ベルト51のおもて面をクリーニングするクリーニング装置59、熱定着装置116、用紙4を冷却する冷却プレート11を有する冷却装置12、トナー定着後の用紙4の排出部である排紙収容部117などが配置されている。そして、用紙収納部119から排紙収容部117へ至る用紙搬送路128が延びている。また、両面画像形成時に用紙4の裏面への画像形成を行う際に、冷却装置12を一度通過した用紙4の表裏を反転させ、再度、レジストローラ対21へ搬送する両面画像形成用の用紙搬送路129も備えている。
なお、冷却装置12の冷却プレート11は用紙4の熱を受熱する受熱部であり、ファン104を装着したラジエータ103、ポンプ100、タンク101と共に配管であるパイプPで連通するように連結され、冷却液が封入されている。冷却液の循環経路はパイプPの矢印で示すように、ラジエータ103で冷やされた冷却液を、冷却プレート11へ供給し、そして冷却プレート11内を廻ってから排出し、その後にタンク101、ポンプ100へ送り、再び、ラジエータ103に戻す順序であり、ポンプ100の回転圧力により冷却液を循環させ、ラジエータ103で放熱することで冷却液、如いては冷却プレート11を冷やす。ポンプ100の送液能力やラジエータ103の大きさなどは、熱設計条件(冷却プレート11が冷却すべき熱量と温度の条件)によって決定される流量、圧力、冷却効率などを元に選定される。
画像の形成プロセスは、画像ステーション54Yに着目すれば、一般の静電記録方式に準じていて、暗中にて帯電装置110Yにより一様に帯電された感光体111Y上に光書込装置112Yにより露光して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置113Yによりトナー像として可視像化する。そのトナー像は一次転写ローラ115Yにより感光体111Y上から中間転写ベルト51に転写される。転写後の感光体111Yの表面はクリーニング装置114Yによりクリーニングされる。他の画像ステーション54も画像ステーション54Yと同構成であり、同様の画像形成プロセスが行われる。
画像ステーション54Y,54C,54M,54Bkにおける各現像装置113Y,113C,113M,113Bkは、それぞれ異なる4色のトナーによる可視像化機能を有しており、各画像ステーション54Y,54C,54M,54Bkでイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを分担すれば、フルカラー画像を形成することができる。よって、中間転写ベルト51の同一画像形成領域が四つの画像ステーション54Y,54C,54M,54Bkを順次通過する間に、中間転写ベルト51を挟むようにして各感光体111とそれぞれ対向して設けられた一次転写ローラ115により与えられる転写バイアスによって、それぞれ1色ずつトナー像を中間転写ベルト51上に重ね転写されるようにすれば、上記同一画像形成領域が各画像ステーション54Y,54C,54M,54Bkを1回通過した時点で、この同一画像領域に、重ね転写によってフルカラートナー画像を得ることができる。
そして、中間転写ベルト51上に形成されてフルカラートナー画像は、用紙4に転写される。転写後の中間転写ベルト51はクリーニング装置59によりクリーニングされる。用紙4への転写は転写時において二次転写ローラ56に転写バイアスを印加して、中間転写ベルト51を介して二次転写ローラ56とローラ55との間に転写電界を形成し、二次転写ローラ56と中間転写ベルト51とのニップ部に用紙4を通過させることにより行なわれる。中間転写ベルト51から用紙4へのフルカラートナー像の転写後、用紙4上に担持されたフルカラートナー像を熱定着装置116で用紙4上に定着することにより、用紙4上にフルカラーの最終画像が形成され、その後、用紙4は排紙収容部117に積載される。
本実施形態の画像形成装置においては、排紙収容部117に用紙4が積載される前に、用紙4が熱定着装置116の直後に配置された冷却装置12を通過する。通過する際、熱定着装置116で熱せられた用紙4が受熱部である冷却プレート11に冷却ベルトを介して接触し熱交換しながら通過することになるので、冷却プレート11の冷却面で用紙4から熱を吸熱し、この熱を冷却プレート11内部の冷却液へ伝達する。熱が伝達され高温となった冷却液は、この後、冷却プレート11から排出されタンク101やポンプ100を経て、ファン104を装着したラジエータ103に送られ、そこで熱が画像形成装置外に排熱される。ラジエータ103で熱が除去され室温近くにまで下げられた冷却液は、その後、再び冷却プレート11へと送られる。このような冷却液による高い冷却性能の排熱サイクルによって、熱定着装置116で熱せられて高温となった用紙4が効率良く冷やされる。
ここで、用紙4の温度を効率よく下げるには、用紙4から冷却プレート11の壁部を挟んで冷却液5までの熱流束を増加させる必要がある。ここで、冷却プレート11の壁部と冷却液5との間の熱流束は、非特許文献1より、対流熱伝達による数1のように表される。
ただし、
W[W]:熱流束
h[W/m2・℃]:冷却プレート内壁面の熱伝達率
X[m2]:冷却プレート内壁面積
Tr[℃]:冷却プレート内壁面温度
Tw[℃]:液温(冷却プレート内壁面より十分離れた位置)
数1より、熱流束Wを上げるためには、液温Twを下げるか、冷却プレート内壁面積Xを増加するか、冷却プレート内壁面の熱伝達率hを向上させる必要がある。
図3(a)は冷却プレート11を用紙搬送方向と直交する方向から見た場合の断面図であり、図3(b)は冷却プレート11を用紙搬送方向から見た場合の断面図であり、図3(c)は冷却プレート11を上方から見た場合の断面図である。
図3(a)は液冷方式の冷却プレート11の一例で、冷却プレート11を中空のブロック形状とし、その中空部を流路27として内部に冷却液5が流れるようにした。図は冷却プレート11周辺の概略断面図である。冷却プレート11の流路27は、図3(c)に示すように、冷却面19と同程度の面積領域を有した流路27と、冷却液5が冷却プレート11内に流れ込む流入口25と、冷却液5が冷却プレート11外に排出される排出口28とから成っている。
用紙4は、図中左側から右側方向に回動駆動される冷却ベルト15と搬送ベルト16とで挟持され、冷却ベルト15や搬送ベルト16と同じ方向に搬送される。冷却プレート11は、冷却ベルト15の内周面に接触するように固定されて設けられている。そして、用紙4が冷却ベルト15と搬送ベルト16とで挟持搬送される際に、冷却ベルト15を介して用紙4が冷却プレート11で冷やされる構成となっている。冷却液5は図中奥側の流入口25から流路27内に流入し、図示しない図中手前側の排出口28に向かって流れるようになっている。
図3(b)や図3(c)に示すように、冷却液5が流入口25から流路27に流入し排出口28から排出される場合、冷却プレート11内部の流路27における冷却液5の流速分布は図中に示す流速プロファイル7のような流れの場を形成する。
図3(b)や図3(c)からわかるように、流入口25と排出口28とを結ぶ中心ラインCLの周辺の流れは速いが、中心ラインCLから用紙搬送方向で遠ざかるほど遅い流れとなっている。冷却液5の流れが遅くなるということは、冷却液5と冷却プレート11との熱伝達率(熱交換率)の低下を招くだけでなく、用紙4から受熱して暖まった冷却液5と、流路27に流入して来る、冷えた新しい冷却液5との入れ替え、すなわち流路27内での冷却液5の出入りがスムースに行かないことになる。流路27内における流れの最悪状態は冷却液5の滞留であり、そのような滞留が生じる虞もある。流路27内で冷却液5が滞留してしまうと、冷却プレート11内の冷却液5が高い温度での保温状態となってしまい、用紙4を冷やすことができなくなってしまう。
図3(b)に示した冷却プレート11を用紙搬送方向から見た場合の断面での冷却プレート11内の流路27における流速プロファイル7を、用紙搬送方向の中央付近と端部付近とで別けると、中央付近の流速プロファイルが符号7aであり、端部付近の流速プロファイルが符号7bである。なお、用紙搬送方向の中央付近と端部付近とは、図3(c)でいうところの前記中心付近が中心ラインCL付近の位置であり、前記端部付近が内側面11c付近の位置である。
図3(b)に示した流速プロファイル7からわかるように、用紙搬送方向の中央付近に比べて端部付近の流速が遅くなっているが、これは用紙搬送方向の流路27の幅が広いことに起因しており、冷却ベルト15を介して接触させる冷却プレート11と用紙4との接触領域(接触幅)を冷却性能を向上させるためにある程度の大きさを必要とする以上は、必然的に起こる現象である。
また、用紙搬送方向の中央付近と端部付近とにおいて共通して、図3(c)に示すように、中心ラインCLの周辺に比べて内上面11b付近と内底面11a付近とで冷却液5の流れが遅くなっているが、これは流路27の高さ(内上面11bから内底面11aまでの間隔)が原因であり、流路27の高さを高くすると(内上面11bから内底面11aまでの間隔を大きくすると)必ず起こる現象である。そして、用紙4に近接する内底面11a付近の冷却液5の流れが遅いということは、用紙4を冷却するという冷却性能にとって致命的な問題となってしまう。
また、図3(c)に示した冷却プレート11を上方から見た場合の断面での流速プロファイル7を見ると、図3(b)と同様に、流路27の用紙搬送方向中央付近である中心ラインCL付近に比べて流路27の用紙搬送方向端部付近である内側面11c付近での冷却液5の流れが著しく遅くなっているのがわかる。これは流路27の幅を用紙搬送方向に広くしていることが原因であるが、冷却ベルト15を介して接触させる冷却プレート11と用紙4との接触領域(接触幅)を冷却性能を向上させるために稼がなければならないので、どうしても起きてしまう現象である。
結果的に、図3(c)に示した冷却プレート11を上方から見た場合の断面方向では、冷却プレート11の用紙搬送方向中央付近である中心ラインCL付近の狭い範囲でしか、用紙4を効率的に冷やすことができないことがわかる。
以上、図3(b)と図3(c)とをまとめて流速プロファイル7を立体的に見ると、図3(c)で流れの速かった流路27の用紙搬送方向中央付近においても、図3(b)で示すように流路27の内上面11b付近や内底面11a付近では流れが遅い。また、図3(b)で示すように内上面11b付近や内底面11a付近、及び、図3(c)で示すように流路27の用紙搬送方向端部付近である内側面11c付近では、共に冷却液5の流れが遅くなっている。そのため、冷却液5の流れが遅い領域の交わった、流路27の内上面11b付近や内底面11a付近であって内側面11c付近である領域では、冷却液が冷却液5の滞留または滞留が危惧されるほどの流れしか発生していないと予測される。
本実施形態においては、熱交換体である冷却プレート11内に形成する流路27を、熱交換面である冷却面19から離れる方向に多階層となるように複数形成した。例えば、図3(a)の冷却プレート11で説明すると、図3(a)では一つの広い中空部を流路27とし、そこに冷却液5が流れるようにしているが、その様な流路構成の場合は、冷却液5がスムースに流れず流路全域に行き渡らないことから、冷却性能を低下させる結果となってしまっている。
そこで本実施形態では、例えば図3(a)の一つの広い流路27を、冷却面19から離れる方向に多階層となるように分割したイメージの流路、つまり冷却面19から離れる方向に複数の流路を形成した。そのようにすれば、多階層とした各階層の流路間隙を狭間隙とすることができ、冷却液5の流速増加を図ることができる。したがって、冷却液5がスムースに流れ、流路全域に隈なく行渡らせることができるようになる。よって、熱交換効率が向上する。
[構成例1]
図1(a)は、流路を2階層化した冷却プレート11の例である。図1(b)は冷却プレート11を上面方向から見た断面図である。図1(c)は図1(a)の左側面方向から見た断面図である。
冷却プレート11は、内部に設けた仕切り部材11pにより、熱交換面である冷却面19から離れる方向に2階層の流路を形成している。冷却面19に近い側の流路を下層流路27a、その下層流路27aの上階に位置する流路を上層流路27bとしている。上層流路27bは、冷却面19と対向する冷却プレート上部外形面に近い流路でもある。下層流路27aと上層流路27bには、それぞれ冷却液5を流入させる流入口25と、排出させる排出口28が個別に形成されている。二つの流路は略同じ形状である。
冷却液5は、冷却プレート11に各流入口25から流入し、それぞれ下層流路27aと上層流路27bに流れ込んで対向側に設けた各排出口28より排出される。下層流路27aと上層流路27bは、図1(b)に示すように、冷却液5の流れ方向(図中左側から右側方向)が、用紙4の搬送方向(図中下側から上側方向)と交差するように形成している。これは、冷却液5の流れ方により生じる冷却プレート11の温度勾配によって、用紙4(用紙4の両端部と中央付近)の冷めかたのばらつきを抑えるようにするためである。
また、略同形状の下層流路27aと上層流路27bは、図に示すように冷却ベルト15の内周面が接触する面領域、即ち冷却面19と同程度の面積領域を有している。そして、その冷却面19の同程度の領域で、冷却液5が通る下層流路27aと上層流路27bの流路間隙を狭間隙としている。
狭間隙流路とは、2階層の内の一方の下層流路27aで説明すると、図1(a)に示すように、用紙4の搬送方向における下層流路27aの幅寸法をL、間隙寸法をG、とするとき、その関係が、G<Lとなる流路のことである。こうすることで、冷却液5はより流速が増加し、スムースな流れを得ることができる。本構成例では、その下層流路27aが上部にも配置され2階層にしているイメージで、上記したように、Lの長さが用紙4の搬送方向における冷却面19の幅と略同等となっている。
流路を狭間隙とする理由だが、狭い間隙の流路に流動媒体を流すと、狭流路効果によって、そこを流れる流動媒体の流速は速くなる、という現象を利用し、ポンプ22のパワーを上げて流量を増さなくても、各階層の流路内全域の流速を増加させるようにするためである。つまり、図3(b)で問題となっていた冷却プレート11の内上面11bと内底面11a付近の流れの遅さ、そして、図3(c)の端部付近(両側の内側面11c付近)の流れの遅さは、図1における冷却プレート11の流路では、狭流路効果により、全て解消することができる。仕切り部材11pにより流路間隙を狭くすることで、各階層の流路の全域で流速を増速させるのである。
図4は、熱交換装置である用紙4の冷却装置12の概略構成図であり、高温の用紙4の温度を下げる液冷方式の冷却プレート11を備えている。冷却装置12は主に、冷却装置12の上方に位置する冷却ベルトユニット13と下方に位置する搬送ベルトユニット14で構成されている。上方の冷却ベルトユニット13には、高温の用紙4の表面と接触して冷却する役割を担う冷却ベルト15が、そして下方の搬送ベルトユニット14には、用紙4を冷却ベルト15と共に挟持して搬送する役割を担う搬送ベルト16が、それぞれ備えられている。
冷却ベルト15、搬送ベルト16は、複数のローラによって展張され、図示しないモータ等の駆動手段によって回動される。本実施形態では、冷却ベルト15は左回動し、搬送ベルト16が右回動することで、用紙4が図中左側から右側に搬送される。例えば、冷却ベルト15の駆動ローラ17をモータと連結しモータによって駆動ローラ17を回転駆動させ、駆動ローラ17の駆動力を搬送ベルト16のローラ18にギヤ等で伝達し与えることで、冷却ベルト15と搬送ベルト16の線速を合わせ、用紙4を挟持搬送する。冷却ベルト15と搬送ベルト16は、対向する外周面同士が適当なテンションで押付け合ながら広い領域で密着接触するように設けられていて、高温の用紙4をその接触領域に送り込み、そして挟込みながら搬送する。その挟持搬送間に用紙4の冷却を行うのである。
熱交換体である冷却プレート11は、冷却ベルトユニット13側に不動状態で設けられていて、冷却ベルト15の内部に配され、冷却ベルト15を介して用紙4を冷却するのである。このとき冷却ベルト15は、冷却プレート11と用紙4との間に介在する熱伝達部材となるため、できるだけ熱伝導率の高い材質、または薄いフィルム状が望ましい(例えば、薄いステンレスベルトやポリイミドフィルムなど)。冷却ベルト15のループ内における冷却プレート11の配置位置は、冷却ベルト15と搬送ベルト16との互いの外周面が接触する領域における、冷却ベルト15の内周面と密着接触する位置に設けられている。そうすることで、冷却ベルト15の内周面が密着接触する冷却プレート11の面領域が熱交換面、言い換えれば、冷却面19となる。そして、冷却ベルト15との密着性を高めるために、冷却プレート11の冷却面19を湾曲形状としており、冷却ベルト15が冷却面19の全域に略均等な力がかかるようにしている。
以上の状態で冷却ベルト15が回動すると、冷却ベルト15の内周面は冷却プレート11の冷却面19に対して密着状態を保ちながら接触摺動することになる。つまり、冷却面19は摺動面の役割も担うことになるので、滑らかな摺動を可能にする意味においても、冷却面19は湾曲形状が望ましく、その湾曲表面は、凹凸のない高い表面仕上げ精度と、摩擦係数の小さな表面処理が必要となる。なお本実施形態では、用紙4と冷却ベルト15外周面との接触状態、および冷却ベルト15内周面と冷却面19との接触状態をより高め、そして用紙4の挟持搬送力を高めるために、搬送ベルト16の内側から冷却面19に向かって力がかかる押圧ローラ24を適所に設けている。
冷却プレート11自体の材質は、接触摺動する冷却ベルト15との熱交換性、及び冷却プレート11内を流れる冷却液5との熱交換性に関わるものなので、熱伝導率の良い、例えばアルミ製や銅製が良い。
冷却装置12により、用紙4の熱は狭持搬送間に冷却ベルト15が受熱し、その熱を冷却プレート11に伝導して冷却プレート11の冷却液5と熱交換する。そして、その熱交換によって冷却プレート11と冷却ベルト15が冷やされることで、用紙4が冷却され、用紙4の温度が下がるのである。
また、本実施形態では、冷却プレート11を介して用紙4の熱を受熱し熱交換する流動媒体に冷却液5を用いているが、その冷却液5は、図4に示すような冷却プレート11の内部に形成した流路27と冷却液循環手段20とで構成した閉ループの循環システムによって循環するようにしている。その循環過程で冷やされた冷却液5が冷却プレート11の流路27を流通することで、冷却プレート11(冷却面19)が冷えるのである。冷却面19で受熱した熱を冷却プレート11の流路27に伝達して冷却液5を温め、その温められた冷却液5を図示しない冷却プレート11の排出口より排出する。そして排出された冷却液5は、タンク101、ポンプ100、ファン104を装着したラジエータ103に送られる。温められた冷却液5はラジエータ103で排熱されて、略室温まで温度が下げられる。その後、冷めた冷却液5は、冷却プレート11の流入口25から再び流路27へと供給される。このような冷却液循環の排熱サイクルによって、高温の用紙4が効率良く冷やされるのである。
また、本構成例では、最下層の流路である下層流路27aに隣接する上層流路27aに、下層流路27aの冷却液が外部温度の影響を受けないようにする断熱の役割を持たせている。そうすることで、用紙4の熱を受熱し移送する役割の下層流路27aを流れる冷却液の温度が外部温度によって上昇するのを抑制することができる。
また、下層流路27aを流れる冷却液は通常、用紙4の熱を受熱することで徐々に温度が上昇する。一方、本構成例では、下層流路27aを流れる冷却液は、上層流路27aを流れる冷却液によって冷やされる。これにより、下層流路27aを流れる冷却液の温度上昇を低減させることができる。よって、その分、下層流路27aを流れる冷却液の温度が高くなり過ぎて、下層流路27aを流れる冷却液と用紙4との温度差が小さくなるを抑えられ、冷却液と用紙4との間での熱交換効率を向上させることができる。
[構成例2]
図5(a)は、流路を3階層化した冷却プレート11の例である。図5(b)は冷却プレート11を上面方向から見た断面図である。図5(c)は図5(a)の左側面方向から見た断面図である。
本構成例のように冷却プレート11内に流路を3階層で形成することで、各階層の流路は、構成例1のように流路を2階層で形成した場合よりも更に狭い間隙の流路となる。そのため、各階層の流路を流れる流速増加による冷却性能アップが見込めると共に、階層間で冷却液を細かく分割するので、各階層毎に異なる温度となる冷却液をはっきりと区分けすることができる。これにより、階層間での温度伝達や遮断の効果がより向上する。
例えば、本構成例のように冷却プレート内に流路を3階層で形成した場合、冷却面19に最も近い階層の流路である下層流路27aを流れる用紙4を冷やす。そして用紙4から熱を受けて温まった下層流路27aを流れる冷却液を、下層流路27aに隣接する中階層の流路である中層流路27b−1を流れる冷却液が冷やす。また、中層流路27b−1に隣接し、冷却面19から最も遠い階層である上階層の流路である上層流路27b−2を流れる冷却液が、外部からの熱を遮断する。
[構成例3]
図6(a)は、各階層の流路に対して各流路の流入口25と排出口28を用紙4の搬送方向に沿って複数形成した冷却プレート11の例である。図6(b)は冷却プレート11を上面方向から見た断面図である。図6(c)は図6(a)の左側面方向から見た断面図である。
本構成例では、図6(a)、図6(b)に示すように、多階層化した各階層の流路に対して、各流路の流入口25と排出口28を用紙4の搬送方向に沿って複数形成した。
冷却プレート11の冷却性能を向上させるための有効な方法として、冷却プレート11の冷却面19を用紙4の搬送方向に広くすること考えられる。しかし、単純に搬送方向に広げたのでは、冷却プレート11の幅方向端部付近の流れが遅くなったり滞ったりすることになる。
そこで、本構成例では、図6(a)のように流入口25と排出口28を増やした。図6(b)で説明すると、下層流路27aと上層流路27bにおいて、5箇所の流入口25と排出口28を用紙4の搬送方向に沿って設け、その横に並んだ流入口25の各箇所から狭間隔の下層流路27aと上層流路27bに冷却液が流れ込むようにした。そして、各流入口25の対向位置にある排出口28から冷却液を排出するようにした。そうすることで、流入口25と排出口28とを一箇所とした場合は各流路の中央付近からのみの冷却液の流入や排出だったものが、中央とその両側2箇所から流入する。これにより、冷却プレート11の幅方向端部付近(図6(b)の内側面11c付近)においても中央付近と同等な流れが発生する。このようにすれば、冷却プレート11の冷却面19全域に亘って熱交換効率の向上を図ることができる。
本構成例では、流入口25と排出口28を5箇所づつとしているが、数の限定はない。冷却プレート11の大きさ寸法や流量などを条件に流体シミュレーションを行って決める。
なお、各流路内で冷却液が全域でスムースに流れるようにするには、流入と排出の流量を同等とすることが望ましい。そのため、本構成例では、流入側と排出側の形状を同じにしている。
[構成例4]
図7(a)は、下層流路27aと上層流路27bを狭間隙としたときの冷却プレート11の例である。図7(b)は冷却プレート11を上面方向から見た断面図である。図7(c)は図7(a)の左側面方向から見た断面図である。
本構成例では、熱交換効率(熱伝達効率)の更なる向上を図るために、多階層化した各階層の流路の間隙を更に狭い間隔に設定した。つまり、各階層の流路を狭間隙とすることで、それぞれの流路において全域で更に速くスムースに冷却液が流れるようした。
下層流路27aと上層流路27bの内の下層流路27aで説明すると、図7(a)に示すように、下層流路27aに貫通し冷却液を送り込む流入口25の直径寸法をD、用紙4の搬送方向における下層流路27aの幅寸法をL、その間隙寸法をGとするとき、G<Lであり、L≒DまたはL>D、並びに、G≒DまたはG<Dの関係を満たすように、下層流路27aの幅寸法Lと間隙寸法Gとを設定した。
つまり、幅寸法Lと間隙寸法Gとの関係を以下に示す(1)から(4)の何れかの条件を満たすように、広幅な流路27であっても流速が増すように流路間隙を決めるのである。なお、流路27の幅寸法Lと高さ寸法Gとが下記(1)から(4)の条件を満たすことで流路27内での流速が増すことは、流体シミュレーションで確認済みである。
(1)G<Lであり、LがDと略同寸法のとき、GはDよりも短い(G≧Dとすると狭間隙になり難い)。
(2)G<Lであり、LがDよりも長いとき、GはDと略同寸法、または、GはDよりも短い(G>Dとすると狭間隙になり難い)。
(3)G<Lであり、GがDと略同寸法のとき、LはDよりも長い(L≦Dとすると狭間隙になり難い)。
(4)G<Lであり、GがDよりも短いとき、LはDと略同寸法、または、LはDよりも長い(L<Dとすると狭間隙になり難い)。
図7(a)では、上記条件構成の下層流路27aと上層流路27bが上下に配置されている。
幅寸法Lと間隙寸法Gを上記のような関係にして、下層流路27aと上層流路27bの流路間隙を幅寸法Lに対して極めて狭い間隙とする。ただし、狭くし過ぎて流れの圧力損失が大きくならない(流れが悪くならない)ことは大前提なので、流体シミュレーション等で確認する必要はある。各流路の間隙が狭くなれば、その狭流路効果によって、下層流路27aと上層流路27bの全域で流速が増加するようになる。
また、本構成例では、冷却面19の熱交換効率(熱伝達効率)が更に向上するよう、多階層化した各階層の流路の内での冷却液の流れを安定化し、そして確実にそれぞれの流路全域で速くスムースに流れる流路形状とした。
多階層化した各階層の流路の形状を、例えば下層流路27aを例に挙げると、断面積で下層流路27aと流入口25を比べた場合に、その関係によっては下層流路27aの流速が遅くなってしまう場合がある。
通常、流路の形状が上流側と下流側で異なっていても、断面積が同じで、そこを流れる流量が同じであれば、流速は同じである。流量が上流側と下流側で一定であり、断面積が異なる場合、例えば、断面積が上流側より下流側が大きい場合には、上流側より下流側の流速が遅くなる。逆に、断面積が上流側より下流側が小さい場合には、上流側より下流側の流速が速くなる。つまり、流入口25の断面積より下層流路27aの断面積を大きくしてしまうと、流入口25の周辺流速よりも下層流路27a内の流速が遅くなってしまう。このようにした場合は、幾ら下層流路27aを狭間隙としたとしても、冷却プレート11の幅方向端部付近の冷却性能は著しく低下してしまう。その危険性を回避するためには、下層流路27a内の流速を全体的に確実に増す必要がある。
本構成例では、多階層化した各階層の流路27の各断面積を流入口25の断面積よりも小さくする、という関係にすることで流速を増すようにした。例えば、図7(a)に示すように、下層流路27aの断面積をA、流入口25の断面積をB、とするとき、その関係が、A≒B、またはA<Bとなるように下層流路27aと流入口25の形状を設定する。以上の条件は上層流路27bも同様である。
なお、各階層の流路内で冷却液がスムースに流れるように、流入と排出の流量が同等となるようにすることが望ましい。
[構成例5]
図8(a)は、流路群の組を用紙4の搬送方向に沿うように複数形成した冷却プレート11の例である。図8(b)は冷却プレート11を上面方向から見た断面図である。図8(c)は図8(a)の左側面方向から見た断面図である。
本構成例の冷却プレート11では、冷却面19から離れる方向に多階層化した流路群を一つの組として、その流路群の組を用紙4の搬送方向に沿うように複数形成した。
図8(a)の冷却プレート11は、下層流路27aと上層流路27bから成る2階層の流路群が用紙4の搬送方向に沿って二組配置されている。全ての流路には流入口25と排出口28が個別に形成されている。横に並べた二組の2階層流路は同じ形状である。冷却液は、冷却プレート11に各流入口25から流入し、それぞれの下層流路27aと上層流路27bに流れ込んで反対側の各排出口28より排出される。
また、用紙4の搬送方向に沿って形成した二組の2階層流路は、図8(a)、図8(b)に示すように、二組の流路群を並べ合わせると、冷却ベルト15の内周面が接触する面領域、即ち冷却面19と同程度の面積領域を有している。そして、その冷却面19の領域で冷却液が通る各流路の間隙を狭間隔としている。
本構成例の流路でも全て、一つの流路の幅寸法をL、間隙寸法をG、とするとき、その関係が、G<Lが成り立つようにしている。したがって、その流路群が二つ並ぶことで、L×2の長さが用紙4の搬送方向における冷却面19の幅と略同等となる。従来の課題として挙げた『冷却性能を上げるには、用紙4との接触領域(接触幅)を稼ぐ必要がある』という課題に対応するには、できるだけ幅寸法Lを長くする必要があるが、幅寸法Lを単純に長くすると図3(c)で説明したような両端部付近(図3(c)の両側の内側面11c付近)の冷却液の流れが遅くなったり滞ったりしてしまうとうい問題が生じてしまう。
そこで、多階層化した本構成例であっても、その問題に対処するために、冷却面19の幅を分割し、複数の流路群を形成することで、一つの流路の幅寸法Lが短くなるようにし、各流路全域での流れをスムースにした。
なお、本構成例は基本的に、各流路の端部付近の流速を増すことを目的として、流路間隙寸法Gを短くした流路を複数設けたものであり、各流路をそのような形状、つまり狭間隙な流路を複数設ければ、冷却性性能アップが見込める。
また、本構成例では多階層化した流路群を二組並べたが、流路群を並べる数は限定されず、冷却プレート11の冷却面19の大きさに応じて決める。小さな冷却プレート11でも流路群の数を増やせば冷却性能はより向上する。
[構成例6]
図9(a)は、下層流路27aと上層流路27bを流れる冷却液の流通方向を相対する向きとしたときの冷却プレート11の例である。図9(b)は冷却プレート11を上面方向から見た断面図である。図9(c)は図9(b)のA−A断面図である。図9(d)は図9(b)のB−B断面図である。
図8(a)の二つ並べた2階層の流路群においては、全て、図中左側の流入口25から流入し、図中右側の排出口28より排出されるようにしている。つまり、全ての流路の冷却液が同じ方向に流れるようにしている。これは、図4の冷却装置12のシステム構成や冷却液の配管レイアウトをできるだけ簡素化するためにそうしている。
それに対し本構成例では、例えば図9(c)、図9(d)に示すように、一組の多階層の流路群内において、下層流路27aを流れる冷却液の流入口25側と排出口28側の温度勾配を抑制するために、下層流路27aと上層流路27bを流れる冷却液の流通方向を相対する向きとした。図9(c)と図9(d)とでは、下層流路27aは図中左から右へ、上層流路27bは図中右から左へとしている。当然、流入口25と排出口28は階層毎に逆の位置となっている。
下層流路27aの冷却液は、流入口25近辺では温度の低い状態だが、流路内を通過する過程で用紙4の熱を受熱し、その温度を徐々に上昇させながら排出口28に向かって流れて行く。すると当然、流入口25近辺と排出口28近辺では冷却液に温度差が生じる。つまり、冷却性能に差が生じることになり、用紙4の両端で冷え方に違いが出てしまう原因となる。図8の場合も少なからず、その問題が危惧される。
一方、本構成例のように、上層流路27bの冷却液を下層流路27aと反対の向きに流すようにすれば、下層流路27aの排出口28近辺の暖まった冷却液を上層流路27bの温度の低い冷却液で冷ますことができる。そして、結果的に下層流路27aにおける流入口25近辺と排出口28近辺の冷却液の温度差を小さくすることができ、冷却性能の均一性、安定性を向上させることができるようになる。
[構成例7]
図10(a)は、横に並べた流路群の組毎に冷却液の流通方向を相対する向きとしたときの冷却プレート11の例である。図10(b)は冷却プレート11を上面方向から見た断面図である。図10(c)は図10(b)のA−A断面図である。図10(d)は図10(b)のB−B断面図である。
本構成例では、例えば、図10(c)、図10(d)に示すように、用紙4が冷却プレート11を通過した時点での、用紙4の両端の冷え方に違いが出てしまうことがないように、全組の多階層の流路群内の下層流路27aと上層流路27bを流れる冷却液の流通方向を同方向とし、下層流路27aの冷却液温度の上昇を抑制すると共に、横に並べた流路群の組毎に冷却液の流通方向を相対する向きとした。
図10(c)と図10(d)とでは、用紙4の搬送方向上流側の流路群の組が図中左から右へ、用紙4の搬送方向下流側の流路群の組が図中右から左へとしている。当然、流入口25と排出口28は流路群の組毎に逆の位置となっている。
流路群の組毎の冷却液は、流入口25近辺では温度が低く、排出口28近辺では温度が高い状態となるが、本構成例ではその流路群の組毎の冷却液の流通方向を反対の向きとなるようにし、用紙4の両端が流路群の流入口25側と排出口28側を同じ回数だけ通過するようにした。すると、用紙4が冷却プレート11を通過した時点で、用紙4の両端の冷え方が同じとなる。
[構成例8]
図11(a)は、下層流路27aと上層流路27bを流れる冷却液の流通方向を相対する向きとし、横に並べた流路群の組毎に冷却液の流通方向を相対する向きとしたときの冷却プレート11の例である。図11(b)は冷却プレート11を上面方向から見た断面図である。図11(c)は図11(b)のA−A断面図である。図11(d)は図11(b)のB−B断面図である。
本構成例は、構成例6と構成例7とを組み合わせ、その両方の利点効果が合さることで更なる冷却性能の向上を図るものである。
構成例6の方法においても、その温度差は小さいものの厳密にみれば、下層流路27aの排出口28近辺の冷却液温度は、流入口25近辺と比べれば多少高い。小さい温度差をも解消したい場合は、流路群の組毎の下層流路27aと上層流路27bの流通方向が反対の向きとなるように、構成例7の方法を組み合わせるのである。
例えば、図11(c)、図11(d)に示すように、用紙4の搬送方向上流側の流路群の組においては、下層流路27aは冷却液が図中左から右へ、上層流路27bは図中右から左へとしている。それに対して、用紙4の搬送方向下流側の流路群の組は反対に、下層流路27aは冷却液が図中右から左へ、上層流路27bは図中左から右へとしている。
本実施形態では、これまで熱交換装置を定着後の用紙4を冷却する冷却手段である冷却装置12に適応したが、同じように用紙4の冷却手段として、定着後の用紙4のカールを矯正するカール矯正装置や、用紙4に形成されたトナー画像の光沢度を制御する光沢制御装置など、出力した画像品質や用紙状態品質の高品位化装置としても適応可能ある。これらの場合においても、冷却装置12と同様に、熱定着装置116の直後に熱交換装置を配設すれば良い。
また、本実施形態の熱交換装置は冷却手段としてだけではなく、流動媒体を熱交換体に流入させる前に温めておけば加温手段としても用いることができる。例えば画像転写前に用紙4を温める加温装置に用いることができ、その場合は用紙収納部119とレジストローラ対21との間に配設する。画像転写前に用紙4を温めるのは、転写時における中間ベルトなどとの転写性向上や、用紙4の含有水分量のコントロールなどからである。
加温装置に適応する際は、その装置構成としては図4の冷却装置12をそのまま利用することができる。冷却装置12の部品名称を変えて図12に示すように加温装置212として見ると、冷えた用紙4は加温ベルトユニット213の加温ベルト215と搬送ベルトユニット214の搬送ベルト216とによる狭持搬送の間に加温ベルト215によって給熱されるが、その給熱する熱は、加温液205と熱交換する加温プレート211によって伝導される。熱交換によって加温プレート211と加温ベルト215とが温められることで、用紙4が加温され、用紙4の温度が上がるのである。
また、加温液205の循環も図4と同様に、加温プレート211の内部に形成した流路227と加温液循環手段220とで構成した閉ループの循環システムによって循環するようにしている。その循環過程で温められた加温液205が加温プレート211の流路を流通することで、加温プレート211の加温面219が温まるのである。
加温面219で吸い取って冷えた温度を加温プレート211内に形成された二つの流路227に伝達して加温液205を冷やし、その冷やされた加温液205を加温プレート211から排出する。そして排出された加温液205は、タンク101、ポンプ100、ファン104を装着したラジエータ103に送られる。このとき例えば、熱定着装置116から排熱される熱をファン104によってラジエータ103に送風し、冷えた加温液205をラジエータ103で温めて高い温度に上げる。その後、温まった加温液205は、加温プレート211の流入口(不図示)から再び流路227へと供給される。このような加温液循環の給熱サイクルによって、低温の用紙4が効率良く温められるのである。
なお、加温液205を温める手段としては、ヒーターや温風器などの発熱装置でも良いが、熱定着装置116など画像形成装置内の熱源を利用すれば、熱の再利用が可能となり、省エネルギー化など環境性の高い装置となる。
[実施形態2]
次に、本発明を画像形成装置に適用した第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な構成及び動作については、実施形態1に記載した画像形成装置と略同様なので説明は省略する。
本実施形態では、熱交換体である冷却プレート11内に形成する流路27を、熱交換面である冷却面19から離れる方向に二階層となる二つの流路である下層流路27aと上層流路27bとを形成し、その下層流路27aと上層流路27bとをターン流路で繋ぐことで、冷却プレート11内で冷却液が往復するようにしている。
[構成例9]
図13(a)は、流路を2階層化した冷却プレート11の例である。図13(b)は冷却プレート11を上面方向から見た断面図である。図13(c)は図13(a)の左側面方向から見た断面図である。
冷却プレート11は、内部に設けた仕切り部材11pにより、熱交換面である冷却面19から離れる方向に二階層の流路を形成している。冷却面19に近い側の流路を下層流路27a、その下層流路27aの上階に位置する流路を上層流路27bとしている。上層流路27bは、冷却面19と対向する冷却プレート上部外形面に近い側の流路でもある。下層流路27aと上層流路27bには、それぞれ冷却液を流入させる流入口25と、排出させる排出口28が個別に形成されている。そして、下層流路27aと上層流路27bを繋ぐターン流路であるチューブ11tを設けて、下層流路27aと上層流路27bとを連通するようにしている。
なお、下層流路27aと上層流路27bとを繋ぐ方法としては、チューブ11としてゴムチューブや金属管などを用いて、例えば下層流路27aの排出口28と上層流路27bの流入口25とを繋ぐなどすればよい。なお、下層流路27aと上層流路27bとは略同じ形状としている。
上記構成の冷却プレート11に冷却液を流すと、冷却液は、先ず冷却面19に近い下層流路27aの流入口25から流入し、下層流路27a全体に広がり流れていく。下層流路27aに流れ込んだ冷却液は、流入口25の対向側に設けた排出口28より排出される。そして、下層流路27aの排出口28と上層流路27bの流入口25に、その各端を取り付け固定したチューブ11tにより、下層流路27aの排出口28から排出された冷却液は、再び上層流路27bの流入口25から冷却プレート11内に流れ込んでいく。上層流路27bに流れ込んだ冷却液は、上層流路27bの排出口28からより排出される。以上のように冷却液が冷却プレート11内を往復するのである。
また、下層流路27aと上層流路27bは、図13(b)に示すように、冷却液の流れ方向(図中の左側から右側方向、および右側から左側方向)が、用紙4の搬送方向(図中下側から上側方向)と交差するように形成している。これは、冷却液の流れ方により生じる冷却プレート11の温度勾配によって、用紙4の両端部と中央付近の冷めかたのばらつきを抑えるようにするためである。
また、略同形状の下層流路27aと上層流路27bは、図13に示すように冷却ベルト15の内周面が接触する面領域、即ち冷却面19と同程度の面積領域を有している。そして、その冷却面19の同程度の領域で、冷却液が通る下層流路27aと上層流路27bの両流路間隙を狭間隙としている。
狭間隙流路とは、二階層の内の一方の下層流路27aで説明すると、図13(a)に示すように、用紙4の搬送方向における下層流路27aの幅寸法をL、間隙寸法をG、とするとき、その関係が、G<Lとなる流路のことである。こうすることで、冷却液はより流速が増加し、スムースな流れを得ることが出来る。
本構成例では、その下層流路27aが上部にも配置されて階層化しているイメージで、上記したように、Lの長さが用紙4の搬送方向における冷却面19の幅と略同等となっている。
流路を狭間隙とする理由だが、狭い間隙の流路に流動媒体を流すと、狭流路効果によって、そこを流れる流動媒体の流速は速くなる、という現象を利用し、ポンプ22のパワーを上げて流量を増さなくても、各階層の流路内全域の流速を増加させるようにするためである。つまり、図3(b)で問題となっていた冷却プレート11の内上面11bと内底面11a付近の流れの遅さ、そして図3(c)の端部付近(両側の内側面11c付近)の流れの遅さは、図13における冷却プレート11の二階層流路では、狭流路効果により、全て解消することができる。仕切り部材11pにより流路間隙を狭くすることで、各階層の流路の全域で流速を増速させるのである。
図14は、熱交換装置である用紙4の冷却装置12の概略構成図であり、高温の用紙4の温度を下げる液冷方式の冷却プレート11を備えている。冷却装置12は主に、冷却装置12の上方に位置する冷却ベルトユニット13と下方に位置する搬送ベルトユニット14で構成されている。上方の冷却ベルトユニット13には、高温の用紙4の表面と接触して冷却する役割を担う冷却ベルト15が、そして下方の搬送ベルトユニット14には、用紙4を冷却ベルト15と共に挟持して搬送する役割を担う搬送ベルト16が、それぞれ備えられている。
冷却ベルト15、搬送ベルト16は、複数のローラによって展張され、図示しないモータ等の駆動手段によって回動される。本実施形態では、冷却ベルト15は左回動し、搬送ベルト16が右回動することで、用紙4が紙面図中左側から右側に搬送される。例えば、冷却ベルト15の駆動ローラ17をモータと連結しモータによって駆動ローラ17を回転駆動させ、駆動ローラ17の駆動力を搬送ベルト16のローラ18にギヤ等で伝達し与えることで、冷却ベルト15と搬送ベルト16の線速を合わせ、用紙4を挟持搬送する。冷却ベルト15と搬送ベルト16は、対向する外周面同士が適当なテンションで押付け合ながら広い領域で密着接触するように設けられていて、高温の用紙4をその接触領域に送り込み、そして挟込みながら搬送する。その挟持搬送間に用紙4の冷却を行うのである。
熱交換体である冷却プレート11は、冷却ベルトユニット13側に不動状態で設けられていて、冷却ベルト15の内部に配され、冷却ベルト15を介して用紙4を冷却するのである。このとき冷却ベルト15は、冷却プレート11と用紙4との間に介在する熱伝達部材となるため、できるだけ熱伝導率の高い材質、または薄いフィルム状が望ましい(例えば、薄いステンレスベルトやポリイミドフィルムなど)。冷却ベルト15のループ内における冷却プレート11の配置位置は、冷却ベルト15と搬送ベルト16との互いの外周面が接触する領域における、冷却ベルト15の内周面と密着接触する位置に設けられている。そうすることで、冷却ベルト15の内周面が密着接触する冷却プレート11の面領域が熱交換面、言い換えれば、冷却面19となる。そして、冷却ベルト15との密着性を高めるために、冷却プレート11の冷却面19を湾曲形状としており、冷却ベルト15が冷却面19の全域に略均等な力がかかるようにしている。
以上の状態で冷却ベルト15が回動すると、冷却ベルト15の内周面は冷却プレート11の冷却面19に対して密着状態を保ちながら接触摺動することになる。つまり、冷却面19は摺動面の役割も担うことになるので、滑らかな摺動を可能にする意味においても、冷却面19は湾曲形状が望ましく、その湾曲表面は、凹凸のない高い表面仕上げ精度と、摩擦係数の小さな表面処理が必要となる。なお本実施形態では、用紙4と冷却ベルト15外周面との接触状態、および冷却ベルト15内周面と冷却面19との接触状態をより高め、そして用紙4の挟持搬送力を高めるために、搬送ベルト16の内側から冷却面19に向かって力がかかる押圧ローラ24を適所に設けている。
冷却プレート11自体の材質は、接触摺動する冷却ベルト15との熱交換性、及び冷却プレート11内を流れる冷却液との熱交換性に関わるものなので、熱伝導率の良い、例えばアルミ製や銅製が良い。
冷却装置12により、用紙4の熱は狭持搬送間に冷却ベルト15が受熱し、その熱を冷却プレート11に伝導して冷却プレート11の冷却液と熱交換する。そして、その熱交換によって冷却プレート11と冷却ベルト15が冷やされることで、用紙4が冷却され、用紙4の温度が下がるのである。
また、本構成例では、冷却プレート11を介して用紙4の熱を受熱し熱交換する流動媒体に冷却液を用いているが、その冷却液は、図14に示すような冷却プレート11の内部に形成した流路27と冷却液循環手段20とで構成した閉ループの循環システムによって循環するようにしている。その循環過程で冷やされた冷却液が冷却プレート11の流路27を流通することで、冷却プレート11(冷却面19)が冷えるのである。冷却面19で受熱した熱を冷却プレート11の流路27に伝達して冷却液を温め、その温められた冷却液を図示しない冷却プレート11の排出口より排出する。そして排出された冷却液は、タンク101、ポンプ100、ファン104を装着したラジエータ103に送られる。温められた冷却液はラジエータ103で排熱されて、略室温まで温度が下げられる。その後、冷めた冷却液は、冷却プレート11の流入口25から再び流路27へと供給される。このような冷却液循環の排熱サイクルによって、高温の用紙4が効率良く冷やされるのである。
また、本構成例では、冷却プレート11内に、冷却面19から離れる方向に二階層となる二つの流路である下層流路27aと上層流路27bとを形成している。そして、その下層流路27aと上層流路27bとをターン流路で繋ぐことで、冷却プレート11内で冷却液が往復するようにしている。これにより、冷却装置12としての流路の短縮化(配管部材の最短化)を図れることができる。よって、冷却プレート11の設置に必要な空間の省スペース化や、それに伴う冷却装置12の小型化及び構成部品点数の削減が可能となる。
また、冷却液が往復送流する二階層流路のうち、冷却面19に最も近い階層の流路である下層流路27aを往流路、下層流路27aと隣接し、冷却面19から最も遠い流路である上層流路27bを復流路としている。このように、下層流路27aを往流路とすることで、冷めた低い温度の冷却液が先ず下層流路27aに流れ込むようにして、効率的に冷却面19を介して用紙4を冷やすことができる。
また、上層流路27bを流れる冷却液は、下層流路27aで温められた冷却液を冷却プレート11の外部に素早く排出するための流路であると共に、下層流路27aを流れる冷却液が冷却プレート11の外部からの温度の影響を受けないように断熱する役割をも担うようにしている。これにより、冷却プレート11の省スペース化を図りつつ、用紙4の熱を受熱し移送する役割の下層流路27aを流れる冷却液の温度を、常に安定的に低い状態に維持させることができる。よって、下層流路27aを流れる冷却液の温度上昇を低減させることができ、その分、下層流路27aを流れる冷却液の温度が高くなり過ぎて、下層流路27aを流れる冷却液と用紙4との温度差が小さくなるを抑えられる。したがって、冷却液と用紙4との間での熱交換効率を向上させることができる。
[構成例10]
図15(a)は、ターン流路を内部に形成した冷却プレート11の例である。図15(b)は冷却プレート11を上面方向から見た断面図である。図15(c)は図15(a)の左側面方向から見た断面図である。
図15(a)、図15(b)、図15(c)は、図13とは別の下層流路27aと上層流路27bを連通する方法を示している。
図13のようにチューブ11tなどで冷却プレート11の外側にはみ出してターン流路を形成すると、はみ出すチューブ11tの分のスペースが必要となり、小型化を阻む要因となってしまう。また、チューブ11tを用いるということは、それだけ液漏れのリスクが高まることであり、その取り付けに注意を要することなる。
そこで、本構成例では、図15(a)、図15(b)、図15(c)に示すように、ターン流路を冷却プレート11の内部に形成している。これにより、冷却プレート11の省スペース化を図ると共に、液漏れや作業性などの問題を解消するようにした。
本構成例では、冷却液の流れ方向における下層流路27aの下流側端部27a−3、及び、上層流路27bの上流側端部27b−3の形状を、用紙4の搬送方向の幅とその間隙をそのままの形状とし、そこに端部同士を繋ぐU字形状のターン流路27cを設けた。こうすることで、省スペース化や液漏れなどの問題だけでなく、ターン流路における冷却液の圧力損失を防ぐことができ、非常にスムースに冷却液を流すことができる。
つまり、図13のようにターン流路をチューブ11tなどで形成した場合、冷却液は幅の広い下層流路27aから一旦、狭い幅(径)のチューブ11tに集束し、そして再び幅の広い上層流路27bへ拡散していくので、送流の圧力損失を大きくしてしまっている。そもそも、図13の一旦、チューブ11tで集束させること自体が必要不可欠な工程ではないので、無駄に送流の圧力損失を起こさせていることになっている。そこで、本構成例では、それを図15のようなターン流路構成にすることで解決している。
[構成例11]
図16(a)は、各階層の流路に対して各流路の流入口25と排出口28を用紙4の搬送方向に沿って複数形成した冷却プレート11の例である。図16(b)は冷却プレート11を上面方向から見た断面図である。図16(c)は図16(a)の左側面方向から見た断面図である。
本構成例では、図15の冷却プレート11を用いた場合(各流路に流入口25と排出口28のどちらかを有する場合)の構成(図16)で説明するが、図13の冷却プレート11の場合(各流路に流入口25と排出口28の両方を有する場合)でも適応可能である。
図16に示すように、下層流路27aを往流路、上層流路27bを復流路とし、下層流路27aに流入口25、上層流路27bに排出口28を設けている。そして、それら流路の流入口25と排出口28を用紙4の搬送方向に沿って複数箇所配列した。
冷却プレート11の冷却性能を向上させるための有効な方法として、冷却プレート11の冷却面19を用紙4の搬送方向に広くすること考えられる。しかし、単純に搬送方向に広げたのでは、冷却プレート11の幅方向端部付近の流れが遅くなったり滞ったりすることになる。
そこで、本構成例では、図16(a)のように流入口25と排出口28を増やした。図16(b)を用いて説明すると、下層流路27aに5箇所の流入口25、上層流路27bに5箇所の排出口28をそれぞれ用紙4の搬送方向に沿って設けた。冷却液は先ず、その横に並んだ5箇所の流入口25から狭間隔な下層流路27aに流れ込み、そしてターン流路27cを経由して、狭間隔な上層流路27bに流入した後、5箇所の排出口28から排出される。
図13のような流入口25と排出口28とを一箇所とした場合は、各流路の中央付近からのみの冷却液の流入または排出だが、上記のようにすることで、中央とその両側2箇所から流入または排出するので、冷却プレート11の幅方向端部付近(図16(b)の内側面11c付近)においても中央付近と同等な流れが発生させることができる。よって、冷却プレート11の冷却面19全域に亘って熱交換効率の向上を図ることができる。
なお、本構成例では、流入口25と排出口28を5箇所づつとしているが、数の限定はない。冷却プレート11の大きさ寸法や流量などを条件に流体シミュレーションを行って決める。
また、各流路内で冷却液が全域でスムースに流れるようにするには、流入と排出の流量を同等とすることが望ましい。そのため本構成例では、流入側と排出側の形状を同じにしている。
[構成例12]
図17(a)は、下層流路27aと上層流路27bを狭間隙としたときの冷却プレート11の例である。図17(b)は冷却プレート11を上面方向から見た断面図である。図17(c)は図17(a)の左側面方向から見た断面図である。
本構成例では、熱交換効率(熱伝達効率)の更なる向上を図るために、二階層化した二つの流路の間隙を更に狭い間隔に設定した。つまり、二つの流路を更に狭間隙とすることで、それぞれの流路において全域で更に速く、スムースに冷却液が流れるようにした。
流路の間隙を狭間隙とする方法は、例えば、図17に示すように冷却プレート11内部に設ける仕切り部材11pの厚みを厚くして狭い空隙を作り、極めて狭間隙流路を形成するのである。
図17は、下層流路27aと上層流路27bを下記条件の狭間隙としたときの例である。
下層流路27aと上層流路27bの内の下層流路27aで説明すると、図17(a)に示すように、下層流路27aの流入口25の直径寸法をD、用紙4の搬送方向における下層流路27aの幅寸法をL、その間隙寸法をGとするとき、それらの関係が、G<Lであり、L≒DまたはL>D、並びに、G≒DまたはG<Dの関係を満たすように、下層流路27aの幅寸法Lと間隙寸法Gとを設定した。
つまり、幅寸法Lと間隙寸法Gとの関係を以下に示す(1)から(4)の何れかの条件を満たすように、広幅な流路27であっても流速が増すように流路間隙を決めるのである。なお、流路27の幅寸法Lと高さ寸法Gとが下記(1)から(4)の条件を満たすことで流路27内での流速が増すことは、流体シミュレーションで確認済みである。
(1)G<Lであり、LがDと略同寸法のとき、GはDよりも短い(G≧Dとすると狭間隙になり難い)。
(2)G<Lであり、LがDよりも長いとき、GはDと略同寸法、または、GはDよりも短い(G>Dとすると狭間隙になり難い)。
(3)G<Lであり、GがDと略同寸法のとき、LはDよりも長い(L≦Dとすると狭間隙になり難い)。
(4)G<Lであり、GがDよりも短いとき、LはDと略同寸法、または、LはDよりも長い(L<Dとすると狭間隙になり難い)。
なお、上層流路27bの形状においても、Dを排出口28の直径寸法として上記条件構成の下層流路27aと同じ形状である。ただし、図17(a)に示すように下層流路27aと上層流路27bの幅寸法Lが、仕切り部材11pの形状により多少異なる場合があるが、できるだけ同じにするのが望ましい。
幅寸法Lと間隙寸法Gを上記のような関係にして、下層流路27aと上層流路27bの流路間隙を幅寸法Lに対して極めて狭い間隙とする。ただし、狭くし過ぎて流れの圧力損失が大きくならない(流れが悪くならない)ことは大前提なので、流体シミュレーション等で確認する必要はある。流路の間隙が狭くなれば、その狭流路効果によって、下層流路27aと上層流路27bの全域で流速が増加するようになる。
なお、図17(a)ではターン流路27cにおいても速くスムースに冷却液が流れるように、下層流路27aや上層流路27bと同様の幅と間隙を有している。
また、本構成例では、冷却面19の熱交換効率(熱伝達効率)が更に向上するよう、二階層化した二つの流路の内での冷却液の流れを安定化し、そして確実にそれぞれの流路全域で速くスムースに流れる流路形状とした。
二階層化した二つの流路の形状を、例えば下層流路27aを例に挙げると、断面積で下層流路27aと流入口25を比べた場合に、その関係によっては下層流路27aの流速が遅くなってしまう場合がある。
通常、流路の形状が上流側と下流側で異なっていても、断面積が同じで、そこを流れる流量が同じであれば、流速は同じである。流量が上流側と下流側で一定であり、断面積が異なる場合、例えば、断面積が上流側より下流側が大きい場合には、上流側より下流側の流速が遅くなる。逆に、断面積が上流側より下流側が小さい場合には、上流側より下流側の流速が速くなる。つまり、流入口25の断面積より下層流路27aの断面積を大きくしてしまうと、流入口25の周辺流速よりも下層流路27a内の流速が遅くなってしまう。このようにした場合は、幾ら下層流路27aを狭間隙としたとしても、冷却プレート11の幅方向端部付近の冷却性能は著しく低下してしまう。その危険性を回避するためには、下層流路27a内の流速を全体的に確実に増す必要がある。
本構成例では、下層流路27aの断面積を流入口25の断面積よりも小さくする、という関係にすることで流速を増すようにした。例えば、図17(a)に示すように、下層流路27aの断面積をA、流入口25の断面積をB、とするとき、その関係が、A≒B、またはA<Bとなるように下層流路27aと流入口25の形状を設定する。
以上の条件は上層流路27bにおいても同様であり、上層流路27bの断面積をA、排出口28の断面積をB、とする。
なお、下層流路27aと上層流路27bで冷却液がスムースに流れるように、流入と排出の流量が同等となるようにすることが望ましい。
[構成例13]
図18(a)は、流路群の組を用紙4の搬送方向に沿うように複数形成した冷却プレート11の例である。図18(b)は冷却プレート11を上面方向から見た断面図である。図18(c)は図18(a)の左側面方向から見た断面図である。
図18(a)の冷却プレート11は、下層流路27aと上層流路27bから成る二階層の流路が用紙4の搬送方向に沿って二組配置されている。その二つの流路には、それぞれ下層流路27aに流入口25、上層流路27bに排出口28が形成されている。横に並べた二つの二階層流路は同じ形状である。冷却液は、冷却プレート11に各流入口25から流入し、それぞれの下層流路27a、ターン流路27c、上層流路27bを通って各排出口28より排出される。
また、用紙4の搬送方向に沿って形成した二つの二階層流路は、図18(a)、図18(b)に示すように、二つの流路群を並べ合わせると、冷却ベルト15の内周面が接触する面領域、即ち冷却面19と同程度の面積領域を有している。そして、その冷却面19の領域で冷却液が通る各流路の間隙を狭間隔としている。
本構成例の流路でも全て、一つの流路の幅寸法をL、間隙寸法をG、とするとき、その関係が、G<Lが成り立つようにしている。したがって、その二階層流路が二つ並ぶことで、L×2の長さが用紙4の搬送方向における冷却面19の幅と略同等となる。従来の課題として挙げた『冷却性能を上げるには、用紙4との接触領域(接触幅)を稼ぐ必要がある』という課題に対応するには、できるだけ幅寸法Lを長くする必要があるが、幅寸法Lを単純に長くすると図15(c)で説明したような両端部付近(図15(c)の両側の内側面11c付近)の冷却液の流れが遅くなったり滞ったりしまうとうい問題が生じてしまう。
そこで、二階層化した本構成例であっても、その問題に対処するために、冷却面19の幅を分割し、複数の流路群を形成することで、一つの流路の幅寸法Lが短くなるようにし、各流路全域での流れをスムースにした。
本構成例は基本的に、図15、図16、図17に見られるような冷却プレート11に単一の二階層流路を設ける場合よりも、流路の端部付近の流速を更に増すことを目的としている。流速を増す方法として、狭間隙の二階層流路の幅寸法を短くし、その二階層流路を複数設けた。二階層流路をそのような形状、つまり、狭間隙な二階層流路を複数並べれば、冷却プレート11の小型化を踏襲したまま、冷却性性能の更なるアップが見込める。
なお、本構成例では二階層化した流路を二組並べたが、二階層流路を並べる数は限定されず、冷却プレート11の冷却面19の大きさに応じて決める。小さな冷却プレート11でも流路群の数を増やせば冷却性能はより向上する。
[構成例14]
図19(a)は、下層流路27aと上層流路27bを流れる冷却液の流通方向を相対する向きとしたときの冷却プレート11の例である。図19(b)は冷却プレート11を上面方向から見た断面図である。図19(c)は図19(b)のA−A断面図である。図19(d)は図19(b)のB−B断面図である。
図18の二つ並べた二階層の流路においては、その二つの流路ともに、つまり用紙搬送方向の上流側と下流側の二階層流路とも、下層流路27aの流入口25から流入し、上層流路27bの排出口28より排出されるようにしている。すなわち、両方の二階層流路とも冷却液が同じ方向に流れるようになっている。これは図14の冷却装置12のシステム構成や冷却液の配管レイアウトをできるだけ簡素化するためにそうしている。
しかしながら、そのような流し方(冷却プレート11の同じ側の同じ所から流入し、同じ方向に流れ、同じ側の同じ所から排出)をすると、両方の二階層流路とも、冷えた冷却液が流入する下層流路27aの流入口25付近だけが冷却プレート11温度が低い状態となり、冷却プレート11の温度勾配が生じ、紙を均等に冷やすことができない。
もう少し具体的に説明すると、両方の二階層流路とも、冷却液が流入する下層流路27aの流入口25近辺は、冷えた冷却液が流入するので温度の低い状態だが、下層流路27a内を通過する過程で冷却液は用紙4からの熱を受熱し、その温度を徐々に上昇させながらターン流路27cに向かって流れて行く。すると当然、下層流路27aの流入口25近辺とターン流路27c近辺では冷却液に温度差が生じる。つまり、冷却性能に差が生じることになり、用紙4の両端で冷え方に違いが出てしまう原因となる。図18のような狭間隙な流路の場合でも少なからず、その問題が危惧される。
そこで本構成例では、例えば図19(c)、図19(d)に示すように、用紙4が冷却プレート11を通過した時点での用紙4の両端(図中の左右方向)の冷え方に違いが出てしまうことがないように、二階層流路の流入口25と排出口28の位置を下層流路27aと上層流路27bで逆にして、二つの二階層流路を流れるの冷却液の流通方向を相対する向きとした。図19(c)と図19(d)とでは、用紙4の搬送方向上流側の二階層流路においては、流入口25を下層流路27aに、そして排出口28を上層流路27bに設けている。
また、用紙搬送方向下流側の二階層流路においては、流入口25を上層流路27bに、そして排出口28を下層流路27aに設けている。この状態で冷却液を流す。すると、両方の下層流路27aに注目すると、用紙搬送方向上流側は図中左から右へ、用紙搬送方向下流側は図中右から左へと冷却液が流れ、用紙搬送方向上流側と下流側で冷却液の流通方向が反対向きとなる。その結果、用紙搬送方向上流側の流路の冷却液温度は図中左側が低く、用紙搬送方向下流側の流路の冷却液温度は図中右側が低くなる。よって、図18よりも冷却プレート11の温度勾配を抑えることができ、また用紙4の両端が、各流路の冷却液温度の低い領域を同じ回数だけ通過するので、用紙4が冷却プレート11を通過した時点で、用紙4両端の冷え方が同じとなる。
本実施形態では、これまで熱交換装置を定着後の用紙4を冷却する冷却手段である冷却装置12に適応したが、同じように用紙4の冷却手段として、定着後の用紙4のカールを矯正するカール矯正装置や、用紙4に形成されたトナー画像の光沢度を制御する光沢制御装置など、出力した画像品質や用紙状態品質の高品位化装置としても適応可能ある。これらの場合においても、冷却装置12と同様に、熱定着装置116の直後に熱交換装置を配設すれば良い。
また、本実施形態の熱交換装置は冷却手段としてだけではなく、流動媒体を熱交換体に流入させる前に温めておけば加温手段としても用いることができる。例えば画像転写前に用紙4を温める加温装置に用いることができ、その場合は用紙収納部119とレジストローラ対21との間に配設する。画像転写前に用紙4を温めるのは、転写時における中間ベルトなどとの転写性向上や、用紙4の含有水分量のコントロールなどからである。
加温装置に適応する際は、その装置構成としては図14の冷却装置12をそのまま利用することができる。冷却装置12の部品名称を変えて図12に示すように加温装置212として見ると、冷えた用紙4は加温ベルトユニット213の加温ベルト215と搬送ベルトユニット214の搬送ベルト216とによる狭持搬送の間に加温ベルト215によって給熱されるが、その給熱する熱は、加温液205と熱交換する加温プレート211によって伝導される。熱交換によって加温プレート211と加温ベルト215とが温められることで、用紙4が加温され、用紙4の温度が上がるのである。
また、加温液205の循環も図14と同様に、加温プレート211の内部に形成した流路227と加温液循環手段220とで構成した閉ループの循環システムによって循環するようにしている。その循環過程で温められた加温液205が加温プレート211の流路を流通することで、加温プレート211の加温面219が温まるのである。
加温面219で吸い取って冷えた温度を加温プレート211内に形成された二つの流路227に伝達して加温液205を冷やし、その冷やされた加温液205を加温プレート211から排出する。そして排出された加温液205は、タンク101、ポンプ100、ファン104を装着したラジエータ103に送られる。このとき例えば、熱定着装置116から排熱される熱をファン104によってラジエータ103に送風し、冷えた加温液205をラジエータ103で温めて高い温度に上げる。その後、温まった加温液205は、加温プレート211の流入口(不図示)から再び流路227へと供給される。このような加温液循環の給熱サイクルによって、低温の用紙4が効率良く温められるのである。
なお、加温液205を温める手段としては、ヒーターや温風器などの発熱装置でも良いが、熱定着装置116など画像形成装置内の熱源を利用すれば、熱の再利用が可能となり、省エネルギー化など環境性の高い装置となる。