図1を参照して、この発明の一実施例である管路更生工法は、既設管路100内に新設管(挿入管)12を挿入して更生管路10を形成することによって、既設管路100を更新・更生するものである。この管路更生工法では、既設管路100内へ新設管12を挿入する際などに、既設管路100の内面と新設管12の外面との間に保護シート14が介在される。
既設管路100は、老朽化等により更新または更生を必要としているものであり、その用途および構成材料には、種々のものを適用し得るが、たとえば、ガス、上下水道、通信ケーブル保護または電力ケーブル保護等の用途であってよいし、また、鉄筋コンクリート管、鋳鉄管、鋼管ならびに合成樹脂管等から構成される管路であってよい。
たとえば、この実施例では、既設管路100が鋳鉄管によって構成された埋設管路である場合を想定しており、既設管路100の管径は、たとえば250mmである。
図1および図2に示すように、新設管12は、幾つかの管路部材16を接合することによって構成される。管路部材16は、ポリエチレンなどのポリオレフィン系合成樹脂からなり、押出成形によって円筒状に形成される。管路部材16の径は、たとえば150mmであり、その管長は、たとえば5m程度に設定される。詳細は後に説明するように、この実施例では、施工時には、管路部材16の端面どうしを突き合わせて、それらをバット融着によって接合することによって、所望の長さの新設管12を形成するようにしている。
図1および図3に示すように、保護シート14は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂を素材として、長尺の矩形の平板状に形成される。保護シート14は、ドラム等の保持手段(図示せず)によってロール状に巻き取られており、連続的に引き出し可能に保持されている。詳細は後に説明するように、この実施例では、施工時には、保持手段から引き出した保護シート14の幅方向の両端部を中央側に巻き込むことによって、保護シート14を筒形状に成形するようにしている。保護シート14の幅方向の長さは、既設管路100の周長よりも大きく(長く)なるように設定され、たとえば790mmであり、その厚みは、たとえば0.3−0.5mmである。また、保護シート14の長手方向の長さは、たとえば150m程度に設定されている。
図4−図19を参照して、この実施例の管路更生工法によって既設管路100を更生する方法を以下に示す。
先ず、更生管路10の敷設区間の両端に発進立抗102および到達立抗104を掘削して、更新対象とする既設管路100の両端を発進立抗102および到達立抗104内でそれぞれ開口させる。
それから、発進立抗102および到達立抗104の近辺に、施工に必要な各種装置および挿入する管等を準備(搬入)する。具体的には、終点の到達立抗104側には、牽引ワイヤ30を巻き取るためのウインチ32を配置する。一方、始点の発進立抗102側には、引き込み用ロープ34およびバット融着機36を準備する。
続いて、図4に示すように、通線工具38を使用して、牽引ワイヤ18の引込作業を行う。なお、通線工具38には、たとえば通線ロッド38a等を備える従来公知のものを用いるとよい。
牽引ワイヤ30の引込作業を行う際には、先ず、発進立抗102側の開口端100aから既設管路100内に通線工具38の通線ロッド38aを挿入し、その通線ロッド38aの先端が到達立抗104側の開口端100bに到達するまで通線ロッド38aを押し込む。そして、通線ロッド38aの先端が既設管路100の開口端100bに到達すると、そこで通線ロッド38aの先端に牽引ワイヤ30を連結して、通線ロッド38aを発進立抗102側の開口端100aに引き戻すことによって、牽引ワイヤ30を開口端100bから開口端100aまで既設管路100内に引き込む。なお、この実施例では、牽引ワイヤ30は、詳細は後述する動滑車54を介して挿通治具40を牽引することができるように、先端部が到達立抗104内で固定された状態でウインチ32に巻き取られているので、通線ロッド38aの先端に牽引ワイヤ30を連結する際には、牽引ワイヤ30を折り返した部分を通線ロッド38aの先端(のフックやリングなど)に通すようにする。
次に、図5および図6に示すように、挿通治具40を使用して、既設管路100の導通確認作業を行う。
ここで、導通確認作業の具体的な説明に先立って、挿通治具40について説明しておく。たとえば、この実施例では、挿通治具40は、図7(a)に示すように、鋼やステンレス等の一定以上の硬度を有する金属からなる本体42を含む。本体42は、軸方向の一方端部を縮径(先鋭化)させた円筒状に形成され、その最大外径は、既設管路100の内径よりも小さくなるように設定され、たとえば240mmである。また、本体42の軸方向の長さは、たとえば750mmである。本体42の内面には、図7(b)に示すように、軸方向の中央部付近に、本体42内の空間を軸方向に仕切るセパレータ(仕切り部)44が形成される。セパレータ44は、周縁が本体42の内面と一体化したドーナツ板状に形成される。セパレータ44の中央部には、貫通孔46が形成され、この貫通孔46が、セパレータ44によって仕切られた本体42内の空間を連通している。
図5および図6に戻って、導通確認作業を行う際には、先ず、挿通治具40の貫通孔46にスタッドボルト48を通し、そのスタッドボルト48の前後方向の両端部にアイナット50,52を取り付ける(螺合させる)。なお、アイナット50,52には、先端にリング50a,52aが設けられた従来公知のものを用いるとよい。
続いて、挿通治具40の前方側(つまり、挿通治具40の挿入方向の前方側)に、動滑車54を取り付ける。なお、動滑車54には、従来公知のものを適宜用いることができ、この発明の要旨ではないので、その詳細な説明は省略する。簡単に言えば、動滑車54は、円板形状に形成された軸部56と、軸部56を周方向に回転自在に支持する支持部58と、支持部58の後方側に設けられるフック60とを備えている。このような動滑車54を挿通治具40に取り付ける際には、スタッドボルト48の前方端部に取り付けたアイナット50のリング50aに動滑車54のフック60を連結し、動滑車54の軸部56に牽引ワイヤ30を折り返した部分を掛ける(装着する)とともに、スタッドボルト48の後方端部に取り付けたアイナット52のリング52aに、引き込み用ロープ34を折り返した部分を掛ける。
それから、牽引ワイヤ30をウインチ32で巻き取ることによって、挿通治具40を発進立抗102側の開口端100aから既設管路100内に引き込む。このとき、ウインチ32で牽引ワイヤ30を巻き取ると、動滑車54およびアイナット50を介してスタッドボルト48が前方に引っ張られる。すると、スタッドボルト48の後方端部に取り付けたアイナット52が挿通治具40のセパレータ44に当たってそこで係止され、これによって、挿通治具40全体が前方に引っ張られて既設管路100内に引き込まれる。
挿通治具40が既設管路100の到達立抗104に到達すると、挿通治具40の損傷を確認し、問題がなければ(すなわち、挿通治具40に目立った損傷がなければ)、動滑車54から牽引ワイヤ30を取り外し、アイナット52から引き込み用ロープ34を取り外す。こうすることにより、引き込み用ロープ34が開口端100aから開口端100bまで既設管路100内に引き込まれた状態になる。
次に、図8に示すように、挿通治具40およびブラッシング部材62を使用して、既設管路100内のブラッシング作業を行う。
ここで、ブラッシング作業の具体的な説明に先立って、ブラッシング部材62について説明しておく。たとえば、この実施例では、ブラッシング部材62は、スタッドボルト64に前後方向に所定間隔でホイールブラシ66を取り付ける(螺合させる)とともに、そのスタッドボルト64の前後方向の両端部にアイナットを取り付けたものである。ホイールブラシ66は、既設管路100の内面を研削・研磨して突起(錆コブなど)を除去するためのものであり、従来公知のものを適宜用いることができる。簡単に言えば、ホイールブラシ66は、図9に示すように、スタッドボルト48に螺合するねじ部66aと、ねじ部66aの周囲に設けられたステンレス線や鋼線などからなるブラシ部66bとを含み、ブラシ部66bの外径は、既設管路100の内径と略等しく設定される。
図8に戻って、既設管路100内のブラッシング作業を行う際には、先ず、先ほど使用した挿通治具40の動滑車54に、上述と同じ要領で、引き込み用ロープ34を折り返した部分を掛けるとともに、スタッドボルト48の後方側に取り付けたアイナット52のリング52aに牽引ワイヤ30を折り返した部分を掛けて、牽引ワイヤ30にブラッシング部材62を接続する。
それから、たとえば発進立抗102に配備した作業員の手作業で引き込み用ロープ34を牽引することによって、挿通治具40およびブラッシング部材62をこの順に到達立抗104側の開口端100bから既設管路100内に引き込む。そして、既設管路100の内面に突起があれば、その突起の位置でブラッシング部材62を前後させて、ブラッシング部材62のホイールブラシ66によって突起を研削・研磨する。このとき、挿通治具40の内部にカメラなどを設置しておき、既設管路100の内面に突起の位置を随時確認しながらブラッシング作業を行うようにしてもよい。
ブラッシング部材62が既設管路100の発進立抗102に到達すると、動滑車54から引き込み用ロープ34を取り外し、アイナット52から牽引ワイヤ30を取り外す。これにより、既設管路100の内面から突起などが除去されて、既設管路100の内面が洗浄されるとともに、牽引ワイヤ30が開口端100bから開口端100aまで既設管路100内に引き込まれた状態になる。
次に、図10および図11に示すように、挿通治具40および先導ヘッド68を使用して、保護シート敷設作業を行う。
ここで、保護シート敷設作業の具体的な説明に先立って、先導ヘッド68について説明しておく。先導ヘッド68は、筒形状に成形した保護シート14を取り付けるためのものであり、ポリエチレンなどのポリオレフィン系合成樹脂によって円筒状に形成される。たとえば、この実施例では、先導ヘッド68は、3つの短管68aをバット融着によって接合することによって形成され、その外径は、挿通治具40の最大外径(最大外径)よりも小さく設定され、たとえば200mmである。短管68aどうしの接合部分には、ビード70が形成されている。
たとえば、この実施例では、先導ヘッド68は、連結部材72を介して、挿通治具40の後方側(つまり、挿通治具40の挿入方向の後方側)に固定される。連結部材72は、図12に示すように、略円筒形状に形成される本体74を含み、挿通治具40の内部に配置される。本体74は、略半円筒状の本体部材74a,74bをボルトおよびナットで連結することによって構成される。図12および図13(a)に示すように、本体74の軸方向の一方端部には、本体74の内面側に環状に突出する係止部76が形成されている。また、図12および図13(b)に示すように、本体74の内周面には、その全面に亘ってランダムに歯形状(鋸歯形状)の食い込み部78が形成されている。食い込み部78の先端の内径は、先導ヘッド68の外径よりもやや小さく設定され、図14に示すように、この食い込み部78が先導ヘッド68の外周面に食い込むことによって、連結部材72の内側に先導ヘッド68が固定される。また、本体74の内部には、ドーナツ板状の係止部材80が設けられる。係止部材80は、連結部材72の係止部76と先導ヘッド68との間に介在され、その外径は、先導ヘッド68の内径よりも大きく設定される。係止部材80の中央部には、スタッドボルト48を挿通させるための挿通孔82が形成される。
図10および図11に戻って、保護シート14の敷設作業を行う際には、先ほど使用した挿通治具40の後方側に、保護シート14の先端部分を取り付けた先導ヘッド68を固定する。
具体的には、先ず、係止部76と先導ヘッド68の前方端面との間に係止部材80を介在させた状態で、2つの本体部材74a,74bによって先導ヘッド68を挟み込む。そして、本体部材74a,74bどうしをボルトおよびナットで締め付けて、食い込み部78を先導ヘッド68の外面に食い込ませることにより、連結部材72の内側に先導ヘッド68を固定する。続いて、スタッドボルト48の後方端部に取り付けたアイナット52を取り外し、そのスタッドボルト48を係止部材80の挿通孔84、ならびに先導ヘッド68の内部に通す。そして、スタッドボルト48にナット84を締め付けることによって、連結部材72の係止部76および係止部材80をセパレータ44との間に挟んだ状態で固定する。こうすることにより、先導ヘッド68は、挿通治具40と同心に位置しかつその大部分が挿通治具40の内部に収容された状態で、挿通治具40の後方側に固定される(図14参照)。
それから、保護シート14を図示しない保持手段から引き出して、図15に示すように、保護シート14の幅方向の両端部を中央側に巻き込むことによって、保護シート14を先導ヘッド68の外径に略等しい径の筒形状に成形する。そして、図10および図11に示すように、筒形状に成形した保護シート14の先端部分を、先導ヘッド68の外面を周方向全周に亘って覆うように配置し、番線や締め付けバンド等の締め付け具86によって先導ヘッド68の外面上に固定する。このとき、保護シート14の抜け防止効果を発揮できるように、締め付け具86をビード70のすぐ前方側に配置すると好適である。
そして、上述したのと同じ要領で、動滑車54に牽引ワイヤ30を掛けるとともに、スタッドボルト48の後方端部に再びアイナット52を取り付けて、そのアイナット52のリング52aに引き込み用ロープ34を掛ける。
それから、牽引ワイヤ30をウインチ32で巻き取ることによって、挿通治具40、先導ヘッド68および筒形状に成形した保護シート14をこの順に発進立抗102側の開口端100aから既設管路100内に引き込む。このとき、保護シート14は、牽引ワイヤ30が牽引されることによって生じた引き出し力によって図示しない保持手段から引き出され、またその先端部分が筒形状に成形された状態で先導ヘッド68に固定されていることにより、保持手段から引き出された保護シート14の幅方向の両端部が自然に中央側に巻き込まれるので、保護シート14を容易に筒形状に成形できる。そして、筒形状に成形した保護シート14をそのまま既設管路100内に引き込む。ただし、筒形状に成形した保護シート14には、一定の間隔を隔てて粘着テープ88などを貼り付けて、保護シート14が筒形状を保持できるように補強しておくとよい。
そして、先導ヘッド68、すなわち保護シート14の先端部分が既設管路100の到達立抗104に到達すると、動滑車54から牽引ワイヤ30を取り外すとともに、アイナット52から引き込み用ロープ34を取り外す。それから、スタッドボルト48からアイナット52を外して、挿通治具40から先導ヘッド68(および連結部材72)を取り外す。そして、保護シート14の両端部を発進立抗102側の開口端100aおよび到達立抗104側の開口端100bよりも外側で固定する。これにより、既設管路100内にその全長に亘って保護シート14が敷設されるとともに、引き込み用ロープ34が開口端100aから開口端100bまで既設管路100内に引き込まれた状態になる。
次に、到達立抗104において、引き込み用ロープ34と牽引ワイヤ30とを接続(締結)して、その接続部付近に、シリコンオイル等の滑剤を染み込ませた(含浸させた)スポンジ90を取り付ける。たとえば、スポンジ90には、従来公知のものを用いるとよいが、スポンジ72の大きさを、筒形状に成形した保護シート14の径に合わせた大きさに設定して、保護シート14の内面の周方向全周に滑剤を塗布できるようにする。そして、図16に示すように、たとえば発進立抗102に配備した作業員の手作業で引き込み用ロープ34を牽引することによって、スポンジ90を到達立抗104側の開口端100bから保護シート14内に引き込んで、保護シート14の内面に滑剤を塗布する。
そして、スポンジ90が発進立抗102側の開口端100aに到達すると、引き込み用ロープ34および牽引ワイヤ30からスポンジ90を取り外して、引き込み用ロープ34と牽引ワイヤ30との接続を解除する。これにより、既設管路100の内面の全体に滑剤が塗布されるとともに、牽引ワイヤ306が開口端100bから開口端100aまで既設管路100内に引き込まれた状態になる。
それから、図17および図18に示すように、挿通治具40および先導管92を使用して、新設管挿入作業を行う。
ここで、新設管挿入作業の具体的な説明に先立って、先導管92について説明しておく。先導管92は、図19に示すように、ポリエチレンなどのポリオレフィン系合成樹脂によって円筒状に形成され、上述した連結部材72を介して挿通治具40の後方側に固定される。たとえば、この実施例では、先導管92は、短管92aの後方側に異径管92bをバット融着によって接合することによって形成される。異径管92bは、後方側に向って拡径しており、その前方端部の径は、短管92aの径と等しく設定され、その後方端部の径は、管路部材16の径と略等しく設定される。
図17および図18に戻って、新設管12の挿入作業を行う際には、先ほど使用した挿通治具40の後方側に、先導管92を介して管路部材16を固定する。
具体的には、先ず、係止部76と先導管92の前方端面との間に係止部材80を介在させた状態で、2つの本体部材74a,74bによって先導管92の短管92aの部分を挟み込む。そして、本体部材74a,74bどうしをボルトおよびナットで締め付けて、食い込み部78を先導管92の短管92aの部分の外面に食い込ませることにより、連結部材72の内側に先導管92を固定する。続いて、スタッドボルト48を係止部材80の挿通孔84、ならびに先導管92の内部に通す。そして、スタッドボルト48にナット84を締め付けることによって、連結部材72の係止部76および係止部材80をセパレータ44との間に挟んだ状態で固定する。そして、先導管92の異径管92bの後方側の管端に管路部材16の端面を突き合わせて、それらをバット融着機36を用いてバット融着によって接合する。
それから、上述したのと同じ要領で、動滑車54に牽引ワイヤ30を掛けて、牽引ワイヤ30をウインチ32で巻き取ることによって、挿通治具40、先導管92および管路部材16をこの順に発進立抗102側の開口端100aから既設管路100内に引き込む。そして、管路部材16の大部分が既設管路100内に引き込まれると、その管路部材16の後方側の端面に別の管路部材16の端面を突き合わせて、それらをバット融着機36を用いてバット融着によって接合する。そして、牽引ワイヤ30をウインチ32でさらに巻き取ることによって、新しく接合した管路部材16の大部分が既設管路100内に引き込まれると、その管路部材16の後方側の端面にさらに別の管路部材16の端面を突き合わせて、それらをバット融着機36を用いてバット融着によって接合する。
これを繰り返すことによって、新しく接合した管路部材16を順次既設管路100内に引き込んでいく。そして、先頭の管路部材16が到達立抗104に到達すると、動滑車54から牽引ワイヤ30を取り外すとともに、挿通治具40から先導管92を取り外し、その先導管92を切断して、作業を終了する。これにより、新設管12が既設管路100内の全長に亘って挿入され、既設管路100の内部に更生管路10が形成される。
以上のように、この実施例では、保護シート14の先端部分が挿通治具40よりも小径の先導ヘッド68に取り付けられ、その先導ヘッド68が挿通治具40の後方側に、挿通治具40と同心に位置させた状態で固定される。
すなわち、この実施例によれば、保護シート14の先端部分を取り付けた先導ヘッド68を既設管路100の内面に接触しないように挿通治具40の後方側に固定しているので、既設管路100内に保護シート14を敷設する際に、先導ヘッド68の重量により保護シート14の先端部分と既設管路100の内面との間で摩擦損傷がおきることを回避することができる。したがって、保護シート14の先端部分が破断して挿通治具40から外れてしまうなどの施工作業に支障をきたす不具合が生じない。
さらに、この実施例では、既設管路100内へ新設管12を挿入する際に、既設管路100内の底部が保護シート14により被覆されているので、新設管12の管底部が既設管路100の内面の突起(錆コブなど)などと接触して損傷することがない。しかも、新設管12の管底部と既設管路100内の底部との間の摩擦抵抗を低減させることができ、たとえば既設管路100が曲がり管部などを有している場合であっても、上述した特許文献1の技術のように、その曲がり管部にスペーサが引っ掛かってしまう危険性もないので、既設管路100内への新設管12の挿入作業をスムーズに行うことが可能になる。
したがって、この実施例によれば、新設管12が損傷することを回避しつつ、更生管路10を簡単に施工することができるようになる。
さらにまた、この実施例のように、筒形状に成形した保護シート14を既設管路100内に引き込むようにすれば、既設管路100の内面がその周方向全周に亘って保護シート14に被覆されるので、保護シート14が周方向に回転する、所謂ローリング現象などが生じても、新設管12が既設管路100の内面の突起(錆コブなど)などと接触して損傷することがない。
また、この実施例では、先導ヘッド68を固定した挿通治具40を牽引して既設管路100内に保護シート14を敷設した後で、その挿通治具40の内部に新設管12(の先導ヘッド68)を固定し、挿通治具40を牽引して既設管路100内に新設管12を挿入するようにしている。すなわち、この実施例によれば、同じ挿通治具40を使い回しして、保護シート敷設作業や新設管挿入作業を行うことが可能である。このため、保護シート14を敷設するための設備(治具など)と新設管を挿入するための設備とを別途用意する必要がなく、施工コストを抑えることができるので、経済的である。言い換えると、このような挿通治具40は汎用性が高いので、安価に更生管路10を形成することができるようになる。
しかも、この実施例では、挿通治具40の後方側にブラッシング部材62を固定し、そのブラッシング部材62によって既設管路100の内面のブラッシング作業を行うようにしているので、高圧ジェット洗浄、ピグ洗浄、サンド洗浄などの従来の洗浄方法を行う必要がない。そして、保護シート14の敷設を最低限可能にする既設管路100内の底部の洗浄を簡単に行うことができるようになるので、施工性を向上させることができる。さらに、同じ挿通治具40を使い回しして、既設管路100の内面の洗浄を作業を行うようにすることで、さらなる省コスト化が可能である。
さらにまた、この実施例では、矩形の平板状に形成された保護シート14の幅方向の両端部を中央側に巻き込むことによって、保護シート14を筒形状に成形するようにしているので、保護シート14を管径の異なる複数の既設管路100に適用可能である。すなわち、既設管路100の管径に応じてサイズの異なる保護シートを用意する必要がなく、品揃え点数を少なくすることができるので、その分だけコストを低減することが可能である。
その上、保護シート14がその幅方向の両端部を中央側に巻き込んで筒形状に成形されることにより、既設管路100内への敷設後に、保護シート14には拡径方向への張力が作用することとなる。したがって、既設管路100内に保護シート14を敷設した後で、保護シート14が既設管路100の内面側へ垂れ込むこともなくなるまたは低減される。
なお、上述の実施例では、新設管12の挿入作業を行う際に、挿通治具40の後方側に先導管92を介して管路部材16(つまり、新設管12)を固定したが、これに限定される必要はない。たとえば、図示は省略するが、挿通治具40の後方側に直接管路部材16を固定(つまり、連結部材72の内側に直接管路部材16を固定)して、新設管12を既設管路100内に引き込むようにしてもよい。
また、先導管92と管路部材16とを、または管路部材16どうしを予め地上でバット融着機36を用いてバット融着によって接合させておいて、その後、発進立抗102から既設管路100内に引き込むようにしてもよい。
さらにまた、必ずしも先導管92と管路部材16とを、または管路部材16どうしをバット融着機36を用いてバット融着によって接合する必要はなく、先導管92と管路部材16とを、または管路部材16どうしをメカニカル継手やEF継手等の継手によって接合させるようにしてもよい。さらに、たとえばドラム等に巻き付けた長尺の管を新設管12として利用するようにしてもよい。
さらに、上述の実施例では、挿通治具40の前方側に動滑車54を取り付け、その動滑車54に牽引ワイヤ30や引き込み用ロープ34を折り返した部分を掛けて、挿通治具40を牽引するようにした。このため、挿通治具40を牽引するときの引張力を1/2程度に低減させることが可能になり、保護シート14や新設管12などをスムーズに既設管路100内に引き込むことができた。
しかしながら、これに限定される必要はなく、スタッドボルト48の前方端部に取り付けたアイナット50に直接牽引ワイヤ30や引き込み用ロープ34を連結して、挿通治具40を牽引するようにしてもよい。この場合には、牽引ワイヤ30や引き込み用ロープ34を折り返した部分をアイナット50,52に掛ける必要はなく、牽引ワイヤ30や引き込み用ロープ34の先端部をアイナット50,52に連結(締結)させるだけでよい。
また、挿通治具40の前方側に取り付ける滑車装置として、定滑車と幾つかの動滑車とを組み合わせた複滑車を利用するようにしてもよい。
さらに、挿通治具40の前方側のみならず、挿通治具40の後方側にも動滑車54を取り付けるようにしてもよい。
さらにまた、挿通治具40の内部に動滑車54を収容するようにしてもよい。
一例を挙げると、図20に示す実施例では、動滑車54は、略円柱状に形成される軸部56と、その軸部56を周方向に回動自在に支持する支持部58と、アイナット50のリング50aに連結可能なフック60とを備えており、挿通治具40の本体42の縮径部分の開口42aから挿通治具の内部に収容することが可能なサイズであって、かつその開口42aからセパレータ44までの軸方向長さに収まるサイズに設定されている。
図20に示す実施例のように、動滑車54を挿通治具40の内部に収容して使用するようにすれば、牽引ワイヤ30や引き込み用ロープ34と動滑車54との連結部分が挿通治具40の内部に隠れて、挿通治具40によって防護されるようになる。このため、保護シート14の敷設時などに、牽引ワイヤ30や引き込み用ロープ34と動滑車54との連結部分が既設管路100の内面などに衝突してしまうことがなく、その衝突によって牽引ワイヤ30や引き込み用ロープ34と挿通治具40とが分断されるなどの不具合が生じることもない。
なお、図20では、挿通治具40およびその内部に収容した動滑車54を使用して、既設管路100の内部に保護シート14を敷設する作業を行う様子を図示しているが、保護シート14内に新設管12を挿入する作業や、既設管路100の内面をブラッシングする作業でも同様に行うことができることは言うまでもない。
また、上述の実施例では、挿通治具40の本体42が軸方向の一方端部を縮径させた円筒形状に形成され、その内面には、本体42内の空間を軸方向に仕切るセパレータ44が形成された。そして、セパレータ44に形成された貫通孔46にスタッドボルト48を通し、そのスタッドボルト48の両端部にアイナット50,52を取り付け、アイナット50,52に牽引ワイヤ30や引き込み用ロープ34を連結した。
しかしながら、上述した挿通治具40の構成は、単なる例示であり、この発明の本旨を変更しない範囲内において、挿通治具40の構成は適宜変更可能である。
たとえば、必ずしも本体42は軸方向の一方端部を縮径させた円筒形状に形成される必要はなく、本体42はその最大径が既設管路100の内径よりも小さい円筒形状に形成されていればよい。
また、本体42の前後方向の両側に牽引ワイヤ30や引き込み用ロープ34を連結するための部位を設けるのであれば、必ずしもセパレータ44に形成された貫通孔46にスタッドボルト48を通し、そのスタッドボルト48の両端部にアイナット50,52を取り付ける構成にする必要もない。
要は、挿通治具40は、その前後方向の両端部に牽引ワイヤ30や引き込み用ロープ34を連結可能であって、かつその内部の空間に先導ヘッド68や新設管12の先端部を収容できる形状に形成されていればよい。
さらにまた、上述の実施例では、挿通治具40の最大外径よりも小さい径の先導ヘッド68を使用した。そして、挿通治具40の内部に連結部材72を配置し、その連結部材72の内側に保護シート14の先端部分を取り付けた先導ヘッド68を固定することによって、先導ヘッド68は挿通治具40と同心に位置しかつその大部分が挿通治具40の内部に収容された状態で固定された。
しかしながら、上述した挿通治具40と先導ヘッド68との固定方法は、単なる例示であり、保護シート14の先端部分を取り付けた先導ヘッド68を既設管路100の内面に接触しないように挿通治具40の後方側に固定することができるのであれば、この発明の本旨を変更しない範囲内において、任意の固定方法を採用することができる。
たとえば、先導ヘッド68を既設管路100と同軸方向に延ばした状態で固定的に支持できるのであれば、先導ヘッド68を挿通治具40と同心に位置させた状態で固定する必要はなく、挿通治具40の最大外径よりも小さい径の先導ヘッド68を使用する必要もない。また、必ずしも連結部材72を介して先導ヘッド68を固定する必要もなく、挿通治具40の後方端部と先導ヘッド68の前方端部とを嵌合させたり、係合させたりすることによって固定してもよい。
さらに、必ずしも先導ヘッド68を部分的に挿通治具40の内部に収容する必要もなく、挿通治具40の後ろ側に連続するように先導ヘッド68を固定してもよいし、先導ヘッド68の全体を挿通治具40の内部に収容するようにしてもよい。
また、上述の実施例では、挿通治具40を牽引することによって新設管12を保護シート14内に引き込むようにしたが、これに限定される必要はなく、新設管12を押し込んで保護シート14内に挿入するようにしてもよい。
さらにまた、上述の実施例では、保護シート14内に滑剤を染み込ませたスポンジ72を通過させることによって、保護シート14の内面に滑剤を塗布したが、これに限定される必要はなく、たとえば、既設管路100内へ新設管12を挿入する際に、新設管12の外面に滑剤を塗布するようにしてもよい。
さらに、上述の実施例では、筒形状に成形した保護シート14の中に、保護シート14よりも小さい径の新設管12を挿入したが、これに限定される必要はない。保護シート14の幅方向の長さを少なくとも既設管路100の周長よりも長く設定するのであれば、筒形状に成形した保護シート14の中に、その保護シート14の径よりも大きい径の新設管12を挿入するようにしてもよい。この場合には、既設管路100内に保護シート14を敷設した後、保護シート14内に新設管12を挿入すると、保護シート14の形状を補強していた粘着テープ70が外れて、保護シート14は新設管12の形状に合わせて拡径し、保護シート14が既設管路100の内面を周方向全周に亘って被覆することとなる。
さらにまた、上述の実施例では、保持手段から引き出して筒形状に成形した保護シート14に、一定の間隔で粘着テープ70を貼り付けるようにしたが、保護シート14を筒形状に保持するために補強する形状保持手段としては、保護シート14が筒形状を保持することができ、かつ容易に保護シート14から外れるようなものであれば、特に粘着テープ70に限定される必要はない。
ところで、上述の実施例では、筒形状に成形した保護シート14を既設管路100内に敷設して、その保護シート14の内部に新設管12を挿入することによって、既設管路100内に更生管路10を形成したが、これに限定される必要はない。
図21に示すように、この発明の他の一実施例である管路更生工法は、筒形状に成形した保護シート14と新設管12とを同時に既設管路100内に挿入することによって、更生管路10を形成するものである。以下、図1の実施例と同様の部分については、同じ参照番号を用い、その説明および図示を省略或いは簡略化する。
図22−図24を参照して、この管路更生工法によって既設管路100を更生する際には、先ず、更生管路10の敷設区間の両端に発進立抗102および到達立抗104を掘削した後、牽引ワイヤ30により挿通治具40を発進立抗102側の開口端100aから既設管路100内に引き込んで、導通確認作業を行う。そして、挿通治具40の損傷を確認し、問題がなければ、挿通治具40およびブラッシング部材62を使用して、上述と同じ要領で、既設管路100内のブラッシング作業を行う。
その後、牽引ワイヤ30と引き込み用ロープ34とを接続(締結)して、その接続部付近に、シリコンオイル等の滑剤を染み込ませたスポンジ72を取り付け、そのスポンジ72を既設管路100内に引き込むことによって、既設管路100の内面に滑剤を塗布する。
それから、図22および図23に示すように、挿通治具40および先導管94を使用して、新設管12の挿入作業を行う。なお、この実施例では、先導管94は、管路部材16と同径の短管94aどうしをバット融着によって接合することによって構成される。新設管12の挿入作業を行う際には、挿通治具40の後方側に、先導管94を介して、保護シート14によって被覆した管路部材16を固定する。
具体的には、先ず、挿通治具40の貫通孔46にスタッドボルト48を通し、そのスタッドボルト48の前方端部にアイナット50を取り付ける。そして、アイナット50のリング50aに動滑車54のフック60を連結し、動滑車54の軸部56に牽引ワイヤ30を折り返した部分を掛ける。
そして、上述したのと同じ要領で、係止部76と先導管94の前方端面との間に係止部材80を介在させた状態で、2つの本体部材74a,74bによって先導管94を挟み込み、本体部材74a,74bどうしをボルトおよびナットで締め付けて、食い込み部78を先導管94の外面に食い込ませることにより、連結部材72の内側に先導管94を固定する。続いて、スタッドボルト48を係止部材80の挿通孔84、ならびに先導管92の内部に通し、そのスタッドボルト48にナット84を締め付けることによって、連結部材72の係止部76および係止部材80をセパレータ44との間に挟んだ状態で固定する。こうすることにより、先導管94は挿通治具40と同心に位置しかつその大部分が挿通治具40の内部に収容された状態で固定される。そして、先導管94の外面における連結部材72よりも後方側に、筒形状に成形した保護シート14の先端部分を番線や締め付けバンド等の締め付け具86によって固定する。
それから、先導管94の後方側の管端に管路部材16の端面を突き合わせて、それらをバット融着機36を用いてバット融着によって接合する。そして、牽引ワイヤ30をウインチ32で巻き取ることによって、挿通治具40、先導管94、管路部材16および保護シート14を発進立抗102側の開口端100aから既設管路100内に引き込む。このとき、図25に示すように、保持手段から引き出された保護シート14の幅方向の両端部が自然に中央側に巻き込まれるので、保護シート14を容易に筒形状に成形できる。そして、筒形状に成形した保護シート14を、そのまま管路部材16とともに既設管路100内に挿入する。
そして、管路部材16の大部分が既設管路100内に引き込まれると、その管路部材16の後方側の端面に別の管路部材16の端面を突き合わせて、それらをバット融着機36を用いてバット融着によって接合する。そして、牽引ワイヤ30をウインチ32でさらに巻き取ることによって、新しく接合した管路部材16の大部分が、筒形状に成形した保護シート14とともに既設管路100内に引き込まれると、その管路部材16の後方側の端面にさらに別の管路部材16の端面を突き合わせて、それらをバット融着機36を用いてバット融着によって接合する。
これを繰り返すことによって、新しく接合した管路部材16を、筒形状に成形した保護シート14とともに順次既設管路100内に引き込んでいく。そして、先頭の管路部材16が到達立抗104に到達すると、動滑車54から牽引ワイヤ30を取り外すとともに、挿通治具40から先導管94を取り外し、その先導管94を切断して、作業を終了する。これにより、新設管12が既設管路100内の全長に亘って挿入され、既設管路100の内部に更生管路10が形成される。
このように、この実施例では、保護シート14が挿通治具40よりも小さい径の新設管12(先導管94)に取り付けられ、その新設管12の先端部分が既設管路100の内面に接触しないように挿通治具40の後方側に固定される。
すなわち、この実施例によれば、保護シート14を取り付けた新設管12の先端部分を既設管路100の内面に接触しないように挿通治具40の後方側に固定ようにしているので、既設管路100内に保護シート14および新設管12を挿入する際に、新設管12の重量により保護シート14の先端部分と既設管路100の内面との間で摩擦損傷がおきることを回避することができる。したがって、保護シート14の先端部分が破断して挿通治具40から外れてしまうなどの施工作業に支障をきたす不具合が生じない。
さらに、この実施例では、保護シート14によって外面を被覆した新設管12を既設管路100内に挿入することによって、既設管路100内に更生管路10を形成するようにしている。
すなわち、この実施例では、既設管路100内へ新設管12を挿入する際に、新設管12の管底部の外面が保護シート14に被覆されているので、新設管12の管底部が既設管路100の内面の突起(錆コブなど)などと接触して損傷することがなく、しかも新設管12の管底部と既設管路100内の底部との間の摩擦抵抗を低減させることができる。
したがって、この実施例においても、図1の実施例と同様に、新設管12が損傷することを回避しつつ、更生管路10を簡単に施工することができるようになる。
なお、この実施例では、新設管12の外面を保護シート14によって被覆する作業と、その新設管12を既設管路100内に挿入する作業とが並行して行われた。すなわち、牽引ワイヤ30をウインチ32で巻き取ることによって、バット融着で接合した管路部材16の外面を保護シート14によって被覆しながら、管路部材16を既設管路100内に挿入したが、これに限定される必要はない。たとえば、地上で予め保護シート14によって新設管12の外面を被覆しておき、その新設管12を既設管路100内に挿入するようにしてもよい。
また、この実施例では、既設管路100内に滑剤を染み込ませたスポンジ72を通過させることによって、既設管路100の内面に滑剤を塗布したが、これに限定される必要はなく、たとえば、筒形状に成形した保護シート14の外面に滑剤を塗布するようにしてもよい。
さらに、この実施例では、挿通治具40に固定した先導管94の後方側に管路部材16をバット融着接合することによって、所望の長さの新設管12を形成したが、これに限定される必要はない。たとえば、挿通治具40の後方側に管路部材16を固定し(つまり、連結部材72の内側に管路部材16を直接固定し)、その管路部材16の後方側に管路部材16をバット融着接合することによって、必要な長さの新設管12を形成するようにしてもよい。
さらにまた、この実施例においても、図23で図示した動滑車54に代えて、図20で図示した動滑車54を利用するようにしてもよい。
なお、上述の各実施例では、保護シート14を筒形状に成形するものとして説明した。しかしながら、必ずしも保護シート14を筒形状に成形する必要はなく、既設管路100内への新設管12の挿入時等に、既設管路100内の少なくとも底部において、既設管路100の内面と新設管12の外面との間に保護シート14が介在されていればよい。
さらに、上述の各実施例では、保護シート14の先端部分を取り付けた先導ヘッド68を挿通治具40の後方側に固定し、その挿通治具40を既設管路100内に引き込むことによって、保護シート14を既設管路100内に敷設したが、これに限定される必要もない。保護シート14の先端部分を取り付けた先導ヘッド68を、少なくとも保護シート14を取り付けた範囲において既設管路100の内面に接触しないように既設管路100内に引き込むようにするのであれば、先導ヘッド68を牽引ワイヤ30等によって直接牽引するようにしてもよい。一例を挙げると、図示は省略するが、先導ヘッド68を前方端部を拡径させた円筒形状に形成し、先導ヘッド68の拡径部分よりも後方側に保護シート14の先端部分を取り付けて、その先導ヘッド60を少なくとも保護シート14を取り付けた範囲において既設管路100の内面に接触しないように既設管路100内に引き込むようにするのであれば、挿通治具40は不要になる。
さらにまた、上の説明では、同じ挿通治具40を使い回しして、既設管路100の導通確認作業や、既設管路100内のブラッシング作業や、保護シート14の敷設作業や、新設管12の挿入作業を行うものとして説明した。しかしながら、明細書中における「同じ」とは、厳密に先の作業で使用した挿通治具40である必要はなく、同じ材質・形状・サイズで製造された挿通治具をも包含する意図であることに留意されたい。この場合には、挿通治具が同じ材質・形状・サイズであることにより大量生産するのに好都合であり、挿通治具の製造コストを抑えることができるようになる。
また、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。