JP5901555B2 - 地上子情報読取装置 - Google Patents

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Description

本発明は、変周式の自動列車停止装置に関し、特に、変周方式の自動列車停止装置を構成する車上装置から地上子の共振周波数とQ値とを測定する地上子情報読取装置に関する。
自動列車停止装置(ATS:Automatic Train Stop)は、非特許文献1に示されるように、運転士が信号を見落として進行した場合に、ブレーキ指令を出力して、衝突、脱線などの列車事故を防止する列車保安装置の一つである。
変周式ATSは、車上子を帰還回路として常時一定の信号を送信し、車上子と地上子の電磁結合時に、その送信信号が地上子の共振周波数において変化することにより、地上子を検出し地上子の共振周波数を読み取る。地上子はインダクタ(L)とコンデンサ(C)とで共振回路を構成し、その共振周波数は列車進行方向の信号機の色(進路情報)にしたがって設定される。
鉄道事業者は、地上子の共振周波数と、共振回路の品質を示すQ値とを定期的に測定し、地上子の性能を維持管理している。現状の地上子の共振周波数とQ値との測定は、保守員が測定器を用いて地上子を一つ一つ測定し、良否判定を行っている。そのために、地上子の点検作業の効率化を目的として、測定器を列車に搭載し、走行中に地上子の共振周波数とQ値との測定を行いたいとの要望がある。
地上子の共振周波数とQ値とを測定する装置として、例えば特許文献1に示す地上子の測定装置は、車上子の1次側コイルに所定周波数まで平坦なスペクトル信号を送信し、車上子と地上子が電磁誘導結合した時に、車上子の2次側コイルに発生する受信信号をアナログデジタル変換でサンプリングし、離散フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理で得られた受信信号のスペクトルから地上子の共振周波数とQ値とを読み取る構成となっている。
特開平5−264617号公報
日本鉄道電気技術協会著,「鉄道電気技術者のための信号概論ATS・ATC[改訂版]」、社団法人日本鉄道電気技術協会,2001年7月発行
しかしながら、特許文献1に開示の装置構成では、測定に必要なデータを取得する時間(サンプリング時間)が長いため、走行中の地上子と車上子との短い結合時間では、共振周波数とQ値を測定できないという問題があった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、地上子の共振周波数とQ値とを短時間で精度良く測定できる地上子情報読取装置を提供することにある。
本発明に係る地上子情報読取装置は、
列車に搭載されかつ互いに磁気的に結合された1次側コイル及び2次側コイルで構成された車上子により受信された受信信号に基づいて、上記車上子と電磁的に結合する地上子の共振回路の共振周波数を検出することにより上記地上子を検出する地上子情報読取装置において、
上記地上子の共振周波数に一致する周波数を有するキャリア波信号を生成し、所定の拡散コード信号に従って上記キャリア波信号を変調して変調信号を生成し、上記変調信号を含む送信信号を生成して上記車上子の1次側コイルを介して上記地上子の共振回路及び上記車上子の2次側コイルに送信する送信手段と、
上記送信された送信信号を上記2次側コイルにより受信信号として受信し、Q値測定手段により上記キャリア波信号を参照信号として用いて、上記受信信号をベースバンド信号に直交検波して、上記ベースバンド信号の振幅値を表す信号波形の立上り時間または立下り時間に基づいて上記地上子の共振回路のQ値を算出する受信手段とを備えたことを特徴とする。
本発明に係る地上子情報読取装置によれば、地上子の共振周波数とQ値との測定に必要なデータ収集時間を短くできるので、列車走行中の車上子と地上子との短い結合時間でも、地上子の共振周波数とQ値とを精度良く測定することができる。
本発明の第1の実施形態に係る列車900に搭載される地上子情報読取装置100及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。 図1の受信装置400のQ値測定部420及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。 図1の受信装置400の応答解析部450及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。 (a)は図1の送信装置200の発振器210により生成された、キャリア波信号Scの時間tに対する振幅レベルの変化を示す時間軸波形図であり、(b)は(a)と経過時間軸を共通にし、図1の送信装置200の符号生成器220が生成した、拡散コード信号COの時間tに対するコード値の変化を示す時間軸波形図であり、(c)は(a)と経過時間軸を共通にし、図1の送信装置200の変調器230において生成され出力された、地上子検知波信号Sdの時間tに対する振幅レベルの変化を示す時間軸波形図であり、(d)は(a)のキャリア波信号Scの周波数fに対するスペクトル強度Pの変化を示すスペクトル図と、(c)の地上子検知波信号Sdの周波数fに対するスペクトル強度Pの変化を示すスペクトル図である。 (a)は、図1の地上子600と図1の車上子300とが磁気的結合していない状態における、図1の送信装置200からの増幅された地上子検知波信号Stが、車上子300を介して地上子測定波信号Srとして図1の受信装置400により受信されることを示すブロック図であり、(b)は(a)の増幅された地上子検知波信号Stの周波数fに対するスペクトル強度Ptの変化を示すスペクトル図であり、(c)は(a)の地上子測定波信号Srの周波数fに対するスペクトル強度の変化を示すスペクトル図である。 (a)は図1の地上子600の利得GdBの周波数fに対する利得の変化を示す振幅周波数特性図であり、(b)は図1の地上子600の位相値θ度の周波数fに対する位相値の変化を示す位相周波数特性図である。 (a)は、図1の地上子600と図1の車上子300とが磁気的結合している状態における、図1の送信装置200からの増幅された地上子検知波信号Stが、車上子300を介して地上子測定波信号Srとして図1の受信装置400により受信されることを示すブロック図であり、(b)は、高いQ値を有する地上子600と磁気的結合した車上子300から受信される(a)の地上子測定波信号Srの、周波数fに対するスペクトル強度Prの変化を示すスペクトル図であり、(c)は、中間値のQ値を有する地上子600の共振回路と磁気的結合した車上子300から受信される(a)の地上子測定波信号Srの、周波数fに対するスペクトル強度Prの変化を示すスペクトル図であり、(d)は、低いQ値を有する地上子600の共振回路と磁気的結合した車上子300から受信される(a)の地上子測定波信号Srの、周波数fに対するスペクトル強度Prの変化を示すスペクトル図である。 (a)は、図7(b)の状態において、図2の振幅算出部428から出力された、ベースバンド信号の時間tに対する振幅値Mの変化を示す振幅波形図であり、(b)は、図7(c)の状態において、図2の振幅算出部428から出力された、ベースバンド信号の時間tに対する振幅値Mの変化を示す振幅波形図であり、(c)は、図7(d)の状態において、図2の振幅算出部428から出力された、ベースバンド信号の時間tに対する振幅値Mの変化を示す振幅波形図であり、(d)は、図2の符号抽出部421の中で使用される、図1の送信装置200の符号生成器420により生成された拡散コード信号COの時間tに対するコード値を示す参照コード波形図である。 図1の地上子判定部800における、図1の車上子300と図1の地上子600との磁気的結合の有無を判定するベースバンド信号の振幅値M及び位相値θ度の閾値810を示す2次元平面図である。 図1の受信装置400の共振周波数測定部470における共振周波数の算出方法を説明するための2次元平面図である。 本発明の第2の実施形態に係る列車900Aに搭載される地上子情報読取装置100A及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。 図11の受信装置400AのQ値測定部420A及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。 (a)は、図11の列車900Aに搭載した車上子300が図11の地上子600の上を通過する様子を示す概略図であり、(b)は、(a)の車上子300と地上子600との結合距離に対する、車上子300と地上子600との磁気的結合の強さである結合強度を示す結合強度分布図であり、(c)は、(b)の領域1で示した区間で観測される、図12の振幅算出部428から出力された、ベースバンド信号の時間tに対する振幅値Mの変化を示す振幅波形図であり、(d)は、(b)の領域2で示した区間で観測される、図12の振幅算出部428から出力された、ベースバンド信号の時間tに対する振幅値Mの変化を示す振幅波形図であり、(e)は、図12の符号抽出部421の中で使用される、図11の送信装置200の符号生成器420により生成された拡散コード信号COの時間tに対するコード値を示す拡散コード波形図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係る列車900に搭載される地上子情報読取装置100及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。図1において、列車900は、車上子300と地上子600との磁気的な結合の有無を判定する地上子情報読取装置100と、信号機650の信号情報に応答して列車900が衝突もしくは脱線事故に至らないように列車900のブレーキ(図示せず。)に対して所定の制御を行うなどの、列車900を制御する制御手段である列車制御装置700とを備えて構成されている。
図1において、地上子情報読取装置100は、送信装置200と、車上子300と、受信装置400と、地上子600と車上子300とが磁気的に結合しているか否かを判定し、その結果を列車制御装置700に出力する地上子判定手段である地上子判定部800と、列車900の走行位置情報を算出して記録及び表示部500に出力する位置算出手段である位置算出部510と、算出された走行位置情報を記録及び表示する記録及び表示手段である記録及び表示部500とを備えて構成される。
送信装置200は、地上子600に設定される共振周波数に一致する正弦波のキャリア波信号Scを生成する発振器210と、所定の拡散コード信号COを生成する符号生成器220と、拡散コード信号COに従ってキャリア波信号Scを変調して変調信号である車上子検知波信号Sdを生成する変調器230と、車上子検知波信号Sdを増幅して増幅された地上子検知波信号Stを上記変調信号を含む送信信号として生成し、車上子300の1次側コイル300aを介して地上子600の共振回路及び車上子300の2次側コイル300bに送信する送信増幅器240とを備えて構成される。
受信装置400は、送信装置200から送信された送信信号を車上子300の2次側コイル300bにより受信信号として受信し、受信された受信信号を増幅し、増幅された地上子測定波信号Smを生成して出力する受信増幅器410と、キャリア波信号Scを参照信号として用いて、上記受信信号を含む増幅された地上子測定波信号Smをベースバンド信号Sba,Sbbに直交検波して、ベースバンド信号Sba,Sbbの振幅値を表す信号SbMの波形形状に基づいて地上子600のQ値を算出するQ値測定手段であるQ値測定部420と、上記受信信号を含む増幅された地上子測定波信号Smを、所定の拡散コード信号COを所定の遅延時間だけ遅延させた遅延拡散コード信号を基準として復調し、復調された増幅された地上子測定波信号Smをキャリア波信号を用いて直交検波して直交検波信号のI成分データ及びQ成分データを生成して出力する応答解析手段である応答解析部450と、出力されたI成分データ及びQ成分データの位相値に基づき、車上子300の共振周波数を算出する共振周波数測定手段である共振周波数測定部470とを備えて構成されている。
車上子300は、1次側コイル300aと2次側コイル300bとを備えて構成され、1次側コイル300aと2次側コイル300bは磁気的に弱く結合している。車上子300の1次側コイル300aは送信装置200に接続され、2次側コイル300bは受信装置400に接続されている。
地上子600は、コイルとコンデンサで共振回路を構成し、この地上子600の共振回路の共振周波数には、例えば73kHz,80kHz,90kHz,95kHz,103kHz,108.5kHz,123kHz,及び130kHzなどがある。ここで、地上子600の共振回路の共振周波数は、信号機650が示す信号情報(進路情報)に従って設定され、ここで示した地上子600の共振回路の共振周波数は、鉄道事業者により異なる。
車上子300と地上子600とが磁気的に結合していない状態において、車上子300の1次側コイル300aから送信される増幅された地上子検知波信号Stは、車上子300の2次側コイル300bを経由して受信装置400にて受信される。また、車上子300と地上子600とが磁気的に結合している状態において、車上子300の2次側コイル300bからは、車上子300と磁気的結合した地上子600の共振回路で共振した地上子測定波信号Srが出力される。
送信装置200は、発振器210で生成されたキャリア波信号Scを、符号生成器220で生成された拡散コード信号COに従って変調して信号増幅し、当該変調信号を車上子300の1次側コイル300aを介して、増幅された地上子検知波信号Stとして地上子600の共振回路及び車上子300の2次側コイル300bに送信する。
送信装置200において、発振器210は、地上子600の共振回路に設定される共振周波数に一致する周波数のキャリア波信号Scを生成して、変調器230並びに受信装置400の応答解析部450及びQ値測定部420に出力する。上述したように、複数の共振周波数が存在する場合は、発振器210を地上子600の共振回路の共振周波数の種類(数)にあわせて設け、生成した複数のキャリア波信号Scを合成して出力する。ここで、発振器210は、デジタル信号処理により各種信号を生成するダイレクト・ディジタル・シンセサイザ(Direct Digital Synthesizer)(DDS)を用いて発振器210を構成することができる。その構成は、出力する波形データを予め不揮発性メモリに記録しておき、所定の時間間隔でカウントアップするアドレスカウンタが不揮発性メモリのアドレスを指定し、波形データをサイクリックに読み出すことで所定の波形を生成することができる。
符号生成器220は、予め設定された拡散コード信号COのデータを不揮発性メモリに記録しておき、所定の時間間隔で不揮発性メモリからデータをサイクリックに読み出して拡散コード信号COを生成して変調器230並びに受信装置400の応答解析部450及びQ値測定部420に出力する。ここで、拡散コード信号COは、例えばM系列やGOLD系列、直交系列などの拡散コード、またはそれらを組み合わせて構成される。
変調器230は、発振器210からのキャリア波信号Scを符号生成器220からの拡散コード信号COに従ってBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調し、地上子検知波信号Sdを送信増幅器240に出力する。ここで、変調器230は、乗算器またはミキサを用いて変調器230を構成することができる。また、送信増幅器240は、地上子検知波信号Sdの電圧レベルを所定の電圧レベルまで増幅することにより送信信号を発生し、車上子300の1次側コイル300aを介して増幅された地上子検知波信号として地上子600の共振回路及び車上子300の2次側コイル300bに送信する。
図1の受信装置400において、車上子300の2次側コイル300bから受信した地上子測定波信号Srは、受信増幅器410で所定の信号レベルまで信号増幅され、Q値測定部420で受信した増幅された地上子測定波信号Smに含まれた拡散コード信号COを復調して抽出され、その抽出された拡散コード信号COの波形形状から地上子600の共振回路のQ値が算出される。また、応答解析部450は受信して増幅された地上子測定波信号Smに含まれる、地上子測定波信号Srのキャリア波信号Scを再生して抽出し、共振周波数測定部470は抽出したキャリア波信号Scの直交検波データである応答情報から地上子600の共振回路の共振周波数を算出し、その結果を記録及び表示部500に出力する。
次に、図1の受信装置400のQ値測定部420及び応答解析部450について図2及び図3を用いて説明する。
図2は、図1の受信装置400のQ値測定部420及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。図2において、Q値測定部420は、符号抽出部421とQ値算出部422とを備え、符号抽出部421は、乗算器423,425と、ローパスフィルタ(LPF)424,427と、移相器426と、振幅算出部428と、サンプル部429と、送受信に係る所定の遅延時間を有する遅延器430とを備えて構成されている。ここで、遅延器430は、符号生成器220が生成した拡散コード信号COが地上子測定波信号Srとして出力されてから、車上子300と、受信増幅器410と、乗算器423,425と、ローパスフィルター424,427と、振幅算出部428とを経由して増幅された地上子測定波信号Smのベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMとしてサンプル部429に到達するまでの伝達時間分の遅延を行う回路であり、符号生成器220が生成した拡散コード信号COを予め設定した遅延時間だけ遅延させた拡散コード信号COをサンプル部429に出力する。
図2において、乗算器423は、増幅された地上子測定波信号Smと、発振器210で生成したキャリア波信号Scとを乗算して乗算結果の信号をローパスフィルタ424に出力し、ローパスフィルタ424は乗算結果の信号からその高調波成分をフィルタリングで除去して、フィルタリング後のベースバンド信号Sbaを振幅算出部428に出力する。また、乗算器425は、増幅された地上子測定波信号Smと、発振器210で生成したキャリア波信号Scを移相器426により90度だけ位相回転させた信号とを乗算して乗算結果の信号をローパスフィルタ427に出力し、ローパスフィルタ427は乗算結果の信号からその高調波成分をフィルタリングで除去して、フィルタリング後のベースバンド信号Sbbを振幅算出部428に出力する。
振幅算出部428は、ベースバンド信号Sbaとベースバンド信号Sbbとに基づいて、後述する(1)式を用いてベースバンド信号の振幅値を表す信号SbM(絶対値)を算出してサンプル部429に出力する。
サンプル部429は、ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMと送信装置200の符号生成器420が生成した拡散コード信号COを遅延器430で遅延させた参照コード信号とを入力し、参照コード信号に基づきベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形をサンプリングして、地上子600の共振回路のQ値を算出するためのデータとしてQ値算出部422に出力する。後述する図8(a)〜図8(d)において示すように、ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形形状が、サンプル部429で参照コードのコード値の符号極性が反転する時間位置に基づきベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形がサンプリングされる。例えば、図8(a)のベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの振幅波形の振幅値MをサンプルタイミングS1,S2,S3のタイミングでサンプリングしたデータが、データL12、L13、L14である。
図2において、Q値算出部422は、サンプル部429からの複数のデータに基づいて、これらの複数のデータ比率を算出して予め記録されているデータ比率と照合することによりQ値を算出して記録及び表示部500に出力する。
図3は、図1の受信装置400の応答解析部450及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。図3において、応答解析部450は、送受信に係る所定の遅延時間を有する遅延器451と、復調器452と、直交検波器453とを備えて構成されている。復調器452は、増幅された地上子測定波信号Smと、遅延器451が出力する拡散コード信号COとを乗算して復調処理を行い、地上子検知波信号Sdの復調信号Sddを直交検波器453に出力する。ここで、遅延器451は、符号生成器220が生成した拡散コード信号COが地上子測定波信号Srとして出力されてから、車上子300及び受信増幅器410を経由して増幅された地上子測定波信号Smとして復調器452に到達するまでの伝達時間分の遅延を行う回路であり、符号生成器220が生成した拡散コード信号COを予め設定した遅延時間だけ遅延させた拡散コード信号COを復調器452に出力する。
直交検波器453は、送信装置200の発振器210が生成したキャリア波信号Scを参照信号として用いて、拡散コード信号COの1周期毎に、復調器452の出力波形をベースバンド信号Sbfに直交検波して、直交検波信号である応答情報としてIn−Phase成分の信号(以下、I成分データという。)とQuadrature−Phase成分の信号(以下、Q成分データという。)とを算出して共振周波数測定部470及び地上子判定部800に出力する。ここで、直交検波器453は、復調器452の出力信号とキャリア波信号Scとを乗算器(図示せず。)により乗算してローパスフィルタに出力し、ローパスフィルタにより乗算結果の信号からその高調波成分をフィルタリングで除去して直交検波信号のI成分データを算出する。また、直交検波器453は、復調器452の出力信号と、キャリア波信号Scを移相器(図示せず。)で90度の位相回転した信号とを乗算してローパスフィルタに出力し、ローパスフィルタにより乗算結果の信号からその高調波成分をフィルタリングで除去して直交検波信号のQ成分データを算出する。
図1及び図3において、共振周波数測定部470は、直交検波器453が出力する拡散コード信号COの1周期毎のI成分データ及びQ成分データを入力して、これらのI成分データ及びQ成分データの位相値θ度から地上子600の共振回路の共振周波数の周波数差を算出して記録及び表示部500に出力する。また、地上子判定部800は、直交検波器453から出力されたベースバンド信号SbfのI成分データ及びQ成分データを入力して、詳細後述するように、ベースバンド信号SbfのI成分データ及びQ成分データから車上子300と地上子600との磁気的結合の有無(地上子検知)を判定し、地上子600が保持する地上子情報である信号情報を、列車制御装置700に出力する。ここで、直交検波して出力されるベースバンド信号Sbfの振幅値M及び位相値θ度を解析することによって、地上子600を検出し地上子600に保持された地上子情報が読み取られる。ベースバンド信号Sbfの振幅値Mは以下の(1)式で算出され、応答情報のI成分データ及びQ成分データの位相値θ度は以下の(2)式で算出される。
Figure 0005901555
Figure 0005901555
図1、図2及び図3において、記録及び表示部500は、受信装置400のQ値測定部420により算出したQ値と、受信装置400の共振周波数測定部470により算出された共振周波数と、地上子情報読取装置100の地上子判定部800が出力する地上子検知結果を、位置算出部510が出力する列車900の走行位置情報と共に記録データとして記録及び表示する。ここで、位置算出部510は、速度発電機と路線データベースとから走行位置情報を算出する構成を用いて位置算出部510を構成することができる。この速度発電機は列車走行速度を計るために、車輪回転に応じたパルス信号を出力する。この出力パルスのカウント値に、1パルスあたりの車輪円周長を掛けることで移動距離が求まる。通常、列車の走行線路は列車ごとに決まっており、列車の走行経路が記録された路線データベースに、列車の移動距離を照合することで、正確な列車位置を算出することができる。またGPS(Global Positioning System)を用いて位置算出部510を構成することができ、列車の走行位置情報(緯度及び経度)をリアルタイムで得ることができる。さらに、記録及び表示部500の記録データには、地上子600の品質を個別に管理するために、地上子600の位置情報が記録されている。
以上のように構成された地上子情報読取装置100の動作及び作用について以下に説明する。
図4(a)は図1の送信装置200の発振器210により生成された、キャリア波信号Scの時間tに対する振幅レベルの変化を示す時間軸波形図であり、図4(b)は図4(a)と経過時間軸を共通にし、図1の送信装置200の符号生成器220が生成した、拡散コード信号COの時間tに対するコード値の変化を示す時間軸波形図であり、図4(c)は図4(a)と経過時間軸を共通にし、図1の送信装置200の変調器230において生成され出力された、地上子検知波信号Sdの時間tに対する振幅レベルの変化を示す時間軸波形図であり、図4(d)は図4(a)のキャリア波信号Scの周波数fに対するスペクトル強度Pの変化を示すスペクトル図と、図4(c)の地上子検知波信号Sdの周波数fに対するスペクトル強度Pの変化を示すスペクトル図である。
図4(a)において、キャリア波信号Scの時間軸波形は、地上子600の共振周波数f1に一致する周波数を有する正弦波信号(狭帯域信号)である。ここで、キャリア波信号Scの時間軸波形が正弦波信号であることを分かりやすく示すために、キャリア波信号Scが1つの周波数の場合を示している。図4(b)において、拡散コード信号COの時間軸波形は、拡散コード信号COのコード値が−1、−1、−1、+1、+1、−1、+1の符号列で構成された拡散コード信号COが一例として示されている。拡散コード信号COは、このような符号列を1周期とする繰り返しの波形である。図4(c)において、キャリア波信号Scが変調器230により拡散コード信号COでBPSK変調されるので、変調器230から出力される地上子検知波信号Sdの時間軸波形は、拡散コード信号COの符号極性が反転する時間位置で、キャリア波信号Scの波形位相が反転する波形となる。図4(d)において、周波数軸波形213は、発振器210で生成したキャリア波信号Scのスペクトルを示す。ここで、キャリア波信号Scの周波数軸波形213は、地上子600の共振周波数f1に一致した狭帯域または線スペクトルであり、地上子検知波信号Sdの周波数軸波形233は、キャリア波形Scの周波数軸波形213にくらべて広い帯域のスペクトルとなり、地上子検知波信号Sdの周波数軸波形233のピーク強度は、キャリア波形Scの周波数軸波形213のピーク強度より低くなる。
次に、車上子300のみの状態(地上子600と磁気的結合していない時)と車上子300と地上子600が磁気的結合している状態とにおける、車上子300の2次側コイル300bを経由して受信される地上子測定波信号Srの違いについて説明する。
図5(a)は、図1の地上子600と図1の車上子300とが磁気的結合していない状態における、図1の送信装置200からの増幅された地上子検知波信号Stが、車上子300を介して地上子測定波信号Srとして図1の受信装置400により受信されることを示すブロック図であり、図5(b)は図5(a)の増幅された地上子検知波信号Stの周波数fに対するスペクトル強度Ptの変化を示すスペクトル図であり、図5(c)は図5(a)の地上子測定波信号Srの周波数fに対するスペクトル強度の変化を示すスペクトル図である。
図5(a)において、車上子300の1次側コイル300aと2次側コイル300bとは、磁気的に弱く結合しており、その通過周波数特性は一定(振幅と位相の周波数特性が一定)である。従って、図5(c)の車上子300の2次側コイル300bにおける地上子測定波信号Srのスペクトル強度Prは、図5(b)の車上子300の1次側コイル300aにおける増幅された地上子検知波信号Stのスペクトル強度Ptに比べて弱くなるが、図5(c)の車上子300の2次側コイル300bにおける地上子測定波信号Srのスペクトル311の形状は、図5(b)の車上子300の1次側コイル300aにおける増幅された地上子検知波信号Stのスペクトル310の形状と同じである。
次に、車上子300と地上子600とが磁気的結合している状態において、車上子300の2次側コイル300bを経由して受信される地上子測定波信号Srについて説明するために、先ず地上子600の周波数特性について説明する。
図6(a)は図1の地上子600の利得GdBの周波数fに対する利得の変化を示す振幅周波数特性図であり、図6(b)は図1の地上子600の位相値θ度の周波数fに対する位相値の変化を示す位相周波数特性図である。図6(a)において、地上子600の共振周波数fは、利得Gが最大(ピーク)となるときの周波数であり、また図6(b)の位相値θ度が0度となるときの周波数である。ここで、共振周波数fは、地上子600の共振回路を構成するコイルのインダクタンス値(L)とコンデンサの容量値(C)とから、以下の(3)式で表される。
Figure 0005901555
図6(a)において、地上子600の共振回路のQ値は、最大(ピーク)点における利得G1から利得Gが3dBだけ弱くなる利得G2の周波数fと周波数fの周波数帯域幅(地上子600の共振回路に流れる最大電流から
Figure 0005901555
となる周波数帯域幅)と、共振周波数fとを用いて、以下の(4)式で表すことができる。
Figure 0005901555
次に、図1の地上子600の共振回路のQ値は、当該共振回路を構成するコイルのインダクタンス値(L)とコンデンサの容量値(C)と抵抗(R)とから、以下の(5)式でも表すことができる。
Figure 0005901555
図6(a)において、地上子600の共振回路のQ値が高い振幅特性は、利得G2における周波数帯域の幅が狭く、裾野の狭い急峻な形状となる。一方、地上子600の共振回路のQ値が低い振幅特性は、利得G2における周波数帯域の幅が広く、裾野が広い緩やかな形状となる。
次に、図1の車上子300と図1の地上子600とが磁気的結合している状態で、車上子300の2次側コイル300bを経由して受信される地上子測定波信号Srについて説明する。
図7(a)は、図1の地上子600と図1の車上子300とが磁気的結合している状態における、図1の送信装置200からの増幅された地上子検知波信号Stが、車上子300を介して地上子測定波信号Srとして図1の受信装置400により受信されることを示すブロック図であり、図7(b)は、高いQ値を有する地上子600と磁気的結合した車上子300から受信される図7(a)の地上子測定波信号Srの、周波数fに対するスペクトル強度Prの変化を示すスペクトル図であり、図7(c)は、中間値のQ値を有する地上子600の共振回路と磁気的結合した車上子300から受信される図7(a)の地上子測定波信号Srの、周波数fに対するスペクトル強度Prの変化を示すスペクトル図であり、図7(d)は、低いQ値を有する地上子600の共振回路と磁気的結合した車上子300から受信される図7(a)の地上子測定波信号Srの、周波数fに対するスペクトル強度Prの変化を示すスペクトル図である。
図7(a)において、車上子300と地上子600の共振回路とが磁気的結合すると、送信された増幅された地上子検知波信号Stが磁気的結合した地上子600の共振回路で共振し、地上子600の共振回路の周波数特性に応じた地上子測定波信号Srとして車上子300の2次側コイル300bから出力される。図7(b)において、地上子600の共振回路のQ値が高い場合は、スペクトル320に示すように、高周波スペクトルと低周波スペクトルとが抑圧された帯域幅の狭いスペクトルとなる。一方、図7(d)において、地上子600の共振回路のQ値が低い場合は、スペクトル322で示すように、高周波スペクトルと低周波スペクトルの抑圧が小さく、図7(b)に示すスペクトル320に比べて帯域幅の広いスペクトルとなる。さらに、図7(c)において、地上子600の共振回路のQ値が図7(b)の地上子600の共振回路のQ値と図7(d)の地上子600の共振回路のQ値との間の値である中間値を有する場合は、図7(b)のスペクトル320と図7(d)のスペクトル322との間の帯域幅を有するスペクトルとなる。
次に、図1の送信装置200から受信された地上子測定波信号Srに基づいて、地上子600の共振回路のQ値を測定する方法について説明する。
図8(a)は、図7(b)の状態において、図2の振幅算出部428から出力された、ベースバンド信号の時間tに対する振幅値Mの変化を示す振幅波形図であり、図8(b)は、図7(c)の状態において、図2の振幅算出部428から出力された、ベースバンド信号の時間tに対する振幅値Mの変化を示す振幅波形図であり、図8(c)は、図7(d)の状態において、図2の振幅算出部428から出力された、ベースバンド信号の時間tに対する振幅値Mの変化を示す振幅波形図であり、図8(d)は、図2の符号抽出部421の中で使用される、図1の送信装置200の符号生成器420により生成された拡散コード信号COの時間tに対するコード値を示す参照コード波形図である。
図8(a)、図8(b)、及び図8(c)において、サンプルタイミングS1,S2,S3は、図2のサンプル部429にて、参照コード波形のコード値の符号極性が反転する時間位置に基づいてベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形をサンプリングするタイミングを示す。ここで、サンプルタイミングS1は時間t2におけるサンプリングのタイミングを示し、またサンプルタイミングS2は時間t3におけるサンプリングのタイミングを示し、さらにサンプルタイミングS3は時間t4におけるサンプリングのタイミングを示す。図8(a)において、データL12、L13、L14は、サンプルタイミングS1,S2,S3のタイミングで、ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形をサンプリングしたデータである。図8(b)において、データL22、L23、L24は、同じく図8(a)、図8(b)、及び図8(c)においてベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形をサンプリングしたデータである。さらに、図8(c)において、データL32、L33、L34は、ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形をサンプリングしたデータである。
図8(a)、図8(b)、及び図8(c)において、ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形の立上り及び立下りに注目すると、図8(a)のベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形の波形立上り、及び波形立下りは遅く、逆に図8(c)のベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形の波形立上り、及び波形立下りは速い。ここで、ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形の立上り及び立下りは、入力信号に対する出力信号の応答時間を示す時定数(τ)により表すことができ、ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形の立上り及び立下りの遅い波形は時定数が大きく、ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形の立上り及び波形立下りの速い波形は時定数が小さい。また、地上子600の共振回路のQ値が高い地上子600との磁気的結合において抽出されるベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形は時定数が大きく、地上子600の共振回路のQ値が低い地上子600との磁気的結合において抽出されるベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形の時定数は小さい。
次に、図1の地上子600の共振回路のQ値と時定数との関係について説明する。
図1の地上子600の共振回路のQ値は、上述したように、(4)式もしくは(5)式で表すことができる。(4)式は図6(a)の利得G2における周波数帯域幅と共振周波数fで地上子600の共振回路のQ値を表したもので、(5)式は地上子600の共振回路を構成する回路定数でQ値を表したものである。一方、地上子600の共振回路の周波数応答の速さを表す時定数(τ)は次の(6)式で表される。
Figure 0005901555
ここで(5)式のインダクタンス値(L)とコンデンサの容量値(C)を一定と仮定すると、地上子600の共振回路のQ値が高い場合は抵抗(R)が小さく、Q値が低い場合は抵抗(R)が大きい値となる。また、(5)式から地上子600の共振回路の時定数(τ)は、地上子600の共振回路のQ値が高いと抵抗(R)が小さいので、地上子600の共振回路の時定数(τ)は小さくなる。逆に、地上子600の共振回路のQ値が低いと抵抗(R)の値が大きいので、地上子600の共振回路の時定数(τ)は大きくなる。ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形は、地上子600の共振回路のQ値が高いと時定数は小さいので、波形立上り及び波形立下りが遅くなり、地上子600の共振回路のQ値が低いと時定数は大きいので、波形立上り及び波形立下りが速くなる。ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形形状が地上子600の共振回路のQ値を反映するので、ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形形状を観測することで、地上子600の共振回路のQ値測定が可能となる。
図2及び図8(a)〜図8(d)において、Q値算出部422は、サンプル部429からデータL12、L13、L14を入力し、データL12とデータL13の比率、データL13とデータL14の比率、データL12とデータL1314の比率を算出する。また、Q値算出部422は、地上子600の共振回路のQ値が既知の状態で測った比率データを予め記録しておき、算出した比率データと予め記録されている比率データとを照合することにより、車上子300と磁気的結合した地上子600の共振回路のQ値を導き出すことが可能となる。
図2及び図8(a)において、ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形は、車上子300と地上子600とが磁気的結合する距離(車上子300の中心と地上子600の中心との距離のことであり、以下、結合距離という。)によって、ベースバンド信号の振幅値Mが変動する。車上子300と地上子600との結合距離が遠い時はベースバンド信号の振幅値Mが小さく、車上子300と地上子600との結合距離が近い時はベースバンド信号の振幅値Mは大きい。従って、Q値算出部422で、単にデータL12、L13、L14の大きさでQ値を導き出すと、結合距離の違いにより誤差が生じる。一方、上述したような比率データを用いる方法では、例えば、図8(a)において、結合距離が遠いと、データL12の振幅値M(=M2)及びデータL13の振幅値M3が小さくなり、結合距離が近いと、データL12の振幅値M(=M2)及びデータL13の振幅値M3が大きくなる。これに対して、データL12の振幅値M(=M2)に対するデータL13の振幅値M3の比率データは結合距離に依存しない。従って、上述したような比率データを用いて車上子300の共振回路のQ値を算出するので、車上子300と地上子600との結合距離に依存しない、精度の高いQ値の測定を行うことができる。なお、図8(b)のベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形をサンプリングしたデータL22、L23、L24、図8(c)のベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形をサンプリングしたデータL32、L33、L34についても、同様である。
上述したように、受信装置400において、Q値算出部422は、地上子600と磁気的結合された車上子300の2次側コイル300bから受信する地上子測定波信号Srに基づいて、ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形を抽出し、その波形形状の特徴から磁気的結合した地上子600の共振回路のQ値を測定することができる。
また、Q値算出部422に入力するデータ、例えば図8(a)のデータL12、L13、L14は、図8(d)の参照コードの1周期内にサンプリングされたデータであり、Q値算出部422は図8(d)の参照コードの1周期分のデータを用いるのみで、車上子300と磁気的結合した地上子600の共振回路のQ値を算出することができる。
また、図8(d)の参照コードは言うまでもなく図1の送信装置200の符号生成器220で生成した拡散コード信号COである。当該拡散コード信号COの1周期は、符号ビットの数(コード値+1の数、及びコード値−1の数)と符号ビットレートとによって決定される。例えば、図4(c)に示す拡散コード信号COの時間波形の符号ビットは7ビットで、符号ビットレートを5kHzとすると、拡散コード信号COの1周期を1.4ミリ秒と設定することができる。一方、車上子300と地上子600とが磁気的に結合している時間は、列車の営業最高速度130km/hと地上子600の検出保証性能(応動性能)300mmから、約8ミリ秒と算出される。拡散コード信号COの1周期にあたる1.4ミリ秒という値は、車上子300と地上子600との結合時間8ミリ秒に対して複数回の測定が行える十分に短い時間であり、本発明の第1の実施形態に係る地上子情報読取装置100を搭載した列車900が営業最高速度で走行した場合でも、地上子600の共振回路の共振周波数及びQ値を測定することができる。
図9は、図1の地上子判定部800における、図1の車上子300と図1の地上子600との磁気的結合の有無を判定するベースバンド信号の振幅値M及び位相値θ度の閾値810を示す2次元平面図である。図9において、横軸をI成分データ、縦軸をQ成分データとした2次元平面で、原点Oからの距離はベースバンド信号の振幅値Mを示し、原点Oを中心として反時計回りへの回転角度は位相値θ度を示している。ここで、車上子300と地上子600とが磁気的に結合していない状態の応答情報のI成分データ及びQ成分データをプロットした点がプロット点P0であり、車上子300と、所定の共振周波数が設定された地上子600とが磁気的に結合した状態の応答情報のI成分データ及びQ成分データをプロットした点がプロット点P1である。
さらに地上子600の設定される共振周波数は、製造時のばらつきならびに設置時の調整ばらつきで±1kHz程度の誤差が存在する。そのため地上子600の共振周波数とキャリア波信号Scの周波数は一致しない場合がある。一方、キャリア波信号Scを拡散コード信号COで変調した地上子検知波信号Sdは、拡散コードCOの符号ビットレートに対応したスペクトル帯域の広がり(帯域幅)を持つ。たとえば、拡散コードCOの符号ビットレートを5kHzとすると、地上子検知波信号Sdの帯域幅は、キャリア波信号Scを中心に±2.5kHzの帯域幅となる。地上子検知波信号Sdの帯域幅を地上子600の共振周波数の誤差より広くすることで、地上子600と磁気的結合した車上子300から受信される地上子検知波信号Srは、地上子600の共振回路のQ値の周波数特性に応じた波形信号となる。よって、これまでに説明した様に、ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形形状を観測することで、地上子600の共振回路のQ値測定が可能となる。このように、地上子600の共振周波数誤差により、地上子600の共振周波数とキャリア波信号Scの周波数が一致していない場合でも、拡散コードCOの符号ビットレートを地上子600の共振周波数誤差範囲より大きな周波数を設定することで、地上子600の共振回路の共振周波数及びQ値を正常に測定することができる。
図9において、車上子300と地上子600との磁気的結合の有無の判定に用いる閾値810は、点E,点F,点G及び点Hをそれぞれ直線で結んだ2次元平面状に設定され、斜線部で示された地上子結合判定領域811が、所定の位相値θ及び所定の振幅値Mを有する閾値範囲であり、地上子600と車上子300との磁気的結合の有無を判定する領域となる。ここで、車上子300の2次側コイル300bから受信した地上子測定波信号Srの応答情報のI成分データ及びQ成分データをプロットした点が、上述した地上子結合判定領域811内に含まれれば、車上子300と地上子600とが結合状態であると判定し、その判定した地上子測定波信号Srのキャリア周波数が地上子600に設定された共振周波数であると判断する。そして、地上子判定部800で判定した地上子の判定結果(磁気的結合の有無)と、その際の地上子600の共振周波数とが、列車制御装置700に出力される。
図9を用いて受信装置400の共振周波数測定部470における動作について説明する。地上子600の共振回路には、例えば73kHz、80kHz、85kHz、90kHz、95kHz、103kHz、108.5kHz、123kHz、及び130kHzなどの共振周波数が設定されるが、設定した共振周波数と地上子600の共振回路の示す共振周波数との間には誤差が生じる。この共振周波数の誤差は、共振回路の製造で生じる誤差として許容される範囲が定められているが、共振周波数の許容される許容値を逸脱する大きな誤差が生じる場合は、受信装置400の地上子判定部800において車上子300と地上子600との磁気的結合の判定が正しく行えなくなる。これは、共振周波数の誤差が許容値を越える場合、ベースバンド信号の振幅値M及び位相値θ度の閾値810で定められる車上子300と地上子600との磁気的結合の判定を行う地上子結合判定領域811内に、車上子300と地上子600とが結合した時の地上子測定波信号Srの応答情報のI成分データ及びQ成分データをプロットした点が正しく入らないからである。ここで、受信装置400の共振周波数測定部470の働きは、設定される共振周波数と地上子600の共振回路の示す共振周波数との差である周波数差を算出することにある。
次に、図1の地上子600の共振回路の共振周波数の測定方法について説明する。
図10は、図1の受信装置400の共振周波数測定部470における共振周波数の算出方法を説明するための2次元平面図である。図10において、横軸が応答情報I成分データを、縦軸が応答情報Q成分データを示した2次元平面図であり、原点Oに対する回転角度が位相値θ度を示している。図10において、プロット点P2は、設定される共振周波数と地上子600の共振回路が示す共振周波数とが一致し、周波数差がない場合の応答情報I成分データ及びQ成分データがプロットされる点であり、プロット点P3は、設定される共振周波数に対して地上子600の共振回路が示す共振周波数が低い(周波数差がマイナスの)場合にプロットされる点であり、プロット点P4は、地上子600の共振回路が示す共振周波数が高い(周波数差がプラスの)場合にプロットされる点である。
図10において、位相値θ2度は、周波数が一致するプロット点P2の位相値θ度で、位相値θ3度は周波数差がマイナスのプロット点P3の位相値θ度で、位相値θ4度は、周波数差がプラスのプロット点P4の位相値θ度である。位相値θ度は、上述した(2)式で算出される。図10において、プロット点P2,P3,P4は、車上子300の2次側コイル300bから受信した地上子測定波信号Srに含まれたキャリア波信号Scを応答解析部450で解析し、得られた応答情報I成分データ及びQ成分データをプロットしたものである。ここで、地上子測定波信号Srに含まれたキャリア波信号Scの周波数は、送信装置200の発振器210で地上子600に設定される共振周波数と同じとなるように生成される。
図10において、プロット点P2では、キャリア波信号Scの周波数と地上子600の共振回路の共振周波数とが一致するので、図6(b)の地上子600の共振回路の位相特性を示す位相値θ度は0度である。また、図10のプロット点P2は、位相値θ2度の値を示しているが、これは送信装置200でキャリア波信号Scが生成され、車上子300の2次側コイル300bを経由して、受信装置300に到達するまでにかかった時間分の位相回転量である。これに対して、図10のプロット点P3は、地上子600の共振周波数が設定される共振周波数より低い場合であり、図6(b)の地上子600の共振回路の位相特性は低い周波数f側にシフトする。ここで、キャリア波信号Scの周波数での図6(b)の地上子600の共振回路の位相値θ度はプラスとなり、地上子測定波信号Srに含まれたキャリア波信号Scの位相は進み、応答解析部450が出力する応答情報I成分データ及びQ成分データのプロット点P3はプロット点P2に比べて、I/Q平面上で反時計回りに回転(移動)する。
図10において、プロット点P4は、共振周波数が高い場合であり、図6(b)の地上子600の共振回路の位相特性は高い周波数f側へシフトする。ここで、キャリア波信号Scの周波数での図6(b)の地上子600の共振回路の位相値θ度はマイナス値となり、地上子測定波信号Srに含まれたキャリア波信号Scの位相は遅れ、プロット点P4はプロット点P2に比べて、I/Q平面上で時計回りに回転(移動)する。このように、設定される共振周波数と、地上子600の共振回路が示す共振周波数との差である周波数差は、地上子測定波信号Srに含まれたキャリア波信号Scの位相回転量として表れる。ここで、地上子測定波信号Srに含まれたキャリア波信号Scの位相回転量は、図6(b)の地上子600の共振回路の位相特性と一致するので、位相回転量を周波数差に換算することができる。従って、受信装置400の共振周波数算出部470は、受信装置400の応答解析部450から出力されるベースバンド信号Sbfの位相情報から周波数差を算出し、地上子600の共振回路の共振周波数を導き出すことができる。
またキャリア波信号Scの位相回転量(地上子600の共振周波数)は、拡散コード信号COの1周期毎に算出される。この拡散コード周期(時間)は、上述したように、列車900の営業最高速度での車上子300と地上子600の結合時間より十分に短い時間を設定することが可能となる。従って、本発明の第1の実施形態に係る地上子読取装置100を搭載した列車900によれば、列車900が営業最高速度で走行した場合においても、地上子600の共振周波数を測定することができる。
以上の実施形態に係る地上子情報読取装置100によれば、地上子600の共振回路の共振周波数及びQ値の測定に必要なデータ収集時間を短くすることができるので、列車走行中の車上子300と地上子600との短い結合時間においても、地上子600の共振回路の共振周波数及びQ値を精度良く測定することができる。
また、以上の実施形態に係る地上子情報読取装置100によれば、列車900が走行した区間に設置された地上子600の共振回路のQ値と共振周波数とが測定され、地上子600毎に、地上子600と車上子300との磁気的結合の有無の判定結果とともに地上子600の共振回路のQ値と共振周波数との測定結果とが記録及び表示部500に記録データとして記録されるので、保守員は、記録及び表示部500からこれらの記録データを読み出し、保守基準と比較することにより、地上子600の品質の良否判定を効率よく行うことができる。さらに、記録及び表示部500の記録データには、地上子600の位置情報も記録されているので、地上子600の品質を個別に管理することができる。
第2の実施形態.
図11は、本発明の第2の実施形態に係る列車900Aに搭載される地上子情報読取装置100A及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。図11に示す列車900Aは、図1の列車900に比較して、図1の地上子情報読取装置100の代わりに地上子情報読取装置100Aを備え、地上子情報読取装置100Aは、図1の地上子情報読取装置100に比較して、受信装置400の代わりに受信装置400Aを備えたことを特徴とする。また、受信装置400Aは、図1の受信装置400に比較して、Q値測定部420の代わりにQ値測定部420Aを備えたことを特徴とする。なお、上述した図11の列車900Aの構成は、図1の列車900の構成と同様であり、図11の地上子情報読取装置100Aの構成は、図1の地上子情報読取装置100の構成と同様である。
図12は、図11の受信装置400AのQ値測定部420A及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。図12のQ値測定部420Aは、図2のQ値測定部420に比較して、Q値算出部422の代わりにQ値算出部422Aを備え、結合距離に応じて変化したベースバンド信号の振幅変動量を算出して当該振幅変動量を結合距離に応じた補正値として当該Q値算出部422Aに出力する補正値算出手段である補正値算出部431をサンプル部429とQ値算出部422Aとの間にさらに備えたことを特徴とする。
図12において、補正値算出部431は、符号抽出部421のサンプル部429が出力したベースバンド信号の振幅波形データを複数回入力して、結合距離に応じて変化したベースバンド信号の振幅変動量を算出して当該振幅変動量をベースバンド信号の振幅波形データを結合距離に応じて補正する補正値としてQ値算出部422Aに出力する。また、Q値算出部422Aは、サンプル部429から出力されたベースバンド信号の振幅波形をサンプリングした複数のデータと、補正値算出部431が出力する結合距離に応じた補正値とを入力して、サンプル部429から入力したベースバンド信号の振幅波形をサンプリングした複数のデータを当該補正値に基づいて補正して、補正後の複数のデータに基づいてデータ比率を算出して、当該算出された複数のデータ比率を予め記録されている地上子600のQ値に対応するデータ比率と照合することによって、地上600のQ値を算出して記録及び表示部500に出力する。
図12の補正値算出部431がQ値算出部422Aに出力する補正値の算出方法を以下に説明する。
図13(a)は、図11の列車900Aに搭載した車上子300が図11の地上子600の上を通過する様子を示す概略図であり、図13(b)は、図13(a)の車上子300と地上子600との結合距離に対する、車上子300と地上子600との磁気的結合の強さである結合強度を示す結合強度分布図であり、図13(c)は、図13(b)の領域1に示した区間で観測された、図12の振幅算出部428から出力された、ベースバンド信号の時間tに対する振幅値Mの変化を示す振幅波形図であり、図13(d)は、図13(b)の領域2に示した区間で観測された、図12の振幅算出部428から出力された、ベースバンド信号の時間tに対する振幅値Mの変化を示す振幅波形図であり、図13(e)は、図12の符号抽出部421の中で使用される、図11の送信装置200の符号生成器420により生成された拡散コード(参照コード)信号COの時間tに対するコード値を示す拡散コード波形図である。なお、図13(c)及び図13(d)において、地上子600内のLC共振回路に設定したQ値は一定で、車上子300の通過時に変化がないものとする。
図13(a)及び図13(b)において、列車900Aに搭載した車上子300が地上子600上を通過する際に観測される車上子300と地上子600の結合強度分布と、ベースバンド信号の振幅波形の特徴を説明する。列車900Aの進行に伴い(列車900Aは紙面の左から右に向かって進む)、車上子300が地上子600に近づき、車上子300と地上子600との結合距離(車上子300の中心と地上子600の中心までの距離)が小さくなり、図13(b)の結合強度分布の結合強度は増大する。車上子300の中心が地上子600の中心の真上に位置した時に、結合距離は最小となり、結合強度は最大となる。その後、車上子300は地上子600から離れ、結合距離が大きくなり、図13(b)の結合強度分布は減少する。例えば、図13(b)において、地上子検知波信号Sdの1周期分に相当する領域1の区間においては、列車900Aの移動にともなって結合強度は変動量A1だけ増加(増大)する。また、図13(b)において、地上子検知波信号Sdの1周期分に相当する領域2の区間においては、列車900Aの移動にともなって結合強度は変動量A2だけ減少する。
また、車上子300が地上子600の上を通過するにともなって、車上子300の2次側コイル300bから受信する地上子測定波信号Srから抽出したベースバンド信号の振幅値Mは、車上子300と地上子600の磁気的結合の強さを示す結合強度分布に従って変化する。結合強度分布にともなうベースバンド信号の振幅波形の振幅値Mの変化について、図13(c)及び図13(d)を用いて以下に説明する。
図13(c)及び図13(d)において、サンプルタイミングS1,S2,S3,S4,S5は、図12のサンプル部429にて、参照コード波形のコード値の符号極性が反転する時間位置に基づいてベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形をサンプリングするタイミングを示す。ここで、サンプルタイミングS1は時間t1におけるサンプリングのタイミングを示し、またサンプルタイミングS2は時間t2におけるサンプリングのタイミングを示し、さらにサンプルタイミングS3は時間t3におけるサンプリングのタイミングを示し、またさらにサンプルタイミングS4は時間t4におけるサンプリングのタイミングを示し、またサンプルタイミングS5は時間t5におけるサンプリングのタイミングを示す。図13(c)において、L42,L43,L44,L45は、サンプルタイミングS1,S2,S3,S5のタイミングで、ベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形をサンプリングしたデータである。図13(d)において、データL52,L53,L54,L55は、同じくベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形をサンプリングしたデータである。
図13(c)において、データL42,L43,L44,L45を含むベースバンド信号の振幅波形440を実線で示すと同時に、図13(b)の結合強度分布の領域1において車上子300と地上子600との結合距離が一定であると仮定した場合に観測されるベースバンド信号の振幅波形441を波線で示す。このベースバンド信号の振幅波形441を示すことによって、車上子300と地上子600との結合距離の変化にともなって実際に観測されるベースバンド信号の振幅波形440の振幅値Mの変化(振幅変動)を確認することができる。すなわち、車上子300と地上子600との結合距離が一定であると仮定した場合において、時間t5におけるベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形をサンプリングしたデータL46の振幅値Mは振幅値M3であるのに対して、実際に観測されるベースバンド信号の振幅波形をサンプリングしたデータL45の振幅値Mは振幅値M5に増加し、ベースバンド信号の振幅レベルは大きくなる。
また、図13(d)において、データL52,L53,L54,L55を含むベースバンド信号の振幅波形450を実線で示すと同時に、図13(b)の結合強度分布の領域2において車上子300と地上子600との結合距離が一定であると仮定した場合に観測されるベースバンド信号の振幅波形451を波線で示す。このベースバンド信号の振幅波形451を示すことによって、車上子300と地上子600との結合距離の変化にともなって実際に観測されるベースバンド信号の振幅波形450の振幅値Mの変化(振幅変動)を確認することができる。すなわち、車上子300と地上子600との結合距離が一定であると仮定した場合において、時間t5におけるベースバンド信号の振幅値を表す信号SbMの波形をサンプリングしたデータL56の振幅値Mは振幅値M3であるのに対して、実際に観測されるベースバンド信号の振幅波形をサンプリングしたデータL55の振幅値Mは振幅値M2に減少し、ベースバンド信号の振幅レベルは小さくなる。
上述したように、領域1でのベースバンド信号の振幅波形440と、領域2でのベースバンド信号の振幅波形450の波形形状とは異なっており、ベースバンド信号の振幅波形440をサンプリングしたデータL42とデータL43との比率と、ベースバンド信号の振幅波形450をサンプリングしたデータL52とデータL53との比率とは異なる。従って、これらの比率から算出した地上子600のQ値は異なる値となる。すなわち、車上子300が地上子600の上を通過する際に実際に観測されるベースバンド信号の振幅波形から地上子600のQ値を測定する場合には、値が異なる複数のQ値が算出され、地上子600のQ値を正しく測定することができないという課題が存在する。
上記課題は、観測したベースバンド信号の振幅波形に地上子600のQ値による振幅レベル変化成分と、車上子300と地上子600との結合距離変化による振幅レベル変化成分との2つの要素が含まれることが原因である。従って、地上子600のQ値を正しく測定するためには、ベースバンド信号の振幅波形から車上子300と地上子600との結合距離変化に応じたベースバンド信号の振幅レベルの変化成分を取り除く補正処理が必要となる。この補正処理について以下説明する。
はじめに、車上子300の1次側コイル300aから送信する地上子検知波信号Sdについて、ベースバンド信号の振幅レベルの補正処理に関する特徴を説明する。ここで、図11の地上子検知波信号Sdは、キャリア波信号Scを拡散コード信号COで変調した信号であり、拡散コード信号COの周期で繰り返す周期信号である。地上子測定波信号Sdの時間領域波形については第1の実施形態における図4(c)で図示される。
図11の車上子300の2次側コイル300bから受信する地上子測定波信号Srについて説明する。先ず、車上子300と地上子600との結合距離が一定の条件では、車上子300の2次側コイル300bから出力された地上子測定波信号Srが、地上子600のLC共振回路のQ値に基づいて、高周波スペクトルと低周波スペクトルとが抑圧された帯域幅を有するスペクトルへと抑圧するスペクトル抑圧が継続的に地上子測定波信号Srに作用する。よって、地上子測定波信号Srは、地上子検知波信号Sdの拡散コード信号COの周期で繰り返す周期信号の特性と同じであるので、当該地上子測定波信号Srの振幅波形は、拡散コード信号COの周期で繰り返す周期信号である。同様に、地上子測定波信号Srから抽出したベースバンド信号の振幅波形も、拡散コード信号COの周期で繰り返す周期信号である。
一方、車上子300と地上子600の結合距離が変化する条件で観測された地上子測定波信号Srは、上述したように、未知の地上子600のQ値による振幅レベル成分と、未知の車上子300と地上子600との結合距離の変化によるベースバンド信号の振幅レベル成分とが合成された波形となる。しかしながら、上述したように、地上子測定波信号Srの振幅波形または抽出したベースバンド信号の振幅波形が周期信号であるという特徴を利用して、地上子測定波信号Srの振幅波形または抽出したベースバンド信号の振幅波形を拡散コード信号COの周期単位で比較することによって、未知の地上子600のQ値による振幅レベル成分を取り除くことができるので、車上子300と地上子600との結合距離変化によるベースバンド信号の振幅レベル成分を推測することができる。この結合距離変化によるベースバンド信号の振幅レベル成分の推測手法について以下に説明する。
例えば、図13(c)示したベースバンド信号の振幅波形440を用いて説明すると、領域1で観測されたベースバンド信号の振幅波形と、その次の拡散コード信号COの周期で観測されたベースバンド信号の振幅波形との差分を取ることによって、領域1の結合距離の変化による結合強度の変動量を求めることができる。より具体的な処理方法としては、図12の補正値算出部431にて、領域1のベースバンド信号の振幅波形440をサンプリングしたデータL46(=L42)と、次の拡散コード信号COの周期において観測されたベースバンド信号の振幅波形をサンプリングしたデータL45との差分から変動量A11を求める。この変動量A11は、図13(b)の結合度強度分布における領域1での変動量A1と等しくなる。さらに、求めた変動量A11をベースバンド信号の振幅波形をサンプリングしたデータL42とデータL45とで線形近似することによって、ベースバンド信号の振幅波形をサンプリングしたデータL42,L43,L44における結合距離に応じて変化したベースバンド信号の振幅変動量を求めることができる。この推定した振幅変動量がデータL42,L43,L44の振幅変動をそれぞれ補正する補正値となる。また、図13(d)の領域2でのベースバンド信号の振幅波形450においても、図13(c)と同様に、データL52,L53,L54の振幅変動をそれぞれ補正する補正値を求めることができる。
図13(c)において、Q値算出部422Aは、サンプル部429からベースバンド信号の振幅波形をサンプリングしたデータL42,L43,L44と、補正値算出部431によって算出された結合距離に応じた補正値とを入力し、当該補正値によってデータL42,L43,L44をデータL42−1,L43−1,L44−1に補正し、データL42−1とデータL43−1との比率、データL42−1とデータL44−1との比率、データL43−1とデータL44−1との比率を算出して予め記録された地上子600のQ値の比率データと照合することよって地上子600のQ値を算出して記録及び表示部500に出力する。
また、図13(d)において、Q値算出部422Aは、サンプル部429からベースバンド信号の振幅波形をサンプリングしたデータL52,L53,L54と、補正値算出部431によって算出された結合距離に応じた補正値とを入力し、当該補正値によってデータL52,L53,L54をデータL52−1,L53−1,L54−1に補正し、データL52−1とデータL53−1との比率、データL52−1とデータL54−1との比率、データL53−1とデータL54−1との比率を算出して予め記録された地上子600のQ値の比率データとを照合することよって地上子600のQ値を算出して記録及び表示部500に出力する。
以上の実施形態に係る地上子情報読取装置100Aによれば、第1の実施形態に係る地上子情報読取装置100による効果が得られると同時に、車上子300が地上子600の上を通過する際の結合距離変化に基づくベースバンド信号の振幅レベルの変化を補正することができるので、地上子600と車上子300との結合距離の変化によってベースバンド信号の振幅レベルが変化する場合でも、車上子300と磁気的結合した地上子600の共振回路のQ値を精度良く測定することが可能となる。
変形例1.
以上の実施形態において、ベースバンド信号の振幅レベルを結合距離に応じて補正する補正値を求める処理において、予め測定した結合強度分布の形状データ(ガウス分布関数)を記録しておき、この形状データをベースバンド信号の振幅波形からサンプリングした振幅分布にフィッティング処理することによって、ベースバンド信号の振幅波形をサンプリングしたデータL42,L43,L44における結合距離に応じて変化したベースバンド信号の振幅変動量を求め、当該振幅変動量からそれぞれの補正値を算出するようにしてもよい。
以上詳述したように、本発明に係る地上子情報読取装置によれば、地上子の共振周波数とQ値の測定に必要なデータ収集時間を短くできるので、列車走行中の車上子と地上子の短い結合時間でも、地上子の共振周波数とQ値を精度良く測定することができる。
100,100A 地上子情報読取装置、200 送信装置、210 発振器、220 符号生成器、230 変調器、240 送信増幅器、300 車上子、300a 1次側コイル、300b 2次側コイル、400,400A 受信装置、410 受信増幅器、420,420A Q値測定部、421 符号抽出部、422 Q値算出部、423,425 乗算器、424,427 ローパスフィルタ(LPF)、428 振幅算出部、429 サンプル部、431 補正値算出部、450 応答解析部、430,451 遅延器、452 復調器、453 直交検波器、470 共振周波数測定部、500 記録及び表示部、510 位置算出部、600 地上子、650 信号、700 列車制御装置、800 地上子判定部、900,900A 列車。

Claims (7)

  1. 列車に搭載されかつ互いに磁気的に結合された1次側コイル及び2次側コイルで構成された車上子により受信された受信信号に基づいて、上記車上子と電磁的に結合する地上子の共振回路の共振周波数を検出することにより上記地上子を検出する地上子情報読取装置において、
    上記地上子の共振周波数に一致する周波数を有するキャリア波信号を生成し、所定の拡散コード信号に従って上記キャリア波信号を変調して変調信号を生成し、上記変調信号を含む送信信号を生成して上記車上子の1次側コイルを介して上記地上子の共振回路及び上記車上子の2次側コイルに送信する送信手段と、
    上記送信された送信信号を上記2次側コイルにより受信信号として受信し、Q値測定手段により上記キャリア波信号を参照信号として用いて、上記受信信号をベースバンド信号に直交検波して、上記ベースバンド信号の振幅値を表す信号波形の立上り時間または立下り時間に基づいて上記地上子の共振回路のQ値を算出する受信手段とを備えたことを特徴とする地上子情報読取装置。
  2. 上記受信手段は、上記拡散コード信号を所定時間だけ遅延させた参照コード信号の符号極性が反転する時間位置で上記ベースバンド信号の振幅値をサンプリングし、サンプリングした上記ベースバンド信号の振幅値の比率を予め記録されている比率と照合して、上記立上り時間または立下り時間を求めることを特徴とする請求項1記載の地上子情報読取装置。
  3. 上記受信手段は、上記ベースバンド信号の振幅値に基づいて、上記車上子と上記地上子との結合距離に応じて変化する上記ベースバンド信号の振幅変動量を算出して、当該振幅変動量を補正値として出力する補正値算出手段を有し、
    上記受信手段は、
    上記ベースバンド信号の振幅値を表す信号波形形状を上記補正値算出手段により算出された上記補正値によって補正し、当該補正された信号波形形状に基づいて上記地上子の共振回路のQ値を算出することを特徴とする請求項1または2記載の地上子情報読取装置。
  4. 上記補正値算出手段は、上記ベースバンド信号の振幅値を上記拡散コード信号の周期単位で比較して上記ベースバンド信号の振幅変動量を算出することを特徴とする請求項3記載の地上子情報読取装置。
  5. 上記受信手段は、
    上記受信信号を、上記拡散コード信号を所定の遅延時間だけ遅延させた遅延拡散コード信号を基準として復調し、上記復調された受信信号を上記キャリア波信号を用いて直交検波して直交検波信号のI成分データ及びQ成分データを生成して出力する応答解析手段と、
    上記出力されたI成分データ及びQ成分データの位相値に基づき、上記地上子の共振周波数を算出する共振周波数測定手段とを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の地上子情報読取装置。
  6. 上記直交検波信号のI成分データ及びQ成分データから上記直交検波信号の位相値及び振幅値を算出し、所定の位相値及び所定の振幅値を有する閾値範囲内に含まれるか否かを判定し、含まれるときに車上子と地上子とが磁気的に結合していると判定し、上記地上子が保持する地上子情報を、上記列車を制御する制御手段に出力する地上子判定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項記載の地上子情報読取装置。
  7. 上記列車の移動距離と、上記列車の走行経路が記録された路線データベースとから上記列車の走行位置情報を算出して出力する位置算出手段と、
    上記Q値測定手段から出力された地上子の共振回路のQ値と、上記共振周波数測定手段から出力された地上子の共振周波数と、上記地上子判定手段による上記車上子と上記地上子とが磁気的に結合しているか否かの判定結果と、上記列車の走行位置情報とを記録する記録手段とを備えたことを特徴とする請求項記載の地上子情報読取装置。
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