JP5900091B2 - 化粧シート及びそれを有する化粧板 - Google Patents

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Description

本発明は、使用適性(密着性)、鏡面性及び加工適性に優れる化粧シート、及びこの化粧シートを用いた化粧板に関する。
家具や台所製品のキャビネット、床タイルや壁パネル、又は台所のシンク周りなどに用いられる化粧板としては、建材用基板に木目調柄などを印刷した化粧シートを接着剤で貼り合わせたものが一般に用いられている。そして、このような化粧板に使用される化粧シートには、柔軟性、切削性、耐破断性などの加工適性や、耐汚染性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性、耐候性などの使用適性といった種々の特性が要求されている。
こうした要求を満たすために、加工適性を十分に満足する基材の表面に表面保護層を施す技術が用いられており、該表面保護層には電離放射線硬化性樹脂組成物が好ましく用いられている。電離放射線硬化性樹脂組成物は紫外線や電子線などの電離放射線によって硬化する組成物であり、これを用いた表面保護層は、高架橋密度となるので、耐摩耗性などの表面強度が容易に得られるなどの各種利点が得られる。
しかし、表面保護層の面状態は、下層の凹凸の影響を受けやすく、特に、近年高級感を求める消費者に人気が高まっている鏡面性(表面平滑性)を付与することは非常に難しく、更に、高架橋密度の電離放射線樹脂との使用適性(密着性)を確保することが非常に困難であった。
この鏡面性(表面平滑性)の付与について、特許文献1では、反応性ホットメルト接着剤の塗布時の粘度を10000〜20000mPa・sとすることが提案されているが、高架橋密度の電離放射線樹脂との使用適性(密着性)を考慮するものではなかった。
特開2003−211615号公報
本発明は、このような状況下で、表面保護層と接着剤層との良好な使用適性(密着性)、優れた鏡面性及び良好な加工適性を有する化粧シート、及びこの化粧シートを用いた化粧板を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、基材、表面保護層及び接着剤層の厚さ、並びに接着剤層を構成する接着剤の特性を特定の範囲とすることにより、本発明の課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 基材上に、着色隠蔽層及び着色層から選ばれる少なくとも1層、接着剤層、表面保護層、及び転写用フィルムをこの順に有し、該基材の厚さが40μm以上であり、該表面保護層の厚さが2〜20μmであり、該接着剤層の厚さが1〜18μmであり、該接着剤層を構成する接着剤のガラス転移温度Tg(JIS K7121−1987に準拠する。)が−30〜20℃であり、かつ該接着剤の初期硬さ(JIS K 6253:2006に準拠する。)が5〜95であることを特徴とする化粧シート。
[2] [1]に記載の化粧シートを有する化粧板。
本発明によれば、表面保護層と接着剤層との良好な使用適性(密着性)、優れた鏡面性及び良好な加工適性を有する化粧シート、及びこの化粧シートを用いた化粧板を提供するができる。
本発明の化粧シートの断面を示す模式図である。 本発明の化粧シートを用いた化粧板の断面を示す模式図である。
[化粧シート]
本発明の化粧シートは、基材上に、着色隠蔽層及び着色層から選ばれる少なくとも1層、接着剤層、表面保護層、及び転写用フィルムをこの順に有し、該基材の厚さが40μm以上であり、該表面保護層の厚さが2〜20μmであり、該接着剤層の厚さが1〜18μmであり、該接着剤層を構成する接着剤のガラス転移温度Tg(JIS K7121−1987に準拠する。)が−30〜20℃であり、かつ該接着剤の初期硬さ(JIS K 6253:2006に準拠する。)が5〜95であることを特徴とする。この構成により、本発明の化粧シートは、表面保護層と接着剤層との良好な使用適性(密着性)、優れた鏡面性及び良好な加工適性を有する。
以下、本発明の化粧シートの具体的な層構成及び各層の材質について、図1を参照して説明する。図1に示す化粧シート1の1例は、基材2上に着色隠蔽層3、着色層4、接着剤層5、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である表面保護層6、及び転写用フィルム7がこの順に積層され、更に、基材2の裏面には裏面プライマー層8が設けられている。なお、本発明においては、各層の間に他の層が存在していてもよい。
本発明の化粧シート1は、着色隠蔽層3と着色層4との両方を設ける場合は、図1のように、基材、着色隠蔽層、着色層、接着剤層の順に有することが好ましい。
《基材》
基材2としては、厚さが40μm以上のものを用いる。基材2の厚さが40μm未満であると化粧シートとしての強度が低下する共に、化粧板としての鏡面性が低下することとなる。この観点及びコストを抑える観点から、基材2の厚さは40〜650μmが好ましく、40〜500μmがより好ましく、45〜500μmがより好ましく、48〜250μmが更に好ましい。
なお、本発明において、基材2の裏面とは、基材2の面のうち着色隠蔽層3とは反対側の面を意味する。
基材2の具体例としては、各種のプラスチックフィルム、プラスチックシート、金属箔、金属シート、金属板等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、前記材料を任意に組み合わせた積層体であってもよい。
プラスチックフィルム又はプラスチックシートとしては、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の各種樹脂からなるプラスチックフィルム及びプラスチックシートが好ましい。樹脂として、より具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらの材料の中では、製造コスト、及び製造時の環境への影響の観点からポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のオレフィン系樹脂が好ましい。
このようなプラスチックフィルムやプラスチックシートを基材2として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことが好ましい。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン−紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材2の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましい。
また該基材2は基材2と各層との使用適性(密着性)の強化等のためのプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
金属箔、金属シート、又は金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等からなるものを用いることができ、またこれらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基材2として使用できる。
《着色隠蔽層》
本発明においては、基材2上に、着色隠蔽層3及び着色層4から選ばれる少なくとも1層を設ける。すなわち、着色隠蔽層3と着色層4との両方を有してもよいし、着色隠蔽層3のみを有していてもよいし、着色層4のみを有していてもよい。
本発明における着色隠蔽層3は、化粧シート1の意匠性を高める目的で、更に着色層4を有する場合は基材2及び着色層4との密着性を向上させる目的で、必要に応じ設けることが好ましい。着色隠蔽層3は、基材2が着色している場合や色ムラがある場合に、意図した色彩を与えて表面の色を整えることができる。着色隠蔽層3は、通常基材2や下地を隠蔽する目的で、不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、基材2や下地が持っている模様を活かすこともできる。
着色隠蔽層3の形成に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては制限がなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
着色剤としては、化粧シート1の用途や着色層4との色の相性等から適宜選択すればよいが、例えばカーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
この着色隠蔽層3の厚さは、0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましく、1〜6μmが更に好ましい。
《着色層》
図1に示される着色層4は化粧シート1に装飾性を与えるものであり、装飾層とも称される。着色層4は、絵柄層と全面ベタ層の双方を包含するが、意匠性の観点から絵柄層が好ましい。
着色層4は、種々の着色及び/又は模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。なお、本発明における着色層4としての全面ベタ層は、模様を形成することなく、対象面の全面に対してインキを印刷した層である。着色層4に用いる絵柄インキとしては、着色隠蔽層3に用いるインキと同様のものを用いることができる。
本発明においては、着色隠蔽層3に装飾性を付与することにより、着色層4を有さないで着色隠蔽層3のみを有していてもよく、逆に、着色層4に隠蔽性を付与することにより、着色隠蔽層3を有さないで着色層4のみを有していてもよい。
《接着剤層》
本発明においては、着色隠蔽層及び着色層から選ばれる少なくとも1層と表面保護層6との間に接着剤層5を設ける。なお、着色隠蔽層3又は着色層4と表面保護層6との間には接着剤層5以外の層が存在していてもよい。
本発明においては、接着剤層5の厚さが1〜18μmであることを要する。接着剤層5の厚さが18μmを超えると接着剤層5の層内で凝集破壊が起こり易くなり、結果として、表面保護層6と接着剤層5との使用適性(密着性)が低下することとなる。また、接着剤層5の厚さが1μm未満であると十分な接着力を得ることができず、表面保護層6と接着剤層5との使用適性(密着性)が低下する。上記観点から接着剤層5の厚さは、1〜15μmが好ましく、3〜10μmが更に好ましい。
また、本発明に係る接着剤層5を構成する接着剤のガラス転移温度Tg(JIS K7121−1987に準拠する。)は、−30℃〜20℃であることを要する。ガラス転移温度Tgが−30℃より低いと、実使用温度条件下において、接着剤自体に柔軟性がでて、密着性が著しく低下し、接着剤層内で凝集破壊を起こす。また、ガラス転移温度Tgが20℃を超えると、150℃未満の加熱ラミネートでは、溶融が不十分で、密着性が著しく低下するので、加熱ラミネート時に高温(150℃以上)が必要となり、基材劣化及び生産適性低下等が発生する。これらの観点から、接着剤のガラス転移温度Tgは−20℃〜10℃であることが好ましい。
更に、本発明に係る接着剤層5を構成する接着剤の初期硬さ(JIS K 6253:2006に準拠する。)は、5〜95であることを要する。初期硬さが5未満であるとヒートシール(以下、「熱融着」ということもある。)によるラミネーション後の巻き取り時に、基材2の裏面凹凸を賦型してしまい、鏡面性が確保できなくなる。一方、初期硬さが5以上であれば、ヒートシールによるラミネーション後の巻き取り時においても、基材2の裏面凹凸に影響を受けず、転写フィルムの表面平滑性そのままに、鏡面性を得ることができる。この観点から、接着剤の初期硬さは10〜95であることが好ましい。
接着剤層5に用いられる接着剤としては、ガラス転移温度Tgと初期硬さとを満足する接着剤であれば特に制限はないが、ヒートシール仕様に好適な感熱接着剤が好ましい。感熱接着剤は、一般に常温では固体であり、加熱により溶融又は軟化して接着性を発現し、冷却すると固化して強固に接着する性質を有する熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を主要成分とする接着剤のことをいう。これを適当な溶剤に溶解、又は加温により溶融させて、被接着体の一方又は両方の接着面に塗布し、これを加熱して両者を重ね合わせた後、冷却することにより接着させるものである。
感熱接着剤として用いられる熱可塑性樹脂接着剤は、例えば、(メタ)アクリル樹脂系接着剤、ポリウレタン樹脂系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド樹脂系接着剤、(メタ)アクリル酸エステル−オレフィン共重合体樹脂接着剤、塩化酢酸ビニル樹脂接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂接着剤、アイオノマー樹脂接着剤、オレフィン−αオレフィン共重合体樹脂接着剤等の易接着樹脂単体の接着剤、及びオレフィン樹脂や発泡樹脂組成物の主成分となる熱可塑性樹脂接着剤、フィルム層の主成分となる熱可塑性樹脂とのブレンド品が好適に挙げられる。これらの内、(メタ)アクリル樹脂系接着剤、ポリエステル系接着剤及びポリウレタン樹脂系接着剤が更に好ましい。
感熱接着剤として用いられる熱硬化樹種接着剤は、熱によって化学反応が生じて架橋する性質を有する組成物を含むものが好ましく、例えば、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエ−テルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等を挙げることができ、これらの中では2液硬化型ウレタン系接着剤が好適である。2液硬化型ウレタン系接着剤を用いることにより、より強力な接着強度が得られ、可撓性に優れた化粧シート1が提供できる。
いずれの接着剤の場合においても、塗布方法としては、公知の各種方法、例えば、ロールコート、グラビアコート、エアナイフコート、コンマコート等が用いられ、生産性の面から、グラビアコート、コンマコートが好ましく用いられる。
《表面保護層》
本発明において、表面保護層6は熱硬化性樹脂組成物の硬化物であってもよいが、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂組成物の内、電子線硬化性樹脂組成物が好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は溶剤の使用量を低減することが可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
なお、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波又は荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線等を照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。
この表面保護層6は、化粧シート1に耐汚染性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性、耐候性等の使用適性を用途に応じて付与する。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
表面保護層6に用いる電離放射線硬化性樹脂組成物としては、従来公知の化合物を適宜使用することができる。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。以上の重合性オリゴマーの内、電離放射線硬化性樹脂として、多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを含むものが好ましく、2官能ウレタンアクリレートオリゴマーを含むものが特に好ましい。
更に、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートなどとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、電離放射線硬化性樹脂の数平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の数平均分子量)が、1000〜10000であることが好ましく、2000〜10000がより好ましい。数平均分子量が上記範囲内であれば、加工性に優れ、コーティング剤組成物が適度なチクソ性が得られるので、表面保護層6の形成が容易となる。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を、紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されない。また、必要に応じ、従来慣用されている光増感剤を用いることができる。
また、本発明における電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等を好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル等が挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜200%程度とする。これらのなかでも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール等が、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物等が用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラック等の公知の着色用顔料等が用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物は、鏡面性や光沢感の向上を目的として、シリコーン(メタ)アクリレートを含有していてもよい。
シリコーン(メタ)アクリレートとしては、鏡面性や光沢感を向上させる観点から、メタクリル基を1つ又は2つ有する1又は2官能シリコーンメタクリレートが好ましく、分子量1,000〜6,000、より好ましくは3,000〜6,000、官能基当量(分子量/官能基数)500〜3,000、より好ましくは1,500〜3,000のものが挙げられる。
また、シリコーンアクリレートとしては、アクリル基を複数、好ましくは4つ以上を、更に好ましくは4〜6つ有する多官能シリコーンアクリレートが好ましく、分子量3,000〜100,000、より好ましくは10,000〜30,000、官能基当量(分子量/官能基数)750〜25,000、より好ましくは3,000〜6,000の条件を有するものが挙げられる。
上記1又は2官能シリコーンメタクリレートの含有量は、鏡面性、光沢感を向上させる観点から、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1.5〜20質量部、より好ましくは2〜4質量部である。また、上記多官能シリコーンアクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
また、シリコーンメタクリレートとシリコーンアクリレートとの含有量の比は、1:1〜1:5、より好ましくは1:2〜1:3(いずれも質量比)である。
(表面保護層の形成)
本発明においては、前記の電離放射線硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗布液を調製する。この塗布液の粘度は、後述の塗布方式により、塗布面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された塗布液を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。
本発明において硬化後の表面保護層6の厚さは、鏡面性、加工適性の観点から、2〜20μmであることを要し、3〜15μmであることが好ましい。2μm未満であると化粧シート及び化粧板の鏡面性が低下し、20μmを超えると加工適性が低下する。
本発明においては、上記のようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材2として電子線により劣化する基材2を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材2への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材2の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜70kGy(1〜7Mrad)の範囲で選定される。
更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等を付与することもできる。
《転写用フィルム》
転写用フィルム7は、従来公知のものを使用することができ、厚さが15〜200μmであることが好ましい。厚さが15μm以上であれば、転写用フィルム7を剥離する際に剥離し易くなる。厚さが200μm以下であれば、化粧シート1の鏡面性をより好適に確保することができる。上記観点から、転写用フィルム7の厚さは、18〜195μmがより好ましく、22〜190μmが更に好ましい。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)系フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)系フィルム、ポリエチレン(PE)系フィルム、ポリプロピレン(PP)系フィルム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)系フィルム、ポリカーボネート(PC)系フィルム等を挙げることができる。これらの中では、鏡面性保持(表面平滑性)の観点から、ポリエステル系フィルムが好ましく、中でも延伸ポリエステルフィルムが好ましい。本発明においては、転写用フィルム7が保護フィルム(マスキングフィルム)としての役割を担っているため、材料削減と工程簡略化によりコスト削減と環境配慮を図ることができる。また、表面保護層6をコーティングした平滑性を有する転写用フィルム7を設けることにより、基材2の表面性(表面の凹凸)に影響されない鏡面性に優れた化粧シート1を製造することができる。
また、転写用フィルム7の濡れ指数は、密着性と剥離性を両立させる観点から、35〜50mN/mが好ましく、40〜45mN/mがより好ましい。なお、本明細書において濡れ指数とは、JIS K 6768に準拠して測定した値である。
なお、転写用フィルム7を剥がして転写を行う工程は、(i)基材2と転写用フィルム7とを貼り合わせた後、すなわち、転写用フィルム7を他の層と積層して化粧シート1とした後に行ってもよく、(ii)保護フィルム(マスキングフィルム)としての役割をもたせるために、化粧シート1を後述の基板11に貼り合わせた後に行ってもよく、また、(iii)施工後、使用直前に行ってもよく、特に限定されない。
《プライマー層》
本発明においては、各層間の密着性を向上させること、及び化粧シート1に十分な耐候性を付与することを目的として、任意の層間にプライマー層を設けてもよい。
プライマー層の形成に用いられるインキとしては、バインダーに必要に応じて、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。該バインダーに制限はなく、例えば、エステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン−アクリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。プライマー層の塗布方法に制限はなく、例えば、1種又は2種以上の樹脂を溶剤等を用いて塗料組成物又はインキ組成物とし、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて形成することができる。
プライマー層を構成する樹脂組成物中には、耐候性改善剤を添加することが化粧シート1の耐候性を向上させる点から好ましい。耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤(以下「UVA」ということがある。)や光安定剤が挙げられる。紫外線吸収剤(UVA)は、有害な紫外線を吸収し、本発明の化粧シート1の長期耐候性、安定性を向上させる。また、光安定剤は、自身は紫外線をほとんど吸収しないが、紫外線エネルギーによって生じる有害なフリーラジカルを効率よく捕捉することにより安定化するものである。
これらの紫外線吸収剤及び光安定剤としては、上述の電離放射線硬化性樹脂組成物に用いられるものが挙げられる。
プライマー層の厚さは、0.5〜20μmが好ましい。プライマー層の厚さが前記範囲内であれば十分な密着性、及び耐候性が得られ、更に加工時に割れが起こりにくくなる。以上の点から、プライマー層の厚さは1〜20μmがより好ましく、1〜10μmがより好ましく、1〜6μmが更に好ましい。
≪裏面プライマー層≫
基材2には、各種の被着材との接着性を向上させる目的で裏面にプライマー層8を設けてもよい。裏面プライマー層8の形成に用いられる材料としては特に限定されず、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。なお、裏面プライマー層8に用いられる材料は被着材によって、適宜選択される。
本発明の化粧シート1は、上述の各層を有するものであるが、本発明の目的を阻害しない範囲で他の層を有していてもよい。
また、本発明の化粧シート1としては、総厚が120〜650μmであることが好ましく、180〜500μmであることがより好ましく、180〜250μmであることが更に好ましい。
[化粧板]
前記本発明の化粧シート1は、各種基板に貼着して化粧板として使用することができる。具体的には、図2に示すように、基板11に基板用接着層10を介して化粧シート1を貼着するものである。前記化粧板用の基板11としては、木材単板、木材合板、パーチクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質板、石膏板、石膏スラグ板等の石膏系板、珪酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コンクリート板、中空押出セメント板等のセメント板、パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント板等の繊維セメント板、陶器、磁器、石器、土器、硝子、琺瑯等のセラミックス板、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル塗布鋼板、アルミニウム板、銅板等の金属板、ポリオレフィン樹脂板、アクリル樹脂板、ABS樹脂板、ポリカーボネート板等の熱可塑性樹脂板、フェノール樹脂板、尿素樹脂板、不飽和ポリエステル樹脂板、ポリウレタン樹脂板、エポキシ樹脂板、メラミン樹脂板等の熱硬化型樹脂板、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の樹脂を、硝子繊維不織布、布帛、紙、その他の各種繊維質基材に含浸硬化して複合化したいわゆるFRP板等の樹脂板が挙げられる。また、化粧板用の基材としては、上記各種基材の2種以上を接着剤、熱融着等の公知の手段により積層した複合基材を用いてもよい。
また、該基板11はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。被着体となる基板11としては各種素材の平板、曲面板等の板材、又は上記素材が単体又は複合された立体形状物品(成形品)が対象となる。
本発明の化粧シート1に、和紙、洋紙、合成紙、不織布、織布、寒冷紗、含浸紙、合成樹脂シート等の裏打ち材を貼着して用いてもよい。裏打ち材を貼着することにより、化粧シート1自体の補強、化粧シート1の割れや破け防止、接着剤の化粧シート1表面への染み出し防止等の作用がなされ、不良品の発生が防止されると共に、取り扱いが容易となることとなり、生産性を向上することができる。
このようにして基板用接着層10を介して毎葉ごとに又は連続して化粧シート1が載置された基板11を、コールドプレス、ホットプレス、ロールプレス、ラミネーター、ラッピング、縁貼り機,真空プレス等の貼着装置を用いて圧締して、化粧シート1を基板表面に接着し、化粧板とする。
以上のようにして製造される化粧板は、表面や木口部にルーター、カッター等の切削加工機を用いて溝加工、面取加工等の任意加飾を施すことができる。
基板用接着層10を構成する接着剤は、スプレー、スプレッダー、バーコーター等の塗布装置を用いて塗布する。この接着剤には、エチレン−酢酸ビニル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、イソシアネート系、及びウレタン樹脂系等の接着剤を、単独で又は任意混合した混合型接着剤として用いられる。接着剤には、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、クレー、チタン白等の無機質粉末、小麦粉、木粉、プラスチック粉、着色剤、防虫剤、防カビ剤等を添加混合して用いることができる。一般に、接着剤は固形分を35〜100質量%とし、塗布量20〜300g/m2の範囲で基板表面に塗布される。
化粧シート1の基板11上への貼着は、通常、本発明の化粧シート1の裏面に基板用接着層10を形成し、基板11を貼着するか基板11の上に接着剤を塗布し、化粧シート1を貼着する等の方法による。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例によってなんら限定されるものではない。
<評価方法>
各実施例で得られた化粧シートについて、以下の方法で評価した。
(1)ガラス転移温度Tg(℃)
JIS K7121−1987に準拠して測定した。具体的には、示差走査熱量計(DSC)にて、接着剤の試験片をあらかじめ転移温度より約50℃低い温度で装置が安定するまで保持した後、20℃/分の加熱速度で昇温させ、転移終了時よりも約30℃高い温度まで加熱してDSC曲線を測定し、JIS K7121−1987記載の方法でガラス転移温度Tgを求めた。
(2)初期硬さ
各接着剤を、容器内で固化させ、10mm厚の試験体を得た。次に、120℃環境下にて2分放置後、23℃環境下に取り出し、10分静置して完全に冷ました後に、デュロメータ(JIS K 6253:2006に準拠する。)にて接着剤の硬さを測定した。なお、硬さ10〜90の範囲をタイプAデュロメータで、硬さ90を超える範囲をタイプDデュロメータで、必要に応じ硬さ20未満の範囲を、特に硬さ10未満の範囲をタイプEデュロメータで測定した。
(3)使用適性(密着性)
表面保護層をクロスカットし、ニチバン製セロテープ(登録商標)を貼付して急激に剥離する操作を1回行った。塗膜の剥離の有無について肉眼観察により確認し、下記の基準で評価した。
◎: 塗膜の剥離が全くない。
○: 極軽微の塗膜剥離が確認されるが、実使用上全く問題ない。
○△: 軽微の塗膜剥離が確認されるが、実使用上問題ない。
×: 塗膜が全体的に剥離している。
××: 接着剤の層内で凝集破壊している。
(4)意匠性(面賦形性)
各化粧シート及び化粧シートを3波長域発光型蛍光灯(パナソニック株式会社製:商品名「FPL27EX−N」)の下に置き、目視により表面上への映りこみ像を、以下の基準で評価した。
◎: 明確に像が映りこんでいる。
○: 明確にではないが像が映りこんでいる。
○△: 多少の像の荒れが確認されるが、実使用上問題ない。
×: 像の荒れが著しい。
(5)加工適性
3R形状のMDF(厚さ3mm、JIS A 5905に準じたもの)にラッピング加工を行い、加工後の表面の状態を以下の基準で評価した。
◎: ラッピング加工部分で表面保護層にクラック、浮き等が全く発生しない。
○: ラッピング加工部分で表面保護層にクラック、浮き等が極軽微発生しているが、実使用上全く問題ない。
○△: ラッピング加工部分で表面保護層にクラック、浮き等が軽微発生しているが、実使用上問題ない。
×: ラッピング加工部分で表面保護層にクラック、浮き等が発生する。
実施例1
実施例1の化粧シートを下記(a)〜(c)の工程に従って作製した。
(a)基材としてのポリプロピレン樹脂シート(厚さ150μm)上に、ウレタン樹脂を主体とし、着色顔料として酸化チタンを含有するインキを、乾燥後の厚さが2μmとなるようにグラビア印刷することにより着色隠蔽層を形成した。次に、着色隠蔽層の上に、着色層として絵柄層を形成した。
(b)転写用フィルムとしてのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡(株)製、商品名「A4100」、厚さ50μm)上に電離放射線硬化性樹脂組成物(2官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量:3000)を厚さが5μmとなるように塗布し、165kV、5Mradにて電子線硬化させて表面保護層を形成した。
(c)上記(b)で得られた表面保護層の表面にコロナ処理を施し、この処理面にヒートシール接着剤としてアクリル系接着剤(ガラス転移温度Tg:−20℃、初期硬さ:50)を厚さが5μmとなるように塗布した後、この接着剤層と上記(a)の着色層とが接するように温度110〜120℃で熱融着させ、化粧シートを作成した。
<化粧板の作成方法>
基板(厚さ:3mm,中密度繊維板(MDF),JIS A 5905に準じたもの)の一方の面に、エチレン−酢酸ビニル系樹脂接着剤(水性エマルジョンタイプ,中央理化株式会社製、商品名「BA−20」)を塗布量が60g/m2(wet)となるよう塗布し、これを介して前記化粧シートの裏面側と基板とを接着することにより化粧板を作製した。
得られた化粧シート及び化粧板について、下記の各種評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2〜9、比較例1〜9
第1表に示すように、表面保護層の厚さ、接着剤層の粘着剤の種類及び厚さ、並びに基材の厚さを変更したこと以外は実施例1と同様にして化粧シート及び化粧板を作製した。得られた化粧シート及び化粧板について、下記の各種評価を行った。結果を第1表に示す。
第1表より明らかなように、接着剤層を構成する接着剤のガラス転移温度Tg及び初期硬さ、並びに各層の厚さが本発明の規定を満たす実施例1〜9の化粧シート及び化粧板は、化粧シートの使用適性(密着性)、鏡面性及び加工適性の全てを兼ね備えていることがわかる。
一方、本発明において規定する接着剤層の特性及び各層の厚さの全てを満たさない比較例1〜9の化粧シート及び化粧板は、化粧シートの使用適性(密着性)、鏡面性及び加工適性のいずれかが低いものとなっている。
本発明の化粧シート及びそれを有する化粧板は、種々の用途、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装又は外装材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の表面化粧板、台所周辺製品、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装、外装等に用いることができる。
1 化粧シート
2 基材
3 着色隠蔽層
4 着色層
5 接着剤層
6 表面保護層
7 転写用フィルム
8 裏面プライマー層
10 基板用接着層
11 基板

Claims (4)

  1. 基材上に、着色隠蔽層及び着色層から選ばれる少なくとも1層、接着剤層、表面保護層、及び転写用フィルムをこの順に有し、該基材の厚さが40μm以上であり、該表面保護層の厚さが2〜20μmであり、該接着剤層の厚さが1〜18μmであり、該接着剤層を構成する接着剤のガラス転移温度Tg(JIS K7121−1987に準拠する。)が−30〜20℃であり、かつ該接着剤の初期硬さ(JIS K 6253:2006に準拠するデュロメータ硬さ。)が5〜95であることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、該電離放射線硬化性樹脂が2官能ウレタンアクリレートオリゴマーを含む請求項1に記載の化粧シート。
  3. 転写用フィルムがポリエチレンテレフタレート系フィルムである請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シートを有する化粧板。
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