JP5898516B2 - 高香味脱カフェイン茶飲料 - Google Patents

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本発明は、カフェインの含有量が10ppm以下である、脱カフェインされた高香味茶飲料、特に、脱カフェイン茶飲料の製造工程において生じる加熱劣化臭をマスキングすることにより、茶飲料の香味を改善した高香味脱カフェイン茶飲料に関する。
缶、PETボトル等のプラスチック容器及び紙容器等の密封容器に殺菌充填された緑茶、紅茶及びウーロン茶等の茶飲料は、消費者に長年にわたり親しまれてきた風味や利便性に加え、機能性の点からも、今後の需要の拡大が見込まれている。こうした茶飲料を止渇のために比較的大量に飲用する場合には、相当量のカフェインも同時に摂取することとなる。カフェインは中枢神経興奮作用を示すことから、眠気抑制に使用されている反面、過剰摂取による神経過敏、吐き気、不眠などの有害作用を引き起こす原因にもなるといわれている。特に、代謝機能が衰えてくる高齢者や、代謝機能が発達していない乳幼児や、刺激物質に敏感な人たちにとっては、不眠や過剰な興奮作用により、有害な影響を与えることが懸念される。そのため、従来より、茶飲料のカフェインを低下させた、脱カフェイン茶飲料の提供が検討されている。
茶飲料の製造において、従来より行われているカフェイン除去の代表的な方法には、超臨界二酸化炭素により抽出除去する方法(特開昭48−4692号公報、特開平1−289448号公報)、活性炭等により吸着除去する方法(特公平1−45345号公報、特開平10−4919号公報、特開平8−70772号公報)、合成吸着剤や、ゼオライトのような分子篩を用い方法(特開平5−153910号公報、特開平8−109178号公報)、タンナーゼのような酵素を用いて析出、分離する方法(特開2010−57414号公報)等各種の方法が開示されている。
茶飲料等のカフェインの除去においては、例えば、上記特開2010−57414号公報に開示のもののように、特に、カフェイン含有茶類抽出液から、茶本来の香味を悪化させずに、カフェインを低減させる配慮が図られている方法もある。しかしながら、いずれの方法でもカフェインの抽出の選択性には限界があり、香気成分など他の水溶性・脂溶性成分の損失が不可避である。特に、カフェイン除去した茶抽出液を粉末エキス化したものでは、スプレードライなどの噴霧乾燥工程において、香気成分が更に失われることとなる。そのため、該カフェイン除去した茶系飲料は、通常の茶飲料に対して、香気が非常に少ないものとなる。
一方で、容器詰め茶飲料においては、その製造工程中に高温加熱殺菌工程が入るために、該加工食品に独特の臭い、いわゆる加熱劣化臭が生じる。茶飲料は比較的加熱劣化臭を生じやすい傾向があるが、カフェインを除去した茶飲料は香気成分の多くが失われているため、非脱カフェイン飲料に比較して、加熱劣化臭を感じやすく、通常の茶飲料より香味面で劣るという問題がある。
飲食品の製造工程で生じる加熱劣化(殺菌)臭をマスキングする方法も開示されている。例えば、加熱劣化臭のマスキング方法として、ポリデキストロースを添加する方法(特開平9−28315号公報)、溶存酸素を窒素ガスで置換する方法(特開2001−78665号公報)などが開示されている。また、茶飲料の製造において、加熱劣化臭(レトルト臭)を除去する方法として、例えば、サイクロデキストリンを緑茶抽出液中に含浸させる方法(特開平1−174328号公報、日本農芸化学会誌、63(1)、29−35、1989)、茶類を20℃以下の冷水で抽出して得た冷水抽出液を除去した後、残渣の茶類を30〜95℃の温水で、再抽出する方法(特開平11−113491号公報)、高濃度のアミノ酸や、フラネオールを含有させる方法(特開2011−97905号公報)などが開示されている。
しかしながら、これらの方法では、成分の添加により、茶飲料本来の香味が損なわれたり、或いは、加熱劣化臭の除去のために茶飲料の香気成分が失なわれたりして、これらの方法を脱カフェイン茶飲料の製造に適用しても、香味の高い脱カフェイン茶飲料を製造する効果的な手段とはなり得ないという問題がある。加熱劣化臭の除去として、茶飲料に香料を添加することで、加熱劣化臭をマスキングすることも考えられるが、加熱劣化臭をマスキングするために、通常の濃度香料を添加すると茶飲料本来の香味とは異なるものになるという問題がある。
他方で、生茶葉等の緑葉中に含まれる香気成分として、cis−3−ヘキセン−1−オール(cis-3-hexenol、(Z)-3-hexen-1-ol)及びtrans−2−ヘキセナール(trans-2-hexenal)が知られている。該香気成分は、みどりの香りを構成する成分として、リラクゼーション効果が知られており、ストレス軽減剤としての利用が開示されている(特開2005−299066号公報、特開2007−176857号公報、特開2009−102254号公報)。また、該香気成分を健康グッズ充填用の芳香組成物として利用することも開示されている(特開2008−297439号公報)。
更に、cis−3−ヘキセン−1−オールや、trans−2−ヘキセナールをストレス低減効果成分として、飲食品に添加することも開示されている(特開2007−300823号公報)。また、緑茶飲料において、生茶葉を凍結、粉砕搾中汁し、濾過、抽出液を加熱することにより、ジメチルスルフィド、リナロール、cis−3−ヘキセン−1−オール、カフェイン、及びタンニン等の香気成分が加熱処理により失われるのを防止した香気に優れた緑茶飲料原料液を製造する方法が開示されている(特開2007−110990号公報)。
特公平1−45345号公報。 特開昭48−4692号公報。 特開平1−289448号公報。 特開平1−174328号公報。 特開平5−153910号公報。 特開平8−70772号公報。 特開平8−109178号公報。 特開平9−28315号公報。 特開平10−4919号公報。 特開平11−113491号公報。 特開2001−78665号公報。 特開2005−299066号公報。 特開2007−110990号公報。 特開2007−176857号公報。 特開2007−300823号公報。 特開2008−297439号公報。 特開2009−102254号公報。 特開2010−57414号公報。 特開2011−97905号公報。
日本農芸化学会誌、63(1)、29−35、1989。
本発明の課題は、カフェインの含有量が10ppm以下である、脱カフェインされた高香味茶飲料において、飲料の製造工程の高温加熱殺菌することにより生じる加熱劣化臭をマスキングすることにより、茶飲料の香味を改善した高香味脱カフェイン茶飲料を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、カフェインの含有量が10ppm未満である脱カフェイン茶飲料の製造において、茶飲料の製造工程において生じる加熱劣化臭をマスキングすることにより、茶飲料の香味を改善し、高香味の脱カフェイン茶飲料を提供する方法について、鋭意検討する中で、脱カフェイン処理した茶飲料抽出液に、cis−3−ヘキセン−1−オール又はcis−3−ヘキセン−1−オール含有物を添加して、茶飲料中のcis−3−ヘキセン−1−オールを特定量含有するように調整することにより、加熱劣化臭をマスキングし、しかも、cis−3−ヘキセン−1−オールによる茶飲料として、異風味の香味の付与を回避して、高香味脱カフェイン茶飲料を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、カフェインの含有量が10ppm未満である脱カフェイン茶飲料の製造において、脱カフェイン処理した茶飲料抽出液に、cis−3−ヘキセン−1−オール又はcis−3−ヘキセン−1−オール含有物を添加して、茶飲料中のcis−3−ヘキセン−1−オールが0.05ppm以上、2ppm以下含有するように調整することにより、加熱劣化臭のマスキングされた高香味脱カフェイン茶飲料を製造することからなる。
すなわち、緑茶、紅茶及びウーロン茶等の茶飲料は、消費者に長年にわたり親しまれてきた飲料であり、その風味や利便性に加え、機能性の点からも、今後の需要の拡大が見込まれている。しかし、茶飲料に含まれるカフェインは有用な効能を有する反面、カフェインのもつ機能性がマイナスに作用する場合がある。そこで、昨今、カフェインのマイナスの影響を緩和するために、茶飲料のカフェインを低下させた、脱カフェイン茶飲料の提供が行なわれている。しかしながら、カフェイン除去した茶系飲料は、通常の茶飲料に対して、香気が非常に少ないものとなるため、茶飲料製造工程中の高温加熱殺菌工程において生じる加熱劣化臭が、非脱カフェイン飲料に比較して、特に感じやすくなり、香味面で劣り、高香味の脱カフェイン茶飲料の提供が難しいという問題があった。そこで、本発明においては、この問題の解決のために、鋭意検討する中で、生茶葉等の緑葉中に含まれる香気成分のうち、特に、cis−3−ヘキセン−1−オールを、特定量添加、含有させることにより、加熱劣化臭をマスキングし、しかも、cis−3−ヘキセン−1−オールによる茶飲料として、異風味の香味の付与となることを回避して、調和された香味を付与することができることを見出した。そして、本発明においては、該方法を採用することにより、高香味脱カフェイン茶飲料を製造することを可能とした。
本発明において用いられるcis−3−ヘキセン−1−オールは、cis−3−ヘキセン−1−オール精製物又はcis−3−ヘキセン−1−オール含有物として用いることができる。該cis−3−ヘキセン−1−オールは、茶生葉等からcis−3−ヘキセン−1−オールを抽出することによって調製することができるが、cis−3−ヘキセン−1−オール含有香料として、市販のものを用いることもできる。特に好ましくは、茶生葉から抽出したcis−3−ヘキセン−1−オール含有抽出物を用いることができる。
本発明は、本発明の脱カフェイン茶飲料の製造方法によって製造された、加熱劣化臭のマスキングされた高香味脱カフェイン茶飲料、及び、脱カフェイン処理した茶飲料抽出液に、cis−3−ヘキセン−1−オール又はcis−3−ヘキセン−1−オール含有物を添加して、茶飲料中のcis−3−ヘキセン−1−オールを0.05ppm以上、2ppm以下含有するように調整することを特徴とする脱カフェイン茶飲料の加熱劣化臭のマスキング方法の発明を包含する。
すなわち、具体的には本発明は、(1)カフェインの含有量が10ppm未満である脱カフェイン容器詰茶飲料の製造において、脱カフェイン処理した茶飲料抽出液に、cis−3−ヘキセン−1−オール又はcis−3−ヘキセン−1−オール含有物を添加して、茶飲料中のcis−3−ヘキセン−1−オールが0.2ppm以上、2ppm以下含有するように調整したことを特徴とする加熱劣化臭のマスキングされた高香味脱カフェイン容器詰茶飲料の製造方法や、(2)cis−3−ヘキセン−1−オール含有物が、茶生葉から抽出したcis−3−ヘキセン−1−オール含有抽出物であることを特徴とする上記(1)に記載の加熱劣化臭のマスキングされた高香味脱カフェイン容器詰茶飲料の製造方法からなる
また、本発明は、()カフェイン含有量が10ppm未満である脱カフェイン容器詰茶飲料において、脱カフェイン処理した茶飲料抽出液に、cis−3−ヘキセン−1−オール又はcis−3−ヘキセン−1−オール含有物を添加して、茶飲料中のcis−3−ヘキセン−1−オールを0.2ppm以上、2ppm以下含有するように調整することを特徴とする脱カフェイン容器詰茶飲料の加熱劣化臭のマスキング方法からなる。
本発明は、カフェインの含有量が10ppm以下である、脱カフェインされた高香味茶飲料において、飲料の製造工程の高温加熱殺菌することにより生じる加熱劣化臭をマスキングすることにより、茶飲料の香味を改善した高香味脱カフェイン茶飲料を提供する。本発明の脱カフェイン茶飲料は、カフェインの持つ中枢神経興奮作用を抑え、カフェインの摂取をマイナスとする人や、カフェインの摂取をマイナスとする場合に対しても安全に飲用することが可能であり、しかも、cis−3−ヘキセン−1−オールの持つ、ストレス軽減機能と相俟って、高機能、高香味の健康茶飲料を提供する。
本発明は、カフェインの含有量が10ppm未満である脱カフェイン茶飲料の製造において、脱カフェイン処理した茶飲料抽出液に、cis−3−ヘキセン−1−オール又はcis−3−ヘキセン−1−オール含有物を添加して、茶飲料中のcis−3−ヘキセン−1−オールが0.05ppm以上、2ppm以下含有するように調整することにより、加熱劣化臭のマスキングされた高香味脱カフェイン茶飲料を製造することからなる。
本発明に用いられる茶飲料は、緑茶、紅茶、ウーロン茶等の、通常カフェインを含有する茶飲料を、脱カフェイン処理に供して、カフェインの含有量が10ppm未満となったものであればいずれの茶飲料でもよい。該茶飲料のpHは特に限定されないが、殺菌強度が強くなるため加熱劣化臭が生成されやすいpH5.0〜7.0が好ましく、更に、好ましくはpH5.5〜6.5である。脱カフェイン処理に供する茶飲料の製造に用いられる茶の種類、使用量、茶の抽出方法に特に限定はない。
本発明において、脱カフェイン処理の方法としては、超臨界二酸化炭素により抽出除去する方法、活性炭、活性白土、酸性白土等により吸着除去する方法、合成吸着剤や、ゼオライトのような分子篩を用い方法、タンナーゼのような酵素を用いて析出、分離する方法等の茶飲料からカフェインを低減または除去することのできる方法であれば特に限定されない。例えば、茶抽出液を活性炭吸着除去する方法で処理した後、噴霧乾燥処理して茶粉末エキスとする方法が挙げられる。
本発明の高香味脱カフェイン茶飲料の製造に用いられるcis−3−ヘキセン−1−オールとは、茶生葉等の緑葉に含まれるみどりの香りを構成する香味成分であり、緑茶葉や紅茶等に元来含まれている香気成分である。本発明に用いられるcis−3−ヘキセン−1−オールは、緑茶生葉や紅茶等の天然物から、抽出、精製して得ることができるが、化学合成によって得たものであってもよい。また、特開2011−250738号公報に記載のような香気成分捕集方法で捕集したものでも良い。更に、cis−3−ヘキセン−1−オール含有香料として、市販のものを用いることもできる。cis−3−ヘキセン−1−オールによるマスキング効果が阻害されない限り、香料等のcis−3−ヘキセン−1−オールを含有する組成物に含有されていてもよい。
本発明においては、カフェインの含有量が10ppm未満である脱カフェイン茶飲料の製造において、脱カフェイン処理した茶飲料抽出液に、cis−3−ヘキセン−1−オール又はcis−3−ヘキセン−1−オール含有物を添加して、茶飲料中のcis−3−ヘキセン−1−オールが0.05ppm以上、2ppm以下含有するように調整する点を除いて、茶飲料の製造方法自体は、通常採用される茶飲料の製造方法を採用することができる。例えば、常法により調製され、脱カフェイン処理された茶飲料に、cis−3−ヘキセン−1−オールを含有量が0.05ppm以上、2ppm以下となるように添加して製造することができる。また、茶飲料のpHは、加熱劣化臭の生成を考慮して、前記数値範囲となるように調整することが好ましい。
本発明において、脱カフェイン茶飲料の製造において行われる加熱殺菌処理の方法及び条件は、通常、飲料の殺菌に用いられる方法及び条件であれば採用でき、特に限定はされない。本発明において、茶飲料中のcis−3−ヘキセン−1−オールの含有量を0.05ppm以上、2ppm以下となるように調整することにより、茶飲料の製造工程における加熱殺菌処理に対して、効果的に加熱劣化臭をマスキングすることができる。
本発明の脱カフェイン茶飲料においては、茶飲料中のcis−3−ヘキセン−1−オールの含有量が、0.05ppm以上、2ppm以下となるように調整されるが、0.5ppm以上とした場合には、加熱劣化臭のマスキング効果に加えて、得られた本発明の茶飲料を摂取した際に、感性スペクトル評価において怒り/ストレス及び悲しみの感情を抑え、リラックス及び喜びの感情を高める効果を得ることができる。ただし、茶飲料としての好ましさの観点からは、cis−3−ヘキセン−1−オールの含有量の上限としては、2ppm以下であることが好ましく、1ppm未満であることがより好ましく、0.8ppm以下であることが更に好ましく、0.5ppm以下であることが特に好ましい。
本発明の脱カフェイン茶飲料は、容器詰め茶飲料として提供することができるが、PETボトル、ガラス壜など光透過する容器に充填されていてもよい。充填される容量は、特に、制限されない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
紅茶抽出液(cis−3−ヘキセン−1−オールを0.05〜0.1ppm含有する)を活性炭処理により10ppm未満となるように脱カフェインした後、スプレードライにて噴霧乾燥して得た紅茶エキスを用いて製造された脱カフェイン無糖紅茶、並びに市販の脱カフェイン紅茶1及び2の3種の紅茶(いずれもカフェインは10ppm未満)のcis−3−ヘキセン−1−オール含有量をGC/MSを用いて分析した。GC/MS分析条件を以下に示す。
カラム:HP-INNOWAX(0.25mm I.D.×60m、膜厚0.25μm)、
気化室温度:200℃、
昇温プログラム:50℃(1min)⇒50℃→240℃(3℃/min)⇒240℃(5min)、
スプリット比:1:2、
線速度:30.0cm/s(一定)、
キャリアーガス:He、
イオン源温度:200℃、
トランスファー温度:240℃。
分析の結果、各飲料ともに、cis−3−ヘキセン−1−オールは検出されず、脱カフェイン処理によりcis−3−ヘキセン−1−オールが除去されたことが確認された。
実施例1で用いた脱カフェイン無糖紅茶に、cis−3−ヘキセン−1−オールを含有する市販の紅茶用香料を用い、該無糖紅茶中のcis−3−ヘキセン−1−オールの含有量が、それぞれ0.05、0.2、0.5、1.1、2.2ppmとなるように配合させてcis−3−ヘキセン−1−オールを含有する試験飲料1〜5を調製した。cis−3−ヘキセン−1−オールを添加しない脱カフェイン無糖紅茶(コントロール)及び試験飲料1〜5を、それぞれ190g缶にホットパック充填した後、レトルト殺菌(121℃5〜10分相当)に供した。
殺菌1週間後、習熟したパネラー4人により、各飲料の加熱劣化臭および無糖紅茶飲料としての好ましさについて官能評価を実施した。各項目について、最も評価数の多かった評価を表1に示す。なお、表中の各記号の説明は以下のとおりである。
(1)加熱劣化臭:殺菌で生じるムレ臭・イモ臭を感じるか否か。
○:加熱殺菌臭をほとんど感じない。
△:加熱殺菌臭を僅かに感じる。
×:加熱殺菌臭を強く感じる。
Figure 0005898516
表1に示すとおり、cis−3−ヘキセン−1−オールを添加しない脱カフェイン無糖紅茶飲料(コントロール)は、加熱劣化臭の強く感じられるものであった。一方、cis−3−ヘキセン−1−オールを添加して得られた試験紅茶飲料1〜5は、いずれも加熱劣化臭が感じられないものであったが、cis−3−ヘキセン−1−オール含有量が多くなるに連れて青葉香が強くなり、紅茶としての好ましさが低下する傾向が見られた。
実施例1で用いた脱カフェイン無糖紅茶に、市販の5種類の飲料用香料をそれぞれ適量添加して試験飲料6〜9を調製した。これらの飲料中のcis−3−ヘキセン−1−オールの含有量を定量したところ、試験飲料6からcis−3−ヘキセン−1−オールが、それぞれ0.6ppm検出された。試験飲料7〜9では、cis−3−ヘキセン−1−オールは検出されなかった。香料を添加しない脱カフェイン無糖紅茶(コントロール)、及び試験飲料6〜9を、それぞれ190g缶にホットパック充填し、レトルト殺菌(121℃5〜10分相当)に供した。レトルト殺菌後の試験飲料6中のcis−3−ヘキセン−1−オール含有量を測定したところ、0.5ppmであった。
殺菌後1週間放置した後、8人(男性6名、女性2名)の被験者に、サンプルを20mlずつ飲用させ、飲用時の怒り/ストレス、喜び、悲しみ、リラックスに代表される基本4感情の変化を感性スペクトル測定装置にて測定し解析した。感性スペクトルの測定及び解析には、市販の測定装置(感性スペクトル解析基礎システムESA-16 BASIC、株式会社脳機能研究所)及び解析ソフト(感性解析基礎ソフトウエアEmotion Expert Basic、株式会社脳機能研究所)を用いた。
飲用直後2分間の測定値と飲用前2分間の測定値との差を求め、各サンプルについて標準化した値を表2に示す。なお、値(標準得点)の数値が大きいほど怒り/ストレス、喜び、悲しみ、リラックスに代表される基本4感情が増大したことを示す(負の値はそれらの感情が減少したことを示す)。
Figure 0005898516
表2に示すとおり、cis−3−ヘキセン−1−オールを0.5ppm含有する試験飲料6を飲用した場合に、コントロールを飲用した場合と比較して有意に悲しみが低下し、リラックスの上昇が認められた。更に、怒り/ストレスの低下、喜びの上昇も認められた。
本発明は、カフェインの含有量が10ppm以下である、脱カフェインされた高香味茶飲料において、飲料の製造工程の高温加熱殺菌することにより生じる加熱劣化臭をマスキングすることにより、茶飲料の香味を改善した高香味脱カフェイン茶飲料を提供する。本発明の脱カフェイン茶飲料は、cis−3−ヘキセン−1−オールの持つ、ストレス軽減機能と相俟って、高機能、高香味の健康茶飲料を提供する。

Claims (3)

  1. カフェインの含有量が10ppm未満である脱カフェイン容器詰茶飲料の製造において、脱カフェイン処理した茶飲料抽出液に、cis−3−ヘキセン−1−オール又はcis−3−ヘキセン−1−オール含有物を添加して、茶飲料中のcis−3−ヘキセン−1−オールが0.2ppm以上、2ppm以下含有するように調整したことを特徴とする加熱劣化臭のマスキングされた高香味脱カフェイン容器詰茶飲料の製造方法。
  2. cis−3−ヘキセン−1−オール含有物が、茶生葉から抽出したcis−3−ヘキセン−1−オール含有抽出物であることを特徴とする請求項1に記載の加熱劣化臭のマスキングされた高香味脱カフェイン容器詰茶飲料の製造方法。
  3. カフェイン含有量が10ppm未満である脱カフェイン容器詰茶飲料において、脱カフェイン処理した茶飲料抽出液に、cis−3−ヘキセン−1−オール又はcis−3−ヘキセン−1−オール含有物を添加して、茶飲料中のcis−3−ヘキセン−1−オールを0.2ppm以上、2ppm以下含有するように調整することを特徴とする脱カフェイン容器詰茶飲料の加熱劣化臭のマスキング方法。
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