JP5895205B2 - 赤外線放射素子 - Google Patents

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Description

本発明は、赤外線放射素子に関するものである。
従来から、MEMS(micro electro mechanical systems)の製造技術などを利用して
製造される赤外線放射素子が研究開発されている。この種の赤外線放射素子は、ガスセンサや光学分析装置などの赤外線源として使用することができる。
この種の赤外線放射素子としては、例えば、文献1(日本国公開特許公報第平9−184757号)に示すように、図8および図9に示す構成の放射源が知られている。
この放射源は、基板13と、基板13上に形成された第1絶縁層22と、第1絶縁層22上に形成された放射表面層11と、放射表面層11上に形成された第2絶縁層24、第2絶縁層24上に形成された極めて細い複数の白熱フィラメント10とを備えている。また、この放射源は、各白熱フィラメント10を覆うように形成され各白熱フィラメント10を保護する第3絶縁層26と、第3絶縁層26に形成された開口を通して各白熱フィラメント10の両端部に接続された一対の金属パッド15,15とを備えている。第2絶縁層24は、放射表面層11と白熱フィラメント10とを電気的に絶縁するために設けてある。また、文献1には、白熱フィラメント10が、均一平面板としての多層構造をなす他の要素(第1絶縁層22、放射表面層11、第2絶縁層24、第3絶縁層26)により囲まれている旨が記載されている。また、文献1には、第1絶縁層22および第3絶縁層26を設ける目的は、白熱フィラメント10および放射表面層11が酸化しないように保護することである旨が記載されている。
また、基板13には、放射表面層11に対応して開口部14が形成されている。文献1には、開口部14を形成するために使用できるエッチング液として、水酸化カリウム(KOH)水溶液、少量のピロカテコールを添加したエチレンジアミン水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)が記載されている。
基板13は、(100)配向のシリコンチップにより形成されている。また、第1絶縁層22は、厚さが200nmの窒化シリコン層からなる。また、放射表面層11は、厚さが約1μmで、ホウ素、リンまたは砒素がドープされたポリシリコン膜からなる。また、第2絶縁層24は、厚さが約50nmの窒化シリコン層からなる。また、白熱フィラメント10は、厚さが約400nmのタングステン層からなる。また、第3絶縁層26は、厚さが約200nmの窒化シリコン層からなる。金属パッド15は、例えば、アルミニウムから形成されており、第3絶縁層26に形成された開口を通して白熱フィラメント10とオーム性接触を形成している。
また、放射源は、放射表面層11が1mm2の面積を有している。白熱フィラメント10の寸法については、例えば厚さを0.1−1μm、幅を2−10μmとし、その間隔を20−50μmとしてある。
放射源は、白熱フィラメント10が当該白熱フィラメント10に流れる電流により加熱されるが、白熱フィラメント10を、専ら放射表面層11の加熱のために用いるものであり、放射表面層11が主熱放射源として振る舞う。
ところで、赤外線放射素子を例えば分光式ガスセンサ用の赤外線源として用いる場合には、赤外線放射素子を間欠的に駆動することで赤外線を間欠的に放射させ、赤外線を検出する受光素子の出力をロックインアンプにより増幅することで、ガスセンサの出力のS/N比を向上できることが知られている。
しかしながら、図8および図9に示した放射源の構成では、白熱フィラメント10の熱容量だけでなく、第1絶縁層22、放射表面層11、第2絶縁層24および第3絶縁層26それぞれの熱容量に起因して、白熱フィラメント10へ与える電圧波形に対する放射表面層11の温度変化の応答が遅くなる。このため、上述の放射源では、放射表面層11の温度が上昇しにくくなり、低消費電力化および応答速度の高速化が難しい。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、低消費電力化および応答速度の高速化が可能な赤外線放射素子を提供することにある。
本発明に係る赤外線放射素子の第1の形態は、熱絶縁性および電気絶縁性を有する第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成され、通電により赤外線を放射する発熱体層と、前記発熱体層に対して前記第1絶縁層とは反対側に形成され、熱絶縁性および電気絶縁性を有する第2絶縁層と、を備える。前記第2絶縁層は、前記発熱体層から放射される赤外線を透過するように構成される。前記発熱体層は、前記発熱体層のインピーダンスが前記第2絶縁層の接触する空間のインピーダンスと整合するように選択されたシート抵抗を有する。
本発明に係る赤外線放射素子の第2の形態では、前記第1の形態において、前記発熱体層のシート抵抗は、赤外線の放射率が規定値以上となるように選択される。
本発明に係る赤外線放射素子の第3の形態では、前記第2の形態において、前記発熱体層のシート抵抗は、73Ω/□以上493Ω/□以下の範囲から選択される。
本発明に係る赤外線放射素子の第4の形態は、前記第1〜第3の形態のうちいずれか一つの形態において、基板を備える。前記第1絶縁層は、前記基板の一表面上に形成される。
本発明に係る赤外線放射素子の第5の形態では、前記第4の形態において、前記基板は、前記第1絶縁層を露出させる開口部を有する。

本発明に係る赤外線放射素子の第6の形態では、前記第5の形態において、前記発熱体層は、平面視において、前記第1絶縁層と前記開口部とが接する領域に配置される。
本発明に係る赤外線放射素子の第7の形態は、前記第5の形態又は前記第6の形態において、前記発熱体層に対して前記第1絶縁層とは反対側における前記発熱体層の両端部にそれぞれ形成される一対の電極を備える。
本発明に係る赤外線放射素子の第8の形態は、前記第7の形態において、平面視において前記開口部が形成されていない領域に所定方向に平行に配置される一対のパッドと、前記一対のパッドを前記一対の電極にそれぞれ電気的に接続する一対の電気接続部と、を備える。前記一対の電気接続部は、前記発熱体層の重心を通り前記所定方向に伸びる中心線に対し、線対称に配置される。
本発明に係る赤外線放射素子の第9の形態では、前記第8の形態において、前記一対の電気接続部のそれぞれは、複数の配線で構成される。
本発明に係る赤外線放射素子の第10の形態では、前記第8の形態又は前記第9の形態において、前記電気接続部は、タンタルで形成される。
本発明に係る赤外線放射素子の第11の形態では、前記第1〜第10の形態のうちいずれか一つの形態において、前記発熱体層は、窒化タンタルまたは導電性を有するポリシリコンで形成される。
(a)は実施形態1の赤外線放射素子の概略平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 (a)は実施形態2の赤外線放射素子の概略平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 (a)は実施形態3の赤外線放射素子の概略平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 (a)は実施形態4の赤外線放射素子の概略平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 (a)は実施形態5の赤外線放射素子の概略平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 (a)は実施形態6の赤外線放射素子の概略平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 (a)は実施形態7の赤外線放射素子の概略平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 従来例の放射源の平面図である。 図8の放射源のA−A’線断面図である。
(実施形態1)
以下では、実施形態1の赤外線放射素子1について図1に基づいて説明する。
実施形態1の赤外線放射素子1は、基板2と、この基板2の一表面21側に形成された第1絶縁層3と、この第1絶縁層3における基板2側とは反対側において第1絶縁層3に直接積層された発熱体層4とを備えている。また、赤外線放射素子1は、基板2の上記一表面21側で発熱体層4の周部に接するように形成された一対の電極7,7を備える。また、赤外線放射素子1は、各電極7,7の各々に電気接続部8(配線8a)を介して電気的に接続された一対のパッド9,9を備えている。また、実施形態1の赤外線放射素子1は、第1絶縁層3における基板2側とは反対側で発熱体層4に直接積層され発熱体層4から放射される赤外線に対して透明な第2絶縁層5を備えている。基板2には、第1絶縁層3における発熱体層4側とは反対側の表面を露出させる開口部2aが形成されている。この赤外線放射素子1では、発熱体層4への通電により発熱体層4から赤外線が放射される。
つまり、実施形態1の赤外線放射素子1は、第1絶縁層3と、第1絶縁層3上に形成された発熱体層4と、発熱体層4に対して第1絶縁層3とは反対側に形成された第2絶縁層5とを備える。発熱体層4は、通電により発熱し赤外線を放射する。また、実施形態1の赤外線放射素子1は基板2を備え、第1絶縁層3は、基板2の一表面21上に形成されている。そして、基板2は、第1絶縁層3を露出させる開口部2aを有する。
発熱体層4では、第2絶縁層5が接する空間(例えば、空気、窒素ガスなどの気体)とのインピーダンス不整合による赤外線の放射率の低下を抑制するようにシート抵抗が設定されてある。
以下、赤外線放射素子1の各構成要素について詳細に説明する。
基板2は、上記一表面21が(100)面の単結晶のシリコン基板により形成されているが、これに限らず、(110)面の単結晶のシリコン基板により形成してもよい。また、基板2は、単結晶のシリコン基板に限らず、多結晶のシリコン基板でもよいし、シリコン基板以外でもよい。基板2の材料としては、第1絶縁層3の材料よりも熱伝導率が大きく且つ熱容量が大きな材料が好ましい。
基板2の外周形状は、矩形状である。つまり、基板2の厚み方向(図1(a)における紙面垂直方向;図1(b)における上下方向)に直交する面内において、基板2は矩形状である。基板2の外形サイズは、特に限定されるものではないが、例えば、10mm□以下(10mm×10mm以下)に設定されるのが好ましい。また、基板2の開口部2aの開口形状は矩形状としてある。基板2の開口部2aは、上記一表面21(第1絶縁層3側の表面)側に比べて、基板2において前記一表面21と反対側の面である他表面22側での開口面積が大きくなる形状に形成されている。つまり、基板2の開口部2aは、第1絶縁層3から離れるほど開口面積が徐々に大きくなる形状に形成されている。基板2の開口部2aは、基板2をエッチングすることにより形成されている。基板2として一表面21が(100)面の単結晶のシリコン基板を採用している場合、基板2の開口部2aを、アルカリ系溶液をエッチング液として用いた異方性エッチングにより形成することができる。基板2の開口部2aの開口形状は、特に限定されるものではない。また、赤外線放射素子1には、製造時において開口部2aを形成する際のマスク層が無機材料からなる場合、基板2の他表面22に、マスク層が残っていてもよい。なお、マスク層としては、例えば、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜などを採用することができる。
第1絶縁層3は、熱絶縁性及び電気絶縁性を有する。第1絶縁層3は開口部2aを覆うように基板2の一表面21に形成されている。第1絶縁層3は、開口部2aと発熱体層4とを隔離するダイヤフラム部3Dと、基板2の上記一表面21側で開口部2aの周部に形成されダイヤフラム部3Dを支持する支持部3Sとからなる。つまり、第1絶縁層3は、基板2の一表面21において開口部2a上に位置する部位であるダイヤフラム部3Dと、開口部2a上に位置しない部位である支持部3Sと、を有する。つまり、ダイヤフラム部3Dは、ダイヤフラム領域に形成されている。ダイヤフラム領域とは、平面視において、開口部2aが基板2の一表面21に形成されている領域である。ダイヤフラム領域を言い換えれば、平面視において、開口部2aと第1絶縁層3(ダイヤフラム部3D)とが接する領域である。なお、「平面視において」とは、基板2(発熱体層4)の厚み方向から見た場合を指す。
また、赤外線放射素子1は、ダイヤフラム領域にダイヤフラム体を備える。実施形態1では、ダイヤフラム体は、第1絶縁層3(ダイヤフラム部3D)、発熱体層4、第2絶縁層5、電極7及び電気接続部8で構成されている。そして、実施形態1では、第1絶縁層3は基板2とはへりが一致するように形成されている。
また、第1絶縁層3は、基板2側のシリコン酸化膜と、このシリコン酸化膜における基板2側とは反対側に積層されたシリコン窒化膜とからなる。第1絶縁層3は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜に限らず、例えば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜の単層構造でもよいし、その他の材料からなる単層構造や、2層以上の積層構造でもよい。
第1絶縁層3は、赤外線放射素子1の製造時において基板2の一表面21と反対側の面である基板2の上記他表面22側から基板2をエッチングして開口部2aを形成する際のエッチングストッパ層としての機能も有している。
発熱体層4は、通電により発熱し赤外線を放射するように設計される。つまり、発熱体層4は、ヒータとして機能し、且つ、赤外線を放射する発光層として機能する。発熱体層4の平面形状は矩形状である。ここで、発熱体層4の平面形状を、発熱体層4の厚み方向に直交する面内における発熱体層4の形状と定義する。実施形態1の発熱体層4は、平面視において第1絶縁層3(ダイヤフラム部3D)と発熱体層4とが接する領域(ダイヤフラム領域)に形成されている。言い換えれば、発熱体層4は、平面視において、基板2の一表面21側に開口部2aが形成された領域(ダイヤフラム領域)に配置されている。さらに言い換えれば、発熱体層4は、基板2の一表面21に平行する平面において、開口部2aの内側に位置する。また、発熱体層4の平面サイズは、第1絶縁層3において開口部2aに臨む表面の平面サイズよりも小さく設定するのが好ましい。つまり、発熱体層4の平面サイズは、ダイヤフラム部3Dの平面サイズ(前記一表面21における開口部2aのサイズ)よりも小さく設定するのが好ましい。ここで、ダイヤフラム部3Dの平面サイズは、特に限定するものではないが、例えば、5mm□以下(5mm×5mm以下)に設定するのが好ましい。
実施形態1の赤外線放射素子1は電極7を備え、電極7は、赤外線放射層4に接触する。赤外線放射層4における各電極7と接触する領域をコンタクト領域4bとよぶ。そして、発熱体層4のうち、コンタクト領域4bを除いた領域を、放射領域4aとよぶ。つまり、発熱体層4は、コンタクト領域4bと放射領域4aとを有する。実施形態1では、発熱体層4は、一対のコンタクト領域4bを対向するように備えている。実施形態1ではコンタクト領域4bは、発熱体層4における第1絶縁層3と反対側の表面(図1(b)における上面)の端部に形成されている。そして、一対のコンタクト領域4bは、発熱体層4の端部に発熱体層4の幅方向(図1(a)の上下方向;図1(b)の紙面垂直方向)に沿って形成されている。発熱体層4の平面サイズは、発熱体層4に各電極7の各々が重なる各コンタクト領域4bを除いた放射領域4aの平面サイズが3mm□以下(3mm×3mm以下)となるように設定するのが好ましい。
発熱体層4の材料としては、窒化タンタルを採用している。つまり、発熱体層4は、窒化タンタルで形成された窒化タンタル層からなる。発熱体層4の材料としては、窒化タンタルに限らず、例えば、窒化チタン、ニッケルクロム、タングステン、チタン、トリウム、白金、ジルコニウム、クロム、バナジウム、ロジウム、ハフニウム、ルテニウム、ボロン、イリジウム、ニオブ、モリブデン、タンタル、オスミウム、レニウム、ニッケル、ホルミウム、コバルト、エルビウム、イットリウム、鉄、スカンジウム、ツリウム、パラジウム、ルテチウムなどを採用してもよい。また、発熱体層4の材料としては、導電性ポリシリコンを採用してもよい。つまり、発熱体層4を、導電性を有しポリシリコンで形成される導電性ポリシリコン層により構成してもよい。発熱体層4として、高温で化学的に安定であり、且つ、シート抵抗の設計容易性という観点から、窒化タンタル層もしくは導電性ポリシリコン層を採用することが好ましい。発熱体層4を窒化タンタル層で形成した場合、窒化タンタル層の組成(例えば、TaとNとのモル比)を変えることにより、発熱体層4のシート抵抗を変えることが可能である。発熱体層4を導電性ポリシリコン層で形成した場合、導電性ポリシリコン層の不純物濃度などを変えることにより、発熱体層4のシート抵抗を変えることが可能である。導電性ポリシリコン層は、n形不純物を高濃度にドーピングさせたn形ポリシリコン層により構成することができる。もしくは、導電性ポリシリコン層は、p形不純物を高濃度にドーピングさせたp形ポリシリコン層であってもよい。発熱体層4を導電性ポリシリコン層(n形ポリシリコン層)とし、n形不純物として例えばリンを採用する場合には、不純物濃度を例えば、1×1018cm-3〜5×1020cm-3程度の範囲で適宜設定すればよい。また、発熱体層4を導電性ポリシリコン層(p形ポリシリコン層)とし、p形不純物として例えばボロンを採用する場合には、不純物濃度を1×1018cm-3〜1×1020cm-3程度の範囲で適宜設定すればよい。なお、発熱体層4の材料として、基板2と発熱体層4との線膨張係数差に伴う熱応力に起因して発熱体層4が破壊されるのを防止するという観点から、基板2の材料との線膨張係数差が小さい材料が好ましい。
赤外線放射素子1において発熱体層4から放射される赤外線のピーク波長λは、発熱体層4の温度に依存する。ここで、発熱体層4の絶対温度をT〔K〕、ピーク波長をλ〔μm〕とすれば、ピーク波長λは、
λ=2898/T
となり、発熱体層4の絶対温度Tと発熱体層4から放射される赤外線のピーク波長λとの関係がウィーンの変位則を満足している。赤外線放射素子1は、例えば、外部電源(図示せず)から一対のパッド9,9間に与える入力電力を調整することにより、発熱体層4に発生するジュール熱を変化させることができ、発熱体層4の温度を変化させることができる。つまり、発熱体層4の温度は、発熱体層4に与える電力に応じて、変化する。したがって、赤外線放射素子1は、発熱体層4への入力電力に応じて発熱体層4の温度を変化させることができ、また、発熱体層4の温度を変化させることで発熱体層4から放射される赤外線のピーク波長λを変化させることができる。また、実施形態1の赤外線放射素子1では、発熱体層4の温度を高くするほど赤外線の放射量を増大させることが可能となる。このため、赤外線放射素子1を、広範囲の赤外線波長域において高出力の赤外線光源として用いることが可能となる。例えば、赤外線放射素子1をガスセンサの赤外光源として使用する場合には、赤外線を受光するディテクタの光学フィルタで透過させる赤外線の周波数を任意に選ぶことにより、ガスセンサが検知するガスを選択することが可能となる。特に、光学フィルタを波長が異なる複数の赤外線を透過させるように設計することにより、ガスセンサで複数種類のガスを検知できる。
第2絶縁層5は、熱絶縁性と電気絶縁性とを有する。実施形態1の第2絶縁層5は、発熱体層4から放射される赤外線を透過するように構成される。また、実施形態1の第2絶縁層5は、発熱体層4と反対側の面において一部が配線8aに覆われており、それ以外の部分は露出されて空間と接触している。第2絶縁層5は、シリコン窒化膜により構成してある。第2絶縁層5は、これに限らず、例えば、シリコン酸化膜により構成してもよいし、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造を有していてもよい。第2絶縁層5は、発熱体層4への通電時に発熱体層4から放射される所望の波長ないし波長域の赤外線に対する透過率が高いほうが好ましいが、透過率が100%であることを必須とするものではない。
実施形態1の第2絶縁層5は発熱体層4を覆っており、発熱体層4は、第2絶縁層5と第1絶縁層3との間に配置されている。そのため、第2絶縁層5は電極7を発熱体層4に接触させるためのコンタクトホール5aを一対備える。コンタクトホール5aは第2絶縁層5を貫通し、電極7はコンタクトホール5aを通して発熱体層4上に形成される。そのため、電極7は発熱体層4に接触することができる。つまり、電極7を通して発熱体層4に通電できる。
赤外線放射素子1は、第1絶縁層3と発熱体層4と第2絶縁層5とで構成されるサンドイッチ構造(発熱体層4が第1絶縁層3と第2絶縁層5とにはさまれる構造)の応力バランスを考慮して、第1絶縁層3および第2絶縁層5それぞれの材料や厚さなどを設定することが好ましい。これにより、赤外線放射素子1は、上述のサンドイッチ構造の応力バランスを向上させることが可能となり、このサンドイッチ構造の反りや破損を、より抑制することが可能となって機械的強度のより一層の向上を図ることが可能となる。
上述の発熱体層4の厚さ(図1(a)における紙面垂直方向の長さ、図1(b)における上下方向の長さ)は、発熱体層4の低熱容量化を図るという観点から0.2μm以下とするのが好ましい。
第1絶縁層3の厚さと発熱体層4の厚さと第2絶縁層5の厚さとの合計の厚さは、第1絶縁層3と発熱体層4と第2絶縁層5との積層構造の低熱容量化を図るという観点から、例えば、0.1μm〜1μm程度の範囲で設定することが好ましく、0.7μm以下とするのがより好ましい。
一対の電極7,7は、基板2の上記一表面21側において、発熱体層4の第1絶縁層2と反対側の表面の周部(図1(a)における左右両端部)と接する形で形成されている。つまり、赤外線放射素子1は、発熱体層4に対して前記第1絶縁層3とは反対側における発熱体層4の両端部にそれぞれ形成される一対の電極7,7を備える。実施形態1では、一対の電極7,7は、発熱体層4の幅方向(図1(a)の上下方向、図1(b)の紙面垂直方向)に沿って形成され、発熱体層4の長さ方向(図1(a)、(b)の左右方向)に並んでいる。各電極7は、第2絶縁層5に形成されたコンタクトホール5aを通して発熱体層4上に形成され、発熱体層4と電気的に接続されている。ここで、各電極7は、発熱体層4とオーミック接触をなしている。
各電極7の材料として、実施形態1では、アルミニウム合金(Al−Si)を採用している。つまり、電極7は、アルミニウム合金(Al−Si)により形成されることが好ましい。また、電極7は、AlやAl−Cuにより形成されることも好ましい。しかしながら、各電極7の材料は、特に限定するものではなく、例えば、金、銅などを採用してもよい。また、各電極7は、少なくとも、発熱体層4と接する部分が発熱体層4とオーミック接触が可能な材料であればよく、単層構造に限らず、多層構造でもよい。例えば、各電極7は、発熱体層4側から順に、第1層、第2層、第3層が積層された3層構造として、発熱体層4に接する第1層の材料を高融点金属(例えば、クロムなど)とし、第2層の材料をニッケルとし、第3層の材料を金としてもよい。
パッド9は、支持部3S上に形成されている。つまり、パッド9は、平面視において、開口部2aが形成されていない領域に配置されている。さらに言い換えれば、パッド9は、基板2の一表面2aに平行する平面において、開口部2aの外側に配置される。そして、一対のパッド9は、平面視において、開口部2aが形成されていない領域において互いに平行に配置されている。つまり、一対のパッド9は、所定方向に平行に配置されている。実施形態1では、一対のパッド9は、平面視において、開口部2aが形成されている領域を挟んで互いに平行に配置されている。
また、一対の電気接続部8,8は、一対のパッド9,9を一対の電極7,7にそれぞれ電気的に接続する。実施形態1では、電気接続部8は一本の配線8aで構成される。各電気接続部8(配線8a)および各パッド9は、各電極7と同じ材料により形成され、同じ層構造、同じ厚さに設定するのが好ましい。これにより、赤外線放射素子1では、各電気接続部8(配線8a)および各パッド9を各電極7と同時に形成することが可能となる。パッド9の厚さは、0.5〜2μm程度の範囲で設定することが好ましい。
赤外線放射素子1の製造にあたっては、例えば、基板2の上記一表面21側に、第1絶縁層3、発熱体層4、第2絶縁層5を順次形成してから、第2絶縁層5にコンタクトホール5aを形成し、その後、各電極7、各電気接続部8(配線8a)及び各パッド9を形成し、続いて、基板2に開口部2aを形成すればよい。
第1絶縁層3のシリコン酸化膜の形成方法は、例えば、熱酸化法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などの薄膜形成技術を採用することができ、熱酸化法が好ましい。また、第1絶縁層3のシリコン窒化膜の形成方法は、CVD法などの薄膜形成技術を利用することができ、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法が好ましい。
発熱体層4の形成方法は、例えば、スパッタ法や蒸着法やCVD法などの薄膜形成技術と、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用した加工技術とを利用することができる。
第2絶縁層5の形成方法は、例えば、CVD法などの薄膜形成技術と、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用した加工技術とを利用することができる。第2絶縁層5を形成する際のCVD法としては、プラズマCVD法が好ましい。
コンタクトホール5aの形成にあたっては、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用すればよい。
また、各電極7、各配線8aおよび各パッド9の形成にあたっては、例えば、スパッタ法、蒸着法およびCVD法などの薄膜形成技術と、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用した加工技術とを利用することができる。また、開口部2aの形成にあたっては、基板2の前記一表面21と反対側の面である基板2の上記他表面22側にシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜(図示せず)をマスク層として形成し、基板2を上記他表面22側からエッチングすることにより開口部2aを形成すればよい。マスク層を形成するにあたっては、例えば、まず、第1絶縁層3のシリコン酸化膜の形成と同時に基板2の上記他表面22側にマスク層の基礎となるシリコン酸化膜を形成し、第1絶縁層3のシリコン窒化膜の形成と同時に基板2の上記他表面22側にシリコン窒化膜を形成する。マスク層の基礎となるシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜のパターニングは、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用すればよい。
実施形態1の赤外線放射素子1の製造方法では、開口部2aの形成時に、第1絶縁層3をエッチングストッパ層として利用することにより、第1絶縁層3の厚さの精度を高めることが可能となるとともに、第1絶縁層3における開口部2a側に基板2の一部や残渣が残るのを防止することが可能となる。この製造方法では、赤外線放射素子1ごとの、第1絶縁層3の機械的強度のばらつきや、第1絶縁層3のダイヤフラム部3D全体の熱容量のばらつきを抑制することが可能となる。
上述の赤外線放射素子1を複数製造するにあたっては、開口部2aの形成が終了するまでのプロセスを、ウェハレベルで行い、開口部2aを形成した後、個々の赤外線放射素子1に分離すればよい。つまり、複数の赤外線放射素子1の製造にあたっては、例えば、基板2の基礎となるシリコンウェハを準備して、このシリコンウェハに複数の赤外線検出素子1を上述の製造方法に従って形成し、その後、個々の赤外線検出素子1に分離すればよい。
上述の赤外線放射素子1の製造方法から分かるように、赤外線放射素子1は、MEMSの製造技術を利用して製造することができる。
ところで、発熱体層4は、上述のように、第2絶縁層5が接する空間(例えば、空気、窒素ガスなどの気体)とのインピーダンス不整合による赤外線の放射率の低下を抑制するようにシート抵抗を設定してある。つまり、発熱体層4は、発熱体層4のインピーダンスが第2絶縁層5が接する空間のインピーダンスと整合するように選択されたシート抵抗を有する。
例えば、発熱体層4の材料として窒化タンタルを採用する場合、発熱体層4のシート抵抗は、発熱体層4の基礎となる窒化タンタル層を反応性スパッタ法により成膜する際の窒素ガスの分圧によって制御することが可能である。要するに、発熱体層4の材料として窒化タンタルを採用する場合、窒化タンタル層の組成(TaとNとの比)を変えることにより、発熱体層4のシート抵抗を変えることが可能である。また、発熱体層4の材料として導電性ポリシリコンを採用する場合、発熱体層4のシート抵抗は、発熱体層4の基礎となる導電性ポリシリコン層の不純物濃度などを変えることにより、変えることが可能である。導電性ポリシリコン層の不純物濃度を制御する方法として、ノンドープのポリシリコン層を形成した後で不純物をドーピングする方法、成膜時に不純物をドーピングする方法などがある。
実施形態1の赤外線放射素子1において、上述の空間(気体)が空気であり、発熱体層4の材料として窒化タンタルを採用し、発熱体層4を所望の使用温度として例えば500℃に加熱して使用する場合、この使用温度で発熱体層4からの赤外線の放射率が最大となる発熱体層4のシート抵抗は、189Ω/□(189Ω/sq.)であり、放射率の最大値は、50%である。つまり、赤外線放射素子1は、発熱体層4のシート抵抗を189Ω/□とすれば、空気とのインピーダンスマッチングにより、赤外線の放射率を最大とすることが可能となる。したがって、放射率の低下を抑制して例えば40%以上の放射率を確保するためには、発熱体層4のシート抵抗を73〜493Ω/□の範囲で設定すればよい。なお、所望の使用温度において放射率が最大となるシート抵抗を規定シート抵抗と呼ぶことにすれば、所望の使用温度での発熱体層4のシート抵抗は、規定シート抵抗±10%の範囲で設定するのが、より好ましい。つまり、赤外線放射素子1において、発熱体層4のシート抵抗は、赤外線の放射率が規定値以上となるように選択されることが好ましい。具体的には、発熱体層4のシート抵抗は73Ω/□以上493Ω/□以下の範囲から選択されることが好ましい。
赤外線放射素子1は、基板2と、第1絶縁層3と、発熱体層4と、第2絶縁層5と、一対の電極7,7とを備え、発熱体層4への通電により発熱体層4から赤外線が放射されるものであり、基板2に、第1絶縁層3における発熱体層4側とは反対側の表面を露出させる開口部2aが形成され、発熱体層4に関し、第2絶縁層5が接する空間(気体)とのインピーダンス不整合による赤外線の放射率の低下を抑制するようにシート抵抗を設定してある。
以上述べたように、実施形態1の赤外線放射素子1は、以下の第1〜第7、第11の特徴を有する。なお、第8〜第10の特徴については、後述する。
第1の特徴では、赤外線放射素子1は、熱絶縁性および電気絶縁性を有する第1絶縁層3と、第1絶縁層3上に形成され、通電により赤外線を放射する発熱体層4と、発熱体層4に対して第1絶縁層3とは反対側に形成され、熱絶縁性および電気絶縁性を有する第2絶縁層5と、を備える。第2絶縁層5は、発熱体層4から放射される赤外線を透過するように構成される。発熱体層4は、発熱体層4のインピーダンスが第2絶縁層5の接触する空間のインピーダンスと整合するように選択されたシート抵抗を有する。
第2の特徴では、第1の特徴を備える赤外線放射素子1において、発熱体層4のシート抵抗は、赤外線の放射率が規定値以上となるように選択される。なお、本実施形態の赤外線放射素子1において、第2の特徴は任意の特徴である。
第3の特徴では、第2の特徴を備える赤外線放射素子1において、発熱体層4のシート抵抗は、73Ω/□以上493Ω/□以下の範囲から選択される。なお、本実施形態の赤外線放射素子1において、第3の特徴は任意の特徴である。
第4の特徴では、第1〜第3の特徴のうち、いずれか一つの特徴を備える赤外線放射素子1において、赤外線放射素子1は、基板2を備える。そして、第1絶縁層3は、基板2の一表面21上に形成される。なお、本実施形態の赤外線放射素子1において、第4の特徴は任意の特徴である。
第5の特徴では、第4の特徴を備える赤外線放射素子1において、基板2は、第1絶縁層3を露出させる開口部2aを有する。なお、本実施形態の赤外線放射素子1において、第5の特徴は任意の特徴である。
第6の特徴では、第5の特徴を備える赤外線放射素子1において、発熱体層4は、平面視において第1絶縁層3と開口部2aとが接している領域に配置される。なお、第6の特徴は、本実施形態の赤外線放射素子1において、任意の特徴である。
第7の特徴では、第5又は第6の特徴を備える赤外線放射素子1において、赤外線放射素子1は、発熱体層4に対して第1絶縁層3とは反対側において発熱体層4の両端部にそれぞれ形成される一対の電極7,7を備える。なお、本実施形態の赤外線放射素子1において、第7の特徴は任意の特徴である。
また、第1と第4、第5、及び第7の特徴を備える赤外線放射素子1を換言すれば、赤外線放射素子1は、基板2と、基板2の一表面21側に形成された第1絶縁層3と、第1絶縁層3における基板2側とは反対側に直接積層された発熱体層4と、前記基板2の前記一表面21側で発熱体層4の周部に接するように形成された一対の電極7,7と、第1絶縁層3における基板2側とは反対側で発熱体層4に直接積層され発熱体層4から放射される赤外線に対して透明な第2絶縁層5とを備える。基板2は、第1絶縁層3における発熱体層4側とは反対側の表面を露出させる開口部2aが形成されてなる。発熱体層4は、第2絶縁層5が接する気体とのインピーダンス不整合による赤外線の放射率の低下を抑制するようにシート抵抗を設定されている。
そして、第11の特徴では、第1〜第10のうちいずれか一つの特徴を備える赤外線放射素子1において、発熱体層4は、窒化タンタル層もしくは導電性ポリシリコン層からなる。なお、本実施形態の赤外線放射素子1において、第11の特徴は任意の特徴である。
上記の第11の特徴を換言すれば、発熱体層4は、窒化タンタルまたは導電性を有するポリシリコンで形成される。
ここで、赤外線放射素子の赤外線の出力は、赤外線を放射する層(実施形態1では、発熱体層4)の赤外線放射率に略比例する。そして、赤外線放射率は一般的に、赤外線を放射する物体(実施形態1では、発熱体層4)の温度の4乗に略比例することが知られている。なお、発熱体層4の温度は、発熱体層4に入力される熱量(電力)に比例し、発熱体層4、第1絶縁層3、第2絶縁層5の熱容量に反比例する。そして、層の熱容量は、単位面積あたりの層の厚みに比例する。
従来の赤外線放射素子では、例えば文献1に示すように、赤外線の出力を向上させるために、赤外線を放射する層(放射表面層)の体積を増やす方法を採用し、放射表面層の厚みを大きくしている(文献1では、放射表面層の厚みは約1μm)。しかしながら、放射表面層の厚みを大きくした赤外線放射素子では、放射表面層の熱容量が増大するために、放射表面層が薄い赤外線放射素子に比べて、赤外線の出力がかえって小さくなるおそれがある。つまり、厚い放射表面層は、薄い放射表面層に比べ、同じ温度に到達するために必要とされる電力が大きい(ここでは、厚い放射表面層と薄い放射表面層とは、厚み以外の条件は同じである)。そのため、厚い放射表面層と薄い放射表面層とに同じ電力を与えたとしても、厚い放射表面層の温度上昇は薄い放射表面層よりも小さくなる。したがって、厚い放射表面層の赤外線放射率は、薄い放射表面層よりも小さくなるおそれがある。
また、厚い放射表面層を備える赤外線放射素子が高い赤外線の出力を発揮するためには、大きな電力を与える必要がある。すなわち、厚い放射表面層を備える赤外線放射素子では、低消費電力化が難しくなる。
一方、実施形態1の赤外線放射素子1では、赤外線の出力を向上させるため、発熱体層4のインピーダンスと第2絶縁層5が接触する空間のインピーダンスとが整合するように構成されている。そのため、赤外線放射素子1では、赤外線を放射する層(発熱体層4)の厚みが従来の赤外線放射素子に比べ薄くても(例えば0.2μm)、発熱体層4は、比較的に大きな赤外線放射率(50%ほど)を有する。つまり、実施形態1の赤外線放射素子1では、発熱体層4と第2絶縁層5が接触する空間とのインピーダンスを整合させることにより、発熱体層4の熱容量を大きくせずとも(厚みを大きくせずとも)、赤外線の放射率を大きくでき、赤外線放射素子1を高出力化することができる。
また、物体の熱時定数は、一般的に、物体の備える熱容量に比例することが知られている。そのため、従来のように、赤外線を放射する層(放射表面層)を厚くした赤外線放射素子では、放射表面層の熱容量が増大するとともに熱時定数も大きくなる。すなわち、従来の赤外線放射素子では、応答速度の高速化が困難である。
一方、実施形態1では、発熱体層4の熱容量を大きくせずとも高出力化された赤外線放射素子1を得ることができ、つまり、高出力化された赤外線放射素子1の発熱体層4の熱時定数を小さくすることができる。そのため、赤外線放射素子1を高出力化すると共に、赤外線放射素子1の応答速度を高速化することができる。
したがって、実施形態1の赤外線放射素子1は、低消費電力化と応答速度の高速化の両立を可能にする。つまり、実施形態1の赤外線放射素子1では、低消費電力化および応答速度の高速化が可能となる。
しかして、赤外線放射素子1は、基板2の上記一表面21側に形成された積層構造(ここでは、第1絶縁層3、発熱体層4および第2絶縁層5)の熱容量を低減することが可能となり、且つ、発熱体層4の放射率の低下を抑制することが可能となる。よって、実施形態1の赤外線放射素子1では、低消費電力化および応答速度の高速化が可能となる。なお、赤外線放射素子1は、基板2の上記一表面21側の積層構造の熱容量を低減することにより、一対のパッド9,9間へ与える電圧波形に対する発熱体層4の温度変化の応答を速くすることが可能となって発熱体層4の温度が上昇しやすくなり、高出力化および応答速度の高速化を図ることが可能となる。
また、赤外線放射素子1は、基板2を単結晶のシリコン基板から形成し、第1絶縁層3をシリコン酸化膜とシリコン窒化膜とで構成してある。これにより、赤外線放射素子1は、第1絶縁層3に比べて基板2の熱容量および熱伝導率それぞれが大きく、基板2がヒートシンクとしての機能を有するので、小型化、入力電力に対する応答速度の高速化、赤外線の放射特性の安定性の向上を図ることが可能となる。
また、赤外線放射素子1では、発熱体層4の材料として、シリコンよりも高融点の窒化タンタルを採用している。そのため、ダイヤフラム体を構成する発熱体層4ではない部材(実施形態1では、第1絶縁層3、第2絶縁層5、電極7、電気接続部8)が、発熱体層4よりも高融点であれば、発熱体層4の温度を、基板2を構成するシリコンの最高使用温度(シリコンの融点よりもやや低い温度)まで上昇させることが可能となり、赤外線発光ダイオードに比べて赤外線の放射量を大幅に増大させることが可能となる。また、赤外線放射素子1は、各電極7において少なくとも発熱体層4に接する部位がシリコンよりも高融点の金属により形成されていれば、発熱体層4の温度を各電極7の材料に制約されることなく上昇させることが可能となる。
つまり、ダイヤフラム体を構成する発熱体層4ではない部材の材料として、発熱体層4よりも融点の高い材料を用いれば、発熱体層4の温度を発熱体層4の融点よりやや低い温度にまで上昇させることができる。なお、ここでの発熱体層4の温度とは、発熱体層4の中心付近(重心付近)の温度を指すものとする。
発熱体層4を窒化タンタルなど、高融点材料(融点が高い材料)で形成した場合、ダイヤフラム体を構成する他の部材の材料(第1絶縁層3、第2絶縁層5、電極7、電気接続部8)は、以下のような高融点材料から形成できる。
第1絶縁層3及び第2絶縁層5に用いられる高融点材料は、例えば、高融点を有する絶縁物(二酸化ケイ素、窒化ケイ素)である。
電極7及び電気接続部8(配線8a)に用いられる高融点材料は、例えば、高融点を有する金属(タンタル、タングステン、モリブデンなど)、高融点を有する貴金属(白金、ルテニウム、イリジウムなど)、及び、高融点を有する導電性材料(導電性を有する単結晶シリコン、導電性を有するポリシリコン、導電性を有する単結晶ゲルマニウム、導電性を有するポリゲルマニウム、導電性カーボン)から選択される。なお、実施形態1では、電気接続部8は、タンタル(Ta)で形成されている。
また、電気接続部8を上述したような高融点を有する貴金属で形成すると、電気接続部8が露出されて形成された場合であっても、発熱体層4の温度を上昇させたときに、電気接続部8が酸化されて電気抵抗が変化することを抑制することができる。
なお、高融点材料は、基板2を形成する材料より高い融点を有する材料であればよい。例えば、基板2がシリコンで形成された場合、高融点材料は、シリコンの融点より高い融点を有する材料から選択される。
また、ダイヤフラム体を構成する部材のうち発熱体層4ではない部材(例えば、電気接続部8)が、発熱体層4よりも低融点である場合には、発熱体層4の温度(発熱体層4の中心付近の温度)を、ダイヤフラム体を構成する部材のうち最も融点の低い材料の融点より少し低い温度まで上昇させることができる。ここで、発熱体層4は、発熱体層4の周部に近い部位ほど、大きく放熱しやすい。また、発熱体層4は、基板2に近い部位ほど大きく放熱しやすい。そのため、発熱体層4の周部の温度は、発熱体層4の中心の温度に比べて低くなる。そして、発熱体層4の周部に接触する電気接続部8は、発熱体層4に接触する部位やその近傍では、発熱体層4の周部と略同じ温度になる。しかしながら、上述したように、発熱体層4の周部の温度は、発熱体層4の中心付近の温度よりやや低くなるため、発熱体層4の中心付近の温度を、ダイヤフラム体を構成する材料のうち、最も融点の低い材料の融点より少し低い温度に設定すれば、赤外線放射素子1を安定して使用することができる。 以上述べたように、実施形態1の赤外線放射素子1は、第1〜第7、第11の特徴に加え、以下の第10の特徴を有する。
第10の特徴では、電気接続部8は、タンタルで形成される。なお、実施形態1の赤外線放射素子1において、第10の特徴は、任意の特徴である。
赤外線放射素子1では、発熱体層4、電極7、配線8aおよびパッド9が、平面視(厚
み方向(図1(a)の紙面垂直方向;図1(b)の上下方向)から見た場合)において一対の電極7,7の並ぶ方向に直交する赤外線放射素子1の中心線を対称軸として線対称に配置されていることが好ましい。つまり、赤外線放射素子1における発熱体層4が形成された側の面の構造は、平面視において、赤外線放射素子1の中心を通る赤外線放射素子1の長さ方向(図1(a)の上下方向、図1(b)の紙面垂直方向)の仮想線を対称軸として線対称である。さらに換言すれば、一対の電気接続部8は、中心線に対して線対称に配置される。前記中心線とは、発熱体層4の重心を通り前記所定方向に伸びる線である。一対のパッド9は、前記所定方向と平行に配置されている。これにより、赤外線放射素子1は、機械的強度のより一層の向上を図ることが可能となるとともに、発熱体層4の温度の面内ばらつきを抑制することが可能となる。本実施形態では、一対の電気接続部8だけでなく、発熱体層4、電極7も、前記中心線に対して線対称に配置される。換言すれば、赤外線放射素子1の構造は、発熱体層4が形成された側の面の面心を通り赤外線放射素子1の厚み方向に沿った仮想線を回転軸として、2回対称である。
以上述べたように、実施形態1の赤外線放射素子1は、第1〜第7、第10、及び第11の特徴に加え、第8の特徴を備える。第8の特徴では、赤外線放射素子1は、平面視において、開口部2aが形成されていない領域に前記所定方向に平行に配置される一対のパッド9と、一対のパッド9を一対の電極7にそれぞれ電気的に接続する一対の電気接続部8とを備える。一対の電気接続部8は、発熱体層4の重心を通り前記所定方向に伸びる中心線に対して、線対称に配置される。なお、実施形態1の赤外線放射素子1において、第8の特徴は、任意の特徴である。
(実施形態2)
以下では、実施形態2の赤外線放射素子1について図2に基づいて説明する。
実施形態2の赤外線放射素子1は、実施形態1の赤外線放射素子1と同様に、上記の第1〜第8、第10、及び第11の特徴を有する。そして、実施形態2の赤外線放射素子1は、第2絶縁層5を、第1絶縁層3におけるダイヤフラム部3Dの厚み方向(図2(a)の紙面垂直方向;図2(b)の上下方向)への投影領域内のみに形成してある点が実施形態1の赤外線放射素子1と相違する。つまり、実施形態2の赤外線放射素子は、実施形態1の赤外線放射素子1と、第2絶縁層5が形成される領域において異なる。具体的には、実施形態2の赤外線放射素子1では、第2絶縁層5は、平面視において一表面21に開口部2aが設けられたダイヤフラム領域にのみに形成されている。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同様の符号を付して説明を省略する。
実施形態2の赤外線放射素子1は、実施形態1の赤外線放射素子1に比べて、基板2の上記一表面21側に形成された積層構造(第1絶縁層3、発熱体層4および第2絶縁層5)の熱容量を低減することが可能となり、より一層の低消費電力化を図ることが可能となる。
(実施形態3)
以下では、実施形態3の赤外線放射素子1について図3に基づいて説明する。
実施形態3の赤外線放射素子1は、実施形態1の赤外線放射素子1と同様に、上記の第1〜第8、第10、及び第11の特徴を有する。そして、実施形態3の赤外線放射素子1は、実施形態1の赤外線放射素子1と、1つの電気接続部8が複数の配線8aで構成されている点で異なる。つまり、実施形態3の赤外線放射素子1は、第1〜第8、第10、及び第11の特徴に加えて、以下に記載する第9の特徴を有する。具体的には、実施形態3の赤外線放射素子1は、電極7とパッド9とを接続する電気接続部8が配線8aを2つずつ有する点が実施形態1の赤外線放射素子1と相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同様の符号を付して説明を省略する。
電極7とパッド9とを接続する電気接続部8は、2つの配線8a,8aで構成されている。配線8aは、平面視(図3(a)の紙面垂直方向から見た場合;図3(b)の上下方向から見た場合)において一対のパッド9,9の並設方向に直交する方向における発熱体層4の両端部それぞれに接続してある。つまり、配線8aは電極7の端部に接触し、赤外線放射素子1の幅方向(図3(a)及び図3(b)における左右方向)に延びた形状で配置されている。これにより、実施形態3の赤外線放射素子1は、実施形態1の赤外線放射素子1のように上記並設方向に直交する方向における発熱体層4の中央部に1つの配線8aを接続してある場合に比べて、発熱体層4に流れる電流の電流密度の均一化を図ることが可能となる。
ところで、赤外線放射素子1では、発熱体層4の発熱に起因する膨張、収縮に伴ってダイヤフラム部3Dが変形し、電気接続部8(配線8a)などに機械的なストレスがかかるおそれがある。実施形態3の赤外線放射素子1は、電極7とパッド9とを接続する配線8aを2つずつ備えているので、2つの配線8aのうちの一方が断線しても、使用することが可能であり、信頼性の向上および長寿命化を図ることが可能となる。実施形態3では電気接続部8が2つの配線8aで構成されているが、電気接続部8は、3つ以上の配線8aで構成されていてもよい。
以上に述べたように、実施形態3の赤外線放射素子1は、上記の第1〜第8、第10、及び第11の特徴に加えて、第9の特徴を有する。
第9の特徴では、一対の電気接続部8のそれぞれは、複数の配線8aで構成される。なお、実施形態3の赤外線放射素子1において、第2、第3、第10、及び第11の特徴は、任意の特徴である。
なお、他の実施形態においても、電極7とパッド9とを接続する配線8aを2つずつ備えるようにしてもよい。
(実施形態4)
以下では、実施形態4の赤外線放射素子1について図4に基づいて説明する。
実施形態4の赤外線放射素子1は、実施形態1の赤外線放射素子1と同様に、上記の第1〜第8、第10、及び第11の特徴を有する。そして、実施形態4の赤外線放射素子1は、発熱体層4の平面形状(発熱体層4の厚み方向(図4(a)における紙面垂直方向;図4(b)における上下方向)に直交する面内における発熱体層4の形状)を円形状としてある点が実施形態1の赤外線放射素子1と相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同様の符号を付して説明を省略する。
実施形態4の赤外線放射素子1では、実施形態1の赤外線放射素子1のように発熱体層4の平面形状を矩形状としてある場合に比べて、発熱体層4の温度のばらつきを低減することが可能となり、熱損失に起因した発熱体層4の赤外線放射効率の低下を抑制することが可能となる。これにより、実施形態4の赤外線放射素子1は、低消費電力化を図ることが可能となる。
なお、実施形態3の赤外線放射素子1において、発熱体層4の平面形状を円形状としてもよい。
(実施形態5)
以下では、実施形態5の赤外線放射素子1について図5に基づいて説明する。
実施形態5の赤外線放射素子1は、実施形態1の赤外線放射素子1と同様に、上記の第1〜第8、第10、及び第11の特徴を有する。そして、実施形態5の赤外線放射素子1は、発熱体層4の平面形状(発熱体層4の厚み方向(図5(a)における紙面垂直方向;図5(b)の上下方向)に直交する面内の発熱体層4の形状)が実施形態1〜4の赤外線放射素子1と相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同様の符号を付して説明を省略する。
実施形態5の赤外線放射素子1における発熱体層4の平面形状は、一対の電極7,7の並設方向において各電極7から離れるにつれて発熱体層4の幅寸法(図5(a)における上下方向の寸法)が徐々に小さくなる形状となっている。
実施形態5の赤外線放射素子1では、実施形態1の赤外線放射素子1のように発熱体層4の平面形状を矩形状としてある場合に比べて、発熱体層4の温度のばらつきを低減することが可能となり、熱損失に起因した発熱体層4の赤外線放射効率の低下を抑制することが可能となる。これにより、実施形態5の赤外線放射素子1は、低消費電力化を図ることが可能となる。
(実施形態6)
以下では、実施形態6の赤外線放射素子1について図6に基づいて説明する。
実施形態6の赤外線放射素子1は、実施形態1の赤外線放射素子1と同様に、上記の第1〜第8、第10、及び第11の特徴を有する。そして、実施形態6の赤外線放射素子1は、第1絶縁層3のダイヤフラム部3Dと第2絶縁層5とが積層された領域に、基板2の開口部2aに連通する複数(図6(a)では、6つ)の貫通孔3Hが形成されている点が実施形態1の赤外線放射素子1と相違する。つまり、実施形態6では、平面視において、ダイヤフラム領域のうち発熱体層4が形成されていない領域に、貫通孔3Hが形成されている。更に言えば、貫通孔3Hは、ダイヤフラム領域のうち、発熱体層4が形成されておらず、第1絶縁層3と第2絶縁層5とが形成されている領域に形成されている。つまり、貫通孔3Hは、発熱体層4を貫通せずに、第1絶縁層3及び第2絶縁層5を開口部2a上で貫通している。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同様の符号を付して説明を省略する。
複数の貫通孔3Hは、平面視(図6(a)における紙面垂直方向から見た場合;図6(b)の上下方向から見た場合)において発熱体層4を取り囲むように配置されていることが好ましいが、図6(a)の例に限定するものではない。各貫通孔3Hの平面視での開口形状は、長円状としてあるが、これに限定するものではなく、例えば、円形状でもよい。また、図6(a)の例では、各貫通孔3Hが、平面視において矩形状の発熱体層4の外周のいずれか1辺に沿って配置される長円状の開孔形状であるが、これに限らず、2辺に沿って配置されるL字状の開口形状や、3辺に沿って配置されるU字状の開口形状としてもよい。
また、複数の貫通孔3Hは、平面視において一対の電極7,7の並ぶ方向に直交する赤外線放射素子1の中心線を対称軸として線対称に配置されていることが好ましい。
実施形態6の赤外線放射素子1は、上述の複数の貫通孔3Hが形成されていることにより、発熱体層4と基板2との間の熱コンダクタンスを小さくすることが可能となり、より一層の低消費電力化を図ることが可能となる。
なお、実施形態6の赤外線放射素子1においては、発熱体層4の平面形状(発熱体層4の厚み方向(図6(a)における紙面垂直方向;図6(b)の上下方向)に直交する面内の発熱体層4の形状)を実施形態4や実施形態5それぞれと同様の形状としてもよい。
(実施形態7)
以下では、実施形態7の赤外線放射素子1について図7に基づいて説明する。
実施形態7の赤外線放射素子1は、実施形態1の赤外線放射素子1と同様に、上記の第1〜第8、第10、及び第11の特徴を有する。そして、実施形態7の赤外線放射素子1は、基板2の開口部2a上にある第1絶縁層3と発熱体層4と第2絶縁層5との積層構造部が、配線8a,8aを介して第1絶縁層3の支持部3Sに支持されている点が実施形態1の赤外線放射素子1と相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同様の符号を付して説明を省略する。
実施形態7の赤外線放射素子1は、上述の積層構造部の周囲を全周に亘って囲むスリット6が、第1絶縁層3と第2絶縁層5との積層膜に形成されており、このスリット6が開口部2aと連通している。
実施形態7の赤外線放射素子1は、実施形態1に比べて、発熱体層4と基板2との間の熱コンダクタンスを小さくすることが可能となり、より一層の低消費電力化を図ることが可能となる。
なお、実施形態7の赤外線放射素子1においては、発熱体層4の平面形状(発熱体層4の厚み方向(図7(a)における紙面垂直方向;図7(b)における上下方向)に直交する面内の発熱体層4の形状)を実施形態4や実施形態5それぞれと同様の形状としてもよい。
各実施形態の赤外線放射素子1は、ガスセンサ用の赤外光源に限らず、例えば、赤外光通信用の赤外光源、分光分析用の赤外光源などに使用することが可能である。

Claims (11)

  1. 熱絶縁性および電気絶縁性を有する第1絶縁層と、
    前記第1絶縁層上に形成され、通電により赤外線を放射する発熱体層と、
    前記発熱体層に対して前記第1絶縁層とは反対側に形成され、熱絶縁性および電気絶縁性を有する第2絶縁層と、
    を備え、
    前記第2絶縁層は、前記発熱体層から放射される赤外線を透過するように構成され、
    前記発熱体層は、前記発熱体層のインピーダンスが前記第2絶縁層の接触する空間のインピーダンスと整合するように選択されたシート抵抗を有する
    ことを特徴とする赤外線放射素子。
  2. 前記発熱体層のシート抵抗は、赤外線の放射率が規定値以上となるように選択される
    ことを特徴とする請求項1に記載の赤外線放射素子。
  3. 前記発熱体層のシート抵抗は、73Ω/□以上493Ω/□以下の範囲から選択される
    ことを特徴とする請求項2に記載の赤外線放射素子。
  4. 基板を備え、
    前記第1絶縁層は、前記基板の一表面上に形成される
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤外線放射素子。
  5. 前記基板は、前記第1絶縁層を露出させる開口部を有する
    ことを特徴とする請求項4に記載の赤外線放射素子。
  6. 前記発熱体層は、平面視において、前記第1絶縁層と前記開口部とが接する領域に配置される
    ことを特徴とする請求項5に記載の赤外線放射素子。
  7. 前記発熱体層に対して前記第1絶縁層とは反対側における前記発熱体層の両端部にそれぞれ形成される一対の電極を備える
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の赤外線放射素子。
  8. 平面視において、前記開口部が形成されていない領域に配置される一対のパッドと、
    前記一対のパッドを前記一対の電極にそれぞれ電気的に接続する一対の電気接続部と、
    を備え、
    前記一対のパッドは、所定方向に平行に配置され、
    前記一対の電気接続部は、前記発熱体層の重心を通り前記所定方向に伸びる中心線に対して、線対称に配置される
    ことを特徴とする請求項7に記載の赤外線放射素子。
  9. 前記一対の電気接続部のそれぞれは、複数の配線で構成される
    ことを特徴とする請求項8に記載の赤外線放射素子。
  10. 前記電気接続部は、タンタルで形成される
    ことを特徴とする請求項8又は9に記載の赤外線放射素子。
  11. 前記発熱体層は、窒化タンタルまたは導電性を有するポリシリコンで形成される
    ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の赤外線放射素子。
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