JP5885955B2 - 偏光板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光板の製造方法に関する。
偏光板は、液晶表示装置などの表示装置における偏光の供給素子等として広く用いられている。かかる偏光板として、従来より、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子層とトリアセチルセルロースなどの保護フィルムが積層されたものが使用されている。偏光子層(偏光フィルム)においては、高い光学性能が求められるとともに、近年、液晶表示装置のノート型パーソナルコンピュータや携帯電話などモバイル機器への展開などに伴い、薄肉軽量化が求められている。
薄型の偏光板の製造方法の一例として、基材フィルムの表面にポリビニルアルコール系樹脂を含む溶液を塗布して樹脂層を設けた後、基材フィルムと樹脂層からなる積層フィルムを延伸し、次いで染色、架橋(固定)、乾燥し、樹脂層から偏光子層を形成することにより、偏光子層を有する偏光性積層フィルムを得る方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。これをそのまま偏光板として利用したり、該フィルムに保護フィルムを貼合した後、基材フィルムを剥離したものを偏光板として利用したりする方法が開示されている。
また、上記のような基材フィルムの表面にポリビニルアルコール系樹脂層を設けた積層フィルムの延伸において、横一軸延伸を行なう方法が提案されている(たとえば、特許文献2,3参照)
特開2000−338329号公報 特開2003−43257号公報 特開2009−300768号公報
上述の偏光板の製造方法においては、基材フィルムと樹脂層との間に微小な浮きや剥離が生じる場合があった。これは、基材フィルムと樹脂層からなる積層フィルムを延伸、染色、架橋、乾燥する際に、基材フィルムと樹脂層における挙動に差が生じることに起因する。特に、延伸工程において5倍超の延伸を行なった場合は、基材フィルムと樹脂層それぞれの変形量が大きくなるので各工程における挙動の差が顕著となり上記浮きや剥離が生じ易くなる。
浮きや剥離の発生を抑制するためには、基材フィルムと樹脂層との密着力を上げることが必要であり、たとえば密着力の高い易接着層やプライマー層を設ける方法がある。一方、基材フィルムと樹脂層との密着力を上げると、基材フィルムを剥離してから偏光板として用いる場合に、基材フィルムの剥離により樹脂層に凝集破壊が生じて偏光板の品質に影響を与えることがあった。特に、横延伸がなされている積層フィルムにおいて、積層フィルムの流れ方向に基材フィルムを剥がそうとした場合には、基材フィルムが破断しやすく、基材フィルムを連続してきれいに剥離できない不具合が生じやすかった。
そこで、本発明は、基材フィルムと樹脂層との密着力を、延伸、染色、架橋の各工程に耐え得る程度に強くしても、基材フィルムをきれいに剥離することができる、幅方向に延伸した偏光板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、基材フィルムと樹脂層からなる積層フィルムにおいて、樹脂層の配向方向とこれと直交する方向とで、樹脂層と基材フィルムとの密着力が異なっていることを見出し、本発明に至った。
本発明の偏光板の製造方法は、基材フィルムの少なくとも一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程と、当該積層フィルムを幅方向に延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、当該延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成し偏光性積層フィルムを得る染色工程と、当該偏光性積層フィルムの偏光子層の基材フィルムと反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程と、当該多層フィルムから基材フィルムを連続して剥離して偏光板を得る剥離工程と、を有し、上記剥離工程において、基材フィルムの剥離方向と偏光子層の配向方向とのなす角度が20度以上70度以下である。
上記剥離工程においては、剥離点で、多層フィルムと偏光板のなす角度が、多層フィルムと基材フィルムのなす角度より小さいことが好ましく、多層フィルムと偏光板のなす角度が45度以下であることがさらに好ましい。
本発明によると、長尺状の基材フィルムと樹脂層からなる積層フィルムに横延伸、染色等の処理を施し、その後基材フィルムをきれいに剥離して偏光板を製造することができる。
本発明の偏光板の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。 基材フィルムの剥離方向と偏光子層の配向方向の関係を模式的に示す上面図である。 基材フィルムの剥離方向と偏光子層の配向方向の関係を模式的に示す上面図である。 多層フィルムと偏光板のなす角度と、多層フィルムと基材フィルムのなす角度との関係を模式的に示す上面図である。 本発明における剥離工程の剥離角度に関する好ましい一例を模式的に示す上面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る偏光板の製造方法の好ましい実施形態を詳細に説明する。
[偏光板の製造方法]
図1は、本発明の偏光板の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。これによると、偏光板の製造方法は、長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程(S10)、上記積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程(S20)、上記延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成し偏光性積層フィルムを得る染色工程(S30)、上記偏光性積層フィルムの偏光子層の基材フィルムと反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程(S40)、上記多層フィルムから基材フィルムを連続して剥離して長尺状の偏光板を得る剥離工程(S50)をこの順に備える。
この製造方法により得られる偏光板は、保護フィルム上にたとえば厚さ10μm以下の偏光子層を備えた偏光板となる。この偏光板は、たとえば、粘着剤層を介して他の光学フィルムや液晶セルに貼り合せるなどして用いることができる。
<剥離工程(S50)>
剥離工程(S50)において、基材フィルムの剥離方法は特に限定されないが、基材フィルムの剥離方向と偏光子層の配向方向のなす角度が20度以上70度以下となるように剥離する。保護フィルムの貼合工程(S40)の後、そのまますぐ剥離してもよいし、一度ロール状に巻き取った後、別に剥離工程を設けて剥離してもよい。図2は、剥離工程(S50)における基材フィルムの剥離方向と偏光子層の配向方向の関係を模式的に示す上面図である。図2において、ロールから巻き出された長尺状の多層フィルム10において基材フィルム11が連続して剥離され、保護フィルムと偏光子層とからなる偏光板12が形成される。ここで、偏光子層の配向方向を矢印Aで示し、基材フィルム11の剥離方向を矢印Bで示し、積層フィルムの流れ方向を矢印Cで示し、基材フィルムの剥離方向(矢印B)と偏光子層の配向方向(矢印A)とのなす角度をθで示す。本発明においては、基材フィルムの剥離方向(矢印B)と偏光子層の配向方向(矢印A)とのなす角度θが20度以上70度以下、好ましくは30度以上60度以下となるように基材フィルム11を連続して剥離する。
角度θが20度以上となるように基材フィルム11を剥離することにより、ロールから流れ方向Cに連続して巻き出される横延伸を施した積層フィルムから、連続して基材フィルム11を剥離することが可能となる。角度θが20度未満となると、連続して基材フィルム11を剥離することが難しくなる。
角度θが70度以下となるように基材フィルム11を剥離することにより、ロールから流れ方向Cに連続して巻き出される横延伸を施した積層フィルムから、偏光子層に凝集破壊を生じさせることなく、連続してきれいに基材フィルム11を剥離することが可能となる。また、角度θが70度以下となるように剥離することにより、基材フィルム11をスムーズに剥離することができる。
偏光子層の配向方向とは、偏光子層を構成するポリビニルアルコール系樹脂の主鎖が延伸により並んでいる方向であり、偏光子層の面内において屈折率が最も高い方向である。また、偏光子層において、配向方向は通常吸収軸と一致する方向となる。偏光子層の配向方向は、延伸工程(S20)における延伸が一軸延伸である場合には延伸方向と一致する。二軸延伸である場合には、配向方向はより高倍率に延伸した方向となることが多く、二方向の延伸のうち、どちらかの延伸方向と一致する。本発明の延伸工程(S20)においては、一軸延伸であっても二軸延伸であっても、幅方向への延伸が必ずなされ、偏光子層の配向方向は幅方向と一致する。
図3は、剥離工程(S50)における基材フィルムの剥離方向と偏光子層の配向方向の関係を模式的に示す上面図である。図3において、長尺状の多層フィルム10において基材フィルム11が連続して剥離され、保護フィルムと偏光子層とからなる偏光板12が形成される。ここで、偏光子層の配向方向を矢印Aで示し、基材フィルム11の剥離方向を矢印Bで示し、積層フィルムの流れ方向を矢印Cで示し、基材フィルムの剥離方向(矢印B)と偏光子層の配向方向(矢印A)とのなす角度をθで示す。本発明においては、基材フィルムの剥離方向(矢印B)と偏光子層の配向方向(矢印A)とのなす角度θが20度以上70度以下、好ましくは30度以上60度以下となるように基材フィルム11を連続して剥離する。このとき、剥離した基材フィルム11を搬送させる、および/または、巻き取るためのロールを偏光子層の配向方向Aに対して20度以上70以下の角度を有するように配置し、このロールを介して基材フィルム11を剥離することにより、基材フィルムの剥離方向と偏光子層の配向方向とのなす角度θを20度以上70度以下に調整することができる。
また、剥離工程(S50)において、剥離点で、多層フィルム(基材フィルム剥離前のフィルム)と偏光板とのなす角度が、多層フィルム(基材フィルム剥離前のフィルム)と基材フィルムとのなす角度より小さくなるように基材フィルムを剥離することが好ましい。図4は、剥離点で、多層フィルムと偏光板のなす角度と、多層フィルムと基材フィルムのなす角度との関係を模式的に示す上面図である。図4において、剥離点Dで多層フィルム10から基材フィルム11が剥離され、保護フィルムと偏光子層とからなる偏光板12が形成される。ここで、剥離点Dで、多層フィルム10と偏光板12とのなす角度をφp、多層フィルム10と基材フィルム11とのなす角度をφkとする。本発明において、好ましくはφp<φkであり、さらに好ましくはφp≦45度である。また、φpは最も好ましくは0度である。φp<φkであり、さらにはφp≦45度となるように基材フィルムを剥離することにより、偏光子層に生じる凝集破壊を抑制するとともに、基材フィルムをスムーズに剥離することができる。
図4においては、剥離点Dで多層フィルム10に対して基材フィルム11と偏光板12とが反対方向に角度をなすように剥離される様子を示すが、剥離点Dで多層フィルム10に対して基材フィルム11と偏光板12とが同一方向に角度をなすように剥離されてもよく、この場合であっても、角度φpおよびφkに関する上述の条件は有効である。
図5は、本発明における剥離工程(S50)の剥離角度に関する好ましい一例を模式的に示す上面図である。図5に示すように、角度φp、φkはニップローラの大きさ、配置位置等を適宜選択することにより調整することができる。図5に示す例においては、φp=0度、φp<φkである。
以下、図1における剥離工程(S50)以外の各工程について詳しく説明する。
<樹脂層形成工程(S10)>
樹脂層形成工程(S10)においては、基材フィルムの少なくとも一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成する。
(基材フィルム)
基材フィルムに用いる樹脂としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられ、それらのガラス転移温度Tgまたは融点Tmに応じて適切な樹脂を選択できる。基材フィルムは、その上に積層するポリビニルアルコール系樹脂層の延伸に適した温度範囲で延伸できるようなものを用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)、(メタ)アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、およびこれらの混合物、共重合物などが挙げられる。
基材フィルムは、上述の樹脂1種類のみからなるフィルムであっても構わないし、樹脂を2種類以上をブレンドしてなるフィルムであっても構わない。該基材フィルムは、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられ、安定的に高倍率に延伸しやすく好ましい。また、プロピレンにエチレンを共重合することで得られるエチレン−ポリプロピレン共重合体なども用いることもできる。共重合は他の種類のモノマーでも可能であり、プロピレンに共重合可能な他種のモノマーとしては、たとえば、エチレン、α−オレフィンを挙げることができる。α−オレフィンとしては、炭素数4以上のα−オレフィンが好ましく用いられ、より好ましくは、炭素数4〜10のα−オレフィンである。炭素数4〜10のα−オレフィンの具体例を挙げれば、たとえば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等の直鎖状モノオレフィン類;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の分岐状モノオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどである。プロピレンとこれに共重合可能な他のモノマーとの共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。共重合体中の当該他のモノマー由来の構成単位の含有率は、「高分子分析ハンドブック」(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法に従い、赤外線(IR)スペクトル測定を行なうことにより求めることができる。
上記のなかでも、プロピレン系樹脂フィルムを構成するプロピレン系樹脂として、プロピレンの単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、および、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体が好ましく用いられる。
また、プロピレン系樹脂フィルムを構成するプロピレン系樹脂の立体規則性は、実質的にアイソタクチックまたはシンジオタクチックであることが好ましい。実質的にアイソタクチックまたはシンジオタクチックの立体規則性を有するプロピレン系樹脂からなるプロピレン系樹脂フィルムは、その取扱い性が比較的良好であるとともに、高温環境下における機械的強度に優れている。
ポリエステル系樹脂は、エステル結合を有するポリマーであり、主に、多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合体である。用いられる多価カルボン酸は、主に2価のジカルボン酸が用いられ、たとえば、イソフタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチルなどがある。また、用いられる多価アルコールも主に2価のジオールが用いられ、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。具体的な樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリシクロへキサンジメチルテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルナフタレート、などが挙げられる。これらのブレンド樹脂や、共重合体も好適に用いることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂としては、好ましくはノルボルネン系樹脂が用いられる。環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、たとえば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとその共重合体(代表的にはランダム共重合体)、およびこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、ならびにそれらの水素化物などが挙げられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーが挙げられる。
環状ポリオレフィン系樹脂としては種々の製品が市販されている。具体例としては、Topas(登録商標)(Ticona社製)、アートン(登録商標)(JSR(株)製)、ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(ZEONEX)(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、アペル(登録商標)(三井化学(株)製)が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。たとえば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(たとえば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルが挙げられる。(メタ)アクリル系樹脂として、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸のエステルである。このようセルロースエステル系樹脂の具体例としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートなどが挙げられる。また、これらの共重合物や、水酸基の一部を他種の置換基などで修飾された物なども挙げられる。これらの中でも、セルローストリアセテートが特に好ましい。セルローストリアセテートは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。セルローストリアセテートの市販品の例としては、フジタック(登録商標)TD80(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UF(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UZ(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD40UZ(富士フィルム(株)製)、KC8UX2M(コニカミノルタオプト(株)製)、KC4UY(コニカミノルタオプト(株)製)などが挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合されたポリマーからなるエンジニアリングプラスチックであり、高い耐衝撃性、耐熱性、難燃性を有する樹脂である。また、高い透明性を有することから光学用途でも好適に用いられる。光学用途では光弾性係数を下げるためにポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、波長依存性を改良した共重合ポリカーボネートなども市販されており、好適に用いることが出来る。このようなポリカーボネート樹脂は広く市販されており、たとえば、パンライト(登録商標)(帝人化成(株))、ユーピロン(登録商標)(三菱エンジニアリングプラスチック(株))、SDポリカ(登録商標)(住友ダウ(株))、カリバー(登録商標)(ダウケミカル(株))などが挙げられる。
基材フィルムには、上記の熱可塑性樹脂の他に、任意の適切な添加剤が添加されていてもよい。このような添加剤としては、たとえば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、および着色剤などが挙げられる。基材フィルム中の上記にて例示した熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。基材フィルム中の熱可塑性樹脂の含有量が50重量%未満の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現されないおそれがあるからである。
延伸前の基材フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性の点から、好ましくは1〜500μm、より好ましくは1〜300μm、さらに好ましくは5〜200μmである。
基材フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層との密着性を向上させるために、少なくともポリビニルアルコール系樹脂層が形成される側の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理等を行ってもよい。また密着性を向上させるために、基材フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層が形成される側の表面に、プライマー層等の薄層を形成してもよい。特に延伸工程(S20)において5倍超えの延伸倍率で延伸を行なう場合は、基材フィルムと樹脂層との間で浮きや剥離が生じやすくなるので、上記のような密着性を向上させる処理、あるいはプライマー層等を設けることが好ましい。
[プライマー層]
プライマー層としては、基材フィルムとポリビニルアルコール系樹脂層との両方にある程度強い密着力を発揮する材料であれば特に限定されない。たとえば、透明性、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑樹脂が用いられる。具体的にはアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂が挙げられるがこれに限定されるものではない。
プライマー層を構成する樹脂は、溶媒に溶解した状態で用いてもよい。樹脂の溶解性により、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル類、塩化メチレン、トリクロロエチレン、クロロホルムの如き塩素化炭化水素類、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類など、一般的な有機溶媒を用いることもできる。ただ、有機溶媒を含む溶液を用いてプライマー層を形成すると基材を溶解させてしまうこともあるので、基材の溶解性も考慮して溶媒を選択するのが好ましい。環境への影響を考慮すると水を溶媒とする塗工液からプライマー層を形成するのが好ましい。中でも、密着性がよいポリビニルアルコール系樹脂は好ましく用いられる。
プライマー層として使用されるポリビニルアルコール系樹脂としては、たとえば、ポリビニルアルコール樹脂およびその誘導体が挙げられる。ポリビニルアルコール樹脂の誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールなどの他、ポリビニルアルコール樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミドなどで変性したものが挙げられる。上述のポリビニルアルコール系樹脂材料の中でも、ポリビニルアルコール樹脂を用いるのが好ましい。
プライマー層の強度を上げるために上記の熱可塑性樹脂に架橋剤を添加してもよい。樹脂に添加する架橋剤は、有機系、無機系など公知のものを使用することができる。使用する熱可塑性樹脂に対して、より適切なものを適宜選択すればよい。たとえば、エポキシ系、イソシアネート系、ジアルデヒド系、金属系の架橋剤を選択することができる。エポキシ系の架橋剤としては、一液硬化型のものや二液硬化型のもののいずれも用いることができる。エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類が挙げられる。
イソシアネート系の架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン−トリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類が挙げられる。
ジアルデヒド系の架橋剤としては、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等が挙げられる。
金属系の架橋剤としては、例えば、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、有機金属化合物が挙げられ、金属の種類は特に限定されず適宜選択すればよい。金属塩、金属酸化物、金属水酸化物としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル、ジルコニウム、チタン、珪素、ホウ素、亜鉛、銅、バナジウム、クロム、スズ等の二価以上の原子価を有する金属の塩及びその酸化物、水酸化物が挙げられる。
有機金属化合物とは金属原子に、直接有機基が結合しているか、または、酸素原子や窒素原子などを介して有機基が結合している構造を、分子内に少なくとも1個有する化合物である。有機基とは、少なくとも炭素元素を含む官能基を意味し、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アシル基などであることができる。また、結合とは共有結合だけを意味するものではなく、キレート状化合物などの配位による配位結合であってもよい。
上記金属有機化合物の好適な例としては、チタン有機化合物、ジルコニウム有機化合物、アルミニウム有機化合物、および珪素有機化合物が挙げられる。これら金属有機化合物は、一種類のみを用いてもよく、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。
上記チタン有機化合物の具体例としては、例えば、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート等のチタンオルソエステル類;チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタンエチルアセトアセテート等のチタンキレート類;ポリヒドロキシチタンステアレート等のチタンアシレート類等が挙げられる。
上記ジルコニウム有機化合物の具体例としては、例えば、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビスエチルアセトアセテート等が挙げられる。
上記アルミニウム有機化合物の具体例としては、例えば、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウム有機酸キレート等が挙げられる。上記珪素有機化合物の具体例としては、例えば、上述したチタン有機化合物およびジルコニウム有機化合物で例示した配位子を有する化合物が挙げられる。
上記の低分子架橋剤の他にも、メチロール化メラミン樹脂やポリアミドエポキシ樹脂などの高分子系の架橋剤なども用いることができる。かかるポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている「スミレーズ(登録商標)レジン650(30)」や「スミレーズ(登録商標)レジン675」(いずれも商品名)などがある。
熱可塑性樹脂としてポリビニルアルコール系樹脂を使用する場合は、ポリアミドエポキシ樹脂、メチロール化メラミン、ジアルデヒド、金属キレート架橋剤などが特に好ましい。
プライマー層を形成するために用いる熱可塑性樹脂と架橋剤の割合は、樹脂100重量部に対して、架橋剤0.1〜100重量部程度の範囲から、樹脂の種類や架橋剤の種類などに応じて適宜決定すればよく、とりわけ0.1〜50重量部程度の範囲から選択するのが好ましい。また、プライマー層用塗工液は、その固形分濃度が1〜25重量%程度となるようにするのが好ましい。
プライマー層の厚みは、0.05〜1μmが好ましい。さらに好ましくは0.1〜0.4μmである。0.05μmより薄くなると基材フィルムとポリビニルアルコール層との密着力向上の効果が小さく、1μmより厚くなると、偏光板が厚くなるため好ましくない。
プライマー層の形成にあたり、使用する塗工方式は特に制限されるものでなく、ワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、ダイコート法、カンマコート法、リップコート法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法、などを公知の方法から適宜選択して採用できる。
(樹脂層)
樹脂層に用いられるポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をけん化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、完全けん化品であることが好ましい。けん化度の範囲は、80.0モル%〜100.0モル%であるものが好ましく、90.0モル%〜99.5モル%の範囲であるものがより好ましく、さらには94.0モル%〜99.0モル%の範囲であるものが最も好ましい。けん化度が80.0モル%未満であると偏光子層を形成した後の耐水性・耐湿熱性に著しく劣る不具合がある。
ここでいうけん化度とは、ポリビニルアルコール系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基がけん化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、下記式で定義される数値である。JIS K 6726(1994)で規定されている方法で求めることができる。
けん化度(モル%)=(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)×100
けん化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、すなわち結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。
また、ポリビニルアルコール系樹脂は、一部が変性されている変性ポリビニルアルコールでもよい。たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミドなどで変性したものなどが挙げられる。変性の割合は30モル%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましい。30モル%を超える変性を行った場合には、二色性色素を吸着しにくくなり、偏光性能が低くなってしまう不具合を生じる。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度も特に限定されるものではないが、100〜10000が好ましく、1500〜8000がより好ましく、さらには2000〜5000であることが最も好ましい。ここでいう平均重合度もJIS K 6726(1994)によって定められた方法によって求められる数値である。
このような特性を有するポリビニルアルコール系樹脂としては、たとえば(株)クラレ製のPVA124(けん化度:98.0〜99.0モル%)、PVA117(けん化度:98.0〜99.0モル%)、PVA624(けん化度:95.0〜96.0モル%)およびPVA617(けん化度:94.5〜95.5モル%);たとえば日本合成化学工業(株)製のAH−26(けん化度:97.0〜98.8モル%)、AH−22(けん化度:97.5〜98.5モル%)、NH−18(けん化度:98.0〜99.0モル%)、およびN−300(けん化度:98.0〜99.0モル%);たとえば日本酢ビ・ポバール(株)のJC−33(けん化度:99.0モル%以上)、JM−33(けん化度:93.5〜95.5モル%)、JM−26(けん化度:95.5〜97.5モル%)、JP−45(けん化度:86.5〜89.5モル%)、JF−17(けん化度:98.0〜99.0モル%)、JF−17L(けん化度:98.0〜99.0モル%)、および、JF−20(けん化度:98.0〜99.0モル%)などが挙げられ、これらは本発明のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの形成において好適に用いることができる。
上述のポリビニルアルコール系樹脂中には、必要に応じて、可塑剤、界面活性剤等の添加剤が添加されていてもよい。可塑剤としては、ポリオールおよびその縮合物などを用いることができ、たとえばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどが例示される。添加剤の配合量は、特に制限されないがポリビニルアルコール系樹脂中20重量%以下とするのが好適である。
樹脂層の厚みは、3μm超かつ60μm以下が好ましい。60μmを超えると、最終的に得られる偏光子層の厚みが10μmを超えてしまうことがあり好ましくない。
本発明における樹脂層は、好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂の粉末を良溶媒に溶解させて得たポリビニルアルコール系樹脂溶液を基材フィルムの一方の表面上に塗工し、溶剤を蒸発させることにより形成される。樹脂層をこのように形成することにより、薄く形成することが可能となる。ポリビニルアルコール系樹脂溶液を基材フィルムに塗工する方法としては、ワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、ダイコート法、カンマコート法、リップコート法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などを公知の方法から適宜選択して採用できる。乾燥温度は、たとえば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。乾燥時間は、たとえば2〜20分である。
なお、本発明における樹脂層は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムを基材フィルムの一方の表面上に貼着することにより形成することも可能である。
<延伸工程(S20)>
ここでは、基材フィルムおよびポリビニルアルコール系樹脂層からなる積層フィルムを幅方向に延伸し延伸フィルムを得る。好ましくは、5倍超かつ17倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。さらに好ましくは5倍超かつ8倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。延伸倍率が5倍以下だと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層が十分に配向しないため、結果として、偏光子層の偏光度が十分に高くならない不具合を生じることがある。一方、延伸倍率が17倍を超えると延伸時の積層フィルムの破断が生じ易くなると同時に、延伸フィルムの厚みが必要以上に薄くなり、後工程での加工性・ハンドリング性が低下するおそれがある。延伸処理では、幅方向に延伸するとともに流れ方向を収縮させて一軸性を高めるために好ましくは10%〜70%のオーバーフィードをかけることもできる。延伸工程(S20)における延伸処理は、一段での延伸に限定されることはなく多段で行うこともできる。多段で行う場合は、延伸処理の全段を合わせて好ましくは5倍超の延伸倍率となるように延伸処理を行う。
延伸工程(S20)における幅方向の延伸処理の方式としては、テンター法やピンテンター法などが挙げられる。また、延伸処理は、湿潤式延伸方法と乾式延伸方法のいずれも採用できるが、乾式延伸方法を用いる方が、積層フィルムを延伸する際の温度を広い範囲から選択することができる点で好ましい。
<染色工程(S30)>
ここでは、延伸フィルムの樹脂層を、二色性色素で染色する。二色性色素としては、たとえば、ヨウ素や有機染料などが挙げられる。有機染料としては、たとえば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックなどが使用できる。これらの二色性物質は、一種類でも良いし、二種類以上を併用して用いても良い。
染色工程は、たとえば、上記二色性色素を含有する溶液(染色溶液)に、延伸フィルム全体を浸漬することにより行う。染色溶液としては、上記二色性色素を溶媒に溶解した溶液を使用できる。染色溶液の溶媒としては、一般的には水が使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒がさらに添加されても良い。二色性色素の濃度としては、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.02〜7重量%であることがより好ましく、0.025〜5重量%であることが特に好ましい。
二色性色素としてヨウ素を使用する場合、染色効率をより一層向上できることから、さらにヨウ化物を添加することが好ましい。このヨウ化物としては、たとえば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンなどが挙げられる。これらヨウ化物の添加割合は、染色溶液において、0.01〜20重量%であることが好ましい。ヨウ化物の中でも、ヨウ化カリウムを添加することが好ましい。ヨウ化カリウムを添加する場合、ヨウ素とヨウ化カリウムの割合は重量比で、1:5〜1:100の範囲にあることが好ましく、1:6〜1:80の範囲にあることがより好ましく、1:7〜1:70の範囲にあることが特に好ましい。
染色溶液への延伸フィルムの浸漬時間は、特に限定されないが、通常は15秒〜15分間の範囲であることが好ましく、30秒〜3分間であることがより好ましい。また、染色溶液の温度は、10〜60℃の範囲にあることが好ましく、20〜40℃の範囲にあることがより好ましい。
染色工程において、染色に次いで架橋処理を行うことが出来る。架橋処理は、たとえば架橋剤を含む溶液(架橋溶液)中に延伸フィルムを浸漬することにより行なうことができる。架橋剤としては、従来公知の物質を使用することができる。たとえば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどが挙げられる。これらは一種類でも良いし、二種類以上を併用しても良い。
架橋溶液として、架橋剤を溶媒に溶解した溶液を使用できる。溶媒としては、たとえば水が使用できるが、さらに、水と相溶性のある有機溶媒を含んでも良い。架橋溶液における架橋剤の濃度は、これに限定されるものではないが、1〜20重量%の範囲にあることが好ましく、6〜15重量%であることがより好ましい。
架橋溶液中には、ヨウ化物を添加してもよい。ヨウ化物の添加により、樹脂層の面内における偏光特性をより均一化させることができる。ヨウ化物としては、たとえば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンが挙げられる。ヨウ化物の含有量は、0.05〜15重量%、より好ましくは0.5〜8重量%である。
架橋溶液への延伸フィルムの浸漬時間は、通常、15秒〜20分間であることが好ましく、30秒〜15分間であることがより好ましい。また、架橋溶液の温度は、10〜90℃の範囲にあることが好ましい。
最後に洗浄工程および乾燥工程を行なうことが好ましい。洗浄工程としては、水洗浄処理を施すことができる。水洗浄処理は、通常、イオン交換水、蒸留水などの純水に延伸フィルムを浸漬することにより行なうことができる。水洗浄温度は、通常3〜50℃、好ましくは4℃〜20℃の範囲である。浸漬時間は通常2〜300秒間、好ましくは3秒〜240秒間である。
洗浄工程は、ヨウ化物溶液による洗浄処理と水洗浄処理を組み合わせてもよく、適宜にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロパノール等の液体アルコールを配合した溶液を用いることもできる。
洗浄工程の後に、乾燥工程を施すことが好ましい。乾燥工程として、任意の適切な方法(たとえば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)を採用しうる。たとえば、加熱乾燥の場合の乾燥温度は、通常、20〜95℃であり、乾燥時間は、通常、1〜15分間程度である。以上の染色工程(S30)により、樹脂層が偏光子としての機能を有することになる。本明細書においては、偏光子としての機能を有する樹脂層を偏光子層といい、基材フィルム上に偏光子層を備えた積層体を偏光性積層フィルムという。
(偏光子層)
偏光子層は、具体的には、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層に二色性色素を吸着配向させたものである。
偏光子層の厚さ(延伸後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの厚さ)は好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは7μm以下である。偏光子層の厚さを10μm以下とすることにより、薄型の偏光性積層フィルムを構成することができる。
<貼合工程(S40)>
ここでは、偏光性積層フィルムの偏光子層の基材フィルムと反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る。保護フィルムを貼合する方法としては、粘着剤層で偏光子層と保護フィルムを貼合する方法、接着剤層で偏光子層面と保護フィルムを貼合する方法が挙げられる。貼合工程(S40)の後、上述の剥離工程(S50)を経て偏光板が形成される。
(保護フィルム)
保護フィルムは、光学機能を有さない単なる保護フィルムであってもよく、または位相差フィルムや輝度向上フィルムといった光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもよい。
保護フィルムの材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのような樹脂からなる酢酸セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのような樹脂からなるポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなど、当分野において従来より広く用いられてきているフィルムを挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂としては、適宜の市販品、例えば、Topas(登録商標)(Ticona社製)、アートン(登録商標)(JSR(株)製)、ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(登録商標)(ZEONEX)(日本ゼオン(株)製)、アペル(登録商標)(三井化学(株)製)を好適に用いることができる。このような環状ポリオレフィン系樹脂を製膜してフィルムとする際には、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の方法が適宜用いられる。また、エスシーナ(登録商標)(積水化学工業(株)製)、SCA40(積水化学工業(株)製)、ゼオノア(登録商標)フィルム((株)オプテス製)などの予め製膜された環状ポリオレフィン系樹脂製のフィルムの市販品を用いてもよい。
環状ポリオレフィン系樹脂フィルムは、一軸延伸又は二軸延伸されたものであってもよい。延伸することで、環状ポリオレフィン系樹脂フィルムに任意の位相差値を付与することができる。延伸は、通常、フィルムロールを巻き出しながら連続的に行われ、加熱炉にて、ロールの進行方向、その進行方向と垂直の方向、またはその両方へ延伸される。加熱炉の温度は、通常、環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度近傍からガラス転移温度+100℃までの範囲である。延伸の倍率は、一つの方向につき通常1.1〜6倍、好ましくは1.1〜3.5倍である。
酢酸セルロース系樹脂フィルムとしては、適宜の市販品、たとえば、フジタック(登録商標)TD80(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UF(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UZ(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD40UZ(富士フィルム(株)製)、KC8UX2M(コニカミノルタオプト(株)製)、KC4UY(コニカミノルタオプト(株)製)を好適に用いることができる。
酢酸セルロース系樹脂フィルムの表面には、視野角特性を改良するために液晶層などを形成してもよい。また、位相差を付与するため酢酸セルロース系樹脂フィルムを延伸させたものでもよい。酢酸セルロース系樹脂フィルムは、偏光子層との接着性を高めるため、通常はけん化処理が施される。けん化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が採用できる。
上述したような保護フィルムの表面には、ハードコート層、防眩層、反射防止層などの光学層を形成することもできる。保護フィルム表面にこれらの光学層を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
保護フィルムの厚さは、薄型化の要求から、できるだけ薄いものが好ましく、90μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。逆に薄すぎると強度が低下して加工性に劣るため、5μm以上であることが好ましい。
(粘着剤層)
粘着剤層を構成する粘着剤は、通常、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂などをベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などの架橋剤を加えた組成物からなる。さらに、粘着剤中に微粒子を配合して、光散乱性を示す粘着剤層を形成することもできる。
粘着剤層の厚さは1〜40μmであることが好ましいが、加工性、耐久性の特性を損なわない範囲で、薄く塗るのが好ましく、より好ましくは3〜25μmである。3〜25μmであると良好な加工性を有し、かつ偏光フィルムの寸法変化を押さえる上でも好適な厚みである。粘着剤層が1μm未満であると粘着性が低下し、40μmを超えると粘着剤がはみ出すなどの不具合を生じ易くなる。
偏光子層上または保護フィルム上に粘着剤層を形成する方法は特に限定されるものではなく、偏光子層上または保護フィルム上に上記したベースポリマーをはじめとする各成分を含む溶液を塗布し、乾燥して粘着剤層を形成した後、セパレーターや他種のフィルムと貼り合わせてもよいし、セパレータ上に粘着剤層を形成した後、偏光子層面もしくは保護フィルム面に貼り付けて積層してもよい。また、粘着剤層を偏光子層もしくは保護フィルムに形成する際には必要に応じて偏光子層面もしくは保護フィルム面、または粘着剤層の片方若しくは両方に密着処理、たとえば、コロナ処理等を施してもよい。
(接着剤層)
接着剤層を構成する接着剤としては、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などを用いた水系接着剤が挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液が好適に用いられる。接着剤として用いるポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをけん化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をけん化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにはそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。水系接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物などが添加剤として添加されてもよい。このような水系の接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層は、通常1μmよりもはるかに薄く、通常の光学顕微鏡で断面を観察しても、その接着剤層は事実上観察されない。
水系接着剤を用いたフィルムの貼合方法は特に限定されるものではなく、偏光子層または保護フィルムの表面に接着剤を均一に塗布、または、流し込み、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロールなどにより貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。通常、接着剤は、その調製後、15〜40℃の温度下で塗布され、貼合温度は、通常15〜30℃の範囲である。
水系接着剤を使用する場合は、フィルムを貼合した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するため、乾燥させる。乾燥炉の温度は、30℃〜90℃が好ましい。30℃未満であると接着面が剥離しやすくなる傾向がある。90℃以上であると熱によって偏光子などが光学性能が劣化するおそれがある。乾燥時間は10〜1000秒とすることができる。
乾燥後はさらに、室温またはそれよりやや高い温度、たとえば、20〜45℃程度の温度で12〜600時間程度養生しても良い。養生のときの温度は、乾燥時に採用した温度よりも低く設定されるのが一般的である。
また、非水系の接着剤として、光硬化性接着剤を用いることもできる。光硬化性接着剤としては、たとえば、光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤との混合物などを挙げることができる。
光硬化性接着剤にてフィルム貼合する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、たとえば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクタープレート法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などにより、フィルムの接着面に接着剤を塗布し、2枚のフィルムを重ね合わせる方法が挙げられる。流延法とは、被塗布物である2枚のフィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、または両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。
偏光子層または保護フィルムの表面に接着剤を塗布した後、偏光性積層フィルムと保護フィルムとをニップロールなどで挟んでフィルム貼り合わせることにより接着される。また、この積層体をロール等で加圧して均一に押し広げる方法も好適に使用することができる。この場合、ロールの材質としては金属やゴム等を用いることが可能である。さらに、この積層体をロールとロールとの間に通し、加圧して押し広げる方法も好ましく採用される。この場合、これらロールは同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。上記ニップロール等を用いて貼り合わされた後の接着剤層の、乾燥または硬化前の厚さは、5μm以下かつ0.01μm以上であることが好ましい。
偏光子層と保護フィルムの接着面には、接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、けん化処理などの表面処理を適宜施してもよい。けん化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
接着剤として光硬化性樹脂を用いた場合は、フィルムを積層後、活性エネルギー線を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好ましく用いられる。
光硬化性接着剤への光照射強度は、光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され、特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜6000mW/cm2であることが好ましい。照射強度が0.1mW/cm2以上である場合、反応時間が長くなりすぎず、6000mW/cm2以下である場合、光源から輻射される熱および光硬化性接着剤の硬化時の発熱によるエポキシ樹脂の黄変や偏光フィルムの劣化を生じるおそれが少ない。光硬化性接着剤への光照射時間は、硬化させる光硬化性接着剤に応じて適用されるものであって特に限定されないが、上記の照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜10000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。光硬化性接着剤への積算光量が10mJ/cm2以上である場合、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、10000mJ/cm2以下である場合、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。なお、活性エネルギー線照射後の接着剤層の厚さは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上でかつ2μm以下、さらに好ましくは0.01μm以上でかつ1μm以下である。
活性エネルギー線の照射によって偏光子層や保護フィルム上の光硬化性接着剤を硬化させる場合、これらフィルムの透過率、色相、透明性など、全工程を経た後の偏光板の諸機能が低下しない条件で硬化を行うことが好ましい。
(両面樹脂層積層フィルム)
本発明の製造方法は、樹脂層形成工程(S10)での樹脂層の形成が、基材フィルムの一方の表面上に形成される場合のみでなく、基材フィルムの両方の表面上に形成される場合も含まれる。両方の表面上に樹脂層が形成される場合は、S10〜S50の各工程を経て2枚の偏光板が形成される。この場合、貼合工程(S40)を経て、第1保護フィルム/第1偏光子層/基材フィルム/第2偏光子層/第2保護フィルムからなる多層フィルムが得られる。
基材フィルムの両方の表面上に樹脂層が形成される場合、多層フィルムから基材フィルムを剥離して偏光板を得る剥離工程(S50)とは、多層フィルムを、第1偏光子層と基材フィルムとの間で剥離により分離する第1剥離工程と、分離された一方である基材フィルム/第2偏光子層/第2保護フィルムからなる積層体を基材フィルムと第2偏光子層との間で剥離により分離する第2剥離工程とを含む。第1剥離工程により第1偏光板が形成され、第2剥離工程により第2偏光板が形成される。
基材フィルムの剥離方向(矢印B)と偏光子層の配向方向(矢印A)とのなす角度θとは、第1剥離工程においては基材フィルムの剥離方向(すなわち、基材フィルム/第2偏光子層/第2保護フィルムからなる積層体の剥離方向)と、第1偏光子層の配向方向とのなす角度を意味し、第2剥離工程においては基材フィルムの剥離方向と、第2偏光子層の配向方向とのなす角度を意味する。そして、角度θの条件は上述の通りである。
また、剥離点で多層フィルムと偏光板とのなす角度φpとは、第1剥離工程においては多層フィルム(すなわち、第1保護フィルム/第1偏光子層/基材フィルム/第2偏光子層/第2保護フィルムからなる積層体)と第1偏光板(すなわち、第1偏光子層/第1保護フィルムからなる積層体)とのなす角度を意味し、第2剥離工程においては多層フィルム(すなわち、基材フィルム/第2偏光子層/第2保護フィルムからなる積層体)と第2偏光板(すなわち、第2偏光子層/第2保護フィルムからなる積層体)とのなす角度を意味する。さらに、剥離点で多層フィルムと基材フィルムとのなす角度φkとは、第1剥離工程においては多層フィルム(すなわち、第1保護フィルム/第1偏光子層/基材フィルム/第2偏光子層/第2保護フィルムからなる積層体)と基材フィルム(すなわち基材フィルム/第2偏光子層/第2保護フィルムからなる積層体)とのなす角度を意味し、第2剥離工程においては多層フィルム(すなわち、基材フィルム/第2偏光子層/第2保護フィルムからなる積層体)と基材フィルムとのなす角度を意味する。そして、角度φp、φkの条件は上述の通りである。
(他の光学層)
上記偏光板は、実用に際して他の光学層を積層した偏光板として用いることができる。また、上記保護フィルムがこれらの光学層の機能を有していてもよい。
他の光学層の例としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム、表面に凹凸形状を有する防眩機能付きフィルム、表面反射防止機能付きフィルム、表面に反射機能を有する反射フィルム、反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム、視野角補償フィルムが挙げられる。
ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルムに相当する市販品としては、例えばDBEF(3M社製、住友スリーエム(株)から入手可能)、APF(3M社製、住友スリーエム(株)から入手可能)が挙げられる。視野角補償フィルムとしては基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルム、ポリカーボネート系樹脂からなる位相差フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムが挙げられる。基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルムに相当する市販品としては、WVフィルム(富士フィルム(株)製)、NHフィルム(新日本石油(株)製)、NRフィルム(新日本石油(株)製)などが挙げられる。また、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムに相当する市販品としては、アートン(登録商標)フィルム(JSR(株)製)、エスシーナ(登録商標)(積水化学工業(株)製)、ゼオノア(登録商標)フィルム((株)オプテス製)などが挙げられる。
[実施例1〜5、比較例1〜4の偏光板の製造]
<基材フィルムの作製>
エチレンユニットを5重量%含むプロピレン/エチレンのランダム共重合体(住友化学(株)製「住友ノーブレン W151」、融点Tm=138℃)からなる樹脂層の両側にプロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレン(住友化学(株)製「住友ノーブレンFLX80E4」、融点Tm=163℃)からなる樹脂層を配置した3層構造の長尺状の基材フィルムを、多層押出成形機を用いた共押出成形により作製した。得られた基材フィルムの合計厚みは150μmであり、各層の厚み比(FLX80E4/W151/FLX80E4)は3/4/3であった。
<プライマー層の形成>
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製「Z−200」、平均重合度1100、平均ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学(株)製「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部混合した。得られた混合水溶液を、コロナ処理を施した上記基材フィルムのコロナ処理面上にグラビアコーターを用いて連続で塗工し、80℃で10分間乾燥させることにより、厚み0.2μmのプライマー層を形成した。
<樹脂層形成工程(S10)>
ポリビニルアルコール粉末(クラレ(株)製「PVA124」、平均重合度2400、平均けん化度98.0〜99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液を、上記プライマー層上にカンマコーターを用いて塗工し、80℃で5分間乾燥させることにより、基材フィルム/プライマー層/ポリビニルアルコール系樹脂層からなる3層構造の積層フィルムを作製した。ポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは28.2μmであった。得られた積層フィルムはロールに巻き取った。
<延伸工程(S20)>
上記ロールから巻き出した積層フィルムをテンター延伸装置にて160℃の延伸温度で4分かけて幅方向に5.5倍に固定端一軸延伸し、延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの厚みは28.5μmであり、ポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは5.1μmであった。得られた延伸フィルムはロールに巻き取った。
<染色工程(S30)>
延伸フィルムから次の手順で偏光性積層フィルムを作製した。まず、ロールから巻き出した延伸フィルムを30℃のヨウ素とヨウ化カリウムとを含む水溶液である30℃の染色溶液に150秒間程度浸漬して、ポリビニルアルコール系樹脂層の染色を行ない、ついで10℃の純水で余分なヨウ素液を洗い流した。次に、ホウ酸とヨウ化カリウムとを含む水溶液である76℃の架橋溶液に600秒間浸漬させた。その後、10℃の純水で4秒間洗浄し、最後に80℃で300秒間乾燥させることにより、偏光子層を形成し、偏光性積層フィルムを得た。得られた偏光性積層フィルムはロールに巻き取った。
<貼合工程(S40)>
偏光性積層フィルムに、次の手順で保護フィルムを貼合した。まず、ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製「KL−318」、平均重合度1800)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学(株)製「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末2重量部に対して1重量部混合し、接着剤溶液とした。
次に、ロールから巻き出した偏光性積層フィルムの偏光子層上に上記接着剤溶液を塗布した後、トリアセチルセルロース(TAC)からなる保護フィルム(コニカミノルタオプト(株)製「KC4UY」)を貼合し、保護フィルム/接着剤層/偏光子層/プライマー層/基材フィルムの5層からなる多層フィルムを得た。得られた多層フィルムはロールに巻き取った。
<剥離工程(S50)>
得られた多層フィルムから基材フィルムを剥離し、保護フィルム/接着剤層/偏光子層/プライマー層の4層からなる偏光板を作製した。この際、基材フィルムの剥離方向(矢印B)と偏光子層の配向方向(矢印A)とのなす角度θ、多層フィルムと偏光板とのなす角度φp、多層フィルムと基材フィルムとのなす角度をφkについて、下記の表1に示すような数値で実施した。なお、剥離点において、角度φpおよび角度φkがともに0度でない場合は、多層フィルムに対して基材フィルムと偏光板は反対側に角度を有するように剥離した。
[実施例1〜5、比較例1〜4の偏光板の評価]
上記のように作製した各偏光板について、「剥離面の状態」および「剥離安定性」について評価を行なった。下記の表1に評価結果を示す。なお、「剥離安定性」とは基材フィルムの剥離を安定して行なうことができたかについての評価である。凝集破壊には至らなくとも、ジッパリングと言われる間欠剥離が生じて剥離時の安定性が得られないことがある。ジッパリングが起こった場合、剥離時の剥離力が細かく上昇下降を繰り返したり、剥離が起こっている箇所が前後に変動したりして、剥離角度が安定しない不具合を生じることがある。
Figure 0005885955
10 多層フィルム、11 基材フィルム、12 偏光板。

Claims (3)

  1. 長尺状の基材フィルムの一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程と、
    前記積層フィルムを幅方向に延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、
    前記延伸フィルムの前記ポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成し偏光性積層フィルムを得る染色工程と、
    前記偏光性積層フィルムの前記偏光子層の前記基材フィルムと反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程と、
    前記多層フィルムから前記基材フィルムを連続して剥離して長尺状の偏光板を得る剥離工程と、を有し、
    前記剥離工程において、前記基材フィルムの剥離方向と前記偏光子層の配向方向とのなす角度が20度以上70度以下である、偏光板の製造方法。
  2. 前記剥離工程において、剥離点で、前記多層フィルムと前記偏光板のなす角度が、前記多層フィルムと前記基材フィルムのなす角度より小さい、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
  3. 前記剥離工程において、前記剥離点で前記多層フィルムと前記偏光板のなす角度が45度以下である、請求項2に記載の偏光板の製造方法。
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