JP5883097B2 - ガラス基板の製造方法、及びガラス基板の製造装置 - Google Patents

ガラス基板の製造方法、及びガラス基板の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス基板の製造方法、及びガラス基板の製造装置に関する。
清澄剤を用いて熔融ガラスを清澄するために、従来より、清澄槽の清澄管内の熔融ガラスを加熱し、熔融ガラスに含まれる清澄剤の脱泡作用を促進させることにより、熔融ガラスから清澄管内の気相空間に気泡を放出させることが行われている。気相空間は、清澄管の内壁と熔融ガラスの液面とで形成された空間である。言い換えると、気相空間は、清澄管の内壁と清澄管内の熔融ガラスの液面とで囲まれた空間である。
清澄管の構成材料としては、例えば、耐熱性に優れた白金族金属が用いられていることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特表2006−522001号公報
清澄管の内壁のうち気相空間に接する部分は、熔融ガラスに接する部分と比べ、温度が高くなりやすい。さらに、気相空間は酸素を含んでいるため、気相空間に接する清澄管の部分に含まれる白金族金属は、酸化されて、清澄管の内壁から揮発し、蒸気として気相空間内に分散しやすいという問題があった。そして、気相空間内に分散した白金含有成分(以降、揮発成分ともいう)は、気相空間内で凝集し、当該凝集した揮発成分が熔融ガラス中に混入することで、ガラス基板の品質を低下させるという問題があった。
本発明は、清澄管から気相空間内に揮発した白金族金属を含む成分が凝集するのを抑え、凝集物が熔融ガラスに混入されるのを抑制できるガラス基板の製造方法、及びガラス基板の製造装置を提供することを目的とする。
本発明者は、揮発成分の凝集が、清澄管内の気相空間に放出されたガスを前記清澄管外に排出するために設けられた通気管近傍で生じやすいことを突き止めた。そして、通気管近傍での揮発成分の凝集を抑えるために、通気管の温度調整を行うことが効果的であることを突き止めた。
本発明の一態様は、
[1]
清澄管において熔融ガラスの清澄を行うガラス基板の製造方法であって、
ガラス原料を熔解して清澄剤として少なくとも酸化錫を含む熔融ガラスをつくる熔解工程と、
少なくとも一部が白金族金属を含む材料からなる清澄管内に前記熔融ガラスが供給されることで形成される気相空間に、前記清澄剤の還元反応により前記熔融ガラスからガスを放出させるとともに、前記気相空間に放出されたガスを前記清澄管に接続された通気管から前記清澄管外に排出する清澄工程と、
前記清澄された熔融ガラスをシートガラスに成形する成形工程と、を備え、
前記清澄工程では、前記清澄管の最も温度が高い部分の温度が1630℃以上となるよう、前記清澄管を加熱し、前記清澄管のうち前記気相空間に接する部分から揮発した揮発成分の凝集が前記通気管近傍において抑えられるよう、前記通気管に対し温度調整を行う、ことを特徴とする。
ここで、温度調整とは、加熱調整である。また、通気管近傍は、前記通気管を囲む前記清澄管の内壁部分(通気管対応部分)を含み、さらには、前記通気管の内壁部分を含んでもよい。
[2]
清澄管において熔融ガラスの清澄を行うガラス基板の製造方法であって、
ガラス原料を熔解して清澄剤として少なくとも酸化錫を含む熔融ガラスをつくる熔解工程と、
少なくとも一部が白金族金属を含む材料からなる清澄管内に前記熔融ガラスが供給されることで形成される気相空間に、前記清澄剤の還元反応により前記熔融ガラスからガスを放出させるとともに、前記気相空間に放出されたガスを前記清澄管に接続された通気管から前記清澄管外に排出する清澄工程と、
前記清澄された熔融ガラスをシートガラスに成形する成形工程と、を備え、
前記清澄工程では、前記清澄管の最も温度が高い部分の温度が1630℃以上となるよう、前記清澄管を加熱し、前記清澄管のうち前記気相空間に接する部分から揮発した揮発成分の凝集が抑えられるよう、前記通気管に対し温度調整を行う、ことを特徴とする。
ここで、温度調整とは、加熱調整である。
[3]
前記清澄工程では、前記清澄管の温度が最も高い部分と前記通気管との温度差が300℃以下となるよう、前記温度調整を行う、[1]または[2]に記載のガラス基板の製造方法。
[5]
前記清澄工程では、さらに、前記気相空間内に、前記熔融ガラスに対して不活性なガスを供給する、[1]〜[]のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
[6]
前記ガラス基板は、ディスプレイ用ガラス基板である、[1]〜[3]、[5]のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
[7]
前記清澄管では、熔融ガラスが流れ、前記清澄管の内壁には、前記熔融ガラスの流れる方向に沿って温度分布が形成されている、[1]〜[3]、[5]、[6]のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
[8]
前記通気管の前記温度調整は、前記通気管の外周を取り巻く空間を加熱することにより、前記通気管の加熱を行なう調整である、[1]〜[3]、[5]〜[7]のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
[9]
前記通気管の前記温度調整は、前記通気管に電流を流すことにより、前記通気管を通電加熱する調整である、[1]〜[3]、[5]〜[8]のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
[10]
前記清澄工程では、前記熔融ガラスから前記気相空間に酸素を含むガスを放出させる、[1]〜[3]、[5]〜[9]のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
[11]
前記製造方法は、前記清澄工程において、前記清澄剤として酸化錫を含む熔融ガラスの清澄を行う、[1]〜[3]、[5]〜[10]のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
本発明の別の一態様は、
[13]
清澄剤として少なくとも酸化錫を含む熔融ガラスを清澄するための清澄槽であって、
少なくとも一部が白金族金属を含む材料からなり、前記熔融ガラスが供給されることで気相空間が形成され、前記気相空間に前記清澄剤の還元反応により前記熔融ガラスからガスが放出され、最も温度が高い部分の温度が1630℃以上となるよう加熱される清澄管と、
前記清澄管と接続され、前記気相空間に放出されたガスを前記清澄管外に排出する通気管と、
前記清澄管から揮発した揮発成分の凝集が抑えられるよう、前記通気管に対し温度調整を行う温度調整部と、を備えることを特徴とする。
[14]
前記温度調整部は、前記通気管の側壁と対向し、前記通気管の周りを囲むよう設けられたヒータを有する、[13]に記載の清澄槽。
[15]
さらに、前記清澄管の表面に前記清澄管を覆うよう設けられ、前記通気管が前記清澄管に接続される接続部において前記通気管を囲むよう前記通気管に接して設けられた、複数のレンガからなる構造体を備え、
前記構造体において、少なくとも前記接続部に接して配される第1のレンガは、前記第1のレンガよりも前記接続部から遠ざかる位置に配された第2のレンガよりも熱伝導率が高い、[13]または[14]に記載の清澄槽。
[16]
前記温度調整部は、電熱線が前記通気管に巻きつけられてなるコイルを有する、[13]〜[15]のいずれか1つに記載の清澄槽。
[17]
前記通気管は、前記清澄管から前記清澄管の外周側に突出するよう延びて設けられ、
前記温度調整部は、前記通気管に通電を行うことで前記温度調整を行う、[13]〜[16]のいずれか1つに記載の清澄槽。
本発明の別の一態様は、
[18]
ガラス原料を熔解して清澄剤を含む熔融ガラスをつくる熔解槽と、
[13]〜[17]のいずれか1つに記載の清澄槽と、
前記清澄槽により清澄された熔融ガラスをシートガラスに成形する成形装置と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、清澄管から気相空間内に揮発した白金族金属を含む成分が凝集するのを抑え、凝集物が熔融ガラスに混入されるのを抑制できる。
本実施形態であるガラス基板の製造方法のフローを示す図である。 本実施形態の熔解工程〜切断工程を行う装置を模式的に示す図である。 本実施形態の清澄槽の外観を示す図である。 (a)は、図3の清澄槽を温度調整部に注目して示す断面図である。(b)および(c)は、図3の清澄槽の他の温度調整部に注目して示す断面図である。 本実施形態の清澄管の内壁の長手方向の温度分布の一例を示す図である。
以下、本発明のガラス基板の製造方法、及びガラス基板の製造装置について説明する。
(ガラス基板の製造方法の全体概要)
以下、本実施形態のガラス基板の製造方法、ガラス基板の製造装置及び熔融ガラスの清澄槽について説明する。図1は、本実施形態のガラス基板の製造方法の工程の一例を示す図である。
以降で説明する白金または白金合金等は、白金族金属であり、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および、これらのうちの2種以上の合金、を含む。
ガラス基板の製造方法は、熔解工程(ST1)と、清澄工程(ST2)と、均質化工程(ST3)と、成形工程(ST4)と、徐冷工程(ST5)と、切断工程(ST6)と、を主に有する。この他に、研削工程、研磨工程、洗浄工程、検査工程、梱包工程等を有し、梱包工程で積層された複数のガラス基板は、納入先の業者に搬送される。
熔解工程(ST1)は熔解槽で行われる。熔解工程では、ガラス原料を熔解して熔融ガラスを作る。なお、ガラス原料には清澄剤が添加されることが好ましい。清澄剤については、環境負荷低減の点から、酸化錫が好適に用いられる。
清澄工程(ST2)は、清澄槽で行われる。溶融ガラスは、白金又は白金合金等で構成される、清澄槽の清澄管内に供給される。清澄工程では、清澄管内の熔融ガラスが昇温される。この過程で、清澄剤は、還元反応により酸素を放出し、後に還元剤として作用する物質となる。熔融ガラス中に含まれるO、COあるいはSOを含んだ泡は、清澄剤の還元反応により生じたOと合体して体積が大きくなり、熔融ガラスの液面に浮上して破泡し消滅する。このようにして清澄剤の酸化還元反応による脱泡が行われる。なお、清澄工程(ST2)で行う脱泡には、清澄管内の後述する気相空間を減圧状態にして脱泡を行う減圧脱泡は除かれる。減圧脱泡は、気相空間の圧力を500〜35000Paに減圧して行う脱泡をいい、例えば、清澄管の温度は1200〜1550℃にして行われる。
その後、清澄工程(ST2)では、熔融ガラスの温度を低下させる。この過程で、清澄剤の還元反応により得られた還元剤が酸化反応をする。これにより、熔融ガラスに残存する泡中のO等のガス成分が熔融ガラス中に溶け込むことで、泡が消滅する。清澄工程(ST2)については後で詳細に説明する。
均質化工程(ST3)では、清澄管から延びる配管を通って供給された攪拌槽内の熔融ガラスを、スターラを用いて攪拌することにより、ガラス成分の均質化を行う。
成形装置では、成形工程(ST4)及び徐冷工程(ST5)が行われる。
成形工程(ST4)では、熔融ガラスをシートガラスに成形し、シートガラスの流れを作る。成形には、オーバーフローダウンドロー法あるいはフロート法を用いることができる。後述する本実施形態では、オーバーフローダウンドロー法が用いられる例を挙げて説明する。
徐冷工程(ST5)では、成形されて流れるシートガラスが所望の厚さになり、内部歪が生じないように、さらに、反りが生じないように冷却される。
切断工程(ST6)では、切断装置において、成形装置から供給されたシートガラスを所定の長さに切断することで、板状のガラス板を得る。切断されたガラス板はさらに、所定のサイズに切断され、目標サイズのガラス基板が作られる。
熔解工程(ST1)〜切断工程(ST6)は、例えば、図2に示す装置によって行われる。図2は、本実施形態の製造方法を行う装置を模式的に示す。当該装置は、主に、熔解装置100と、成形装置200と、切断装置300とを有する。熔解装置100は、熔解槽101と、清澄槽202と、攪拌槽103と、ガラス供給管104、105、106と、を有する。
(清澄工程および清澄槽)
ここで、清澄工程(ST2)および清澄槽について説明する。 清澄工程(ST2)では、脱泡を行う間、さらに、清澄管の内壁から揮発した揮発成分の凝集を抑えるために、通気管に対し温度調整を行う。清澄工程(ST2)は、清澄槽によって行われる。図3および図4に、清澄槽202を説明するための図を示す。図4(a)及び図4(b)は、通気管212に注目して示す清澄槽202の断面図である。清澄槽202は、清澄管202aと、通気管212と、温度調整部220と、レンガ層(構造体)222を有する。
(a)清澄管
清澄管202aは、例えば、白金又は金合金等からなる円筒状の容器であり、長手方向(図3の左右方向)の両端のそれぞれにガラス供給管104,105が接続されている。なお、減圧脱泡に用いられる清澄管には、通常、ガラス供給管は、清澄管の底面をなす清澄管の周面の2箇所から下方に延びるよう清澄管に接続されている。清澄工程(ST2)では、ガラス供給管104から清澄管202a内に供給された熔融ガラスGは、清澄管202a内を流れながら清澄が行われ、ガラス供給管105から攪拌槽103に移送される。このとき、清澄管202aには、熔融ガラスGの液面に対して上方の位置に、熔融ガラスGを除いた空間である気相空間Sが形成される。気相空間Sには、熔融ガラスG内に生じた気泡Bが浮上して液面で破泡することで、ガスが放出される。気相空間Sに放出されたガスは、さらに、通気管212を通って清澄管202aの外に排出される。
清澄管202aの長手方向の両端のそれぞれには、清澄管202aの表面から外周側に突出した円板状のフランジ202e,202fが設けられている。フランジ202e,202fには、それぞれ、図示されない電極が取り付けられており、電極からの電流を清澄管202aの周上に均一に拡散する。清澄工程(ST2)において、フランジ202e,202fに取り付けられた2つの電極の間で通電されることで、清澄管202aが発熱し、清澄管202a内の熔融ガラスGが加熱される(直接通電加熱)。なお、フランジ202e,202fは、電極に直接接続され、過熱しやすいため、水または空気で冷却される。また、フランジが設けられる位置は、清澄管202aの長手方向の両端でなくてもよく、一方又は両方が清澄管202aの両端以外の部分に設けられてもよく、特に限定されない。フランジの数は、2つに限定されるものではなく、3つ以上設けられてもよい。
なお、清澄管202aの加熱は、上記直接通電加熱に代えて、レンガ層222の外周側に、レンガ層222を囲むように配した複数の図示されないヒータによって間接的に加熱することで行ってもよい(間接加熱)。複数のヒータは、レンガ層222を外周側から囲むように清澄管202aの長手方向に沿って配される。
清澄管202aのうち、気相空間Sに触れる部分の外表面には、長手方向の複数箇所に、図示されない温度測定素子が設けられる。温度測定素子には、例えば熱電対が用いられるが、特に限定されない。例えば、気相空間内に放射温度計を挿入して温度を測定してもよい。なお、本明細書において、清澄管202aの温度に言及する場合、特に断らない限り、清澄管202aのうち気相空間Sに接する部分の温度をいう。
(b)通気管
通気管212は、清澄管202a内の気相空間と大気とを接続し、気相空間内の気体や意図的に導入される不活性なガスを大気に排出する。通気管212は、清澄管202a内の気相空間と接する何れかの位置に設けられている。例えば、清澄管202a円周方向の頂部に設けられている。通気管212の形状は、特に制限されないが、清澄管202aから真っすぐ延びた煙突状の形状であってもよく、屈曲した形状であってもよい。通気管212は、白金又は白金合金等からなる材料、耐熱レンガ、および、これらの組み合わせ、のいずれかにより構成される。温度調整部220によって加熱されやすく、また、異物が清澄管202a内に落下するのを防止する観点からは、通気管212のうち少なくとも清澄管202aと接続される部分は、白金又は白金合金等からなる材料で構成されるのが好ましい。より好ましくは、通気管212は、白金又は白金合金からなることが好ましい。なお、通気管212が白金又は白金合金等からなる材料で構成される場合には、通気管212の揮発を防止するために、通気管212の内表面及び外表面の少なくともいずれかに溶射膜を設けることが好ましい。
通気管212が設けられる清澄管202aに対する位置は、特に制限されないが、例えば、清澄管202aの長手方向中央に設けられる。通気管212は、1つだけ設けられてもよく、2つ以上設けられてもよい。なお、上記フランジが3つ以上設けられる場合は、通気管212は、例えば、長手方向に隣り合って配された2つのフランジの間に1つ設けられる。
通気管212には、長手方向(図3および図4において上下方向)の1箇所または複数箇所に、例えば熱電対からなる温度測定素子が設けられる。温度測定素子は、少なくとも通気管212が清澄管202aと接続される部分に設けられていることが好ましい。また、温度測定素子は、通気管212が最低温度となる位置に設けられることが好ましい。
(c)温度調整部
温度調整部220は、通気管212に対し温度調整を行う装置である。温度調整は、温度調整部220を用いて行うことができる。温度調整部220は、例えば、図4(a)に示すヒータ221と、制御装置223と、を有している。
ヒータ221は、通気管212を加熱できるものであれば特に限定されず、ハロゲンヒータ、電熱コイル等、公知の加熱要素が用いられる。ヒータ221は、例えば、図4(a)に示されるように、通気管212の外周側に、通気管212の側壁212aと対向するように複数設けられる。ヒータ221は、制御装置223に接続され、清澄工程において通気管212の温度が所定の温度範囲内に保たれるよう温度制御される。すなわち、通気管212の温度調整は、通気管212の外周を取り巻く空間をヒータ221等により加熱することにより、通気管212の加熱を行なう調整である。また、通気管212の温度調整は、通気管212の外周を取り巻く空間を介してヒータ221等の輻射熱により通気管を加熱する調整であってもよい。なお、制御装置223は、オペレータの入力指示によって温度調整を加熱要素に指示する装置であってもよく、コンピュータプログラムによって自動的に作成した制御信号によって加熱要素に温度調整を指示する装置であってもよい。
なお、温度調整部220において、ヒータ221に代えて、図4(b)に示すコイル225が用いられてもよい。コイル225は、電熱線を通気管212の側壁212aに巻きつけることで構成されている。コイル225は、制御装置223に接続され、清澄時に通気管212の温度が所定の温度範囲に保たれるよう温度制御される。また、コイル225は白金又は白金合金等を用いることが好ましい。なお、コイル225と通気管212とを絶縁するために、例えば、通気管212又はコイルのいずれかに溶射膜を設けることがこの好ましい。
また、温度調整部220には、ヒータ221、コイル225に代えて、図示されない電極が用いられてもよい。この場合、通気管212は白金又は白金合金等からなる材料で構成される。電極は、例えば通電管212の長手方向(図3および図4の上下方向)の両端に接続される。電極の間に電流を流すことで、通気管212が直接通電加熱される。電極は、制御装置223に接続され、通気管212の温度が所定の温度範囲に保たれるよう温度制御を行う。すなわち、通気管212の温度調整は、通気管212に電流を流すことにより、通気管212を通電加熱する調整である。
制御装置223は、上記したヒータ221、コイル225、または、電極に接続されるとともに、通気管212に設けられた温度測定素子に接続されている。制御装置223は、温度測定素子によって計測された温度を用いて、通気管212の温度が所定の温度範囲に保たれるよう、ヒータ221に対しフィードバック制御を行うことが好ましい。所定の温度範囲については後述する。
(d)レンガ層
レンガ層222は、清澄管202a内の熔融ガラスを保温するための構造体であり、清澄管202aを外周側から覆うよう設けられた多数の耐熱レンガからなる。レンガ層222は、通気管212が清澄管202aと接続された部分(接続部212c)に、通気管212を囲むように、設けられた耐熱レンガ(第1のレンガ)222aを有している。
従来、耐熱レンガ222aは、清澄管202aが放熱しないように熱伝導率の低いレンガが好ましく用いられてきた。しかし、本実施形態の耐熱レンガ222aは、他の部分に配される耐熱レンガ222b(第2のレンガ)よりも熱伝導率が高いことが好ましい。耐熱レンガ222aは、通気管212および清澄管202aに接触して又は近接して設けられているため、清澄管202aの熱が通気管212に伝わりやすくなり、清澄時の通気管212の温度を高い温度に保つことができるためである。耐熱レンガ222aの熱伝導率は、例えば2〜30W/(m・K)であることが好ましい。また、耐熱レンガ222b(第2のレンガ)の熱伝導率は、例えば0.05〜15W/(m・K)であることが好ましい。さらに、耐熱レンガ222aの熱伝導率は耐熱レンガ222bよりも高いことが好ましく、耐熱レンガ222aの熱伝導率と耐熱レンガ222b(第2のレンガ)の熱伝導率との比が3倍以上あることが好ましい。
なお、レンガ層222は、清澄管202aの径方向に複数の層を有する、耐熱レンガを上下方向(図4の上下方向)に積み重ねたものであってもよい。また、第1のレンガは、接続部212cに配された耐熱レンガ222aを含むものであれば、上下方向に隣接して配されるまたは左右方向(図4の左右方向)に隣接して配される複数の耐熱レンガで構成されてもよい。また、耐熱レンガ(第1のレンガ)222a及び耐熱レンガ(第2のレンガ)222bは、清澄管202aに直接接している必要はなく、清澄管202aと、耐熱レンガ222a及び耐熱レンガ222bとの間に他の耐火物が設けられていてもよい。
また、温度調整部220に、上記したコイル225または電極が用いられる場合は、レンガ層222は、さらに、通気管212の表面に通気管212を囲むよう設けられてもよい。
あるいは、図4(c)に示すように、レンガ層222は、耐熱レンガ222aと耐熱レンガ222aよりも熱伝導率が低く、断熱効果が高い耐熱レンガ(第3のレンガ)222cを有していてもよい。耐熱レンガ(第1のレンガ)222aは、通気管212が清澄管202aと接続された部分(接続部212c)に、通気管212を囲むように設けられているとともに、通気管212の側壁212aに対向するように設けられている。他方、耐熱レンガ222cは、例えば、通気管212の側壁212aに対向する耐熱レンガ222aから清澄管202aの径方向外側に延びるよう当該耐火レンガ222aよりも大気に近い位置に設けられる。耐熱レンガ222aは、通気管212および清澄管202aの両方に接触して又は近接して設けられているため、清澄管202aの熱が通気管212に伝わりやすくなり、通気管212の温度を高い温度に保つことができる。さらに、耐熱レンガ222cは、通気管212の保有する熱が放熱されることを防ぐため、通気管212の温度低下を防止できる。そのため、通気管212の温度が低くなり、通気管212近傍で揮発成分が凝集することを防止できる。耐熱レンガ222cの熱伝導率は、例えば1.5W/(m・K)以下であり、好ましくは0.05〜1.5W/(m・K)である。また、耐熱レンガ222aの熱伝導率は耐熱レンガ222cよりも高い。なお、上述したような通気管212および清澄管202の周囲に設けられる耐熱レンガ間の熱伝導率差を用いて通気管212の温度調整を行う場合などは、制御装置223は必須ではない。
ここで、図5を参照して、清澄管202aに生じる温度分布について説明する。図5は、清澄管202aの温度の長手方向に沿った温度分布の一例を模式的に示す図である。この温度分布は、例えば、上記温度測定素子による計測値を用いて得ることができるが、特に制限されず、シミュレーションによって求めることもできる。ここで、清澄管202aの長手方向は、熔融ガラスの流れ方向でもあるので、清澄管202aの内壁には、熔融ガラスの流れる方向に沿って温度分布が形成されている。
清澄管202aのうち、通気管212が設けられた長手方向領域の部分(通気管対応部分)では、温度が大きく低下する。これは、通気管212が、大気に近い領域に突出する管であるので、大気への熱の放射は避けられないためである。また、通気管212の、清澄管202aと接続する端の側に、清澄管202aにも接する耐熱レンガが配されているため、清澄管202aの熱が通気管212に伝わりにくいためである。清澄管202aの温度は、通気管対応部分で低く、通気管212から長手方向に遠ざかる方向に進むにつれ、徐々に高くなっている。そして、フランジ202e,202fが設けられた長手方向領域の部分では、清澄管202aの温度が低くなっている。これは、清澄管202aからフランジ202e,202fに熱が伝わり外部に放射されるためである。また、フランジ202e,202fは冷却されるためである。この部分の温度は、例えば、通気管対応部分よりも低い。
清澄管202aでは、このような温度分布を有する。具体的に、清澄管202aの最も温度の高い部分と最も温度の低い部分との温度差は、例えば、50℃以上であり、150℃以上であり、250℃以上である。
このように、通気管212が設けられる通気管対応部分では、清澄管202aの温度がその周りに比べて低くなっている。そのため、白金又は白金合金等を含む揮発成分が、通気管対応部分の周りに比べ温度の低い通気管対応部分に触れると、揮発成分の飽和蒸気圧の温度依存性に従って揮発成分が凝集し易くなる。このため、通気管対応部分の周りで揮発した揮発成分が、低い温度の通気管212に触れても凝集しないように、通気管212に対し温度調整を行う。このような温度調整を行うことで、通気管212内の空間および通気管212周辺の気相空間の領域での揮発成分の飽和蒸気圧が上昇し、これにより、通気管212内の空間および通気管212周辺の気相空間の領域とそれ以外の気相空間内との間での飽和蒸気圧差が小さくなり、揮発成分の凝集が抑えられる。したがって、通気管212内および通気管212の周辺領域の清澄管202aの内壁に析出した凝集物が熔融ガラスG内に落下して、ガラス基板の品質不良を招くのを回避できる。ここで、品質不良となるガラス基板中に含まれる凝集物は、凝集物の形状において最大長さの最小長さに対する比であるアスペクト比が100を超える白金又は白金合金等の異物を指す。例えば、白金又は白金合金等の異物(凝集物)の最大長さが50μm〜300μm、最小長さが0.5μm〜2μmである。
清澄工程(ST2)の説明に戻り、温度調整は、清澄管202aの温度が最も高い部分(最高温度部分)と通気管212との温度差が300℃以内となるよう、行うことが好ましい。最高温度部分は、清澄管202aに取り付けられた複数の温度測定素子のうち、最高温度を計測したものが取り付けられた清澄管202aの部分である。また、通気管212の温度は、通気管212に複数の温度測定素子が設けられている場合は、それらのうち最も清澄管202aから遠い位置に設けられたものが計測した温度が用いられる。上記温度差が300℃以内となるよう温度調整されることにより、清澄管202aと通気管212との間で、白金又は白金合金等の揮発成分の飽和蒸気圧差が小さくなり、清澄管202aから揮発した揮発成分の凝集が抑制される。上記温度差は、より好ましくは200℃以内であり、さらに好ましくは100℃以内である。
また、上記温度差の下限値は、特に制限されないが、例えば0℃、すなわち、清澄管202aの最高温度部分と通気管212との温度差がない温度である。例えば、通気管21の温度が清澄管202aの最高温度部分の温度よりも低く、清澄管202aの温度が最も高い部分(最高温度部分)と通気管212の最も低い温度との温度差は0〜300℃であることが好ましく、より好ましくは0〜200℃であり、さらに好ましくは0〜100℃である。なお、通気管21の温度が清澄管202aの最高温度部分の温度よりも高くなるよう、温度調整を行ってもよい。しかし、通気管212の温度が高くなりすぎると、通気管212が白金又は白金合金等からなる材料で構成されている場合は変形しやすくなる。このため、通気管212の温度は、清澄管202aの最高温度を超えないことが好ましい。
上記温度差となるよう温度制御を行う場合に、通気管212の温度は、1450℃以上であることが好ましい。これは、1400℃以下で白金又は白金合金等の揮発成分が凝集しやすくなるためである。通気管212の温度は、より好ましくは1500℃以上であり、さらに好ましくは1600℃以上である。より具体的には、通気管212の温度は、1450℃〜1700℃であることが好ましく、1500℃〜1650℃であることがより好ましい。ここで、通気管212の温度とは、通気管212の最低温度である。
本実施形態は、清澄工程(ST2)において、清澄管202aの最高温度部分の温度が1600℃以上である場合に好適である。清澄管202aの温度が1600℃以上であると、清澄剤に酸化錫を用いた場合に熔融ガラス中で気泡が急激に発生しやすくなり、また、熔融ガラスの粘度が低くなる点で好ましい反面、白金又は白金合金等が揮発しやすく、上記した凝集の問題が生じやすい。特に、上記した清澄管202aに対する直接通電加熱は、清澄管202aの温度を上昇させやすく、熔融ガラスの温度調節が容易になる反面、清澄管202aの温度が高すぎてしまうことがある。清澄管202aの温度が高すぎると、白金又は白金合金等が揮発しやすく、上記問題が生じやすい。本実施形態では、このような場合であっても、上記温度調整が行われることで、揮発成分の凝集が抑制される。
揮発成分の凝集は、清澄管202aの最高温度部分の温度が、1630℃以上である場合により顕著に発生し、1650℃以上である場合にさらに顕著に発生するため、本実施形態の方法はより好適である。清澄管202aの最高温度部分の温度の上限値は、白金又は白金合金等が溶融しないよう、1720℃以下であるのが好ましい。より具体的には、清澄管202aの内壁の最高温度は、1630℃〜1720℃であることが好ましく、1650℃〜1720℃であることがより好ましい。清澄管202aの内壁の最高温度が低すぎると、例えば酸化錫の清澄剤として反応が活発でなくなり、熔融ガラスの清澄が十分でなくなる。
清澄工程(ST2)における気相空間中の酸素濃度は、白金又は白金合金等の揮発に影響を与える。気相空間中の酸素濃度が高いほど、白金又は白金合金等の揮発は活発になる。気相空間の酸素濃度は、熔融ガラス中に含有される清澄剤の影響を受ける。清澄剤の含有量が多いほど、気相空間中の酸素濃度は高くなり、酸素濃度が高いほど揮発成分の凝集は生じ難くなる。清澄剤が酸化錫の場合、酸化錫の含有量は、0.01〜0.3モル%であることが好ましく、0.03〜0.2モルであることがより好ましい。酸化錫の含有量が増加しすぎると酸化錫の2次結晶の問題が生じるので好ましくない。酸化錫の含有量が少なすぎると熔融ガラスの清澄が十分でない。
また、気相空間の酸素濃度は、熔融ガラス温度あるいは温度履歴の影響を受ける。清澄工程中の熔融ガラスの温度が異なれば、還元する清澄剤、例えば還元する酸化錫の量及び熔融ガラスの粘度が異なる。このため、熔融ガラスから気相空間に放出される酸素の放出量も変化し、気相空間の酸素濃度は変化する。
また、熔解工程の熔融ガラスの温度と清澄工程における熔融ガラスの温度の差が大きいほど清澄管202aで放出されるガスの放出量は増加する。つまり、熔解工程から清澄管202aにおける清澄工程までの熔融ガラスの温度履歴を変化させると、熔融ガラスから気相空間に放出されるガスの量も変化する。
清澄管202aでは、清澄を十分に行うために、熔解工程における熔融ガラスの最高温度と清澄工程における熔融ガラスの最高温度との差は、50℃以上あることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。
また、清澄工程(ST2)における気相空間中の白金濃度は、白金又は白金合金等の揮発及び凝集に影響を与える。白金濃度が高いと白金又は白金合金等の揮発は抑制されるが凝集し易くなり、白金濃度が低いと白金又は白金合金等の揮発は活発になるが凝集はし難くなる。以上から、気相空間中の白金蒸気圧は、1Pa〜10Pa、好ましくは3Pa〜10Paに調整されることが好ましい。白金蒸気圧は、例えば、気相空間内で通気管212に向かう気流の速度を調整することにより調整することができる。このような気流は、通気管212を介して気相空間内の気体を吸引することにより、あるいは気相空間内に外部から、例えば不活性なガスを導入して気相空間内で強制対流を生じさせることにより、生成することができる。気流の速度は、上記吸引の程度の調整により、あるいは上記不活性なガスの導入量により調整することができる。
また、通気管212の温度が高くなると通気管212自体からの白金又は白金合金等の揮発量が増加するので、白金又は白金合金等の凝集が生じない範囲で通気管212の温度は低くすることが好ましい。そこで、白金又は白金合金等の凝集が生じないような通気管212の所定の温度は、清澄工程における環境によって決定されることが好ましい。
例えば、気相空間における白金蒸気圧が1Pa〜10Paであり、清澄管202aの最高温度が1630℃〜1720℃であるときに、通気管212の温度が1450℃〜1700℃となるように温度調整されることが好ましい。このとき、気相空間の酸素濃度は、1%以下であってもよい。また、製造されるガラス基板の酸化錫の含有量は、0.01〜0.3モル%であってもよい。
清澄工程(ST2)では、さらに、気相空間Sの気圧を清澄管202aの外部雰囲気の気圧より高くしてもよい。このような気圧差は、清澄管202a内で、脱泡による気相空間Sへのガスの放出を促進させることによって、また、清澄管202aの温度を高くすることによって得ることできる。これにより、白金又は白金合金等を含む揮発成分を、気相空間S内の他のガスとともに清澄管202a外に排出させやすくなる。その結果、気相空間S内の揮発成分の濃度を下げ、凝集を抑えることができる。また、上記気圧差を生じさせることで、通気管212を通過する気体の流速を速くでき、揮発成分が凝集する前に揮発成分を清澄管202a外に排出できる。なお、外部雰囲気の気圧は、例えば大気圧である。
あるいは、通気管212に図示しない吸引装置を接続し、白金又は白金合金等を含む揮発成分を、気相空間S内の他のガスとともに通気管212から素早く排出させるようにしてもよい。このとき、気相空間S内の気圧は、大気圧、あるいは、清澄槽103を取り巻く外部雰囲気の圧力よりも低くなっている。具体的には、気相空間S内の気圧は、大気圧よりも0超〜10Pa小さくてもよい(0Pa<大気圧―気相空間内気圧<10Pa)。
清澄工程(ST2)では、さらに、気相空間S内に、不活性ガスを供給してもよい。不活性ガスは、熔融ガラスGに対して不活性なものであれば特に制限されず、窒素または希ガスが用いられる。不活性ガスの供給は、例えば、フランジ202e,202fが設けられた清澄管202aの部分の近傍に、図示されないガス供給管が設けられる。ガス供給管は、外部のガス供給源に接続され、気相空間S内に不活性ガスを供給する。このように清澄管202a内に不活性ガスを供給することによって、白金又は白金合金等を揮発させる酸素の気相空間S内での分圧が下がり、白金又は白金合金等の揮発を抑制できるので揮発成分の凝集を抑制できる。
(ガラス組成)
このようなガラス基板として、以下のガラス組成のガラス基板が例示される。したがって、以下のガラス組成をガラス基板が有するようにガラス原料は用いられる。
SiO2:55〜75モル%、
Al23:5〜20モル%、
23:0〜15モル%、
RO:5〜20モル%
(RはMg、Ca、Sr及びBaのうち、ガラス基板に含まれる全元素)、
R’2O:0〜0.8モル%(R’はLi、K、及びNaのうち、ガラス基板に含まれる全元素)。上記ガラスは、高温粘性が高いガラスの一例である。このようなガラスにおいて、清澄管102aにおいて適正な熔融ガラスの粘度で脱泡を行うために熔融ガラスを高温に加熱する。このため、清澄管102aの内壁から揮発成分は多量に揮発し、揮発成分の凝集が問題となる。このような場合、白金又は白金合金等の揮発成分の凝集を抑制する本実施形態の効果は顕著となる。
このとき、SiO2、Al23、B23、及びRO(Rは、Mg、Ca、Sr及びBaのうち前記ガラス基板に含有される全元素)の少なくともいずれかを含み、モル比((2×SiO2)+Al23)/((2×B23)+RO)は4.0以上であってもよい。すなわち、モル比((2×SiO2)+Al23)/((2×B23)+RO)は4.0以上であるガラスは、高温粘性が特に高いガラスの一例である。そのため、白金又は白金合金等の揮発成分の凝集を抑制する本実施形態の効果はより顕著となる。また、アルカリ金属酸化物の含有量が少ないほどガラス粘度は高くなる傾向にあるので、アルカリ金属酸化物の合量であるR’2Oが0〜0.8モル%であるガラスは特に粘性が高い。粘度が高いガラスを十分に清澄させるためには清澄槽温度(白金又は白金合金)の温度を高くする必要があるが、このような粘度の高いガラスを製造する場合であっても、本実施形態を適用することで白金又は白金合金等の揮発成分の凝集を抑制する効果が得られる。
本実施形態で製造されるガラス基板は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板を含むディスプレイ用ガラス基板に好適である。IGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素)等の酸化物半導体を使用した酸化物半導体ディスプレイ用ガラス基板及びLTPS(低温度ポリシリコン)半導体を使用したLTPSディスプレイ用ガラス基板に好適である。
また、本実施形態で製造されるガラス基板は、アルカリ金属酸化物の含有量が極めて少ないことが求められる液晶ディスプレイ用ガラス基板に好適である。また、有機ELディスプレイ用ガラス基板にも好適である。言い換えると、本実施形態のガラス基板の製造方法は、ディスプレイ用ガラス基板の製造に好適であり、特に、液晶ディスプレイ用ガラス基板の製造に好適である。
これらのガラス基板は他の用途のガラス基板と比較して粘性が高いため、清澄工程において充分な泡の浮上速度を得るために、熔融ガラスの温度を高くする必要がある。そのため、白金又は白金合金等からなる清澄管が好ましく用いられるが、白金又は白金合金等は、上記したように高温下では、揮発しやすい。そのような熔融ガラスの清澄を行う場合でも、本実施形態では、上記した温度調整によって清澄管から揮発した白金又は白金合金等の凝集を抑えられる。
また、本実施形態で製造されるガラス基板は、カバーガラス、磁気ディスク用ガラス、太陽電池用ガラス基板などにも適用することが可能である。
また、本実施形態の白金又は白金合金等の揮発成分の凝集を抑制する効果は、上述した高温粘性の高いガラスを用いる場合の他、熔解温度の高いガラスを用いる場合においても、顕著となる。例えば、熔解温度の指標となる粘度が102.5ポアズであるときの温度が1500℃以上であるガラスを製造する場合には、本実施形態の白金又は白金合金等の揮発成分の凝集を抑制する効果が顕著となる。
ガラス基板の歪点は650℃以上であってもよく、690℃以上であることがより好ましく、730℃以上であることが特に好ましい。また、歪点が高いガラスは、粘度が102.5ポアズにおける熔融ガラスの温度が高くなる傾向にあるため、本実施形態の効果が顕著となる。
また、酸化錫を含み、粘度が102.5ポアズであるときの熔融ガラスの温度が1500℃以上となるようにガラス原料を熔解した場合、より本実施形態の効果が顕著となり、粘度が102.5ポアズであるときの熔融ガラスの温度は、例えば1500〜1700℃であり、1550〜1650℃であってもよい。
さらに、作製するガラス基板の板厚が薄いガラス基板、例えば0.5mm以下、さらには0.3mm以下、さらには0.1mm以下のガラス基板においても、本実施形態の白金又は白金合金等の揮発成分の凝集を抑制する効果は、板厚の厚いガラス基板に比べて顕著となる。清澄管102a等の内壁に凝集した白金又は白金合金等の凝集物の一部が微粒子となって熔融ガラス中に落下し、熔融ガラス中に混入しガラス基板に含まれる。この場合、ガラス基板の板厚が薄いほど、欠陥となる微粒子はガラス基板の表面に位置することが多い。ガラス基板の表面に位置する微粒子は、ガラス基板を用いたパネル製造工程において離脱すると、離脱した部分が凹部となり、ガラス基板上に形成される薄膜が均一に形成されず、画面の表示欠陥をつくる。したがって、本実施形態のように清澄管102aにおいて白金又は白金合金等の揮発成分の凝集を抑制する効果は、板厚が薄いガラス基板ほど大きくなる。
なお、本実施形態では、清澄槽102に適用した例を示したが、熔融ガラスを均質化する攪拌槽103に適用することもできる。この場合、攪拌槽103の内壁のうち温度が低い部分は、攪拌槽103の天井壁と側壁の接続部分である場合が多い。この場合、上記接続部分から不活性なガスを気相空間内に供給することが好ましい。このとき、攪拌槽103とスターラ103aとの間の隙間から気相空間内の気体やガスを外部に流すことができる。
以上、本発明のガラス基板の製造方法及びガラス基板の製造装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
清澄管は、清澄時の気相空間と触れる部分の少なくとも一部が白金又は白金合金等からなる材料で構成されたものであればよい。
(実施例)
清澄剤として酸化錫を用い、図3に示す清澄槽を用いて、熔融ガラスの清澄を行うとともに、上記実施形態の温度調整を行い、清澄後、2270mm×2000mmであり、厚さが0.5mmのシートガラスに成形し、100枚のガラス基板を作成した(実施例)。温度調整は、白金製の通気管212に対する通電加熱により行い、通気管212の温度を1550℃に保った。なお、清澄管の最高温度部分の温度は、1650℃であり、通気管と清澄管の最高温度部分の温度差は100℃であった。清澄時間は1時間であった。また、ガラス基板のガラス組成は、SiO2 66.6モル%、Al23 10.6モル%、B23 11.0モル%、MgO,CaO,SrO及びBaOの合量 11.4モル%であり、歪点は660℃、粘度が102.5ポアズであるときの熔融ガラスの温度は1570℃であった。
一方、通気管212に対する温度調整を行わなかった点を除いて、上記実施例と同様にして、熔融ガラスの清澄を行った(比較例)。比較例において、清澄時の通気管の温度は、1300℃であり、通気管と清澄管の最高温度部分の温度差は350℃であった。
実施例および比較例のガラス基板の白金又は白金合金等の異物の有無を、目視で確認したところ、実施例では、白金又は白金合金等の異物が確認されたガラス基板の数は、比較例の1/6に抑えることができた。
202 清澄槽
202a 清澄管
212 通気管
220 温度調整部
221 ヒータ
223 制御装置
B 気泡
G 熔融ガラス
S 気相空間

Claims (7)

  1. 清澄管において熔融ガラスの清澄を行うガラス基板の製造方法であって、
    ガラス原料を熔解して清澄剤として少なくとも酸化錫を含む熔融ガラスをつくる熔解工程と、
    少なくとも一部が白金族金属を含む材料からなる清澄管内に前記熔融ガラスが供給されることによって前記清澄管の内壁と前記熔融ガラスの液面とで形成される気相空間に、前記清澄剤の還元反応により前記熔融ガラスからガスを放出させるとともに、前記気相空間に放出されたガスを前記清澄管に接続された通気管から前記清澄管外に排出する清澄工程と、
    前記熔融ガラスをシートガラスに成形する成形工程と、を備え、
    前記清澄工程では、前記清澄管の最も温度が高い部分の温度が1630℃以上となるよう、前記清澄管を加熱し、前記清澄管のうち前記気相空間に接する部分から揮発した揮発成分の凝集が前記通気管近傍において抑えられるよう、前記通気管に対し温度調整を行う、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 清澄管において熔融ガラスの清澄を行うガラス基板の製造方法であって、
    ガラス原料を熔解して清澄剤として少なくとも酸化錫を含む熔融ガラスをつくる熔解工程と、
    少なくとも一部が白金族金属を含む材料からなる清澄管内に前記熔融ガラスが供給されることによって前記清澄管の内壁と前記熔融ガラスの液面とで形成される気相空間に、前記清澄剤の還元反応により前記熔融ガラスからガスを放出させるとともに、前記気相空間に放出されたガスを前記清澄管に接続された通気管から前記清澄管外に排出する清澄工程と、
    前記熔融ガラスをシートガラスに成形する成形工程と、を備え、
    前記清澄工程では、前記清澄管の最も温度が高い部分の温度が1630℃以上となるよう、前記清澄管を加熱し、前記清澄管のうち前記気相空間に接する部分から揮発した揮発成分の凝集が抑えられるよう、前記通気管に対し温度調整を行う、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  3. 前記清澄工程では、前記清澄管の温度が最も高い部分と前記通気管との温度差が300℃以下となるよう、前記温度調整を行う、請求項1または2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. 前記清澄工程では、さらに、前記気相空間内に、前記熔融ガラスに対して不活性なガスを供給する、請求項1〜のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  5. 前記ガラス基板は、ディスプレイ用ガラス基板である、請求項1〜のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  6. 前記清澄工程では、前記気相空間を減圧状態にして脱泡を行う減圧脱泡を除いた、前記清澄剤の酸化還元反応による脱泡を行う、請求項1〜5のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
  7. ガラス原料を熔解して清澄剤として少なくとも酸化錫を含む熔融ガラスをつくる熔解槽と、
    少なくとも一部が白金族金属を含む材料からなり、前記熔融ガラスが供給されることによって内壁と前記熔融ガラスの液面とで気相空間が形成され、前記気相空間に前記清澄剤の還元反応により前記熔融ガラスからガスが放出され、最も温度が高い部分の温度が1630℃以上となるよう加熱される清澄管と、前記清澄管と接続され、前記気相空間に放出されたガスを前記清澄管外に排出する通気管と、前記清澄管から揮発した揮発成分の凝集が前記通気管近傍において抑えられるよう、前記通気管に対し温度調整を行う温度調整部と、を備える清澄槽と、
    前記清澄槽により清澄された熔融ガラスをシートガラスに成形する成形装置と、を備えることを特徴とするガラス基板の製造装置。
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