JP5880767B2 - 領域判定装置、領域判定方法およびプログラム - Google Patents
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Description
また特許文献2には、領域分割手段が、画像範囲内の各画素に付与する主要オブジェクトまたは背景を示す領域ラベルと各画素の画素値に基づき、主要オブジェクトらしさまたは背景らしさを示すデータ項と、隣接画素間の領域ラベルの滑らかさを示す平滑化項と、データ項または平滑化項の少なくともいずれかに前回の領域分割の結果に応じて算出され各画素の位置に応じた画素位置重み値を付加する画素位置重み関数とを含むエネルギー関数の最小化処理により、画像内で主要オブジェクトと背景を領域分割し、画素位置重み関数更新手段は、領域分割手段により主要オブジェクトの領域が画像範囲内で占める割合が増加するほど、画像範囲の中央から境界部分に向かって画素位置重み値が減少する関数を算出し、画素位置重み関数として更新するものが開示されている。
ここで、指定領域の切り出しの方法として、画像中の指定領域に含まれる画素を基準画素としてその周辺にある対象画素について指定領域への属否を判定する動作を繰り返し行う処理を想定した場合には、1回の基準画素の選択あるいは1回の対象画素の選択につき対象画素の指定領域への属否の判定結果が画像全体に反映される「同期型」では、各画素の判定結果を現す状態遷移の切り替わりが比較的遅い。
本発明は、基準画素を基準として対象画素の指定領域への属否を判定する動作を繰り返し行う装置等において、上記「同期型」を用いる場合よりも、各画素の領域判定結果を現す状態遷移の切り替わりを早くして領域判定の処理速度を遅くなりにくくする領域判定装置等を提供することを目的とする。
請求項2に記載の発明は、画像中の指定領域に含まれるか否かの判断対象となる対象画素を一つ選択すると共に当該対象画素周辺の特定の範囲を第2の範囲として設定し、当該指定領域および当該第2の範囲に含まれる画素を基準画素として当該選択した一の対象画素について当該指定領域への属否の判定を行った後、当該指定領域に属すると判定された画素を新たに当該基準画素として設定すると共に、新たに当該対象画素を一つ選択し、当該第2の範囲の設定および判定を再度行って、当該指定領域の検出を行う領域判定装置である。
請求項3に記載の発明は、前記領域判定装置は、前記基準画素が有し前記指定領域に属する強さおよび当該基準画素の前記対象画素に及ぼす影響力に基づいて、当該対象画素の前記指定領域への属否を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の領域判定装置である。
請求項4に記載の発明は、前記領域判定装置は、前記対象画素が前記指定領域に属するとの判定をしたときに、当該対象画素に対し何れの指定領域に属するかを表すラベルと当該ラベルに対応する前記強さとを変更することを特徴とする請求項3に記載の領域判定装置である。
請求項5に記載の発明は、前記領域判定装置は、前記基準画素と前記対象画素との画素値の近さに基づいて、当該対象画素の前記指定領域への属否を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の領域判定装置である。
請求項6に記載の発明は、前記領域判定装置は、前記判定を繰り返すにつれて前記第1の範囲または前記第2の範囲を小さくなるように設定していくことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の領域判定装置である。
請求項7に記載の発明は、前記領域判定装置は、前記対象画素の前記指定領域への属否を判定する前に、画像をぼかす処理を行なうことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の領域判定装置である。
請求項8に記載の発明は、前記領域判定装置は、前記基準画素または前記対象画素を一画素毎に走査するように移動させつつ判定を行なうことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の領域判定装置である。
請求項9に記載の発明は、画像中の指定領域に含まれる画素を基準画素として一つ選択すると共に当該基準画素周辺の特定の範囲を第1の範囲として設定し、選択した一の基準画素のみを対象として当該第1の範囲に含まれる対象画素の各々について当該指定領域への属否の判定を行った後、当該指定領域に属すると判定された画素を新たに当該基準画素として一つ選択し、当該第1の範囲の設定および判定を再度行って、当該指定領域の検出を行う領域判定方法である。
請求項10に記載の発明は、画像中の指定領域に含まれるか否かの判断対象となる対象画素を一つ選択すると共に当該対象画素周辺の特定の範囲を第2の範囲として設定し、当該指定領域および当該第2の範囲に含まれる画素を基準画素として当該選択した一の対象画素について当該指定領域への属否の判定を行った後、当該指定領域に属すると判定された画素を新たに当該基準画素として設定すると共に、新たに当該対象画素を一つ選択し、当該第2の範囲の設定および判定を再度行って、当該指定領域の検出を行う領域判定方法である。
請求項11に記載の発明は、コンピュータに、画像中の指定領域に含まれる画素を基準画素として一つ選択すると共に当該基準画素周辺の特定の範囲を第1の範囲として設定する機能と、前記選択した一の基準画素のみを対象として前記第1の範囲に含まれる対象画素の各々について前記指定領域への属否の判定を行った後、当該指定領域に属すると判定された画素を新たに当該基準画素として一つ選択し、当該第1の範囲の設定および判定を再度行って、当該指定領域の検出を行う機能と、を実現させるプログラムである。
請求項12に記載の発明は、コンピュータに、画像中の指定領域に含まれるか否かの判断対象となる対象画素を一つ選択すると共に当該対象画素周辺の特定の範囲を第2の範囲として設定する機能と、前記指定領域および前記第2の範囲に含まれる画素を基準画素として前記選択した一の対象画素について当該指定領域への属否の判定を行った後、当該指定領域に属すると判定された画素を新たに当該基準画素として設定すると共に、新たに当該対象画素を一つ選択し、前記第2の範囲の設定および判定を再度行って、当該指定領域の検出を行う機能と、を実現させるプログラムである。
請求項3の発明によれば、処理速度をより高速化することができる。
請求項4の発明によれば、処理速度をより高速化することができる。
請求項5の発明によれば、判定がより容易になる。
請求項6の発明によれば、処理速度と指定領域の切り出しの分離精度を両立させることができる。
請求項7の発明によれば、指定領域の切り出し精度が向上することがある。
請求項9、10の発明によれば、指定領域の切り出しを行なう際に領域拡張方法を採用した場合でも、グラフカット法を用いる場合よりも、処理速度が遅くなりにくい領域判定方法が提供できる。
請求項11、12の発明によれば、指定領域の切り出しを行なう際に領域拡張方法を採用した場合でも、グラフカット法を用いる場合よりも、処理速度が遅くなりにくくなる機能をコンピュータにより実現できる。
例えば、カラーの画像の画質調整を行なうときには、カラーの画像全体に対し行なう場合とカラーの画像中において領域別に行なう場合がある。画質を制御する代表例としては、色成分のヒストグラム制御、輝度のコントラスト制御、輝度のヒストグラム制御、輝度の帯域制御、色相制御、彩度制御などが挙げられるが、色や輝度の帯域に基づく画質を制御する場合、特に特定の領域に対してのみ画質調整を行うときは、この領域を切り出す処理が必要となる。
図1は、本実施の形態における領域判定システム1の構成例を示す図である。
図示するように本実施の形態の領域判定システム1は、表示装置20に表示される画像の画像情報に対し画像処理を行なう領域判定装置10と、領域判定装置10により作成された画像情報が入力され、この画像情報に基づき画像を表示する表示装置20と、領域判定装置10に対しユーザが種々の情報を入力するための入力装置30とを備える。
また領域判定装置10と入力装置30とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)を介して接続されている。なお、USBに代えて、IEEE1394やRS−232C等を介して接続されていてもよい。
次に領域判定装置10について説明を行なう。
図2は、本実施の形態における領域判定装置10の機能構成例を表すブロック図である。なお図2では、領域判定装置10が有する種々の機能のうち本実施の形態に関係するものを選択して図示している。
図示するように本実施の形態の領域判定装置10は、画像情報取得部11と、ユーザ指示受付部12と、領域検出部13と、領域切替部14と、画像処理部15と、画像情報出力部16とを備える。
具体的には、ユーザ指示受付部12は、表示装置20で表示している画像の中から、指定領域を指定する指示をユーザ指示情報として受け付ける。この指定領域は、何らかの形で指定された領域である。具体的には、ユーザが(その代表位置を指定するなどして)指定した領域である。また機械などにより自動で指定された領域(例えば画像の特徴量から代表位置を自動で抽出するパターンなど)も含む。ここでは指定領域は、ユーザが特定の画像領域として指定した領域であり、ユーザが画像処理を行なう画像領域である。実際には、本実施の形態では、ユーザ指示受付部12は、ユーザ指示情報として、ユーザが入力した指定領域の代表位置を表す位置情報を取得する。
また詳しくは後述するが、ユーザ指示受付部12は、ユーザが、この指定領域の中から実際に画像処理を行なうものを選択する指示をユーザ指示情報として受け付ける。さらにユーザ指示受付部12は、選択された指定領域に対し、ユーザが画像処理を行う処理項目や処理量等に関する指示をユーザ指示情報として受け付ける。これらの内容に関するさらに詳しい説明については後述する。
図3(a)〜(b)は、指定領域を指定する作業をユーザインタラクティブに行う方法の例を示した図である。
図3(a)では、表示装置20の表示画面21で表示している画像が、前景として写る人物と、人物の背後に写る背景とからなる写真の画像Gである場合を示している。そしてユーザが、前景である人物の頭髪の部分、および頭髪以外の部分をそれぞれ指定領域として選択する場合を示している。即ち、この場合指定領域は2つある。以後、頭髪の部分の指定領域を「第1の指定領域(指定領域1)」、頭髪以外の部分の指定領域を「第2の指定領域(指定領域2)」と言うことがある。
また図3(b)の例では、頭髪の部分に描かれた軌跡(シード1)に対応する画素に「ラベル1」を、顔の部分に描かれた軌跡(シード2)に対応する画素に「ラベル2」を、頭髪や顔以外の部分(シード3)に対応する画素に「ラベル3」を付加する。本実施の形態では、このようにラベルを付与することを「ラベル付け」と言う。
このうち図4(a)は、図3(b)で示した画像Gであり、シードとして軌跡が描かれた状態を示している。
そして図4(b)で示すように、シードとして軌跡が描かれた箇所から指定領域内に領域が拡張していき、図4(c)で示すように最後に指定領域として3つの指定領域である「第1の指定領域(S1)」、「第2の指定領域(S2)」、「第3の指定領域(S3)」が切り出される。
図6(a)〜(c)に示した例では、表示画面21の左側に指定領域が選択された状態の画像Gが表示され、表示画面21の右側に「領域1」、「領域2」、「領域3」の何れかを選択するラジオボタン212a、212b、212cが表示される。この場合、「領域1」は、「第1の指定領域(S1)」に、「領域2」は、「第2の指定領域(S2)」に、「領域3」は、「第3の指定領域(S3)」に対応する。そしてユーザが入力装置30を使用して、このラジオボタン212a、212b、212cを選択すると、指定領域が切り替わる。
図7は、画像処理を行なう際に、表示装置20の表示画面21に表示される画面の例を示している。
ここでは、選択された指定領域に対し、色相、彩度、輝度の調整を行なう例を示している。この例では、表示画面21の左上側に指定領域が選択された状態の画像Gが表示され、表示画面21の右上側に「領域1」、「領域2」、「領域3」の何れかを選択するラジオボタン212a、212b、212cが表示される。ここでは、ラジオボタンのうち212aが選択されており、指定領域として、頭髪の部分の画像領域である「第1の指定領域(S1)」が選択されている。なおラジオボタン212a、212b、212cを操作することで、指定領域の切り替えが可能であることは、図6の場合と同様である。
次に領域検出部13が領域拡張方法により指定領域を切り出す方法についてさらに詳しく説明を行なう。
図8(a)〜(c)は、従来の領域拡張方法について説明した図である。
このうち図8(a)は、原画像であり、縦3画素、横3画素の3×3=9画素の領域からなる。この原画像は、2つの画像領域から構成される。図8(a)では、それぞれの画素の色の濃さの違いによりこの2つの画像領域を表している。それぞれの画像領域に含まれる画素値は互いに近い値を示すものとする。
V.Vezhnevets and V.Konouchine: "Grow-Cut" -Interactive Multi-label N-D Image Segmentation", Proc.Graphicon.pp 150-156(2005)
図示するように本実施の形態の領域検出部13は、画素選択部131と、範囲設定部132と、判定部133と、特性変更部134と、収束判定部135とを備える。
以下、図9に示す領域検出部13について、第1の実施形態〜第5の実施形態に分けて説明を行なう。
まず領域検出部13の第1の実施形態について説明を行なう。
第1の実施形態において、画素選択部131は、指定領域に含まれる画素を基準画素として選択する。ここで「指定領域に属する画素」は、例えば、ユーザが指定した代表位置に含まれる画素、即ち、上述したシードの画素である。またこれには、領域拡張により新たにラベル付けされた画素も含まれる。
ここでは画素選択部131は、基準画素として指定領域に含まれる画素の中から1つの画素を選択する。
図11は、第1の範囲について説明した図である。
図示するように、画像領域R1と画像領域R2のそれぞれに基準画素であるシード1およびシード2が選択されている。そしてさらにこのシード1とシード2を中心に位置するようにして縦5画素×横5画素の範囲を第1の範囲とする。図では、この範囲を太線の枠内の範囲として表示している。
また詳しくは後述するが、本実施の形態では、第1の範囲は可変であり、処理が進行するに従い範囲が縮小されることが好ましい。
判定部133では、上記第1の範囲に含まれる25画素のうち、シード1またはシード2を除くそれぞれ24画素について、指定領域に含まれるか否かの判定の対象となる対象画素(第1の対象画素)とする。そしてこれらの対象画素が、シード1が属する指定領域(第1の指定領域)に含まれるか否か、又は/および、シード2が属する指定領域(第2の指定領域)に属するか否かの判定を行なう。
具体的には、第1の範囲内に含まれる上記24画素に便宜上番号を付し、i番目(iは1〜24の何れかの整数値)の対象画素をPiとしたとき、この画素の色データがRGBデータである場合は、この色データはPi=(Ri、Gi、Bi)として表すことができる。同様にしてシード1やシード2の基準画素をP0とすると、この色データはP0=(R0、G0、B0)として表すことができる。そして画素値の近さとして、以下の数1式に示すRGB値のユークリッド距離diを考える。
ここでシード1と同じ黒色となったものは、指定領域1に属する画素と判定され、シード2と同じ灰色となったものは、指定領域2に属する画素と判定されたことを示している。なお白色の画素は、この場合、何れの指定領域にも属さないと判定されたことを示している。
例えば、数3式は、色成分が、X1、X2、…、Xnである場合である。そして数3式は、対象画素の色データが、Pi=(X1i、X2i、…、Xni)であり、基準画素の色データが、P0=(X10、X20、…、Xn0)であったときのユークリッド距離di wを示している、なお数3式のユークリッド距離di wも重み係数WX1、WX2、…、WXnを使用した重みづけユークリッド距離となっている。この場合、n個の色成分のうち指定領域の時性がよく現れている色成分についての重み係数を他より相対的に大きくすることで、指定領域の切り分けの精度が向上する。
ここで「特性」とは、その画素に付与されるラベルと強さのことを言う。
「ラベル」は、上述したようにその画素が何れの指定領域に属するかを表すものであり、指定領域1に属する画素は、「ラベル1」、指定領域2に属する画素は、「ラベル2」が付与される。ここではシード1のラベルはラベル1、シード2のラベルはラベル2となるので、判定部133で指定領域1に属する画素と判定された場合(図12で黒色となった画素)は、ラベル1にラベル付けされる。また判定部133で指定領域2に属する画素と判定された場合(図12で灰色となった画素)は、ラベル2にラベル付けされる。
まずユーザが最初に指定した代表位置に含まれる画素の強さは、初期値として1となる。つまり領域を拡張する前のシード1やシード2の画素は、強さが1である。またまだラベル付けがされていない画素については、強さは0である。
図13(a)〜(b)は、影響力を決定する方法について示した図である。図13(a)〜(b)において、横軸は、ユークリッド距離diを表し、縦軸は、影響力を表す。
このユークリッド距離diは、強さを与えられた画素とその画素の周辺に位置する画素との間で決まる画素値のユークリッド距離diである。そして例えば、図13(a)に図示するように非線形の単調減少関数を定め、ユークリッド距離diに対し、この単調減少関数により決まる値を影響力とする。
つまりユークリッド距離diが小さいほど、影響力はより大きくなり、ユークリッド距離diが大きいほど、影響力はより小さくなる。
なお単調減少関数は、図13(a)のような形状のものに限られるものではなく、単調減少関数であれば特に限られるものではない。よって図13(b)のような線形の単調減少関数であってもよい。またユークリッド距離diの特定の範囲で線形であり、他の範囲で非線形であるような区分線形の単調減少関数であってもよい。
図11に示す第1の範囲は、シード1とシード2とで一部重なる。そして第1の範囲が、重ならない箇所、即ち、シード1とシード2とで競合しない箇所では、この場合、ラベル付けされていないもので、全て基準画素であるシード1またはシード2と同じラベル付けを行なう。一方、第1の範囲が、シード1とシード2とで重なる箇所、即ち、競合する箇所では、強さが強い方のラベル付けをする。その結果、図14に示すようにラベル付けがなされる。
このうち図15(a)は、このとき設定される第1の範囲を示している。つまり画像領域R1と画像領域R2のそれぞれに基準画素であるシード1およびシード2が選択されている。そしてさらにこのシード1とシード2を中心に位置するようにして縦3画素×横3画素の範囲を第1の範囲としている。図では、この範囲を太線の枠内の範囲として表示している。
このラベル、強さ、影響力の情報は、実際には、各画素毎の情報として、後述するメインメモリ92(図32参照)等に記憶される。そして必要に応じメインメモリ92から読み出されるとともに、ラベル、強さ、影響力が変更されたときは、これらの情報の書き換えが行なわれる。これにより領域検出部13の処理速度が向上する。
収束判定部135は、例えば、ラベルが変更される画素がなくなったときに収束したと判定する。また予め最大更新回数を定めておき、最大更新回数に達したときに収束したものとみなすこともできる。
次に領域検出部13の第2の実施形態について説明を行なう。
図16(a)は、このとき設定される第1の範囲であり、図15(a)と同様の図である。
本実施の形態では、判定部133は、図16(b)に示すように2行2列の位置に設定されるシード2を起点とし、まず第1の範囲内の対象画素が何れの指定領域に属するか否かを判定する。そして図16(c)〜(d)に示すように基準画素を図中右側に一画素ずつ移動させつつ、第1の範囲内の対象画素が何れの指定領域に属するか否かを判定していく。この判定は、例えば、上述したように、数1式〜数3式を使用し、画素値の近さを利用することで行うことができる。またこの判定は、図15の場合と同様に、強さを使用した方法により行うことができる。
そして図中右端までを対象画素として判定した後は、次に基準画素を第3列に移し、同様に基準画素を図中右側に一画素ずつ移動させつつ、第1の範囲内の対象画素が何れの指定領域に属するか否かを判定していく。そして図中右端までを対象画素として判定した後は、さらに次の列に移る。これは図16(e)〜(g)に示すように繰り返され、図中右下端部に基準画素が移動するまで行なわれる。これは、判定部133は、基準画素を一画素毎に走査するように移動させつつ判定を行なう、と言うことができる。
これは、図17に示すように行と列の順を反転させて同様の処理を行なうと言うこともできる。またこれは、基準画素が終端位置(この場合、右下端部や左上端部)に達したときは、基準画素を逆方向に走査させるようにさらに移動させる、と言うこともできる。
また起点が1つの場合でも、基準画素が右下端部に達した後に、基準画素を再び左上端部から走査させるように移動させてもよい。さらに基準画素をランダムに走査させるように移動させてもよい。
この領域拡張方法によれば、図15で説明した方法に比較して、より収束が速く、処理速度もより速くなる。また基準画素が終端位置に達したときには逆方向に走査させるようにさらに移動させることで、収束が遅い箇所が生じにくくなり、より収束が速くなる。
図18は、第1の実施形態および第2の実施形態における領域検出部13の動作について説明したフローチャートである。
以下、図9および図18を使用して領域検出部13の動作を説明する。
まず画素選択部131が、指定領域に属する画素の中から選択される基準画素を選択する(ステップ101)。図10(b)の例では、画素選択部131は、この基準画素としてシード1およびシード2を選択する。
一方、収束判定部135が処理が収束していないと判定した場合(ステップ105でNo)、ステップ101に戻る。なおこの場合、画素選択部131で選択される基準画素は変更される。
次に領域検出部13の第3の実施形態について説明を行なう。
第3の実施形態では、画素選択部131は、指定領域に含まれるか否かの判定の対象となる対象画素を1つ選択する。そして範囲設定部132は、選択された対象画素(第2の対象画素)に対し設定され、この対象画素が何れの指定領域に含まれるか否かを判定する基準画素が含まれる範囲である第2の範囲を変更する。
図19は、画素選択部131により選択される対象画素、および範囲設定部132により設定される第2の範囲について示した図である。
図19では、図10(a)で示した原画像に対し、図10(b)で示した場合と同様に基準画素をシード1およびシード2として設定される。そして対象画素(第2の対象画素)としてT1で示す一画素が選択された場合を示している。さらに第2の範囲として対象画素T1を中心に位置するようにして縦5画素×横5画素の範囲を第2の範囲としている。図では、この範囲を太線の枠内の範囲として表示している。
このとき例えば、対象画素T1の画素値と、第2の範囲に含まれる基準画素であるシード1およびシード2の画素値の何れに近いか否かで、対象画素T1が、第1の指定領域に属するか、第2の指定領域に属するかを判定する。即ち、画素値の近さにより判定を行う。
またこの判定は、強さを使用した方法により行うことができる。この場合、対象画素T1(第2の対象画素)が指定領域に属するかの判定を行なうときには、第2の範囲に含まれる基準画素の強さにより判定を行なうことになる。
図20では、対象画素T1の画素値は、シード1の画素値よりシード2の画素値に近く、その結果、対象画素T1は、第2の指定領域に属すると判定されたことを示している。
本実施の形態の場合も画素選択部131、範囲設定部132、判定部133、特性変更部134の処理は収束するまで繰り返し行なわれる。そしてこの処理を繰り返し、更新していくことで、ラベル付け等の特性変更がされる領域は順次拡張されていき、指定領域1および指定領域2の切り出しが行なえる。また第2の範囲は可変であり、その範囲は、更新回数により順次小さくしていくことが好ましい。
なお上述した場合は、第1の実施形態と同様の「同期型」であったが、第2の実施形態と同様の「非同期型」を使用することもできる。以下、「受け身型」であるとともに、「非同期型」の場合を、第4の実施形態として説明を行なう。
図21(a)は、図10(a)に示した原画像に対し、図10(b)で示した基準画素としてのシード1およびシード2を設定した場合を示している。これは図15および図16で説明した場合と同様である。
そして図中右端までを対象画素T1として判定した後は、次に対象画素T1を第2列に移し、同様に対象画素T1を図中右側に一画素ずつ移動させつつ、この対象画素T1が何れの指定領域に属するか否かを判定していく。そして図中右端まで判定した後は、さらに次の列に移る。これは図16(e)〜(g)に示すように繰り返され、図中右下端部に対象画素T1が移動するまで行なわれる。
この領域拡張方法でも、より収束が速く、処理速度もより速くなる。また基準画素が終端位置に達したときには逆方向に走査させるようにさらに移動させることで、収束が遅い箇所が生じにくくなり、より収束が速くなる。
図22は、第3の実施形態および第4の実施形態における領域検出部13の動作について説明したフローチャートである。
以下、図9および図22を使用して領域検出部13の動作を説明する。
まず画素選択部131が、対象画素(第2の対象画素)を選択する(ステップ201)。図19に示した例では、画素選択部131は、対象画素T1を選択する。
一方、収束判定部135が処理が収束していないと判定した場合(ステップ205でNo)、ステップ201に戻る。なおこの場合、画素選択部131で選択される対象画素(第2の対象画素)は変更される。
次に領域検出部13の第5の実施形態について説明を行なう。
第5の実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態で説明した「攻撃型」の領域拡張方法と、第3の実施形態および第4の実施形態で説明した「受け身型」の領域拡張方法の双方を使用する。つまり第5の実施形態では、「攻撃型」の領域拡張方法と「受け身型」の領域拡張方法とを更新の途中で切り替えながら領域を拡張していく。
このように「攻撃型」と「受け身型」を双方使用する領域拡張方法でも指定領域1および指定領域2の切り出しが行える。
図23は、第5の実施形態における領域検出部13の動作について説明したフローチャートである。
以下、図9および図23を使用して領域検出部13の動作を説明する。
まず画素選択部131が、「攻撃型」と「受け身型」の何れを使用するかを選択する(ステップ301)。
また範囲設定部132が、この基準画素に対し指定領域に含まれるかを判定する対象画素(第1の対象画素)の範囲である第1の範囲を設定する(ステップ304)。
さらに判定部133が、第1の範囲内の対象画素が何れの指定領域に属するかを判定する(ステップ305)。
また範囲設定部132が、この対象画素T1に対し判定への影響を与える画素の影響範囲である第2の範囲を設定する(ステップ307)。
さらに判定部133が、対象画素T1が何れの指定領域に属するかを判定する(ステップ308)。
収束判定部135が処理が収束したと判定した場合(ステップ310でYes)、指定領域の切り出しの処理を終了する。
一方、収束判定部135が処理が収束していないと判定した場合(ステップ310でNo)、ステップ301に戻る。なおこの場合、画素選択部131で選択される基準画素または対象画素(第2の対象画素)は変更される。
図24は、第6の実施形態における領域検出部13の機能構成例を表すブロック図である。
図示するように本実施の形態の領域検出部13は、図9に示した領域検出部13と同様に、画素選択部131と、範囲設定部132と、判定部133と、特性変更部134と、収束判定部135とを備える。これらの動作は、図9で示した領域検出部13と同様である。即ち、図24で示した領域検出部13も、第1の実施形態〜第5の実施形態で説明した動作を行う。
一方、図24で示した領域検出部13は、図9に示した領域検出部13に比較して、前処理部136をさらに備える点で異なる。以後、前処理部136の動作を中心に本実施の形態の領域検出部13の説明を行う。
画像Gは、ネクタイを締めたスーツ姿の男性の写真である。そしてユーザが、この画像G中のネクタイの部分にシード1を描き、ネクタイ以外の部分にシード2を描いた場合を示している。つまりユーザは、ネクタイの部分とネクタイ以外の部分とを分け、指定領域として切り出したい意図でシードを描いている。
このうち図26(a)は、拡大する箇所を太線の矩形で示している。そして図26(b)は、この箇所を拡大後の画像を示している。
図26(b)に示すようにネクタイの部分は、細かな模様が組み合わさった画像となっている。
ここで「第1の指定領域(S1)」は、画像Gからネクタイの部分が切り出されるはずである。また「第2の指定領域(S2)」は、画像Gからネクタイ以外の部分が切り出されるはずである。しかしながら実際には、「第1の指定領域(S1)」は、正確にネクタイの部分を切り出すことができず、「第1の指定領域(S1)」と「第2の指定領域(S2)」との境界は、いびつとなっている。
図28(a)〜(b)では、4画素×4画素からなる画像のうち2行2列に位置する対象画素に対し、この対象画素の周辺の8画素が与える強さを表している。ここで周辺の8画素と対象画素とは、線により結ばれているが、これは、周辺の画素が対象画素に与える強さを表す。即ち、強さがより大きいほどこの線は太くなり、強さがより小さいほどこの線は細くなるように図示している。
そして図28(a)は、図26(b)に示したような画像において、対象画素に対する周辺画素の影響を示している。図示するように対象画素に対する周辺画素の強さは、ばらついている。このばらつきは、上述した細かな模様に起因する。そしてこのばらつきにより対象画素が何れの指定領域に属するかを判定する際に、誤った結果となりやすく、図27で示すような切り出し結果となると考えられる。
図29(a)は、図26(b)と同様の画像であり、前処理部136によりぼかす前の画像を示している。対して図29(b)は、前処理部136によりぼかした後の画像を示している。
この場合、図28(a)で示したようなばらつきが緩和される。そして対象画素に対する周辺画素の影響は図28(b)で示すようにより均一なものとなる。その結果、対象画素が何れの指定領域に属するかを判定する際の精度が向上する。
ここで画像中(x、y)の位置にある画素の画素値をI(x、y)とし、低周波フィルタの関数をG(x、y)とすると、ぼかす処理後の画素値IG(x、y)は、I(x、y)をG(x、y)により畳み込む以下の数4式により算出することができる。なお画素値は、画素の輝度成分でもよく、色度成分でもよい。またRGB値であってもよい。
図示するように「第1の指定領域(S1)」は、正確にネクタイの部分を切り出した領域となっており、「第1の指定領域(S1)」と「第2の指定領域(S2)」との境界は、いびつとはなっていない。
画像の画素位置(x、y)の画素値(輝度値)をI(x、y)として、視認性を高めた画像の画素値I’(x、y)とすると、Retinex処理によって、以下のように視認性を向上させることができる。
このうち図31(a)は、原画像であり、図31(b)は、Retinex処理を行なった後の画像である。このように視認性向上を行なうことで、指定領域の切り出しの精度がより向上する。
さらに画像中の指定領域に含まれるか否かの判断対象となる対象画素を一つ選択すると共に対象画素周辺の特定の範囲を第2の範囲として設定し、指定領域に含まれる画素を基準画素として選択した一の対象画素について指定領域への属否の判定を行った後、新たに対象画素を一つ選択し、第2の範囲の設定および判定を再度行って、指定領域の検出を行う領域判定方法として捉えることもできる。
次に、領域判定装置10のハードウェア構成について説明する。
図32は、領域判定装置10のハードウェア構成を示した図である。
領域判定装置10は、上述したようにパーソナルコンピュータ等により実現される。そして図示するように、領域判定装置10は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92、およびHDD(Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーションソフトウェア等の各種プログラムを実行する。また、メインメモリ92は、各種プログラムやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、HDD93は、各種プログラムに対する入力データや各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
さらに、領域判定装置10は、外部との通信を行うための通信インターフェース(以下、「通信I/F」と表記する)94を備える。
ここで以上説明を行った本実施の形態における領域判定装置10が行なう処理は、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。
またコンピュータに、画像中の指定領域に含まれるか否かの判断対象となる対象画素を一つ選択すると共に対象画素周辺の特定の範囲を第2の範囲として設定する機能と、指定領域に含まれる画素を基準画素として選択した一の対象画素について指定領域への属否の判定を行った後、新たに対象画素を一つ選択し、第2の範囲の設定および判定を再度行って、指定領域の検出を行う機能と、を実現させるプログラムとして捉えることもできる。
Claims (12)
- 画像中の指定領域に含まれる画素を基準画素として一つ選択すると共に当該基準画素周辺の特定の範囲を第1の範囲として設定し、選択した一の基準画素のみを対象として当該第1の範囲に含まれる対象画素の各々について当該指定領域への属否の判定を行った後、当該指定領域に属すると判定された画素を新たに当該基準画素として一つ選択し、当該第1の範囲の設定および判定を再度行って、当該指定領域の検出を行う領域判定装置。
- 画像中の指定領域に含まれるか否かの判断対象となる対象画素を一つ選択すると共に当該対象画素周辺の特定の範囲を第2の範囲として設定し、当該指定領域および当該第2の範囲に含まれる画素を基準画素として当該選択した一の対象画素について当該指定領域への属否の判定を行った後、当該指定領域に属すると判定された画素を新たに当該基準画素として設定すると共に、新たに当該対象画素を一つ選択し、当該第2の範囲の設定および判定を再度行って、当該指定領域の検出を行う領域判定装置。
- 前記領域判定装置は、前記基準画素が有し前記指定領域に属する強さおよび当該基準画素の前記対象画素に及ぼす影響力に基づいて、当該対象画素の前記指定領域への属否を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の領域判定装置。
- 前記領域判定装置は、前記対象画素が前記指定領域に属するとの判定をしたときに、当該対象画素に対し何れの指定領域に属するかを表すラベルと当該ラベルに対応する前記強さとを変更することを特徴とする請求項3に記載の領域判定装置。
- 前記領域判定装置は、前記基準画素と前記対象画素との画素値の近さに基づいて、当該対象画素の前記指定領域への属否を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の領域判定装置。
- 前記領域判定装置は、前記判定を繰り返すにつれて前記第1の範囲または前記第2の範囲を小さくなるように設定していくことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の領域判定装置。
- 前記領域判定装置は、前記対象画素の前記指定領域への属否を判定する前に、画像をぼかす処理を行なうことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の領域判定装置。
- 前記領域判定装置は、前記基準画素または前記対象画素を一画素毎に走査するように移動させつつ判定を行なうことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の領域判定装置。
- 画像中の指定領域に含まれる画素を基準画素として一つ選択すると共に当該基準画素周辺の特定の範囲を第1の範囲として設定し、選択した一の基準画素のみを対象として当該第1の範囲に含まれる対象画素の各々について当該指定領域への属否の判定を行った後、当該指定領域に属すると判定された画素を新たに当該基準画素として一つ選択し、当該第1の範囲の設定および判定を再度行って、当該指定領域の検出を行う領域判定方法。
- 画像中の指定領域に含まれるか否かの判断対象となる対象画素を一つ選択すると共に当該対象画素周辺の特定の範囲を第2の範囲として設定し、当該指定領域および当該第2の範囲に含まれる画素を基準画素として当該選択した一の対象画素について当該指定領域への属否の判定を行った後、当該指定領域に属すると判定された画素を新たに当該基準画素として設定すると共に、新たに当該対象画素を一つ選択し、当該第2の範囲の設定および判定を再度行って、当該指定領域の検出を行う領域判定方法。
- コンピュータに、
画像中の指定領域に含まれる画素を基準画素として一つ選択すると共に当該基準画素周辺の特定の範囲を第1の範囲として設定する機能と、
前記選択した一の基準画素のみを対象として前記第1の範囲に含まれる対象画素の各々について前記指定領域への属否の判定を行った後、当該指定領域に属すると判定された画素を新たに当該基準画素として一つ選択し、当該第1の範囲の設定および判定を再度行って、当該指定領域の検出を行う機能と、
を実現させるプログラム。 - コンピュータに、
画像中の指定領域に含まれるか否かの判断対象となる対象画素を一つ選択すると共に当該対象画素周辺の特定の範囲を第2の範囲として設定する機能と、
前記指定領域および前記第2の範囲に含まれる画素を基準画素として前記選択した一の対象画素について当該指定領域への属否の判定を行った後、当該指定領域に属すると判定された画素を新たに当該基準画素として設定すると共に、新たに当該対象画素を一つ選択し、前記第2の範囲の設定および判定を再度行って、当該指定領域の検出を行う機能と、
を実現させるプログラム。
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