JP5876931B2 - 熱切断機 - Google Patents

Description

本発明は、レーザ加工機やプラズマ加工機、ガス切断機などの熱切断機に関し、より詳細には、小ロットの製品にも対応して、効率よく加工することができる熱切断加工機に関する。

熱切断機の一例として、レーザ加工機は、作業者などをレーザ光線から保護するため、加工ヘッドはキャビン内に収容されている。従来のレーザ加工機としては、レーザ加工機本体および加工テーブルの上方を覆うキャビン本体と、上下移動可能にキャビン本体の下側に配置されて加工テーブルの周囲を覆う複数の分割カバーから成るサブキャビンと、を備えるものが開示されている（例えば、特許文献１参照。）。

また、固定キャビン及び固定キャビンに対向する自立カバーから成り、装置上部を囲繞する上部キャビンと、上部キャビンを昇降可能に支持して装置下部を囲繞する下部キャビンとを備えるレーザ加工機が開示されている（例えば、特許文献２参照。）。

特開平８−２０６８７０号公報 特許第４６７１６９７号公報

ところで、加工機本体をキャビンで覆う場合、パレットチェンジャなどを加工機本体に隣接して設置し、加工機本体を覆うキャビンの外側でワークを受け渡し、搬入出操作するのが一般的である。このため、小ロットや小型製品を加工する場合でも、大型のパレットチェンジャを用いたパレット交換作業が必要であり、作業効率上の課題があった。特許文献１に記載のレーザ加工機では、パレットによるワークの搬入出について考慮されておらず、また、特許文献２に記載のレーザ加工機では、大型製品の加工のためにクレーンでの搬入出を考慮しており、小型製品の搬入出については考慮されていない。また、レーザ加工機のカバーを開いて加工機本体内にあるワークにアクセスする場合、腰を曲げた無理な姿勢での作業が必要となり、作業者に与える負担が大きくなる問題があった。

本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、大ロット製品の加工は勿論のこと、小ロット製品の加工にも対応して、作業者への負担を軽減し、且つ効率よく加工可能な熱切断機を提供することにある。

本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
即ち、請求項１に係る発明は、
ワークに熱を発生させるための加工ヘッドと、
前記加工ヘッドを収容するキャビンと、
前記ワークを載置するパレットと、
前記パレットを所定の方向に駆動するパレット駆動機構と、
を備え、前記パレット上の前記ワークを熱によって切断する熱切断機であって、
前記キャビンの第１の面には、開閉扉が設けられ、
前記所定の方向において前記第１の面と反対側に位置する、前記キャビンの第２の面には、前記パレットを前記キャビン内に搬入、或いは前記キャビン内から搬出するための搬入出口が設けられることを特徴とする。

請求項２の発明は、請求項１の構成において、
前記パレット駆動機構は、前記加工時における前記パレットの加工時設置位置よりも前記第１の面側であるパレット引出位置に、前記パレットを駆動可能であることを特徴とする。

請求項３の発明は、請求項２の構成において、
前記パレット駆動機構は、前記開閉扉の開閉と連動して、前記パレットを駆動可能であり、
前記パレット駆動機構は、前記開閉扉を開くときに、前記パレットを前記パレット引出位置に移動させ、前記開閉扉を閉じるとき、前記パレットを前記加工時設置位置に移動させることを特徴とする。

請求項４の発明は、請求項１から３のいずれかの構成において、
前記キャビンには、前記第１の面で、且つ、前記開閉扉の側方に配置される第１操作盤と、前記第１の面および前記第２の面と直交する第３の面で、前記第２の面寄りに配置される第２操作盤とが設けられることを特徴とする。

請求項５の発明は、請求項１から４のいずれかの構成において、
前記開閉扉の下方に配置され、作業者が足で操作可能なフートスイッチをさらに備え、
前記フートスイッチは、前記開閉扉の開き動作時に操作されることを特徴とする。

請求項６の発明は、請求項１から５のいずれかの構成において、
前記開閉扉は、前記キャビンの天井に設けられた支点を中心として上方に回動するガルウィングであることを特徴とする。

請求項７の発明は、請求項１から６のいずれかの構成において、
前記開閉扉の開動作と閉動作の少なくとも一方の動作時に、該動作を作業者に光又は音で知らせる通知手段をさらに備えることを特徴とする。

請求項１によれば、キャビンには、第１の面に開閉扉が、第２の面に搬入出口がそれぞれ設けられているので、大ロット製品の加工時には、ワークを載置するパレットを搬入出口を介して搬入出し、小ロット製品の加工時には、開閉扉からワークを搬入出し、ロットの大きさに対応した搬入出作業を行うことにより、作業者への負担を軽減し、効率よく加工することができる。

請求項２によれば、パレット駆動機構は、加工時設置位置よりも開閉扉側であるパレット引出位置にパレットを駆動可能であるので、開閉扉から小ロット製品の搬入出を行う際、楽な姿勢で容易に作業することができ、作業者への負担を軽減することができる。

請求項３によれば、パレット駆動機構は、開閉扉の開閉と連動してパレットを駆動し、開閉扉を開くときにパレットをパレット引出位置に移動させ、開閉扉を閉じるときにパレットを加工時設置位置に移動させるので、開閉扉からの搬入出作業を容易に行うことができる。

請求項４によれば、キャビンには、第１の面で、且つ、開閉扉の側方に配置される第１操作盤と、第３の面で、第２の面寄りに配置される第２操作盤とが設けられているので、開閉扉側からの小ロット作業、または搬入出口側からの大ロット作業に応じて、いずれか近い側の操作盤で操作することができ、作業者の移動距離を最小にして効率よく加工することができる。

請求項５によれば、開閉扉の下方に配置されて、作業者が足で操作可能なフートスイッチをさらに備え、フートスイッチは、開閉扉の開き動作時に操作されるので、作業者の両手が塞がっていても開閉扉を開いて作業することができ、作業効率が向上する。

請求項６によれば、開閉扉は、キャビンの天井に設けられた支点を中心として上方に回動するガルウィングであるので、開閉扉を開閉する際、開閉扉移動軌跡の前方への突出量が小さくなり、安全に開閉することができ、また熱切断機の設置スペースを小さくすることができる。

請求項７によれば、開閉扉の開動作と閉動作の少なくとも一方の動作時に、該動作を作業者に光又は音で知らせる通知手段をさらに備えるので、開閉扉の動作をより安全に行うことができる。

本発明の一実施形態に係るレーザ加工機の概略平面図である。 図１に示すレーザ加工機の概略側面図である。 加工ヘッド駆動機構の斜視図である。 加工ヘッドの斜視図である。 図１に示すレーザ加工機の背面図である。 図１に示す加工機本体の斜視図である。 開閉扉の開閉とパレットの位置との関係を説明するための拡大図である。 （ａ）はパレットチェンジャを用いた作業工程を示し、（ｂ）は開閉扉を用いた作業工程を示す工程図である。

以下、本発明に係る熱切断機の一例として、レーザ加工機の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。

図１及び図２に示すように、レーザ加工機１０は、加工機本体２０と、加工機本体２０に内蔵されるレーザ発振器２１及び制御装置２２と、加工機本体２０に接続して配設されるパレットチェンジャ２３と、空気中の窒素ガスを分離するために使用されるブースターコンプレッサ２４やエアコンプレッサ２５、又は、窒素及び酸素ガスボンベ２６などを備えるアシストガス供給部２７と、レーザ発振器２１及びレーザ加工ヘッド４０を冷却する冷却水を供給するチラーユニット２８、及び加工時に発生する塵埃などを排除する集塵機２９などを主に備える。

なお、本実施形態において、前方とは、加工機本体２０とパレットチェンジャ２３の並び方向（図１のＸ方向）において加工機本体２０寄りの方向を表わし、後方とは、該並び方向において、パレットチェンジャ２３寄りの方向を表わす。また、左方及び右方は、該並び方向に直交する方向（図１のＹ方向）において、後方から前方を見たときの方向で表わされる。

加工機本体２０のキャビン３０内には、パレット３１を所定の方向であるキャビン３０の長手方向（Ｘ方向）に駆動するパレット駆動機構３２と、パレット３１に搭載されたワークＷを熱によって切断するためのレーザ光を照射するレーザ加工ヘッド４０と、レーザ加工ヘッド４０を駆動する加工ヘッド駆動機構４９と、加工時に切断された切り屑等を回収するための回収コンベア６０と、が収容されている。

図３に示すように、加工ヘッド４０は、加工ヘッド駆動機構４９によって、Ｘ方向、キャビン３０の幅方向（Ｙ方向）及びキャビン３０の上下方向（Ｚ方向）に移動可能である。具体的に、左右に設けられた一対の支持台４１には、梁状のＸ方向可動台４２が跨って配置され、このＸ方向可動台４２は、Ｘ軸モータ４３によりＸ方向に駆動される。また、Ｘ方向可動台４２には、Ｙ軸モータ４４により駆動されてＹ方向に移動可能なＹ方向可動台４５が配設されている。Ｙ方向可動台４５は、Ｘ方向可動台４２内に配置された不図示のラックに、Ｙ軸モータ４４の回転軸に固定された不図示のピニオンが噛合するラックピニオン機構によりＹ方向に駆動される。また、Ｙ方向可動台４５には、Ｚ軸モータ４６により駆動されるラックピニオン機構を用いて加工ヘッド４０がＺ方向に移動可能に配設されている。

なお、図１の実線及び図２の点線で示す加工ヘッド４０は、Ｘ方向で最も前方に位置した状態（パレット３１の加工時設置位置Ｐ１に対応）を表わし、図１及び図２の一点鎖線で示す加工ヘッド４０は、Ｘ方向で最も後方に位置した状態を表わしている。

加工ヘッド４０には、レーザ発振器２１から延びるファイバーケーブル（先端のみ図示）５０が、Ｘ方向用ケーブルべア（登録商標）４８ｘ、及びＹ方向用ケーブルべア（登録商標）４８ｙを介して配索することで接続されている。また、加工ヘッド４０内には、ファイバーケーブル５０の出射端から出射されたレーザ光を平行光線化するためのコリメータレンズ５１と、平行光線化されたレーザ光を集光するための集光レンズ５２と、が配置されており、集光レンズ５２は、加工ヘッド４０に対してＺ方向に位置調整自在に設けられている。なお、レーザ発振器２１の構成は、公知のものを適用可能であるから、詳細な説明については省略する。

また、図４に示すように、加工ヘッド４０の周囲には、チラーユニット２８から供給される冷却管５６が接続されており、ファイバーケーブル５０の出射端と、集光レンズ５２の周囲を冷却する。さらに、加工ヘッド４０の周囲には、加工ヘッド４０内に、アシストガス供給部２７から窒素ガス、或いは酸素ガスのアシストガスを供給するガス供給管５７や、加工ヘッド４０のレーザノズル５３近傍に向けて、窒素ガス、或いは酸素ガスのアシストガスを吹き付けるサイドノズル５４に接続される他のガス供給管５８が設けられている。

これらの冷却管５６やガス供給管５７，５８は、Ｚ方向用ケーブルべア（登録商標）４８ｚを通過した後、ファイバーケーブル５０とともに、Ｘ方向用ケーブルべア（登録商標）４８ｘ、及びＹ方向用ケーブルべア（登録商標）４８ｙに配索されて、チラーユニット２８及びアシストガス供給部２７に接続される。

加工ヘッド４０は、レーザ発振器２１を作動させると、レーザ光がファイバーケーブル５０を介してコリメータレンズ５１で平行光線化され、更に平行光線化されたレーザ光が集光レンズ５２に入射して集光し、レーザノズル５３からワークＷの加工部に照射されてワークＷを加工する。加工に際して、アシストガス供給部２７から供給されるアシストガスは、レーザノズル５３やサイドノズル５４からワークＷの加工部に向けて噴出して、加工時に生じた溶融した金属を吹き飛ばす。

図１及び図２に示すように、パレット駆動機構３２は、Ｘ方向に沿ってパレット３１の右側面と対向する位置に配設され、駆動モータ３３によって回転駆動される無端チェーン３４と、パレット３１の下面側に設けられた複数のローラ３６が転動案内され、パレット３１を支持するレール３５と、を有する。そして、駆動モータ３３により無端チェーン３４が回転駆動すると、無端チェーン３４に設けられたピン（図示せず）が、パレット３１の係合部（図示せず）に係合し、レール３５上のパレット３１をＸ方向に移動させる。

図５及び図６に示すように、キャビン３０には、第１の面（正面）３０Ｆに開閉扉であるガルウィング３８が設けられ、正面３０Ｆに対して反対側となる第２の面（背面）３０Ｒに横長スリット状に形成された搬入出口３７が、パレットチェンジャ２３に対応して設けられている。ガルウィング３８は、その支点３８ａがキャビン３０の天井３０ａにおける正面３０Ｆから離れた位置に設けられており、開閉時におけるガルウィング３８の前方への突出距離を小さくしている（図７参照）。

また、正面３０Ｆには、ガルウィング３８の側方に第１操作盤７５が配置され、正面３０Ｆ及び背面３０Ｒと直交する第３の面（左側面）３０Ｌには、第２操作盤７０が背面３０Ｒ寄りに配置されている。さらに、キャビン３０の正面３０Ｆで、ガルウィング３８の下方には、作業者１が足で操作可能なフートスイッチ７６が配置されている。フートスイッチ７６は、作業者１が足で操作することができ、両手が塞がっているときでも、ガルウィング３８を開いて作業することができる。

なお、キャビン３０内には、ガルウィング３８の開閉動作時に、該動作を作業者に知らせるための通知手段として、ＬＥＤ照明７７が設けられている（図２参照）。そして、ガルウィング３８の開閉動作中にＬＥＤ照明７７を点滅し、ガルウィング３８の窓部３８ｂ（図６参照）を介して作業者に該動作中であることを知らせることで、該開閉動作をより安全に行うことができる。なお、通知手段としては、ＬＥＤ照明７７の代わりに、図示しないブザーを設け、音により開閉動作を知らせるようにしてもよい。

図１、図２及び図５に示すように、パレットチェンジャ２３は、搬入出口３７が設けられたキャビン３０の背面３０Ｒに対向して配置されている。パレットチェンジャ２３は、図１に示す駆動機構６１によって上下駆動される可動フレーム６２を有し、可動フレーム６２の左右側方に設けられた略コの字状レール６３上に２台のパレット３１を上下に２段配置することができる。

上側のパレット３１は、コの字状レール６３の上側レール面６３ａ上に載置され、また、下側のパレット３１は、コの字状レール６３の下側レール面６３ｂ上に載置される。コの字状レール６３上に２段配置されたパレット３１は、駆動機構６１で可動フレーム６２を上下駆動することで、略コの字状レール６３上のパレット３１を上下に移動して、キャビン３０内に配設されたレール３５と同じ高さとなるように高さ調節が可能であり、該レール３５と同じ高さに位置するパレット３１を、搬入出口３７を介してパレットチェンジャ２３とキャビン３０内との間で搬入出することができる。

また、可動フレーム６２の下方には、ワークＷをパレット３１の基準に突き当てるため、ワークＷをパレット３１上で移動させるためのフリーベアリング６４が昇降可能に設けられている（図５参照）。

なお、図１及び図２において、符号６５は、フリーベアリング６４を上下駆動する駆動機構６１を作動させるための他のフートスイッチである。

図１に示すように、パレットチェンジャ２３を囲う作業エリアＷＡの各角部には、投光器７１、反射板７２、及び受光器７３からなるセンサが配置されており、投光器７１から照射した光を、３つの反射板７２で反射して受光器７３で受光することにより、作業エリアＷＡ内への作業者１の出入りを監視している。また、キャビン３０の背面３０Ｒには、エリアセンサ７４が配設されて、作業エリアＷＡ内の作業者１の有無を検出する。投光器７１、反射板７２、及び受光器７３からなるセンサ、またはエリアセンサ７４が作動したときは、作業エリアＷＡ内に作業者１がいると判断してレーザ加工機１０の作動を禁止し、これにより作業者１の安全が確保される。

次に、本実施形態の作用を説明する。本実施形態のレーザ加工機１０は、基本的に、大ロット製品の加工はパレットチェンジャ２３側で作業し、小ロット製品の加工はガルウィング３８側で作業を行う。

先ず、大ロット製品の加工について概略説明する。大ロット製品の加工時には、図１に示すように、パレットチェンジャ２３においてパレット３１上にワークＷを載置して位置決めした後、例えば、第２操作盤７０を操作し、パレット駆動機構３２を駆動してパレット３１を搬入出口３７からキャビン３０内に搬入する。パレット３１が加工時設置位置Ｐ１に移動すると、レーザ発振器２１からのレーザ光を集光レンズ５２で集光しつつ、加工ヘッド４０をＸ，Ｙ，Ｚ方向に移動させてワークＷの加工部に照射して加工する。

この加工中に、パレットチェンジャ２３では、次のパレット３１上にワークＷを載置して次のロットの加工準備を行う。そして、前の加工が終了したらパレット駆動機構３２により加工済の製品を載せたパレット３１を搬入出口３７からパレットチェンジャ２３に搬出する。次いで、加工準備が終了した次のパレット３１を搬入出口３７からキャビン３０内に搬入し、同様にレーザ加工を行う。

一方、小ロット製品の加工時には、フートスイッチ７６または第１操作盤７５を操作してガルウィング３８を開く。ガルウィング３８が開くと、これに連動してパレット駆動機構３２が作動し、加工時設置位置Ｐ１に位置していたパレット３１が、加工時設置位置Ｐ１よりもガルウィング３８側、即ち作業者１に近いパレット引出位置Ｐ２に移動する（図７参照）。これにより、パレット３１が作業者１の近くに移動するので、作業が容易となる。

作業者１は、パレット引出位置Ｐ２に位置するパレット３１上にワークＷを載置した後、ガルウィング３８を閉じると、この閉じ動作に連動してパレット３１は加工時設置位置Ｐ１に移動してレーザ光による加工が行われる。なお、ガルウィング３８の閉じ動作は、作業者１の安全を考慮して、第１操作盤７５による操作のみとしている。そして、加工終了後にガルウィング３８を開くと、パレット３１は、再び作業者１に近いパレット引出位置Ｐ２に移動するので、作業者１は腰を曲げるなどの無理な姿勢を取ることなく、容易に加工済みの製品を取り出すことができる。

このように、大ロット製品はパレットチェンジャ２３側で作業し、小ロット製品はガルウィング３８側で作業を行うことで、大ロット製品加工時には、レーザ光による加工と、製品取出し及びパレット３１上へのワークＷの載置の準備作業と、を平行して同時に行うことができる。また、小ロット製品加工時には、パレットチェンジャ２３でのパレット交換作業を行うことなく、ガルウィング３８を開閉して加工することができ、短時間での作業が可能となり、製品を効率よく製作することができる。

（実施例）
本実施形態のレーザ加工機１０を用いた加工例として、板厚１．６ｍｍのＳＰＣＣ板、板厚３ｍｍのＳＵＳ板、及び板厚６ｍｍのＳＳ（軟鋼）板を、この順で連続加工する場合に、パレットチェンジャ２３を用いた加工と、ガルウィング３８を用いた加工の作業時間の比較を、図８を参照して説明する。

パレットチェンジャ２３を用いた作業では、図８（ａ）に示すように、ＳＰＣＣの搬入、パレットチェンジャ２３の入替、前段取りを行った後、ＳＰＣＣ板の切断加工を行う。この切断加工と同時に、パレットチェンジャ２３では、前の製品の取出しに続いてＳＵＳ板の準備作業（ＳＵＳ板の搬入、パレットチェンジャ２３の入替、前段取り）を行う。このＳＵＳ板の準備作業中には、ＳＰＣＣ板の加工が終了していてもＳＰＣＣ板のパレット３１を搬出することができず、ＳＰＣＣ板のパレット搬出は、ＳＵＳ板のパレット３１の準備作業終了後となる。従って、１セット目となる加工済みのＳＰＣＣ製品の取出しは、加工開始後４６０秒後となる。同様に２セット目となるＳＵＳ製品の取出しは、６９０秒後となる。

なお、この場合の前段取りとは、搬入出口３７に設けられた安全扉の開動作、ノズル交換、安全扉の閉動作、プログラムセット、加工スタート時間を含む。

一方、ガルウィング３８を用いた作業では、図８（ｂ）に示すように、ガルウィング３８からＳＰＣＣ板の搬入、前段取りを行い、切断加工終了後に、直ちにガルウィング３８を開いてＳＰＣＣ製品の取出し作業が可能であり、ＳＰＣＣ製品の取出し作業に引き続いてＳＵＳ板の搬入、前段取り、切断加工、及びＳＵＳ製品の取出し作業が行われる。従って、１セット目となる加工済みのＳＰＣＣ製品の取出しは、加工開始後２４３秒後であり、２セット目となるＳＵＳ製品の取出しは、５５２秒後となり、パレットチェンジャ２３を用いた場合と比較して大幅に加工時間が短縮される。

なお、この場合の前段取りとは、ノズル交換、ガルウィング３８の閉動作、プログラムセット、加工スタート時間を含み、また、製品取り出しとは、ガルウィング３８の開動作、パレッド引き出し、ワーク取り出しを含む。

以上説明したように、本実施形態のレーザ加工機１０によれば、パレット駆動機構３２及び加工ヘッド４０を収容するキャビン３０には、正面３０Ｆにガルウィング３８が、背面３０Ｒに搬入出口３７がそれぞれ設けられているので、大ロット製品の加工時には、ワークＷを載置するパレット３１を搬入出口３７を介して搬入出し、小ロット製品の加工時には、ガルウィング３８からワークＷを搬入出し、ロットの大きさに対応した搬入出作業を行うことにより、効率よく加工することができる。

また、パレット駆動機構３２は、加工時設置位置Ｐ１よりもガルウィング３８側であるパレット引出位置Ｐ２にパレット３１を駆動可能であるので、ガルウィング３８から小ロット製品の搬入出を行う際、楽な姿勢で容易に作業することができ、作業者１への負担を軽減することができる。

また、パレット駆動機構３２はガルウィング３８の開閉と連動して作動し、ガルウィング３８を開くとパレット３１が加工時設置位置Ｐ１からパレット引出位置Ｐ２に自動的に移動し、ガルウィング３８を閉じるとパレット３１がパレット引出位置Ｐ２から加工時設置位置Ｐ１に自動的に移動するので、ガルウィング３８からの搬入出作業を容易に行うことができる。

更に、キャビン３０には、ガルウィング３８の近傍に第１操作盤７５が、搬入出口３７の近傍に第２操作盤７０がそれぞれ設けられているので、ガルウィング３８側からの小ロット作業、または搬入出口３７側からの大ロット作業に応じて、いずれか近い側の操作盤７５，７０で操作することができ、作業者１の移動距離を最小にして効率よく加工することができる。

また、ガルウィング３８の下方には、ガルウィング３８を開くときに作業者１が足で操作可能なフートスイッチ７６を備えるので、作業者１の両手が塞がっていてもガルウィング３８を開いて作業することができる。

更に、ガルウィング３８は、キャビン３０の天井３０ａに設けられた支点３８ａを中心として上方に回動するガルウィングであるので、開閉する際、開閉扉移動軌跡の前方への突出量が小さくなり、安全にガルウィング３８を開閉することができ、またレーザ加工機１０の設置スペースを小さくすることができる。

また、ガルウィング３８の開閉動作時に、該動作を作業者にＬＥＤ照明の点滅、又は、ブザーで知らせるようにしたので、ガルウィング３８の開閉動作をより安全に行うことができる。

尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。

本発明は、本実施形態のファイバーレーザ加工機に限定されるものでなく、任意のレーザ加工機に適用可能である。また、本発明は、レーザ加工機に限定されるものでなく、プラズマ加工機、ガス切断機など、熱切断機に適用することができる。

１ 作業者
１０ レーザ加工機（熱切断機）
３０ キャビン
３０Ｆ 正面（第１の面）
３０Ｒ 背面（第２の面）
３０Ｌ 左側面（第３の面）
３０ａ 天井
３１ パレット
３２ パレット駆動機構
３７ 搬入出口
３８ ガルウィング（開閉扉）
３８ａ 支点
４０ レーザ加工ヘッド
７０ 第２操作盤
７５ 第１操作盤
７６ フートスイッチ
Ｐ１ 加工時設置位置
Ｐ２ パレット引出位置
Ｗ ワーク

Claims (7)

1. ワークに熱を発生させるための加工ヘッドと、
   前記加工ヘッドを収容するキャビンと、
   前記ワークを載置するパレットと、
   前記パレットを所定の方向に駆動するパレット駆動機構と、
   を備え、前記パレット上の前記ワークを熱によって切断する熱切断機であって、
   前記キャビンの第１の面には、開閉扉が設けられ、
   前記所定の方向において前記第１の面と反対側に位置する、前記キャビンの第２の面には、前記パレットを前記キャビン内に搬入、或いは前記キャビン内から搬出するための搬入出口が設けられており、
   前記開閉扉は、前記ワークを前記キャビン内に搬入、或いは前記キャビン内から搬出するためのものであることを特徴とする熱切断機。
2. 前記パレット駆動機構は、加工時における前記パレットの加工時設置位置よりも前記第１の面側であるパレット引出位置に、前記パレットを駆動可能であることを特徴とする請求項１に記載の熱切断機。
3. 前記パレット駆動機構は、前記開閉扉の開閉と連動して、前記パレットを駆動可能であり、
   前記パレット駆動機構は、前記開閉扉を開くときに、前記パレットを前記パレット引出位置に移動させ、前記開閉扉を閉じるとき、前記パレットを前記加工時設置位置に移動させることを特徴とする請求項２に記載の熱切断機。
4. 前記キャビンには、前記第１の面および前記第２の面と直交する第３の面で、前記第１の面よりも前記第２の面に近い位置に配置される第２操作盤と、前記第１の面で、且つ、前記開閉扉よりも前記第３の面側に配置される第１操作盤とが設けられることを特徴とする請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の熱切断機。
5. 前記開閉扉の下方に配置され、作業者が足で操作可能なフートスイッチをさらに備え、
   前記フートスイッチは、前記開閉扉の開き動作時に操作されることを特徴とする請求項１から請求項４のいずれか１項に記載の熱切断機。
6. 前記開閉扉は、前記キャビンの天井における前記第１の面から離れた位置に設けられた支持部において支持されており、かつ前記支持部を中心として上方に回動するガルウィングであることを特徴とする請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の熱切断機。
7. 前記開閉扉の開動作と閉動作の少なくとも一方の動作時に、該動作を作業者に光又は音で知らせる通知手段をさらに備えることを特徴とする請求項１から請求項６のいずれか１項に記載の熱切断機。

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